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次世代エネルギー・社会システム実証事業 ∼ 進捗状況と

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次世代エネルギー・社会システム実証事業 ∼ 進捗状況と
資料1
次世代エネルギー・社会システム実証事業
∼ 進捗状況と成果等 ∼
平成26年4月24日
資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部
1.総
論
1−1.スマートコミュニティの意義
 「スマートコミュニティの導入が進めば、ディマンドリスポンス等によりエネルギー供給の効率化が図られる。
また、需要に応じて多様なエネルギー源を組み合わせて供給することによって、コミュニティ内全体では、平
常時には、大幅な省エネルギーを実現するとともに、非常時には、エネルギーの供給を確保することが可能
となり、生活インフラを支え、企業等の事業継続性も強化する効果が期待される。」(「エネルギー基本計画」
(平成26年4月11日閣議決定))
※太陽光発電等の出力が不安定な再生可能エネルギーの大量導入を見据えて、電力の需給を制御することで需給をバランスさせることが本
実証の当初目的。
スマートコミュニティ
①エネルギー供給の効率化
ディマンドリスポンス等によりピーク時の
節電等を促すことで、火力発電の焚き増
し等によらず、需給を調整可能。
<平常時>
需要家サイドに導入された
創エネ機器を有効に活用
②省エネルギー
需給の状況に応じて、創エ
ネ・蓄エネ・省エネ機器等
を、快適さを損ねずに最適
運転。
GE
従来
電力需要(kW)
創エネ機器
火力発電の焚き増し等
BEMS
HEMS
供給力
<非常時>
CEMS
節電等
今後
朝
昼
蓄エネ機器
省エネ機器
夜
需要を効率的に制御
③エネルギー供給の確保
災害時等には、再生可能エ
ネルギーやコージェネレー
ション等の分散型電源に
よって、コミュニティ内での
エネルギー供給が可能。
2
1−2.スマートコミュニティの構成要素
 スマートコミュニティは、「再生可能エネルギーやコージェネレーション等の分散型エネルギーを用いつつ、IT
や蓄電池等の技術を活用したエネルギーマネジメントシステムを通じて、分散型エネルギーシステムにおけ
るエネルギー需給を総合的に管理し、エネルギーの利活用を最適化するとともに、高齢者の見守りなど他
の生活支援サービスも取り込んだ新たな社会システムを構築したもの」(「エネルギー基本計画」)。
構成要素①: エネルギーマネジメントシステム
地域エネルギー
マネジメント
システム
(CEMS)
通信インターフェース
電力会社B
通信インターフェース
電力会社A
電力会社Z
家庭
(HEMS)
ビル
(BEMS)
工場
(FEMS)
構成要素②: 通信インターフェース
 スマートコミュニティの様々な構成要素について、本実証のこれまでの成果を踏まえ、残された課題と対応
の方向性について議論を行っていただきたい。
創エネ機器
(PV、コジェネ、燃料電池等)
GE
省エネ機器/蓄エネ機器
(空調、照明、設備、家電、蓄電池等)
構成要素③: ビッグデータを活用
するためのインフラ
構成要素④: ディマンドリスポンス
構成要素⑤: 周辺サービス
3
2.エネルギーマネジメントシステム
(構成要素①)
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−1.エネルギーマネジメントシステム
 従来は、エネルギー需要を所与のものとして、エネルギー供給をどのように行うべきかという観点からの施
策が行われてきたが、エネルギー供給状況に応じてスマートに消費パターンを変化させることの重要性から、
エネルギーマネジメントシステムの開発・実証を実施しているところ。
※赤字が本実証の主なターゲット(従来のEMSでは不足していた機能)
地域単位
家庭単位/ビル単位/工場単位
CEMS
HEMS/BEMS/FEMS
①実績情報収集
・ 電力の使用量の実績
・ 再生可能エネルギー
発電量の実績
②需給予測
・ 電力使用量の予測
・ 再生可能エネルギー
発電量の予測
④需給制御
③需給計画
・ 発電設備の運転制御
・ 発電設備の運転計画
作成
・ 地域蓄電池の制御
・ ディマンドリスポンス
の発動
・ 電気料金等の計算
・ 地域蓄電池の運転
計画作成
・ 電力使用量の計画
策定(同時同量計画)
①実績情報収集
②需給予測
・ 電力・熱の使用量の実績
・ 再生可能エネルギー
発電・発熱量の実績
・ 電力・熱の使用量の予測
・ 再生可能エネルギー
発電・発熱量の予測
④需給制御
・ 蓄電池、発電設備、熱源
機器、負荷の制御
・ テナント毎の電力使用量
見える化
※機器単位のきめ細やか
な制御を実施
③需給計画
・ 蓄電池、発電設備、熱源
機器、負荷の運転計画作
成
※CEMSからディマンド
リスポンス指令が きた場
合、ディマンドリスポンス
情報を 基にした計画を作
成
5
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−2−1.地域エネルギーマネジメントシステム①(実証の概要)
 CEMSは、地域レベルでの分散的な制御を行うものであるが、そのあり方は需要の特性や既存の系統へ
の依存度の強さに応じて変化する。
 このため、本実証では四つの典型的なパターンについて実証を行い、地域の需給ひっ迫が予想される場合
にHEMS等を経由してディマンドリスポンス発動を行ったり、同時同量を図るために地域蓄電池の制御や
地域の電力使用量の計画を策定する機能等を有するCEMSの開発・実証を行っている。
複数部門の総合制御
広域大都市型(横浜市)
住宅約700戸等を対象とし、系統の状況に応じて需要サ
イドで追従を行う実証を実施。また、家庭部門のより一
層の省エネに向けた電力会社による省エネコンサルを実
施。(関西電力・三菱電機・三菱重工)
住宅約4000戸、大規模ビル等約10棟を対象とした大規
模な実証。また、大型蓄電池等を統合的に管理することで、
仮想的に大規模発電所と見立てる実証を実施。(東芝・東
京電力)
系統依存度が高い
単一部門(家庭)のみの制御
住宅団地型(けいはんな)
系統依存度が低い
戸別住宅型(豊田市)
地方中核都市型(北九州市)
創エネ、蓄エネ機器を導入した67戸の新築住宅を中心と
し、バーチャルに地産地消を行う実証を実施。また、暮
らしの中における次世代自動車を含む次世代交通システ
