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シンガポール事務所 - CLAIR SINGAPORE
シンガポール事務所 【高まる自治体間協力への関心 「自治体間協力セミナー」参加報告】タイ タイでは現在、JICA の支援の下、複数の自治体が共同で特定の行政サービスを行う「自治 体間協力(日本の一部事務組合や広域連合に相当)」のプロジェクトが進行中である。 去 る 2008 年 6 月 27 日 、 JICA ・ 内 務 省 地 方 自 治 振 興 局 ( Department of Local Administration:以下「DLA」と呼ぶ)・タマサート大学の主催により、自治体間協力の推進 を目的として「自治体間協力セミナー」がバンコク市内のホテルで開催された。この度、当該 セミナーに出席する機会を得たため、自治体間協力の概要及びセミナーの内容について報告す る。 ○ 自治体間協力の概要 タイでは地方分権化の流れにより、公共サービスにかかる自治体行政の責任が大きくなって いる。しかし、小規模な自治体(注1)にとっては、単独で廃棄物処理や消防等の公共サービ スを提供することが困難であるのが実状である。地方分権化の政策立案を担当するタイ地方分 権化委員会は、将来における権限委譲のために、自治体の役割と機能の明確化に取り組んでお り、更に DLA は、地方分権化を推進する手段として複数の自治体による連携を支援している。 このような背景から、2003 年9月より JICA 協力事業として「自治体間協力プロジェクト」 が実施され、自治体間協力の様々な可能性が検討されてきた。そして、プロジェクトのフェー ズⅡとして、2005 年から「自治体間協力及び自治体行政サービス基準向上プロジェクト」が開 始され、その中で公式の自治体間協力のパイロットプロジェクトが実施されている。このパイ ロットプロジェクトを通じて、自治体行政サービスの基準や自治体間協力の具体的な手続き及 びガイドラインの形成が DLA によって行われた。なお、本プロジェクトは今年 10 月をもって 終了の予定である。 <プロジェクトの成果> ・2006 年、内務省通達「地方自治体間の共同行政サービス処理の方向性に関する内務省文書」 の公布。 ・2007 年制定の憲法第 283 条に自治体間協力に関する項目が盛り込まれた(注2)。 ・2008 年、内務省地方自治振興局編纂「自治体間協力マニュアル」完成(6月 27 日開催の当 該セミナーにおいて参加者へ配布)。 ・2009 年制定予定の地方自治法典の主要な項目(6 項目)の一つに、自治体間協力が盛り込ま れる見込み。 ○ 自治体間協力セミナー報告 セミナーにはタイ全土の自治体関係者等約 200 名 が参加した。冒頭、内務省スラポン副次官より「パ イロットプロジェクトの取り組みを参考に、今後自 治体間協力が広がることを望む」といった挨拶があ り、タイ政府として自治体間協力を推進する姿勢が 示された。続いて、プロジェクトの顧問を務めるタ 1 パイロットプロジェクトサイトの発表 マサート大学ナカリン政治学部長からプロジェクトの進捗状況に関する報告があり、JICA タ イ事務所小川次長の挨拶の後、下記3つのパイロットプロジェクトサイトの各代表者から詳細 な実施報告があった。午後の部では、DLA に駐在している JICA 長期専門家の平山アドバイザ ーより自治体間協力のメリット・デメリットに関する説明、日本国総務省自治行政局加藤理事 官による総評等があった。 県名 地域 協力形態 協力内容 サイトの活動内容 Rayong( ラヨー 沿岸地域の小規模自 8小規模自治体の インフラ整備 街灯修繕事業 ン県) 治体 連携 (道路補修) 緊急道路補修センター Kanchanaburi カンチャナブリ市と 中規模市と3小規 消防連携 消防センター運営 (カンチャナ その周辺自治体 模自治体との連携 災害対策協定 ブリ県) 消防ボランティア訓練 Lampang(ラン コカ市とその周辺自 小規模市と3小規 パン県) 治体 模自治体との連携 廃棄物管理 ごみ分別啓蒙、収集業務、 最終処分場の共同運営 ゴミ銀行(注3)運営 自治体間協力は、自治体の経費削減に繋がることや1つの自治体では購入できない資材を共 同で購入できる等メリットが多い一方で、自治体間協力の組織(共同センター)の運営に関す る業務量が増えることへの対応や共同センターの責任問題など、検討が必要な課題もある。