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2015年1月発行 - 東京大学分子細胞生物学研究所

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2015年1月発行 - 東京大学分子細胞生物学研究所
1
東京大学 分子細胞生物学研究所 広報誌
1月号(第53号)2015. 1
IMCB
Institute of Molecular and Cellular Biosciences
University
of Tokyo
The University
of Tokyo
研究分野紹介(神経生物学研究分野)��������� 1~4
目 次
研究室名物行事(病態発生制御研究分野)��������� 16
平成26年度第2回分生研研究倫理セミナー ������ 5~10
OBの手記(岩槻 健)������������������ 17
受賞者紹介���������������������� 11
ドクターへの道(坂田豊典)��������������� 18
転出のご挨拶(石黒伸茂)���������������� 11
留学生手記(アヴリウシュ・ボロトベク)��������� 19
着任のご挨拶(椛島佳樹)���������������� 11
海外ウォッチング(山岸有哉)�������������� 20
第19回分生研シンポジウム ��������������� 12
研究紹介(澁谷大輝、山口卓男)������������� 21
国際会議に出席してみて���������������� 13
研究最前線(分子情報研究分野、発生・再生研究分野、
平成26年度高校生のためのオープンキャンパス ������ 13
生体有機化学研究分野、
RNA機能研究分野)
� 22~23
平成26年度動物慰霊祭 ����������������� 14
お店探訪������������������������ 24
平成26年度総合防災訓練 ���������������� 14
知ってネット���������������������� 24
所内レクリエーション報告��������������� 15
編集後記������������������������ 24
研究分野紹介 神経生物学研究分野
神経生物学研究分野 教授 多羽田哲也
失われた時を求めて、ふたたび
1.ショウジョウバエと記憶
授業の冒頭にヴィラヤヌル・ラマチャンドラン(Center for Brain and Cognition、UCSD)著「脳のなかの
幽霊、ふたたび」
(講談社)の話をすることにしている。本書は、腕を失った人にみられる「幻肢」―残った
上腕や顔に触れた時にあたかも失った手や指に触れられたように感じる―から始まる。これは、脳における当
該領域が物理的に隣接しているために、神経活動がなくなると隣あった領域が混線する現象(クロス配線)で
あることを説く。ここからが本書の真骨頂で、数字に固有の色がついて見えるような「共感覚」も同じように
近接している領域間のクロス配線(神経投射パターンのゆらぎのせい、つまり発生遺伝子群の発現調節のゆら
ぎ)のせいではないか、そして言語さえも、聴覚、視覚、それと発声を司るブローカー野のクロス活性化によ
り発達してきたと続ける。さらには芸術に秀でた人に共感覚を持つ割合が高いことから、オリジナルな発想と
は、
常人が思いもよらない事柄を結びつけること―まさに共感覚であると論は飛躍する。別な授業はマルセル・
プルーストの「失われた時を求めて」の、紅茶に浸したマドレーヌによって幼少期を生き生きと思い出す有名
な導入部の引用ではじめる。ラマチャンドランの話をするのは、たとえ言語や芸術というような分子生物学の
解析対象としては途方もなく高度な脳機能と普通は考えるものでも、実は単純な生物学に還元できるという楽
観論と、そこにいたる洞察と発想の大胆な飛躍を紹介したいがためで、それはショウジョウバエを使って記憶
を研究しようとする自分たちを励ます意味もあるかもしれない。プルーストのほうは、研究が匂い記憶をテー
マとしているせいで、講義に(自虐的に)衒学的な導入をしたいがためであり、あの長大な著作を読んでいる
わけではない。
一部には、本研究室は、ラッパムシやアメーバの研究をしているとの認識があるやもしれないが、神経機能
2
を進化的に理解するために一方のextremeとして観察しているのは事
実である(単細胞であるにもかかわらずその行動には驚嘆すべきもの
がある。興味ある方は当室謹製のムービーをご覧あれ。残念ながら近
頃は飼育がうまくいっていない)。
さてショウジョウバエである(図1)
。この小さな虫もいろいろと
ものを憶える。当研究室ではもっぱら匂い記憶のパラダイムをテーマ
としている。ショウジョウバエは空気中の匂いを、主に触覚にある匂
い受容体で(哺乳類の嗅上皮と同様に)受容し、そのシグナルを触覚
葉(哺乳類の嗅球に相当)のProjection neuron(マゼンダ)で中継し、
mushroom body(MB)とよばれる左右一対の構造の中のKenyon細
図1 食餌中のキイロショウジョウバエ
国立遺伝学研究所 山本雅敏博士
撮影
胞に届ける(緑)
(図2)
。このKenyon細胞は同時検出器として働き
記憶形成の場であると考えられてきた。ショウジョウバエの匂い記憶
は、いわゆるパブロフの犬で知られる古典的条件付けの簡単な方法で
調べることができる。電気ショックと特定の匂いを連合させる忌避学
習では、ある匂い(例えば3-octanol、Oct)を提示しながら弱い電気
ショックを与える。次に異なった匂い(例えば4-methylcyclohexanol,
MCH)を電気ショック無しに提示したのち、ハエにOctとMCHを同
時に嗅がせて、選択させる。電気ショックを忌避すべき罰と記憶して
いればOctを避けてMCHの匂いのする方へ逃げていく。OctとMCHの
それぞれの匂いに惹かれる個体の数を数えることにより記憶を定量化
することができる。電気ショックとは逆にハエが好むショ糖と匂いを
連合させる嗜好性学習のパラダイムも確立している。これらは私たち
図2 ショウジョウバエ成虫脳の3次元
共焦点顕微鏡画像
蛍 光 蛋 白 質 の 発 現 に よ り、
projection neuronを マ ゼ ン ダ で、
Kenyon細胞を緑色で識別している。
が出来事を覚える陳述記憶とは異なった単純な記憶の様式であると考
えられているが、そこに働く分子機構は共通の部分が多い。また、これらのパラダイムは条件付けの方法など
により短期記憶、中期記憶、麻酔耐性記憶、長期記憶などに分類することができ、それぞれに働く分子機構の
研究がなされている。これに加え、記憶の獲得、固定、想起などの素過程に必要な神経細胞の同定なども可能
になっている。
2.記憶を司る神経細胞ネットワークを理解する
ショウジョウバエの脳は単純な構造をしているので、個々の神経を
同定することも可能である。近年はキノコ体周辺の神経回路が詳細に
解析され、Kenyon細胞に直接入力する神経細胞およびKenyon細胞の
出力を直接受け取る神経細胞(mushroom body output neuron)はほ
ぼ1細胞レベルで同定されているのみならず、それぞれの神経群特異
的に遺伝子操作が可能なツールキットが開発されている(図3)。こ
れに、近年様々なモデルで汎用されている光遺伝学などを組み合わせ
ることで、任意の(とは少し言い過ぎとしても)神経の活動を観察、
活性化あるいは抑制することが可能になってきた。まさに記憶のプロ
セスを1細胞レベルで追うことが可能になっているのである。このよ
うな文脈のなかで、私たちは少し異なった視点でKenyon細胞群の働
きを調べて新たな機構を発見した。現在はこの発見が記憶形成機構一
般の中でどのような意味を持つのか考えている。これをキノコ体回路
図3 Kenyon細胞とoutput 神経の3次
元共焦点顕微鏡画像
蛍 光蛋白質の発現により、output
神 経 を 緑 色 で、Kenyon細 胞 を マ
ゼンダで識別している。
の中で理解することが扁桃体や海馬の情報処理の理解にも通じるので
はと期待している。
3.記憶の神経活動を見る
細胞内カルシウム濃度を測定するGCaMPなどのリポーター遺伝子の設計が進んでいるので顕微鏡下で匂い
記憶を再現できれば記憶形成を顕微鏡下で観察しうる。ショウジョウバエは体長3mm足らずで、Kenyon細
3
胞の総数は2000強であり細胞レベルの解像度を維持しながら全体が顕微鏡の視野におさまる(図4a, b)。様々
な工夫によりようやく解析可能な条件が揃ってきた(図5a, b)。さらにKenyon細胞とそのoutput neuronを同
時に記録することも可能となり回路の挙動にも迫れるものと期待している(図6)。
図4 2光子顕微鏡による神経活動の観察
左 顕微鏡下でショウジョウバエをトレーニングするセットアップ。
右 生きたショウジョウバエの頭部の表皮を除いて2光子顕微鏡下
におく。対物レンズ先玉とショウジョウバエの大きさに注意。
図5 カルシウムセンサーを用いたKenyon細胞の活動の解析
左 Kenyon細胞にカルシウムセンサー GCaMPを発現させ、その神
経軸索束断面を図4の方法により取得した画像。
右 左のように取得した画像データの数値化の1例。
図6 Kenyon細胞とoutput神経の活動の
同時イメージング
Kenyon細胞(マゼンダ)とoutput
神経(緑)に異なる波長特異性を
持つカルシウムセンサーを発現さ
せ、神経活動のライブイメージン
グを行った。
4.記憶を司る分子の働きを知る
本研究の最終的な目標は記憶の分子機構を知ることにある。特にKenyon細胞の出力の可塑性を支えるメカ
ニズムを明らかにしたい。そのために、Kenyon細胞に特異的に発現する遺伝子群を白髭研究室と共同で同定
した。現在はその中の1つの遺伝子に注目し、作用機序を解析している。将来は、回路のイメージング解析を
通して、可塑性を担うシナプスを同定し、まさにそこにおける分子機序を明らかにしたい。
5.ゲノムの中の記憶の記憶
脳機能はそれを支える回路の青写真としてゲノムに記述され、発生という形で具現化のプロセスをたどる。
発生により形成された脳構造/回路は機能発現(例えば記憶形
成)を通じて個の生存の能力を規定する。進化というフィード
バック機構により長い時間をかけて、改変された発生のメカ
ニズムはゲノムに定着しているはずである。してみれば、昔
獲得された“記憶する”という能力はKenyon細胞などの発生
メカニズムとしてゲノムに記述されているはずである。それ
を探るためにKenyon細胞の発生メカニズムの研究をしている。
Kenyon細胞は図で色分けされたように大きく3種に分類され
(図7)
、記憶形成において異なった役割を持つ。それぞれの細
胞種は特有の形態形成パターンを持ち、プログラムに従って決
まった順に発生する。ヘッケルの言うように個体発生が系統発
生を繰り返すならKenyon細胞の発生機序を知ることは記憶を
図7 Kenyon細胞の形態
Kenyon細胞はその形態および発生機序に
より大きく3種に分けられる。その分類に
従って軸索束部分を3色で識別した。
4
獲得した進化の過程の理解に通じるはずである。
記憶の始原とは何であろう。記憶の獲得、固定、想起のような素過程を担当す
るKenyon細胞の発生機序が異なるとすると、進化の過程では素過程が独立に機
能したことがあるのだろうか。想起されない記憶、固定されない記憶とは?それ
は今私たちが記憶と呼ぶ概念でくくれるものではないであろう。アメーバやラッ
パムシを眺めているとシナプスひとつ持たない単細胞が外界の状況を判断し、臨
