...

3710 ジョルダン

by user

on
Category: Documents
15

views

Report

Comments

Transcript

3710 ジョルダン
http://www.jorudan.co.jp/
3710
ジョルダン
佐藤
俊和
(サトウ
トシカズ)
ジョルダン株式会社社長
大型案件を含め、法人向けの受注・納品が順調に推移
◆VR の動きが本格化
最近の関心事としては、VR が話題に上ることが多くなった。中でも「HTC Vive」は性能が良く、これを追うように
「PlayStation VR」が発売されたことで、市場は一気に盛り上がった。当社においても、本年 10 月に京都市の三次
元マップデータを基にした街歩きの VR 体験のトライアルを実施し、今後の展開に向けて営業活動を行っている。
技術の進化により、3D データを簡単に作成できるようになったため、今後は移動や観光に関する VR の動きが一
気に本格化すると見ている。また、Fin Tech についても、iPhone7 に FeliCa が導入されたことで、より身近なものに
なってきた。携帯電話の状況としては、販売台数が減少傾向にある。ガラケーには根強い人気があるように思うが、
出荷台数の約 8 割はスマートフォンであり、ネットのセキュリティ強化の流れの中、今後もスマートフォンへの移行
が進むと予測されている。
当社の「乗換案内」の近況としては、有料会員数が減少しているものの、取り放題利用者を含めると有料サービ
ス利用者数は 43 万人は確保しており、月間検索回数は 2 億回程度を維持している。
また、ポータルサイトが乗換案内サービスを強化する中、「Apple Maps」に対して、交通機関のスケジュール情報
の提供を開始した。Google については、これまで「Google Map」の中で経路検索が利用されていたが、昨今ではア
プリに「経路」というメニューが表示されるようになっている。Google は、「公共交通機関のデータはオープンなフォ
ーマットであるべきだ」という方針の下、GTFS という標準形式のフォーマットを作り、交通事業者からデータの提供
を受けている。ポータルサイトは日本での展開にはかなり力を入れており、背景には、「日本のデータを完全にサ
ポートしない限り、世界で通用するものにならない」という判断があるようだ。ポータルサイトにデータを提供するこ
とで、足元をすくわれる可能性はあったが、ポータルサイトは日本の鉄道の情報を持っている会社と組まなければ、
この領域に進出することができず、当社が組まなくても、必ず他社と組む。そこで、当社が協業することにした。
◆「行き方案内」をリリース
Google や Apple が乗換案内の領域に進出する中、自社でユーザーを抱え込み、ポータルサイトとアプリで競うた
めには、地図連動が必要だと考え、開発に取り組んできた。その結果、当初の計画からはかなり遅れたものの徒
歩ナビゲーション「行き方案内」をリリースすることができた。まず Android 版からスタートしたが、その後 iOS 版もリ
リースした。「行き方案内」で重視したのは、「いかにスムーズに目的地を絞り込めるか」である。また、駅の出口デ
ータを活用し、「最初の一歩」を分かり易くした。
もうひとつの取り組みは、バスのデータの拡大である。担当する人員を増強して取り組み、現在、路線バス・コミ
ュニティバスの対応社数は 564 社、系統数は約 2 万 3 千系統となっており、地方の自治体やバス会社との関係が
強化されている。なお、データはポータルサイト等にも提供しており、これがバス会社からのスムーズな情報提供
につながっている。
本著作物の著作権は、公益社団法人 日本証券アナリスト協会®に属します。
法人向け事業の動きとしては、多言語化の流れの中、公共交通事業者向けパッケージ「MovEasy(ムーブイージ
ー)」を展開している。また、中国の現地法人と連携し、危機管理・安否確認アプリ「HAZARD Buster(ハザードバス
ター)」の販売を開始したほか、企業への「WeChat」の導入支援の事業も行っている。「Jorudan Style」については、
青森、京都、神戸など、自治体での採用も増加しており、クラウドサービスとして地域の乗換案内、観光案内などを
横展開している。
ハード面では、サイネージに進出した。交通事業者に特化したシステムであり、PC でサイネージの画面をコント
ロールできるほか、検索履歴などのデータを蓄積することができる。また、スマートフォンアプリの提供等にも対応
するなど、他のサイネージ業者ではカバーしきれない部分をカバーしている。直近では、岡山の両備グループに採
用され、9 台の端末が稼働している。
主な関係会社としては、連結子会社のイーツアーが海外旅行の販売、悟空出版が出版事業、コンパスティービ
ーが広告事業を展開している。また、クリプトン社と合弁会社 Kiwi を立ち上げ、ハイレゾプレイヤーを試作中であ
る。
◆法人向けの売上高が大幅に増加
執行役員経営企画室長 岩田 一輝
2016 年 9 月期の売上高は 43 億 85 百万円(前期比 2.1%増)、営業利益は 5 億 54 百万円(同 24.3%増)、経常
利益は 4 億 96 百万円(同 7.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 2 億 50 百万円(同 15.3%減)となり、
