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15 乾乳期と未経産牛の乳房炎対策

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15 乾乳期と未経産牛の乳房炎対策
乾乳期 と未経産牛 の乳房炎対策
乾乳期は、疲れた乳腺の回復時期であ り、慢性乳房炎な どは治療効果が高 く、抗性物質製剤
を用 いて徹底的 に治療で きる時です。 しか し、泌乳 によ り乳房内の細菌を排除で きない期間で
あるため、 この期間 に侵入 した細菌を放置す ると被害は大 きくな ります。
1.乳 房炎対策 からみた乾乳方法
乾乳期は、搾乳 によ り乳房内の細菌を清浄で きない時期です。乳房内に細菌を残 した まま乾
乳する と、分娩搾乳開始後 の乳量低下が大 きくなるので、乳房炎対策を考慮 した乾乳が必要で
す。
乾乳予定 7∼ 10日 前に
PLテ ス トで各分房を検査
搾乳を一度 に止め乳房内圧を高めて
泌乳 を抑制する急速乾乳方法が推奨 さ
れてい ます。 これは、短期間で乾乳で
きるので感染 の機会 が少ないためです。
乾乳予定 2∼ 3日 前に
PLテ ス トで各分房を検査
ただ し乳房炎感染が無 い事を必ず確認
感染 してい る
してお く必要があ ります。
治療
原因菌を特定し抗生物質製剤を使用
頻回搾乳
給与飼料を減 らし、隔日搾乳 して自
然乾乳 に近づ ける間欠乾乳方法 もあ り
ますが、乳汁分泌の リズムが狂 い乳頭
口が長期間緩んでいるため乳房炎感染
の機会 が増 えます。母牛や胎児 に与 え
るス トレスか らみて も、急速乾乳 が好
ましい方法 です。
乳房炎軟膏や乾乳軟膏を注入 したか
ら安心と思うのは危険
3日 目乳房内圧が
最高になる
!
・乳房がはり、時には漏乳する
こともあるので清潔にする。
・牛床の汚れやハエによる細菌
の侵入が生 じやすい
・ はれ がヨ│き 始 める まで平L頭
デイッピングを 1日 2∼ 3回
おこなう
これらを注入 しても必ず治るとは限
らない。乾乳前には必ず治癒の確認が
4∼ 5日 日頃、乳頭基部 に しわが寄 り始める。これは乳汁の生成が止 ま
必要 。
(1週 間ほどかける)
つている事 を示 しているので、乾乳期の飼料にゆつくりと切 り替える
図1
乾乳軟 膏 の 使 い方
慢性あるいは潜在性乳房炎の治療 として乾
乳期 の抗生物質製剤 (乾 乳軟膏)の 使用がかな
り効果的です。一般的な使用方法を右 に示 し
ました。予防 として乾乳牛全頭 に乾乳軟膏を
注入 し乾乳 しますが、不用な抗菌剤 の使用 に
よる耐性菌が発生す ることがあ ります ので、
獣医師の指導 の もとで適正に使用す ることが
大切です。
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乳房炎対策か らみた乾乳方法
乾 乳 軟 膏 の使 用 方 法
・慢性乳房炎 は徹底治療 の後 に乾乳軟膏 を使用す る
。潜在性乳房炎 は、頻 回搾乳、抗生物質製剤 の使用
の後注入 す る
。分娩前 に乾乳軟膏 の持続効果が切れ ることがある
ので、乳房 の異常 を観察す る
2.乾 乳期 における感染 と治療
としては、環境を清潔に保つ事が大切です。
乾乳作業が始 まる頃か ら乾乳 1週 間 まで と、
分娩前 14日 ∼分娩直前 までが、乳房炎 に感
乾乳期 における乳房炎感染防止は、特に早
期発見 と治療 が重要にな ります。病状 の進行
染 しやす い時期です。 これは、乳房内に乳汁
力S溜 まることによ り内圧 が高 まり、 これによ
り乳頭管が緩 くな り長 さも短 くなるため、細
がはや く、発見治療が遅れると重度の乳房炎
にな り、盲乳 になる場合 もあ ります。
菌が侵入 しやす くなるためです。感染 の予防
VIttk感
染
1「
乾乳後 3∼ 7日 後
乳房炎発症
乳房がはつてきた時に感染し
発病する (産 前乳房炎)
正常分房も張つてくる
の で 見 た 日に 区別 を
付けにくい
感染 した分房だ
けが張れるので
すぐ分かる
治療する
・抗生物質製剤の使用
・頻回搾乳
①硬さを見る。特に硬くなりやすい乳房上部
をみる。
②乳頭を圧して凝固物をみる
③搾乳 して乳汁を観察する。正常乳でも色や
状態は様々だが、異常乳は、不均質で混濁
がみられる
判定 しにくい場合は、他の分房と比較する
PLテ ス トは、初乳や初乳に近いものでは
反応が不十分な場合 があるので注意する
横査 した乳房 は
産前乳房炎の頻回搾乳の注意として、
もし他の正常分房 から漏乳する場合
は、分娩するまで全乳房を搾乳する
図2
発見方法
異常がなかつた、あるいは比較のために搾
つた正常分房は、予防としてデイツピングや
乳房炎軟膏を注入 し、細菌の侵入を予防する
乾乳期 における乳房炎 感染 と治療方法
乾乳期 の作業
乾乳治療 あ るいは、乾乳軟膏 による予防を
行 つて も、乳房炎 が発症す ることが あ ります 。
治療や 予防を行 つたか ら といつて安心 して観
察 を怠 つてはいけません。分娩後乳房炎 によ
場合がありますので、乳房異常の確認が必要
です。
・乾乳後 7∼
10日
と分娩前
14日 ∼分娩直前 まで、
乳房 に触 つて大 きさや硬 さな ど異常を確認す る
る著 しい乳量 の減少 によ り大 きな損失 を被 る
3日 未経産 牛 の乳房炎
原因は、乳房や乳頭 の外傷、病牛や汚れた
敷 き料か らの感染、吸血昆虫な ど外的な要因
のほか、乳腺中にもともとあつた細菌が猛暑
な どのス トレスにより発症を弓│き 起 こす と考
えられています。放牧中 に急に発症す る事が
多 いようです。
対策 は、乳房 の異常 を常 に観察 し早期発見
治療 に努める事です。発見や治療が遅れる と、
早 い治療 により乳房を柔 らか くす ると分娩後
の減乳を防げると言われています。
予防 として子牛が乳頭を互 いに話 め合 うこ
とを防 いだ り、ハエの駆除、牛床 の定期的な
清掃が大切です。
治療 には、搾乳 による菌の排除や抗性物質
製剤を用 いた全身治療な どがあ ります。
著 しい減乳や盲乳 になることがあ りますが、
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乾乳期と未経産牛の乳房炎対策
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