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WHO HQ(世界保健機関 本部)インターン報告書 塩田 勉

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WHO HQ(世界保健機関 本部)インターン報告書 塩田 勉
WHO internship
Tsutomu SHIODA
WHO HQ(世界保健機関
本部)インターン報告書
塩田
所属:筑波大学
医学専門学群
勉
医学類
学年:5年
インターン先:the department of injuries and violence prevention (VIP),
the cluster of noncomunicable diseases and mental health (NMH)
期間:
2007 年 7 月 17 日
~
8 月 28 日
■スイス・ジュネーブ
スイス連邦は、ヨーロッパの中心に位置する内陸国であり、永世中立国として有名です。
ジュネーブには、200以上もの国連機関本部が存在し、国連のヨーロッパ本部もあり
ます。スイスの西部レマン湖畔に位置し、人口18万人が住む、国際都市です。一年を通
し、さまざまな国際会議などが開かれています。
■WHO―HQ
WHO(世界保健機関)は、国際連合の専門機関のひとつで、その理念を“It is responsible
for providing leadership on global health matters, shaping the health research agenda,
setting norms and standards, articulating evidence-based policy options, providing
technical support to countries and monitoring and assessing health trends.”とします。
WHO では、健康の定義を「肉体的、精神的、社会的に完全に良好な状態」と定義し、その
実現に向けて、あらゆる政策を実施しています。Country office, Regional office(世界6地
域)そして、Head quarter(本部)をジュネーブにおいています。
HQ 内には約3000人のスタッフが働いており、WHO の代表(Director General)は
現在、香港出身の Dr. Margaret Chan という女性です。
HQ 内は、8つの部署(Cluster)に分かれており、それぞれ運営されています。そして、
その下に、department と呼ばれる部門に分かれています。
■the department of injuries and violence prevention
私がインターンを行ったのは、Non-communicable disease and mental health(NMH)と
いう cluster の中の、Injuries and violence prevention (VIP)という department でした。
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Tsutomu SHIODA
Supervisor は Dr. Meddings David というカナダ人医師で、中でも、capacity building と
small arms、そして policies を担当していました。
私が今回関わったのは、
VIP の中の policy
に関わる分野で、David と一緒に仕事をしていました。
VIP の中は3つのチームに分かれており、violence/ unintentional injuries/ disabilities
and rehabilitation です。Policy は各チームに属さず、単独で、Director の下に存在してい
ます。VIP 全体では、約20人のスタッフがいました。仕事内容は各チームによって異な
りますが、政策・提言の作成、世界報告書の作成、地域事務所などとの調整、関連会議の
運営、ホームページ作成、プロジェクトの management、他 UN 機関や NGO との連携促
進など、さまざまでした。
■インターンの仕事
私が行った仕事は主に、データの検索・回収とホームページのアップデートです。Violence
and injuries prevention に関する country レベルの policy を検索し、集めてきて、新たに
HP にアップするという作業です。以下に挙げるようなキーワードを入力し、複数の検索エ
ンジンを用いて、国レベルの policy document や strategy, action plan を見つけていました。
集まったデータはファイルにまとめ、最後に新たなウェブページを作成しました。
(URL)http://www.who.int/violence_injury_prevention/policy/en/
(ページ右下のリンクより先を担当)
検索してヒットした文献が「政策」と呼べるようなものなのか、発効日は最新なのかな
どを一つ一つチェックしていました。また、検索方法についても、図書館のスタッフに相
談したりしながら進めました。ウェブでの公表・分類方法なども、ウェブスタッフに相談
したり、スーパーバイザーと常に話し合いながら進めていきました。2000年以降の文
献に絞り、最終的には約150の政策をアップすることができました。初めは、仕事内容
に戸惑うことも多かったですが、次第に慣れ、スムーズに進めていくことができたように
思います。また、スーパーバイザーも非常に優しく、詳しく面倒を見てくださったので、
自分としては、安心して仕事することができました。
※Violence や unintentional injury に関するトピックとしては、以下のようなトピックが
ありますが、これらに関わる policy を回収していました。 [Child abuse and neglect./
gender based violence/ domestic violence/ suicide/ youth violence/ road traffic/ falls/
drowning etc. ]
※ちなみに、インターンを行う前に送られてきた terms of reference を以下のような内容
でした。
Tsutomu Shioda will work under the direct supervision of Dr. David Meddings, VIP on
tasks related to policy development. This work would fall into two broad areas:
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Tsutomu SHIODA
1. To undertake web-based research and communication to identify plans, policies and
strategies that relate to intentional, unintentional, and general injury and violence
prevention and update this information on the relevant part of the VIP website.
2. Pending further approval of the initiative and development of a tool, assist with a
rapid survey of policy development work going on in the injury field.
