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自動車関連製品の最近の技術成果
三菱電線工業時報 第 102 号 MITSUBISHI CABLE INDUSTRIES REVIEW 2005 年 10 月 自動車関連製品の最近の技術成果 Mitsubishi Cable Industries’ Recent Automotive Product Technical Developments 1.電装部品・コネクタ関係 超小型高信頼型開放コネクタ ケースランスレス(コネクタハウジングに端子係 止用可動アームを設けない)構造の 0 .64 mm サイズ (タブ幅が 0 .64 mm × 0 .64 mm で,別称:025,以 下同様)開放コネクタの販売をグローバルに展開中。 本コネクタは作業性,接続信頼性および成形性に優 れており,今後の拡販が期待できる製品です。 コネクタ位置保持確認具付コネクタ(CPA タイプ) メスコネクタとオスコネクタ(ユニットを含む) が完全に嵌合していることを確認し,確実なコネク タ結合を実現させるための機構を備えたコネクタで あり,今後の拡販が期待できる製品です。 多極低嵌合力防水コネクタ 図 1 0 .64 mm サイズ開放コネクタ LIF(Low Insertion Force:低嵌合力)機構として 小型軽量型防水コネクタ レバー式を採用しています。コネクタ嵌合時のレバ 樹脂とゴムの一体成形技術により,既存コネクタ ー回転方向を嵌合方向と同方向とすることにより作 に対し約 30%の小型・軽量化が可能な 0 .64 mm サ 業性を向上させ,電線やワイヤーシールを保護する イズ(別称:025)防水型コネクタを開発しました。 リアプロテクタをオプションとして装着可能として 本コネクタは,シャッタを仮封止した状態において おり,高圧洗浄対策を施したコネクタ構造です。 ホルダの誤装着防止と端子挿入孔への異物侵入を防 止できる高信頼型構造です。 図 4 多極低嵌合力防水コネクタ 2.電子制御部品関係 ドライビングサポートシステム ① パーキングサポートシステム 後退時に後輪周辺の視界を確保するため,ドアミラ 図 2 0 .64 mm サイズ防水コネクタ ーを自動的に下傾動する機能や,カーアラーム・ドア オートエアコン用外気温センサーコネクタ ミラー自動格納機能を統合した駐車をサポートするシ 0 .64 mm サイズ(別称:025)防水型コネクタの 採用により既存コネクタの体積比約 60%へのサイズ ダウンが可能となり,今後が期待される製品です。 −5− ステムです。本製品は日産自動車 殿の純正品です。 技術成果 図 3 外気温センサーコネクタ 三菱電線工業時報 第 102 号 MITSUBISHI CABLE INDUSTRIES REVIEW 2005 年 10 月 薄暮時にヘッドランプを点灯させて視認性向上を図 っている他,ランプの点灯状態を表示して安心感を高 めました。本製品は日産自動車 殿の純正品です。 図 8 オートライトシステム動作状況 図 5 カーアラーム用センサー ② イージーパーキング & レーンチェンジアシスト ウインカーを点滅させるとドアミラーを自動的に パッセンジャーサポートシステム ① セキュリティーサポートシステム 外傾動させるシステムです。車線変更や右左折時に キーレスエントリーでヘッドランプをタイマー点 死角にいる併走車や歩行者などを映し出し,安全確 灯し,乗降時の歩行路を照射します。暗い駐車場で 認をサポートします。ホンダ技研工業 殿の新ステ の乗降や,降雪地区での乗降をサポートします。ま ップワゴン用として,ホンダアクセス DOOV 事業 たカーアラームの機能も内蔵しているため,駐車中 部殿に納入しています。 のセキュリティーも万全です。本製品は日産自動車 (通常時) 殿の純正品です。 (車線変更時) ② サイドステップランプコントロールユニット サイドステップ付近に設けられたランプの点灯, 消灯を制御するコントロールユニットです。キーレ スエントリーで解錠したときや,ドアを開けた時に 足元を明るくすることによって乗降性の向上を図り ます。本製品は三菱自動車工業 殿の純正品です。 ③ トラック用オートボディーロック 図 6 ドアミラーの変化状況 リモコンを身に付けているだけでトラック荷室扉 ③ コーナーセンサシステム を自動的にロックまたはアンロックします。施解錠 超音波センサーを用いた障害物検知システムで, 狭い路地の走行時や駐車時に周囲の障害物をブザー の手間を省くとともに積荷のセキュリティが格段に アップします。 とインジケータで知らせるシステムです。本製品は 日産自動車 殿の純正品です。 図 9 ボディーロック機構 ④ テンキーコントロールシステム 図 7 障害物検知インジケータ 高いセキュリティが要求される現金輸送車など ④ オートライトシステム のトラック用システムです。運転席のテンキーから 周辺の明るさに対して,スモールランプおよびヘッ ドランプを自動的に点灯,消灯させるシステムです。 −6− ID コードを入力することで,荷台扉のロック/ア ンロックや,エンジン始動を制御します。 