ムを実証。(トヨタ自動車・中部電力)
新日鐵住金の特定供給エリアで実証。コジェネをベース
ロード電源と見立て、地域内の全ての需要家180戸にス
マートメーターを設置し、需給状況に応じて電力料金を変
動させるダイナミックプライシングを実施。(富士電機・
新日鐵住金)
GE
GE
6
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−2−2.地域エネルギーマネジメントシステム②(実証の成果)
 地域内の効率的なエネルギー管理を行うために必要な、家庭、事業所等をネットワークで管理するための
地域エネルギーマネジメントシステムを開発。
 計四カ年を要して、初年度はシステムの基本設計、2年目以降は実証・検証及び追加開発を行い、2014
年度は最終評価を実施。
実証スケジュール
2011年度
システム
基本設計
2012年度
実証・検証
追加開発
開発
・CEMS基本システム
(PV発電量予測、消費
電力量予測、データ
ベース、ディマンドリス
ポンス機能)を開発
・需要家システム(HE
MS、BEMS等)、外部
システム(気象情報シ
ステム等)とのインター
フェイスを開発
2013年度
実証・検証
追加開発
・需要家向けインセン
ティブ見える化機能の
開発
・ローカル蓄電池の制
御機能の開発
・通信環境の整備と各
EMS間の通信接続の
試験
改良
実証
・OpenADR(※1)に
対応するCEMSを開
発し、電力DRAS
(ディマンドリスポンス
指令を出す電力会社
システム)と接続試験
を実施
・シャドービリング(※
2)機能の開発
2014年度
実証・検証
(※1)OpenADR
デマンドレスポンスに関する技術標
準である米国の規格
(※2)シャドービリング
電気料金型DRへの需要家誘因策。
通常料金加入者に対して、電気料金
型ディマンドリスポンスに参加した場
合の電気料金を事前に通知する仕
組み
各種の実績データに基づく各種機能の改良
実証事業
7
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−2−3.地域エネルギーマネジメントシステム③(事業化の見通し)
 実証事業者は、国内外の一般電気事業者、新電力、電力サービスプロバイダー(一括受電マンション事業
者等)、アグリゲーターのような事業者を販売先として想定し、概ね2015年度頃から本格的に事業展開す
る方向で検討を進めている。
 具体的には、従来、取組が十分になされてこなかった需要サイドの機能である低圧向けの変動型の電気料
金を提供するための機能や、ネガワット取引を行うための機能を導入していくことが想定されている。また、
電力システム改革により、新電力等の新規参入者が現れることが想定されるが、小売事業者に課される同
時同量を図るための機能としての導入も想定されている。
想定される
展開先
CEMSの提供機能と展開先イメージ
供給サイド
需要予測
需要サイド
同時同量
再エネ供給
電気料金
ネガワット取引
(需要量と供給量を
一致)
(供給力として再エ
ネ電源を活用)
(低圧向けの変動型
電気料金提供)
(需要削減量を供給力
として見立てて取引)
一般電気事業者
導入済み
導入済み
導入済み
未導入または
一部導入
未導入または
一部導入
新電力
導入済み
導入済み
未導入または
一部導入
未導入または
一部導入
未導入または
一部導入
電力サービスプロバイダー
(一括受電マンション事業者等)
−
−
−
未導入または
一部導入
未導入または
一部導入
アグリゲーター
−
−
−
−
未導入または
一部導入
8
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−2−3.地域エネルギーマネジメントシステム④(事業化の見通し)
 CEMSの普及に当たっては、CEMSの活用によって新たに提供される重要なサービスの一つであるディマ
ンドリスポンスが、費用に見合った効果を有するのか等を明らかにするとともに、ディマンドリスポンスに関
する知見を広めることが必要と考えられる。
 また、CEMSの機能を最大限に発揮するためにも、CEMSと連携できるインフラ(下位のEMSやスマート
メーター等)や、ネガワット取引のルール等の基盤を整備することが必要と考えられる。
想定販売先の主な意見
Q.CEMSのどういった
機能に関心があるか?
Q.CEMSの導入に当
たっては、どのような点
が重要になるか?
•
ディマンドリスポンス契約の管理機能、ディマンドリスポンス発動を通知するための通信機能、
料金計算機能、EMS間相互連携によるディマンドリスポンス、需要管理機能等。
•
料金やインセンティブなどソフトによる需要側の管理全般
•
ディマンドリスポンス発動の仕組や需要抑制行動の具体的内容、需要抑制量を確実に確保
する効果的手法、適切なインセンティブのあり方。
•
過去の実績情報や気象データからの再生可能エネルギー発電量等の電力供給量予測。
•
関心はない。需要予測や計画作成、ディマンドリスポンス発動等については、より簡素かつ
安価な方法で達成することが可能と考えるため。
•
ディマンドリスポンスの費用対効果。
•
当該システムの価格とその導入による収益可能性。
•
ネガワットの価値評価や運用方法等に関する公平かつ透明な共通ルールを定めた指針。
•
各事業の詳細や実証結果等に関する情報開示。
•
原発稼働状況、再生可能エネルギーへの対応技術の見込み。
•
関心はあるものの、10年後の環境を想定しての検証であり、時期尚早と認識。
9
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−3−1.ホームエネルギーマネジメントシステム①(実証の方針)
 HEMSは、エネルギーの需給状況に応じて、家庭内の創エネ機器、蓄エネ機器、省エネ機器を制御するも
のであるが、そのあり方は家庭の世帯構成やライフスタイル等に応じて異なる。
 このため、本実証では、様々なバリエーションを実証している。本実証では、10事業を行い、従来のHEMS
にはない、電力需要予測、リコメンド、自動制御、学習制御等の開発・実証を行っている。
蓄エネ
省エネ
熱電併給
• エネファームによる熱電併給(豊
田:東邦ガス)
自家消費率向上
• 蓄電池、PHVによるPV電力の
蓄電、HPによる蓄熱(豊田:デ
ンソー)
手動制御
• 見える化、リコメンドによる
ピークカット、省エネ(横浜:
東芝等、豊田:デンソー、
シャープ等、けいはんな:オム
ロン、北九州:積水化学)
