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語末の -e のはなし
語末の -e のはなし 先日、ある学生が plane を間違って plan のように発音した。確かに、語末の -e は 発音されない黙字ではあるが、これがないと別の単語になってしまうので、無視するこ とは出来ない。と言うより、語末の -e は重要な役割を演じているのである。それは、 すぐ前の母音が長母音か二重母音であることを示すこと。例えば、 OE tima [tima] > ME tyme [tim] > ModE time [taim] 同様に、ME maken [makn] > ModE make [meik] ME ma(ke)de > made [mad] > ModE made [meid] OE talu [talu] > ME tale [tal] > ModE tale [teil] OE naman [naman] > ME name [nam] > ModE name [neim] これらの単語では、final -e は中期英語まで発音されていた。 ところが、もともとそれがなかった単語にも、前の母音が長いことを示すために -e が付けられるようになった。例えば、home や stone や wife や wine にはもともと -e は なかった。が、言わば長音記号として付けられたのである。 OE gös [gos] > ME goos, gose [gos] > ModE goose OE hām [ham] > ME ho(o)m, ho(o)me [hm] > ModE home OE stān [stan] > ME stoon, stoone [stn] > ModE stone OE wïf [wif] > ME wyfe [wif] > ModE wife OE wïn [win] > ME wyne [win] > ModE wine このような -e は "inorganic -e"(非語源的な -e)と言い、これ以外にも多くの例があ る。 そういうわけで、冒頭の plane も短母音でないことがすぐに分かる。このように語末 の -e は黙って仕事をしているのである。