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RNA 結合タンパク質 Fox-1 による 選択的スプライシング制御機構の研究

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RNA 結合タンパク質 Fox-1 による 選択的スプライシング制御機構の研究
博士論文番号:0181013
RNA 結合タンパク質 Fox-1 による
選択的スプライシング制御機構の研究
神 唯
奈良先端科学技術大学院大学
バイオサイエンス研究科 分子発生生物学講座
(影山 龍一郎 教授)
平成16年1月8日提出
-1-
目次
要旨 4
第一章、序論 6
はじめに
1)選択的スプイライシングの重要性
2)選択的スプライシングの種類
3)基本スプライシング機構
4)スプライシングに影響を与える他のシス配列
5)スプライシングに影響を与えるトランス因子
6)スプライシングと他の制御機構との共役
7)選択的スプライシング制御
8)組織特異的スプライシング制御因子
9)本研究の目的
図説 28
第二章、材料と方法 52
1)ゼブラフィッシュの飼育
2)試薬類
3)プラスミド
4)実験方法
第三章、結果 65
1)ゼブラフィッシュ fox-1 遺伝子の単離と発現解析
2)マウス fox-1 遺伝子の単離と発現解析
3)Fox-1 タンパク質の機能解析
4)fox-1 遺伝子の機能解析
図説 77
-2-
第四章、考察 106
1)選択的スプライシング制御因子としての機能
2)fox-1 の生物学的な機能
3)線虫 fox-1 における機能
4)今後の展望
図説 117
謝辞 122
引用文献 123
-3-
バイオサイエンス研究科 博士論文要旨
所属
(主指導教
官)
氏名
題目
分子発生生物学講座 影山 龍一郎 教授
神 唯
提出
平成 16 年 1 月 8 日
RNA 結合タンパク質 Fox-1 による
選択的スプライシング制御機構の研究
要旨
選択的スプライシングは、エキソンを使い分けることで一つの遺伝子から複数の遺伝子
産物(タンパク質)を作り出すことのできる RNA レベルの遺伝子発現制御機構の一つで
ある。組織特異的、あるいは発生分化段階特異的なスプライシングバリアントの存在が多
くの遺伝子で報告されており、選択的スプライシングは生体において重要な役割を果たし
ていると考えられている。しかしながら、選択的スプライシング制御の分子機構は未だ明
らかにされていない事柄が多く、且つ脊椎動物において、特異的な発現を示す選択的スプ
ライシング制御因子は数例しか報告されていない。私は脊椎動物における選択的スプライ
シング制御機構の新たなモデルを打ち立てるべく新規制御因子の同定を試み、RRM 型の
RNA 結合タンパク質をコードするゼブラフィッシュ及びマウス fox-1 遺伝子を同定した。
fox-1 は線虫 fox-1 (feminizing locus on X)と相同性を持つ遺伝子である。線虫 fox-1 は遺伝学
的な解析により性決定過程に関わる xol-1 (XO lethal)を抑制していることがわかっている。
その抑制機構は転写後調節(性特異的スプライシング、あるいは RNA の安定性の調節)
と考えられている。
ゼブラフィッシュおよびマウス fox-1 遺伝子を同定・単離し、発現解析を行ったところ、
fox-1 mRNA が筋肉系列組織(マウス fox-1 は心臓にも発現)において特異的に発現するこ
と、Fox-1 タンパク質が核に局在していることを明らかにした。さらに RNA 結合タンパク
質である Fox-1 の標的 RNA 配列が GCAUG であることを、in vitro RNA 選別法とゲル移動
度シフト法、UV クロスリンク法により決定した。以上の結果と線虫 fox-1 の知見を総合す
ることで、Fox-1 が核内において配列 GCAUG を介して筋肉型(及び神経型)スプライシ
ングを制御しているのではないかと仮説を立てた。そして、Fox-1 がヒト・マウスのミト
コンドリア ATP 合成酵素γサブユニット (F1γ)遺伝子、及びラットα-アクチニン遺伝子の筋
肉系列特異的なスプライシングを誘導することを突き止めた。
F1γ遺伝子は筋肉系列組織においてのみエキソン 9 がスキップした mRNA が作り出され
る。またエキソン 9 の上流イントロンには配列 GCAUG が複数存在している。ほ乳類培養
細胞を用いた in vivo スプライシング解析により、Fox-1 は自身の RNA 結合能、C 末端領
-4-
領域と、F1γ中の配列 GCAUG を介して筋肉型スプライシングを促進していることを明ら
かにした。
α-アクチニン遺伝子は上流 NM (non-muscle)エキソンと下流 SM (smooth-muscle)エキソン
を排他的に使用する制御を受けている。通常は SM エキソンが PTB (Polypyrimidine tract
binding protein)により抑制され、結果 NM エキソンが使用されることで筋肉組織において SM
エキソンが使用される。この NM エキソン近傍に GCAUG が存在している。Fox-1 がα-ア
クチニンの選択的スプライシングを制御するとき、自身の C 末端領域を介して NM エキソ
ンの使用を抑制し、N 末端領域で SM エキソンの使用を促進することで、α-アクチニンの
筋肉型スプライシングを促進していることを明らかにした。また、Fox-1 は PTB によるス
プライシング抑制を競合阻害的に解除していることを明らかにした。
配列 GCAUG は今までに、いくつかの遺伝子の選択的スプライシングに関わるシス配列
として同定されていた。その中の一つであるフィブロネクチン遺伝子の IIIb エキソンの使
用を Fox-1 が促進しうる事を見いだした。フィブロネクチン IIIb エキソンの使用促進には
下流イントロンに存在する複数の配列 UGCAUG が必須であることが知られていた。
本研究により fox-1 が配列 GCUAG を介して選択的スプライシングを制御する因子であ
ると結論づけた。Fox-1 という制御因子は、同じ配列 GCAUG を指標にスプライシングに
対して抑制的にも促進的にも働く。今後、その分子機構の違いを明らかにすることは、膨
大な数の遺伝子における選択的スプライシング制御機構の解明に繋がると確信している。
-5-
第一章、序論
はじめに
生命は神秘に満ちている。
たった一つの受精卵から、より複雑な様式をとる成体への変遷を見れば誰もが思
いを馳せずにはいられない考えである。そして多くの生物学を愛する者達を長らく
魅了してきた。
そして今、生物学は新たな段階へと進みつつある。ゲノムプロジェクトにより、
現在までに多くの生物のゲノム情報の解読が行われている。まず原核生物をはじめ
とした単細 胞生物、そしてゲ ノムサイズの比較的小さな多細胞生物である線虫
(Caenorhabditis elegans)、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のゲノム配列が
明らかになった。そして、これら多細胞生物のゲノム中に存在する遺伝子数が約 2—3
万と見積もられた。この時点で、生物としてより複雑と考えられていたヒトのゲノ
ムにある遺伝子数はおそらく 10-15 万ぐらいだろうと想定されていた(Jeanteur et al.,
2003)。
ヒトゲノムの塩基配列がほぼ明らかになった今、ゲノム中に存在する遺伝子数は
当初予想されていた 10 万という数字を大きく下回り、3∼4 万程度と見積もられてい
る(Lander et al., 2001)。では、このパラドックスをどう説明するのか? ゲノムプ
ロジェクトに先だって行われてきた EST(Expression Sequence Tag)プロジェクトとの
比較により、ヒトゲノム中にある遺伝子の4∼6割の遺伝子、線虫においては 2 割
の遺伝子が選択的スプライシング制御を受けているということが明らかになってき
た(Modrek and Lee, 2002)。
選択的スプライシングとは転写後制御の一つであり、エキソンを使い分けること
で一つの遺伝子から複数の遺伝子産物を生み出す機構である。この機構は、限られ
たゲノム・遺伝子数からより多くの情報を生み出すことの可能な制御であり、ヒト
の複雑性は遺伝子数の増大を主として成り立っているのではなく、選択的スプライ
シングを始めとした遺伝子発現の複雑さを土台にして成り立っていると言える。し
かし選択的スプライシングについては未解明な部分が多い。さらにこの領域の研究
が進むことで、スプライシングのみならず「遺伝子発現制御の全容解明」という大
きな問題を解決する糸口にもなるであろう。
私はこの状況を鑑み新たな選択的スプライシング制御因子の同定、機能解析を進
めてきた。この章においては、選択的スプライシングの重要性について幾つか例を
交えて述べた後、基本的なスプライシングについて述べ、その中で浮かび上がって
くる問題点および疑問について概観する。
-6-
1)選択的スプイライシングの重要性
この節においては、遺伝子発現における選択的スプライシングの生物学的な意義
についてショウジョウバエの体細胞性決定遺伝子カスケードを例に述べ、そして選
択的スプライシング研究の難しさについて言及する。
a) 数 と し て の 広 が り
選択的スプライシングとはあるエキソンを、時期特異的・組織特異的に使い
分けることで、一つの遺伝子から複数の遺伝子産物を作り出すことのできる機
構であり、前述したように、限られた遺伝子数からより広がりのある遺伝子発
現を担う重要な機構である。最も顕著な例として、ショウジョウバエの Dscam
(Down Syndrome Cell Adhesion Molecule)遺伝子が挙げられる。Dscam には 95 個
のエキソンが四つのエキソンクラスターとして存在している(図 1-1)。計算上、
38,015 種類の mRNA を産生することができ、軸索誘導(axon guidance) 受容体と
して働く Dscam タンパク質の機能を広げることで、ショウジョウバエの神経ネ
ッ ト ワ ー ク 形 成 に 重 要 な 働 き を し て い る こ と が 知 ら れ て い る (Celotto and
Graveley, 2001)。他には K+チャネルが知られおり、この遺伝子は 576 種類のス
プライシングバリアントが存在し、トリの内耳の約一万の感覚受容細胞に発現
する(Black et al., 1998)。これにより幾種類もの音を聞き分けることができると考
えられている。またニューロンの分化や、アポトーシスによる細胞死、性決定
にも選択的スプライシングがある局面において働いていることが明らかとなっ
ている(図 1-2, 1-24)(Grabowski, 1998; Ladd and Cooper, 2002; Lalli et al., 2003)。
さらにはヒトの遺伝病の約 15%が選択的スプライシング異常によると言われて
いる(Krawczak et al., 1992)。
性決 定 —
b) 生 物 学 的 な 意 義 —性
選択的スプイライシングは発生・分化に関わる事が知られている。最も有名
な例としては、ショウジョウバエの体細胞性決定カスケードが挙げられる。シ
ョウジョウバエ性決定は、性染色体 X と常染色体 A の比、X/A 比から始まる一
連の遺伝子発現制御により成り立っている(図 1-2A, B)。X/A 比に関わる、X
染色体の候補遺伝子としては sisterless A, B, C と runt が、常染色体の候補遺伝子
としては deadpan が考えられている(Cline, 1993; Schutt and Nothiger, 2000)。メス
の場合、X/A 比は 1 になる。X/A=1 の場合、初期胚型 Sxl (sex lethal)が発現する
(図 1-2C)(Keyes et al., 1992)。この初期胚型 Sxl は自身の遺伝子の mRNA 前駆
体における選択的スプライシングを制御し、最終的に活性のある Sxl を生み出
-7-
す(図 1-2D)(Bell et al., 1991)。Sxl は下流遺伝子の tra (transformer)のエキソン 2
の使用を抑制する(図 1-2F)(Inoue et al., 1990)。そして機能的な Tra が産生され
る。Tra は Tra2 と協調的に働き dsx (double sex)のエキソン 4 の使用を促進し、メ
ス型 Dsx を産生させる(図 1-2H)(Hedley and Maniatis, 1991; Hoshijima et al., 1991)。
そして、メスへの分化を押し進めていく。
オスの場合、X/A 比は 0.5 になる。X/A=0.5 の場合、初期胚型の sxl は発現し
ない(図 1-2C)。その場合、自身の遺伝子の mRNA 前駆体におけるスプライシ
ングに影響を与えられない、すると途中にストップコドンが現れ、機能を持っ
た Sxl が発現しない(図 1-2D)(McKeown et al., 1987)。機能を持った Sxl がない
と、機能的な Tra も産生されない(図 1-2F)。そして、オス型 Dsx が産生される
(図 1-2H)(Burtis and Baker, 1989; Waterbury et al., 2000)。最終的に、オスへの分
化を押し進めていく。
このようにショウジョウバエ体細胞決定には選択的スプライシングはなくて
はならない制御である。
c) 難 し さ
前述してきたように、選択的スプライシングは単にゲノムから発現する遺伝
子産物の「数」に広がりをもたらしているだけでなく、時期・空間的に遺伝子
発現制御に関わることで遺伝子発現の「質」をも変化させている。そして生物
の発生・分化を含めた多くの生命現象に密接に関わっている。重要性が認識さ
れているにも関わらず未解明な事象が多い事は、選択的スプライシングの研究
の難しさが密接に関わっていると考えられる。選択的スプライシング研究に難
しさを与えているのは、一因としてエキソンとイントロン認識にある。通常エ
キソンは数十から数百塩基の長さ(ヒトにおいては平均 145 塩基)であるが、
それを挟んでいるイントロン長は平均して 2、3 千塩基もあり、長いものでは数
十万塩基もある(Lander et al., 2001)。つまりイントロンという広大な海にエキソ
ンが浮かんでいると言っても過言ではない。イントロンとエキソンを見分ける
一つの指標は、エキソン/イントロン境界に当たるスプライス部位近傍配列であ
る。脊椎動物などを含めた多細胞真核生物における、この配列の保存度の低さ
が選択的スプライシング研究の難しさの一因でもある。コンピューターを用い
たスプライス部位の予測においても真のスプライス部位予測効率は約 50%とい
う低さにある。実際には NMD (nonsense mediated mRNA decay)と呼ばれる機構も
相まってこれほど低い数字になっていると考えられている(後述参照)。では、
実際にどのようにエキソン・イントロンが核内において認識されているのか?
エキソンが先か(exon definition)、イントロンが先か(intron definition)という問題
-8-
がある。現在では、エキソンが先に認識されることで、イントロンとの区別が
つくと考えられている。それは実際に存在するイントロン長に制限はないが、
エキソン長は 400 塩基以上が 1%しか存在しておらず、且つエキソン長が長くな
ればなるほどスプライス部位の誤認識が起こりやすくなることからも、exon
definition が支持される(Berget, 1995)。
2)選択的スプライシングの種類
一口に選択的スプライシングと言ってもその様式は多様である(図 1-3)。カセッ
トエキソン型、排他的エキソン型、5’スプライス部位(5’ ss)選択型、3’スプライス部
位(3’ ss)選択型、イントロン残留型、最終エキソン選択型、第一エキソン選択型、ト
ランススプライシング型がある。今挙げた 8 つのうち、最初の 6 つについてはヒト
遺伝情報の解析から、選択的スプライシングにおける割合が算出されている。カセ
ット型は 52%、排他的エキソン型は 9%、5’ ss (splice site)選択型は 7%、3’ ss 選択型
は 10%、イントロン残留型は 6%である(Mironov et al., 1999; Stamm et al., 2000)。この
節においては、各々の様式について例を交えて紹介する。
a) カ セ ッ ト エ キ ソ ン
一番多用されているのは、一つのエキソンを使うか使わないかというカセッ
ト式の制御である(図 1-3A)。例として、原ガン遺伝子である c-src が挙げられ
る。c-src は神経特異的に 18 塩基からなる N1 エキソンが使用される(図 1-4)。
この制御は N1 エキソンの下流イントロンに存在している一部の領域にタンパク
質複合体が結合することで、スプライシングを促進することによる(後述参照)
。
N1 エキソンが挿入されることでタンパク質間相互作用を担う SH3 ドメインが変
化し、相互作用する相手が変わる事が知られている(Black, 1991)。
b) 排 他 的 エ キ ソ ン
この制御は二つ以上のエキソンの中から一つだけを選び出す機構である(図
1-3B)。一番簡単な二つのエキソンを使い分ける例を挙げてみよう。FGFR-2
(Fibroblast growth factor receptor 2)遺伝子は上流 IIIb エキソンと下流 IIIc エキソン
を排他的に使用している(図 1-5C)。IIIb エキソンが選ばれると FGF10 や FGF7、
keratinocyte growth factor (KGF)と高い親和性を持つようになり、IIIc エキソンで
は FGF2 と高い親和性を持つ(Miki et al., 1992; Yan et al., 1993; Yayon et al., 1992)。
ヒトにおいては IIIb アイソフォームがなくなることが前立腺ガンにおいて重要
だと考えられている(Carstens et al., 1997)。また IIIb アイソフォームのみを発現
-9-
できなくした遺伝子破壊マウスでは、骨形成が正常に起こらないことも報告さ
れている(Eswarakumar et al., 2002)。
c) 5’ス
スプ ラ イ ス 部 位 の 選 択
これは一つの 3’スプライス部位に対して複数の 5’スプライス部位がある場合
の制御である(図 1-3C)。スプライス部位(ss)とはエキソンとイントロン境界
部位にあたり、イントロンの 5’側を 5’ ss、3’側を 3’ ss と呼ぶ(図 1-11, 12)。二
つの 5’ ss を選択する例を挙げてみる。Wilms’ガンの抑制遺伝子である WT1
(Wilms’ Tumor suppressor gene)は、3’ ss に対して遠位と近位の 5’ ss を使い分ける
ことで、3 アミノ酸(KTS:リジン、スレオニン、セリン)の KTS−か KTS+
を作り出している(図 1-6)。KTS−か KTS+は互いに発現場所、時期や機能が
異なることが知られている(Hastie, 2001)。機能の違いとしては DNA 代謝、RNA
代謝のどちらに関わっているかという事が挙げられる(図 1-6)。
d) 3’ス
スプ ラ イ ス 部 位 の 選 択
これは先ほどとは逆で、一つの 5’ ss に対して複数の 3’ ss がある場合の制御で
ある(図 1-3D)。よく知られているのはショウジョウバエ transformer (tra)遺伝
子の制御であり、二つの 3’ ss がオスとメスで使い分けられている。オスの場合
は、上流(5’ ss に対して近位)の 3’ ss を、メスの場合、下流(5’ ss に対して遠
位)の 3’ ss を選択する(図 1-2F)。メスの場合だけ機能的なタンパク質が生じ
ることで、遺伝子カスケードが伝わり、結果的に体細胞のメスへの分化が促進
される(Inoue et al., 1990; Sosnowski et al., 1989; Valcarcel et al., 1993)。
e) イ ン ト ロ ン の 残 留
intron retention と呼ばれ、文字どおりイントロンが残ったままの mRNA を作
り出す制御である(図 1-3E)。例としては、ショウジョウバエ P-element transposase
のスプライシング制御、sxl による msl-2 (male specific lethal-2)の抑制制御の二例
が挙げられる(図 1-2E、1-7)。
P-element transposase は生殖細胞でのみ発現し、その発現制御は選択的スプラ
イシングによることが知られている(Rio, 1991)。制御の中核を担っているのは PSI
(P-element Somatic Inhibitor)である。PSI は生殖細胞以外で発現する。発現した PSI
はイントロン 3 のスプライシングを阻害し、イントロンを残すという制御を担
う(図 1-7)(Adams et al., 1997; Siebel et al., 1995; Siebel et al., 1992; Siebel et al.,
1994)。
もう一つの例である msl-2 の sxl による発現抑制機構は選択的スプライシング
-10-
と翻訳抑制による。Sxl による msl-2 の翻訳抑制には msl-2 mRNA の 5’非翻訳領
域の一部が必要であることが知られている。そしてこの 5’非翻訳領域の一部は、
sxl が msl-2 のスプライシングを阻害しイントロンを残留させることにより付加
される(図 1-2E)(Bashaw and Baker, 1996; Kelley et al., 1995; Zhou et al., 1995)。
つまり、スプライシングと翻訳の二つを制御することで遺伝子発現の抑制を行
っている。
mRNA 前駆体はスプライシングという過程を経ることで、核外への輸送を許
可される。このスプライシングから輸送までの過程についてはまだまだ不明な
点が 多い。 基本的 にイン トロンが除去されなかった mRNA 前駆体は mlp1
(myosin-like protein1)により核内に残され、核外に輸送されずに分解される<Galy,
2004 #306>。しかし、ゲノム中にはイントロンを持たない遺伝子や、イントロ
ン残留の制御を受ける遺伝子も存在している。したがって、これら遺伝子の転
写から核外輸送までに必須な過程を知ることは、一般的なスプライシングを受
ける遺伝子の核外輸送までに必須な過程・経路を知る鍵になるであろう。
前述した mlp1 による作用は、mRNA 前駆体イントロンにある 5’ ss に変異を
導入(弱く)すると、消失する<Galy, 2004 #306>。このことは、本来 5’ ss のな
いイントロンレス遺伝子の RNA には mlp1 が作用できないため、核外輸送に関
して影響を受けない。また選択的スプライシング制御を受ける遺伝子は基本的
に弱い ss を持つことから、イントロン残留制御についても説明をつけることは
可能である。
f) 最 終 エ キ ソ ン の 選 択
これは最終エキソンをどれにするかという制御であり、ポリ A 付加と共役し
たスプライシング制御である(図 1-3F)(後述参照)。ショウジョウバエ double sex
遺伝子、カルシトニン / CGRP(calcitonin gene-related peptide)などがこの制御を受
けることが知られている(図 1-2H、1-8)(Lopez, 1995; McKeown, 1992)。
g) 第 一 エ キ ソ ン の 選 択
これは第一エキソンをどれにするかという制御であり、厳密にいうとスプラ
イス部位の選択ではなく、プロモーターの違いによる(図 1-3G)。
h) ト ラ ン ス ス プ ラ イ シ ン グ
前述した 7 種類の制御以外にも最近興味深い報告がなされた。それは、トラ
ンススプライシングを含んだ選択的スプライシング制御である(図 1-3H)。シ
ョウジョウバエ lola 遺伝子は、5 つの恒常的に使用されるエキソンと、20 グル
-11-
ープ (エキソン 9-32)の可変エキソンがある(図 1-9)(Ohsako et al., 2003)。選択
的エキソンである可変エキソンは、各々がその上流イントロンにあたる領域か
ら転写が開始される。そして、恒常的エキソン 3’末端の 3’ ss と、転写された可
変エキソンの 5’ ss がトランススプライシングにより連結されることで一つの
mRNA が生じる(Horiuchi et al., 2003)。つまりこのトランススプライシングによ
る選択的スプライシング制御には、可変エキソンの転写制御も重要であると言
える。
3)基本スプライシング機構
ここまで、選択的スプライシングとは何か?そしてその制御の意味合いについて
いくつか例を交えて述べてきた。エキソンの使い分けを制御する選択的スプライシ
ングは、言い換えれば複数のスプライス部位の選択ということになる。選択的スプ
ライシングについてさらに言及していくために、基本的なスプライシングについて
述べる必要がある。この節においては、まずスプライシング反応の概略を述べ、ス
プライシング反応の反応場であるスプライソソームの形成段階について説明する。
そして、スプライソソームの構成成分、スプライス部位における保存配列について
述べる。
a) ス プ ラ イ シ ン グ と は ?