特 に現段階では、自治体間協力は憲法で認められており、市町自治体(注4)の根拠法「市町自 治体法」に自治体間協力に関する記述があるとはいえ、タムボン自治体の根拠法「タムボン評 議会およびタムボン自治体法」には記述がないといった法制度上の不備がある。また、内務省 通達によって基礎自治体(市町自治体及びタムボン自治体)同士の自治体間協力が出来る事に なったものの、共同センターに法人格を付与することはできない。そのため、質疑応答では会 場から「法人格がない共同センターで人を雇うのは不安だ。何か起きたとき責任は誰が取るの か」、「自治体間協力を推進してきた長や議会が変わり、自治体間協力への方針も変わったとき の対応はどうするのか」といった、組織の運営に関する質問が多く出された。 2009 年制定予定の地方自治法典では、自治体間協力についても詳細に記載される予定であり、 地方自治法典の発効により自治体間協力の法的根拠が明確になれば、タムボン自治体同士、あ るいは市町自治体とタムボン自治体など、様々な形態・分野での自治体間協力への動きが更に 加速することであろう。 平山アドバイザーによると、 「タイ国内では現在、4つ(注5)の公式パイロットプロジェク トサイトの他に、20 以上の非公式の自治体間協力プロジェクトがある。日本の自治体に対する 潜在的な技術支援の要請は非常に多いものと思われる」とのことである。これまでタイの自治 体は、大都市以外、人口規模や財政的な制約から、日本の廃棄物処理や消防等の技術を学んで も実際に取り入れることが難しい場合が多かったが、今後、自治体間協力により連携したタイ の自治体と日本の自治体との協力の可能性が様々な分野で広がることが期待できるものと考え る。 (6月 27 日セミナーでの発表内容及び JICA 資料等を参考) (笠間所長補佐 2 仙台市派遣) (注1)タイは日本の約半数の人口であるにも関わらず、県自治体 75、市町自治体 1,328、タムボン自治体 6,448、バン コク都、パタヤ特別市の合計 7,853 もの自治体が存在している(2008 年 6 月 12 日現在の数値)。中でも農村部に設置 されているタムボン自治体はタイ国面積の約 97%、人口の約7割を管轄しており、それぞれの管轄地区の面積は小さく 行財政能力も限定されている。タクシン政権下(2001 年1月-2006 年 9 月)では自治体合併を進めようとしたものの、 議員数縮小の煽りを受ける自治体議員らの反対があり実施できなかった。現政権下では、内務省はこの問題に対し、 タムボン自治体から市町自治体への格上げ及び自治体間協力の推進によって、サービスの質向上や行政の広域化 に対応しようとしている。(バンコク日本人商工会議所「所報」2007 年 12 月号・2008 年1月号、大阪市立大学大学院法 学研究科永井文男教授著「分権化後のタイ地方自治」を参照) (注2)以下、2007 年憲法 283 条より抜粋「地方行政機関は、独立した行政を実施し効果的に地方住民の必要性に対 応できるように、強靭性を高めるための奨励および支持を受けるものとする。また、権限に基づき総合的な公共サービ スを提供するため地方財政制度を発展させるとともに、利益をもたらし、住民全体にサービスをもたらすため、権限に 基づき公共サービス提供の機関を単独または合同で設置することができる」(出典:財団法人日本タイ協会発行「2007 年タイ王国憲法」) (注3)ゴミ銀行とは、学校やコミュニティが設立した有価物の回収拠点かつ疑似銀行の機能を持つものである。各家庭 が持ち寄った有価物を購入し、それを回収業者に売却して資金を得、それを積み立てる一方で、コミュニティや学校で 必要な活動に資金を提供する。 (注 4)地 方 自 治体 は、一 般 地方 自 治体 と特別 地 方 自 治 体 がある。一 般 地 方 自 治 体 には、県 自 治 体 (Provincial Administrative Organization: PAO ) 、 市 町 自 治 体 ( Municipality ) 、 タ ム ボ ン 自 治 体 ( Tambon Administrative Organization: TAO)の3種類があり、基礎的な地方自治体である市町自治体及びタムボン自治体と、広域行政を担当 する県自治体の2層構造になっている。特別地方自治体はバンコク都とパタヤ特別市である。 (注5)表に掲載したJICAが支援する3つのパイロットプロジェクトの他に、ロイエット市及び周辺自治体が行うロイエッ ト災害対策自治体間協力センターの公式プロジェクトがある。 