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ニーズを捉えた生産拡大(PDF:1976KB)
ニーズを捉えた生産拡大 —農産物のブランド化— くわいのブランド化推進 さいたま農林振興センター普及部 1 背景 埼玉県のくわい産出額は全国1位、さいたま市はそ の中心であることから、関係機関、生産者と一体となっ て、産地の活性化・ブランド化に向け、課題解決に取 り組んだ。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1) 「さいたま市くわい産地営農新生協議会」を設立、 産地の課題を明確化し、関係者が一体となって改善 方策に取り組んだ。 協議会による産地課題の明確化 (2)ブランド化に向け、優良系統の選抜、病害虫 防除対策等に取り組んだ。 (3)エコファーマーの取得や安全 ・ 安心のための 生産工程管理等を推進した。 (4)市場 ・ 消費者向け販促活動に取り組んだ。 3 活動の成果 (1)関係機関と生産者が円滑に連携し、生産・流 通販売対策について、組織ぐるみのブランド化 推進体制が整った。 (2)市内のくわい全系統を調査し、5系統を選抜 エコファーマー認定式 優良系統選抜 した。協議会として選抜ほ場を設け、3年計画で高 品質、高収益性の系統を選抜することになった。 (3) 全 員 が エ コ フ ァ ー マ ー に 認 定 さ れ た。 平 成 20 年 度 に 1 組 合 で G A P(Good Agricultural Practice)※1 が導入され、他組合も今後実施予定 である。 (4)市場、地元消費者への販促活動のためパンフレッ トを作成、販促活動を行った。市内 84 校の学校給 食で利用されるなど、地産地消も進んでいる。当セ GAP の手法導入に向けた検討 ンターホームページもPRに貢献している。 4 今後の取組 (1)系統選抜による優良系統種芋の確保と普及。 (2)病害虫防除体系の見直しによる安定生産。 (3)実需者への直接販売、加工品開発による販路拡大。 ※1 食品の安全確保などへ向けた適切な農業生産を実施する ための取組。 消費者を対象とした料理講習会 34 ニーズを捉えた生産拡大 —農産物のブランド化— 高品質「彩玉」による梨産地の活性化 さいたま農林振興センター普及部 1 背景 JAあだち野管内(上尾市・伊奈町)の梨組合は高 齢化等により栽培面積、販売額等が減少傾向にあるが、 「彩玉」 ※1 の導入による産地活性化を目指し、高品質 安定生産と販路拡大による経営の高位安定に取り組ん でいる。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)梨生産者の意識を高めるため、組合全体の取組 としてエコファーマー※2の取得を推進した。 (2)高品質 「彩玉」 生産のため、栽培指針を作成し、 栽培管理指導 重点作業時期ごとに栽培管理の徹底を図った。また、 生産拡大のため接ぎ木講習を実施した。 (3)出荷体制を確立するため、生産者、JA及び関 係機関による 「彩玉」部会を設立した。 (4)「彩玉」 のブランド化を図るため、都内高級果実 店への出荷を行うとともに、さらに高品質を目指す 栽培及び品質基準を作成した。 3 活動の成果 (1)「彩玉」 栽培者全員(57 人 ) がエコファーマーを 「彩玉」部会説明会 取得した。 (2)「彩玉」 部会の設立により、出荷者数が平成 19 年度の 15 人から平成 20 年度は 23 人と生産・出荷 量が拡大している。 (3)新たな基準(エコファーマー・有袋栽培・果実 重 500g 以上・糖度 13 度以上)に基づく特選した 「彩玉」 を 「黄金の雫(商標登録申請済)」 と命名し、 都内高級果実店や県内百貨店で販売し、高い評価を 得ることができた。 ギフト販売の状況 4 今後の取組 「黄金の雫」 の生産拡大のため、栽培基準に合致した栽培による安定生産について技術 的支援を継続するとともに、需要拡大及びブランド力強化を図る。 ※1 埼玉県農林総合研究センターで育成し、平成 17 年に登録された梨の品種。大きく甘いことが特徴。 ※2 持続性の高い農業生産方式の導入計画について、都道府県知事が法律に基づき認定した農業者 35 ニーズを捉えた生産拡大 —農産物のブランド化— しゃくし菜の生産・消費拡大 秩父農林振興センター普及部 1 背景 秩父の特産品「しゃくし菜」は、地元では絶大な 人気商品である。しかし、秩父地域以外の認知度は 50%と低い。そこで、しゃくし菜の生産から加工、 販売まで一貫した支援を行い、秩父ブランド農産物と して育てる。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)主産地である皆野町、小鹿野町以外の市町を主 体に新規生産者の発掘と生産拡大を推進した。 (2)品質向上を図るため、規格の変更や栽培期間の 栽培管理の巡回 短縮を図った。 (3)生産履歴の記帳推進による安全 ・ 安心農産物生産 を図った。 (4)「しゃくし菜産地新生協議会」で作成した戦略プ ランに基づいて、旅館等での利用拡大、秩父郡内や 県南地域で販促活動を展開した。 3 活動の成果 (1)新たに、秩父市、長瀞町で新規栽培者9人、栽 培面積を 67 aに拡大した。 収穫風景 (2)規格の見直しに対応した栽培技術の習得が進み、 品質の向上が図られた。 (3)生産履歴の記帳が始まり、安全・安心農産物生 産の意識が高まるとともに、消費者からの信頼を得 ることができた。 (4)JAと旅館業者が連携して新たに3館がしゃく し菜の利用を開始した。 4 今後の取組 (1)団塊の世代等の新規就農者に栽培を推進してい スーパーでの販促活動 く。また、安全・安心なしゃくし菜生産を図るために、生産履歴の記帳を一層推進する。 (2)消費拡大が生産拡大につながることから、 「秩父しゃくし菜料理コンテスト」を開催し、 しゃくし菜の消費拡大とPRを図っていく。