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ハードとソフト一体となった減災対策-(9ページ)(PDF:2447KB)
(1)防災・減災対策の推進-ハードとソフト一体となった防災・減災対策- ① ハード対策 事業の目的 過去に発生した大規模な浸水被害への対応や市街地での被害防止を目的とした改修事業、河川に関 する情報提供の充実等による被害軽減、さらには、河川環境の保全・復元など、ハード・ソフトを組 み合わせた治水対策、河川環境整備を推進します。 【主な事業箇所位置図】 (平成 27 年度) (一)千曲川[飯山市(下境工区)] (一)浅川[長野市] (一)浅川ダム[長野市] 関川圏域 (一)岡田川[長野市] 関川 姫川圏域 千 姫 北信圏域 曲 (一)奈良井川[松本市] 川 高瀬川圏域 川 長野圏域 (一)女鳥羽川[松本市] (一)浅川内水対策[長野市] 犀 川 (一)黒沢川[安曇野市] 高 瀬 川 (一)金原川[東御市] (一)田川[松本市] 上小圏域 (一)塚間川・大川[岡谷市] 北佐久圏域 (一)北沢川[佐久穂町] 松本圏域 利根川圏域 (一)釜口水門[岡谷市] (一)砥川[下諏訪町] (一)諏訪湖(水環境) 諏訪圏域 釜無川 (一)諏訪湖(自然再生) 富士川圏域 木曽川圏域 川 南佐久圏域 伊那圏域 木 曽 天竜川上流[下諏訪町(承知川工区)] 天 (一)武井田川[諏訪市] 竜 (一)松川ダム[飯田市] 川 飯田圏域 (一)新川[諏訪市] (一)円悟沢川[飯田市] 情報基盤整備[県内一円] 矢作川 矢作川圏域 堰堤改良[片桐ダム他] 凡 例 ・・・広域河川 ・・・総流防 ・・・特定構造物 ・・・流域治水 ・・・総合内水 ・・・環境整備 ・・・堰堤改良 ・・・ダム建設 -6- ・・・広域連携 河川改修事業(大規模な災害への対応) ■ 信濃川水系 矢出沢川(上田市) 矢出沢川は、人口が密集している市街地を流下しており、平成 22 年 8 月 2 日の集中豪雨では、流下能 力が不十分な中流域から下流域にかけて広範な地域で浸水被害が発生しました。 こうしたことから、中下流域の家屋等への浸水被害を防ぐため整備を進めています。 (一)矢出沢川 浸水痕跡 ( 水 深 約 H22.8 浸水痕跡 全体計画延長 L=1,000m 溢水 H22.8 被災状況 ■ 信濃川水系 犀川(長野市) 犀川では、昭和 58 年 9 月の信州新町地籍の浸水被害に対応するため、これまで実施してきた久米路河 川トンネル、杉山開削に引き続き、平成 26 年度に久米路第 2 河川トンネルが竣工し、対策が完了しまし た。 S58 浸水状況 犀川上流(呑口側)から 久 米路河川トンネル 久米路河川トンネル 国 道 1 9号 久 米路第2河川トンネル 久米路橋 久 米路第2河川トンネル 昭和 58年 浸水 範囲 犀川 犀川 杉山開削 トンネル標準横断図 新町橋 信州新町 支所 幅 1 5 . 0m -7- ■ 天竜川水系 新川(諏訪市) 新川では、床上浸水対策特別緊急事業で平成 14 年度から事業を実施していたが、平成 18 年度の豪雨 災害を受け、激特事業により平成 22 年度までに砥沢川合流までの 1.8km 区間の改修が完了しています。 現在は砥沢川合流から終点区間 L=1,100m を整備区間として、河床掘削や断面拡幅により流下能力の 確保を図り、諏訪市豊田地区、湖南地区において浸水被害を防ぐための整備を進めています。 