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九州大学のアクティブ ラーニングをサポートするため デジタル
京セラ丸善システムインテグレーション株式会社 九州大学のアクティブ ラーニングをサポートするため デジタル教材の学修行動データ活用に Azure の HDInsight を採用 文教、医療ソリューションを提供する京セラ丸善システムインテグレーション株式会社。同社は昨今 高まるアクティブ ラーニングのニーズに応え、九州大学においてクラウド型電子書籍プラットフォーム ソリューション概要 ○プロファイル 「BookLooper」( ブックルーパー ) を利用した、デジタル教材の配信サービスを開始。同サービスを通 じて収集した学修行動データの統合 / 分析を本格化させるため、システム基盤には大規模データの解 析を行う Hadoop を Microsoft Azure 上で利用できる HDInsight が採用されました。 丸善より分社独立後、京セラコミュニケーション システム (KCCS) の資本参加を受け 2004 年に設 立された京セラ丸善システムインテグレーション 株式会社は、文教、医療特化のシステム インテ グレーターです。全国拠点を活かし、業界に深く 根差したパートナーシップと ICT の推進力で教育 の質の向上、医療 / 介護現場での問題解決を通 じ、豊かな精神と健全な身体を育む社会の実現 に貢献していきます。 ○導入製品とサービス ・Microsoft Azure - HDInsight ○導入メリット ・Hadoop のセットアップが容易で、短期間で分 析環境を構築し、サービスインが可能になった ・Azure 側でスケーラビリティを確保されている ので、システム設計の際に、開発者側で考慮す る必要がない ・大量データ処理が安定的に遅延なく完了し、 データ分析の質的向上に注力できる ○ユーザー コメント 「BookLooper を導入してログを分析することに より、教員は、学生が講義内 / 外でどのようにア クティブに学修しているかを把握できます。また、 学生が理解しにくい点を提示することにより、教 材の改善にもつながります。今後は、データに基 づく教育改善、および学生の学修効果の向上を 期待しています」 九州大学 基幹教育院 自然科学理論系部門 / 大学院システム情報科学府 教授 博士 ( 工学 ) 緒方 広明 氏 BookLooper では電子書籍を配信できるだけでなく、マーカーやメモを残すことが可能。 (上図) また、BookLooper の学修行動データを分析、可視化する BookLooper kizuki で効果的な 教育改善や学修支援の施策を立てることができます。 (下図) 導入背景とねらい 自ら問いを立て主体的な学びができるアクティブ ラーニングを実現したい 九州大学では、2015 年 4 月 13 日より、1 年生約 2,700 名を対象に、京セラ丸善システムインテ グレーション株式会社 ( 以下、京セラ丸善システムインテグレーション ) のクラウド型電子書籍プ ラットフォーム「BookLooper 」( ブックルーパー ) の学修行動データを活用し、教育ビッグ データ の利活用に関する研究を開始しました。BookLooper は、大学や専門学校向けの教科書 / 教材な どを電子書籍として提供するソリューションです。その概要について、電子書籍企画室 室長の津 田 康弘 氏は次のように語ります。 「当社は、高等教育機関向けに、かねてより図書館の蔵書を管理、検索するパッケージ システムや、 京セラ丸善システムインテグレーション株式会社 導入の経緯 データ増に対応できるスケーラビリティや、 Hadoop のセットアップの容易さなどが決め手に こうした課題を解決するべく、同社は改めて BookLooper の分析基盤 となるクラウド サービスを検討。Microsoft Azure の HDInsight に出 会ったのは、2014 年末ごろだと弘田氏は語ります。 「検証としてプレビュー版を利用した際に、Web 画面上から容易にセッ 京セラ丸善システムインテ グレーション株式会社 電子書籍企画室 室長 津田 康弘 氏 京セラ丸善システムインテ グレーション株式会社 教育サービスグループ 弘田 修平 氏 京セラ丸善システムインテ グレーション株式会社 サービス開発部 部長 名和 輝明 氏 トアップが行えて、手軽に分析処理が実行可能な環境を入手できるこ とに驚きました。ローカル マシンで検証できる HDInsight Emulator もあり、これまでのように煩雑な Hadoop の構築作業や、最適な設 定値を動作検証しながら導き出す必要がなくなりました。Storage 上 に利用データを置き、HDInsight を構築してジョブを投入するとすぐ に分析ができるという手軽さに加え、検証と運用のコストが抑えられ るという点でも魅力を感じました 」( 弘田氏 ) 大学教務事務システムを提供してきました。2010 年ごろより、複数の いくつか比較検討する中で、Azure に決定した要因について、サービ 大学と電子図書館の取り組みについて実証実験を重ねてきました。