■7週間のスケジュール
7/17~19
今までのウェブページの確認
7/20~8/3
8/4~12
最新の文献検索&回収
IFMSA 世界総会
8/13~21
(policy, strategy, action plan etc)
出席のため
休暇
最新の文献検索&回収
国ごとのまとめシート作成(どの国にどれに関する政策が存在するか)
8/22~24
新しいウェブページ作成 (リンクの添付・紹介文章作成)
8/27~28
最終チェック
ほとんど文献の検索でしたが、最後にはウェブページを形にまでしてきました。途中、
自分のスーパーバイザーも vacation だったこともあり、1週間お休みを取って、UK にて
開かれた医学生の国際会議にも出席することができました。この仕事のスピードも、スー
パーバイザーと相談しつつ、やっていきました。
■一日の流れ
9:00~9:30 出勤
9:30~12:30
仕事
12:30~14:00
昼休み(ランチミーティング・セミナーなど)
14:00~17:00
仕事
17:00~
帰宅 or 引き続き仕事
一応、自分の部署では上記のような感じでしたが、人によっても勤務時間は全くことな
ります。朝8時前から来て仕事をしている人もいれば、夜遅くまで残っているスタッフも
いました。私の場合は、スーパーバイザーと話した上、上記の時間帯で働いていました。
ただ、途中に MTG が入ったり、カフェで休憩したりと、かなり自由な感じでした。要は、
決められた期限内に、自分の仕事を終えればいいといった考えです。私も、自由に時間を
決めてやっていいと言われたので、かなり flexible にオフィスにいたように思います。
■インターンネットワーク
WHO 内には、この時期約150人のインターンがおり、「インターンのネットワーク」
が存在しました。共通の ML、ウェブ上のコミュニティーがありました。一緒にランチを食
べたり、パーティーを開いたりと楽しんでいました。また、インターンセミナーというも
のがあり、そこでは期間中に自分がしたことをみんなの前で発表するというものでした。
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Tsutomu SHIODA
自分の部署以外の仕事や様子については、よくわからないところが多いので、こういった
機会は非常にためになりました。各インターンがどんなバックグラウンドを持っているの
か、どのようにしてここに来たのか、将来はどんな道を考えているのかなどといった話を
共有することができたことは、自分にとってもプラスでしたし、モチベーションの向上に
つながりました。
■トレーニングセミナー
ランチセミナーやトレーニングセッションなども、スタッフ向けに開かれていました。
ランチセミナーは各トピックにおける専門家を呼んでの講演でした。週に2回のペースで
開催され、WHO 内にいながらにして最新の動きを把握したり、情報を得られることは非常
にためになりました。
トレーニングセッションは、スタッフの capacity building を考えてのことであり、IT に
ついて、web, excel, access についてなど、さまざまなセッションがありました。残念なが
ら予定が合わず自分は、library の introduction にしか参加できませんでしたが、HIV
prevention などのセッションもスタッフ向けに開催しており、おもしろいなと思いました。
■WHO スタッフ
WHO のスタッフについては、MD は半数程度といった印象でした。そのほかのバックグ
ラウンドはさまざまで、統計学・疫学・人権・IT などなどです。特に HQ は、情報の収集・
整理・解析などが主であるため、そういった分野が非常に重要となってきます。また、Master
of Public health については、大半のスタッフがもっているようでした。フィールド経験に
ついては、あるという人と、元々厚労省だった人といてさまざまでしたが、スタッフの方
のお話では、フィールド経験(医師であれば臨床経験)も非常に重要だとお聞きしました。
■感想
今回、初のヨーロッパかつ7週間の滞在ということで、初めは不安もありましたが、ス
ーパーバイザーを初め、スタッフに恵まれ、有意義なインターンとすることができました。
仕事内容としては単純であったかもしれませんが、ウェブという形で自分のしたことが残
ったということは非常にうれしいですし、達成感も多少得ることができました。また、他
のスタッフの様子を見たり、話を聞いたりする中で、WHO でどのようなことが行われてい
るのか、WHO スタッフはどのようなことを考えてお仕事されているのか理解することがで
きました。7週間ということで、見きれていない点も多かったかもしれませんが、学生時
代にこういった、実際の経験をさせてもらえたということは、間違いなく自分にとっては
プラスの経験ですし、これからにつながると思います。公衆衛生、国際保健といった分野
に漠然と興味があった私ですが、このインターンを通して、自分の将来について、より具
体的に考えることができたことは事実です。フィールドで実際に住民と触れ合う活動がし
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Tsutomu SHIODA
たいという思いもありますが、こういった政策面からのアプローチも非常に重要だと考え
ています。目指すところは、一人でも多くの人が幸せに生きてほしいというところですが、
自分はどういった形でそのゴールに寄与できるのか、模索していきたいと思っています。
途上国支援に関わりたいというような思いは今も変わりませんが、WHO、国際機関、NGO
とさまざまな選択肢がある中で、自分のキャリアプラン、社会へいかに寄与しくかをしっ
かりと考えてくつもりです。
■最後に
最後に、今回のインターンを通してお世話になった方々に、この場を借りて感謝いたし
たいと思います。特に、このインターンを紹介してくださった斉藤記子さん、supervisor
の Dr. David, Director の Dr. Etienne, David 不在中に面倒を見てくださった Ms Laura and
Ms Alana など、本当にお世話になりました。また、お忙しい中お話してくださった日本人
職員の方や、他スタッフ、皆様の温かいお気遣いがあったおかげで、有意義なインターン
生活を送ることができました。私は、この先どのような道に進むかわかりませんが、この
経験は必ずや将来に生きてくると思います。何事にもチャレンジする気持ちで、今後もが
んばって参りたいと思います。本当に、ありがとうございました。
----------------------------------------------------------------筑波大学
塩田
医学専門学群
医学類
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