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鹿児島県空き家対策マニュアル

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鹿児島県空き家対策マニュアル
鹿児島県空き家対策マニュアル
【空き家問題への進め方と取組事例】
平成 28 年 4 月 改訂
鹿児島県建築・住宅行政連絡協議会
目
次
はじめに -----------------------------------------------------------------------------1
第1章.本県における空き家の現状と課題
1
県内の状況 ----------------------------------------------------------------------2
2
空き家発生の要因 ----------------------------------------------------------------6
3
空き家問題の整理 ----------------------------------------------------------------7
4
空き家問題の類型 ----------------------------------------------------------------8
5
空家等対策の推進に関する特別措置法 ---------------------------------------------9
第2章.対策事例の紹介 ---------------------------------------------------------- 11
1
空き家特措法に基づく対応 --------------------------------------------------- 12
2
調査 ----------------------------------------------------------------------- 28
3
条例 ----------------------------------------------------------------------- 34
4
情報提供 ------------------------------------------------------------------- 41
5
活用 ----------------------------------------------------------------------- 45
6
除却 ----------------------------------------------------------------------- 62
7
管理 ----------------------------------------------------------------------- 70
第3章.空き家対策の体制整備 ---------------------------------------------------- 75
庁内連携と関係団体との連携体制 ------------------------------------------------ 75
第4章.空き家相談事例と相談窓口 ------------------------------------------------ 77
1
空き家相談事例(Q&A) ----------------------------------------------------- 77
2
空き家に関する専門相談窓口 ------------------------------------------------- 85
3
空き家対策に係る自治体の相談窓口 ------------------------------------------- 87
資料
1
空家等対策の推進に関する特別措置法 ----------------------------------------- 90
2
空家等対策の推進に関する特別措置法の施行期日を定める政令 ------------------- 95
3
空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針 ----------- 96
4
「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針 -------- 112
はじめに
本県の空き家の総数は、「平成 25 年住宅・土地統計調査」では、約 15 万戸と推計されています。
空き家は全国的にも増加傾向にあり、県内では人口や世帯数の減少に伴い、今後も空き家の増加は
続くと考えられます。また、空き家には、利活用の方向性が定まっていないものも多く、さらには、
日常的な管理が不十分となっているものもあります。
適切な管理がされず、放置されたままの空き家は、老朽化による屋根材等の飛散、不審者の侵入、
ゴミの放置など防災・防犯・衛生・景観等の面で問題を生じさせる恐れがあります。
県においては、市町村への支援として、空き家バンク・移住支援策の紹介や国の空き家調査の手引
きなどを周知するとともに、空き家対策に係る研修や意見交換を行うなどの取組を行っています。
また、県内の市町村においては、国の交付金等を活用し、空き家の借上・改修や除却により公的住
宅や駐車場等として活用したり、解体撤去の経費の一部を助成するなどの取組が行われています。
空き家対策については、人口の減少、高齢化の進行等多様な要因が指摘され、また、犯罪や火災、
景観・生活環境の悪化など、管理不全の空き家が及ぼす影響は多岐にわたる困難な問題となっている
ことを踏まえると、地域に身近な市町村が単独で対応するには困難な面もあり、県も含めて関係機関・
関係者が連携して取り組むことが肝要であることから、平成 26 年 3 月 11 日には県議会から知事に「空
き家対策」に関する政策提言がなされました。この中で、市町村における空き家対策を支援するため、
空き家対策マニュアルの策定が提案されています。
また、平成 26 年 11 月 27 日に公布された「空家等対策の推進に関する特別措置法」において、市
町村は、空家等対策計画の作成並びに実施その他空家等に関する必要な措置を適切に講ずるよう努め
るものとされ、県は、当該市町村に対する情報の提供及び技術的な助言、市町村相互間の連絡調整、
その他必要な援助を行うよう努めることが定められています。
このようなことから、県・市町村で構成する「鹿児島県建築・住宅行政連絡協議会」においては、
空き家問題への進め方と取組事例等をまとめた手引きとして「空き家対策マニュアル」を作成するこ
とにしました。
本マニュアルでは、まず、空き家問題にかかる現状を共通の認識とするため、空き家に関する各種
データや空き家発生の背景等をまとめ、次に、県内における空き家の適正管理条例の施行状況や、空
き家再生等推進事業による活用・除却の具体的な対策事例を紹介しています。
また、予防策や対策の基本となる、住民意識の啓発や実態調査、庁外の連携等について体制づくり
の必要性を記載しました。
本協議会会員である県内市町村においては、本書を活用していただき、空き家問題解決への具体的
対策へとつなげていただきたいと思います。
1
第1章
1
空き家の現状と課題
県内の状況
(1)空き家数および空き家率の推移
総務省が平成 25 年に実施した住宅・土地統計調査によると、近年、空き家数は増加しており、全
国の空き家率は 13.5%、鹿児島県の空き家数は、15 万戸で、空き家率は 17.0%となっており、鹿
児島県の空き家率は、平成 10 年以降、全国平均を上回っています。
図 1-1 鹿児島県の空き家数と空き家率の推移
空き家数(鹿児島県)
戸
空き家率(鹿児島県)
空き家率(全国)
17.0
160,000
15.3
140,000
13.1
120,000
11.3
100,000
11.2
11.5
8.6
12.2
7.6
80,000
60,000
4.0
40,000
5.5
9.8
63年
平成5年
13.5
11.4
8.2
2.5
6.3
20,000
2.1
3.5
昭和38年
43年
0
9.4
13.1
5.0
48年
53年
58年
10年
15年
20年
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
(%)
25年
(出典:総務省「各年住宅・土地統計調査」)
(2)種類別空き家の状況
住宅・土地統計調査では、空き家を 4 つに分けています(表 1-1)が、賃貸用と売却用は活
用が明確となっているため同じ括りとして扱います。
平成 25 年の空き家種類別割合の推移(図 1-2)をみると、全国では、「その他の住宅」が
56.1%、次いで、「賃貸売却用の住宅」が 38.8%を占めています。一方、鹿児島県では、「そ
の他の住宅」が 64.8%、次いで、「賃貸売却用の住宅」が 32.1%を占めています。全国と比
べて、「その他の住宅」の空き家が多い点が特徴です。
平成 20 年と 25 年の鹿児島県の空き家種類別件数(図 1-3)を比較すると、「その他の住宅」
が、1.27 倍の増加と著しい伸びを見せていますが、「賃貸売却用の住宅」は 0.92 倍と減少し
ています。
表 1-1 空き家の種類
種
類
内
容
賃貸用の住宅
新築・中古を問わず賃貸のために空き家になっている住宅
売却用の住宅
新築・中古を問わず売却のために空き家になっている住宅
二次的住宅
別荘及びその他(たまに寝泊まりする人がいる)住宅
その他の住宅
賃貸又は売却の予定がなく、別荘等でもない空き家であり、転勤・入院など
のため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や、建て替えなどのために取り
壊すことになっている住宅など
(出典:総務省「住宅・土地統計調査」)
2
図 1-2 鹿児島県の空き家種類別割合の推移
賃貸売却用
その他
0%
別荘・二次的住宅
別荘・二次的住宅
20%
40%
その他
賃貸売却用
60%
80%
64.2%
昭和58
2.4%
53.8%
昭和63
平成5
2.6%
60.0%
平成10
平成15
58.2%
平成20
57.7%
34.6%
7.1%
34.7%
39.3%
2.9%
3.1%
56.1%
全国
37.9%
5.5%
64.8%
平成25
5.0%
※全国の統計は平成 25 年の統計内容です。
33.4%
41.3%
4.9%
59.5%
100%
32.1%
38.8%
(出典:総務省「各年住宅・土地統計調査」)
図 1-3 鹿児島県の空き家種類別件数の推移
賃貸売却用
その他
戸
別荘・二次的住宅
その他
別荘・二次住宅
賃貸売却用
160,000
140,000
0.92 倍
120,000
47,200
51,100
80,000
33,400
18,300
20,000
3,800
30,900
31,700
7,600
1.27 倍
4,900
60,000
40,000
4,600
36,900
100,000
4,000
95,500
2,200
75,000
1,300
35,100
43,500
49,800
53,600
昭和58
昭和63
平成5
平成10
61,900
0
平成15
平成20
平成25
(出典:総務省「各年住宅・土地統計調査」)
3
空き家の種類別戸数の推移(鹿児島県)及び空き家率(鹿児島県,全国)の推移
(出典:総務省「各年住宅・土地統計調査」より)
鹿児島県内の 21 市町別空き家率
(出典:総務省「平成 25 年住宅・土地統計調査」より)
4
5
2
空き家の発生の要因
(1)人口減少を伴う高齢化の進行
本県の総人口は既に減少傾向にあり、今後は総世帯数も減少していくことが予測されています。
また、高齢化率は、全国より高い値で進行しており、65 歳以上の高齢率は平成 32 年には、32%に達
すると予測されています。こうしたことから、居住者の高齢化に伴い、病院や施設への入所などを
契機として空き家が発生すると可能性があります。
図 1-4 鹿児島県の将来人口
鹿児島県の総人口
鹿児島県の高齢化率
全国平均の高齢化率
千人
2,500
40%
35.5% 36.3%
2,044
2,000
34.4%
1,963
32.4%
1,854
1,500
31.8%
29.4%
30.5%
1,819 1,798 1,794 1,786
1,753 1,706
29.2%
1,729 1,724 1,785
1,650
1,588
26.5%
1,522
24.8%
1454
26.9%
22.6%
23.0%
19.7%
16.6%
1,000
10.1%
11.5%
12.7%
14.2%
10.3%
33.7%
35%
30%
25%
1385
20.2%
20%
17.3%
14.5%
15%
12.0%
10%
500
5%
0%
0
昭和30 35
40
45
50
55
60
平成2
7
12
17
22
27
32
37
42
47
(年)
出典:国立・社会保障人口問題研究所「将来人口推計(平成 25 年 3 月推計)
」
(2)世帯数の減少
国立・社会保障人口問題研究所の推計結果(H26 年 4 月推計)
(図 1-5)では、今後は、世帯数も
減少すると予測されています。人口減少ならびに世帯数の減少により、多くの空き家が発生する可
能性があります。
図 1-5 鹿児島県の将来世帯数
千人
800
700
600
500
400
300
200
100
0
432
454
昭和30 35
474
498
40
45
539
50
587
55
624 643
674
60 平成2 7
714
12
723
17
727
22
724
27
707
32
683
655
622
37
42
47
(年)
出典:国立・社会保障人口問題研究所「将来世帯数推計(平成 25 年 3 月推計)
」
6
3
空き家問題の整理
空き家の増加に伴い、近年、全国各地で「空き家問題」が起こっています。一般的に、空き家問題
は、
「防災上の問題」
「防犯上の問題」
「風景・景観上の問題」
「環境衛生上の問題」
「地域活性化の問題」
の 5 点から整理することができます(表 1-2)。
空き家問題の具体的な内容については、以下のとおりです。
表 1-2 主な空き家問題の内容
主な空き家問題
内
容
・空き家が老朽化し、倒壊事故が発生
防災上の問題
・強風等による空き家の屋根や外壁材等の落下、飛散事故が発生
・放火などによる空き家での火災や延焼事故が発生
・空き家への不審者の侵入や不法滞在等が発生
防犯上の問題
・「空き家があると不安」など空き家に関連する住民からの相談が増加
・空き家敷地内にゴミが放置・投棄され、異臭や害虫が発生
風景・景観上の問題
・空き家敷地内での雑草繁茂、樹木の越境に対する住民からの相談が増加
環境衛生上の問題
・著しく破損、腐食等が生じている空き家が周辺の良好な景観を害している
地域活性化の問題
・使われず放置された空き家が多く、地域の活性化に支障を来たしている
出典:国土交通省住宅局住環境整備室「空き家の有効活用等の促進に関するアンケート調査結果
平成 24 年 3 月」
(1)空き家がもたらす外部不経済
空き家は長期間放置され老朽化すると、周辺地域に様々な問題をもたらすおそれがあります。国
土交通省が全国の市町村に対し実施した調査によると、迷惑土地利用(管理水準の低下(雑草繁茂
等)した空き家や空き店舗)の発生により生じる周辺の地域や環境に対する影響として、
「風景・景
観の悪化」のほか、「防災や防犯機能の低下」「ゴミなどの不法投棄等を誘発」等、様々な影響が挙
げられています。(図 1-6)
図 1-6 迷惑土地利用の発生により生じる周辺の地域や環境に対する影響(複数回答)
風景・景観の悪化
防災や防犯機能の低下
ゴミなどの不法投棄等を誘発
火災発生を誘発
悪臭の発生
市区町村数
その他
0
50
100
150
200
250
300
350
<主な「その他」記入回答>
• 蚊、蝿等害虫、ねずみ発生誘発/野良猫の繁殖
• 建物の倒壊/落下物による危険の増大/屋根材(瓦等)の落下の危険性の発生/強風、積雪、地震等
による倒壊/近隣の子供が怪我をしそうになった
• 周囲の住環境の悪化/大気汚染/樹枝の越境/隣接地へ草が侵入する/大量の落ち葉
• 積雪による倒壊の危険/冬期間堆積した雪で空き屋がつぶれたり、落ちた雪で周囲に被害を及ぼす/
災害発生時の崩壊への不安
• ホームレス 等
出典:国土交通省「地域に著しい迷惑(外部不経済)をもたらす土地利用の実態把握アンケート」
7
4
空き家問題の類型
空き家問題は多種多様ですが、活用されない状態が長く続き、管理が不十分になってしまうことが、
多くの問題を発生させていると考えられます。そこで、空き家問題を考えるため、
「管理状態の程度」、
「所有者等の意向」によって空き家を分類します。
■空き家の管理状況等
空き家となった直後や、現状は活用されていないが管理はされている状態の空き家は、倒壊等
の危険な問題は発生しにくいと言えます。
この段階の空き家は、①活用の意向がある空き家(活用空き家)と、②活用する意向が不明確
な空き家(不明空き家)に分けられます。
当初は売却等を想定していても、買い手・借り手が現れなかったり、値段の折り合いが付かな
かったりする場合は、活用の意向を失ってしまう場合もあります。また、所有者等が死亡するこ
とで活用の意向が失われる場合もあります。
管理不全な状態が続くと、老朽化が進むため、家そのものの価値が下がり、売却や賃貸等の活
用が難しくなるだけでなく、景観や環境衛生上の問題へ発展するおそれがあります。さらに強風
等で外壁材等が飛散したり、倒壊事故を起こしかねない危険な状態になる場合があります。
特に、②不明空き家の多くは、活用される意向が所有者等に無いため、管理不全に陥りやすい
と考えられます。
管理状態が悪化した空き家も、所有者等の意向によって状況が異なります。活用する意向はあ
るのに、事情があるために管理不全になってしまっている空き家(③事情空き家)と、活用する
意向が無く放置された、管理不全の空き家(④放置空き家)です。
たとえば、③事情空き家が、所有者等の死亡等により相続され、多数の相続人の間で活用・処
分の方針が決まらなかったり、相続を放棄されたりする場合もあります。④放置空き家は、そも
そも所有者等が不明だったり、相続したけれども管理意識が希薄だったりするため、問題の解決
が進みにくいことが予想されます。
表 1-3 空き家の類型
空き家類型
①活用空き家
②不明空き家
③事情空き家
④放置空き家
具体的なイメージの例
すぐに活用が可能な空き家
・賃貸用や売却用として住宅市場に出回っているもの
所有者等の活用意向が不明な空き家
・親から住宅を相続したが、仏壇などがあるため賃貸に出さないもの
・年に数回親戚が集まるため、普段は物置等とされているもの
・所有者等が死亡のため空き家になったばかりで、管理状態は良いの
に活用する人が現れていないもの
さまざまな事情から、管理できていない空き家
・賃貸や売却目的はあるが、所有者等が遠方に居住しているため管理
がおろそかになっているもの
・所有者等の高齢化により管理ができなくなっているもの
放置されているだけの空き家
・所有者等が不明のもの
・所有者等が遠方にいるため、問題を認識していないもの
8
活用
意向
管理
状況
○
○
×
○
○
×
×
×
5
空家等対策の推進に関する特別措置法
適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を
及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保
全を図り、あわせて空家等の活用を促進する目的で、国は「空家等対策の推進に関する特別措置法
(以下このマニュアルにおいては「法」といいます。)」を制定し、平成 26 年 11 月 27 日に交付しま
した。(図 1-7)
法のうち、国による基本指針の策定や、市町村による空家等対策計画の策定など一部の規定につ
いては、平成 27 年 2 月 26 日に施行され、市町村が倒壊のおそれのある空家等への立入調査や、撤
去や修繕の勧告等をできる権限や所有者等への罰則などに関する規定については、同年 5 月 26 日に
施行されています。
法が一部施行された平成 27 年 2 月 26 日には、国土交通省と総務省から法第 5 条の規定に基づき
「空家等に関する施策を総合的かつ計画に実施するための基本指針」
(以下このマニュアルにおいて
は「指針」といいます。
)が公表されています。
今後市町村が実施する空き家対策については、この指針に基づき、法第 6 条第 1 項の規定による
「空家等対策計画」を策定して行うことが必要となります。
なお、そのまま放置すれば倒壊等、保安上危険となるおそれのあるなどの「特定空家等」の是正
措置等について、法 14 条第 14 項の規定に基づき国が定めることとされている指針(ガイドライン)
については、平成 27 年 5 月 26 日に決定されています。
本マニュアルに掲載している事例については、法の施行前から実施しているものもあります。
活用にあたっては、巻末に掲載した法、指針及び最新の情報をご確認ください。
【法の施行に係るこれまでの経緯について】
平成26年11月27日
空家等対策の推進に関する特別措置法
平成27年
同法一部施行
2月16日
公布
(第9条第2項~第5項及び第14条・第16条を除く)
同
平成27年
日
5月16日
基本指針の決定
同法完全施行
(第9条第2項~第5項及び第14条・第16条のみ)
同
日
ガイドラインの決定
9
図 1-7 空家等対策の推進に関する特別措置法の概要(国土交通省)
10
第2章
対策事例の紹介
この章では、
「法に基づく対応」
「調査」
「条例」
「情報提供」
「活用」
「除却」
「管理」の 7 つに分けて、
具体的な対策事例を紹介します。また、市町村に寄せられる空き家相談事例、空き家対策に関連する
制度やその活用事例を紹介します。
■空き家問題における対応のインデックス
空き家問題への対応
空家等対策計画の策定について知りたい。
法7条に基づく協議会の組織について知りたい。
対策事例
【法に基づく対応】
空き家実態調査方法が知りたい。
空き家問題を引き起こすような危険度の高い家を把握するための調査方法を知
りたい。
住民へ空き家に関する行政の方針を周知し、管理不全の空き家の所有者等に対す
る指導等を円滑に進めたい。
空き家の管理不全により良好な景観や生活環境等が阻害されることを防止する
ための対策等について、空き家管理条例の制定等を行いたい。
地域住民の空き家に対する問題意識を高めたい。
住民意識の醸成を図り、地域住民と協働していきたい。
【調
査】
【条
例】
【情報提供】
空き家所有者等や空き家を探している売買や賃貸を考えている方に不動産情報
を提供したい。
郊外の住宅団地において、地域のニーズを把握し、情報提供や相談体制を整え、
空き家の流通や活用を促進したい。
市町村外から移住を希望する相談者へ住宅を確保できるよう、行政で空き家の物
件情報を公表し、仲介支援を行うことで定住促進を図りたい。
地域の活性化を図るため、空き家を利用した交流施設等を整備し、地域を活性化
させたい。
【活
用】
【除
却】
【管
理】
歴史的な街なみがあるのに、老朽化した空き家が景観を悪化させているので、修
景整備によって、地域にゆとりと潤いを取り戻したい。
空き家の増加により地域のコミュニティが衰退しているので、空き家を取得し、
定住希望世帯を対象にその改修費の一部を支援したい。
住宅確保が難しい高齢者等(住宅確保要配慮者)の世帯向けに空き家を活用した
いので、改修等にかかる費用の一部を支援したい。
不良な住宅があっても、所有者等が除却費を捻出できずに放置されているので、
除却費用の一部を支援したい。
住宅が密集した地区で建替えが進まず、老朽化した空き家が増えているので、空
き家の除却とその後の利活用により住環境や防災機能を向上させたい。
空き家の管理不全により良好な景観や生活環境等が阻害されることを防止する
ための対策等について、交付金等を活用した除去の実施を支援したい。
空き家を有効的に活用したい。
老朽化した空き家が景観を悪化させているので、定期的な管理を行い、景観整備
を図りたい。
11
1
空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく対応
(1)空家等対策計画
空家等対策計画については、法第6条において、
「市町村は、その区域内で空家等に関する対策
を総合的かつ計画的に実施するため、基本指針に則して、空家等に関する対策についての計画を
定めることができる。」と規定されています。市町村による空家等対策計画の策定は義務ではあり
ませんが、同法第5条による基本指針では、
「空家等対策を効果的かつ効率的に推進するためには、
各市町村において、空家等対策を総合的かつ計画的に実施するための計画を定めることが望まし
い。」とされ、多様に渡る空き家問題の対策に取り組んでいくためには、例えば、計画期間内に重
点的に対策を行う施策や地区を計画に定めるなど、各市町村の実状に応じた空家等対策方針を住
民に周知する観点から、計画を策定することが望ましいとされています。
また、計画を定めるに当たっては、市町村における空家等対策の全体像を住民が容易に把握す
ることができるようにするとともに、空家等の適切な管理の重要性及び管理不全の空家等がもた
らす諸問題について広く住民の意識を涵養するように定めることが重要とされています。
法第6条第2項では、空家等対策計画には次の項目を定めなければならないとされています。
一
空家等に関する対策の対象とする地区及び対象とする空家等の種類その他の空家等に関す
る対策に関する基本的な指針
二
計画期間
三
空家等の調査に関する事項
四
所有者等による空家等の適切な管理の促進に関する事項
五
空家等及び除却した空家等に係る跡地の活用の促進に関する事項
六
特定空家等に対する措置(法第 14 条第1項の規定による助言若しくは指導、同条第2項の
規定による勧告、同条第3項の規定による命令又は同条第9項若しくは第 10 項の規定による
代執行をいう。)その他の特定空家等への対処に関する事項
七
住民等からの空家等に関する相談への対応に関する事項
八
空家等に関する対策の実施体制に関する事項
九
その他空家等に関する対策の実施に関し必要な事項
空家等対策計画の作成や計画に関する事項については、基本指針にも示されているところです。
本県内では、平成28年3月末現在で薩摩川内市が計画策定済となっており、今後も、ほとんどの
市町村で計画策定を予定しています。
ここでは、薩摩川内市が平成28年3月に策定した「空家等対策計画」を参考に掲載します。
12
【参考】
薩摩川内市空家等対策計画
平成28年3月
第1章 計画の概要
1
背景
⑴
計画策定の背景
近年、急激に進行する少子高齢化社会や都市部への人口移動等、社会構造のニーズや変化に
伴い、全国的に空家が増加し、空家が及ぼす影響は多岐にわたり、大きな社会問題として顕在
化してきている。
とりわけ、空家になったにもかかわらず適切な管理が行われないまま放置されている状態の
空家は、老朽化等による倒壊や放火などによる火災、不法投棄による公衆衛生の悪化など、防
災・防犯・安全・環境・景観保全等の面で市民生活に悪影響を及ぼすことが懸念されており、
早急な解決が求められている。
このようなことから、国は、この空家問題の抜本的な解決策として平成27年2月26日に
「空家等対策の推進に関する特別措置法」
(以下「空家等特別措置法」という。)を施行し、空
家等について、各自治体に立入調査等の権限を付与し、所有者に修繕や撤去などの勧告、命令
を行えるほか、最終的に行政代執行による撤去もできることを定めた。
また、本市においても、市民等の生命、身体又は財産の保護及び生活環境の保全を図るとと
もに、空家等の活用を促進し、もって安全・安心なまちづくりを推進するために、平成27年
9月30日に「薩摩川内市空家等対策の推進に関する条例」
(以下「空家等対策条例」という。)
を施行したところである。
これらの経緯を踏まえ、空家等の適性管理や利活用の促進等の対策を総合的に推進するため
に本市が取り組むべき対策の方向性等を明確に示すことを目的として「空家等特別措置法」及
び「空家等対策条例」に基づき、薩摩川内市空家等対策計画を策定する。
⑵
本市の空家件数の現状(出展:建築住宅課による平成23年度~24年度の調査より)
13
⑶
本市の廃屋件数の現状(出展:建築住宅課による平成23年度~24年度の調査より)
全体
棟数
(空家/全体)
川内地区
47,088
樋脇地区
空き家
合計
A 判定
B 判定
C 判定
D 判定
2,275(4.8%)
99
86
155
214
554(1.2%)
7,524
315(4.2%)
8
17
21
16
62(0.8%)
入来地区
5,292
256(4.8%)
10
3
9
17
39(0.7%)
東郷地区
5,839
365(6.3%)
13
14
16
28
71(1.2%)
祁答院地区
4,302
354(8.2%)
19
12
20
30
81(1.9%)
里地区
1,348
34(2.5%)
10
0
1
4
15(1.1%)
上甑地区
1,468
234(15.9%)
12
14
0
12
38(2.5%)
下甑地区
2,315
493(21.3%)
19
47
18
26
110(4.8%)
鹿島地区
490
150(30.6%)
6
0
0
3
9(1.8%)
(廃屋/全体)
※
4,476
196
193
240
350
979(1.3%)
(5.9%)
地区災害対策調査員の予備調査を踏まえた、外観危険度(倒壊等)調査結果
○
判定に関するフローチャート
※
本調査の危険度の判定基準と、特定空家等の判断基準は異なるため、再度調査する必要が
合
計
75,666
ある。
2
計画の位置づけ
この「薩摩川内市空家等対策計画」
(以下「空家等対策計画」という。)は、空家等特別措置法
第6条の規定に基づき、地域社会の健全な維持のため、空家等に関する問題について本市が取り
組むべき対策の方向性等について、基本的な考え方を示したものであり、本市空家等対策の基礎
となるものである。
14
3
計画期間
空家等対策計画の計画期間は、平成28年4月から平成33年3月までの5年間とし、社会情
勢等の変化等必要に応じて見直していくものとする。
4
対象地区
空家等対策計画の対象地区は市内全域とする。
5
対象とする空家の種類
空家等対策計画の対象とする空家の種類は、空家等特別措置法第2条第1項に規定された「空
家等」及び第2項に規定された「特定空家等」とする。
なお、市民の生命・身体・財産の保護及び生活環境の保全等の観点から、特定空家等について
優先して対策を講じるものとする。
⑴
空家等
建築物又はこれに附属する工作物であって、居住その他の使用がなされていないことが
常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、
国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
⑵
特定空家等
そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生
上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっ
ている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあ
ると認められる空家等をいう。
6
今後の空家対策の基本的な指針
⑴
安全・安心が守られ、災害に強いまちづくり
特定空家等は、火災発生など地域住民への危険性が懸念されるため、空家等の適切な管
理を推進し、除去を推進することにより、市民が安全・安心に暮らし、災害に強いまちづくり
を目指す。
⑵
良好な環境で快適に暮らせるまちづくり
特定空家等は、周辺環境への悪影響の長期化が懸念され、多くの問題を生み出すことから、
その発生を未然に防止することで良好な住環境を維持し、市民が快適に暮らせるまちづくりを
目指す。
⑶
空家等の有効活用による活気のあるまちづくり
市が空家等の情報を管理し、相談体制を整備することにより、適切な管理、利活用の促進等
につなげ、活気あるまちづくりを目指す。なお、薩摩川内市伝統的建造物群保存条例(以下、
「保存条例」
)に基づく伝統的建造物群保存地区内の空家等については同条例を優先する。
15
7
計画の工程
平成28年度
平成29年度
共
■
通
平成30年度
す
る
平成31年度
計
平成32年度
画
空家等の相談に対する対応
・
防災安全課内が総合窓口となり、空家等の相談に対応する。相談の内容に
応じて、関係課への案内、調査を行い、特定空家等と判断された空家等から
助言・指導等の措置を講じる。
■
市内の空家
一斉調査
■
空家等データ
ベースの作成準備
■
空家等データベースの作成と運用
・
調査により、空家等データベースを作成し、特定空家等と判
断された空家等から助言・指導等の措置を講じる。
■
空家等に関する補助事業の周知
・
広報紙や市ホームページ等で本市の空家等に関する補助事業を周知する。
薩摩川内市空き家改修支援事業
薩摩川内市危険廃屋等解体撤去促進事業
薩摩川内市空き家情報登録制度
■
空家等の所有者意識の向上
・
リーフレット等を活用し、意識啓発を図る。
・
広報紙や市ホームページ等で空家等に関する記事を掲載する。
16
平成28年度
平成29年度
平成30年度
平成31年度
平成32年度
安全・安心が守られ、災害に強いまちづくり
■
補助事業の活用
・ 相談の内容に応じて、建築住宅課の薩摩川内市危険廃屋等解体撤去促進事業を
活用し、空家等の減少を図る。
■
空家等の見回り
・
地区コミュニティ協議会、自治会及び消防団との連携、防犯パトロール等で、
空家等についての状況を把握し、地域の防火・防犯に努める。
■
緊急安全措置
・
特定空家等に対しての措置のほかに、緊急性のある空家等に関しては、消防局
と連携し、必要最小限の対処をする。
良好な環境で快適に暮らせるまちづくり
■
環境の改善
・
薩摩川内市環境美化推進条例に基づき、雑草繁茂等周辺環境への悪影響を与え
ると思われる事案について、土地の占有者等に対して連絡等を行う。
空家等の有効活用による活気のあるまちづくり
■
補助事業の活用
・ 相談の内容に応じて、企画政策課の薩摩川内市空き家改修支援事業や薩摩川内
市空き家情報登録制度を活用し、空家等の利活用を図る。
■
空家等を活用した定住促進の推進
・ 空家等を活用した、定住促進についての相談体制を整備する。
■
入来麓伝統的建造物群保存地区の保全
・ 空家等になり得る伝統的建造物について、保全と利活用を目
的とした相談体制を整備する。
17
第2章 空家等の調査
1
趣旨
市民からの情報提供や、市の調査により作成したデータベースを基に把握した管理不全な状態
にある空家等に立入調査を行うとともに、助言・指導等により所有者等に自らの責任において適
正な維持管理を促すため、所有者等を確認するための調査を行う。
2
立入調査
⑴
管理不全な状態にある空家等の敷地内に立ち入り、必要な調査を行う。
⑵
所有者等に質問し、必要な報告を求める。
3
所有者等の確認
⑴
当該空家等の近隣住民や関係者等から情報収集を行う。
⑵
登記情報等で、事実確認を行う。
⑶
所有者が死亡し、相続登記未了の場合は、戸籍情報で相続人の確認を行う。
⑷
調査結果に基づき、該当者に通知し、所有者等を確定する。
4
所有者等が確認できない場合
⑴
未登記の空家等
ア
所有者等確認のため、空家等特別措置法第10条第1項の規定に基づき、固定資産税
情報のうち所有者等に関する情報を共有し、所有者等の確認を行う。
イ
固定資産税情報で所有者等を確定できない場合は、所有者不明の空家等と判断する。ただ
し、その場合においても、継続して所有者等を特定するよう努める。
⑵
所有者不存在の確認
ア
法定相続人が相続放棄した場合、固定資産税情報のうち所有者等に関する情報を共有
し、法定相続人全員の相続放棄の事実について確認する。
イ
固定資産税情報で相続放棄の事実が確認できない場合は、家庭裁判所に相続放棄の事
実を照会する。
ウ
法定相続人全員の相続放棄が確認された場合は、所有者不存在の空家等とする。
エ
これらの方法で確認できない場合は、所有者不明の空家等と判断する。ただし、その
場合においても、継続して所有者等を特定するよう努める。
⑶
所有者行方不明の確認
所有者確認のため該当者に送付した郵便が返送された場合は、所有者不明の空家等と判断す
る。ただし、その場合においても、継続して所有者等を特定するよう努める。
18
第3章 空家等の適切な管理の促進
1
趣旨
市は、個人の財産である空家等の管理について、所有者等が自ら行うことが原則であることの
理解を改めて促し、空家等が管理不全な状態になることを未然に防止するための対策を進めてい
くものとする。
2
相談体制の整備
市は、空家等に関する相談窓口を防災安全課内に設置し、相談には同課危機管理グループ職員
が適切に対処する。
⑴
職員のスキルアップ
空家等に関するあらゆる相談に適切に対応するため、国、鹿児島県等が主催する説明会及び
関係機関が実施する研修会等に積極的に参加することにより、担当職員のスキルアップを図
る。
⑵
鹿児島県、薩摩川内市空家等対策協議会及びその他関係機関との連携
空家等に関するあらゆる相談に適切に対応するため、対応が困難な事例等については、県、
薩摩川内市空家等対策協議会(以下「空家協議会」という。)及びその他関係機関と連携し対
応する。
3
所有者等の意識の向上
市は、特定空家等の発生を未然に防ぐため、所有者等の意識の向上に努める。
⑴
所有者等への意識啓発
市は、リーフレットやチラシ、広報紙及び市ホームページ等を通じて、空家等の管理につい
て所有者等への意識啓発に努める。
⑵
情報提供による支援
市は、リーフレットやチラシ、広報紙及び市ホームページ等を通じて、
「空家等特別措置法」
及び「空家等対策条例」を周知し、空家の所有者等に対し、市が実施している「薩摩川内市空
き家改修支援事業補助金」及び「薩摩川内市危険廃屋等解体撤去促進事業補助金」についての
情報提供を行う。
第4章 特定空家等に対する措置及びその他の対処
1
趣旨
市は、空家等について、必要な措置を講じることによって、市内の防災・防犯・安全・環境・
景観保全等の維持に努めるものとする。
19
2
措置の対象