家庭内
創エネ
蓄電池最適制御
• 需要予測、PV等発電予測によ
る蓄電池の最適制御(横浜:東
京ガス、豊田:デンソー、けい
はんな:オムロン、北九州:積
水化学)
複数住宅
電気・熱の住戸間融通
• PVによる電気、エネファームに
よる熱を住戸間で融通(横浜:東
京ガス)
共有蓄電池
• タウン共有蓄電池に各家庭の
PV余剰電力を蓄電
(北九州:積水化学)
自動制御
• ディマンドリスポンスに対応し
た自動制御(横浜:東芝、豊
田:デンソー、北九州:積水化
学)
PV電力住戸間融通
• タウン単位でのエネルギーマネ
ジメントによるPV電力の住戸
間融通(北九州:積水化学)
10
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−3−2.ホームエネルギーマネジメントシステム ②(実証の成果)
 家庭内で効率的なエネルギー管理を行うことや、CEMSと連携し、地域の電力需給に貢献するために必要
な、家庭内をネットワークで管理するためのホームエネルギーマネジメントシステムを開発。
 計四カ年を要して、初年度はシステムの基本設計、2年目以降は実証・検証及び追加開発を行い、2014
年度は最終評価を実施。
実証スケジュール
2011年度
システム
基本設計
2012年度
実証・検証
追加開発
2013年度
実証・検証
追加開発
2014年度
実証・検証
開発
・Bルートに対応するス
マートメーターとHEMS
間の通信インターフェイ
スを開発
・通信環境の整備と各
CEMS及び家庭内機
器間の通信接続の試
験
・学習制御機能の開発
・HEMS基本システム
(PV発電量予測、消費
電力量予測、データ
ベース、ディマンドリス
ポンス機能)を開発
・家庭内機器(蓄電池、
PV、家電等)とのイン
ターフェイスを開発
改良
実証
・自動制御機能の
開発
各種の実績データに基づく各種機能の改良
実証事業
11
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−3−3.ホームエネルギーマネジメントシステム ③(事業化の見通し)
 実証事業者は、国内のハウスメーカー、マンションディベロッパー、一般消費者を販売先として想定し、概ね
2014年度頃から本格的に事業展開する方向で検討を進めている。
 見える化機能等を搭載したHEMSは、新築住宅(集合住宅を含む)を中心に既に事業展開済み。今後は、
主に既築住宅(集合住宅を含む)への導入を想定した簡易版から、ディマンドリスポンス機能を搭載する等
の高機能版まで幅広いメニューを検討し、スマートメーターの導入状況等に合わせて本格的に事業展開す
る方向で検討中。
HEMSの提供機能と展開先イメージ
日本のHEMS市場(百万円)
45,000
見える化
リコメンド
自動制御
40,000
35,000
30,000
25,000
市販済
一部導入または
未導入
(今後新築で導入)
一部導入または
未導入
(今後新築で導入)
20,000
15,000
10,000
5,000
0
想定される展開先
2011年
(実績)
2012年
(実績)
2013年
(見込)
2014年
(予測)
2015年
(予測)
2016年
(予測)
2017年
(予測)
2020年
(予測)
[出典] 富士経済『スマートコミュニティ関連技術・市場の現状と将来展望2013』
12
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−3−4.ホームエネルギーマネジメントシステム ④(事業化の見通し)
 他方、現時点では、創蓄エネ機器の最適制御等の高い機能を提供しようとすると、蓄電池等の設備投資が
高額となり、一般消費者が受容できないほど投資回収期間が長期化するおそれがある。
 また、電力システム改革等によって、需要家がピークカット行動を起こすほど、魅力的で利用者に負担感の
ないディマンドリスポンスの仕掛けを組み込めるかが、高機能HEMSの普及の鍵と考えられる。
 また、エネルギーだけでなく、ローカルデータに基づく魅力的なサービスの提供も重要と考えられる。
想定販売先の声
•
HEMS(ICT)はインフラなので、エネルギー分野にとらわれないコンテンツ開発に軸足を移すことが必要。
•
HEMSは住宅設備をつなぐハブとして活用し、様々なNEBを生み出す可能性があると考える(例.見守り、健康、コミュニ
ケーション等)。※NEB(Non‐Energy Benefit):省エネルギーによる直接的便益のみならず、同時に快適性や健康性、知的生産性の向上などの便益
•
太陽光発電・蓄電池と連動でのHEMS導入となると、そのコストを販売価格転嫁することも、コスト吸収することも難しい。
•
電力・ガス・水道の検針や通信・TEL・TVの規格統一化によるイニシャルコストの圧縮と、Bルートによる情報利用など、設
備構成のスリム化を期待したい。
•
電力システム改革等により、生活者がピークカット行動を起こすほどの、金額の大きいプライシングやネガワットの買い取
りなどがスタンダードとして認知されるほどの効果がないと難しい。
•
エネルギーの見える化はもとより、将来実施されるであろうデマンドレスポンスにも対応できることがエネルギー・マネジメ
ント・システムの機能として必要だと考える。
•
HEMSに必要な機能は、①HEMS利用者が自分事化できること、②代替不可のローカルデータをメインコンテンツとす
る、③ヘルスケアサービスの提供検討、④HEMS利用者に「手間」や「ストレス」をかけない(例.ADR等)、⑤操作性の良
いデバイスと直感的でシンプルなユーザーインターフェイスの開発。
13
2−4−1.ビルエネルギーマネジメントシステム①(実証の方針)
 BEMSは、HEMSが家庭内の機器を制御するものであるのに対して、ビル内の機器を制御するものである
が、そのあり方はビルの用途によって大きく異なる。
(例1)事業所ビルでは冷暖房熱源や空調搬送、照明・コンセントが同程度のバランスで消費
(例2)店舗では照明やコンセントの需要が大きい
(例3)病院やホテルでは給湯需要が大きい
 このため、本実証では、エネルギー制御の手段・対象に応じて実証を行い、従来BEMSにはない、過去の
需要実績データや気象条件等から翌日の電力・熱需要量の予測、分散型電源の最適制御、ディマンドリス
ポンスへの対応のような機能を有するBEMSの開発・実証を行っている。
制御手段・対象
手段
間接制御
対象
ビルオーナー
従業員など施設滞在者
事務所ビル
従業員参加型ビルの省エネ