真核生物の多くの遺伝子はイントロンと呼ばれる介在配列が存在し、遺伝子
産物中の mRNA 領域であるエキソンを分断している。DNA から RNA ポリメラ
ーゼ II により転写された mRNA 前駆体は、イントロンが除去されエキソン領域
が繋がった mRNA が産生される。このイントロンの除去反応をスプライシング
と呼び、基本的な機構は酵母から動物・植物に至るまで、多くの生物種におい
て保存されている。スプライシングの反応機構は、高等真核生物では HeLa 細胞
を中心とした in vitro 反応系を用いた生化学的な解析から、酵母では温度感受性
変異体を用いた遺伝学的な解析と in vitro 反応系による解析からスプライシング
反応の研究が行われてきた。
b) ス プ ラ イ シ ン グ 反 応
スプライシング反応は RNA の構造から、大きく二段階に分けられる(図 1-11)。
第一段階では、上流のエキソンとイントロンの間に切断が起こり、切断された
イントロンの 5’末端は、イントロンの 3’付近に位置するプランチ部位と呼ばれ
る塩基のアデニンと 2’-5’のホスホジエステル結合を形成し、ラリアット(投げ
-12-
縄)構造と呼ばれる反応中間体を形成する。続く第二段階では、イントロンの 3’
末端と下流エキソンの間で切断が起こり、上流エキソンと下流エキソンが連結
される。残ったイントロンはラリアット構造のまま放出される(Black, 2003; Patel
and Steitz, 2003)。
c) ス プ ラ イ ス 部 位 に お け る 保 存 配 列
イントロンの除去反応、すなわちスプライシング反応が正確に行われるため
にはイントロンとエキソンを識別し、且つ境界を認識することが重要である。
この境界、すなわち 5’ ss と 3’ ss 近傍には数塩基の保存された配列がある(図
1-12)。5’ ss、3’ ss のイントロン側の2塩基は厳密に保存されているが(GT-AG
則、マイナースプライシングの場合は AT-AC)、他の部分は生物種により保存度
が異なる。またラリアット構造の形成に必要なブランチ部位にも保存配列が存
在している(図 1-12)。このブランチ部位領域は 3’ ss の認識に重要な働きを持
っており、特に出芽酵母では配列が厳密に保存されている。このことは酵母で
はブランチ部位に変異を導入するとスプライシングが起こらなくなることから
も明らかになっている(Parker et al., 1987)。一方、高等真核生物においてはブラ
ンチ部位周辺の塩基配列はさほど保存されているわけではない。これは、高等
真核生物においてはブランチ部位以外に、ブランチ部位と 3’ ss の間に存在する
ピリミジンが連続するピリミジンクラスターも重要な働きを担っているからで
ある(図 1-12)。
d) ス プ ラ イ ソ ソ ー ム の 構 成 成 分
スプライシングは、必要な配列が保存されているだけで RNA 自身が自発的に
反応を行うものではなく、核内のスプライソソームと呼ばれる巨大なタンパク
質—RNA 複合体にて行われる。このスプライソソームの形成はスプライシング
反応の第一段階に先立って行われ、スプライス部位選択の重要なステップと言
える。スプライソソームは数 Mega にも及ぶ大きさである(Jurica and Moore, 2003)。
スプライソソームは U1、U2、U4、U5、U6 の5種類の snRNA (small nuclear RNA)
を含んでいる。それぞれの snRNA はタンパク質との複合体 snRNP (small nuclear
ribonucleoprotein particle)として核内に存在し、これら snRNP が段階的に mRNA
前駆体に結合することでスプライソソームを形成する。
< UsnRNP>
>
UsnRNP は、U1snRNP、U2snRNP、U4/U6snRNP、U5snRNP に分けられ
る。U4 と U6 は塩基対合により一つの snRNP に含まれている。U6 以外の
-13-
UsnRNA は RNA ポリメラーゼ II により転写され、CRM-PHAX を含む複合
体により核外に輸送される(図 1-19A)(Fornerod et al., 1997; Ohno et al., 2000)。
核外に出た snRNA はキャップ構造の変換を受け、さらに Survival of Motor
Neurons (SMN)複合体(SMN、Gemin2、3、4、5)の補助を受けることで、
すべての snRNP に共通に含まれる7つの Sm タンパク質(B、D1、D2、D3、
E、F、G)と複合体を形成(UsnRNP)、そして核内へと戻ることが報告され
ている(図 1-13)(Paushkin et al., 2002; Pellizzoni et al., 2002)。
< 非 snRNP 因 子 >
スプライシング反応には UsnRNP 以外にもスプライソソームの形成やス
プライシング反応に必要な因子が知られている。代表的なものとしては
U2AF (U2snRNP auxiliary factor)が知られている。 U2AF は U2AF35 と
U2AF65 と呼ばれるタンパク質のヘテロ二量体である。U2AF は高等真核
生物において U2snRNP がブランチ部位に結合するために必要である(図
1-14A)。この他には ASF/SF2、SC35 をはじめとする SR タンパク質などが
知られている。SR タンパク質とは、N 末端側に RRM (RNA recognition motif)
を一つか二つ持ち、C 末端側に RS ドメインを持つタンパク質の総称であ
る(図 1-15)。RRM は約 80 アミノ酸からなり、RNA を認識・結合すると
きに必要な領域である。RRM はb4a2 構造を取ることが知られている。こ
のうち RNA 認識に必須なbシートが2つ存在しており、RNP2(b1)と RNP1
(b3)と呼ばれている(図 1-16)。RS ドメインはセリンとアルギニンに富
んだ領域である。RS ドメインは RS ドメインと直接結合することが可能で
あり、SR タンパク同士が相互作用するときに必要な領域である(図 1-17)。
e) ス プ ラ イ ソ ソ ー ム の 形 成
スプライソソームは UsnRNP が段階的に mRNA 前駆体に集結することで形成
される。スプライソソーム形成の各段階は順番に H、E、A、B および C 複合体
と呼ばれている(図 1-14A)。
<H 複合体>
H 複合体は hnRNP (heterogeneous nuclear ribonucleoprotein、核内不均一
RNA-タンパク質複合体)と総称される一群の RNA-タンパク質の複合体で
ある。H 複合体はスプライソソーム形成過程に入る前の塩基配列に非特異
的な複合体であり、in vitro スプライシング反応において一番最初に形成さ
れる。
-14-
< E (early)複
複合 体 >
E 複合体は、5’ ss における U1snRNP の塩基対合と、前述したピリミジ
ンクラスターおよび 3’ ss のイントロン側にある 3’ AG への U2AF の結合、
そして SF1 (splicing factor 1)または BBP (branchpoint binding protein)のブラ
ンチ部位への結合である(Black et al., 1985; Lerner et al., 1980; Wu et al., 1999;
Zhuang and Weiner, 1986)。さらに、U1snRNP-5’ss と U2AF-3’ss 領域はブリ
ッジを形成する(図 1-14A, 17)。ブリッジ形成には SRm160 などの SR タ
ンパク質が関わっており、その RS ドメインを介して U2AF35 の RS ドメ
イン、U1snRNP の構成成分である 70k タンパク質と相互作用する(図 117B)(Blencowe et al., 1999; Blencowe et al., 1998)。
<A 複合体>
A 複合体は、その形成に始めて ATP のエネルギーを要求する最初の複合
体である(図 1-14A)。この複合体は U2snRNP のブランチ部位への結合に
より形成される(Parker et al., 1987; Ruskin et al., 1988; Zamore and Green,
1989)。A 複合体においてはピリミジンクラスターへの U2AF/SF1/BBP の
結合が弱くなっていることから、U2AF は U2snRNP のブランチ部位への
リクルート・結合を補助していると考えられている(Bennett et al., 1992;
Michaud and Reed, 1991)。そして、スプライス部位選択という観点からは、
E 及び A 複合体の形成が重要だと言える。
<B 複合体>
U4/U6・U5snRNP の複合体が結合することで B 複合体が形成される(図
1-14 A)。
<C 複合体>
スプライソソーム形成最終 段階である C 複合体では U4snRNA と
U6snRNA の塩基対合が解離することで、U6snRNA が活性中心として働き
スプライシング反応の第一段階が開始されると考えられている(図 1-14A)
(Konarska and Sharp, 1986; Konarska and Sharp, 1987)。
f) マ イ ナ ー ス プ ラ イ ソ ソ ー ム 、 —U11, U12, U4atac, U6atac—
スプライシング反応は前述したスプライソソームによる制御だけではなく
U11、U12、U4atac、U5、U6atac snRNP によるマイナーなスプライソソームによ
-15-
る制御も酵母からヒト、植物にいたるまで種を越えて保存されている。そして
この U11 型のスプライシングも生体にとって必須であることが、酵母・ショウ
ジョウバエの変異体より明らかになっている(Hall and Padgett, 1996; Otake et al.,
2002)。U11 型のスプライシングは、U1 型とは制御様式が異なっている(図 1-14B)。
U12snRNP の 3’ ss への結合には U2 snRNP と異なり U2AF が必要なく、U11 snRNP
と相互作用してから、お互い 5’ ss と 3’ ss に結合する(Patel and Steitz, 2003)。つ
まりブランチ部位と 3’ ss の間のピリミジンクラスターが必要ないことを示唆し
ている。
この、U1 型と U11 型を使い分けることで選択的スプライシングを制御する例
が報告された(図 1-10)。ショウジョウバエの prospero である。この制御により
N 末端の 5 アミノ酸の置換が起こる。結果、ホメオドメイン領域に変化が起き、
転写因子 Prospero としての機能に変化があることがわかりつつある(Otake et al.,
2002; Patel and Steitz, 2003)。
4)スプライシングに影響を与える他のシス配列
高等真核生物のスプライシング反応には、5’、3’ ss 及びブランチ部位周辺の配列
が重要なことを述べてきたが、それ以外にもスプライシングに影響を与える配列が
ある。この節においては、キャップとポリ(A)付加シグナル、エキソンとイントロン
の長さ、RNA の二次構造、エキソン内の配列、イントロン内の配列、そしてエキソ
ン下流の 5’ ss が及ぼす影響について述べる。
付加 シ グ ナ ル
a) キ ャ ッ プ 構 造 と ポ リ (A)付
遺伝子からの一次転写産物はスプライシング以外にも、5’末端のキャップ構
造の付加や、3’末端のポリ(A)付加を受ける。キャップ構造は一番近いイントロ
ンのスプライシングを促進する効果を持っている(Inoue et al., 1989; Ohno et al.,
1987)。また、ポリ(A)付加シグナルが上流のスプライシングを促進する効果を持
つことも示されている(Niwa and Berget, 1991)。このことはキャップ構造が 3’ ss
様の、ポリ(A)付加シグナルが 5’ ss 様の働きをしていると考えることができ、exon
definition と呼ばれるエキソン / イントロンの識別モデルを支持している。
b) エ キ ソ ン と イ ン ト ロ ン の 長 さ
ヒトを含めたほ乳類の場合、イントロン長は最低でも 70 塩基以上必要だと考
えられている(Smith et al., 1989)。長い分には、100,000 nt にも及ぶイントロンも
存在していることから、制限はないと考えられる。一方、エキソンは、短いも
-16-
のでは 3 塩基のエキソンも存在している。ただし、エキソン長が短くなるほど、
エキソンとして認識されにくくなりエキソンスキップが起こりやすくなる(Black,
1991; Dominski and Kole, 1991)。短いエキソンが mRNA に取り込まれるには、コ
ンセンサス配列に近い強いスプライス部位か、あるいは ESE (Exonic splicing
enhancer)、ISE (Intronic splicing enhancer)などが必要になってくる(後述参照)
。
c) RNA の 二 次 構 造
RNA の二次構造がスプライシングに影響を与えるかどうかについての検討は、
最初に調べられたときは人工的にステムループ構造を組むように設計された
mRNA 前駆体を用いた実験によって確かめられた(Eperon et al., 1988; Solnick,
1985)。その結果、二次構造によりスプライス部位がマスクされている場合には、
その部位の使用効率がさがることが示された。最近、実際に RNA の二次構造を
解く機能を持った ATP-dependent DEAD-Box RNA helicase p72 が複数の遺伝子の
選択的スプライシングに関わることが示された。制御される遺伝子の一つであ
る CD44 の可変エキソン、エキソン v4 の 5’スプライス部位は、ステム構造によ
りマスクされている。p72 によりエキソン v4 の使用が促進されることを、ほ乳
類培養細胞を用いて示している(Honig et al., 2002)。
d) エ キ ソ ン 下 流 の 5’ス
スプ ラ イ ス 部 位
塩基置換を導入して 5’ ss を破壊したとき、エキソンを挟んだ上流の 3’ ss が使
用されなくなることがある。逆に下流の 5’ ss をより強くすると、エキソン上流
の 3’ ss を用いたスプライシングの効率が上昇する(Berget, 1995)。このようにエ
キソン下流の 5’ ss が上流の 3’ ss に影響を与えることがある。このことも exon
definition モデルを支持している。
e) エ キ ソ ン 配 列
エキソン内の配列が、スプライス部位選択に影響を及ぼすことが知られてい
る。代表的なものを幾つか例を挙げて紹介する。
>
< ESE (Exonic splicing enhancer)>
最もよく知られている配列である。その名の通りエキソン中に存在するス
プライシング反応を促進する効果を持った配列である(Watakabe et al., 1993)。
実際にはこの配列に結合する因子がその効果を担っている。ESE はプリンに
富んだ配列であることが多く、SF2/ASF、hnRNP A1、SC35 といった SR タ
ンパク質がその配列に結合し、RS ドメインを介することでスプライソソー
-17-
ムの形成を促進することが知られている(Fu and Maniatis, 1992)。
< ESS (Exonic splicing silencer)>
>
この配列は、エキソン中に存在している配列であるが、ESE とは逆にスプ
ライシングを阻害する方向に働く配列である。よく知られている例は、ショ
ウジョウバエの P-element transposase 遺伝子における選択的スプライシング
である(Rio, 1991; Siebel et al., 1992)。この遺伝子は体細胞においてエキソン
3 とエキソン 4 の間のスプライシングが阻害される(図 1-17)。機構として
はエキソン 3 に存在している ESS に PSI (P-element somatic inhibitor)、hrp48
が結合することで U1snRNP を呼び込み、真の 5’スプライス部位への結合を
阻害する(Siebel et al., 1995; Siebel et al., 1994)。結果、機能を持った transposase
が生殖細胞でのみ発現する(図 1-7)。
f) イ ン ト ロ ン 配 列
< ISE (Intronic splicing enhancer)>
>
5’ ss、3’ ss、ブランチ部位、ピリミジントラクト以外にも、スプライシン
グに影響を及ぼす配列はイントロン中に存在している。例を挙げると、前述
した原ガン遺伝子 c-src が知られている。c-src は神経特異的に N1 エキソン
が挿入されるが、この挿入には N1 エキソン下流に存在している ISE が重要
な働きを担っている(図 1-4)。ISE にユビキタスに発現する KSRP (KHdomain-containing factor)、hnRNP H and F、さらに神経特異的な PTB である
nPTB/brPTB が結合することが知られている
(図 1-4)(後述参照)(Black, 2003)。
5)スプライシングに影響を与えるトランス因子
いままでにもいくつかの非 snRNP タンパク質の SR タンパク質が登場してきたが、
SF2/ASF、hnRNP A1、SC35 (Splicing Component, relative molecular mass 35K)について
詳しく紹介する(図 1-15)。
a) SF2/ASF
SV40 ウイルスの初期型 mRNA 前駆体からは、重複した 5’スプライス部位の
選択により、largeT と small t 抗原をコードする mRNA が産生される。この二種
類の mRNA の量比は、感染する細胞株により異なる。そしてこの違いを担う因
子を生化学的に同定したものが ASF (alternative splicing factor)である。実際には、
ASF の濃度が高いと近位(3’スプライス部位に対して)の 5’スプライス部位(T
-18-
型)が優先的に選ばれ、濃度が低いと遠位の 5’スプライス部位(t 型)が選択さ
れる。SF2/ASF の、重複した 5’スプライス部位への選択様式は、SV40 特異的な
ものではなく、他の遺伝子においても同様の活性を持つことが示された(Krainer
et al., 1990)。
b) hnRNP A1
上記した SF2/ASF とは逆の活性を持つ因子として、生化学的に単離、同定さ
れたのが、hnRNP A1/SF5 である(Mayeda and Krainer, 1992)。また、hnRNP A1 は
3’ ス プ ライス 部位 の選択 に関 しても 関わ って いるこ とが 示唆さ れて いる
(Mayeda and Krainer, 1992)。hnRNP A1 は選択的スプライシングにおいて、エキ
ソン挿入の阻害因子といて働く(図 1-15)。阻害機構については PTB と同様の
モデルが考えられている(図 1-21)。
c) SC35
SC35 はスプライソソームを抗原として得られたモノクローナル抗体が認識す
る一群のタンパク質の中から同定された(Fu and Maniatis, 1990)。機能としては、
スプライソソームの形成に関与するだけでなく、選択的スプライシングにおい
て 5’および 3’スプライス部位の選択に関わることが示されている(Fu and Maniatis,
1990; Fu and Maniatis, 1992)。
6)スプライシングと他の制御機構との共役
いままでは転写、スプライシング、核外輸送、翻訳という高等真核生物の遺伝子
発現制御は一見、一つ一つが別々に働いていると考えられてきた。そして、そのよ
うに単純化することで研究が進んできたと考えることができる。しかし、近年では
これら一連の遺伝子発現が共役していることが明らかになりつつある(Maniatis and
Reed, 2002)。この節においては、転写、核外輸送、細胞周期とスプライシングの関
係について述べる。
a) 転 写 と ス プ ラ イ シ ン グ
転写とスプライシングは、転写を担う中核である RNA ポリメラーゼ II により
影響し合っている。RNA ポリメラーゼ II の CTD (Carboxy-terminal domain)には、
その後の mRNA 成熟に向けて必要なタンパク質群が結合する。CTD は 7 アミノ
酸の繰り返し(YSPTSPS)n からなり、酵母においては 27 回、ヒトは 52 回繰り返
していることが知られている。タンパク質群の CTD への結合には CTD の特異
-19-
的なリン酸化が必須であり、そのリン酸化酵素も同定されている(Hirose and
Manley, 2000)。セリン 5 のリン酸化 CTD にはキャップ付加酵素が、セリン 2 の
リン酸化 CTD にはスプライシング因子、ポリ(A)ポリメラーゼなどが結合し、
転写されてきた RNA とすぐに結合するように配置されている(Maniatis and Reed,
2002)。また最近はプロモーターの違い(転写量、伸長速度)による、選択され
るスプライス部位の変化がいくつかのグループから報告されており、選択的ス
プライシングにも転写が関わっていることが示唆されている(図 1-18)(Nogues et
al., 2002) (de la Mata et al., 2003)。
b) ス プ ラ イ シ ン グ と 核 外 輸 送
スプライシング反応の過程を経ることで成熟した mRNA は、翻訳に向けて細
胞質への核外輸送を経験する。スプライシングという過程が mRNA としての核
外輸送に密接に関わっていることが示された。
< UsnRNA と の 違 い か ら >
mRNA の転写は RNA ポリメラーゼ II が担っていることは前述したが、実
は U6snRNA を除く、U1、U2、U4、U5snRNA も同様に RNA ポリメラーゼ
II により転写され、キャップ構造も付加されることが明らかとなっている。
しかし、mRNA とこれら UsnRNA は、核外輸送という観点から見ると、全
く異なる経路が使われる。また、UsnRNA がスプライシングを受けないとい
う点も通常の mRNA と異なるところである(図 1-19)。後に翻訳を受ける
mRNA と UsnRNA の輸送経路の違いは、スプライシングという過程(おそ
らくは EJC の形成:後述参照)を経ることが一因であると報告された(Ohno et
al., 2002)。今後は、スプライシングを受けないイントロンレスの mRNA が
mRNA として輸送されるための要因は何か、そして輸送経路の違いが細胞
質での翻訳とどう繋がるのかということの解明が期待される。
によ り >
< EJC (exon-exon junction complex)に
スプライシング反応により結合したエキソンとエキソンの結合境界の 20
数塩基上流には、この mRNA がスプライシングされたことを示す、EJC と
呼ばれる一群のタンパク質が複合体を形成していることが知られている
(Kataoka et al., 2000; Le Hir et al., 2000)。EJC に含まれるタンパク質としては
現在までに 7 種類が報告されている。それは Y14、Magoh、RNPS1、Aly/REF、
Upf3、TAP、SRm160 である(Kataoka et al., 2001; Kataoka et al., 2000; LykkeAndersen et al., 2001; Mayeda et al., 1999; McGarvey et al., 2000; Zhou et al.,
-20-
2000)。これらの因子はそれぞれ独立に他の機能を持つ因子として報告され
ていた。RNPS1・SRm160 はスプライシングに、Aly/REF・TAP は核外輸送
に、Upf3 は NMD に、Magoh はショウジョウバエにおいて oskar mRNA の
後極への局在に必要な magonashi の脊椎動物の相同遺伝子である(Boswell et
al., 1991; Newmark and Boswell, 1994)。このようにスプライシングという過程
を踏むことは、後の輸送(Aly/REF、TAP)、NMD(Upf3)、局在・翻訳(Y14、
magoh)などと密接に関わっていることを示唆している(図 1-20A)。
Le Hir らにより EJC の大きさが 335 k であると報告されており、新たな EJC
の構成因子が見つかる可能性が考えられる(Le Hir et al., 2000)。また Reichert
らの解析から EJC 構成因子は 9 つと考えられている(Reichert et al., 2002)。学
会レベルではあるが、複数のグループから新たな EJC 構成因子が eIF4A3 で
あることが報告された(CSHL meeting, 2003)。
NMD(nonsense mediated mRNA decay)
NMD は PTC (Premature termination codon)が生じている mRNA を分解する
機構である。最も 3’側にあるエキソン連結部から約 50 塩基以上上流にある
終止コドンが PTC として認識され、その mRNA は分解を受ける(ref)(Nagy and
Maquat, 1998)。この NMD には核内キャップ複合体(Cap binding complex; CBC)
からの一回目の翻訳が必要であると示唆されている(図 1-20B)(Ishigaki et al.,
2001)。
c) 細 胞 周 期 と ス プ ラ イ シ ン グ
スプライシングとその前後の遺伝子発現制御との共役があることを述べてき
たが、最近はさらに視野を広げることでスプライシングという遺伝子発現制御
自体が細胞周期に伴って制御されていることが明らかになってきた(Shin and
Manley, 2002)。細胞周期は—G1 期—S 期—G2 期—M 期—のサイクルを繰り返す
が、分裂期である M 期においてスプライシング機構そのものの活性が減少する。
この制御の要になっているのが SRp38 と呼ばれる SR タンパク質である。M 期
において SRp38 が脱リン酸化されることが、この抑制機構の一端であることが
明らかにされた(Shin and Manley, 2002)。しかし、SRp38 はユビキタスに発現し
ている因子ではないために、SRp38 によるスプライシング抑制制御の一般性に
ついて疑問が残る。今後は、SRp38 による制御が特定の組織だけなのか、それ
とも同じような機能を持つ他の因子によるのかが焦点になる。
-21-
7)選択的スプライシング制御
いままでは基本的なスプライシングについて述べてきたが、それを念頭にスプラ
イス部位認識からの選択的スプライシングについて言及する。高等真核生物の遺伝
子の多くは複数のイントロンを有している。つまりは一つの mRNA 前駆体には複数
の 5’、3’ ss が存在している。通常のスプライシング反応においては正確にいつも同
じ 5’ ss 部位と 3’ ss が協調的に働く。しかし、真核生物においては時にあるエキソン
が使われたり使われなかったりする選択的スプライシングが起こる。つまり選択的
スプライシングとは、5’、3’ ss の組合せが変化することに他ならない。組み合わせ、
ス プ ラ イ ス部位 選択 を含め た選 択的ス プラ イシ ングに 関わ る因子 とし て PTB
(polyprimidine tract binding protein)を紹介する。その後に実際に選択的スプライシング
制御を受ける遺伝子についていくつか紹介し、今までに明らかになっている制御機
構について述べる。
a) 選 択 的 ス プ ラ イ シ ン グ に 関 わ る 因 子
< PTB (polyprimidine tract binding protein)>
>
この因子は別名 hnRNP I と呼ばれ、RRM を 4 つ持つ RNA 結合タンパク
質である。RRM2 が PTB 同士の相互作用に必要、RRM3 が RNA 結合に必要、
そして RRM4 がスプライシング抑制に必要な領域であることが報告されて
いる(Liu et al., 2002; Oh et al., 1998; Perez et al., 1997; Wagner and Garcia-Blanco,
2001)。PTB はすべての組織に於いて発現が認められる、ユビキタスに発現
する因子である。PTB はもともとピリミジントラクトに結合する因子とし
て生化学的に単離されたものであるが、後の解析から UCUU という配列に
結合することにより、スプライソソーム形成阻害することが示されている。
FGFR-2 遺伝子を例に挙げてみよう、この遺伝子は前述したように上流 IIIb
エキソンと下流 IIIc エキソンを排他的に使用することが知られている(図 15c)。IIIb エキソンの近傍に PTB が多数結合することで IIIb エキソンがマス
クされ、抑制されるのである(Chan and Black, 1997; Chou et al., 2000)。この抑
制機構は、c-src、a-アクチニン、カルシトニン/CGRP、GABAA g2、a-トロポ
ミオシンなどにおいても知られている(図 1-5A, B, D, E and F)(Wagner and
Garcia-Blanco, 2001)。つまり PTB の機能を押さえることによる、スプライス
部位の変化という選択的スプライシングは、広く使われている機構であると
考えられている(Wagner and Garcia-Blanco, 2001)。抑制機構として現在モデル
が二つ考えられている。1)制御エキソンの両端イントロンに PTB がそれ
ぞれ結合し、さらに PTB 同士が相互作用することで制御エキソンをループ
-22-
アウトするモデル(図 1-21A)。2)両端イントロンに最初結合した PTB が
RNA を足場に中央の制御エキソンを含めてマスクするモデルである(図 121B)。しかしながら、前述したように PTB 同士の相互作用に関わる領域
(RRM2)と、PTB が RNA に結合するために必要な領域(RRM3)以外に、スプ
ライシング抑制を担う領域 (RRM4)があることを考えると実際には他の因子
が関わる制御機構を想定することも可能である。
また PTB には現在 3 種類のスプライシングバリアントが報告されている。
この 3 種類(PTB1, 2, 4)の機能的な差は活性の強弱であり、発現パターンなど
については詳細に解析されていない(Wollerton et al., 2001)。他には神経特異
的な nPTB/brPTB も報告されている。PTB1 と nPTB/brPTB の identity は 75%
である(図 1-22)。PTB はスプライシングを抑制するが、nPTB/brPTB はそ
の逆の効果を持つと報告されている(Markovtsov et al., 2000)。nPTB/brPTB に
よるエキソン使用促進の分子機構は明らかではない。PTB と nPTB/brPTB の
ドメイン交換を行い、解析を行うことで、この問題を解く糸口が得られるか
もしれない。
b) 選 択 的 ス プ ラ イ シ ン グ 制 御 を 受 け る 遺 伝 子
現在までに様々な遺伝子における選択的スプライシング制御機構の研究がな
されている。そのうちのいくつかについて紹介する。
>
< c-src>
前述したが、c-src 遺伝子は神経特異的に N1 エキソンが挿入される。この
制御に関わるシスエレメントが N1 エキソンの下流イントロンに存在してお
り、DCS (Downstream Control Sequence)と呼ばれている(図 1-4)。DCS には
GGGGG エレメント、CUCUCU エレメント、GCAUG エレメントが存在し
ている。GGGGG エレメントは N1 エキソンの完全挿入に必須であり、hnRNP
H と hnRNP F が結合することが報告されている(Chou et al., 1999; Min et al.,
