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成馬の蹄の管理
@ 日本中央競馬会
JRA 競走馬事故防止対策委員会
育成馬の蹄の管理
•
CONTENTS
•
P はじめに .....................................................................1
蹄の構造・・…・ー…・・・ー…・・一一一…・・……………・・……………・… 2P
蹄機について.......…..........…・・・・・・・・…………・ー・・・…・………・ 4P
肢勢と蹄形一一
蹄の磨滅・……
幼駒の削蹄…・・………一……・・……・…………・……-…一一・・・・… .6
l
2
3
P
蹄形の修正……
蹄底、 蹄支の削切 ……・・・ ・・
負面の削切・・…ー……・… …・ ・……-………ー………・ ......7
P
4 蹄叉の削切一5 端蹄廻し………ー…ー・…ー・・…一一…・・・・…・・………・・…… BP
6
肢勢と削蹄・……・・・…・・・・・・ー・・・…・・…・・・・・・……………・…・ )
)
①体幅の狭い場合・・・・…・・・・・…・・………・・・……・・…・・
)
)
③体幅の広い場合・・ー・…・・・・・・・・………・……・・…・……・… )
)
③その他の肢勢…・・……一・・・………・…………………… .9
P
7
削蹄の間隔一…・・・・・・・・…・……………ー…………………… )
)
B
初めての装蹄…....……
蹄病と変形蹄・・・・・・・・…・....................・・……・・・・…・..……・・・…・lO P
蹄の手入れ・・…….............................・・・・…...…・..…・・・・・・…・ 16P
@ はじめに・・
「蹄なければ鳥なし」 。 馬にとって蹄の良し悲しは、能力にま
で影響 します二
蹄は、角 質 からできておリ、立っている時には馬体を支える土
台となり、疾走している時には体重 を支えるとともに地面からの衝
撃を和らげる働きをもしてし、ます二
このように大切な蹄の疾病、変形などを未然に防ぐためには、
U 頃の「護蹄」に細心の注意を払うことが最も大切なことです。
そのためには、蹄の構造と仕組み、あるし、はその役割につ L 、てよ
く知 っておくことが必要です二
幼酢j の議蹄のポイントは、この時期の成長期にある蹄の健全
な発育を助け、馬体の土台としての条件を備えた、しっかりした
蹄を造ることにあります二そのためには、自IJ 蹄は欠くことのできない
大切な管理ですL
•
蹄の構造
•
蹄は、大別すると骨部、弾力部、知寛部および角質部(蹄臣)
の 4 つの部分からできています。(図 1 --- 図 5 参照)
1
3
骨部
知覚部
蹄の内部には、冠骨、蹄骨、第 3f旨節種
知寛部は、蹄角質と骨部の間にあり、血
子骨の 3 つの骨が収まっています。蹄骨と
管や神経力、分布し、角質を作り出している
冠骨の間にある蹄関節は、球節や冠関節に
ところです。この部分は肉縁(周縁真皮)
比べると、左右への動きがわずかに可能で
肉冠(蹄冠真皮)、肉壁(蹄壁真皮)、肉底
あり、地面からの左右方向の凹凸をある程
(蹄底真皮)および肉叉(肉叉真皮)に分
度吸収できる仕組みになっています。
けられます。
2
4
弾力部
角質部(蹄臣)
弾力部は、蹄の後半部に位置する 諾読と
皮膚の表皮が角化したもので、蹄冠、蹄
蹄骨後端に付着する内・外の蹄軟骨からな
壁、蹄底、白線(臼南)および蹄叉の 5 つ
り、着地に際して衝撃を吸収するショック
の部分から構成され、蹄の内部を保護して
アブソーパーのような働きがあります。
います。
2
図 1 肢端の 縦 断面
A 白線
...蹄底企蹄 叉
図 3 蹄中央部の断面
図 2 蹄下面
