...

平成26年度国の予算編成等に対する提案

by user

on
Category: Documents
15

views

Report

Comments

Transcript

平成26年度国の予算編成等に対する提案
作 成 年 月 日
平成25年6月24日
作成部局課室名
企画県民部政策調整課
平成26年度国の予算編成等に対する提案
1
趣旨等
県政の主要課題について、平成 26 年度の国の予算編成等に対する提案活動を行う。
2
提案の考え方
国の積極的な経済・金融政策を受け、景気回復の動きが広がりつつある。本格的
な経済再生へと繋げていくため、本県としても国と連動し、社会基盤の充実等によ
り需要を創出するとともに、成長を見据えた経済構造への転換を進めなければなら
ない。また、人口減少が本格化する中で、今後とも地域の活力を失わないよう、
少子化、高齢化、地域格差、世界化への中長期的な対応が求められている。
このため、「21世紀兵庫長期ビジョン」の実現を目指し、安全安心の促進、
健康で安心な生活の実現、次代を担う人づくり、環境優先の社会づくり、躍進する
経済社会づくり、地域活力の創出、兵庫の自立を推進するため、平成 26 年度の国
の予算編成等に向け重点的に働きかける。
3
提案の概要
(1) 全体項目数:55 項目(平成 24 年6月提案 56 項目、平成 25 年1月提案 56 項目)
(2) 主要提案項目数:10 項目
地域性、緊急性等に鑑み、全体の2割にあたる 10 項目を主要提案と位置付け、
重点的に提案する。
①南海トラフ巨大地震対策等の推進
②疾病対策・健康対策の推進
③安定した高齢者福祉・介護体制の確保
④安心できる子育て環境の充実
⑤新たなエネルギー政策の確立と再生可能エネルギーの導入促進
⑥野生鳥獣被害対策等の推進
⑦規制緩和による成長戦略の推進
⑧持続可能な力強い農業を育てる取組の推進
⑨基幹道路ネットワークの早期整備
⑩地方税財政の充実強化
(3) 提案の内容:別添のとおり
4
提案活動の実施
・国の概算要求等に向け、各部局から省庁提案活動を実施
・県選出国会議員への説明会の開催時期については、日程を今後調整
(問い合わせ先:企画県民部政策調整課 078-362-4009)
1
【提案概要】
Ⅰ
安全安心の促進
【主要】1
南海トラフ巨大地震対策等の推進(P3)
(1)南海トラフ巨大地震対策に関する法律の推進と実戦的な訓練の実施
(対策を講じる地域の特定、緊急対策の実施、地方公共団体に対する財政支援制
度の創設、事前の復旧・復興計画の策定、実戦的な政府現地対策本部設置訓
練の実施及び関西広域連合等の参加)
(2)津波防災インフラ整備5箇年計画等の推進
(防潮堤、河川堤防等の最大クラスの津波に対する補強等、津波対策に配慮した
まちづくりの推進)
(3)学校、病院、社会福祉施設や民間住宅等の耐震化等の促進
(学校等公共施設の耐震化、避難所としての学校施設の機能充実、民間施設・民
間住宅等の耐震化、避難路沿道建築物等の耐震診断の促進、地震被害を軽減す
る家具の固定化対策の推進等)
(4)地震・津波観測監視システム(DONET)等の観測体制の着実な構築
(5)実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を活用した調査研究の推進
(6)日本海における調査研究の推進
(津波の発生機構の解明、規模等の予測精度の向上等)
(7)山崎断層帯をはじめとする活断層に焦点を当てた観測・研究体制の一層の強化
(8)国民への啓発と連携の推進
(学校教育等の機会を通じた教育・訓練の普及、自治体と民間事業者等との連携
協力体制の整備)
(9)防災・減災対策に対する財政支援の充実
(対策事業費の確保、地方負担に対する財源措置等)
2
災害に強い森づくりと総合的な治水対策の推進(P6)
(1)第2次山地防災・土砂災害対策緊急 5 箇年計画(仮称)等の推進
(2)山の管理の徹底
(災害による倒木等の緊急処理への支援制度の創設等)
(3)治水対策に必要なダム建設事業の推進
よ ふ
ど
(与布土ダム等の着実な事業推進)
(4)総合治水の推進
(河川下水道対策、雨水貯留浸透施設の整備促進など流域対策等)
3
東日本大震災の復興と教訓を踏まえた対策の推進(P10)
(1)東日本大震災の復興を加速する支援対策
(復興まちづくりやコミュニティの再生、こころのケア等の専門家派遣、県内避
難者支援等に要する経費に対する財政措置等)
(2)東日本における防災人材育成拠点の整備及び人と防災未来センターの活用
(3)原子力関連施設の安全確保
3
(4)原子力災害に対する対策の充実
(プルーム通過時の防護措置を実施する地域(PPA)の明確化、広域避難対策の
充実、拡散予測手法の確立)
4
災害対策法制の見直し(P12)
(1)
(追加)大規模広域な災害に対する広域連合の代行
(都道府県を広域連合が代行する規定の創設)
(2)
(追加)災害時要援護者の情報共有促進
(「災害時要援護者」の呼称の統一、災害時要援護者名簿の外部提供手続
の改善)
(3)
(追加)大規模災害からの復興に関する法律体系のさらなる整備
(復興の基本となる「復興計画」と個別事業を策定する「復興事業計画」
の明確な区分、計画の策定主体の整備、復興事業計画に対する特例措置)
(4)災害救助法の見直し
(被災地外の自治体が救助に要した費用を国に直接求償できるよう制度変更、
地震災害による家屋の一部損壊も対象となるよう、法適用要件の見直し等)
(5)災害救助法と被災者生活再建支援法の被災住宅に対する支援内容の整理・統合
(半壊世帯を被災者生活再建支援法の支援対象化等)
5
新型インフルエンザ対策等の強化【新規】(P13)
(1)強毒性新型インフルエンザへの備えの強化
(集団発生時の医療、搬送、検査体制の確保、社会福祉施設等への支援等)
(2)円滑かつ効果的な社会活動制限の実施
(都道府県知事が行う施設の使用制限等の国基準を明確化等)
(3)鳥インフルエンザの家畜伝染病対策の強化
(家きん防疫対策の強化、防疫作業従事者へのプレパンデミックワクチン接種)
6
災害援護資金貸付金制度等の改善(P14)
(1)災害援護資金貸付金制度等の改善
(東日本大震災で特例措置として講じられた免除要件の拡大等の恒久化等)
(2)阪神・淡路大震災に関する災害援護資金貸付金制度の改善
(阪神・淡路大震災にも東日本大震災での特例措置と同等の取扱の適用)
7
阪神・淡路大震災の教訓の継承(P15)
(1)被災高齢者自立生活支援事業への支援
(24 時間見守りを行う生活援助員〔LSA〕の配置支援制度の創設等)
(2)
「住宅再建共済制度」の全国制度としての創設
(3)人と防災未来センターの運営支援
(4)
(追加)阪神・淡路大震災 20 周年事業に対する支援
(県民が一体となって展開する震災 20 周年事業に対する協力)
(5)
(追加)阪神・淡路大震災の被災団体の厳しい財政状況を踏まえた財政支援
(震災復旧・復興のために発行した地方債の実質負担軽減、震災復旧・復
興のために発行した地方債の償還期限の延長、公的資金繰上償還におけ
る補償金免除制度の適用)
4
(6)公立大学法人兵庫県立大学における防災教育研究に対する支援
(7)大学間連携等による災害支援、教育・研究活動への支援
(阪神・淡路及び東日本大震災の経験を生かした大学同士や防災関連機関との連
携による防災教育・研究や被災地支援への助成)
8
首都機能バックアップ構造の構築(P18)
(1)首都機能の関西における具体的な代替対応の明確化
(2)国会、各府省の事業継続計画(BCP)の策定とその推進
(3)国土の双眼構造の構築
(4)首都機能バックアップの平時の備え
(5)国での検討の更なる具体化
(代替拠点の設定に当たっては、都市単位ではなく、圏域として設定、
「関西」
を念頭に更なる具体化)
Ⅱ
健康で安心な生活の実現
1
将来に向かって持続可能な社会保障制度改革(P20)
(1)制度検討における地方の意見の反映
(現場を担う地方の意見を十分に踏まえ、抜本的な制度改革の実施)
(2)長期的に安定した運営を目指した年金制度の見直し
(マクロ経済スライドの完全実施、応能負担の原則に基づき標準報酬月額の引き上
げ、高所得高齢者に対する支給停止等)
(3)国を保険者とする各種医療保険制度の見直し
(国を保険者とし、分立している医療保険制度を一本化、都道府県知事が保険料
率を決定する仕組みの創設等)
(4)介護保険制度における給付・負担の抜本的見直し
(健康づくりによる介護予防などの実施体制作りを進めつつ、要支援の者につ
いても地域支援事業の対象とするとともに、保険給付の対象を重点化等)
(5)子ども・子育て支援新制度の本格実施に向けた地方裁量や支援の充実
(幼稚園及び保育所からの移行を促進するための手続きの簡素化、幼稚園教諭や
保育士の配置基準や処遇の改善等)
(6)安定した障害者サービスの提供の確保
(裁量経費である地域生活支援事業の義務負担化等)
(7)新たな生活困窮者支援制度の構築と生活保護制度の抜本改正
(職業紹介、就労訓練、住宅確保支援など、各サービスをワンストップで提供す
る事業の早期実施、就労自立の努力を怠った場合の保護費減額制度の創設等)
(8)地方税財源の確保
(9)
(追加)消費税・地方消費税の税率引き上げに伴う課題への対応
(消費税収等の使途、低所得者層への配慮、中小事業者への配慮、価格表示
の外税方式への変更、「人口」を重視した地方消費税の清算基準の検討)
(10)社会保障・税番号制度の効果的・効率的な整備
5
2
地域の医療確保体制の充実に向けた仕組みの構築(P24)
(1)医師の地域偏在・診療科偏在を是正する仕組みの構築
(2)臨床研修病院の指定、研修医受入定員調整に関する制度の変更
(3)地域の実情や課題に応じた病床の確保
(4)救急、小児、周産期医療等地域における基幹的な役割を果たす県立病院への支援
強化
【主要】3
疾病対策・健康対策の推進(P25)
(1)特定疾患治療研究事業における都道府県の超過負担の解消等
(2)難治性疾患対策の充実
(関節リウマチなど、療養費が長期、高額となる難治性疾患について、高額療養
費制度における年間負担上限額の早期設定)
(3)肝炎治療特別促進事業の充実
(肝炎患者へのインターフェロンの少量長期投与に対する医療費助成等)
(4)予防接種の充実
(定期予防接種の国における全額財源措置及び高齢者用肺炎球菌ワクチン、水痘、
おたふくかぜ、B 型肝炎の予防接種の早期定期接種化、風しんの予防接種への
国の財源措置)
(5)受動喫煙防止に関する法規制の導入
(6)違法ドラッグ対策の強化
(地方衛生研究所の検査体制の充実、違法ドラッグに関する啓発資材の提供)
4
医療制度の安定運営の確保(P27)
(1)国を保険者とする各種医療保険制度の見直し[再掲]
(2)後期高齢者医療制度の改善
(保険料を個人単位から世帯単位に変更、健診事業の実施義務化等)
(3)国における福祉医療費公費負担制度の創設
(4)国民健康保険の財政基盤強化のための国による財源確保
(所得激減による国民健康保険料減免の国制度の創設等)
【主要】5
安定した高齢者福祉・介護体制の確保(P28)
(1)高齢者の総合的な支援体制の構築
(2)介護保険制度における給付・負担の抜本的見直し[再掲]
(3)介護保険制度内容の見直し
(保険料を個人単位から世帯単位に変更、低所得者対策、介護職員の処遇改善等)
(4)高齢者住宅に限定しないLSA等配置の制度化
(特別養護老人ホームに生活援助員の 24 時間配置、高齢者の見守りを行う社会
福祉士等を地域包括支援センターに追加配置)
(5)地域包括支援センターが行う事業の充実
(介護予防・日常生活支援総合事業の推進等)
(6)重度者にも対応できる在宅サービスの普及
(7)認知症施策の充実強化
(総合的な若年性認知症対策の推進等)
6
(8)新たな地域リハビリテーション制度の構築
(介護予防事業と保健・医療が連携した地域リハビリテーション制度の確立)
(9)不動産担保型生活資金貸付制度(リバースモーゲージ)の改善
(10)福祉・介護分野における人材の安定的な確保
(キャリアアップを支援する仕組みの充実、事業所内保育所に対する助成の要件
緩和等)
(11)社会福祉施設等の指導監督権限の一般市への移譲
(一体的、効率的な指導監督を行えるよう、施設等の指導監督権限を一般市まで
早期に移譲)
6
音楽・園芸療法の社会的な定着への支援(P32)
(1)音楽療法士の統一的な資格制度の創設
(2)音楽療法の効果に関する研究の支援
(3)園芸療法士の統一的な資格制度の創設
(4)園芸療法の効果に関する研究の支援
7
障害者の安心につながる制度改革の実現(P33)
(1)制度改革にあたり現場に混乱が生じないような配慮
(十分な準備期間の確保、地方自治体に新たな負担を生じない制度設計等)
(2)障害者の安心につながる具体的な制度改革
(利用者負担の軽減、障害者就労の拡大、小規模作業所への運営支援の強化等)
8
生活保護対策等セーフティネットの構築(P34)
(1)新たな生活困窮者支援制度の構築と生活保護制度の抜本改正[再掲]
(2)新たな生活困窮者支援体制の強化
(支援事業実施に係るNPO等民間団体の育成等)
(3)生活保護受給者に対する就労・自立支援対策の強化
(生活保護制度における就労支援対策の重点化、ハローワークの都道府県への移管等)
(4)生活保護に係る適正化対策の強化
(不正受給防止対策の強化等)
(5)「生活福祉資金貸付事業」実施における国全額負担の継続
(6)外国籍無年金者に対する救済措置の実施
(在日外国人(高齢者・障害者)に対する救済措置の早期実施)
9
自殺対策の充実強化(P36)
(1)地域における自殺対策の充実強化
(地域自殺対策緊急強化基金の継続と積み増し)
(2)うつ病対策強化への支援
(3)失業者の自殺防止のための連携体制の整備
(4)自殺対策に係る啓発の充実
(5)救命救急センター等での精神保健福祉士等の配置促進
(再度の自殺企図を防止するため、専門医や精神保健福祉士等の配置促進)
7
10
地域の安全安心体制の強化(P37)
(1)犯罪被害者等に対する支援の充実
(2)厳しい治安情勢に的確に対応するための警察官の増員
(3)警察装備等の整備推進
(4)サイバー空間の安全確保の推進
(サイバー捜査員育成のためのセミナー受講補助制度の創設等)
(5)(追加)自転車保険への加入を義務付ける制度の創設
11
食の安全安心の確保(P38)
(1)BSE 対策の推進
(2)食の安全性を確保する制度の充実
(3)米のカドミウム汚染に対する助成制度の創設
12
消費者対策の充実強化(P39)
(1)地方消費者行政活性化基金制度の改善・充実
(2)消費生活相談員に対する国の支援
(3)適格消費者団体に対する国の支援
(消費者被害の未然防止を図る適格消費者団体の差止請求活動に必要な財源措
置等の国の支援)
(4)消費者対策の充実強化に向けた取組への地方自治体の意見の反映
13
ユニバーサル社会実現に向けた施策の推進(P40)
(1)パーキングパーミット制度(身体障害者等用駐車場の適正利用)の推進
(2)移動支援やコミュニケーション支援等の国の義務負担化
(3)鉄道駅舎のバリアフリー化の推進
(1日当たりの乗降客数が 3,000 人以上の駅舎のバリアフリー化)
(4)ノンステップバス導入の推進
(5)歩道の新設、バリアフリー化等の推進
(6)多文化共生の推進
(学校生活適応のための日本語習得に対する支援の充実、地域での日本語学習支
援体制の整備、母語学習支援体制の整備、医療通訳制度の創設等)
(7)情報通信基盤の整備等の強化
(
「情報通信利用環境整備推進交付金」の予算の確保及び要件の緩和、超高速ブ
ロードバンド整備にかかる助成制度の創設等)
14
人権擁護対策の推進(P42)
(1)人権擁護のための早急な法整備
(繰り返し発生する人権侵害への救済制度創設等)
(2)戸籍謄本等不正取得事件の実態解明及び再発防止
8
Ⅲ
次代を担う人づくり
【主要】1
安心できる子育て環境の充実(P42)
(1)幼稚園、保育所及び認定こども園の一元化
(保育の必要性の有無にかかわらず、就学前のすべての子どもに幼児教育と保育
を一体的に提供する制度の創設)
(2)子ども・子育て支援新制度の本格実施に向けた地方裁量や支援の充実[再掲]
(3)安心こども基金の継続と積み増し
(4)保育所等基準への地方裁量の拡大
(0∼2 歳児で認められていない民間保育所での給食の外部搬入規制の緩和、
保育士配置基準の改善と財政措置等)
(5)放課後子どもプランの推進
(
「放課後児童クラブ」等への国負担割合の引き上げ、一時的に保育を必要とす
る場合も対象とするなど補助要件緩和)
(6)ファミリー・サポート・センターの設置要件の緩和
(1 日 8 時間超の受付時間の設定などの安心こども基金加算要件の緩和等)
(7)児童虐待防止への取組の充実
(親権一時停止制度を踏まえた実効ある親指導プログラムの開発等)
(8)
(追加)結婚・子育て環境の充実
(自治体が行う結婚支援事業に対する補助制度、保育所等の費用の一定割
合を所得税から税額控除する制度の創設)
(9)
(追加)次世代育成支援対策推進法の延長
(事業主に行動計画〔雇用環境整備等に向けた目標やその対策〕の策定を
義務付ける「次世代育成支援対策推進法」
〔平成 26 年度まで〕の延長)
2
学力向上対策・体験教育等の充実(P46)
(1)国の責任による学力・学習状況調査の実施
(2)(追加)県費負担教職員制度に係る権限移譲を行う場合の広域調整機能の確保
(広域調整機能の確保、中核市への権限移譲は、任命権者を異にする広域
異動を実施できる仕組みの構築等)
(3)義務教育費国庫負担金に関する確実な財源確保
(4)教職員定数改善計画の策定・実施
(定数改善計画の早期策定と着実な実施等)
(5)発達段階に応じた体系的な体験活動実施に向けた支援
(6)グローバル人材育成に向けた支援
(外国語活動、外国語教育の充実、高校生の海外留学の促進)
(7)私立学校教育の充実
(私立高等学校等経常費助成費補助金等の一層の充実、災害復旧費補助事業の適
用要件の緩和等)
(8)公立大学法人が附属学校の設置・運営を行うための法整備
(公立大学法人が附属学校設置を可能とする地方独立行政法人法等の改正)
(9)小規模小学校の教育活動への支援
(都市部と郡部の合同授業など、学校生活・学習環境の充実を図るための事業に
対する支援)
9
(10)いじめ等の問題行動の対応への支援の充実
(小中学校のスクールカウンセラーの増員と高等学校への配置、スクールソーシャルワーカーの配置の拡
充、全教職員対象のカウンセリングマインド研修の継続実施)
(11)高校生に対する奨学金の充実
(給付型奨学金の創設、新たなニーズに対応した奨学金制度の創設、現行の貸与
型奨学金にかかる恒久的な財源措置)
(12)高校授業料無償化への所得制限導入の見直し
(本制度の意義は保護者の経済的負担の軽減と教育の機会均等に寄与し、一定の
効果があることから、現行の制度を維持)
3
障害のある児童生徒のニーズに応じた教育の充実(P49)
(1)特別支援教育体制の整備
(インクルーシブ教育システム構築の理念を踏まえた環境整備基準等を具体的に明示等)
(2)支援を必要とする児童生徒への指導体制及び支援の充実
(3)私立幼稚園特別支援教育の推進
(障害児 1 人以上に補助対象を拡大等)
4
芸術文化の振興(P50)
(1)公立文化施設の優れた芸術文化活動に対する支援の充実
(芸術文化振興拠点施設に対する重点的支援、公立文化施設に対する財政支援の
創設等)
(2)
「本物の芸術」体験事業に対する支援の充実
(音楽専用ホール等での芸術体験事業の支援対象化等)
(3)芸術文化活動への寄附に対する税制優遇措置の充実
(新たに認定制度を設け、認定された事業を対象とするなど、寄附に対する税制
優遇措置の拡充)
5
体育・スポーツの振興(P53)
(1)体育・スポーツ施設整備への支援の充実
(アイススケート、自転車など幅広い種目の競技力向上を図るため、地域スポー
ツセンター等に限られている社会体育施設の整備に対する助成制度の拡充)
(2)次代を担うジュニア層を中心とした競技力向上への支援
(次世代を担うジュニア選手の発掘・育成や長期的展望に立った競技力の向上を
図るための支援の充実)
(3)小・中・高等学校を通じた子どもの体育・運動能力の向上
(小・中・高等学校への指導者の派遣などの支援の充実)
10
Ⅳ
環境優先の社会づくり
【主要】1
新たなエネルギー政策の確立と再生可能エネルギーの導入促進(P53)
(1)中長期的なエネルギー政策の確立
(国民生活や産業活動への影響を十分に考慮した上で、広く国民の理解を得て、
政府のエネルギー基本計画を早期に策定し、中長期的なエネルギー政策を確
立)
(2)エネルギーの安定供給の確保
(LNG 等の燃料の安定的確保、自家発設備等の導入支援等)
(3)火力発電所に係る環境影響評価手続の合理化による期間短縮
(環境影響評価法手続と電気事業法手続の合理化、各段階の審査等の期間を短縮、
方法書手続を免除する制度の創設)
