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超高温殺菌牛乳を用いた家庭でつくるチーズ様乳加工
品製造の試作提案
柴沼, 奏, 山口, 舞
平成20年度帯広畜産大学特別研究報告(23): 13-14
2009-03-19
http://ir.obihiro.ac.jp/dspace/handle/10322/3243
Rights
帯広畜産大学学術情報リポジトリOAK:Obihiro university Archives of Knowledge
円
超高温殺菌牛乳を用いた家庭でつくる
チーズ様乳加工品製造の試作提案
柴沼奏,
1.研究目的
0
0
6
年度における一人
日本酪農乳業協会の報告では、 2
2
3m2で、そのうち料理
一日当たりの牛乳平均飲用量は 1
に使用された牛乳は 5 %と少ないり。現在、チーズを用
いた料理としてピザやグラタンなどがあり、一般家庭に
普及しているが、家庭で市販の牛乳からチーズを作る人
はほとんどいない。そこで、牛乳の新たな料理への利用
方法を提案することで料理に使用する牛乳の増加につな
がり、市販牛乳の消費拡大ができると推定した。
通常チーズは低温殺菌した牛乳から作られるが、市販
牛乳の 92%は、チーズ製造に向かない超高温殺菌牛乳で
ある"。超高温殺菌牛乳がチーズ製造に向かないのは、
遊離カルシウム量が少ないことが原因であると推定され
ている叫。そこで、本研究では超高温殺菌牛乳に不足し
ている量の遊離カルシウムをカルシウム化合物の添加に
より補うことでチーズ様乳加工品の製造ができると仮説
を立て、外図的にカルシウム化合物を添加してチーズ様
乳加工品を試作することを目的とした。
1.研究方法
1.遊離力 jレシウム量の i
l
i
J定
6
3"
C
.3
0
分殺菌]および、超高温殺菌[J2
0C
.
低温殺菌 [
2秒殺菌]の畜大牛乳を利用し、 EDTA
滴定法.,を用いて
0m2にレ
遊離カルシウム量を測定した。すなわち、牛乳 1
ンネット 0
.
2m
2を添加してお℃で 2時間静置し櫨過した
0m
21
こ水酸化カリウム溶液 5m
2を添加して、
後、櫨液 1
ドータイト N
Nを 3滴添加した溶液を E
D
T
A
溶液で滴定して
求めた。
0
2
. チーズ様乳加工品の試作
遊離カ jレシウム量の測定結果より得られた低温殺菌牛
乳と超高温殺菌牛乳の遊離カルシウム含量の差に相当す
る分量および、それよりも多い量のカルシウム化合物を
添加し、低温殺菌牛乳で製造したモッツアレラチーズを
作成した。その作成方法は以下のように行った。
①超高温殺菌牛乳 I
Lに乳酸カルシウム (0.42. 1
.0
0
.
2
.0
0
.4
.0
0g)を添加し湯煎にかけ、 34-36Cに温める。
②牛乳が温まったら乳酸菌スターター(プレーンヨーグ
/レト)を 1
3m2添加して、 l時間発酵させる。③加温した
5 %の食塩水にレンネット 1
8gを溶かし、添加して l時
開発酵させる。③牛乳が固まり、カード(凝乳)になっ
たら、約 1-2cm角のサイコロ状にカッティングし、し
ばらく放置する。カードが固形分と液体に分かれたら、
0
山口舞
液体のホエー〔乳清)を取り除き 2時開発酵後、残った固
形分を 8
0"Cのお湯の中で伸ばして湯もみをくり返し、形
を整える。⑤濃度 20%の食塩水に 3
0分間漬けたものを
チーズ様乳加工品とした。比較のため、原料に低温殺菌
した牛乳を用いて同様の方法でモッツアレラチーズを製
造した。また、見た目や食感などの簡単な官能評価も
行った。
1
1
1
.結 果
1.遊離カルシウム量の掴J
I
定結果(表 I)
低温殺菌牛乳に含まれる遊離カノレシウム量が 370:
t1
7
.
3
m
g
/
eに対し、超高温殺菌牛乳に含まれる遊離カルシウ
1
5
.
0士 1
5
.O
m
g
/e
であり、牛乳 Ie
当たり平均 5
5
ム量は 3
昭の遊離カルシウム量の差が認められた。添加するカル
シウム化合物は 4種類を比較し、溶解度の最も高いこと
から乳酸カルシウムを使用することにした。添加に必要
な乳酸カルシウム量を求めるための計算を行った結果、
乳酸カルシウムの添加量は Ie
当たり、 0.42g必要で
あった。計算式は以下の通りである。
添加に必要な乳酸カノレシウム量 (g)
~ Ax
o
.055/B=0.42(g)
A:乳酸カルシウム分子量 308.3
4
0
.
0
7
8
B:カルシウムの原子量
表1.低温殺菌牛乳と超高温殺菌牛乳中の
遊離カノレシウム量 (mg/U
超高温殺菌牛乳 低温殺菌牛乳
l
3
1
5
.
0
3
6
0
.
0
2
3
3
0
.
0
3
6
0
.
0
3
3
0
0
.
0
3
9
0
.
0
平均
3
1
5
.
0
3
7
0
.
0
標準偏差
1
5
.
0
1
7
.
3
2
. チーズ様乳加工品の試作結果(表 2)
低温殺菌牛乳で製造したモッツアレラチーズの重量は、
1
1
4
.
4gであった。超高温殺菌牛乳で製造した乳酸カル
シウム無添加のチーズ様乳加工品は 39.0g、乳酸カルシ
.
4
2g/e
添加して製造したものは 35.8gで、重
ウムを 0
量に差はほとんどみられなかった。しかし、乳酸カルシ
ウムの添加量を増やして製造すると、添加量の増加に従
いチーズ様乳加工品の重量も増加した。外観は、モッツ
アレラチーズに比べ、全てのチーズ様乳加工品は、ツヤ
がなく、モチモチ感や粘りが低かった。乳酸カルシウム
帯畜大別科研報. N
.
2
3
.2
0
0
9
1
3
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