また、旅館組合、飲食店業に対してしゃく し菜の利用拡大をさらに推進する。 36 ニーズを捉えた生産拡大 —農産物のブランド化— さつまいも太白の生産拡大 秩父農林振興センター普及部 1 背景 平成 17 年に新聞紙上で「太白」が幻のサツマイモ と紹介されたことがきっかけとなり、平成 18 年に「ち ちぶ太白サツマイモ生産組合」が組織され、栽培が始 まった。しかし栽培面積がまだ少なく、需要にあった 生産量が確保できない状態であった。 そこで、組合が太白の生産を続けていくことができ る体制の整備を進め、太白の産地化を図っていくこと となった。 さつまいも太白 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)需要に応じた生産量を確保するため、生産者を 増やし、面積を拡大する活動を展開した。 (2)種いもの貯蔵技術や、育苗技術の習得支援を行っ た。また、ほ場巡回研修会や先進地視察研修を開催 し、生産技術の向上を支援した。 (3)女性起業家を中心に、太白を使用した加工品の 開発検討を行ったほか、秩父市内の菓子加工業者と 連携して菓子原料への利用を推進した。 育苗巡回研修 3 活動の成果 (1)生産組合や振興センター等で 新たな栽培者の発掘を進めたこと により、平成 20 年度には組合員 が 23 人に、栽培面積も 55 aに増 加した。 (2)苗づくりを実施した組合員が 12 人に増加し、その内3人が、 苗を安定して生産できる電熱育苗 太白を利用した菓子と試食会 に取り組んだ結果、目標とする健 全な苗が確保された。 (3)太白を活用したまんじゅうの販売に向け、基準となるレシピを作成できた。また、 菓子加工業者への出荷量が 2,500㎏(平成 20 年)に増加した。 4 今後の取組 さらなる面積拡大による生産量の確保と、新たな販路の開拓を図っていく。 37 ニーズを捉えた生産拡大 —農産物のブランド化— 地産地消へ向けた高品質な「彩のかがやき」の作付拡大! 春日部農林振興センター普及部 1 背景 越谷市・JA越谷市では地産地消や食育を推進するため、市内の水稲生産農家に呼びか け、「彩のかがやき」の作付拡大と学校給食への供給を始めた。 しかし、農薬使用の低減や食味向上のための施肥設計などについての理解が不十分で、 ブランドとしてPRするための量や食味・品質が確保されていなかった。 そこで、市内の「彩のかがやき」栽培者を対象に栽培指導を徹底し、安全・安心で高品 質な「彩のかがやき」の安定生産を目指すこととした。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)品質向上へ向けた取組 栽培管理展示ほの設置、生産者を対象とした栽培 検討会の開催などを通じて、おいしくて、安全・安 心な「彩のかがやき」の生産を支援した。 (2)市民へのPRの取組 展示ほとその看板を通学路沿いに設置し、小中学 生・保護者・消費者へのPRを実施した。 3 活動の成果 稲の生育を見守る小学生 (1)地産地消の取組拡大 学 校 給 食 へ の 供 給 量 が 平 成 17 年 産 学校給食への供給量の推移 24t、18 年産 68t、19 年産 120t、20 年 産 150t(予定 ) と拡大した。 (2)「彩のかがやき」の作付拡大 平成 18 年産の作付面積は 37.7ha、平 成 19 年産 37.8ha、平成 20 年産 78.2ha と拡大している。 (種子配布量より換算 ) (3)「彩のかがやき」の品質向上 JA出荷物に占める玄米タンパク 質※1含有率 6.5%以下(県栽培指針における品質目標 ) をクリアした割合は、平成 18 年 産の 57.4%から平成 19 年産では 75.8%へ増加し、品質の向上を図ることができた。 4 今後の取組 現在、学校給食への「彩のかがやき」の供給期間は半年程度にとどまっているため、1 年を通じて供給できる体制づくりを目指す。また、高品質生産へ向けた技術は概ね普及で きたが、高品質を安定的に維持できるよう引き続き栽培指導を行う。 ※1 タンパク質は米の吸水を阻害するため、含有率が低いほどおいしいとされている。 38 ニーズを捉えた生産拡大 —農産物のブランド化— 埼玉県オリジナル梨「彩玉」の生産拡大 春日部農林振興センター久喜普及部 1 背景 農林総合研究センターで育成した日本梨「彩玉」は、大玉でみずみずしく、糖度が高い という特徴があり、「埼玉オリジナルの高品質梨」と して期待される品種である。 高品質「彩玉」の生産拡大を進めるため、農林総合 研究センターと連携し、栽培技術を普及するとともに、 有利販売の支援に取り組んだ。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 「彩玉」の出荷は平成 17 年から始まり、平成 18 年 からは、久喜市と菖蒲町において選果機による共同選 果が始まった。 普及部は、「彩玉」の生産ほ場を巡回し、果実の肥 糖度測定の様子 大調査に基づく着果数や夏枝の管理について、収穫直前まで継続した指導を行った。 収穫期には、適期収穫について指導を行うとともに、非破壊糖度計を活用し、「特選 彩玉」(果重 650g 以上、糖度 13 度以上)の出荷に向けた支援を行った。 3 活動の成果 高品質の「彩玉」が出荷されたことに (単位:玉数) より、直売で 600 円 /kg 以上、市場出荷 で 400 円 /kg 以上と他の品種に比べ高値 で販売された。 出荷量は、毎年、ほぼ倍増の傾向となっ た。これは、樹の生長に伴い生産量が増 加していることに加えて、有利販売が可能なことから、栽培者が増加したためである。 特に、幸水に次ぐ主力品種であった豊水は、販売価格が低迷し、天候によって「みつ症」 が発生するという問題があり、これに代わる品種として「彩玉」の生産が増えている。 4 今後の取組 「彩玉」は、小玉では糖度が低くなる特性を持つことから、大玉を生産するための適切 な着果管理が必要となる。 