(4)節電、省エネルギー対策の推進
(サマータイムの導入等)
(5)再生可能エネルギーの一層の導入支援
(住宅用太陽光発電設備の設置支援、固定価格買取制度の運用、
地熱・小型風力・小水力発電等の導入コスト低減等)
(6)山陰沖におけるメタンハイドレート実用化に向けた取組
(国による本格的調査の早期実施及び表層型メタンハイドレートの採取技術開
発の実施)
2
地球温暖化防止対策の推進(P56)
(1)国の方針の明確化と国による対策の拡充
(新たな数値目標と対策の早期明確化等)
(2)地球温暖化対策のための地方財源の確保
(
「地球温暖化対策のための税」の一定割合の地方税源化と使途に森林吸収源対
策の追加)
(3)地球温暖化対策技術開発・実証研究事業の推進
(4)CO2 削減に関する制度改善と取組の促進
(5)電気自動車や水素自動車等の普及促進と技術開発の推進
(6)バイオマス資源の利活用への支援
(7)環境配慮型住宅の普及促進
3
循環型社会の構築と適正処理の推進(P57)
(1)循環型社会の構築に向けた制度改革
(2)PCB廃棄物等の適正処理の推進
(3)海岸漂着物等対策の推進
4
効果的な大気環境保全対策の推進【新規】(P58)
(1)適切な情報発信
(健康影響についての情報の発信、国による前日予報等の実施)
(2)微小粒子状物質(PM2.5)に係る常時監視の充実
(測定局の設置や成分分析に対する財政措置)
11
(3)国際的な技術協力の強化
(発生国において実効ある公害防除対策が講じられるよう技術協力を強化)
5
瀬戸内海の豊かで美しい里海としての再生(P58)
(1)
「豊かで美しい瀬戸内海の再生に関する法律(仮称)
」の整備
(2)水質総量規制制度の見直し等の実施
(水質総量規制制度の見直し、適切な栄養塩供給の弾力的運用等)
【主要】6
野生鳥獣被害対策等の推進(P59)
(1)野生動物による農林業被害対策の推進
(防護柵の設置等への支援拡大、シカ肉等の加工施設整備への支援充実、森林動
物専門員の活動支援等)
(2)外来生物対策の推進
(3)ナラ枯れ被害対策の推進
Ⅴ
躍進する経済社会づくり
【主要】1
規制緩和による成長戦略の推進【新規】(P62)
(1)
(追加)特区制度を活用した規制緩和の推進
(「国家戦略特区」は、地方都市圏や農山村地域の発展の起爆剤ともなる
制度設計、総合特区推進調整費の配分や、特区区域・事業追加の手続き
をより柔軟に行える仕組みの構築)
(2)
(追加)国家戦略特区「先端医療・計算科学・光科学産業クラスター特区(仮称)」
の選定
(神戸−播磨地域において、先端医療・計算科学・光科学各分野の技術開
発成果を企業が素早く事業展開できる国家戦略特区の選定)
(3)関西イノベーション国際戦略総合特区(国際戦略総合特区)の推進
(ⅰPS細胞及びヒト幹細胞を用いた再生医療の拠点としての強化支援、スーパー
コンピュータ「京」とSPring-8を活用した革新的創薬と次世代省エネ材料の開
発等)
(4)あわじ環境未来島特区(地域活性化総合特区)の推進
(法人税の軽減措置の導入、リチウムイオン電池の輸送に関する規制緩和等)
2
地域の持続的成長を牽引する基幹産業の強化(P63)
(1)科学技術基盤整備と施策の産業利用の促進
(エクサコンピュータの整備、SPring-8 の高度化、
「京」、
「SACLA」の利用促進等)
(2)地域産学官連携研究開発による産業技術の創出
(地域のイノベーションの創出に向けた産学共同研究・人材育成への支援等)
(3)戦略的企業誘致の推進
(外資系企業誘致体制の拡充)
(4)経済情勢に対応した企業活動への支援
(国内における企業投資、企業立地、設備投資の促進)
12
3
中小企業の経営基盤強化への支援(P66)
(1)中小企業に対する支援充実
(中小企業金融円滑化法失効後においてもコンサルティング機能の充実など金融
機関等への指導強化、セーフティネット保証制度の柔軟な対象業種の追加等)
(2)小規模企業者等に対する設備導入支援の継続実施
(無利子資金貸付制度や設備貸与制度の継続実施)
(3)中小企業の国際的な事業展開の支援
(ジェトロの相談業務に対応する人員の増員、海外展開情報セミナーなど情報提
供事業の拡充、グローバル人材育成の支援強化等)
(4)ものづくり産業集積の技術開発力・製品開発力強化
(研究成果の実用化を目指す研究成果最適展開支援プログラム(A−STEP)
による産学連携の取り組みに対する資金支援の充実)
(5)地域金融による域内資金循環の円滑化と域内再投資の促進
(6)地場産業の産地振興に向けた産地組合・企業の製品開発等に対する支援施策の充
実
(7)皮革排水処理対策への支援
(8)雇用確保対策の実施
(新規学卒者、高齢者、女性等の就業支援対策等)
4
地域社会ニーズに対応した地域商業・商店街の再生(P70)
(1)商店街の活性化とまちの再生
(老朽化したアーケード・小売市場等の撤去に対する補助制度の創設等)
(2)地方都市の空き店舗や空き区画が多発している商店街・再開発ビルへの支援
(3)地産地消型の物産開発と地域外への販売による「まちおこし」支援
5
観光・誘客型産業の振興(P71)
(1)東アジアからの訪日観光客誘致対策
(観光客の回復に向けたプロモーションやファムトリップ〔招聘取材旅行〕の実
施、安全・安心な観光地等の観光情報発信)
(2)訪日教育旅行(修学旅行)受け入れに対する支援
(3)
「オーセンティック旅館登録制度」の全国制度としての創設
(4)海外からの訪日観光旅行に関する査証発給要件のさらなる緩和の検討
(5)地域の活性化に繋がるCIQ体制の充実・強化
(神戸空港、大阪国際空港における海外からのビジネスジェット・プライベート
ジェット利用促進のための出入国対応時間の改善など、CIQ体制の充実・強
化等、神戸港における国際クルーズ船入港時等に迅速なCIQ手続きの実施に
向けたさらなる体制の充実等)
【主要】6
持続可能な力強い農業を育てる取組の推進(P72)
(1)TPP協定交渉への適切な対応と積極的な農林水産業振興施策の実施
(TPP協定交渉への適切な対応〔国益にかなう協定締結に向けた交渉の実施、
適切な支援策の実施等〕
、攻めの農林水産業実現への施策の推進等)
13
(2)農林水産物の輸出促進
(相手国の品目制限の緩和など輸出環境の整備、現地商談機能も備えたアンテナ
ショップを設置し、各都道府県が利用できる仕組みの創設等)
(3)経営安定対策の見直し
(担い手の育成、農地の有効利用、山田錦の生産拡大等)
(4)米の消費拡大に向けた継続的な取組への支援
(5)米粉・飼料用米の生産支援
(6)主要農作物及び園芸作物の生産振興に対する支援
(栽培技術の開発、生産コストの低減等)
(7)果樹の災害に対する支援
(復旧・復興に係る恒久的な制度の創設)
(8)ウメ輪紋病対策の推進
(生産農家等への経営支援、施設・機械等の導入支援事業の創設)
(9)(追加)畜産物の生産振興に対する支援
(規模拡大や施設整備等への支援、種雄牛など遺伝資源を確保するための
施設整備等への助成制度の創設等)
(10)新規就農者や企業の農業参入に関する支援の充実
(11)集落営農の組織化推進を加速化するための支援の創設
(12)耕作放棄地解消のための公的管理に関する支援の充実
(13)都市農地の保全と振興
(14)都道府県を介さない補助金等の一括交付金化
7
農山漁村の活性化に向けた基盤づくり(P77)
(1)農地・農業用水の保全及び整備の推進
(農業水利施設の維持保全、ため池整備の推進等)
(2)農山漁村地域整備交付金の予算確保
(3)広域農道・林道整備事業を推進する道整備交付金の予算確保
(4)県単独林道整備事業への財政支援措置の充実
8
資源循環型林業の展開への支援強化(P80)
(1)兵庫木材センターなど県産材加工を担う製材工場等の安定経営に向けた支援
(2)原木安定供給のための林内路網整備への支援強化
(
「ひょうご林内路網 1,000 ㎞整備プラン」に沿った事業の創設等)
(3)地域材利用拡大への支援強化
(公共建築物への地域材利用に対する補助制度の創設等)
(4)山の管理の徹底[再掲]
9
林業公社の経営改善に対する支援(P81)
(1)林業公社向け資金のさらなる拡充
(2)県から林業公社への貸付等に対する国の支援措置強化
10
資源培養型水産業の振興(P82)
(1)ノリ養殖色落ち被害対策の推進
(栄養塩の管理システムの構築等)
14
(2)日本海の国営増殖場造成の推進
(ズワイガニ等増殖場造成への予算措置の継続)
(3)淡路、家島海域における海洋牧場構想の推進
(4)栽培漁業の推進
(5)漁業用燃油価格高騰等への対策強化
(漁業者が負担する積立金負担割合の軽減、漁業用軽油に関する軽油引取税の課
税免除制度の恒久化等)
(6)日韓新漁業協定体制下における漁業秩序、資源管理体制の早期確立
(7)新造船取得等の円滑な推進への支援
(漁業近代化資金の漁船建造、機関換装の償還延長、もうかる漁業創設支援事業採
択期間の延長)
(8)
(追加)漁業の生産活動を支える拠点漁港等の機能強化
(拠点漁港の整備、防波堤の耐津波性能強化等の対策等)
Ⅵ
地域活力の創出
【主要】1
基幹道路ネットワークの早期整備(P84)
(1)関西都市圏のミッシングリンクの解消
(名神湾岸連絡線、新名神高速道路、播磨臨海地域道路、大阪湾岸道路西伸部、
中国横断自動車道姫路鳥取線等)
(2)日本海国土軸のミッシングリンクの解消
(北近畿豊岡自動車道、山陰近畿自動車道〔鳥取豊岡宮津自動車道〕)
(3)(追加)府県間にまたがる広域防災道路の早期接続
(都市計画道路山手幹線・三国塚口線)
2
公平で利用しやすい高速道路料金の実現(P85)
(1)本州四国連絡道路料金の全国共通料金化
(平成 26 年度から割引も含めた全国共通料金の実現)
(2)阪神高速道路の利用しやすい料金設定
(
「国と地方の検討会」での早期のとりまとめ)
(3)料金体系一元化、地域主体の経営による「都市圏高速道路等の一体的運営構想」
の実現
(4)料金徴収期間の延長を含めた地方道路公社への支援
(5)競合する内航航路の維持に向けた支援
(6)競合する地方鉄道の維持に向けた支援
3
関西の航空需要等への的確な対応(P87)
(1)経営統合法に基づく関空・伊丹空港の一体的かつ効率的な運営の実現
(2)神戸空港を含む3空港一体運用の実現及びそれに至るまでの神戸空港の運用制限
緩和
(発着枠〔1日 30 便〕の拡大、鉄道との接続など都市近接の優位性を活かした運
用時間〔7∼22 時〕の延長、国際ビジネスジェット・国際チャーター便運航制
限の緩和)
15
(3)空港機能継続計画の策定
(首都圏空港の機能を関西3空港が代替、継続するための空港機能継続計画
〔BCP〕の策定)
(4)但馬−羽田直行便の実現
4
活力を支える社会基盤整備の着実な推進(P88)
(1)社会基盤整備について、地域の実情を踏まえた必要な予算総額の確保
(2)ひょうごインフラ・メンテナンス 10 箇年計画等による社会資本の老朽化対策の
推進
(施設の定期点検や修繕・更新計画策定、修繕・更新等にも補助事業が適用でき
るよう制度充実、施設の撤去等の防災対策事業債等の起債対象化)
(3)社会資本整備総合交付金等の制度改善
(交付対象範囲の拡大など地方の自由裁量を確保)
(4)道路整備事業等における埋蔵文化財発掘調査費用の原因者負担の明確化
5
国際コンテナ戦略港湾・阪神港の国際競争力の強化(P89)
(1)ハブ機能を強化するためのインフラ整備と集荷機能の強化
(2)規制の特例措置や税制上の支援措置等の実現
(3)大阪湾諸港の一元管理の実現
(姫路港など県管理港湾を含む大阪湾及び播磨沿岸に位置する大阪湾諸港の一
元管理に向けた取組推進への支援)
6
鉄道の利便性の向上及び地方鉄道路線の経営の安定化(P90)
(1)JR鉄軌道の整備促進
(2)地方鉄道等に対する支援の充実
(3)列車運行の利便性の確保
(山陰本線、山陽本線、赤穂線及び福知山線の直通運行区間の延伸等)
(4)ダイヤ改正時の関係地方公共団体との事前調整
(十分な時間的ゆとりをもって事前の調整を図る旨のJRへの指導)
7
山陰海岸ジオパーク等の推進に関する支援(P91)
(1)地質遺産及びラムサール条約湿地の保護とジオパーク等を活用した地域振興策へ
の支援
(2)地質等に関する教育・研究の充実支援
(関連研究施設や大学など学術研究機関の研究充実への支援、公立大学法人兵庫
県立大学地域資源マネジメント研究科(仮称)の開設〔H26.4〕に向けた支援、
学校教育等での環境学習へのジオパーク等の活用促進等)
(3)ジオパークの活動継続支援
(ジオガイド養成やジオパーク資料館等の整備充実への支援等)
(4)ジオパークの推進に資する社会基盤の整備促進
8
地域の活力再生に対する支援強化(P92)
(1)地域住民自らの自立計画づくりや活性化への取組に対する支援の創設
(2)市町合併後に活力が低下した旧役場地域における賑わいづくりへの支援
16
(3)地域活力の低下、脆弱な財政基盤など厳しい状況にある過疎地域の集落対策へ
の支援
(4)
(追加)空き家の利活用及び適正管理
(空き家の利活用に向けた支援制度の拡充、所有者に空き家の除却を促す
ための税制度の拡充)
(5)地方都市の空き店舗や空き区画が多発している商店街・再開発ビルへの支援[再掲]
(6)合併市町における地方交付税算定の見直し
(合併後も集約が困難な行政需要については、特殊性を勘案し地方交付税を算定
するよう見直し)
(7)
(追加)地域再生基盤強化交付金の予算確保と制度拡充
(道、汚水処理施設、港の3つの分野において、地域の裁量により、事業
進捗等に応じた事業間の予算の融通や年度間の事業量調節が可能とな
る地域再生基盤強化交付金制度の堅持と十分な予算確保等)
Ⅶ
兵庫の自立
1
地方分権改革の推進(P94)
(1)自立分権型の行政システムの確立
(地方分権改革の原点に立ち返り、地域のことは地域で決定し、実行できる自立
分権型の行政システムの確立)
(2)義務付け・枠付けの廃止、縮小
(3)国と地方の協議の場の運用
(4)定住自立圏構想の推進に向けた支援の充実強化
【主要】2
地方税財政の充実強化(P95)
(1)地方交付税の機能強化
(地方が直面する喫緊の課題への機動的な対応等のため、地方財政計画に地域の
需要を的確に反映し、地方財政規模、地方一般財源の復元・増額等)
(2)地方単独事業と地方負担への財源措置
(地方単独事業及び国庫補助事業の地方負担に対し、必要な財源を措置)
(3)人事委員会勧告等を踏まえた人件費の所要額の確保
(地方公務員給与についての国の関与の遮断)
(4)地方税体系の充実強化
(地方法人課税の堅持、地方税財源の堅持等)
(5)地方の役割を踏まえた社会保障・税一体改革の推進[再掲]
(6)
(追加)消費税・地方消費税の税率引き上げに伴う課題への対応[再掲]
(7)地方分権の推進に向けた交付金の充実
(平成 24 年度に廃止された地域自主戦略交付金に代わる社会資本整備総合交付
金等については、国の関与をなくし、地方が自主的に活用できる制度とし交付
金の総額を確保)
17
3
関西広域連合の充実・強化(P99)
(1)関西広域連合の充実・強化
(広域連合制度の充実、広域連合の事務、権限の拡大)
(2)関西広域連合への国からの権限移譲の推進
(国出先機関の先行的な移管、中央府省を含む国からの権限移譲)
4
道州制に関する懸念への対応【新規】(P100)
(1)道州制の制度設計にあたり検討すべき項目
(国のかたちについての議論、道州の立法権の範囲の明確化・国会機能の見直し、
権限移譲に伴う地方の独自財源の確保、基礎自治体のあり方の十分な検討、住
民自治の確保)
(2)現行の取組を踏まえた検討
(現行の広域連携の取組の検証、4層制の行政体制についての検討)
18
平成 25 年6月 24 日
平成26年度国の予算編成等に対する提案
兵
庫
県
国の積極的な経済・金融政策を受け、景気回復の動きが広がりつつあります。本格的
な経済再生へと繋げていくため、本県としても国と連動し、社会基盤の充実等により需
要を創出するとともに、成長を見据えた経済構造への転換を進めなければなりません。
また、人口減少が本格化する中で、今後とも地域の活力を失わないよう、少子化、高齢
化、地域格差、世界化への中長期的な対応が求められています。
このため、
「21世紀兵庫長期ビジョン」の実現を目指し、安全安心の促進、健康で
安心な生活の実現、次代を担う人づくり、環境優先の社会づくり、躍進する経済社会づ
くり、地域活力の創出、兵庫の自立を推進するため、平成 26 年度の国の予算編成等に
向け、以下のとおり提案しますので、ご配慮をお願いします。
<提案項目>
Ⅰ 安全安心の促進
【主要】1 南海トラフ巨大地震対策等の推進 ······································3
2 災害に強い森づくりと総合的な治水対策の推進 ··························6
3 東日本大震災の復興と教訓を踏まえた対策の推進 ·······················10
4 災害対策法制の見直し···············································12
5 新型インフルエンザ対策等の強化【新規】 ·····························13
6 災害援護資金貸付金制度等の改善 ·····································14
7 阪神・淡路大震災の教訓の継承 ·······································15
8 首都機能バックアップ構造の構築 ·····································18
Ⅱ 健康で安心な生活の実現
1 将来に向かって持続可能な社会保障制度改革 ···························20
2 地域の医療確保体制の充実に向けた仕組みの構築 ·······················24
【主要】3 疾病対策・健康対策の推進···········································25
4 医療制度の安定運営の確保···········································27
【主要】5 安定した高齢者福祉・介護体制の確保 ·································28
6 音楽・園芸療法の社会的な定着への支援 ·······························32
7 障害者の安心につながる制度改革の実現 ·······························33
8 生活保護対策等セーフティネットの構築 ·······························34
9 自殺対策の充実強化·················································36
10 地域の安全安心体制の強化···········································37
11 食の安全安心の確保·················································38
12 消費者対策の充実強化···············································39
13 ユニバーサル社会実現に向けた施策の推進 ·····························40
14 人権擁護対策の推進·················································42
1
Ⅲ 次代を担う人づくり
【主要】1 安心できる子育て環境の充実 ·········································42
2 学力向上対策・体験教育等の充実 ·····································46
3 障害のある児童生徒のニーズに応じた教育の充実 ·······················49
4 芸術文化の振興·····················································50
5 体育・スポーツの振興···············································53
Ⅳ 環境優先の社会づくり
【主要】1 新たなエネルギー政策の確立と再生可能エネルギーの導入促進 ···········53
2 地球温暖化防止対策の推進···········································56
3 循環型社会の構築と適正処理の推進 ···································57
4 効果的な大気環境保全対策の推進【新規】 ·····························58
5 瀬戸内海の豊かで美しい里海としての再生 ·····························58