市は、市内の空家等のうち地域住民の生命・身体・財産の保護及び生活環境の保全等のため、
特定空家等から優先して措置を行うものとする。措置については、「特定空家等に対する措置」
に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)に基づき、実施するものとする。
また、措置を講ずるか否かについて、学識経験者等の意見が必要とされる場合は、空家協議会と
協議する。
⑴
「特定空家等」の判断の参考となる基準
ア
そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
イ
そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
ウ
適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
エ
その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
※
上記ア~エの具体的な判断基準は、別紙『特定空家等に関する具体的な判断基準(「特定空
家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)(平成27
年5月26日国土交通省公表)抜粋)』とする。
⑵
「措置の対象」の判断の参考となる基準
周辺の建築物や通行人等に対し悪影響をもたらすおそれがあるか否か
イ
悪影響の程度と危険性の切迫性
3
ア
措置の実施
⑴
助言・指導
市長は、空家等特別措置法第14条第1項の規定に基づき、特定空家等の所有者等に対して、
適切な管理のために必要な措置を講ずるよう助言・指導を行う。
⑵
勧告
市長は、助言・指導を行っても改善が見られない場合は、空家等特別措置法第14条
第2項の規定に基づき、適切な管理のために必要な措置を講ずるよう勧告を行う。
⑶
命令
ア
市長は、勧告を行っても改善が見られない場合で、著しく管理不全な状態であると認
めたときは、空家等特別措置法第14条第3項の規定に基づき、所有者等に対して相当
な猶予期限を定めて必要な措置を講ずるよう命じる。
イ
命令を実施する場合においては、空家等特別措置法第14条第4項の規定に基づき、
あらかじめ、その措置を命じようとする者又はその代理人に対し、意見書及び自己に有
利な証拠を提出する機会を与える。
⑷
行政代執行
ア
市長は、命令を行っても改善が見られない場合は、空家等特別措置法第14条第9項
の規定に基づき、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の規定に基づき、所有者等
に代わり、当該空家等の除却等必要な措置を講ずる。
20
イ
4
この措置に要した費用については、当該所有者等に請求する。
所有者不明の特定空家等について
市長は、過失がなくて、所有者等を確知できない所有者不明の特定空家等について、空家
等特別措置法第14条第10項により、代執行を行うことができる。これにより代執行を行
う場合、事前の公告等を行う。
5
税制上の措置について
市は、本章で掲げる「勧告」の対象となった特定空家等については、住宅用地に係る固定
資産税の課税標準の特例措置から除外されることを留意し、所有者等に対して周知するもの
とする。
○
住宅用地の特例措置とは
住宅やアパート等の敷地として利用されている土地(住宅用地)については、税負担を
軽減する特例措置があり、固定資産税が軽減される。
6
その他
市は、本章で掲げる措置のほか必要な対処については、空家協議会と協議したうえで実施する
ものとする。
なお、災害時等緊急の場合は、空家等対策条例第7条により、空家等の状態に起因して、人の
生命、身体又は財産に危害が及ぶことを回避するため緊急の必要があると認めるときは、これを
回避するために必要な最小限度の措置をとることができる。
第5章 空家等及び空家等の跡地の活用の促進
1
趣旨
市は、市内の特定空家等の解体により空家等の解消に努めるとともに、有効活用を促進してい
くための方策を検討する。
2
利活用可能な空家等の情報提供と利活用
市は、空家バンク事業を実施することにより、定住促進等につなげていくものとする。
また、空家バンク事業を活用した空家等の利活用について、関係機関と連携し協議していく。
○
本市の空家バンク事業とは
空家の賃貸・売却を希望する人から申込みを受けた情報を、空家の利用を希望する転入
希望者に紹介する制度で、「定住促進による地域の活性化」を図ることを目的としている。
3
補助金の活用促進
市は、「薩摩川内市空き家改修支援事業補助金」について、情報提供等を積極的に行うことで
活用を促すことにより、空家等の解消に努める。
21
4
地域交流、地域活性化の拠点としての利活用
市は、空家を地域交流及び地域活性化の拠点として利活用する方策について、関係機関等
と協議を行う。
5
空家等の跡地の情報提供と利活用
市は、空家等の跡地に関する情報の提供その他これらの利活用に関する方策について、関係機
関等と協議を行う。
第6章 空家等対策の実施体制
1
庁内の組織体制及び役割
主管課名
役割
企画政策課
コミュニティ課
空家等の活用促進、有効活用
文化課
税務課
消防局
環境課
空家等特別措置法第10条第1項の規定に基づいた固定資産税
台帳等の関係課への提供(他市町村への照会事務含む)
災害予防対策及び災害時の応急措置(緊急応急措置)
薩摩川内市環境美化推進条例に基づいた土地の占有者等に対す
る連絡等
空家等の調査
建築住宅課
空家等に関するデータベースの整備
特定空家等の判断
措置及び対処の実施
空家等に関する総合窓口
空家等の適切な管理の促進
防災安全課
空家協議会及びその他関係機関との連絡、調整
災害対策及び災害時の応急措置等
防犯、防災に関する事項
道路交通安全確保等
その他の施策全般
※
2
関係各課で連携し対応を行うものとする。
協議会
⑴
趣旨
市は、空家等特別措置法第7条第1項の規定に基づき、市協議会を設置する。
22
⑵
所掌事務
市協議会では、下記の協議を行うものとする。
空家等対策計画の作成及び変更並びに実施に関する協議
イ
空家等の適正な管理に関する事項についての協議
⑶
ア
構成
市協議会の構成については、市長のほか、地域住民代表、学識経験者計9人以内とする。
3
関係機関との連携
⑴
弁護士会・司法書士会・土地家屋調査士会・行政書士会
相続に関する相談及び調査、財産の所有権移転手続き等
⑵
宅地建物取引業協会
所有者の空家等利活用相談、空家バンクの充実等
⑶
建築士会
空家等の解体や改修の相談及び対応等
⑷
警察
危険回避のための対応等
⑸
地区コミュニティ協議会・自治会
空家情報の提供及びその跡地(空地)の利活用等
別紙・資料編(略)
23
(2)法7条に基づく協議会
法第7条において、
「市町村は、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施に関する協議を行う
ための協議会を組織することができる。」と規定されています。市町村による同条に基づく協議会
の組織は義務ではありませんが、協議会を設けることで、地域の実情をくみ取ることや専門性、
公平性が高められ、地域を挙げて空き家対策に取り組むことが期待されます。また、法第5条に
よる基本指針では、
「協議会は、法に規定されているとおり空家等対策計画の作成及び変更に関す
る協議を行うほか、同計画の実施の一環として、例えば、①空家等が特定空家等に該当するか否
かの判断、②空家等の調査及び特定空家等と認められるものに対する立入調査の方針、③特定空
家等に対する措置の方針などに関する協議を行う場として活用することも考えられる。」とされて
います。
なお、ここでは協議会を設置している霧島市の事例を掲載します。
市町村名
事業名
事業の目的
霧島市
空家特措法第7条に基づく協議会の設置
協議会設置
空家特措法に基づく空家等対策計画の作成等に関する協議を行う
空家対策を総合的・計画的に実施するため、有識者等からの幅広い意見を反映させた、
透明性、客観性のある空家対策のために「霧島市空家等対策協議会」を設置した。特定
空家等に対して、法14条第2項の勧告を行う前に、協議会で協議することとしている。
また、協議会における検討事項の協議や、空家等対策に関する情報共有を図るための庁
内組織として、「霧島市空家等対策庁内連絡会」を設置した。
概
備
要
考
■URL
■担当課 建設部建築指導課 TEL:0995-64-0954
24
市町村名
取組名
事業の目的
霧島市
特定空家等判断基準
特定空家等の判断基準
特定空家等の判断基準を定めることで,円滑な指導等を実施する。
空家特措法第2条第2項による「特定空家等」は,保安上危険,衛生上有害・景観阻害
・その他の4項目が示されているが,本市ではこのうち保安上危険の状態について,判
断基準を定めた。
1
判断の流れ
基準①
空家の物的状態に係る基準
基準②
周辺への影響に係る基準
基準③
悪影響の程度と危険の切迫性
に係る基準
概
要
基準①
基準③
1/20超の傾斜
又は 不良度評点100点以上(※)
基準② 敷地境界(道路境界,隣地境界)
までの離れが軒高以下
次の3指標のいずれかに該当
指標Ⅰ : 空家の物的状態
指標Ⅱ : 周囲の状況(基準②の影響範囲)
指標Ⅲ : 立地場所
25
①
傾斜1/20超
②
ぐらつきがある
③
公道
④
人家密集地
⑤
通行量が多い
⑥
通学路がある
⑦
重点対象地区内に立地
(※)不良度評点の判断(木造)
評定区分
1
評定項目
構造 (1)基礎
一般の
程度
(2)柱
評定内容
イ 構造耐力上主要な部分である基礎が玉石であるもの
ロ 構造耐力上主要な部分である基礎がないもの
構 造 耐 力 上 主 要 な 部 分 で あ る 柱 の 最 小 径 が 7.5セ ン チ メ ー ト ル 未 満 の も の
(3)外壁又は界壁 外 壁 の 構 造 が 粗 悪 な も の 又 は 各 戸 の 界 壁 が 住 戸 の 独 立 性 を 確 保 す る た め 適 当 な 構 造 で な い も の
(4)床
主 要 な 居 室 の 床 の 高 さ が 45セ ン チ メ ー ト ル 未 満 の も の 又 は 主 要 な 居 室 の 床 が な い も の
(5)天井
主 要 な 居 室 の 天 井 の 高 さ が 2.1 メ ー ト ル 未 満 の も の 又 は 主 要 な 居 室 の 天 井 が な い も の
(6)開口部
主要な居室に採光のために必要な開口部がないもの
2 構造の (1)床
腐朽又
は破損
の程度 (2)基礎、土台、
柱又ははり
イ 根太落ちがあるもの
ロ 根太落ちが著しいもの又は床が傾斜しているもの
イ 柱が傾斜しているもの、土台又は柱が腐朽し、又は破損しているもの等小修理を要するもの
ロ 基礎に不同沈下のあるもの、柱の傾斜が著しいもの、はりが腐朽し、又は破損しているも
の、土台又は柱の数ケ所に腐朽又は破損があるもの等大修理を要するもの
評点
(3)外壁又は界壁 イ 外 壁 又 は 各 戸 の 界 壁 の 仕 上 材 料 の 剥 は く 落 、 腐 朽 又 は 破 損 に よ り 、 下 地 の 露 出 し て い る も の
ロ 外壁又は各戸の界壁の仕上材料の剥はく落、腐朽又は破損により、著しく下地の露出してい
るもの又は壁体を貫通する穴を生じているもの
25
イ 屋根ぶき材料の一部に剥はく落又はずれがあり、雨もりのあるもの
15
ロ 屋根ぶき材料に著しい剥落があるもの、軒の裏板、たる木等が腐朽したもの又は軒のたれ下
がったもの
25
ハ 屋根が著しく変形したもの
イ 防火上必要な防火壁、各戸の界壁、小屋裏隔壁等が不備であるため防火上支障があるもの
50
10
20
10
ロ 防火上必要な防火壁、各戸の界壁、小屋裏隔壁等が著しく不備であるため防火上危険がある
もの
20
屋根が可燃性材料でふかれているもの
10
10
20
(4)屋根
3 防火上 (1)外壁
又は
避難上
の構造 (2)防火壁、界壁
の程度 等
(3)屋根
イ 延焼のおそれのある外壁があるもの
ロ 延焼のおそれのある外壁の壁面数が3以上あるもの
(4)廊下、階段等 イ 廊 下 、 階 段 等 の 避 難 に 必 要 な 施 設 が 不 備 で あ る た め 避 難 上 支 障 が あ る も の
ロ 廊下、階段等の避難に必要な施設が著しく不備であるため避難上危険があるもの
(備考)一の評定項目につき該当評定内容が2又は3ある場合においては、当該評定項目についての評点は、該当評定内容に応ずる各評点のうち最も高い評点とする。
2
対象地区
○ 空家対策の対象地区
霧島市全域
○ 重点対象地区
人口集中地区(DID地区)
国立公園(自然公園区域)
霧島市景観計画における育成地区(候補地含む)
3 特定空家等に対する指導の流れ
26
50
50
100
15
ハ 基礎、土台、柱又ははりの腐朽、破損又は変形が著しく崩壊の危険のあるもの
最高評点
10
20
20
25
10
10
10
10
15
25
100
50
備
考
■URL
■担当課 建設部建築指導課 TEL:0995-64-0954
27
2
調査
どのような地域に、どのような空き家が存在するのかを把握することが、空き家問題の対策を考
える第一歩となります。
法第 9 条においても、
「市町村長は、当該市町村の区域内にある空家等の所在及び当該空家等の所
有者等を把握するための調査その他空家等に関しこの法律の施行のために必要な調査を行うことが
できる。」ことが定められ、調査にあたっては、各市町村の区域内の空家等の所在やその状態等の把
握と併せて、所有者等がその所有する空家等をどのように活用し、又は除却等しようとする意向な
のかについても把握することが重要であるとされています(「指針」-3(1))。
また、法第 11 条においては、「市町村は、空き家等に関するデータベースの整備等のために必要
な措置を講ずるよう努める必要がある。」とされ、調査の結果については、例えば、「空家等の所在
地を一覧表にし、又は地図上に示したものを市町村内の関係部局が情報共有できる環境を整備する
こと」が重要であるとされています。
さらに、
「特定空家等に対する措置の内容及び履歴についても併せて記載する等により、継続的に
把握していく必要があります。」と示されています。なお、『特定空家等』に該当するか否かを判断
する際に参考となる基準等については、国土交通大臣及び総務大臣がガイドラインにおいて別途定
めています(「指針」-3(1))。
調査の実施にあたっては、空き家の立地状況には、地域性が見られることに注意する必要があり
ます。
(1)空家等の実態把握の方法
空家等の実態把握の方法については、
「指針」-3にも示されているところですが、国が、調査
方法や危険度の高い空家等を把握するための方法の事例をまとめた手引きを作成しています。
【参考】
・「地方公共団体における空き家調査の手引き ver.1」(平成 24 年 6 月)
・「外観目視による住宅の不良度判定の手引き(案)」(平成 23 年 12 月)
・「空き家対策関係資料集」(平成 25 年 3 月)
(2)空家等の実態把握に要する費用の社会資本整備総合交付金の活用
実態把握に要する費用については、
「社会資本整備総合交付金」の活用が可能です。同交付金に
ついては、現在のところ住宅地区改良事業等計画基礎調査等の要件に適合するものは「基幹事業」、
それ以外は「効果促進事業又は提案事業」とすれば活用可能ですが、平成 27 年「空き家再生等推
進事業」が拡充され、空家等対策推進計画の策定のための必要な空き家住宅等の実態把握は基幹
事業として実施することが可能となっています。
【参考】
・空き家再生推進事業(平成 27 年度拡充)【基幹事業】
・住宅地区改良事業等計画基礎調査事業【基幹事業】
・住宅・建築物安全ストック形成事業【基幹事業】
・【効果促進事業・提案事業】
28
(3)一
一般的な空家等の実態把握
握のフロー
step-1 調査の検討
討
調査方針
針
事前調査
査
•事前調
調査を踏まえ、目的(防犯
犯、防災、景
景観、ゴミ対策
策、活用方策
策等)に応じ
じた調査の枠
組みを
を決定
•対象と
とする空き家の種類、調査
査の方法を検
検討
•既存資
資料等を活用し、空き家の
の概略を把握
握する。→空き家率 その他
他資料
•自治会
会長から空き家の確認と情
情報等(問題
題、課題)を聴
聴取
step-2 空き家候
候補の選定(現
現地調査の準
準備)
空き家調
調査
•『①水
水道使用の情
情報』『②住 民票』『③地
地域住民からの情報』など
どから空き家
家候補を選
定し、
、空き家リス
ストを作成
の選定
定
step-33 現地調査に
による空き家
家の特定
事前準備
備
外観検査
査
•調査地
地区の区長に調査日時、方
方法等の説明
明
•地区住
住民への周知後、現地調査
査(日時の調
調整)
•ステッ
ップ-2 の空き
き家候補の現地
地調査を実施
施
•外観調
調査から空き家の状況を把
把握する→写
写真撮影
•空き家
家リストの追加、補正
•住宅地
地図をベース図として空き
き家をプロッ
ットする→GISデータ化
化の検討
プロット
step-44 空き家所有
有者等の特定
定
•『①地
地域住民等への聞き取り』
』『②不動産
産登記簿情報等
等の利用』③
③『固定資産
産課税台帳等
に記載
載された情報
の利用』によ
より空家等の
の所有者等を特
特定
所有者等
等の
特定
step-55 空き家所有
有者等への実
実態・意向調
調査
所有者等
等の
•今後の
の利活用意向を把握するた
ためのアンケ
ケート調査や聞き取り調査
査を実施
調査
29
(4)空家等の調査の方法
空き家調査の目的は、総体的な把握と空き家ストックの有効活用または空き家に係る問題解決
に大きく分類されます。
①空き家の総体的な把握
空き家がどこにどの程度あるのか、空き家の有効活用や老朽空き家の防災・防犯への課題
対応など、今後の政策を検討していくための基礎的資料を得るための調査です。
・調査対象:自治体全域または特定の地域
賃貸用の住宅や分譲マンション等を含めた全ての空家
・調査内容:区域内の空き家戸数
その他、空き家の構造、階数、所有者等の実態など
【一次的な調査表例について(参考)】
空き家調査表
地区自治公民館名 (
)地区自治公民館
自治会名
(
)自治会
自治会長名
(
)
℡(
)
下記の表にそれぞれの空き家状況を、建物ごとにご記入ください。
記入項目につきましては、該当する項目に○印をご記入ください。
また、左方の整理番号を別添の住宅地図に記入してください。
整理
番号
建物の用途
建物の階数
建物の構造
ア
住宅
ア
平屋
ア
木造
イ
住宅以外
イ
2階以上
イ
木造以外
1
ア
住宅
ア
平屋
ア
木造
イ
住宅以外
イ
2階以上
イ
木造以外
2
ア
住宅
ア
平屋
ア
木造
イ
住宅以外
イ
2階以上
イ
木造以外
3
経過年数
今後の活用
ア
短い
ア
有り
イ
やや長い
イ
無し
ウ
長い
ウ
不明
ア
短い
ア
有り
イ
やや長い
イ
無し
ウ
長い
ウ
不明
ア
短い
ア
有り
イ
やや長い
イ
無し
ウ
長い
ウ
不明
※「空き家の経過年数」は、空き家になってからの経過年数について以下を目安に記入してください。
経過年数 3年未満
⇒ ア 短い
3年~10年未満 ⇒ イ
やや長い
10年以上
長い
⇒ ウ
※「今後の活用」は、空き家の今後の活用について、空き家の所有者等から得られた情報により記入
してください。
(例)・今後、貸家等として活用を考えている。 ⇒ 有り
・所有者等がわからない。
⇒
30
不明
【自治会長に調査を依頼する場合の要領例について(参考)
】
調
査
要
領
1.調査の範囲
・自治会(住宅地図に表示されている範囲内)の調査をする。
2.調査対象となる空き家
・居住・活用していない公共住宅以外の民間建築物
・小規模な建築物(10 ㎡程度以下)は調査対象外
3.調査方法
・調査表に所要事項を記入し、調査表の整理番号を住宅地図に記入する。
・住宅地図に表示されていない空き家がある場合は、その空き家を住宅地図に記入する。
・建物や敷地内への立ち入りが困難な場合は、可能な範囲で調査する。
4.調査期間
・約1ヶ月程度
5.調査結果の報告
・作成した調査表及び住宅地図を同封して返送用封筒により送付する。
・該当がない場合や不明な場合も調査表にその旨記入し報告する。
Advice
あらかじめ調査表および住宅地図の記入例や Q&A を用意しておくと、調査の内容等が自
治会長にも伝わりやすいです。
また、自治会長への謝礼については、調査件数に応じて、現金、商品券や QUO カードに
よるものもあるようです。
【Q&A 参考】
・空き家となっている建物は、全て調査するの?
・小規模な建物(物置、犬小屋など)も調査するの?
・調査はどのようにして行うの?
・1棟の中で、住宅の部分と住宅以外の部分がある場合、建物の用途はどうなるの?
・調査しても分からない時は、どうしたらよいの?
31
②空き家ストックの有効活用や空き家に係る問題解決
比較的管理状況が良く使用可能な空き家、倒壊危険や周辺に被害を及ぼす危険性が高い空
き家などを把握するための二次的調査です。
・調査対象:自治体全体または特定の地域
利活用が可能な空き家、防災・防犯機能の低下、景観悪化の問題が顕在化して
いる空き家など
・調査内容:維持管理状況、所有者等の管理実態、倒壊等の危険性の程度
【二次的な調査票について(参考)
】
空き家調査表
調査日
平成
年
月
日
調査員
空家番号
所在地
所有者
〒
☎
〒
☎
住所
管理者
住所
①空き家等とした理由(複数選択可)
1.電気メーターが動いてない
2.人の出入りがない
3.廃屋化
4.ゴミが散乱
5.郵便受けがいっぱい
6.近隣住民や管理人からの情報
7.その他(
②建て方
1.一戸建て
)
③地上階数
2.その他(
)
(
)階
④構造
1.木造 2.鉄骨・鉄筋コンクリート造 3.その他(
)
⑤住戸の種類
1.専用住宅 2.店舗・事務所等 3.店舗等の併用住宅 4.その他(
)
⑥敷地に接している道路の幅員
1. 2m 未満 2. 2~4m 未満 3. 4~6m 未満 4. 6~8m 未満 5. 8m 以上 6. 接してない
⑦日照状況
⑧駐車場の有無
1. 非常に良い 2.どちらともいえない 3.ひどく悪い
1.あり
2.なし
⑨建物・敷地の様子(複数選択可)
1.犬・猫の棲み家 2.雑草等が繁茂 3.ゴミ置き場化 4.危険物あり
7.倒壊おそれ
8.その他(
5.不審物 6.侵入不可
) 9.良好
⑩住宅の状況
1.人がそのまま住める
4.老朽化
5.廃屋
2.少し手を加えると住める 3.相当手を加えないと住めない
今後の意向
特定空家等の場合は、朱色で明記する。
1.活用・除却意思がある。
(1.活用 2.除却)
2.活用・除却意思がなし。
(理由:
)
備考
32
特定空家等
市町村名
事業名
事業の目的
鹿児島市
実態把握調査
空家の実態調査
空家特措法に基づく空家等対策計画を策定するため
鹿児島市では、国土交通省国土交通政策研究所が進める「空家の分布状況を迅速かつ
簡易的に把握する技術の確立」に協力し、平成27年10月から以下のとおり空家の実態調
査に取り組んでいる。
(1)実態調査手法の確立【27年度】
:国
実態調査
【受注業者データ】
外観調査による空家
(データ)
・民間所有の空家情報
(約3万戸)
【住民基本台帳】
【水道使用データ】
居住者の有無
(データ)
・住所、居住人数
年齢、転入時期
水道利用なし
(データ)
・住所
閉栓、中止状況
3種類のデータ
による分析
【 住宅・土地統計調査データ】
【実態調査結果】
概
要
信頼性検証
空家をデジタルマップ上に整理
25年度に総務省が調査した
空家の調査結果
(2)空家の発生・分布メカニズムの解明【28年度予定】
空家発生・分布メカニズムの分析
【実態調査結果】
【受注業者データ】
【国勢調査等データ】
生活利便施設との距離等
の地理的要因
(データ)
・公共施設、駅、病院、
学校、店舗等位置
【固定資産課税台帳】
地理的要因以外の要因
地理的要因以外の要因
(データ)
・人口増減、高齢化率等
(データ)
・住所、築年数、構造
面積、用途等
空家発生・分布メカニズムの解明
※各自治体で利活用できるように研究結果を発表【平成29年度予定】
備
考
■URL
■担当課 建築指導課
33
:市
3
条例
各市町村の条例とも、住民の安全や生活環境を保全することを目的とすることは共通ですが、制
定した市町村ごとに条例の内容は異なります。離島自治体で条例に代執行の規定を定め、またその
ほとんどが応急措置の規定を定めているのは、台風時の飛散被害対策が特に必要な地域性を反映し
たものと思われます。また、条例に基づく事務処理を円滑に実施するために、具体的な事務処理要
領を定めている事例もあります。
所有者等の責任を明確にし、市町村による管理不全の特定空家等への立入や指導勧告等の権限を
定めた「空家等対策の推進に関する特別措置法」が平成 26 年 11 月 27 日に交付されましたが、法制
定以前に、自治体独自に条例を制定している事例があります。法の施行に伴い、市町村の権限等は
法で位置づけられましたが、今後は、自治体独自で法の規定を強化する条例等を定めることも考え
られます。
ここでは、法制定前から独自に条例を制定して取り組んでいる事例を参考として紹介しますが、
今後の各自治体の独自条例等については、法の内容を踏まえて制定・改正を行う必要があるので注
意が必要です。
(1)県内市町村の条例制定
平成 28 年 1 月 31 日現在、県内 11 市町が空き家条例を制定しています。今後、条例を制定してい
ない市町村においても空き家対策が重要になってくることから、条例を制定する際に参考になると
思われます。
【県内の条例等の制定状況】
平成28年1月31日現在
伊佐市
鹿児島市
鹿屋市
瀬戸内町
枕崎市
天城町
徳之島町
和泊町
知名町
34
肝付町
(2)条例の具体例
各市町村の条例においては、目的、定義、指導及び勧告を定めています。行政代執行や補助につ
いては一部の市町にとどまっています。
また、条例に基づく事務の執行を円滑に行うため、事務処理要領を定めている事例があります。
表 2-1 空き家住宅等に対する県内市町村の条例等一覧(平成 27 年 1 月 31 日現在)】
市町村
事項
鹿児島市
鹿屋市
枕崎市
肝付町
瀬戸内町
天城町
和泊町
知名町
備考
○
○
○
○
○
○
○
(第 4 条)
○
○
○
○
○
○
○
(第 5 条)
情報提供等
実態調査等
○
立入調査
○
助言、指導
○
○
○
○
○
○
○
○
(第 9 条)
勧告
○
○
○
○
○
○
○
○
(第 10 条)
公表
○
○
○
○
○
○
○
○
(第 14 条)
命令
○
○
○
○
○
○
○
○
(第 15 条)
行政代執行
○
○
○
○
○
(第 17 条)
応急措置
○
○
○
○
協力要請
○
○
○
○
○
(第 19 条)
審議会設置
○
○
○
○
(第 18 条)
相続財産管理人
○
○
(第 8 条)
補助
○
○
(第 11 条)
○
○
(第 6 条)
(第 7 条)
図 2-1 参考
管理不全な状態の空き家
第6条
第 19 条 関係機関との調整
特定行政庁、警察、消防、その他の関係機
関に協力を求める。
立入調査
所有者不明(危険な状態)
所有者判明
第9条
指導
第7条
応急措置
第 10 条
勧告
第 13 条
命
令
第 13 条
命令
所有者判明
第 14 条
公表
第 7 条第 2 項
費用の徴収
第 17 条
第 11 条
第 18 条
補助
審議会
行政代執行
※表 2-1 備考欄及び図 2-1 の条項番号は、「和泊町空き家等の適正管理に関する条例」による。
35
【参考】
和泊町空き家等の適正管理に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、空き家等の適正な管理に関し必要な事項を定めることにより、空き家等が管理不
全な状態となることを防止し、もって町民の生活環境の保全及び安心・安全なまちづくりを推進する
ことを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 空き家等 町内に所在する建物その他の工作物で常時無人の状態にあるもの又はその敷地をい
う。
(2) 管理不全な状態 町内に所在する老朽化が著しい建物その他の工作物で、倒壊及び建築材等の飛
散のおそれがある危険な状態、不特定者の侵入による火災若しくは犯罪を誘発するおそれのある
状態又は敷地内の草木が著しく繁茂し、除枝若しくは除草が必要な状態その他良好な景観及び住
環境を著しく損なう状態をいう。
(3) 所有者等 町内に所在する建物その他の工作物若しくはその敷地を所有し、占有し、又は管理す
る者をいう。
(4) 町民等 町内に居住し、若しくは滞在し、又は通勤し、若しくは通学する者をいう。
(所有者等の責務)
第3条 空き家等の所有者等は、当該空き家等に所在する資材等の整理整頓及び建物その他の工作物、
草木等の適正な管理を行うとともに、当該空き家等が管理不全な状態にならないように維持管理を行
わなければならない。
(情報提供)
第4条 町民等は、近隣に管理不全な状態にある空き家等があると認めるときは、速やかに町にその情
報を提供するものとする。
(実態調査)
第5条 町長は、前条の規定による情報の提供があったとき又は管理不全な状態にある空き家等がある
と認めるときは、当該空き家等の実態について調査を行うことができる。
2
町長は必要と認める場合は、所有者等を特定するために、必要な情報を関係部署に照会できるもの
とする。
(立入調査)
第6条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、職員に必要な場所に立ち入らせ、必要な調査
をさせることができる。
2
前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があったと
きは、これを提示しなければならない。
(応急措置)
第7条 町長は、前2条の規定による実態調査又は立入調査により、空き家等が危険な状態となること
が切迫し、かつ、その所有者等が判明しないときは、危険な状態となることを予防するために必要な
応急の措置を講ずることができる。
2
町長は、前項の措置を講じた後に空き家等の所有者等が判明したときは、その所有者等から当該措
置に係る費用を徴収することができる。
36
(相続財産管理人選任の申立て)
第8条 町長は、空き家等の相続人のあることが明らかでない場合であって、当該空き家等の相続財産
管理人を選任する公益上の必要があると認めるときは、民法(明治 29 年法律第 89 号)の定めにより
相続財産管理人選任の申立てを行うことができる。
(助言又は指導)
第9条 町長は、第5条及び第6条の実態調査又は立入調査により、空き家等が管理不全な状態になる
おそれがある又は管理不全な状態にあると認めるときは、当該所有者等に対し、必要な措置について
助言又は指導を行うことができる。
(勧告)
第 10 条
町長は、前条の規定による助言又は指導を行ったにもかかわらず、なお、当該空き家等が管理
不全な状態であると認めるときは、当該空き家等の所有者等に対し、期限を定めてその適正な管理の
ために必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(助成)
第 11 条
町長は、第9条の規定による助言若しくは指導又は前条の規定による勧告に従って措置を講ず
る者に対し、別に定めるところにより必要な助成をすることができる。
(寄附の申出)
第 12 条
町長は、第9条の規定による助言若しくは指導又は第 10 条の規定による勧告を受けた所有者
等から、当該空き家等について寄附の申出があった場合は、別に定める要件を満たした場合に限り、
申出を受けることができる。
2
町長は、前項の規定により寄附の申出を受けた場合、速やかに当該空き家等の管理不全な状態の除
去を行わなければならない。
(命令)
第 13 条
町長は、空き家等の所有者等が第 10 条の規定による勧告に従わないとき又は空き家等が著し
く管理不全な状態にあると認めるときは、当該所有者等に対し、期限を定めてその適正な管理のため
に必要な措置を講ずるよう命ずることができる。
(公表)
第 14 条
町長は、前条の規定による命令を行ったにもかかわらず、当該所有者等が正当な理由もなく命
令に係る措置をとらなかったときは、和泊町公告式条例(昭和 29 年和泊町条例第2号)第2条第2項
に規定する掲示場に掲示する方法その他規則で定める方法により、次に掲げる事項を公表することが
できる。
(1)
当該所有者等の住所及び氏名(法人にあっては、主たる事務所の所在地並びに名称及び代表者
の氏名)
(2)
当該空き家等の所在地
(3) 当該命令の内容
(4)
2
その他規則で定める事項
町長は、前項の規定による公表をするときは、当該公表に係る所有者等に意見を述べる機会を事前
に与えなければならない。ただし、その者が正当な理由なく意見の聴取に応じないときは、この限り
でない。
3
町長は、前項の規定により当該公表に係る所有者等が意見を述べる場合において、必要があると認
めるときは、和泊町空き家等適正管理審議会の意見を聴くものとする。
37
(緊急の命令)
第 15 条
町長は、緊急の必要があって第 10 条、第 13 条及び第 14 条の規定に定める手続きによること
ができない場合に限り、これらの手続によらないで、空き家等の所有者等に対し、必要な措置をとる
ことを命ずることができる。
(命令の基準)
第 16 条 第 13 条及び前条の規定に基づく命令(以下「命令」という。
)をする場合の基準は、次のとお
りとする。
(1)
空き家等が倒壊し、又はその屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁等が脱落することが確
実であると認められることにより、人の生命、身体又は財産に係る被害を生ずるおそれが高い
と認められるとき。
(2)
空き家等の建築材料に使用された石綿等が露出していることにより、人の生命又は身体に係る
被害を生ずるおそれが高いと認められるとき。
(3)
前2号に定めるもののほか、著しく保安上危険であると認められるとき。
(代執行)
第 17 条
町長は、命令を受けた所有者等が当該命令に係る措置を履行しないとき、履行しても十分でな
いとき又は履行しても当該命令に係る期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和
23 年法律第 43 号)の定めるところにより、自ら所有者等のなすべき行為をなし、又は第三者をして
これをなさしめること(以下「代執行」という。
)ができる。この場合、その費用を当該空き家等の所有
者等から徴収することができる。
(空き家等適正管理審議会)
第 18 条 第 14 条第3項の規定によるほか、町長の諮問に応じ、空き家等の適正管理について審議する
ため、和泊町空き家等適正管理審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2
審議会の委員は、5人以内とし、識見を有する者のうちから町長が任命する。
3
委員の任期は、2年以内とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任
期は、前任者の残任期間とする。
4
前3項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(警察その他の関係機関との連携)
第 19 条
町長は、必要があると認めるときは、町の区域を管轄する警察その他の関係機関に第5条から
第 10 条、第 13 条から第 15 条及び第 17 条の規定により行う内容を提供し、当該空き家等の管理不全
な状態を解消するために必要な協力を要請することができる。
(委任)
第 20 条
この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、平成 25 年4月1日から施行する。
備
考
■
和泊町土木課建築係
TEL0997-84-3520 FAX0997-92-3300
38
(3)空き家適正管理の事務処理について
条例等で定めた事務を円滑に執行するためには、具体的な事務処理について要綱を定めて、必
要に応じて庁内外の関係機関と連携を図る必要があります。
【参考:鹿児島市の空き家適正管理の処理フロー図】
市町村民からの相談や通報
相談等の内容を空き家処理票に記録する。
【参考:鹿児島市空き家等の適正管理に関する条例事務処理要綱
の処理票】
現地(立入)調査
現地(立入)調査の際は、調査員証を携帯する。
調査には、2 名以上の職員により行う。
所有者等の調査
関係機関との調整
特定行政庁、警察、消防、その他の関係機
関に協力を求める。
不動産登記簿や家屋課税台帳、住民票、戸籍附票などによ
り、所有者の確認をする。
※所有者が死亡の場合は、相続人の調査を行う。
管理不全な状態または改善する必要のある空き家
所有者判明
所有者不明(危険な状態)
管理不全な状態で所有者
等が判明しないときの最
低限度の措置
2 週間程掲示し、近隣住民
等への説明を行う。
助言や指導
文書にて助言や指導を行う。
軽微な場合は、口頭にて行う。
※処理票には、必ず記録をする。
勧
応急措置
命
市町村の支援制度を
紹介するなどして改
善を促す。
告
協議会の意見を聴いた上で勧告する。
令
所有者判明
補助
命
令
協議会の意見を聴いた上で命令する。
費用の徴収
公
表
協議会の意見を聴いた上で公表する。
行政代執行
協議会の意見を聴いた上で代執行する。
39
【参考:鹿児島市の空き家等の適正管理に関する条例事務処理要綱の処理票】
鹿児島市空き家等の適正管理に関する条例の施行に関し、相談又は通報記録、現地
要綱の趣旨
調査、所有者等の調査、助言又は指導、勧告、命令、公表、行政代執行、支援、応
急危険回避措置等について、必要な事務処理の方法を定めている。
空 き 家 等 処 理 票
受付番号: No.
相談を受けた際は、下記太線内を記入すること。
受
付
日
平成 年 月 日
時 分
対応
□ 本人
住
相
談
者 氏
所
名
□ 町内会長
電
話
□ □ 議員
建築指導課
□ 電話
方法
□ 来庁
□ 文書
□ □建物 □工作物 □空き地 □ゴミ □その他( )
□防災 □防犯 □衛生 □景観 □その他( )
内
・
容
・
・
関 連 物 件 の
住居表 示:
所
地
在
地
【処
理
状
況】
現
場
調
査
様式の紹介
所
住
有
所
番
:
指導文書の送付
調 査 日 :
過去
担 当:
者
氏
電話
名
登
記
簿
住
民
票
□ No.