(北九州)
系統状況に応じて、
管理下にあるビル
(オーナー)に対
してディマンドリ
スポンス量を割り
当て指令(東芝)
初期投資の余力があまりない小規模ビル
向けに、機器・システムの導入を最小限
に抑えた従業員の省エネに対する行動支
援を行う(安川情報システム)
店舗
種別
大規模ビル群
管理(横浜)
スーパーマーケットモデル
(北九州)
蓄電でピークカットを行うとともに、EV
の充放電やピーク時の来客抑制などにポ
イント付与(イオン)
病院・
ホテル
ー
直接制御
機器
蓄熱活用モデル(横浜)
潜熱蓄熱槽で空調制御を行うとともに
蓄電池でピークカット(大成建設)
ダイナミックプライシング対応型ビル制御(北九州)
ダイナミックプライシングと連動した蓄電池の充放電制御、空調、
照明の自動制御、EVの充電制御(日鉄住金テックスエンジ、三菱重工)
車載用蓄電池活用モデル(横浜)
大型ショッピングモールにてコジェネレーションと蓄電池と組み
合わせて熱主運転することにより、運転効率化をはかるとともに、
ピーク時電力を継続的に削減(明電舎)
ホテルモデル(京阪奈)
病院モデル(北九州)
部屋の利用率にムラの生じる条件で、空
調・給湯の集中熱源方式から個別制御へ
の転換や需要の集約を行う(富士電機)
治療室や病棟、共用部など設備の優先度づけを行い、病院の特性
に応じた制御システムの作り込み。また、医療行為(透析)につ
いて必要となる熱源を太陽熱と蓄熱で賄う(日鉄住金テックスエ
ンジ・富士電機)
14
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−4−2.ビルエネルギーマネジメントシステム②(実証の成果)
 ビル内で効率的なエネルギー管理を行うために必要な、家庭、事業所等をネットワークで管理するためのビ
ルエネルギーマネジメントシステムを開発。
 計4カ年を要して、初年度はシステムの基本設計、2年目以降は実証・検証及び追加開発を行い、2014年
度は最終評価を実施。
実証スケジュール
2011年度
システム
基本設計
2012年度
実証・検証
追加開発
2013年度
実証・検証
追加開発
2014年度
実証・検証
開発
・BEMS基本システム(PV
発電量予測、消費電力予
測、データベース、DR機
能)を開発
・通信環境の整備と各
システム間の通信接続
の試験
・既設ビル管理システム(B
AS)、下部システム(ス
マートメータ、宅内表示器
等)、外部システム(気象情
報システム等)とのインター
フェイス機能を開発
・統合BEMSシステム
の開発
改良
実証
・最適節電方策の
提示システムの開
発
各種の実績データに基づく各種機能の改良
実証事業
15
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−4−3.ビルエネルギーマネジメントシステム③(事業化の見通し)
 実証事業者は、国内外の事業所ビル、商業施設、医療・福祉施設、公共施設、大学等を販売先として想定。
 BEMS分野では、従来、大幅な省エネが期待できる高圧以上を中心として従来BEMSが導入されてきた。
今後は、BEMS補助金制度等を背景として、小口高圧も含めてディマンドリスポンス機能や再エネ、蓄電池
を複合的に管理する機能を搭載する等の高機能BEMSを概ね2015∼2020年度に順次本格的に展開する
方向で検討中。
 現時点でも、設備のリプレイスの際に導入するのであれば、施主側もそれほどのコスト負担感なく導入でき
る水準に達しているものも多い。また、電力システム改革等の進展によって、ディマンドリスポンスなど施主
側の収益源が更に増えることも期待されている。
BEMSの提供機能と展開先イメージ
<想定販売先>
・事業所ビル、商業施設、医療・福祉施設、公共施設、大学
日本のBEMS市場(百万円)
90,000
80,000
高圧
(500kW以上)
小口高圧
(500kW未満)
従来
BEMS
高機能
BEMS
50,000
導入済み
一部導入
または未導入
リプレース、
新築で導入
一部導入
または未導入
リプレース、
新築で導入
10,000
一部導入
または未導入
リプレース、
新築で導入
70,000
60,000
40,000
30,000
20,000
0
2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2020年
(実績) (実績) (見込) (予測) (予測) (予測) (予測) (予測)
[出典] 富士経済『スマートコミュニティ関連技術・市場の現状と将来展望2013』
想定される展開先
16
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−5−1.ファクトリーエネルギーマネジメントシステム ①(実証の方針)
 FEMSは、既にかなりの省エネが進んでいる産業分野について、工場内の機器を制御するものであるが、
他分野でスマートコミュニティの取組が進むことで、更なる省エネや再エネの利用が進む可能性もあるため、
この可能性を実証している。
 また、東北復興事業であるスマートコミュニティ導入促進事業において、工業団地での電気と熱の近隣工場
への融通・非常時に防災拠点へ電力供給を行う事業、水産加工工場で新電力の電力需給に応じてディマン
ドリスポンスを行う事業を実施している。
制御手段・対象
見える化
発電設備
蓄電設備
負荷設備
制御
生産計画見直し
再エネ活用
水素活用
生産計画立案
再生可能エネルギー発電
量を見える化(横浜、北
九州)
DRに対応したFC
フォークリフトから工場
への給電(北九州)
生産計画を考慮した需要
予測と発電、蓄電設備の
最適制御(横浜、北九
州)
大型蓄電池活用
レドックスフロー蓄電池を活用した最適制御(横浜)
省エネ意識喚起
自動調光活用
生産工程毎の電力使用量
を見える化(北九州)
照度センサを活用したL
ED照明の自動制御(北
九州)
ディマンドリスポンスに
対応した生産計画を立案
(北九州)
17
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−5−2.ファクトリーエネルギーマネジメントシステム ②(実証の成果)
 工場内で効率的なエネルギー管理を行うことや、CEMSと連携し、地域の電力需給に貢献するために必要
な、事業所内をネットワークで管理するためのファクトリーエネルギーマネジメントシステムを開発。
 計四カ年を要して、初年度はシステムの基本設計、2年目以降は実証・検証及び追加開発を行い、2014