【主要】6 野生鳥獣被害対策等の推進···········································59
Ⅴ 躍進する経済社会づくり
【主要】1 規制緩和による成長戦略の推進【新規】 ·······························62
2 地域の持続的成長を牽引する基幹産業の強化 ···························63
3 中小企業の経営基盤強化への支援 ·····································66
4 地域社会ニーズに対応した地域商業・商店街の再生 ·····················70
5 観光・誘客型産業の振興·············································71
【主要】6 持続可能な力強い農業を育てる取組の推進 ·····························72
7 農山漁村の活性化に向けた基盤づくり ·································77
8 資源循環型林業の展開への支援強化 ···································80
9 林業公社の経営改善に対する支援 ·····································81
10 資源培養型水産業の振興·············································82
Ⅵ 地域活力の創出
【主要】1 基幹道路ネットワークの早期整備 ·····································84
2 公平で利用しやすい高速道路料金の実現 ·······························85
3 関西の航空需要等への的確な対応 ·····································87
4 活力を支える社会基盤整備の着実な推進 ·······························88
5 国際コンテナ戦略港湾・阪神港の国際競争力の強化 ·····················89
6 鉄道の利便性の向上及び地方鉄道路線の経営の安定化 ···················90
7 山陰海岸ジオパーク等の推進に関する支援 ·····························91
8 地域の活力再生に対する支援強化 ·····································92
Ⅶ 兵庫の自立
1 地方分権改革の推進·················································94
【主要】2 地方税財政の充実強化···············································95
3 関西広域連合の充実・強化···········································99
4 道州制に関する懸念への対応【新規】 ·································100
2
Ⅰ 安全安心の促進
1 南海トラフ巨大地震対策等の推進【主要】
南海トラフ巨大地震は、発生すれば関東から九州に至る広範囲かつ大規模な被害が
発生することが予想されることから、同地震をはじめとする地震対策として、以下の
措置の実施を求める。
(1)南海トラフ巨大地震対策に関する法律の推進と実戦的な訓練の実施【内閣府】
ア 特別措置法の推進
南海トラフ巨大地震の対策を講じる地域の特定、地震対策大綱・応急対策活動
要領の策定、国における緊急対策の実施、地方公共団体が実施する対策に対する
財政支援制度の創設及び事前の復旧・復興計画の策定
イ 実戦的な政府現地対策本部設置訓練の実施及び関西広域連合等の参加
南海トラフ巨大地震の発生に備え、政府、地方自治体、防災関係機関等が災害
時における防災関係機関相互の連携を深め、広域的、総合的な防災体制の充実強
化を図るため、実戦的な政府現地対策本部設置訓練の実施及び関西広域連合や府
県、市町村、関係団体等の同訓練への参加
(2)津波防災インフラ整備5箇年計画等の推進
ア 津波対策のための施設の整備【農林水産省、国土交通省】
・防潮堤及び河川堤防等の津波対策にかかる技術基準等の早期策定
・現在、地方単独費で実施している防潮堤及び河川堤防等の最大クラスの津波
に対する補強や耐震補強の補助対象化
イ 津波対策に配慮したまちづくりの推進【国土交通省】
・内陸部への津波及び漂流物の侵入を軽減する仕組みの構築
・沿岸部の多量の危険物を扱う施設における安全対策の推進等を実施するに際
しての技術的な助言と必要な財政措置
(3)学校、病院、社会福祉施設や民間住宅等の耐震化等の促進
ア 学校等公共施設の耐震化
【総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省】
(ア) 地震防災対策特別措置法による学校耐震化国庫補助率嵩上げ対象施設の Is
値要件の撤廃(Is 値 0.3 以上施設(補助率 1/3→1/2 に嵩上げ)を Is 値 0.3 未
満施設(補助率 1/3→2/3 に嵩上げ)と同等に)
(イ) 補助単価と実工事費単価が乖離している実情を踏まえ、補助単価引き上げな
ど支援の拡充
【補助単価と実工事費単価(平成 24 年度)
】
Is 値 0.3 未満 26,200 円/㎡(補助単価)−43,500 円/㎡(実工事費単価)=△17,300 円/㎡
Is 値 0.3 以上 26,200 円/㎡(補助単価)−34,100 円/㎡(実工事費単価)=△ 7,900 円/㎡
3
(ウ) 学校施設の非構造部材の耐震対策(天井等落下防止対策等)に係る具体的な
対策基準・手法の明確化と補助制度の拡充
(エ) 小中学校施設等義務教育諸学校に対象限定されている国庫補助について、生
徒の安全・安心を確保するため、進学率が約 98%に達し、国民的な教育機関と
なっている高等学校などへの対象施設拡大
【公共施設の耐震化率(平成 23 年度)
】
・県庁舎等
83%
・県立学校
・公立小・中学校
87%
・公立幼稚園
・県立病院
72%
・公立病院
79%
76%
72%
(オ) 学校施設整備に係る地方負担の軽減を図るため、現行の「全国防災事業債」
及び「緊急防災・減災事業債」の継続を含む地方債及び地方交付税措置の充実
イ 避難所としての学校施設の機能充実【総務省、財務省、文部科学省】
太陽光発電設備整備や自家発電設備等に対する補助制度の高等学校への拡充な
ど、学校が避難所としての機能を担う際に必要となる施設設備にかかる補助制度
の充実及び十分な財政措置の実施
ウ 学校施設の老朽化対策の支援充実【総務省、財務省、文部科学省】
今後、老朽化が深刻となる学校施設について、児童生徒の安全・安心を確保す
るとともに、応急避難所としての機能も確保するため、改修・改築に対する地方
負担の軽減を図る補助制度の充実及び十分な財政措置の実施
エ 民間施設の耐震化【財務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省】
(ア) 公立学校に比べ補助率が下回る私立学校の補助率嵩上げ(Is 値 0.3 以上施
設:私立 1/3→公立 1/2 並に Is 値 0.3 未満施設:私立 1/2→公立 2/3 並に)
(イ) 入院患者のいる民間医療施設の移転建て替えにあたり必要となる代替用地取
得の補助対象化
(ウ) 社会福祉施設について、社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金(平成 25 年度
で終了)の更なる延長、通所施設への対象拡大又は新たな制度創設
【民間施設の耐震化率(平成 23 年度)
】
・私立小・中・高等学校 71%
・私立幼稚園
74%
・民間病院
56%
(社会福祉施設)
・児童厚生施設
72%
・児童福祉施設(障害者(児)施設除く)89%
・保育所
61%
・高齢者施設
97%
・障害者(児)施設
82%
オ 避難路沿道建築物及び防災拠点建築物の耐震診断の促進【国土交通省】
耐震改修促進法改正にともない地方公共団体が指定する避難路沿道建築物及び
防災拠点建築物の耐震診断を促進するため、地方自治体の耐震診断費補助に対す
る財政措置拡充の実施
カ 不特定多数の者及び避難弱者が利用する大規模な建築物の耐震診断の促進
【国土交通省】
国が義務化する不特定多数の者及び避難弱者が利用する大規模な建築物の耐震
診断を促進するため、地方自治体の耐震診断費補助に対する財政措置拡充の実施
4
キ 民間住宅の耐震化【国土交通省】
民間住宅の耐震改修を継続的かつ強力に推進するため、国全額負担による民間
住宅の耐震改修にかかる30万円/戸の定額補助制度
(平成22 年度補正予算で創設)
の継続的な実施
ク 宅地の耐震化【国土交通省】
宅地耐震化推進事業の円滑な実施に向けて、速やかに宅地所有者の合意を得る
ための一定の指針となる「住民等合意形成ガイドライン」の早期提示
ケ 地震被害を軽減する家具の固定化対策の推進
【内閣府、総務省、文部科学省、国土交通省】
地震被害を軽減する国民運動の一環としての家具や備品の固定についての啓
発等
(4)地震・津波観測監視システム(DONET)等の観測体制の着実な構築
【文部科学省、国土交通省】
ア 近い将来の発生が予想される東南海・南海地震対策として「地震・津波観測監
視システム(DONET)
」や海上ブイを使った海底津波計(DART)による津波観測網
の整備が進められており、既に、陸上局構築予定地や海底ネットワーク観測シス
テムの設置位置が決定している。今後、得られたデータをスーパーコンピュータ
「京」において分析することによる津波の発生、被害予測の精度の向上を図るこ
と
イ 津波による被害の発生を防止し、又は軽減するため、南海地震想定震源域にお
ける観測機器の確実な整備など東南海・南海地震に関する観測・予知体制の確立・
強化
(5)実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を活用した調査研究の推進
【文部科学省】
県が(独)防災科学技術研究所と実施する実大三次元震動破壊実験施設(E-デ
ィフェンス)を活用した共同研究の継続並びに同施設を活用した実験・研究の促進
(6)日本海における調査研究の推進【文部科学省】
津波の発生機構の解明、規模等の予測精度の向上、津波による被害を詳細に予
測する手法の開発等に関する調査研究の強力な推進
特に、地震・津波対策を検討するための前提となるプレート境界、海底活断層
位置などの科学的調査をすみやかに実施し、その結果の情報提供
(7)山崎断層帯をはじめとする活断層に焦点を当てた観測・研究体制の一層の強化
【総務省、文部科学省、国土交通省】
地震計、伸縮計等観測設備の増設、国や国立大学等における分析・研究の推進
など地殻変動観測・研究等の体制強化
5
【県内内陸活断層の観測体制】
○山崎断層帯
・観測体制:京都大学防災研究所
・観測設備等:伸縮計(安富)、伸縮計(山崎)、臨時観測点(加西)、臨時観測点(香寺)
○その他県内断層
・観測体制:気象庁、防災科学技術研究所、県、市町
・観測設備:地震計
(8)国民への啓発と連携の推進
ア 教育及び訓練の普及【内閣府、文部科学省】
被害予測の研究成果等を踏まえて、津波が発生した際に住民が迅速かつ適切な
行動をとることができるよう、学校教育等の機会を通じた防災上必要な教育、訓
練、防災思想の普及
イ 連携協力体制の整備【内閣府】
津波対策を効果的に推進するため、自治体、大学等の研究機関、民間事業者等
との緊密な連携協力体制の整備
(9)防災・減災対策に対する財政支援の充実【総務省】
ア 巨大地震に備えた対策事業費の確保
地方が取り組む南海トラフなどの巨大地震に備えた対策は、巨大地震・津波に
対する防災・減災の観点から不可欠であるため、
その事業費を確保するとともに、
地方負担に対する財源を措置すること
イ 防災情報基盤の整備に係る財政支援制度の拡充
・災害時に国と都道府県及び市町村との通信手段となる地域衛星通信ネットワ
ーク及び地方公共団体独自の防災情報通信ネットワークシステムの整備・運
用に対する地方財政措置を継続・拡充すること
・市町が実施する防災行政無線の計画的な整備を促進するため、引き続き緊急
防災・減災事業債の対象とするなど財政支援制度を継続・拡充すること
ウ 緊急防災・減災事業債に係る要件緩和
現行の緊急防災・減災事業債では対象外となっている道路封鎖のおそれのある
危険建築物の除去等については制度の対象とすること
2 災害に強い森づくりと総合的な治水対策の推進
平成 21 年台風第9号等全国各地で局地的な集中豪雨が多発し、大きな災害が増加傾
向にあることを踏まえ、住民の安全と安心を確保するため、以下の措置の実施を求め
る。
(1)第2次山地防災・土砂災害対策緊急 5 箇年計画(仮称)等の推進
第2次山地防災・土砂災害対策緊急 5 箇年計画に基づき、重要性の高い箇所に
ついて、引き続き計画的な整備を推進するため、以下の措置の実施
6
ア 土砂災害を防止する砂防関係事業の推進【国土交通省】
・保全人家 10 戸以上の重要箇所の対策に向けた砂防関係事業の予算確保
イ 山地災害を防止する治山事業の推進【農林水産省】
・山地災害危険地区における治山事業の実施、及び既存治山施設の老朽化・機
能強化対策のための所要予算の確保
・風倒木被害地や谷筋人工林など、流木被害のおそれの高い荒廃渓流での治山
ダム等の整備について、国庫補助事業の採択要件の緩和による事業・制度の
拡充
・県下各地で発生する山地災害に備え、災害発生の恐れのある危険箇所を把握す
るための調査事業の創設
【復旧治山事業に関する採択基準の緩和】
国の採択基準に満たない事業箇所については、県単独事業として実施(H21∼H25 まで
136 カ所)していることから、風倒木被害地や谷筋人工林など、流木被害の恐れの高い荒
廃渓流にあっては、小規模な崩壊でも下流域での被害が甚大となるため、次のとおり採択
基準を緩和
① 重要河川以外の流域においても、保全人家の規模要件(10 戸以上)を付加しない
② 全体計画 7,000 万円以上から 3,000 万円以上に緩和
(2)山の管理の徹底【農林水産省】
ア 健全な森林を育成するための森林整備の推進
・間伐及び作業道開設について、森林所有者の負担なしで行えるよう国の支援
制度の拡充
【兵庫県の取組】森林管理 100%作戦 第2期対策(H24∼33)
(ha)
目 標
第1期対策(H14∼23)
実績
H24年度
見込
H25年度
計画
(H33年度末)
整備目標
間伐
面積
86,073
8,544
11,002
67,800
【森林所有者の負担なしで実施する造林事業における標準的な負担割合】
造林事業(国庫補助)
森林所有者負担分を県・市町で上乗せ補助
国庫補助金
県(一般)
県
市 町
(実質補助率)
17%
7.5%
51%
24.5%
24.5%
・災害で発生した倒木等の緊急処理や被災した作業道の復旧に対する支援制度
の創設
・森林環境保全直接支援事業における間伐の補助対象要件の拡充
山地災害危険地等で作業道開設ができず間伐木の搬出が困難な場合で、森
林の防災機能を高めるために間伐木を土留構造物として林内で利用する場
合は、利用間伐と位置づけ、5ha 以上の面積があり、林内利用材積が1ha
当たり平均 10m3 以上あれば補助対象化(補助単価は伐捨間伐の単価を使用)
【森林環境保全直接支援事業】
・面的にまとまって計画的に行う搬出間伐等の森林施業と森林作業道の開設支援
(間伐の補助要件は、一部の伐り捨て間伐地を含んでもよいが、5ha 以上の区域をと
りまとめて1ha 当たり平均 10m3 以上の間伐材搬出が必要)
7
イ 「災害に強い森づくり」への支援制度の創設
・防災の観点からの間伐伐採木を利用した土留工の設置ができる事業の創設
・流木災害を軽減するための災害緩衝林の整備ができる事業の創設
(3)治水対策に必要なダム建設事業の推進【国土交通省】
事業効果を早期に発現させるため、ダム本体工事中の与布土ダム、金出地ダム、
西紀ダムの着実な事業推進への支援
(平成 24 年度末時点)
ダム名
よ ふ ど
与布土ダム
か な じ
金出地ダム
にしき
西紀ダム
事業目的
総貯水容量
事業期間
総事業費
進捗率
治水・利水(上水道)
1,080 千㎥
H3∼H25
140 億円
88%
治水
4,700 千㎥
H2∼H27
170 億円
57%
383 千㎥
H6∼H25
54 億円
88%
治水・利水(上水道)
(4)総合治水の推進
総合治水条例
(平成 24 年4月1日施行)
に基づき地域総合治水推進計画を策定し、
総合治水の取組をさらに促進するため、以下の措置の実施
【総合治水の概要】
これまで推進してきた河川や下水道を整備する「河川下水道対策」に加えて、雨水を
一時的に貯留・地下に浸透させる「流域対策」や、浸水が発生した場合でも被害を小さ
くする「減災対策」を組み合わせることにより、浸水被害を軽減する取組
ア 河川下水道対策の推進【国土交通省】
H23 年台風第 12 号で甚大な被害を受けた法華山谷川水系における床上浸水対策
特別緊急事業等への十分な予算措置
イ 流域対策の推進
(ア) 雨水貯留浸透施設の整備促進に関する税制優遇制度の拡充(対象地域の拡大、
施設の規模要件の緩和)
【国土交通省】
【現行制度概要】
○対象地域:大都市地域(3大都市圏・人口 30 万人以上の都市)
兵庫県下では、全 41 市町のうち神戸市、阪神間市町、姫路市の計9市1町のみ該当
該当9市1町の可住地面積
= 31.3%
全県の可住地面積
○対象施設及び規模要件:
・貯留設備
貯留容量 300m3 以上
・透水性舗装 面積 5,000m2 以上
○優遇内容:所得税、法人税について、10%の割増償却(5年間)
8
(イ) 流域貯留浸透事業の規模要件の緩和【国土交通省】
【現行制度概要】
○対象地域:一級又は二級河川の流域内
○対象事業及び規模要件:
・公園、学校などの公共施設等若しくは民間の施設又はその敷地
原則 500m3 以上の貯留機能若しくは同等の浸透機能又は貯留・浸透機能を持つ構造
とする事業
・既設の暫定調整池、池沼又はため池
原則 3,000m3 以上の治水容量を確保するため、掘削、堰堤の嵩上げ等を行う事業
(ウ)水田を活用した一時貯留の取組に対する支援【農林水産省】
・雨水を一時的に貯留する水田貯留の取組に対して農地・水保全管理支払交付
金制度による支援の充実
・水田貯留実施田であっても災害復旧事業や農業共済の対象とすること
ウ 減災対策の推進【国土交通省】
(ア) 公共施設等の耐水化費用助成制度の創設
【対象事業の例】
電気設備等の高所設置、建築物の高床化、遮水構造の建築外壁・外構壁、敷地の嵩上
げ、地下街等の浸水対策
(イ) 河川氾濫時の避難対策に係る支援の拡充
市町の避難警戒活動の支援のために県下全河川で整備を進めている河川氾濫
予測システムについては、運用開始後の信頼性をさらに高めるため、降雨予測
情報の精度向上などの技術的支援の充実
(ウ) 河川利用者の避難対策に係る警報システムへの支援の拡充
河川利用者の避難対策として進めている、降雨時に水位上昇が早い都市部の
急流河川等での増水警報システムや河口部における津波警報システムの整備
について、二級河川も含む全河川への補助対象の拡大
【現行制度概要】
○河川利用者の避難対策に係る警報システム整備
◇対象河川:一級河川
(エ) 河川の親水空間の安全確保
公園的な利用を図る親水施設を整備した河川については、増水時等の利用者
の安全確保を図るため、施設利用に一定の規制を行うことができるよう法令を
整備
9
3 東日本大震災の復興と教訓を踏まえた対策の推進
未曾有の被害をもたらした東日本大震災からの早期復興を図るとともに、防災人材
の育成や原子力安全対策を推進するため、以下の措置の実施を求める。
(1)東日本大震災の復興を加速する支援対策【総務省、厚生労働省、国土交通省】
ア 復興が本格化している被災地に対し、阪神・淡路大震災の経験と教訓を生かし
て本県が行う復興まちづくりやコミュニティの再生、こころのケア等の専門家派
遣及び県内避難者支援等に要する経費に対する財政措置の実施
【兵庫県が実施している支援活動】
① 住民主体のまちづくり支援事業
阪神・淡路大震災における復興まちづくりを経験した専門家派遣への支援
② コミュニティ再生への支援事業
阪神・淡路大震災時に仮設住宅でのコミュニティ支援等の活動実績のある人材の派遣
への支援
③ 被災者のこころのケア事業
児童福祉司、児童心理司等の専門職やNPO等が行う被災者のこころのケア活動への支
援
④ 県内避難者への支援事業
避難が長期化する県内避難者に対して、避難者同士の交流の促進、各種相談等を実施す
る団体への支援
イ 本県の行う任期付職員の採用に係る経費及び派遣元で実施する研修等に係る経
費に対する財政支援
ウ 被災自治体における職員不足に対応する被災地での正規職員の雇用と国による
財政支援