1995)。CUCUCU エレメントは PTB や神経特異的 PTB (nPTB/brPTB)が結合
する(Chou et al., 2000; Markovtsov et al., 2000)。PTB は N1 エキソンの抑制に
働き、逆に nPTB/brPTB は N1 エキソンの挿入に働く(Chou et al., 2000;
Markovtsov et al., 2000)。GCAUG エレメントには KSRP (KH-type splicing
regulatory protein)と、少なくとももう一種類の因子が結合すると考えられて
いる(Min et al., 1997)。しかしながら現在報告されているトランス因子の中で、
神経特異的な発現を示すのは nPTB/brPTB のみである。ところが N1 エキソ
ン挿入に必須な GCAUG には nPTB/brPTB は働きかけない。今後はこの
-23-
GCUAG 働きかけるトランス因子の同定が期待される。
そして DCS に結合する因子群が、どのような分子機構により基本スプラ
イシングに働きかけ、N1 エキソンの使用を促進しているのかについては明
らかになっていない。
< FGFR-2>
>
前述したが、FGFR-2 遺伝子は上流 IIIb エキソンと下流 IIIc エキソンを排
他的に使用している(図 1-23)。IIIb エキソンが選ばれると FGF10 や FGF7、
keratinocyte growth factor (KGF)と高い親和性を持つようになり、IIIc エキソ
ンでは FGF2 と高い親和性を持つ(Miki et al., 1992; Yan et al., 1993; Yayon et al.,
1992)。この選択的スプライシングに関わるシス配列が2カ所(ISE-2、ISAR)、
IIIb と IIIc の間のイントロンに存在することが明らかになった(Del Gatto et al.,
1997)。さらにこの二カ所のシスエレメントの核となる配列同士が塩基対合
し、ステム構造を形成することが IIIc を抑制し IIIb を促進する機能に必要十
分であることが示された(Baraniak et al., 2003; Muh et al., 2002)。この結果か
ら二重鎖 RNA 結合タンパク質、あるいは RNA ヘリケースが IIIc エキソン
の挿入を制御していることが示唆されている(Muh et al., 2002)。しかし IIIc
エキソンの挿入と発現を同じくする二重鎖 RNA 結合タンパク質、あるいは
RNA ヘリケースは報告されていない。
一方、IIIb の抑制には IIIb エキソン上流の ISS (Intronic splicing silencer)に
PTB が結合することが必要であると示唆されている(図 1-5C, 1-23)(Carstens
et al., 1997)。さらに IIIb エキソンの選択には、ISAR に存在する配列 GCAUG
が必須であることも報告された(Baraniak et al., 2003)。まだこの配列に作用す
る因子は明らかになっていない(Baraniak et al., 2003)。
FGFR2 においても複数のシスエレメントに様々な因子が働きかけている
が、これら因子の遺伝子発現・スプライシング制御の協調性や、どのように
基本スプライシングに働きかけているのかについては明らかではない。
>
< カ ル シ ト シ ン /CGRP>
前述したように、二つの 3’ ss の選択により制御されている遺伝子である
(図 1-8)。上流のエキソン 4 の 3’ ss が選択されるとカルシトニンタンパク
質をコードする mRNA が産生され、エキソン 5 の 3’ ss が選択されると CGRP
が産生される。カルシトニン/CGRP は甲状腺 C 細胞においてエキソン 4 が
選ばれ、成熟した神経細胞ではエキソン 5 が選ばれる。エキソン 4 にはポリ
(A)付加シグナルがあるためこれ以上スプライシングは起こらないが、エキ
-24-
ソン 5 が選ばれた場合はエキソン 6 も連結される。この制御にはエキソン 4
と 5 の間にあるイントロンに存在しているエレメントが必要である。このシ
スエレメントには、ピリミジンクラスター、偽 5’ ss、U クラスターが存在
している(図 1-8)(Zhu et al., 2003)。in vitro において、偽 5’ ss に U1snRNP
と U6snRNP、U クラスターに TIAR、ピリミジンクラスターに SRp20 が結
合することが明らかになっている(Zhu et al., 2003)。制御モデルとして SRp20
は上流エキソン 4 にポリ(A)付加に関わる因子をリクルートすることで、ポ
リ(A)付加を促進すると考えられている。また、U クラスターに結合してい
る TIAR が上流の 3’ ss の活性化、下流 5’ ss の抑制に関わっていると考えら
れている。しかし詳細な分子機構については実験的に証明はされていない。
< GABA (Gamma Amino Butyric Acid) receptor γ2>
>
GABA 受容体は抑制性神経伝達物質である GABA の受容体である。GABA
が GABA 受容体に結合すると、複数のサブユニットからなる GABA 受容体
に内包されている塩化イオンチャネルにより塩化イオンの流入が促進され、
シナプス後細胞の細胞膜において過分極が起こる。γγ2 サブユニットの選択
的スプライシングにより、このレセプターの作用促進物質である
benzodiazepine の感受性に影響を与えることができる(Wafford et al., 1993)。γγ2
サブユニットの選択的スプライシングは、24 塩基からなるエキソンのカセ
ット型の制御であり、γγ2L とγγ2S が産生される(図 1-5E)。γγ2L の KO マウス
(γγ2S しか発現しない)では benzodiazepine に対する感受性が上がる(Quinlan
et al., 2000)。選択的スプライシングの制御様式としては、制御エキソンの 3’ ss
をマスクするように PTB が結合するために、U2snRNP がアクセスできず、
γ2S が産生される(Ashiya and Grabowski, 1997; Zhang et al., 1996; Zhang et al.,
1999)。γγ2L の産生、エキソン 9 の使用促進には Nova-1 が関わっていること
が報告されている(後述参照)(Dredge and Darnell, 2003)。しかしながら、
Nova-1 による基本スプライシング機構への働きかけについては不明である。
トロ ポ ミ オ シ ン >
< α-ト
α-トロポミオシンはエキソン 2 と 3 が排他的に使用される制御を受ける
α
(図
1-5F)。多くの細胞・組織においてスプライス部位が強い(コンセンサスに
近い)エキソン 3 が選択されており、エキソン 3 が使用を抑制された場合に
のみ(平滑筋)、エキソン 2 が選択される(Gooding et al., 1994; Mullen et al.,
1991; Wieczorek et al., 1988)。エキソン 3 の抑制は、PTB と raver1 が直接相互
作用し、協調的に働く事によると報告された(Gromak et al., 2003)。Raver1 は
-25-
N 末に 3 つの RRM と、C 末にはプロリンの多い領域を含んでいる。raver1
依存的なエキソン 3 抑制には Raver1 の C 末部分が必要であり(Gromak et al.,
2003)。PTB との相互作用には RRM を含む N 末が必要であることがわかっ
ている(Huttelmaier et al., 2001)。しかし、raver1 と PTB 間の結合と、スプラ
イシングパターンの変化を繋げる分子機構は明らかではない。
< α-ア
アク チ ニ ン >
α-アクチニンは NM (non-muscle)エキソンと SM (smooth-muscle)エキソン
α
の二つのエキソンを排他的に使用する制御を受けている(図 1-5B)(Southby et
al., 1999)。この遺伝子においては、SM エキソンが多くの組織・細胞におい
て使用を抑制されている。この抑制は、ユビキタスに発現する PTB による
ことが明らかになっている(Southby et al., 1999)。抑制機構は SM エキソン近
傍に PTB が結合することでエキソンがマスクされると考えられている
(Southby et al., 1999)。平滑筋での SM エキソンの抑制解除、及び NM エキソ
ンの使用抑制に関わる因子は明らかでないが、SM、NM エキソン近傍のイ
ントロンには配列 GCAUG や UR の繰り返し配列が存在している。平滑筋に
おいて特異的に発現する、組織特異的な RNA 結合タンパク質は報告されて
いなかった。
<フィブロネクチン>
フィブロネクチン遺伝子の IIIB エキソンの使用促進には IIIB エキソン下
流イントロンに存在する UGCAUG モチーフが必要であることが報告されて
いる(Huh and Hynes, 1994)。この IIIB エキソンの挿入については、マウス胚、
成体での肝臓、一部のほ乳類培養細胞で促進される事がわかっている(Huh
and Hynes, 1993; Huh and Hynes, 1994)。しかしこの UGCAUG に働きかける
因子は明らかになっていない。
8)組織特異的スプライシング制御因子
今まではユビキタスに発現する制御因子について紹介してきた。報告数は少ない
が脊椎動物において組織特異的に発現する制御因子、Nova について紹介する。
< Nova-1、
、 Nova-2>
>
Nova-1 と-2 は、腫瘍随伴性患者の自己抗原として単離された因子である
(Buckanovich et al., 1993; Yang et al., 1998)。Nova は KH ドメインを 3 つ持つ
神経特異的 RNA 結合タンパク質である。in vitro 選別により Nova-1 が結合
-26-
する RNA 配列は[UCAU(N)0-2]3 である事が報告されている(Buckanovich and
Darnell, 1997)。そしてこの配列を持つ遺伝子を二つ、GlyR α2 (inhibitory
glysine receptor α2)と Nova-1 自身の mRNA 前駆体を見いだした(Buckanovich
and Darnell, 1997)。そして、これら mRNA 前駆体と Nova は in vitro、in vivo
において結合することを明らかにしている(Buckanovich and Darnell, 1997)。
そして、ほ乳類の培養細胞を用いた解析から、nova が GlyR α2 の選択的ス
プライシングを制御しうる事を明らかにしている。KO マウスを用いた解析
から、in vivo においても nova が GlyR α2 の選択的スプライシングを制御し
ていることが報告された。KO マウスのさらなる解析から Nova の標的遺伝
子の情報がさらに集まりつつある(Jensen et al., 2000; Ule et al., 2003)。しかし、
Nova による選択的スプライシング制御の分子機構について、詳細は明らか
ではない。
9)本研究の目的
今まで幾つかを意図的に選び、選択的スプライシングについて紹介してきた。そ
れは選択的スプライシング制御に関わるトランス因子が、ユビキタスに発現する因
子だけでなく、特異的な発現を示す因子が関わっている、または示唆されている選
択的スプライシング制御である。しかしながら、大半の選択的スプライシング、つ
まりスプライス部位選択を決定しているのはユビキタスに発現する因子の活性バラ
ンスによるというのが世界中の研究者の大半の考えである。Nova のように組織や時
期特異的に発現する制御因子も報告されてはいるが、制御している標的遺伝子が少
ないという問題点が残る。序論の冒頭でも述べたように、膨大な数の遺伝子の選択
的スプライシングをユビキタスに発現する因子だけで説明するのにはやはり無理が
あるのではないだろうか。
本研究は、脊椎動物において組織や時期特異的に発現する選択的スプライシング
制御因子を新たに同定する事からスタートした。
-27-
D. melanogaster Dscam (Down Syndrome Cell Adhesion Molecule)
n=12
Exon 4
E1 2 3
n=48
Exon 6
5
n=33
Exon 9
6 7
n=2
Exon 17
10 12 14 16
18 20 22 24
図1-1 Dscam遺伝子の選択的スプライシング様式
ショウジョウバエDscam遺伝子の選択的スプライシングの模式
図を表している。Dscamの遺伝子領域は60 kbpよりなる。20エ
キソンが恒常的にスプライシングを受け(白四角)95エキソン
が選択的スプライシング制御を受ける(灰色四角)。95の選択
的エキソンは4つのクラスターに分けられ(エキソン4、6、9、
17)、それぞれ12、48、33、2エキソンからなる。それぞれの
クラスターからは一つのエキソンのみ選ばれる、排他的な制御
を受けている。
-28-
X:A=1
Sex lethal
Female germline
differentiation
Female somatic
differentiation
Male courtship behaviour
OFF
Dosage compensation
OFF
X:A=0.5
Sex lethal
Male germline
differentiation
♂
sxl 1
♀
♂
sxl 1
♀
Male somatic
differentiation
stop
AUG
E1
2
AUG
E1
2
3
4
Dosage compensation
ON
初期胚型
Sxl
Sxl
stop
3
Male courtship behaviour
ON
4
Sxl
♂
msl-2
♀+Sxl
♂ AUG
tra
♀+Sxl
stop
Msl-2
Dosage compensation
OFF
Msl-2
ON
Tra
Tra + Tra2
♂
fru
♀ AUG
♂
dsx
♀
AUG
AUG
Male courtship behaviour
OFF
ON
Female somatic
differentiation
AAA
Male somatic
differentiation
AAA
図1-2 ショウジョウバエの性決定
ショウジョウバエの性決定における遺伝子カスケードの一部を
示した。
-29-
(A)
(B)
3'
5'
3'
5'
カセットエキソン型
3'
排他的エキソン型
5'
5'
(C)
5'スプライス部位選択型
5'
3'
(D)
3'スプライス部位選択型
3'
3'
5'
(E)
イントロン残留型
AAUAAA
(F)
最終エキソン選択型
AAUAAA
TATA
(G)
第一エキソン選択型
TATA
TATA
(H)
トランススプライシング型
TATA
図1-3 様々な選択的スプライシング様式
黒塗りのボックスは常にエキソンとして使用される領域を示
し、白いボックスは選択的にmRNAに取り込まれるエキソン領
域を示す。線はイントロンを、TATAはプロモーターを、
AAUAAAはポリ(A)付加シグナルを示す。
-30-
N1エキソン
(文献:Black, 2003の図を改変)
図1-4 c-src遺伝子の選択的スプライシング様式
c-src遺伝子の選択的スプライシング制御の模式図を表してい
る。c-srcのN1エキソンは神経特異的に使用される。真ん中の
N1エキソン下流にあるシスエレメントにnPTB、hnRNPF/H、
KSRPが、そしてシスエレメントのコア配列GCAUGに結合する
因子が「?」で表されている。
-31-
(A)
(B)
(C)
(D)
(E)
(F)
(文献:Wagner et al., 2001の図を改変)
図1-5 PTBによる選択的スプライシング抑制制御
c-src、α-アクチニン、FGF-R2、カルシトニン/CGRP、GABAAR
γ2、α-トロポミオシン遺伝子のPTBによるエキソン抑制制御を
模式的に表している。赤四角はブランチ部位認識に関わるピリ
ミジンクラスターを、黒ドットはブランチ部位を表している。
-32-
5'
(文献:Hastie, 2001 の図を改変)
KTS
5'
図1-6 WT1遺伝子KTS+、KTSWT1遺伝子の選択的スプライシング制御により生じたKTS+、
KTS-アイソフォームの機能的な違いを表している。WTはKTS+
ではRNA代謝に関わり(赤四角)、KTS-ではDNA代謝に関わ
る。
-33-
エキソン3
イントロン3
(文献:Black, 2003の図を改変)
図1-7 ショウジョウバエP-element transposaseの選択的スプライ
シング制御の模式図
エキソン3にPSI、hrp48が結合することでイントロン3のスプラ
イソソーム形成を阻害し、イントロン3を残留させる。
-34-
(A)
(B)
(文献:Zhu et al., 2003の図を改変)
図1-8 カルシトニン/CGRP遺伝子の選択的スプライシング様式
(A) カルシトニン/CGRP遺伝子の選択的スプライシング制御の
模式図を表している。(B) calcitonin/CGRPのエキソン4使用、
poly(A)付加はTIARを中心とした因子がイントロン4に結合する
ことで促進される。Py, ピリミジンクラスター;5' ss, 偽5' ss;U,
ウリジンクラスター;U1, U1snRNP;U6, U6snRNP
-35-
(I) シス - スプライシングによる制御モデル
Constant
5' variable exons exons
3' variable exons
(II) トランス - スプライシングによる制御モデル
Constant
5' variable exons exons
3' variable exons
図1-9 ショウジョウバエlola遺伝子のトランススプライシング
様式
lola遺伝子のトランススプライシングによる選択的スプライシ
ング制御モデルの模式図を表している。lolaは5'側に4つの選択
的エキソン、次に5つエキソンの恒常的選択、そして3'側に20
グループの選択的エキソンがある。5'側のエキソン選択はプロ
モーターの違いによる。3'側にある20グループのエキソン選択
は上流エキソンとは個別に転写されることで達成される(II)。
そして、トランススプライシングにより恒常的エキソンと連結
され、mRNAが作り出される。
-36-
U11型スプライシング
U1型スプライシング
(文献:Patel and Steitz, 2003の図を改変)
図1-10 ショウジョウバエprospero遺伝子における選択的スプ
ライシング制御
ショウジョウバエprospero遺伝子は、スプライソソームを変え
ることでスプライシングパターンを変化させている。
-37-
(ブランチ部位)
(3' ss)
A (Py)n AGp
pGU
pGU
(5' ss)
+
(Py)n AGp
pGU
A
第一段階
第二段階
A (Py)n AG +
p
図1-11 二段階によるスプライシング反応
スプライシング反応はRNAの構造から、大きく二段階に分けら
れる。第一段階では、上流のエキソンとイントロンの間に切断
が起こり、切断されたイントロンの5'末端は、イントロンの3'
付近に位置するプランチ部位と呼ばれる塩基のアデニンと2'5'のホスホジエステル結合を形成し、ラリアット(投げ縄)構
造と呼ばれる反応中間体を形成する。続く第二段階では、イン
トロンの3'末端と下流エキソンの間で切断が起こり、上流エキ
ソンと下流エキソンが連結される。残ったイントロンはラリ
アット構造のまま放出される。
-38-
5' ss
3' ss
BP
exon 1
Py
exon 2
(intron)
mammals
AG/GURAGU
YYRAY
yeast
(S. cerevisiae)
AG/GUAUGU
UACUAAC
YnNYAG/G
YAG/G
図1-12 スプライス部位における保存配列
5' ssと3' ss近傍には数塩基の保存された配列がある。5' ss、3'
ssのイントロン側の2塩基は厳密に保存されているが(GT-AG
則)、他の部分は生物種により保存度が異なる。またラリアッ
ト構造の形成に必要なブランチ部位にも保存配列が存在してい
る。このブランチ部位領域は3' ssの認識に重要な働きを持って
おり、特に出芽酵母では配列が厳密に保存されている。一方、
ヒトを含む真核生物においてはブランチ部位周辺の塩基配列は
さほど保存されているわけではない。ブランチ部位以外に、ブ
ランチ部位と3' ssの間に存在するピリミジンが連続するピリミ
ジンクラスターも重要な働きを担っているからである。5' ss,
5'スプライス部位;3' ss, 3'スプライス部位;BP,ブランチ部位;
Py, ピリミジンクラスター;R, プリン残基;Y, ピリミジン残基
-39-
(文献:Pellizzoni et al., 2002の図を改変)
図1-13 SMN複合体によるsnRNP形成モデル
7種類のSmタンパク質群はSMN complexと結合する(Sm D1, D3,
Bはメチル化を受けた後)。その後、核外輸送を受けたsnRNA
とSmタンパク質群が複合体を形成する。
-40-
(A)
(B)
E complex
A complex
B complex
C complex
ピリミジンクラスター
(文献:Patel and Steitz, 2003の図を改変)
図1-14 スプライソソーム形成過程の模式図
(A) 一般的なスプライソソームの形成過程を模式的に表してい
る。(B)マイナーなスプライソソームの形成過程を表している。
U, UsnRNP
-41-
SR proteins
RRM
RRM
RRM
RS
Family members
SRp75, SRp55, SRp54
SRp40, SRp30c, ASF/SF2
SRp20, 9G8, SC35
RS
SR related proteins
SR protein
antagonists
RRM
RRM
RS
RS
RRM
RRM
GRS
RRM
PWI
Splicing
co-activator
RS
SRrp35, SRrp40
SRrp80
RS
RSF1
hnRNP A/B
Gly
RS
S S
RRM
RS
SRP
Tra2
Tra
RS
RRM
snRNP
associated
U2 auxiliary
factor
RS
RS
RS
U1-70k
DEXD/H Box
U5-100k
RS
RS
RRM
SRm160
U4/U6 U5 tri-snRNP-27k
RRM
RRM
RS
RRM
U2AF65
U2AF35
図1-15 SRタンパク質
現在報告されているSRタンパク質のドメイン構成を模式的に
表している。RRM; RNA rcognition motif、RS; RS domain、GRS;
Gly-Arg-Ser rich、Gly; Gly rich、PWI; PWI motif、S; Ser-rich、SRP;
Ser-Arg-Pro rich、DEXD/H Box; DEXD/H-type RNA helicase domain
-42-
RNP2(6aa)
RNP1(8aa)
~80aa
β1
α1
β2
β3
α2
β4
図1-16 RRM(RNA recognition motif)の構造
-43-
(A)
GU
A
(YYYYYY)n AG
Exon Definition
SR
SR
U1
GU
U1
U2AF
SR
(YYYYYY)n AG
SR
A
SR
Intron Bridging
(B)
SRm300
SRm160
BS (Py)n
5' ss
3' ss
(文献:Blencowe et al., 1998の図を改変)
図1-17 SRタンパク質による5' ssと3' ssのブリッジ形成の模式図
-44-
(A)
(B)
(文献:Nogues et al., 2003の図を改変)
図1-18 転写伸長変化によるスプライシングパターンの変化
(A)あるエキソン(灰色四角)の3' ssが弱く(W)、下流エキソンの3'
ssが強い場合。転写伸長が遅いと、弱い3' ssを持ったエキソン
は使用される。一方、転写伸長が早いと、弱い3' ssがスプライ
ス部位として認識される前に、強い下流エキソンの3' ssが先に
認識されるためにエキソンがスキップする。(B)強い3' ss同士で
あれば、転写伸長の速度に関係なくスプライス部位として認識
されるためエキソンスキップは起こらない。
-45-
(A)
mRNA
UsnRNA
エキソン
イントロン
RanGTP
CRM1
PHAX
スプライシング
CBC
P
REF
TAP
Y14
核
細胞質
(核内に逆輸送)
(B)
(異なる運命)
<UsnRNA>
(タンパク質合成へ)
<mRNA>
pol II
転写
pol II
m7GpppG
キャップ構造
m7GpppG
ステムループ構造
二次構造
特にない
なし
イントロン
なし
ポリ (A)
あり
約 130 nt
長さ
300 nt 以上
あり(一部はなし)
図1-19 UsnRNAとmRNAの違い
(A)UsnRNAとmRNAの核内における複合体を模式的に表してい
る。(B)UsnRNAとmRNAの様々な要素における違いを表にて示
している。
-46-
(A)
(B)
(文献:Reichert et al., 2002の図を改変)
図1-20 EJC (Exon-exon Junction Complex)
(A)EJCの構築を模式的に表している。(B)一回目の翻訳に関わ
る因子を模式的に表している。
-47-
(A)
(B)
図1-21 PTBによるスプライシング抑制モデル
(A)ループアウトモデル。制御エキソンの両端イントロンの一
部領域に結合したPTB同士が相互作用することで、制御エキソ
ンをループアウトすることで、エキソン使用を抑制する。(B)
エキソンマスキングモデル。制御エキソンの両端イントロンの
一部領域に結合したPTBが、RNAを足場にポリマー形成するこ
とで制御エキソンをマスクし、エキソン使用を抑制する。
-48-
RRM1 (79%)
RRM2 (87%)
RRM3 (79%)
RRM4 (77%)
図1-22 PTBとnPTB/brPTB
ヒトPTB1とnPTB/brPTBのアミノ酸配列を比較した。全アミノ
酸のindentityは75%である。それぞれのRRMのidentityを%で表
している。同じアミノ酸を四角で囲っている。
-49-
IIIb
IAS2
core
IASR
IAS2
IIIc
IASR
IIIb
IIIc
図1-23 FGFR-2遺伝子の選択的スプライシング様式
FGFR-2遺伝子の選択的スプライシングを模式的に表している。
IIIbの抑制にはPTBが主に働き、IIIcの抑制・IIIcの抑制解除に
はISARに結合する因子が働くと考えられている。
-50-
遺伝子
スプライス部位選択
タンパク質
機能
Bcl-xS
5' ss
3' ss
Distal( 遠位) 5' ss
Bcl-xS
Proximal( 近位) 5' ss
Bcl-xL
促進
cell death
Bcl-x
D P
Bcl-xL
Preventing cell death
Ced-4S
Ced-4
5' ss
3' ss
P D
Ced-4L
Casp-2L
Distal( 遠位) 3' ss
Ced-4S
Proximal( 近位) 3' ss
Ced-4L
エキソンスキップ
Casp-2L
エキソン挿入
Casp-2S
促進
cell death
Preventing cell death
促進
cell death
Casp-2
stop
Casp-2S
Preventing cell death
図1-24 細胞死に関わる遺伝子の選択的スプライシング
線虫bcl-x, ced-4, casp-2遺伝子の選択的スプライシングの模式図
を表している。それぞれの遺伝子における選択的スプライシン
グ産物の機能は細胞死に対して全く正反対の機能を示す。この
ように選択的スプライシング制御は細胞死と密接に関わってい
る。
-51-
第二章、材料と方法
1)ゼブラフィッシュの飼育
ゼブラフィッシュ(Danio rerio)は雄と雌を別々に、水温 28.5℃、明期 14 時間、
暗期 10 時間の条件下で飼育した。ゼブラフィッシュはペットショップで購入したも
のを用いた。受精卵は、暗期に入る 1 時間ほど前に雄と雌を同一の水槽に入れるこ
とで、次の明期で得た。その後回収した受精卵は 28.5℃で発生させた。
2)試薬類
アイソトープ標識されたヌクレオチドは Amersham 社より購入した。合成ポリヌ
クレオチドはファルマシアに依頼した。制限酵素は主に宝酒造、東洋紡から、その
他の試薬はナカライテスクと和光純薬から購入した。
3)プラスミド
a) in situ プ ロ ー ブ 用
< pBS zfox-1 (in situ)>
>
線虫 fox-1 と相同性を有するゼブラフィッシュの遺伝子配列を BLAST
search(Program : blastn、Database : nonredundant、organism : Danio rerio)に
より得た(GenBank Accession No.AI397442)。この配列データを基に以下の
プライマーを設計し、PCR にて増幅後、pBluescript SK(+)(STRATAGENE)
の XhoI/EcoRI 部位にクローニングした。アンチセンス RNA プローブはプラ
スミドを XhoI で切り出し T3 RNA ポリメラーゼを用いて作成した。
プライマー名 配列(5'-3')
fox-1/1 : TTC ctc gag TGC AGA TCA TCA TCA GCT G
fox-1/2 : TAC gaa ttc TGC TGT AGC GTT GTT CAC C
>
、 pBS zfox-1 (3’ UTR)>
< pBS zfox-1 (5’ UTR)、
pBS zfox-1 (all)を PstI/SacI、PstI/XhoI 部位で切り出し、それぞれ pBS の
PstI/SacI、PstI/XhoI 部位に挿入したものを pBS zfox-1 (5’ UTR)、pBS zfox-1 (3’
UTR)とした。
b) zfox-1 cDNA
< pBS zfox-1 (all)>
>
pBS zfox-1 (in situ)をもとに PCR プローブを作成し、David Jonah Grunwald
-52-
博士により供与していただいた受精後 9∼16 時間胚(neurula)由来の Oligo(dT)
primed λZAPII cDNA ライブラリー及び、5’ RACE 法を用いてゼブラフィッ
シュ fox-1 の翻訳領域全長を含む cDNA を得た。
c) RNA 合 成 用 プ ラ ス ミ ド
< pSP72 #10、
、 pSP72 #10 m1、
、 pSP72 #10 m2、
、 pSP72 #10 m3>
>
以下のセンス・アンチセンスオリゴヌクレオチドをアニールさせ 5’末端
をリン酸化し、pSP72(STRATAGENE)の EcoRI/BamHI 部位に挿入した。
オリゴ名 配列
#19 sense oligo; 5'-aattcAAACCAGCATGAACGATTTACCAAG-3'
#19 anti-sense oligo; 3'-GTTTGGTCGTACTTGCTAAATGGTTCctag-5'
#19 m1 sense oligo; 5'-aattcAAACCAcgATGAACGATTTACCAAG-3'
#19 m1 anti-sense oligo; 3'-GTTTGGTgcTACTTGCTAAATGGTTCctag-5'
#19 m2 sense oligo; 5'-aattcAAACCAGacTGAACGATTTACCAAG-3'
#19 m2 anti-sense oligo ;3'-GTTTGGTCtgACTTGCTAAATGGTTCctag-5'
#19 m3 sense oligo; 5'-aattcAAACCAGCAcGAACGATTTACCAAG-3'
#19 m3 anti-sense oligo; 3'-GTTTGGTCGTgCTTGCTAAATGGTTCctag-5'