この ス開発部 部長の名和 輝明 氏は次のように補足します。 実験を通じて、電子教科書や電子図書館など商用化されたサービスが、 「BookLooper の 分析 機 能は 今 後、 機 械 学 習によってさらに強 化 で 電子書籍ソリューション BookLooper です」( 津田氏 ) きると考えています。Azure が 昨 年、 機 械 学 習のプラットフォーム BookLooper は、ライセンス単位で利用できるクラウド サービスとして 基盤として有力な候補の 1 つだと考えていました。サービス面や、今後 提供され、コンテンツ検索、閲覧、マーカー、メモなどの学修支援機能 の拡張性を見据えた Machine Learning などの機能面、そして、コス を備えているだけでなく、行動データの収集 / 分析機能を有しています。 ト面を検討し、総合的に優れていた HDInsight を採用することにしま Machine Learning を正式発表したタイミングで BookLooper の分析 した 」( 名和氏 ) 「昨今、主体的な学修を促す『アクティブ ラーニング』に取り組む大学 が増えています。その中で、学修効率化や学修意欲向上など、教育効果 九州大学では、学生 / 教職員が BookLooper を利用し、学生は、学内 を可視化したいというニーズが高まってきました。そこで、BookLooper 外から PC、タブレット、スマートフォンなどのマルチデバイスで教科 のデータ収集 / 分析機能をさらに強化し、標準分析レポートとして提供 書やレジュメなどを閲覧、書き込みをすることが可能です。また、教 していくことを決断しました。データの収集 / 分析をする際は、大学側 職員は BookLooper の分析レポートから得られたデータやシラバスな から学生に対し個人情報についての同意を得ていただいたうえで行って どの学務情報から、より効果的な学修支援が可能になります。 います」( 津田氏 ) 「BookLooper を利用するためのアプリは Windows ストア アプリの こうした背景には、出版社が教科書の電子化を積極的に推進している ほか、iOS、Android 版があり、端末を選ばずにマルチプラットフォー ことや、アクティブ ラーニングに代表される教育の質的転換、そして、 ムで利用できます。アプリを起動すると、実物の本棚をイメージした モバイル端末の普及といった学修環境の変化などがあります。しかし、 書 棚に、教 科 書やレジュメ、図 書 館 で借りた書 籍が 配置されます。 BookLooper の分析基盤の強化は決して簡単な道のりではなく、課題も 今回の研究では、教育の分野や講義のスタイルなどによって多少の違 山積みだったと本社文教ソリューション部 教育サービスグループの弘田 いはあるものの、学生が利用した端末種別、利用教材名、閲覧や検索 修平 氏は振り返ります。 行動を確認することができます。また、利用データと学修行動の関連 性を見ることで、ある程度の精度を持った分析モデルが確立されてき 「BookLooper の標準利用分析レポート機能の開発当初は、プライベー ています」( 名和氏 ) トのクラウド サービスを利用していました。しかし、このサービスは利 用データが爆発的に増加した際のスケーラビリティに課題がありました。 また、HDInsight 導入時のマイクロソフトのサポートについて、弘田 また、分析には大量のデータを処理できる Hadoop を採用しようと考 氏は次のように振り返ります。 えていましたが、分析基盤として環境を構築するための学習コストが高 く、短期間での分析基盤の強化は困難だと感じていました 」( 弘田氏 ) 「HDInsight 導入を通じて、マイクロソフトのサポートには満足してい ます。印象深かったのは、何か課題があった際にオフィシャルなドキュ メントを参照すれば、ほとんどの内容が既に記載されていたことです。 京セラ丸善システムインテグレーション株式会社 技術的な質問に対しても即座に回答いただけること、サンプル コード やドキュメントが充実していることなど、Azure をオールインワンの サービスとして提供しようという姿勢が伝わってきました 」( 弘田氏 ) 今後の展開 Machine Learning の活用によるパーソナライズなど、 さらなる利便性を追求 導入の成果 京セラ丸善システムインテグレーションでは、BookLooper の学修行動 本来取り組むべきサービスの質的向上に注力できるように データの収集 / 分析機能を強化し、大学のアクティブ ラーニングを支援 する学修分析サービス「BookLooper kizuki 」( ブックルーパー キヅキ ) を 短期間で利用開始できるクラウド サービスの利点が遺憾なく発揮され、 リリースしました。このサービスにより、大学は定量的なデータをさらに また、HDInsight の機能優位性や拡張性により、BookLooper のデー 活用した教育改善や学修支援の施策を立てることができます。 タ分析基盤は、2015 年 5 月、サービスインの運びとなりました。 