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タンパク質とその分配
生物基礎 テレビ学習メモ 第 14 回 今回学ぶこと タンパク質とその分配 細胞内でタンパク質をつくるのはリボソ ームです。リボソームでつくられたタンパ ク質は、細胞内の決められた場所や細胞膜 の上、あるいは細胞の外へと運ばれて始め 監修講師 て正しく機能することができます。決めら 奥脇 亮 れた場所へタンパク質を運ぶのには、小胞 体とゴルジ体という細胞小器官が重要な役 調べておこう・覚えておこう 割をしています。 転写/翻訳/リボソーム/ 小胞体/ゴルジ体 Point リボソーム 真核生物の場合、核の中で、DNA 上のタンパク質の設計図となる遺伝子の部分の塩基配列が、 ▼ メッセンジャー RNA の塩基配列に転写される。転写されたメッセンジャー RNA は核から細胞 質基質へ出ていき、細胞質基質でメッセンジャー RNA はリボソームと結合する。リボソームは メッセンジャー RNA の塩基配列に従ってアミノ酸をつなぎ合わせて、タンパク質へと翻訳して いく。 Point 小胞体 小胞体というのは、板状の膜が何層も重なったような構造をしている細胞小器官である。 タンパク質はリボソームでつくられるが、タンパク質のはたらく場所によってつくられる場所 は異なる。 細胞質基質で使われるタンパク質の遺伝子から転写されたメッセンジャー RNA は、細胞質基 質のリボソームに結合し、リボソームは結合したメッセンジャー RNA を細胞質基質でタンパク − 27 − 高校講座・学習メモ 生物基礎 タンパク質とその分配 質へと翻訳していく。 それに対して、細胞の膜上ではたらくタンパク質や細胞の外ではたらくタンパク質の遺伝子か ら転写されたメッセンジャー RNA と結合したリボソームは、小胞体上でメッセンジャー RNA をタンパク質へと翻訳していく。 Point ゴルジ体 ゴルジ体は、膜でできた平たい膜が重なってできている細胞小器官である。 小胞体でつくられたタンパク質は、小胞という小さな膜で包まれて、ゴルジ体へと運ばれてい く。タンパク質はゴルジ体を通り抜ける間に仕分けされ、同じ行先のタンパク質が同じ小胞に集 められ、目的の行先へと送り出されていく。 ▼ タンパク質の行き先を決めているのは、そのアミノ酸配列である。タンパ ク質をつくっているアミノ酸が特定の並び方をしてつながっていると、それ が行先として認識され、目的の場所へと運ばれていく。 column もう半歩 先に このアミノ酸の並びを決めているのは、その遺伝子の DNA の塩基配列で ある。つまり遺伝子の情報には、タンパク質の構造を決める情報だけではなく、細胞のどこではた らくのかという情報まで含まれている。 タンパク質の構造を決める情報は正しくても、細胞のどこではたらくのか、という情報が適切で ないと、タンパク質が適切にはたらかず、病気になる場合があることがわかってきている。タンパ ク質はその構造だけではなく、どこではたらくのかも重要なのである。 参考文献 永田 和宏「タンパク質の一生 ― 生命活動の舞台裏 ―」(2008) 岩波新書 − 28 − 高校講座・学習メモ