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モデルプロジェクト (PDF形式:953kbyte)

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モデルプロジェクト (PDF形式:953kbyte)
第4章
モデルプロジェクト
第4章の構成
4.1
モデルプロジェクトの絞り込み
4.2
ケーススタディ
4.3
スケジュール
本章では、第 3 章でまとめた新エネルギービジョンを実現していくために、
基本的な考え方である「市公共施設への先導的導入」に基づいて、付加価値
として啓発効果が期待できるものをモデルプロジェクトとして検討する。
84
4.1
モデルプロジェクトの絞り込み
新エネルギービジョンの早期実現の第一歩として、まず行政においてコス
トや信頼性などがまだ明らかでない新エネルギーを導入していく事により、
そのエネルギーの特性、導入の難易度、コスト、助成制度、啓発効果を検証
していく。
このため市が先導的導入として着手しやすく、付加価値として啓発効果を
期待できるモデルプロジェクトを8事業選定した。
対象エネルギーの絞り込み
地域特性
エネルギー特性
新エネルギービジョン
導入の容易さ
市
が
先
導
的
導
入
可
能
な
も
の
啓発効果
周辺条件
エネルギー特性
補助制度の規模要件
など
導入場所
導入規模の決定
モデルプロジェクトのケーススタディ
85
①
風力発電
風力発電の立地条件から山間部での導入が効果的であることに加え、人
が集まる施設であれば啓発効果も得られることから、山間部スポーツレク
リエーションゾーンへの風力発電導入を検討した。
②
天然ガスコージェネレーション
熱と電気をコンスタントに利用する病院・宿泊施設が対象であることか
ら、市立病院への天然ガスコージェネレーションの導入を検討した。また、
太陽光発電併設とした。
③
浄水場の遊休落差発電
浄水場の遊休落差を利用した水力発電が可能であり、導水管の落差など
を考慮して末浄水場での導入を検討した。
④
下水熱の周辺施設利用
水質管理センターが対象であり、熱利用の観点から周辺施設利用の可能
性が高い、城北水質管理センターでの導入を検討した。
⑤
下水消化ガスの有効利用
下水消化ガスが発生するのは、城北と臨海の水質管理センターである。
城北の消化ガスは汚泥焼却の補助燃料として活用されていることから、臨
海水質管理センターを対象とした。また、エネルギーセンターに隣接して
いることから、消化ガスを精製して都市ガスへ混合し、需要家へ供給する
ことを検討した。
⑥
クリーンエネルギー自動車
公用車への導入および市民・事業者への普及促進について、今後の展開
を検討した。
⑦
太陽光発電(その 1)
太陽光発電の啓発効果を考え、公園を対象として、外灯利用などを検討
した。
⑧
太陽光発電(その 2)
太陽光発電の教育的効果から、学校への導入を検討した。
86
4.2
ケーススタディ
①~⑧のモデルプロジェクトのケーススタディを次のとおりとする。
① 山間部スポーツレクリエーションゾーンにおける風力発電
事業概要
キゴ山の山頂付近などに風力発電システムを導入し、発電した電
力は周辺の市営施設へ供給する。
導入場所
について
導入場所 ;キゴ山 山頂付近など
選定理由 ;風力エネルギーは山間部での期待可採量が大きく、
山間部で啓発効果の高い地点であるキゴ山などへの
導入を選定した。
対象
エネルギー
風力発電システム
導入規模と
コスト
導入規模 ;風力発電設備 1000kW 級(600~1000kW 程度)
選定理由 ;近年の中・大型風力発電機の規模の内小さいものを
選定した。
導入コスト; 300 百万円
年間経費 ; 23.6 百万円/年(補助なし・減価償却含)※1
導入可能
風力発電
エネルギー量
1,752MWh
石油代替効果
169k
/年
CO2 削減量
182t-C/年
検討事項
風況調査
発電量の推計
導入規模設定
経済性評価
調整事項
助成等の支援制度活用に関する申請・認可
電力会社との系統連系協議
電気主任技術者の選任
支援制度
地域新エネルギー導入促進事業 NEDO (風力発電 1500kW 以上が