年度は最終評価を実施。
実証スケジュール
2011年度
システム
基本設計
2012年度
実証・検証
追加開発
2013年度
2014年度
実証・検証
開発
・FEMS基本システ
ムの開発
・コジェネ、蓄電池等
との通信インター
フェイスの開発
・通信環境の整備と
各システム間の通信
接続の試験
・FEMS基本システム
(PV発電量予測、消費
電力量予測、生産計画
機能設計、開発)に向
けた要件整理
改良
実証
各種の実績データに基づく各種機能の改良
実証事業
18
構成要素① エネルギーマネジメントシステム
2−5−3.ファクトリーエネルギーマネジメントシステム ③(事業化の見通し)
 実証事業者は、国内外の工場(特に多品種小ロットの中・大規模工場)を販売先として想定。ディマンドリス
ポンスに対応して蓄電池や空調・照明等を最適に制御したり、生産計画の見直しをする高機能FEMSは、
概ね2014∼2015年度から本格的に事業展開する方向で検討を進めている。
 蓄電池等の機器のコストは高いが、高機能なFEMSはBEMS同様設備のリプレイスの際に導入が進んで
いくものと考えられる。他方で、生産計画の見直し機能によるピークシフトは、納期等の制約があるため難し
いと考えられるものの、納期も担保した生産計画を立案するよう機能の改善を図っていくことが期待される。
日本のFEMS市場(百万円)
FEMSの提供機能と展開先イメージ
8,000
見える化
大規模
工場
導入済
分散型電源、
空調・照明等
制御
生産設備制御
(生産計画見
直し)
一部導入
または未導入
リプレース、
新築で導入
一部導入
または未導入
リプレース、
新築で導入
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
中小規
模工場
一部導入
または未導入
リプレース、
新築で導入
一部導入
または未導入
リプレース、
新築で導入
一部導入
または未導入
リプレース、
新築で導入
想定される
展開先
2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2020年
(実績) (実績) (見込) (予測) (予測) (予測) (予測) (予測)
[出典] 富士経済『スマートコミュニティ関連技術・市場の現状と将来展望2013』
想定販売先の主な意見
•
•
業務優先になるため、生産計画を変更することは難しい。
FEMS運用のために第三者に生産実績データ提供すること
には抵抗がある。
19
3.通信インターフェイス等
(構成要素②)
構成要素② 通信インターフェイス
3−1−1.HEMSと家庭内機器との通信インターフェイス①(必要性、課題、実証事業の概要)
 異なるメーカーの相互接続を実現するため、HEMSと家庭内機器との通信インターフェイスについては、平
成24年2月にスマートハウス標準化検討会において、ECHONET Lite推奨することが決定された。
 その後、平成24年6月に設立されたスマートハウス・ビル標準・事業促進検討会においては、重点機器の
下位層(伝送メディア)や運用マニュアルの整備、また国内外への普及に向けた国際標準化の検討といった
課題について取り組むこととなった。
第1回スマートハウス・ビル標準・事業促進検討会
2012年6月22日
21
構成要素② 通信インターフェイス
3−1−2.HEMSと家庭内機器との通信インターフェイス②(成果、今後の課題・見通し)
 重点機器の下位層(伝送メディア)及び運用マニュアルの整備については概ね検討が終了。国際標準化に
向けた動きとしては、ECHONET Liteは平成25年10月に国際標準化が承認されると共に、同12月には海
外初となる認証支援センターが設立された。
 また、ECHONET Liteの国内普及を促進するために、HEMS認証支援センターを設置。HEMS認証支援セン
ターではECHONET Liteに対応したHEMSや家庭内機器への中小企業の参画を促すため、 ECHONET Lite
の認証を支援。平成24年11月に開所し、これまで168件の支援を実施(平成25年11月末時点)。
22
3−2.電力会社ーアグリゲーターの通信インターフェイス
構成要素② 通信インターフェイス
 電力会社とアグリゲーター間については、デマンドレスポンスを電話・メールによる手動からシステムによる
自動デマンドレスポンス(以下、ADR)導入のため、通信インターフェースの標準化が課題となっていた。
 そのため、スマートハウス・ビル標準・事業促進検討会においてデマンドレスポンスに関する技術標準として
米国の規格であるOpenADRをベースに日本版ADRを2013年5月に策定。新宿実証センターに日本版ADR
に準拠したシステムを構築し実証を行っている。
 本実証では、2013年度において東京電力BSPをベースとしたアグリゲーターとの連携実証や4地域実証と
の連携実証を実施。今後は全電力会社への拡大ならびに電力システム改革に向けたネガワット取引などの
ユースケースに対応した標準化・実証を行う。
中央給電指令所
スマートハウス
HEMS
早稲田大学 新宿実証センター
<新宿標準試験サイト>
節電信号
ADR信号
ADR信号
電力DRサーバー
DR発動依頼
電力DRサーバー
(親)
BSPシステム
ADR信号
アグリゲーター
DRサーバー
Web
Server
(子)
DR信号発動用
クライアント
スマートフォン
(※1)日本版ADR
スマートハウス・ビル標
準・事業促進検討会に
おいて策定された電力
会社とアグリゲーター
間の自動ディマンドリス
ポンスの標準手法
ADR信号
ADR信号
節電信号
ADR信号
4地域実証
北九州
CEMS
節電 アグリゲータ
クライアント
けいはんな
CEMS
豊田
CEMS
YSCP
CEMS
MEMS/BEMS/FEMS試験サイト
(デベロッパー、企業)
ADR信号経路
電力会社の節電依頼信号経路
(※2)東京電力BSP
ピーク需要抑制に寄与
するビジネスプランに
ついて、原子力損害賠
償支援機構と東京電力
が共同で募集を実施。
ピーク需要抑制期間は
平成24∼26年度。
23
構成要素② 通信インターフェイス
3−3.複数蓄電池の通信インターフェイス
 分散配置された住宅用蓄電池、事業所用蓄電池、系統用蓄電池等の蓄電池を統合制御し、大規模電源の
需給調整等の用途への活用が期待されるが、そのための標準化された通信インターフェイスが存在しない。
 そのため、横浜市実証において、蓄電池を統合制御するシステム(蓄電池SCADA(Battery Supervisory