【「シンガポール国際水週間」開催】シンガポール 世界の水問題や水処理技術に焦点をあてる国際フォーラム「シンガポール水週間」が 6/23~ 27 にシンガポールで開催された。 24 日の開会式において、リー・シェンロン首相は、下水再生水「NEWater(ニューウォー ター)」や海水淡水化技術の例を挙げて、シンガポールは水の持続可能な供給の確保に成功した と強調、この経験はアジアや世界の都市の参考になると述べた。 また、日本からは、日本水フォーラム会長である森元首相が基調演説を行い、未だアジア・ 太平洋地域で安全な飲料を確保できていない現状、水に関わる災害の被害に懸念を表明し、ア ジアが主導的な立場に立って世界の水問題に取り組むべきであると訴えた。 27 日には、日本の企業・団体の水関連技術を紹介する「日本ビジネスフォーラム」が開催さ れ、東レや国際協力銀行がそれぞれ水処理ビジネスの動向と日本の技術について講演し、シン ガポール国際企業局のチュア・タイクヒム副長官は、両国の水処理技術の水準の高さを活かし て新しいシステムを開発したいと、両国間の今後の協力に期待を示した。 シンガポールの水供給・処理を統括する公益事業庁(PUB)は、水週間期間中に水処理など 水関連ビジネスで計 27 件、総額3億 6,700 万シンガポールドル(注1)相当の契約が成立し、 また、アジア域内の水処理ビジネスなどに投資する4億 3,500 万シンガポールドル規模の投資 ファンド創設が表明されたと、その成果を発表した。 3 (27 June 時事通信、Singapore International Water Week WEB ページ等 (有滿所長補佐 参照) 鹿児島県派遣) (注1)1シンガポールドル=78.58 円(2008 年6月 30 日現在) 【OPEC 脱退を発表】インドネシア プルノモ・エネルギー・鉱物相は5月 28 日、石油輸出国機構(OPEC)を脱退すると発表し た。脱退時期は今年末になる見込み。 1962 年の加盟以降、インドネシアは東南アジア唯一の加盟国として OPEC 内で一定の地位 を占めていた。しかし、1990 年代末以降、アジア通貨危機の発生やスハルト政権の崩壊による 経済混乱期に海外投資が落ち込んだこと等により、産油施設の老朽化や新規開発の遅れが生じ、 かつて日産 160 万バレルを越えていた生産量は現在では日産 92.7 万バレルと、OPEC 加盟国 に義務付けられる生産量の割り当て(日産 145 万バレル)を満たすことができない状況である。 一方で、人口増加や経済の拡大によって国内消費が大幅に伸び、現在では石油の純輸入国にな っている。最近の原油価格の高騰によって主要な原油産出国は巨額の利益を得ているのに対し、 純輸入国であるインドネシアにはマイナスの影響となっているため、石油価格の安定を求める 純輸入国インドネシアとしては、石油輸出国の利益を守る OPEC の中にとどまる意義がなくな っていた。 一方で、インドネシアでは国家予算の 12%にあたる 126 兆8千ルピア(約1兆 4,500 億円) を一般向けガソリン小売価格への補助金に割り当てており、その額は年々増加している。イン ドネシアでは、ガソリンは定額で販売されており、原油価格が高騰するほど、政府が投入する ガソリンの補助金額が増加し、国家財政の負担となっている。そこで、インドネシア政府は先 月 24 日、補助金付きのガソリン小売価格の 33%引き上げ措置を実施し、補助金の圧縮により 財政負担の軽減を図っているが、国内各地で抗議デモや集会が相次ぎ、政権支持率が大幅に下 落している。今回の OPEC 脱退の背景の1つには、もはや石油輸出国ではないインドネシアの 姿を国民に訴え、値上げへの理解やガソリン消費の抑制を図ろうとする意図が大きい。インド ネシアは来年大統領選挙を控えており、ユドヨノ政権の今後の石油政策の動向に注目が集まっ ている。 (28 May 2008 時事通信等 参照) (堀所長補佐 総務省派遣) 【外国人訪問者数大幅に増加】ベトナム ベトナム文化スポーツ観光省によれば、2008 年1~5月の外国人訪問者は約 210 万人を達 成し、前年同期間と比べ 16.6%の増加となった。訪問者数第1位は中国で約 35 万人、続いて 韓国約 22 万人、アメリカ約 20 万人、日本約 17 万人、台湾約 14 万人となっている。特に中国 は陸路で繋がっていることもあり、同期間の前年比 53.8%増となっている。