□死亡 □所在不明 □
申請日:
受取日:
□建物 □土地 □未登記
相
続
住
所
住
人
氏
民
申請日:
受取日:
等
電話
□死亡 □所在不明 □
名
票
申請日:
受取日:
相 続 関 係 図
課 長
担当
係長
決
裁
備
考
■鹿児島市建築指導課
TEL099-216-1357 FAX099-216-1389
40
4
情報提供
(1)周知啓発
空き家について、所有者等が適切に管理することは重要です。そこで、法第 12 条においては、
「市
町村は所有者等による空き家等の適切な管理を促進するため、これらの者に対し、情報の提供、助
言や必要な援助に努めるものとする。」となっており、空き家に対する問題意識を高めるためには、
所有者等に活用や管理の意識を持ってもらう啓発活動が大切となります。
そもそも啓発すべき所有者等が不明である場合もあります。その要因としては、土地の登記がさ
れておらず所有者等が特定できない場合や相続人が不明ということが考えられます。相続人が多数
いる場合も、空き家を誰が引き継ぐのかが曖昧となり、管理意識が希薄化してしまうことがありま
す。
空き家の所有者等がいったん不明になると、管理不全な状態となり、空き家問題の解決が進みに
くくなります。
所有者等が存命中に、住まいを円滑に次世代へ引き継ぐよう、意識の醸成や啓発を行うことで、
このような問題の未然防止の推進に役立つと考えられます。
また、空き家問題に対して住民意識の醸成を図っていくには、行政主体の予防策では十分とは言
えません。具体の施策を行う際にも地域や住民と協働で課題を整理し、問題意識を共有していくこ
とが大切です。
【住民意識の醸成・啓発に関する施策例】
居住中の維持管理、空き家になった場合に備えての資産管理、空き家に関する条例や
危険家屋になった場合の地域への影響などを市町村の広報やパンフレット等を通じ
て住民へ広く情報発信する。
住民への情報提供
空き家の適正管理の必要性を周知するため、専門家が相談にあたる相談会や適正管理
に関する情報発信(専門相談窓口設置団体の活動内容紹介や専門家等による講演会な
ど)で構成される「空き家セミナー」を開催する。
・セミナーを通じて、より的確な相談対応を行うための求められる支援や相談事例等
の情報収集を行い、ホームページ等を活用して相談対応の充実につなげる。
所有者等の存命中に、次世代に円滑に住まいを引き継ぐようにしておくことが、空き
家問題の予防、空き家の活用に有効である。
相続生前対策
・住民の相談に応じることができる窓口や体制を整備する。
・鹿児島県司法書士会などが相続に関する無料相談会を実施しており、このような取
組みを紹介する。
所有者等の死後、建物の相続登記がなされず管理者や所有者等が不明確となり、その
相続登記の促進
ことが管理不全の空き家を発生させる要因の 1 つとなっている。
生前又は相続発生時に速やかに登記の名義変更をするよう、各種手続きの通知時を利
用して情報発信を行う。
41
【自治体向け
【一般向け
空き家相談に関するパンフレット】
空き家相談窓口に関するパンフレット】
42
【参考:平成 26 年度国土交通省補助事業 空き家セミナー(霧島会場)】
人口・世帯の減少による空き家の発生が防災・景観・衛生などの面から問題として取り
目
的
上げられており、また、社会的資産である空き家の適正管理が大きな課題となっている
ことから、空き家の所有者等を対象に講演会・相談会・情報展示で構成されるセミナー
を開催した。
■開催内容
【講演会】13 時 30 分~15 時
「使えば資源、放置で重荷
―アイディア次第で人も地域も元気になる空き家の楽
しい使い方―」
講師:中山
聡(わくわく法人rea東海北陸不動産鑑定・建築スタジオ株式会
社代表取締役、NPO 法人とやまホーム管理サービス理事、一級
建築士・不動産鑑定士)
【相談会】10 時~16 時
各分野の専門家による空き家の管理等に関する相談会
(司法書士会、行政書士会、税理士会、NPO、建築関係団体(リフォーム・解体)、
土地・不動産団体等による)
【展示】10 時~16 時
空き家関連団体の活動内容をパネル展示
概
備
要
考
■開催日時:平成26年11月30日(日)
■開催場所:霧島市国分シビックセンター 2階 多目的ホール・共通ロビー
■参加対象者:一般県民(空き家の所有者等)
、空き家管理関連事業者、行政担当者 等
■参加人数:72名
■参加募集方法
新聞広告 :リビング新聞、霧島市広報誌
ホームページ :(公財)鹿児島県住宅・建築総合センター
メール案内 :空き家管理関連団体、市町村
■主催:公益財団法人鹿児島県住宅・建築総合センター
■共催:霧島市
【後援】鹿児島県、南日本新聞社、NHK鹿児島放送局、MBC、KTS、KKB、
KYT、南九州ケーブルテレビ
■入場料:無料
■公益財団法人鹿児島県住宅・建築総合センター 企画部企画課 TEL099-224-4543
43
【参考:日置市
目
的
空き家セミナー】
日置市では、各地区において第3期地区振興計画策定の話し合い活動が活発に行われてい
る。各地区課題を出し合っているが、多くの地区から「空き家」を問題視している声が
多く寄せられている。しかしながら「個人財産」ということから、「問題」ではあるが
「解決」できる部類のものではないという「諦めムード」が、問題抽出時から漂ってい
た。そこで、広く市民に対し「空き家」に対する認識を深め、解決の可能性を感じてい
ただきたいと考え、「空き家セミナー」を開催することとした。決して無理なことでは
なく、地区や地域の地道な活動と住民のアイディア次第では成果を上げることができる
という希望を持たせるのが目的である。これまでも空き家対策に積極的に取り組んでい
る「NPO法人結の夢来人」と日置市との協働で事業を行った。基本、市の予算はなかった
為、市は会場・備品等の無償貸与、チラシ作成・印刷・市民への世帯配布、防災無線で
の開催告知、講演会を主に担当。結の夢来人は事業進捗チェック、運営全般、出展ブー
ス関係、無料相談関係、他団体へのPR等を担当した。
■開 催 内 容
概
備
要
考
【講演会】10 時~15 時
「過疎地域における空き家活用」
講師:大脇治樹(NPO 法人子育てふれあいグループ自然花 理事長)
「空き家の現状について」
講師:有馬法久(NPO法人結の夢来人理事長)
「社会資源のひとつとしてできること」
講師:前原くるみ(医療法人誠心会ゆのもと記念病院グループ 理事長)
「ハーモニカ演奏と田舎体験等の話など」
講師:鳩野トミ子
【相談会】10 時~16 時
各分野の専門家による空き家の管理等に関する相談会
(司法書士会、行政書士会、税理士会、NPO 法人、ファイナンシャルプランナー、
土地・不動産団体等による)
【展 示】10 時~16 時 空き家関連団体の活動内容をパネル展示
■開 催 日 時:平成26年9月27日(土)
■開 催 場 所:妙円寺地区公民館
■参 加 対 象 者:一般県民(空き家の所有者等)、空き家管理関連業者、行政担当者等
■参 加 人 数:100名程度
■参加募集方法
チラシ配布 :市民世帯、自治会、公共施設
ホームページ:NHK鹿児島放送局、MBC、KTS、KKB、KYTなどのHPイベント掲載案内
その他:市域内の防災無線
■主催: NPO法人結の夢来人
■後援:日置市、南日本新聞社、朝日新聞社、鹿児島建設新聞、NHK鹿児島放送局、MBC、
KTS、KKB、KYT、エフエム鹿児島、鹿児島シティエフエム、FMぎんが
■入場料:無料
■日置市総務企画部地域づくり課 地域づくり係
44
TEL 099-248-9408
5
活用
活用可能な空き家については、全国的には、空き家を公的住宅として活用したり、空き家をコミ
ュニティ活動の場や交流の場としての公共スペースとして活用する自治体も見受けられますが、空
き家の情報発信が十分でないため、市場に流通していないものが存在しています。
また、法第 13 条においては、「市町村は、空家等及び空家等の跡地(土地を販売し、又は賃貸す
る事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するものを除く。)に関する情報の
提供その他これらの活用のために必要な対策を講ずるよう努めるものとする。」となっています。
こうしたことから、空き家バンクなどの情報発信システムの構築を図り、空き家再生モデル事業
などの支援による利活用の普及啓発していく必要があることから、ここでは、「
(1)空き家バンク
制度」「(2)国の施策支援制度の活用事例」「
(3)市町村独自の改修助成制度」を紹介します。
(1)空き家バンク制度
①概要
・空き家所有者等で、売却や賃貸を考えている方を対象に、これらの不動産情報を市町村に登録
してインターネットや市町村の担当課窓口を通じて購入・賃貸入居の希望者に情報提供する。
・多くの場合、市町村は情報提供のみで、交渉・契約は当事者間や市町村内の不動産業者(予め、
市町村に登録した業者)の仲介のもとで行っている。
・空き家バンクを通じて売買・賃貸借が決まった物件に対して、改修工事費用の助成や家賃の助
成を行っている市町村もある。
②空き家バンクの仕組み
空き家を貸したい・売りたい
所有者・管理者
・空き家提供の意思確認
空き家情報の登録申請
・利用希望者の情報連絡
交渉・契約
市町村窓口、空き家バ
ンク制度に登録して
いる不動産仲介業者
によるサポート
空き家バンク
空き家情報の問い合わせ
所有者等の情報連絡
空き家を活用したい(住みたい)
利用希望者
45
③県内の空き家バンク設置状況
平成28年1月31日現在
長島町
中種子町
さ つま町
南種子町
霧島市
姶良市
※
志布志市
垂水市
奄美市
大崎町
龍郷町
奄美市
瀬戸内町
鹿屋市
東串良町
南さ つま市
南九州市
肝付町
天城町
伊仙町
南大隅町
和泊町
知名町
※霧島市は、活用後の用途は商工業の用に供するものに限る。
Point
■登録物件数の確保が重要
・空き家バンクを利用して売買・賃貸物件を探したいという人に対して、登録物件をいか
に増やすかが鍵となります。
・登録物件数を増やすために、未活用の空き家を保有する所有者等に対して定期的に登録
の呼びかけを行ったり、不動産業者等と連携することが重要となります。
■丁寧な対応
・契約件数を増やすためには、周辺の生活環境等も含めた物件情報の提供や、土日の現地
案内など利用者への丁寧な対応が重要となります。
46
④市町村による空き家バンク制度事例紹介
市町村名
姶良市
事
空家バンク制度
事業名
事業の目的
例
所有者から登録申込を受けた空き家を、市のホームページ等を通じて、広く紹介する
ことにより、空き家の有効活用を図り、定住促進による地域の活性化を図る。
■ 空き家を提供していただける方(貸し手・売り手)
1.賃貸・売却物件の登録
賃貸・売却物件を提供していただける方は、「空き家バンク登録申込書」を
市へ申し込みます。 (郵送可)
※(公社)鹿児島県宅地建物取引業協会もしくは、(公社)全日本不動産協会鹿児
島県本部の会員の中から、仲介を担当する業者を選定します
2.現地調査
市の担当者と担当業者が、現地の物件を確認する。
※物件提供者(所有者)の同行
※状況調査・写真撮影等
3.空き家情報提供
調査後、物件登録台帳へ登録し、市のホームページ及び市の窓口で情報の提供
4.物件の交渉
利用希望の申込があった場合、物件提供者へ市から連絡します。
現地見学や契約交渉は指定された仲介業者・利用希望者との 3 者で行います。
■空き家情報の提供を希望する方(借り手・買い手)
概
備
1.空き家情報収集
市のホームページ及び市の窓口で空き家情報の提供を行っている。
賃貸・売却物件を提供していただける方は、「空き家バンク登録申込書」を
市へ申し込みます。 (郵送可)
2.問い合わせ
空き家情報及び市の情報などに関する問い合わせを電話、FAX、メール及び
窓口にて受けている。
3.空き家バンクへの登録
物件の交渉を希望される方は、「空き家バンク利用登録申込書」を市へ申し
込みます。(郵送可)
4.現地見学
利用希望の申込があった場合、物件提供者へ市から連絡します。
現地見学や契約交渉は指定された仲介業者・利用希望者との三者で行います。
要
考
■URL http://www.city.aira.lg.jp/kurashi/cat606/post_116.html
■企画部地域政策課地域政策係 TEL0995-66-3111(内線 244・245)FAX0995-65-7112
47
市町村名
さつま町
事
空家バンク制度
事業名
事業の目的
例
空き家を所有する方と空き家を利用希望する方が空き家バンクに登録することによ
り、その情報を提供し、空き家の有効利用を図る制度です。
■ 売買、賃貸が可能な空き家の情報を提供できる方
~ 空き家を「貸したい・売りたい方」 ~
空き家の有効利用を通して、定住促進及び地域の活性化を図るため町内にある賃貸
や売買が可能な物件の所有者等から登録を募集している。
1.物件の登録
・
「空き家情報登録申込書」及び「空き家情報バンク制度登録カード」提出する。
・協力宅建業者へ仲介を依頼する間接型と当事者間で行う直接型のいずれかの方
法を選択する。
2.現地調査
・町の担当職員が物件確認のため詳細な現地調査を行う。
※間接型を選択した場合は、協力宅建業者の担当者も同行
3.空き家情報の公開
登録された物件は個人情報を除き、町のホームページ等で公開
4.物件の交渉
空き家バンクの利用者から物件交渉の申し込みがあった場合
◆ 間接型
空き家の所有者等及び物件を担当することになった協力宅建業者へ町から連
絡し、その後は協力宅建業者の仲介による交渉となる。
◆ 直接型
空き家の所有者等に町から連絡し、その後は両者間で直接交渉する。
※ 町は、交渉・契約には一切関与しない
概
要
■ 賃貸、購入可能な空き家をお探しの方
~ 空き家を「借りたい・買いたい方」 ~
1.空き家情報の検索
町のホームページ等で空き家情報の公開を行います。
2.利用希望者登録
空き家利用希望登録申込をする。
【お申し込みいただける方】
空き家に定住又は空き家を利用し、地域の活性化に寄与できる方
3.物件の交渉
◆ 間接型の場合
町から空き家の所有者等及び物件を担当することとなった協力宅建業者へ連
絡し、その後は協力宅建業者の仲介による交渉となる。
◆ 直接型の場合
空き家の所有者等に町から連絡し、その後は両者間で直接交渉する。
※ 町は、交渉・契約には一切関与しない。
備
考
■URL
http://www.satsuma-net.jp/contents.cfm?id=2040
■さつま町役場 企業誘致対策室 TEL0996-53-1111
48
FAX0996-52-3514
市町
町村名
鹿
鹿屋市
事 例
空
空き家バンク
ク制度
事
事業名
事業
業の目的
空
空き家を有効
効に活用するた
ため、市外の
の移住希望者に対し、ホー
ームページ上で空き家情
報
報を提供し、
移住、定住を
を促進するこ
ことで、地域の活性化を図
図る。
空き家バ
バンク制度の流れ
空き家バ
バンク登録者
者
鹿屋市
市(空き家バ
バンク)
①空き家
家情報登録(申
申込)
③利用
用希望者情報の紹介
宅地建物
物取引業協会
会
⑥交渉
渉
・契
契約
②利用希望者登録 申込
④物件情報の提供
⑤依頼
(
)
移
移住希望者
概
(空き家バ
バンク利用登
登録者)
要
【空き家バン
ンクへの登録
録前に利用可能な補助金】
1. 家具等処
1
処分支援補助
① 対象者
・空き家
家バンクに登録
録を行おうと
とする空き家所有者等
・空き家
家バンクに、33年以上登録す
すること
・市税等
等に滞納がない
いこと
② 対象要件
件
・空き家
家バンクに登録
録を行おうと
とする物件
③ 対象経費
・空き家
家内の不要な家
家財道具等の
の処理費用に関する経費
④ 補助金額
額
対象経費の2/3以内 (上限額5万
万円)※同一物
物件に対して
て1回限り交付
付。
49
【空き家バンク登録後、賃貸借契約が成立した場合に利用可能な補助金】
1. 改修費補助
① 対象者
町内会加入者、かつ市税等の滞納がない者で次のいずれかに該当する者
・空き家バンク登録者(空き家所有者等)
・空き家バンク利用登録者であって、空き家バンク物件を賃借した者
ただし、3年以上居住する意志があり、かつ空き家所有者等の3親等以内の親族
でない者に限る。
② 対象物件
・空き家バンク登録物件であり、空き家所有者と利用登録者の間で賃貸借契約が
締結された物件(成約後6ヶ月以内)
・当該改修に関して、国、県、市の制度による補助等を受けていない物件
③ 対象経費(申請年度内に完了する工事)
・台所、浴室、トイレ、洗面所の改修
・床、壁、天井の改修
・屋根、外壁等の改修
・その他市長が認めたもの
④ 補助金額
対象経費の1/2以内(上限額50万円)※同一物件に対して1回限り交付。
2. 家賃補助
① 対象者
・空き家バンク利用登録者であって、空き家バンク物件を賃借した者
・補助申請時に40歳未満の者(世帯主)で、起業、就業、就農等のために転入する
者
・補助申請時から、3年以上居住する意志のある者
・家賃及び市税等の滞納をしていない者
・空き家所有者等の3親等以内の親族でない者
・町内会に加入する者
② 対象物件
空き家バンク登録物件(入居後3ヶ月以内)
③ 対象経費
月額家賃(賃貸借契約書に規定されている月額賃料で、管理費及び駐車場費等
を除いたもの)
④ 補助金額
月額家賃の1/2以内(上限額2万円)※補助開始月から24月を限度
3. 車両燃料費等
① 対象者
「2.家賃補助対象者」で、起業、就業、就農等のために車を利用する者
② 対象物件
空き家バンク登録物件(入居後3ヶ月以内)
③ 対象経費
車両燃料費、車両リースに要する経費
(※車両=道路交通法第2条による原動機付自転車を除く)
④ 補助金額
対象経費の2/3以内(月額上限1万円)※補助開始月から24月を限度
備
考
■URL http://www.e-kanoya.net/htmbox/chiiki/ijyuu/index.html
■担当課 市長公室 地域活力推進課 ℡0994-31-1147(直)
50
市町村名
事業名
事業の目的
大崎町
事
空き家バンク制度
例
点在する空き家等を有効利用し、人口の増加及び活性化を図る
町内に点在する空き家の情報を集約し、その情報を大崎町のホームページ上で紹介し
ます。インターネットを通じ、全国へ情報発信し、町内への定住促進を図ります。
空き家情報登録制度利用の流れ
【空き家をお持ちの方】
① 登録申込書提出
【空き家をお探しの方】
①
(情報登録票添付)
概
要
↓
利用申込書提出
↓
②
所有者との交渉
② 現地調査(写真撮影等)
↓
③ ホームページ公開(2年間)
※注意
この制度は、物件の情報発信及び紹介を行うものであり、町が仲介及びあっせんを
行うものではありません。
売買・賃貸についての交渉は、当事者間で行うことになります。
備
考
■URL https://www.town.kagoshima-osaki.lg.jp/akiyabank/osakiakiyatop.htm
■担当課 企画調整課
℡099-476-1111
51
(2)国の施策支援制度の活用事例
市町村名
事業名
大和村
事
空き家再生等推進事業
例
不 良 住 宅 、空 き 家 住 宅 又 は 空 き 建 築 物 の 集 積 が 居 住 環 境 を 阻 害 し 、又 は
地 域 活 性 化 を 阻 害 し て い る 一 因 と な っ て い る 地 域 に お い て 、居 住 環 境 の 整
備改善及び地域の活性化に資することを目的として整備を図る。
■ 空 き 家 再 生 等 推 進 事 業 を 実 施 し よ う と す る と き に 、使 用 さ れ て な い 空 き
家住宅及び空き建築物を、住環境の改善及び地域の活性化のため、村
営住宅のように10年以上供するため行う移転、増築、改築等に要す
事業の目的
る費用
■事業費から交付金を除した残りの予算は村負担
■ 空 き 家 住 宅 又 は 空 き 建 築 物 所 有 者 と の 間 で 建 物 賃 貸 借 契 約 書 (20 年 間 )
を 締 結 し 、賃 料 1 ヶ 年 120,000 円 を 支 払 う 。所 有 者 へ の 賃 料 支 払 い は 、
毎 年 度 、 年 度 当 初 (4 月 )に 1 ヶ 年 分 を 一 括 支 払 い 。
■ 建 物 等 に 関 す る 租 税 公 課 の 負 担 は 、空 き 家 住 宅 又 は 空 き 建 築 物 所 有 者 の
負担
■大和村大金久の事例
【敷地面積】166.07 ㎡
【総事業費】7,392 千円
【補助対象】7,392 千円
【事業年度】平成 24 年度
【建物概要】
◇木造:平屋建
◇延床面積:67.67 ㎡
◇旧用途:個人住宅
◇新用途:定住促進住宅
(村営住宅)
【改善前】
【事業経過】
H23 年 10 月
H23 年 10 月
H23 年 10 月
H24 年 4 月
H24 年 12 月
H25 年 3 月
H25 年 4 月
H25 年 4 月
概要①
【改善後】
52
空き家実態調査実施
空き家再生等推進事業の活用検討
次年度予算(国費)に係る要望
交付金に係る交付申請及び決定
空き家改修工事着手
空き家改修工事完成
交付金に係る実績報告
入居開始
■大和村大戸円の事例
【敷地面積】277.75 ㎡
【総事業費】7,770 千円
【補助対象】7,770 千円
【事業年度】平成 24 年度
【建物概要】
◇木造:平屋建
◇延床面積:78.64 ㎡
◇旧用途:個人住宅
◇新用途:定住促進住宅
(村営住宅)
【改善前】
【事業経過】
H23 年 10 月
H23 年 10 月
H23 年 10 月
H24 年 7 月
H24 年 12 月
H25 年 3 月
H25 年 4 月
H25 年 6 月
空き家実態調査実施
空き家再生等推進事業の活用検討
次年度予算(国費)に係る要望
交付金に係る交付申請及び決定
空き家改修工事着手
空き家改修工事完成
交付金に係る実績報告
入居開始
概要②
【改善後】
備
考
■大和村 総務企画課 TEL0997-57-2111 (内線 136)
53
市町村名
事業名
事業の目的
西之表市
事
空き家再生等推進事業
■ 本 市 は 、鹿 児 島 県 大 隅 諸 島 の ひ と つ で あ る 種 子 島 の 北 部 に 位 置 す る 、人
口 17,000 人 の 豊 か な 自 然 に 恵 ま れ た 温 暖 な 地 域 で あ る 。 近 年 、 過 疎 化
や少子高齢化により人口は減少傾向である。
■核家族化や高齢者単身世帯の増加により世帯数は増加傾向にあり、ま
た 、近 年 の ふ る さ と 指 向 の 高 ま り か ら U I タ ー ン 希 望 者 等 も 多 く 、住 宅
供給が新たな課題となっている。
■ 市 全 域 に お い て 、空 き 家 再 生 等 推 進 事 業 を 実 施 し 、平 成 1 9 ~ 2 1 年 度
において、UIターン者を含めた市民の多様なニーズに対応するため
に、市内の空き家住宅を改修し、市営住宅として活用することにより、
居 住 環 境 の 改 善 を 図 り 、U I タ ー ン 者 を 中 心 に 受 け 入 れ る こ と に よ り 定
住人口の増加を促し、地域の活性化に寄与する。
【総事業費】 7,392 千円
【補助対象】 7,392 千円
【事業年度】
◇H19 年度 10,978 千円
4棟4戸
◇H20 年度 11,198 千円
4棟4戸
◇H21 年度 11,200 千円
4棟4戸
【建物概要】
◇木造・CB 造:平屋建
◇旧用途:個人住宅
◇新用途:市営住宅)
【事業経過】
H18 年 8 月
H18 年 10 月
H19 年 1 月
H19 年 6 月
H19 年 9 月
H21 年 3 月
H21 年 8 月
【改善前】
概要
【改善後】
備
考
例
■西之表市 建設課 TEL0997-22-1118
54
市内空き家住宅調査
地域住宅交付金の導入検討
地域住宅計画作成
地域住宅交付金交付決定
H19 年度空き家住宅改修工事完成
H20 年度空き家住宅改修工事完成
H21 年度空き家住宅改修工事着工
(3)市町村独自の改修助成制度の紹介
空き家を住宅の入居を目的として、改修した費用の一部を補助する制度を設けている市町村が
あります。
①県内市町村の空き家等改修助成の取組状況
平成28年1月31日現在
長島町
三島村
出水市
阿久根市
中種子町
さ つま町
霧島市
姶良市
十島村
鹿児島市
垂水市
奄美市
大崎町
鹿屋市
大和村
奄美市
宇検村
東串良町
南さ つま市
瀬戸内町
南九州市
肝付町
徳之島町
伊仙町
南大隅町
知名町
55
②市町村独自の改修助成の事例紹介
市町村名
事業名
薩摩川内市
改修助成制度
空き家改修支援事業
市内の空き住宅に入居を目的として改修する借主、所有者を対象に、空き家の改修に要
事業の目的
する費用の一部を補助する。また、コミュニティビジネスなどを実施する目的で改修す
る自治会、地区コミュニティ協議会に対して改修費用を一部補助する。
【補助要件】以下の条件を満たす空き家。
① 3 年以上継続して居住した実態がないもの。
② 建築後、10 年以上経過した住宅。 ※共同住宅及び借家住宅は、対象外。
【補助対象者・補助率】
対象者
改修目的
地区コミュニティ協議会・自治会
地域課題を解消する目的で、空き家を賃借し
改修するもの
(例:コミュニティサロン、観光案内所や物産販売所等)
補助率
補助金
上限額
補助条件
概
要
備
考
3/4
300 万円
例:総事業費 400 万円の場合
→補助額
300 万円
→地区コミ負担 100 万円
改修後、5 年以上の利用
個
人
居住目的で空き家の所
有者あるいは、賃借人
が改修するもの
1/3
40 万円
改修後 3 年以上の居住
【改修補助の対象】
① 屋根のふき替え、塗装又は補修
② 軒樋及び縦樋の交換又は補修
③ 外壁の張り替え、塗装、補修又は補強
④ 建築物と一体のテラス、ウッドデッキ、濡れ縁等の塗装又は補修
⑤ 壁、床及び天井の張り替え、補修又は補強
⑥ 建具の取替え又は補修
⑦ 畳の取替え
⑧ 段差解消工事(玄関アプローチ工事を含む。)
⑨ 手すり設置
⑩ 間取りの変更
⑪ 耐震改修工事
⑫ 増改築工事(建て替え及び新築は除く。)
⑬ 便所、風呂、洗面所及び台所の改善(便器、風呂釜、洗面台及びシステム
キッチンの取替えを含む)
⑭ 老朽電気配線及びコンセントの取替え工事(火災防止のために行う取替え
に限る。)
⑮ ①から⑭までの工事に附属する電気及び給排水工事
■企画政策部 よかまち・きやんせ倶楽部(企画政策課内)
TEL0996-23-5111
フリーダイヤル:0120-420-200
56
市町村名
姶良市
改修助成制度
空き家リフォーム事業補助金
事業名
事業の目的
姶良市にある空き家を有効的に活用するため、空き家のリフォームと家財道具などの
処理・撤去費用について補助を行う。 ※この事業は平成 29 年 3 月 31 日まで実施
■空き家のリフォーム
空き家の修繕、補修、更新などの費用を補助する。
※対象工事の費用が 20 万円以上
補助金額:補助対象経費の 20%(限度額 20 万円)
■家財道具等の撤去
概
要
空き家を利用するため、不要な物を撤去するための費用を補助します。
※対象となる費用が 5 万円以上であること
※廃棄物の処理は市の規定に従って行われること
補助金額:補助対象経費の 20%(限度額 5 万円)
■対象物件
(1) 姶良市内のある建物で、個人住宅として建築された戸建て住宅
(2) 入居予定者がいて、売買契約、または賃貸契約が締結された物件
(3) すでに入居者がいる場合は、売買契約、または賃貸契約が締結されてから
3 ヶ月以内の物件
備
考
市町村名
事業名
事業の目的
■URL:http://www.city.aira.lg.jp/kurashi/cat606/post_116.html
■企画部地域政策課 地域政策係 TEL0995-66-3111
(内線 244・245) FAX0995-65-7112
十島村
改修助成制度
空き家利活用事業(H22年開始)
村内に所在する空き家及び宅地を借り上げ、改修又は解体し、貸与等をすることにより
、定住促進、地域防災及び地域の景観環境保全を図る。
■UIターン者が改修した家を借りる場合は、家賃は2年間免除制度あり。
■家賃の基本額は、月5,000円
【事業の実施判断】
村が空き家住宅を調査し、条例の改修上限額450万円(浄化槽を新たに設置する必
要がある場合は100万円を加算)の範囲内での改修が可能である場合、所有者と交
渉し借受け、改修に着手する。
【改修対象範囲】
概
要
備
考
一般的な通常の生活を可能にするための最小限度の範囲内で行う。
・台所、浴室、便所、洗面所等
・内装、屋根、外壁、柱、はり等
・合併処理浄化槽
・その他特に支障があると認められる個所
・これらの他、次に掲げるもの。
家財道具の運搬・廃棄 / 家屋・屋外の清掃 / 家屋の解体
【改修上限額】
設計限度額450万円(浄化槽を新たに設置する必要がある場合は100万円を加算)
また入居後の改修経費の限度額は108万円とする。
■地域振興課 TEL099-222-2101
57
FAX099-239-4961
市町
町村名
さ
さつま町
改
改修助成制度
住
住宅リフォー
ーム支援事業
業補助金
事
事業名
本
本町は、高齢
化率が 35.44%と県内でも上位にあり
り、老朽化し
した住宅や空家
家等も多数
事業
業の目的
存
存在するため
、居住環境の
の向上や空家
家の再活用を図
図ることで、安全で安心して住める
快
快適な住まい
づくりの促進
進に資すると
とともに、地域
域経済の活性
性化、雇用の創
創出を図る。
【補助対象空き家】
① 補助対
対象者が所有
有し、町内に建
建っている空
空き家
② 入居予
予定者がおり、売買契約又
又は賃貸契約が
が締結された
た物件
③ 空き家
家所有者の親族
族等が入居す
する場合は、町
町外から転入
入する者である
ること
【補助対象者
者】
① 補助対
対象空き家の
の所有者であること
② 入居予
予定者が、入
入居後さつま町内に住民登
登録を行うこ
こと
③ 町税等
等の滞納者で
でないこと
【補助金額等】
】
概
要
備
考
市町
町村名
事
事業名
事業
業の目的
概
要
空き家リフォーム工事
事費の3分の1に相当する額
額(上限額1000万円)
(改修前
前)
■
■URL
kense-kenchi@@satsuma-net
t.jp
■
■担当課
建設課建築係 TEL:0996-5
53-1111
長
長島町
改
改修助成制度
長
長島町定住促
促進空き家活
活用事業
空
空き家の有効
活用と移住促
促進による人
人口増加を図ることを目的
的とする。
【主な補助要件
件】
① 長島町空
空き家バンク
クに登録の住
住宅
② 入居予定
定者がいて、
、賃借の合意
意がとれてい
いること
【補助対象経費
費】
① 台所、浴
浴室、便所、
、洗面所等の
の改修及びこ
これらに附属
属する備品の購入
② 内装、屋
屋根、外壁等
等の改修
③ 家財道具
具等の運搬及
及び廃棄
④ 屋内及び屋外の清掃
掃
【補助金額等】
】
賃貸を目的とした空き
き家の改修費用を補助
補助対象経費の50%(限度額150万
万円)
(改修前
前)
備
考
(改
改修後)
(改
改修後)
■URL
■
■
■担当課
企画財政課企画
画調整係
58
TE
EL:0996-86-1
1111
市町村名
事業名
大崎町
改修助成制度
空き家リフォーム促進事業
事業の目的
町内に所在する空き家の流動化を促進し、人口の増加と地域経済の活性化を図る。
概
【補助対象の空き家】
個人が自ら居住することを目的に建築し、1年以上継続して居住していない家屋
【補助対象者】
空き家の所有者又は賃貸や売却を行うことができる権利を有する者
【主な補助要件】
① 町民税等に滞納がないこと
② 居住地の自治公民館に加入すること
③ 町内の建築業者等(個人事業主を含む)に空き家の改修を発注すること
④ 申請年度内に工事が完了すること
※改修後、活用することが必須
(1) 賃貸や売却するほか、自己又は親族等が居住することも可能
(2) 賃貸や売却に当たっては、空き家バンクに登録すること
【補助対象経費】
① 住宅の機能向上のための修繕、模様替え、設備改善(店舗や倉庫などは対象)に
要する経費(ただし、備品の購入や外構工事は対象外)
② 家財道具等の運搬及び廃棄に要する経費
③ 空き家の改修等に要する経費(消費税は除く)が30万円以上であること
【補助金額等】
補助対象経費の2分の1以内(上限額50万円)※補助金額の千円未満は切り捨て
【事例】
建物概要:木造平屋、90.05㎡、農家住宅
工事内容:畳表替え、襖張替え、引戸修理、土間補修、その他天井・壁等の補修
工 事 費:661,000円(町補助額 330,000円、自己負担額 331,000円)
工事後の使用目的:Uターン者に対する賃貸
備
要
考
市町村名
事業名
■URL http://www.town.kagoshima-osaki.lg.jp/akiyabank/akiyahojo.html#reform
■担当課 企画調整課 TEL:099-476-1111
錦江町
住宅リフォーム促進事業補助金
改修助成制度
事業の目的
住宅のリフォームをされる方にその費用の一部を補助します。
概
要
【補助要件】
① 町内に住所を有し、かつ、住民基本台帳に登録されている者
② 町内に建築している住宅
③ 持ち家で自己が居住している住宅
④ 工事経費が20万円以上の工事
⑤ 工事の予定の施工者は町内業者であること。
【補助対象経費】
屋根、外壁、トイレ、台所、居室等居住に必要な改修工事
【補助金額等】
改修等に要する費用の10%(限度額15万円)又は20%(限度額30万円)
※10% 一般
※20% 特別 65歳以上や障害者等
備
考
■企画課 企画調整チーム TEL0994-22-3032
59
市町村名
事業名
事業の目的
概
要
備
考
市町村名
事業名
事業の目的
概
要
備
考
肝付町
改修助成制度
住宅リフォーム支援事業助成金
住宅の長寿命化、地域経済の活性化、雇用の創出を図るため、町民が町内業者を利用し
て、住宅のリフォームを行う場合に、予算の範囲内でその経費の一部を助成
【補助要件】
助成金交付の対象となる経費(消費税を含む)が 20 万円以上であること
・町内業者等が施工すること
・本事業の助成金交付決定を受ける前に、リフォーム工事に着手していないこと
・各年度7月1日から1月31日までの期間にリフォーム工事が終了すること
【補助対象経費】
住宅の長寿命化によるリフォームに要する経費
※外構工事、住宅に固着しない設備等の改善や補修(省エネルギー電球・蛍光
灯の取替、カーテン交換、壁紙・障子・ふすま紙・網戸などの小破補修)は
対象外
【補助金額等】
助成金交付の対象となる経費の20パーセントに相当する額(上限20万円)
■URL:http://kimotsuki-town.jp/5538.htm
■建設課 TEL0994-65-8424 FAX0994-65-2516
中種子町
中種子町定住促進住宅整備事業補助金
改修助成制度
UIターン者及び地域後継者に貸し付ける目的で空き家の改修を行った所有者等に対
し、補助金を交付することにより、定住を促進し、人口の増加を図る。
【主な補助要件】
UIターン者や地域後継者への貸付が目的で、概ね60㎡以上の空き家の改修を行う
所有者又は管理を委託された者で、次の条件を全て満たす者
① この補助金を受けた住宅を改修終了月から少なくとも3ヵ年間は、UIターン者
等のために確保することを確約すること
② 所有者等及び所有者等と生計を一にする者が、町税を滞納していないこと
③ 入居予定者が所有者等と2親等以内の血族・姻族でないこと
④ 本町の実施する住宅改良にかかる補助金制度の補助金交付を受けていないこと
⑤ 貸家業を営む者でないこと
⑥ 対象となる改修費用が10万円以上であること
【補助対象経費】
町内建築業者等による、家屋本体・畳・電気・水道・トイレ・ガス・風呂・流し台
などの改修費用が対象(ただし、電気・ガス等の器具類については補助対象外)
【補助金額等】
補助対象経費の3分の2(上限額30万円) ※補助金額の千円未満は切り捨て
■URL
■担当課 企画課 電話:0997-27-1111
60
市町村名
事業名
知名町
空き家利活用事業(定住促進住宅)
改修助成制度
事業の目的
町が空き家を借り上げ、改修工事後、島外からの移住希望者へ転貸する。
概
【改修範囲】
水回りの改修及び附属する設備、内外装、屋根、柱、はり等の改修、合併処理浄化
槽の設置及び改修又は公共下水道及び農業集落排水への接続、家財道具等の運搬及
び廃棄、家屋及び屋外の清掃、その他特に支障があると認める箇所の改修
【改修経費の限度額】
限度額は350万円。自己負担による改修希望があった場合は協議
【空き家の借受期間】
町が所有者から空き家を借り受ける期間は、12年間
【空き家の借受料】
月額1,000円。ただし、改修経費が150万円未満の場合は月額2,000円、改修経費を
要しなかった場合は月額3,000円
【貸付対象者】