Control and Data Acquisition) )を構築し、住宅用蓄電池、事業所用蓄電池、系統用蓄電池と連携させる実
証を実施。
 実証システムの通信インターフェイスの国際標準化を目指してIECへ国際規格案を平成24年5月に提案し
た。現在も国際規格化を目指して活動中。
蓄電池SCADA
東芝製
実証事業と国際標準化のスケジュール
画面イメージ
画面イメージ
2011
2012
システム
構築
準備
東京電力綱島変電所に
設置した大規模蓄電池
事業所用蓄電池
家庭用蓄電池
ユース
ケース
登録
2013
2014
実証
国際標準化活動
国際
提案
国際
規格化
24
構成要素② 通信インターフェイス
3−4.V2Hガイドライン
 電気自動車等を電力のピークカットや非常用の電源として活用するため、電気自動車等から宅内へ給電を
行うV2Hについて、①電気的な安全性、②車両と接続機器の互換性、③通信制御、充放電制御の互換性を
確保することが必要。
 横浜市実証において電気自動車から直流によって宅内へ給電するシステムを開発、豊田市実証において
PHEVから交流によって宅内へ給電するシステムを開発。これらのシステム開発・実証も踏まえて、平成25
年5月に一般社団法人電動車両用電力供給システム協議会が「電動自動車用充放電システムガイドライ
ン」(以下「V2Hガイドライン」)を策定。
 北九州市実証における燃料電池自動車から家庭への給電、豊田実証における燃料電池バスから避難所等
への給電についても本ガイドラインを踏まえたものになっている。ただし、燃料電池自動車については、各社
が給電実証を行うフェーズにあったため互換性までは確認できていない。2014年度以降は異なるメーカー
のV2H給電システムとの互換性について検証する必要がある。
 また、災害時対策として燃料電池自動車等からの給電を今後普及させていくためには、V2Hガイドラインと
は別に、給電を受ける避難所側の電気設備の在り方ついても検討が必要。
豊田市実証で開発したV2Hシステム
V2Hガイドライン(AC版)で規定されている内容
車両と屋内配線間の電力接続、および制御に関する取り決
めの詳細について規定。
1.適用範囲
2.引用規格・基準
3.用語定義
4.構成
5.システム概要
6.回路構成
7.通信制御
8.充電制御・放電制御
9.故障診断
25
4.ビッグデータを活用するインフラ
(構成要素③)
構成要素③ ビックデータを活用するためのインフラ
4−1.スマートメーター
 スマートメーターは、電力使用量の見える化やきめ細かな料金メニューの設定のために不可欠な基盤。
 スマートメーター本体が満たすべき基本的要件については、決定済み。(2011/2 スマートメーター制度検討会)
スマートメーターとHEMSの間は公知な通信方式を用い、メーカーが独自仕様を用いないこととしている。
(2013/5 スマートハウス・ビル標準・事業促進検討会において、通信方式の詳細仕様等を定めた運用ガイドラインを策定)
 昨年9月、全ての電力会社は、HEMS設置等に伴いスマートメーターの設置を希望する需要家や小売全面
自由化後、小売事業者の切替を希望する需要家に対しては、スマートメーターへの交換を遅滞なく行うこと
を表明。さらにスマートメーター導入効果の早期実現への強い期待を受けて、各電力会社において、計画の
詳細について検討を実施し、今年3月までに導入完了時期を前倒した計画を公表。
スマートメーターの導入計画 (2013年度末現在)
北海道
高圧
東北
東京
中部
北陸
関西
中国
四国
九州
沖縄
導入
完了
2016
年度
完了
完了
2016
年度
完了
2016
年度
2016
年度
2016
年度
完了
2016
年度
本格
導入
開始
2015
年度
2014
年度
下期
2014
年度
上期
2015
年
7月
2015
年度
開始
済
2016
年度
2014
年度
下期
2016
年度
2016
年度
導入
完了
2023
年度末
2023
年度末
2020
年度末
2022
年度末
2023
年度末
2022
年度末
2023
年度末
2023
年度末
2023
年度末
2024
年度末
低圧
27
4−2.Bルート提供機能の開発・見える化等
構成要素③ ビックデータを活用するためのインフラ
 スマートメーターとHEMSとの連携機能(Bルート)により、需要家は、自らの電力等使用情報を、リアルタイムで取得するこ
とが可能となる。
 横浜市実証、けいはんな実証において、標準規格に準拠した、スマートメーターからのBルート通信の試験提供を実施。 ス
マートメーターからHEMSへの計量データの直接提供によって、需要家の電気使用量(30分値)をタブレット等にグラフ表示
させるとともに、節電行動を支援するディマンドリスポンス情報をインターネットを介して前日にタブレットへ配信。
 なお、本年秋には、一部の電力会社が、対象等を限定した形でBルート通信の提供を開始する予定であり、平成28年4月ま
でには、全電力会社が、全供給エリアにおいて、需要家の個別要望に応じたBルート対応を本格開始予定。
提供されるエネルギー使用情報を
活用した新ビジネスの創出が期待
される
エアコン
太陽光
電力会社
HEMS
Aルート(電力会社用通信)
Bルート(HEMS用通信)
テレビ
一般家庭
照明
28
5.ディマンドリスポンス
(構成要素④)
構成要素④ ディマンドリスポンス
5−1.ディマンドリスポンス
 これまでピーク時間帯には調整電源によって供給量を確保することで対応してきたが、スマートコミュニティ
の構築によって、需要側で需要量を抑制して需給バランスを確保することが可能となり得る。このため、供
給量に応じて需要量を抑制するディマンドリスポンスに関する実証を進めている。
(1)電気料金型ディマンドリスポンス
概 要
ピーク時に電気料金を値上げすることで、
各家庭や事業者に電力需要の抑制を促す
仕組
メリット
比較的簡便であり、大多数に適用可
デメリット
時々の需要家の反応によるため、効果が
不確実
(例)
(2)インセンティブ型ディマンドリスポンス
概 要
電力会社との間であらかじ
めピーク時などに節電する
契約を結んだ上で、電力会
社からの依頼に応じて節電
した場合に対価を得る仕組
メリット
契約によるため、効果が確
実
デメリット
比較的手間がかかり、小口
需要家への適用が困難
時間帯別料金(Time of Use: TOU) ピーク別料金(Critical Peak Pricing: CPP)