図 5 角質部の内面
図 4 蹄壁側酉
3
•
蹄の成長
蹄の成長速度は、昂種、性別、年齢などの他、
したがって、当歳馬では、蹄角質が完全に生え
かわ
換るまで 6 ヵ月を要し、成馬の 12 ヵ月に比べる
栄養状態や気候条件、運動量あるいは装蹄の有
ごうし fv
む
無などによって違ってきます。サラブレッド種
と約 E倍の速さで更新されていることになりま
の成馬において装蹄している馬では、
1 力月 8
す。
mm程度で、あるのに対し、当歳馬では、
11~13mm
負重を特に大きく受ける蹄壁の発育は速く蹄
も伸びます。生まれた時にすでに形成されてい
壁が立ってきます。また、肢勢、歩様、地形、
る角質(胎生角質)は生後 2 ヵ月で蹄壁の己分
あるいは誤った削蹄などによって蹄負面に負重
の 1 、 4 ヵ月で 3 分の 1 程度まで下がり、蹄腫
のかたよりが生じた時には、負重の大きな部分
ていせんふ
部から先に擦り減って消失しますが、蹄尖部で
の蹄壁が速く成長し、蹄を変形させたり、蹄病
は完全に消失するまで約 6 ヵ月を必要としますh
などの原因になることもあります。
蹄機作用
蹄は常に一定の形を保っているわけではあり
といい、その結果、着地衝撃の緩和や蹄の血液
ません。着地した蹄に体重がかかると、蹄の後
循環を促進し、角質の成長を助けるなどの働き
半部がひろがり蹄球が沈下し体重を受け止めま
をしています。したがって、蹄の健全な成長を
すが、蹄が地面を離れ体重の負担がなくなると
促すには、蹄機作用がスムーズに行われるよう
蹄は原形に復します。このように体重の負荷状
な蹄を維持することが大切です。
態によって蹄の形状が変化することを蹄機作用
肢勢と蹄形(図 6 参照)
幼駒は、胸幅が狭く、胴が短く、四股が長い
ん。しかし、成長するにつれ、次第に体形、肢
のが普通です。さらに前肢では繋が起ち、腕関
勢、蹄形も変化し、成馬のものに近くなります己
節はやや奮膝の傾向を呈するものが多く、後肢
したがって、これらが変化していく過程を良く
ゆる
は由飛節で、繋はねて、やや緩みがちのものが
観察し、不正な体形や肢勢、さらには不正蹄形
多いもので、す。
の原因となる蹄の不正磨滅などを発見した場合
すみ
幼駒の蹄は、蹄冠部より負画の方が小さく、
は、速やかに適切な削蹄を施すことが大切です己
蹄底は深く、蹄叉はまだ十分に発育していませ
蹄の磨滅
幼駒の蹄は、その肢勢に応じた特徴的な磨滅
えあります。また、後蹄では蹄躍が特別に磨滅
を示すものです。前蹄は蹄尖から内蹄側にかけ
して蹄尖が長くなり、蹄がねて、さらに蹄躍壁
て、後蹄は蹄躍から内蹄側にかけて、不正な磨
が内方に巻き込むものもあります。
滅がしばしば見られます。
さらに、曲飛節を兼ねたものでは、飛節を外
ねんてん
特に外向肢勢を兼ねたものでは、 2~3 週間
転する捻転歩様のものが多く、そのような馬は
外蹄躍が過度に磨滅しやすいものです。
という短期間で前蹄の蹄撞狭窄を起こすことさ
4
g
1} J& 印担恐 ω~:If制・信基gg 図
•
幼駒の削蹄
•
幼駒の蹄は柔らかく、成長も速いため、肢勢や歩様、育成場の環境などによる影響を受けて、変形し
易いものです。したがって、日頃から蹄の観察を十分に行い、不正磨滅や異常の早期発見につとめ、早
め早めに対処することがなによりも大切です。
かと
まめつ
一般的に当歳時には、蹄の伸び過ぎた部分だけを削り、過度に磨滅した部分は保護し、駐立時の蹄の
安定を心掛けます。そうすることが肢蹄の正しい発育を図ることになります。
2 歳になる頃 lこは、馬体の成長に伴って、蹄は横径を増し、蹄底、蹄叉、ともに発達します。蹄壁は
こうと
きょ うしλ ぜ い
厚さを i曽し、負面が大きくなるとともに蹄質は硬度と強靭性を増してきます。この時期は、成長に伴う
蹄形の変化が著しい時であり、当歳馬以上に蹄の発育に注意を図る必要があります。