【兵庫県からの中長期派遣職員数】
56 名(平成 25 年 6 月 1 日現在)
エ 芸術文化による「心の復興」事業の拡充【文化庁、総務省】
東日本大震災の被災地においては、阪神・淡路大震災を経験した兵庫県内の芸
術文化団体・グループが、阪神・淡路大震災の教訓を活かして、芸術文化を通じ
て被災者の心を癒し勇気づけるための活動を実施している。
これら被災者の心の復興に資する芸術文化活動について、被災地の地方公共団
体が企画する事業に対する支援は既に講じられているが、被災地以外の地方公共
団体が企画する事業は支援の対象外であることから、実施主体に被災地以外の地
方公共団体を追加
10
【現行の国の支援制度】
・地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ事業(文化芸術による「心の復興」事業)
対象事業:舞台芸術(音楽、演劇、舞踊等)
、美術、メディア美術などを
中心とした地域振興のための事業
取 組 例:被災地の県(宮城県等 11 道県)及び市町村が企画する舞台芸
術の鑑賞等を通じた「心の復興」を図る事業
実施主体:文化庁、地方公共団体、地域の文化芸術団体及び文化施設等と
の共催により実施
補助対象:事業経費の1/2以内
【平成 24 年度に兵庫県が実施した被災地における芸術文化活動支援の状況】
・がんばろう東日本!アート支援事業〔実施件数 16 件〕
音楽(8 件)
、音楽・伝統芸能(1件)
、演劇(2 件)
、ミュージカル(1件)
、
写真(1件)
、美術(1 件)
、舞踊(1 件)
、落語(1件)
(2)東日本における防災人材育成拠点の整備及び人と防災未来センターの活用
【内閣府】
首都直下地震などの大規模災害に対応するため、東日本に次の機能を有する防
災人材の育成拠点の整備及び10年間にわたる災害対応、人材育成についての活
動実績を有する人と防災未来センターの活用
・専門的知識を有する防災関係職員を育成する研修機能
・大規模災害対応に係る実践的な対策等の研究機能
・被災地への専門的人材の派遣による助言等の現地支援機能
(3)原子力関連施設の安全確保【原子力規制委員会】
原子力発電所に関する新しい規制基準を厳格に適用し、プラントの安全性をさ
らに高めることに加え、防災体制の確立なども含めた多重防護を重視した安全体
制を確立すること
(4)原子力災害に対する対策の充実【原子力規制委員会】
ア プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域(PPA)の明確
化
UPZ の範囲を超える地域において必要な防護措置を準備するための PPA の範囲
及び必要な防護措置の明確化
また、その防護措置の実施に必要な技術的・財政的な支援(モニタリングポス
トの増設、安定ヨウ素剤の配備等)
【原子力災害対策重点区域(原子力災害対策指針〔平成 25 年6月5日〕
)
】
区 域
施設からの距離(半径)
予防的防護措置を準備する区域(PAZ)
概ね 5km
緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)
概ね 30km
プルーム(※)通過時の被ばくを避けるための防護措置を
今後検討
実施する地域(PPA)
※(放射線)プルーム:気体状(ガス状あるいは粒子状)の放射性物質が大気とと
もに煙突からの煙のように流れる状態
11
イ 広域避難対策の充実
都道府県域を越える広域的な避難について、避難手段や避難経路の確保、スク
リーニング実施体制の整備等の具体的方策の提示
ウ 拡散予測手法の確立
原発事故時には放射性ヨウ素等が UPZ 区域を越えて広く拡散するおそれがある
ことから、安定ヨウ素剤の事前配備を行うため、明確な配備基準の根拠となる放
射性物質拡散の予測システムを確立すること
また、緊急時の活用に備え、SPEEDI の信頼性向上を図るとともに、UPZ 外にあ
る本県にも情報提供を行うこと
4 災害対策法制の見直し
実態に即した実効性のある法制度を確立するため、この度の災害対策法制等の見直
し(第二弾)において反映されていない以下の項目の実現を求める。
(1)大規模広域な災害に対する広域連合の代行【内閣府】
都道府県が機能不全に陥った場合における広域連合による代行規定の創設
(2) 災害時要援護者の情報共有促進【内閣府】
ア 「災害時要援護者」の呼称に関する配慮
災害対策基本法において新たに定義された「要配慮者」と現在実務で広く用い
られている「災害時要援護者」との関係等について、既に定着している「災害時
要援護者」に統一することも含め、住民、自治体に混乱を招かないよう、配慮す
ること
イ 災害時要援護者名簿の外部提供手続の改善
平時における災害時要援護者名簿の外部提供について、本人同意不要で提供す
る際の「条例に特別の定めがある場合」の内容を明確にするとともに、同居親族
の同意があれば提供可能とすること
(3)大規模災害からの復興に関する法律体系のさらなる整備【内閣府】
ア 復興計画と復興事業計画の明確な区分
復興計画は、区域、目標、土地利用、個別具体の事業まで網羅的に策定するこ
ととなっているが、復興計画の基本となる目標や体系と、柔軟な追加・修正の対
象とすべき個別事業とは区分して計画を策定する必要があることから、復興計画
を「復興計画」と「復興事業計画」に区分すること
イ 計画の策定主体
復興計画は、都道府県が加入する広域連合、都道府県、市町村が独自に作成す
るものとし、復興事業計画は、市町村に加え、都道府県も作成するようにするこ
と
12
ウ 復興事業計画に対する特例措置
復興事業計画に掲げられた事業について、計画実施にかかる特別の措置、財政
上の特別の措置を講ずること
(4)災害救助法の見直し【厚生労働省】
・避難所運営や応急仮設住宅の建設等災害救助法に基づく救助に要する費用につ
いて、国が指定する大規模災害の場合は、全額国が負担すること
・被災地外の自治体が災害救助法に基づく救助に要する費用を支弁した場合、被
災都道府県に求償するのではなく、国に対し直接求償できるよう制度変更する
こと
・水害による床上浸水被害のみなし規定(※)に準じて、地震災害による家屋の
一部損壊についてもその対象となるよう、法適用要件を見直すこと
※床上浸水した世帯は、3世帯をもって滅失した一の世帯とする
(5)災害救助法と被災者生活再建支援法の被災住宅に対する支援内容の整理・統合
【内閣官房、内閣府、総務省、財務省、厚生労働省】
・災害救助法による「応急修理」を廃止し、半壊世帯を被災者生活再建支援法の
支援対象とすること
・被災者生活再建支援法の対象拡大には、都道府県負担を伴うことから、支援金
額及び財源負担については、全国知事会と協議のうえ、決定すること
区 分
半 壊
大規模半壊
災害救助法
応急修理
有
(52万円)
有
(52万円)
全 壊
無
被災者生活再建支援法
基礎支援金
加算支援金
無
無
有
(50万円)
有
(100万円)
有
(補修100万円)
有
(再建200万円)
※運用による例外的な取り扱いあり。
5 新型インフルエンザ対策等の強化【新規】
中国において鳥インフルエンザ
(H7N9)
の人への感染が発生したことを踏まえ、
ウイルスの国内への侵入や人から人への感染等、新型インフルエンザの発生に備えた
対策を強化し、事態発生時の迅速な対応に資するため、以下の措置の実施を求める。
(1)強毒性新型インフルエンザへの備えの強化【内閣官房、厚生労働省】
ア 国立病院等の遊休病床等(休止中の結核病床等)活用による病床の確保や、都
道府県が行う防疫、検査、搬送、入院・外来医療機関の確保への支援など、集団
発生時の医療、搬送、検査体制を確保すること
13
イ 国や県の要請により休業措置等を行った介護施設など社会福祉施設等への支援
を行うこと
ウ 備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の更新・廃棄・保管経費を国が全額財政措
置すること
(2)円滑かつ効果的な社会活動制限の実施【内閣官房】
ア 緊急事態宣言時の措置として都道府県知事が行う施設の使用制限等について、
緊急時に円滑且つ効果的な実施が行えるよう、政府対策本部の基本的対処方針で
定められることとなる国の基準を予め明らかにすること
イ 緊急事態宣言によらない場合であっても、学校等の臨時休業や集会・イベント
の自粛要請等について地方公共団体がその流行状況に応じて適切に判断ができる
よう、国において一定の方針等を示すこと
(3)鳥インフルエンザの家畜伝染病対策の強化
ア 家きんでの発生状況や当該ウイルスの遺伝子性状等の分析を進め、家きん防疫
対策の強化を図ること【農林水産省】
イ 人への感染リスクが高まっている家きんの鳥インフルエンザが家きんで発生し
た場合には、家きんの殺処分などの防疫作業従事者に当該インフルエンザに係る
プレパンデミックワクチンが接種できるよう配慮すること
【内閣官房、厚生労働省、農林水産省】
6 災害援護資金貸付金制度等の改善
東南海・南海地震の発生に備え、被災者支援制度の充実等を図るため、以下のとお
り制度の改善を求めるとともに、阪神・淡路大震災における災害援護資金貸付金制度
についても、同様の改善を求める。
(1)災害援護資金貸付金制度等の改善【厚生労働省、財務省】
ア 災害援護資金貸付金の改善
(ア) 東日本大震災で特例措置として講じられた免除要件の拡大等の恒久化
(イ) 県及び政令市から国への貸付原資の償還は現実に返還があった場合のみ行う
よう制度の変更
イ 災害障害見舞金の改善
支給対象となる障害程度(現行、労災1級相当に限定)の範囲の拡大による
支給要件の緩和
14
(2)阪神・淡路大震災に関する災害援護資金貸付金制度の改善【厚生労働省、財務省】
阪神・淡路大震災の被災者の生活再建支援策として貸付を行った災害援護資金
貸付金の償還について以下の措置の実施
ア 市から県、県から国への償還期限の再延長(再延長期間2年間、当初の期限か
ら通算10年間に)及び東日本大震災で特例措置として講じられた免除要件の拡
大と同等の取扱の適用
イ 県及び政令市から国への貸付原資の償還は現実に返還があった場合のみ行うよ
う制度を変更
ウ 起債に係る金利負担分への交付税措置などの支援
【災害援護資金貸付金の償還状況(H24.9 末時点)
】
貸付額約 1,309 億円(うち神戸市分約 777 億円)のうち、償還額約 1,084 億円、償還免
除額約 47 億円、未償還額約 178 億円
【東日本大震災で講じられた免除要件に関する特例措置】
償還免除要件について、東日本大震災に限り、支払期日到来後10年経過し、無資力又
はこれに近い状態、かつ、償還金を支払うことができる見込みがない場合にも拡大
7 阪神・淡路大震災の教訓の継承
阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、その教訓を継承、発信するとともに、的確なフ
ォローアップのため、以下の措置の実施を求める。
(1)被災高齢者自立生活支援事業への支援【厚生労働省】
ア 災害復興住宅における被災高齢者自立生活支援事業(生活援助員(LSA)に
よる生きがい交流事業等の実施を通じた地域コミュニティの形成)への支援の継
続
イ 24 時間見守りを行う生活援助員(LSA)の配置支援制度の創設
(2)
「住宅再建共済制度」の全国制度としての創設
【内閣官房、内閣府、総務省、財務省、厚生労働省】
住宅所有者等が災害時に備え、平時から住宅再建資金を寄せ合う相互扶助の仕
組みとして、本県が平成 17 年 9 月から実施している「住宅再建共済制度」の全国
制度としての創設
【住宅再建共済制度の概要】
<共済負担金>
家屋:年額 5,000 円/戸
家財:年額 1,000 円/戸
<給付対象>
全壊・大規模半壊等で建築・購入・補修
全壊・大規模半壊等で補修・購入
<共済給付金>
最大 600 万円
最大 50 万円
(※家屋とあわせて加入の場合)
(3)人と防災未来センターの運営支援【内閣府】
阪神・淡路大震災の経験と教訓を世界の共有財産として後世に継承し、国内外
の災害被害の軽減に貢献する機関である人と防災未来センターの運営に対する支
援の継続と開設から 10 年を経過した同センターの機能強化に対する支援
15
【阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター運営費補助】
(特定地震防災対策施設運営費補助金)
・国 1/2、県 1/2
・国補助金額 約 2.5 億円
(4)阪神・淡路大震災 20 周年事業に対する支援【内閣府】
阪神・淡路大震災 20 周年の節目にあたる平成 26 年度に、震災の経験と教訓を
伝えるとともに、復興の成果の発信やさらなる安全な社会づくりを図るため、県
民が一体となって展開する震災 20 周年事業に対する協力
(5)阪神・淡路大震災の被災団体の厳しい財政状況を踏まえた財政支援【総務省】
ア 震災復旧・復興のために発行した地方債の実質負担軽減
東日本大震災からの復旧・復興では、国庫補助率の嵩上げや特別交付税措置な
どにより、地方負担分や地方税の減収分等について実質的な地方負担が生じない
措置が講じられた。一方で、阪神・淡路大震災、被災団体は、震災から 18 年を経
過した今日においても、その震災関連公債費の影響もあり厳しい財政状況が続い
ている。
このような状況を踏まえ、阪神・淡路大震災の復興事業のうち、東日本大震災
の復興事業では地方の実負担なしで実施されているインフラ整備のために発行し
た震災関連地方債の元金償還や利子負担の軽減について適切な財政措置を改めて
講じること
【阪神・淡路大震災復興事業のうちインフラ整備の地方債残高】
地方債残高 A 交付税措置 B 実 質 的 な 負 担A-B
兵庫県
2,510 億円
830 億円
1,680 億円
被災市
1,041 億円
573 億円
468 億円
計
3,551 億円
1,403 億円
2,148 億円
(注 1)被災市:尼崎市、西宮市、芦屋市、宝塚市、淡路市。
(注 2)地方債残高:兵庫県分は平成 24 年度決算見込、被災市は平成 23 年度決算ベース。
イ 震災復旧・復興のために発行した地方債の償還期限の延長
震災からの早期復旧・復興のために一時期に多額の震災関連地方債を発行した
ことが、被災団体の財政状況を悪化させている状況を踏まえ、これらの償還にか
かる財政負担を平準化する観点から、地方債の特例として、国債と同様に償還期
限を最大 60 年まで延長されたい。
【兵庫県の震災関連県債残高の内訳(H24 末)】
復旧事業、災害援護資金貸付金
復興事業
インフラ整備(道路、河川、区画整理等)
公営住宅
財政健全化債等
中小企業高度化資金貸付金等
美術館、芸術文化センター、人と防災センターⅡ期等
計 (C) = (A) + (B)
16
141 億円(A)
6,075 億円(B)
2,510 億円
332 億円
1,835 億円
629 億円
769 億円
6,216 億円(C)
ウ 公的資金繰上償還における補償金免除制度の適用
阪神・淡路大震災の被災団体は、平成 7 年以降に復旧・復興事業のため公的資
金についても多額の借入を行ったことで、当時の金利水準である4%以上の借入
残高が1,597億円(うち旧公営企業金融公庫資金借入金残高は374億円)にのぼり、
財政悪化の一因となっている。
ついては、平成 25 年度に創設された、東日本大震災の「特定被災地方公共団体」
に対する旧公営企業金融公庫資金の補償金免除制度と同等の措置を、阪神・淡路
大震災の「特定被災地方公共団体」についても適用されたい。
(6)公立大学法人兵庫県立大学における防災教育研究に対する支援【文部科学省】
兵庫県では、阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、震災の教訓の継承と発信に取
り組んでおり、あわせて東日本大震災の教訓を生かした防災の教育の充実に努め
ている。
こうした中で、人と防災未来センターや WHO 神戸センター、アジア防災センタ
ー等の本県に集積する防災関連機関と連携し、県立大学防災教育センターが取り
組むユニット方式による防災教育や今後予測される災害に備えるための研究につ
いて、地域や他大学と連携して拡充するための補助事業又は委託事業の創設
【ユニット方式】
学生が所属する各学部の専門科目とは別に、特定分野の専門科目群を学部の枠を越えて
総合的・体系的に履修するもの
(7)大学間連携等による災害支援、教育・研究活動への支援【文部科学省】
神戸大学と東北大学による災害分野の学術研究や社会貢献の連携協定の締結、
兵庫県立大学と宮城大学による学生ボランティア活動やシンポジウム開催の取組
など、被災地大学と連携した取組が活発化している。
阪神・淡路大震災や東日本大震災の経験を生かした大学同士や防災関連機関が
連携した減災・防災に関する教育・研究や被災地支援の取組への助成
【防災等の教育・研究に取り組んでいる大学】
・神戸大学都市安全研究センター
・兵庫県立大学防災教育センター
・関西学院大学災害復興制度研究所 ・神戸学院大学防災・社会貢献ユニット
【防災関連機関】
・人と防災未来センター ・兵庫県災害医療センター
・アジア防災センター
・世界保健機関健康開発総合研究センター(WHO 神戸センター)
・国連人道問題調整事務所(OCHA)神戸事務所
17
8 首都機能バックアップ構造の構築
首都圏における非常事態に備えた首都中枢機能のバックアップを行う仕組みについ
ては、首都圏と同時被災せず、インフラや既存施設・機能が充実しているなど、バッ
クアップ機能を担ううえで最適な都市圏である関西において、一刻も早いバックアッ
プ構造の構築に向け、以下の措置の実施を求める。
(1)首都機能の関西における具体的な代替対応の明確化
【内閣官房、内閣府、国土交通省】
ア 首都圏での非常事態が生じた場合に備え、政府機能の関西全体への配置や各種
団体本部の代替機能の関西への設置促進などの具体化、および災害発生時に、ど
こで、誰が、どのような対応を行うのか等について事前に明確化、並びに関係法
令や計画等への明記
イ 政策、施策等の推進に必要な蓄積データのバックアップ体制についての整備
(2)国会、各府省の事業継続計画(BCP)の策定とその推進
【内閣官房、内閣府、国土交通省】
各府省の事業継続計画は策定されているものの、代替拠点が都区部又は東京近
郊に置かれており、首都機能が麻痺した場合などには対応できないため、大規模
災害への対応が可能となる「関西」の位置づけを明確にした国会、各府省を含め
た国全体の事業継続計画(BCP)の策定及び適切かつ迅速な計画の推進
(3)国土の双眼構造の構築【内閣官房、内閣府、国土交通省】
関西の持つ首都機能の代替性をより効果的に発揮するため、力強い国土構造構
築のためのミッシングリンクの解消に向けた高速道路、鉄道等の交通基盤の整備
のほか、物流機能や情報通信機能等社会基盤の整備とともに、関東と関西の双方
に政治、行政、経済の核が存在する双眼構造への転換をめざした国土政策、産業
政策の展開
(4)首都機能バックアップの平時の備え【内閣官房、内閣府、国土交通省】
平時より、首都圏における非常事態を想定した備えをしておくことが重要であ
り、国は、国会審議や各省庁の業務を一定期間、関西で実施するなど、計画的に
首都機能バックアップに関する社会実験の実施
(5)国での検討の更なる具体化【内閣官房、内閣府、国土交通省】
国土交通省の検討会や中央防災会議のワーキンググループは、東京圏の中枢機
能の東京圏外での代替拠点の整備の必要性を示しているが、代替拠点の設定に当
たっては、ワーキンググループの中間報告が示すような都市単位ではなく、圏域
として設定すること
また、関西は、京都御所があるなど、代替拠点として最適な都市圏であること、
関西広域連合や経済界など官民挙げて応援態勢が得られることなど、様々な状況
18
に柔軟に対応することが可能であることから、
「関西」を念頭に更なる具体化を
行うこと
【兵庫県の果たす機能(例)
】
機能
兵庫県の資源
緊急対応、復 関西広域連合広
旧・復興の支援 域防災局
拠点機能
人と防災未来セ
ンター
実績等(・)
、活用イメージ(○)
・東日本大震災におけるカウンターパート方式による支援実績
○防災・減災プランや応援・受援のマニュアルを活用した調整機能
・阪神・淡路大震災の経験・教訓を踏まえた蓄積
○世界への情報発信
○国際的な援助の調整
○緊急対応や復旧・復興のノウハウの提供
三木総合防災公 ・西日本最大級の広域防災拠点
園
○災害時の支援拠点
○国内外からの緊急物資の備蓄機能
交通・物流中枢 大阪国際空港
・防災面で優れた内陸型の空港[大阪国際空港]
機能
神戸空港
・都市近接型、医療産業都市との近接空港[神戸空港]
○国内外からの緊急物資、救援隊の受け入れ
○3空港による首都圏空港の代替機能
(3空港一体運用による連携・機能強化)
神戸港
・国際コンテナ戦略港湾選定に伴う集荷機能の強化[阪神港]
○国内外からの緊急物資、救援隊の受け入れ