機応変に行動しているように見える(図8)。原生動物にも記憶があるという報
告もある。長い進化を経て、このような原初の細胞機能が多細胞生物に再構築さ
れて私たちは再び記憶を獲得したのであろうか。進化の過程を直接見ることはか
なわないが、私たちの研究がこの失われた時を求めて、ふたたびその過程を実験
室に構築し、理解することにつながればと思っている。
図8 アメーバとラッパムシ
ア メーバがラッパム
シを捕食している。
5
平成26年度第2回分生研研究倫理セミナー
病態発生制御研究分野 特任准教授 岡田由紀
分生研では平成25年度より研究倫理セミナーを開催し、研究不正防止や研究者への啓蒙活動、研究
室間の交流に取り組んでいます。今年度2回目となった平成26年7月14日は、より実務的な内容で以
下の3つのテーマの講演を設けました。
(参加者数180名)
演題1:「ラボノートの書き方と正しい画像処理」
RNA機能研究分野・岩川弘宙 先生
演題2:「Image Processing For Scientific Publication」
分子機能形態研究分野・寺井健太 先生
演題3:「オープンアクセスジャーナル90%時代は来るか?その爆発的普及の利点と問題点」
病態発生制御研究分野・岡田由紀
演題1の岩川先生のご講演では、普段は特に意識せずに行いがちな実験ノートの書き方について筆
記用具の選択や記入方法など、基本的なルールを詳細にご説明いただきました。さらにバンドなど画
像処理のルールについても解り易くご解説いただきました。学生・院生の方々のみならず、研究歴の
長い研究者にとっても、初めて知った事項や再認識した事項が多かったことと思います。最近はデジ
タルデータやメガデータを扱う機会が多く、手書きのノートがぞんざいになりがちですが、電子ファ
イルとの関連性を持たせるなどして、少なくとも必要時にはすぐにその情報が引き出せるような工夫
を心がけたいと思います。
「適正なラボノートは、他人に正確な情報を提供するのみならず自分を守
る術でもある」という岩川先生のコメントが印象的でした。
演題2の寺井先生には、多くの研究室で汎用される顕微鏡の画像処理についてご講演頂きました。
顕微鏡装置の原理や性質に基づいた適正な画像処理の方法、あるいは顕微鏡の原理を知らないと起こ
りがちなミス(アーチファクトや誤った解釈)の事例を、具体例を交えて数多くご紹介いただきまし
た。分生研には今年度よりオリンパス顕微鏡ショールームTOBICが開設され、高性能の顕微鏡に触
れる機会が多くなりました。この環境を十分に活用して研究に活かす上でも、非常にタイムリーで有
用な講演であったと思います。なお寺井先生の顕微鏡に関するご講演内容の詳細は、次ページに掲載
されています。
演題3は私が、近年爆発的に普及しているオープンアクセスジャーナルについて、その現状と問題
点を簡単にご紹介致しました。Pubmedで馴染みのない雑誌名を見かける機会が多い昨今ですが、投
稿する際の選択が拡がりまた無料で閲覧できる雑誌が増えるなどの利点がある一方で、実体のない雑
誌や法外な投稿料を要求する雑誌など様々な「悪徳ジャーナル」の氾濫が問題になっています。講演
では悪徳ジャーナル告発サイトを紹介しましたので、所内のみならず周りの研究者にもご周知いただ
ければと思います。
6
上記の講演で用いたスライドは、下記分生研事務部ポータルサイトより常時閲覧可能です(所内ア
クセス限定)ので、折に触れてご確認・ご活用ください。
http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/support/jimubu/mt-blog/2/post-9.html
分子機能形態研究分野 特任助教 寺井健太
平成26年7月に開催された第二回分生研研究倫理セミナーに於きまして、顕微鏡写真の適切な撮
影・画像処理について講演致しました。機会を与えてくださった秋山所長ならびに今回の準備を手
伝って頂いた事務部の皆様に、この場を借りてお礼を申し上げます。
本講演のタイトルに使用した“IMAGE PROCESSING FOR SCIENTIFIC PUBLICATION”は、私
が大学院時代に教科書として熟読した本から抜粋したものです。この本には顕微鏡の基本的な原理や
撮像方法の原理、またそれらの性質に起因するアーチファクトなどが詳細に記載されています。機会
があれば顕微鏡を使用する全ての方に読んでいただきたい内容ですが、最近ではwebでも類似の情報
を手軽に得ることができます。一方で本講演の趣旨は「研究倫理セミナー」でしたので、これらの原
理やアーチファクトを故意に利用、あるいは無意識に曲解した具体例を紹介し、少なくとも後者に起
因する不正防止の一助になることを目標としました。以下に講演内容で私が特に強調したかった点を
要約します。
7
1、写真画像における不正例
“A群とB群を比較する際には、双方ともに同一の条件で撮像・画像処理し、提示しなくては
ならない”
多くの顕微鏡画像の場合、コントロール群と試験群の写真は別々の画像として撮影され、論文では
それぞれを隣り合わせて並べ比較します。読み手は、同一撮影条件で撮られたものという前提で見比
べます。従ってこの撮影条件を変えることは不正に相当します。例えば一方のサンプルのみ、顕微鏡
光源の強弱や露光時間を変えると、簡単に「大きな差がある」もしくは「全く差がない」画像が取得
できます。これは、撮影条件は同じでも、撮影後の画像処理過程において片方のサンプルのみコント
ラスト・明るさを変えることでも可能です。
右の図は、不正の一例として示しました。
①こ の魚は血管内皮細胞が“赤色”で
光っている魚です。しかしながら、敢
えて緑色で提示しました。顕微鏡のカ
メラは明るさのみを判定しており、色
情報はPCのソフトで処理しているも
のなので、どのような色にも変えられ
ます。それゆえ、肉眼で観察すること
(色を含む情報)を疎かにすると、他
の蛍光や自家蛍光と区別ができませ
ん。
この2枚の写真は、
RFPを発現する同一のゼブラフィッシュを、
長時間露光(上)と短時間露光(下)で撮影したものですが、
例えば「薬剤Xで処理をすると、処理前(上)に比べて、GFP
に融合させた蛋白Yの分解が促進された(下)」と主張するこ
とができますね。
②2匹出していますが、この魚は全く同一のサンプルです。しかしながら、敢えて蛍光が異なるよ
うに提示しました。上下でカメラの感度を変えているため、下の魚は蛍光が弱く出ています。更
に、透過像とのマージにより、蛍光画像における背景光のノイズはマスクされますので、明るさ・
コントラスを変化させても不自然さは出てきません。
これらの結果より、撮像条件が同一であることが、2群を比べるためには必須であることが分
かります。しかしながら、特にサンプル数、画像数が多数に及ぶ場合、撮像・画像処理条件を全
て統一するのは意外に難しかったりします。室温やレンズの汚れ具合、光源のパワーは、同一設
定においても異なってきます。これらの問題は、もし可能であれば、2群を1枚の写真で同時撮
影する事で解決できます。よく見る例としてはGFP発現仔マウスの写真で、GFP非発現仔マウス
と並べて撮影されることが多いようです。あるいは、手間がかかりますが野生型を赤色、遺伝子
変異型を緑色でマークしておいて、双方を混ぜて写真を撮る方法もあります。
“論文に記載した通りの実験をしている”
至極当たり前のように聞こえますが、論文の記載通りに実験をしていない不正が起こり得ます。画
像処理に限った問題ではありませんが、社会的に問題・話題になるケースの多くはこちらです。論文
に記載した物と異なる細胞を用いたり、異なる抗体を用いたりする事により、任意の画像データが作
8
成できてしまいます。日本においても、全く別のマウスの写真を用いたり、過去に用いた写真を流用
したりした論文が撤回になった事例があります。この類の不正は、画像自体は著者によってきちんと
撮影・処理されていますので、図の不適切さから問題が発覚することは少なく、多くの場合は再現性
が問題となります。精査の結果、マウスが存在していなかった、別の細胞からデータを得た、同一の
写真が過去に使われていた等々が「種明かし」です。
このような100%意図的な不正を排除することは困難ですが、一方でうっかり同じ写真を使いまわ
したなど偶発的な事故の場合は、画像データの管理・整理を徹底することが最善の防止策です。また、
例え事故で起きた流用でも、データ管理の責任は必ずあり、失う物が多いのが過去の事例です。
2、不正例の勉強方法
「Journal of Cell Biology」が2004年に発表した物が良く取り上げられており、誰でも見ることがで
きます(Rossner & Yamada, “What’s in a picture? The temptation of image manipulation” J Cell
Biol. 2004 166: 11-5.)。画像操作の不正例が具体例を交えて列挙されており、大変わかりやすく書か
れてありますが、具体的には①写真画像の一部分を切り貼りしない②写真の一部分だけに明るさ・コ
ントラストの調整をしない、という極めてシンプルかつ基本的なルールのみであり、原則的には「示
した画像を、不適切に改変・挿入してはならない」という提言に留まっています。実際に大きな問題
となるケースの多くは、
“サンプルを全く別のものにする”というような、うっかりでは起こり得な
いような大胆な例が多いようです。
3、研究不正から身を守るには
顕微鏡画像に限りませんが、実験者個人レベルでの対策の柱は “知識”、“生データの保存、実験ノー
トの記録” の2つです。
知識
無知は免責事由になりません。逆に知識は身を守る術でもあります。重要な基本事項は、①画像撮
影・解析においてやって良い事と駄目な事を学ぶ、②注意すべきアーチファクトの例を学ぶ、③情報
開示に必要なデータ(生データと実験ノート)を揃えておく、の3つです(③は後述します)
。
画像撮影の各論・方法論は各大学でもセミナー等が開催され、知識の浸透が図られています。この
種のトレーニングは費用等の問題から年1回程度の事が多いようですが、幸い分生研では、オリンパ
ス-バイオイメージングセンター(TOBIC)の開所に伴い、必要な際に適宜トレーニングが受講でき
るのは大きな利点です。また、撮影時における原理やアーチファクトについては、体系的に説明され
たWebサ イ ト 等 も あ り ま す(http://bioimaging.jp/learn/ま た はhttp://www.olympus.co.jp/jp/lisg/
bio-micro/terms/)
。数多くの方法論の中でも、
(a)多種類の蛍光によるかぶり、
(b)自家蛍光、
(c)色
収差、
(d)球面収差、
(e)光源の安定性、については最低限必須の知識です。典型的なアーチファク
トを理解しておらず、誤った解釈をしてしまう事は大変不幸な出来事です。以下に概略を説明します。
9
(a)か ぶ り:フローサイトメトリー解析におけるCompensationが “かぶりの除去” に相当します。
多重染色の場合に発生し、蛍光強度の差が大きい場合に問題となります。例えば緑
が非常に明るいサンプルでは、赤のチャネルにもシグナルが漏れ出てしまい、この
漏れを赤のシグナルとして検出してしまうアーチファクトです。
(b)自 家 蛍 光:ウェスタンブロットにおける2次抗体由来の非特異バンドが近いものです。各種ビ
タミンやフェノールレッドが問題となる事が多いです。
(c)色 収 差:赤と緑が同一平面にあるにも関わらず、別平面に存在しているように見える現象で
す。メガネを買う際に、緑と赤の十字を見せられて “どちらがはっきり見えますか?”