採択の規模要件であるが、複合型や分散型の設定が可能である)
地域地球温暖化防止支援事業 NEDO (2つ以上の新エネルギー
の組み合わせが必要)
啓発効果及び 医王山スキー場、尐年自然の家などを訪れる市民に対してのPR
民間への展開 効果は高い。運転実績等のデータ及びコスト等を公開し、民間導
入を促進していく。
※1 金利:2%
耐用年数:17 年
保守費:設備費の 1.5%
87
とした場合
システム図(キゴ山の場合)
既
存
配
電
線
風
力
発
電
設
備
系
統
連
系
シ
ス
テ
ム
発 電
供 給
金沢市放牧場
供 給
キゴ山ふれあいの里
供 給
キゴ山少年自然の家
イメージ写真
88
②金沢市立病院における天然ガスコージェネレーション
事業概要
導入場所
について
対象
エネルギー
導入規模と
コスト
導入可能
エネルギー量
石油代替効果
CO2 削減量
検討事項
調整事項
支援制度
啓発効果及び
民間への展開
※1 金利:2%
市立病院へ太陽光発電と併せて天然ガスコージェネレーション
を導入し、電力負荷の一部及び熱負荷を賄うことにより省エネ
ルギー性及び環境保全性を高める。
導入場所;金沢市立病院
選定理由;天然ガスコージェネレーションは熱と電気をコンス
タントに利用する施設(ホテル、病院など)への導
入が適しており、非常用電源も必要とする病院を選
定した。
太陽光発電システム
都市ガス(天然ガス)コージェネレーション、または、燃料電
池によるコージェネレーション
導入規模
;太陽光発電システム(60kW 級)
選定理由
;設置可能面積から規模想定した。
導入コスト ;51 百万円
年間経費
;3.3 百万円/年(補助なし・減価償却含) ※1
導入規模
;都市ガス(天然ガス)コージェネレーション
(300kW 級)
選定理由
;病院の熱負荷の変動等を考慮して設定した。
導入コスト ;93 百万円
年間経費
;12.1 百万円/年(補助なし・減価償却含) ※2
太陽光発電
71,400kWh
天然ガスコージェネレーション 1,470,950kWh
熱利用
3,476GJ
242k /年
225t-C/年
熱・電力負荷の推計(時間別)
システム計画の構築
既存施設からの改良方法
助成等の支援制度活用に関する申請・認可
電力会社との系統連系協議
地域新エネルギー導入促進事業 NEDO
(太陽光 100kW、天然ガスコージェネ 500kW、燃料電池 50kW 以
上が補助対象)
環境調和型エネルギーコミュニティ形成促進事業(熱供給事業)
NEDO など
来院者をはじめとする市民へのPRが容易である。
運転実績、コスト、経済性を公開し、市内の病院、ホテルへの
PRを行う。
耐用年数:20年
保守費:設備費の1%
とした場合
※2 他所の事例を参考として年間経費を設備費の13%とした場合
89
システム図
イメージ写真
90
③浄水場遊休落差発電と太陽光発電
事業概要
導入場所
について
対象
エネルギー
導入規模と
コスト
導入可能
エネルギー量
石油代替効果
CO2 削減量
検討事項
調整事項
支援制度
啓発効果及び
民間への展開
新辰巳発電所ヘッドタンクから直接導水管を敷設し(改修)、末
浄水場で水力発電を行い場内の電力需要に活用する。合わせて、
敷地の有効利用として、太陽光発電システムを導入する。
導入場所 ;末浄水場
選定理由 ;水利権の影響がなく、十分な落差の確保が可能な末
浄水場の導水管を選定した。
水力発電設備
太陽光発電システム
導入規模 ;水力発電設備(370kW)
選定理由 ;導水管の落差と流量から設定
導入コスト;水力発電設備、電気設備、導水管 一式
350 百万円
年間経費 ;35 百万円(補助なし・減価償却含)※1
導入規模 ;太陽光発電システム(100kW 級)
選定理由 ;設置可能面積から規模想定した。
導入コスト;太陽光発電システム(インバータ等) 一式
85 百万円
年間経費
;5.6 百万円/年(補助なし・減価償却含) ※2
水力発電
2,974,800kWh/年
太陽光発電システム
119,000kWh/年
299k /年
322t-C/年
導水ルート
経済性の評価
取水方法
助成等の支援制度活用に関する申請・認可
電力会社との系統連系協議
中小水力発電事業 NEDO