RI ラベルした RNA は各プラスミドを BamHI 消化し、RNA ポリメラーゼ
を用いて作成した。
d) 発 現 用 プ ラ ス ミ ド
>
< pBS zfox-1 (ORF)1>
pBS zfox-1 (all)をもとに、zfox-1 ORF 全長を以下のプライマーを用い PCR
により増幅し、pBS SK+の EcoRI/XhoI 部位に挿入した。
プライマー名 配列(5'-3')
zfox-1(ORF)-S CTA gaa ttc ATG TTG TCT TCT CCT ACT GTG
zfox-1(ORF)-AS TTG ctc gag TCA GTA TGG TGT GAA GCG
>
< pBS zfox-1 (ORF)2>
pBS zfox-1 (all)をもとに、zfox-1 ORF 全長を以下のプライマーを用い PCR
により増幅し、pBS SK+の EcoRI/XhoI 部位に挿入した。
プライマー名 配列(5'-3')
zfox-1(ORF)-S2
GCT gaa ttc CAT GTT GTC TTC TCC TAC
zfox-1(ORF)-AS TTG ctc gag TCA GTA TGG TGT GAA GCG
-53-
< pBS zfox-1 F-A1、
、 pBS zfox-1 F-A2>
>
pBS zfox-1 (ORF)1、pBS zfox-1 (ORF)2 をもとに以下のプライマーより
QuikChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE)を用いて塩基置
換を導入し作成した。
プライマー名 配列(5'-3')
(F-A)-S GGG TTT TGG Agc TGT GAC GTT TGA AAG TGC
(F-A)-AS GCA CTT TCA AAC GTC ACA gcT CCA AAA CCC
< pBS NLS>
>
SV40 の NLS を以下のオリゴヌクレオチドをアニールさせ 5’末端をリン酸
化処理し pBS SK+の XhoI/HindIII 部位に挿入した。
プライマー名 配列(5'-3')
SV40 (NLS) / Xho-S tcg agA TGC CAA AGA AGA AGC GTA AGG TAA
SV40 (NLS) / Hind-AS agc ttT ACC TTA CGC TTC TTC TTT GGC ATC
< pBS RRM>
>
pBS zfox-1 (all)を鋳型に RRM を含む領域を以下のプライマーを用い PCR
で増幅し、pBS SK+の HindIII/EcoRI 部位に挿入した。
プライマー名 配列(5'-3')
RRM / Hind-S
GGG aag ctt ATG CCT AAA AGG CTC CAT GTT
RRM / EcoRI-AS AAC gaa ttc TTA GAA GCT GGC AAC TGT ATA
>
< pBS zfox-1 (NLS-RRM)>
pBS RRM を HindIII/EcoRI で 消 化 し た イ ン サ ー ト を 、 pBS NLS の
HindIII/EcoRI 部位に挿入した。
∆BamHI)>
∆BamHI)、
>
、 pBS zfox-1 (NLS-RRM)(∆
< pBS zfox-1 (ORF)2(∆
pBS zfox-1 (ORF)2、pBS zfox-1 (NLS-RRM)をそれぞれ SpeI/EcoRI で消化後、
Klenow Fragment により平滑化し、セルフライゲーションにより再結合した。
∆N>
< pBS zfox-1∆
>
pBS zfox-1 (ORF)2(∆BamHI)を XhoI(平滑化)/BamHI で消化したインサート
を、pBS zfox-1 (NLS-RRM)(∆bamHI)の EcoRI(平滑化)/BamHI 部位に挿入した。
∆C(∆
∆NLS)>
< pBS zfox-1∆
>
-54-
pBS zfox-1 (NLS-RRM)(∆bamHI)を EcoRI(平滑化)/BamHI で消化したインサ
ートを、pBS zfox-1 (ORF)2(∆BamHI)の XhoI(平滑化)/BamHI 部位に挿入した。
∆C>
< pBS zfox-1∆
>
pBS zfox-1∆C(∆NLS)を Asp718(平滑化)/EcoRI で消化したインサートを、pBS
NLS の BamHI(平滑化)/EcoRI 部位に挿入した。
< pCS2+MT zfox-1、
、 pCS+MT F-A>
>
pBS zfox-1 (ORF)2、pBS F-A2 を EcoRI/XhoI で消化したインサートを、
pCS2+MT に挿入した。
< pCS2+Fg zfox-1>
>
pBS zfox-1 (ORF)1 を EcoRI/XhoI で消化したインサートを、pCS2+Fg に挿
入した。
∆N、
∆C>
< pCS2+MT zfox-1∆
、 pCS2+MT zfox-1∆
>
pBS zfox-1∆N、pBS zfox-1∆C を NotI(平滑化)/XhoI で消化したインサートを、
pCS2+MT の XbaI(平滑化)/XhoI 部位に挿入した。
< pGEX 6P-1 zfox-1、
、 pGEX 6P-1 F-A>
>
pBS zfox-1 (ORF)1、pBS F-A1 から EcoRI/XhoI でインサートを切り出し、
pGEX 6P-1(Pharmacia)の EcoRI/XhoI 部位に挿入した。
∆C>
∆N、
>
、 pCS2+Fg zfox-1∆
< pCS2+Fg zfox-1∆
pBS zfox-1∆N、pBS zfox-1∆C を Asp718(平滑化)/NotI(平滑化)、XhoI(平滑
化)/SpeI(平滑化)でそれぞれ消化したインサートを、pCS2+Fg の StuI 部位に
挿入した。
>
< pBS mfox-1/A2BP1>
マウス female 脳由来 cDNA ライブラリーより得られた、mfox-1/A2BP1 の
翻訳領域全長を含む cDNA(GenBank Accession No.AB041596)を橋本克之
博士より供与していただいた。この cDNA をもとに以下のプライマーを用
い PCR により翻訳領域を増幅し、pBS の XhoI/EcoRV 部位に挿入した。
プライマー名 配列(5'-3')
A2BP1-S : AGA ctc gag ATG AAT TGT GAA AGA GAG CAG
-55-
A2BP1-AS : TTT gat atc TTA GTA TGG AGC AAA ACG G
< pCS2+MT mfox-1/A2BP1>
>
pBS mfox-1/A2BP1 から XhoI/XbaI で消化したインサートを、pCS2+MT の
XhoI/XbaI 部位に挿入した。
< pBS mPTB4>
>
マウス E9.5 の RNA をもとに以下のプライマーを用いて PCR で増幅し、pBS
SK+の XhoI/EcoRV 部位に挿入した。
プライマー名 配列(5'-3')
PTB-S
CTG ctc gag ATG GAC GGC ATC GTC CCA GAT
PTB-AS CCT gat atc CTA GAT GGT GGA CTT GGA GAA
< pCS2+MT mPTB4>
>
pBS mPTB4 か ら XhoI/XbaI で 消 化 し た イ ン サ ー ト を 、 pCS2+MT の
XhoI/XbaI 部位に挿入した。
< pBS mfxh/RBM9>
>
マウス E9.5 の RNA をもとに以下のプライマーを用いて PCR で増幅し、pBS
SK+の XhoI/EcoRV 部位に挿入した。
プライマー名 配列(5'-3')
RBM9-S GTT ctc gag ATG GAG AAA AAG AAA ATG G
RBM9-AS GCA gat atc TCA CGT CAC TTC AGT AGG G
>
< pCS2+MT mfxh/RBM9>
pBS mPTB4 か ら XhoI/XbaI で 消 化 し た イ ン サ ー ト を 、 pCS2+MT の
XhoI/XbaI 部位に挿入した。
e) レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド
>
< hF1γγ (L)>
自治医大の遠藤仁博士より供与して頂いた。hF1γのゲノム領域 +13648 +13853、+17433 - +18568 を pcDEB ベクターに挿入してある。
< hF1γγ (S)>
>
自治医大の遠藤仁博士より供与して頂いた。hF1γのゲノム領域 +13650 -56-
+13741、+17733 - +17866、+18405 - +18572 を pCMV-SPORT ベクターに挿入
してある。
< α-actinin(
( ラ ッ ト α-ア
アク チ ニ ン ミ ニ 遺 伝 子 ) >
C.W.Smith 博士より供与して頂いた。ラットα-アクチニンのゲノム領域
+25 - +2950 を pGEM4Z ベクターに挿入してある。
< pCS2+ EF-NM>
>
α-actinin をもとに PCR にて EF1a エキソンと NM エキソン間のゲノム断
片を以下のプライマーを用い PCR にて増幅後、pCS2+の BamHI/XhoI 部位に
挿入した。
プライマー名 配列(5'-3')
actinin(EF1a)-S ACC gga tcc GAA GTG GAG AAC CAG ATC TTG
actinin(NM)-AS TAA ctc gag CTG ATG AGG CAG GCT TTG AA
< pCS2+ EF-NM/14-15>
>
ニワトリδクリスタリン遺伝子のエキソン 14-15 を含むミニ遺伝子、SP1415 を HIndIII(平滑化)/XbaI 消化したものをインサートに、pCS2+ EF-NM の
XhoI(平滑化)/XbaI 部位に挿入した。
>
< pCS2+ NM-SM-EF2>
α-actinin をもとに PCR にて NM エキソンと EF2 エキソン間のゲノム断片を
以下のプライマーを用い PCR にて増幅後、pCS2+の XhoI/XbaI 部位に挿入し
た。
プライマー名 配列(5'-3')
actinin(NM)-S CGG ctc gag GAT CAC TCC GGC ACG TTG GG
actinin(EF2)-AS TCT tct aga ACA TGA AGT CGA TGA AGG CC
>
< 7iBi89>
R.O.Hynes 博士から供与して頂いた。ラット フィブロネクチン遺伝子 III-7b
エキソンから III-9 エキソンまで含むゲノム断片を pBAGH ベクターに挿入
してある(Huh and Hynes, 1993)。
4)実験方法
-57-
a) RNA 調 製
マウス初期胚、ゼブラフィッシュ初期胚および培養細胞からの全 RNA の抽出
は、ISOGEN(ニッポンジーン)を用いて行った。方法は基本的に推奨プロトコ
ールにしたがった。
b) RT-PCR
RT 反応、RNA 溶液からの cDNA 合成は RNA PCR Kit (AMV) Ver.2.1 (TaKaRa)
を用いてプロトコールにしたがい行った。PCR 反応には基本的に Ex taq ポリメ
ラーゼを用い、そのプロトコールにしたがった。
c) cDNA ラ イ ブ ラ リ ー ス ク リ ー ニ ン グ
cDNA ライブラリーは、David Jonah Grunwald 博士により供与していただいた、
受精後 9∼16 時間胚(neurula)由来の Oligo(dT) primed λZAPII cDNA ライブラ
リーを用いた。このライブラリーは 3'側の EcoRI と、5'側の XhoI によりλZAP
に入っている。このライブラリーを用いて 120 万プラークに対してスクリーニ
ングを行った。ナイロンメンブレンにプラークを写し取り、ジコキシゲニン(DIG、
Roche)標識した DNA プローブを用いて 42℃、14 時間ハイブリダイゼーション
を行った(ハイブリダイゼーション緩衝液 [50%ホルムアミド、5x SSC、2%
Blocking reagent(Boehringer Mannheim)、0.1% N-ラウロイルサルコシンナトリ
ウム、0.02% SDS])。メンブレンは 0.1x SSC/0.1x SDS (60℃)で洗浄した後、アル
カリフォスファターゼ融合 DIG 抗体(Roche)を用いて検出した。三次スクリーニ
ングまで行い、陽性プラークに関しては Rapid Excision kit (Stratagene)を用いて
プラスミド化した。
d) 5' RACE 法
cDNA ライブラリースクリーニングで得られたプラスミドには含まれていな
かった開始コドンを含む 5'上流域の塩基配列を決めるために、5' RACE(5' rapid
amplification of cDNA ends)法を行った。この方法は、MMLV 逆転写酵素を用い、
mRNA の 5'末端まで逆転写したときに最後に(dC) tail を付加するという性質を利
用している。つまり逆転写後の PCR においてこの 3'末端の(dC) tail と相補的な
GGG という配列を 3'末端に持つプライマーを用いることで mRNA の最後まで逆
転写された cDNA のみを増幅できる。受精後 24 時間胚由来の 1µg/µl の RNA を
1µl、10pmol /µl の SMARTIII プライマー [配列:5'-AAG CAG TGG TAT CAA CGC
AGA GTG GCC ATT ATG GCC GGG-3'、SMARTTM cDNA Library Construction Kit
(CLONTECH)]を 1µl、10pmol/µl の fox-1/2 プライマーを 1µl、そして DEPC
-58-
水で全量 7.5µl にした溶液を、72℃、2 分間変性させ、RNA PCR kit Vir2.1 の試
薬を足して 50℃で 30 分間 RT 反応させた。1st PCR として、アニーリング温度
を 58℃、PCR サイクル数を 25 回、センスプライマーに SMARTIII プライマーを、
アンチセンスプライマーに fox-1/2 を用い PCR を行った。次に 2nd PCR として、
アニーリング温度を 57℃、PCR サイクル数を 30 回、センスプライマーに 5'PCR
プライマー [配列:5'-AAG CAG TGG TAT CAA CGC AGA GT-3'、SMARTTM cDNA
Library Construction Kit]、アンチセンスプライマーに zfox#2 (5' RACE) / 3' [配列:
5'-GGT AGA CTC TCA GCT GAT GAT GA-3']を用い PCR を行った。2nd PCR 産物
を pCRII ベクター(TOPO TA Cloning、Invitrogen 社)にサブクローニングした。
zfox-1 (5' RACE) / pCRII
cDNA ライブラリーから得られた zfox-1(library) / pBS と、今回 5' RACE で得ら
れた zfox-1(5' RACE) / pCRII をつなぎ合わせた。zfox-1(library) / pBS、zfox-1 (5'
RACE) / pCRII 共に AccI、EcoRI 消化し、zfox-1(5' RACE) / pCRII をインサートに
サブクローニングしたものを、zfox-1(all) / pBS とした。
e) ノ ー ザ ン ブ ロ ッ ト ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン
全 RNA、1∼10µg を変性ゲル[1x MOPS、0.6M ホルムアルデヒド、1% LO3
agarose]にて電気泳動後、ナイロンメンブレンに写した。その後メチレンブルー
溶液(0.5M 酢酸ナトリウム pH5.2、0.04%メチレンブルー)により RNA を染色
した。この後の発色・検出まではライブラリースクリーニングと同様である。
f) ホ ー ル マ ウ ン ト in situ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン
ゼブラフィッシュ胚を用いたホールマウント in situ ハイブリダイゼーション
は Maegawa らの方法に従った(ref)。4%パラホルムアルデヒド/PBS 溶液にて 4℃
で一晩固定し、その後メタノール置換した胚を用いた。準備したゼブラフィッ
シュ胚を PBST [0.1% Tween-20(SIGMA)/ PBS]で洗浄し、4% PFA / PBS で再固
定を行った後 in situ ハイブリダイゼーション緩衝液[5x SSC、50%ホルムアミド、
0.1% Tween-20、50µg / ml yeast-tRNA(Boehringer Mannheim)、50µg / ml heparin]
中で DIG 標識アンチセンス RNA をプローブとしてハイブリダイゼーションを
行った。ハイブリダイゼーション後、RNase [20µl / ml RNase A、10U µl / ml RNase
T1(RIBONUCLEASE T1 (EC 3.1.27.3)、SIGMA)]処理し、0.2x SSCT、55℃で
洗浄を行った。アルカリフォスファターゼ融合抗 DIG 抗体を 4℃で一晩反応さ
せた。抗体洗浄後、NBT (4-Nitroblue tetrazolium chloride、Boehringer Mannheim) と
BCIP (5-bromo-4-chloro-3-indolyl-phosphate-4-toluidine salt、Boehringer Mannheim)
を基質に発色させた。発色後、4% PFA / PBS で固定を行い、必要に応じてアセ
-59-
トンで脱色を行った。
g) GST 融 合 タ ン パ ク 質 の 発 現 、 精 製
E.coli BL21(DE3) を 宿 主 に 形 質 転 換 し 0.1mM の IPTG (Isopropyl β -D(-)Thiogalactopyranoside)にて GST 融合タンパク質を発現させた。集菌した後、生
理食塩水 [0.85% NaCl]で洗菌し、PBS に懸濁した。菌体懸濁液を氷上で超音波
破砕処理 [60 秒間(出力 0.5 秒、間隔 1 秒) x 4-5 回]を行い、終濃度 1%で Triton
X-100 を加え、穏やかに混合した後、14,000 rpm、4℃、10 分間遠心分離を行い
上清を回収し、200μl ずつ分注し-80℃に保存し、これを zFox-1 タンパク質溶液
とした。精製は、グルタチオンビーズの精製プロトコールにしたがった。
h) SELEX 法 に よ る 標 的 RNA 配 列 の 決 定
SELEX 法は Tuerk らによって報告された、RNA 結合タンパク質の RNA リガ
ンドを決定する方法である(Tuerk and Gold, 1990)。ランダムな配列を持った RNA
プールを、目的の RNA 結合性タンパク質と結合させ、その結合した RNA のみ
を回収し RT-PCR を行い 2 本鎖 DNA を作る。これを鋳型に転写を行い RNA を
作り、再び目的の RNA 結合性タンパク質と結合させるといった一連のサイクル
を繰り返し、より強く結合する RNA のみを増幅させ単離するのが SELEX 法で
ある。最終的に増幅した DNA の塩基配列を決定することで、どのような RNA
配列に強く結合するのかを知ることが可能である。
以下のオリゴ DNA を用いて RNA を作製した。
プライマー名 配列(5'-3')
linear N25 TGG GCA CTA TTT ATA TCA AC (N25)
AAT GTC GTT GGT GGC CC
T7 univ. primer CGC gga tcc TAA TAC GAC TCA CTA TAG GGG
CCA CCA ACG ACA TT
Rev. univ. primer CCC GAC ACC CGC gga tcc ATG GGC ACT ATT
TATATC AAC
まず、linear N25 を鋳型に T7 univ. primer と Rev. univ. primer を用いて PCR を
行った。T7-MEGAshortscript in vitro Transcription Kit(Ambion)を用いて RNA 転
写した。D'K200T [20mM HEPES (pH7.9)、5%グリセロール、200mM KCl、10%
Triton-X 100]で平衡化した 75% Glutathion-Sepharose 4B beads(Pharmacia)、25µl
に 200µl の zFox-1 タンパク質溶液加え 4℃、30 分間撹拌させ、ビーズに吸着さ
せた。非吸着のタンパク質を取り除いた後、ビーズに 100µl の D'K200T、1µg の
yeast-tRNA、40 U の RNasin を加え撹拌し、さらに作製したランダム RNA を 1µl
-60-
加え、4℃で 1 時間撹拌させながら、RNA を吸着させた。非吸着の RNA を除去
し、溶出緩衝液 [50mM Tris-HCl (pH8.0)、50mM NaCl、1mM EDTA、20mM reduced
Glutathion]にて RNA を溶出させた。フェノール / クロロホルム抽出、クロロホ
ルム抽出、エタノール沈殿した。得られた RNA 溶液を用い、Rev. Univ. primer
を元に逆転写反応を行った。逆転写産物の cDNA を用い、プライマーに T7 univ.
primer と Rev. univ. primer を用いて PCR 反応を行った。PCR 産物を鋳型に T7 univ.
primer と Rev. univ. primer を用いて PCR を行い、RNA を転写し、ビーズに結合、
溶出、PCR といった一連の操作を 5 回繰り返した。最終的に得られた PCR 産物
を pSP65(Promega)の EcoRI/BamHI 部位に挿入し、塩基配列を決定した。
i) UV ク ロ ス リ ン ク 法
UV クロスリンク法は基本的に Inoue らの方法に従った(Inoue et al., 1990)。精
製したタンパク質と RI 標識した RNA の結合は 1 mg/ml の酵母 tRNA を含む結
合緩衝液(15mM HEPES pH7.9、5%グリセロール、50mM KCl、6.25mM MgCl2、
1mM DTT、0.2mM APMSF)中で行った。25℃で 20∼30 分間結合後、パラフィ
ルム上で UV 照射した。その後、1 mg/ml の RNaseA を加え 25℃で 20 分間反応
後、10∼15%SDS ゲルにて電気泳動を行った。
j) ゲ ル 移 動 度 シ フ ト 法
ゲル移動度シフト法は基本的に Yoshida らの方法にしたがった(Yoshida and
Yasuda, 2002)。精製したタンパク質と RI 標識した RNA の結合は 1 mg/ml の酵母
tRNA を含む結合緩衝液(15mM HEPES pH7.9、5%グリセロール、50mM KCl、
6.25mM MgCl2、1mM DTT、0.2mM APMSF)中で行った。その後、ポリアクリ
ルアミドゲルにて電気泳動を行った。
k) 培 養 細 胞 へ の 遺 伝 子 導 入
培養細胞には、マウス筋芽細胞由来の C2C12、マウス(100 日)繊維芽細胞
由来の L929、マウス胚由来の NIH3T3、アフリカ緑ザル腎臓由来の CV-1 を用い
た。培地は DMEM(ダルベッコ変法イーグル培地、日本製薬)を用い、血清に
は NIH3T3 は 9% CS(Calf Serum、HyClone 社)、それ以外は 9% FBS(Fetal Bovine
Serum、HyClone 社)を用いた。培地には 14mM D-(+)-グルコース、25mM 炭酸
水素ナトリウム、5.5 万単位のペニシリン(結晶ペニシリン G カリウム、萬有製
薬)、55mg 力価のストレプトマイシン(硫酸ストレプトマイシン、明治製薬)
を加えた。DNA の導入はリン酸カルシウム法を用いた(Ogawa et al., 1995)。DNA
導入6時間後、PBS で洗浄し、新しい培地で 18 時間培養した。
-61-
l) 培 養 細 胞 の 抗 体 染 色
培養細胞に強制発現させた zFox-1 タンパク質が細胞のどこに局在しているの
かを知るために、Myc タグの抗体染色を行った。トランスフェクション後、4%
PFA / PBS で 4℃、30 分間固定した。固定後、メタノールを加え-20℃で 10 分以
上放置し脱水を行った。PBST で洗浄後、5% skim milk / PBS でブロッキングを
室温 1 時間で行った。次に 1,000 倍希釈になるように抗 Myc 抗体(cMyc 9E10、
mouse monoclonal IgG1、Santa Cruz Biotechnology)を 1% skim milk / PBS に加え、
抗体反応を室温 1 時間行った。その後 PBST で洗浄し 100 倍希釈になるように goat
由来 anti-mouse IgG / FITC F(ab')2 を 1% skim milk / PBS に加え、抗体反応を室温
1 時間行った。PBST で洗浄後、0.1µg/µl のヘキスト(Hoechst)を 1,000 倍希釈
で加えた。最後に 90%グリセロール / PBS に 0.1mg / ml になるように p-フェニ
レンジアミン(退色防止剤)を加えたもので固定し、スライドグラスを被せた。
保存条件は-20℃、遮光である。
m) 細 胞 抽 出 液 の 作 成 と ウ エ ス タ ン ブ ロ ッ ト 法
培養細胞を lysis バッファー(50 mM Tris-HCl pH7.5、150 mM NaCl、1% NP-40、
1mM EDTA、0.2mM APMSF)に溶解したものを抽出液とした。得られた細胞抽
出液のタンパク質を 7.5∼10%の SDS ゲルに電気泳動後、ニトロセルロース膜に
転写した。転写したニトロセルロース膜を 5%スキムミルクでブロッキングし、
マウス抗 Myc 抗体(9E10)に反応させた。2 次抗体としてヒツジ抗マウス抗体 IgG
(Amersham)を用いた。シグナルの検出は ECL キット(Amersham)を使用し
た。
n) in vivo ス プ ラ イ シ ン グ 実 験
レポーター及びエフェクターを導入して 24 時間経過した培養細胞から全 RNA
を ISOGEN により回収した。回収した全 RNA を用いて RT-PCR を行った。レポ
ーターがラットα-actinin、NM-SM-EF2、7iBi89 の場合は T7 プライマーを用いて、
50℃にて逆転写反応を行った。それ以外はオリゴ dT プライマーを用いて逆転写
反応を行った。PCR は各レポーターに対して、以下のプライマーを用いて行っ
た。PCR のサイクル数は 30 回、5% PAGE ゲルにて電気泳動後、エチジウムブ
ロマイド、またはサイバーグリーンにて検出した。
レポーター名 プライマー名
mF1γ #2903、#2389
-62-
hF1γ (L) #2903、#2389
hF1γ (S) #2903、T7
hF1γ (S,m1) #2903、T7
rat α-actinin ACTs121、ACTas2873
EF1a-NM/14-15 EF1a-S、T7
NM-SM-EF2 NM-S、SM-AS
NM-S、NM-AS
7iBi89 7iBi89-S、hGHpolyA-AS
プライマー名 配列(5'-3')
#2903 GTC ATC ACA AAA GAG TTG ATT G
#2389 CAC TGC ATT CTA GTT GTG GTT TGT
T7 AAT ACG ACT CAC TAT AG
ACTs121 CGA GCC TCC TTC AAC CAC TT
ACTas2873 TCT ACA ATG CTC ATG ATC CGG
EF1a-S ACC gga tcc GAA GTG GAG AAC CAG ATC TTG
NM-S CGG ctc gag GAT CAC TCC GGC ACG TTG GG
SM-AS CCA ctc gag AAC CCA TGG AGA TAA GGC AG
NM-AS GGG TCG TTG CCA ATA TC
7iBi89-S TTC gaa ttc ATC AGA GTT CCT GCA CT
hGHpolyA-AS CTG ctc gag ACT GGA GTG GCA ACT TC
o) 免 疫 沈 降 実 験
免疫沈降実験は基本的に Kasashima らの方法にしたがった(Kasashima et al.,
2002)。培養細胞をトリプシンを用いてディッシュから剥がし、培地でトリプシ
ンを不活化した。1,000 rpm、2 分間、遠心後上清を捨て、冷やした PBS に懸濁
し、再度遠心を行う。上清を捨て、500ml の PBS に再懸濁し、エッペンチュー
ブに移し、1,000 rpm (1,000 g)、2 分間、遠心を行う。上清を捨て、沈殿として得
られた細胞を、D’K100 [20 mM Hepes-KOH (pH7.9)、100 mM KCl、0.2 mM EDTA、
10 % グリセロール、2 mM DTT]の溶液中で、超音波破砕を行った(5 秒、間隔
30 秒を 5 回)。超音波破砕された細胞溶液を、14,000 rpm、20 分間遠心し、上清
を細胞抽出液とした。分注後、液体窒素で凍結し、-80 度にて保存した。
得られた細胞抽出液を、0.5 ~ 1.0 mg / ml の濃度になるように調整し、抗体と
10 mg / ml の Rnase A を 2.5 ml 加え、4℃で終夜回転反応させた。翌日、14,000 rpm、
1 分間遠心後上清を、Protein A が化学結合された Sepharose ビーズ 10 – 20 ml に
-63-
加えた。4℃、1 – 2 時間、回転反応を行った。抗体と Protein A を結合させた後、
D’K100 緩衝液にて 5 回、洗浄を行った。洗浄後 SDS サンプル緩衝液を加え、95℃、
2 分間変性処理を行った、この変性タンパク質を 10% SDS-PAGE にて泳動後、
ウエスタン解析を行った。
-64-
第三章、結果
新たな選択的スプライシング制御因子を単離・同定するにあたり、私は fox-1 遺伝
子に着目した。線虫 fox-1 (feminizing locus on X)は、線虫の性決定過程に働く遺伝子
であることが報告されている(Hodgkin et al., 1994)。遺伝学的な解析から fox-1 の下流
には xol-1 (XO lethal)遺伝子が位置している。現在明らかになっていることは、1)fox-1
変異体の雌雄同体(XX)では、機能的な XOL-1 を作り出す 2.2 kb のスプライシングバ
リアント mRNA の存在量が増加する(Skipper et al., 1999)。2)fox-1 による xol-1 の制
御は転写制御ではない(Nicoll et al., 1997)。つまり転写後制御である。3)Fox-1 タン
パク質が線虫胚において核に局在している(Nicoll et al., 1997)。
この 3 つの結果から、線虫 fox-1 は xol-1 の性特異的なスプライシングを制御する
ことで、xol-1 の遺伝子発現を抑制していると考えられている(Skipper et al., 1999)。私
は脊椎動物の fox-1 相同遺伝子も選択的スプライシング制御因子であろうと考え、ゼ
ブラフィッシュおよびマウスの fox-1 遺伝子に着目した。
1 ) ゼ ブ ラ フ ィ ッ シ ュ fox-1 遺 伝 子 の 単 離 と 発 現 解 析
a) ゼ ブ ラ フ ィ ッ シ ュ fox-1 遺 伝 子 は RRM を 一 つ 持 つ RNA 結 合 タ ン パ ク 質
をコードする
ゼブラフィッシュ fox-1 を単離するために、受精後 24 時間胚由来の RNA から
RT-PCR を用い、zfox-1 の RRM 領域を含む部分 cDNA 断片を単離した。この cDNA