さらに、 3 歳になると肢骨の化骨が完成に近づき、肢勢、蹄形および歩様もほぼ固有のものになりま
す。騎馬調教も始まって 、 運動量が増加するにしたがい、蹄の磨滅や変形も著しくなることから、定期
的に蹄の検査を実施します。特に肢勢や歩様と蹄形を考慮に入れ、必要に応じて議室削蹄を行い、安定
性のある良好な蹄形を維持するよう心掛けることが大切です。
次に幼駒の護蹄の具体例についてもう少し、詳しく述べて男ましょう。
1
2
蹄形の修正
おうわん
幼駒の蹄の成長は速く、凹害することがしば
蹄底・
蹄支の削切
しば見られるので、蹄壁をヤスリで擦り落とし、
蹄底は蹄壁に比べて薄く、また、蹄支角は重
正しい蹄形に修正することが必要で‘す。凹警部
要な部分であることから、いずれも週削しない
の修正を怠りそのまま放置すると、さらにその
よう注意します。
程度を増し、蹄の横径が拡張し、蹄壁欠損など
蹄支角が延び過ぎたため、蹄叉の後部を圧迫
の原因となります。
したり、蹄機作用を阻害するような場合には 、
ヤスリの掛け方は、角細管の方向とヤスリの
この部分を蹄刀やヤスリで削り落とし 、 蹄叉側
自が一致する方向に行います。
j琶を広げて、蹄叉の発育が充分に行われるよう
にします(図ア)。
蹄支角延長部介
また、蹄支角の削り方が不十分な場合には、
蹄腫狭窄、挙撞や蹄叉腐澗などになり易いもの
です。
続支
務支
蹄叉側湾
図 7 蹄支角延長部の削開
6
•
3
負面の削切
削蹄判断、特に挙肢検査(図日)を詳細に行
骨
管
い、まず負面の高い部分を削り、その後、磨滅
した部分に削る余裕がある場合には、その部分
聖母
の削切を施し平坦になるようにします 。
ゼんて い I ;J.
銑蹄馬では、負面の磨滅してしま っ た部分を
骨下
敬骨骨面
蹄担附肱町
補うことは困難です 。 日頃から負面の部分的な
きんとう
磨滅が起こらないよう 、 蹄へ均等な負重 が行わ
a一
H
,下
号
蹄
れるような削蹄を行うことが大切です 。
内外負面の高低の検査
幼駒では、特に後蹄の蹄撞部 が磨 滅するごと
が多いので、蹄尖部を削り、蹄角度を起こすよ
うにします。さらに蹄尖壁を搾 り落として 、 蹄
の縦径を短縮することも大切です 。
4
r
蹄叉の削切
蹄叉は弾力があり、蹄機作用に 関与する 重要
な部分です力\ ら、大切に保護する 必 要 があり ま
す。しかし、延び過ぎて負面より 支 出 する と蹄
内部を圧迫し 、 阪行の原因ともなります 。 逆 仁 、
育方肢
過度の削切は、蹄叉の発育を阻害 レ、 蹄叉 の機
後肢
能を減還させることにもなります 。し た が っ て、
内側
蹄叉は負面と同じ高さになるよう にす る こと が
外伊[11
大切です。
図 8 挙肢検査方法
7
5
はづめまわ
端蹄廻し
削蹄した後の蹄壁の下縁、すなわち蹄負縁は
端蹄廻しの方法は、肢を前方仁、または後方
蛮くなうており、このままの状態では、蹄壁欠
に上げ、蹄壁下酉の厚さの 2 分の 1 ;を限度とし
損や裂蹄などを起し易いため、必らす端蹄廻し
て、蹄壁面に対して直角になるよう、ヤスリで
を施す必要があります。
外縁を削り落とレ、軽く丸日未をつけます(図 8)。
一般に、端蹄廻しは、低蹄、平蹄、蹄撞不良
のものには多めに、高蹄、狭蹄などには少なめ
にします。
軽ぇ丸味を設けるλノ
~
図 9 端蹄廻しの程度
6
肢勢と削蹄
削蹄は、体形や肢勢にそってその馬に合わせ
2) 体幅の広い幼駒
ることが必要です。
特に後肢の場合、狭踏肢勢となり易く、削蹄
1)体幅の狭い幼駒
を誤ると、捻転歩様を誘発し、これか持続すれ
このような幼駒は、将来、広踏の程度が一層
ばO 状肢勢となり、飛節を痛め、能力は低下し
強くなる傾向があります。特に外向肢勢を兼ね
ます。このような幼駒では、外蹄躍が低くなら
ひ〈