知名町に永く居住する意思をもって町外から転入しようとする者で自ら居住する
者等
【貸付期間】 3年未満
【家賃】
5,000円
備
要
考
市町村名
事業名
■土木課建築係 TEL0997-84-3520 FAX0997-92-3300
徳之島町
改修助成制度
徳之島町空き家転貸事業
事業の目的
町が空き家を所有者から借り受けて改修後、移住・定住希望者へ住宅を貸し出す。
概
要
■UIOターン者への貸し出し期間:原則2年間の期間
※賃貸料は、改修額及び近傍家賃に応じて
■空き家所有者から町が借り受ける期間:改修額に応じて
※貸借料は、改修額に応じて
■空き家の選択
予算の範囲内で、現状や改修に要する費用のほか所有者等を勘案し、候補選択。
■移住・定住希望者の募集
町ホームページ・ねりやかなや(奄美群島広域事務組合関連)・広報誌・その他
【活用状況】
■実績 平成24年度 1件(金見) 事業費約60万円 現在も入居中
■金見集落空き家事業で実施し町のホームページ、7月に入居決定
・移住定住を前提とした「空き家改修転貸事業」を実施
・自然豊かな町北部に位置する金見集落にて、民間の空き家を借り受け、改修し
移住定住希望者へ転貸
【物件内容】
徳之島町金見(一軒家 3DK水洗トイレ付)
建物面積; 83㎡ 家賃; 25,000円/月 (敷金 3ヶ月分)
【主な入居資格要件】
・集落の活性化の担い手となる者。
・現に同居し、又は同居しようとする(婚約者含む)親族があること。
・住所が本町にあり、あるいは入居後本町に移すことが確実であること。
※群島外より移住希望の方、又は群島外より本町に移住して一年未満の方。
・暴力団員ではないこと。
・市町村民税及び使用料等を滞納していないこと。
【募集期間】 平成25年2月15日~3月31日(土日祝祭日を除く9:00~17:00)
備
考
■企画課企画開発係 TEL0997-82-1111
61
6
除却
法第 14 条において、空家等をそのまま放置すれば、倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状
態または著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく
景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
にあると認められる特定空家等の所有者等に対し、除却等に必要な措置をとるよう市町村は助言・指
導・勧告・命令することができるとなっています。また、市町村は、法第 12 条により、所有者等によ
る空き家等の適切な管理の促進について、必要な援助を行うよう努めるとともに、法第 13 条において
は、空家等および空家等の跡地の活用等に必要な対策を講ずるよう努める必要があります。
ここでは、除却に関する(1)国の施策支援制度の活用事例(2)市町村独自の除却助成制度を紹
介します。
(1)国の施策支援制度の活用事例
市町村名
事業名
事業の目的
和泊町
空き家再生等推進事業(除却事業タイプ)
事
例
老朽化した空き家の所有者等、その他相続人が危険廃屋と認められた空き家の撤去に要
した費用の一部を助成する。
【補助概要】
補助対象者が施工者と補助対象工事に係る工事請負契約を締結していること
補助金の申請をした日の属する年度の3月31日までに補助対象工事が完了すること
【補助対象経費】
建物の除却及び建物に付属する工作物の除去に係る費用
【補助金額等】
補助対象工事費の10分の8を乗じて得た額の2分の1以内の額で上限50万円
【活用状況】
■before
概
要
■after
備
考
■土木課建築係 TEL0997-84-3520 FAX0997-92-3300
62
市町
町村名
薩
薩摩川内市
空
空き家再生等
等推進事業 (除却事業タ
タイプ)
事業
業名
事 例
上甑町は、薩摩川内市の
薩
の川内川河口か
から西方約 26kmの東シ
2
シナ海上に位置する甑島
の
の上甑島にあ
る。老 朽 化 が 進 ん だ 前 田 一 般 住 宅 を 解 体 撤 去 し 公 園 用 地 と し て
事業の
の目的
活用することで、住環 境の向上を図る。
【財
源】 ・国費(地域
域住宅交付金
金)を活用〔事業名:空
空き家再生等
等推進事業〕
・市町村一
一般財源による
所
所在地
鹿児
児島県薩摩川内
内市上甑町
施
施行者
薩摩
摩川内市
【建物
物概要】
CB
B造 平屋建
敷
敷地面積
1,18
82㎡
4棟 12戸
総
総事業費
9,80
06千円
延床
床面積:395.991 ㎡
補
補助対象
8,34
42千円
住戸
戸タイプ:2戸
戸、3戸、5戸
事
事業年度
平成
成19年度
旧用
用途:専用住宅
宅(市営一般
般)
新用
用途:公園用地
地
【活用状況】
【
■before
e
概
要
■after
備
考
■建築住宅課 建築指導グ
■
グループ
3-5111(内線
線 3642)
TEL 0996-23
63
市町
町村名
阿
阿久根市
空
空き家再生等
等推進事業 (除却事業タ
タイプ)
事業
業名
事 例
寺山地区は、阿久根市中
中心部の肥薩
薩おれんじ鉄道
道阿久根駅か
から北へ約1㎞の地点に
あ
あり、比較的利
利便性のよい
い既成市街地
地に位置してい
いる。
当
当地区には、
「寺山住宅」「潮見ヶ岡住
住宅」「牛見顔
顔住宅」の3
3つの小規模な公営住宅
が
が存在してい
たが、昭和2
27年度から昭和43年度
度までに建設
設された木造平屋建及び
簡
簡易耐火長屋建
建の老朽化し
した狭小な住
住宅であったた
ため、近年の
の居住ニーズを踏まえた
整
整備が不可欠
な状況に至っ
っていた。
事業の
の目的
このような状
状況の中、当
当地区は重要
要プロジェクト上において
て「建替・統合団地」の
対
対象として位置
置づけられ、 県・市の連
連携による団地
地の一体的な
な整備を行うとともに、
団
団地周辺を含
めた地域整備
備を実施する
ることとなった
た。
これらにより、建替に伴
伴う周辺住宅
宅地を含めた利
利用を念頭に
においた集会所、公園、
高
高齢者福祉施設
設等の整備が
が計画された
たが、このうち
ち、統合団地
地の建設に伴い用途廃止
と
となった牛見顔
顔住宅につい
いては、その
の跡地を都市公
公園として整
整備するため、老朽化し
た
た空き家の除去
去については
は、空き家再
再生等推進事業
業(旧老朽住
住宅除去等事業)を活用
し
した。
所
所在地
鹿児
児島県阿久根市
市赤瀬川外
施
施行者
阿久
久根市
【建物
物の概要】
CB
B造平屋建、木
木造平屋建
総
総事業費
11,0
081千円
10棟
棟 16戸
補
補助対象
8,876千円
延床
床面積:
711.60 ㎡
補
補助金
4,438千円
戸当
当たり面積:
44.47 ㎡
事
事業年度
平成
成17年度
旧用
用途:公営住宅
宅敷地
新用
用途:都市公園
園敷地
【活用状況】
【
■before
e
概
要
■after
備
考
■建設課 用地
■
地住宅係
TEL 0996-73
3-1189
64
(2)市町村独自の除却助成制度
空き家を住宅の入居を目的として、危険廃屋の取り壊し、撤去にかかる工事費用の一部を補助する
制度を設けている市町村があります。
①県内市町村の空き家除却助成の取組状況
平成28年1月31日現在
伊佐市
屋久島町
霧島市
いちき串木野市
十島村
曽於市
鹿児島市
志布志市
鹿屋市
南さ つま市
瀬戸内町
枕崎市
和泊町
与論町
65
肝付町
②市町村独自の除却助成の事例紹介
市町村名
事業名
事業の目的
鹿児島市
除却助成制度
老朽空き家等対策事業
市民の安全や良好な生活環境の確保を図るため、危険な空き家の解体費の一部を補助
【主な補助要件】
老朽化が著しい個人所有の空き家(戸建て住宅、長屋、共同住宅など)で、以下のい
ずれかに該当するもの
① 道路に接していないなど、利活用が進みにくい敷地に建つもの
② 傾いているなど、周囲に被害を与える危険性が著しく高いもの
【補助金額等】
補助対象経費の3分の1以内(限度額30万円(国50%、市50%))
概
要
(解体前)
備
考
市町村名
事業名
事業の目的
(解体後)
■URL
http://www.city.kagoshima.lg.jp/kensetu/kenchiku/kenshido/machizukuri/k
aihatsu/kenchiku/rokyu/hojo.html
■担当課 建築指導課 TEL:099-216-1358
鹿屋市
危険空家解体撤去工事補助金
除却助成制度
市民の安全安心の確保と住環境の改善及び良好な景観の維持を図るため、危険空き家
の解体に係る経費の一部又は安全対策上必要な措置の経費の一部を補助
【補助対象者】
空き家の所有者(又はその相続人)で市税等を滞納していない者
概
要
【主な補助要件】
対象となる危険空き家は、次の全てを満たすもの
① 「鹿屋市空家等の適正管理に関する条例」の規定による助言・指導、勧告・
命令を受けた空き家等
② 空き家の危険度を判定するシートにより100点以上の評点(180点満点中)が
あるもの
【補助金額等】
① 市内の解体撤去業者に依頼する工事であって経費が30万円以上のもの
補助額 = 解体撤去工事費 × 1/3(上限30万円)
② 危険度が高く、緊急性があると特に市長が認めた安全対策上必要な措置の経費。
補助額 = 安全対策措置に要した経費1/2(上限:10万円)
※②の補助を受けた者は1年以内に解体撤去工事を行うよう努めること。
※②の補助を受けた場合は、解体撤去工事費に対する補助額は、30万円から当該
補助額分を差し引いた額。
66
備
考
市町村名
事業名
事業の目的
(解体前)
(解体後)
■URL http://www.e-kanoya.net/htmbox/anzenanshin/akiya_hojyokin.html
■担当課 市民生活部 安全安心課 ℡0994-31-1124(直)
曽於市
除却助成制度
危険廃屋解体補助事業
危険廃屋の取り壊し・撤去・処分にかかる工事経費の一部を補助する。
【補助要件】
・所有者が居住又は使用していない家屋
・工事経費が30万円以上
・市内の解体業者が行う工事
【補助対象経費】
・現に所有者が使用しなくなった建物の工事費用
※家屋に付属する地下埋設物撤去工事、公共工事の補償対象となる建物は除く
【補助金額等】
対象工事費の30%
最高30万円
【活用状況】
鉄骨造2階建て飲食店(廃屋)の外壁落下に伴う解体工事
概
要
■before
■after
備
考
■建設課建築係 TEL0986-76-8811 FAX0986-76-1122
67
市町村名
事業名
事業の目的
概
備
要
考
市町村名
事業名
事業の目的
伊佐市
危険廃屋解体撤去工事補助金
除却助成制度
景観及び住環境の向上並びに市民の安全安心の確保を図るため、危険廃屋の解体及び
撤去に係る経費の一部を助成
【主な補助要件】
① 所有者等が居住又は使用していない建物及び店舗等(抵当権又は第三者の権利が
設定されているもの及び火災、災害を原因とするものを除く)
② 30万円以上の工事
③ 市内の危険廃屋の解体及び撤去を行う業者の工事
【補助対象者】
① 市内に危険廃屋を所有する者
② 市内に危険廃屋を所有する者から解体撤去の委任を受けた者
※市税の滞納がある者を除く
【補助金額等】
対象工事費の30%(上限額30万円)
■URL http://www.city.isa.kagoshima.jp
■担当課 総務課 交通消防防災係 ℡ 0995-23-1311(内線 1118・1119)
屋久島町
除却助成制度
危険家屋解体撤去補助事業
景観及び住環境の向上、並びに町民の安心安全の確保を図ると共に、町内産業の活性
化に寄与する。
【補助対象者】
以下の要件を全て満たす者
① 町内に存する危険家屋の所有者又は当該危険家屋の撤去の委任を受けた者
② 町が認めた解体業者等を利用する者
③ 町税等を滞納していない者
【補助金額等】
① 対象工事費の30%(上限額30万円) ※年度内の予算に到達した時点で終了
【事業実績】
平成23年度(6件) 平成24年度(3件) 平成25年度(7件) 平成26年度(8件)
概
備
要
考
(解体前)
(解体後)
(解体前)
(解体後)
■URL
■担当課 建設課 TEL:0997-43-5900
68
市町村名
事業名
事業の目的
和泊町
除却助成制度
危険廃屋撤去助成事業
町内に存する老朽化した危険廃屋を解体することにより、環境の向上を図る。
【補助概要】
① 補助対象者が施工者と補助対象工事に係る工事請負契約を締結していること。
② 補助金申請をした日の属する年度の3月31日までに補助対象工事が完了すること。
【補助対象経費】
建物の除却及び建物に付属する工作物の除去に係る費用
【補助金額等】
補助対象工事費の10分の8を乗じて得た額の2分の1以内の額(上限額50万円)
概
備
考
市町村名
事業名
事業の目的
概
備
(解体前)
要
要
考
(解体後)
■URL [email protected]
■担当課 土木課 TEL:0997-84-3520
与論町
与論町廃屋解体・撤去補助事業
(解体後)
除却助成制度
個性的で魅力あふれる良好な景観を守り、創るため、周辺の景観を著しく阻害してい
る廃屋及び防災・防犯上不適切な状態にある廃屋を解体・撤去する
【補助交付対象者】
次の各号のいずれにも該当する者
① 町内に所在する廃屋の所有者
② 町に納税すべき税を滞納していない者
③ 廃屋の解体・撤去後において、当該地の良好な景観の形成に十分に配慮する
ことが認められる者
【補助金額等】
補助事業に係る経費の3分の2(上限額60万円)
■URL
■担当課 環境課 ℡ 0997-97-4712
69
7
管理
住宅が「空き家」となり放置されると、老朽化の進行が早まり、最悪の場合、周辺に危害が及ん
だり、地域の景観などに悪影響を及ぼす等の恐れがあります。
放置空き家となることを防ぐには、活用できる空き家については積極的な活用を、そうでなくと
も管理が不十分とならないように適正管理を促すことが重要です。
空き家問題に対する具体策としては「管理不全対策」、「活用」、「除却」がありますが、法第 12
条により、
「市町村は、所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、これらの者に対し、情
報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとする。」となっており、まずは、所有者等
に活用や管理の意識を持っていただき、問題が起こらないように促していくことが大切です。
また、所有者等の適正管理においては、指針 3-(2)に示されているように、空き家等を日頃管
理することが難しい所有者等については、民間団体等の専門業者等の協力も欠かすことはできませ
ん。地域全体での情報共有、場合によっては、空き家ビジネス等の活用も念頭において、所有者等
への適切な誘導を実行していくことも重要となっています。
■空き家関連ビジネス
近年は、空き家の増加に伴い、空き家を活用したビジネスも増えてきました。
空き家管理代行サービスなどは、空き家の所有者等から依頼を受けて空き家の通気、通水、屋
内清掃、敷地除草などを行うサービスであり、NPO 法人、不動産業者、警備業者やシルバー人材
センターなどがあげられます。
不動産業者にとっては、管理代行によって空き家の所有者等との信頼関係を築き、将来的には
売却等の仲介につなげられるとの期待から、こうしたビジネスを行っています。
また、警備業者については、定期巡回等の本来の警備業務のノウハウを活用しています。
シルバー人材センターは、行政と連携して地域に密着したコミュニケーションから、空き家と
なっている住宅の樹木の伐採や清掃活動を行ったり、空き家台帳を作成したりして事業展開して
いるケースもあります。
コラム
空き家の火災保険・家財保険について
空き家の管理者がはっきりしており、被害にあった時に前後を証明できれば、空き家で
も火災保険がかけられる場合があります。また、家財道具の場合は、月に 1 回程度の定期
的に管理できる家財道具には家財保険が適用できる場合があります。
70
【参考:空き家管理サービス】
空き家の所有者等から依頼を受けて空き家の通気、通水、屋内清掃、敷地除草などを行うサ
ービスがあります。
71
【参考:空き家管理サービスの委託契約書】
空き家管理委託契約書
本契約書は、空き家管理基本契約にいて、当事者が契約の締結に際して定めるべき事項及び当事者が
契約の履行に関して互いに遵守すべき事項を明らかにすることを目的とする。
依頼者(以下「甲」といいます。
)は、この契約書により、覚書(1)に記載する甲の依頼の目的であ
る物件をその指定する範囲(以下「目的物件」といいます。)において、受託者(以下「乙」といいます。
)
に空き家の物件管理を受託し、乙はこれを受託しました。
名
称
邸空き家管理委託
住居表示
所在(登記簿)
管理範囲
□敷地 □建物外部 □建物内部(通風・換気別途)
管理の回数
建
物
□年 1 回 □3 ケ月に 1 回 □4 ケ月に 1 回
管理費-A(目視管理)※
□1 回 5,000 円+1,000 円=6,000 円(20km 圏外は別途)
※
□1 回 5,000 円+1,000 円=6,000 円(20km 圏外は別途)
管理費-B(目視管理)
管理業務 A
□敷地の管理・建物外部
管理業務 B
□建物内部・通風・換気(1 時間程度)
種 類
構造・規模
土地の権利
土
□6 ケ月に 1 回
地
借地の場合
□一戸建 □マンション □その他
□木造 □軽量鉄骨 □鉄筋コンクリート
□その他(
) 階
m2
□所有
□地目
□地積
□借地
m2
□旧法借地 □普通借地 □普通定期借地 □その他
(期間 平成 年 月 日~平成 年 月 日)
所 有 者
登記上の名義人
権利関係
所有権に関わる権利に
関する事項
所有権以外の権利に関
わる事項
※
金額については、目安となります。
今回の空き家管理基本契約を行うに当たって、甲及び乙は、乙からの本契約の内容の説明がなされた
こと、甲乙間で本契約が成立した事を証するため、この契約の証として本書2通を作り、当事者および
保証人が記名押印して、当事者がそれぞれ1通を保有する。
平成
年
甲:委託者
月
日
住 所
氏 名
丙:業務代理人
印
住 所
氏 名
乙:受託者
印
住 所
氏
名
印
72
【参考:空き家管理サービスの点検表】
第
回
件
名
点
検
表
平成
月
日
別
空き家
発注者名
築年数
年
受注者名
構
造
木造平屋
委託業務
屋
根
□瓦□コロニアル□鋼板□その他
外
壁
□板壁□モルタル□サイディング
業務内容
種
年
空き家定期巡回(年(
)回の目視管理)
〒
所在地
その他
管理業務A
□車庫□倉庫□納屋□蔵□離れ
外観目視による管理業務
目視管理報告事項
①定期巡回(年(1)回の目視管理)
□定期巡回
②投棄物(年(1)回の目視管理)
□投棄物
□擁壁
□外構
③擁壁・外構・雨水枡、駐車場
(年(1)回の目視管理)
□雨水枡
1.敷地の管理
□駐車場
□塀
④塀、フェンス、カーポート
□フェンス
(年(1)回の目視管理)
□車庫
⑤近隣環境の変化(年(
)回の目視管理) □近隣環境の変化
□定期巡回
□玄関廻り:
□外壁:
①定期巡回
2.建物の管理
(年(
)回の目視管理)
□屋根:
玄関廻り、外壁、屋根、庇、窓、ポーチ、
□庇:
樋、(付属建物、建物内は別途)
□窓:
□ポーチ:
□樋:西側・
3.設備の管理
①定期巡回
(年(
)回の目視管理)
□定期巡回・・・別途
4.雨戸の管理
①定期巡回
(年(
)回の目視管理)
□定期巡回・・・別途
①外の清掃
(年(
)回の簡易清掃)
□外の清掃・・・別途
5.清掃・除草
②草
(年(
①郵便物回収
6.その他
)回の簡易除草)
(年(
□草・・・別途
)回の目視管理)
郵便・宅配便転送手続き代行
□郵便物回収・・・別途
□郵便・宅配便転送手続き代行・・・別途
②公報等回収
□公報等回収・・・別途
73
管理業務
B
内部目視による管理業務
①
期巡回
(年(
目視管理報告事項
)回の目視管理)
□定期巡回
(建物内部の換気は別途)
□タタミ:
□内壁:
②
室 6 帖(床の間)
□天井:
(年(
)回の目視管理)
□押入れ:
□床の間:
□タタミ:
③
室 4.5 帖
□内壁:
(年(
)回の目視管理)
□天井:
□タタミ:
④
□内壁:
室 7.0 帖
(年(
)回の目視管理)
□天井:
□押入れ:
□フロアー:
④和室 3.0 帖
□内壁:
1.建物内部
(年(
)回の目視管理)
□天井:
の管理
□フローリング:
⑤台所 6.0 帖
□内壁:
(年(
)回の目視管理)
□天井:
□フローリング:
⑥廊下
□内壁:壁・
(年(
)回の目視管理)
□天井:
□フローリング:
⑦洗面所
□内壁:
(年(
)回の目視管理)
□天井:
□ユニットバス:
⑧浴室
□内壁:
(年(
)回の目視管理)
□天井:
□床:
⑨便所
□内壁:
(年(
)回の目視管理)
□天井:
□床:
⑩玄関
□内壁:
(年(
)回の目視管理)
□天井:
74
第3章
空
空き家対策
策の体制整備
備
庁内連携
携と関係機
機関との連携
携体制
住民から
ら空き家についての相談が
があった場合
合、多くの市
市町村では、その対応に
については、関係する
け持っています。例えば、特定空家等
等の指導につ
ついては建築
築課、空き家
家バンクにつ
ついては企
各課が受け
画課、ゴミや悪臭問題は環境課という具合です
す。
増えてくると
と、個別に対
対応するので
ではなく、
「空
空家等の所在
在地を一覧表
表にし、又
今後、空き家問題が増
に示したものを市町村の内部部局間で
で常時確認で
できるような
な状態にして
ておくなど、空家等の
は地図上に
所在地につ
ついて市町村内の関係部局
局が情報共有
有できる環境
境を整備する
ること」(「指
指針」3-(1)
))が重要
となります
す。
また、法
法第 7 条において、空き家等対策計画
画の策定や特
特定空家等に
に関して指導
導・勧告・命
命令等の措
置を実施す
する場合の『協議会』の運
運用も検討 していく必要
要があります
す。
は、具体的な対策となれば、庁外の専
専門機関、例
例えば弁護士
士や建築士、 不動産業者
者などとの
さらには
連携も欠か
かせなくなるでしょう。
つまり、空き家バンクであれば民
民間の不動産
産業者や NPO
O 組織、建築
築基準法に関
関することで
であれば特
れば消防署など、他の関係
係機関との連
連携を視野に
に入れた体制
制づくりを検
検討してい
定行政庁、防災であれ
考えられます。
くことが考
び関係機関と
との連携イメ
メージ】
【庁内及び
市町村庁内
内
建築、企
企画、生活環
環境、福祉、
総務など
ど
関係機関
関
消防署
署、特定行政
政庁、弁護
士会な
など
民間機関
空き家
問 題
地
域
町内会、自治会、民
民生委員など
75
不動産業
業者、NPO 団体など
【円滑な体
体制づくりの
の全体イメー
ージ】
連携
地域
市町村民
市
←地域ワー
ークショ
ップの開催
催など
啓発活動
啓
通報
報
問合せ
せ
空家等
健全
全
支 援
アドバイ
イス
危険
危
空き家バン
ンク
空き
き家の状況把握
握
規制の円滑化
集落での活
活用
所有
有者への啓発
条例
例化に基づ
く対応
補助制度
関係
係団体
建築・商工・農
業・福
福祉関係団
体、NPO
O 法人など
行政(市町村)
連携
規制手
手段の整備
諮
諮問
連携
周知啓発
危
危険の妥当性
性を審議
活用など
答申
行政(県・警察)
鹿児島市
【参考:鹿
協議会
会
特定空家等
等の規制
庁
庁舎内の相談
談等に対する
る対応フロー
ー】
市
民
相談
相談
関
係
課
①連絡
絡を受けた部
部署で相談対応
応 ※ 電話
話転送しない
②相談
談者名、住所
所、相談内容等
等を聞き取り
り、要領に定める「空き家
家等処理票」を作成
担当課へ情報
報提供
担
当
建築
築指導課(建
建築物)
課
環境衛
衛生課(草木 等の繁茂)
廃
廃棄物指導課
課(不 法 投 棄)都市景
景観課(景
観)道路管理課
課(道路の管
管理)
消
消防局予防課
課(防
火)青 少 年 課(青少
少年の出入り)安心安全課
課(防犯・防
防災)
担当
当課による現
現場調査(必要
要に応じ関係
係課合同)
問題点が複
複数課にわた る場合
老朽空き
き家+雑草繁
繁茂
空き家+
+青少年の出
出入り など
ど
指
導
関係課で連携
携して指導
76
第4章
1
空き家相談事例と相談窓口
空き家相談事例(Q&A)
法第 12 条には「市町村は、所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、これらの者に対し、
情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとする。」と規定されています。
空き家の相談に至る背景は様々で、相談者は空き家等所有者等のみならず、売り主・貸り主、買い
手・借り手、空き家の周辺の住民など多様になると考えられます。
相談内容によっては、所有者等が市町村に求めることが必要である場合が想定されるため、市町村
はその要請に迅速に対応することが可能な体制を整備することが望ましいと考えられます。なお、体
制整備に当たっては、空き家等をめぐる一般的な相談はまず市町村において対応した上で、専門的な
相談については宅地建物取引業者等の関係事業者や関係資格者等専門家の団体と連携して対応するも
のと考えられます。
ここでは、空き家等所有者等や周辺住民からの相談対応に際して市町村相談担当者の一助となるよ
う相談事例を紹介いたします。
相談事例は、公益財団法人鹿児島県住宅・建築総合センターの
ホームページでも紹介しています。http://kjc.or.jp/
■全般的なことについて
Q1
そもそも空き家って、どんな家のことでしょうか?
・通常は、日常的な生活が行われていない家、または継続的に人が住んでいない家のことと解
されますが、法律や制度によっては、用語の定義が異なる場合があります。
・空き家率の統計値の根拠として使用される、総務省の「住宅・統計調査」において「空き家」
とは、「居住世帯のない住宅のうち、一時現在者のみの住宅と建築中の住宅を除いたもの」と
定義されており、調査日時点で居住者がなければ、賃貸・売却用の住宅や、別荘等の二次住宅
等も含んでいます。
・
「空家等対策の推進に関する特別措置法」においては、
「空家等」とは、
「建築物又はこれに附
属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷
地をいう。」と定義され、判断基準の事例として「概ね年間を通して、建築物等の使用実績が
無いこと」が基本指針に示されています。
また、「特定空家等」とは、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれの
ある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことに
より著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置すること
が不適切である状態にあると認められる空家等」と定義されています。
Q2
空き家に関する総合的な相談窓口はどこですか?
・県内では総務部(課)や企画部(課)などの部署で相談に応じているケースが多いようです。
他の自治体に存在する空き家等の相談については、当該自治体の総務部(課)や企画部(課)
に問い合わせてください。(P87~88 参照)
・県下全域を対象とした窓口として、鹿児島県土木部建築課住宅政策室住宅企画係または、
(公
財)鹿児島県住宅・建築総合センター企画部企画課があります。(P85-①参照)
77
Q3
空き家バンクとはどのようなものでしょうか?
・空き家をお持ちの方と、空き家を利用して定住等を希望する方のマッチングをはかり、空き
家の有効活用と定住促進を図る制度です。マッチング方法は、空き家所有者等の申し出により
空き家バンクに物件登録し、その空き家を利用したい方の申し出により、所有者等や登録事業
所(登録している不動産業者)を紹介するケースが一般的です。
Q4
県内で空き家バンクを運営している自治体はどこに聞けばわかりますか?
・鹿児島県企画部地域政策課の下記の HP アドレスを参照してください。
http://www.pref.kagoshima.jp/ac01/pr/koryu/sumai/sityousonakiya.html
・なお、平成 28 年 1 月 31 日現在、空き家バンクを運営している自治体は、鹿屋市、垂水市、
薩摩川内市、霧島市(店舗活用に限る)、南さつま市、志布志市、奄美市、南九州市、姶良市、
さつま町、長島町、大崎町、東串良町、南大隅町、肝付町、中種子町、南種子町、瀬戸内町、
龍郷町、天城町、伊仙町、和泊町、知名町となっています。
Q5
空き家を活用する場合と取り壊す場合で、固定資産税はどのように変わりますか?
・住宅用地については、土地の固定資産税を減額する特例がありますが、住宅をそれ以外の用
途に転用したり、売却して更地にすることで特例対象から除外されることもあります。
・なお、平成 27 年 5 月 26 日以降、空家等対策特別措置法の規定により、空き家が管理不全の
まま放置されるなどして、市町村から特定空家等に指定され、除却等の措置の勧告を受けた
場合は、住宅用地の特例対象から除かれることとなるため、日常から適切に管理し、必要な
措置を早めに講ずることが重要です。
Q6
土地区画整理事業区域内にある空き家は、どう対応すればよいでしょうか?
・空き家を取り壊した場合と、そのままで維持した場合とでは補償費の扱いが異なることから、
自治体の担当課と相談するのがよいでしょう。
■ 空き家を貸したい人、売りたい人
Q1
空き家を活用したい。どこに相談したらよいでしょうか?
・空き家の活用方法には、住宅としての売却・賃貸化以外に、地域の交流サロンに活用するな
ど様々です。どのような活用を考えているかによって、相談先も変わってきますので、内容を
よく確認して専門の相談先を紹介することが必要です。(P85~P86 参照)
Q2
建物に家財が残っていますが、そのまま貸し出しすることは可能でしょうか?
・空き家の中に荷物が残っている場合、基本的には空き家の持ち主が荷物の移動や処分をする
ことになります。その家財に対しても契約行為が発生することとなるので、所有者等の家財等
私有財産は建物に残さないのが通常です。
・どうしても家財道具を置かざるを得ない場合は、1カ所に集め鍵をかけるなど、紛失による
トラブル防止を図る必要があります。
Q3
改修しないと貸し出したり売買したりできませんか?
・空き家を活用するためには改修が必要な場合が少なくありません。費用の負担は、当事者間
78
で決めることになります。なお、自治体によっては、改修費用の補助制度を用意している場合
がありますので確認が必要です。
・賃貸物件の場合、建物の構造にかかる箇所や建物に付属する電気設備・給排水設備などは、
空き家所有者等の負担で修繕し、貸し出す場合が多いと考えます。売買物件の場合は修繕する
必要はなく、そのまま売買するケースも考えられます。
Q4
住宅の改修費用は貸し主、借り主のどちらが負担するのでしょうか?
・貸し主、借り主のどちらが改修費を負担するかは、貸し主が契約によって決めるため、確認
が必要です。どちらかといえば借り主が負担する場合が多いようです。
Q5
どのくらいの賃料で貸せるものでしょうか。どこに相談すればよいでしょうか?
・建物に対しての周辺環境・建物の現状・床面積、建物の使用状況、修繕履歴などにより異な
ります。(公社)鹿児島県宅地建物取引業協会や(公社)全日本不動産協会鹿児島県本部であ
る程度の相場を教えてもらえます。
(P86 参照)
・最終的には貸し主の判断で、希望賃料または希望売買価格を決定するケースが多いようです。
Q6
いくらで売れるか見当が付かないのですが、どこに相談すればよいでしょうか?
・建物に対しての周辺環境・建物の現状・床面積、建物の使用状況、修繕履歴などにより異な
ります。(公社)鹿児島県宅地建物取引業協会や(公社)全日本不動産協会鹿児島県本部であ
る程度の相場を教えてもらえます。ただし、最終的には所有者等が料金設定をすることになり
ます。(P86 参照)
・個人間で不動産取引を行うと、様々なトラブルが発生する可能性があるので、専門家である
不動産業者に仲介してもらうことを勧めます。また、不動産を売買するには宅地建物取引業免
許が必要な場合もあります。
Q7
空き家を譲渡した場合の譲渡所得は、どのように扱われますか?
・居住の用に供しなくなった日以後 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日までに譲渡すれ
ば、譲渡所得から最高 3,000 万円特別控除の特例の適用対象になります。なお、居住の用に供
しなくなってから売却までの間の用途については空き家のままでも、賃貸に出していてもどち
らでも構いません。このため、譲渡を考えるのであれば、早めの対応が望ましいといえます。
・また、家を取り壊し更地にしてから売却を行った場合でも、その更地の売却にかかる契約が
家を取り壊してから 1 年以内に締結され、かつ、その家を居住の用に供しなくなった日以後 3
年を経過する日の属する年の 12 月 31 日までに売却すれば、家がなくとも特別控除の適用は可
能です。なお、更地となった後については駐車場等、賃貸その他の用途に供してはいけません。
Q8
相続した空き家を譲渡した場合の譲渡所得は、どのように扱われますか?
・相続した日から 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日までに、被相続人の居住の用に供し
ていた家屋を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに
限り、その敷地を含む。
)又は取壊し後の土地を譲渡した場合(平成 28 年 4 月 1 日から平成 31
年 12 月 31 日までの間に譲渡した場合に限る)には、当該家屋又は土地の譲渡所得から 3,000
万円が特別控除されます。
79
・また、この特別控除を受けるためには次のような要件を満たす必要があります。
【相続した家屋の要件】
①
相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたもの、かつ当該被相続人
以外に居住をしていた者がいなかったものであること。
②
昭和 56 年 5 月 31 日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)であること。
③
相続時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないこ
と。
(相続した家屋を取り壊して土地のみを譲渡する場合には、取り壊した家屋について
相続時から当該取壊しの時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたこと
がないこと、かつ、土地について相続時から当該譲渡の時まで事業の用、貸付の用又は
居住の用に供されていたことがないこと)
【譲渡する際の要件】
①
譲渡価格が1億円以下であること
②
家屋を譲渡する場合(その敷地の用に供されている土地等も併せて譲渡する場合も含む)、
当該譲渡時において、当該家屋が現行の耐震診断基準に適合するものであること。
Q9
空き家を売却したいがなかなか買い手がつきません。どうすれば買い手が見つかるでしょう
か?
・1つの不動産業者に限らず、複数の不動産業者に売却を依頼することも可能です。複数業者
へ依頼できる「一般媒介依頼」という方法もあります。
・また、媒介契約書を取り交わして、依頼期間を定め、業者の意見、広告の公開方法、売れな
い原因の探求等を協議して進める方法もあります。
Q10
数年前まで居住していた別荘の管理が大変なので、売却するか賃貸したい。さしあたって、ど
のようなことを考えればよいでしょうか?
・利便性の良い場所にあるなら、行政に情報を伝えて空き家バンクなどに登録してもらうこと
が考えられます。空き家バンクを実施している自治体は、鹿児島県企画部地域政策課の HP ア
ドレス(http://www.pref.kagoshima.jp/ac01/pr/koryu/sumai/sityousonakiya.html)を参照
してください。
・上記以外では、近傍の不動産業者に現地を確認してもらい、貸し方や条件を整理した上で、
期間を定めて媒介契約をするのがよいでしょう。
■ 空き家を借りたい人、買いたい人
Q1
空き家に住み替えるまでにどんなことを検討すればよいでしょうか?
・
「住み替え後の生活のイメージを固めることからスタートする」ことを勧めます。また、住み
替え相談窓口に連絡する際に、どのような生活をしたいのか検討した上で住み替え先に求める
条件をリストアップ(できれば優先順位をつける)すると相談がスムーズに進むと思われます。
Q2
物件をどのように探せばよいでしょうか?
