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中期経営計画 2010∼2012年度
中期経営計画 2010 ∼ 2012 年度 当社グループは 2010 年 4 月より、2010 ∼ 2012 年度の中期経営計 画を開始しました。中期経営計画は、独自の視点で行った長期市場 予測と、当社グループの事業ポートフォリオを照らし合わせて策 定した経営ビジョンの実現に向けた第一ステップとなります。こ れまでに実施した投資からの収益、キャッシュ・フローの早期獲得 などに取り組みます。 ペトロ・ラービグ(サウジアラビア) 当社の関係会社ペトロ・ラービグ社は、サウジアラビアのラービグで世界最大級の石油精製と石油化学の統合コンプレックスを運営しています。 ガソリンなどの石油製品のほか、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンオキサイド、モノエチレングリコールなどの石油化学製品を製造・ 販売しています。 写真は、コンプレックスの主要設備の一つであるエタンクラッカーになります。 21 1 長期市場予測と経営ビジョン 当社では、人口増加が著しい新興国が先進国に変わり世界 長期市場予測 経済を牽引し、2030 年までに世界経済は 2 倍の規模に拡大す 世界経済は 2 倍規模に ると予測しています。また、新興国で大量生産型の大きな市場 が誕生する一方、先進国では価値観の多様化による市場の細 新興国が世界経済の牽引役に 分化が進むと見込んでいます。こうした経済および事業環境 先進国市場がさらに多様化 の予測に基づき、 「環境・エネルギー」、 「ライフサイエンス」 、 「ICT (information & communication technology)」 の3分 今後成長が期待される事業領域 野を高成長が期待できる事業領域と定めました。 そして、この長期市場予測と当社グループの事業ポート 環境・エネルギー フォリオを照らし合わせ、今後の当社グループが目指してい ライフサイエンス く経営ビジョン、ならびに経営ビジョンの実現に向けた 3 つの ICT 戦略を策定しました。 経営ビジョン Ⅰ. グローバルカンパニーとしての経営基盤、事業規模のさらなる強化、拡大 Ⅱ. エネルギー・食糧問題の解決などグローバル社会の持続的な発展に貢献 Ⅲ. 企業価値の継続的な拡大 ▋経営ビジョン実現に向けた 3 つの戦略 ▋ 技術戦略 1 成長 3 分野への研究資源の重点投入 2 創造的ハイブリッド・ケミストリーの実践 事業ポートフォリオ戦略 2020 年度にバルクケミカル、ライフサイエンス、ICT の構成 比率を均等化 3 グリーンサステイナブルケミストリーの追求 30% 4 ダウンストリーム展開の加速 その他 5 基礎研究の強化 気候変動対応戦略 地球規模で顕在化している資源・エネルギー・環境制約の解決 に積極的に取り組む 22 Sumitomo Chemical Company, Limited ◆ Annual Report 2011 10% 石油化学・ 基礎化学 (バルクケミカル) 30% 医薬・農薬 (ライフサイエンス ) 30% ICT・電池材料・精密化学 中期経営計画 2010 ∼ 2012 年度 2 中期経営計画の概要 経営ビジョンの実現に向けた第一ステップとなる中期経営計画は、2012 年度を最終年度とする 3 ヵ年の計画であり、以下の 7 つの基本的な取り組みを推進しています。 ▋ 7 つの基本的な取り組み ▋ 1 先行投資からの収益・キャッシュ・フローの早期獲得 4 事業成長のスピード加速 • ラービグの収益最大化 • 米国医薬品会社セプラコール(現サノビオン)のインフラ活 「環境・エ • 将来の大きな成長が見込める 3 分野、すなわち、 ネルギー」 、 「ライフサイエンス」 、 「ICT」に関連する事業の • 規模拡大・革新技術の追求による液晶関連事業の競争力優 • 全社にまたがる事業探索、事業開発活動を、これまで以上 積極的な拡大 用による、ルラシドンの早期収益最大化 に推進 位確立計画 • メチオニン、レゾルシン増強プラントの垂直立ち上げ • 