と質問されるのは、色収差の補正のためです。
(d)球 面 収 差:レンズの中心と辺縁で焦点面が異なる現象です。すべてのレンズは中心部分で良く
見えるように設計されており、辺縁部分では歪みます。身近な例として、メガネを
買う際にレンズを加工しますが、正面を向いたとき瞳孔とレンズの中心が重なるよ
うにレンズをフレームに埋め込んでいます。視野辺縁では画像が滲みますので、主
張したい像はなるべく視野の中心で撮影する必要があります。
(e)光源の安定性:光源の出力は、スイッチを入れた直後と30分後では数倍異なりますので、特に蛍光
強度を比較する際に問題となります。撮影開始の30~60分前には電源を入れ、安定
するまで待ちましょう。
一方、画像撮影方法と異なり解析方法は、それぞれの実験目的に依存するため、セミナー等で学ぶ
機会は少なく、研究室で受け継がれているスタイルや過去の論文を参照にする事が多くなります。こ
の場合は、上述の撮像原理と実験目的を十分に把握した上で各種処理を行う必要があります。例えば
「無処理画像では一見差がないように見える結果が、フィルターをかけてから定量すると差が出る」
ような場合、このフィルター処理が果たして理論的に正しいのか否かを客観的に判断しなければなり
ません。自分で判断することが困難な場合に備え、相談ができるアドバイザーを見つけておくと心強
いですね。
生データの保存と実験ノートの記録
画像データは大きい場合が多く、特に動画やタイムラプス画像の場合は個人レベルでも数ギガバイ
ト/回で増えていきます。全てのデータを紙媒体で残すことは不可能なので、当研究室の場合は、
・サンプルの詳細をノートに記載。
・生データとバックアップは個人の管理責任。
・代表的な絵を数枚印刷し、ノートに添付。
・ノートから生データがリンクできるように、日付やフォルダ/ファイル名を記載。
という4つを課しています。最近の撮像ソフトは撮像条件も残してくれるので、その様な場合はファ
イル名が特定できるだけで詳細な条件等は全て電子ファイルに含まれて便利です。
一方解析を施して、その解析手順に関するログが電子ファイルに残らない場合は、できるだけ具体
的に文字で記載することが必要です。例えば、“細胞核を抗X抗体で染色して蛍光強度がY以上、かつ
10
その領域面積がZ以上の細胞を抽出し、それらの蛍光強度の平均値を算出した” と記載します。具体
的な解析方法が決まっていない場合も、幸い画像は残りますので、まずは統計処理に十分数の写真を
撮って保存し、後に最適な解析方法を施行錯誤することも可能です。
雑感
私が大学院時代に所属した研究室ではライブセルイメージングを盛んに行っており、上司や同僚の
間には「ウェスタンのバンドと違って、ライブセルイメージングは連続的な時間変化を収めた写真で
あるから、画像操作の不正は不可能だ」という認識がありました。しかしながらそれから10年経った
今、上記の言葉を発した教授自身が“それはない”と否定しています。イメージングを行う研究者が
増え、様々なツールが開発されました。それらを悪用して手口が悪質かつ巧妙になり、もはや造れな
い物はないようにも思えます。一方論文の査読が性善説の上に成り立つという現状は今後も当面続く
でしょう。科学者の高い規範の故に継続されてきたこのシステムを科学者自身の手で衰退させること
がないよう努力する事も、
「巨人の肩の上に立つ」我々の責務であると考えます。研究不正にこれま
でにない注目と関心が集まっている昨今ですので、より良い不正防止策を紹介した著書などもあるか
と思いますが、参考にしていただければ幸いです。
11
受賞者紹介
受 賞 者 名:野村さやか(生体有機化学研究分野/修士2年)
賞 名:第25回日本レチノイド研究会 学術集会 学生優秀発表賞
受 賞 日:平成26年10月12日
受賞課題名:「Transrepression作用選択的なスチニルフェニルフタルイミド
骨格を有するLXRリガンドの創製」
転出のご挨拶
先端的研究教育プログラム 助教 石黒伸茂
2014年の7月より東京大学薬学部の有機合成化学教室(金井求研究室)に異動となりました。
現在は、人工的な化学触媒システムを細胞に適用することで、全く新しい医療応用技術の開発
を目指すプロジェクトにポスドクとして参加させていただいております。ここでは化学と生物
学のそれぞれ異なるバックグラウンドを抱えた研究者の方々が非常に密に連携を取り合うこと
で研究を進めていく光景が日常的で、これまで経験してきた環境とは少し違いますが、これが
とても良い刺激になっていると感じます。
分生研では大学院修士課程から8年間と数ヶ月、渡邊嘉典先生の研究室にお世話になり、そ
の間ずっと分裂酵母を用いた減数分裂のコヒーシンRec8を対象とした研究を行ってきました。
主に変異体解析を行ってきましたが、私が特定することのできた変異体は幸いにもきれいな表
現型を示すものが多く、その生物学的な意義をあれこれ考えることのできる時間は非常に楽し
いものでした。とはいえ渡邊研をはじめとして、分生研の諸研究室で行われている研究は総じてレベルが高く、正直
な所、自分にはハードルが高いと感じたことは少なくありませんでしたが、それでも根気よく叱咤激励をくださった
渡邊先生、渡邊研究室の皆様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。分生研で過ごした期間で得られた経験の中
には、場面場面において、現在でも頼りにしていることが多くあり、確実にこれからの研究生活にも活かされていく
ことと思います。
最後になりましたが、渡邊研究室をはじめ分生研諸研究室の皆様、および分生研事務スタッフの皆様、長い間本当
にありがとうございました。皆様の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
着任のご挨拶
先端的研究教育プログラム 助教 椛島佳樹
7月1日付けで高難度蛋白質立体構造解析センター・膜蛋白質解析研究分野(豊島近教授)
に先端的研究教育プログラム助教として着任いたしました、椛島佳樹(かばしま よしき)と
申します。皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。
私は2010年に九州工業大学大学院・情報工学研究科にて学位を取得後、杏林大学・医学部で
イオンポンプの研究に取り組み始めました。当時、すでに豊島先生のグループから複数の反応
ステップでのCa2+ポンプの立体構造が報告されており、そのダイナミックな動きと精巧なCa2+
輸送メカニズムに感銘を受けました。その後、縁あって研究グループに参加させていただくこ
とになりましたが、立体構造解析に関しては全くの素人である私を温かく迎えてくださいまし
た豊島先生をはじめ、
研究室の方々には大変感謝しております。まだまだ技術的に未熟な私は、
周囲に迷惑をかけてばかりですが、お蔭様で充実した研究生活を送っています。分生研という
恵まれた研究環境で日々研究に没頭することができ、研究者としての幸せをかみ締める毎日です。今後は、
「イオン
ポンプの機能制御メカニズムの解明」というテーマを軸に、イオンポンプに関連した疾病治療への応用など、広い視
野をもって研究に取り組んで行きたいと思っています。
最後になりましたが、本研究所の発展に少しでも寄与できるよう、日々精進して参りたいと思います。皆様にはお
世話になることがあるかと存じますが、どうぞ、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
12
第19回分生研シンポジウム
担当 ゲノム情報解析研究分野 中川優里
平成26年12月19日に東京大学武田ホールにて、主
参加をいただき、このシンポジウムのために誠心誠
催 東京大学分子細胞生物学研究所と公益財団法人
意準備してきたことが報われたようで、主催者側と
応用微生物学・分子細胞生物学研究奨励会、部局研
して参加の皆さまには大変感謝しております。ま
究力強化促進事業(生命科学5部局)共催により、
た、どのご講演も活気のあるディスカッションが行
分生研シンポジウムが開催されました。今回は、国
われ、最後に行ったパネルディスカッションも大変
立遺伝学研究所/東京大学分子細胞生物学研究所を
盛況で、ご講演していただいた先生方に改めて厚く
兼担されている小林武彦教授とゲノム情報解析研究
御礼申し上げます。
分野・白髭研究室が当番となり、
『生き物の寿命は
私自身、不行き届きのところも多々あったかと存
何が決めるか?―細胞から個体レベルまで―』とい
じますが、ご協力いただいた皆様の御陰様で無事に
うテーマにて、この分野の最前線で活躍されている
シンポジウムおよび懇親会を終えることができまし
研究者に最新の研究成果を発表していただきまし
た。この場を借りて心から御礼申し上げます。
た。
最後に、今後益々分生研が発展することを祈念し
会場には、予想を上回る180名を超える方々にご
て御礼の言葉とさせていただきます。
以下、「演題名」講演者名(所属)
「若返りの分子機構」小林 武彦(国立遺伝学研
究所/東京大学分子細胞生物学研究所)
「細胞老化シンドローム」成田 匡志(Cancer
Research UK Cambridge Institute)
「皮膚の幹細胞システムと老化のメカニズム」
西村 栄美(東京医科歯科大学)
会場内の様子
「老化耐性・癌化耐性齧歯類ハダカデバネズミを
利用した、造腫瘍性の無いiPS細胞の樹立」
三浦 恭子(北海道大学)
「寿命と時間」本川 達雄(東京工業大学)
