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社債市場の現状と課題 ~ハイ・イールド投資家の視点

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社債市場の現状と課題 ~ハイ・イールド投資家の視点
社債市場の活性化に関する懇談会資料
社債市場の現状と課題
~ ハイ・イールド投資家の視点から ~
ジャパン・クレジット・アドバイザリー株式会社
(関東財務局長(金商)第2673号)
代表取締役社長
大橋 英敏
Tel: +81 (3) 6268 ‐ 8961
E‐mail: [email protected]
Web‐site: http://www.japancredit.jp
重要な開示事項等は当レポート巻末の情報開示セクションをご参照ください。
© Japan Credit Advisory Co., Ltd. Hidetoshi Ohashi ([email protected])
当資料の無断複製を禁止します。お問い合わせは、直接作成者までお願いいたします。
ジャパン・クレジット・アドバイザリー㈱について
【主要メンバー】
大橋 英敏 (おおはし ひでとし)
投資助言
• 債券・クレジットに関する投資助言
/投資戦略立案
• 金融規制・リスク管理コンサルティ
ング 等
人材教育
• 投資人材育成講座「クレジット投資
講座」の開催
• 債券・クレジットに関するOJT型の
投資人材育成プログラムの提供
• 調査レポート等の配信
講師派遣
• セミナー/勉強会等への弊社社員
の派遣
© Japan Credit Advisory Co., Ltd. Hidetoshi Ohashi ([email protected])
• 日本生命保険相互会社、モルガン・スタンレー
MUFG証券(マネージング・ディレクター、債券調査
本部長)を経て、ジャパン・クレジット・アドバイザ
リー株式会社設立。代表取締役社長。
• 15年以上のクレジット市場分析経験。2002年以降
11年連続でアナリスト・ランキング上位入賞(日経)
など。
水谷 伸政 (みずたに のぶまさ)
• 東京三菱銀行、三菱証券、みずほ信託銀行(チー
フ・ファンド・マネージャー)を経て、ジャパン・クレ
ジット・アドバイザリー株式会社入社。チーフ・インベ
ストメント・アドバイザー。
• 前職では、担当するクレジット・スプレッド戦略ファン
ドが、2年連続ファンド・コンサルティング会社からア
ワードを受賞するなど、運用能力に定評のあるファ
ンド・マネージャー。
2
社債市場における問題点の整理(私見)
• 民間法人企業の資金余剰
• オーバーバンキング下での過当競争と貸出
金利の低下
構造的側面
社債市場
• 社債市場懇における議論
© Japan Credit Advisory Co., Ltd. Hidetoshi Ohashi ([email protected])
投資家層
• 投資家層の偏り/画一的な投資方針
• 海外投資家/個人/ファンド等の自由度の
高い投資家の少なさ
3
最近の本邦クレジット市場
社債スプレッド(対JGB, 5年)
CDSプレミアム(iTraxx Japan 5年)
250
600
AA5yr
A5yr
BBB5yr
500
200
400
150
300
100
200
50
100
iTraxx Japan 5yr
© Japan Credit Advisory Co., Ltd. Hidetoshi Ohashi ([email protected])
Jan‐13
Oct‐12
Jul‐12
Apr‐12
Jan‐12
Oct‐11
Jul‐11
Apr‐11
Jan‐11
Oct‐10
Jul‐10
Apr‐10
Jan‐13
Nov‐12
Sep‐12
Jul‐12
May‐12
Mar‐12
Jan‐12
Nov‐11
Sep‐11
Jul‐11
May‐11
Mar‐11
Jan‐11
Nov‐10
Sep‐10
Jul‐10
May‐10
Mar‐10
Jan‐10
※単位はベーシス・ポイント。格付はR&I。
出所:Bloomberg
Jan‐10
0
0
※単位はベーシス・ポイント。
出所:Bloomberg
4
2010年以降に見られた主な個別銘柄の「大きな動き」
価格(スプレッド)が大幅に変動した主な銘柄
(総合)電機セクターでみられる価格変動
(対JGBスプレッド。単位はベーシス・ポイント)
(単価。単位は円)
1400
120
1200
東京電力#436
プロミス#32
川崎汽船#10
大王製紙#15
アコーディア・ゴルフ#2
100
1000
80
800
60
600
シャープ#26
40
400
出所:Bloomberg
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Oct‐12
Sep‐12
Aug‐12
Jul‐12
Jun‐12
May‐12
Mar‐12
Sep‐12
Jul‐12
May‐12
Mar‐12
Jan‐12
Nov‐11
Sep‐11
Jul‐11
May‐11
Mar‐11
Jan‐11
Nov‐10
Sep‐10
Jul‐10
0
May‐10
0
Mar‐10
20
Jan‐10
200
Apr‐12
パナソニック#8
出所:JS Price
5
本邦社債市場: 歪な投資家構造
信用力
• 多数の社債投資家(本邦中心。銀行や
AAA格(最高格付)
保険会社など)の社債投資対象はA格
AA格
トヨタ、キャノン、武田、JR東、
京王電鉄、NTTドコモ、東京ガ
スなど
A格
日産、新日鉄、パナソニック、
ソフトバンク、東レ、三菱重など
BBB格
ANA、楽天、東武鉄道、富士重、阪
急、双日、など
伝統的・
大規模投資家
の投資対象領域
(一部はBBB格)程度まで。
• ある企業(社債)の信用力が低下し、格
下げが発生した場合、投資基準未達と
なることで、強制売却(投げ売り)が発
生する。
BB格
三菱自動車、パイオニア、大王製紙、
JVC、朝日生命など
• 一方、BBB格~BB格クラスの企業群を
見れば明らかなように、短期間で経営
B格以下
破たんに至る会社は少ない。
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6
各投資家層の投資制約
保険・年金基金
銀行等
年金
メガ/地銀/信託
信金・信組
保険
NOMURA-BPI
パッシブ
32.6兆円
(47%)
保有残高
( H21.3現在)
投資対象領域
(格付制限)
備考
BBB格
アクティブ
NOMURA-BPI
Extended
パッシブ
・融資代替としての社債投資。
・融資代替としての社債投資。
・BBB格まで投資可能だが、実際は
・メガや地銀に比べリスク許容度高
A格以下になる時点で保有できなく
い先もあるが、数は限定的。
なる銘柄が多い。
BBB格
A格
A格
BBB格
その他金
融
9.2兆円
(14%)
概ねA格
家計
(個人)
その他
2.7兆円
(4%)
0.4兆円 0.1兆円
(1%)
(0%)
2.0兆円
(3%)
BBB格
制限無
制限無
海外
アクティブ
21.1兆円
(31%)
BBB格
政府
(中央、地方
等)
BBB格
・年金向け
・純粋なIG
・概ねメガ
・年金向け
の10%未満 ・残高はほ アクティブ ・非常に保守的
銀行と同じ
の大半はこ
程度の残 とんどない だが、残高 な運用。
(一部例外
こ。
高。
は限定的。
あり)。
制限無
・リスク許
容度に個
人差あ
り。
※上記はあくまでも類型化したもので、すべての投資家に適用するものではない。
※保有残高は、日本証券業協会「社債市場の活性化に関する懇談会」第一回資料より抜粋。
※年金の一部カテゴリーにおける残高推定は、弊社による。
出所:JSDA、JCA
BBB格以下のアクティブ投資家は
せいぜい5%程度か !?
