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第13回 - 日本イーラーニングコンソシアム

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第13回 - 日本イーラーニングコンソシアム
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├ ニュースリリース
2006年2月27日
elcについて
第13回 ヨーロッパにおけるeラーニングの市場とサプライヤーの動き(2)
├ 活動主旨と沿革
├ 会員一覧
├ 会員メリット
ヨーロッパはアメリカの後を追っているのだろうか?
Eラーニングにおいて、アメリカは世界をリードしてきたのは確かである。ヨーロッパにおいても大手のLMSベンダーのほとんど
├ 入会方法
がアメリカのベンダーであり、受講者数を見てもアメリカに及ばない。しかし、ヨーロッパはアメリカの後をただ追っているだけな
のだろうか?
初めてのeラーニング
├ 導入ガイド
├ 導入事例
├ 海外事情
├ 用語集
└ 書籍案内
前回は、ヨーロッパのeラーニング市場をセグメント毎に見た場合どのようになっていて、サプライヤーはどのようなビジネスをや
っているのかについてまとめてきた。今回は、冒頭に出した質問を念頭に入れ、ヨーロッパのeラーニング市場が伸び悩んでき
た理由、それへの対策として現在行われているECの施策、今後の市場の動きと成長につながる提案について、日米と比較し
ながらまとめてみた。
I.市場の成長の妨げとなっている要因
1. サプライヤーのビジネス規模
EUの多くのサプライヤーは零細企業で、ビジネス規模を重要視していなかった。しかし、零細企業から脱皮して国際的なサプラ
イヤーとして成長するには、規模を大きくする必要がある。ドイツ、イギリスのような大きな国では、すでに大手のプレーヤーが
データ・資料
マーケティングに投資をし大きな市場シェア-を確保しているが、他の国々では、国内、海外の小さいサプライヤーがひしめき
あって存在している。従って、競争が激しくマージンが低いので利益が少なく成長につながっていないのが現実である。そんな
├ カンファレンス資料
中で、EUの新しい加盟国では、国内の競合が少なく、今後国際プレーヤーには魅力的な市場と言える。
├ 映像アーカイブ集
├ AEN
└ ALIC報告書
2. 中小企業ユーザーのビジネス規模と学習文化の問題 2005年8月2日のWebpronewsの"Obstacles to small business usage of eLearning in Europe"の記事によると、EUの加盟国の
ビジネスの99%はいわゆる零細企業で、その従業員数は7千4百万人に相当する。ヨーロッパの大手IT企業はeラーニングの
利用を益々推進しており研修全体の60%をeラーニングで実施している企業も珍しくない。しかし、ヨーロッパの中小企業にお
eLP資格制度
├ 資格について
├ 資格認定コース
└ 資格更新案内
けるeラーニング利用を見た場合、その利用率は極僅かである。利用率の低さは、学習文化の問題、学習教材の不足、個々の
マネージャーの学習に対する姿勢の問題、高い質の研修に必要なバンド幅のアクセスの問題等に起因していると考えられる。
3. ユーザー側の組織的な取り組みにおける問題
ほとんどの学校、大学でのeラーニングは草の根運動的に発展してきたもので、継続的な予算等に対する組織的なサポートが
なかった。また、企業においても組織としてのビジネス結果につながる学習パーフォーマンス・システムがなかったので、eラー
SCORM
ニングの導入が難しかった。政府関係においては組織としての目標がはっきりしていなかったので、せっかく予算があって買っ
たのはいいが使い物にならないでそのままにしたりしていて、「調達の質」が結果として良くなかったという場合が多い。
├ ニュースリリース
├ SCORMとは
また、ビジネス結果、コストの効率性、質の向上、アクセスの拡大というような投資効果につながっているという証拠が不充分で
あった。これは、しっかりした高い質の評価やROIの研究がまだ充分に進められていなかったところに要因があり、ユーザー
└ SCORM技術者資格制度
側、特に公的機関はROIに敏感になっている。
└ SCORM技術者講習会テキスト
├ SCORM技術者一覧
└ SCORM適合LMS
├ SCORM適合コンテンツ
├ 各種ダウンロード
└ SCORM技術者コミュニティ
4. ベンダー側の社員のスキルの問題
ベンダーは、今後の成長には、今までのようなテクノロジーの専門家を社員として持つよりも、新規ビジネス開発のようなビジネ
ス・スキル、カスタマー・リレーション・スキルをもった人材が不可欠であることを認識し始めた。しかし、そのようなスキルのある
人材を育成したり、新たに人を採用したりすることは小規模な組織経営では大変難しく、現在も苦労している。