観光客に最も人気 のあるスポットは世界遺産にも登録されているハロン湾で、国内外から一日に1万人以上の観 光客が訪れ、そのうち8割が外国人と言われている。ベトナムへ入国する際の交通手段には空 路、陸路、海路の3つがあるが、中国人の訪問者数増加、東西回廊(ミャンマー、タイ、ラオ ス、ベトナムを繋ぐ高速道路)が整備されたことによるタイからの観光客増加と相俟って、陸 4 路による入国が同期間の前年比 61.5%と高い数値を示している。 訪問者の増加に伴って問題視されているのがハノイやホーチミンといった大都市におけるホ テル事情である。これらの都市では稼働率の月平均が8割を越え、高級ホテルでさえ逼迫して いる状況となっている。観光業界は今後も観光客の増加を見込んでいることから、ホテルの不 足やインフラ整備は同国にとって喫緊の課題となっている。 外国人訪問者数(2008 年 1-5 月) 国名 訪問者数(人) ①中国 352,175 ②韓国 221,385 ③アメリカ 195,113 ④日本 169,640 ⑤台湾 141,609 (2 June 2008 Viet Nam News, 文化スポーツ観光省 Website 参照) (近藤所長補佐 静岡市派遣) 【フィリピン観光セミナーが日本で開催される】フィリピン フィリピン観光省は、6月 16 日から日本の主要4都市(東京、名古屋、大阪、福岡)を訪 れ、観光セミナー「第4回フィリピン・ビジネス・ミッション」を開催した。日本の旅行市場 をターゲットにした 2008 年度観光キャンペーンの一環で、デュラノ観光相を初めとする旅行 関係者ら約 70 人が日本を訪問した。20 日の最終日には、東京の帝国ホテルに 500 人を超える 旅行・メディア関係者が招待され、豪華な一大ビジネスミッションとなった。 フィリピン観光省によれば、今回のセミナーは日本の旅行・メディア関係者を一同に集め、 観光地としてのフィリピンの魅力を総合的にアピールすることを目的としており、特に、日本 で知られていない新しいホテルや旅行代理店を日本の業界関係者と接触させ、新たなビジネス チャンスを生み出すことを狙っている。 今回のミッションは、観光省・旅行代理店の代表者がフィリピンを紹介するセミナー、日比 の旅行関係者が個別に相談するトラベル・マート、観光省によるレセプションの3部構成とな っている。 来場者からは、フィリピンのリゾート地の美しさを再認識する声が挙がったほか、現地での 安い物価や生活の快適さを評価する意見もあった。 観光省のまとめによれば、昨年の日本からの来訪者数は前年比 6.4%減の 39 万 5,012 人、今 年1~4月は前年同期比 6.3%減の 12 万 8,748 人と減少傾向が続いている。観光省では日本を ターゲット市場としたマーケティング活動を実施し、目標として 2010 年までにフィリピンへ の年間日本人観光客数 100 万人を達成したいとしている。しかし、原油高による航空会社の燃 料サーチャージは上昇を続けており、フィリピンの観光を取り巻く状況は依然厳しい。 (19 June 2008 NNA、フィリピン観光省ホームページ等 (安斎所長補佐 5 参照) 福島県派遣) 【カンボジア、大メコン圏の6ヶ国間で電力共有協定を計画中】カンボジア カンボジアへの外国投資を阻害する大きな要因の一つとして、同国の慢性的な電力不足に よる電気代の高騰が挙げられる。現在、大メコン圏の6ヶ国(カンボジア、ラオス、タイ、 ベトナム、ミャンマー、中国)による電力共有協定が計画中であり、2012 年までの発効を 目指している。これにより、安価で安定した電力が供給されることが期待される。 カンボジア 【大メコン圏概要図】 【大メコン圏(GMS, Great Mekong Subregional)とは】 インドシナ半島を南北に流れる全長 4,900km のメコン川流域にある、中国雲南省、ミャン マー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム、およびメコン川は流れていないが中国の広西 チワン族自治区を加えた6ヶ国から構成される地域を、一般呼称としてメコン地域(Mekong Region)と呼ぶ。一方、アジア開発銀行(ADB)のイニシアティブで、1992 年以降メコン地 域における経済協力プログラムが実施されているが、これに言及する時は大メコン圏と呼称 する。ラオスを縦断する南北経済回廊、ミャンマーからベトナムを横断する東西経済回廊、 およびバンコクからプノンペン・ホーチミンを経由しブンタオに至る南部経済回廊、といっ た国境経済の大動脈がほぼ整備されつつある今、今後の発展が注目される地域である。 (23rd June The Phnom Penh post 等 参照) (安斎所長補佐 【日本・ブルネイ経済連携協定が発効 福島県派遣) 中小企業育成支援事業がスタート】ブルネイ 昨年6月 18 日に署名された日本・ブルネイ経済連携協定について、本年7月1日、効力の 発生に関する外交上の公文の交換を行うことが決定され、同月 31 日に効力が生ずることとな った(注1)。日本にとって、シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシ アに次ぐ7番目の経済連携協定の発効となる。 当該協定では物品貿易・エネルギー分野以外に「投資」、「サービス貿易」、「ビジネス環境整 6 備」、 「協力」での連携を行うこととしており、二国間の経済連携を強化するため 10 分野の「協 力」を実施することが定められている。その1つ中小企業分野への協力として、日本貿易振興機 構(JETRO)はブルネイ政府とともに、ブルネイの中小企業育成を目的に、ブルネイのハンデ ィクラフト製品のデザイン分野を中心とした商品開発支援を通して、ブルネイの伝統工芸品の 輸出を支援する予定である。 6月 25 日、経済産業省通商政策局、JETRO 東京、JETRO シンガポールはブルネイを訪問 し、ブルネイ政府との協議及びブルネイ伝統工芸品の現状調査を行った。これによりブルネイ 政府と事業実施方針につき基本的な合意を得て、具体的な事業実施に向けての第1歩を踏み出 した。 事業を担当する JETRO シンガポールは、「今後、2か年計画で事業を実施する予定である。 2008 年度は、可能性のある商品の選定及びブルネイでの啓蒙セミナーを実施し、さらには専門 家を派遣し、デザイン向上への指導を行う。また、2009 年度は、引き続き専門家による技術指 導を予定しており、一定程度デザインが向上した場合、日本で商品紹介イベントを実施する可 能性もある」と話す。 JETRO 等関係者 ブルネイ工業・第一次資源省にて ブルネイのハンディクラフト製品 (JETRO シンガポールへの聞き取り等 参照) (笠間所長補佐 仙台市派遣) ( 注 1 ) 日 本 ・ ブ ル ネ イ 経 済 連 携 協 定 の 内 容 は 、 ク レ ア メ ー ル ニ ュ ー ス 2007 年 6 月 号 に 掲 載 済 http://www.clair.org.sg/j/monthly%20report/200706_SIN.pdf その他参考:外務省ホームページ http://www.meti.go.jp/press/20070618010/epa.pdf 【インドのタバコ事情】インド 世界的風潮から、インド国内でも禁煙化の動きが日増しに進んでいる。 「世界ノータバコデー」の5月 31 日、Anbumani Ramadoss 保健家族大臣は「2008 年 10 月2日より仕事場での喫煙を禁止する」と発表した。 現行の「巻きタバコ及び他のタバコ製品規制法」では、鉄道駅、公共交通機関、病院、学校 などの公共の場での喫煙が禁止されている(ただし、空港や 30 席以上のレストランでの指定 場所では喫煙ができる)。また、タバコのパッケージへの以下のような画像入り警告文を義務づ 7 けている。インドはタバコ関連広告を禁止している世界でも数少ない国の1つである。 今年の3月、医学誌 The New England Journal of Medicine に、インドの国レベルの喫煙と 死亡に関する調査結果が発表された。この調査は、インド、カナダ及び英国の医師や研究者の 協力の下、調査員約 900 人を動員し、2001 年から 2003 年の間に亡くなった 74,000 人(男性 41,000 人、女性 33,000 人)と、生存する 78,000 人(男性 43,000 人、女性 35,000 人)につ いて喫煙歴を追跡調査したものである。 その結果、喫煙が原因の疾病は今後増加し、2010年までに喫煙による年間成人死亡者数はイ ンド全国で約930,000人に達する、との予測が出されている。全死亡者のうち男性では5人に 1人、女性では20人に1人が喫煙を原因として死亡することになる。また、例えば、30~69 歳に属する人の死亡率は、非喫煙者と比べて喫煙者は男性で1.7倍、女性で2倍、死亡リスクが 高くなることが分かった。 (1 June 2008 Hindustan Time, 喫煙教育をすすめる会 HP 等 参照) (望月所長補佐 8 東京都派遣)