外交窓口機能
総領事館(大韓民 ○外務省大阪分室と連携した非常時における外交窓口機能
国、パナマ共和国) ○海外への情報発信
【首都機能のバックアップとは】
(1) 現在東京首都圏にある首都機能をいずれかに移転しようとするものではなく、首都圏が非
常事態に陥った際、政治、行政、経済等の中枢機能を他の地域が代替する仕組み
(2) 一定のエリアに、新たに建物等を建設し、そこに首都機能を集約するのではなく、既存の
組織や都市インフラを活用し、情報通信網等により有機的に結び、機能を発揮させるもの
【中央防災会議 防災対策推進検討会議(内閣府)における報告等(H24.7、H24.8)
】
・構成員:<閣僚>藤村官房長官(座長)、中川防災担当大臣 他(計 10 名)
<学識経験者>河田関西大学教授、泉田新潟県知事 他(計 12 名)
・首都直下地震対策検討ワーキンググループにおいて、平成 24 年 7 月、緊急災害対策本部の
東京圏外における代替拠点について5都市(札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡)を記載
・中間報告を受け、防災対策推進検討会議が、平成 24 年 7 月、最終報告を取りまとめ(重点
的取組事項として、政府全体での業務継続体制の構築や、東京圏内での業務継続が困難な場
合に備えた東京圏外(大阪等)の代替拠点の確保などを挙げている)
19
Ⅱ 健康で安心な生活の実現
1 将来に向かって持続可能な社会保障制度改革
社会保障制度が、その安定化を図り将来に向かって持続可能なものとなるよう、就
業者が非就業者を支える観点からの給付と負担のあり方など、制度の抜本的改革の具
体化について、以下の措置の実施を求める。
(1)制度検討における地方の意見の反映【内閣官房、厚生労働省】
国民の将来への不安感を払拭するため、社会保障制度改革国民会議のもと、現場を
担う地方の意見を十分に踏まえ、抜本的な制度改革に取り組むこと
(2)長期的に安定した運営を目指した年金制度の見直し【厚生労働省】
ア 3号被保険者が基礎年金を受給することの不公平感を解消するため、3号被保険
者を1号被保険者に準じた位置付けに見直しを検討するとともに、2号被保険者と
する短時間労働者の範囲(現行:週当たり勤務時間 30 時間以上→H28.10 月∼:同
20 時間以上)の更なる拡大を検討
イ 将来にわたり安定的に制度を運営するため、マクロ経済スライドを完全実施
ウ 在職老齢年金は、所得に応じて段階的に支給額をカットするとともに、賃金が一
定額を越えた場合に支給を停止する等分かりやすい制度とすること
エ 応能負担の原則に基づき、標準報酬月額を引き上げるとともに、年金の過度の上
昇を防止するため受給額逓減制度を導入
オ 高齢者が持てる能力に応じて働くことのできる社会の実現をめざしつつ、就労状
況を考慮した支給開始年齢の引き上げ
カ 高所得高齢者は、所得に応じた保険料を負担するとともに、年金を支給停止又は
支給額を減額
キ 同一所得であれば同一負担、同一給付となるよう、国民年金被保険者にも基礎年
金部分に加え、厚生年金と同様に所得に応じて年金額が変動する所得比例部分(2
階部分)を設けるとともに、国費の投入等必要な経過措置を講じた上で将来的に年
金全体の一元化を検討
ク 保険料の納付促進を図るため、市町に徴収を委託
ケ 第1号被保険者の出産前6週間及び出産後8週間に係る国民年金保険料の納付
義務を免除
(3)国を保険者とする各種医療保険制度の見直し【厚生労働省】
ア 現在の医療保険制度は、制度間で加入者の年齢構成や所得基準に格差があり、
保険料負担に格差が生じていることから、将来にわたり国民皆保険制度を維持し
ていくには、
分立している医療保険制度を一本化し、
制度設計と財源確保の責任、
権限を有する国を保険者とすること
20
イ 医療保険制度の一本化にあたり、医療費格差など地域の実情を保険料率に反映
できるよう、都道府県知事が保険料率を決定する仕組みの創設
ウ 後期高齢者医療制度を廃止すれば、高齢者医療費の大部分を国保が負担するこ
とになることから、当面制度を維持するとともに、市町村国民健康保険の当面の
課題である赤字構造の解決策について検討すること
(4)介護保険制度における給付・負担の抜本的見直し【厚生労働省】
ア 市町村がサービス提供に責任を持つ介護保険の地域支援事業において、健康づ
くり等による介護予防や生活支援などの実施体制作りを進め、地域包括ケアシス
テムを実現しつつ、要支援の者についても地域支援事業の対象とするとともに、
保険給付の対象を要介護1以上の者に重点化
イ 在宅サービスの充実・強化により、誰でも望めば在宅で暮らし続けられる環境
を整備するとともに、特別養護老人ホーム等における看護師や介護職員の配置数
の充実等により、重度化への対応を図った上で、現在、要介護1以上となってい
る施設入所対象者を、将来的には、原則要介護3以上の者に変更
ウ 高所得の1号被保険者について、標準最上段階である第6段階より高い段階の
区分設定をし、保険料率を引き上げ
エ 中低所得の1号被保険者の保険料負担軽減のための財政調整制度を国の制度と
して設置
(5)子ども・子育て支援新制度の本格実施に向けた地方裁量や支援の充実
【内閣府、厚生労働省、文部科学省】
ア 幼保連携型認定こども園への幼稚園及び保育所からの移行を促進するため、手
続きの簡素化、財政支援等のインセンティブの付与及び認可基準等の早期提示
イ 市町村が実施主体となる地域子ども・子育て支援事業について、できる限り既
存の教育・保育施設での実施を念頭に置いた制度設計
ウ 幼児教育・保育の質・量の確保のため、幼稚園教諭や保育士の配置基準や処遇
の改善などに必要な財政措置
エ 低所得世帯の子どもの支援について、地域子ども・子育て支援事業のひとつに
位置づけられたが、今後、実効ある制度設計と必要な財源の確保
オ 子ども・子育て支援新制度の詳細な制度設計に際しては、分かりやすい簡素な
制度とするとともに、子どもの最善の利益を実現する視点で、地域の実情に応じ
た保育サービスや子育て支援を提供できるよう、地方自治体との協議等により地
方意見を十分反映
カ 都市部の待機児童対策や農村部を中心に子どもの育ちに大切な集団規模の確保
に資する「認定こども園」の早期拡充
(6)安定した障害者サービスの提供の確保【厚生労働省】
ア 裁量経費である地域生活支援事業の義務負担化
イ 障害者の範囲の対象とする難病者について、
支援が必要なすべての者を対象
(障
害者総合支援法施行令で定める 130 疾患に留まらないこと)
21
ウ 障害支援区分は、認定調査項目や判定プロセスについて、地方自治体、事業者
及び利用者団体の意見を踏まえ障害の特性を加味した適切な制度に見直し
(7)新たな生活困窮者支援制度の構築と生活保護制度の抜本改正【厚生労働省】
ア 生活困窮者の状態に応じた支援施策の効果的な提供、利便性等を考え、職業紹
介、就労訓練、家計支援、住宅確保支援、貧困の連鎖防止対策など、各サービス
をワンストップで提供する事業の早期実施
イ 生活困窮者に対する就労準備支援事業と中間的就労事業との関係を整理し、双
方の義務化を含めた位置づけの検討
ウ 自立更生計画に基づき期間を設定して保護する制度の創設及び指導に従わず就
労自立の努力を怠った場合、その程度に応じて保護を停止、廃止、保護費を減額
する制度の創設
エ 新たな就労機会の創出のため、公共事業の活用や被保護者を雇用した企業に雇
用奨励金を支給する制度の創設
オ 生活保護の医療扶助に係る医療機関の窓口での一部自己負担、及びその費用と
して一定額を保護費に上乗せする制度の創設
カ 緊急雇用創出事業臨時特例基金による住宅支援給付事業、生活保護受給者就労
支援事業及び社会的包摂・
「絆」再生事業(いずれも平成 25 年度まで)の全額国
庫負担による平成 26 年度までの事業期間延長及び法整備によりこれらの事業が
恒久化された際の全額国庫負担の維持
(8)地方税財源の確保【内閣官房、総務省、財務省、厚生労働省】
地方は、福祉や教育などの内政全般を担当するという国との役割分担のもと、
国民健康保険、保育所の設置・運営、妊産婦検診など国の制度や国庫補助事業を
実施するほか、乳幼児医療助成など地方単独事業を実施し、社会保障を幅広く担
っている。
この社会保障関係費は、今後も増加することが見込まれ、消費税及び地方消費
税の税率5%相当分の引き上げでは、その財源を十分に確保できない。
社会保障制度を持続可能とするため、サービス内容の見直しと併せ、負担のあ
り方について抜本的に見直すこと。また、地方が社会保障において担う役割に応
じた財源が確保できるよう税制改革を実現すること
これらの改革に当たっては、国と地方の協議の場を活用し、地方の意見を適切
に反映すること
(9)消費税・地方消費税の税率引き上げに伴う課題への対応
【内閣官房、総務省、財務省、厚生労働省】
平成 26 年度から段階的に税率が引き上げられることに伴う次の諸課題につい
て、今後、国・地方が相互に協力しながら、対応すること
ア 消費税収等の使途
消費税収及び引き上げ分の地方消費税収については使途が制限されることとな
ったが、現行分の地方消費税収にあっては、引き続き使途を制限しないこと
また、消費税率引き上げ分(地方分)を社会保障財源化する際には、国制度に
22
伴う地方負担分とせず、地方単独分の財源として確保すること
イ 低所得者層への配慮
消費税等の税率引き上げにより、低所得者層ほど税負担が重くなるという「逆
進性」が高まるとの指摘について、十分な実態的、理論的な分析を行うこと
その結果、配慮が必要と考えられる場合には、そのメリット・デメリットを国
民に明らかにした上で、緩和措置を検討すること
ウ 中小事業者への配慮
取引上不利な地位にある中小事業者において、消費税等を円滑かつ適正に転嫁
できるよう、転嫁や価格表示に関するガイドラインの策定、下請事業者に対する
不公正な取引の取締りや監視の強化などの対策を実施すること
また、軽減税率の導入の際には、インボイス制度の導入が必要であると考えら
れるが、中小事業者の事務負担が増えることが予想される点も考慮すること
エ 価格表示の外税方式への変更
価格表示については、今回の消費税の引き上げに際して、一定の場合について
外税方式が認められたところであるが、納税者にとって消費税額が明確となるよ
う、総額表示義務の弾力的運用にとどまらず、外税方式を基本とすること
オ 「人口」を重視した地方消費税の清算基準の検討
地方消費税の都道府県間の清算基準については、このたびの税率引き上げが社
会保障費の財源確保を目的としていることや消費が多様化しているという社会の
実情も踏まえ、実際の消費者である「人口」の比率を高める方向で見直すこと
【現行の清算基準】
指 標
小売年間販売額(商業統計)とサービス業対個人
事業収入額(サービス業基本調査)の合計額
人口(国勢調査)
従業者数(事業所統計)
ウエイト
6/8
1/8
1/8
(10)社会保障・税番号制度の効果的・効率的な整備
【内閣官房、総務省、財務省、厚生労働省】
社会保障・税に関わる番号制度について、本制度の目的である行政運営の効率
化及び国民の利便性の向上に資するため、以下の措置の実施を求める。
ア 効果的・効率的な制度への拡充
(ア) 個人番号カードの機能向上
国民の利便性の向上や行政運営の効率化等を実現するために、当初から年金、
医療保険、介護保険等の保険証機能を盛り込むなど個人番号カードの機能向上
(イ) 既存組織の活用
社会保障・税番号制度のシステム開発・整備にあたっては民間活用を図ると
ともに、既存の組織等を活用し効率的に整備
(ウ) 利用事務の拡充
社会保障・税番号の地方公共団体の独自利用については、社会保障、地方税、
防災その他これらに類する事務で条例に規定することにより当該地方公共団
体内に限り可能とされているが、多くの地方公共団体が地域の実情に応じて、
23
福祉、医療、健康、地域振興などの各分野で既に幅広く実施している事務につ
いては、利用事務として法令化
(エ) 非常時における対応策の構築
社会保障・税番号制度が国・地方公共団体の業務に導入されることに併せ、
東日本大震災のような自然災害などにより個人番号カードを消失した場合に
おける個人番号確認の柔軟な運用等の対応策の構築
イ 社会保障・税番号制度のシステム導入に係る経費の適切な負担
国が社会保障・税番号制度のシステムの基盤として整備する情報提供ネットワ
ークシステムの運用に必要な経費や、社会保障・税番号制度において地方税や年
金給付等の情報が相互利用されることに伴い必要な地方公共団体の関連システム
の改修に要する経費については、国が負担
ウ 円滑な導入に向けた制度の一層の周知
制度の導入にあたっては、国民の理解を得ることが重要であることから、ホー
ムページや広報誌などの各種メディアを活用した広報活動や、全国各地でのシン
ポジウム・説明会等の開催など制度の一層の周知
エ 社会保障・税番号制度を支える住民基本台帳ネットワークシステムの拡充
社会保障・税番号制度において、個人番号利用事務の処理にあたっての本人確
認情報の活用が制度化されたことに伴い、地方公共団体における住民基本台帳ネ
ットワークシステムの利用が大幅に増加することから、増加に伴う経費について
適切な支援
2 地域の医療確保体制の充実に向けた仕組みの構築
新医師臨床研修制度への移行を契機として、医師の偏在による勤務医の不足が県内
各地で顕著となり、特に、小児科、産科、麻酔科等の診療科での医師不足など、地域
医療を取り巻く状況は一層深刻なものとなっていることから、将来にわたり、地域で
の適切な医療が提供されるよう、地域の医療確保体制を整えるため、以下の措置の実
施を求める。
(1)医師の地域偏在・診療科偏在を是正する仕組みの構築【文部科学省、厚生労働省】
へき地や産科・小児科等における医師不足の解消に向け、地域別、診療科別需
給状況等、都道府県ごとの地域事情を踏まえた医学部入学定員増など、国の責任
による医師の適正な配置がなされる仕組みの構築
ア 医師の量的確保を図るための既設大学医学部の入学定員増や大学医学部の新設
イ 診療科偏在対策のための診療科別の定数管理制度などの導入
・本県は、国の医学部入学定員の緊急臨時的増員を活用し、平成 25 年度において神戸
大の入学枠を 2 名増員し、計 14 名(神戸大 10 名、鳥取大 2 名、岡山大 2 名)の入学枠
を新設したものの、本県大学医学部定員 225 人に対し、臨床研修医定員数は 378 人で
あり、依然として医師需給に大幅な不均衡が生じている状況
・本県独自で、特定診療科の偏在対策として、後期研修医並びに後期研修終了後の医師
の県採用制度を実施しているものの、その確保は極めて厳しい状況
24
(2)臨床研修病院の指定、研修医受入定員調整に関する制度の変更【厚生労働省】
国が一方的に定めている臨床研修病院の指定、研修医受入定員調整について、
都道府県が地域事情や政策的必要性も勘案して設定できる制度への変更
ア へき地とそれ以外の地域に所在する臨床研修病院をグループ化して循環型研修
を行うプログラムを設定し、当該プログラムでの研修希望者が研修定員を超過し
た場合、超過分を都道府県全体の定員枠の調整分として認めること
イ いわゆる地域枠出身の臨床研修医は個々の臨床研修病院の研修医受入定員枠の
とは別枠で扱い、都道府県の裁量で配分できるようにすること
・本県の各病院の定員枠合計の 378 人で、国が定める平成 25 年度臨床研修医募集定
員上限枠の 338 人に対し、本県定員枠が超過しているため、本県には定員増の裁
量の余地が無い状況(定員増のためには、同数の定員減が必要)
・国の医学部入学定員の緊急臨時的増員も含めた、いわゆる地域枠出身の臨床研修
医も各病院の定員の内数として処理されているため、へき地等における医師不足
病院において、現状以上の臨床研修医数の確保が困難な状況
(3)地域の実情や課題に応じた病床の確保【厚生労働省】
ア 医療計画で定める基準病床数について、地域の実情や課題に応じて算定できる
よう、算定式に用いる数値の指定や上下限の制限の撤廃
イ 医療計画公示後に特別の事情等が生じた場合に、病床過剰圏域における病院・
診療所の開設・増床の許可に関する厚生労働大臣との事前協議及び同意の廃止
(4)救急、小児、周産期医療等地域における基幹的な役割を果たす県立病院への支援
強化【総務省】
高度専門的な政策医療など不採算医療等に対する地方財政計画での繰出基準の
引き上げ、及び繰出基準に見合った交付税措置
【病院事業繰出金の交付税算入率(平成 21 年度決算)
】
・38.5%(全都道府県)
※全国知事会調べ
3 疾病対策・健康対策の推進【主要】
難病特定疾患に罹患している患者とその家族の生活向上を図るとともに、受動喫煙
防止や違法ドラッグ対策について、以下の措置の実施を求める。
(1)特定疾患治療研究事業における都道府県の超過負担の解消等【厚生労働省】
ア 原則 1/2 を補助すべき国の負担が実質 1/4 程度となっている特定疾患治療研究
事業の都道府県の超過負担の解消(なお、本県では、超過負担額を「難病国庫補
助金不足補填金」と明確にして予算計上)
特に、現在検討されている制度改定については超過負担を解消したものである
こと
イ 受給者証の更新期限の延長、自己負担限度額区分決定の簡素化など、患者等の
25
負担を軽減するための事務手続きの抜本的な見直し
【特定疾患治療研究事業の所得区分取扱変更(平成 21 年度)の概要】
・すべて「一般」としていた高額療養費の所得区分を「上位所得者」
「一般」
「低所得
者」に細分化し、区分毎の自己負担限度額を設定(
「上位所得者」は自己負担額増、
「低所得者」は自己負担額減。
)
【22 年度全国衛生部長会調査結果】
・
「低所得者」区分の患者の割合が多く、自己負担額の一部を助成する公費負担も減少
する見込みであったが、
「低所得者」区分該当者が国の想定を下回っていたことによ
り、平成 21 年度実績では公費負担額は減少していない。国は公費負担減少を見込ん
で予算を減額した結果、都道府県の超過負担が増加することとなった。
(H22 決算見
込 本来交付額 26 億、交付見込額 14 億、県超過負担額 12 億)
・加えて、申請に関する患者の負担増に加え、所得区分の照会に伴う受給者証発行の
遅延、都道府県の事務作業の膨大化、医療保険者における作業量の増加などが発生
【3 大臣合意事項(平成 25 年 1 月 27 日)
】
・平成 26 年度予算において超過負担の解消を実現すべく、法制化その他必要な措置につい
て調整を進める。
・平成 25 年度予算において、平成 24 年度予算における国費不足額を下回るよう所要額を
計上する。
(2)難治性疾患対策の充実【厚生労働省】
関節リウマチなど、長期にわたり高額療養費が必要となる難治性疾患について、
医療費負担を軽減するため、高額療養費制度における年間負担上限額の早期設定
(3)肝炎治療特別促進事業の充実【厚生労働省】
ア 肝炎患者が利用しやすいインターフェロンの少量長期投与の医療費助成制度へ
の対象化
イ インターフェロンのアンプル小型化開発の製薬会社への働きかけ
(4)予防接種の充実【厚生労働省】
定期予防接種の国における全額財源措置及び高齢者用肺炎球菌ワクチン、水痘、
おたふくかぜ、B 型肝炎の予防接種の早期定期接種化
また、成人を中心に全国で流行している風しんに対する任意の予防接種への国
の財源措置
(5)受動喫煙防止に関する法規制の導入【厚生労働省】
本県では、不特定又は多数の者が利用する公共的な施設における受動喫煙防止
について、平成 24 年3月に条例を制定し、平成 25 年4月に施行したが、たばこ
の規制に関する世界保健機関枠組条約の批准国として、国においても、罰則を伴
う義務を課す法規制の導入
(6)違法ドラッグ対策の強化【厚生労働省】
違法ドラッグ製品の使用による健康被害や事故が多発していることから、販売
店等への効果的な指導取締りができるよう、以下の措置を実施
ア 地方衛生研究所の検査機器整備や標準品確保等検査体制充実への支援
イ 違法ドラッグに関する啓発資材の提供
26
4 医療制度の安定運営の確保
将来にわたり国民皆保険制度を維持するため、国を保険者として、乳幼児から高齢
者に至る全国民を対象とする各種医療保険制度の一本化を図るべきであり、一本化が
達成されるまでの間にあっては、現行制度に必要な改善を加えながら維持すべきであ
るため、以下の措置の実施を求める。
(1)国を保険者とする各種医療保険制度の見直し[再掲P20]
【厚生労働省】
ア 現在の医療保険制度は、制度間で加入者の年齢構成や所得基準に格差があり、
保険料負担に格差が生じていることから、将来にわたり国民皆保険制度を維持し
ていくには、
分立している医療保険制度を一本化し、
制度設計と財源確保の責任、
権限を有する国を保険者とすること
イ 医療保険制度の一本化にあたり、医療費格差など地域の実情を保険料率に反映
できるよう、都道府県知事が保険料率を決定する仕組みの創設