今後は、「彩玉」の栽培者が一層増加することが予 想されるため、「彩玉」に適した栽培管理を徹底する よう指導し、高品質な「彩玉」の安定生産を目指して いく。 また、販売面では、生産量が増加しても高値で販売 できるよう、新たな販売先を開拓するとともに、品種 の特長を生かした販売を進め、「彩玉」のブランド化 を推進していく。 特選彩玉の出荷箱 39 ニーズを捉えた生産拡大 —農産物のブランド化— 芳香シクラメンの栽培技術の向上と商品化 農業支援課技術連携担当 1 背景 農林総合研究センターで育種された芳香シクラメン (「孤高の香り」「香りの舞い」「麗しの香り」)は、原 種シクラメンの性質が強く、従来のシクラメンとは性 質が異なり、栽培コントロールが難しい。このため、 栽培技術の組立とともに、ブランド化のための商品化 に取り組んだ。 2 農業者の取組 ・ 技術連携担当の支援 (1)栽培技術確立への支援 埼玉県シクラメン研究会、普及部、園芸研究所、 実証ほにおける生育特性調査 農業大学校と連携して、栽培技術実証ほを設置し、 栽培技術の検討を行った。 (2)商品化への支援 新たな商品として消費者に提案できるよう、商品 化の検討、消費者へのPRなど、販売促進活動を支 援した。 3 活動の成果 生産者団体、関係機関が連携することにより、芳香 シクラメンの栽培方法が解明されるとともに、消費者 に芳香シクラメンの新たな提案をすることができた。 生育特性調査のまとめ (1)栽培技術確立 従来のシクラメンと異なった施肥管理方法が適す ることが明らかとなり、簡易分析法による施肥管理 マニュアルができた。 (2)消費者ニーズを捉えた商品化 平鉢栽培、ミックス植栽、ガーデンシクラメンと しての利用等、従来とは異なる商品を生産し、消費 者に提案できた。また、IFEX(国際フラワーE XPO)への出展など、新たな販売促進活動が実施 できた。 4 今後の取組 従来のシクラメンと異なる生育特性を活用した商品化と販売 拡大によるブランド化を進める。 40 商品化の提案 ニーズを捉えた生産拡大 —地産地消の推進— ふくさい 農産物直売所「福菜」の経営発展 川越農林振興センター普及部 1 背景 川越市近隣の若手農業者が運営する農産物直売所 「福菜」は、平成 19 年6月にオープンした。 しかし、1年目は、夏季の出荷品目が少なく、営業 時間を短縮したことにより、顧客数が減るという問題 が発生した。 また、直売所への来客数を増加させるため、地域住 民へのPR活動を進める必要があった。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)1年目は、出荷予定表の作成や出荷規格の作成 オープン当時の運営メンバー を支援するとともに、POP作成への助言、かぶ、 さといも等の秋作野菜の作付について情報提供を行 い、品目拡大を支援した。 (2)2年目は、空芯菜、とらまめ等の新規品目の導 入や作期の拡大を図り、品薄の夏季の品目を充実さ せる講習会や個別相談を行った。 (3)1年目から2年目にかけて、PRの一環として ひまわり等の景観作物の計画的な作付と広報活動の 具体的な手法を指導した。 店内の様子 3 活動の成果 (1)会員が主体的に運営体制や出荷規格を作成する ようになり、運営が軌道に乗った。 (2)夏季の作付品目を 17 品目増やした結果、販売品 目が充実し、顧客ニーズに応えられるようになった。 (3)景観作物の作付が地域住民の目を引き、直売所 の存在をPRすることができ、来客数も対前年比 154%になった。 (4)会員がPRの重要性を認識し、のぼり旗を増や したり、その日の販売品目をホワイトボードで掲示 するなどの工夫が生まれ、販売活動が積極的になっ 景観植物の取組 た。 4 今後の取組 消費者アンケートを行い、希望に沿ったさらなる品目の拡大や広報活動を行う。 41 ニーズを捉えた生産拡大 —地産地消の推進— 活気ある観光果樹の里づくり 本庄農林振興センター普及部 1 背景 美里町では、遊休農地を活用した観光果樹の振興を図るため「観光果樹園 100 町歩構想」 事業を実施し、ブルーベリー、プルーン等の遊休農地への新植を推進してきた。 そこで、普及部は観光果樹を軸に地域の活性化を図るため、生産技術の習得及び生産量 の向上、観光果樹園の開設・運営、加工品開発などの継続的な支援活動を展開している。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)栽培技術および生産量向上の支援 新規栽培者を対象に、栽培技術講習会を開催し、 技術の習得に努めた。また、収量性の高い新品種の 導入を進め、収量の向上、収穫期間の長期化を図り、 エコファーマーの推進を行った。 (2)果樹を使用した加工品開発の支援 女性農業者を中心とした加工組織の育成を支援 し、果実の加工利用および商品化を進めた。 摘み取りを楽しむ観光客 (3)観光農園の開設および PR 活動の支援 観光農園の休憩所、手洗い等の施設整備、案内表示の設置を推進した。また、観光農 園の PR のため、イベントの企画立案及び開催支援を行った。 3 活動の成果 ブルーベリー観光農園の来園者数の推移 (1)観光農園のPR活動により、来園者数は毎年増 加し、県内有数の観光果樹の里に成長した。 (2)観光農園開設者 32 名全員がエコファーマーに認 定され、さらに一部の生産者は県認証の特別栽培に も取り組み始めた。 (3)加工研究会に加入する組織が菓子製造、惣菜製 造業の免許を取得し、各地で行われるイベントに参 加して販売活動を行うなど、女性農業者の経営活動 参画が進んだ。 4 今後の取組 (1)収穫期間の長期化に向けた品種構成の検討 (2)分散する観光果樹園のネットワーク化と休憩所、駐車場など共有施設の整備 42 ニーズを捉えた生産拡大 —地産地消の推進— 地域特産品の生産・加工・販売による地産地消の推進 大里農林振興センター普及部 1 背景 熊谷市江南地区では、平成 17 年 11 月に地産地消のシンボルとなる地域食材供給施設が 整備され、直売や加工活動などが活発化してきている。