5. サプライヤーへの投資の問題
アメリカの投資家のように大きなロスを出しても投資しつづけるような投資家をヨーロッパでみつけることは難しい。ヨーロッパの
投資家の場合、投資額が小さく、また、投資期間が短いといえる。市場規模と成長を支えるだけの資本金がないことは、ヨーロ
├ アセッサ向け移行プログラム
ッパでビジネス拡大を狙っている企業にとって大きな問題である。例えば、ノルウェーのeラーニング市場を見た場合、2003年
├ AEN
は約63億円で、eラーニングのサプライヤー50社全部の計上した利益はたった5.2億円であった(Danish Technological
Institute が出したレポート"Study of the eLearning suppliers' market in Europe"による)。これでは、ビジネスの拡大も国際市場
メールマガジン
リンク集
への進出もままならないのは当然である。
II. 市場セグメント別に見た市場成長の阻害要因
サイトマップ
アクセスマップ
1.職場学習市場
市場成長の妨げとして、即挙げられるのが経済成長で、職場学習、家庭学習市場に大きく影響しているのは確かである。しか
し、eラーニングはIT業界のように経済成長だけでカスタマーの購買意思がきまるのではない。ビジネス結果にどうつながるの
お問い合わせ
かを示す必要がある。ビジネス・プロセスとニーズにあったものであることを証明しなければならない。Danish Technological
Institute が出した"Study of the eLearning suppliers' market in Europe"のレポートは、このようなことを効果的にできるメカニズ
ムがユーザー側にもベンダー側にもあまりなかったと指摘している。
また、EUの主なメンバーである中小企業をユーザーとして獲得することが困難であった。中小企業には、大手企業向けの「まず
テクノロジーありき」といったようなバーチャル・クラスルームやバーチャル・ユニバーシティーは向いていない。家族、親戚、友
人の集まりで成り立っているような企業が多いヨーロッパの中小企業では、親から子供へと伝えると言ったような今までの学習
マインドから脱皮することは難しい。中小企業の学習文化に応えて、働きながら学べるようなインフォーマルな学習環境をeラー
ニングで提供することが困難であった。
2.学校市場
学校向けのいい質の教材が少ない
国毎に教育システムが大きく異なっていて、徹底した透明な「評価」が今までなされていない
eラーニングの利用に関する文献やレポートは特別の哲学的な偏った見方で書かれていることが多く、既存のeラーニン
グ市場に対する理解の妨げになっている(Danish Technological Institute が出した"Study of the eLearning suppliers'
market in Europe"レポート参照)
ヨーロッパの学校市場は日本と似ているようである。日本も学校は「聖域の場」で「商売の場」でないとしサプライヤーがなかな
か入りこめないと同時に、入りこめたとしてもビジネスとして継続するのが、大変難しい環境である。コンテンツ開発への助成金
は教師が開発するのに使われるのは許されるが、既存のコンテンツを買うのには許されない等の規制があったりする。それに
対して、アメリカの場合は教師がコンテンツを開発するということは大変稀で、できあいのものでいいのがあれば使うというのが
基本的な姿勢で、政府もそれを推進する傾向にある。教育現場がサプライヤーとパートナーを組む(アメリカの税制とも関係す
るが)ことも珍しくなく、サプライヤーが入りやすい環境といえる。
3.職業教育訓練市場
職業教育訓練専門学校の制度そのものが、新しい方法の採用に対して動きが鈍い
専門講師の育成が難しい
ROIがはっきりしていない
助成金がとりにくい
4.家庭市場
低所得者はまだ利用できないというデジタルデバイドの問題
III.ヨーロッパにおけるeラーニングの発展とECの役割
世界最先端のIT国家となることを目指した日本の「e-Japan重点計画」と同じようにITを利用することによってヨーロッパ全体の
経済成長を目指した「e-Europe計画」がある。EU市民のうち8千万人は「スキルが低い労働者」といわれており、EUが2010年ま
でに世界で一番強い経済的な競争力をもつため には、労働者の質の向上が大事なアジェンダになっている。2010年までに創
出されるであろう新しい職業の半分は高等学校教育レベル以上の教育を必要とし、そのレベルにあった労働力育成する必要
がある。そのために、eラーニングが重要な役割を果たすとし、「European Commission Programmes and Initiatives ECプログラ
ムとそのイニシアティブ(http://www.elearningeuropa.info/index.php?page=ecprogs&menuzone=7」」というEC主導の下記のよう
