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「モンゴルの経済政策・投資環境」(JICA調査チーム)(PDF/1.61MB)

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「モンゴルの経済政策・投資環境」(JICA調査チーム)(PDF/1.61MB)
モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.モンゴルの経済政策・投資環境
1
モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.1
マクロ経済状況
(出所:IMF資料から調査チーム作成)
図表2.1-1: モンゴルj実質GDP/一人あたりのGDPの推移
●実質GDP成長率は2011年の17%をピークにその後著しく減速し、2015年は2.4%まで減少。2016年はIMFの 10月発表予測によれば、0.0%の見通
し。これに伴い、一時、中進国とみなされる4千ドルを超えた一人当たり GDPも2015年以降下回る水準で推移。なお、一人当たりGDPの高い地域と低
い地域との格差は4倍強。
●モンゴル経済減速の主な理由は、①外国直接投資の不調、②主力の鉱業セクターの資源価格低迷、③最大輸出先である中国経済の後退。
2
モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3
モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.2
投資/貿易動向
国別上位
№
外国直接投資推移
国名
構成比
累計
(単位:%、百万US$)
2010
2011
2012*
2013*
1
オランダ
29.7
4,227
232
1,816
1,253
863
2
中国
26.4
3,766
176
1,015
243
39
3
ルクセンブルク
8.1
1,151
25
476
634
6
4
英領バージン諸島
7.8
1,109
101
610
274
2
5
シンガポール
5.1
725
31
402
227
8
合計112か国
100.0
14,244
1,026
4,986
3,199
1,219
 第1位のオランダと第2位の中国
の2か国で半分。オランダはルク
センブルグや英領バージン諸島
同様、租税回避地として位置付
けられ、中国が実質トップ。
2012*は、第4四半期時点の数字。また2013*は、モンゴル中央銀行による貿易バランス情報を反映していない数字。下表セクター別投資も同じ。
セクター別上位外国直接投資推移
№
セクター
構成比
累計
(単位:%、百万US$)
2010
2011
2012*
2013*
1
鉱山資源
76.6
7,993
820
4,083
2,218
872
2
貿易サービス
17.1
1,786
163
621
694
309
3
運輸
1.5
152
2,892
7,374
135
6
4
金融
0.8
83
13
24
28
18
5
建設建材
0.5
57
1
5
48
3
10,430
1,026
4,986
3,199
合計20セクター
100.0
 鉱山資源(開発・探査)分野が全
体の4分の3を占め、貿易サービス
と合せて、全体の9割。2012年以
降、鉱業、運輸、金融セクターへ
の投資が大幅に減少。
1,219
(出所)上表ともにモンゴル投資庁(IMA)
4
モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.2
投資/貿易動向
モンゴルの貿易収支推移
 貿易収支は2013年まで赤字が続い
ていたが、2014年に黒字に転じ、
2015年も輸出以上に石油製品価格
下落等で輸入が減少したため、黒字
を継続。
国別輸出入状況
 輸出国別の構成比は、中国が84%と圧
倒的であり、主な輸出品目は鉱物製品
(石炭、金、銅等)と宝石・貴金属。一方、
輸入国別の構成比は、中国とロシア2か
国で3分の2近くを占める状況。主な輸入
品目は鉱物製品(主にロシアからの石油
製品)、機械・電気及び同部品、自動車
及び同部品。
(出所)Mongolian Statistical Yearbook 2015(モンゴル統計局)をもとに調査団作成
5
モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.3
モンゴル国産業政策と開発計画 (1)
モンゴル新政権における産業政策・開発計画関連担当省庁
新担当省庁
業務方針
所管業種等
鉱業・重工業省
重工業局
旧産業省時代に制定した産業政策や製造業支 旧産業省による重工業セクター(石油、化学、
援法に基づき、重工業への支援策を継続。
鉄鋼等)。
農牧・食糧・軽工業省
軽工業局
同中小企業局
• 旧産業省時代に制定した産業政策や製造業
旧産業省による軽工業セクター(繊維、縫製、
支援法に基づき、軽工業への支援策を継続。
皮革、木材、印刷、電気電子等)。
• 旧産業省が策定した中小企業支援政策継続。
新政権により新たに設置。予算法に基づく開発
国家開発庁
投資計画の策定、2030年長期開発ビジョン及び 各省庁の開発計画の優先順位を決め、その
開発政策課/セクター
そのアクションプランの策定。
F/Sを実施し、内外投資家に説明・PR。
(出所)各省庁へのインタビューに基づき作成
開発政策・調整課
国家産業政策制定に基づくモンゴル製造業の優先セクター
分野
管轄省庁
重工業
鉱業・重工業省他
軽工業
農牧・食糧・軽工業省
他
合計
業数
主な優先セクター例
16
石油精製、石炭化学、コークス化学、銅精錬、冶金、鉄鋼、機械
セメント(建設・都市住宅省管轄)。
42