パネルディスカッション 「生き物の寿命は何が
決めるか?」小林 武彦、成田 匡志、西村 栄美、
三浦 恭子、本川 達雄、白髭 克彦
講演の模様
パネルディスカッションの模様
(敬称略)
13
― 国際会議に出席してみて ―
発生・再生研究分野 博士課程3年
金子 洸太
会 議 名:FASEB Summer Research Conferences(Liver
Biology)
開 催 地:米国 コロラド州 キーストン
開催期間:2014年7月6日〜2014年7月11日
発表演題:N o v e l v i s u a l i z a t i o n m e t h o d r e v e a l s
connection of adult liver progenitor cells to
biliary trees in various liver injuries(口頭お
よびポスター)
生物学の各分野別に集まり最近の研究の進展について
発表・議論する国際会議であるFASEB Summer Research
Conferencesの「Liver Biology: Fundamental Mechanisms
and Translational Applications」に参加しました。
キーストンはスキーリゾートなので、近くの店には夏
だというのにクリスマスツリーやサンタさんが飾られて
おり、売り物もどこでもスキーグッズばかりでした。口
頭発表の会場は一部屋で、参加者全員がそこで発表を聞
くという形式でした。朝のセッションは9時に始まり、
夜のセッションは10時半までありました。
分野が肝臓ということもあり、医者の方の参加が多い
学会でした。肝臓でも様々なトピックがあり、セッショ
ンとしては、発生、正常肝と障害肝のシグナル、肝再生、
肝幹細胞と分化転換、肝臓の細胞・組織の樹立、肝線維化、
肝がん、肝疾患の分子機構と治療、肝臓の代謝 といった
ものがありました。それぞれの着目している現象が違っ
ていても、同じ肝臓の研究でまとまっている会議という
ことで、互いに関連の深いものであったと思います。詳
細なシグナルの解析が多く発表されていましたが、これ
らも共通のものが多く、関連の深いものでした。
肝臓分野での有名な方々が多く発表されていて、最近
の流行のトピックの方向性を感じることができ、また逆
に目新しいものもいくつか聞くことが出来ました。また、
発表者だけでなく、聞き手側の熱いコメントや議論を
聞くことが出来たのは良い経験だったと思います。発表
も長引く人が多かったのですが、質疑応答も長引いてい
ました。質問ではなく、ただ長いコメントというのも多
かったのですが、世の中の人たちがどのように感じてい
るかを一部知ることが出来ました。読んだことのある論
文の著者たちがどのように考える人かという雰囲気も感
じることが出来ました。これはやはり世界の研究者たち
が集まってくる国際会議に参加することで得られた貴重
な経験の一つだと思います。自分も口頭発表およびポス
ター発表を行い、質問やコメントを頂きました。口頭発
表は若い人がほとんどいなかったので貴重な経験をさせ
てもらったと思います。発表は練習して行ったので大丈
夫だったと思うのですが、特に口頭発表の場での質疑応
答は聞き取りも回答もグダつくわけにもいかないので難
しく、まだまだ上手くはいきませんでした。口頭発表は
反響が大きく、終わった後も多くの人に声をかけて頂き
ました。Nice talk と言ってくれて肩を叩いてくる人が多
かったです。ポスターでは、質問に対してグダつきなが
らも説明しました。海外で開催された学会に参加するの
は初めてでしたが、この経験を次に活かしたいと思いま
す。
最後になりましたが、このたび学会に参加するにあた
り、公益財団法人応用微生物学・分子細胞生物学研究奨
励会より費用を補助して頂き、
心より深く感謝いたします。
平成26年度高校生のためのオープンキャンパス
平成26年8月6日(水)・7日(木)に本郷キャンパ
スで高校生のための東京大学オープンキャンパス2014
が開催され、当所では例年1日のみであったところ、今
年度は2日間共に講演及び研究室見学を実施しました。
午後1時30分より生命科学総合研究棟B301会議室に
おいて、お二人の先生がそれぞれ30分、合計1時間の講
演を行い、その後、今年度新たに開設した東京大学分子
細胞生物学研究所-オリンパス-バイオイメージングセン
ターで、最新の顕微鏡を使用して水中の生物を観察しま
した。
両日共、最先端の生命科学研究の一端に触れてみたい
という熱意にあふれた高校生が多く集まり、2日間で講
演105名、研究室見学23名が参加しました。
なお、講演内容は下記のとおりです。
6日(水) ヒトゲノムに隠された秘密:
遺伝情報の違いってなんだろう?
ゲノム情報解析研究分野 泉幸佑助教
染色体分配の研究から癌がわかる?
染色体動態研究分野 渡邊嘉典教授
幹細胞と組織の再生:
7日(木)
身体の恒常性を維持するメカニズム
発生・再生研究分野 伊藤暢講師
がん研究最前線
~がん幹細胞をやっつけろ!~
分子情報研究分野 山角祐介特任研究員
14
平成26年度動物慰霊祭
動物実験委員長 岡田由紀
東京大学分子細胞生物学研究所(分生研)では毎年、研究活動に尊い命を捧げてくれた動物達の御霊に感謝と追悼
の意を表すため、実験動物慰霊祭を行っています。今回で16回目となる慰霊祭は、平成26年10月15日(水)午後に、
農学部附属動物医療センター奥の動物慰霊碑前において執り行れました。当日は冷たい秋雨の中にも関わらず80名の
参列者があり、動物実験委員長から一年間の動物実験概要の報告の後、一分間の黙祷と焼香を行いました。
分生研では多くの教職員・学生等が遺伝子改変マウスの作製やその解析、タンパク質の精製、抗体の作製などの目
的で実験動物を使用しています。平成25年度の年間使用
動物総数は、マウス22,272匹、ウサギ4羽という報告で、
マウスについては医科研、医学系研究科についで第3位の
使用数、全学総数の6.5%を占めています。動物実験を取
り巻く社会環境は年々厳しくなっていますが、同時に生命
科学研究への期待も高まりつつあります。社会のニーズを
勘案しつつ、動物実験で失われた尊い命を有意義な研究成
果にかえられるよう、明確な研究目的をもって、常に3R
の精神を意識しながら研究に取り組んでいきたいと思いま
す。
また動物実験施設の円滑な運営に日々ご尽力いただいて
おりますJACならびに分生研事務部の皆様に、この場をお
借りして厚く御礼申し上げます。
平成26年度総合防災訓練
平成26年11月4日(火)に総合防災訓練が実施されました。例年合同で訓練を実施している農学部に加えて、今
回は大学本部が設置する全学災害対策本部や、総合研究棟に入居している文学部とも連携し、大規模な訓練となりま
した。
震度6を超える大地震が発生したとの想定の下、14時30分から避難訓練を行い、各建物から一時避難場所である
本館前に、参加者175名が速やかに避難しました。その後、最終集合場所である農学部グラウンドに移動し、本郷消
防署から講評をいただきました。
また、上記の避難訓練と並行して、本館内に分生研災害対策本部を設置し、震災時のバイオリスクへの対応を想定
した訓練や、農学部が設置する弥生地区災害対策本部や全学災害対策本部との情報伝達の訓練などを行いました。こ
れらの訓練は分生研では初めての試みであり、実り多い訓練となりました。
本館内に設置された分生研災害対策本部の様子
15
所内レクリエーション報告
分生研親睦会バドミントン大会担当
平成26年度バドミントン大会が、平成26年11月1日(土)に御殿下記念館にて行われました。
心循環器再生研究分野 石原理加
初めて幹事を務めさせていただきました。いきなりの御殿下ジムナジアム工事の通達により、
一時は開催も危ぶまれましたが、
急な日程変更にもかかわらず多くの皆様に参加いただき、盛況に大会を終えることが出来ました。日頃の実験はひとまず忘れ、
バドミントンに命をかけ(?)、「打倒!ゾウさんチーム!(分子情報研究分野・鴨志田氏&谷上氏の優勝ペア)」を参加者の胸
に刻んだ一日でした。末筆になりましたが、関係者の皆様に多大なご協力をいただきましたこと、心より御礼申し上げます。
脳神経回路研究分野 首藤里美
石原さんの甚大なる御協力のもと、大会は無事に進行致しました。
私事では、当日ペアの方が急用で来られなくなり、急遽、辻さんをお借りしました。大活躍してくださり、準優勝となりま
した。ありがとうございました。
ここに、参加者を代表させていただき、入賞者の方々のコメントをご紹介します。
(敬称略)
[優勝 分子情報 鴨志田・谷上ペア]
今年度の分生研バドミントン大会で優勝させていただきました、谷上・鴨志田ペアの片割れの鴨志田です。こちらのバドミ
ントン大会に参加させていただいて3年目なのですが、今年度は参加された人数も多く、緊張感のあるトーナメント方式の中
で僅差の試合が続きましたが、何とか優勝できました。本大会を企画・運営して下さった幹事の方々には大変感謝しております。
誠にありがとうございました 。(鴨志田)
ペアの鴨志田君に完全に任せっきりでしたが、初めてのバドミントンで緊張感が味わえて大変楽しかったです。まさか優勝
したらPioneerのヘッドフォンが頂けるなんて思っていなかったので、とても嬉しかったです。
(谷上)
[3位入賞 心循環器再生 堀・辻ペア]
バドミントンは大昔に体育の授業でやったきりで素人でしたが、事前に主に伊藤研の方々とともに練習をさせていただいて