H21 浸水状況 新川団地浸水被害 最大 1.2m 整備必要区間 ■ 整備済区間(床上浸水対策特別緊急事業(H14~H18) ) 信濃川水系 千曲川(飯山市) 千曲川では、 昭和 58 年 9 月の洪水で多くの家屋や耕作地が浸水する被害を受けた飯山市桑名川地籍で、 直轄事業で発生する掘削土砂を築堤材料に利用する等、国との連携により上下流バランスを図りながら、 整備を進めています。 全体計画 L =2,700m 第1期 築堤工事 L=1,100m(H4~H17) 第2期 築堤工事 L=900m(H18~H25) 第3期 築堤工事 L=700m(H24~H27) 市 川 橋 千曲川 出 川 桑 名 川 県 道 箕 作飯山線 国 道 403号 昭和58年 浸水範囲 J R 飯 山線 郵便局 J R 桑 名川駅 農協支所 市 役 所 支所 公民館 岡 山 小 学校 昭和58年 浸水状況 標準横断図 Q=6,500m3 /s 直轄事業での発生土砂を利用して盛立 千曲川 -8- 河川改修事業(市街地での洪水被害軽減) ■ 信濃川水系 浅川(長野市) 浅川は、中流域では天井川を呈し、沿川は住宅化、都市化が進んでいることから、住民の生命・財産を 守るため、ダム建設と河川改修を合わせた治水事業を昭和 52 年度から開始しました。事業は平成 13 年 の「脱ダム宣言」により一時休止となりましたが、平成 16 年度から再開され、平成 17 年度までに中流 域の天井川区間が解消しました。平成 18 年度からは、区画整理事業により宅地化が進行している上流区 間(約 L=2.2km)を改修しており、平成 28 年度完成予定の浅川ダムと合わせた治水効果の発現を目指 しています。 浅川 ←浅川の下を通過する JR 信越線 (当時)の電車(着工前) 弘誓大橋付近 ↓新幹線・長野電鉄・信越線と浅 川の交差部(整備後) 着工前 浅川 整備後 ■ 信濃川水系 奈良井川(松本市) 奈良井川は、松本市の中心市街地を流下しており、過去、狭窄部等において度重なる水害が発生してい ます。また、流域内の都市化が著しく、住家、企業、公共施設等の保全対象が増加しているため、抜本的 な治水対策として流下能力を向上させ、浸水被害を防ぐための整備を進めています。 奈良井川(島内~笹部) 奈 良 井 川 田 川 松島橋 ワサビ田 昭和 58 年台風第 10 号による浸水状況 R19 奈 良 井 川 JR大糸線 整備済区間 -9- ダム事業 ■ 浅川ダム建設事業(長野市) 浅川は、急峻な上、天井川であったこと等から、古くから水害が頻発していました。近年では、流域 の宅地化が急速に進んだことにより想定氾濫区域内の資産が増大し、治水対策が急務となっています。 このことから、流域住民の生命・財産を水害から守るため、治水安全度を 1/100 と定め、森林整備や 遊水地、ため池利用などダムによらない対策も含め、様々な治水対策を住民参加のもとで検討してきま した。その結果、 「河川改修」と「治水専用ダム」を組み合わせた対策が最適であるという判断に至り、 浅川の河川改修事業と併せて浅川ダム建設を進めています。 【浅川ダムの概要】 ○場 所 長野県長野市浅川一ノ瀬 ○目 的 洪水調節 ○形 式 重力式コンクリートダム ○ダ ム 高 53 m ○堤 頂 長 165 m 3 ○堤 体 積 14万1千 m3 ○総貯水容量 110万 m 3 ○洪水調節方式 自然調節 ・常用洪水吐き (高さ1.45m×幅1.3m×1門 ) ・非常用洪水吐き (高さ1.8m×幅13m×6門) 浅川ダム完成イメージ 常用洪水吐き 常用洪水吐き 下流から見たダム本体及び常用洪水吐き 上流から見たダム本体及び常用洪水吐き (写真撮影日:平成 27 年 5 月 29 日) -10- ■ 松川ダム再開発事業(飯田市) 松川ダムは、松川の洪水調節、飯田市への上水道用水の供給、既得農業用水の安定取水を目的として 昭和 44 年度に着工され、昭和 49 年度に完成しました。 