断片をプローブとして、受精後 9∼16 時間胚(neurula)由来の Oligo(dT) primed
λZAPII cDNA ライブラリー(D. Glunwald 博士から供与)120 万プラークから zfox-1
cDNA を単離した。この cDNA 配列中には開始コドンが含まれていなかったた
め、開始コドンを含む 5’非翻訳領域を、受精後 24 時間胚由来の RNA から 5’ RACE
法により単離した(Frohman et al., 1988)。cDNA ライブラリースクリーニングと 、
5’ RACE 法から得られた cDNA から、完全長翻訳領域(ORF)を含む cDNA を得
た。その結果、得られた zfox-1 遺伝子は、5’非翻訳領域が 298 bp、翻訳領域が 1,146
bp、3’非翻訳領域が 769 bp にポリ A 鎖が付加しているものであった(図 3-1)。
3’非翻訳領域には典型的なポリ A 付加シグナルは存在していなかった。翻訳領
域から翻訳されるアミノ酸数は 382(図 3-1)、RNA は 80 アミノ酸からなり、ま
た RRM 以外の既知の機能ドメインは認められなかった。zfox-1 遺伝子は、RRM
を一つ持つ RNA 結合タンパク質を作り出す遺伝子であることが、強く示唆され
た。なお、zFox-1 タンパク質の RRM、そして RRM を除く N 末端、C 末端領域
の identity は、線虫 Fox-1 タンパク質とは 88%、11%、19%という数値を示した
-65-
(図 3-3A)。
b) zfox-1 遺 伝 子 は 初 期 発 生 過 程 に お い て 筋 肉 系 列 組 織 に 特 異 的 に 発 現 す る
zfox-1 の機能解析の一環として、ゼブラフィッシュ初期発生過程における
mRNA の発現を調べた。
zfox-1 の初期発生過程における発現時期を調べるためにノーザン解析を行った。
RRM 領域を含むプローブを用いた結果、zfox-1 は受精後 6 時間から 12 時間の間
に発現し始めることが明らかとなった。また、主に検出されたのは約 2.4 k、4.4 kb
のサイズの RNA であり、これらの他にも4つのサイズの RNA を確認した(図
3-4)。
zfox-1 の初期発生過程における発現部位を調べるために、
ホールマウント in situ
ハイブリダイゼーションを行った。その結果、zfox-1 は、卵黄への覆い被せ運動
の終わる 90% エピボリー期(受精後 9 時間、図 3-5)には将来遅筋(赤筋)に
なる adaxial cell と呼ばれる細胞群で発現していることがわかり(図 3-6A, B)、
その後、体節、及び未分節の体節板 (pre-somitic mesoderm)にも発現することが
わかった(図 3-6C-F、data not shown)。また、早期体節分節期(受精後 11-12 時
間)には頭部両側方に心臓原基の発現が観察された(図 3-6C, D)。さらに発生
を進めたゼブラフィッシュ胚での発現を検出すると、受精後 19 時間では、頭部
両側方に見られた心臓原基の発現が互いに中央に寄っていき円形の発現を見せ
た(図 3-6E, F)。その後、心臓原基での発現領域は左側方へと移り変わる事が認
められた(図 3-6H、受精後 24 時間)。体節および adaxial cell での発現が弱まっ
ている受精後 48 時間では鰭原基(finbud)での発現が観察され、さらに目の近
傍や jaw muscle(顎を動かす筋肉)にも発現が見られた(図 3-6I, J, K)。心臓原
基では受精後 48 時間においても強い発現が認められた(図 3-6J)。
以上の結果から、zfox-1 は筋肉系列組織において特異的に発現することが明ら
かとなった。また zfox-1 mRNA の発現は、心臓原基を除く他の部分での発現時
期、発現領域共に MyoD と非常に類似している(data not shown)(Weinberg et al.,
1996)。
上記でのホールマウント in situ ハイブリダイゼーションは、RRM 領域を含む
RNA プローブを用いて行った。一方、ノーザンブロット解析において 5’非翻訳
領域のプローブを用いた場合、検出された RNA のバンド数が少なかったことか
ら、5’非翻訳領域の異なる mRNA の存在が示唆された(data not shown)。そこで、
非翻訳領域の RNA プローブを用いたホールマウント in situ ハイブリダイゼー
ションを行った。その結果、3’非翻訳領域のプローブを用いた場合には、RRM
領域を含むプローブと同様の発現が観察されたが、5’非翻訳領域のプローブで
-66-
は心臓原基での発現が認められなかった(data not shown)。このことから zfox-1
の心臓原基での発現と、それ以外での発現を制御するプロモーターが異なるこ
とが示唆された。
2 ) マ ウ ス fox-1 遺 伝 子 の 単 離 と 発 現 解 析
a) マ ウ ス fox-1 遺 伝 子 は RRM を 一 つ 持 つ RNA 結 合 タ ン パ ク 質 を コ ー ド す
る
マウス fox-1 は、データベースにて登録されていたゼブラフィッシュ fox-1 遺
伝子と相同性の高いマウス A2BP1(Ataxin2 binding protein 1) (GenBank Accession
No.AB041596)の cDNA を橋本克之博士、菅野純夫博士に供与して頂いた(図 32)。
マウス Fox-1/A2BP1 の RRM、そして RRM を除く N 末端、C 末端領域の identity
は、ゼブラフィッシュ Fox-1 タンパク質とは 90%、12%、45%という数値を示し
た(図 3- A)。
b) マ ウ ス fox-1 の 発 現 解 析
マウス fox-1 の発現組織を知るために、様々な組織由来のポリ(A) RNA を用い
ノザン解析を行った(STRATAGENE)。その結果 mfox-1 は、ゼブラフィッシュ fox-1
と同様に心臓及び骨格筋の筋肉系列組織と、脳で発現することが明らかとなっ
た(図 3-7)。また、使用したポリ(A) RNA は 7-10 週の胎児において発現してい
る RNA である。マウス fox-1/A2BP1 は発生時期において心臓原基に発現するこ
とが報告されている(Kiehl et al., 2001)。
3 ) Fox-1 タ ン パ ク 質 の 機 能 解 析
a) Fox-1 は 細 胞 内 に お い て 核 に 局 在 す る
あるタンパク質の細胞内での局在場所を調べることは、そのタンパク質の機
能を予測、推察する上で非常に重要な情報になる。例えば、本研究のように RNA
結合タンパク質の局在を調べたときに、核にあればキャップ構造の付加・スプ
ライシング・ポリ(A)鎖付加などの核内での RNA 動態に、細胞質にあれば mRNA
の局在化・安定化・翻訳効率の制御などに、核・細胞質共に存在していれば mRNA
の輸送などに関与しているのではないかということがある程度、推測できる。
そこで本研究においても RNA 結合タンパク質である Fox-1 の細胞内での局在
を調べるために、Myc タグ融合 zFox-1 をほ乳類培養細胞に発現させ、そして Myc
-67-
タグに対する抗体を用いて抗体染色を行った。結果、mFox-1、zFox-1 共に核に
局在していることが明らかとなった(図 3-8)。また、ゼブラフィシュ胚に myczfox-1 mRNA を導入し、そして Myc タグに対する抗体染色を用いて調べた場合
にも、核への局在を確認している(data not shown)。線虫胚において線虫 Fox-1
が免疫染色により核に局在していることも明らかである(Nicoll et al., 1997)。線
虫 Fox-1 はゼブラフィッシュおよびマウス Fox-1 と RRM が似ていることから同
様の RNA 配列に結合できると共に、核内での機能も同様ではないかと予想され
る(図 3-3A)。
b) in vitro に お い て zFox-1 は RNA 配 列 GCAUG を 認 識 す る
fox-1 の標的遺伝子を明らかにする糸口として、zFox-1 の標的 RNA 配列を
SELEX (systematic evolution of ligands by exponential enrichment)法により決定した
(Tuerk and Gold, 1990)。SELEX 実験は、25 塩基の無作為な配列を持つ RNA の転
写、それら RNA プールとタンパク質との結合、結合した RNA の回収、逆転写
による cDNA 合成、PCR による増幅の一連の操作を繰り返す事で、そのタンパ
ク質がより強固に認識する配列を選択する方法である(図 3-9)。本研究では一
連の作業を 5 回繰り返した後に、18 クローンの塩基配列を決定した(図 3-10)。
その結果、18 クローン中 14 クローンにおいて GCAUG の共通配列が、18 クロ
ーン中 2 クローンにおいては GCACG の塩基配列が存在していることが明らか
となった(図 3-10)。
c) in vitro に お い て Fox-1 は RNA 配 列 GCAUG を 特 異 的 に 認 識 す る
SELEX 法で単離した RNA 鎖が zFox-1 と実際に結合するのかどうかを調べる
ために、ゲル移動度シフト法を行った。その結果、#10 の RNA と GST 融合 zFox-1
は in vitro において結合することが明らかとなった(図 3-11A, lanes 1-3)。#10 の
RNA は配列 GCAUG を持ち、さらにその配列のすぐ 5’側上流が A という(18
クローン中 9 クローン)最も典型的な配列を持った RNA 鎖である。
次に zFox-1 が配列 GCAUG に特異的に結合しているのかどうか調べるために、
塩基置換を導入した RNA への結合強度をゲル移動度シフト法により比較した。
導入した塩基置換は、GCAUG→cgAUG (m1)、GCAUG→GacUG (m2)、GCAUG
→GCAcG (m3)である。結果、SELEX 法においても単離されていた GCAcG(mt3)
には弱いながらも結合が認められた(図 3-11A, lanes 10-12)。zFox-1 と配列
GCAUG を持つ RNA との結合強度が zFox-1 の濃度に依存するかどうかを、タン
パク質の濃度を変化させゲル移動度シフト法を行った。その結果、量依存的な
結合活性が認められた(図 3-11B)。さらに、GCAUG 配列と cgAUG 配列を持つ
-68-
RNA を用いて競合阻害実験を行った結果、非 RI 標識の#10 (wt、GCAUG)の RNA
を用いた場合は結合が阻害されたが(図 3-11C, lanes 2-6)、#10 (m1、cgAUG)の
RNA を用いた場合は阻害がほとんど認められなかった(図 3-11C, lanes 7-10)。
以上の結果から、配列 GCAUG が zFox-1 の至適結合配列であることが明らかと
なった。
mFox-1 も、配列 GCAUG に特異的に結合する活性を有することを UV クロス
リンク実験により確かめた(図 3-17C, lanes 5-8)
4 ) fox-1 遺 伝 子 の 機 能 解 析
スプライシング制御活性の検討
初期胚における発現解析の結果、fox-1 は筋肉系列組織に発現していることが明ら
かとなった(図 3-6,7)。さらに Fox-1 が細胞内において核に局在し、in vitro におい
て配列 GCAUG に結合することを明らかとした(図 3-8,11)。そこで、以上の結果と
線虫 fox-1 の知見を総合することで脊椎動物 fox-1 が筋特異的スプライシング制御因
子という作業仮説を立てた。ほ乳類では、多くの遺伝子において筋肉系列特異的な
スプライシングが報告されている。その中で、マウス及びヒトのミトコンドリア ATP
合成酵素γサブユニット(F1γ)とラットα-アクチニンが遺伝子中に配列 GCAUG を
複数持つことがわかった(図 3-12、18)(Matsuda et al., 1993b; Southby et al., 1999)。F1γ
は、筋肉系列でのみエキソン9の使用が阻害される、カセット型の選択的スプライ
シングにより制御されている(図 3-13A)(Matsuda et al., 1993a)。α-アクチニンは
NM(nonmuscle)エキソンと SM(smooth muscle)エキソンを排他的に使い分けている(図
3-19A)(Southby et al., 1999)。fox-1 がスプライシング制御因子という仮定を実証する
ために、これらの遺伝子のミニ遺伝子を用い、ほ乳類培養細胞系による in vivo スプ
ライシング実験を行った。
a) ヒ ト F1γ
< fox-1 は ヒ ト F1γの 筋 肉 型 ス プ ラ イ シ ン グ を 誘 導 す る >
ヒト F1γは筋肉系列細胞においてエキソン 9 がスキップされることが知られ
ている(図 3-13A)(Matsuda et al., 1993b)。この遺伝子のエキソン 8、9、10 と
その間のイントロンを含むミニ遺伝子を用いて、in vivo におけるスプライシ
ング解析を行った。解析は、ほ乳類培養細胞にミニ遺伝子とエフェクターの
ベクターDNA を遺伝子導入後、mRNA 産物を RT-PCR により増幅し、増幅産
物を電気泳動にて分離・解析するという方法にて行った。ミニ遺伝子のみを
ほ乳類培養細胞に導入した場合はエキソン 9 を含む非筋肉型の mRNA が主に
-69-
検出されていたが(図 3-13B, lane1)、ゼブラフィッシュまたはマウス fox-1 を
共発現させるとエキソン 9 を含む mRNA が減少し、代わりにエキソン 9 を含
まない筋肉型 mRNA が増加した(図 3-13B, lane3, 6)。この結果は、fox-1 が F1γ
の筋肉型スプライシングを誘導していることを示唆している。今回は培養細
胞にマウス繊維芽細胞由来の L929 を使用した実験結果であるが、他の培養細
胞(マウス筋芽細胞由来 C2C12、アフリカ緑ザル腎臓由来 CV-1、マウス胚由
来 NIH3T3)においても同様の結果を得ている(data not shown)。
< Fox-1 は RNA 結 合 能 を 介 し て ヒ ト F1γの 筋 肉 型 ス プ ラ イ シ ン グ を 誘 導
する>
次にこの筋肉型スプライシングの誘導活性が Fox-1 の RNA 結合能に依存し
ているのかどうかを確かめるために、RNA 結合能を欠失させた F-A 変異体を
用いて、同様の実験を行った。RRM はβ4α2 構造を取ることが知られている。
このうち RNA 認識に必須なβシートが 2 つ存在しており、RNP2(β1)と RNP1
(β3)と呼ばれている(図 1-3)。その RNP1 に RNA のバックボーンを直接認
識しているフェニルアラニンがあり、このフェニルアラニンをアラニンに置
換すると RNA 結合能が失われることが知られている(Draper, 1999)。そこで
zFox-1 にこの変異(F-A 変異体)を導入したところ、RNA への結合能が失わ
れ(data not shown)、F1γの筋肉型スプライシングの誘導活性は認められなか
った(図 3-13B, lane2)。さらに、線虫の fox-1 変異体(y304、Nicoll et al., 1997 )
の fox-1 に存在しているアミノ酸置換型塩基変異(P-S 変異体、図 3-3)を zfox-1
に導入すると、これも筋特異的スプライシング誘導活性が著しく減少した(data
not shown)(Nicoll et al., 1997)。zFox-1 における P-S 変異は、選択的スプライ
シングに必要なアミノ酸変異を起こしたと考えられる。このことは、線虫 fox-1
変異体の表現型は選択的スプライシング活性異常によるものと推察できる。
補足しておくと、線虫 y304 変異体の塩基変異はナンセンス変異であるが、37
番目のコドンがストップコドンに変わっている y303 変異体と線虫における表
現型が同じであることから、y304 はおそらく null 変異体である(Nicoll et al.,
1997)。
< fox-1 は F1γ遺 伝 子 中 の 配 列 GCAUG を 介 し て 筋 肉 型 ス プ ラ イ シ ン グ を
誘導している>
次は、筋肉型スプライシング誘導活性が、配列 GCAUG を介しているのか
どうかを検討した。ヒト F1γ (L)はエキソン 9 の上流イントロンに 4 つの
GCAUG 配列が存在しているが、ヒト F1γ (S)はイントロンの大部分を取り除
-70-
いてあり GCAUG が一つしか存在しない(図 3-12B, 14A)。このミニ遺伝子を
用いて in vivo スプライシング実験を行った結果、fox-1 依存的な筋肉型スプラ
イシングの誘導が認められた(図 3-14B, lanes 1-3)。次にこの一つしかない配
列 GCAUG に塩基置換を導入すると fox-1 依存的な誘導活性は認められなかっ
た(図 3-13B, lanes 4-6)。以上の結果を合わせると、Fox-1 は配列 GCAUG に
結合することで、ヒト F1γの筋肉型スプライシングを誘導していることを示し
ている。
< fox-1 依 存 的 な F1γの 筋 肉 型 ス プ ラ イ シ ン グ 誘 導 活 性 に は Fox-1 の C 末
領域が必要である>
fox-1 による誘導効果が、RRM を介した RNA への結合による効果だけなの
か、それとも RRM 以外の領域が必要なのかどうかを検討するために、zFox-1
の RRM より N 末側、C 末側をそれぞれ欠失した欠失変異体について筋肉型
スプライシング誘導活性を検討した(図 3-15)。これら欠失体タンパク質には、
それぞれ N 末端側に SV40 の核移行シグナル(NLS)が付加してあり、細胞
内で核に局在すること(図 3-16)、さらに RNA 結合能の配列特異性に変化が
ないことを確認している(図 3-17C)。これら欠失体を用いた結果、
全長の zFox-1
と N 末端を欠失した zFox-1∆N については筋肉型スプライシング誘導活性が
認められた(図 3-13B, lane3, 4)。しかし、C 末端を欠失した zFox-1∆C につい
ては筋特異的スプライシングの誘導活性は認められなかった(図 3-13B, lane5)。
この結果は、Fox-1 が筋肉型スプライシングを誘導するには、RRM を介して
GCAUG に結合すると共に、C 末端領域でなんらかの因子との相互作用が必要
であることを示唆している。
アク チ ニ ン
b) ラ ッ ト α-ア
アク チ ニ ン の 筋 肉 型 ス プ ラ イ シ ン グ を
< Fox-1 は RNA 結 合 能 を 介 し て α-ア
誘導している>
ラットα-アクチニンは、NM エキソンと SM エキソンを排他的に使用してい
ることが知られている(図 3-19A)(Southby et al., 1999)。この遺伝子において
も F1γと同様に遺伝子中に複数の GCAUG が存在しており、この遺伝子につ
いてもミニ遺伝子を用いた in vivo スプライシング解析を行った(図 3-18)。ミ
ニ遺伝子単独では NM エキソンが選択される非筋肉型のスプライシングが主
に選ばれているが(図 3-19B, lane1)、zfox-1 の存在により非筋肉型の産物が減
少し、SM エキソンが選択される筋肉型のスプライシング産物が増加した(図
-71-
3-19B, lane3)。しかし、RNA 結合能を失わせた F-A 変異体においては筋肉型
スプライシングの誘導活性は認められなかった(図 3-19B, lane2)。以上の結
果は、zfox-1 が RNA 結合能を介してα-アクチニンの筋肉型スプライシングを
誘導していることを示唆している。
fox-1 はα-アクチニンの筋肉型スプライシングをどのように誘導しているの
だろうか?1)fox-1 は NM エキソン使用の抑制のみを制御している。結果、
SM スプライシングが促進される(図 3-20 I)。2)fox-1 は SM エキソン使用
促進のみ制御している。結果、NM エキソンが抑制され SM スプライシング
が促進される(図 3-20 II)。3)fox-1 は NM エキソン抑制及び、SM エキソン
使用促進の両方を積極的に制御している(図 3-20 III)。これらの可能性の検
討を行った結果、III のモデルが正しい事を明らかにした。
< fox-1 は NM エ キ ソ ン の 使 用 を 抑 制 し て い る >
まず fox-1 が NM エキソンの抑制を行っているのかどうかを以下のようなミ
ニ遺伝子を用いることで検討した。α-アクチニンの EF1a エキソンから NM エ
キソンまでのゲノム領域の 3’側に、ニワトリδ-クリスタリンのエキソン 14−15
のゲノム領域を繋げたキメラミニ遺伝子を作製した(図 3-21A)。ニワトリδクリスタリンのエキソン 14−15 は恒常的にスプライシングが起こることがわ
かっている、エキソン・イントロン構造である(Ohno et al., 1987)。このキメラ
ミニ遺伝子(EF1a-NM/14-15)を用いて in vivo スプライシング実験を行った。
結果、EF1a-NM/14-15 ミニ遺伝子を単独で CV-1 細胞に導入したときはキメラ
エキソン(エキソン NM/14)を含むスプライシング産物のみが検出されたが
(図 3-21B, lane1)、fox-1 を共発現するとエキソン NM/14 の使用が抑制された
(図 3-21B, lane3)。また F-A 変異体において抑制活性は認められなかった(図
3-21B, lane2)。この結果は fox-1 が RNA 結合能を介して NM エキソンの使用
を抑制していることを示している。
< NM エ キ ソ ン 使 用 抑 制 に は Fox-1 の C 末 端 領 域 が 必 要 で あ る >
Fox-1 の NM エキソン抑制にどの領域が必要なのか知るために、fox-1∆N 及
び fox-1∆C を用いて解析を行った。結果、fox-1∆N を共発現させるとエキソン
NM/14 の使用が抑制された(図 3-21B, lane4)。一方、fox-1∆C にはエキソン NM/14
の抑制効果は認められなかった(図 3-21B, lane 5)。以上の結果は fox-1 による
NM エキソンの抑制には Fox-1 の C 末端領域が必要なことを示している。
< fox-1 は SM エ キ ソ ン の 使 用 を 促 進 す る >
-72-
fox-1 が SM エキソンの使用を促進するのかどうかを以下のようなミニ遺伝
子を用い検討した。用いたミニ遺伝子は NM エキソンから EF2 エキソンまで
のゲノム領域を含んだものである(NM-SM-EF2)(図 3-22A)。このミニ遺伝
子を用いて解析を行うと、まず NM-SM-EF2 ミニ遺伝子単独では SM エキソ
ンを含まないスプライシング産物が主に産生された(図 3-22B, lane1)。しか
し fox-1 の存在下においては SM エキソンの使用が僅かに促進された
(図 3-22B,
lane3)。また F-A 変異体において抑制活性は認められなかった(図 3-22B,
lane2)。以上の結果は、fox-1 が SM エキソンの使用を促進していることを示
している。
< SM エ キ ソ ン 使 用 促 進 に は Fox-1 の N 末 端 領 域 が 必 要 で あ る >
次に fox-1 による SM エキソン使用促進にどの領域が必要なのか知るために、
fox-1∆N 及び fox-1∆C を用いて解析を行った。結果、fox-1∆C においては SM
エキソンの使用が促進されたが、fox-1∆N においては認められなかった(図 322B, lane4, 5)。以上の結果は、fox-1 による SM エキソン使用促進には Fox-1
の N 末端領域が必要なことを示唆している。
∆N や fox-1∆
∆C の 制 御 効
< も と の α-ア
ア ク チ ニ ン ミ ニ 遺 伝 子 に お け る fox-1∆
果>
fox-1∆N や fox-1∆C による SM エキソン抑制、NM エキソン促進効果が、基
のα-アクチニンミニ遺伝子に対しても同様であるかどうか調べた。結果、fox1∆C には SM スプライシングの誘導活性は認められなかった(図 3-19B, lane5)。
fox-1∆N を発現させると NM スプライシングは減少したが、SM スプライシン
グの増加は認められず、代わりに NM エキソンも SM エキソンも共に含まれ
ないスプライシング産物(double exclusion)の増加が認められた(図 3-19B,
lane4)。このことは Fox-1∆N が C 末端領域と RNA 結合能により NM エキソン
を抑制できるが、N 末端領域がないために SM エキソンの使用を促進できず
double exclusion(2 つの NM、SM エキソン共にスキップ)が誘導されたと考
えられる。つまりこれらの結果は、EF1a-NM/14-15 ミニ遺伝子、NM-SM-EF2
ミニ遺伝子で得られた結果と一致する。また fox-1∆C との共発現ではスプラ
イシングパターンに何の変化もないように認められる(図 3-19 C, lane 5)。
fox-1∆C は C 末端領域を持っていないので NM の抑制はできない。また、N
末端領域と RNA 結合能を持っているため SM エキソン促進可能のように推察
できる。しかし、スプライシングパターンに変化が認められないことは、NM
エキソン抑制、SM エキソン使用は制御的な繋がりがあり、排他的制御を担っ
-73-
ていると考えられる。
< Fox-1 は PTB に よ る SM エ キ ソ ン 抑 制 を 解 除 す る >
α-アクチニンの選択的スプライシング制御においては、Polypyrimidine tract
binding protein (PTB)が非筋肉組織での SM エキソンの抑制に働いていること
が明らかとなっている(Southby et al., 1999)。fox-1 がα-アクチニンの筋肉型ス
プライシングを誘導するとき、NM エキソンの使用を抑制し、且つ SM エキ
ソンの使用を促進することが明らかとなったが、このときの fox-1 と PTB の
関係を検討した。α-アクチニンミニ遺伝子とマウス PTB4 を共発現させると SM
スプライシング産物が減少し、double exclusion の増加が認められた(図 3-23A,
B, C lane2)。この状態(マウス PTB4 が存在)に fox-1 を発現させていくと、
まず Fox-1 が少ない場合、Fox-1 による NM エキソンの抑制と、多量に存在し
ている PTB4 による SM エキソンの抑制が合わさり double exclusion 産物が増
加する(図 3-23A, B, C lane3)。さらに Fox-1 を増やしていくと double exclusion
が減少し、SM スプライシング産物が増加してくる(図 3-23A, B, C lane4, 5)。
以上の結果は、Fox-1 は PTB による SM エキソン抑制を解除することで、SM
エキソンの使用を促進している事を強く示唆している。
c) フ ィ ブ ロ ネ ク チ ン
< fox-1 は フ ィ ブ ロ ネ ク チ ン IIIB エ キ ソ ン の 使 用 を 促 進 す る >
いままでは fox-1 が筋肉系列組織に発現し、GCAUG に特異的に結合するこ
とから F1γとα-アクチニン遺伝子に着目し解析を行ってきた。GCAUG 配列と
は、いままでにいくつかの遺伝子の選択的スプライシング制御のシス配列と
して同定されてきている。そのなかにラット フィブロネクチンと呼ばれる遺
伝子が存在しており、この遺伝子はエキソン IIIB の挿入にこのエキソンの下
流イントロンに複数存在している配列 UGCAUG が必要なことが知られている
(図 3-24A)(Huh and Hynes, 1993) (Huh and Hynes, 1994)。このミニ遺伝子を
用いて in vivo スプライシング解析を行った。結果、ミニ遺伝子単独では、ほ
とんどがエキソン IIIB はスキップされるのに対し、fox-1 の存在下においては
エキソン IIIB の挿入が促進された。fox-1∆N や fox-1∆C においてはこの挿入活
性は認められず、エキソン IIIB の挿入には Fox-1 の N 末、C 末領域が必要で
あることを示唆している。
-74-
d) 位 置 効 果
< 上 流 イ ン ト ロ ン に あ る GCAUG は fox-1 依 存 的 な エ キ ソ ン 使 用 抑 制 に 、
下 流 イ ン ト ロ ン に あ る GCAUG は fox-1 依 存 的 な エ キ ソ ン 使 用 促 進 に 働 く
>
fox-1 は複数の遺伝子の選択的スプライシングを制御することができる。ま
たエキソン使用ということに関しては、抑制的にも促進的にも働くことが明
らかになった。それでは、どのような違いがエキソン選択に関して抑制と促
進の違いを生み出しているのか?私はある要因に着目し解析を行った。それ
は、配列 GCUAG の位置の違いである(図 3-25)。
1)fox-1 は F1γ遺伝子のエキソン 9 の使用を抑
抑 制 する。配列 GCAUG はエ
キソン 9 上 流 イ ン ト ロ ン にある。2)fox-1 はアクチニン NM エキソンの使
用を抑
抑 制 する。配列 GCAUG は NM エキソン上
上 流 イ ン ト ロ ン にある。3)fox-1
はフィブロネクチン遺伝子のエキソン IIIB の使用を促
促 進 する。配列 GCAUG
はエキソン IIIB 下 流 イ ン ト ロ ン にある。
私は、fox-1 によるエキソン選択の正負の違いは、制御エキソンに対する
GCAUG の位置にあるのではないかと考え F1γ遺伝子をモデルに解析を行った。
上流イントロンに配列 GCAUG が存在する F1γS ミニ遺伝子を用いた場合、fox-1
依存的にエキソン 9 は抑制される(図 3-14B, lanes 2, 3、図 3-26, lanes 2, 3)。
この上流イントロンの GCAUG に塩基置換を導入し、下流イントロンに人為
的に配列 GCAUG を挿入したミニ遺伝子 F1γS(m1) DW-GCAUG を作製し、解
析を行った。結果、fox-1 依存的なエキソン使用促進が認められた(図 3-26B,
lanes 4-6)。以上の結果は、配列 GCUAG の制御エキソンに対する位置の違い
が、fox-1 によるエキソン選択の正負の差を生み出す要因の1つとして働いて
いることを示唆している。
e) タ ン パ ク 質 間 相 互 作 用
< Fox-1 タ ン パ ク 質 は Fxh/RBM9 タ ン パ ク 質 と 相 互 作 用 す る >
fox-1 にはマウスやヒトのゲノム中に、アミノ酸に翻訳させたときに非常に
良く似た遺伝子が存在している。ヒトにおいては(22 染色体)、マウスにおい
ては(15 番染色体)に存在している遺伝子であり、fxh (Fox-1 homologue) / RBM9
(RNA binding motif 9)と呼ばれている(Lieberman et al., 2001)。この fxh/RBM9 は
マウス、ヒトにおいてユビキタスに発現している(図 3-27B)(Lieberman et al.,
2001)。mFxh/RBM9 の RRM、そして RRM を除く N 末端、C 末端領域の identity
は、mFox-1 とは 44%、100%、54%という数値を示している(図 3-27A)。さ
-75-
らに、mFxh/RBM9 も Fox-1 と同様に配列 GCAUG に特異的に結合し(data not
shown)、細胞内において核に局在する(Lieberman et al., 2001)。またマウス
fxh/RBM9 は、フィブロネクチン遺伝子のエキソン IIIB の選択に関して fox-1
と同様の活性を有している(図 3-27C, lane4)。以上の知見から fox-1 が選択的