多少慣れたところで試合に出られました。準決勝では分子情報チームの美技に翻弄され負けてしまいましたが、ペアの辻くん
が上手だったこともあって三位入賞と健闘することができ、自分としては満足です。またこのような機会があれば是非参加し
たいと思います。(堀)
バドミントン、大学に入ってからはめっきりやる機会がなかったので、大会とても楽しめました。
日頃研究ばかりしていると、たまにジョギングしたりはしま
すけどやっぱりスポーツは難しいですし、あとラボ外の方と話
す機会という意味でもこういう大会は貴重だなと思います。
ちなみにゾウチームに勝てなかったのが悔しいので、来年は
是非勝ちたいです。(辻)
[敗者復活戦優勝 脳神経回路 矢野・佐々木ペア]
本大会では、とことん敗者復活戦優勝という素晴らしい結果
を残すことができました(矢野・佐々木)‼
初戦で緊張してしまい、ペアの佐々木さんには迷惑をかけて
しまいました。。。(矢野)
次回は、本当の優勝を目指して頑張りたいと思います。‼最
後になりましたが、準備をして下さった皆様ありがとうござい
ました(矢野・佐々木)‼
分生研親睦会ボウリング大会担当 発生・再生研究分野 西條(及川)栄子
去る12月5日(金)午後6時30分より、東京ドームボウリングセンターにて、分生研ボウリング大会が開催されました。今
年度は、例年より少な目の21名の方々にご参加いただきました。昨年同様、6レーンで予約しましたので、1レーンに3〜4
人程度となり、なかなか良いテンポで投げられたのではないかと思っています。例年は2時間予約していましたが、今年はレー
ン代の値上がりもあり、90分での開催としました。
成績は、2ゲームでの合計点を元に、男女別の1位から3位、およびブービー賞を決定いたしました。
男子1位 野上 亮佑(発生・再生) 2位 小針 孝夫(生体有機化学)
3位 福田 寛充(生体有機化学)
女子1位 三好明日香(事務部) 2位(同点) 宮田奈保子(発生・再生)
2位(同点) 西條
(及川)
栄子(発生・再生)
ブービー賞 小西 智恵(事務部)
(敬称略)
今年のレーン分けは、なるべく研究分野ごとに固めてみました
がいかがでしたか。個人的には、投球中にいいアドバイスをいた
だいて、スコアを上げることができ、とても楽しかったです。幹
事を務めて頂きましたゲノム情報解析の森(加藤)由起先生、分
子情報の武田さん、事務部の須山さん、および参加者の皆様に感
謝いたします。ありがとうございました。
16
研究室名物行事
病態発生制御研究分野 岡田研究室 羽田政司
みなさまこんにちは。岡田研博士課程2年の羽田
この超お手軽で無料の英会話、岡田研究室の名物
です。今回ついに我が岡田研究室にもこの「名物行
行事として定着しつつあります。(写真は、アルバ
事」の執筆依頼がきました。私達の研究室が分生研
イトの思い出を語るN沢さんと、カレーうどんを頬
にやって来たのは約三年前で、当時は名物行事と呼
張る岡田先生)
べるものは何一つありませんでした。過去の記事で
は外国人研究者との遠足やバケツプリンなどが紹介
(2)論文掲載パーティー
されており、歴史ある研究室のユニークな行事を楽
論文掲載のお祝いはどこの研究室でもやっている
しく拝見する一方、いつかは回ってくるであろうこ
ことかもしれませんが、私達のユニークな部分は前
のコーナーに日々怯えておりました。しかし消極的
回祝ってもらった人が次回の幹事をする所です。こ
になっていても仕方がないので、最近はその時に備
れは研究室最年少の筆者にとって、幹事を回避でき
え、名物行事を作るためにイベントを企画するとい
る大変すばらしい制度です。実際前回は研究室最年
う奇妙なことを繰り返しておりました。その甲斐
長の岡田先生が幹事だったので、日取りから料理の
あって、近頃は私達の研究室にもようやく名物と呼
注文まで全てお任せしてしまいました。残念なこと
べる代物ができつつあります。今回はそんな中から、
に未だ数回しか開催されていないこの会ですが、い
ボスの岡田先生の意向に沿い、比較的まじめな2つ
つかは自分のお祝いを自分で取り仕切りたいと考え
をご紹介します。
ている次第です。
(1)お昼の英会話
今回は2つの行事をご紹介しましたが、その他に
毎週金曜日に開催しているこの行事は、その名の
もご紹介したい行事が多々あります。個人的には、
通り、お昼ご飯を食べながら英語で会話するという
けが人が出そうなほど本気でやる「節分」を語りた
ものです。始まったのは大体1年くらい前で、英語
かったのですが、それはまた次の機会にとっておき
が達者な先生方監修の下、英語が苦手な人(筆者含
ます。
む)のスキル向上のためにやっています。もちろん
参加は強制ではなく、実験や仕事の都合が良い人達
が参加し、時には近隣研究室のゲストを交えながら
ゆる~い感じで進めています。実際の流れとしては、
まず当番の人が考えてきたトピックを簡単に発表し
ます。トピックに制限は無く、例えば好きな音楽や
地元自慢などなんでもオッケーで、過去には入試の
思い出まで話す人もいました。トピックを紹介した
後はみんなで脱線しながら自由な会話に入っていき
ます。1年前と比較すればみんな英語が出てくるよ
うになりましたが、今でも話が激化してくると言葉
が見つからず、つい日本語が飛び出してしまう時が
あります(フランス語が飛び出す人もいますが)。
大体こういう時は岡田先生に助けを求めると、華麗
な言い回しを教えてもらえます。
17
OBの手記 ―人生はなるようになる―
東京農業大学 食品安全健康学科 准教授
岩槻 健
皆様、ご無沙汰しております。ここにOBとして
手記を書かせていただけるとの事、光栄に思います。
私が分生研に在籍していたのはほんの少しの間でし
たが、東京都の職員、米国留学、そして日本の企業
を経験してきた人間として、後輩の皆さんに「こん
な生き方もあるのか」と思っていただければ幸甚で
す。
私は名古屋大学農学部を卒業した後、東大農学
部・獣医生化学研空室で博士課程を修了しました。
大学院在学中に久留米大学の吉村昭彦先生(現慶應
大学)の所で修行した事がきっかけで、分生研・宮
島研にポスドクとして参りました。しかし半年後、
助教授(当時)の原孝彦先生が東京都臨床医学総合
研究所(臨床研)室長になるのに伴い、思いがけず
私も東京都の職員となりました。それまで、事務員
になろうとは一度も考えた事がなく、最初は戸惑い
ましたがこれもいい経験だと楽しむ事にしました。
臨床研時代には、本格的に山登りやダイビングを楽
しみ、生け花を習ったり、立教大学の非常勤講師を
したりと、
研究以外でもかなり充実しておりました。
臨床研には3年間お世話になりましたが、その間
悩みながらも自分の将来進むべき道は何かを考えて
いました。そんな折、とある学会で味細胞に関する
シンポジウムが開かれていたので何気なく参加した
ところ、味細胞研究はほとんど手つかずの未開の分
野である事を知りました。もともと食べる事が好き
であった事に加え、学部生時代の留学経験の中で日
本の食文化における“おふくろの味・伝統の味”の
重要性について考えるようになっていた自分に
とって、「これだ!」と確信しまた。そう思い留
学先に選んだのが、ニューヨークMount Sinai医科
大学の Margolskee教授 (現モネル化学感覚研究所所長)
の研究室です。こうして4年を超える留学生活が始
「味覚の
まりました。留学時に特に心がけたのは、
分野では誰もやっていない仕事」をする事でした。
幸い、日本学術振興会海外特別研究員として渡米し
たので、自由に研究生活をスタートする事ができま
した。私のストラテジーは、ボスとは異なる重要な
仕事をするという事で、ラボの中では私だけが味幹
細胞研究に従事していました。ラボが保有していた
組み換え動物や抗体などのツールは自由に使え、そ
れこそ自分の力試しには最高の環境でした。この時
期に将来の研究の方向性も決まり、味幹細胞を支え
る因子としてWntが候補の一つである事を見いだす
事ができました。留学時に自分の考えた通りに思い
きり研究ができた事で、自分の強みや弱みが分かり
ましたし、自信もつきました。最近は、留学する日
本人が少なくなったと聞きますが、単に語学力や研
究力をつけるだけでなく、国際感覚を身につけると
同時に自分や自国を客観的に見る良いきっかけにも
なると思いますので、若い人は是非チャレンジして
ほしいものです。
さて、留学後は味の素(株)に就職し味覚と内蔵感
覚について研究を進めました。同社は基礎研究にも
力を入れている企業であり、論文執筆や学会活動も
大学の研究者と同じように行う事ができました。ま
た同社では研究だけでなく、マーケティング研修や
マネジメント研修など様々な研修を受けさせていた
だき、企業的な考え方も身につける事ができ、とて
も勉強になりました。
2014年4月より私は東京農業大学に新設された食
品安全健康学科に准教授として赴任いたしました。
機器類が何もないところからのスタートで大変でし
たが、学内で食品成分が消化管に及ぼす影響につい
ての研究グループを立ち上げ、宮島研のような国の
研究拠点を目指しています(研究グループの写真:
左から東大から来られた清水誠先生、著者、京大か
ら来られた高橋信之先生、栄養科学科の服部一夫先
生)。
こうして産官学と渡り歩いた私ですが、苦しい時
も沢山ありました。しかし、常に前向きに考え周囲
の人々と協力しながら困難を乗り越える事ができま
した。また宮島篤先生をはじめ、諸先輩に助けられ
た事も多々ありました。人生は案外なるようになり
ますよ。若い人は希望を持って!
