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おおさかの海と川のエコロジー - 一般社団法人大阪湾環境再生研究
2013/04/05 話の流れ おおさかの海と川のエコロジー 1.大阪湾の水環境と魚介類の現状 2.環境改善技術(干潟) 大阪市立大学大学院 工学研究科都市系専攻 矢持 進 変形した海岸線 環境保全と 都市型自然再生 大阪湾 流域人口1500万人 物流や経済活動 溶存無機態窒素濃度(mg N/L) 大阪南港野鳥園 3.少しだけ 大和川とアユ 大阪湾 栄養塩レベル が近年減少 年 図2 海水に溶けている無機態窒素濃度の経年変化 1 2013/04/05 大阪湾再生水質一斉調査(2004年から開始) 気象擾乱後 一般的な夏季の状況 大阪湾再生水質一斉調査(2004年から開始) 出水後 総窒素 一般的な夏季の状況 気象擾乱後 気象擾乱後(規模小) 一般的な夏季の状況 湾奥の港内や 近隣が酸欠 状態 一般的な夏季の状況 気象擾乱後(規模小) ある初夏の港の中の水面 出水後 沿岸域での赤潮の発生 一般的な夏季の状況 一般的な夏季の状況 1000000 漁獲量(トン/年) 100000 10000 貝類・甲殻類 の漁獲量が 激減! 復活せず 1000 100 10 魚類 甲殻類 図 貝類 年 海藻類 その他の水産動物 3 1 99 97 93 95 91 89 87 83 85 81 79 75 77 73 71 1 アサリ 大阪湾における漁獲量の変化 (中国四国農政局漁獲統計資料より作成) 2013/3/19 7 2 2013/04/05 「内湾における環境修復技術」 方 法 生物利用 目 的 環境修復技術 生物生産 人工干潟・浅場・ヨシ原造成 生物多様性 アマモ場造成・魚礁造成 藻場造成・人工リーフ・エコ護岸 人工砂浜 生物非利用 水質改善 礫間接触酸化堤 底質改善 ベントス利用・微生物利用 水質改善 透過堤曝気型護岸・鉛直混合促進堤 流況制御構造物・作澪・導流堤 エアレーション 底質改善 浚渫・覆砂・底質改良材(剤)投入 *効果/コストの試算、時空間スケール 阪南2区土地利用図 2000年6月 3 2013/04/05 アサリがざくざく! 表 3 窒 素 収 支 と優 占 生 物 の 推 移 2000年9月 2001年9月 2002年9月 溶存態窒素(kg/日) 3 .9 - 3 .5 0 .4 懸濁態窒素(kg/日) 1 .5 - 1 .1 - 4 .1 総窒素(kg/日) 5 .4 - 4 .5 - 3 .7 アオ サ ( k g ) 5422 2669 オ ゴノ リ ( k g ) 2464 4977 アサ リ ( k g ) 414 2010 -:ほとん ど生息しない 正の数値は干潟域での生成を、負の数値は消失(固定)を表す 順応的管理! 南港野鳥園湿地(都市域にある潟湖型人工塩性湿地) 南池 大阪市 北池 大阪湾 大阪南港野鳥園 大阪湾 北池の海水導入管 南池の海水導入管 2006年10月 4 2013/04/05 表 北池 2002.3.13-14 南港野鳥園北池と同等の窒素浄化能力を持つ下水処理場の建設・維持 管理費(日本下水道協会の試算式より。