時間帯に応じて異なる料金を課すもの
需給がひっ迫しそうな場合に、事前通知をした上で
変動された高い料金を課すもの
30
構成要素④ ディマンドリスポンス
5−2−1.電気料金型ディマンドリスポンス①
 2012年度、2013年度の実証結果として電気料金型ディマンドリスポンスによって2割のピークカットが継
続的に可能であることを確認。また、ピーク別料金(CPP)の価格を高くした場合でも、その効果は飛躍的に
伸びるわけではないことも確認。
 CPPは、①電気料金負担が増加する可能性、②オフピーク時間帯の薄く受ける割引メリットよりもピーク時
間帯に電気料金が大幅に割高となるデメリットを重視する、③需要の大きい時間帯に電気料金を引き上げ
るのはフェアではない等の課題があり、CPPの普及には更なる取組が必要と考えられる。
北九州市
電気料金(※1)
TOU
CPP=50円
CPP=75円
CPP=100円
CPP=150円
けいはんな
2013年度実証結果(サンプル数:178) (※1)北九州市実証では、
2012年度実証結果(サンプル数:180)
夏季のピーク時間帯は
2012年度 夏(6月∼9月)
2012年度 冬(12月∼2月)
2013年度 夏(6月∼9月)
午後1時∼5時、冬季の
ピークカット
統計的
ピークカット
統計的
ピークカット
統計的
ピーク時間帯は午前8
効果
有意性(※3)
効果
有意性(※3)
効果
有意性(※3)
時∼10時、午後6時∼
−(※4)
−(※4)
−(※4)
−(※4)
−(※4)
−(※4)
8時
̶18.1%
̶18.7%
̶21.7%
̶22.2%
5%水準
5%水準
1%水準
1%水準
-19.3%
-19.8%
-18.1%
-21.1%
2012年度実証結果(サンプル数:681)
1%水準
1%水準
1%水準
1%水準
-20.2%
-19.2%
-18.8%
-19.2%
1%水準
1%水準
1%水準
1%水準
(※2)けいはんな実証では、
夏季のピーク時間帯は
午後1時∼4時、冬季の
ピーク時間帯は午後6
時∼9時
2013年度実証結果(サンプル数:635)
2012年度 夏(7月∼9月)
2012年度 冬(12月∼2月)
2013年度 夏(7月∼9月)
電気料金(※2)
ピークカット
効果
統計的
有意性(※3)
ピークカット
効果
統計的
有意性(※3)
ピークカット
効果
統計的
有意性(※3)
TOU(20円上乗せ)
-5.9%
1%水準
-12.2%
1%水準
-15.7%
1%水準
CPP(40円上乗せ)
̶15.0%
1%水準
-20.1%
1%水準
-21.1%
1%水準
CPP(60円上乗せ)
̶17.2%
1%水準
-18.3%
1%水準
-20.7%
1%水準
CPP(80円上乗せ)
̶18.4%
1%水準
-20.2%
1%水準
-21.2%
1%水準
(※3)統計的有意性とは、
その効果が単なる偶然
により生ずる可能性を表
したもの。
(※4)北九州市実証の被験
者は、既にTOU契約に
加入している180世帯で
あったため、TOUの効
果を比較検証すること
ができなかった。
出所:京都大学大学院 依田教授、政策研究大学院大学 田中准教授及びスタンフォード大学経済政策研究所 伊藤研究員による統計的検証結果
31
5−2−2.電気料金型ディマンドリスポンス②
構成要素④ ディマンドリスポンス
 ディマンドリスポンスの効果を定量的に把握するため、国内4地域(横浜市、豊田市、けいはんな学研都市、
北九州市)において、幅広い住民の参画を得て、実証実験を実施。
 主にCPPの効果分析を行ってきたが、需要家の負担感の少ないPTR等の新たな電気料金型ディマンドリス
ポンスに関する検証を行うことも必要と考えられる。
 また、ディマンドリスポンスの取組への加入促進策の検討も必要と考えられる。
制御手法
料金
メニュー
による
効果
電気料金の表示
電気料金の表示
+
リコメンド(省エネコンサル)
電気料金の表示
+
自動制御
TOU(※1)
けいはんな
けいはんな
<省エネコンサル>
横浜
<エアコン>
CPP(※2)
北九州
<料金変動>
その他3地域
<ポイント与奪>
豊田
<Webポータル、スマートフォン、フォ
トフレームで節電行動アドバイス>
けいはんな
<省エネコンサル>
横浜
<エアコン>
豊田
<エアコン、照明、TV>
RTP(※3)
豊田
<Webポータル、スマートフォ
ン、フォトフレームで地域内ラ
ンキング、電気料金等表示>
豊田
<Webポータル、スマートフォン、フォ
トフレームで節電行動アドバイス>
豊田
<蓄電池、PHV>
PTR(※4)
未実施
(※1)TOU(Time of Use):時間帯別料金(時間帯に応じて異なる料金を課すもの)
(※2)CPP(Critical Peak Pricing):ピーク別料金(需給がひっ迫しそうな場合に、事前通知をした上で変動された高い料金を課すもの)
(※3)RTP(Real Time Pricing):リアルタイム料金(需給バランスに刻一刻と対応して料金が変動するもの)
(※4)PTR(Peak Time Rebate:ピーク帯リベート(需給がひっ迫しそうな場合に、事前通知をした上で削減量に対して節電報酬を支払うもの)
32
構成要素④ ディマンドリスポンス
5−3−1.インセンティブ型ディマンドリスポンス①
 インセンティブ型ディマンドリスポンスについては、平成25年度から実証に必要なシステム開発・構築等を
行っており、平成26年度から本格的に実証を行う予定。具体的には、東京電力と、アグリゲーターであるエ
ナノック・ジャパン(丸紅)、シュナイダーエレクトリック(双日)等が東京電力管内で下記のような実証を行う
予定である。
制御対象として想定される設備
エネルギーマネジメントの手法
電
力
消
費
量
の
制
御
産業施設
※製造工程にかかる電力消費を制御
エナノック・
ジャパン(丸紅)
照明・空調の消費抑制
※需要家サイドにEMSを導入して、
アグリゲーターからの指令を受け
てEMSで負荷制御するケース
自家発電活用
分
散
電
源
の
活
用
業務・商業用施設
※照明、空調にかかる電力消費を制御
エ
ナ
リ
ス
日
立
※需要家サイドに設置した自家発
電で対応するケース
蓄電池活用
※需要家サイドに設置した蓄電池
で対応するケース
蓄熱槽活用
※需要家サイドに設置した蓄熱槽
で対応するケース
東芝
グロー
バル・
エンジ
ニアリ
ング
シュナイ
ダーエレク
トリック(双
日)
想定
される
反応時間
想定される
需要抑制の
発生頻度
数十分∼
数時間