・借りたい、買いたい時期または引っ越す時期や住宅の種類(戸建・共同)を確認します。次
いで、購入や賃貸の条件(立地条件や住居費など)と、その優先順位を明らかにしておく必要
があります。
80
Q3
空き家の情報はどこで見られますか?
・自治体が「空き家バンク」を立ち上げ、インターネットで情報を公開しているケースがあり
ます。空き家バンクを実施している自治体は、鹿児島県企画部地域政策課の HP アドレス
(http://www.pref.kagoshima.jp/ac01/pr/koryu/sumai/sityousonakiya.html)を参照してく
ださい。
・
(公社)鹿児島県宅地建物取引業協会や(公社)全日本不動産協会のホームページなどでも物
件を探すことができます。(P86 参照)
Q4
空き物件を紹介してほしいのですが?
・自治体の中には「移住相談会」を開催し、専門家が空き家の相談に対応している例がありま
す。また、自治体の中には、希望者に物件情報に関するダイレクトメールを送付している場合
があります。詳しくは各自治体の窓口にご連絡ください。
(P82 参照)
Q5
固定資産税は借り主が納付してくれるのでしょうか?
・固定資産税は、毎年1月1日現在の土地・家屋所有者に対して課税されるため、納税義務者
は所有者である貸し主となります。
Q6
不動産業者への仲介手数料は発生するのでしょうか?
・仲介の不動産業者が存在し、成約した場合は原則として仲介手数料が発生します。
・また、トラブルを未然に防止し、取引を円滑に行うためにも、専門家である不動産業者に仲
介を依頼することが望ましいといえます。不動産業者の情報は、(公社)鹿児島県宅地建物取
引業協会、(公社)全日本不動産協会鹿児島県本部(P86 参照)で教えてもらえます。
Q7
空き家を随時案内してもらうことは可能でしょうか?
・空き家バンクの中には、予め連絡を取れば空き家を案内してもらえる場合がありますので、
詳しくは各自治体の相談窓口にご連絡ください。
Q8
空き家を自分たちで改造してもよいでしょうか?
・貸し主の承諾を得た場合は建物の増築、改築、改造等可能です。
・借り主による増改築等については、家主の費用負担がないため、賃料を抑えることができる
メリット等もありますが、改修部分の原状回復が不要であることなどについて、借り主及び貸
し主の双方が理解しておくことが必要です。
・国土交通省が作成した「個人住宅賃貸活用ガイドライン」には、借主 DIY を実施する場合の
確認事項等が示されているので参考にしてもよいでしょう。
■空き家を相続や贈与について知りたい人
Q1
死亡した父母の空き家の相続はできるのか?
・相続人が一人の場合は、遺産分割協議書※1 を作成する必要はありませんが、相続人が複数い
る場合は、相続人全員の話し合いにより、遺産分割協議書を作成することで、特定の相続人が
空き家の相続をすることができます。
81
もし、空き家が父親名義で、父親、母親が順次亡くなったということであれば、相続人の範囲
や遺産分割協議書の内容が複雑になることがありますので、相続人の間で遺産分割について争
いがない場合でも、弁護士や司法書士に相談された方がいいでしょう。
なお、空き家を相続する人が決まった場合は、早めに、相続登記を行うようにしましょう。
※1
相続人が確定し、相続財産も明らかになった後、どの相続人がどの財産をどれだけ手に入れ
るのかを決める協議のことを遺産分割協議といい、それを書面に落としたもの。
Q2
相続や贈与によって取得した土地や建物の取得時期はいつからか?
・相続人が相続によって土地や建物を取得した場合、その相続人がその土地や建物を取得する
のは相続開始時点(被相続人が死亡したとき)からとなります。通常、遺産分割協議が成立す
るのは、相続開始後しばらく時間が経ってからですが、遺産分割協議で土地や建物を取得する
こととなった人は、相続開始時点に遡って、その土地や建物を取得したものとされます。ただ
し、遺産分割協議が成立するまでは、通常、相続人全員がその土地や建物の管理責任を負うこ
とになります。
・贈与については、通常、受贈者は、贈与契約が成立したときに、その土地や建物を取得する
ことになります。
・なお、贈与ではなく、遺贈の場合には、通常、受贈者は、遺贈者が死亡したときに、その土
地や建物を取得することになります。
Q3
相続放棄の手続きが完了するまでの期間の空き家適正管理はだれの責任になるのか?
・相続放棄は、原則として相続の開始を知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地
を管轄する家庭裁判所に対して、相続放棄申述書を提出しておこないます。
相続放棄申述書が家庭裁判所に受理されれば、相続開始時点に遡って、そもそも相続人でな
かったことになりますので、以後、相続放棄の申述をした人が空き家の適正管理責任を負う
ことは通常ないと思われます。ただし、民法 940 条は「相続の放棄をした者は、その放棄に
よって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産における
のと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
」と規定しているため、
きちんと空き家の管理を引き継ぐまでは適正管理責任を負うことになりますので、注意が必
要です。
・他方で、相続放棄申述書を提出するまでの間は、相続放棄を予定されている方も含めて、相
続人全員が空き家の適正管理について責任を負うことになります。
ただし、民法に定められた保存行為を越えるような行為を行うと、相続放棄ができなくなる
場合もありますので、注意が必要です。
相続放棄を予定されている方が空き家の適正管理の問題に直面された場合は、よかれと思っ
てした空き家の管理行為が原因で相続放棄ができなくなってしまうおそれがありますので、
空き家の管理に着手する前に、事前に弁護士さんに相談することをおすすめします。
■ 空き家を適正に管理したい人、壊したい人
Q1
空き家の維持管理が大変で業者にまかせたいと思います。近年、空き家管理ビジネスがあると
聞きますが、どのような内容で行っているのですか?
82
・空き家の急速な老朽化の防止や、隣家への迷惑回避、治安低下の抑止、防災などの観点から、
年又は月に何回か訪問し、換気(窓・扉・襖など)、通水(台所・浴室・お手洗いなど)、郵便
ポストの整理、外周の清掃、室内の簡易清掃、屋根、外壁の損傷、境界塀など目視で可能な範
囲での点検行われるケースが多いようです。
・詳細は、空き家の活用に関する専門相談窓口にお問い合わせください。(P85~86 参照)
Q2
今の空き家が古くなっており構造的に大丈夫か不安です。耐震上大丈夫か見てもらいたいので
すが、どこに相談すればよいでしょうか?
・建築基準法が改正された昭和 56 年より前に建築された住宅は耐震性に問題がある可能性があ
ります。(一社)鹿児島県建築協会や(一社)鹿児島県建築士事務所協会に相談して、耐震性
に問題がないか確認してもらいましょう。また、耐震診断には費用がかかります(一般的な戸
建住宅で 10 万円程度)が、自治体の中には耐震診断・改修費用の一部助成を行っているとこ
ろもありますので、詳しくは各自治体にお問い合わせください。(P87~88 参照)
・物件について瑕疵(いわゆる欠陥)がある場合、きちんと買い主または借り主に伝えないと
民法の瑕疵担保責任を問われる可能性があります。瑕疵がある場合には、仲介の不動産業者に
きちんと説明して、重要事項説明書に記載してもらうことが必要です。
Q3
廃屋を壊したいのですが資金がありません。どこに相談すればよいでしょうか?
・自治体の中には、廃屋状態になっている空き家の解体費用を助成しているところがあります。
詳しくは各自治体にお問い合わせください。(P87~88 参照)
Q4
建物の管理をする人がいない場合はどうなるのですか?
・所有者が死亡し、相続人がいない若しくは相続人が全員放棄してしまうと、建物を管理する
人はいなくなります。このよう建物は民法の規定により相続財産法人となり、管理するために
は管理人を選任する必要があります。
・通常は利害関係者が裁判所に選任の申し立てを行いますが、誰も申し立てを行わない場合は
行政が申し立てを行います。管理人が選任されれば管理人がその後の管理を行います。
Q5
空き家を寄付したいのですが、どこに相談すればよいでしょうか?
・自治体の中には、土地・建物の寄付を受け付けているところもありますので、詳しくは各自
治体にお問い合わせください。
Q6
空き家の所有者が認知症なのですが、空き家の処分を身内でできますか?
・まずは、成年後見制度の利用を推奨します。成年後見の申し立ては、本人、配偶者 4 親等内
の親族ならできます。実態としては、親族がなっている事例が多く、それ以外に第 3 者である
弁護士、司法書士、社会福祉士などがなっている例があります。
・なお、任意後見制度もあります、本人の判断能力が十分あるうちに、あらかじめ自分で選ん
だ任意後見人と公正証書による契約を結び、将来認知症や精神障害などで判断能力が不十分に
なったときに、支援を受ける制度です。判断能力の低下に備えて、任意後見契約と同時に、空
き家を含めた財産管理等委任契約を締結することなどが考えられます。
・本人の自宅(その敷地も含む)については、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定そ
83
の他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならないことが法律で定
められています。
・相談窓口としては、家庭裁判所、司法書士、弁護士などが考えられます。
Q7
空き家の解体費用は、いくらぐらい必要でしょうか?
・解体工事費は、一般的に 2 万 6 千円/坪程度です。ただし、大型車輌や重機のアクセス状況や
家財道具の有無などによって変わりますので、詳しくは、
(一社)鹿児島県建物解体業連合会
(P85 参照)へお問い合わせください。
■空き家のことで迷惑を被っている人など
Q1.空き家の苦情や相談はどこにすればよいでしょうか?
・老朽化した危険な空き家等についての相談、苦情等は、総合的な相談窓口が無い場合は、そ
の内容に応じて各自治体の担当課に連絡することが考えられます。(自治体によって名称等が
異なりますが)一般的に、防火・防犯等に安全性に関連すること(防災安全課)
、建物の倒壊
等の建物指導に関すること(建築住宅課)、ごみの不法投棄、雑草の繁茂等の指導など環境衛
生に関すること(環境課)などがあげられます。
Q2
隣の空き家の木が越境しており何とかしたいが、空き家の所有者(相続人)が不明です。どう
すればよいでしょうか?
・隣の空き家の所有者が不明の場合は、法務局に行って登記事項を閲覧すれば所有者が判るの
で、そこに連絡し、越境してきている部分は、切ってくれるようにお願いする事ができます。
(自分で切ってはいけません。)
・その際に、法務局備え付けの公図、地積測量図を基礎資料として、現地において復元測量※を
することにより、状況を確認しておくことを勧めます。
※
Q3
境界杭が亡失している状況では、境界点について関係権利者の確認を得て復元測量を行いま
す。復元した境界点が関係する権利者全員の同意が得られたときは本杭(プラスチック杭を
含む)を設置します。
隣の家が壊れかかっているため、自宅に被害が及ぶ恐れがあります。今後どのように対応すれ
ばよいでしょうか?
・法務局で図面を確認して、隣接地の所有者を登記等で確認した上で検討します。
・相手方の対応によって、内容証明、話し合い、裁判など、どの方法によるかを検討します。
84
2
空き家に関する専門相談窓口
(1)各種の情報・相談全般(県内)
①全般的な相談
団体名
対応可能な相談内容
対応時間
鹿児島県土木部
建築課住宅政策室
住宅企画係
空き家の維持管理、
活用などに係る制度
その他全般的な相談
平日
8:30~
17:15
公益財団法人
鹿児島県住宅・建
築総合センター
企画部企画課
空き家の維持管理、
活用などに係る制度
その他全般的な相談
平日
8:30~
17:15
連絡先
〒890-8577
鹿児島市鴨池新町 10 番 1 号
TEL:099-286-3738 FAX:099-286-5637
http://www.pref.kagoshima.jp/
〒892-0838
鹿児島市新屋敷町 16 番 228 号
TEL:099-224-4543 FAX:099-226-3963
http://www.kjc.or.jp/
②空き家の管理・活用に係る相談
団体名
対応可能な相談内容
対応時間
NPO 法 人 結 の 夢
来人・絆プロジェ
クト
空き家の管理・保存・
活用、家財道具、解体、 平日
再生に関する相談
一般社団法人
鹿児島県古民家
再生協会
古民家調査・鑑定、
再築・移築・リフォー
ム・解体・維持管理な
どの相談
平日
連絡先
〒892-0807
鹿児島市鼓川町 11-5
TEL:090-9674-8901 FAX:099-822-8208
https://www.facebook.com/yuinomura.kizuna
〒899-2513
日置市伊集院町麦生田 768 番地 163
TEL:090-2719-5738 FAX:099-273-1559
http://www.kominka-kagoshima.org/
③住宅のリフォームなどに係る相談
団体名
対応可能な相談内容
公益社団法人
鹿児島県建築士会
設計、リフォーム工事
に関する建築士の相談
平日
9:00~
17:00
一般社団法人
鹿児島県
建築協会
リフォーム工事の相談
平日
9:00~
16:00
設計、リフォーム工事
内容の相談
平日
8:30~
17:00
一般社団法人
鹿児島県
建築士事務所協会
※面接方式で事前申込
が必要
対応時間
連絡先
〒892-0838
鹿児島市新屋敷町 16 番-301 号
TEL:099-222-2005 FAX:099-226-2019
http://www.sakurajima.or.jp/
〒892-0853
鹿児島市城山町 2 番 13 号
TEL:099-224-5220 FAX:099-227-5479
http://www.kagoken.net/
〒890-0055
鹿児島市上荒田町 29-33
鹿児島建築設計会館
TEL:099-251-9887 FAX:099-251-9871
http://www5.synapse.ne.jp/kakenjikyo/
④空き家の解体などに係る相談
団体名
対応可能な相談内容
対応時間
一般社団法人
鹿児島県建造物
解体業連合会
解体費用などに関する
相談
平日
9:00~
17:00
一般社団法人
鹿児島県産業廃棄
物協会
産業廃棄物に関する
相談
平日
8:30~
17:00
85
連絡先
〒890-0054
鹿児島市荒田 2-14-5 第1平和ビル 1 階
TEL:099-251-1033 FAX:099-251-1670
http://kaitairen.org/
〒892-0836
鹿児島市錦江町 11-40
TEL:099-222-0230 FAX:099-222-3533
http://www.kagoshima-sanpai.or.jp/
(2)その他の管理に関する相談(県内)
団体名
対応可能な相談内容
鹿児島県しろあ
り対策協会
しろあり対策(駆除や
予防など)に係る相談
対応時間
平日
連絡先
〒890-0082
鹿児島市紫原 4 丁目 20-10-303 号
TEL:099-214-3330 FAX:099-214-3331
http://shiroari.or.jp/kyoukai/index.html
(3)登記、税など法律に関する相談(県内)
団体名
対応可能な相談内容
対応時間
南九州税理士会
鹿児島県連合会
固定資産税、相続税
など税金の相談
平日
鹿児島県
行政書士会
転用、戸籍、相続手続
きなどの相談
平日
9:00~
17:00
鹿児島県
司法書士会
相続・売買等登記手
続、相続財産管理人制
度、不在者管理人制
度、成年後見制度など
の相談
平日
鹿児島県
土地家屋調査士会
登記や境界確定など
の相談
平日
連絡先
〒892-0821
鹿児島市名山町 9-1 鹿児島県産業会館 2 階
TEL:099-225-6148 FAX:099-223-4691
メール:[email protected]
http://www.kagozei.gr.jp/
〒890-0062
鹿児島市与次郎 2-4-35KSC 鴨池ビル 202 号室
TEL:099-253-6500 FAX:099-213-7033
http://kagyousei.com/
〒890-0064
鹿児島市鴨池新町 1 番 3 号
司調センタービル 3 階
TEL:099-256-0335 FAX:099-250-0463
http://www.shihou-kagoshima.or.jp/
〒890-0064
鹿児島市鴨池新町 1 番 3 号
司調センタービル 1 階
TEL:099-257-2833 FAX:099-256-4337
http://www.kagoshima-chosashi.com/
(4)住宅や土地の取引仲介に関する相談(県内)
団体名
対応可能な相談内容
対応時間
公益社団法人
鹿児島県宅地建物
取引業協会
住宅、土地の取引仲介
の相談
平日
公益社団法人
全日本不動産協会
鹿児島県本部
住宅、土地の取引仲介
の相談
平日
連絡先
〒890-0052
鹿児島市上之園町 24-4 不動産会館 5 階
TEL:099-252-7111 FAX:099-257-1452
http://www.k-takken.com/
〒890-0066
鹿児島市真砂町 34-8
TEL:099-813-0511 FAX:099-813-0510
http://kagoshima.zennichi.or.jp/
(5)その他県外の相談窓口(県内)
団体名
対応可能な相談内容
一般社団法人
移住・住みかえ支
援機構(JTI )
空き家の借上げや賃借
一般社団法人
住宅瑕疵担保責任
保険協会
住宅現況検査
(インスペクション)
対応時間
平日
9:00~
17:00
平日
9:00~
17:30
86
連絡先
〒102-0093
東京都千代田区平河町 1-7-20
平河町辻田ビル 5F
TEL:03-5211-0757 FAX:03-5211-3207
http://www.jt-i.jp/
〒105-0004
東京都港区新橋 3-1-11
長友ランディックビル 2F
TEL:03-3580-0236 FAX:03-3580-0332
http://www.kashihoken.or.jp/
3
空き家対策に係る自治体の相談窓口
【県内の自治体の空き家関連の相談窓口一覧】
雑草等の管理
○
○
○
○
いちき串木野市
○
○
三島村
十島村
指宿市
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
南さつま市
○
南九州市
阿久根市
出水市
北
薩
地
区
○
○
○
枕崎市
南
薩
地
区
○
除却助成
日置市
○
類
改修助成
鹿児島市
空き家バンク
鹿
児
島
・
日
置
地
区
自治体名
総合窓口
地
区
分
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
薩摩川内市
○
○
○
さつま町
○
長島町
○
○
○
○
姶
良
・
伊
佐
地
区
○
霧島市
○
○
伊佐市
姶良市
湧水町
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
鹿屋市
○
○
○
○
垂水市
○
○
○
大
隅
地
区
○
曽於市
志布志市
大崎町
東串良町
錦江町
南大隅町
肝付町
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
【H28.4.1 現在】
担当部署名
建築指導課
環境衛生課
総務課
企画課
生活環境課
政策課
まちづくり防災課
都市計画課
定住促進課
地域振興課
総務課
市民生活課
危機管理課
総務課
企画政策課
建築住宅課
防災安全課
企画課
総務課
住宅政策課
防災安全課
建築住宅課
企画政策課
企画財政課
企業誘致対策室
建設課
景観推進課
企画財政課
建築指導課
共生協働推進課
商工振興課
安心安全課
環境政策課
総務課
地域政策課
生活環境課
企画課
安全安心課
地域活力推進課
生活環境課
市民課
企画政策課
土木課
生活環境課
企画課
建設課
建設課都市政策推進室
企画政策課
企画調整課
企画課
政策企画課
建設課
企画振興課
企画調整課
建設課
87
連絡先
099-216-1358
099-216-1300
099-248-9401
099-248-9403
0996-33-5614
0996-33-5634
0996-33-5632
0996-21-5154
099-222-3141
099-222-2101
0993-72-1111
〃
0993-22-2111
0993-53-2111
〃
〃
0993-83-2511
〃
0996-73-1210
0996-63-4127
0996-23-5111
〃
〃
0996-53-1111
〃
〃
0996-86-1136
0996-86-1134
0995-64-0954
0995-64-0988
0995-64-0912
0995-64-0997
0995-22-1060
0995-23-1311
0995-66-3121
0995-66-3189
0995-74-3111
0994-31-1124
0994-31-1147
0994-31-1115
0994-32-1295
0994-32-1143
0994-32-1386
0994-32-1297
0986-76-8802
0986-76-8811
099-474-1111
〃
099-476-1111
0994-63-3122
0994-22-3032
0994-24-3129
0994-24-3115
0994-65-8422
0994-65-2511
屋久島町
奄美市
大和村
宇検村
○
○
雑草等の管理
南種子町
○
除却助成
中種子町
類
改修助成
西之表市
空き家バンク
熊
毛
地
区
自治体名
総合窓口
№
分
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
瀬戸内町
○
龍郷町
大
島
地
区
喜界町
○
○
○
○
○
徳之島町
○
天城町
伊仙町
和泊町
知名町
与論町
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
担当部署名
建設課
地域支援課
企画課
建設課
企画課
建設課
プロジェクト戦略推進課
総務企画課
建設課
企画課
総務課
建設課
総務企画課
総務課
企画観光課
総務課
建設課
企画課
企画課
企画課
土木課
企画課
企画振興課
総務課
総務企画課
環境課
88
連絡先
0997-22-1111
〃
0997-27-1111
0997-26-1111
0997-26-1111
0997-43-5900
0997-52-1111
0997-57-2111
0997-67-2211
0997-72-1112
0997-72-1111
〃
0997-69-4512
0997-65-1111
0997-65-3683
0997-82-1111
〃
〃
0997-85-5171
0997-86-3111
0997-84-3520
0997-84-3512
0997-84-3162
0997-84-3156
0997-97-3111
0997-97-4712
【参考:相談シート例】
相談年月日
年
月
日( )
応対者氏名
相談者
相談時間
氏名
年
齢
住所
電
話
相談方法
相談情報源
建物概要
分類
整理番号
□全般
□来所
□電話
□ホームページ
□文書
□住宅(□戸建
構造
□木造
□貸したい
性
(
□その他(
□広報誌
用途
am・pm
□知人
□鉄骨造
□共住)
□RC造
□売りたい
)
処理顛末事項
89
相談機会
□新規
□その他(
□女
□再来
)
□その他(
)
階
数
階
□その他(
)
築年数
年
回答内容
紹介先
□男
)
□借りたい
相談内容
別
□買いたい
□管理・解体
資
料
1.空家等対策の推進に関する特別措置法
平成二十六年法律第百二十七号
(目的)
第一条 この法律は、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環
境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、
その生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進するため、空家等に関する施策に関し、
国による基本指針の策定、市町村(特別区を含む。第十条第二項を除き、以下同じ。)による空家
等対策計画の作成その他の空家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めることにより、
空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与す
ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の
使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含
む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
2 この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそ
れのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことに
より著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不
適切である状態にあると認められる空家等をいう。
(空家等の所有者等の責務)
第三条 空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼ
さないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。
(市町村の責務)
第四条
市町村は、第六条第一項に規定する空家等対策計画の作成及びこれに基づく空家等に関する
対策の実施その他の空家等に関する必要な措置を適切に講ずるよう努めるものとする。
(基本指針)
第五条
国土交通大臣及び総務大臣は、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基
本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。
2 基本指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 空家等に関する施策の実施に関する基本的な事項
二 次条第一項に規定する空家等対策計画に関する事項
三 その他空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項
3 国土交通大臣及び総務大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじ
め、関係行政機関の長に協議するものとする。
4 国土交通大臣及び総務大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを
公表しなければならない。
(空家等対策計画)
90
第六条 市町村は、その区域内で空家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するため、基本指針
に即して、空家等に関する対策についての計画(以下「空家等対策計画」という。)を定めることが
できる。
2 空家等対策計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 空家等に関する対策の対象とする地区及び対象とする空家等の種類その他の空家等に関する
対策に関する基本的な方針
二 計画期間
三 空家等の調査に関する事項
四 所有者等による空家等の適切な管理の促進に関する事項
五 空家等及び除却した空家等に係る跡地(以下「空家等の跡地」という。)の活用の促進に関す
る事項
六 特定空家等に対する措置(第十四条第一項の規定による助言若しくは指導、同条第二項の規
定による勧告、同条第三項の規定による命令又は同条第九項若しくは第十項の規定による代執
行をいう。以下同じ。)その他の特定空家等への対処に関する事項
七 住民等からの空家等に関する相談への対応に関する事項
八 空家等に関する対策の実施体制に関する事項
九 その他空家等に関する対策の実施に関し必要な事項
3 市町村は、空家等対策計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなけれ
ばならない。
4 市町村は、都道府県知事に対し、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施に関し、情報の提供、
技術的な助言その他必要な援助を求めることができる。
(協議会)
第七条 市町村は、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施に関する協議を行うための協議会(以
下この条において「協議会」という。)を組織することができる。
2 協議会は、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)のほか、地域住民、市町村の議会の議員、
法務、不動産、建築、福祉、文化等に関する学識経験者その他の市町村長が必要と認める者をもっ
て構成する。
3 前二項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。
(都道府県による援助)
第八条 都道府県知事は、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施その他空家等に関しこの法律に
基づき市町村が講ずる措置について、当該市町村に対する情報の提供及び技術的な助言、市町村相
互間の連絡調整その他必要な援助を行うよう努めなければならない。
(立入調査等)
第九条 市町村長は、当該市町村の区域内にある空家等の所在及び当該空家等の所有者等を把握する
ための調査その他空家等に関しこの法律の施行のために必要な調査を行うことができる。
2 市町村長は、第十四条第一項から第三項までの規定の施行に必要な限度において、当該職員又は
その委任した者に、空家等と認められる場所に立ち入って調査をさせることができる。
3 市町村長は、前項の規定により当該職員又はその委任した者を空家等と認められる場所に立ち入
らせようとするときは、その五日前までに、当該空家等の所有者等にその旨を通知しなければなら
ない。ただし、当該所有者等に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。
4 第二項の規定により空家等と認められる場所に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を
91
携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
5 第二項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(空家等の所有者等に関する情報の利用等)
第十条 市町村長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって
氏名その他の空家等の所有者等に関するものについては、この法律の施行のために必要な限度にお
いて、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができ
る。
2 都知事は、固定資産税の課税その他の事務で市町村が処理するものとされているもののうち特別
区の存する区域においては都が処理するものとされているもののために利用する目的で都が保有
する情報であって、特別区の区域内にある空家等の所有者等に関するものについて、当該特別区の
区長から提供を求められたときは、この法律の施行のために必要な限度において、速やかに当該情
報の提供を行うものとする。
3 前項に定めるもののほか、市町村長は、この法律の施行のために必要があるときは、関係する地
方公共団体の長その他の者に対して、空家等の所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めるこ
とができる。
(空家等に関するデータベースの整備等)
第十一条 市町村は、空家等(建築物を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸する
ために所有し、又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理されてい
るものに限る。)を除く。以下第十三条までにおいて同じ。
)に関するデータベースの整備その他空
家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(所有者等による空家等の適切な管理の促進)
第十二条 市町村は、所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、これらの者に対し、情報
の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとする。
(空家等及び空家等の跡地の活用等)
第十三条 市町村は、空家等及び空家等の跡地(土地を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、
又は賃貸するために所有し、又は管理するものを除く。)に関する情報の提供その他これらの活用
のために必要な対策を講ずるよう努めるものとする。
(特定空家等に対する措置)
第十四条 市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹
の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保
安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家
等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。
)をとるよう助言又は指導をすることが
できる。
2 市町村長は、前項の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空家等の状態が
改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除
却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告す
ることができる。
3 市町村長は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとら
なかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、
その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
4 市町村長は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようと
92
する者に対し、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載し
た通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠
を提出する機会を与えなければならない。
5 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から五日以内に、市町村長に対し、意見
書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。
6 市町村長は、前項の規定による意見の聴取の請求があった場合においては、第三項の措置を命じ
ようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。
7 市町村長は、前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、第三項の規定によって命じよ
うとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を、期日の三日前までに、前項に規定する者に通知
するとともに、これを公告しなければならない。
8 第六項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出
することができる。
9 市町村長は、第三項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者が
その措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても同項の期限までに完了する
見込みがないときは、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、自ら
義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。
10 第三項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜら
れるべき者を確知することができないとき(過失がなくて第一項の助言若しくは指導又は第二項の
勧告が行われるべき者を確知することができないため第三項に定める手続により命令を行うこと
ができないときを含む。
)は、市町村長は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はそ
の命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定め
て、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、市町村長又はその命じ
た者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。
11 市町村長は、第三項の規定による命令をした場合においては、標識の設置その他国土交通省令・
総務省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。
12 前項の標識は、第三項の規定による命令に係る特定空家等に設置することができる。この場合に
おいては、当該特定空家等の所有者等は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
13 第三項の規定による命令については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条
及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
14 国土交通大臣及び総務大臣は、特定空家等に対する措置に関し、その適切な実施を図るために必
要な指針を定めることができる。
15 前各項に定めるもののほか、特定空家等に対する措置に関し必要な事項は、国土交通省令・総務
省令で定める。
(財政上の措置及び税制上の措置等)
第十五条 国及び都道府県は、市町村が行う空家等対策計画に基づく空家等に関する対策の適切かつ
円滑な実施に資するため、空家等に関する対策の実施に要する費用に対する補助、地方交付税制度
の拡充その他の必要な財政上の措置を講ずるものとする。
2 国及び地方公共団体は、前項に定めるもののほか、市町村が行う空家等対策計画に基づく空家等
に関する対策の適切かつ円滑な実施に資するため、必要な税制上の措置その他の措置を講ずるもの
とする。
(過料)
93
第十六条 第十四条第三項の規定による市町村長の命令に違反した者は、五十万円以下の過料に処す
る。
2 第九条第二項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、二十万円以下の過料に処
する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
ただし、第九条第二項から第五項まで、第十四条及び第十六条の規定は、公布の日から起算して六
月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(検討)
2 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要
があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講
ずるものとする。
94
2.空家等対策の推進に関する特別措置法の施行期日を定める政令
政令第五十号
内閣は、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十七号)附則第一項の
規定に基づき、この政令を制定する。
空家等対策の推進に関する特別措置法(附則第一項ただし書に規定する規定を除く。)の施行期日
は平成二十七年二月二十六日とし、同項ただし書に規定する規定の施行期日は同年五月二十六日と
する。
95
3.空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針
平成27年2月26日付け総務省・国土交通省告示第1号
( 最終改正 平成28年4月1日付け総務省・国土交通省告示第3号)
目
一
次
空家等に関する施策の実施に関する基本的な事項
1
本基本指針の背景
2
実施体制の整備
3
空家等の実態把握
4
空家等に関するデータベースの整備等
5
空家等対策計画の作成
6
空家等及びその跡地の活用の促進
7
特定空家等に対する措置の促進
8
空家等に関する対策の実施に必要な財政上・税制上の措置
二
空家等対策計画に関する事項
1
効果的な空家等対策計画の作成の推進
2
空家等対策計画に定める事項
3
空家等対策計画の公表等
三
その他空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項
1
空家等の所有者等の意識の涵養と理解増進
2
空家等に対する他法令による諸規制等
3
空家等の増加抑制策、利活用施策、除却等に対する支援施策等
96
一
空家等に関する施策の実施に関する基本的な事項
1 本基本指針の背景
近年、地域における人口減少や既存の住宅・建築物の老朽化、社会的ニーズの変化及び産業構造
の変化等に伴い、居住その他の使用がなされていないことが常態である住宅その他の建築物又はこ
れに附属する工作物及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)が年々増加している。