18
ドクターへの道
坂田豊典 ゲノム情報解析分野 博士課程2年
昔、学部生のときに「将来は研究者になりたいと
中で様々な困難に直面する勇者の様に、大きな事件
考えています」と就活中の修士の先輩に言ったら、
に巻き込まれたことがある。修士一年の途中で所属
「お前は勇者か!!」と強烈なツッコミを受けたこ
していた研究室が消滅してしまったのである。なぜ
とがある。研究者になるなんていうのはその先輩に
そんなことになったのかという詳細をここで語ろう
してみれば狂気の沙汰であり、そんな道に進もうと
とすると、不思議な力にかき消されてしまいそうな
している私に驚き、皮肉っての言葉である。なぜ彼
ので控えさせていただこうと思う。こうして研究者
が研究者という職業に対してそんなにネガティブな
になる以前からすでに路頭に迷いかけていた私だっ
イメージを持っていたか考えてみる。例えば、毎日
たが、そんなときに新たな研究の機会を与えて下
コツコツと必ずしもうまくいくとは限らない実験を
さったのが現所属研究室の教授である白髭先生だっ
地道に繰り返さないといけない、常勤の研究職に就
た。先生のご厚意により白髭研に所属することに
くまでいつ路頭に迷うかもわからない、さらに常勤
なった私はここで修士課程を修了し、やはり研究者
の研究職に就くのはなかなか困難である等々といっ
(勇者)の血に従い博士課程に進学したのだった。
たところだろうか。確かに現実的に考えると職業に
白髭研究室では次世代シークエンサーを使用する研
研究者を選ぶというのは賢い選択ではないどころ
究を行っているので、実際に手を動かす実験とバイ
か、
気が狂っていると思われてしまうのかもしれない。
オインフォマティクスによる網羅的なデータ解析の
それでも当時私が研究者になりたいと思ったの
「二刀流」に挑戦している。巷ではどちらか一本に
は、自ら試行錯誤して実験を繰り返すことで、新た
絞った方がいいという声もあるが、私は両方やるこ
な発見を成し遂げるということに大きな魅力を感じ
とで見えてくることがあるのではないかと考えてい
ていたからに他ならない。実のところ私は実験自体
る。
が最初から好きだったわけではなく、学生実習の生
現在博士課程二年の終盤となり、さすがに研究が
物実験などはけっこう退屈に思っていた。既に結果
思うようにいかないときもあり、研究者への道の厳
が明らかであり、手順を追っていくだけの実験には
しさを痛感している。しかし、将来「職業:研究者
なんの楽しみも感じられなかったのだ。しかし、研
=勇者」となり、「研究生活=大冒険」と考えれば、
究室に配属され、研究テーマをもらって自ら考えて
厳しい研究者への道もなんだかワクワクしてくる…
実験をしていくうちに、未知のことを自らの手で明
かもしれない。
らかにしていきたいという本能というか「血」の
ようなものを感じてきた。何か、
20歳過ぎにして初めて自分が本当
の自分になったような気がしたの
だった。たぶん私には研究者の
血、もとい前出の先輩にいわせる
と勇者の血が流れていたというこ
とだと思う。そう考えると、昔か
らドラゴンクエストがけっこう好
きだったりすることにも納得がい
く。そして、その本能の前には上
記に挙げたような研究者に伴うと
予想される困難も大きな問題では
なかった。こうして自分がやりた
いことを悟った私は研究者になり
たいと思うようになったのだった。
そんな本能の赴くままに研究者
を目指した私だったが、冒険の途
19
留学生手記
分子情報研究分野 修士2年 アヴリウシュ・ボロトベク
分子細胞生物学研究所、秋山研究室(分子情報学
分野)で研究をしている、理学系修士二年生のアヴ
リウシュ・ボロトベクです。
今回は、モンゴルと日本の学生生活の違いについ
てお話したいと思います。ある調査によると、日本
の大学生は授業以外に平均週6.5時間勉強している
そうです。この調査では全国の学部二年生から修士
二年生までが対象のため、分生研のみなさんの場合
は違う結果になるだろうとは思います。しかし、授
業外での平均勉強時間はモンゴルの学生の方が長い
と思います。モンゴルの大学では日本よりさらに学
生の自主性が重視されます。レポート課題の量が日
本より多く、その代わり日本のように定期試験期間
はありません。
卒業研究も基本的に放任されるので、
もしかしたら大学にいる時間は日本より短いかもし
れません。
また、教師と学生の関係性も、モンゴルと日本で
大きく異なると思います。モンゴルでは立場や年齢
の違いに基づく上下関係は日本ほど厳しくありませ
ん。そのため、学部一年生から博士三年生、教授ま
で全員がフランクに交流しています。その一方、教
師と学生の飲み会だけは法律で禁じられています。
これは、教師が一部の学生を不当に評価する事を防
ぐためだそうです。なので、日本では教授も加えた
忘年会がある事に最初は驚きました。
学生生活における重要な要素の1つである遊び
も、モンゴルと日本とでは違いがあります。日本で
のように一人暮らしの友人の家で宅飲みするのでは
なく、モンゴルでは飲み会の時は友人たちとクラブ
で踊り明かします。その他にモンゴルの学生は、カ
ラオケやキャンプでゲルに泊まったりして遊んでい
ます。
最後に僕は1つ重大な誤解を解いておかなければ
いけません。僕たちは馬でスーパーに行かないし、
大学にも通わないです。首都・ウランバートルでの
移動手段は基本的にバスか車です。通勤時間は渋滞
がひどく、普段車で10分の道も渋滞中は一時間かか
ります。そしてこのような交通事情ゆえに、一般的
モンゴル人は待ち合わせ時間にこだわってもしょう
がないと考えています。だから僕は、日本の友人た
ちが手帳やカレンダーアプリに予定をメモしている
様子を見て、最初は驚きました。僕はそもそも未来
に何が起こるかわからないと言う前提を元に行動し
ているようです。
私は、研究において自分が想定している結果が実
験で実証されるところに非常に魅力を感じていま
す。逆に、皆さんも同様だと思いますが自分が思う
ような結果が得られない場合や失敗が相次ぐと落ち
込んだりします。このような時は、研究室の先輩や
同期の仲間に相談したり、ジムへ行ったりして、気
分転換しています。
まだ、未熟な一人の留学生ではありますが、皆様
ご指導や応援の方よろしくお願いいたします。
20
海外ウォッチング
ロックフェラー大学 山岸有哉
(元染色体動態)
みなさんこんにちは。2013年4月からアメリカ、
リカの方が多少低いと思います。他のラボの人がよ
ニューヨークにあるロックフェラー大学に留学中の
く来ていますし、筆者も個人のつてでロックフェラー
山岸有哉です。今回、光栄にも「海外ウォッチング」
大学内の他のラボとコラボレーションをしています。
を書かせていただく機会を頂きました。
「海外ウォッ
また学内のメーリングリストには「誰かこの試薬持っ
チング」というなんだかワクワクするけども気楽な
ていない?」というようなメールが毎日回っていま
タイトルなので、気軽に海外生活で感じたことなど
す。でも、その程度です。
を書いていこうと思います。
では留学などする意味はないのか?今の環境で十
ニューヨーク(マンハッタン)は言わずと知れた
分論文出せているし、わざわざそれを捨ててまで留
大都市です。歴史的建造物や自然遺産はあまりない
学するメリットなんて無いのではないか?そんなこ
ですが、文化的活動が好きな人達にとっては最高の
とは無いと思います。アメリカやヨーロッパの一流
街です。リンカーンセンターには、超一流のオペラ、
の研究室には、文字通り世界中から、様々な文化的
バレエ、オーケストラの本拠地が集結しています。
背景を持った人達が集まってきています。また、特
メトロポリタン美術館、MOMAをはじめ、美術館、
にニューヨークは文字通り人種の坩堝で、本当にい
博物館は数え切れないくらいありますし、本場の
ろいろな人がいます。筆者の場合は英語のビハイン
ジャズやブロードウェイショーも楽しめます。また、
ドもあってか、ちょっと理解できないような言動を
野球、テニス、バスケ、アメフト、競馬まで、様々
する人もいますし、ストレスを感じることも多いで
なスポーツの競技場が近隣にあり、スポーツ好きの
す。某大型家具屋に注文したベッドが届かず、10回
人達にも楽しい街です。見るだけじゃなくて走りた
以上も電話のやり取りをしてようやく送ってもらっ
い!という人達にはセントラルパークを走るのはと
たこともありました。研究では酵母の細胞生物学か
ても気持ちよいですし、条件を満たせば、ニューヨー
らマウスの神経科学へ分野を大きく変えたせいも
クマラソンに抽選無しで参加することもできます。
あって、すべてが新しいことばかりで、0からそれ
納豆、豆腐から、さきいか、日本酒まで日本の物も
を英語で習うのは書ききれないほどの苦労もありま
手に入りますし、とても暮らしやすい街です。もち
した。ただ、こういう海外に出ないと経験できない、
ろん良いところばかりではなく、家賃は世界最高レ
ある種の修羅場を乗り越えることで、ちょっとのこ
ベルに高いですし、車の運転は荒く、街はうるさく、
とでは動じない力、物事の本質的な所を考えて見抜
お世辞にも綺麗とは言えないと思います。ただ、モ