そこで、江南地区の特産作物であ る大豆やブルーベリー、栗等の生産振興を図るとともに、新たな加工品開発や販路開拓に 取り組み、地域の特色を生かした地産地消運動を展開した。 2 農業者の取組・普及部の支援 (1)有色大豆の生産・加工・販売体制の整備 地域の女性起業組織であるこうなん農産加工倶楽 部員が取り組む有色大豆 48a の栽培技術や特別栽 培農産物の認証取得を支援した。また、青大豆を使っ た豆腐、きな粉、寄せ菓子の開発を支援し、商品化 に結びつけた。 (2)特産果樹の販売促進 ブルーベリー、栗は有利販売を目指した安全・安 心な生産を推進し、特別栽培農産物の認証取得、エ 青大豆栽培ほ場と収穫物 コファーマーの認定、ふるさと認証食品の認証等を 支援した。 地元でのイベント出展の他、東京・台湾での販売 キャンペーンを通して、特産果樹の加工品の販売P Rに取り組んだ。 3 活動の成果 (1)ブルーベリー、栗は特別栽培農産物の認証を取 得し、安全・安心な生産体制を確立できた。 (2)青大豆を使った新たな加工品の開発により、商 青大豆豆腐(寄せ・木綿) 品ラインナップが充実し、JAくまがやふれあいセ ンター江南店の売上は前年比 112%に増加した。 (3)ブルーベリー、栗は新たに3店舗で販売が開始 され、加工品は個別取引も拡大し、都内大手百貨店 での販売も開始された。 (4)ブランド農産物キャンペーンやイベントへの出 展などにより、認知度の向上と販売促進につなげた。 4 今後の取組 「地産地消」、「安全・安心」を活動のキーワードと 大里アグリフードフェアにて 青大豆の豆腐を PR し、生産組合と女性起業組織が連携し合い、地域特産品の生産・加工・販売に一体的に取 り組むことができた。特に販売の領域にまで活動の幅を広げることで、地産地消の新たな 可能性を見出すことができた。 今後は、個々の消費者ニーズに対応したきめ細かな販売体制を確立する。 43 ニーズを捉えた生産拡大 —地産地消の推進— 役場敷地内の直売所で地産地消! 春日部農林振興センター普及部 1 背景 自らの直売所を設置したいとの農家の思いから、松伏町直売農業研究会が組織され、松 伏町役場敷地内に農産物直売所を設置した。しかし、常設の施設として十分機能していく ためには、運営体制の整備、農産物の安定供給、加工品の販売、安全安心への取組などの 課題を解決し、地産地消の拠点となる直売所としての定着を図ることとした。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)販売体制の強化支援活動 ・女性会員を役員として多数起用するなど部会活動 の強化を図る。 ・定期的なチラシの発行と主要道路沿いへの看板設 置による直売所のPR推進。 ・周年出荷計画表の作成と栽培指導、端境期の販売 強化月間の設定による品揃えの充実。 (2)新規作物導入・加工品の開発等の技術的支援 ・新規作物の導入の支援。 ・米粉、有色大豆(青豆、茶豆、黒豆)を使用した 開店直後の店の様子 商品開発及び食品表示の啓発。 ・ポジティブリスト制度の周知と農薬飛散防止対策の徹底による安全安心への取組推 進。 3 活動の成果 (1)年間売上の向上 午前のみの営業から終日営業を定着させ、PR活 動と農産物供給等に努め、年間販売額が 2,400 万円 (平成18年)から3,200万円(平成19年)に増加した。 (2)新規作物の導入と加工品の開発 新規作物(有色大豆、ブルーベリー、グリーンア スパラガス、アシタバ※1 等)の導入により、遊休 農地の活用と直売所の品目増加を進めることができ 有色大豆の収穫調製作業 た。 付加価値のある農産加工品(有色大豆使用の豆腐・みそ、米粉パン)が開発され、直 売所の品揃えが充実した。 4 今後の取組 役場の敷地内に店舗があり、売り場面積が狭く、入客の大幅な拡大は期待できないため、 付加価値の高い農産加工品や比較的単価の高い農産物の割合を増やすことで、売上の向上 を図っていく。 ※1 セリ科の多年草。葉や茎を食用にする。 44 ニーズを捉えた生産拡大 —地産地消の推進— ミニ野菜導入による直売所の活性化 春日部農林振興センター久喜普及部 1 背景 農業従事者の高齢化等により、遊休農地の拡大が進 む栗橋町において、南栗橋農産物直売所運営協議会を 対象に、新規作物の導入とその加工品の開発を支援し、 遊休農地の解消、地域の直売所の活性化に取り組んだ。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)遊休農地解消活動 ア 町、農業委員会と連携し、遊休農地のリスト アップとマッピングを実施。あわせて、地権者に 対するアンケートを実施し、農地利用の意向把握 導入作物を使用した加工研修 を行った。 イ 既存作物であるそばの生産拡大と、地力増進・ 景観形成作物でもあるヘアリーベッチの試験導入 を図った。 (2)新規作物の導入商品化への支援活動 ア 種苗会社への視察研修の実施などにより、ミニ 野菜(ミニきゅうり・ミニだいこん・ミニはくさ い)等の新規導入作物の選定を支援した。 また、栽培講習会を実施し、栽培技術向上の支 商品化した漬物 援を行った。 イ 地域の特産品づくりに向けた加工研修会を開催 した。 ウ ミニ野菜の特徴を生かすため、消費者ニーズに あった小袋での漬物の商品化を支援した。 3 活動の成果 (1)技術的成果 ア 加工用ミニ野菜作付け面積は30aに拡大した。 イ 平成 19 年度は、そばの作付により遊休農地 ヘアリーベッチ展示ほ 50a が解消した。 (2)経営的成果 平成 18 年度に新規導入したミニはくさい・ミニだいこん・赤カブの漬物は、「たべき り漬」と命名され商品化、直売所での販売が開始された。 4 今後の取組 ミニ野菜の作付け拡大を進め、地域特産物としての確立を図る。