ウ 後期高齢者医療制度を廃止すれば、高齢者医療費の大部分を国保が負担するこ
とになることから、当面制度を維持するとともに、市町村国民健康保険の当面の
課題である赤字構造の解決策について検討すること
エ 制度の検討にあたっては、地方公共団体や関係団体との十分な協議の場を設け、
理解を得た上で実施
オ 制度改革にあたり国の負担を地方に転嫁することのない財源確保
(2)後期高齢者医療制度の改善【厚生労働省】
ア 後期高齢者支援金の総報酬割の導入について、国民健康保険を加えるべき
イ 被用者保険の対象者について、75 歳到達時の後期高齢者医療制度への加入に関
する選択制の導入
ウ 保険料算定を個人単位から世帯単位に変更し、世帯主又は扶養者が負担する制
度の創設
エ 高額所得高齢者の保険料限度額の引き上げを検討
オ 後期高齢者の健診事業の実施義務化
(3)国における福祉医療費公費負担制度の創設【厚生労働省】
全都道府県が実施し、医療に関わるセーフティネットとして必要不可欠となっ
ている重度心身障害児(者)
、乳幼児、ひとり親家庭、高齢者等の福祉医療費公費
負担制度の国における早期制度化及び制度化されるまでの間における地方交付税
措置も含めた十分な財政措置の実施
(4)国民健康保険の財政基盤強化のための国による財源確保【厚生労働省】
ア 所得激減による国民健康保険料(税)減免の国制度の創設
近年、低所得者の所得に対する保険料(税)の負担割合が高まっており、低所得
者の保険料未納問題が大きな課題となっている国民健康保険料について、所得激
減による減免の国制度の創設及び国庫による当該減免に必要な財源の措置
27
【保険料(税)の申請による減免制度(現行)
】
条例の定めるところにより市町長の権限で行う
対 象:所得が前年に比べて大幅に減った世帯等
財 源:一般会計繰入金(一般財源)または保険料(税)
※ 国庫による財源の補填なし
イ 保険基盤安定制度の拡大にともなう国庫負担の導入
社会保障と税の一体改革に伴い、市町村国保の財政基盤強化策として提示され
た、保険基盤安定制度の拡大や保険者支援制度の拡充について、国と地方の負担
割合の明確化
ウ 地方単独福祉医療費助成制度の実施に伴う国民健康保険の国庫負担金減額措置
の廃止
重度心身障害児(者)
、乳幼児、ひとり親家庭、高齢者等の医療費の一部を助成
するため地方が単独で実施している福祉医療費助成制度について、医療費を増大
させる一因と捉え実施されている国民健康保険の国庫負担金減額措置の廃止
5 安定した高齢者福祉・介護体制の確保【主要】
安定した高齢者福祉・介護体制を確保し、豊かな長寿社会を実現するため、以下の
措置の実施を求める。
(1)高齢者の総合的な支援体制の構築【厚生労働省】
高齢者がいきいきと安心して暮らすことができるよう、介護サービスや医療サ
ービスの充実、施設職員、地域の人々、生活援助員(LSA)による見守り、地
域包括支援センターによる総合相談・介護予防等が総合的に機能する仕組みの構
築
(2)介護保険制度における給付・負担の抜本的見直し[再掲P21]
【厚生労働省】
ア 市町村がサービス提供に責任を持つ介護保険の地域支援事業において、健康づ
くり等による介護予防や生活支援などの実施体制作りを進め、地域包括ケアシス
テムを実現しつつ、要支援の者についても地域支援事業の対象とするとともに、
保険給付の対象を要介護1以上の者に重点化
イ 在宅サービスの充実・強化により、誰でも望めば在宅で暮らし続けられる環境
を整備するとともに、特養等における看護師や介護職員の配置数の充実等により、
重度化への対応を図った上で、現在、要介護1以上となっている施設入所対象者
を、将来的には、原則要介護3以上の者に変更
ウ 高所得の1号被保険者について、標準最上段階である第6段階より高い段階の
区分設定をし、保険料率を引き上げ
エ 中低所得の1号被保険者の保険料負担軽減のための財政調整制度を国の制度と
して設置
28
(3)介護保険制度内容の見直し【厚生労働省】
ア 介護サービス情報公表制度について、報告・公表業務に係る経費の全額国庫負
担等
イ 信頼できる有料老人ホームを確保するため、設置について届け出制から許可制
へ見直すとともに施設の基準を法令で規定するなど、法的規制の強化
ウ 介護保険料を、現在の個人単位から世帯単位での徴収に変更
エ 介護納付金について、費用負担の応能性や公平性の観点から、所得に応じて負
担する総報酬割に変更
オ 低所得者対策が実効性のあるものとなるよう、法令により制度化し、全事業者
に義務づけるとともに、必要な財源を措置
カ 介護基盤整備の推進及び介護職員の処遇改善にむけた継続的な取り組み
キ 高齢者の多様なニーズに対応するため、小規模多機能型居宅介護事業所、定期
巡回・随時対応型訪問介護看護サービス等、地域密着型サービス事業所の整備支
援の継続
ク サービス提供内容に応じた施設サービス費の設定となるよう、平成 24 年4月
1日後に新設された多床室のみに適用される介護福祉施設サービス費(Ⅲ)の見
直し
ケ ケアプランの点検・評価を市町から委託を受けた専門家により構成された第三
者機関が評価する仕組みを介護保険制度内において構築し、必要なサービスが確
実にプラン化される仕組みとする
コ 介護給付費に返還金・加算金等が生じた際、被保険者の過度な負担とならない
よう、保険者が一定期間徴収努力をしてもなお徴収できない場合は不納欠損処理
を行い、介護給付費負担金として算定が行えるよう制度化
サ 特別養護老人ホームにおける看護職員の配置基準の引上げ(増員)及びそれに
伴う人件費増の介護報酬への反映
シ グループホームに入居している高齢の障害者が特別養護老人ホームに入所した
場合の障害者総合支援法に基づく居住地特例の継続適用
(4)高齢者住宅に限定しないLSA等配置の制度化【厚生労働省】
ア 特別養護老人ホームに生活援助員を24時間配置し、要介護認定を受けていな
い者や軽度者も対象とした支援を行うことによる地域包括ケアシステムの構築
イ 震災復興基金により設置している高齢者世帯生活援助員の経験を踏まえ、高齢
者の見守りを行う社会福祉士等を地域包括支援センターに追加配置し、地域のコ
ミュニティづくりを支援
【地域包括支援センター】
高齢者の多様なニーズや相談に総合的に対応し、必要なサービスを包括的・継続的
に調整する地域の拠点として設置
・設置主体: 市町、市町から委託を受けた社会福祉法人等
・職員配置基準: 保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャー(地域の実情に応じてこ
れら以外の職員を配置することも可能)
29
【兵庫県内におけるLSA等に関する取組】
○地域サポート型特養の認定(兵庫県)
・特養の民間活力と専門性の高い技能を活用することにより高齢者の在宅生活の更
なる延長を図る
・LSA 等を配置して地域住民を対象に、兵庫式 24 時間 LSA 地域見守り事業(法人と
個人の契約による 24 時間体制の見守り)及び介護技術講習会や介護者のつどい等
の在宅支援事業を実施
○見守り推進員の配置(神戸市)
・各地域包括支援センターに、高齢者世帯生活援助員(SCS)等の見守り推進員を配
置し、見守りだけでなく地域づくり(コミュニティづくり)を推進
(5)地域包括支援センターが行う事業の充実【厚生労働省】
ア 地域包括支援センターが行う介護予防ケアマネジメントや認知症高齢者の見守
り・支援など事業充実に必要な人員配置を行うため、地域支援事業の介護給付見
込額における事業経費枠の拡大
イ 新たに導入された、介護予防・日常生活支援総合事業について市町の取組の推
進を図るため、全国の先駆的取組事例の情報提供
【介護予防・日常生活支援総合事業】
介護保険法改正に伴い、平成24年4月より地域支援事業に創設された事業であり、予防
サービス(通所型・訪問型)、生活支援サービス(配食、見守り等)、ケアマネジメント
等を、要支援者・二次予防事業対象者に対して総合的に実施する。
(6)重度者にも対応できる在宅サービスの普及
ア 24 時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び複合型サービスの普及
【厚生労働省】
定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び複合型サービスの普及に向けた適切な
運営基準等の設定
イ サービス付き高齢者向け住宅における介護サービスの充実
【国土交通省・厚生労働省】
サービス付き高齢者向け住宅の大半が食事の提供等を行うことなどにより有料
老人ホームにも該当しているが、登録制度のみで有料老人ホームとしての届出が
免除されているため、登録前の段階から一般の有料老人ホームと同様に設置運営
標準指針に基づく指導を行えるよう法的整備
また、サービス付き高齢者向け住宅の建設に伴う特定市町の介護保険料の上昇
をさけるため、有料老人ホームと同様に入居者の入居前の住所地の市町村を介護
保険の保険者とする住所地特例の適用
ウ 県営住宅等における居宅サービス事業の推進【国土交通省】
現在、グループホーム事業等に対して包括的に認められている県営住宅等の目
的外使用承認について、小規模多機能型の居宅サービス事業を実施する場合にも
認められるような弾力的な運用
30
(7)認知症施策の充実強化【厚生労働省】
ア 認知症対応医療機関及び認知症サポート医の増加に向けた方策の導入
・認知症サポート医の活動に対する必要な財政措置
イ 総合的な若年性認知症対策の推進
若年性認知症の人が抱える医療・介護・就労等の課題に対して適切に対応できる
よう、総合的な支援対策の推進
・課題やニーズ等の把握に向けた全国的な実態調査の実施
・適切な診断や医療面でのフォロー、若年性に対応したデイサービス及び就労
支援や社会参加を一体的に取り組むモデル事業の実施及び制度化
・アルツハイマー新薬の更なる開発への支援
【若年性認知症対策の課題】
・対応できる医療機関が少なく、適切な診断やフォローが行われにくい。
・介護サービスの対象となるが、若年性に対応したデイサービス等が少ない。
・就労や社会参加に向けた支援施策が少ない。
・収入面での保障が必要。
ウ 都道府県が行う認知症施策の充実
都道府県が広域的、専門的事業が柔軟に実施できるような財政措置や国庫補助事
業の弾力的な運用
(8)新たな地域リハビリテーション制度の構築【厚生労働省】
住み慣れた地域でリハビリから介護まで必要な支援を一体的に受けられるため
に、高齢者の心身機能の低下予防や疾病等による機能回復を図る介護予防事業と
保健・医療が連携した地域リハビリテーション制度の構築
【兵庫県における地域リハビリテーションの取組】
・各障害保健福祉圏域の支援センター(但馬長寿の郷等)と保健所が連携し、圏域
のリハビリ施設に対する指導・研修の実施及び関係機関のネットワークの構築
・全県支援センター(県立総合リハビリテーションセンター・西播磨総合リハビリ
テーションセンター)を設置し、圏域の支援センターへの専門的リハの提供及び
リハ資源の調査研究・情報提供を実施
(9)不動産担保型生活資金貸付制度(リバースモーゲージ)の改善【厚生労働省】
全国的に低調な貸付件数にとどまっている不動産担保型生活資金について、高
齢者が、自らの資産を活用し、慣れ親しんだ住まいで安心して暮らすための仕組
みとして浸透・定着するよう、土地のみとなっている貸付限度額の評価対象につ
いて、建物本体やマンションも対象とする等利用促進に向けた制度改善
(10)福祉・介護分野における人材の安定的な確保【厚生労働省】
ア 国において、適切な給与水準の確保、研修修了者の配置に対する介護報酬の加
算の拡充等キャリアアップを支援するための仕組みの充実
イ 介護職員をはじめ福祉人材確保のためのキャリアアップ支援、及び、福祉・介
護サービスの周知・理解促進の継続・充実のための緊急雇用創出事業臨時特例基
金(住まい対策拡充等支援事業分)の継続と積み増し
31
ウ 介護職員の確保を目的とする事業所内保育施設の設置費及び運営費助成の定員
要件(定員6人以上)について、院内保育施設運営費補助と同等の定員要件(A型特
例:保育児童1人以上)への緩和
(11)社会福祉施設等の指導監督権限の一般市への移譲【厚生労働省】
社会福祉法人・社会福祉施設等に対する一体的、効率的な指導監督が可能とな
るよう、現在政令市・中核市までとなっている施設等の指導監督権限を一般市へ
早期に移譲
6 音楽・園芸療法の社会的な定着への支援
音楽・園芸が人々の心身を癒す働きに着目した音楽・園芸療法の社会的な定着を図
るため、以下の措置の実施を求める。
(1)音楽療法士の統一的な資格制度の創設【厚生労働省】
質の高い音楽療法を提供できる音楽療法士を確保するため、理学療法士、作業
療法士、精神保健福祉士等の医療・福祉資格と同様の統一的な資格制度の創設
【音楽療法士の資格制度の状況(平成 25 年 3 月末現在)
】
・地方自治体や民間団体がそれぞれ独自の資格制度を設けており、その数も限定
されているほか、技術レベルも平準化されていない。
(兵庫県) 301 名
(他の自治体) 岐阜県 814 名、奈良市 15 名、桑名市 29 名
(日本音楽療法学会) 2,426 名
(2)音楽療法の効果に関する研究の支援【文部科学省】
音楽療法の医学的エビデンスの確立に向け、音楽療法の疾病への効果を科学的
に検証する研究に対する支援
(3)園芸療法士の統一的な資格制度の創設【厚生労働省、国土交通省】
園芸療法の技術水準の確保と健全な普及を図るため、必要な知識と技術を有す
る国内統一的な認定制度の確立及び新たな国家資格の創設
【園芸療法士の資格制度の状況(平成 25 年 3 月末現在)
】
・民間団体や一部の大学等がそれぞれ独自の資格制度を設けており、その数も限
定されているほか、技術レベルも平準化されていない。
(兵庫県) 133 名
(他団体) 全国大学実務教育協会 1,583 名、日本園芸療法学会 60 名
(4)園芸療法の効果に関する研究の支援【文部科学省】
園芸療法の医学的エビデンスの蓄積を図り、園芸療法の効果を科学的に検証す
る研究に対する支援
32
7 障害者の安心につながる制度改革の実現
障害者総合支援法をはじめとする、新たな障害者福祉制度の構築にあたり、制度を
適切に実施するため、以下の措置の実施を求める。
(1)制度改革にあたり現場に混乱が生じないような配慮【内閣府、厚生労働省】
ア 障害者福祉制度の実施主体である地方自治体との協議の場の設置と地方意見の
十分な反映、制度改革の工程表の提示、新たな制度移行への十分な準備期間の確保
イ 制度改革に伴い地方自治体に新たな負担を生じないような制度設計、及び必要
な財源についての国の責任による措置
ウ 新たな制度が構築されるまでの間に支援の切れ目が生じないよう暫定対策の実施
(2)障害者の安心につながる具体的な制度改革【厚生労働省】
ア 利用者負担の軽減等
・低所得者(市町民税非課税)の自立支援医療及び医療型障害児施設の医療費に
ついて、利用者負担が無料である障害福祉サービスに合わせて、利用者負担
の無料化
・サービスの重複利用について、障害福祉サービスと補装具の利用者負担の合
算に加え、自立支援医療も合算した上限額の設定
・障害支援区分は、認定調査項目や判定プロセスを、地方自治体、事業者及び
利用者団体の意見を踏まえ障害の特性を加味した適切な制度へ見直し
・グループホーム・ケアホーム入居者の家賃補助の上限額を平均家賃(月額
23,000 円)まで増額
・重度障害者の在宅生活を支えるための訪問看護サービスの創設
・身体障害者手帳の交付対象でない軽度・中度難聴児に対する補聴器の購入助
成制度の創設
イ 事業者の経営基盤強化
・一般労働者並みの賃金の支給や、事業所運営に必要な固定経費が確保できる
報酬単価の引き上げ等、事業者の経営基盤の強化
・地域移行を促進するグループホーム・ケアホームについて、一元化にあたっ
ては、
重度障害者にも手厚いサービスが確保できる職員配置を行うとともに、
それに見合った報酬単価の設定
ウ 地域生活支援事業の国の義務負担化等
・地域生活支援事業は、補助事業と位置づけられ十分な財政支援がなく、市町
の財政負担が大きいため、適切に事業が行えるよう国の義務負担化
・発達障害者支援センター等の運営費は、事業規模が大きいことから、地域生
活支援事業とは別に、新たな国の財政支援制度の創設
エ 障害者就労の拡大
・精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持者)の雇用義務化及び、これに伴
う障害者法定雇用率の 2.4%への引き上げを実現するため、就労機会の拡大
や障害者就業・生活支援センターなどが行う職場定着支援の拡充等の実施
33
・障害者の就業機会の増大及び円滑な職場定着を図るため、職場適応援助者(ジ
ョブコーチ〔特に、社会福祉法人等に雇用される第1号ジョブコーチ〕
)の計
画的な養成・増員に加え、職場適応援助者助成金の支給要件の緩和及び財源
措置の拡充
オ 小規模作業所への運営支援の強化
・重度の身体障害や盲ろう、精神などの特定の障害者のみが利用できるなどの
理由から「定員(10 名以上)
」を確保できず移行が困難となっている小規模
作業所について、障害者総合支援法への位置づけを行うとともに、運営経費
の必要財源の確保
・障害者総合支援法上のサービス(個別給付) への移行が困難な小規模作業所
や地域活動支援センターの運営の安定化を図るため、市町が実施する「地域
活動支援センター等運営補助」に係る支援措置の充実
カ 障害福祉サービス基盤整備の充実に向けた安定した恒久財源の確保
施設入所から地域生活への移行を円滑に促進するために重要な役割を担うグル
ープホーム等の基盤整備や障害福祉サービス事業所の運営の安定化などを図るた
め、安定した恒久財源の確保により、障害福祉サービスの基盤整備を充実
キ 精神障害者相談員の法制化
現在、法的な位置づけがない精神障害者相談員の法制化及び財源支援
ク 障害者の範囲の拡大
障害者総合支援法で障害者の対象に加わることとなった難病患者について、同
法施行令で定める 130 疾患のみならず、日常生活の支援が必要なものすべての対
象化
ケ 相談連携体制の整備
市町の総合的相談拠点としての基幹相談支援センターの設置促進のための人員
配置等の財源措置の拡充
コ 自閉症に特化した入所施設の新規開設の容認及び補助対象化
増加する自閉症児(者)に適切な処遇を行えるよう、自閉症に特化した入所施
設の新規開設の容認及び補助対象化
8 生活保護対策等セーフティネットの構築
生活の安心と安定を確保するセーフティネットを構築するため、以下の措置の実施
を求める。
(1)新たな生活困窮者支援制度の構築と生活保護制度の抜本改正[再掲P22]
【厚生労働省】
ア 生活困窮者の状態に応じた支援施策の効果的な提供、利便性等を考え、職業紹
介、就労訓練、家計支援、住宅確保支援、貧困の連鎖防止対策など、各サービス
をワンストップで提供する事業の早期実施
イ 生活困窮者に対する就労準備支援事業と中間的就労事業との関係を整理し、双
方の義務化を含めた位置づけの検討
34
ウ 自立更生計画に基づき期間を設定して保護する制度の創設及び指導に従わず就
労自立の努力を怠った場合、その程度に応じて保護を停止、廃止、保護費を減額
する制度の創設
エ 新たな就労機会の創出のため、公共事業の活用や被保護者を雇用した企業に雇
用奨励金を支給する制度の創設
オ 生活保護の医療扶助に係る医療機関の窓口での一部自己負担、及びその費用と
して一定額を保護費に上乗せする制度の創設
カ 緊急雇用創出事業臨時特例基金による住宅支援給付事業、生活保護受給者就労
支援事業及び社会的包摂・
「絆」再生事業(いずれも平成 25 年度まで)の全額国
庫負担による平成 26 年度までの事業期間延長及び法整備によりこれらの事業が
恒久化された際の全額国庫負担の維持
(2)新たな生活困窮者支援体制の強化【厚生労働省】
ア 新たな生活困窮者支援事業の実施に係るNPO等民間団体の育成
イ 福祉事務所設置自治体による中間的就労事業の実施にあたり、福祉事務所が認
定した社会福祉法人やNPO法人等への委託を可能とし、その際の具体的な認定
基準を明示
ウ 金銭管理能力がない者に対する本人や家族の申請に基づく生活費管理制度の創
設
(3)生活保護受給者に対する就労・自立支援対策の強化【厚生労働省】
ア 生活保護制度の適用を真に必要な者に特化するため、母子・父子家庭への支援
や高齢者福祉対策等を充実させるとともに、生活保護制度における就労支援対策
等の重点化
イ 稼働能力の有無の多角的かつ客観的判定のため、主治医以外の医師や精神保健
福祉士等による判定会議の福祉事務所への設置
ウ 稼働能力はあるが直ちに一般就労を目指すことが困難な者について、中間的就
労事業への参加を義務づけ
エ ハローワークを都道府県へ移管するとともに、福祉事務所への職業紹介機能の
付与による、相談から職業紹介まで一貫した就労支援の実施