スプライシング因子として働く時に、ユビキタスに発現している fxh/RBM9 と
協調的に働く事でスプライシングに影響を与えているのではないかという作
業仮説を立てた。
Fox-1 と Fxh/RBM9 が相互作用するのかどうかを、免疫沈降実験により確か
めた。HeLa 細胞に、Fox-1 と Fxh/RBM9 を強制発現させ、タグを用いた免疫
沈降を RNase A 存在下で行った。Fox-1 には FLAG タグを、Fxh/RBM9 には Myc
タグを付加してある。抗 FLAG 抗体(Sigma)を用いて Fox-1 を免疫沈降する
と、Fxh/RBM9 が共沈降してきた(図 3-28A, lane9 最上段; B, lane18 最上段)。
また、抗 Myc 抗体(9E10)を用い Fxh/RBM9 を免疫沈降すると、Fox-1 が共
沈降してきた(図 3-28A, lane6 三段目; B, lane15 三段目)。この結果は、Fox-1
と Fxh/RBM9 がタンパク質間相互作用を介して結合している事を強く示唆し
ている。
< Fxh と の 相 互 作 用 に は Fox-1 の C 末 領 域 が 必 要 で あ る >
Fxh が Fox-1 のどの領域を介して相互作用しているのかを知るために、Fox1∆N や Fox-1∆C を用いた免疫沈降実験を行った。結果、Fox-1∆N と Fxh/RBM9
は相互作用を示したのに対し、Fox-1∆C は Fxh/RBM9 との相互作用は認めら
れなかった(図 3-28C, lanes25, 26, 29, 30)。この結果は、Fox-1 と Fxh/RBM9
の相互作用には、Fox-1 の C 末端領域が必要であることを示している。
< Fox-1 は Fox-1 と 相 互 作 用 す る >
Fox-1 と Fxh がタンパク質間相互作用し、その相互作用には Fox-1 の C 末端
領域が必要であることが明らかになった。Fox-1 と Fxh の C 末領域は非常に
相同性が高いことから、おそらくは Fox-1 の C 末と Fxh の C 末が相互作用し
ていると考えられる。Fox-1 同士も相互作用をするのではないかと考え、実験
を行った。結果、Fox-1 同士の相互作用が認められた(図 3-29)。
-76-
TGTGAGACAG
TATTGCCTAA
ATCTTTTTTC
CCTCTCTCTT
ACTAACTCGG
AAGTTGACAC
CTTCTCTATT
CCCCTTGGTC
CACTCTCAAC
CAGTGTTGTG
TGGATCTTAA
TCCCGTCCCT
TTTATAGAGC
CAGTTCAACT
ACTTTCTCAG
TTTAGCTGTT
GTCATATATT
CACACTTCTT
TCTGGTTCAT
CCTTTTTTCT
TGCAGTTTTT
CTCCTTTTCT
TCTTGATTCC
GTCCTTTTCT
TTATTTATAT
TTTTCACACC
GAGAGCTCTC
CTGGCTATGC
GTTGTCTTCT
L S S
CATTGTTCAG
I V Q
ACCCCCTTCA
P P S
TGCTCATCCA
A H P
GTCTATAACT
S I T
GGCCTCCGGT
A S G
TTCCAATATC
S N I
AGAGATCATC
E I I
AGCCAGAGAG
A R E
AACAAAAAAG
T K K
CCCTGAACTT
P E L
CCGTGGACGA
R G R
CTACCCAGGA
Y P G
GGCCCAGTCG
A Q S
CCCCTACCAT
P Y H
CAACCGCTTC
N R F
AATCACACTG
ATATAACCTA
TCCTAACACT
CCATTGTATG
CTCTATAGAG
TTTGAGTGTG
TTTTGTCACA
AAAATATTTT
GGCTTTGCTG
TGTTTTTGCG
CCTACTGTGA
P T V I
GGTGCTGCTG
G A A A
TATCCTCCAC
Y P P P
AATTCAGAAT
N S E Y
GCCAGTAACA
A S N T
AGCGGAGCTG
S G A A
CCTTTTAGGT
P F R F
TTTAATGAGA
F N E R
AAGCTCAACG
K L N G
CCCCAGACGC
P Q T P
TATACAGTTG
Y T V A
GGTCGAGCAG
G R A V
GTGGTGTATC
V V Y Q
GCCTCAGCAG
A S A A
CACTCCGTGG
H S V G
ACACCATACT
T P Y *
TGCTGAACAT
AAATTTTGAA
TATCAGACTG
AACTGTATGA
AAACTTCCCC
TGGATTTTTC
ATGTAATCTA
TATGTATAAA
TTTAGCTTTA
TTTAACAATA
TCCTTCAGCC
L Q P
CCCAGGAGGC
Q E A
CTGGACAAGC
G Q A
ATGCAGATCA
A D H
CGGATGATTC
D D S
CAGGAGGAAG
G G S
TTCGAGACCC
R D P
GAGGATCCAA
G S K
GTACGATCGT
T I V
CATTAGTTAA
L V N
CCAGCTTCCC
S F P
TTTACAACAC
Y N T
AGGAAGGACT
E G L
CTGCAACCGC
A T A
GACCCACAAC
P T T
GATCAAAACA
CTACGGACTC
Y G L
GGGGCCAGGC
G P G
CCCGCCCACA
P P T
TCATCAGCTG
H Q L
TCTGGCACCC
L A P
TGACGAGGAA
D E E
AGACTTGAGG
D L R
GGGTTTTGGA
G F G
GGAGGGAAGG
E G R
TGCTGCCGGG
A A G
CTATCCCGTT
Y P V
AATCCGCTCC
I R S
GTATGGTGCT
Y G A
CACATACAGT
T Y S
CACTTATGGA
T Y G
ATTCTCTGGA
CCAGTTTACC
P V Y P
AATGGTGATC
N G D P
CCTGCTGCCC
P A A R
AGAGTCTACC
R V Y Q
GTGACGTCTG
V T S D
GGAGGTGGGA
G G G K
CAGATGTTTG
Q M F G
TTTGTGACGT
F V T F
AAGATTGAGG
K I E V
TGGAAAATCA
W K I N
CCCACACCAA
P T P T
GCAGCCGCCG
A A A A
GAGGTCTATG
E V Y G
GATGGATATG
D G Y G
GTTGGAACAA
V G T M
AGTTGACTGA
CTCAGACGGC
Q T A
CTTCACTTCC
S L P
GACTGCCACC
L P P
AGGGCCCTCA
G P Q
ACCCACAGTC
P Q S
AGGCTCAACC
A Q P
GGCAATTTGG
Q F G
TTGAAAGTGC
E S A
TGAACAACGC
N N A
ATCCAGTAAT
P V M
CCTTGGCCTA
L A Y
CTGCCACACC
A T P
GAGGATATCC
G Y P
GAAGAGTCTA
R V Y
TGGCCAGTTT
A S L
GAAAAAAAAC
CTCCTGCTAC
S C Y
CCAGGTTTAT
Q V Y
CCTCGATTTC
L D F
GCACGACGGG
H D G
TCTCAGTGTT
L S V
TAAAAGGCTC
K R L
CAAGATTCTA
K I L
AGTGGAAGCA
V E A
TACAGCAAGG
T A R
GGGTGCCATG
G A M
CAGAGGCTCT
R G S
AGCTGCAGTG
A A V
AGCCACATAT
A T Y
TGCCACAGCA
A T A
ATACCGTGGT
Y R G
AAGACTTCCT
TCGTT
TCTGG
CTTCC
ACCAT
M
CCCGG
P G
GCCCC
A P
AGCGC
S A
ACGGA
T E
TCTGT
S V
CATGT
H V
GATGT
D V
GATCG
D R
GTGGT
V V
TACGC
Y A
GGTCT
G L
CCAGC
P A
CGAGT
R V
ACAGA
T D
GGCTA
G Y
CATTA
CTGTTTGAAG
TAATTATATT
TCTAGCTGAA
GGTAAAACCT
CAAACTGTCT
TGCTGTCACA
CCTCCGAGCT
AGAAAATCTC
TCTGGTCTTT
TAACTTCTGG
TTGAGACTGT
TAAGGATTTT
TATGGTGTTG
CTGGATCTGT
CTGGTATGTA
AGCAATACTG
AAACATCTCT
CTGTGCTTTG
TCACTGTGCT
ATTGCTCTAA
AAATAATGAC
TATTTAATTC
TTATCTGCAG
TGCATTGTTT
TAGGGCTGTG
TGAGATACAG
TTATTCTTAA
CCTCGCTCTG
TCTTTCTGTT
AAAAAAAAAA
AATATTTATT
CTAATTTAAG
TACATATAGT
CGAGTGCTGA
TGTTTGCTGG
CAATGGCACT
TTAATGCAAG
ATGTCCTCCT
CCTTTTCTGC
AAAAAAAA
TAGGGGGGGA
AGCCCAACTC
AAAATCATCA
TATTCAGTTG
AGTGCCTTTG
GGGATGGGTG
CCTGTCATTT
GTCATTTCCT
TGTGTGTGAT
ATAGA
CTCCC
CAGTG
AAAGA
GTTTG
GTATA
GGTTA
TGTCA
TCTAA
図3-1 zfox-1遺伝子の塩基配列とアミノ酸配列
:RRM、 :RNP2、RNP1
:終止コドンを示している
*
-77-
75
150
225
300
1
375
26
450
51
525
76
600
101
675
126
750
151
825
176
900
201
975
226
1050
251
1125
276
1200
301
1275
326
1350
351
1425
376
1500
382
1575
1650
1725
1800
1875
1950
2025
2100
2175
2233
AGGGGAGCCC
GAGTGGGGGC
AGCTCGCATC
TCAGGACAGA
ACACCAGGGC
TGTGGCCAGC
CACAGAGAAC
CCTCATGAAA
GCGCAGACAG
GAACTCAGAG
GCTCTGCCAG
TGGAGGGGAC
TCTGAGAGGA
CCCTTAGGAG
TGGAGTGAGA
TGAGGAATCC
GTGGGACTTA
AGGACAGAAA
TCGAGGGGGA
CCACAGGACC
AGCCGTGCGC
CCTAGCGCAT
TGATCCGGAC
GAAGCCAACA
AGGAGCAGGC
CAGCTTCCTT
GGTTTTGAGG
ATTACTCCCT
CACGCGTGCG
CCCGCCCCAG
CTCCAGATCC
CTTCGCCGCG
TCCTAATTCG
AACAACTGCC
GATCAGGCTC
CAACAGATGA
M N
CCTTATGCCT
P Y A S
GCGCCAGAGT
A P E Y
GAGCAGAGTG
E Q S A
GGCCAGCCCC
G Q P Q
CCTTTCCGGT
P F R F
TTTAATGAGC
F N E R
AAATTGCACG
K L H G
AAGACTGTCA
K T V N
GCAGGCACGG
A G T V
ACTTCTGCAA
T S A M
CGTGGTCGCA
R G R T
TACCAGGATG
Y Q D G
ACTGCCGCTG
T A A A
CCCACCTACG
P T Y G
GTGGGTCTCG
V G L V
ATAAAACCAT
CTTCTTATCG
CCTCGCGGAC
CGTCCGGAGC
CGGAAACCCC
CCCAGTAGTA
TTGCCTCTGG
AAGCTCGCCA
AGCATTCAGA
ATTGTGAAAG
C E R
CAGCGCAGTT
A Q F
ACACCGGCCA
T G Q
CTGACACCAG
D T S
AGACACAACC
T Q P
TCCGGGATCC
R D P
GAGGCTCCAA
G S K
GTACCGTGGT
T V V
ACCCCTACAC
P Y T
TGCTGTTGTG
L L C
TGCCTGGCTT
P G F
CCGTGTACAA
V Y N
GATTTTATGG
F Y G
CCTACAGTGA
Y S D
GCGTTGGTGC
V G A
TTCTTTCTTC
L S S
TAAACAAACA
CGCCAGACCC
CCGAGAAACC
CGACAACTCC
TGCGCTTCAG
GGGCGCGGCT
TGGATGCTGA
GGAGTTCTAG
TATCAAAGGC
AGAGCAGCTG
E Q L
CGCACCACCC
A P P
GACCACTGTC
T T V
TGCGCAGACC
A Q T
TTCTGAAAAC
S E N
AGACCTCCGA
D L R
GGGATTTGGT
G F G
AGAGGGCCGT
E G R
CAATGGCTGG
N G W
CCAGGCCAAC
Q A N
CCCATATCCG
P Y P
CACCTTCAGG
T F R
TGCAGACATT
A D I
CAGTTACGGA
S Y G
CATGAATGCT
M N A
ATTGCAGGCT
L Q A
AACAAATAAA
GGCTGCACCA
ACCAGTGAGT
GAGCGTCCTC
ACCAGGTGGC
GACCTGCCGC
ACGCGGCTGG
GAAACAGCTC
GACTCCAATA
AGGGGTAATC
R G N Q
CAGAATGGCA
Q N G I
CCTGGCCACA
P G H T
GTCTCCGGCA
V S G T
ACAGAAAGCA
T E S K
CAAATGTTTG
Q M F G
TTCGTAACTT
F V T F
AAAATCGAGG
K I E V
AAATTAAATC
K L N P
CAGGAGGGAT
Q E G S
GCCGCCACTG
A A T A
GCTGCAGCGC
A A A P
TATGGTGGTT
Y G G Y
CGAGTTTATG
R V Y A
TTTGCGCCCT
F A P L
AGTATATACC
S I Y R
CAAACAAACG
GCAGCCGCCG
A A A A
GCAGAATACA
A E Y T
AACCTGTATC
N L Y P
ACACAGACAG
T Q T D
CAGCCCAAGC
Q P K R
TTTGGTAAAA
F G K I
AATAGTGCGG
N S A D
AATGCGACAG
N A T A
GTGGGCGCGG
V G A V
ATGTACAGTG
M Y S G
GCTGCATACC
A A Y R
CCCCCAATCC
P P I P
GCGTACCGCT
A Y R Y
GACCCCTACC
D P Y H
GATGCCAAGA
D A K T
GGATACAACC
G Y N R
AAAAAACCCA
ATCATGTTAG
CCCCTGACAC
P D T
CGGCCCCTCA
A P H
CTCCTACACA
P T Q
ATGATGCAGC
D A A
GGCTGCATGT
L H V
TATTAGATGT
L D V
ATGCGGACAG
A D R
CACGCGTGAT
R V M
TCTACAGCCC
Y S P
GCCCCAGTTC
P S S
GAGGGGCTCA
G A H
CGGCCTATGG
A Y G
ATGCCCAGCC
A Q P
ACCACACACT
H T L
CTAGGGGCCA
R G H
GTTTTGCTCC
F A P
ACCTTCCAAT
CAACTCAAAG
AATGGCTCAG
M A Q
TCCTCATCCC
P H P
GACGCACTCG
T H S
CCCGACCGAC
P T D
GTCCAACATC
S N I
TGAAATTATT
E I I
GGCGAGGGAG
A R E
GACAAATAAG
T N K
CGACTTCTAT
D F Y
ACTTGTATAT
L V Y
CCTTCGAGGC
L R G
CGGTGTTGTT
G V V
CACCCCTGCC
T P A
TGCTCCAGCC
A P A
TGCTGATGAT
A D D
ATATTAAATG
Y *
GTGGGGAGAG AGGAAGCTTT CCGAGGCCTG AGTGTTGCAT CACATGCAGT AGGAC
AAACAACTAA AAAAAAAAAA AAAAAGGCCA CA
図3-2 mfox-1/A2BP1遺伝子の塩基配列とアミノ酸配列
:RRM、 :RNP2、RNP1
:終止コドンを示している
*
-78-
CGGAA
CGCTC
CCAGC
CTTGG
GAAGT
GGTCA
AAAGA
ACTGC
AGGAA
E
TCCCT
P
CATTA
L
CCGCC
A
AGTCC
S
GTCAA
Q
TCGAA
E
TTAAT
N
CAGTT
V
CTTCC
S
CTGCA
A
CCCCG
P
ATGCT
A
CTGCC
A
TGACC
T
GAGGG
G
AACAA
75
150
225
300
375
450
525
600
675
13
750
38
825
63
900
88
975
113
1050
138
1125
163
1200
188
1275
213
1350
238
1425
263
1500
288
1575
313
1650
338
1725
363
1800
388
1875
396
1950
2002
(A)
1
148
zebrafish
Fox-1
382 a.a
RRM
1
mouse
Fox-1 / A2BP1
117
198
90%
12%
154
1
C.elegans
Fox-1
227
45%
233
88%
11%
396
415
19%
(B)
zebrafish
mouse
C.elegans
zebrafish
mouse
C.elegans
zebrafish
mouse
C.elegans
RNP2
RLHVSNIPFR FRDPDLRQMF GQFGKILDVE 30
RLHVSNIPFR FRDPDLRQMF GQFGKILDVE
RLHVSNIPFR FRDPDLKTMF EKFGVVSDVE
RNP1
IIFNERGSKG FGFVTFE-SA VEADRAREKL 59
IIFNERGSKG FGFVTFENSA -DADRAREKL
IIFNERGSKG FGFVTMERPQ -DAERARQEL
*
*
NGTIVEGRKI EVNNATARVV T 80
HGTVVEGRKI EVNNATARVM T
HGSMIEGRKI EVNCATARVH S
図3-3 Fox-1タンパク質間の相同性
(A)ゼブラフィッシュ、マウス及び線虫のFox-1タンパク質のア
ミノ酸配列を領域ごとに比較した。数字はzFox-1タンパク質と
のidentityを示してある。RRMが非常に高い相同性を示し、
zFox-1とmFox-1/A2BP1のC末端領域も高い相同性を示した。
(B)RRMドメインにおけるアミノ酸配列比較した。*印はRNAと
直接接しているフェニルアラニンを示している。*印は線虫fox1変異体において報告されているアミノ酸置換部位である(ProSer)
-79-
受精後
0
6
12
18
24
36
48
4.4 kb
2.4 kb
28S
rRNA
18S
図3-4 zfox-1 mRNAの初期胚における発現解析(2)
ゼブラフィッシュfox-1 mRNAの発現をノザンブロット法により
解析した。受精後0∼48時間までの全RNAを用いて解析した。
下段はrRNAを用いてRNA量のコントロールとしている。
-80-
1-cell
0.2hr
64-cell
2hr
2-cell
0.75hr
1k-cell
3hr
75%-epiboly 90%-epiboly
9hr
8hr
4-cell
1hr
8-cell
1.25hr
16-cell
1.5hr
oblong
3.7hr
dome
4.7hr
50%-epiboly
5.3hr
bud
10hr
6-somite
12hr
10-somite
14hr
21-somite
19.5hr
prim-6
25hr
prim-22
35hr
long pec
48hr
protruding mouth
72hr
図3-5 ゼブラフィッシュの初期発生ステージ表
-81-
A
(90% epiboly)
9 hr
B
: adaxial cell
: somite
: cardiac
precursor
: fin bud
10 hr
C
D
E
F
12 hr
19 hr
G
H
30 hr
I
J
K
48 hr
(dorsal view)
(lateral view)
図3-6 zfox-1 mRNAの初期胚における発現解析
ゼブラフィッシュfox-1 mRNAの発現をホールマウントin situハ
イブリダイゼーション法により解析した。赤矢印はadaxial cell
を、緑矢印は体節を、黒矢印は心臓原基を、白抜きの矢印は鰭
原基を示している。数字は受精後の時間を示している。
-82-
Br
a
He in
ar
Ki t
d
Li ney
ve
Lu r
ng
Sk
e
Sp leta
le l M
Te en us
cle
st
is
9.49
7.46
4.4
2.37
2.37
β-actin
kb
図3-7 mfox-1/A2BP1 mRNAの発現解析
マウスfox-1/A2BP1 mRNAの発現をノザンブロット法により解
析した。各レーンにはpolyA精製したRNAを用いており、β-ア
クチンのプローブを用いることでコントロールとした。組織は
右から脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、骨格筋、脾臓、精巣であ
る。左にはRNAの長さを数字で示している。
-83-
C
zebrafish Fox-1
phase contrast
Myc-zFox
Hoechst
phase contrast
α-Myc
Hoechst
mouse Fox-1/A2BP1
図3-8 Fox-1タンパク質は核に局在する
Mycタグ融合Fox-1タンパク質をCV-1培養細胞に強制発現させ、
抗Myc抗体(9E10)を用いて局在様式を確認した。図は左から
透過光図、抗体染色図、ヘキストによる核を表している。
-84-
25塩基のランダムな
T7
配列を持ったDNA:
N25
転写
RNA:
RT-PCRによる
鋳型DNAの作成
結合
GST
アフィニティ
ビーズ
RNA結合性
GST タンパク質
RNA抽出
図3-9 in vitro RNA selection法の概略
まず25塩基のランダムな配列を持ったDNAプールから、RNA
を転写します。作製したRNAプールと、大腸菌で発現させた
GST融合タンパク質をin vitroにて結合させます。結合したRNA
のみをGSTを用いたアフィニティー精製し、RT-PCRにより増
幅・鋳型の合成を行います。再度、RNAの転写、タンパク質と
の結合、精製、増幅といった一連のサイクルを繰り返すことで
より強固に結合するRNAのみを選別する方法です。今回はこの
サイクルを5回繰り返した。
-85-
#01;
CUCCUACCUAGCAUGGAAUGAGGCA
#02;
CAAAAAAAUCAGCGCUUAGCAUGCGGC
#03;
AUGAGCAAAGUCCUAGCAUGAAAGG
#04;
GGUCGAAGCAUGAGACCAGACAAUA
#06;
GGUACAACCGCAUGUGUCCCCGUUA
#07;
CAGUAAGCAUGCCCAAAGAAAAAGC
#08;
UCGGUAUGCAUGUAGUAUGUUUGAG
#09;
CUACCGCAGCAUGAAAAAGGAUUGA
#10;
AAACCAGCAUGAACGAUUUACCAAG
#11;
AAGAUUUGCAUGUAACUAAGCACA
#12;
UACUGCAUGCUACAAUAGGACCGCU
#14; GUCCCUGACUCGGACAAACAGCAUG
GCAUG
#15;
ACGCGGAUCGCGCAUGAAUAGGCUU
14 / 18
#16;
AUUAAUACCAGAUCAGAGCAUGAGG
#17;
#18;
#05;
#13;
GCACGACCGUUCAAGAACGAUAAGC
AGUUAUUGCACGAGAACUAAAUACAC
GCACG
2 / 18
GGGAGUGGAAAUGUUACCUGAAACC
AGAAAGGGAGGCUCCAACCUUGCCC
図3-10 in vitro RNA selection法により選別されたRNA配列
GST融合zFox-1タンパク質を用いたSELEX法により選別された
RNAについて18クローンの配列を決定した。14クローンについ
てはGCAUG配列が認められ、2クローンについてはGCACGが
あり、残りの2クローンにはGCAUG、GCACG共に認められな
かった。矢印はin vitroの結合実験に用いたRNA配列を示してい
る。
-86-
GST-zFox-1
GST
GCAcG
(B)
GacUG
cgAUG
(mt1)
GCAUG
(#10)
(A)
- - + - - + - - + - - +
- + - - + - - + - - + -
GCAUG
(#10)
GST-zFox-1
-
bound
bound
*
*
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1112
1 2 3 4 5
(C)
mt1
#10
competitor - GST-zFox-1 - + + + + + + + + +
bound
*
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
図3-11 zFox-1タンパク質は配列GCAUGに特異的に結合する
SELEX法により選別されてきた#10のRNAを用いてzFox-1タン
パク質の結合特異性をゲル移動度シフト法により調べた。(A)
共通配列と考えられるGCAUGに塩基置換を導入したRNAとの
結合実験。星印は結合していないRNAを示している。(B)zFox1タンパク質量を変化させ結合実験を行った。左から0、250、
500、750、1000 ngのGST融合zFox-1タンパク質を用いた。(C)
競合阻害によるzFox-1タンパク質と#10 RNAの結合実験を行っ
た。反応系に非RI標識した#10及び#10 m1のRNAをそれぞれ、
10、50、250、1250倍加えた。
-87-
(A)
e8
TGTCATCACA
cttcagagaa
tttgaagttg
tcgagctgag
aaaacctcta
tacttgcatg
agtctgtttc
gacttttttt
ttgtcttttt
agttcacaca
atcctataat
acctgggcaa
aaactttgag
acactttatg
tctattcatt
atgagaatat
ccccagacca
ccacttaaat
ctgtactttg
TTGTCCGAAG
AAAGAGTTGA
ttttttttcc
aaactcattg
atcacgccac
aatatattgt
agcatgtttt
aaaggaatct
cattggaaag
cttctaatat
ttcttcccat
tgtcctctga
cgctagtgga
gatagagaat
gtctctggac
ttgttgtgat
aacaggcaaa
aaattttaga
atgtattatt
tttttcagGT
AAACTGTTCC
TTGAAATTAT
tcttgctgtg
ctgaaacttg
tgcactccag
gttaatttat
tattgcttct
tgtggtaagt
catatgtgat
aataaccagG
gtctgttcag
gagatttaga
cttttttgta
taacattatt
cccttaatgt
gtcatggatc
ataacattat
atcactggta
atctcttgac
AAAGAAGGAA
TC e 10
CTCTGGTGCT
tctgcttgtt
catcctaact
cctgggcaac
agaaaaattg
aacctggatt
atttttgcat
taactagcat
GATTAATGAA
aaaagaaacc
tggatgggcc
gtgagtgtgt
ttgagatatt
ctgattcatg
atgtggcctc
catgaaaata
tagggtaaca
attattttcc
AATTCAGCCA
GCAGCTCTgt
tggatgctta
cttaggctat
agaacgagac
taatttaaat
gaaatctatg
gatgtactca
ggattgcttc
AATCAAGTTC
tattcagata
acttcacagt
tgatcataga
atatataggt
tagcagaagc
tggaaaactc
gttttgacct
ctttattgtg
caaaaaatgc
GTTGATTTTG
gagtaattgt
aaagtttttc
aaagatgtgg
tccatctcca
tacatattca
actttttata
aggtatcaag
ttgacctgct
CATCCTCAGA
taagttaagc
agcagccaac
aaatgtagat
tgtgaagagt
cagctagatt
tactgtatac
catgaacccc
taaattcagt
tgtttgattt
TTTTTAGCTT
AGAGTTGATT
ttttttcctc
cttctaatat
ttcttctaga
ttcttacttg
TTACTGCTGC
GAAATTATCT
tttatgtgat
aataaccagG
ccccacttaa
ttctgtactt
CTTTGTCCGA
CTGGTGCTGC
taactagcat
GATTAATGAA
atatgtatta
tgtttttcag
AGAAACTGTT
AGCTCTgtga gtaattgtag
ggattgcttc ttgacctgct
AATCAAGTTC CATCCTCAGA
ttatctcttg acattatttt
GTAAAGAAGG AAAATTCAGC
CCTCCATT e 10
agattgtcgc
gtttttgtct
taaaaagaat
aaaaaaaaaa
tagtcttgcc
acagtcattg
tttaacaatt
tgttttgtgt
CAAGAGgtaa e
taatttagta
tcacgggagc
ataaggaaat
ggtggttgtc
ttcatctgtc
tcgatcgaga
atgaaaggtt
tctctgtacc
cttacttgtt
ACTGCTGCCT
(B)
e8
TCATCACAAA
tcagagaatt
ttgtcttttt
agttcacaca
gctgtttgat
TGTTTTTAGC
attgtcgcct
tgttttgtgt
CAAGAGgtaa
cccaaaaaat
CAGTTGATTT
図3-12 ヒトF1γミニ遺伝子の塩基配列
(A)ヒトF1γ(L)ミニ遺伝子の塩基配列配列を示した。GCATGを
四角、ブランチサイトを丸で囲った。エキソンを大文字-太字
で、イントロンを小文字で示した。二重線はリンカーを示し
た。(B)ヒトF1γ(S)ミニ遺伝子の配列を示した。塩基配列(A)で
淡赤、淡青で示したイントロンを除去してある。
-88-
9
(A)
(F1γ L)
nonmuscle type
8
9
10
50 nt
muscle type
F-A
1
2
3
∆N ∆C
mFox-1
-
zFox-1
(B)
:GCAUG
:branch site
muscle
type
zFox-1
1
2
3
∆N ∆C
5
6
mFox-1
F-A
100 k
mock
(C)
4
75 k
50 k
37 k
4
5
6
図3-13 Fox-1はヒトミトコンドリアATP合成酵素γサブユニッ
ト遺伝子の筋肉型スプライシングを促進する
(A)hF1γ(L)ミニ遺伝子を模式的に表している。イントロンを