ると、体重は内蹄側、内蹄躍に多くかかり、外
ないようこの部を保護し、蹄角度がねないよう
弧歩様の度合も強く、仮性内向肢勢の素因とな
注意します。
り易くなります。また、蹄内側に狭窄や李躍な
どを発しやすく、これらを考慮した削蹄を施す
ことが必要です。特に内蹄側、内蹄躍が低くな
り過ぎないよう注意します。
8
•
8
3) その他の肢勢
初めての装蹄
繋の傾斜は、蹄角度を多少変えてもほとんど
幼駒に初めて装蹄を実施する場合には、次の
変りません。したがって繋が立ちすぎていたり、
3 点を考慮します。 3 歳以下の馬では、特殊な
ねすぎていても、むやみに蹄角度を変えてはい
事情がない限り、できるだけ装蹄は行わない。
けません。また、繋と蹄の方向が一致していな
しかし、荷重が蹄の ー側に偏り、蹄形が損な
い場合、すなわち、là1:軸が破折している場合に
われ、削蹄だけでは矯正できない場合や、蹄の
は、蹄負面の高い部分から先着し 、 その部の不
成長速度と運動による磨滅量とが均り合わない
正磨滅や変形蹄の原因となるので、このような
場合には、装蹄を行うこともあります。
場合は、蹄の着地の状態を確実に判断し、 E止軸
一般に、広蹄は狭蹄よりも早い時期から装蹄
が必要となります。また、前肢に比べ後肢の蹄
の一致を図るようにしなければいけません 。
は変形し易く、不正肢勢となり易いので、後蹄
ア
削蹄の間隔
でも早めに装蹄することが多くなります。
削蹄の間隔は、蹄角質の成長と運動による磨
滅との兼ね合いから
ませんが、
一律に決めることはでき
1 ヵ月に 2 回程度は、蹄形、蹄の安
定性(座り)、蹄の成長と磨滅の状態を検査し、
っ
と
その都度状況に応じて保護あるいは矯正削蹄を
行い、常に良好な状態を保つことが大切です。
ひルと
1 ヵ月に己回程度の頻度で削蹄を行う場合に
は、蹄万を用いて削るよりも延び過ぎた部分の
みをヤスリを用いて、鎌削矯正する程度で充分
です。
9
蹄病と変形蹄
(蹄叉腐欄)
蹄叉の角質が腐敗するもので、早期に治療す
れば出較的容易に治癒します。
原因
治療
蹄の手入れ不足 、蹄躍の狭 窄、蹄支角 の延 び
腐敗角質の削除やその部分を焼熔したり、木
過ぎ や湿潤した厩舎 内 での飼 育などによ っ て発
タール、ヨ ー ドチンキなどを直接患部に塗布、
症します。
あるいはそれらの薬物を綿花に付け挿入 し たり
します。
(白線裂)
白線の角質が腐敗あるいは属議して、蹄底と
蹄壁との聞に空隙か出来たものを言います。
原因
平蹄、広蹄 、低蹄や蹄 質不良な蹄は発症し易
いものです。白線部の削りすぎや踏倉IJ あるいは
耽蹄時の過度の磨滅や延び過ぎ、さらには端蹄
廻しの 不 足によっても発症します。
治療
臼線の 腐 敗部分を削除した後、木タール、ヨ
ードチンキを付けた綿花を空隙部へ挿入しますh
蹄叉寵 i聞及び白線裂
また、蹄壁が不良なものでは、裂部の釘付けを
避け装蹄する必要があります。
ハ
1HU
@
ざせき
(挫妬==(蹄血斑) )
蹄知覚部の肉壁、肉底、肉叉か圧迫を受けて
その内部に内出血したものを一般に蹄血斑とい
い、とくに蹄底における血斑を挫拓と言いますL
原因
堅い地面上の使役、蹄の乾 燥、蹄底の靴り す
ぎなどによって発症し、疹癌 が蓄 しく 重 度の披
行 を示します 。
治療
熱や痛みの除去のため 蹄全 体の冷豆有を行い
挫師
装蹄師や獣医師の専門的処置が必要てす
(裂蹄)
きれつ
蹄壁か強い衝撃を受けて亀裂を生じたもので、
前蹄内蹄側に発生し易い傾向かあります。
原因
外向肢勢馬では内蹄躍への 荷重 の信 りによっ
て発症レます 。 また、挙躍 、 狭 窄蹄苧 支実ある
いは追突によって発症し 、冬 期 間の蹄の乾燥も
誘因となります 。
治療
蹄負面の不平坦を修正し、 j重尾 蹄鉄、 A 分の
3 蹄鉄等の特殊蹄鉄を装着し ます 。 そ の也、 亀