オ 被保護者に対し、健康診断の受診など健康管理、並びに日常生活及び社会生活
の自立に向け努力するよう福祉事務所が指導・指示できるよう、生活保護法第 27
条の適用基準を明確化
カ 健康相談等の助言指導を行う専門職員の設置は交付税措置ではなく、就労支援
員等の取扱いと同様に補助金等により対応
キ 高齢の受給者の見守り、受給者の日常生活上のトラブルへの対応等を担う民間
団体の発掘や育成
ク 保護受給世帯の子どもの高校進学を支援し、貧困の連鎖を防止するため、高等
学校等就学費を教育扶助に位置づけるとともに、高校進学塾に通えるよう教育扶
助の学習支援費を増額
ケ 子どもの学習支援や進学への意欲助長、高校進学後の就学フォローのため活動
するNPOの育成
35
(4)生活保護に係る適正化対策の強化【厚生労働省】
ア 住宅確保が困難な低所得者を狙った貧困ビジネスの防止のため民間賃貸住宅・
公営住宅の現物給付の実施
イ 保険医療機関を生活保護の指定医療機関とみなすとともに、指定取消処分につ
いても両者を連動させる制度の創設
ウ 指定医療機関への指導監督を徹底するため都道府県の指導監査体制を強化
エ 民間事業者による生活保護法第 29 条に基づく調査への協力の義務化、
並びに金
融機関の本店一括照会方式の証券会社等への拡大
オ 不正受給に係る返還義務を確実に履行させるため、本人からの申し出の有無に
関わらず不正受給に係る返還金と生活保護費との調整
カ 悪質な不正があった場合の保護の停止・廃止等不正受給に対する制裁措置の強
化
キ 保護の実施機関で取扱いに差が生じることがないよう、扶養義務者の扶養能力
の有無及び扶養の程度に係る一定の判断基準の策定
ク 災害時における義援金等の収入認定除外
(5)
「生活福祉資金貸付事業」実施における国全額負担の継続【厚生労働省】
貸付原資、欠損補てん積立金及び事務費(相談員の配置)について、資金需要
への対応、相談支援体制の充実のため、平成 26 年度以降も引き続き全額国負担に
よる財政措置
(6)外国籍無年金者に対する救済措置の実施【厚生労働省】
日本国籍を有していなかったため国民年金の受給権を有していない在日外国人
(高齢者・障害者)に対する救済措置の早期実施
9 自殺対策の充実強化
昨年の兵庫県内自殺者数は、4 年ぶりに 1,300 人を下回り、平成 10 年に急増して以
降、最も少ない数であった。さらに減少が継続するよう、増加傾向にある若年層やう
つ、失業者、自殺未遂者等への実効性のある取組を充実・強化していく必要がある。
国において自殺対策を着実に行われるよう、以下の措置の実施を求める。
(1)地域における自殺対策の充実強化【内閣府、厚生労働省】
市町における自殺対策への体制強化も含め、地域における自殺対策の充実強化
を図るため、地域自殺対策緊急強化基金の平成 27 年度以降の継続と積み増し
(2)うつ病対策強化への支援【内閣府、厚生労働省】
ア うつ病対策として、特定健診におけるうつ病チェックの義務化
イ うつ病患者に有効とされる認知行動療法を普及させるため、医師の指導監督の
もと精神保健福祉士等による実施が可能となるよう診療報酬の見直しや研修の充
実
36
(3)失業者の自殺防止のための連携体制の整備【内閣府、厚生労働省】
失業者のこころの健康保持対策を推進するため、県、市町とハローワーク等と
の連携した体制の整備
(4)自殺対策に係る啓発の充実【内閣府、厚生労働省】
全国ネットでの自殺対策に係るテレビCMの放映、ポスター作成など効果的な
キャンペーン等の充実
(5)救命救急センター等での精神保健福祉士等の配置促進【内閣府、厚生労働省】
救命救急センター等に搬送された自殺未遂者に対して再度の自殺企図を防止す
るため、専門医や地域の相談窓口につなぐ精神保健福祉士等の配置が可能となる
よう診療報酬の改定
10 地域の安全安心体制の強化
女性や子どもを狙った凶悪犯罪や振り込め詐欺等の多発、犯罪のグローバル化、組
織化など、
増大する地域住民の治安に対する不安の解消に向けた取組を推進するため、
以下の措置の実施を求める。
(1)犯罪被害者等に対する支援の充実【内閣府】
ア 犯罪被害者等給付金など各種経済的支援制度の充実、及び加害者の損害賠償債
務の国による立て替え払い制度や低利・長期の生活資金融資制度の創設
イ 犯罪被害者に対する被害直後や中長期的な居住場所の確保
ウ 犯罪被害者等が直面している問題についての国民の理解促進、及び民間の犯罪
被害者等支援団体が行う活動への支援の充実
(2)厳しい治安情勢に的確に対応するための警察官の増員【国家公安委員会、警察庁】
治安情勢に対応するための増員及び県単独警察官の政令定数化
(3)警察装備等の整備推進【国家公安委員会、警察庁】
ア 犯罪のグローバル化や警察事象の複雑多様化、更には暴力団情勢等近年の治安
情勢に的確に対応するため、DNA 型鑑定資機材を初めとする警察装備資機材・警
察車両・警察用航空機(小型双発ヘリコプター)等の増強整備や、警察署の耐震化、交
通安全施設、交通違反取締装置、交通事故自動記録装置等の計画的整備の推進
イ 原発周辺の被災地に派遣される部隊の搬送や現場活動に使用する車両及び装備
資機材更には近隣県の原子力発電所の事故に備えた放射線関連資機材(サーベイ
メーター等)の増強整備
ウ 発生が予想される東南海・南海地震や水害等の災害発生時における避難誘導や
行方不明者の捜索を効果的に行うための警察官の装備資機材(排水ポンプ、ゴムボ
ート等)の追加整備
37
(4)サイバー空間の安全確保の推進【国家公安委員会、警察庁】
増大するサイバー犯罪の取締り及びサイバー攻撃対策を強化するため、インタ
ーネットパソコン等の資機材の増設及び維持管理コストの補助金制度の創設並び
にサイバー捜査員育成のためのセミナー受講補助金制度、サイバー防犯ボランテ
ィア活動活性化基金の創設
(5)自転車保険への加入を義務付ける制度の創設【国土交通省】
近年、人対自転車の交通事故の発生件数が急増するとともに、その事故による
賠償金額が高額なため、被害者に対して十分な補償が行われない事案も見られる
ことから、自転車保険への加入を義務付ける制度の創設
11 食の安全安心の確保
食品流通のグローバル化や全国的な食品表示偽装事件の多発等に伴い、食品への
安全性に対する不安や不信感が依然として高いことから、食の安全安心の確保を図
るため、以下の措置の実施を求める。
(1)BSE 対策の推進【厚生労働省】
広く国民の理解と納得が得られるよう、各自治体と連携して、引き続き十分な
リスクコミュニケーション及びテレビ、新聞等のメディア媒体を活用した広報の
実施
また、BSE 検査については、全頭検査を実施する自治体としない自治体に対応
が分かれないよう、国主導による検査体制の調整
【食品安全委員会(内閣府)のBSEリスク評価書(H25.5.13 答申 抜粋)】
・BSE 検査対象を現在の 30 ヶ月齢超から 48 ヶ月齢超に引き上げたとしても、
リスクの差は非常に小さく、人への健康影響は無視できる 等
【厚生労働省のBSE対策(H25.4.19 国説明資料 抜粋)】
・BSE 検査対象月齢を 30 か月齢超から 48 か月齢超に引き上げる 等(H25.7.1 施
行予定)
(2)食の安全性を確保する制度の充実【農林水産省、消費者庁】
食の安全安心の確保に向けて、JAS法、食品衛生法、健康増進法等の食品表
示に関する一元的な法体系の整備等、消費者にわかりやすく事業者が取り組みや
すい食品表示制度や実効性ある食品表示監視制度の確立
(3)米のカドミウム汚染に対する助成制度の創設【農林水産省】
カドミウム濃度が高い米が生産される可能性のある地域において、カドミウム
吸収抑制栽培の徹底による営農努力にもかかわらず、結果としてカドミウム濃度
が基準を超えた場合の措置として、生産意欲の維持のための生産費用や汚染米の
処分費用に対する助成制度の創設
38
12 消費者対策の充実強化
消費生活相談体制の機能強化や消費者教育・学習等の充実等、消費者対策の充実強
化を図るため、地方消費者行政活性化基金制度の改善・充実をはじめとした以下の措
置の実施を求める。
(1)地方消費者行政活性化基金制度の改善・充実【内閣府、消費者庁】
消費者問題が複雑化・多様化する中、平成 21 年度から地方消費者行政活性化事
業基金を活用し、
全国で初めて県内全 41 市町に消費生活センターが設置されたが、
引き続き消費生活相談等の充実が必要なことから、基金について、さらなる財源
措置のうえでの恒久化、また使途の拡充、自主財源比率制限(1/2)の撤廃等、地
方自治体が地域の実情を踏まえた自由度の高い施策が行えるような制度への改善
【地方消費者行政活性化基金の概要】
・規模:全国 293 億円(平成 21∼25 年度当初予算までの累計)
・事業実施年度:平成 21 年度∼25 年度(事業ごとに更なる延長可)
・事業主体:県及び市町
・使途:消費生活相談員等の配置に必要な経費、都道府県による市町支援、
消費者教育推進法の成立を踏まえた消費者教育・啓発の促進、
消費者問題解決に向けた先進的・モデル的事業 等
(2)消費生活相談員に対する国の支援【内閣府、消費者庁】
消費生活相談員の待遇改善等については、消費者庁関連三法の施行(平成 21 年
9 月)後3年以内に必要な措置を講ずることとなっているが、相談員の継続的な雇
用や処遇改善を図るために必要な財源措置等の国の支援
【消費者庁及び消費者委員会設置法(平成二十一年六月五日法律第四十八号)附則】
4 政府は、消費者庁関連三法の施行後三年以内に、消費生活センターの法制上の位
置付け並びにその適正な配置及び人員の確保、消費生活相談員の待遇の改善その他の
地方公共団体の消費者政策の実施に対し国が行う支援の在り方について所要の法改
正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。
(3)適格消費者団体に対する国の支援【内閣府、消費者庁】
適格消費者団体による差止請求関係業務の遂行に必要な資金の確保については、
消費者庁関連三法の施行(平成21年9月)後3年以内に必要な措置を講ずることと
なっているが、適格消費者団体の差止請求活動に必要な財源措置等の国の支援
(4)消費者対策の充実強化に向けた取組への地方自治体の意見の反映
【内閣府、消費者庁】
地方消費者行政に対する国の支援や消費生活相談員の処遇改善のための制度の
あり方等の検討にあたり、地方意見の十分な反映
39
13 ユニバーサル社会実現に向けた施策の推進
高齢者や障害者を含むだれもが自由に移動し、住み慣れた地域で安心していきいき
と暮らし続けることのできるユニバーサル社会の実現に向け、以下の措置の実施を求
める。
(1)パーキングパーミット制度(身体障害者等用駐車場の適正利用)の推進
【厚生労働省、国土交通省】
パーキングパーミット制度は、平成 25 年5月1日現在で 30 府県において導入
され、
全国相互利用も実施されるなど全国的な広がりを見せているところであり、
制度拡充及び定着等への支援
(2)移動支援やコミュニケーション支援等の国の義務負担化【厚生労働省】
障害者総合支援法において、現在、国庫補助事業である地域生活支援事業とし
て実施されている通勤・通学の反復利用を含めた移動支援や、手話通訳、盲ろう
者通訳・介助員等の派遣、点訳・音声訳等のコミュニケーション支援事業等につ
いて、国の義務負担化
(3)鉄道駅舎のバリアフリー化の推進【国土交通省】
1日当たりの乗降客数が 3,000 人以上の駅舎のバリアフリー化を図るための予
算の確保
(4)ノンステップバス導入の推進【国土交通省】
乗合バス車両へのノンステップバス導入の推進を図るための予算の確保
(5)歩道の新設、バリアフリー化等の推進【総務省、国土交通省】
ア 交通事故多発区間や通学路などにおける歩道整備、福祉のまちづくり重点地区
などにおける波打ち歩道の解消等歩道のバリアフリー化を図るための予算の確保
イ 通学路で児童が巻き込まれる事故が相次いだことから、児童・生徒の生命を守
る通学路の歩道整備を促進するため、歩道整備に係る起債に対し、学校教育施設
の耐震化と同等の交付税措置を講じること(公共事業等債交付税算入率 現行
20%→60%)
(6)多文化共生の推進
ア 学校生活適応のための日本語習得に向けた取組に対する支援の充実
【文部科学省】
日本語指導が必要な外国人児童生徒の学校生活適応のための日本語習得及び日
本語習得に必要な母語学習の取組に対する指導員の設置等支援体制の整備
40
【子ども多文化共生サポーター】
・業務内容 日本語指導が必要な外国人児童生徒に対し、学校生活への早期適応、
学習支援等の支援
・配置校数 338校(22言語) (平成25年3月31日現在)
・派遣基準 在日歴36ヶ月未満の児童生徒が在籍する学校
イ 地域での日本語学習支援体制の整備【文部科学省、総務省、外務省】
日常生活に適応するために日本語習得が必要な在住外国人を対象とした日本語
教室への支援制度の創設
ウ 母語学習支援体制の整備【文部科学省、総務省、外務省】
親子間の言語ギャップの解消や帰国後の生活適応に向けた、外国人児童生徒に
対する母語教室や母語による学習教室への支援制度の創設
エ 医療通訳制度の創設【総務省、外務省】
診療時における言語や生活習慣等による制約を解消するため、情報提供や医療
通訳者の派遣、電話通訳など、全国的に利用できる効果的な医療通訳制度の創設
オ 電波法におけるコミュニティFMに対する規制緩和【総務省】
多文化共生社会を推進するため、地域において多言語により情報提供を行うコ
ミュニティFMに対して特例的に外国人役員の一部参加を認めるなどの電波法の
規制緩和
(7)情報通信基盤の整備等の強化【総務省】
地域住民が等しくICT(情報通信技術)がもたらす利便性を享受できるよう、
自治体の負担を軽減し、地域間格差を解消する情報通信基盤の更なる整備等のた
めの支援拡大
ア 「情報通信利用環境整備推進交付金」の予算の確保及び審査基準の緩和(公共
アプリケーションの利活用の弾力化、放送部分も対象、加入見込み目標の引き下
げ 等)
、携帯電話等エリア整備事業等と同等への補助率の嵩上(現行 1/3→2/3)
イ 民間参入を促進するため、超高速ブロードバンド整備にかかる助成制度の新た
な創設(上記アの交付金は公設のみ対象)
ウ 少子高齢化等の課題解決や地域の活性化のために、ICTを利活用するニーズ
が高まっていることから、地域の事情に応じたICT利活用事業に活用できる交
付金を創設(例:在宅高齢者等の見守り・遠隔健康相談などへのICT活用)
【超高速ブロードバンド整備率(平成 24 年 3 月末現在)総務省調べ】
県内 98.6% (全国 97.3%) ※超高速ブロードバンド利用可能世帯の率
【情報通信利用環境整備推進交付金の概要】
・助成対象 :超高速ブロードバンドの整備
・事業主体 :市町
・交付率
:1/3
・審査基準 :公共アプリケーションの利活用を前提とした基盤整備
通信に係る部分のみ対象。放送部分は対象外
加入見込みの目標が、2年後に整備対象世帯の 50%以上 等
41
14 人権擁護対策の推進
国において検討されている人権擁護のための法整備、戸籍謄本等不正取得事件への
対応にあたり、早急かつ適切に処理するため、以下の措置の実施を求める。
(1)人権擁護のための早急な法整備【法務省】
ア 国の人権擁護推進審議会答申「人権救済制度のあり方について」を踏まえ、戸
籍謄本等不正取得やインターネット人権侵害など繰り返し発生している人権侵害
について、簡易迅速で利用しやすい人権救済制度の創設が喫緊の課題となってお
り、司法的救済を補完し被害者の実効ある救済を図るための法整備(人権擁護の
しくみづくり)が不可欠であることから、人権擁護のための早急な法整備
イ 法整備にあたり、人権侵害の被害者に対して実効ある救済を図るための調停委
員会や仲裁委員会を設けるなど、地域での差別事象を適切に処理する地方組織体
制の充実
(2)戸籍謄本等不正取得事件の実態解明及び再発防止【法務省、総務省】
ア 司法書士等による戸籍謄本等不正取得事件が後を絶たない現状に鑑み、大量の
個人情報が流出するなど、看過し難い全国規模の人権問題であることから、人権
擁護の観点から、これらの事件の実態解明とともに、抜本的な再発防止措置のた
めの積極的な取組
イ 第三者が戸籍謄本や住民票の写し等を取得した場合の本人への通知について、
全国で統一的なシステムとして実施ができるよう、関係法律を改正し、本人通知
制度を法制化
Ⅲ 次代を担う人づくり
1 安心できる子育て環境の充実【主要】
誰もが安心して子どもを産み育てることのできる環境づくりに向け、以下の措置の
実施を求める。
(1)幼稚園、保育所及び認定こども園の一元化【内閣府、厚生労働省、文部科学省】
幼稚園、保育所及び認定こども園制度を一元化し、保育の必要性の有無にかか
わらず、就学前のすべての子どもに、幼児教育と保育を一体的に提供する制度の
創設
(2)子ども・子育て支援新制度の本格実施に向けた地方裁量や支援の充実[再掲 P21]
【内閣府、厚生労働省、文部科学省】
ア 幼保連携型認定こども園への幼稚園及び保育所からの移行を促進するため、手
42
続きの簡素化、財政支援等のインセンティブの付与及び認可基準等の早期提示
イ 市町村が実施主体となる地域子ども・子育て支援事業について、できる限り既
存の教育・保育施設での実施を念頭に置いた制度設計
ウ 幼児教育・保育の質・量の確保のため、幼稚園教諭や保育士の配置基準や処遇
の改善などに必要な財政措置
エ 低所得世帯の子どもの支援について、地域子ども・子育て支援事業のひとつに
位置づけられたが、今後、実効ある制度設計と必要な財源の確保
オ 子ども・子育て支援新制度の詳細な制度設計に際しては、分かりやすい簡素な
制度とするとともに、子どもの最善の利益を実現する視点で、地域の実情に応じ
た保育サービスや子育て支援を提供できるよう、地方自治体との協議等により地
方意見を十分反映
カ 都市部の待機児童対策や農村部を中心に子どもの育ちに大切な集団規模の確保
に資する「認定こども園」の早期拡充
・認定こども園の基礎となる幼稚園及び保育所の人員配置基準、設備・運営基
準の地方裁量の拡大、及びそれらの基準に対応できる財源確保
・保育所型認定こども園の有期認定(5 年)に関する規定の撤廃
・
「保育に欠けない 0∼2 歳児」は入所の対象外とする規定の撤廃
・子育て相談等支援機能を強化するための人件費、活動費の助成制度の創設
・認定こども園事業費の補助単価の引き上げ
・幼稚園型の保育機能の充実を図り、幼保連携型への移行促進を図るため、幼
稚園への調理室設置等給食提供に関する助成制度の創設
キ 保育を必要とする事由は、同居親族等が保育できない場合の条件を外すなど市
町村が柔軟に対応できる制度設計
ク 幼稚園、
保育所に通う子どもを対象とした現行の多子世帯保育料等軽減措置に
おける同時入所要件の廃止と、子ども・子育て支援新制度において給付対象とな
る施設への対象拡大
【認定こども園に関する本県の取組状況】
◇施設数
平成 24 年4月:72 施設(全国第2位) → 平成 25 年4月:93 施設(全国第1位)
◇認定こども園への本県独自の支援
・県単独の運営費補助:
安心こども基金の補助要件を満たさない施設への補助、
「保育に欠けない0∼2歳児」
の受入への補助、安心こども基金の運営費補助対象施設への運営費加算、幼稚園機能・
保育所機能における障害児受入に対する運営費加算
・県単独の施設整備費補助:幼稚園型、保育所型のための施設整備補助
・認定こども園アドバイザーの設置
・兵庫県認定こども園研究会の研修支援
(3)安心こども基金の継続と積み増し【内閣府、厚生労働省、文部科学省】
ア 安心こども基金について、設置期限(平成 25 年度まで)を子ども・子育て支
援新制度の実施に係る財源が確保されるまで延長し、交付金を積み増しするとと
もに、現在の事業の堅持
イ 厚生労働省所管と文部科学省所管の経費配分変更禁止規定の撤廃
ウ 子ども・子育て関連三法の本格実施の準備に必要な経費を対象に追加
43
【安心こども基金を活用した主な事業】
・保育所緊急整備事業(民間保育所の施設整備費の補助)
・認定こども園整備事業(認定こども園の施設整備費の補助)
・保育士等処遇改善臨時特例事業(民間保育所の保育士の処遇改善)
・児童虐待防止対策の強化
こども家庭センターにおける心理担当職員、関係機関連携調整員の配置、
市町児童虐待防止対策強化事業
等
(4)保育所等基準への地方裁量の拡大【厚生労働省、内閣府】
ア 全国一律の最低基準が定められている乳児室・ほふく室・保育室・園庭面積に
関する地方裁量の拡大、0∼2 歳児で認められていない民間保育所での給食の外部
搬入規制の地方の実情に合わせた緩和
イ 保育士配置基準の改善と財政措置、及び保育単価(現行定員 60 人 3 歳児 1 月
51,060 円/人)の改正による保育所運営費の引き上げ
【保育士配置基準】
必要保育士数は計算上、四捨五入で算出されることから、例えば、4∼5歳児の場合、配置