カシミア、ウール、皮革、木材、食肉、畜産、乳製品、食品、バイオ(含む23
の中小企業優先セクター)
建材(建設・都市住宅省管轄)。
58
(出所)各省庁へのインタビューに基づき作成
6
モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.3
モンゴル国産業政策と開発計画 (2)
開発政策計画体系の分類
分類
長期
期間
15-20年
中期 (1)
8-10年
中期 (2)
4年
中期 (3)
3-5年
短期
1年
構成政策・計画等
監査・評価
承認主体
A:国家開発ビジョン
2年後監査、4年後評価
国会
B:国家政策
C:地域開発政策、D:首都開発ビジョン
2年後監査、Dを除き
4年後評価
B、Cは政府、Dは
地方議会
E:政府行動計画、F:知事行動計画、
G:公共投資計画
H:国家プログラム
I:国家サブ(地方)プログラム
J:国家社会経済開発ガイドライン
K:地域社会経済開発ガイドライン
2年後監査
Eのみ4年後評価
Eは国会、Fは議会、
Gは政府
Hは政府、
Iは議会
Jは国会
Kは議会
Hは毎年、Iは2年後監査
毎年監査
(出所)JICAモンゴル事務所主催開発政策計画法勉強会資料より作成
製造業の短期・中期・長期政策
分類
期間
主な政策
短期
2016-2020
輸入から国内製造業を保護するとともに、国内製造業の競争力強化の観点から鉄鋼、銅、燃料
など主要原材料の輸入代替(国内生産)を促進。
中期
2012-2025
国内製造業の強化後、輸出を拡大するとともに、高度技術を導入し、石油化学等の重化学工業
や産業機械等の製造業を育成。
長期
2025-2030
情報産業やサービス産業を育成するとともに、技術開発を進め、環境保全に配慮しつつ、輸出
主導から内需主導へ転換。
(出所)旧産業省へのインタビューに基づき作成
7
モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.4
モンゴル国への企業進出 (1)形態/登録
形態/関連法令
駐在員事務所
*外国企業は、モンゴルで法的利権
の保護、本社代表取引など法的代理
の目的でモンゴルに駐在員事務所を
設置することができる。駐在員事務
所は法人として認められていないた
め、営利目的で商業活動を行うこと
が禁止されている。
現地法人
*外国投資のある企業の定義は、モ
ンゴルで設立された企業で、その株
式の少なくとも25%を外国人投資家
が保有し、外国投資家の最低投資額
が$100,000である企業と定義されて
いる。
開設/設立手続き
 知的財産・国家登録庁(GAIPSR)に登録する。登録
者は、申請書フォームUB13をその他必須書類ととも
に提出し、GAIPSRが10営業日以内に審査と承認手
続きを完了する。
 知的財産・国家登録庁(GAIPSR)に登録する。登録
者は、申請書フォームUB12をその他必須書類ととも
に提出し、GAIPSRが10営業日以内に審査と承認手
続きを完了する。通常、審査期間はわずか2営業日程
度である。法人設立の際に、GAIPSRは登録情報を
各地方税務当局に送信するため、地方税務当局に登
録する必要はない。
*申請には社名予約票(GAIPSRで社名の利用可否を事前確認の上、
登録する必要あり)や銀行口座開設通知が必要
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モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.4
モンゴル国への企業進出 (2)税務 ①
 モンゴルの税制度
(租税体系)
 モンゴルでは1992年の社会主義から民主主義への移行に際して、市場経済に沿っ
た新しい租税制度が誕生した。その後は、雇用創設のための事業会社の税負担の
軽減、インフォーマル経済の減少、外国投資の増加、中小企業の発展といった政府
の公約の実現を目標に租税環境の改善を継続的に行ってきており、こうした改善努
力は現在も続いている。
 モンゴルの租税制度の主な準拠法は租税法であり、2008年に現在の改定版が制定
されて以降、当時の経済環境や政策を反映した改正が数次にわたり行われてきた。
租税法の目的はモンゴルでの各種類の税金の導入、設定、課税、報告、納税、管理、
徴収の為の法的根拠を確立し、納税者の義務及び納税額と税務当局の権限を定義
し、関係を規定することにある。
 租税法では、税目ごとに法人税法、個人所得税法、付加価値税法、関税法、社会保
障税法などの専用税法が制定されており、それぞれ具体的な税目を規定している。
 租税法の第7条には全税目が定義されており、大きく国税(法人所得税、付加価値税、
関税)と地方税(個人所得税、不動産税、土地料)、直接税(法人所得税、個人所得
税)と間接税(付加価値税、関税、特別税)に分類される。
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モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.4
モンゴル国への企業進出 (2)税務 ②
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モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.4
モンゴル国への企業進出 (2)税務 ③
 法人所得税
法人所得税法は2006年6月29日に採択された。法人所得税法の対象となる企業は、モ
ンゴルの法律に基づいて設立された企業及び本社がモンゴルにある外国企業(居住者)
とモンゴル国内で直接売上を計上している外国企業(非居住者)である。法人所得税の