なプロジェクトが存在している。
1.eラーニング プログラム
2004年から2006年までのプログラムで、ICT(Information and Communication Technology)をヨーロッパ全体の教育と研修シ
ステムに効果的に導入することを目的としている。
2.教育と研修プログラム
ソクラテス:EUの新しい教育の取り組みの基本柱となる6つのプログラム
レオナルド・ダ・ビンチプログラム:職業訓練と生涯教育に特化した研修プログラム。VLE(Virtual Learning Environment)
を導入したパイロット・プロジェクトがあるが、効果的な評価方法がなく、継続的成長が期待できないのが現実である。
3.リサーチプログラム
eCONTENT: ヨーロッパでの電子コンテンツの開発と利用を推進
eTEN: テレコミュニケーション・ネットワークに関するサービス
研究開発とショーケース The Sixth Framework Programme (FP6)は研究助成金を出すEUの組織であるが、主となる7
つのテーマの中から特に情報社会テクノロジーに力を入れている。
4.その他
電子政府
E-Health:ヨーロッパならではの多文化、多言語に対応したヘルスケア-システムツール。健康情報ネット、電子健康履
歴、テレメディスン・サービス、ヘルス・ポータル等がある。
Media Plus:ヨーロッパのオーディオ、ビジュアル関連産業の競争力アップを目的
Structured Fund:地域別に助成金の調整をする制度。労働者の受け入れ制度、過疎地域活性化推進プログラム等が
あるが、多くのプログラムは何らかの形でeラーニングと情報テクノロジーシステムをサポートしている。
5.ECの助成金プログラムの例
カウンター・プラス:数か国語でのコンテンツ開発サポートとして革新的なオンラインサービスをEU全体に提供すること
が目的
安全なインターネット:子供向けの不法なコンテンツ、出先の分からないコンテンツ等から守るために、インターネットと
新しいテクノロジーの安全な利用を推進
このように、ECのプログラムはヨーロッパにおけるeラーニングの活性化に一役買っており、一見晴れ晴れしい理想的なものに
映ってはいるが、助成金の受け方の難しさや、プログラムの期間が短過ぎる等の批判的な意見(政策、助成金についてはさま
ざまな形が存在しており、そのインパクトは定かではない。短期的な政策によるeラーニングの推進はあまりインパクトがないこ
とが最近の調査レポートで発表されている)もあり、その貢献度に対する評価は必ずしも晴れ晴れしいものではない。
IV. ヨーロッパにおける将来のeラーニングの市場動向
2006年になってからのいくつかのヨーロッパ動向に関するレポートは、ヨーロッパのeラーニングの利用は今まで以上に広がる
と予測している。その理由としては、今までは、大手企業、コミュニケーション関係企業以外は、広い範囲でのユーザー層獲得
に対して、バンド幅等を含めてアクセス、テクノロジー、言葉の問題等が大きな歯止めとなっていたが、2006年は、これが外
れ、ユーザー層が急速に広がるというような前向きなレポートが多かった。
Danish Technology Instituteが出した「Study of the eLearning suppliers'market in Europe」の最終レポートでは、「システム等製
品市場の大きな伸びは見られないが、テクノロジー関係のサービスや教育(研修)、職場での学習に関連したコンテンツ及びサ
ービス市場は、顧客関係、ハイエンドの商品や知識サービス業務分野で伸びる」と結論づけていた。
1.成長が期待されるセグメント
この2-3年のヨーロッパ経済の不況の影響を受けて、企業向けのeラーニング市場の近い将来における成長の見通し
は暗いが、公的機関の職場での学習への投資はeラーニングを含めて増加し続けている。公的機関が売上増加の主な
る要因で、しばらくはこの状態が続くと思われる。
初等中等教育の学習テクノロジーの利用も拡大しつづけるが、コンピュータ数と生徒数の割合の維持、更新、機器の維
持等への予算は充分ではない。
オンライン評価の分野は成長しており、この分野のサービス・テクノロジーの売上は家庭市場以外のすべてのセグメン
トで伸びると思われる。今まで、ビジネス結果、コストの効率性、質の向上、アクセスの拡大というような投資効果につな
がっているという証拠が不充分であった。これは、しっかりした高い質の評価やROIの研究がまだ充分に進められてい
なかったところに要因があるが、ユーザー側、特に公的機関はROIに敏感になっており、公的な施策の目的に応じたR
OIを求めている。
2.eラーニング・テクノロジーの将来の動向
モバイル・テクノロジーとユビキタス・テクノロジー:
ノキア(NOKIA)社、ボダフォン(VODAFONE)社のようなテレコミュニケーション関連会社ではすでにこのテクノロジーを