裂部に革を張り付ける革片接着 法 、 造溝法、 薄
削?去などもあります。
1
1
(蹄壁欠損)
蹄壁下部の一部か欠損したもので、す 0
・ 原因
蹄の乾燥や蹄質の不良な馬、あるいは銑蹄馬
では端蹄廻しの不足や削蹄を遅らせた場合など
に見られます。
治療
適切な蹄の管理による蹄質の改善が大切で、
適切な端蹄廻しを行います。また、装蹄では、
おお
欠損部を覆うように鉄唇を設けたり、革片での
蹄壁欠損
接着も良い方法です。
(突球)
繋が立って球節か高くなり、重症例では蹄よ
りも球節が前方ヘ突出し、はなはだしい場合に
は蹄壁の前面あるいは球節前面にて負重するこ
ともあります。幼駒の突球には、先天性と後天
性とがあります。
・ 原因
先天性のものは、屈臆の短縮あるいは伸筋の
虚弱などが原因となります。後天性のものは、
発育期間中の急激な成長のため骨の成長が腿の
成長を上廻ると、屈腿がヨ|つ張られたようにな
り、このような状態を示すようになります。
矯正法
副木包帯またはギブス包南を施したり、鉄腰
て いてつ
も く き ゃく
突球
蹄鉄あるいは木脚蹄鉄の装着を試みます。また
外科的には、腿切断術を行うこともあります。
1
2
(木脚蹄)
木脚蹄は、突球肢勢にみられる変形蹄で、蹄
躍が接地できなくなり、はなはだしいものは前
蹄壁で着地したりします。
・ 原因
突球肢勢に原因します 0
・ 矯正法
突球 の方法とほぼおなじです。
長三五木附
2量 状 E帯鉄
(狭窄蹄)
蹄臣の一部、特に蹄撞部が狭窄したもので、
I :tl. \< ん
蹄機を阻害し、蹄叉腐燭、裂蹄、繋輝などを誘
連尾蹄鉄の装着なども良いでしょう 。
発します。
・ 原因
運動不足や手入不良、 蹄 の遇度 の乾燥 や乾 湿
の急変などが原因となります 。 ま た、 伸び過 ぎ
た蹄支角による蹄叉の圧迫 、 重度 の外向お よ び
広踏肢勢による内蹄撞への荷重の偏 りによ って
発症します 。
・ 矯正法
蹄の乾燥を防止し、削蹄を行い、 蹄 支角の削
融、 によって蹄叉の発育と蹄機作用を促進させ、
lÈll:軸の一致と蹄の座りを正しくします 。 また、
狭窄蹄
1
3
•
(挙腫蹄 )
挙躍蹄 と は、蹄球が極端 に 上方へ変位した も
矯正法
の で、 蹄腫狭窄に伴って発生し易い も の です o
市窄蹄と ほぼ同 じ方法で矯正しますが 、 連厘
原因
蹄鉄や 4 分の 3 蹄鉄なとを用いた装蹄も 行い ま
内外蹄撞のい ずれか への荷重の偏 りによって
す。
起こります。
( 蟻 洞)
蹄壁の保護層(中層)と葉状層(内層)との
結合が分裂 したものです 。
原因
蹄 壁 の肉冠もしくは肉壁のいすれか 一一方 の角
質生産 機能 に障害 力、あ り、 保護層と葉状層の発
育速度か一致 し ない 場合や、蹄の衝突や踏倉 IJ な
どによる肉 壁の急 性 炎症など 、あ る いは、硬い
地面上の運動や蹄の急激な乾湿 も 本症の原因と
な り ま す。
矯正法
蟻洞
狭 窄蹄と ほぼ同じ方法で矯正しますか、連尾
蹄鉄や 4 分の 3 蹄鉄などを 用い た 装蹄も 行 いま
すo
わん てい
(寄蹄)
雪蹄とは、蹄壁の→則 か凸奮 し、他側か 凹奮
矯正法
した変形蹄で、幼駒 に 多 く見ら れます 。
凹 暫 した側の蹄壁 をヤスリにて擦り落とし、
原因
蹄形の修正 を 行い ます。荷重の偏りがある場合
傾斜地の飼育や使役、重度の広踏や 狭踏肢勢
には、その矯正をしますが、削蹄での矯正か困
による荷重のー側へ の偏りによって起ごー ります。
難な場合は装蹄が必要です。
また、幼駒では一側の蹄 支、蹄支角の過削、あ
るいは運動不足でも起こります 。
(踏創)
せんえいふつ
蹄底に釘や木片など尖鋭物 を 踏み抜いたもの
治療
をいいます。
刺 入 物を除去したあと消毒を行います。この
ような場合には破傷風の感染予防に心掛ける必