このような空家等(空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第2条第
1項に規定する「空家等」をいう。以下同じ。)の中には、適切な管理が行われていない結果とし
て安全性の低下、公衆衛生の悪化、景観の阻害等多岐にわたる問題を生じさせ、ひいては地域住民
の生活環境に深刻な影響を及ぼしているものがある。今後、空家等の数が増加すれば、それがもた
らす問題が一層深刻化することが懸念されるところである。
このような状況から、市町村(特別区を含む。以下同じ。)等の地方公共団体は、適切な管理が
行われていない空家等に対して既存法や条例に基づき必要な助言・指導、勧告、命令等を行い適切
な管理を促すとともに、それぞれの地域の活性化等の観点から、国の財政上の支援措置等を利用し
ながら空家等を地域資源として有効活用するなど地域の実情に応じた空家等に関する施策を実施し
ている。
しかしながら、空家等がもたらす問題が多岐にわたる一方で、空家等の所有者又は管理者(以下
「所有者等」という。)の特定が困難な場合があること等解決すべき課題が多いことを踏まえると、
空家等がもたらす問題に総合的に対応するための施策の更なる充実を図ることが求められるところ
である。
以上を踏まえ、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境
に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、そ
の生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進するため、空家等に関する施策に関し、国
による基本指針の策定、市町村による空家等対策計画の作成その他の空家等に関する施策を推進す
るために必要な事項を定めることにより、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もっ
て公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的として、平成26年11月27日に、「空
家等対策の推進に関する特別措置法(以下「法」という。)」が公布された。
(1)空家等の現状
平成25年に総務省が実施した住宅・土地統計調査(平成27年2月26日公表)によると、
全国の総住宅数は6,063 万戸となっている一方、総世帯数は5,245 万世帯となっており、住宅ス
トックが量的には充足していることが分かる。このうち空き家※1の数は820 万戸であり、これ
が全国の総住宅数に占める割合は13.5%となっている。また「賃貸用又は売却用の住宅※2」及
び「二次的住宅※3」を除いた「その他の住宅※4」に属する空き家の数は318 万戸に上ってい
る。これが全国の総住宅数に占める割合は5.2%であるが、その数は過去20 年間で約2倍に増加
しているところである。
※1 住宅・土地統計調査における「空き家」とは、以下に掲げる「賃貸用又は売却用の住宅」、
「二次的住宅」及び「その他の住宅」を合計したものをいう。
※2 住宅・土地統計調査における「賃貸用又は売却用の住宅」とは「新築・中古を問わず、賃貸
97
又は売却のために空き家になっている住宅」をいう。
※3 住宅・土地統計調査における「二次的住宅」とは「別荘(週末や休暇時に避暑・避寒・保養
などの目的で使用される住宅で、普段は人が住んでいない住宅)」及び「その他住宅(普段
住んでいる住宅とは別に、残業で遅くなったときに寝泊りするなど、たまに寝泊りしている
人がいる住宅)」を合計したものをいう。
※4 住宅・土地統計調査における「その他の住宅」とは「賃貸用又は売却用の住宅」又は「二次
的住宅」以外の人が住んでいない住宅で、例えば転勤・入院などのために居住世帯が長期に
わたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など」をいう。
(2)空家等対策の基本的な考え方
①基本的な考え方
適切な管理が行われていない空家等がもたらす問題を解消するためには、法において行政
主体の責務に関する規定の前に「空家等の所有者等は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさな
いよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。」(法第3条)と規定されているように、
第一義的には空家等の所有者等が自らの責任により的確に対応することが前提となる。
しかしながら、空家等の所有者等が、経済的な事情等から自らの空家等の管理を十分に行
うことができず、その管理責任を全うしない場合等も考えられる。そのような場合において
は、所有者等の第一義的な責任を前提にしながらも、住民に最も身近な行政主体であり、個
別の空家等の状況を把握することが可能な立場にある各市町村が、地域の実情に応じて、地
域活性化等の観点から空家等の有効活用を図る一方、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす空家
等については所要の措置を講ずるなど、空家等に関する対策を実施することが重要となる。
なお、この点を明確化する観点から、法第4条においては市町村の責務として「市町村は、
第6条第1項に規定する空家等対策計画の作成及びこれに基づく空家等に関する対策の実施
その他の空家等に関する必要な措置を適切に講ずるよう努めるものとする。」と規定されて
いる。
また、国及び都道府県においては、以下に掲げるような役割を踏まえ、市町村と連携して
その空家等に関する対策の実施を支援することが重要である。
②市町村の役割
市町村は、関係内部部局間の連携、必要に応じた協議会(法第7条第1項に規定する協議
会をいう。以下同じ。)の組織、相談体制の整備等による法の実施体制の整備に着手し、ま
ず法第9条第1項の調査を通じて、各市町村内における空家等の所在及び状態の実態把握並
びにその所有者等の特定を行うことが重要である。また、必要に応じ、法第6条第1項に基
づく空家等対策計画の作成を行い、各地域内の空家等に対する行政としての基本姿勢を住民
に対して示しつつ、空家等及びその跡地の活用方策についても併せて検討する。さらに、適
切な管理が行われておらず、結果として地域住民の生活環境に悪影響を及ぼしている空家等
については、法第9条第2項に基づく立入調査を必要に応じて行いつつ、法第14条に基づ
く「特定空家等」(法第2条第2項に規定する特定空家等をいう。以下同じ。)に対する必
要な措置を講ずることが重要である。
なお、市町村は法第6条第4項に基づき、都道府県知事に対し、空家等対策計画の作成及
び変更並びに実施に関し、情報の提供、技術的な助言その他の必要な援助を求めることがで
98
きることとされている。
また、空家等対策を行う上では、必要に応じて、事務の委託、事務の代替執行等の地方公
共団体間の事務の共同処理の仕組みを活用することも考えられる。
③都道府県の役割
都道府県知事は、②で述べたように、法第6条第4項に基づき市町村から空家等対策計画
の作成及び変更並びに実施に関して必要な援助を求められた場合のほか、法第8条において
「空家等に関しこの法律に基づき市町村が講ずる措置について、当該市町村に対する情報の
提供及び技術的な助言、市町村相互間の連絡調整その他必要な援助を行うよう努めなければ
ならない。」こととされている。具体的には、例えば県内の市町村間での空家等対策の情報
共有への支援、建築部局の存在しない市町村が、特定空家等に該当するか否かの判断に困難
を来たしている場合における技術的な助言の提供や空家等対策を推進している都道府県内市
町村相互間の意見交換の場を設ける、協議会の構成員を仲介又はあっせんするといった対応
が考えられる。また、市町村に対して必要な援助を行うに際し、都道府県内の関係部局の連
携体制を構築することが望ましい。
このほか、特に建築部局の存在しない市町村に対しては、例えば都道府県の建築部局によ
る専門技術的サポートを受けられるような体制作りを支援したり、協議会への参画を通じた
協力をすることも考えられる。加えて、市町村が住民等からの空家等に関する相談に対応す
るための体制を整備するのに際し、宅地建物取引業者等の関係事業者団体や建築士等の関係
資格者団体との連携を支援することも考えられる。
さらに、都道府県は国とともに、市町村が行う空家等対策計画に基づく空家等に関する対
策の適切かつ円滑な実施に資するため、空家等に関する対策の実施に要する費用に対する補
助など必要な財政上の措置等を講ずるものとされている(法第15条)。
④国の役割
国は、法の内容について、地方公共団体等に対して具体的に周知を図るとともに、法第1
4条に基づく市町村長による特定空家等に対する措置に関し、その適切な実施を図るために
必要な指針(「「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針」
(平成27年5月26日策定)。以下「ガイドライン」という。)等により、市町村による
空家等対策の適切な実施を支援することとする。
また、③で述べたとおり、国は市町村が行う空家等対策計画に基づく空家等に関する対策
の適切かつ円滑な実施に資するため、空家等に関する対策の実施に要する費用に対する補助、
地方交付税制度の拡充など必要な財政上の措置や必要な税制上の措置その他の措置を講ずる
ものとされているところ、例えば市町村が空家等対策計画の作成のため空家等の実態調査を
行う場合や、空家等の所有者等に対してその除却や活用に要する費用を補助する場合、当該
市町村を交付金制度や補助制度により支援するほか、市町村が取り組む空家等に関するデー
タベースの整備、空家等相談窓口の設置、空家等対策計画に基づく空家等の活用・除却等に
要する経費について特別交付税措置を講ずる等、空家等対策を実施する市町村を支援するこ
ととする。
99
2 実施体制の整備
空家等対策を市町村が効果的かつ効率的に実施するためには、空家等の調査・確認、特定空家等
に対する立入調査又は措置などに不断に取り組むための体制を整備することが重要であることか
ら、市町村は、空家等対策に関係する内部部局の連携体制や空家等の所有者等からの相談を受ける
体制の整備を図るとともに、必要に応じて協議会の組織を推進する。
(1)市町村内の関係部局による連携体制
空家等がもたらす問題を解消するには、防災、衛生、景観等多岐にわたる政策課題に横断的に
応える必要があることから、市町村においては、それら政策課題に対応する建築・住宅・景観・
まちづくり部局、税務部局、法務部局、消防部局、防災・危機管理部局、環境部局、水道部局、
商工部局、市民部局、財政部局等の関係内部部局が連携して空家等対策に対応できる体制の構築
を推進することが望ましい。
特に建築部局の参画は、空家等が倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく
衛生上有害となるおそれのある状態であるかどうかの判断やその対応策を検討する観点から重要
である。また、1(2)③に述べたとおり、建築部局の存在しない市町村においては、建築部局
を擁する都道府県の援助を得ることにより、空家等対策の実施に当たり必要となる連携体制を構
築することが重要である。
さらに、税務部局の参画は特に空家等の土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計
画税の課税標準の特例措置(以下「固定資産税等の住宅用地特例」という。)の適切な運用を図
る観点から、法務部局の参画は所有者等が不明である空家等に対してどのような対処方針で臨む
かを検討する観点から、それぞれ重要である。
(2)協議会の組織
市町村は、法第7条に基づき、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施に関する協議を行う
ための「協議会」を組織することができ、その構成員としては「市町村長(特別区の区長を含む。)
のほか、地域住民、市町村の議会の議員、法務、不動産、建築、福祉、文化等に関する学識経験
者その他の市町村長が必要と認める者をもって構成する。」ものとされている(同条第2項)。
協議会の構成員として、具体的には弁護士、司法書士、行政書士、宅地建物取引業者、不動産
鑑定士、土地家屋調査士、建築士、社会福祉士等の資格を有して地域の福祉に携わる者、郷土史
研究家、大学教授・教員等、自治会役員、民生委員、警察職員、消防職員、法務局職員、道路管
理者等公物管理者、まちづくりや地域おこしを行うNPO等の団体が考えられる。これに加え、
都道府県や他市町村の建築部局に対して協力を依頼することも考えられる。
なお、この協議会は、法に規定されているとおり空家等対策計画の作成及び変更に関する協議
を行うほか、同計画の実施の一環として、例えば、①空家等が特定空家等に該当するか否かの判
断、②空家等の調査及び特定空家等と認められるものに対する立入調査の方針、③特定空家等に
対する措置の方針などに関する協議を行うための場として活用することも考えられる。また、協
議会における協議の過程で空家等の所有者等の氏名、住所などの情報が外部に漏えいすることの
ないよう、協議会の構成員は当該情報の取扱いには細心の注意を払う必要がある。
また、協議会を設置するに当たっては、1市町村に1つの協議会を設置するほか、例えば1つ
の市町村が複数の協議会を設置したり、複数の市町村が共同して1つの協議会を設置したりする
100
ことも可能である。
(3)空家等の所有者等及び周辺住民からの相談体制の整備
法第12条には「市町村は、所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、これらの者
に対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとする。」と規定されている。
本規定を踏まえ、例えば自ら所有する空家等をどのように活用し、又は除却等すればよいかにつ
いてのノウハウの提供や、引っ越し等により今後長期にわたって自宅を不在にせざるを得ない場
合における今後の対応方針の相談を当該住宅等の所有者等が市町村に求めることが必要である場
合が想定されるため、市町村はその要請に迅速に対応することが可能な体制を整備することが望
ましい。なお、体制整備に当たっては、空家等をめぐる一般的な相談はまず市町村において対応
した上で、専門的な相談については宅地建物取引業者等の関係事業者や関係資格者等専門家の団
体と連携して対応するものとすることも考えられる。
また、空家等の所有者等に限らず、例えば空家等の所在地の周辺住民からの当該空家等に対す
る様々な苦情や、移住、二地域居住又は住み替えを希望する者からの空家等の利活用の申入れに
対しても、市町村は迅速に回答することができる体制を整備することが望ましい。
3 空家等の実態把握
(1)市町村内の空家等の所在等の把握
市町村が空家等対策を効果的かつ効率的に実施するためには、既存の統計資料等も活用しつつ、
まず各市町村の区域内の空家等の所在やその状態等を把握することが重要である。
「空家等」は、法第2条第1項により「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他
の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着するもの
を含む。)をいう。」と定義されている。ここでいう「建築物」とは建築基準法(昭和25年法
律第201号)第2条第1号の「建築物」と同義であり、土地に定着する工作物のうち、屋根及
び柱又は壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門又は塀等をい
い、また「これに附属する工作物」とはネオン看板など門又は塀以外の建築物に附属する工作物
が該当する。
市町村はその区域内の建築物又はこれに附属する工作物(以下「建築物等」という。)のうち
「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」を空家等と判断し、この法律を適
用することとなる。「居住その他の使用がなされていないこと」とは、人の日常生活が営まれて
いない、営業が行われていないなど当該建築物等を現に意図をもって使い用いていないことをい
うが、このような建築物等の使用実態の有無については、法第9条第1項の調査を行う一環とし
て、調査時点での建築物等の状況を基に、建築物等の用途、建築物等への人の出入りの有無、電
気・ガス・水道の使用状況及びそれらが使用可能な状態にあるか否か、建築物等及びその敷地の
登記記録並びに建築物等の所有者等の住民票の内容、建築物等の適切な管理が行われているか否
か、建築物等の所有者等によるその利用実績についての主張等から客観的に判断することが望ま
しい。
また、「居住その他の使用がなされていない」ことが「常態である」とは、建築物等が長期間
にわたって使用されていない状態をいい、例えば概ね年間を通して建築物等の使用実績がないこ
101
とは1つの基準となると考えられる。
調査の結果「空家等」に該当する建築物等については、法第11条に基づき、例えば空家等の
所在地を一覧表にし、又は地図上に示したものを市町村の内部部局間で常時確認できるような状
態にしておくなど、空家等の所在地について市町村内の関係部局が情報共有できる環境を整備す
ることが重要である。
なお、「国又は地方公共団体が所有し、又は管理する」建築物等については、通常は各法令に
基づき適切に管理されることが想定され、またその活用等についても、多くの場合は当該建築物
等を管理する国又は地方公共団体の責任において行われる実態に鑑み、空家等から明示的に除外
されている。
また、空家等のうち、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく
景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である
状態にあると認められる」もの(法第2条第2項)については「特定空家等」に該当することと
なるが、どのような空家等が「特定空家等」に該当するか否かを判断する際に参考となる基準等
については、国土交通大臣及び総務大臣がガイドラインにおいて別途定めている。
(2)空家等の所有者等の特定及び意向の把握
空家等の所在等を把握した市町村においては、次に当該空家等の所有者等を特定するとともに、
必要に応じて当該所有者等がその所有する空家等をどのように活用し、又は除却等しようとする
意向なのかについて、併せて把握することが重要である。これらの情報を把握するためには、
(3)
に述べる手段を用いて所有者等を確知し、当該所有者等に対して法第9条第1項に基づき聞き取
り調査等を行うことが重要である。なお、所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、
市町村は、法第12条に基づき空家等の所有者等に対し、例えば時々の通水、換気、清掃等の適
切な管理又は適宜の除草、立木竹の伐採、枝打ち等により空家等の劣化を防ぐことができる旨の
助言を行ったり、空家等を日頃管理することが難しい所有者等については当該空家等を適切に管
理する役務を提供する専門業者に関する情報を提供したりすることが考えられる。
(3)空家等の所有者等に関する情報を把握する手段
市町村長が(2)の調査を通じて空家等の所有者等の特定を行うためには、空家等の所在する
地域の近隣住民等への聞き取り調査に加え、法務局が保有する当該空家等の不動産登記簿情報及
び市町村が保有する空家等の所有者等の住民票情報や戸籍謄本等を利用することが考えられる。
これらの情報は、いずれも不動産登記法(平成16年法律第123号)、住民基本台帳法(昭和
42年法律第81号)、戸籍法(昭和22年法律第224号)等既存の法制度により入手可能な
ものであるが、市町村長は法第10条第3項に基づき「この法律の施行のために必要があるとき
は、関係する地方公共団体の長その他の者に対して、空家等の所有者等の把握に関し必要な情報
の提供を求めることができる。」こととされていることから、例えば空家等の不動産登記簿情報
については関係する法務局長に対して、電子媒体による必要な不動産登記簿情報の提供を求める
ことができる。このように市町村長が法務局長に電子媒体による不動産登記簿情報を求めること
とすれば、4で述べる空家等に関するデータベースを市町村が整備しようとする際に有効と考え
られる。また、同項に基づき、電気、ガス等の供給事業者に、空家等の電気、ガス等の使用状況
やそれらが使用可能な状態にあるか否かの情報の提供を求めることも可能である。
102
また、従来、固定資産税の納税者等に関する固定資産課税台帳については、地方税法(昭和2
5年法律第226号)第22条により、同台帳に記載された情報を空家等対策に活用することは
秘密漏えい罪に該当するおそれがあることから、たとえ同じ市町村の他部局に対してであっても、
税務部局が同台帳に記載された情報の提供を行うことは原則としてできないものとされてきた。
しかしながら、固定資産課税台帳に記載された情報のうち空家等の所有者等に関するものは、空
家等の所有者等を特定する上では不動産登記簿情報等と並んで有力な手段であることから、法第
10条第1項により、この法律の施行のために必要な限度において、固定資産課税台帳に記載さ
れた空家等の所有者等に関する情報を空家等対策のために市町村の内部で利用することができる
こととなるとともに、同条第2項により、都が保有する固定資産課税台帳に記載された空家等の
所有者等に関する情報について、特別区の区長から提供を求められたときは、都知事は速やかに
当該情報の提供を行うものとすることとされた。
なお、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報については、固定
資産課税台帳に記載された情報に限らず、例えば各市町村の個人情報保護条例などにより目的外
利用が制限されている情報のうち、空家等の所有者等の氏名、住所等の情報で、法に基づき各市
町村が空家等対策のために必要となる情報については、法の施行のために必要な限度において、
市町村長は法第10条第1項に基づき内部で利用することが可能である。
4 空家等に関するデータベースの整備等
市町村長が調査の結果「空家等」として把握した建築物等については、法第11条に基づき「デ
ータベースの整備その他空家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるよう努め
るものとする。」とされている。3(1)で述べたとおり、市町村においては、同条に基づき、例
えば空家等の所在地を一覧表にし、又は地図上に示したものを市町村の内部部局間で常時確認でき
るような状態にしておくなど、空家等の所在地について市町村内の関係部局が情報共有できる環境
を整備するよう努めるものとする。なお、「データベース」の整備に際しては、必ずしも電子媒体
による必要はなく、各市町村の判断により、紙媒体によることも可能である。
この「データベース」には空家等の所在地、現況、所有者等の氏名などについて記載することが
考えられるが、これらに加えて、空家等のうち「特定空家等」に該当するものについては、「デー
タベース」内に「特定空家等」に該当する旨並びに市町村長による当該「特定空家等」に対する措
置の内容及びその履歴についても併せて記載する等により、継続的に把握していく必要がある。
なお、上記情報については、空家等の所有者等の了解なく市町村内から漏えいすることのないよ
う、その取扱いには細心の注意を払う必要がある。また、市町村によっては、その区域内の空家等
の数が多い、又は市町村内の体制が十分ではない等の事情から、把握した空家等に関する全ての情
報について「データベース」化することが困難な場合も考えられる。そのような場合であっても、
「特定空家等」に係る土地については、8(2)で述べるとおり固定資産税等の住宅用地特例の対
象から除外される場合があり、その点で税務部局と常に情報を共有する必要があることから、少な
くとも「特定空家等」に該当する建築物等については「データベース」化することが必要である。
また、法第11条に基づき「データベース」化の対象とされた空家等のうち、「建築物を販売し、
又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理する」空家等について
は、その対象から除外されている。これは、いわゆる「空き物件」に該当する空家等については、
103
宅地建物取引業者等により適切に管理されていると考えられる上、「空き物件」たる空家等の活用
もこれら業者等により市場取引を通じて図られることから、市町村による空家等対策の対象とする
必要性が小さく、したがって「データベース」の対象とする実益に乏しいと考えられるためである。
しかしながら、たとえ「空き物件」に該当する空家等であったとしても、周辺の生活環境に悪影響
を及ぼしているものについては、この法律の趣旨及び目的に照らし、市町村がその実態を把握して
おくことが適切であると考えられることから、本条に基づく「データベース」の対象となる。
5 空家等対策計画の作成
空家等対策を効果的かつ効率的に推進するためには、各市町村において、空家等対策を総合的か
つ計画的に実施するための計画を作成することが望ましい。
法第6条第1項に基づき、市町村が空家等対策計画を定める場合、同計画には①空家等に関する
対策の対象とする地区及び対象とする空家等の種類その他の空家等に関する対策に関する基本的な
方針、②計画期間、③空家等の調査に関する事項、④所有者等による空家等の適切な管理の促進に
関する事項、⑤空家等及び除却した空家等に係る跡地の活用の促進に関する事項、⑥特定空家等に
対する措置その他の特定空家等への対処に関する事項、⑦住民等からの空家等に関する相談への対
応に関する事項、⑧空家等に関する対策の実施体制に関する事項及び⑨その他空家等に関する対策
の実施に関し必要な事項を定めるものとする(同条第2項)。
空家等対策計画に定めるべき各項目の具体的な内容及び特に重要となる記載事項については二2
で示すとおりであるが、同計画を定めるに当たっては、各市町村における空家等対策の全体像を住
民が容易に把握することができるようにするとともに、空家等の適切な管理の重要性及び管理不全
の空家等がもたらす諸問題について広く住民の意識を涵養するように定めることが重要である。こ
の観点から、空家等対策計画については定期的にその内容の見直しを行い、適宜必要な変更を行う
よう努めるものとする。
6 空家等及びその跡地の活用の促進
空家等対策を推進する上では、各市町村がその跡地も含めた空家等を地域資源として利活用すべ
く、今後の空家等の活用方策を検討することも重要である。このような観点から、法第13条は「市
町村は、空家等及び空家等の跡地に関する情報の提供その他これらの活用のために必要な対策を講
ずるよう努めるものとする。」と規定されている。
空家等の中には、地域交流、地域活性化、福祉サービスの拡充等の観点から、所有者等以外の第
三者が利活用することにより、地域貢献などに有効活用できる可能性のあるものも存在する。
具体的な空家等を有効に利活用する方策としては、例えば、利活用可能な空家等又はその跡地の
情報を市町村が収集した後、当該情報について、その所有者の同意を得た上で、インターネットや
宅地建物取引業者の流通ネットワークを通じて、広く当該空家等又はその跡地を購入又は賃借しよ
うとする者に提供することが想定される。その際、空き家バンク等の空家等情報を提供するサービ
スにおける宅地建物取引業者等の関係事業者団体との連携に関する協定を締結することが考えられ
る。
104
また、空家等を市町村等が修繕した後、地域の集会所、井戸端交流サロン、農村宿泊体験施設、
住民と訪問客との交流スペース、移住希望者の住居等として当該空家等を活用したり、空家等の跡
地を漁業集落等の狭隘な地区における駐車場として活用したりすることも考えられる。この際、空
家等の用途変更に当たっては、建築基準法、都市計画法、景観法、消防法、旅館業法等の関係法令
を遵守するものとする。
なお、空家等の利活用方策については、空家等対策計画の実施に関する課題であることから、そ
の検討を行う場として協議会を積極的に活用することが考えられる。
7 特定空家等に対する措置の促進
法第2条第2項に規定する「特定空家等」に該当する建築物等は、適切な管理が行われていない
結果として、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているものであり、市町村長は、地域住民
の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図るために必要な措置を早急に
講ずることが望ましい。
「特定空家等」に該当する建築物等については、市町村長は、建築物等の詳細な現状を把握し、
周辺の生活環境の保全を図るためにどのような措置が必要となるかについて迅速に検討するため、
法第9条第2項に基づき、市町村職員又はその委任した者(例えば建築士や土地家屋調査士など)
に「特定空家等」に該当すると認められる「空家等」に対して立入調査をさせることができる。ま
た、この調査結果に基づき、市町村長は「特定空家等」の所有者等に対し、必要な措置を助言・指
導、勧告及び命令することができる(法第14条第1項から第3項まで)とともに、その措置を命
ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても期限内に完了
する見込みがないときは、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところに従い、本来
「特定空家等」の所有者等が履行すべき措置を代執行することができる(同条第9項)。この他、
法第14条は「特定空家等」の所有者等に対して市町村長が必要な措置を命ずる際に講ずるべき手
続(同条第4項から第8項まで並びに同条第10項及び第11項)、所有者等を市町村長が確知す
ることができない場合における代執行に関する規定(同条第10項)等を定めている。
法第9条第2項に基づく立入調査及び法第14条に基づく措置は、いずれも「特定空家等」の所
有者等にとっては強い公権力の行使を伴う行為を含むものである。このため、国土交通大臣及び総
務大臣は、どのような空家等が「特定空家等」に該当するか否かを判断する際に参考となる判断基
準や市町村長が「特定空家等」の所有者等に対して必要な措置を助言・指導する段階から最終的に
は代執行を行うに至る段階までの基本的な手続の内容等について記載したガイドラインを、法第1
4条第14項に基づき定めている。各市町村長は、必要に応じてこのガイドラインを参照しつつ、
各地域の実情に応じた「特定空家等」に関する対策に取り組むこととする。
なお、「特定空家等」に対して立入調査や必要な措置を講ずるに当たっては、市町村においては、
建築・住宅・景観・まちづくり部局、税務部局、法務部局、消防部局、防災・危機管理部局、環境
部局、水道部局、商工部局、市民部局等の関係内部部局間の連携が一層求められる。
8 空家等に関する対策の実施に必要な財政上・税制上の措置
105
(1)財政上の措置
法第15条第1項においては「国及び都道府県は、市町村が行う空家等対策計画に基づく空家
等に関する対策の適切かつ円滑な実施に資するため、空家等に関する対策の実施に要する費用に
対する補助、地方交付税制度の拡充その他の必要な財政上の措置を講ずるものとする。」と規定
されている。
具体的には、例えば一1(2)④で述べたような財政上の措置を国として講ずることとする。
また、空家等を活用するに当たり必要となる費用の一部を市町村を通じて、又は都道府県から直
接、それぞれ予算支援している都道府県も存在する。
以上を踏まえつつ、地域活性化や良好な居住環境の整備を促進する観点から、空家等の利活用
や除却等を始めとする空家等対策に取り組む市町村を支援するため、国及び都道府県においては、
市町村による空家等対策の実施に要する費用に対して引き続き財政上の措置を講ずるよう努める
ものとする。
(2)税制上の措置
法第15条第2項においては「国及び地方公共団体は、市町村が行う空家等対策計画に基づく
空家等に関する対策の適切かつ円滑な実施に資するため、必要な税制上の措置その他の措置を講
ずるものとする。」と規定されている。
①空き家の発生を抑制するための税制上の特例措置(所得税・個人住民税の特例)
平成26年に国土交通省が実施した空家実態調査(平成27年11月20日公表)によれば、
周辺の生活環境に悪影響を及ぼし得る空き家(住宅・土地統計調査における「その他の住宅」
に該当する空き家)の約75%は旧耐震基準の下で建築されたものであり、また平成25年に
おける住宅の耐震化の進捗状況の推計値として国土交通省が平成27年6月に公表した数値を
考慮すると、そのような空き家のうち約60%が耐震性のない建築物であると推計されている。
加えて、上述の平成26年空家実態調査によれば、居住用家屋が空き家となる最大の契機が相
続時であることも判明している。
このような実態を踏まえ、空き家が放置され、その結果周辺の生活環境に悪影響を及ぼすこ
とを未然に防止する観点から、空き家の最大の発生要因である相続に由来する古い空き家及び
その敷地の有効活用を促進することにより空き家の発生を抑制するための新たな制度が、租税
特別措置法(昭和32年法律第26号)の一部改正により、平成28年4月1日から創設され
た。具体的には、相続の開始の直前において被相続人の居住用家屋(昭和56年5月31日以
前に建築された家屋(区分所有建築物を除く。)であって、当該相続の開始の直前において当
該被相続人以外に居住をしていた者がいなかったものに限る。以下「被相続人居住用家屋」と
いう。)及び当該相続の開始の直前において当該被相続人居住用家屋の敷地の用に供されてい
た土地等を当該相続により取得をした個人が、平成28年4月1日から平成31年12月31
日までの間に譲渡(当該相続の開始があった日から同日以後3年を経過する日の属する年の1
2月31日までの間にしたものに限るものとし、当該譲渡の対価の額が1億円を超えるもの等
を除く。)をした場合には、当該譲渡に係る譲渡所得の金額について居住用財産の譲渡所得の
3,000 万円特別控除を適用する(ただし、当該譲渡の対価の額と当該相続の時から当該譲渡を
した日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に当該相続人が行った当該被
相続人居住用家屋と一体として当該被相続人の居住の用に供されていた家屋又は土地等の譲渡
の対価の額との合計額が1億円を超える場合を除く。)(租税特別措置法第35条第3項から
106
第10項まで及び第13項。なお、個人住民税については地方税法附則第34条第2項及び第
5項並びに第35条第2項及び第6項)。なお、本特例措置に関する事務手続き等の詳細につ
いては、別途通知で定めている。
②「特定空家等」に対する固定資産税等の住宅用地特例の取扱い(固定資産税・都市計画税)
現在、人の居住の用に供する家屋の敷地のうち一定のものについては、地方税法第349条
の3の2及び同法第702条の3に基づき、当該敷地の面積に応じて、その固定資産税の課税
標準額を6分の1(200㎡以下の部分の敷地)又は3分の1(200㎡を超える部分の敷地)
とするとともに、その都市計画税の課税標準額を3分の1(200㎡以下の部分の敷地)又は
3分の2(200㎡を超える部分の敷地)とする特例措置(固定資産税等の住宅用地特例)が
講じられている。この固定資産税等の住宅用地特例が、管理状況が悪く、人が住んでいない家
屋の敷地に対して適用されると、比較的地価が高い地域においては当該家屋を除却した場合※
と比べて固定資産税等が軽減されてしまうため、空き家の除却や適正管理が進まなくなる可能
性があるとの指摘が存在する。
※ 固定資産税等の住宅用地特例が適用されない場合の税額は、課税標準額の上限を価格の7割とす
るなどの負担調整措置及び各市町村による条例減額制度に基づき決定されることとなる。
空家等の中でも、「特定空家等」は地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているもので
あり、その除却や適正管理を促すことは喫緊の課題である。以上を踏まえ、平成27年度の地
方税法の一部改正により、固定資産税等の住宅用地特例の対象から、法第14条第2項の規定
により所有者等に対し勧告がされた「特定空家等」の敷地の用に供されている土地を除くこと
とされた(地方税法第349条の3の2第1項等)。
また、あわせて、人の居住の用に供すると認められない家屋の敷地に対しては、そもそも固
定資産税等の住宅用地特例は適用されないことに留意が必要である。
二
空家等対策計画に関する事項
市町村は、協議会を設置した場合には当該協議会の構成員等から意見を聴取するとともに、必要に
応じて都道府県からの情報提供や技術的な助言を受けつつ、各市町村の区域内で必要となる空家等に
関する対策を総合的かつ計画的に実施するため、本基本指針に即して、法第6条第2項に掲げる事項
を定めた空家等対策計画の作成を推進する。
その際、一3(1)及び(2)で述べたとおり、各市町村内における空家等の実態を的確に把握し
た上で、空家等対策計画における目標を設定するとともに、定期的に当該目標の達成状況を評価し、
適宜同計画の改定等の見直しを行うことが望ましい。
1 効果的な空家等対策計画の作成の推進
効果的な空家等対策計画を作成するためには、各市町村内における防災、衛生、景観等の空家等
がもたらす問題に関係する内部部局が連携し、空家等に関する対策を分野横断的に記載した総合的
な計画を作成することが重要である。また、周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼしている空家等に
対処するだけでなく、こうした空家等のそもそもの増加を抑制する観点から、三で述べるような施
策等も含めた形で作成することが望ましい。
107
2 空家等対策計画に定める事項
(1)空家等に関する対策の対象とする地区及び対象とする空家等の種類その他の空家等に関する
対策に関する基本的な方針
各市町村における空家等に関する対策について、各市町村長が把握した空家等の数、実態、
分布状況、周辺への悪影響の度合いの状況や、これまでに講じてきた空家等対策等を踏まえ、
空家等に関する政策課題をまず明らかにした上で、空家等対策の対象地区、対象とする空家等
の種類(例えば空き住居、空き店舗など)や今後の空家等に関する対策の取組方針について記
載する。
特に、空家等対策の対象地区を定めるに当たっては、各市町村における空家等の数や分布状
況を踏まえ、空家等対策を重点的に推進するべき地区を重点対象地区として定めることが考え
られる。また、対象とする空家等の種類は、市町村長による空家等調査の結果、どのような種
類の建築物が空家等となっていたかを踏まえ、重点対象地区を定める場合同様、どの種類の空
家等から対策を進めていくかの優先順位を明示することが考えられる。
これらの記載により、各市町村における空家等対策の今後の基本的な方針を、住民にとって
分かりやすいものとして示すことが望ましい。
なお、空家等対策計画の作成に当たっては、必ずしも市町村の区域全体の空家等の調査を行
うことが求められるわけではない。例えば、各市町村における中心市街地や郊外部の住宅団地
等の中で、既に空家等の存在が周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼしている地域について先行
的に計画を作成し、その後必要に応じて順次計画の対象地区を拡大していく方法も考えられる。
(2)計画期間
空家等対策の計画期間は、各市町村における空家等の実態に応じて異なることが想定される
が、既存の計画で定めている期間や住宅・土地に関する調査の実施年と整合性を取りつつ設定
することが考えられる。なお、計画期限を迎えるごとに、各市町村内における空家等の状況の
変化を踏まえ、計画内容の改定等を検討することが重要である。
(3)空家等の調査に関する事項
各市町村長が法第9条第1項に基づき当該市町村の区域内にある空家等の所在及び当該空家
等の所有者等を把握するための調査その他空家等に関しこの法律の施行のために必要な調査を
行うに当たって必要となる事項を記載する。具体的には、例えば空家等の調査を実際に実施す
る主体名、対象地区、調査期間、調査対象となる空家等の種類、空家等が周辺に及ぼしている
悪影響の内容及び程度その他の調査内容及び方法を記載することが考えられる。
(4)所有者等による空家等の適切な管理の促進に関する事項
一1(2)①で述べたとおり、空家等の適切な管理は第一義的には当該空家等の所有者等の
責任において行われるべきことを記載するとともに、空家等の所有者等に空家等の適切な管理
を促すため、例えば各市町村における相談体制の整備方針や、空家等の利活用に関心を有する
外部の者と当該空家等の所有者等とのマッチングを図るなどの取組について記載することが考
えられるほか、空家等の所有者等の意識の涵養や理解増進に資する事項を記載することが考え
108
られる。
(5)空家等及び除却した空家等に係る跡地の活用の促進に関する事項
一6で述べたとおり、各市町村において把握している空家等の中には、修繕等を行えば地域
交流や地域活性化の拠点として利活用できるものも存在し、また利活用する主体は当該空家等
の所有者等に限られていない。例えば各市町村が把握している空家等に関する情報を、その所
有者の同意を得た上でインターネットや宅地建物取引業者の流通ネットワークを通じて広く外
部に提供することについて記載することが考えられる。その際、空き家バンク等の空家等情報
を提供するサービスにおける宅地建物取引業者等の関係事業者団体との連携に関する協定が締
結されている場合には、その内容を記載することも考えられる。また、当該空家等を地域の集
会所、井戸端交流サロン、農村宿泊体験施設、住民と訪問客との交流スペース、移住希望者の
住居等として活用したり、当該空家等の跡地を漁業集落等の狭隘な地区における駐車場として
活用したりする際の具体的な方針や手段について記載することが考えられる。
(6)特定空家等に対する措置その他の特定空家等への対処に関する事項
一7で述べたとおり、「特定空家等」に該当する建築物等は、地域住民の生活環境に深刻な
影響を及ぼしているものであることから、各市町村長が「特定空家等」に対してどのような措
置を講ずるのかについて方針を示すことが重要である。具体的には、必要に応じてガイドライ
ンの記載事項を参照しつつ、例えば各市町村長が「特定空家等」であることを判断する際の基
本的な考え方や、「特定空家等」に対して必要な措置を講ずる際の具体的な手続等について記
載することが望ましい。
(7)住民等からの空家等に関する相談への対応に関する事項
一2(3)で述べたとおり、各市町村に寄せられる空家等に関する相談の内容としては、例
えば空家等の所有者等自らによる空家等の今後の利活用方針に関するものから、空家等が周辺
に及ぼしている悪影響に関する周辺住民による苦情まで幅広く考えられる。そのような各種相
談に対して、各市町村はできる限り迅速に回答するよう努めることとし、例えば各市町村にお