使った研修開発システムが導入されており、モバイル・ラーニングが実施されている。長期的には、学習ソリューション
(サービス)は電気製品、機器、情報インターフェースに統合されていくであろう。スカンジナビア諸国がリーダー的に進
めていくであろう。
シミュレーション:
シミュレーション学習は、今までは軍関係、航空関係が主な利用セクターであったが、現在、他の業種でも利用されてお
り、広い範囲のスキル、コンピテンシー開発に利用されている。学習ツールとしてのシミュレーション利用は高い開発コ
スト、テクニカルな問題らが高いハードルとなっていたが、現在、マクロメディア社のフラッシュのような手軽なテクノロジ
ーを使うことによって、シミュレーション開発ベンダーは業種別、トピック別のテンプレートを提供したりして、ユーザーの
ハードルをかなり低くすることに成功している。説明書やユーザーガイドにとってかわるものとしてシミュレーション学習
は大きなメリットがあるとして、eラーニング全体でみると大きくはないが今後も成長しつづける分野である。
L(C)MS:
Danish Technological Institute が出した"Study of the eLearning suppliers' market in Europe"のサーベイ結果によると
サーベイに協力した143社のうち44%が2010年にはLCMSを社内の他のエンタープライズシステムと統合化して利
用していく方針であると回答した。37%はフルサービスのベンダーか大手のネットワークベンダーにアウトソーシングす
る予定であると回答(これは、現在LCMSを入れているかどうかは関係なく、既に入っている企業へは、「将来的にどうし
たいのか、すなわち内部システムと統合あるいは外に出したいのか」、入れていない企業へは、「入れるとするとどうし
たいのか」、ということです)。
注目されているのは、IBM社等が推進している「スマート・スイート」と呼ばれるエンタープライズ・システムで、よりスマー
トな組織造りのために必要なビジネス企画活動に「知識共有と学習」を統合している。ポータル、コラボレーション、コン
テンツ管理の機能を備えている。しかし、これは専門知識が高いパーフォーマンスにつながるといったような極一部の
企業で利用されているのみで、ほとんどの職場ではこのレベルには到っていないのが現実である。 (LMSとLCMSは、
アメリカでもそうであるが、はっきりと使い分けしている人としていない人がいる。LCMSもLMSの仲間として使っている場
合も多い。LMS(Learning management system)は、受講者の登録、学習履歴、テスト結果の記録、コース終了の通知、
講師による学習者の評価などができるシステムである。LCMS(Learning Content Management System)は LMSの学習
者管理機能にCMS(Content Management System)の機能が組み合わさったもので、ラーニング・オブジェクトの形体で
パーソナル化(個人用)されたコンテンツを作ったり、保存したり、組み合わせたり、配信したりできるシステムである。
http://www.e-learningsite.com/lmslcms/whatlms.htm IDC white paper on LCMSs.) オープンソース eラーニングツール:
○ヨーロッパのオープンソースLMSは40以上存在していると見積もられている。良く知られているオープンソースは
Moodle、 ILIAS、 eduplone、 Claroline、 SAKAIで、ほとんどが本格的な開発者用コミュニティーを持っており、既存のベ
ンダーと強い競合になるのではと言われている。高等教育市場の将来のシェアに関して、ブラックボード社のようなベン
ダー側はこの動きに恐れを抱いているが、オープン・スタンダードで構築されることによってユーザーがベストなアプリケ
ーションにアクセスできるということに対して、この動きを支持している層も多い。
○オープンソースeラーニング市場の創造:
オープンソース・ソフトウェアはFLOSS(Free/Libre Open Source software)とも言うが、ユーザーは自由に読んだり、他
に回したり、ソースコードを変えたりすることができる。2004年にOpen Source InstituteはFreeという言葉の使い方につ
いて、コ-ドへの自由なアクセスだけではなく、ロイヤルティーを払うことなく自由に他にまわすこと(Free distribution)が
でき、このソフトを使って利益を得ることは自由であるということを強調している。大学、企業等はオープンソースの導入
に際してそれ用の開発が必要であるというところに目をつけたベンダーは、導入サポートに伴ったさまざまなサービスを
提供しようとしている。
スタンダード
Danish Technological Institute が出した "Study of the eLearning suppliers' market in Europe"は、2010年までには、