要があります。
1
4
その他の症例馬
熊脚
蟻洞及び蹄壁欠損
異常磨滅
磨 j戚部に革片接着し予防を図る
蕪蹄
削蹄後
1
5
日常の蹄の手入れ
•
「早期発見、早期治療」は、病気に対する基本的な原則です。
しかし、それよりも大切なことは、病気になる前に予防することでしょう。蹄についても同
じことが言えます。日頃から愛馬の蹄の特質をよく知り、それぞれの蹄に合った手入れを行っ
て、蹄の変形や蹄病を未然に防ぎ、健全な蹄を保持することが大切です。
しつじゅん
1u 清潔に保つこと
2 r 蹄の乾燥や湿潤をさける
育成時は、放牧などにより蹄は地面に接する
冬期は、舎飼いや放牧されている育成馬、特
に E先蹄馬では蹄が乾燥し易くなります。水分が
時聞が多く、不潔のままにして置くと、特に蹄
おぷつ
叉側溝や蹄叉中溝に汚物(糞尿)や泥土がつま
補給されないと蹄は硬くなって、蹄機作用が妨
り蹄内の水分を吸収して、蹄を乾燥させ、蹄質
げられ、蹄躍が狭窄したり、あるいは裂蹄など
を悪くします。
の原因となります。これとは逆に蹄が過度に湿
したがって、裏ほりで汚物を取り除き、洗い
潤すると蹄質が軟弱となり、蹄形が拡張したり
落として清潔にしておくことが大切です。また
して、蹄壁欠損や蹄叉腐 1聞などの誘因となるの
蹄壁の表面には蹄壁を保護している薄い膜状の
で注意、しなければなりません。
て いし っ
蹄漆があり、蹄壁の乾燥や水分の発散などを防
3
ぐので、洗う時にはあまり硬いものでこすり過
とゆ
蹄への塗油
塗 j由は、蹄の水分の発散(乾燥)または湿潤
ぎないように注意します。
寒い時期は水洗いより湯洗いをしがちですが、
を防ぐために行います。それには、水洗いし角
湯洗いすると「蹄が硬くなる J í裂蹄になり易し \J
質に適度な水分を吸収させた後、 j由を塗り水分
などと言われています。これは蹄の角質から脂
の蒸発あるいは浸透を防ぎます。蹄油の他、蹄
肪分を取り、水分を蒸発させ、さらに冬の寒風
クリームや単軟膏など蹄冠にすりこんで‘やるの
も良いでしょう。また、蹄油には大宣油ゃなた
にさらされるので、角質が硬くなるからです。
ね油などの植物油や動物性の油は適しています
が、鉱物性のものは使用してはいけません。
1
6
•
4 r 蹄病の早期発見
状 や異常があれば装蹄師や獣医に相談すること
蹄の異常在一番早く気づくのは、毎日手入れ
をしている 「 あなた自身」です。次のような症
です。
-歩く時に異常をみせる 0
-蹄底に木片などの刺さった跡がある 0
・蹄に熱がある。
・蹄球が腫れていて押さえると痛い。
・蹄冠から出血している。
・ 3帝叉や白線部が腐敗している。
・蹄底の一部が赤くなっている 0
・蹄叉に悪臭がある。
・蹄壁がひび割れている。
・いつも特定の肢だけ休ませている。
蹄病や変形蹄等はどれもこれも治り 難 い も
請 はたとえ痛みがあっても、大きなからだを
ばかりです。これは、蹄角質それ自 体に回程 ヌ
支 えな け ればなりません。こんな苦痛を愛馬 に
がなく、新しい健全な角質が成長して くるの に
与 えな いためにも、日頃の蹄の管理が大変重要
時間がかかること、あるいは 、 蹄 が硬 い角 童 に
広 こと です 。 また 、 育成馬時代の蹄の管理の良
固まれているため病気の進行が特妹な経過をた
し 悪し力\ 成馬の肢勢、蹄形にも影響を及ぼし
どり、治療や手当てが難しいこと にあ り ます c
ます 。将 来における愛馬の活躍のためにも育成
そのためにも、蹄の病気の 「 早期発 売 、 享 宗 治
売代の護 蹄に心掛けましょう。
療」を心控トけて下さい D
i
•
JRA
-発行
平成 2 年 12 月
・発行者
日本中央競馬会
競走馬事故防止
対策委員会
東京都港区西新橋トト 19
TEL(03)3591-5251 附
・印刷所
株式会社東日本印制
Fly UP