新サービスの BookLooper kizuki を含め、今後の機能拡張や展開につい HDInsight の導入によって得られた効果について、弘田氏はまず技術面 ては、機械学習というキーワードを挙げ、Azure の Machine Learning に のメリットを挙げます。 期待を寄せていると名和氏は語ります。 「技術的な面としては、どれだけ増加するか予想ができない利用データ 「電子教科書を利用する学生へ活用のメリットを還元できるように、効率 に対し、設計時にスケーラビリティを考慮する必要がない点がメリット 的な学修方法をナビゲーションするようなレコメンド エンジンを確立した だと考えます。また、データ分析基盤のサービス提供という面では、大量 いと考えています。たとえば、教科書やレジュメなどのコンテンツを関連 データの分析を遅延なく処理が完了できることで、分析レポートの作成 づけし、学生が履修していない講義で、類似のレジュメを使っていた場合、 を定型業務に組み込める点がメリットだと感じています。運用コストが そのコンテンツをお勧めするといった活用方法です。その他さまざまな活 低減できた結果、我々の業務効率化と、サービスの品質向上が見込める 用方法が考えられますが、あまりシステム側から押しつけすぎることがな という点も見逃せません」( 弘田氏 ) いように、学生の自発的な学修を促すような " さじかげん" が大事だと考 えています。 BookLooper や学修分析サービス BookLooper kizuki により、 現在 BookLooper の分析基盤を利用して「教育ビッグ データの利活用」 学生の興味範囲が広がることで、結果的に自ら進んで学修し、知識が深 に関する研究を行っている九州大学の基幹教育院 自然科学理論系部門 まっていくというサイクルが確立するよう支援していきたいです」( 名和氏 ) / 大学院システム情報科学府 教授 博士 ( 工学 ) 緒方 広明 氏も、その効果 について次のように期待を語ります。 今後も、文教分野におけるソリューションの付加価値向上に取り組んでい きたいと語る京セラ丸善システムインテグレーション。HDInsight をはじ 「平成 26 年 4 月より、九州大学では『自ら問いを立 て主体的な学びが出来る 』アクティブ ラーナー の育成を目的として、全学 1 年生を対象に『基 幹教育』を開始しました。ここに BookLooper を導入してログを分析することにより、教員は、 学生が講義内 / 外でどのようにアクティブに学修 しているかを把握できます。また、学生が理解 しにくい点を提示することにより、教材の改善 九州大学 基幹教育院 自然科学理論系部門 / 大学院システム情報科学府 教授 博士 ( 工学 ) 緒方 広明 氏 にもつながります。今後は、データに基づく教 育改善、および学生の学修効果の向上を期待し ています」( 緒方氏 ) そのほか、各大学からも大きな反響をいただいて いると名和氏は言います。 「先生からは、今まで経験や勘に頼っていた部分が可視化されたという 意見をいただいています。たとえば、予習の段階で教科書をどの程度読 んでいるか、学生の予習状況を先生向けのレポート画面で閲覧すること ができます。また、予習段階で教科書に引いたマーカーの箇所や教科書 の検索キーワードから、理解度や関心を把握して講義内容を調整すると いった活用も可能です」( 名和氏 ) めとする、マイクロソフトが提供するクラウド サービスが、同社のビジネ スをさらに加速させていくことでしょう。 導入についてのお問い合わせ 本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/ 本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2015 年 7 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。 本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。 製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。 ■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/ ■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755 (9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く ) ※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。 *記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。 *製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。 〒108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー 5881-WI1