線、エキソンを四角、ブランチ部位を矢頭、GCAUGを丸で示
している。(B)hF1γ(L)を用いたin vivoスプライシング法の結果を
示している。培養細胞から回収したRNAを用いてRT-PCRを行
い、電気泳動した。(C)抗Myc抗体を用いたウエスタンブロット
法により各タンパク質の発現量を確認した。
-89-
(A)
50 nt
8
9
10
9
10
9
10
(F1γ S)
8
(F1γ S-mt)
8
1
2
-
mFox-1
-
zFox-1
(S-mt)
mFox-1
(S)
zFox-1
(B)
3
4
5
6
図3-14 Fox-1は配列GCAUGを介してhF1γ遺伝子の筋肉型スプ
ライシングを促進する
(A)hF1γ(L)、(S)ミニ遺伝子を模式的に表している。イントロン
を線、エキソンを四角、ブランチ部位を矢頭、GCAUGを丸で
示している。XはcgAUGを示している。(B)hF1γ(S)及びhF1γ(Smt)を用いたin vivoスプライシング法の結果を示している。培養
細胞から回収したRNAを用いてRT-PCRを行い、電気泳動を
行った。
-90-
(A)
MEQKLISEED
NEMEQKLISE
DIEFMLSSPT
QVYAPPPSYP
HDGTESITAS
PKRLHVSNIP
AVEADRAREK
MGAMYAPELY
PAAVPAYPGV
YATATDPYHH
LNEMEQKLIS
EDLNEMESLG
VILQPYGLPV
PPGQAPPTPA
NTDDSLAPVT
FRFRDPDLRQ
LNGTIVEGRK
TVASFPYPVP
VYQEGLYGAE
SVGPTTTYGV
EEDLNEMEQK LISEEDLNEM
DLTMEQKLIS EEDLNSRPLE
YPQTASCYPG IVQGAAAQEA
ARLPPLDFSA AHPNSEYADH
SDPQSLSVSV ASGSGAAGGS
MFGQFGKILD VEIIFNERGS
IEVNNATARV VTKKPQTPLV
TPTLAYRGSG LRGRGRAVYN
VYGGYPATYR VAQSASAAAT
GTMASLYRGG YNRFTPY
EQKLISEEDL
MPKKKRKVKL
GPGNGDPSLP
HQLRVYQGPQ
DEEGGGKAQM
KGFGFVTFES
NAAGWKINPV
TIRSAAAAAT
ATYSDGYGRV
(Myc x 6)
(SV40-NLS)
(B)
Myc x6
Myc x6
Myc x6
RRM
: zFox-1
RRM
: Myc-zFox-1
RRM
: Myc-zFox-1∆N
RRM
: Myc-zFox-1∆C
図3-15 zFox-1欠失変異体
(A)zFox-1タンパク質のアミノ酸配列を示している。水色字は
6xのMycタグを、黄緑はSV-40のNLSを示している。RRMを灰
色で囲っている。(B)zFox-1欠失変異体を模式的に示す。
-91-
zFox-1
F-A
zFox-1∆N
zFox-1∆C
P-S
phase contrast
α-Myc
Hoechst
図3-16 zFox-1欠失変異体
各欠失変異体をCV-1培養細胞に発現させ、抗Myc抗体を用いて
抗体染色を行った。どの変異体も核に局在していた。
-92-
GC
GSTzFox-1
122
116
66
79
42
Myc
Myc-zFox-1
Myc-zFox-1∆N
Myc-zFox-1∆C
Myc-mFox-1
(B)
A
cg UG(
AU #
G a G 10)
cU
GC G
Ac
G
(A)
30
k
49.7
UV クロスリンク法 k
α-Myc (9E10)
wt
mt1
mt2
mt3
wt
mt1
mt2
mt3
wt
mt1
mt2
mt3
wt
mt1
mt2
mt3
probe
wt
mt1
mt2
mt3
(C)
116
66
42
30
k
Myc
Myc-mFox-1 Myc-zFox-1Myc-zFox-1 Myc-zFox-1
protein (reticulocyte)
∆N
∆C
図3-17 mFox-1/A2BP1、zFox-1ΔN、ΔCと全長zFox-1の結合
特異性は同じである
(A)GST融合zFox-1と#10 RNAとのその変異RNAを用いたUVク
ロスリンク法を行った。矢頭は分解産物である。(B)ウサギ網
状赤血球を用いてin vitroで発現させた各タンパク質を抗Myc抗
体を用いたウエスタンブロットで検出した。(C)ウサギ網状赤
血球を用いてin vitroで発現させた各タンパク質を#10 wt、m1、
m2、m3のRNAと結合させ、UVクロスリンク法にて検出した。
-93-
EF1a
NM
SM
EF2
CTGCTCACCA
TCAGCCAGGA
tgctcaccta
ccttgggtag
gagccaggct
aatgctaatg
tcaacccctg
tacctctgcc
ttggggacat
tctgagcttg
cactgccctc
tctgggagct
tgtgccaggg
ctcccccccc
cttccacccc
tcgctgcctg
TCATCAGCTT
gtggcctctg
ctcccttcct
acttctgacc
catctcacct
ttcggctcct
tgggccctcc
ATGATGGACA
cctccacctg
aatggtggac
gaaagtggca
tggtctctga
agctatggac
ttatacttct
gtcccacagt
tacagagccc
ccatccaggt
gatttcgagt
agccttaatc
agatttccca
tggcatataa
atttcctata
gagtcacgtt
aggctactta
gtttcctcta
GACGTTCCAG
CCATTGCCAG
ACAGATGAAC
gagtgacctc
gtgaggagga
tctgagctga
ttgtaggtga
gaaacgaggc
ttgggacaaa
tagagtccac
gggatagcca
cagggacctg
tctcaccctt
acagggcgcc
cttcccctcc
ggggcatggc
gcgcaccacg
GGGTTATGAT
gggcgagaaa
gtgggccatg
tctgacttcg
gtggactggt
cctaatcttc
tcctcccacc
CGGATGATTT
ccaggcttct
ggaaggctct
cctgaaaaat
cagtttatct
agccaacccc
gcccagataa
atccggcttt
atgggatgcc
cttgtggtct
agtgtgcaca
ccagctccct
tgcaatggaa
tacatgttgt
aaggaaacca
cataccctgg
gggctggacg
gGGAGAGGCA
GCCTTCATCG
GACCATCAAT
GAATTCCGAG
caacccccga
gagagaggaa
ccttggaaat
aaagaggaag
tgctggagcc
gggacaaaaa
tctcctggat
caagggaggt
gcgaggtgtg
gtggctcatc
cctctggaac
accctctcca
accctcccca
gccccagGAT
ATTGGCAACG
taactcattt
gggctcatcc
gctatctttc
cttctgcatt
acaccataaa
tgtctgtccc
CCGCGCCTGC
cttgccctgg
taggttagaa
agcccacccg
tatggtacat
aaggcttatg
cagctccatc
ctgagcagga
caagacaggg
cagatgaagt
cgtctggcac
acctactggc
cactatgatt
gtgggtgtta
agggcactgc
ggcaacccaa
tacacctgag
GAATTTGCCC
ACTTCATGTC
GAAGTGGAGA
CCTCCTTCAA
cccagagccc
gaaactgata
cccactttgc
ctcctcttca
acaagtaaag
gagactctgc
tctcatatca
tgggcatgag
gggggagggt
atgttccccc
cttgtctgtg
tccgcatgcc
cccccctcac
CACTCCGGCA
ACCCCCAGgt
ctcctttttt
tctcctgctc
ctgggaacct
tctttgctct
ccgggccctt
tcctgtgtct
CTTATCTCCA
cctggaggca
ctgccctcct
tggcatcagg
actgtggaaa
gagtgataat
cagaccactc
taggacctta
ttaaaggcta
gaggaagcct
agtgttaggg
tgtgtgacct
gtattcagtt
gccattgttc
agggggttgg
gccagatcag
acacccagta
GGATCATGAG
CCGAGAGACG
ACCAGATCTT
CCACTTTGAC
tggagggcat
acagcctgcc
cccgtaaacc
ttctccactc
ccctgtgcct
ccctacccag
gcttcaggac
gtcaggtgct
tctgggagac
ctccagcctg
tgtctaactg
tttgtccctg
ggcctcctct
CGTTGGGTCC
actcgcctcc
tcttctctct
tccctgcctg
gcttgggtat
gacctccttc
cctctttctg
tggcaccact
TGGGTTACAA
gccacctgac
cagggggagt
gtgtggctgg
aagggctttt
tctgctttgt
ttggcccagg
gctggacaga
gaccagaagt
catgaagtgg
aaacagcaaa
tgggcaagtc
gcgatgacaa
atttattgtc
ggggttggaa
aggtctgttg
ggccactagg
CATTGTAGAC
GCTGACACAG
GACCCGGGAT
CGGgtgagag
cgccagggca
ctgactcatt
ttcacagcat
tgtgtctcct
gtggctatgg
gctgcctttg
aggctgcaca
ctccaccacc
atcaggtaac
ctttcccaag
tgtgcacttt
tgtctcccca
ttcccctggc
CGAAGAGTTC
tgcatggagc
tctgtctgaa
ccccctgtcg
ccgcctcctc
aacatgttcc
ctgtcctcct
gcccacagAA
CATGgtaatg
tggagaagct
ctcgatcgcc
gaagcttggc
tcacccccac
ccctatatga
cctctctcta
agggtgtcca
atacacagta
ttgtaagagt
tgttggagcc
acttagcctg
gatgaattta
atataattaa
atcctgaaaa
tgccctcctg
gtgacaggtg
CCAAACCGCT
ATACAG
GCCAAAGGCA
ccccaatcct
tgagcctgct
atacaccaca
tcctagagag
gtgagagaaa
ggactgtcct
ggacccgcta
ttcccggtgc
ctgcctgctt
ctggggcact
caggactgtg
tatttcccct
cacacaccac
accgcatggc
AAAGCCTGCC
acgctcaagg
ttctccctgt
ggttcctctg
tccctcgtca
tcctacattc
ggcctctgcc
GAAGACGGGC
taaaccccat
aagtcttaga
gatccttggg
ctcctcctca
agtggacacc
gaatggaagt
gtcttgttct
ttgaaccgag
aatcacattg
taaataaagt
aaactgcctg
tgtgggcctc
gaatagtaga
tacagccatc
tcccaactat
ttccaaccat
tgtgttggct
TGGGGGTAGT
図3-18 ラットα-アクチニンミニ遺伝子のDNA配列
ラットアクチニン遺伝子のEF1aエキソンからEF2エキソンまで
のDNA配列を示している。配列GCATGを四角で、ブランチ部
位を丸で、エキソンを大文字・太字で、イントロンを小文字で
示した。bruno/CELFファミリーの標的であるURリピートを下
線、hermesの標的であるCAリピートを二重下線で示す。
-94-
(A)
(α-actinin)
nonmuscle type
EF1a
NM
EF2
SM
100 nt
muscle type
:GCAUG
(B)
-
F-A
zFox-1
:branch site
∆N
∆C
NM
SM
double exclusion
1
2
3
4
5
図3-19 Fox-1はラットα-アクチニンミニ遺伝子の筋肉型スプ
ライシングを促進する
(A)ラットα-アクチニンミニ遺伝子を模式的し示している。イ
ントロンを線、エキソンを四角、ブランチ部位を矢頭、
GCAUGを丸で示している。(B)α-アクチニンミニ遺伝子を用
いたin vivoスプライシング法の結果を示している。培養細胞か
ら回収したRNAを用いてRT-PCRを行い、電気泳動した。
-95-
(α-actinin)
(0)
EF1a
nonmuscle type
NM
EF2
SM
+ Fox-1
(I)
(II)
(III)
muscle type
図3-20 Fox-1によるα-アクチニン遺伝子の選択的スプライシ
ング制御モデル
非筋肉組織では(0)、上流のNMエキソンが使用される。Fox-1
の制御様式として3つのモデルが考えられる。(I) Fox-1はNMエ
キソンの使用のみを阻害する、結果SMエキソンの使用が自動
的に促進される。(II) Fox-1はSMエキソンの使用促進にのみ働
く、結果NMエキソンが自動的に抑制される。(III) Fox-1はNM
エキソン使用阻害、SMエキソンの使用促進、共に働く。(3)の
モデルが最も正しい。
-96-
(A)
(EF-NM/14-15)
δ-crystallin
100 nt
:GCAUG
(B)
-
F-A
1
2
zFox-1
:branch site
∆N
∆C
3
4
5
NM/14
図3-21 Fox-1はC末端側を介してNMエキソンをスキップさせ
る(A)EF1a-NM/14-15キメラミニ遺伝子を模式的し示している。
イントロンを線、エキソンを四角、ブランチ部位を矢頭、
GCAUGを丸で示している。(B)EF1a-NM/14-15キメラミニ遺伝
子を用いたin vivoスプライシング法の結果を示している。培養
細胞から回収したRNAを用いてRT-PCRを行い、電気泳動し
た。
-97-
(A)
(NM-SM-EF2)
100 nt
EF2
SM
NM
(B)
-
F-A
1
2
9
9
zFox-1
:GCAUG
∆N
∆C
3
4
5
(lane No.)
18
5
13
SM [%]
図3-22 Fox-1はN末端側を介してSMエキソン使用を促進する
(A)NM-SM-EF2ミニ遺伝子を模式的し示している。イントロン
を線、エキソンを四角、GCAUGを丸で示している。(B)NMSM-EF2ミニ遺伝子を用いたin vivoスプライシング法の結果を示
している。培養細胞から回収したRNAを用いてRT-PCRを行
い、電気泳動した。
-98-
(A)
mPTB4
α-Myc
zFox-1
(B)
NM
SM
double
exclusion
1
[%]
(C)
2
3
4
5
30
20
:SM
:double
exclusion
10
mPTB4
zFox-1
0
-
+
+
+
+
-
図3-23 Fox-1はPTBによるSMエキソン抑制を解除する
(A)CV-1培養細胞に発現させたzFox-1タンパク質とmPTB4の発
現量を抗Myc抗体を用いたウエスタンブロットで検出した。
(B)α-アクチニンミニ遺伝子を用いたin vivoスプライシング法の
結果を示している。培養細胞から回収したRNAを用いてRTPCRを行い、電気泳動した。(C)図Bのバンド強度をグラフにし
て表している。
-99-
(A)
(Fibronectin)
100 nt
III-7b
III-8a,8b,9
EIIIB
-
F-A
1
2
4
3
∆N
∆C
mFox-1
(B)
zFox-1
:GCAUG
3
4
5
6
12
3
3
15
EIIIB [%]
図3-24 Fox-1はフィブロネクチンIIIBエキソンの挿入を促進す
る
(A)フィブロネクチンミニ遺伝子を模式的に表している。イン
トロンを線、エキソンを四角、GCAUGを丸で示している。(B)
フィブロネクチンミニ遺伝子を用いたin vivoスプライシング法
の結果を示している。培養細胞から回収したRNAを用いてRTPCRを行い、電気泳動した。IIIBエキソンの挿入の割合を%で
示している。
-100-
(A)
Fox
エキソン9 (F1γ)
9
抑制
Fox
NMエキソン
(α-アクチニン)
NM
(B)
促進
Fox
IIIBエキソン
(フィブロネクチン)
IIIB
(C)
抑制
(D)
促進
IIIcエキソン (FGFR2)
IIIbエキソン (FGFR2)
エキソン16 (4.1R)
N1エキソン (c-src)
N30エキソン(NMHC)
(Gatto et al., 1997)
(Gatto et al., 1997)
(Deguillien et al., 1994; Brudno et al., 2001)
(Modafferi and Black, 1997)
(Kawamoto, 1996)
図3-25 配列GCAUGの位置効果モデル
(A)F1g はエキソン9、a-アクチニンはNMエキソンの上流イント
ロンに配列GCAUGを持ち、Fox-1依存的にエキソン使用が抑制
される。(B)フィブロネクチンはIIIBエキソンの下流イントロン
に配列GCAUGを持ち、Fox-1依存的にエキソン使用が促進され
る。(C)FGFR-2、IIIcエキソン。制御エキソンの上流イントロン
に配列GCAUGが存在し、配列GCAUG依存的に制御エキソンが
抑制される。(D)FGFR-2、IIIbエキソン;4,1R、エキソン16;csrc、N1エキソン;NMHC、N30エキソン。制御エキソンの下流
イントロンに配列GCAUGが存在し、配列GCAUG依存的に制御
エキソンが促進される。
-101-
(A)
hF1γS
9
hF1γS(m1)
DW-GCAUG
-
zFox-1
mFox-1
1
2
3
-
mFox-1
hF1γS(m1)
DW-GCAUG
hF1γS
zFox-1
(B)
: GCAUG
: cgAUG
4
5
6
図3-26 下流イントロンにあるGCAUGはfox-1依存的なエキソ
ン使用促進に働く
(A)F1γミニ遺伝子を模式的に表している。イントロンを線、エ
キソンを四角、GCAUGを丸で示している。(B)F1γ遺伝子を用
いたin vivoスプライシング解析の結果を示している。CV-1培養
細胞から回収したRNAを用いてRT-PCRを行い、電気泳動し
た。I
-102-
(A)
1
117
mouse
Fox-1
198
396 a.a
RRM
1
117
Fxh/RBM9
100%
54%
al
lI
Sm
He
ar
t
Ki
dn
ey
Sk
in
(B)
378
Br nte
st
ai
in
n
e
Li
ve
r
Lu
ng
M
us
cle
44%
198
9.5
7.5
1
2
3
4
5
6
7
4.4
kb
9
8
C
e.
1
2
3
4
5
100 nt
III-7b
EIIIB
III-8a,8b,9
:GCAUG
図3-27 fxh/RBM9はユビキタスに発現する
(A)マウスFox-1及びマウスFxh/RBM9のアミノ酸配列を領域ご
とに比較した。数字はidentityを示している。RRM100%のidentity
を示し、Fox-1とFxhのC末端領域も高い相同性を示した。
(B)ヒト胎児由来のRNAを用いfxh/RBM9の発現をノザン解析に
より明らかにした。
(C)マウスfxh/RBM9、線虫fox-1はフィブロネクチン遺伝子のIIIB
エキソンの挿入を促進する(lanes 4, 5)。
-103-
1
x-
Fo
h/
m
Fx
x
m
Fo
-
zF
(Fibronectin)
ox
R
BM
9
(C)
(A) mFox-1-mFxh
input
IP:α-Myc IP:α-FLAG
A B C A B C A B C
Myc-mFxh
Myc-GFP
IgG
FLAG-mFox-1
FLAG-GFP
1
2
3
4
5 6
7
8
9 A : Myc-mFxh_FLAG-GFP
B : Myc-GFP_FLAG-mFox-1
C : Myc-mFxh_FLAG-mFox-1
(B) zFox-1-mFxh
input
IP:α-Myc IP:α-FLAG
D E F D E F D E F
Myc-mFxh
Myc-GFP
IgG
FLAG-zFox-1
FLAG-GFP
10 11 12 13 14 15 16 17 18 D : Myc-mFxh_FLAG-GFP
E : Myc-GFP_FLAG-zFox-1
F : Myc-mFxh_FLAG-zFox-1
(C) zFox-1∆N,∆C-mFxh
input
G H I
J
IP:α-Myc
G H I J
IP:α-FLAG
G H I J
Myc-mFxh
IgG
FLAG
19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 G : FLAG-GFP
H : FLAG-zFox-1
I : FLAG-zFox-1(NLS-∆N)
J : FLAG-zFox-1(NLS-∆C)
図3-28 Fox-1はFxhとC末端領域を介して相互作用する
(A)マウスFox-1とマウスFxhは相互作用する(lanes 6, 9)。(B)ゼブ
ラフィッシュFox-1とマウスFxhは相互作用する(lanes 15, 18)。
(C)Fox-1とFxhの相互作用にはFox-1のC末側が必要である(lanes
24-26, 28-30)。
-104-
mFox-1-mFox-1
input
IP:α-Myc IP:α-FLAG
A B C A B C A B C
Myc-mFox-1
Myc-GFP
FLAG-mFox-1
IgG
FLAG-GFP
1
2
3
4
5
6
7
8
9
A : Myc-mFox-1_FLAG-GFP
B:
Myc-GFP_FLAG-mFox-1
C : Myc-mFox-1_FLAG-mFox-1
図3-29 Fox-1は自身と相互作用する
マウスFox-1はマウスFox-1と相互作用する(lanes 6, 9)
-105-
第四章、考察
本研究において、脊椎動物における fox-1 遺伝子を同定し、以下の知見を得た。
・ 脊椎動物において fox-1 遺伝子は組織特異的に発現する。
・ fox-1 は標的遺伝子に存在する配列 GCAUG を介して選択的スプライシングを制
御する。
・ fox-1 によるスプライシング抑制活性には、Fox-1 の RNA 結合能、及び C 末端領
域が必要である。
以上の知見から私は、fox-1 は配列 GCAUG を介して標的遺伝子の選択的スプライシ
ングを制御する因子であると、結論づけた。この章においては、fox-1 による選択的
スプライシング制御についての分子機構を中心に考察する。
1)選択的スプライシング制御因子としての機能
a) F1γ
本研究において、私は fox-1 がヒト及びマウスのミトコンドリア ATP 合成酵素
γサブユニット遺伝子の筋肉系列特異的なスプライシングを促進できることを
明らかにした(図 3-13, 14)。
F1γは、筋肉系列でのみエキソン 9 の使用が阻害される最も単純なカセット型
の選択的スプライシングにより制御されている(Matsuda et al., 1993a; Matsuda et
al., 1993b)。このスプライシングによるタンパク質の一次構造の差は C 末端にア
スパラギン酸があるか、ない(筋肉型)かである。生理的な差はわかっていな
いが、ATP 合成の効率に影響があると考えられている(Matsuda et al., 1994)。
F1γにおいては、エキソン 9 上流のイントロンに存在している GCAUG に Fox1 が結合することでエキソン 9 上流の 3’スプライス部位を中心にスプライソソー
ムの形成を阻害し、結果的にエキソン 9 の使用を抑制すると考えている。その
理由は、配列 GCAUG がブランチ部位の近位に位置しているからである。ヒト
F1γにおいてはブランチ部位から最も近い配列 GCAUG は 13 塩基上流に位置し
ており、マウス F1γにおいては 33 塩基上流に位置している。ヒトとマウスにお
ける、ブランチ部位と配列 GCAUG の距離の違いが、遠いのか近いのかは比較
対照がないために判断がむずかしい。しかし C 末端を欠失させた Fox-1 が抑制
効果を持たないことを考えると、単にブランチ部位の近傍に結合するだけで
U2AF、SF1/BBP、U2snRNP などの 3’スプライス部位におけるスプライソソーム
形成に関わる因子の RNA への結合を阻害しているのではなく、C 末端領域を介
-106-
し他の因子と相互作用することで協調的に阻害因子群として働いているのでは
ないかと考えることができる(図 4-1B)。また、ヒト fox-1/A2BP1 は Ataxin-2 と
相互作用する因子として報告された遺伝子であり、この相互作用にはヒト Fox1/A2BP1 の C 末端領域が必須であることが明らかとなっている。つまり Fox-1
の C 末端領域がタンパク質間の相互作用に関わるのではないかと推察すること
ができる。今後は、配列 GCAUG-ブランチ部位間の距離と、Fox-1 によるスプラ
イス部位抑制効果との関係を明らかにし、且つ相互作用する因子を同定するこ
とにより、より詳細な分子機構が明らかになると考えている。
さらに私は、GCAUG 配列が一つよりも複数あるほうがエキソン 9 の阻害効果
が高いという結果を得ている(data not shown)。この結果は GCAUG の数が増え
ることで、より多くの Fox-1 が結合できるからなのか、または結合する頻度が
高まるからなのかは、明確ではない。しかし、この結果により他の阻害機構モ
デルを考えることも可能である。それは PTB や hnRNP A1 のように、Fox-1 が C
末領域を介してホモ多量体を形成し、スプライソソームの形成の場をマスクす
ることでエキソン 9 を阻害するというモデルである(図 4-1C)。
b) α-ア
アク チ ニ ン
α-アクチニンはアクチン束形成タンパク質であり、ストレスファイバーに凝
縮されており、アクチンフィラメントを比較的ゆるく架橋し、収縮性の束を形
成すると考えられている。また、α-アクチニンは Ca イオン結合ドメインを持つ
ことがわかっている。Ca イオン濃度が上昇するとゲルゾリンが活性化しアクチ
ンフィラメントが断片化されることが知られている。α-アクチニンは NM エキ
ソンと SM エキソンを排他的に使い分けており(Southby et al., 1999)、この使い分
けにより平滑筋型の mRNA からは 2 つあった Ca 結合ドメイン(EF-hand
calcium-binding motif)の 1 つがなくなる。Ca 結合ドメインが2つ協調的に働く
ことにより、Ca イオンに対する親和性が上昇することが知られている(Witke et al.,
1993)。つまり Ca 結合ドメインが 1 つ消失することでアクチンに対する結合性
が弱くなる。おそらくは筋肉繊維のように、細胞としての骨格が他の組織と較
べて強固でなければならない組織にとって Ca 濃度変化という外部刺激にあまり
に敏感では生物の生存にとって不利益という事が推察できる。
α-アクチニンには NM エキソンを挟む形で配列 GCAUG が存在しており(図
3-19A)(Southby et al., 1999)、zfox-1 は NM エキソンの使用を阻害すると共に、PTB
による SM エキソン使用の抑制を解除していると結論づけた。NM エキソンの抑
制には C 末端領域が、SM エキソン抑制の解除には N 末端領域が必要であると
考えている。詳細な分子機構はまだ明らかでないが、EF1a-NM/14-15 キメラミ
-107-
ニ遺伝子と fox-1∆C を共導入したときの結果を考えると、NM エキソンの抑制は
F1γにおけるエキソン 9 の阻害と同じ機構ではないかと考えている。また SM エ
キソンの促進には N 末端側が必要であり、且つ PTB による抑制を解除すること
が必要である。この二つのことを繋ぎ合わせると、間接か直接かは明らかでは
ないが、Fox-1 は N 末端領域を介して PTB による抑制効果を解除していると推
察できる。しかし fox-1 と PTB は免疫沈降実験によるタンパク質間相互作用が認
められない事から、fox-1 によるエキソン抑制解除機構は他の因子も絡んだ制御
ではないかと考えられる(data not shown)。
c) フ ィ ブ ロ ネ ク チ ン
フィブロネクチンの IIIB エキソンの挿入には、このエキソンの下流のイント
ロンに複数存在している配列 UGCAUG が必須であることが以前から明らかにな
っていた(Huh and Hynes, 1993; Huh and Hynes, 1994)。IIIB エキソンは、筋肉系列
組織や神経系列組織に限定されず、様々な組織や発生段階において挿入される
ことが知られている。つまり、Fox-1 が真のトランス因子ではないと考えられる
が、1)IIIB エキソンの挿入に必須なシス配列が UGCAUG であり、2)また Fox-1
が配列 GCAUG を介して他の遺伝子の選択的スプライシング制御に関わってい
ることを考えると、Fox-1 と相同性のあるタンパク質が IIIB エキソンの挿入に関
与しているであろうことは容易に想像できる。実際に私は、fox-1/A2BP1 と相同
性のある fxh/RBM9 が、IIIB エキソンの挿入を促進することを、培養細胞を用い
た実験から見いだしている(図 3-26C)。fxh/RBM9 はアンドロゲンによって誘導
されてくる因子として同定された遺伝子であり、様々な組織において発現する
ことがわかっている(Lieberman et al., 2001)。
fox-1 や fxh/RBM9 による IIIB エキソン挿入の分子機構はなんであろうか。Fox-1
や Fxh/RBM9 がイントロン中の GCAUG に結合することで、イントロンとして
認識されていた IIIB エキソンがエキソンとして認識されるようになったと考え
てよいと思われる。つまり、1)Fox-1 によりスプライシングに関わる因子が呼
び込まれたか、または IIIB エキソンは PTB により抑制されていると報告もある
ことを考慮すると、アクチニンにおける SM エキソンのときと同様に、2)Fox-1
により PTB の抑制効果を阻害することでエキソン IIIB が使用されたかのどちら
かであろう。ここで、fox-1∆N や fox-1∆C の結果を考慮してみる。アクチニンの
SM エキソンの挿入においては N 末端側が必要であり、C 末端側は重要ではなか
ったことから PTB による抑制効果の阻害には N 末端側が必要と考えた。しかし
ながらフィブロネクチン IIIB エキソンにおいては N 末、C 末共に必要であった。
このことは、IIIB エキソンの挿入と、SM エキソンの挿入の分子機構には違いが
-108-
あると考えることができる。この IIIB エキソン挿入のときの C 末端側の機能と、
F1γのエキソン9の阻害に必要な C 末端側の機能は違うのであろうか?しかし、
私はこの疑問に答えるための結果は持ち合わせていない。さらなる知見を得る
ためには、N 末、C 末領域と相互作用する因子の同定、及び in vitro のスプライ
シング系を用いてスプライシングのどの段階を促進・阻害しているのかを知る
ことで、fox-1 による制御をより詳しく明らかにすることができると考えている。
また序論でも述べたように、転写とスプライシングとの協調関係があるとい
う知見が様々な研究者から報告されている。よく知られているのは RNA ポリメ
ラーゼ II の C 末端領域(CTD)の機能である。転写伸長のスピードにより選択
