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IMPOVEMENT OF RF LOW-LEVEL CONTROLLER FOR JAERI ERL
Proceedings of the 1st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan and the 29th Linear Accelerator Meeting in Japan (August 4 - 6, 2004, Funabashi Japan) IMPOVEMENT OF RF LOW-LEVEL CONTROLLER FOR JAERI ERL-FEL R. Nagai1, M. Sawamura, R. Hajima, N. Kikuzawa, N. Nishimori, T. Nishitani, E. Minehara Free-Electron Laser Laboratory, Advanced Photon Research Center, Japan Atomic Energy Research Institute 2-4 Shirakata-Shirane, Tokai, Ibaraki, 319-1195 Abstract An RF low-level controller for the JAERI ERL-FEL has been improved to ensure high-power FEL operation. To easily tune the feedback loop, the low-level controller is changed to continuous variable gain and time constant. In the result of the tuning, the amplitude and phase rms stability of the accelerating cavity in a macro-pulse are less than 1.3×10-4 and 0.06 deg., respectively. To suppress the temperature dependency of RF components of the low-level controller, the RF components are put into a temperature-regulated case. In the result of the temperature regulation of the RF components, the temperature dependency of the amplitude and phase are negligible small. 原研ERL-FEL用RFローレベル制御装置の改良 自由電子レーザーにおいて安定に高出力を得るた めには、安定したRF電場により安定した加速を行 うことが不可欠である。更にエネルギー回収型自由 電子レーザー(ERL-FEL)では電子ビームのバンチ ングを行っている入射部と回収軌道を偏向電磁石に より合流しているために、入射部の加速器のRF電 場には非常に高い安定度が求められる。 原研においても超伝導リニアックをERLに改造し FELの高出力化を進めており [1-4] 、この改造に伴い RFローレベル制御装置の改良を行った。これまで 用 い て き た RF ロ ー レ ベ ル 制 御 装 置 は 入 射 部 か ら 真っ直ぐに主加速器へ入射する形状のリニアック (ERL改造前の状態)用に作られたものであり、± 1度以下の位相精度を目標として設計製作されたも のであるのでERLで使用するには性能が不十分で あった。また、特に温度補償回路が組み込まれてい なかったために、気温の変動に対して十分な安定度 が確保されていなかった。 新しいRFローレベル制御装置の制御方法は以前 と同様のアナログΦ-A制御である。高い安定度と気 温変動に対する安定度を得るために、主に以下の3 点の改良を行った。 (1) ループゲイン、時定数を連続可変にした。 (2) RF制御回路を恒温槽内に収め温調を施し た。 (3) 基準電圧発生素子などの部品を見直し、 より安定度の高いものを選定した。 (1)については、より高い安定度を得るために フィードバック制御をかけたままの実運転状態でこ れらを調整できるようにした。(2)については、 ミキサー、検波器、移相器などのRF部品には温度 特性[5]があるので、気温変動および素子自体の発熱 の影響を避けるためにこれらの部品を全て恒温槽内 に収めて温調を施した。(3)については制御回路 1 の安定度に関わる基準電圧発生素子などを安定度の より高いものを選定し、気温や電源電圧変動に対す るより高い安定度が得られるようにした。 2.RFの安定性向上 2.1 RFパルスの安定性 原研ERL-FELでは10pps、1msのマクロパルスで加 速を行っており、RFのパルス幅は約2msであるが空 洞にRFが満たされるまでの時間があるので後半の 1msを加速に用いている。RFを空洞に印加した状態 で、ループゲイン、時定数の調整を行った結果、加 速に利用する1ms間のrms位相安定度は、以前のRF ローレベル制御装置では0.20度であったものが0.06 度に改善した。その様子を図1に示す。点線と実線 がそれぞれ改良前後のRFローレベル制御装置によ るものである。rms振幅安定度については以前と同 様の1.3×10-4の安定度を得ている。 3.0 2.0 Phase (deg.) 1.はじめに E-mail: [email protected] 293 1.0 σ = 0.20 deg. 0.0 σ = 0.06 deg. -1.0 -2.0 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 Time (ms) NEW OLD 2.5 3.0 図1:RFパルス内での位相安定度 また、RFパルスは冷凍機の振動のような比較的 Proceedings of the 1st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan and the 29th Linear Accelerator Meeting in Japan (August 4 - 6, 2004, Funabashi Japan) 遅い周期の擾乱の影響で、パルス毎に空洞内のRF 電場が変動する。この様子を見るために、5分間に 渡ってRFパルスの情報を蓄積した。