電池部材事業、ArF フォトレジスト事業の売上高拡大 2 5 気候変動対応戦略の積極的推進 6 グローバル経営システムの強化 財務体質の強化 • 将来の成長のために必要な投資を行いつつ、キャッシュ・ フロー管理の充実を図り、財務体質を強化する • 為替変動に対してより抵抗力のある事業構造へシフトする 3 コア事業・基盤事業のコスト競争力の一層の強化 • グローバルな視点から、これまで以上に海外生産拠点を念 頭においた最適生産・販売体制を、いち早く確立 • グローバルな業務革新と IT システムの高度化 • グローバルな事業展開を推進する人材の育成 7 コンプライアンスの徹底、安全・安定操業の維持・継続 • 特に競争が熾烈さを増す新興国市場でシェアを拡大・確保 するためにコスト面において徹底した合理化を実施 中期経営計画の経営目標 当社では、中期経営計画の最終年度となる 2012 年度まで には、世界経済が成長軌道に戻るとともに、石油化学製品の 需給も改善に向かうものと予想しています。このため、90 2012 年度目標(連結) 売上高 2 兆 4,000 億円 営業利益 1,900 億円 経常利益※ 2,200 億円 兆 4,000 億円、営業利益 1,900 億円、経常利益 2,200 億円、純利 純利益 1,400 億円 益 1,400 億円、ROE20.8% の達成を目指しています。なお、持 ※ うち 400 億円は持分法投資利益 円/米ドルの為替、50,000 円/ kl のナフサ価格、85 米ドル/ バレルの WTI での原油価格を前提に、2012 年度に、売上高 2 分法損益は、ペトロ・ラービグ社の貢献などにより、400 億円 への拡大を見込んでいます。 (前提) 為替:90 円/米ドル、ナフサ:50,000 円/ kl、原油:85 米ドル/バレル キャッシュ・フローと有利子負債残高 中期経営計画では、業績の拡大を目指すとともに、財務体質 の改善にも努めていきます。設備投資などを営業キャッシュ・ フローの範囲内に抑えることで有利子負債の増加を抑制し、 (単位:億円) 2010 ∼ 2012 年度 中期経営計画(目標) 営業キャッシュ・フロー 投資キャッシュ・フロー 差引 フリー・キャッシュ・フロー D/E レシオを 2013 年 3 月末に 1.0 倍に改善する予定です。 5,100 -5,100 0 2013 年 3 月末(目標) 有利子負債残高 D/E レシオ 10,200 1.0 倍 Sumitomo Chemical Company, Limited ◆ Annual Report 2011 23 3 2010 年度の取り組み実績 2010 年度は、2010 ∼ 2012 年度の中期経営計画の初年度でしたが、以下のような着実な前進を遂げることができました。 ■ 基礎化学 ・液晶部材向けなどの需要が好調なメタアクリル樹脂の増産を決定 ・発光ダイオード( LED)基板向けなどの需要が好調な高純度アルミナの 増産を決定 ・排ガス規制強化に伴い需要拡大が期待されるすす除去フィルター(DPF) の事業化が進展 ■ 石油化学 ・エコタイヤ向けの需要が好調な溶液重合法スチレンブタジエンゴム (S-SBR)の増産を決定 ・ペトロ・ラービグ社の損益が大幅改善 ・太陽電池封止材用エチレン酢酸ビニール共重合樹脂(EVA)などの高付加 価値製品の販売拡大 ・ナフサフォーミュラの短縮 ■ 精密化学 ・レゾルシンの新プラント稼働 ■ 情報電子化学 ・中国で液晶ディスプレイ(LCD)部材の生産販売拠点を拡充 ・タイヤ用ゴム添加剤など新製品の開発進展 ・LED テレビ用導光板の生産体制の構築 ・カラーフィルターの生産能力を拡大 ・中小型液晶向け薄型偏光板や高性能カラーレジストを開発 ■ 農業化学 ・メチオニンの新プラント稼働 ・トータルソリューションビジネスの強化 ・海外での農薬会社の買収、出資、提携による販売網の拡充 ・新規の殺虫剤、殺菌剤、除草剤の 3 原体を上市 ■ 医薬品 24 米国で非定型抗精神病薬ラツーダ ® を統合失調症治療薬として上市 Sumitomo Chemical Company, Limited ◆ Annual Report 2011