施設前に説明表示板を設け、通行者、見学者へPRすると共に、
実績を公開していく。
※1 中小水力ガイドブック(NEF)を参考として年間経費を設備費の10%とした場合
※2 金利:2%
耐用年数:20年
保守費:設備費の1%
91
とした場合
システム図
イメージ写真
92
④城北水質管理センターにおける下水熱の周辺施設利用
事業概要
導入場所
について
対象
エネルギー
導入規模と
コスト
城北水質管理センターにおける下水熱を今後整備される周辺施
設への熱供給及び道路消雪へ活用していくもの
導入場所 ;城北水質管理センター
選定理由 ;熱利用の観点から、3箇所の水質管理センターの
うち周辺に熱需要施設の立地可能性が高く、また、
汚泥焼却廃熱の有効利用も想定できる城北水質管
理センターを選定した。
下水熱(または処理水)のヒートポンプ利用
導入規模 ;熱供給能力(6.28GJ/h)
選定理由 ;需要施設が不確定なため、支援制度の対象規模と
した。
導入コスト;需要施設が不確定であり、熱供給の配管等も不確
定のため算定不能。一般的に 20~40 円/MJ
年間経費 ;規模による
下水熱ヒートポンプシステム
44,010GJ
導入可能
エネルギー量
石油代替効果
CO2 削減量
検討事項
熱需要施設の選定
熱配送方式
熱需要バランス
調整事項
熱需要施設の規模等
1,180k /年
819t-C/年
支援制度
地域新エネルギー導入促進事業 NEDO
新世代下水道支援事業 国土交通省
啓発効果及び 熱利用の状況をPRすると共に、工場廃熱等が考えられる企業
民間への展開 へPRしていく。
93
システム図
一般家庭、事務所等
生
下
水
消雪散水
水質管理センター
汚
泥
ヒートポンプ
熱交換設備
焼
熱交換設備
却
炉
放流
下水処理水
ヒートポンプ
洗煙排水
イメージ写真
94
空調設備
など
近隣施設等
近隣施設等
空調設備
など
⑤下水消化ガスの有効利用
事業概要
導入場所
について
対象
エネルギー
導入規模と
コスト
臨海水質管理センターで発生する消化ガスを精製して、都市ガス
へ混合し需要家へ供給することにより未利用エネルギーの有効
活用を図る。
導入場所 ;臨海水質管理センター
選定理由 ;3つの水質管理センターのうち、その処理方法から
消化ガスが発生するのは臨海と城北である。城北で
は、消化ガスを汚泥焼却に活用しており、港ガスエ
ネルギーセンターに隣接している臨海水質管理セ
ンターを選定した。
下水消化ガス
導入規模 ;70 /h のガス精製装置
選定理由 ;将来的な消化ガス発生量予測に基づく段階的整備計
画による。
導入コスト;ガス精製装置、移送設備 224 百万円
(事例より計上)
年間経費 ;19.2 百万円/年(補助なし・減価償却含) ※1
導入可能
消化ガス
260,000m3
(23MJ/ )
エネルギー量 熱量
5,980GJ/年
石油代替効果
160k /年
CO2 削減量
111t-C/年
検討事項
経済性
消化ガス精製方法
調整事項
ガス事業者との調整(内部)
支援制度
新世代下水道支援事業 国土交通省など
啓発効果及び バイオガスの利用という観点からの啓発を推進する。
民間への展開
※1 耐用年数15年
保守費:設備費の1%
95
動力費:別途試算
システム図
イメージ写真
臨海水質管理センター 消化ガスタンク
96
港エネルギーセンター
⑥クリーンエネルギー自動車の公用車への導入
事業概要
導入場所
について
対象
エネルギー
導入規模と
コスト
石油および
CO2 削減率
検討事項
調整事項
公用車に、クリーンエネルギー自動車を導入し、市民・事業者
への普及啓発を図る。また、エコ・ステーションを順次設置し、
導入環境を整備していく。
導入場所 ;公用車
天然ガス自動車
ハイブリッド自動車
導入規模 ;ハイブリッド自動車 5 台/年
天然ガス自動車
15 台/年
選定理由 ;平成 13 年度導入実績を基に選定
導入コスト;天然ガス自動車
約 200 万円/台
(エブリーとして)
ハイブリッド自動車 約 250 万円/台
(プリウスとして)
年間経費 ;一般車両と差異はない
ガソリン車→天然ガス自動車
29%/台
ガソリン車→ハイブリッド自動車 50%/台