5分間のrms振 幅安定度は以前のRFローレベル制御装置よるもの と同様の1.5×10-4であった。rms位相安定度について は図2のヒストグラムに示すように以前のRFロー レベル制御装置よるものが0.78度であったのに対し て0.15度に改善した。 40000 40000 1.006 30000 Count 25000 20000 15000 20000 10000 5000 0 -5.0 1.005 1.004 1.004 15000 10000 -4.0 -3.0 -2.0 -1.0 Phase (deg.) 0.0 1.0 1.003 1.003 1.002 1.001 1.002 1.000 0.999 20 1.001 σ = 0.15 deg. 5000 0 -6.0 1.005 σ = 0.78 deg. Amplitude 30000 Count 1.006 35000 Amplitude 35000 25000 受けてしまうので、以前のRFローレベル制御装置 の測定時にも新しいRFローレベル制御装置のモニ タを使用した。 振幅の変動の様子を図4に示す。図内の小さなグ ラフが以前のRFローレベル制御装置についての結 果である。以前のRFローレベル制御装置では25℃ ±3 ℃ で 約 0.4%変 動 し て い る の に 対 し て 新 し い RF ローレベル制御装置では変動をほぼゼロに抑えるこ とが出来た。 22 24 26 28 Room Temperature ( oC ) 30 1.000 -5.0 -4.0 -3.0 -2.0 Phase (deg.) -1.0 0.0 0.999 20 22 図2:5分間位相安定度 24 26 28 Room Temperature ( oC ) 30 図4:気温変動よる影響(振幅) 位相の変動の様子を図5に示す。図内の小さなグ ラフが以前のRFローレベル制御装置についての結 果である。以前のRFローレベル制御装置では25℃ ±3℃ で 約 15度 変 動 し て い る の に 対 し て 新 し いRF ローレベル制御装置では変動をほぼゼロに抑えるこ とが出来た。 30 30 25 25 20 20 Phase (deg.) RFローレベル制御装置にはミキサー、検波器、 移相器などのRF部品が多く含まれるが、これらの 素子は比較的大きな温度特性をもっており気温変動 の影響を受けやすい。そこで、これらの部品を恒温 槽内に収めて温調を施し気温変動の影響を抑えるよ うにした。温調はヒーターのON-OFF制御で行い、 設 定 温 度 は 45 ℃ と し た 。 ま た 、 モ ジ ュ ー ル 毎 の シャーシ部分の熱容量を大きくするために、シャー シはアルミブロックをくり貫いて作成した。恒温槽 とモジュールの写真を図3に示す。 Phase (deg.) 2.2 気温変動に対する安定性 15 10 15 10 5 0 -5 20 5 22 24 26 28 Room Temperature ( oC ) 30 0 恒温槽 -5 20 アルミくり貫きシャーシ 22 24 26 28 Room Temperature ( oC ) 30 図5:気温変動よる影響(位相) 2.3 起動時の安定性 図 3 : RF ロ ー レ ベ ル 制 御 装 置 の 恒 温 槽 と 内 部 モ ジュールのアルミくり貫きシャーシ 空調で室温を変化させてそのときの振幅、位相の 変動の様子を観測することで、RFローレベル制御 装置の気温変動に対する安定度の計測を行った。た だし、振幅、位相のモニタ自体も気温変動の影響を 以前のRFローレベル制御装置では装置内のRF部 品、OPアンプなどの各素子自体の発熱のために起 動直後はRFが不安定であったが、今回の温調を施 すという改良によりこの不安定性が完全に解消され た。起動直後の位相ドリフトの様子を図6に示す。 図中の小さなグラフが以前のRFローレベル制御装 置によるものである。0sから起動して初めの300sで 294 Proceedings of the 1st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan and the 29th Linear Accelerator Meeting in Japan (August 4 - 6, 2004, Funabashi Japan) 空洞のチューニングなどの調整を行い、その後 フィードバックをONにしている。新しいRFローレ ベル制御装置では300s以降ドリフトが全く見られな く、起動直後から安定している様子が分かる。 15 15 10 Phase (deg.) Phase (deg.) 10 5 0 5 -5 0 500 1000 1500 Time (sec.) 2000 2500 0 -5 直すといった改良を行った。その結果、rms振幅安 定度、rms位相安定度はそれぞれ、1.3×10-4、0.06度 になった。また、気温変動による振幅、位相の変動 をほぼゼロにすることが出来た。更に、起動時の位 相ドリフトもほぼゼロにすることが出来た。 今回、改良を施したRFローレベル制御装置と簡 易温調RF信号ケーブル[6]をあわせて使用することで、 気温が25℃±3℃の範囲で加速器全体の位相精度0.2 度以下を確保することが出来るようになった。 0 500 1000 1500 Time (sec.) 2000 2500 図6:起動直後の位相ドリフト 3.まとめ RFローレベル制御装置に、ループゲイン、時定 数を連続可変にする、温調を施す、個々の部品を見 参考文献 [1] 西森信行、他、 Proc. of the 28th Linear Accelerator Meeting in Japan (2003) 159-161. [2] M. Sawamura, et al., Proc. of the 2003 Part. Acc. Conf. (2003) 3446-3448. [3] R. Hajima and E. Minehara, Nucl. Instr. and Meth. A 507 (2003) 141-145. [4] 峰 原 英 介 、 他 、 Proc. of the 28th Linear Accelerator Meeting in Japan (2003) 159-161. [5] 沢村勝、他、Proc. of the 25th Linear Accelerator Meeting in Japan (2003) 201-203. [6] 永 井 良 治 、 他 、 Proc. of the 28th Linear Accelerator Meeting in Japan (2003) 315-317. 295