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社債投資への需要: 今後も高い状態が続く・・・
低金利環境の継続
年金制度改革
• 日本のみならず、欧米市場でも超低金
• 2014年3月期以降から実施される年
海外投資家の
関心
• 圧倒的な規模を誇る米国の年金基
金制度改革(年金会計等)において、
金は、その資産の大半(半分以上)を
• すでに米国でも社債投資は過熱化しつ
①年金負債の割引率の引き下げ、②
北米市場で運用している。
つあるが、日本においても高・中格付
負債キャッシュフローに応じた資産保
けクラスだけではなく、低格付けクラス
有、等が求められる。
利環境の長期化は必至。
への関心は高まる可能性が高い。
• 少子高齢化が進行する日本において、
• 例:増える社債型ファンド、および個人
企業年金に求められる資産は債券型
向け社債。
にシフトする可能性が高い。
© Japan Credit Advisory Co., Ltd. Hidetoshi Ohashi ([email protected])
• 一方、長引く低金利環境や低成長経
済化に伴い、資産アロケーションをア
ジアにシフトしている。
• 日本はその中でも未開拓の市場とし
て注目を集めている。
8
(ご参考)債券重視のGPIF
GPIF(年金積立金管理運用 独立行政法人)の基本ポートフォリオ
•
年金積立金管理運用独立行政法人は「長期的
な観点から安全かつ効率的な運用」を行うため、
各資産を組み合わせた資産構成割合を「基本
ポートフォリオ」として定めている。
•
具体的には、「安全かつ効率的な運用」を行う
観点から、国内債券を中心に以下のとおり複
数の資産を組み合わせて運用を行うこととして
いる。
出所:GPIF
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社債市場活性化のための一つのアプローチ:投資家育成
• 市場の需給改善に寄与すべく、国内BBB格以下の領域にも投資できる投資家の育成が
急務。
• そのためのアプローチは3つ。
① 伝統的・大規模投資家について: 銀行、保険、年金等
② アクティブ投資家の拡大: 国内外HFs 、および事業法人等
③ 個人投資家について: 個人向け社債等の可能性
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① 伝統的・大規模投資家
社債投資に関する投資制約の背景
• 主要債券インデックス
見直し余地
• 公的年金の運用方針
• 適債基準(1996年撤廃)
• 融資代替の社債投資
• 金融リテラシー
• 横並びの競争意識(インセンティブ報酬体系の有無)
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② アクティブ投資家(内外HFs等)
社債投資に関する投資制約の背景
• スプレッドがタイトすぎる: cf. CDS市場における海外勢の圧倒的な存在感
• 参入障壁: 海外ファンド(投信)への敬遠姿勢等(特にAIJ事件以降)
• 市場規模: ある程度のスプレッドが確保できる領域(例えば国内BBB格以下)で、現在の
残高規模・銘柄数の拡大が必須
• インフラ(特にレポ市場)が未整備
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③ 個人投資家
ゼロ金利下での社債投資需要は根強いが・・・社債投資に関する投資制約の背景
• 合理的/効率的な分散投資ができる商品の不足
• 社債という資産クラスの浸透・投資家教育
• リサーチ・レポート等の調査機能へのアクセスの不足
• 発行企業の個人投資家等も踏まえたデッドIRの強化
• インフラ整備: 社債権者保護(トラスティ等)、コベナンツ 等
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ディスクレーマー
•
当資料に記載されている情報および見解は、ジャパン・クレジット・アドバイザリーが作成したもので、特定の証券に関する投資推奨を表しているわけ
ではありません。当資料の作成者の個人的な意見であり、ジャパン・クレジット・アドバイザリー株式会社の意見を反映したものではありません。
•
当資料は、投資家毎の個別事情に合わせた投資アドバイスを提供するものではありません。受領された方々の事情や目的とは無関係に作成されて
います。特定の投資または投資戦略について、投資家ご自身が独自に評価されることをお勧めします。
•
当資料は、公開情報に基づき作成されていますが、内容に事実と異なるものが内包される可能性があります。
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