されるスプライス部位が変化することも知られており、これらの制御と協調的
に働くことにより、fox-1 はスプライス部位を変化させているという可能性も考
えられる。
d) エ ン ハ ン サ ー 配 列 GCAUG
zfox-1 遺伝子の標的遺伝子を探す糸口として、RNA 結合タンパク質 zFox-1 の
標的 RNA を、in vitro での RNA 選別(SELEX 法)(Tuerk and Gold, 1990)により
決定したところ、配列 GCAUG を共通配列に持つ RNA が 78%の割合(14/18)
で選別されてきた。そこで zFox-1 が配列 GCAUG に特異的に結合しているので
はないかと考え、この GCAUG に塩基置換を導入した。その結果 zFox-1 が配列
GCAUG に特異的に結合することを明らかとした。このように、SELEX 法によ
り標的 RNA 配列が決定されている RNA 結合タンパク質はいくつか報告されて
いる。例を挙げると、RRM 型ではスプライシング因子であるヒト Tra2 が GAA
repeat (Tacke et al., 1998)に、基本スプライシング因子である U2AF35 が 3’スプラ
イス部位の AG を含む周辺の配列に(Wu et al., 1999)、KH 型では前述した Nova-1
が UCAU の繰り返しに結合する(Buckanovich and Darnell, 1997)ことが報告されて
いる。他にも報告されている遺伝子はあるが、zFox-1 のように、非常に配列自
由度の少ない(繰り返し配列ではない配列ということ)RNA が、RNA 結合タン
パク質を用いた SELEX 法により決定され報告された例はあまりない。
GCAUG という配列は、選択的スプライシングにおける研究でシス配列として
いくつかの遺伝子で報告されており、興味深い配列と言える。それは fibronectin、
nonmuscle myosinII heavy chain-B、c-src、calcitonin/CGRP、FGFR-2、4.1 R などの
イントロン中に存在しており exon inclusion(エキソンの使用)の促進効果があ
ると報告されている(Baraniak et al., 2003; Black, 1992; Deguillien et al., 2001;
Hedjran et al., 1997; Huh and Hynes, 1994; Kawamoto, 1996; Lim and Sharp, 1998)。
これらの遺伝子中に含まれている配列 GCAUG は、選択的スプライシングに影
-109-
響効果のあるシス配列である。しかしながらこのシス配列に直接働きかけるト
ランス因子は単離、同定されていない。また最近のコンピューター解析から、
筋肉や脳において特異的に制御されるエキソンの近傍のイントロンには有意に
GCAUG という配列が多いことが報告されている(Brudno et al., 2001)。この筋肉
や脳とは、マウス fox-1/A2BP1 の発現とも共通しており、fox-1 は筋肉系列や神
経系列などの組織特異的スプライシングに広範にわたって機能していることが
想像される。今後より多くの fox-1 の in vivo での標的遺伝子が明らかになれば、
今まで不明な点の多かった選択的スプライシングの大きな解明に繋がるのでは
ないかと考えている。
標的遺伝子の同定として、神経系特異的なスプライシング制御因子である nova
で報告されている方法がある(Ule et al., 2003)。この方法は、nova が発現してい
るマウスの脳を UV B によりタンパク質と核酸を共有結合により架橋する。その
後、抗 Nova 抗体を用い Nova と結合している RNA を共沈降させる。そして、RNA
と結合している Nova をプロテアーゼにより分解し、RNA を単離する。単離し
た RNA を linker ligation と PCR を組み合わせることで、単離した核酸の配列を
決定するという方法である(Ule et al., 2003)。この方法は免疫沈降を用いている事
から当然、非特異的な RNA が共沈降してくることが容易に想像できる。しかし、
Fox-1 の標的配列である GCAUG を得られた配列に対し 2 次スクリーニングを行
うことで、標的遺伝子候補を網羅的に同定することが可能であると考えている。
e) 位 置 効 果
fox-1 によるエキソン抑制と促進の多面的な機能についての結果を得ている。
それは F1γ(S)、エキソン 9 の上流に GCAUG が存在しているミニ遺伝子を、フ
ィブロネクチンのように制御エキソンの下流に GCAUG を移したときの fox-1 に
よる制御効果である。このエキソン 9 の下流イントロンに GCAUG を挿入した
ミニ遺伝子は、fox-1 と共導入するとエキソン 9 を挿入する効果を持つ(図 3-28)。
この制御エキソン上流イントロンに存在する配列 GCAUG が fox-1 依存的なエキ
ソン使用抑制に働き、下流イントロンに存在する配列 GCAUG が fox-1 依存的な
エキソン使用促進に働くという結果を得ている。実は前述した fibronectin、
nonmuscle myosinII heavy chain-B、c-src、calcitonin/CGRP、FGFR-2、4.1 R 遺伝子
の配列 GCAUG と制御エキソンの位置関係は、fox-1 による制御と配列 GCAUG
の位置関係と、相関関係にある。つまりこれら遺伝子の選択的スプライシング
制御を fox-1 または fox-1 と相同性のある遺伝子が担っている可能性が高いと考
えられる。
-110-
f) fox-1 に よ る エ キ ソ ン 促 進 モ デ ル
Fox-1 によりエキソンを抑制するモデルについては前述したが、制御エキソン
下流イントロンに存在する配列 GCAUG を介した、Fox-1 による促進制御につい
て考察する。fox-1 にはエキソン選択を正にも負にも制御できることを明らかに
したことで、fox-1 はスプライシングに対し促進因子としても阻害因子としても
働くと仮定した。しかし、スプライシングに対し抑制的に働くのみで、エキソ
ン選択を正にも負にも制御しうるモデルを提唱する。
選択的エキソンの 3’ ss が弱く、そのエキソンより 3’側のエキソンの 3’ ss が強
い場合。弱い 3’ ss がスプライス部位として認識される前に、強い 3’ ss がスプラ
イス部位として使用されるためにエキソンスキップが起こる(図 4-2A)。しかし、
Fox-1 が選択的エキソンの下流イントロンに結合し、強い 3’ ss の認識を一部阻
害することで上流の弱い 3’ ss が認識されやすくなり、エキソンが使用されると
いうモデルを考えることも可能である(図 4-2B)。
g) 他 の 選 択 的 ス プ ラ イ シ ン グ 制 御 因 子 と の 関 係
< bruno/CELF フ ァ ミ リ ー と の 関 係 >
fox-1 がラットα-アクチニンの筋肉型スプライシングを促進することを明ら
かにしたが、当研究室の鈴木らにより、bruno/CELF ファミリーの一つである、
bruno-like 遺伝子がラットα-アクチニンの筋肉型スプライシングを促進するこ
とを明らかにしている(Suzuki et al., 2002)。bruno-like は NM エキソンの上流の
ブランチ部位直下のウリジン(U)とプリン(A or G)の繰り返し UR リピートに結
合することでα-アクチニンの筋肉型スプライシングを制御することを明らか
にした。fox-1 と bruno-like によるスプライシング制御における機能的相互作
用を検討したところ、相加的な効果は認められるものの、相乗的な効果は認
められなかった(data not shown)。bruno-like によるスプライシング制御効果は、
ブランチ部位の3’側に存在する UR リピートに塩基置換を導入すると失われ
る(Suzuki et al., 2002)。この UR リピートに変異を導入したミニ遺伝子におい
ては、fox-1 による制御効果には影響は認められなかった(data not shown)。
このことは fox-1 と bruno-like は独立にα-アクチニンの筋肉型スプライシング
を制御していることを示唆している。
< hermes (Heart RRM Expressed Sequence)と
との 関 係 >
同様の結果は、当研究室で同定したゼブラフィッシュ hermes (Heart RRM
Expressed Sequence)遺伝子についても言える。この遺伝子は、心臓特異的に発
現する RNA 結合タンパク質としてマウス、ニワトリ、アフリカツメガエルに
-111-
おいて同定されていた遺伝子であり、分子機能は未知である(Gerber et al., 1999)。
ゼブラフィッシュにおいては初期発生過程において心臓原基、網膜といった
組織に発現することをホールマウント in situ ハイブリダイゼーション法にて
明らかにしている(Gerber et al., 1999)。この zhermes はα-アクチニンの NM エ
キソン上流ブランチ部位の 3’側に存在する CA リピートを介して、筋肉型ス
プライシングを促進する(山本晋也, 2002)。fox-1 や bruno-like とのスプライシ
ング制御における機能的相互作用を検討したところ、相加的な効果は認めら
れるものの、相乗的な効果は認められなかった。この CA リピートに塩基置
換を導入しても、fox-1 や bruno-like による制御には影響しなかった(data not
shown)。
h) ataxin-2
マウス fox-1/A2BP1 は、ヒト神経疾患遺伝病の原因遺伝子である ataxin-2 を餌
(bait)にした酵母2ハイブリッドスクリーニングにより単離された遺伝子である
(Shibata et al., 2000)。さらに、Ataxin-2 との相互作用には、Fox-1/A2BP1 の C 末
領域が必要だという事が明らかになっている(Shibata et al., 2000)。この Ataxin-2
は特徴的なモチーフとして、U snRNP の構成因子である Sm proteins が持つ Sm
motif 様の構造を持っている(Neuwald and Koonin, 1998)。また Ataxin-2 は、PABP
(PolyA binding protein)の C 末と相互作用するペプチドのコンセンサス配列と同様
のアミノ酸を有していることが解っている(図 4-3)(Kozlov et al., 2001)。Sm motif
は motif1 と motif2 がリンカー領域を挟んで存在していることが知られており、
立体構造解析から Sm motif は RNA 結合能を有していることが明らかとなってい
る(Achsel et al., 2001; Sun et al., 2002)。また Sm motif は短い U-rich RNA 配列に結
合することが報告されている(Achsel et al., 2001; Sun et al., 2002)。以上の知見を
総合すると、Fox-1 は Ataxin-2 と結合し、さらに Ataxin-2 が自身の持つ Sm motif
を介して U snRNA または U snRNP に相互作用し、基本スプライシング機構に影
響を与えているという可能性が考えられる。
i) 基 本 ス プ ラ イ シ ン グ 制 御 機 構 と の 機 能 的 関 係
本研究において、選択的スプライシング制御因子である fox-1 がどのように基
本スプライシングに働きかけているのという問題に対しての答えは得られなか
った。今までに報告されている CELF family や Nova などの因子についてもやは
り同様である。では何が問題なのか?
fox-1 においては、1 イントロンの基質を用いた in vitro スプライシング実験を
行ったところ、fox-1 による効果を再現できていない。この場合の in vivo スプラ
-112-
イシング実験系との違いは、1)転写を介するか、2)イントロンが 2 つ以上
か、の大きく二つである。そこで基質として F1γ S の 2 イントロンの基質を用い
た in vitro スプライシング実験を行ったところ、予備的ではあるが fox-1 依存的
なスプライシング変化が認められている。そこで Fox-1 には、1 イントロンの
mRNA 前駆体に対するスプライシング阻害効果はないが、2 イントロンの mRNA
前駆体に対してはエキソンスキップの効果があると想定する。この場合、Fox-1
によるエキソン 9 のスキップは、まずエキソン 8 と 9 の間のイントロン 8 の 3’ ss
への U2 snRNP の結合阻害や、イントロン 8 の 5’ ss への U1 snRNP の結合阻害
をしているのではないと考えることができる(図 3-13A)。
では何なのか?イントロン 8 の U1 snRNP と U2 snRNP のブリッジ形成を U2
snRNP 側に働きかける事で阻害する。すると、イントロン 8 の U2 snRNP とブ
リッジ形成できなかった U1 snRNP が、イントロン 9 の U2 snRNP とブリッジ形
成する。結果、エキソン 9 がスキップしたスプライシングが誘導されるのでは
ないかと考える事も可能である(図 4-4)。ブリッジ形成は U1-70k、SRm160、
U2AF35 の三者のタンパク質間相互作用と考えられている事から、Fox-1 がこれ
らタンパク質の相互作用を阻害するかどうかを実験的に確かめることは可能で
あると考えられる。
2 ) fox-1 の 生 物 学 的 な 機 能
a) ゼ ブ ラ フ ィ ッ シ ュ
本研究により、脊椎動物 fox-1 の生化学的な機能は明らかになりつつあるが、
では実際にゼブラフィッシュの発生・分化過程における働きについて考察して
みたい。zfox-1 について今現在得られている知見は、まず発生・分化段階にお
いて筋肉系列組織に特異的に発現しているということ、RRM を1つ持つ RNA
結合タンパク質を作り出す遺伝子であり、zFox-1 は配列 GCAUG を持った RNA
に特異的に in vitro において結合することができること、そして選択的スプラ
イシングの誘導活性を持つことなどである。しかし、これだけの情報では本当
にゼブラフィッシュ生体内においても選択的スプライシングに関わりを持つか
どうかはわからない。この疑問に答えるには幾つかの方法が考えられる。1)
zfox-1 の強制発現の効果を検討することである。1∼4細胞期の受精卵に少量
の zfox-1 mRNA をマイクロインジェクションし発生させた場合、多くの胚がエ
ピボリー期(受精後5∼9時間、図 3-5)を越えられずに致死となる。生き残っ
た初期胚においては、目に異常がみられるもの、心臓に異常がみられるもの、
体節形成が異常となるものなど様々な表現型が観察された(data not shown)。し
-113-
かしながら、これらの結果は zfox-1 の機能を反映しているのではなく、過剰に
zFox-1 タンパク質が発現することで GCAUG という配列を持った RNA に非選
択的に結合し、結果的に高い致死性が観察されたと考えている。このような過
剰発現実験については、筋肉組織特異的なプロモーターを用いた発現実験を行
うことで解決できる可能性が高い。2)zfox-1 の機能阻害の効果を検討するこ
とである。ゼブラフィッシュにおいて、ある遺伝子の機能を阻害する方法とし
てモルフォリノ(Morpholino, MO)と呼ばれるアンチセンスオリゴ(MO オリゴ)
を用いる方法がある(Nasevicius and Ekker, 2000)。ある遺伝子の開始コドンより
約 15∼20 塩基上流と数塩基下流の間に、化学修飾 (Morpholino)により分解され
にくくしたアンチセンスオリゴが相補的に結合することで、その遺伝子の翻訳
を阻害することができるという方法である。1細胞期の胚に zfox-1 の MO オリ
ゴをマイクロインジェクションし、24 時間発生させた胚を用いてホールマウン
ト in situ ハイブリダイゼーションを行った。予備的ではあるが、zfox-1 の MO
オリゴインジェクションにより、myoD 及び zfox-1 自身の発現に大きな変動が認
められなかった事から、zfox-1 はこれら遺伝子の発現制御には関与していない
と考えている。しかし zfox-1 に対する MO オリゴにより内在性 zFox-1 の発現が
減少しているかどうかを、抗体を用いて検証する必要がある。3)zfox-1 変異
体からの表現型により、役割または標的遺伝子を決定するという方法が考えら
れる。しかしそのような変異体は報告されていない。現在までに zfox-1 が発現
している組織に変異表現型を持つ変異体がいくつも報告されている。このよう
な変異体での zfox-1 の発現を調べることで、この遺伝子の機能を推測していく
ことも可能であると考えている。また最近海外のグループから、Arabidopsis を
用いて目的の遺伝子の点変異体を得るという TILLING システムが開発された
(Colbert et al., 2001; Till et al., 2003a; Till et al., 2003b)。このシステムはゼブラフィ
ッシュにも応用可能である。方法としては、まずオスに ENU を用いた変異原処
理を行い、そのオスと野生型のメスを掛け合わせる。次に得られたヘテロの F1
からオスのみを選別し、精子を凍結保存、F1 個体からはゲノム DNA を抽出す
る。さらに、得られた複数の F1 ゲノム DNA から目的の遺伝子に対して PCR を
行う。このときに同時に野生型ゲノム DNA に対しても同じプライマーセット
を用い PCR を行う。野生型 PCR 産物と変異体候補 PCR 産物を混合し、アニー
リングさせる。このとき目的の遺伝子に変異が誘導されていると仮定する。変
異体 DNA と野生型 DNA には一塩基のミスマッチが生じている。この一塩基ミ
スマッチを認識・切断する酵素 CEL I を用い短い DNA を産生させる(Oleykowski
et al., 1998)。酵素処理した DNA を電気泳動することで、変異体由来の DNA は、
野生型において本来予想される移動度よりも早くなることから、目的の遺伝子
-114-
に変異の入った個体を同定することができる。同定した個体由来の保存精子か
ら個体を生み出すことで、最終的に変異体を得ることができるという方法であ
る。この方法を用いる事で zfox-1 の変異体を得、解析することも可能である。
b) マ ウ ス
遺伝子破壊マウスを作製することで、表現型の解析から fox-1 による生物学的
な機能を知ることができると考えている。また遺伝子破壊マウスにおいて、F1γ、
α-アクチニン、フィブロネクチンが n vivo においても標的遺伝子であるかを確
認する事が可能である。さらに配列 GCAUG が選択的スプライシング制御のシ
スエレメントと報告されている遺伝子についても遺伝子破壊マウスにおいてス
プライシングパターンに変化があるかどうかを確認することが可能である。さ
らには nova のように標的遺伝子候補網羅的な単離・同定を通して、fox-1 の生
物学的な意義をさらに検証することも可能である。
3 ) 線 虫 fox-1 に お け る 機 能
遺伝学的な知見から、線虫 fox-1 (feminizing locus on X)は xol-1 (XO lethal)の性特異
的なスプライシングか、2.2 kb の mRNA の安定性かどちらかへの関与が示唆されて
いたが、本研究により線虫 fox-1 が性特異的なスプライシングに関与している事が強
く示唆された(Nicoll et al., 1997; Rhind et al., 1995)。線虫 Fox-1 は、脊椎動物 Fox-1 の
RRM と相同性が高いことから、認識する配列も同様の GCAUG ではないかと考えて
いる。また xol-1 の性特異的スプライシングの選択を受けるエキソン 7 の上流、下流
のイントロンには GCAYG (Y; U or C)の配列が存在している。そこで以下のようなモ
デルを考えている。
モデル1)XX において発現が多い線虫 Fox-1 はエキソン 7 の上流イントロンにあ
る配列 GCAUG に結合することで、エキソン 7 の使用を抑制し機能的な xol-1 ができ
ず、結果的に雌雄同体へと分化する(図 4-5B)。2)Fox-1 はエキソン 7 の上流、下
流イントロンにある配列 GCAYG に結合することで、エキソン 7 の使用を抑制する
(図 4-5C)。
上記したモデルのように働いているのかを検討する意味でも線虫 fox-1 について今
後、機能解析を行っていく必要があると考えている。現在、線虫には株化された培
養細胞がない、また本研究のようにほ乳類の培養細胞系を用いても、線虫でのスプ
ライシングを再現することはできなかった(data not shown)。そこで線虫の核抽出液
や、初代培養細胞を用いた in vitro スプライシング解析系を用いることでこの問題に
取りかかれるのではないかと考えている。他には変異体およびトランスジェニック
-115-
を用いた遺伝学的な方法と組み合わせることで、fox-1 による xol-1 の抑制機構を解
明できると考えている。
4)今後の展望
本研究により、fox-1 が選択的スプライシング制御因子であることが明らかになっ
た。しかしながら、選択的スプライシング制御の分子機構、言い換えるとどのよう
にして基本スプライシング機構に影響を与えているのかは明らかにできていない。in
vitro スプライシング実験により、Fox-1 による制御を再現することができれば、より
多くの知見が得られるのではないかと考えている。
多くの遺伝子の選択的スプライシング制御機構のモデルとなるのか?とう問題に
対しての本研究を通しての私の考えは、多くの遺伝子の組織・発生段階特異的なス
プライシング変化には、特異的な因子の存在による制御か、またはある特定のスプ
ライシング因子の欠損によるのではないかと考えている。そして、ストレスなどの
外的要因によるスプライシングの変化は、ユビキタス因子の存在量、あるいは翻訳
後修飾による局在変化を含めた活性制御によるのではないだろうか。つまり多くの
遺伝子の選択的スプライシング制御機構は、ユビキタスに発現する因子の微妙な活
性バランスによる制御が主でないと今も考えている。さらに言うならば、濃度バラ
ンスによる選択的スプライシング制御の重要性をさらに実証していくには、ユビキ
タスなスプライシング制御因子の転写を含めた発現・活性制御機構をさらに検証し
ていく事が大事であろう。
今後 fox-1、nova を含めた選択的スプライシング制御因子の制御機構が詳細に明ら
かになることで、RNA レベルの遺伝子発現制御の重要性の立証、さらには遺伝子発
現制御の解明という大きな問題の鍵になると信じている。
-116-
(A) GCAUG
BP
BBP
3' ss
(Py)n
エキソン
U2AF
U2snRNP
(B)
エキソン
U2snRNP
BBP
U2AF
GCAUG
エキソン
Fox-1 X
(C)
U2snRNP
BBP
U2AF
GCAUG
エキソン
Fox-1 Fox-1 Fox-1Fox-1Fox-1
図4-1 Fox-1によるスプライシング抑制モデル
(A)線,イントロン;四角,エキソン;矢頭,ブランチ部位(BP);う
淡青,ピリミジンクラスター((Py)n);3' ss, 3'スプライス部位;
BBP, Branch-point Binding Protein;赤丸, GCAUG
(B)制御エキソン上流イントロンのGCAUGに結合したFox-1が、
他の因子と相互作用し、複合体としてエキソン使用を抑制する
モデルである。
(C)エキソンマスキングモデル。制御エキソン上流イントロン
のGCAUGに結合したFox-1が、RNAを足場にポリマー形成する
ことで3' ss周辺領域をマスクし、エキソン使用を抑制する。
-117-
(A)
(B)
pre-RNA
s
s
Fox-1
w
w
mRNA
(図1-18を改変)
図4-2 Fox-1によるエキソン使用促進モデル
(A)あるエキソン(灰色四角)の3' ssが弱く(W)、下流エキソンの3'
ssが強い(S)場合。転写伸長が早いと、弱い3' ssがスプライス部
位として認識される前に、強い下流エキソンの3' ssが先に認識
されるためにエキソンがスキップする。(B)Fox-1が存在し、強
いssを抑制すると上流の弱い3' ssが使用され、灰色エキソンが
使用される。
-118-
(A)
Fox-1のC末端領域と直接相互作用する
760
1312 a.a.
Ataxin-2
187-261
Sm motif
911-922
PABC-binding peptide
(B)
Ataxin2 (?)
Fox-1
C term.
?
exon exclusion
Fxh
図4-3 Ataxin-2との関係
(A)Ataxin-2の機能ドメインを模式的に表している。1312アミノ
酸からなり、Sm motif、PABPのC末を結合するペプチドモチー
フを持つ。またAtaxin-2のC末端領域は、Fox-1のC末端領域と
相互作用する。(B)Ataxin-2、Fox-1、Fxhによるスプライシング
制御モデル。
-119-
(A)
s
U2
U1
U2
w
U1
(B)
s
U2
U1
Fox-1 U2
w
U1
図4-4 Fox-1によるイントロンブリッジ阻害モデル
(A)3エキソン、2イントロンのmRNA前駆体がスプライシング
されるときの模式図。U1snRNPとU2snRNPがブリッジ形成をす
る(黒矢印)。またexon definitionモデルにあるようにエキソン
を挟んだU1とU2は互いにスプライソソーム形成を促進する
(赤矢印)(B)Fox-1が存在し、5'側のU1-U2のブリッジ形成を
阻害すると、自動的に赤矢印の相互作用がなくなることで3'側
のブリッジ形成の効率が上がらない。最終的に最も5'側のss
と、最も3'側のssがブリッジ形成する。そして、真ん中のエキ
ソンがスキップする。
-120-
XX-type
(A)
エキソン6
エキソン7
エキソン8
XO-type
(B)
:GCAUG
:GCAcG
XX-type
エキソン6
エキソン7
エキソン8
Fox-1
(C)
XX-type
エキソン6
エキソン7
Fox-1Fox-1
エキソン8
Fox-1
Fox-1
図4-5 線虫fox-1のxol-1制御モデル図
xol-1は(A)に示すようにエキソン7がオス(XO)では使用され、雌雄
同体(XX)においては使用を阻害される、カセット型のスプライシン
グ制御を受けている。(B)Fox-1による1つ目の制御モデル。X染色
体上にコードされているFox-1の発現が強いXXでは、エキソン7上流
イントロンに存在しているGCAUGにFox-1が結合することで、結果
的にエキソン7の使用を阻害し、XX型のスプライシングが促進され
る。(C)Fox-1による2つ目の制御モデル。X染色体上にコードされ
ているFox-1の発現が強いXXでは、エキソン7を挟む形で存在してい
るGCAYGにFox-1が結合することで、結果的にエキソン7の使用を
阻害し、XX型のスプライシングが促進される。
-121-
謝辞
本当に多くの人達に支えられた学部・大学院生としての研究生活でした。この6
年間に出会ったすべての人に心より感謝します。
安田國雄先生をはじめとした諸先生方の研究者としての生き方を側で感じること
により、私自身の目指す科学者像を作る土台ができました。安田先生には Science を
楽しむ姿を拝見させていただきました。心から感謝します。 学部生の私に研究者
としての始まりの機会を下さった左右田健次先生、鈴木晋一郎先生に深く感謝しま
す。 影山龍一郎先生に感謝します。合同セミナーにおいて、先生の Science に対す
る純粋な興味を伺い知ることができました。今後のお手本とさせて頂きます。 高
橋淑子先生には発生学者としての自負を見させて頂きました。私も自分の研究に自
負が持てるよう精進します。
井上邦夫先生には、何ものにも代えることのできない経験をさせて頂きました。
今後は先生の元で得た経験を糧に自身が目指す科学者に向かっていきます。本当に
5年間ありがとうございました。 右も左もわからなかった学部生の私に、生化学・
分子生物学の基礎を教授して下さいました片岡邦重先生に心より感謝します。 影
山裕二先生に深く感謝します。先生には研究に限らず広範に指導して頂きました。
坂本博先生、藤原俊伸博士に感謝します。1年という短い期間でしたが、お世話
になりました。坂本先生がいつも仰っていた「Science にとって何が新しいのか?」
という言葉を忘れずに今後も研究に励みます。
D.J. Grunwald博士、C.W.J. Smith博士、R.O. Hynes博士、橋本雄之博士、菅野純夫
博士にはミニ遺伝子をはじめとした実験材料を提供していただきました。ここに感
謝の意を表したいと思います。 遠藤仁司先生にはプラスミド、細胞株の分与だけ
でなく、貴重なご助言を頂きました。深く感謝します。 大野睦人先生には貴重な
ご助言を頂き、さらには先生の研究室での実験を心よく承諾してくれました。深く
感謝します。 片岡直行先生には細胞株の分与だけでなく、in vitroスプライシング
実験についても直接指導して頂きました。心より感謝します。またCSHL meeingにて
初めて先生にお会いした時に抱いた気持ちを忘れず科学者の道を歩んで行きます。
安田研究室の先輩達に心より感謝します。特に前川真吾博士には、一つ一つ実験
を教えていただきました。また先輩の背中を見ていたからこそ、ここまで辿り着け
ました。心より感謝します。 鈴木仁博士との共同でスプライシング解析、in vitro
結合実験を行いました。感謝します。 吉田智則博士には培養細胞実験、ゲル移動
度シフト実験を教えて頂きました。感謝します。 越智陽城博士とは日々、様々な
事について議論をしました。だからこそ今の私があります。心から感謝します。
安田研究室・坂本研究室の後輩含めた様々な人達に心から感謝します。特に橋本
祥子氏、三嶋雄一郎氏、小坂恭子氏の三人が今後、躍進することを願っています。
いつも思うままに行動する私をいままで暖かく見守り、陰から支えてくれた、母、
父、そして婚約者に心より感謝致します。
-122-
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山本 晋也
Reglation of Alternative Splicing
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(2002) ゼブラフィッシュにおける組織特異的転写後制御因子 HERMES、
SEB-4 の同定と機能解析
修士論文
-139-
論 文 目 録
所 属
(主指導教官)
氏 名
影山 龍一郎
神 唯
提 出
平成 16 年 1 月 8 日
学位論文の主たる部分を公表した論文
(題名、全著者名、公表時期、雑誌名、巻、ページ)
A vertebrate RNA-binding protein Fox-1 regulates tissue-specific splicing via the
pentanucleotide GCAUG.
神 唯、鈴木 仁、前川 真吾、遠藤 仁司、菅野 純夫、橋本 克之、
安田 國雄、井上 邦夫の共著
2003 年 2 月掲載
The EMBO Journal 22 巻 4 号 905 頁—912 頁
参考論文
(題名、全著者名、公表時期、雑誌名、巻、ページ)
Regulation of alternative splicing of alpha-actinin transcript by Bruno-like proteins.
鈴木 仁、神 唯、大谷 ひふみ、安田 國雄、井上 邦夫の共著
2002 年 2 月掲載
Genes to Cells 7 巻 2 号 133 頁—142 頁
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