以来、洪水調節・上水道用水の供給等の機能を果たしてきましたが、ダム上流はとりわけ地形が 険しく地質がもろいため、昭和 57・58 年洪水等、たび重なる出水により計画を上回る土砂が貯水 池に流入し、このまま放置するとダムの機能が低下するおそれがありました。 そのため、流入土砂対策を行いダムの機能を保持・回復するとともに、確実な洪水調節を行うた め予備放流方式※を解消することを目的に、松川ダムの再開発事業を行っています。 ※)洪水が予想される場合に貯水の一部を事前に放流して洪水調節容量を確保する方式 【再開発事業の概要】 ①貯水池への土砂の流入を軽減する洪水バイパストンネルによる恒久堆砂対策を行う。 ②予備放流方式の解消と貯水池の機能回復のため、貯水池掘削を行う。 トラップ堰 分派堰 松川ダム 放水路 バイパストンネル バイパス水路 松川ダム再開発事業 【施設の概要】 ○洪水バイパス施設 下流から見た放水路 -11- トラップ堰 H=10.25m,L=42.0m 分派堰 H=14.95m,L=57.0m バイパス水路 L= 171.15m バイパストンネル L= 1,417.05m 放水路 L= 74.05m 総合内水対策 ■ 浅川総合内水対策計画 浅川の下流域では、昭和 56~58 年には 3 年連続で内水被害が発生し、特に昭和 58 年 9 月洪水では、 床上浸水 331 棟、床下浸水 188 棟、浸水面積 248.5ha の既往最大の内水被害が発生しました。 このため、「河川改修」と「治水専用ダム」を組み合わせた外水対策と併せて、既往最大被害となった 「昭和 58 年 9 月台風 10 号」と同規模の洪水に対し、宅地部での床上浸水被害を防止することを目標に、 排水機場の増設、河川改修、浅川流域の流出抑制対策などのハード対策、国土交通省、長野県、長野市、 小布施町及び地元住民と連携したソフト対策を段階的に実施しています。 施策体系図 浅 川 総 合 内 水 対 策 ①河川改修 ●排水機場の増設(短期14m 3/s、中長期7m 3/s) ●河川改修(河床掘削) ●堆積土砂除去、立木伐採、草刈り ●堤防の嵩上げ ②流域対策 ●雨水調整池の整備(3箇所) ●学校校庭貯留施設の整備(1箇所) ●公共施設における地下貯留施設の整備(1箇所) ●下水道(雨水)事業の推進 ●雨水貯留施設の助成制度の利用促進 ●開発行為等の流出抑制指導 ●農地の保全による流出抑制効果の持続 ●二線堤の設置 ●内水浸水想定区域図の作成・公表 ●河川水位・防災情報の提供 ●水防組織の強化(水防訓練の実施等) ●避難体制の確立 (防災備蓄物品の充実、地域防災マップ作成の推進等) ●ポンプ運転調整ルールの設定 ●排水ポンプ車の連携・運用 ③被害軽減対策 黒字:短期整備 青字:中長期整備 千曲川 既設排水機場 (長野市管理) 浅 川 浅川第三排水機場 (イメージ) 排水機場の増設 (イメージ図) 地下貯留施設(豊野支所)の整備(長野市施工) 雨水調整池(北堀)の整備(長野市施工) -12- 100mm/h(100 ミリ)安心プラン ■ 天竜川水系 塚間川(岡谷市) 岡谷市の中心市街地を流下する塚間川は、いわゆる「ゲリラ豪雨」により、近年たびたび浸水被害が発 生しており、特に、平成 25 年 8 月 15 日には、時間最大雨量 72 ㎜の豪雨により、河川が溢水し、床上 11 戸、床下 33 戸の浸水被害が発生しました。 