また、アンケートを活 用し遊休農地の流動化による一層の活用支援を行う。 45 ニーズを捉えた生産拡大 —地産地消の推進— 特別栽培米の販路拡大! 春日部農林振興センター久喜普及部 1 背景 杉戸町稲作研究会では、道の駅「アグリパークゆめ すぎと」でコシヒカリの特別栽培米を販売するため、 平成 14 年度に特別栽培部会を組織し、生産販売に取 り組んできたが、年々、販売量は減少する傾向にあっ た。 そこで、普及部では、平成 19 年度に関係機関と連 携し、売れるおいしい米の生産と販売量の拡大を目指 して活動を展開した。 生産販売のための打合せ 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)販売米の品質向上 打合せ会議で、食味品質向上と販路拡大方策について普 及部から提案し、会員の合意形成を図った。 6月から8月にかけては月1回、水管理や穂肥の施用、 刈取り時期等の指導会を水田で行い、適正な栽培管理がで きるよう支援した。 (2)特栽米の販売拡大 関係機関と連携し、新米キャンペーンについての原案を 田んぼでの栽培指導会 作成し、全体会議で意識統一を行った。 稲刈りが行われている9月に2回、アグリパーク で開催したキャンペーンでは、新米の試食や店頭精 米、おにぎりの販売を行った。普及部では、PR用 の各種ポスターやシールなどの作成、食味に関する アンケート調査を行い支援した。 さらに、町、JAと連携し町内の料理店等を巡回 し、特別栽培米の利用拡大を図った。 3 活動の成果 おいしさの目安である食味値※1が 80 以上の農家比 新米販売キャンペーンのようす 率は 92%と前年比約 20%増加し、品質の向上が図られた。あわせて、生産者の食味値に 対する意識も高まった。さらに、特別栽培米の利用店も2店舗増え、総販売量も 18 年に 比べ 10%向上した。 4 今後の取組 生産者と関係機関が一体となり、売れる米の生産や販路拡大を推進することにより、今 後も消費者に対して安心・安全な顔の見える販売ができるよう継続して支援を行う。 ※1 分析機で、アミロース、タンパク質、水分、脂肪酸度の4つの成分を測定し、値を算出する。 46 ニーズを捉えた生産拡大 —販路拡大の推進— 実需者と連携した大豆の生産拡大 川越農林振興センター飯能普及部 1 背景 飯能市平松・芦苅場地区では、土地改良を契機に営 農組合が組織された。 当初、営農組合では水稲・小麦を核とした水田営農 を目指していたが、米麦価格が低迷し、収益を確保し ていくことが難しくなった。そのような中、飯能市で は市内学校給食に地元産大豆を使えないか検討を始め た。 このため、営農組合自ら地元実需者への大豆のPR 役員会で説明 を進め、地産地消を推進した。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)組織活動への支援活動 営農組合では、毎年作成する作付計画に従って作 業を実施している。普及部では役員会等で作付計画 の作成を支援するとともに、各作目に適した栽培指 導を行った。 (2)技術的取組への支援活動 平成 19 年に省力化・高品質化を目的とした新技 術、大豆不耕起栽培の実演会を実施した。 不耕起は種の実演会 (3)販路拡大の支援活動 営農組合役員とともに実需者を巡回し、大豆の販 売促進を支援した。 3 活動の成果 大豆の栽培面積は、平成 18 年度は試作程度であっ たが、平成 19 年度は 3.0ha、平成 20 年度は 3.2ha と 栽培面積は徐々に拡大している。 流通面では、平成 19 年度以降学校給食へは毎年約 4t、実需者へは約2t と生産量のほぼ全量を地元に出 収穫時の大豆 荷しており、地産地消を実践している。 4 今後の取組 実需者と相談し、加工に適した品種の選定と栽培技術の向上を支援する。 また、地域の消費者等との連携のもと、食育や地産地消を推進し、大豆栽培を通じて地 域農業の活性化を図る。 47 ニーズを捉えた生産拡大 —販路拡大の推進— 町ぐるみで「いちじく」の産地形成 東松山農林振興センター普及部 1 背景 川島町では、米、いちごに次ぐ第3の特産物を創出しようと、平成 18 年3月から 20 年 3月までの3か年、いちじく苗木の配布を行ってきた。 普及部としても、いちじくの市場性や栽培上の長所を生かし、町や農協と連携していち じくの産地化に向けた生産・販売体制の確立を図っている。 2 農業者の取組・普及部の支援 川島町いちじく生産組合では、植付2年目に当たる平成 19 年度に市場出荷を試行し、 本格出荷に備えてきた。平成 20 年度は、出荷拡大を念頭に組合員の栽培技術向上に取り 組んでいる。また、町内の農産加工グループである「か わじま工房」では、いちじくの産地化を側面から支援 すべく、いちじくを用いた加工品の開発を進めている。 普及部では栽培講習会や現地検討会、先進地研修会 等を通じ、いちじくの栽培技術指導を行うとともに、 役員会等において組織運営についての助言を行った。 また、加工についても、保存方法や商品開発等につ いて助言した。 3 活動の成果 出荷目揃会の様子 (1)市場出荷の拡大 アザミウマなどの病害虫防除等に積極的に取 り組むとともに、目揃会や自主検査を通じて規 格の徹底を図ったことで、市場出荷量が5t(市 場出荷者 10 人 ) になった。 (2)加工品の継続販売 試作研究を重ねた結果、地元産の米粉といち じくを用いることで、時流をとらえ、産地のP Rにつながる米粉いちじくジャムパンを定番商 品化した。 4 今後の取組 新規組合員の加入等に伴い、生産者が増加しているため、今後は、組合全体の技術水準 の高位平準化に取り組んでいく。 また、21 年度以降の生産量の増加に対応しうる組織運営や販路拡大、加工品開発に係 る総合的な支援を継続的に行う必要がある。 