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権利擁護・意志決定支援について理解を深める
権利擁護・意志決定支援に ついて理解を深める 利用者権利擁護の視点で ケア場面を考えてみる 2010/6 権利とは ある物事を自分の意思によって自由 に行なったり、他人に要求したりする ことのできる資格・能力 一定の権利を自分のための主張し、 またこれを享受することができる法 律上の能力(私権・公権) (広辞苑より) 擁護とは 危害・破壊を加えようとするものから 、かばいまもること。 擁護=批判、破壊、侵害など攻撃作 用を受けている、または受けるおそ れのある対象(人、団体、文化・思 想・学問・宗教およびその表現方法 、体制・制度など)を守ろうとする行 動・機能。 (広辞苑より) 自 分の力では、自分の思いや考えを他人に 充分に伝えることができない人は、たくさんい る。 自分の権利や利益を故なく奪われたり、人間 らしい生活ができない環境に置かれたりする。 社会の中ですべての人が「ともに生きている」 とは。 ともに一個の人間であり、社会の主役として、 それぞれの持てる力を発揮しながら、おのお のの生を実現している、こうした社会の実現が 求められているのである。 そのためには声を上げられない人々の一人ひ とりについて、その生活全般におよぶ「代弁」 活動が必要である。それが権利擁護です。 「代弁」とは他人が代って主張することよりも本 人が主張できるようにすること。そういう意味で は代弁よりも本人支援が、ここにいう「代弁」の 意味である。 知的障害者の権利擁護はどうしても代って主 張する意味での代弁的活動が前面に出やすく なっている現状ある。 本人の意思・意向を尊重することはもち ろん、その持てる能力に充分に配慮し た代弁活動を 権利擁護 (アドボカシー) という このような意味で私たちは 本人の意思・意向を尊重することはもちろん、そ の持てる能力に充分に配慮した 入居者の アドボケイター である アドボカシー 代弁機能と同時必要なのが指針 利用者の権利を擁護するため に、介護サービスを提供する 際に、心構えと行動するときに 守りすすんでいくためにはず せないこものが 利用者権利擁護指針 利用者権利擁護指針 コンプライアンスルール 明確なもの 簡潔なもの 具体的な状況を明示 専門性を高める指針として 根拠となる法律 介護保険法 施行令・施行規則 老人福祉法 施行令・施行規則 特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準 社会福祉士及び介護福祉士法 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関す る法律 個人情報の保護に関する法律 身体拘束 (介護保険法第87条(指定介護老人福祉施設の基準)の 「指定介護老人福祉施設の設備及び運営に関する基準」に 基づく「指定介護老人福祉施設の人員、設備及 び運営に関 する基準」(平成11年3月31日 厚生省令第39号)の第12 条(指定介護福祉施設サービスの取扱方針)の第4項(介護 老人保健施設省令第 40号、介護療養型医療施設省令第41 号においても同様) 権利擁護のために 必要な意思決定支援 ねらい 認知症により、あるいは疾病・老化により日 常生活が制限されてしまう個人の自由や意 思決定が本来どのように保証されるべきかを 考えてみる。 虐待、拘束の内容を理解し、利用者権利擁 護の具体的方法を考えてみる。 意思とは 何かをしようとする時の元となる心持 ち 法律用語 ①民法上、身体の動作の直接の原因 となる。心理作用は、ある事実に対す る意欲を指す。 ②刑法上、自分の行為に対する認識を 指し、特には犯意と同じ意味をもつ。 決定とは 物事をはっきり決めること。もの事が はっきり決まること。また、その内容 支援とは 力を貸して助けること (広辞苑より) 本人の立場に立った意思決定支援 とは 自尊心を尊重しながらの 自己実現への過程である (認知症介護研究・研修東京センター監修 第2版「新し い認知症介護」第1節意思決定支援と権利擁護 引用) 主体性の尊重、自己決定の尊重 ケアにあたってはできる限り本人の望 む生活にあわせられるような支援を心 がける。感じている不自由さを察し、ど のような支援の仕方でその不自由さを 減らすことができるかを考えて支援して いく。 主体性の尊重、自己決定の尊重 認知症の進行、老化等とともにどのよう な生活を望むか(こうしてほしい)の意思 表示が困難になってくる。すでに意思表 示ができなくなってからの係わりは、本人 の意向や家族との話合いを通じて、本人 に不利をもたらさないよう総合的に判断 して対応することになる。 (認知症ケア標準テキスト「認知症ケアの基礎」:認知症ケアの原 理・原則 主体性の尊重、自己決定の尊重 認知症の方の生活 はどうでしょうか? ワーク(1) 事例を通じて ある利用者とスタッフの介護場面 を権利を擁護するという視点で 考えてみる。 介護保険の施設とは・・・・。 ワーク1(個人) 資料1 事例を通じて、稲さん の気持ち を考えていきましょう。 スタッフの気持ちを考えみましょ う ワーク2(グループ) 隣の席の人、前の席の人 計4名でグループ ワーク。 メンバーの意見をそれぞれ出してもらいグ ループの意見をまとめる。(稲さん・ハナさん・ 村さん) 発表 稲さんの気持ちはどうだったか。 ハナさんの気持ちはどうだったか、どんな気 持ちだろうか。 ワーク3(グループ) 稲さん、ハナさん、村さんのズレがここまま続い たらと仮定して「どんな結果を招くか」を考えてみ ましょう。 あとで発表。 こんな関係が続くとハナさ んはどのように変化して いくと思いますか? 稲さんはどのように変化 していくと思いますか? そもそも認知症の症状が進むと 出来ていたことができなくなる 判っていたことが判らなくなる 話せていたことが話せなくなる 聞こえていたことが聞こえなくなる 覚えていたことを忘れる 物の使い方が判らない 伝えたいことが伝えられなくなる ハナさんの今日の姿は 病気・認知 症 生きてきた 人生 プラス プラス 今日まで受け てきた介護の 結果 = 今 言動は長年の人生の蓄積から発している。 症 状 自分の希望や、戸惑い、苦しみが伝わらず追い込まれ、自分らしさが喪失さ れていく。 瞬時に目の前にいる人の心をくみとる。分かっていても言葉で 伝えられない。 しかし、認知症の人は感情は壊れない、ますます光っていく。 老いるとは喪失の連続(役割・人・子・お金いろいろ) 私たちの一生・・・・ 老化 aging 成熟 成長 生 今を生きる 人の世話のもとで人生が始まり、 人を世話を受けて人生を終える 死 権利擁護とは、このように毎日の ケアの実践の中にあり、指針を 守ることと同時に認知症の正し い理解や、その人の望みや願い をいかに暮らしの中に取り入れら れていけるかどうかではないかと 思います。 ハナさんはどんな人だったのか まず理解することから初めてみましょう。 性格(気質・能力) 対処スタイル 認知症をもつ 生活歴 健康状態 社会心理(人間関 係)どのようにとって いるかなどなど 私にもできる 「今日からできる 意思決定支援!」 「今日からできる 利用者権利擁護!」 稲さんが毎日目指すこととは ほんとうはしたいと思っていること 「あなたが望んでい ること、困っているこ とを手伝わせてくださ い・聞かせてくださ い」 資料 利用者権利擁護指針(コンプライアンスルール) 運営規定 個人情報保護に関する取扱について コンプライアンスとは 日本語に訳すと「法令遵守」 介護サービスは対人援助サー ビス 法律だけでは守れない人権とい う側面 フルセットコンプライアンスの考え方 1.基本方針の確立・宣言 2.組織の構築 3.予防的コンプライアンス 4.治療的コンプライアンス 5.環境整備コンプライアンス