営業利益率が前期の 10.4%から 12.7%に改善した。
製品・サービス別売上高を前期と比較すると、乗換案内事業は 1 億 5 百万円増となっている。特に法人向けが、
大型案件を含め、受注・納品が順調に推移し、1 億 82 百万円増と全体を牽引した。また、インバウンド向けなどの
引き合いも増加している。モバイルは 43 百万円減となったが、有料サービスの利用者数は下げ止まり傾向であり、
4 月から NTT ドコモの「スゴ得コンテンツ」向けにコンテンツの提供を開始したことが全体としての利用者数の維持
につながった。旅行については、前年同期の大幅増の反動で 57 百万円減となった。広告は 36 百万円増となって
おり、アクセス増と検索連動広告の直接営業強化が要因である。
利益面では、利益率の高い法人向け売上高の大幅増が営業増益に寄与した。また、旅行関連の仕入高が減少
したことも増益要因となっている。一方で、持分法投資損失が増加したため、営業利益と比較して、経常利益の増
益幅が少なくなった。また、特別損失の発生により、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となった。
2017 年 9 月期の売上高は 44 億円(当期比 0.3%増)、営業利益は 5 億 60 百万円(同 0.9%増)を予想している。
また、営業外損失、特別損失については、大きなものは見込んでいないため、経常利益は 5 億 50 百万円(同
10.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 3 億 30 百万円(同 31.7%増)となる見込みである。製品・サービ
ス別売上高については、直近の状況から、法人向けおよび広告が増収となる見込みである。
株主還元策としては、資本効率の向上を図るとともに、企業環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を
可能とするため、自己株式の市場買付を実施する。取得期間は 11 月 17 日~12 月 16 日を予定している。配当に
ついては、連結配当性向 20%を目標としており、2017 年 9 月期も引き続き 1 株当たり 13 円とする予定である。
本著作物の著作権は、公益社団法人 日本証券アナリスト協会®に属します。
◆質
疑
応
答◆
持分法投資損失が増加した原因を教えてほしい。
持分法適用会社が前期比で 2 社増加しており、まだ立ち上げ期にある会社がある。また、Remunera Jorudan の
業績が悪化したことも要因である。
バランスシートを見ると、投資有価証券が増加している。一方で、投資有価証券の評価損、子会社株式の評価
損が計上されているが、この兼ね合いを伺いたい。
持分法適用会社のほか、新たにベンチャーファンドに出資するなど、関係会社株式やその他有価証券に該当す
るものが増加した一方で、もともと株式を保有していた企業の業績が悪化する等があり、評価損を計上した。
上海近郊に拠点を設けるということだが、詳細を伺いたい。
上海の持分法適用会社では、受注が増加している法人向け乗換案内の開発・保守、パッケージの開発、その
他受託開発などを行っているが、人件費が高騰しているため、近郊の合肥に拠点を設けた。中国は地図がデフォ
ルメされており、変換のライブラリを持たなければ、地図サービスを提供することは難しいが、当該会社にはそれ
が可能である。現在は、中国に進出している日系企業向けに地図サービスを提供しているが、今後は現地の企業
にも展開し、中国市場での事業拡大を図る。
サイネージや徒歩ナビゲーションは、製品・サービス別売上高のどの部分に反映されるか。
サイネージは法人向けである。東京オリンピック・パラリンピックの際、エレベータなどの情報をどう案内するか
が急務になっており、レストラン案内の多言語化も求められているため、積極的に提案を進めていきたい。徒歩ナ
ビゲーションについては、有料サービスならばモバイルに計上される。また、一部機能を無料で提供した場合、広
告・グルメ等に計上されることが考えられる。
徒歩ナビゲーションでは、どういったポジションを狙うか。
Google や Apple を超えるものを作りたいという思いがあった。乗換案内を使って「どこの駅まで、どう行くか」を調
べ、その先は「Google Map」を使うユーザーが多いため、乗換案内と地図を連携させ、「ポイント to ポイント」の領域
まで進化させた。次のステップとしては、「今いる場所の周辺の案内」まで踏み込み、消費者ニーズをつかんでいき
たい。なお、既にリリースはしているが、まだ修正は必要であり、建物の名前を大きく表示するなど、改善を進めて
いく。
コンシューマーからのアプリ利用料について、見通しを伺いたい。
コンシューマーからアプリ利用料を得ることは難しくなると見ているが、コンシューマーと店舗・施設等を「つなぐ」
ことでの手数料やビッグデータの活用はビジネスになると考えている。
(平成 28 年 11 月 11 日・東京)
*当日の説明会資料は以下の HP アドレスから見ることができます。
http://www.jorudan.co.jp/ir/data/ir/accounts/meeting2016.html
本著作物の著作権は、公益社団法人 日本証券アナリスト協会®に属します。
Fly UP