資料)(財)エネルギー総合工学研究所
公用車の入れ替え時期
車種と用途
エコ・ステーションの整備
支援制度
クリーンエネルギー自動車普及促進対策事業 NEDO
啓発効果及び 市の導入状況をPRすると共に、天然ガス自動車の試乗会やP
民間への展開 Rを行い、並行してエコ・ステーションの整備を図る。
97
イメージ写真
98
⑦太陽光発電の公園への導入
事業概要
導入場所
について
対象
エネルギー
導入規模と
コスト
市内の公園の外灯やトイレなどに照明用電源として太陽光発電
システムを設置し、市民に対する啓発普及を図る。
導入場所 ;市内の公園など
選定理由 ;小規模から容易に導入可能な太陽光発電を外灯、
トイレ、四阿へ導入し、市民への啓発を促すと共
に、防災型のシステムを構築する。
太陽光発電システム
導入規模 ;外灯(太陽光発電タイプ)150W
トイレ、四阿設置 1kW
選定理由 ;外灯は製品化されているものがありそれを活用す
る。トイレ、四阿の屋根面積から設定
導入コスト;外灯
約 150 万円/基
トイレ、四阿
約 100 万円/kW
バッテリーシステム(インバータ)
約 150 万円/台
年間経費 ;保守費は設備費の 1%程度
保険料・減価償却は別途
導入可能
規模、台数による。
エネルギー量
119 kWh/年・㎡
石油代替効果
11.5 /年・㎡
CO2 削減量
12.4 kg-C/年・㎡
検討事項
防災用システムの詳細
バッテリーの耐久性
調整事項
公園管理との調整
支援制度
都市公園事業費補助 国土交通省
地域地球温暖化防止支援事業 NEDO
啓発効果及び 啓発効果の高い公園でのPRを行い、そのコスト等を企業等へ
民間への展開 PRし、導入を促進する。
99
システム図
イメージ写真
100
⑧太陽光発電の学校への導入
事業概要
導入場所
について
対象
エネルギー
導入規模と
コスト
市内の小・中学校へ太陽光発電システムを導入し、児童・生徒
の環境教育に役立てていこうとするものである。また、学校は
災害時の避難場所となっていることから、防災用電源としての
活用も検討する。
導入場所 ;市内小・中学校
選定理由 ;太陽光発電は導入が容易であり、啓発と教育の効
果がもっとも高いのが学校である。
太陽光発電システム
導入規模 ;太陽光発電システム(10kW)
選定理由 ;エコスクール事業の規模要件が 10kW であること、
住宅用ユニットの最大規模であることから
導入コスト;太陽光発電システム(インバータ等) 一式
8,500 千円/箇所
年間経費 ;557 千円/年(補助なし・減価償却含) ※1
太陽光発電
11,900kWh/年・箇所
導入可能
エネルギー量
石油代替効果
1.1k /年
CO2 削減量
1.2t-C/年
検討事項
太陽電池の設置可能面積の調査
電力負荷の推計(時間別)
システム計画の構築
既存施設からの改良方法
調整課題
助成等の支援制度活用に関する申請・認可
電力会社との系統連系協議
支援制度
エコスクール事業 文部科学省 など
啓発効果及び 表示装置を設置し、学校教育へ組み入れることにより、環境教
民間への展開 育の一環としての推進を行い、学校から家庭へ、家庭から企業
へとネットワークを拡大していく。
※1 金利:2%
耐用年数:20年
保守費:設備費の1%
101
とした場合
システム図
イメージ写真
102
4.3
スケジュール
国の「長期エネルギー需給見通し」、「金沢市環境基本計画」における地球温暖化防止などの目標年次である2010年をひとつ
の区切りとして、モデルプロジェクトのスケジュールを表 4.3-1に示す。
表 4.3-1
2002年~2005年
プロジェクトの内容
2006年~2010年
調査
①山間部スポーツレクリエーショ
ンゾーンにおける風力発電
設計
調査
②金沢市立病院における
天然ガスコージェネレーション
③浄水場遊休落差発電と
太陽光発電
モデルプロジェクトのスケジュール
設計
調査
設計
導入
⑤下水消化ガスの有効利用
導入
⑥クリーンエネルギー自動車の
公用車への導入
導入
⑦太陽光発電の公園への導入
調査
導入
導入
④下水熱の周辺施設利用
調査
導入
設計
設計
調査
備 考
導入
⑧太陽光発電の学校への導入
103
導入
Fly UP