三菱電線工業時報 第 102 号 MITSUBISHI CABLE INDUSTRIES REVIEW 2005 年 10 月 3.オートバイ用グリップヒーター オートバイのハンドルグリップ部にヒーター源を内蔵 させ,電気を流すことでヒーターを発熱させる機能です。 冬季や雨の際のドライビング中の指先のしびれの防止, また,グローブが濡れた際の乾燥を促進することにより 安全性向上を目的とします。 図 12 ピストンリングとそれを使用したカーエアコンコンプレッサ オートマチックトランスミッション(AT)用シー ルリング AT 内部のクラッチを作動させるための AT オイル を供給するオイルポンプ部用回転シールであり,デ ® ュポン社製ベスペル 材料を用い,新製法であるマイ クロカット製法で合い口を形成しています。 本シールは従来の鋳鉄製や PTFE 製に比べ,シー ル性,耐久性などに優れています。 図 10 二輪車用グリップヒーターと内部構造 4.機器部品・シール関係 低温用フッ素ゴムシール材料の開発 フルタイム 4 WD などの幅広い車種に搭載されて いるビスカスカップリング(差動制限装置)には, 当社製のフッ素ゴム製 Xリングが使われています。 図 13 シールリングとそれを使用したオートマチックトランスミッション 近年,車両の使用環境が一層厳しくなってきており, EGR バルブ用メタルシール 耐熱性の向上とともに,低温環境でのシール性も一 EGR(Exhaust Gas Recirculation:排出ガス再循 層向上させる要求が高まってきています。 当 社 の 開 発 し た 低 温 性 フ ッ 素 ゴ ム「 配 合 番 号 環装置)は,排気ガスの NOx(窒素酸化物)などの 1379 -80」は,従来のXリング材料である同 1329 -80 排出量を低減させるシステムで,エンジンから出た と同等の耐熱性を維持しながら,耐久性と低温環境 排気ガスの一部を再びエンジンに戻す際,バルブで 下でのシール性能を一段と向上させた材料で,市場 その量を制御します。 本シールは制御バルブ部に用いられており,独特 でも優れた機能を発揮しています。 の形状によって得られる大きな弾性復元量を有する ことで,高温(温度差)・圧力変動などの悪条件にお いても安定したシール性能を発揮します 。 図 11 X リング カーエアコンコンプレッサ用ピストンリング カーエアコンの往復式コンプレッサに使用されて 図 14 EGR バルブ用メタルシール いるピストン用シールとして,優れたシール性と耐 久性を備えた充填材入り四フッ化エチレン樹脂材料 5.電波吸収体 を開発しました。さらに,切削用素材自動成形機の 電波吸収体は,ETC(自動料金収受システム)におけ 導入と切削方法の改良により,低コストで高機能な る電波環境改善に寄与しております。新たな開発品とし ピストンリングを国内数社に納入しています。 て電波吸収体パネル,電波音波吸収体パネル,電波吸収 −7− 三菱電線工業時報 第 102 号 MITSUBISHI CABLE INDUSTRIES REVIEW 2005 年 10 月 シート,透明電波吸収体パネルなどが使用されています。 図 17 シリンダヘッド,ブロックおよびガスケットの三次元有限要素モ 図 15 透明電波吸収体パネル取付状況 (高速道路出口と一般道路合流部) デル 6.自動車電線関係 ハロゲンフリー電線,細径電線 環境負荷軽減を目的としたハロゲン,重金属など の有害物質を含まないハロゲンフリー電線,また省 スペース,軽量化を目指した細径電線を開発しまし た。いずれも将来の標準となる国際規格 ISO6722 規 格に準拠した自動車電線です。 AVSS 0.3 mm2 細径 0.22 mm2 細径 0.13 mm2 図 18 ヒート・ノイズインシュレーターの振動解析例 細径 0.08 mm2 8.欧州 ELV ,RoHS 対応 シャープペンシル芯 (外径: 0.5 mm) 環境を配慮した製品の開発や環境負荷物質を含有し ない商品開発を進めていく中で,環境負荷物質に対する 図 16 ハロゲンフリー電線 ( 比較のため、最下段に 0 .5 mm のシャープ 管理強化策として,エネルギー分散型の蛍光X線分析装 ペンシルの芯を配置 ) 置(ED-XRF)やプラズマ発光分光分析装置(ICP)を 用いた評価方法を確立しました。なお,ELV は End of アルミ電線 バッテリーケーブルなどの太径自動車電線の軽量 Life Vehicles の略で,使用済み自動車から発生する有害 化を目的として従来の銅電線よりも軽量なアルミ電 物質規制指令,RoHS は Restriction of the use of certain 線を開発しました。さらに当社の接続技術を用いて Hazardous Substances の略で,電気・電子機器中の特定 信頼性の高いハーネスシステムの構築に成功しまし 有害物質の使用制限指令を意味します。 た。 7.CAE 技術 CAE 技術(構造解析,振動解析,熱流体解析,プラス チック射出成形解析)を最大限活用して,製品の設計や 製造条件の最適化を行い,開発期間短縮や性能向上に絶 大な効果をあげています。 −8−