課税所得には事業所得、資本所得、資産譲渡所得がある。法人所得税は10%と25%の
累進率を通じて課税され、最高税率の所得基準は30億トゥグルグである。法人所得税法
により課税される所得税率は下記図表の通りである。
:所得税率 (%)
所得の種類
税率
30億トゥグルグまでの年間課税所得
10%
30億トゥグルグを超える年間課税所得
25%
配当金所得
10%
ロイヤリティー所得
10%
ギャンブル・宝くじからの所得
40%
不動産譲渡所得(粗額 )
10%
利子所得
10%
権利譲渡所得(粗額 )
30%
非居住者源泉徴収税
20%
(出所)モンゴル法人所得税法(Law on Economic Entities Income Tax)より作成
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モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.4
モンゴル国への企業進出 (3)雇用・労務
 近年失業率は8%前後で推移。近年のモンゴル労働市場における問題は、高学歴、留
学生増加と就業機会のミスマッチ。
 旧社会主義国でもあり、労働法の規定に注意を払う必要あり。
(%)
モンゴル国の失業率推移
(出所:IMF)
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モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.4
モンゴル国への企業進出 (4)ビジネスコストの国際比較
(出所:2016年 6月JETROアジア・オセニ主要都市 ・地域の投資関連コスト比較)
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モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
(出所:2016年 6月JETROアジア・オセニ主要都市 ・地域の投資関連コスト比較)
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モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
(出所:2016年 6月JETROアジア・オセニ主要都市 ・地域の投資関連コスト比較)
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モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
(出所:2016年 6月JETROアジア・オセニ主要都市 ・地域の投資関連コスト比較)
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モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
(出所:2016年 6月JETROアジア・オセニ主要都市 ・地域の投資関連コスト比較)
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モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.4
モンゴル国への企業進出 (5) 投資環境のまとめ①
2016年10月発表 世銀 Doing Business 2017
「モンゴルの投資環境は、総合的にはわずかに改善(スコアアップ)されたが、
ランキングは190ヵ国中64位と2ランク下がった。
(出所)World Bank. 2017. Doing Business 2017: Equal Opportunity for All. Washington,
DC: World Bank. DOI: 10.1596/978-1-4648-0948-4. License: Creative Commons Attribution CC BY 3.0 IGO
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モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
(出所)World Bank. 2017. Doing Business 2017: Equal Opportunity for All. Washington,
DC: World Bank. DOI: 10.1596/978-1-4648-0948-4. License: Creative Commons Attribution CC BY 3.0 IGO
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モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
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モンゴル国「投資環境・促進にかかる情報収集・確認調査 報告セミナー
3.4
モンゴル国への企業進出 (5) 投資環境のまとめ②
②モンゴルの弱み:
1. 市場(人口/広さ)問題
2. ロジスティックス(高コスト/長時間=交通インフラ)問題
3. 政治・行政の不安定問題
4. 経済システムやモンゴル民間企業の成熟度問題
(モンゴルパートナーのコーポレートガバナンスや信用情報等含む)
5. 厳しい気候(厳冬)問題
6. 中国企業や韓国企業に対する日本企業の競争力
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