そこで、岡谷市と長野県、地域住民などが連携し、 「河川事業と下水道事業との連携」、 「流域全体での 対策」 、 「行政と地域との連携」を基本方針として、ハード及びソフト対策を取りまとめた「塚間川流域浸 水被害対策プラン」を策定しました。 (平成 27 年 2 月 3 日付で「100 ㎜/h 安心プラン」※に登録。) ハード対策としては、県が実施する調節池の整備や河道拡幅、市が実施する雨水渠の整備のほか、流域 対策として、校庭への貯留浸透施設の整備などを実施します。 この他、ソフト対策として、浸水想定区域図及びハザードマップの改訂・公表や、ライブカメラによる 水位の監視、行政と地域が連携した防災訓練の実施などに取り組みます。 ※「100 ㎜/h(ミリ)安心プラン」 多発している短時間の局地的な大雨(いわゆる「ゲリラ豪雨」)等による住宅地や市街地の浸水被害等の軽減を図 るための対策として、河川と下水道のハード整備や、住民の避難行動を支援するためのソフト対策などの取組を定め た計画。行政機関と地域住民等が連携して策定し、国土交通省(水管理・国土保全局長)により、登録が行われる。 流域界 河川(調節池整備) V=19,000㎥ 下水道(雨水渠整備) L=0.41㎞ 岡谷市 塚間川 岡谷IC 流域界 岡谷市役所 ◎ JR岡谷駅 流域貯留浸透施設 (校庭貯留) V=3,140㎥ 諏訪湖 河川(河道拡幅) L=0.67㎞ 下水道(雨水渠整備) L=0.33㎞ JR中央線 浸水範囲 (H25.8.15豪雨) 「塚間川流域浸水被害対策プラン」対策箇所図 今井西調節池(現在整備中) -13- 凡 例 河川(河道整備) 整備済 河川(調節池整備) 整備済 下水道(雨水渠整備) 流域貯留浸透施設整備 整備済 流域貯留浸透施設(校庭貯留)設置事例 (岡谷市立神明小学校) 特定構造物改築事業 ■ 天竜川水系 諏訪湖 釜口水門(岡谷市) 釜口水門は昭和 63 年に運用を開始して以来 23 年が経過し、設備全般において経年劣化による老朽化 がみられます。 このため、長寿命化計画に基づき、平成 21 年度から段階的に装置の予防的保全及び効率的な点検・管 理による延命化を行い、設備の信頼性の向上と維持管理費の軽減を図っています。 第1ゲート 第 2 ゲート 第 3 ゲート 舟通しゲート 塗装劣化状況 事業実施状況(第 2 ゲート塗替塗装) 釜口水門全景 排水ポンプ車の配置 長野県では、平成 21 年度までに 2 台の排水ポンプ車を配備し、平成 24 年度にも 1 台を配備して います。県が所有する 3 台と、国土交通省の県内事務所が所有する 9 台の排水ポンプ車と連携して、 概ね 1 時間以内に県内各地への出動を可能としています。 この排水ポンプ車により、近年頻繁に発生する内水氾濫による浸水被害の軽減を図ります。 ○ 県内の配置状況 千 野尻湖 飯山市 3台 曲 松本建設事務所 飯山市 1台(県) 川 長野市 2台 犀 川 国土交通省 千曲川河川事務所 6台 千曲市 1台 松本市 佐久市 千 曲 川 諏訪市 1台(県) 諏訪湖 諏訪市 木 天 曽 川 竜 川 駒ヶ根市 3台 国土交通省 天竜川上流河川事務所 3台 飯田市 1台(県) 出動状況:平成 23 年 5 月 30 日 台風第 2 号に伴う梅雨前線豪雨 ※●●ポンプ車の保管場所 -14- 飯山市 今井川