人件費を含まず) 施設 -:干潟への取り込み 2002.7.31-8.1 +:大阪湾への 2002.10.9-10 排出 北池は約100mgN/m2/日 の窒素浄化能力あり 2002.12.4-5 TN PN DON DIN 建設費 (百万円) 20 ポンプ施設 147 二次処理施設(標準活性汚泥法) 46 高度処理(凝集剤併用型-内生脱窒法) 212 合計 維持管理費 (百万円) 0.2 2.5 1.1 3.8 *南港野鳥園北池(約4ha)の平均窒素固定能 4.34kgN/日 北池では約334人分 の窒素を自然に浄化 2006.10.31-11.1 南池 2006.10.31-11.1 -400 -300 -200 -100 0 100 200 人は1人1日 約13gの窒 素を排出 2 2/day) 窒素濃度(mgN/m /day) 窒素の取り込みと排出(mgN/m 図 やや大胆に、野鳥園湿地(12.8ha)で は約980人分の窒素を電気代なども 使わないで自然に浄化 南港野鳥園湿地の浄化機能(窒素) × 鳥類 × 底生動物 大型藻類 枯死・腐敗 (60cm程度) × アオサ現存量 底生珪藻 無機栄養塩 アオサ 干出率 底生微細藻類 (2-125μm程度) 生態系を豊かにし,物質循環を円滑にするためには 底生微細藻類を増やすことが重要 底生微細藻類現存量 干潟の物質転送概念図 系外除去 Benthic microalgae . 図 Ulva spp. 野鳥園北池の干出率とアオサおよび底生微細藻類現存量の関係 5 2013/04/05 光合成速度 小型底生動物現存量(g wet/m2) 25℃ 30℃ 30psu 25psu 20psu 干出時間 干出時間 干出率(%) 図 野鳥園北池の干出率と小型底生動物現存量の関係 光合成速度 35℃ 30psu 図 アナアオサの光合成速度に 及ぼす塩分・温度・干出時間 の影響 (光量:ca.100 μmol/m2/sec) 20psu 25psu 干出時間 順応的湿地保全の取り組み:アオサ取り NPO法人南港ウエット ランドグループ 大学 次は 行政 (大阪市) あーゆ じゃ~! 2008年度 環境アセスメント学会で発表 石井正春氏 (NPO法人南港ウエット ランドグループ) 学生も参加 6 2013/04/05 蛍光X線分析による 天然アユと人工アユの識別 やまとがわ ・放流アユ7尾と捕獲アユ27尾について耳石の分析を行った ・捕獲アユについて天然遡上アユ・放流アユを識別 大和川のアユは? はる うみ せいちょう 春 海で成長した稚アユたちが川を上ります かわ なつ 夏 あき 秋 かわ ち のぼ かわ そうるい た 【Sr(ストロンチウム)値】 ・Srは海水に多く含まれる物質 ・Srはアユの耳石に蓄積される微小元素 のぼ せいちょう さんらん いっしょう お 秋には産卵して、アユは一生を終えます う し あか うみ なが 河口が閉塞・ 河川の流量 化学物質 川で生まれた仔アユ(赤ちゃん)は海に流されます ふゆ ふゆ あいだ こ うみ 冬 冬の間、アユの子は海で生活しています 耳石中のストロンチウム (Sr)の分布 アユの耳石 川に上ったアユは藻類を食べて成長します あき 大和川で捕獲したアユ せいかつ 渚生態系の再生 (浅場復元) 餌料環境と 産卵場造成 長居公園 アユの卵 下高野橋 大阪市立大学 海で生活 0.5 mm 蛍光X線分析装置 流下仔アユの採集 調査の方法 調査にはノルパックネット(口径45×45cm,長さ180cm,目合0.49mm) を用いて,河川内に杭で固定し,毎正時に10分間の採集を行った. 大和川河口 200m 2km 45cm 180cm 図 2012年11月10日に見つけたアユの卵 7 2013/04/05 大和川河口干潟 流下仔アユ数(尾/30分) 2012年 年 大和川河口 年 年 年 2011年 2007年 2008年 10月 11月 12月 図2 大和川下流でプランクトンネットにより捕獲した流下仔アユ数 2012年春に採捕された稚アユ( 大美博昭ほか) 劣化した都市河川の修復による 豊かな汽水域環境の再生 -天然仔アユが遡上する河口の復活- 大和川河口 大和川中下流 仔アユ 全長約30mm 大和川下流 自然共生 生態系修復 アユの 産卵場造成 環境調和型都市 8