く力、自分と全く違う考えを持つ人と建設的に議論
デルみたいなお洒落で綺麗な人が出てくる高級レス
する力、といったものが養われるのではないかと思
トランの目の前に、人でも入っているかのような大
います。それは、筆者が回りの留学経験者の方から
きな黒いゴミ袋が散乱している、そんなカオスな状
何となく感じて、憧れを持っていたものでもありま
況もニューヨークの魅力の1つであると最近は思っ
す。まだまだ足りないところの方が多いですが、海
ています。
外で生活、研究をするというチャンスを活かして、
さて、ニューヨークは生物学研究の中心地の一つ
なるべく多くのことを学んでいきたいと思っていま
でもあり、コロンビア大学、ニューヨーク大学、コー
す。またこう書くと、辛いことばかりのようですが、
ネル大学(医学部)、スローンケタリング癌センター
もちろんそんなことはなく、こちらで出会った日本
をはじめ活発な研究活動が行われている機関がたく
人、外国人の仲間たちと日々楽しく有意義に過ごし
さんあります。筆者が所属するロックフェラー大学
ています!その辺りは写真から感じ取って頂ければ
も、ほぼ生物系だけの大学院大学でありながら、現
と思います。
役で4人のノーベル賞受賞者が研究室を
持っています。ビッグネームや勢いのあ
る若手によるセミナーやシンポジウムも
ほぼ毎週あり、とても刺激的な環境で研
究生活を送っています。
研究活動そのものに関しては日本とア
メリカで本質的な違いはありません。明
らかに違う事と言えば、1mlくらいの
チューブに入った試薬が、50cm四方く
らいの段ボールに入って届いて驚く事が
写真1 ロックフェラー大のポスド 写真2 最 低すぎてカルト的な人気
よくあるくらいです。あと、よく聞く話
ク、大学院生の方々と。右
がある映画 “The Room” の
だと思いますが、研究室間の垣根はアメ
前から3人目が筆者
鑑賞会で研究室のメンバー
と。左から2番目が筆者。
21
減数分裂期核膜上におけるテロメア結合タン
パク質の再編成
先導的研究教育プログラム(染色体動態研究分野) 助教 澁谷大輝
捉し、shelterin complexの脱局在や続くテロメア-核膜融合構造の
形成など、大規模なテロメア構造の変革を誘導することが明らか
になってきた(図2-3)。今後、TERB1複合体のin vitro精製を
行い、テロメアDNAとの結合アッセイを行うなど、その分子活性
の詳細を明らかにしていきたい。
脊椎動物の直鎖状DNA末端/テロメ
ア はTTAGGGを 一 単 位 と す る 6 ヌ ク
レオチドのリピート配列から構成され
る。テロメアDNAにはShelterinと呼ば
れるタンパク質複合体が結合し、DNA
末端を保護することで細胞の癌化や早
期老化を防ぐ働きをする。また、近年、
減数分裂期においてテロメアが進化的
に保存された重要な機能を持つことが
分 か っ て き た(Hiraoka Y, et al. Dev
Cell. 2009)。我々は哺乳動物であるマウスにおいて、減数分裂期
テロメアが、核膜上を敏速に運動することで、核内におけるダイ
ナミックな染色体運動を牽引する機能を持つことを明らかにし
た(Morimoto A, et al. J. Cell Biol. 2012)。この時、テロメアは
核膜表層に形成されたケーブル状の微小管構造と核膜を隔てて連
結されており、微小管モーターであるダイニンに依存した駆動力
を核内の染色体へと伝達している(Shibuya H, et al. PLoS Genet.
図1:‌減数分裂期に見られるテロメアを介した
染色体運動
2014)。この運動は相同染色体のペアが互いに近接し、対合し、二
価染色体を形成する過程に必須な制御である(図1)。
この減数分裂に特化した機能を獲得するために、減数分裂期テ
ロメアには、従来のShelterinとは異なるTERB1タンパク質から
成る複合体が結合することが分かってきた(Shibuya H, et al. Nat
Cell Biol. 2014; Shibuya H, et al. Cell Cycle. 2014)。さらに最新の
研究結果から、TERB1は、その相互作用因子として新たに同定さ
れた減数分裂期特異的な核膜タンパク質複合体と結合し、核膜上
に隔離され、テロメアが核膜近傍にアクセスするとそのDNAを捕
図2:‌マ
ウスの減数分裂期テロメアの 図3:‌電 子顕微鏡で
免疫染色
見たテロメア-‌
核膜融合構造
研究対象のタンパク質を選択的に化学修飾す
る手法の開発
パク質のみを選択的かつ効率的に蛍光修飾することに成功しまし
た。O-NBDユニットは無蛍光性ですが、対象タンパク質のリジン
生体有機化学分野 助教 山口卓男
残基と反応することで蛍光性のアミノNBD(N-NBD)ユニットへ
と変化します。そのため、本手法では対象タンパク質を蛍光turn-
多数の分子が混在するサンプル(生
ON型で修飾することができます。この特徴は、検出やイメージ
ングにおいて大変有用です。また、今回ご紹介した手法は標的タ
きた細胞や細胞溶解物)内で、研究対
象のタンパク質のみを選択的に化学
ンパク質が明らかになっていない生物活性化合物の標的探索にも
利用可能です。本手法が、皆様のご研究の一助になることを願っ
修 飾( 例 え ば ビ オ チ ン 修 飾 や 蛍 光 修
飾)することができれば、精製や機能
ております。
最後になりますが、現在ここで紹介したタンパク質化学修飾の
解析、イメージングなどが容易に行え
るようになります。本稿では、私たち
が最近開発した「対象タンパク質を選
択的に蛍光修飾する手法(O-NBD法)」
について紹介したいと思います(図、
Yamaguchi et al. Chem. Sci. 2014, 5, 1021)。
細胞内には数多くの分子が存在し、タンパク質だけでもその種類
は数万種類と言われています。そのため、細胞内で研究対象のタン
パク質だけを選択的に化学修飾することは決して容易ではありませ
ん。ところが、当該タンパク質に対する低分子リガンドに“適度な
反応性”を持った構造を備え付けることで、所望のタンパク質のみ
を選択的に化学修飾することが近年可能になってきています。
私たちは、アルコキシNBD(O-NBD)ユニットが“適度な反
応性”を有すること見出し、細胞溶解物共存下において対象タン
戦略を蛍光修飾だけでなく翻訳後修飾のような生物学的に意味の
ある化学修飾へと発展させるべく研究を進めています。ご興味が
ございましたら、是非お声かけ下さい。
図.‌対象タンパク
質の選択的な
蛍光修飾法
(O -NBD法)
22
神経膠芽腫発生における5hmCの必須な
役割
高井弘基、秋山徹(分子情報研究分野)
Cell Reports , 9, 48-60(2014)
methylosomeを5hmCの存在する遺伝子座にリクルートする
ことで、EGFR を始めとした神経膠芽腫の造腫瘍性を担う遺
伝子群の転写を正に制御し、神経膠芽腫の発症に重要な役割
を果たすことが示された。
本成果により、TET1あるいはmethylosomeが分子標的薬
の有望な標的となることが示唆された。TET1のノックアウ
トマウスが正常に生育することから、TET1に対する分子標
的薬は副作用の少ない抗がん剤となることが期待される。
5-hydroxymethylcytosine(5hmC)は、5-methylcytosine
(5mC)がTET familyによって酸化されることにより生じる
DNA塩基である。5hmCはシトシンの脱メチル化プロセスに
おける中間体とされるほか、特異的な結合タンパク質を介し
て転写制御にも関与すると考えられている。我々は東京大学
医学部附属病院の脳神経外科より、神経膠芽腫「グリオブラ
ストーマ」の検体の提供を受け、そのゲノムを解析するこ
とで、神経膠芽腫においてTET1が高発現しており、全シト
シンの約1%に相当する多量の5hmCが存在することを見出
した。TET1をノックダウンした膠芽腫細胞においては、増
殖・幹細胞性が抑制され、造腫瘍性が失われていた。次世代
シーケンス解析により、EGFR 、AKT3 、CDK6 、CCND2 や
BRAF などの、神経膠芽腫の発症に重要な因子の遺伝子座に
5hmCが存在することが判明した。また我々は、神経膠芽腫
細胞の核抽出物より5hmC結合タンパク質を精製し、5hmC
を直接認識する新規タンパク質CHTOPを同定した。さらに
CHTOPの複合体を精製することで、CHTOPがヒストンの
アルギニンメチル化を担う複合体methylosomeと強く結合
していることを見出した。加えて、CHTOPやmethylosome
が5hmCをその遺伝子座にもつ遺伝子の発現に必要であり、
CHTOPをノックダウンした膠芽腫細胞は造腫瘍性を失って
いることが明らかとなった。以上の結果から、CHTOPが
IL-15によるLy6ChighNK細胞の再活性化
尾見歩惟、榎本豊、木庭乾、宮田奈保子、宮島篤(発生 • 再
生研究分野)
European Journal of Immunology , 44: 2638-2647(2014)
Natural killer 細胞(NK細胞)は、抗腫瘍・抗ウイルス反