低
数秒∼
数時間
低∼高
数秒∼
数時間
低∼高
数秒∼
数時間
低∼高
33
5−3−2.インセンティブ型ディマンドリスポンス②
構成要素④ ディマンドリスポンス
 インセンティブ型ディマンドリスポンスの一類型である、電力会社と大口需要家(500kW以上)の間で締結さ
れている需給調整契約については、ディマンドリスポンス発動の実績はほとんどない状況であり、需給調整
契約を如何に機能させるように変化させるか検討することが必要と考えられる。
 また、電気事業者は、中小需要家向けに対してもインセンティブ型ディマンドリスポンスを行いつつあるが、
現在の取組では、
①容量(基本料金)としての価値が評価されず、従量料金しか支払われないため、アグリゲーターにとって安
定的なビジネスになり得ない
②予備力確保が目的とされており、アンシラリーへの対応がないため、ディマンドリスポンスのビジネスの幅
が限定的
③節電量を測る上で必要な基準となる需要量(ベースライン)の設定方法が標準化されていない
等の課題が指摘されており、これらの課題への対応を検討することも必要であると考えられる。
ネガワット取引に関する検討項目例
①ネガワット取引の活用類型の整理
②節電要請が無かった場合の電力消費量の想定(ベースライン)の設定
③需要削減量の測定方法
④契約のあり方
34
6.周辺サービス
(構成要素⑤)
構成要素⑤ 周辺サービス
6−1.周辺サービス
 様々なプレーヤーの参入を促進するためには、ディマンドリスポンスだけでなく、エネルギーマネジメントシ
ステムから派生する新たな周辺ビジネスを促進し、事業性を高めることも必要。HEMSデータを利活用して
セキュリティ(見守りサービス)、ヘルスケア等の生活サポートサービスを提供するプラットフォームを構築し、
サービス事業の検証を実施。
 他方で、こうしたサービス事業を展開していくにあたって、企業間連携やプライバシーの観点からの課題も
存在する。経済産業省情報経済課が事務局を務めるスマートハウス・ビル標準・事業促進検討会では、今
後様々な事業者が電力利用データの利活用において連携していくことを想定し、アプリケーション・プログラ
ム・インターフェース(API)等の統一化に向けて検討を行う。また、電力利用データの利活用に係るプライバ
シー上の課題に対応するため、データの利活用のユースケースを整理し、それを踏まえた事業者がとるべ
き措置(事業者の作成する利用規約等や消費者への説明に際し留意すべき点等)を検討する。
[新しいサービスの例(イメージ)]
地元商店街連携サービス
HEMSデータと消費者の生活に有用となる
サービス(地元商店街で使用できるクーポン
など)とを連携させた地域活性化サービス
ホームセキュリティサービス
HEMSデータから宅内への侵入者を検知し、宅
内にある家電等を適切に制御し侵入の防止及び
警備会社への迅速な対応を促すサービス
在・不在分析による効果的な宅配サービス
電力利用データを元に、中央管理センターで顧
客の在・不在状況を分析し、導き出した効果的な
宅配ルートにて配達するサービス
高齢者見守りサービス
HEMSデータから高齢者の生活パターン異常
を検知。独居老人等の高齢者の異常を早期
に発見し、応急処置や搬送サービスを提供。
機器メンテナンスサービス
HEMSデータから家電等の異常を検知し、故障
前のメンテナンスサービスや故障時の部品を事
前準備するサービスを提供。また、これらのサー
36
ビスと保険ビジネスを組合せることも可能
6−2.輸送分野のエネルギーシステムへの組込み
構成要素⑤ 周辺サービス
 従来、輸送手段に過ぎなかった自動車は、電気自動車等の登場によって、自動車から家庭への給電(V2
H)や充電施設における充放電管理等によってピークカット等のかたちでエネルギーシステムに貢献し得る
可能性があるため、この可能性を実証している。
 V2Hについては、既に事業展開しているものもある。今後は、電気自動車等の普及状況に合わせて、充電
施設における充放電管理等を概ね2015∼2020年度に順次本格的に展開する方向で検討を進めている。
 他方、単純なV2Hや充放電管理ではなく、需要予測を踏まえた充放電の最適制御等の高度な機能を提供
しようとするものは、採算性を確保するために必要な電気自動車の普及台数等と現在の状況の乖離が著し
く、事業の見通しがついていない状況。比較的長期の将来を見据えた事業の是非について検討が必要。
37
7.課題と対応の方向性
7.主な課題と対応の方向性(まとめ)
(1)本実証で開発・実証中の高度なエネルギーマネジメントシステムの普及には、その費用に見合った効果があるか、特に新たに
提供される機能であるディマンドリスポンスに価値があるかが大きな影響を与えると考えられる。
①ディマンドリスポンスの費用対効果の検証が必要ではないか。
・ ディマンドリスポンスの効果
(料金型については、一定程度実証済み。インセンティブ型については、本年度に実証予定)
・ ディマンドリスポンスに係るコストの適正化に関する検証 等
②ディマンドリスポンスの実施に必要な基盤環境を整備することが必要ではないか。
・ 下位EMSやスマートメーター等のインフラ整備
・ EMSと機器間の互換性の確保
・ ディマンドリスポンスに関するルールの整備(例.ネガワット取引に関するガイドラインの検討等)
等
③ディマンドリスポンスに係る魅力を高めるとともに、需要家の負担を軽減することが必要ではないか。
・ 蓄電池等の機器の低コスト化、負担軽減
・ 負担感の少ないディマンドリスポンスの仕組み作り(例.PTR等の他の料金手法、ADRの検討等)
・ 潜在的な需要家の誘引(例.シャドービリング、ビルプロテクションの検討等)
(2)エネルギーマネジメントの普及には、ローカルデータに基づく魅力的なサービスの提供も重要と考えられる。
・ 魅力的なコンテンツの在り方
・ ビッグデータ利活用に向けた基盤環境の整備(例.API等の統一、プライバシー上の課題への対応) 等
(3)特に交通分野については、採算性を確保するために必要な電気自動車の普及台数等と現在の状況の乖離が著しく、事業の
見通しがついていないものが多い。比較的長期の将来を見据えた事業の在り方について検討が必要と考えられる。
(4)需要の制御に関する取組は比較的活発なものの、電気・熱をコミュニティ単位で面的に利活用しようとする取組の効果の検証
や、技術的・ビジネス的課題への対応の検討が手薄いと考えられる。
39
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