48 ニーズを捉えた生産拡大 —販路拡大の推進— 加工施設等の導入による業務用野菜生産への取組 本庄農林振興センター普及部 1 背景 ㈱関東地区昔がえりの会は、堆肥を中心とした無化学肥料・減農薬栽培による、安全安 心な農産物生産に取り組んでいる。近年、学校給食などの加工・業務用ニーズにいち早く 応えるため、独自に冷凍加工施設を建設した。そこで、加工施設を活用した業務向け商品 の生産体制の構築及び販路の開拓など一貫した支援を行うこととした。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 新たな業務用需要に応じた農産物として、ほうれん そう、こまつなを選定し、特別栽培農産物としての生 産及び省力・低コストな栽培方式の組立について支援 した。 また、販売先についても、(財)埼玉県学校給食会 を中心に販路の開拓を行い、積極的な販売促進活動を 展開した。 3 活動の成果 加工用ほうれんそう栽培ほ場 (1)特別栽培農産物の生産拡大 平成 19 年度からスタートした冷凍加工用ほうれんそう、こまつなについては、特別 栽培農産物の認証を取得し、20 年度も遊休農地の活用などにより約8ha の生産拡大が 見込まれている。 (2)GAPの取組 加工・業務用野菜の安全・安心生産を担保する手 法として、GAPの取組をすすめた結果、生産者自 らがチェックリストを作成し、積極的に実践するな ど、安全・安心生産への意識が高まっている。 (3)集出荷・加工施設の効率的な業務運営 国庫補助と制度資金を活用した集出荷・加工施設 の導入により、農産物の集荷や冷凍処理などの業務 が大幅に効率化した。 4 今後の取組 集出荷・加工処理施設 (1)業務用野菜の高品質安定生産と機械化一貫体系による省力・低コスト生産技術を確 立する。 (2)冷凍業務用野菜の販路拡大を促進する。 49 ニーズを捉えた生産拡大 —販路拡大の推進— 生産者と酒造組合の連携による地産地消の推進 大里農林振興センター普及部 1 背景 「さけ武蔵」は、農林総合研究センターが育成した 県内初の酒米品種である。 熊谷市酒米栽培研究会(会員 14 名 ) は、平成 13 年 から試作、平成 15 年から本格的な生産を開始し、平 成 18 年には栽培面積が 11ha に拡大した。 しかし、「さけ武蔵」は、低収量で栽培が難しい。 一方、県内には 35 社の酒造メーカーがあるが、「さ け武蔵」を利用しているメーカーはまだ少ない。 そこで、酒造組合と協力し、「さけ武蔵」で作った 「さけ武蔵」の酒のラインナップ 酒の消費拡大PRや酒造メーカーへの利用拡大を進めるとともに、良品質な「さけ武蔵」 の生産拡大に取り組んだ。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 「さけ武蔵」の拡大を図るため、生産と消費PRの 両面から支援した。 (1)「さけ武蔵」の生産技術確立 栽培講習会や現地検討会の開催、展示ほの設置等 を行い、収量・品質向上を支援した。 (2)「さけ武蔵」を原料とした地酒の消費拡大 酒造組合と連携し、酒造メーカーへの「さけ武蔵」 の利用促進、各種イベントを通じた一般消費者へ「さ け武蔵」の酒の消費拡大など地産地消を推進した。 新酒発表会 3 活動の成果 熊谷市酒米栽培研究会の作付面積が拡大し、「さけ 武蔵」を利用する酒造メーカーも増えた。 (1)栽培面積は 11ha から 17ha(平成 19 年 ) へ拡大 栽培講習会や現地検討会により適正な管理が徹底 され、1等で 53 tの酒米が生産できた。 (2)酒造メーカーは 13 社から 17 社へ拡大 9月に酒造メーカーや酒店を招いた現地検討会、 3月に埼玉酒の応援団や女きき酒師軍団等を招待し た新酒発表会、さらには県農林まつりや熊谷市産業 現地検討会 祭、デパート等でも「さけ武蔵」の酒をPRし、参加酒造メーカーの拡大につなげた。 4 今後の取組 生産者と酒造メーカー各社の連携により、「さけ武蔵」の酒が県産ブランド品として広 く愛好され、「さけ武蔵」の生産拡大につながるよう連携活動を支援する。 50 ニーズを捉えた生産拡大 —販路拡大の推進— 青大豆「行田在来」による地域農業の活性化 加須農林振興センター普及部 1 背景 大規模ほ場整備事業が完了する行田市斎条土地改良 区の営農計画を実現するため、青大豆「行田在来」を 作付けし、大豆加工品の試作と商品化を進めた。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)行田在来の導入提案と栽培支援 「行田在来」を斎条土地改良区に導入することを 提案、栽培指針を作成し、大型機械による省力栽培 を支援した。 斎条地区の土地利用状況 (2)大豆の販路開拓 行田市内の豆腐業者4社や鴻巣市の社会福祉法人 「こぽす」に豆腐の試作と製造を依頼した。他に市 内の「戸塚煎餅店」、桶川市の「手づくり屋さん」、 行田市穀類加工研究会の「忍のみそ」への利用を推 進した。 (3)直売所利用協議会や斎条地区に、行田在来枝豆 の販売と「枝豆収穫体験」を提案し、その実施を支 援した。 大豆のコンバイン収穫 3 活動の成果 (1) 「行田在来」が夏期の未利用農地 1.8ha に導入され、平成 20 年は7ha に作付拡大した。 (2)商品化した「行田在来」豆腐は、JA行田農産物直売所で1か月に 25 万円〜 60 万 円売上げる大人気商品となり、直売所全体の売上は 前年比 110%以上に増加した。 (3)平成 20 年産大豆は、豆腐業者「こぽす」から8t、 「手づくりやさん」から3t の予約を受注することが できた。販路確保に裏打ちされ、生産者が1名増え、 自信をもって大豆栽培に取り組むようになった。 (4)「行田在来」を使った豆腐や卯の花、豆せんべい、 豆おこわ、ゼリーフライ(地域に伝わる伝統的なお やつ ) が商品化され販売された。 (5)「枝豆収穫体験」バスツアーが農協観光主催で開 人気の「行田在来」豆腐 催され、グリーンツーリズムの推進に貢献した。 4 今後の取組 (1)人気の高い「行田在来」をより安全安心に生産し、採算の取れる栽培支援を行う。 (2)「行田在来」の未利用農地への導入や計画的な土地利用を進め、地域農業の活性化を 図る。 (3)学校給食に使用し、子ども達に対する地産地消を一層推進する。 51 ニーズを捉えた生産拡大 —販路拡大の推進— 梨産地活性化の取組 加須農林振興センター普及部 1 背景 騎西町梨撰果所利用組合では、近年の梨の市場価格の低迷により収入が低下しているた め、高単価での販売が見込める組織直売の拡大と、新たな販売先である台湾への輸出に取 り組んだ。 また、農業者の高齢化・後継者不足から樹園地の廃園が進んでおり、産地の維持のため、 労働力を補完する作業受託集団の育成に取り組んだ。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)販売拡大への取組 町内に撰果所利用組合直営の直売所の設置や、新 聞折り込み広告、ホームページの作成等を支援し、 地産地消を推進した。 台湾向け梨輸出では、防除体制を整備し、検疫対 象の病害虫防除を徹底した。 (2)作業受託集団の育成 町のシルバー人材センター登録者を対象に、生産 者と普及指導員が講師となった栽培管理講習会を開 台湾での販売キャンペーン 催し、作業受託集団の技術向上を支援した。 3 活動の成果 (1)販売拡大 組織直売の割合は、平成 17 年は販売額の 14%で あったが、平成 20 年は販売額の 22%(9月時点) に増加し、収益の確保に貢献した。 台湾には、平成 18 年は豊水を 250kg、平成 19、 20 年には幸水・豊水・彩玉を計 500kg 輸出し、台 湾では「おいしい梨」と高い評価を得ることができ た。 せん定講習会 (2)作業受託集団の定着 シルバー人材センター登録者の技術が向上したことにより、せん定や摘果などの作業 依頼を受けることができた。平成 20 年の1月から9月までに 28 件の作業を行い、作業 受託集団として定着した。 4 今後の取組 組合員の所得向上のため、組織直売の拡大への支援を継続する。 シルバー人材センターへはさらなる技術の向上のため、引き続き技術研修会を定期的に 開催する。 52 ニーズを捉えた生産拡大 —食の安全・安心の確保— 地域資源循環による有機農産物の生産安定 東松山農林振興センター普及部 1 背景 小川町では、金子美登氏とその研修生を中心とした 小川町有機農業生産グループ(田下隆一代表 会員 27 人)が、資源循環型を基本とした有機農産物栽培 を実践している。 小川町の有機農業は、これまでの経験と勘に基づく 肥培管理が行われてきた。このため、水稲ではコナギ など難防除雑草の大量発生により収量が低く、果菜類 では収穫量が少ない上に、収量や品質の変動幅が大き く、有機農産物を求める多くの需要に応え切れていな はくさいの害虫調査 かった。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 平成 18 年 12 月に「有機農業の推進に関する法律」が施行され、平成 20 年度に小川町 有機農業生産グループが中心となって小川町有機農業推進協議会が組織され、「地域有機 農業推進事業」を導入した。これによって、科学的なデータに基づいた有機農法による生 産の安定化を求める声がグループ内で一層高まった。 このため、普及部では農林総合研究センターと連携し、病害虫や雑草の耕種的防除や土 着天敵※1を活用した生物的防除、栄養診断技術を利用した適期追肥による生産の安定化 と収量向上の展示ほの設置運営と技術的評価について支援した。 3 活動の成果 (1)水稲ではアイガモ、米ぬか、くず大豆、アゾラ(アカウキクサ ) を利用した雑草防除 を実証した。アイガモにより高い除草効果が認められたが、米ぬか等では除草効果がや や劣り、コナギの発生が見られるなど、有機農業で利用でき、効果の高い雑草防除技術 を示すことができた。 (2)いちご及びなすでは、土着天敵やバンカープランツ(天敵を増殖させる植物 ) を利用 した害虫防除技術の実証を行い、アブラムシやハダニ等の害虫を低密度に抑制すること ができた。 (3)きゅうりでは、土壌及び植物体の栄養診断に基づく有機質肥料(バイオガス液肥、 おからぼかし、菜種油かす)の追肥技術を実証し、バイオガス液肥で収量・品質が向上 し、病害虫の発生も低レベルに抑えることができた。 4 今後の取組 (1)水稲では除草剤を使用しない雑草防除技術について、代かきや米ぬか等の施用時期 を検討し、防除効果の一層の向上を図る。 (2)コオロギなどの秋冬アブラナ科野菜の害虫の耕種的防除技術を確立する。 (3)緑色蛍光灯を使用した各種露地野菜の鱗翅目害虫等の防除効果を確認する。 ※1 ほ場やその周辺に元々生息している天敵。 53 ニーズを捉えた生産拡大 —食の安全・安心の確保— 「紅い旗」によるドリフト対策が市内全域に拡大 大里農林振興センター普及部 1 背景 平成 18 年5月からのポジティブリスト制度の施行に伴い、農薬散布時におけるドリフ ト(周辺農地への農薬飛散)が懸念されている。その ため、地域が一体となって、ドリフト防止に取り組ん だ。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 収穫間近のほ場に「紅い旗」を設置することによっ て、周辺農家が農薬を散布する際にドリフトに注意す るよう促す取組を推進した。 (1)旗の設置にむけた体制づくり 市・農協・地方卸売市場・農業資材販売業者・生 紅い旗の現地説明会 産者団体等で組織する「深谷市病害虫対策会議」を 中心として、ドリフト防止を推進する体制づくりを 支援した。 (2)モデル地域から市内全域へ 平成 19 年度には紅い旗設置モデル地区を6ha か ら 91ha に拡大し、ドリフト防止の啓発を行った。 さらに現地説明会の開催により、市内全域への取組 拡大を推進した。 3 活動の成果 (1)深谷市病害虫対策会議において、市内全域で取 ほ場に設置した紅い旗 り組むことが合意され、紅い旗 9,000 枚を作成し、推進体制が整った。 (2)生産者団体、地方卸売市場出荷者を通じて、紅い旗の設置が市内全域に拡大し、地 域全体で、農薬散布時のドリフト防止に対する意識が高まった。 4 今後の取組 紅い旗の設置とともに、ドリフト低減ノズルの利用拡大、障壁作物の推進など、隣接ほ 場への農薬飛散防止のリスクを下げる取組を支援し、安全・安心農産物の生産を目指す産 地として、消費者へのPRを図る。 54 ニーズを捉えた生産拡大 —遊休農地の活用— 遊休農地にもろこしを導入し商品化に挑戦! 川越農林振興センター普及部 1 背景 入間市の畑作地域は、近年、都市化の影響により兼 業化が進み、未利用農地や不耕作地が増えている。そ こで、近年、健康によいと注目されている雑穀の一種 「もろこし※1」を新規に導入し、未利用農地の解消を 図るとともに、加工品の商品化による販路の拡大にも 取り組んだ。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)技術的な取組への支援活動 この地域では、これまでもろこしの栽培実績がほ もろこしの栽培状況 とんどないため、文献調査により栽培方法や生育特 性を確認するとともに、栽培経験のある生産者と連 携し、栽培技術の組立、支援を行った。 (2)加工品の商品化への支援活動 平成 18 年度はもろこし入りのし餅、だんご等を 試作。19 年度は、試作結果を基に、ピンク色のも ろこし入り餅と通常の餅をセットにした「おめでた 餅」の商品化を支援し、直売所や朝市等で販売した。 3 活動の成果 もろこしの収穫状況 (1)平成 18 年度は手刈りによる収穫を行ったが、19 年度は今後の作付拡大を目指し、生育途中の刈り込 み技術を導入し、機械による収穫を可能にした。 (2)平成 18 年度は 10a の作付であったが、19 年度に は 30a に拡大し、未利用農地等への導入作物とし て期待できる。 (3)もろこし餅をパック詰めした「のし餅」と白い 餅とピンクのもろこし餅を袋詰めした「おめでた餅」 おめでた餅 を商品化し、地元の朝市等で販売したところ好評であった。 4 今後の取組 近年の健康志向の拡大により雑穀が見直されている。そのため、無農薬・無化学肥料に よる安定生産技術や機械化体系を確立し、栽培面積の拡大を進める。また、加工品の品目 増加に取り組み、インターネットや量販店等での販売の検討など、販路拡大の支援を行う。 ※1 イネ科の一年生植物で雑穀の一種。世界的には主要な穀物の一種。 55 ニーズを捉えた生産拡大 —遊休農地の活用— 遊休農地を活用したブルーベリーの作付拡大と生産性向上 川越農林振興センター飯能普及部 1 背景 日高市では、平成 14 年からブルーベリーの栽培が始まった。平成 17 年には会員数 22 名で日高市ブルーベリー研究会が設立された。今後も比較的栽培しやすいブルーベリーは Uターン、新規参入、新規就農と多彩な担い手の参入が期待できる。 そこで、組織活動の充実と栽培技術の向上を通じて、遊休農地を活用したブルーベリー の産地化を進めた。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)組織活動を充実させるための支援活動 研究会は多彩なメンバーで構成され、栽培経験も 多岐に渡っている。そこで、組織としての活動目標 や販売戦略、価格協定といった指針作りの支援を 行った。 (2)技術的取組への支援活動 新植園においては、植付直後の施肥や土壌管理対 策を、また、樹齢の進んだ園では、樹の若返りや地 域に適したハイブッシュ系品種※1 への転換を目的 ブルーベリー に接ぎ木等の技術支援を行った。 (3)遊休農地への導入支援 新規の栽培希望者に対し、遊休農地活用を推進す るとともに、新たな販路を確保するために、市内ケー キ店との橋渡しを行った。 3 活動の成果 遊休農地を積極的に利用したこともありブルーベ リーの栽培面積は3ha 以上に拡大、 組織活動の定着 と相まって品質や価格等の統一が図られ、産地として ほ場巡回指導会 の基礎を築くことができた。 また、接ぎ木技術の普及により、ハイブッシュ系品種の導入が進み、安定生産が見込ま れるようになった。 4 今後の取組 今後も、栽培面積の拡大、収穫量の増加が見込まれる。その収穫物を安定的に販売する ため、マーケッティングや観光とリンクさせた果樹園経営を提案・支援していく。 ※1 主に、ハイブッシュ系とラビットアイ系の2種がある。ハイブッシュ系は寒冷地での栽培に向く。 56 ニーズを捉えた生産拡大 —遊休農地の活用— そばのオーナー制で遊休農地解消!! 秩父農林振興センター普及部 1 背景 皆野町農業委員会が「そばオーナー会員」を募り、 増加している遊休農地の解消に取り組んでいる。さら なる遊休農地の解消を目的とし、そば栽培面積の拡大 に取り組んだ。 2 農業者の取組 ・ 普及部の支援 (1)そばのは種量・施肥量・は種期等の改善や、地 力維持対策支援を行った。 (2)皆野町には、そばのコンバインがないため、荒 川そば生産組合機械化部会との受委託の調整を行 い、機械による収穫作業を行う体制を構築し、栽培 そばのは種 そば生産面積および会員数の推移 面積の拡大を図った。 3 活動の成果 (1)遊休農地等へのそば作付の取組は、本年度で3 年目となり、栽培面積は平成 18 年度 40a、19 年度 90a、20 年度 153a と、年々増加している。 (2)オーナー制をとっており、会員から会費を徴収し、 収穫後には、そば粉を会員へ配布する。会員数も年々 増加し、18年度44人、19年度71人、20年度85人(9 月末現在 ) となった。 4 今後の取組 普及部として、遊休農地の解消をさらに進めるため、 先進地の事例研修の支援等を行い、栽培面積・会員の 拡大を目指す。 また、資材価格高騰にともなう経費増大に対応した コスト低減対策を支援していく。 関係機関の役割 57