ける相談体制の内容や住民に対する相談窓口の連絡先について具体的に記載することが望まし
い。
(8)空家等に関する対策の実施体制に関する事項
空家等がもたらす問題は分野横断的で多岐にわたるものであり、各市町村内の様々な内部部
局が密接に連携して対処する必要のある政策課題であることから、例えばどのような内部部局
が関係しているのかが住民から一覧できるよう、各内部部局の役割分担、部署名及び各部署の
組織体制、各部署の窓口連絡先等を記載することが考えられる。また、協議会を組織する場合
や外部の関係団体等と連携する場合については、併せてその内容を記載することが望ましい。
(9)その他空家等に関する対策の実施に関し必要な事項
(1)から(8)までに掲げる事項以外に、各市町村における空家等の実情に応じて必要と
なる支援措置や、空家等対策の効果を検証し、その結果を踏まえて計画を見直す旨の方針等に
ついて記載することが考えられる。
109
3 空家等対策計画の公表等
法第6条第3項により、「市町村は、空家等対策計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞
なく、これを公表しなければならない。」ものとされている。公表手段は各市町村の裁量に委ねら
れているが、単に各市町村の公報に掲載するだけでなく、例えばインターネットを用いて公表する
など、住民が計画の内容について容易に知ることのできる環境を整備することが重要である。
三
その他空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項
1 空家等の所有者等の意識の涵養と理解増進
適切な管理がその所有者等によってなされない空家等は、周辺地域に悪影響を及ぼす要因となる
ものと考えられることから、空家等の適切な管理を行うことの重要性、管理不全の空家等が周辺地
域にもたらす諸問題及びそれに対処するために作成した空家等対策計画の内容については、空家等
の所有者等に限らず、広く住民全体で共有されることが望ましい。このような観点からは、例えば、
空家等対策計画の公表に合わせて、空家等の適切な管理を行うことの重要性や管理不全の空家等が
周辺地域にもたらす諸問題について広報を行ったり、協議会における協議の内容を住民に公開した
りする等により、空家等の適切な管理の重要性や空家等の周辺地域にもたらす諸問題への関心を広
く惹起し、地域全体でその対処方策を検討・共有できるようにすることが望ましい。
2 空家等に対する他法令による諸規制等
空家等については、この法律に限らず、例えば建築基準法、消防法、道路法、災害対策基本法、
災害救助法等各法律の目的に沿って適正な運用を図る一環から、適切な管理のなされていない空家
等について必要な措置が講じられる場合も考えられる。関係法令の適用を総合的に検討する観点か
らも、各市町村においては一2(1)で述べたとおり、市町村の区域内の空家等の所在、所有者等
について内部部局間で広く情報共有を図り、空家等対策について内部部局間の連携を取りやすい体
制を整備することが重要である。
3 空家等の増加抑制策、利活用施策、除却等に対する支援施策等
空家等対策を講ずる上では、単に周辺地域に悪影響を与える管理不全の空家等に対して、この法
律を始めとする2で述べたような関係法令に基づき必要な措置を講ずるだけでなく、空家等のそも
そもの発生又は増加を抑制し、若しくは空家等の他用途の施設への転用等による利活用を図ること
も重要である。
(1)空家等の発生又は増加の抑制等に資する施策
空家等をそもそも発生させない、又は空家等の増加を抑制する観点から、例えば1で述べたよ
うに、空家等の適切な管理を行うことの重要性、管理不全の空家等が周辺地域にもたらす諸問題
110
及びそれに対処するための総合的な方針について所有者等の意識の涵養や理解増進を図る取組を
進めることや、一8(2)で述べた空家等の発生を抑制するための新たな租税特別措置の的確な
運用、また一2(3)で述べたように、空家等の所有者等、外部からの空家等への移住希望者、
関係民間団体等との連携の下、空家等の売買・賃貸、適正管理、除却等などの幅広いニーズを掘
り起こす取組を促すことが考えられる。
(2)空家等の利活用、除却等に対する支援施策
現在、空家等の所有者等だけでなく、各市町村の住民や外部からの移住希望者等が空家等を利
活用し、又は除却等する取組を促す観点から、例えば空家等のリフォームの普及・促進、空家等
の他用途の施設(地域活性化施設、地域間交流拠点施設、社会福祉施設、店舗等)への転用、空
家等への住み替え、空家等そのものの除却等を促すための各種財政支援策が用意されている。各
市町村においては、これらの支援策を活用しながら、空家等の有効活用策の選択肢を少しでも広
げて住民等に提示することも重要である。
111
4.「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)
【目次】
はじめに
第1章 空家等に対する対応
1.法に定義される「空家等」及び「特定空家等」
2.具体の事案に対する措置の検討
(1)「特定空家等」と認められる空家等に対して法の規定を適用した場合の効果等
(2)行政の関与の要否の判断
(3)他の法令等に基づく諸制度との関係
3.所有者等の特定
第2章 「特定空家等に対する措置」を講ずるに際して参考となる事項
(1)「特定空家等」の判断の参考となる基準
(2)周辺の建築物や通行人等に対し悪影響をもたらすおそれがあるか否か
(3)悪影響の程度と危険等の切迫性
第3章 特定空家等に対する措置
1.適切な管理が行われていない空家等の所有者等の事情の把握
2.「特定空家等に対する措置」の事前準備
(1)立入調査(法第9条第2項~第5項)
(2)データベース(台帳等)の整備と関係部局への情報提供
(3)特定空家等に関係する権利者との調整
3.特定空家等の所有者等への助言又は指導(法第 14 条第1項)
(1)特定空家等の所有者等への告知
(2)措置の内容等の検討
4.特定空家等の所有者等への勧告(法第 14 条第2項)
(1)勧告の実施
(2)関係部局への情報提供
5.特定空家等の所有者等への命令(法第 14 条第3項~第8項)
(1)所有者等への事前の通知(法第 14 条第4項)
(2)所有者等による公開による意見聴取の請求(法第 14 条第5項)
(3)公開による意見の聴取(法第 14 条第6項~第8項)
(4)命令の実施
(5)標識の設置その他国土交通省令・総務省令で定める方法による公示(法第 14 条第 11 項・第 12 項)
6.特定空家等に係る代執行(法第 14 条第9項)
(1)実体的要件の明確化
(2)手続的要件(行政代執行法第3条~第6条)
(3)非常の場合又は危険切迫の場合(行政代執行法第3条第3項)
(4)執行責任者の証票の携帯及び呈示(行政代執行法第4条)
(5)代執行の対象となる特定空家等の中の動産の取扱い
(6)費用の徴収(行政代執行法第5条・第6条)
7.過失なく措置を命ぜられるべき者を確知することができない場合(法第 14 条第 10 項)
(1)「過失がなくて」「確知することができない」場合
(2)事前の公告(法第 14 条第 10 項)
(3)代執行の対象となる特定空家等の中の動産の取扱い
(4)費用の徴収
8.必要な措置が講じられた場合の対応
〔別紙1〕「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」であるか否かの判断に際して参
考となる基準
〔別紙2〕「そのまま放置すれば衛生上有害となるおそれのある状態」であるか否かの判断に際して参考となる基準
〔別紙3〕「適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態」であるか否かの判断に際して
参考となる基準
〔別紙4〕「その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」であるか否かの判断に際
して参考となる基準
[参考様式1]~[参考様式8]
112
はじめに
平成 26 年 11 月 27 日に公布された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(平成 26 年法
律第 127 号。以下「法」という。)においては、空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」
という。)が、空家等の適切な管理について第一義的な責任を有することを前提としつつ、法第
4条において、住民に最も身近な行政主体であり、個別の空家等の状況を把握することが可能な
立場にある市町村(特別区を含む。以下同じ。)が、地域の実情に応じた空家等に関する対策の
実施主体として位置付けられている。法に基づく空家等対策の基本的な考え方については、「空
家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」
(平成 27 年2月 26 日付
け総務省・国土交通省告示第1号。以下「基本指針」という。)により示されたところである。
法に基づく空家等対策のうち、特に、法第2条第2項に定義される「特定空家等」については、
法第 14 条各項において、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)が当該「特定空家等」の
所有者等に対して講ずることができる措置が規定されている。市町村長は、周辺の生活環境の保
全を図るために必要があると認められるときは、速やかに「特定空家等」の所有者等に対し、適
切な措置を講ずべきである。他方、これらの措置については、強い公権力の行使を伴う行為が含
まれることから、その措置に係る手続についての透明性及び適正性の確保が求められるところで
ある。
以上を踏まえ、法第 14 条第 14 項の規定に基づき、
「特定空家等に対する措置に関し、その適
切な実施を図るために必要な指針」
(以下「ガイドライン」という。)を定めるものである。
本ガイドラインは、市町村が「特定空家等」の判断の参考となる基準等及び「特定空家等に対
する措置」に係る手続について、参考となる一般的な考え方を示すものである。したがって、各
市町村において地域の実情を反映しつつ、適宜固有の判断基準を定めること等により「特定空家
等」に対応することが適当である。また、措置に係る手続については、必要に応じて、手続を付
加することや法令等に抵触しない範囲で手続を省略することを妨げるものではない。なお、法第
14 条第1項及び第2項に基づく「特定空家等」に対する助言・指導及び勧告については、本ガ
イドラインにおいては行政手続法(平成5年法律第 88 号)上の関連規定を示しているところ、
同法第3条第3項により市町村が行う行政指導については同法第4章の規定が適用除外とされ
ていることから、実務的には本ガイドラインを参考としつつ、各市町村が定める行政手続条例等
によることとなる。
また、本ガイドラインは、今後、法に基づく措置の事例等の知見の集積を踏まえ、適宜見直さ
れる場合があることを申し添える。
第1章 空家等に対する対応
1.法に定義される「空家等」及び「特定空家等」
「空家等」の定義の解釈は、
「基本指針」一3(1)に示すとおりである。
「特定空家等」は、
この「空家等」のうち、法第2条第2項において示すとおり、以下の状態にあると認められる
「空家等」と定義されている。
(イ) そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
(ロ) そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
(ハ) 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
113
(ニ) その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
2.具体の事案に対する措置の検討
(1)「特定空家等」と認められる空家等に対して法の規定を適用した場合の効果等
適切な管理が行われていない空家等のうち、法第2条第2項に定める「特定空家等」と認
められるものに対して、法の規定を適用した場合の効果等について概略を整理する。
イ 「特定空家等に対する措置」の概要
市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生
活環境の保全を図るために必要な措置をとるよう助言又は指導(法第 14 条第1項)、勧告
(同条第2項)及び命令(同条第3項)することができるとともに、その措置を命ぜられ
た者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても期限までに
完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和 23 年法律第 43 号)の定めるところに
従い、当該措置を自らし、又は第三者をしてこれをさせることができる(同条第9項)。
また、市町村長は、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができな
いときは、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任
した者に行わせることができる(同条第 10 項、いわゆる略式代執行)
。
ロ 「特定空家等に対する措置」の手順
法に定める「特定空家等」として、法の規定を適用する場合は、法第 14 条に基づく助
言又は指導、勧告、命令の手続を、順を経て行う必要がある。緊急事態において応急措置
を講ずる必要がある場合であっても、法により対応しようとするのであれば同様である。
これは、
「特定空家等」の定義が「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそ
れのある…と認められる空家等をいう」とされるなど、将来の蓋然性を考慮した判断内容
を含み、かつ、その判断に裁量の余地がある一方で、その措置については財産権の制約を
伴う行為が含まれることから、当該「特定空家等」の所有者等に対し、助言・指導といっ
た働きかけによる行政指導の段階を経て、不利益処分である命令へと移行することにより、
慎重な手続を踏む趣旨である。
なお、法と趣旨・目的が同様の各市町村における空家等の適正管理に関する条例におい
て、適切な管理が行われていない空家等に対する措置として、助言又は指導、勧告、命令
の三段階ではなく、例えば助言又は指導、勧告を前置せずに命令を行うことを規定してい
る場合、上記のように慎重な手続を踏むこととした法の趣旨に反することとなるため、当
該条例の命令に関する規定は無効となると解される。
ハ 固定資産税等の住宅用地特例に関する措置
「特定空家等」に該当する家屋に係る敷地が、固定資産税等のいわゆる住宅用地特例の
対象であって、法第 14 条第2項に基づき、市町村長が当該「特定空家等」の所有者等に
対して除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置を
とることを勧告した場合は、地方税法(昭和 25 年法律第 226 号)第 349 条の3の2第1
項等の規定に基づき、当該「特定空家等」に係る敷地について、固定資産税等の住宅用地
特例の対象から除外される。
(2)行政の関与の要否の判断
市町村の区域内の空家等に係る実態調査や、地域住民からの相談・通報等により、適切な
管理が行われていない空家等に係る具体の事案を把握した場合、まず、当該空家等の状態や
114
その周辺の生活環境への悪影響の程度等を勘案し、私有財産たる当該空家等に対する措置に
ついて、行政が関与すべき事案かどうか、その規制手段に必要性及び合理性があるかどうか
を判断する必要がある。
(3)他の法令等に基づく諸制度との関係
空家等に係る具体の事案に対し、行政が関与すべき事案であると判断された場合、どのよ
うな根拠に基づき、どのような措置を講ずべきかを検討する必要がある。適切な管理が行わ
れていない空家等に対しては、法に限らず、他法令により各法令の目的に沿って必要な措置
が講じられる場合が考えられる。例えば、現に著しく保安上危険な既存不適格建築物に対す
る建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号)に基づく措置や、火災予防の観点からの消防法(昭
和 23 年法律第 186 号)に基づく措置のほか、立木等が道路に倒壊した場合に道路交通の支
障を排除する観点からの道路法(昭和 27 年法律第 180 号)に基づく措置、災害における障
害物の除去の観点からの災害救助法(昭和 22 年法律第 118 号)に基づく措置などである。
状況によっては、措置の対象物ごとに異なる諸制度を組み合わせて適用することも考えられ
る。各法令により、目的、講ずることができる措置の対象及び内容、実施主体等が異なるこ
とから、措置の対象となる空家等について、その物的状態や悪影響の程度、危険等の切迫性
等を総合的に判断し、手段を選択する必要がある。
3.所有者等の特定
空家等の所有者等の特定方法としては、従来より、不動産登記簿情報による登記名義人の確
認、住民票情報や戸籍謄本等による登記名義人や相続人の存否及び所在の確認等と併せ、地域
住民への聞き取り調査等が行われているところである。
これらに加え、法第 10 条により、市町村長は、固定資産税の課税その他の事務のために利
用する目的で保有する情報であって氏名その他の空家等の所有者等に関するものについては、
法の施行のために必要な限度において内部利用できる(同条第1項)(特別区においては、区
長からの提供の求めに応じて、都知事が当該情報の提供を行う(同条第2項))ほか、関係す
る地方公共団体の長等に対して、空家等の所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めるこ
とができる(同条第3項)こととされたことから、市町村長は、所有者等の特定に当たって、
これらの規定を適宜活用することが考えられる。
なお、法第 10 条に定める市町村長が内部利用等できる情報のうち、固定資産課税台帳に記
載された情報の内部利用等の取扱いについては、「固定資産税の課税のために利用する目的で
保有する空家等の所有者に関する情報の内部利用等について」
(平成 27 年2月 26 日付け国住
備第 943 号・総行地第 25 号)を参照されたい。
第2章 「特定空家等に対する措置」を講ずるに際して参考となる事項
「特定空家等に対する措置」を講ずるに際しては、空家等の物的状態が第1章1.の(イ)~(ニ)
の各状態であるか否かを判断するとともに、当該空家等がもたらす周辺への悪影響の程度等につ
いて考慮する必要がある。
また、「特定空家等」は将来の蓋然性を含む概念であり、必ずしも定量的な基準により一律に
判断することはなじまない。
「特定空家等に対する措置」を講ずるか否かについては、下記(1)
を参考に「特定空家等」と認められる空家等に関し、下記(2)及び(3)に示す事項を勘案し
て、総合的に判断されるべきものである。なお、その際、法第7条に基づく協議会等において学
115
識経験者等の意見を聞くことも考えられる。
(1)「特定空家等」の判断の参考となる基準
空家等の物的状態が第1章1.の(イ)~(ニ)の各状態であるか否かの判断に際して参考とな
る基準について、〔別紙1〕~〔別紙4〕に示す。
なお、第1章1.の(イ)又は(ロ)の「おそれのある状態」については、そのまま放置した場
合の悪影響が社会通念上予見可能な状態を指すものであって、実現性に乏しい可能性まで含
む概念ではないことに留意されたい。また、第1章1.の(イ)~(ニ)に示す状態は、例えば外
壁が腐朽して脱落することにより保安上危険となるおそれのある空家等が地域の良好な景観
を阻害している場合のように、一件の「特定空家等」について複数の状態が認められること
もあり得る。
(2)周辺の建築物や通行人等に対し悪影響をもたらすおそれがあるか否か
「特定空家等」が現にもたらしている、又はそのまま放置した場合に予見される悪影響の
範囲内に、周辺の建築物や通行人等が存在し、又は通行し得て被害を受ける状況にあるか否
か等により判断する。その際の判断基準は一律とする必要はなく、当該空家等の立地環境等
地域の特性に応じて、悪影響が及ぶ範囲を適宜判断することとなる。例えば、倒壊のおそれ
のある空家等が狭小な敷地の密集市街地に位置している場合や通行量の多い主要な道路の沿
道に位置している場合等は、倒壊した場合に隣接する建築物や通行人等に被害が及びやすく、
「特定空家等」として措置を講ずる必要性が高くなることが考えられる。
(3)悪影響の程度と危険等の切迫性
「特定空家等」が現にもたらしている、又はそのまま放置した場合に予見される悪影響が
周辺の建築物や通行人等にも及ぶと判断された場合に、その悪影響の程度が社会通念上許容
される範囲を超えるか否か、またもたらされる危険等について切迫性が高いか否か等により
判断する。その際の判断基準は一律とする必要はなく、気候条件等地域の実情に応じて、悪
影響の程度や危険等の切迫性を適宜判断することとなる。例えば、樹木が繁茂し景観を阻害
している空家等が、景観保全に係るルールが定められている地区内に位置する場合や、老朽
化した空家等が、大雪や台風等の影響を受けやすい地域に位置する場合等は、「特定空家等」
として措置を講ずる必要性が高くなることが考えられる。
第3章 特定空家等に対する措置
「特定空家等に対する措置」は、行政指導である助言又は指導(法第 14 条第1項)及び勧告
(同条第2項)、不利益処分である命令(同条第3項)、代執行(同条第9項)、過失がなくて必
要な措置を命ぜられるべき者を確知することができないときのいわゆる略式代執行(同条第 10
項)とに大別される。このうち、命令については、行政手続法第3章(不利益処分。ただし、同
法第 12 条(処分の基準)及び第 14 条(不利益処分の理由の提示)を除く。)の規定を適用除外
とし(法第 14 条第 13 項)、法において特例を定めている点に留意されたい(詳述は本章5.を
参照)。
1.適切な管理が行われていない空家等の所有者等の事情の把握
空家等の所有者等は当該空家等の所在地と異なる場所に居住していることから、自らが所有
する空家等の状態を把握していない可能性や、空家等を相続により取得した等の事情により、
自らが当該空家等の所有者であることを認識していない可能性等も考えられる。したがって、
116
適切な管理が行われていない空家等について、まずは所有者等に連絡を取り、当該空家等の現
状を伝えるとともに、当該空家等に関する今後の改善方策に対する考えのほか、処分や活用等
についての意向など、所有者等の主張を含めた事情の把握に努めることが望ましい。その際は、
必ずしも書面で行う方法のみによる必要はなく、対面や電話等の通信手段を選択することも考
えられる。
上記の事情把握は、必ずしも法第 14 条に基づく法律上の行為として行う必要はなく、例え
ば所有者等であると考えられる者に対し、事実確認のために連絡を取るなど事実行為として行
うことも考えられる。
また、当該空家等が「特定空家等」に該当すると考えられる場合にあっても、直ちに法第9
条第2項に基づく立入調査や法第 14 条第1項に基づく指導等の手続を開始するのではなく、
把握した当該特定空家等の所有者等の事情を勘案し、具体の対応方策を検討することが考えら
れる。例えば、
・ 所有者等に改善の意思はあるものの、その対処方策が分からない
・ 遠隔地に居住しているために、物理的に自ら対策を講ずることができない
・ 経済的な対応の余地はあるが、身体的理由等により対応が困難である
等の場合には、状況に応じて、空家等の除却、改修、管理等に関する相談窓口や活用できる
助成制度を紹介すること等により、解決を図ることも考えられる。
一方、危険が切迫している等周辺の生活環境の保全を図るために速やかに措置を講ずる必要
があると認められる場合は、市町村長は所定の手続を経つつも法第 14 条の勧告、命令又は代
執行に係る措置を迅速に講ずることが考えられる。
2.「特定空家等に対する措置」の事前準備
(1)立入調査(法第9条第2項~第5項)
市町村長は、法第 14 条第1項から第3項までの規定の施行に必要な限度において、当該
職員又はその委任した者に、空家等と認められる場所に立ち入って調査をさせることができ
る(法第9条第2項)。この立入調査は、例えば、外見上危険と認められる空家等について
措置を講じようとする場合、外観目視による調査では足りず、敷地内に立ち入って状況を観
察し、建築物に触れるなどして詳しい状況を調査し、必要に応じて内部に立ち入って柱や梁
等の状況を確認する必要がある場合に実施するものである。なお、立入調査は、必要最小限
度の範囲で行うべきものである。
また、立入調査結果が、必ずしも法第 14 条第1項から第3項までの規定による措置に結
びつかなくとも、特定空家等に該当する可能性があると認められるか否か、当該空家等に対
する措置を講ずる必要があるか否か、あるとすればどのような内容の措置を講ずべきか等を
確かめようとすることは、目的が正当なものであるとして許容されるものと解される。一方、
当該空家等の敷地内に立ち入らずとも目的を達成し得る場合には、不必要に立入調査を実施
することは認められない。
イ 所有者等に対する事前の通知
市町村長は、空家等と認められる場所に立入調査を行おうとするときは、その5日前ま
でに、当該空家等の所有者等にその旨を通知しなければならない(法第9条第3項本文)。
この「5日」の期間の計算については、期間の初日は参入しないものと解される。
特に、1.により、空家等の所有者等と連絡が取れなかった場合には、空家等の所有者
117
等は、当該空家等の状況を把握していない可能性があることから、事前の通知に当たって
所有者等と連絡が取れた際には、立入調査の根拠のほか、立入調査をしようとするに至っ
た理由等について、十分に説明するよう努めるべきである。また、立入調査を行う際、所
有者等の立会いを得ることは、立入調査を円滑に実施することができるとともに、関係者
が当該空家等の状況や所有者等の事情等を共有することで、対応方針の早期決定につなが
ることが期待されることから、有用であると考えられる。
一方、所有者等に対し通知することが困難であるときは通知は要しない(法第9条第3
項ただし書)
。
ロ 身分を示す証明書の携帯と提示
空家等と認められる場所に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書(参考様式1)
を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない(法第9条第4
項)。
ハ 留意事項
(イ) 法に基づく立入調査は、相手方が立入調査を拒否した場合等の過料が定められている
(法第 16 条第2項)が、相手方の抵抗を排除してまで調査を行う権限を認めるもの
ではない。すなわち、明示的な拒否があった場合に、物理的強制力を行使してまで立
入調査をすることはできない。
(ロ) 法に基づく立入調査は行政調査であり、「法第 14 条第1項から第3項までの施行の
ため」という行政目的の達成のためにのみ認められるものであり、別の目的のために
当該立入調査を行うことは認められない。特に、犯罪捜査のために行政調査を行うこ
とは許されず、この点は法第9条第5項に明示されているところである。
(ハ) 空家等は、所有者等の意思を確認することが困難な場合があるところ、倒壊等の危険
があるなどの場合に、空家等と認められる場所の門扉が閉じられている等敷地が閉鎖
されていることのみをもって敷地内に立ち入れないとなると、法の目的が十分に達成
できないおそれがある。また、立入調査を行っても、現に居住や使用がなされている
建築物に比してそのプライバシーの侵害の程度は相対的に軽微である。このため、門
扉が閉じられている等の場合であっても、物理的強制力の行使により立入調査の対象
とする空家等を損壊させるようなことのない範囲内での立入調査は許容され得るも
のと考えられる。
(ニ) 空家等と認められるとして立ち入った結果、建物内に占有者がいる等使用実態がある
ことが判明した場合は、当該建築物は「特定空家等」に該当しないこととなり、それ
以降、立入調査を継続することはできない。この場合、占有者等の同意の下で社会通
念上相当と認められる範囲で所有者等の確認等(例えば、所有者の確認、当該建築物
をどのように使用しているのか等)を行うことは、法第9条第1項の調査として許容
されるものと解される。なお、建築物等に立ち入った時点において当該建築物等が「空
家等と認められる場所」であった以上、使用実態があることが判明する以前の立入調
査は適法な行為である。
(2)データベース(台帳等)の整備と関係部局への情報提供
法第 11 条に定める空家等に関するデータベースの整備等についての考え方は、「基本指
針」一4に示すとおり、「特定空家等」については、その所在地、現況、所有者等の氏名な
どに加えて、
「「特定空家等」に対する措置の内容及びその履歴についても併せて記載する等
118
により、継続的に把握していく必要がある。」とされているところである。
また、特定空家等に対する措置に係る事務を円滑に実施するためには、当該市町村の関係
内部部局との連携が不可欠であることから、空家等施策担当部局は、必要に応じて特定空家
等に関する情報を関係内部部局に提供し、共有することが望ましい。特に、法第 14 条第2
項に基づき勧告がなされた場合、当該「特定空家等」に係る土地については、固定資産税等
のいわゆる住宅用地特例の対象から除外されることとなるため、少なくとも税務部局(特別
区においては都。以下同じ。)に対しては、空家等施策担当部局から常に「特定空家等」に
係る最新情報を提供し、税務部局の事務に支障を来すようなことがないようにしなくてはな
らない。
また、関係内部部局において所有者等の情報を含むデータベースを共有する場合は、個人
情報が漏えいすることのないよう、細心の注意を払う必要がある。
(3)特定空家等に関係する権利者との調整
法第 14 条に基づき「特定空家等に対する措置」を講じようとする「特定空家等」につい
て、その措置の過程で、抵当権等の担保物権や賃貸借契約による賃貸借権が設定されている
こと等が判明することが考えられる。この場合、同条に基づく「特定空家等に対する措置」
は、客観的事情により判断される「特定空家等」に対してなされる措置であるため、命令等
の対象となる「特定空家等」に抵当権等が設定されていた場合でも、市町村長が命令等を行
うに当たっては、関係する権利者と必ずしも調整を行う必要はなく、基本的には当該抵当権
者等と「特定空家等」の所有者等とによる解決に委ねられるものと考えられる。
3.特定空家等の所有者等への助言又は指導(法第 14 条第1項)
法に基づく「特定空家等」の措置は、当該「特定空家等」の所有者等に対する助言又は指導
といった行政指導により、所有者等自らの意思による改善を促すことから始めることとされて
いる。
(1)特定空家等の所有者等への告知
イ 告知すべき事項
助言又は指導に携わる者は、その特定空家等の所有者等に対して、
・ 当該助言又は指導の内容及びその事由
・ 当該助言又は指導の責任者
を明確に示さなければならない。
また、助言又は指導後の対応として、
・ 助言又は指導に係る措置を実施した場合は、遅滞なく当該助言又は指導の責任者に報
告すること
・ 助言又は指導をしたにも関わらず、なお当該特定空家等の状態が改善されないと認め
られるときは、市町村長は勧告を行う可能性があること
・ 市町村長が勧告をした場合は、地方税法の規定に基づき、当該特定空家等に係る敷地
について固定資産税等のいわゆる住宅用地特例の対象から除外されることとなること
についても、当該特定空家等の所有者等に対してあらかじめ示し、所有者等自らの改善を
促すよう努めるべきである。
助言及び指導は、口頭によることも許容されているが、改善しなかった場合の措置を明
確に示す必要がある場合には、書面で行うことが望ましい。
119
ロ 助言又は指導の趣旨及び内容
特定空家等の所有者等は当該特定空家等の状況を把握していない可能性があること等を
考慮し、助言又は指導の趣旨を示す際には、根拠規定のみならず、
・ どの建築物等が特定空家等として助言又は指導の対象となっているのか
・ 当該特定空家等が現状どのような状態になっているのか
・ 周辺の生活環境にどのような悪影響をもたらしているか
等について、分かりやすく示すことが望ましい。
また、助言又は指導できる措置の内容は、当該特定空家等についての除却、修繕、立木
竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置であるが、そのまま放置す
れば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれ
のある状態のいずれでもない特定空家等については、建築物等の全部を除却する措置を助
言又は指導することはできないことに留意されたい(法第 14 条第1項括弧書き)
。
(2)措置の内容等の検討
市町村長の助言又は指導により、その対象となった特定空家等の状態が改善された場合
は、助言又は指導の内容は履行されたこととなるが、この場合においても、その履歴を記録
しておくべきである。
一方、助言又は指導を受けた特定空家等が改善されないと認められるときは、市町村長は、
当該特定空家等の所有者等に対し、繰り返し助言又は指導を行うべきか、必要な措置を勧告
すべきかどうか、勧告する場合はどのような措置とするか等について検討する。その際、法
第7条に基づく協議会において協議すること等も考えられる。なお、協議会で協議する場合
には、協議の過程で当該特定空家等の所有者等に係る個人情報が外部に漏えいすることのな
いよう、細心の注意を払う必要がある。
4.特定空家等の所有者等への勧告(法第 14 条第2項)
(1)勧告の実施
市町村長は、法第 14 条第1項に基づき助言又は指導をした場合において、なお当該特定
空家等の状態が改善されないと認めるときは、当該特定空家等の所有者等に対し、相当の猶
予期限を付けて、必要な措置をとることを勧告することができる(同条第2項)
。
勧告を行う場合は、その特定空家等の所有者等に対して、
・ 当該勧告に係る措置の内容及びその事由
・ 当該勧告の責任者
を明確に示さなければならない。
また、勧告を行う際には、
・ 勧告に係る措置を実施した場合は、遅滞なく当該勧告の責任者に報告すべきであること
・ 正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合、市町村長は命令を行う
可能性があること
・ 地方税法の規定に基づき、当該特定空家等に係る敷地について固定資産税等のいわゆ
る住宅用地特例の対象から除外されること
についても併せて示すべきである。
勧告は、措置の内容を明確にするとともに、勧告に伴う効果を当該特定空家等の所有者等
に明確に示す観点から、書面(参考様式2)で行うものとする。
120
また、勧告の送達方法について具体の定めはなく、直接手交、郵送などの方法から選択す
ることが考えられる。勧告は、相手方に到達することによって効力を生じ、相手方が現実に
受領しなくとも相手方が当該勧告の内容を了知し得るべき場所に送達されたら到達したと
みなされるため、的確な送達の方法を選択すべきである。郵送の場合は、より慎重を期す観
点から、配達証明郵便又は配達証明かつ内容証明の郵便とすることが望ましい。
なお、市町村長が特定空家等に対して必要な措置に係る勧告を講ずるに当たり、特定空家
等の所有者等が複数存在する場合には、市町村長が確知している当該特定空家等の所有者等
全員に対して勧告を行う必要がある。
市町村長による勧告を受けた特定空家等の建物部分とその敷地のいずれかが当該勧告後
に売買等された結果として所有者等が変わってしまったとしても、当該勧告は建物部分とそ
の敷地とを切り離すことなく「特定空家等」の所有者等に対して講じられた措置であり、売
買等による変更のなかった所有者等に対する効力は引き続き存続することから、建物部分又
はその敷地の所有者等のいずれかが当該勧告に係る措置を履行しない限り、当該勧告に伴う
効果は継続する。なお、当然のことながら、このような場合において、新たに「特定空家等」
の建物部分又はその敷地の所有者等となった者に対し、市町村長はできる限り迅速に、改め
て勧告を講ずる必要がある(当然、助言又は指導から行う必要がある)。
また、市町村長による勧告を受けた後に「特定空家等」が売買等により、建物部分とその
敷地いずれについても所有者等が変わってしまった場合には、勧告の効力が失われるため、
本来元の所有者等により講じられるべきであった措置の履行を促す観点から、新たに当該
「特定空家等」の所有者等となった者に対し、市町村長はできる限り迅速に、改めて勧告を
講ずる必要がある。その際、勧告の効力の有無は、固定資産税等のいわゆる住宅用地特例の
適用関係に影響を与えるため、税務部局とも十分連携を図る必要がある。
イ 相当の猶予期限
「相当の猶予期限」とは、勧告を受けた者が当該措置を行うことにより、その周辺の生
活環境への悪影響を改善するのに通常要すると思われる期間を意味する。具体の期間は対
象となる特定空家等の規模や措置の内容等によって異なるが、おおよそのところは、物件
を整理するための期間や工事の施工に要する期間を合計したものを標準とすることが考え
られる。
ロ 勧告に係る措置の内容
勧告に係る措置を示す際には、下記に留意されたい。
(イ) 当該特定空家等の所有者等が、具体的に何をどのようにすればいいのかが理解できる
ように、明確に示す必要がある。すなわち、「壁面部材が崩落しそうで危険なため対
処すること」といった概念的な内容ではなく、例えば「壁面部材が崩落しないよう、
東側2階部分の破損した壁板を撤去すること」等の具体の措置内容を示すべきであ
る。また、建築物を除却する場合にあっても、建築物全部の除却なのか、例えば2階
部分等一部の除却なのか等除却する箇所を明確に示す必要がある。
(ロ) 措置の内容は、周辺の生活環境の保全を図るという規制目的を達成するために必要か
つ合理的な範囲内のものとしなければならない。したがって、例えば改修により目的
が達成され得る事案に対し、いたずらに除却の勧告をすることは不適切である。
(2)関係部局への情報提供
市町村長が、法に基づき特定空家等の所有者等に対して勧告した場合には、2(2)に述
121
べたとおり、速やかに税務部局等関係内部部局に情報提供を行うことが必要である。
5.特定空家等の所有者等への命令(法第 14 条第3項~第8項)
市町村長は、上記勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった
場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、そ
の勧告に係る措置をとることを命ずることができる(法第 14 条第3項)。
イ 正当な理由
この「正当な理由」とは、例えば所有者等が有する権原を超えた措置を内容とする勧告が
なされた場合等を想定しており、単に措置を行うために必要な金銭がないことは「正当な理
由」とはならないと解される。
ロ 特に必要があると認めるとき
「特に必要があると認めるとき」とは、比例原則を確認的に規定したものであり、対応す
べき事由がある場合において的確な権限行使を行うことは当然認められる。
ハ 相当の猶予期限
「相当の猶予期限」の解釈は、4(1)イの勧告における「相当の猶予期限」と同義であ
る。
二 命令の形式
命令の形式については、命令の内容を正確に相手方に伝え、相手方への命令の到達を明確
にすること等処理の確実を期す観点から、書面で行うものとする。
ホ 命令の送達方法
命令の送達方法について具体の定めはないが、勧告の送達方法に準じるものとする。
へ 法における特例手続
命令については、法第 14 条第 13 項により行政手続法第 12 条(処分の基準)及び第 14 条
(不利益処分の理由の提示)を除き、同法第3章(不利益処分)の規定を適用しないことと
し、その代わりに法第 14 条第4項から第8項までに、命令を行う際に必要な手続を定めて
いる。この手続の具体の内容として、措置を命じようとする者は、意見書を提出するだけで
なく公開による意見の聴取を行うことを請求する権利も保障されている(法第 14 条第5
項)。
(1)所有者等への事前の通知(法第 14 条第4項)
市町村長は、措置を命じようとする者又はその代理人に対し、あらかじめ所定の事項を記
載した通知書(参考様式3)を交付しなければならない。記載する事項は、
・ 命じようとする措置の内容及びその事由
・ 意見書の提出先
・ 意見書の提出期限
とされている(法第 14 条第4項)。
当該通知書を交付する相手は、
「措置を命じようとする者又はその代理人」とされており、
措置を命じようとする者が代理人を選任できることが明示的に示されている。
代理人は、当該命令に関する一切の行為をすることができるが、行政手続法第 16 条の規
定を踏まえ、代理人の資格は書面で証明しなければならないとともに、代理人がその資格を
失ったときは、当該代理人を選任した者は、書面でその旨を市町村長に届け出なければなら
ない。
122
また、当該通知書においては、法第 14 条第4項に示す通知事項のほか、当該通知書の交
付を受けた者は、その交付を受けた日から5日以内に、市町村長に対し、意見書の提出に代
えて公開による意見の聴取を行うことが請求できること(同条第5項)について、あらかじ
め示すことが望ましい。
なお、当該通知書の交付は、従前の命令の内容を変更しようとする場合も同様である。
イ 命じようとする措置の内容
命じようとする措置は、法第 14 条第2項に基づき行った「勧告に係る措置」であり、
措置の内容は明確に示さなければならない。
その他の留意事項については、4(1)ロを参照されたい。
ロ 措置を命ずるに至った事由
市町村長は当該命じようとする措置の事由を示さなければならない(法第 14 条第4
項)。どの程度の事由を示さなければならないのかについて法に特段の定めは置かれていな
いが、単に根拠法令の条項を示すだけでは不十分であると考えられ、当該特定空家等がど
のような状態にあって、どのような悪影響をもたらしているか、その結果どのような措置
を命ぜられているのか等について、所有者等が理解できるように提示すべきである。
ハ 意見書の提出先及び提出期限
市町村長は、当該措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証
拠を提出する機会を与えなければならないとされている(法第 14 条第4項)。
意見書及び証拠の提出は、命令の名あて人となるべき者にとって自己の権利利益を擁護
するために重要な機会となるものであるから、行政手続法第 15 条第1項を踏まえれば、
提出期限は意見書や証拠の準備をするのに足りると認められる期間を設定しなければなら
ない。
(2)所有者等による公開による意見聴取の請求(法第 14 条第5項)
命令に係る通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から5日以内に、市町村長に
対し、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができるとさ
れている(法第 14 条第5項)。この「5日」の期間の計算については、期間の初日は算入
しないものと解される。
なお、意見聴取の請求がなく当該期間を経過した場合には、(1)ハの意見書の提出期限
の経過をもって、直ちに法第 14 条第3項に基づく命令をすることができる。
(3)公開による意見の聴取(法第 14 条第6項~第8項)
市町村長は、命令に係る通知の交付を受けた者から、上記の意見の聴取の請求があった場
合においては、当該措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意
見の聴取を行わなければならない(法第 14 条第6項)。なお、これらの者が出頭しない場
合は意見聴取の請求がない場合と同様に取り扱って差し支えないと解される。また、「公開
による」とは、意見聴取を傍聴しようとする者がある場合にこれを禁止してはならないとい
うにとどまり、場内整理等の理由により一定者数以上の者の入場を制限することまで否定す
るものではない。
市町村長は、意見の聴取を行う場合においては、当該措置を命じようとする者又はその代
理人に対し、意見聴取の期日の3日前までに、
・ 命じようとする措置
・ 意見の聴取の期日及び場所
123
を通知するとともに、これを公告しなければならない(法第 14 条第7項)。なお、通知は、
意見聴取を実施する日の3日前までに相手方に到達しなければならない点に留意されたい。
また、「3日」の期間の計算については(2)と同様、期間の初日は算入しないものと解さ
れる。
通知の方式について定めはなく、口頭での通知も可能と解されるが、処理の確実性を期す
観点からは、書面によることが望ましい。公告の方式についても定めはなく、当該市町村で
行われている通常の公告方式でよいと考えられる。
措置を命じようとする者又はその代理人は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、
自己に有利な証拠を提出することができる(法第 14 条第8項)。この際、市町村長は、意
見聴取の円滑な進行のため、過度にわたらない程度に証人の数を制限し、また証拠の選択を
させることは差し支えないと解される。
(4)命令の実施
(1)の事前の通知に示した意見書の提出期限までに意見書の提出がなかった場合、事前
の通知書の交付を受けた日から5日以内に(2)の意見聴取の請求がなかった場合(意見聴
取の請求があった場合において請求した者が出頭しなかった場合を含む。)
、意見書の提出又
は意見聴取を経てもなお当該命令措置が不当でないと認められた場合は、法第 14 条第3項
の規定に基づき、当該措置を命令することができる。
命令はその内容を正確に相手方に伝え、相手方への命令の到達を明確にすること等処理の
確実性を期す観点から、書面(参考様式4)で行うものとする。また、当該命令は行政争訟
の対象となる処分であり、当該命令に対し不服がある場合は、行政不服審査法(昭和
37 年法律第 160 号)第6条の規定により当該市町村長に異義申立てを行うことができる※1。
したがって、命令においては、同法第 57 条第1項※2の規定に基づき、
・ 当該処分につき不服申立てをすることができる旨
・ 不服申立てをすべき行政庁
・ 不服申立てをすることができる期間
について、示さなければならない。
※1 平成 26 年に成立した(新)行政不服審査法(平成 26 年法律第 68 号)において、不服申立て
の手続を審査請求に一元化することとなっており(新法第2条)、新法施行後は当該市町村長に
審査請求を行うこととなる。
(新法第4条第1号、なお、新法の施行日は、公布の日(平成 26 年
6月 13 日)から起算して2年を超えない範囲において政令で定める日。)
※2 改正後の行政不服審査法においては第 82 条第1項
なお、本項による市町村長の命令に違反した者は、50 万円以下の過料に処することとな
る(法第 16 条第1項)。過料の徴収手続については、非訟事件手続法に規定がある。手続
の開始は裁判所の職権によるが、裁判所が職権探知により事件を立件することは事実上不可
能であり、一般的には、通知を受けて手続が開始されている。このため、裁判所の職権の発
動を促すため、違反事実を証する資料(過料に処せられるべき者の住所地を確認する書類、
命令書又は立入調査を拒んだ際の記録等)を添付して、
過料事件の通知を管轄地方裁判所に行うことが考えられる。この場合の管轄裁判所は、過
料に処せられるべき者の住所地の地方裁判所である。過料事件の審理においては、当事者の
陳述を聴き、検察官の意見が求められる。ただし、裁判所が、相当と認めるときは、当事者
の陳述を聴かないで過料の裁判をすることができ、当事者はこの略式裁判手続に対しては、
124
裁判の告知を受けた日から一週間内に異議を申し立てることができる。異議があったとき
は、前の裁判はその効力を失い、改めて当事者の陳述を聴いた上で更に裁判が行われる。
(5)標識の設置その他国土交通省令・総務省令で定める方法による公示(法第 14 条第 11 項・
第 12 項)
市町村長は、法第 14 条第3項の規定による命令をした場合は、第三者に不測の損害を与
えることを未然に防止する観点から、必ず標識(参考様式5)の設置をするとともに、市町
村の公報への掲載、インターネットの利用その他市町村が適切と認める方法により同項の規
定による命令が出ている旨を公示しなければならない(法第 14 条第 11 項、同法施行規則
本則)。
標識は、命令に係る特定空家等に設置することができ(法第 14 条第 12 項)、当該特定空
家等において、目的を達成するのに最も適切な場所を選定してよいと解されるが、社会通念
上標識の設置のために必要と認められる範囲に限られる。
6.特定空家等に係る代執行(法第 14 条第9項)
(1)実体的要件の明確化
法第 14 条第9項は、行政代執行の要件を定めた行政代執行法第2条の特則であり、「第
3項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を
履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても同項の期限までに完了する見込
みがないとき」は、行政代執行法の定めるところに従い、代執行できることとしたものであ
る。
代執行できる措置については、
・ 他人が代わってすることのできる義務(代替的作為義務)に限られること
・ 当該特定空家等による周辺の生活環境等の保全を図るという規制目的を達成するため
に必要かつ合理的な範囲内のものとしなければならないこと
の2つの要件を満たす必要がある。
その他手続等については、全て行政代執行法の定めるところによる。
(2)手続的要件(行政代執行法第3条~第6条)
イ 文書による戒告(行政代執行法第3条第1項)
代執行をなすには、
・ 相当の履行期限を定め、
・ その期限までに義務の履行がなされないときは、代執行をなすべき旨
を、予め文書(参考様式6)で戒告しなければならない。また、戒告を行う際には、5
(4)の命令を行う際と同様、行政不服審査法第 57 条第 1 項の規定に基づき、書面で必
要な事項を相手方に示さなければならない。
行政代執行法に基づく代執行の手続は戒告に始まるが、戒告は、義務を課す命令とは別
の事務として、代執行の戒告であることを明確にして行うべきであると解される。なお、
代執行の戒告であることを明確にして行うべきではあるものの、戒告が命令と同時に行わ
れることは必ずしも妨げられるものではないとされている。
「相当の履行期限」について定めはないが、戒告は、その時点において命令に係る措置
の履行がなされていないことを前提として、義務者が自ら措置を行うように督促する意味
をもつものであるから、少なくとも戒告の時点から起算して当該措置を履行することが社
125
会通念上可能な期限でなければならないと解される。
戒告においては、市町村長による命令措置が履行されないときに、当該市町村長が当該
特定空家等について具体的にどのような措置を代執行することとなるのかを相手方に通知
する観点から、義務の内容を明確に記載しなければならない。
なお、戒告の送達方法についての留意事項は、5.ニを参照されたい。
ロ 再戒告
戒告において定められた措置命令の履行期限までに履行がなされないときは、市町村長
は、直ちに代執行令書による通知の手続に移らず、再度戒告を重ね、義務者自らそれを履
行する機会を与えることも認められると考えられる。どの時点で代執行を実行するかにつ
いては、市町村長において、例えば客観的事情から義務の履行期限を更に延長することが
社会通念上許され難い状況にあるのか、又は再戒告により義務者自身による履行が期待さ
れ得るのか等の状況を勘案して判断することとなる。
ハ 代執行令書(行政代執行法第3条第2項)
義務者が前述の戒告を受けて、指定の期限までにその義務を履行しないときは、市町村
長は、代執行令書(参考様式7)をもって、
・ 代執行をなすべき時期
・ 代執行のために派遣する執行責任者の氏名
・ 代執行に要する費用の概算による見積額
を義務者に通知する。
なお、代執行令書を通知する際には、5(4)の命令を行う際と同様、行政不服審査法
第 57 条第 1 項の規定に基づき、書面で必要な事項を相手方に示さなければならない。
(イ) 代執行をなすべき時期
代執行令書による通知と代執行をなすべき時期の時間的間隔について定めはなく、市
町村長の裁量に委ねられるが、例えば特定空家等の除却を行う必要がある場合には、義
務者が当該特定空家等から動産を搬出すること等に配慮することが望ましい。
(ロ) 代執行のために派遣する執行責任者の氏名
何人を執行責任者とするかは、代執行権者が適宜決定することとなる。
(3)非常の場合又は危険切迫の場合(行政代執行法第3条第3項)
非常の場合又は危険切迫の場合において、命令の内容の実施について緊急の必要があり、
前述の戒告及び代執行令書による通知の手続をとる暇がないときは、
その手続を経ないで代
執行をすることができる。
(4)執行責任者の証票の携帯及び呈示(行政代執行法第4条)
法における代執行権者である市町村長は、執行責任者に対して、「その者が執行責任者た
る本人であることを示すべき証票」を交付しなければならない。
また、執行責任者は、執行責任者証(参考様式8)を携帯し、相手方や関係人の要求があ
るときは、これを提示しなければならない。
(5)代執行の対象となる特定空家等の中の動産の取扱い
代執行の対象となる特定空家等の中に相当の価値のある動産が存する場合、まず、所有者
に運び出すよう連絡し、応じない場合は保管し、所有者に期間を定めて引き取りに来るよう
連絡することが考えられる。その場合、いつまで保管するかは、法務部局と協議して適切に
定める。
126
(6)費用の徴収(行政代執行法第5条・第6条)
代執行に要した一切の費用は、行政主体が義務者から徴収する。当該費用について、行政
主体が義務者に対して有する請求権は、行政代執行法に基づく公法上の請求権であり、義務
者から徴収すべき金額は代執行の手数料ではなく、実際に代執行に要した費用である。した
がって、作業員の賃金、請負人に対する報酬、資材費、第三者に支払うべき補償料等は含ま
れるが、義務違反の確認のために要した調査費等は含まれない。
市町村長は、文書(納付命令書)において、
・ 実際に要した費用の額
・ その納期日
を定め、その納付を命じなければならない(行政代執行法第5条)。
行政代執行法の規定においては、代執行の終了後に費用を徴収することのみが認められ、
代執行終了前の見積による暫定額をあらかじめ徴収することは認められない。
費用の徴収については、国税滞納処分の例※3による強制徴収が認められ(行政代執行法
第6条第1項)、代執行費用については、市町村長は、国税及び地方税に次ぐ順位の先取特
権を有する(同条第2項)。
※3 納税の告知(国税通則法(昭和 37 年法律 66 号)第 36 条第1項)
、督促(同法第 37 条第1項)、
財産の差押え(国税徴収法第 47 条)、差押財産の公売等による換価(同法第 89 条以下、第 94 条
以下)、換価代金の配当(同法第 128 条以下)の手順。
7.過失なく措置を命ぜられるべき者を確知することができない場合(法第 14 条第 10 項)
法第 14 条第3項に基づき必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措
置を命ぜられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて助言又は指導及び勧告が
行われるべき者を確知することができないため命令を行うことができないときを含む。)は、
市町村長は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任し
た者に行わせることができる(いわゆる略式代執行。同条第 10 項)。
法第 14 条第 10 項に基づく略式代執行は、同条第3項の規定により「必要な措置を命じよ
うとする場合」を前提としているから、仮に当該措置を命ぜられるべき者が確知されている場
合に、必要な措置を命ずるに至らない程度のものについて略式代執行を行うことは認められな
いことに留意されたい。
法第 14 条第 10 項の規定により略式代執行をするための要件は、
・ 過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができないこと
・ その措置が、他人が代わってすることができる作為義務(代替的作為義務)であること
である。その他手続については、後述の「事前の公告」
(法第 14 条第 10 項)を経た上で、法
第 14 条第9項と同様である。
(1) 「過失がなくて」
「確知することができない」場合
「過失がなくて」とは、市町村長がその職務行為において通常要求される注意義務を履行
したことを意味する。また、「確知することができない」とは、措置を命ぜられるべき者の
氏名及び所在をともに確知しえない場合及び氏名は知りえても所在を確知しえない場合を
いうものと解される。
どこまで追跡すれば「過失がなくて」「確知することができない」と言えるかについての
定めはないが、少なくとも、不動産登記簿情報等一般に公開されている情報や住民票情報等
127
市町村が保有する情報、法第 10 条に基づく固定資産課税情報等を活用せずに所有者等を特
定しようとした結果、所有者等を特定することができなかった場合にあっては、
「過失がな
い」とは言い難いと考えられる。
(2) 事前の公告(法第 14 条第 10 項)
法第 14 条第 10 項に基づく代執行を行う場合においては、相当の期限を定めて、
・ 当該措置を行うべき旨
・ その期限までに当該措置を行わないときは、市町村長又はその措置を命じた者若しく
は委任した者がその措置を行うべき旨
をあらかじめ公告しなければならない。
公告の方法としては、当該市町村の掲示板に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報
に少なくとも1回掲載することを原則とするが、相当と認められるときは、官報への掲載に
代えて、当該市町村の「広報」・「公報」等に掲載することをもって足りるものと解される。
また、公告の期間については、最後に官報等に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始め
た日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなされるものと解される(参
考:民法(明治 29 年法律 89 号)第 98 条及び民事訴訟法(平成8年法律第 109 号)第 111
条・第 112 条、行政手続法第 31 条の規定により準用する同法第 15 条第3項)。
(3)代執行の対象となる特定空家等の中の動産の取扱い
代執行の対象となる所有者が不明の特定空家等の中に相当の価値のある動産が存する場
合、まず、運び出すよう公示し、連絡が無い場合は保管し、期間を定めて引き取りに来るよ
う公示することが考えられる。その場合、いつまで保管するかは、法務部局と協議して適切
に定める。
(4)費用の徴収
本項の代執行は行政代執行法の規定によらないものであることから、
代執行に要した費用
を強制徴収することはできない。すなわち、義務者が後で判明したときは、その時点で、そ
の者から代執行に要した費用を徴収することができるが、
義務者が任意に費用支払をしない
場合、市町村は民事訴訟を提起し、裁判所による給付判決を債務名義として民事執行法(昭
和 54 年法律第4号)に基づく強制執行に訴えることとなる(地方自治法施行令(昭和 22 年
政令第 16 号)第 171 条の2第3号)
。
8.必要な措置が講じられた場合の対応
特定空家等の所有者等が、助言若しくは指導、勧告又は命令に係る措置を実施したことが確
認された場合は、当該建築物等は「特定空家等」ではなくなる。市町村においては、勧告又は
命令をしている場合には当該勧告又は命令を撤回するとともに、当該建築物が特定空家等でな
くなったと認められた日付、講じられた措置の内容等をデータベースに記録し、速やかに関係
内部部局に情報提供することが望ましい。
特に税務部局に対しては、勧告又は命令が撤回された場合、固定資産税等のいわゆる住宅用
地特例の要件を満たす家屋の敷地については、当該特例の適用対象となることから、可能な限
り速やかにその旨を情報提供することが必要である。
また、必要な措置が講じられた空家等の所有者等に対しては、例えば、当該所有者等から措
置が完了した旨の届出書の提出を受け、当該届出書を受領したものの写しを返却する等によ
り、当該所有者等に対し「特定空家等」でなくなったことを示すことも考えられる。
128
〔別紙1〕 「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」
であるか否かの判断に際して参考となる基準
「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」であることを判断
する際は、以下の1.
(1)若しくは(2)又は2.に掲げる状態(将来そのような状態になる
ことが予見される場合を含む。)に該当するか否かにより判断する。以下に列挙したものは例示
であることから、個別の事案に応じてこれによらない場合も適切に判断していく必要がある。
1.建築物が著しく保安上危険となるおそれがある。
(1)建築物が倒壊等するおそれがある。
以下のイ又はロに掲げる事項に該当するか否かにより判断する。イ又はロに列挙したもの
は例示であることから、
個別の事案に応じてこれによらない場合も適切に判断していく必要
がある。
イ 建築物の著しい傾斜
部材の破損や不同沈下等の状況により建築物に著しい傾斜が見られるかなどを基に総合的に
判断する。
調査項目
・基礎に不同沈下がある。
の例
・柱が傾斜している。
【参考となる考え方】
下げ振り等を用いて建築物を調査できる状況にある場合、1/20 超の傾斜が認められる場合
(平屋以外の建築物で、2階以上の階のみが傾斜している場合も、同様の数値で取り扱うこと
も考えられる。)
※「被災建築物応急危険度判定マニュアル」財団法人日本建築防災協会/全国被災建築物応急危険度判
定協議会
ロ 建築物の構造耐力上主要な部分の損傷等
(イ) 基礎及び土台
基礎に大きな亀裂、多数のひび割れ、変形又は破損が発生しているか否か、腐食又は蟻害に
よって土台に大きな断面欠損が発生しているか否か、基礎と土台に大きなずれが発生している
か否かなどを基に総合的に判断する。
・基礎が破損又は変形している。
調査項目
・土台が腐朽又は破損している。
の例
・基礎と土台にずれが発生している。
【参考となる考え方】
・基礎のひび割れが著しく、土台に大きなずれが生じ、上部構造を支える役目を果たさなくな
っている箇所が複数生じている場合
※「震災建築物の被災度区分判定基準および復旧技術指針」
(監修 国土交通省住宅局建築指導課/財団
法人日本建築防災協会)
・土台において木材に著しい腐食、損傷若しくは蟻害があること又は緊結金物に著しい腐食が
ある場合
※「特殊建築物等定期調査業務基準」
(監修 国土交通省住宅局建築指導課/財団法人日本建築防災協会)
(ロ) 柱、はり、筋かい、柱とはりの接合等
構造耐力上主要な部分である柱、はり、筋かいに大きな亀裂、多数のひび割れ、変形又は破
損が発生しているか否か、腐食又は蟻害によって構造耐力上主要な柱等に大きな断面欠損が発
生しているか否か、柱とはりの接合状況などを基に総合的に判断する。
調査項目
・柱、はり、筋かいが腐朽、破損又は変形している。
の例
・柱とはりにずれが発生している。
【参考となる考え方】
複数の筋かいに大きな亀裂や、複数の柱・はりにずれが発生しており、地震時に建築物に加
わる水平力に対して安全性が懸念される場合
129
(2)屋根、外壁等が脱落、飛散等するおそれがある。
(イ) 屋根ふき材、ひさし又は軒
全部又は一部において不陸、剥離、破損又は脱落が発生しているか否か、緊結金具に著しい
腐食があるか否かなどを基に総合的に判断する。
・屋根が変形している。
・屋根ふき材が剥落している。
調査項目
・軒の裏板、たる木等が腐朽している。
の例
・軒がたれ下がっている。
・雨樋がたれ下がっている。
【参考となる考え方】
目視でも、屋根ふき材が脱落しそうな状態を確認できる場合
(ロ) 外壁
全部又は一部において剥離、破損又は脱落が発生しているか否かなどを基に総合的に判断する。
・壁体を貫通する穴が生じている。
調査項目
・外壁の仕上材料が剥落、腐朽又は破損し、下地が露出している。
の例
・外壁のモルタルやタイル等の外装材に浮きが生じている。
【参考となる考え方】
目視でも、上部の外壁が脱落しそうな状態を確認できる場合
(ハ) 看板、給湯設備、屋上水槽等
転倒が発生しているか否か、剥離、破損又は脱落が発生しているか否か、支持部分の接合状
況などを基に総合的に判断する。
・看板の仕上材料が剥落している。
調査項目
・看板、給湯設備、屋上水槽等が転倒している。
・看板、給湯設備、屋上水槽等が破損又は脱落している。
の例
・看板、給湯設備、屋上水槽等の支持部分が腐食している。
【参考となる考え方】
目視でも、看板、給湯設備、屋上水槽等の支持部分が腐食している状態を、確認できる場合
(ニ) 屋外階段又はバルコニー
全部又は一部において腐食、破損又は脱落が発生しているか否か、傾斜が見られるかなどを
基に総合的に判断する。
調査項目
・屋外階段、バルコニーが腐食、破損又は脱落している。
の例
・屋外階段、バルコニーが傾斜している。
【参考となる考え方】
目視でも、屋外階段、バルコニーが傾斜している状態を確認できる場合
(ホ)門又は塀
全部又は一部においてひび割れや破損が発生しているか否か、傾斜が見られるかなどを基に
総合的に判断する。
調査項目
・門、塀にひび割れ、破損が生じている。
の例
・門、塀が傾斜している。
【参考となる考え方】
目視でも、門、塀が傾斜している状態を確認できる場合
2.擁壁が老朽化し危険となるおそれがある。
擁壁の地盤条件、構造諸元及び障害状況並びに老朽化による変状の程度などを基に総合的に
判断する。
・擁壁表面に水がしみ出し、流出している。
調査項目
・水抜き穴の詰まりが生じている。
の例
・ひび割れが発生している。
【参考となる考え方】
擁壁の種類に応じて、それぞれの基礎点(環境条件・障害状況)と変状点の組み合わせ(合
計点)により、擁壁の劣化の背景となる環境条件を十分に把握した上で、老朽化に対する危険
度を総合的に評価する。
※「宅地擁壁老朽化判定マニュアル(案)」(国土交通省都市局都市安全課)
130
〔別紙2〕 「そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態」
であるか否かの判断に際して参考となる基準
「そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態」であることを判断する際
は、以下の(1)又は(2)に掲げる状態(将来そのような状態になることが予見される場合
を含む。)に該当するか否かにより判断する。以下に列挙したものは例示であることから、個
別の事案に応じてこれによらない場合も適切に判断していく必要がある。
(1)建築物又は設備等の破損等が原因で、以下の状態にある。
・吹付け石綿等が飛散し暴露する可能性が高い状況である。
・浄化槽等の放置、破損等による汚物の流出、臭気の発生があり、地域住民の日
状態の例
常生活に支障を及ぼしている。
・排水等の流出による臭気の発生があり、地域住民の日常生活に支障を及ぼして
いる。
(2)ごみ等の放置、不法投棄が原因で、以下の状態にある。
・ごみ等の放置、不法投棄による臭気の発生があり、地域住民の日常生活に支障
状態の例
を及ぼしている。
・ごみ等の放置、不法投棄により、多数のねずみ、はえ、蚊等が発生し、地域住
民の日常生活に支障を及ぼしている。
131
〔別紙3〕 「適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態」
であるか否かの判断に際して参考となる基準
「適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態」であることを判
断する際は、以下の(1)又は(2)に掲げる状態に該当するか否かにより判断する。以下に
列挙したものは例示であることから、個別の事案に応じてこれによらない場合も適切に判断し
ていく必要がある。
(1)適切な管理が行われていない結果、既存の景観に関するルールに著しく適合しない状態と
なっている。
・景観法に基づき景観計画を策定している場合において、当該景観計画に定める
建築物又は工作物の形態意匠等の制限に著しく適合しない状態となっている。
状態の例
・景観法に基づき都市計画に景観地区を定めている場合において、当該都市計画
に定める建築物の形態意匠等の制限に著しく適合しない、又は条例で定める工
作物の形態意匠等の制限等に著しく適合しない状態となっている。
・地域で定められた景観保全に係るルールに著しく適合しない状態となっている。
(2)その他、以下のような状態にあり、周囲の景観と著しく不調和な状態である。
・屋根、外壁等が、汚物や落書き等で外見上大きく傷んだり汚れたまま放置され
ている。
・多数の窓ガラスが割れたまま放置されている。
状態の例
・看板が原型を留めず本来の用をなさない程度まで、破損、汚損したまま放置さ
れている。
・立木等が建築物の全面を覆う程度まで繁茂している。
・敷地内にごみ等が散乱、山積したまま放置されている。
132
〔別紙4〕 「その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」
であるか否かの判断に際して参考となる基準
「その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」であること
を判断する際は、以下の(1)、(2)又は(3)に掲げる状態に該当するか否かにより判断す
る。以下に列挙したものは例示であることから、個別の事案に応じてこれによらない場合も適
切に判断していく必要がある。
(1) 立木が原因で、以下の状態にある。
・立木の腐朽、倒壊、枝折れ等が生じ、近隣の道路や家屋の敷地等に枝等が大量
状態の例
に散らばっている。
・立木の枝等が近隣の道路等にはみ出し、歩行者等の通行を妨げている。
(2) 空家等に住みついた動物等が原因で、以下の状態にある。
・動物の鳴き声その他の音が頻繁に発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼし
ている。
・動物のふん尿その他の汚物の放置により臭気が発生し、地域住民の日常生活に
支障を及ぼしている。
・敷地外に動物の毛又は羽毛が大量に飛散し、地域住民の日常生活に支障を及ぼ
状態の例
している。
・多数のねずみ、はえ、蚊、のみ等が発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼ
している。
・住みついた動物が周辺の土地・家屋に侵入し、地域住民の生活環境に悪影響を
及ぼすおそれがある。
・シロアリが大量に発生し、近隣の家屋に飛来し、地域住民の生活環境に悪影響
を及ぼすおそれがある。
(3) 建築物等の不適切な管理等が原因で、以下の状態にある。
・門扉が施錠されていない、窓ガラスが割れている等不特定の者が容易に侵入で
きる状態で放置されている。
状態の例
・屋根の雪止めの破損など不適切な管理により、空き家からの落雪が発生し、歩
行者等の通行を妨げている。
・周辺の道路、家屋の敷地等に土砂等が大量に流出している。
133
〔参考様式1 : 第9条第4項 立入調査員証〕
(表面)
○○第○○号
立入調査員証
所
属
職
名
氏
名
刻
印
生年月日
(写真)
年
月
日
上記の者は、空家等対策の推進に関する特別措置法第 9 条第 2 項の
規定に基づく立入調査の権限を有する者であることを証明する。
年 月 日 発行(
年
月
日まで有効)
○○市長 ○○ ○○ 印
(裏面)
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成 26 年法律第 127 号)
(抜粋)
第9条 (略)
2 市町村長は、第 14 条第1項から第3項までの規定の施行に必要な限
度において、当該職員又はその委任した者に、空家等と認められる場所
に立ち入って調査をさせることができる。
3 市町村長は、前項の規定により当該職員又はその委任した者を空家等
と認められる場所に立ち入らせようとするときは、その5日前までに、
当該空家等の所有者等にその旨を通知しなければならない。ただし、当
該所有者等に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。
4 第2項の規定により空家等と認められる場所に立ち入ろうとする者
は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、こ
れを提示しなければならない。
5 第2項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められた
ものと解釈してはならない。
注意
この証票は、他人に貸与し、又は譲渡してはならない。
134
〔参考様式2 : 第 14 条第2項 勧告書〕
平成○年○月○日
○○第○○号
○○市○○町○丁目○番地○号
○○ ○○ 殿
○○市長
○○ ○○ 印
(担当 ○○部○○課)
勧 告 書
貴殿の所有する下記空家等は、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第
127号。以下「法」という。)第2条第2項に定める「特定空家等」に該当すると認められ
たため、貴殿に対して対策を講じるように指導してきたところでありますが、現在に至って
も改善がなされていません。
ついては、下記のとおり速やかに周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとるよ
う、法第14条第2項の規定に基づき勧告します。
記
1.対象となる特定空家等
所在地
○○市××町×丁目×番地×号
用 途
住宅
所有者の住所及び氏名
○○市○○町○丁目○番地○号 ○○ ○○
2.勧告に係る措置の内容
(何をどのようにするのか、具体的に記載)
3.勧告に至った事由
(特定空家等がどのような状態にあって、どのような悪影響をもたらしているか、
当該状態が、
①そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
②そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
のいずれに該当するか具体的に記載)
4.勧告の責任者
○○市○○部○○課長 ○○ ○○
連絡先:○○○○-○○-○○○○
5.措置の期限
平成○年○月○日
・ 上記5の期限までに上記2に示す措置を実施した場合は、遅滞なく上記4に示す者まで報告をする
こと。
・ 上記5の期限までに正当な理由がなくて上記2に示す措置をとらなかった場合は、法第14条第3項
の規定に基づき、当該措置をとることを命ずることがあります。
・上記1に係る敷地が、地方税法(昭和25年法律第226号)第349条の3の2又は同法第702条
の3の規定に基づき、住宅用地に対する固定資産税又は都市計画税の課税標準の特例の適用を受けてい
る場合にあっては、本勧告により、当該敷地について、当該特例の対象から除外されることとなります。
135
〔参考様式3 : 第 14 条第4項 命令に係る事前の通知書〕
平成○年○月○日
○○第○○号
○○市○○町○丁目○番地○号
○○ ○○ 殿
○○市長
○○ ○○ 印
(担当 ○○部○○課)
命令に係る事前の通知書
貴殿の所有する下記空家等は、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第
127号。以下「法」という。)第2条第2項に定める「特定空家等」に該当すると認められ
たため、平成○年○月○日付け○○第○○号により必要な措置をとるよう勧告しましたが、
現在に至っても当該措置がなされていません。
このまま措置が講じられない場合には、法第14条第3項の規定に基づき、下記のとおり
当該措置をとることを命令することとなりますので通知します。
なお、貴殿は、法第14条第4項の規定に基づき、本件に関し意見書及び自己に有利な証
拠を提出することができるとともに、同条第5項の規定に基づき、本通知の交付を受けた日
から5日以内に、○○市長に対し、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うこと
を請求することができる旨、申し添えます。
記
1.対象となる特定空家等
所在地
○○市××町×丁目×番地×号
用 途
住宅
所有者の住所及び氏名
○○市○○町○丁目○番地○号 ○○ ○○
2.命じようとする措置の内容
(何をどのようにするのか、具体的に記載)
3.命ずるに至った事由
(特定空家等がどのような状態にあって、どのような悪影響をもたらしているか、具
体的に記載)
4.意見書の提出及び公開による意見の聴取の請求先
○○市○○部○○課長 宛
送付先:○○市○○町○丁目○番地○号
連絡先:○○○○-○○-○○○○
5.意見書の提出期限
平成○年○月○日
・ 上記2に示す措置を実施した場合は、遅滞なく上記4に示す者まで報告をすること。
136
〔参考様式4 : 第 14 条第3項 命令書〕
平成○年○月○日
○○第○○号
○○市○○町○丁目○番地○号
○○ ○○ 殿
○○市長
○○ ○○ 印
(担当 ○○部○○課)
命 令 書
貴殿の所有する下記空家等は、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第
127号。以下「法」という。)第2条第2項に定める「特定空家等」に該当すると認められ
たため、平成○年○月○日付け○○第○○号により、法第14条第3項の規定に基づく命令
を行う旨事前に通知しましたが、現在に至っても通知した措置がなされていないとともに、
当該通知に示した意見書等の提出期限までに意見書等の提出がなされませんでした。
ついては、下記のとおり措置をとることを命令します。
記
1.対象となる特定空家等
所在地
○○市××町×丁目×番地×号
用 途
住宅
所有者の住所及び氏名
○○市○○町○丁目○番地○号 ○○ ○○
2.措置の内容
(何をどのようにするのか、具体的に記載)
3.命ずるに至った事由
(特定空家等がどのような状態にあって、どのような悪影響をもたらしているか、
具体的に記載)
4.命令の責任者
○○市○○部○○課長 ○○ ○○
連絡先:○○○○-○○-○○○○
5.措置の期限 平成○年○月○日
・上記2に示す措置を実施した場合は、遅滞なく上記4に示す者まで報告をすること。
・本命令に違反した場合は、法第16条第1項の規定に基づき、50万円以下の過料に処せ
られます。
・上記5の期限までに上記2の措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行
しても同期限までに完了する見込みがないときは、法第14条第9項の規定に基づき、当
該措置について行政代執行の手続に移行することがあります。
・この処分について不服がある場合は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第4条
及び第18条の規定により、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以
内に(市町村長名)に対し審査請求をすることができます。
137
〔参考様式5 : 第 14 条第 11 項 標識〕
標
識
下記特定空家等の所有者は、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第
127号。以下「法」という。)第14条第3項の規定に基づき措置をとることを、平成○
年○月○日付け○○第○○号により、命ぜられています。
記
1.対象となる特定空家等
所在地
○○市××町×丁目×番地×号
用
住宅
途
2.措置の内容
(何をどのようにするのか、具体的に記載)
3.命ずるに至った事由
(特定空家等がどのような状態にあって、どのような悪影響をもたらしているか、
具体的に記載)
4.命令の責任者
○○市○○部○○課長 ○○ ○○
連絡先:○○○○-○○-○○○○
5.措置の期限 平成○年○月○日
138
〔参考様式6 : 第 14 条第9項の規定に基づく行政代執行 戒告書〕
平成○年○月○日
○○第○○号
○○市○○町○丁目○番地○号
○○ ○○ 殿
○○市長
○○ ○○ 印
(担当 ○○部○○課)
戒 告 書
貴殿に対し平成○年○月○日付け○○第○○号により貴殿の所有する下記特定空家等の
(除却)※を行うよう命じました。この命令を平成○年○月○日までに履行しないときは、
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第14条第9項の規
定に基づき、下記特定空家等の(除却)※を執行いたしますので、行政代執行法(昭和
23年法律第43号)第3条第1項の規定によりその旨戒告します。
なお、代執行に要するすべての費用は、行政代執行法第5条の規定に基づき貴殿から徴
収します。また、代執行によりその物件及びその他の資材について損害が生じても、その
責任は負わないことを申し添えます。
記
特定空家等
(1) 所在地
(2) 用 途
(3) 構 造
(4) 規 模
○○市××町×丁目×番地×号
住宅
木造2階建
建築面積
約 60㎡
延べ床面積 約 100㎡
(5) 所有者の住所及び氏名
○○市○○町○丁目○番地○号 ○○ ○○
・この処分について不服がある場合は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第4条
及び第18条の規定により、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以
内に(市町村長名)に対し審査請求をすることができます。
※措置の内容(除却、修繕、立木竹の伐採等)に応じて記載
139
〔参考様式7 : 第 14 条第9項の規定に基づく行政代執行 代執行令書〕
平成○年○月○日
○○第○○号
○○市○○町○丁目○番地○号
○○ ○○ 殿
○○市長
○○ ○○ 印
(担当 ○○部○○課)
代執行令書
平成○年○月○日付け○○第○○号により貴殿の所有する下記特定空家等を平成○年○月
○日までに(除却)※するよう戒告しましたが、指定の期日までに義務が履行されませんでし
たので、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第14条第9項
の規定に基づき、下記のとおり代執行をおこないますので、行政代執行法(昭和23年法律第
43号)第3条第2項の規定により通知します。
また、代執行に要するすべての費用は、行政代執行法第5条の規定に基づき貴殿から徴収し
ます。また、代執行によりその物件及びその他の資材について損害が生じても、その責任は負
わないことを申し添えます。
記
1.(除却)※する物件
○○市××町×丁目×番地×号
住宅(附属する門、塀を含む)約100㎡
2.代執行の時期
平成○年○月○日から平成○年○月○日まで
3.執行責任者
○○市○○部○○課長 ○○ ○○
4.代執行に要する費用の概算見積額
約 ○,○○○,○○○円
・この処分について不服がある場合は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第4条
及び第18条の規定により、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以
内に(市町村長名)に対し審査請求をすることができます。
※措置の内容(除却、修繕、立木竹の伐採等)に応じて記載
140
〔参考様式8 : 第 14 条第9項の規定に基づく行政代執行 執行責任者証〕
(表面)
執行責任者証
○○第○○号
○○部○○課長 ○○○○
上記の者は、下記の行政代執行の執行責任者であることを証する。
平成○年○月○日
○○市長
○○○○ 印
記
1.代執行をなすべき事項
代執行令書(平成○年○月○日付け○○第○○号)記載の○○市
××町×丁目×番地×号の建築物の除却
2.代執行をなすべき時期
平成○年○月○日から平成○年○月○日までの間
(裏面)
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成 26 年法律第 127 号)
(抜粋)
第 14 条 (以上略)
9 市町村長は、第3項の規定により必要な措置を命じた場合において、
その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分
でないとき又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないと
きは、行政代執行法(昭和 23 年法律第 43 号)の定めるところに従い、
自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることが
できる。
10~15 (略)
行政代執行法(昭和 23 年法律第 43 号)(抜粋)
第4条
代執行のために現場に派遣される執行責任者は、その者が執行責任者た
る本人であることを示すべき証票を携帯し、要求があるときは、何時でも
これを呈示しなければならない。
141
国の空き家等対策に係る関連施策等は、国土交通省のホームページを参照ください。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html
142
鹿児島県空き家対策マニュアル
【空き家問題への進め方と取組事例】
平成 28 年 3 月改訂
編集・発行
鹿児島県建築・住宅行政連絡協議会
〒892-0838
TEL
鹿児島市新屋敷町 16-228
099-224-4543
FAX 099-226-3963
(作業協力)
公益財団法人鹿児島県住宅・建築総合センター
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