IEEE LOM、 SCORM、IMS LD、IMS LIP、IMS QTIは、リアルタイム・ラーニング、シミュレーション、ゲーム、テーラーメイ
ド・ラーニング、デジタル著作権管理等にうまく対応していけるよう変化するとレポートしている。すべてのシステムはオ
ープン・スタンダード上で開発されるべきであるというのは研究者だけではなく、広く支持されており今後の強い流れで
ある。どのスタンダードがどのアプリケーションに採用されるかは、市場の熟成度に関連して決まっていくものと思われ
る。
VII.今後の課題と提案
職場での管理ツールとしてのeラーニングの使い方、市場における公的助成金の使い方、コンテンツ開発、コストの問題、高等
教育とeラーニング等、ヨーロッパは数々の課題を抱えている。これらの課題に対して "Study of the eLearning suppliers'
market in Europe"は数ページに渡る提案事項を出しているが、そのいくつかを紹介する。
1.施策作成者へ提案
高等教育においてオープンソース・システムの導入を推進するための助成金。
eラーニングの導入の始めから導入後のROIを含めた継続的な評価に対しての投資
購入する際に大事な点についてユーザーを教育する
q 単位のトランスファーと資格のポータビリティーは重要であるが、さらに重要なのは、学習者は異なった大学からe
ラーニング、オンキャンパス、ブレンディド・ラーニング等異なった学習方法を選択することが可能にする
2.サプライヤーへの提案
評価を製品・サービスの一部として提供することが大事。学習目標が達成されていることを確証できるようなフィード
バックを集めるメカニズムをベンダーとクライエント間で作れるようにする。
インターオペラビリティ-を保証しているオープン・スタンダードを採用する。
高等教育のベンダーはeラーニング・プログラムの開発とデリバリーにかかる現実的なコストとメリットを評価する努
力をもっとすべき。
ビジネス規模が小さいベンダーは、横のつながりを強くし、ベンダー同士で社員の顧客対応、ビジネス企画、プロジ
ェクト管理に関するスキル、コンピテンシーをいかに育成できるかについて話し合ったり、教育専門家に相談したり
することが大事。
VIII.結論
冒頭の「ヨーロッパはアメリカの後を追いかけているのだろうか?」という質問に対し、ヨーロッパのeラーニング専門家.は、「確
かに今は、広い範囲でのテクノロジーへのアクセス、eラーニングの利用者数という意味ではヨーロッパはアメリカの後を追って
いると答えざるをえない。しかし、ヨーロッパはただ単にアメリカの後を追っているのではなく、アメリカの行った間違いを参考に
して、独自のやり方で進みはじめている」(Patrick Dunn が2001年トレーニング・ジャーナル誌10月号に記載した記事) とし次
のようにまとめていた。
2001年当時にヨーロッパで認識されていたアメリカの失敗点:
結果をきっちりとトラッキングできないような大きなプログラムを導入してしまった
ビジネスの目標を明確化せずに導入
組織内にeラーニングが広く浸透する前に、大きな規模のテクノロジーのインフラ(特にイントラネット)が必要であると決
めこんでいた
ヨーロッパの独自のやり方:
政府が大きく関与
より創造的で専念的な学習(零細企業でのOJT的な学習)のやり方を推進
さまざまなブレンディド学習
学習コミュニティー(南ヨーロッパのユーザー)
よりいっそうのシミュレーションとモバイル・コミュニケーションの利用(スカンジナビア諸国)
アメリカのeラーニングのやり方がそのまま通用しないと気がついて、独自のやり方を模索中という意味では日本もヨーロッパと
共通している。高等教育における政府が関与した助成金のプログラム、オープン・ソースの動き、中小企業の学習文化につい
ては、日本と共通したところが多々あるようである。コスト、アクセス、学習文化の問題等で、日本も中小企業には足を踏み入れ
ていなかったが、今後は、ヨーロッパ同様(チャレンジではあるが)ここはタップインできるビジネスチャンスであるように感じた。
この意味でも、「オープン・ソース」と「中小企業への市場開拓」に関する今後のヨーロッパの動きは日本にとっても興味深いもの
と確信している。
【著者紹介】
きよみ・山崎・ハッチングスさん
シリコンバレー在住、1992年に自らCrossTech社を設立。 日米ビジネ
スに関連したコンサルテ―ションの他、ハイテク業界でグローバル・カン
パニーとして成功するためのノウハウ、情報、コミュニケーション・スキ
ル等を入れた企業向け研修プログラム、ビジネスセミナー等を日米で
開催している。 小松会長を団長とした「海外e-ラーニング調査団」の通
訳としても活躍し、アメリカでの先端的なe-Learning活用状況について
調査・研究を続けている。
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