応を増強するサイトカインIFN-γを産生すると共に、腫瘍細胞
やウイルス感染細胞に対して傷害性を示す主要な免疫細胞で
ある。NK細胞は骨髄内で分化・成熟し、単一な集団として末
梢組織で機能していると考えられてきた。しかし近年、NK細
胞にはいくつかのサブセットが存在することが判明し、想定さ
れていた以上に複雑な分化過程や生理学的機能を持つと考え
られるようになった。本研究では、マウス成熟NK細胞集団が
Ly6Cの発現量により、Ly6Chigh NK細胞とLy6Clow NK細胞に分
かれることを見いだし、それら細胞集団について解析した。
今回我々は、1)Ly6Chigh NK細胞はLy6Clow NK細胞から生
じる、2)Ly6Chigh NK細胞はLy6Clow NK細胞よりもIFN-γや、
細胞傷害性顆粒granzyme Bの産生量が低い、3)Ly6Chigh NK
細胞はLy6Clow NK細胞よりも増殖能が低いことを見いだした。
以上により、Ly6Chigh NK細胞は休眠状態にある成熟NK細胞で
あると考えられる。
一般的に分化した細胞はその状態が保たれるが、興味深いこ
とにLy6Chigh NK細胞をIL-15存在下で培養すると、Ly6Clow NK
細胞へと変化し、IFN-γおよびgranzyme Bの産生量がLy6Clow
NK細胞と同程度にまで上昇した。さらに、IL-15を強制発現さ
せたマウスや、ウイルス感染を模倣したマウス生体内において
もLy6Chigh NK細胞はLy6Clow NK細胞へと変化した。以上の結
果は、休眠状態のLy6Chigh NK細胞はウイルス感染時に活性の
高いNK細胞へ変化する可塑性を持った細胞であることを示唆
している。
23
閉経後乳がん治療薬を志向したERアンタゴ
ニスト活性を併せ持つ含ケイ素STS阻害剤
の創製
ステロイドスルファターゼ(STS)の阻害剤を創製した。し
梶田大資、中村雅陽、松本洋太郎、槇島誠、橋本祐一(生体
適化を施すことで、STS阻害活性がより強く、その代謝物が
有機化学研究分野)
ERαの機能を阻害する活性(アンタゴニスト活性)を示す非
ステロイド性化合物の創製に成功した。つまり、代謝前後で
閉経後乳がんに対して二重の薬理作用を発揮することが示唆
されるポリファーマコロジー活性化合物の創製に成功したこ
とになる。
Bioorg. Med. Chem ., 22, 2244-2252(2014)
低分子医薬を志向し、元素の特性を活かした生理活性物質
の創製は古典的手法であり、従来用いられてきたヘテロ原子
としては、酸素、窒素、ホウ素、リン、硫黄、ハロゲンなど
が大部分を占めている。しかし、炭素同族元素であるケ
イ素を導入した生理活性物質の創製例は決して多くな
く、歴史も浅く、その生物学的特性はよく分かっていな
い。一方、近年多重薬理(ポリファーマコロジー)とい
う戦略が注目されている。この概念は、単一の疾患特異
的な標的遺伝子や標的タンパク質に留まらず、疾患原因
となる複数の因子群を同時に標的とするというものであ
る。
今回、本研究者らのマルチ創薬テンプレート手法をポ
リファーマコロジー医薬に応用展開し、ケイ素の特徴を
生かした核内受容体リガンドの活性拡張研究および構造
展開を行ったので報告する。本研究者らは、これまで得
ている非ステロイド性ジフェニルペンタン骨格を有する
エストロゲン受容体(ER)リガンドを構造展開するこ
とにより、エストロゲンの生合成に関与する酵素である
microRNAによる翻訳開始因子複合体の形
成阻害
深谷雄志・岩川弘宙・泊幸秀(RNA機能研究分野)
Molecular Cell, 56, 67-78(2014)
microRNA(miRNA)と呼ばれる小分子RNAは、標的とす
るmRNAの翻訳を抑制することによって、発生や分化といった
高次生命現象を制御しています。しかしながら、miRNAによ
る翻訳抑制機構の詳細は明らかになっていません。
翻訳を開始するためには、タンパク質の設計図
であるmRNAに、リボソームと呼ばれるタンパ
ク質合成装置が呼び込まれる必要があります。そ
して、このリボソームの呼び込みには、翻訳開始
因子と呼ばれる一連のタンパク質群があらかじ
めmRNA上で複合体を形成する必要があります。
これまでの研究から、Argonauteと呼ばれるタン
パク質に結合したmiRNAはリボソームの呼び込
み過程を阻害することによって、標的遺伝子の翻
訳を抑制していることがわかっていましたが、そ
の作用機序は依然として不明のままでした。
今回、私達は、mRNA上に結合している翻訳
開始因子複合体を検出できる新しい実験手法を開
発し、miRNAがその形成にどのような影響を与
えるのかについて詳細な解析を行いました。その
結果、miRNAはeIF4Aと呼ばれる特定の翻訳開
かし、創製したSTS阻害剤は代謝を受けると下流にあるERα
に対してアゴニスト活性を示し、閉経後乳がんを増悪させる
ことが問題となった。そこで、ケイ素の導入および構造最
始因子を標的mRNA上から解離させることによって、リボ
ソームの呼び込みを阻害していることを明らかにしました
(添付図)
。本研究は、モデル生物であるショウジョウバエを
用いて行われましたが、名古屋市立大学薬学研究科の藤原
俊伸教授らによる解析により、ヒトにおいても同様の結果が
得られました(同号のMolecular Cell誌に掲載)
。このことか
ら、miRNAによる翻訳開始因子複合体の形成阻害は、生物
種間を越えて保存された普遍的なしくみであることが示され
ました。
24
◦お 店 探 訪◦
スナック 喫茶 ダンディ根津駅近く
発生・再生研究分野 西條栄子
今回ご紹介するのは、縁起の良い喫茶店「ダンディ」です。
なぜ縁起が良いかというと、科研費を申請して→根津神社にお
参りして→ダンディでランチを食べると→科研費が通るという
ジンクスがあるからです。本当です。
こぢんまりとした店内には、クラッシックもしくはムード歌
謡が流れています。ランチメニューは4種類ほど用意されてお
り、その日によって違いますが、豚の生姜焼きや、タラのフラ
イなどがあります。カウンターの中で、マスターが一生懸命調
理してくれたランチは、小鉢やお味噌汁も付いて、家庭的なお
味でとてもおいしいです。喫茶店なのに、何故かマグロ丼等の
海鮮系も出ています。ランチにプラス150円で付けられるコー
ヒーは、上等なカップに入れられて運ばれてきて、香りも味も
良く、「ここは定食屋ではなく喫茶店なのだ」と思い出させて
くれます。もちろん、トーストやナポリタン、オムライスなど
の喫茶店メニューも用意されています。根津神社で願掛けをし
T E L:03-3823-3773
た後は、だまされたと思ってぜひ「ダンディ」に行ってみてく
住 所:東京都文京区根津2-29-3
ださい。ひょっとしたら願いが叶うかも!?
営業時間:8:00~16:30(ランチは14:00まで)
教職員の異動等について
以下のとおり異動等がありましたのでお知らせします。
○平成26年6月30日付
〈退 職〉ホナー・ギエ・クレア 助教(先端的研究教育プログラム)
石黒 伸茂 助教(先端的研究教育プログラム)
○平成26年7月1日付
〈採 用〉椛島 佳樹 助教(先端的研究教育プログラム)
編 集 後 記
いと思います。
(発生・再生研究分野 榎本 豊)
今号より分生研ニュースの編集に携わらせて頂くことになりまし
編集委員長を長らく務めさせて頂いております。まずは本号が無
た。お忙しい中執筆を快諾して頂いた先生方の優しさに触れ、分生
事に発行され、一安心しております。締め切りは年末の忙しい時期
研の変わらない温かさに嬉しくなりました。ご協力に感謝申し上げ
でしたが、執筆を快く引き受けて下さりました先生方や、本号発行
ます。現役&OBの皆さんの最前線をお伝えし、充実した紙面作り
に携わって下さいました編集委員の方々に感謝申し上げます。より
に精一杯の協力をさせて頂きたいと思いますので、宜しくお願い申
良い紙面作成のために、今後とも努力して参りたいと考えておりま
し上げます。
(生体有機化学研究分野 谷内出友美)
すので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(高難度蛋白質生産研究分野 小川治夫)
編集委員としての参加は、今号で早3回目となりました。今回は
編集委員としてだけでなく、研究最前線の執筆や、お店探訪執筆者
に同行してお店の取材にも行ってきました。そのお店はラッキース
ポットと勝手に思っているので、願い事のある方は是非!取材を許
可していただいたマスターにも感謝です。最後に、年末のお忙しい
中、原稿執筆にご協力いただいた先生方には改めてお礼申し上げた
分生研ニュース第53号
2015年1月号
発行 東京大学分子細胞生物学研究所
編集 分生研ニュース編集委員会(小川治夫、川崎善博、榎本豊、
森由起、谷内出友美、渡邉清美)
お問い合わせ先 編集委員長 小川治夫
電話 03-5841-7813
電子メール [email protected]
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