基準は 30 人に保育士 1 人であり、計算上は 44 人まで 1 人で対応することになり、小学生(児
童 40 人に教員 1 人)より負担が大きく、配置基準の改善が急務
区 分
保育士 1 人あたりの
児童数
0 歳児
1∼2 歳児
3 歳児
4∼5 歳児
[参考]小学生
3人
6人
20 人
30 人
40 人
ウ 保育所に看護師を配置した場合の保育所運営費への加算の適用
エ 保育所緊急整備事業における市町村負担率(現行 市町 1/4)の軽減
オ 家庭的保育事業等における実施場所、設備基準等に関する地方裁量の拡大
カ 事業所内保育施設設置・運営等支援助成金について、規模要件(現行定員6人
以上)のさらなる緩和
(5)放課後子どもプランの推進【内閣府、厚生労働省、文部科学省】
実施要綱が一本化された「放課後子ども教室推進事業」
(文部科学省所管)と
「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)
」
(厚生労働省所管)が一体的、
連携して円滑に実施できるよう補助の拡充や要件緩和を行い、保育を必要とする
子も必要としない子も利用しやすい制度にするための以下の措置の実施
ア 「放課後子ども教室」及び「放課後児童クラブ」の国負担割合(現行 国 1/3、
県 1/3、市町 1/3)の引き上げなど支援の拡充
イ 「放課後児童クラブ」の補助要件について以下の緩和
要
件
現
行
提
案
保護者が労働等により昼間家 保育を必要とする児童(一時的
対象児童
庭にいない児童
に必要とする場合を含む)
人
数 10 人以上
5 人以上
1 日 6 時間超かつ 18 時を超え 6 時間超の要件を撤廃し、18 時
長時間加算 た開設で 6 時間を超える時間 を超えた開設時間数に加算
数に加算
44
(6)ファミリー・サポート・センターの設置要件の緩和【内閣府、厚生労働省】
ア ファミリー・サポート・センター事業について、安心こども基金の補助対象と
なる人数要件(100 人相当以上)の撤廃
イ 病児・病後児預かりに対する安心こども基金の補助額の加算について、現在設
定されている1日8時間超の受付を行うことなどの要件緩和
【ファミリー・サポート・センター】
・事業内容:
「育児の援助を受けたい人」と「育児の援助を行いたい人」とがお互
いに会員になり、保育所や放課後児童クラブ終了後の預かり、保護
者の病気・用事・リフレッシュ等の場合の預かり等を実施
・安心こども基金
・補助対象 25 市町、対象外(町独自事業として実施)3町
・補助要件:会員数 100 人相当以上のセンター
・加算要件:病児・病後児預かりの場合、1日8時間超の依頼受付等
(7)児童虐待防止への取組の充実【厚生労働省、総務省】
ア 児童相談所の体制強化に向けた、虐待親やハイリスク家庭への指導、専門診断
に対応する専門職員(児童心理司等)の地方の実情に応じた配置に必要な財政措置
イ 子育て支援や保健福祉施策の活用が可能で、身近な市町の相談体制の強化に向
けた、専門職員(児童福祉司等)の地方の実情に応じた配置に必要な財政措置、
中核市における児童相談所設置の義務化
ウ 虐待を受けた子どもの健全な発達等に必要な個別的ケア体制の充実のため、児
童養護施設等の職員配置等の改善を可能とする財政措置(現行基準は、職員配置
児童 5.5 人に1人等)
エ 家庭環境の複雑化により現行法規で対応できない虐待事案から子どもを守るた
めの調査権限の付与や、親権一時停止制度を踏まえた実効ある親指導プログラム
の開発
オ 児童相談所全国共通ダイヤルのわかりやすい短縮番号化
※「110 番」や「#8000(小児救急医療電話相談)
」のような分かりやすい短縮番号に
することで、より相談・通報しやすくなる
カ 被虐待児の里親委託の促進に向けた、児童養護施設等への措置費加算(被虐待
児受入加算費)に準じた財政措置の創設
(8)結婚・子育て環境の充実【内閣府・厚生労働省、財務省】
ア 少子化の要因となっている晩婚化・未婚化への対策として自治体が行う結婚支
援事業に対する補助制度の創設
イ 育児等の支援を行う家庭内労働者の雇用、保育所、家庭的保育等の費用の一定
割合を所得税から税額控除する制度の創設
【ひょうご出会いサポートセンター事業】
・事業内容:①お見合い(県下 10 か所に相談所)
②出会いイベント(独自事業の他、民間イベントも含め、年 400 回)
③婚活セミナー(年 20 回) 他
・成 婚 数:190 組(平成 24 年度)
45
(9)次世代育成支援対策推進法の延長【厚生労働省】
企業は仕事と子育てが両立できる職場環境づくりに大きく関わることから、事
業主に従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境整備等に向けた目標や
目標達成のための対策を定める行動計画の策定を義務付ける「次世代育成支援対
策推進法」の延長
2 学力向上対策・体験教育等の充実
兵庫の教育を推進し、学力向上や体験教育等を充実するため、以下の措置の実施を求
める。
(1)国の責任による学力・学習状況調査の実施【文部科学省】
義務教育水準の維持向上の観点から、市町、学校が自らの教育の結果を把握し、
改善につなげられるよう、採点、集計、分析、フィードバックを含めた、調査対
象学年の全児童生徒を対象とした、国の責任による学力・学習状況調査を毎年度
実施
(2)県費負担教職員制度に係る権限移譲を行う場合の広域調整機能の確保【文部科学省】
政令指定都市等に対する県費負担教職員の給与負担、教職員定数に関する権限
移譲を行う場合には、義務教育の一定水準を確保するため、現在、都道府県にお
いて、小規模市町や離島・山間部に対し加配措置を講じるなど、広域的見地から
調整を行っていることから、これに代わる調整機能の確保が必要
特に、中核市への権限移譲については、任命権者を異にする広域異動を実施で
きる仕組みの構築が必要になる等、更に課題が多いため、慎重に検討
(3)義務教育費国庫負担金に関する確実な財源確保【財務省、文部科学省】
義務教育の機会均等と教育水準の維持向上を図ることは国の責務であり、国家
公務員の給与削減に合わせた義務教育費国庫負担金の削減を行うことなく、確実
な財源確保
(4)教職員定数改善計画の策定・実施【文部科学省】
ア 小中学校において、基本的な学習習慣の習得や学力の向上、きめ細やかな生徒
指導を目指して、35人学級編制の拡充や「兵庫型教科担任制」等の少人数教育の
取組を推進させるため、必要な教職員定数が確保できるよう定数改善計画の早期
策定と、着実な定数改善を実施
【兵庫型教科担任制の推進】
・小学校 5・6 年生において、学力の向上や中学校への円滑な接続をめざし、
「教科
担任制」と「少人数学習集団の編成」を組み合わせた指導システムを全県で実施
イ 高等学校について、平成18年以降、定数改善計画が策定されていないことから、
習熟度別少人数指導の充実、生徒指導体制の充実強化、特別な支援を要する生徒
46
の増加への対応、学科や類型等の特色や実態に応じた十分な教員措置を行うため、
教職員定数改善計画を早期に策定し、計画的に定数改善を実施
(5)発達段階に応じた体系的な体験活動実施に向けた支援【文部科学省】
小学校から高等学校まで各発達段階に応じた、環境体験、自然体験、芸術体験、
社会体験、職業体験、伝統文化体験等、体系的な体験活動の実施に向けた支援
(6)グローバル人材育成に向けた支援【文部科学省】
ア 外国語活動、外国語教育の充実
新学習指導要領を踏まえた外国語活動、外国語教育の一層の充実を図るため、
語学指導や国際理解教育に高い成果をあげている、JETプログラム(語学指導等を
行う外国青年招致事業)における外国語指導助手の配置拡充に向けた財政措置
イ 高校生の海外留学の促進
高校生が、外国人との相互コミュニケーションを通して、多様な価値観に触れ
る機会を確保し、国際的な視野の涵養及び異文化理解を推進するための長期留学
支援の拡充や、海外志向を促すための短期留学支援に対する財政措置
(7)私立学校教育の充実【文部科学省】
公教育の一翼を担う私立学校での教育活動をより一層充実させるため、また、保
護者の経済的負担を軽減し生徒の私立学校への就学機会を確保するため、私立高等
学校等経常費助成費補助金等の一層の充実
ア 私立高等学校等経常費助成費補助金等の一層の充実
・予算単価、補助金取扱要領に定める補助単価及び補助率どおりの補助金の交
付
・事務手続が遅く、県の予算編成や補助事務遂行に支障をきたしているため、
事務の迅速化
イ 高校生修学支援基金事業の見直し
補助対象生徒数の基準(平成 20 年度と比較し増加分のみを対象)の見直し、
補助単価増額・要件新設時の基金からの全額充当及び同事業の期間撤廃又は県が
行う修学支援事業に対する恒常的な財政支援制度の創設
ウ 高等学校等就学支援金制度の一層の充実
所得基準の見直し等の制度変更を行う際には、低所得世帯に配慮した支給額の
引き上げを行うなど一層の充実を図ること
なお、県の予算や保護者の負担増、就学支援金交付事務を行う私立学校等の負
担の増大などの影響が生じる年度途中における制度変更は行わないこと
エ 私立高等学校等の施設整備費に対する補助の一層の充実
私立高等学校等における耐震化の推進に加え、障害のある生徒等の円滑な校舎
の利用のためのバリアフリー化等施設整備について、補助総額の一層の充実及び
改修に加え増築工事の補助対象化など補助制度の拡充
オ 私立学校建物其他災害復旧費補助事業の適用要件の緩和
台風や地震等不測の災害により被害を受けた私立学校が、早急に施設等の復旧
47
を図り、学校教育の円滑な実施を確保するため、公立学校施設災害復旧事業と同
等まで適用対象となるよう要件を緩和すること
【私立学校及び公立学校の災害復旧に係る補助事業】
○私立学校建物其他災害復旧費補助事業
・適用基準:激甚災害に指定された災害による被害
○公立学校施設災害復旧事業
・適用基準:最大 24 時間雨量 80 ㎜以上の降雨、最大風速 15m/s 以上の暴風の他、
洪水、地震、竜巻、落雷等による被害
(8)公立大学法人が附属学校の設置・運営を行うための法整備【文部科学省、総務省】
兵庫県立大学では特色ある取組として中高大連携教育を推進してきた。
しかし、
現行の学校教育法附則及び地方独立行政法人法では公立大学法人の附属学校設置
ができず、また業務として行うことができない。一方、国立大学法人では、大学
附属学校を設置することが可能であり、国立大学法人と公立大学法人で取り扱い
が異なっている。
公立大学法人兵庫県立大学が、引き続きこの特色ある取組を実施できるよう公
立大学法人の附属学校設置を可能とする同法等の改正
(9)小規模小学校の教育活動への支援【文部科学省】
過疎地・へき地の小規模小学校において、多様な集団の中での体験を通じた、
学校生活・学習環境の充実を図るための事業に対する支援
【小規模校交流促進事業∼学校夢プラン∼】
・実 施 校:過疎地・へき地の6学級以下(1学年1学級以下)の小学校
・実施経費:1校あたり 2.5 万円(市町が同額以上を予算措置)
・活 動 例:小規模小学校の合同授業や行事、都市部と郡部の小学校の合同授業 等
(10)いじめ等の問題行動の対応への支援の充実【文部科学省】
学校におけるいじめ等の問題行動への対応について、積極的な支援を行い、教育
相談体制の充実を図るため、以下の財政措置の実施
ア いじめ等の問題行動の未然防止や早期発見・早期解決を図るため、児童生徒、
保護者等の心の相談に当たる「心の専門家」であるスクールカウンセラーの増員
及び高等学校への配置の拡充
イ 学校だけでは解決困難な事案に対応するため、専門的・多面的な支援を行うス
クールソーシャルワーカーの配置の拡充
ウ 教員のカウンセリング能力等の向上を図るため、全教職員対象に実施するカウ
ンセリングマインド研修の継続実施
(11)高校生に対する奨学金の充実【文部科学省】
全ての意志ある高校生が安心して教育を受けられる給付型奨学金制度、海外留
学など新たなニーズに対応した奨学金制度の創設及び奨学金事業の安定的な実施
に向けた財源確保
ア 給付型奨学金の創設
(ア) 経済的に修学困難な生徒に対する支援として給付型奨学金制度を創設
48
(イ) 財源については、地方公共団体に転嫁することなく、また他の教育予算の削
減につながることのないよう国において確保
(ウ) 現行の高等学校奨学金事業との関連において混乱を生じさせない制度設計
イ 新たなニーズに対応した奨学金制度の創設
(ア) 高校生の海外留学を促進するため、留学生に対する奨学金制度の創設
(イ) 通学区域拡大に伴う遠距離通学者への支援のため、通学交通費にかかる所得
要件のない奨学金制度の創設
ウ 現行の貸与型奨学金にかかる恒久的な財源措置
平成 17 年度に日本育英会から都道府県に高校生向けの奨学金事業が移管され
た際、
今後 10∼15 年にわたり貸付原資として交付金を交付することとなっている
が、奨学金事業が将来にわたって円滑に実施できるよう恒久的な財源確保
(12)高校授業料無償化への所得制限導入の見直し【文部科学省】
高校授業料無償化については、本制度の意義は保護者の経済的負担の軽減と教
育の機会均等に寄与し、
一定の効果があることから、
所得制限の導入は行わずに、
現行の制度を維持
3 障害のある児童生徒のニーズに応じた教育の充実
全国的な課題ともなっている①知的障害児童生徒の在籍者数の急増、②近年、課題と
なっているLD、ADHDの児童生徒に対する支援など、今後も特別な支援を必要とす
る児童生徒数の増加が見込まれる中、特別支援教育を円滑に推進するとともに、私立幼
稚園において、障害がある園児がその障害の状態に応じて十分な教育が受けられるよ
うにするため、以下の措置の実施を求める。
(1)特別支援教育体制の整備【文部科学省】
ア インクルーシブ教育システム構築の理念を踏まえた、就学先の決定の在り方や
合理的配慮等の環境整備については、その基準等について具体的かつ明確に示す
とともに、必要となる学校施設の整備その他環境の整備に対する財政措置の実施
イ 子どもにふさわしい教育を地域で責任を持って行う観点から、児童生徒数の増
加など地域の実情に応じて、政令市や中核市等における特別支援学校の設置が促
進されるよう補助制度の充実を含めた特別支援学校設置のあり方の検討
ウ 公立特別支援学校の規模過大校解消に向けた、安心して学べる学習環境を整備
するための補助制度の充実
(2)支援を必要とする児童生徒への指導体制及び支援の充実【文部科学省】
ア LD、ADHD等支援を必要とする児童生徒に対して、個別的かつ弾力的な指
導体制及び支援を充実させるための特別支援教育支援員に関する財政措置の拡充
イ マルチメディアDAISY版教科書など、児童生徒の障害の特性に応じて教育
効果が認められる教材について、授業において積極的に活用できるよう、無償給
49
与の対象となる教科用図書として追加
【マルチメディアDAISY版教科書】
・携帯端末を利用し、文字・音声・画像を同時に再生でき、読みの早さや画面上のレ
イアウト(文字の大きさ・色・背景色など)の変更ができる新しいメディアの図書
ウ たんの吸引等の医療的ケアが必要な児童生徒に対応するための看護師の定数措置
【医療的ケア】
・特別支援学校等において、身体に障害のある児童生徒が生活していくために必要
な、口腔内の喀痰吸引等の日常的な医療行為。
・本来、看護師が行うべき医療的ケアのうち、口腔内の喀痰吸引、経管栄養などの
特定行為については、平成24年4月から一定の研修を受けた特別支援学校の教員も
実施可能となったが、看護師を配置することが条件。
(3)私立幼稚園特別支援教育の推進【文部科学省】
私立高等学校等経常費助成費補助金(幼稚園特別支援教育経費)の一層の充実
ア 障害児 1 人以上(現行2人以上)に補助対象を拡大
イ 補助金交付要綱に定める補助率どおりの補助金の交付
4 芸術文化の振興
東日本大震災以降、明日への希望や生きる勇気をもたらす芸術文化の持つ力が改め
て見直されていることを踏まえ、芸術文化のより一層の振興を図るため、以下の措置
の実施を求める。
(1)公立文化施設の優れた芸術文化活動に対する支援の充実【文化庁、総務省】
公立文化施設は、音楽、演劇、舞踊、伝統芸能等の芸術文化の提供及び創造拠
点として、芸術文化の振興や地域活性化に大きな役割を果たしている。
公立文化施設が、優れた芸術文化を発信し、地域活性化に資する運営ができる
よう、以下の措置を求める。
ア 芸術文化振興拠点施設に対する重点的支援
県立芸術文化センター及び県立尼崎青少年創造劇場では、佐渡裕芸術監督プロ
デュースオペラや兵庫発のミュージカルなどトップレベルの公演を展開し、関西
の芸術文化振興拠点として高く評価されている。
これらの取組について、文化庁「劇場・音楽堂等活性化事業」による支援はあ
るが、引き続き、高い水準の事業展開を行うための支援の充実
50
【国の支援制度(主なもの)
】
○劇場・音楽堂等活性化事業(平成 25 年度新規)
・特別支援事業
劇場・音楽堂等が主催する、我が国の実演芸術の水準を向上させる牽引力となる「公
演事業」
「人材養成事業」
「普及啓発事業」を総合的に補助
〈平成 25 年度額〉
計 117,927 千円
・県立芸術文化センター
70,000 千円
・県立尼崎青少年創造劇場
47,927 千円
○これまでの支援事業の状況(ピーク時)
・
「芸術拠点形成事業」
(平成 22 年度終了)及び「優れた劇場・音楽堂からの創造発信事
業」
(平成 24 年度終了)
〈平成 22 年度額〉
計 130,469 千円
・県立芸術文化センター
111,783 千円
・県立尼崎青少年創造劇場
18,686 千円
イ 拠点施設と県内外公立文化施設との連携事業に対する支援
公立文化施設の運営が厳しくなるなか、良質な芸術文化の提供には、全国の施
設が連携し、それぞれが有するソフト資源を活用する必要がある。
本県では、
これまでから兵庫芸術文化センター管弦楽団や県立ピッコロ劇団が、
県内外の公立文化施設での公演にも積極的に取り組んでいる。こうした拠点施設
と県内外公立文化施設の連携事業に対する支援の充実
【公立文化施設との連携状況(平成 24 年度)
】
・兵庫芸術文化センター管弦楽団 定期演奏会巡回公演 県内3公演
県外3公演
県内共催公演
2公演
* 平成 25 年度 県内公立文化施設で芸術監督プロデュースオペラ公演(4会場)
・県立ピッコロ劇団県内公演(小学校巡回)
6校7公演
【国等による公立文化施設連携に向けた支援策】
・地域の文化・芸術活動助成事業(連携プログラム)
3以上の地方公共団体等が連携して、共同で制作する公演、展覧会
* 平成 25 年度採択結果
採 択:兵庫県立芸術文化センター
「東京バレエ団「子どものためのバレエ《ねむれる森の美女》
」
・公共ホール演劇ネットワーク事業
地域創造と複数の公共ホールの連携により、一つの劇団が地域に滞在し、アウトリ
ーチ事業と演劇公演を実施する。
* 平成 25 年度 県立ピッコロ劇団「飛んで孫悟空」 申請中
ウ 公立文化施設に対する財政支援の創設
平成 24 年6月に「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」が制定され、心豊か
な生活や活力ある地域社会の実現のために、劇場、音楽堂等がその機能を十分に
発揮することが期待されている。
一方、地方公共団体が整備したホールや文化会館などの公立施設は、その多く
が建築後 20 年を経過し老朽化が進み、高度な舞台機能やバリアフリー化に十分対
応できていない状況にある。
このため、時代の要請に応じた安全の確保、舞台装置の高度化、省エネルギー
化など、機能の向上を図りながら、長寿命化に資するための公立文化施設の施設
改修に対する財政支援(交付税措置のある地方債等)を創設すること
51
【兵庫県公立文化施設協議会加盟施設(39 施設)の状況】
○ 施設建築後経過年数
21 年以上(22 施設)
、11∼20 年(14 施設)
、1∼10 年(3施設)
○ 施設改修における主な課題
(H24 年兵庫県公立文化施設協議会「施設改修」アンケート結果(重複回答有)
)
・予算確保が困難(15 施設)
・施設改修計画策定のためのノウハウ不足等(4施設)
(2)
「本物の芸術」体験事業に対する支援の充実【文化庁、総務省】
本県では、県立施設所属の楽団・劇団による「わくわくオーケストラ教室」
、
「ピ
ッコロわくわくステージ」
など、
中学生が本物の芸術に触れる体験事業を実施し、
創造性や感受性の涵養、鑑賞マナーの学習などに高い効果をあげている。
こうした芸術体験事業への支援について、現行の学校での実施に加え、専用の
音楽ホール・劇場等での実施も対象に追加
【現行の国の支援制度】
・次代を担う子どもの文化芸術体験事業
(巡回公演事業)
対象事業: 小学校・中学校等に芸術文化団体が赴き、公演・児童生徒への指導等を
行う(合同実施の場合など、文化施設等の利用も可)
分
野: 音楽、演劇、伝統芸能、舞踊
国負担経費:公演団体出演費、公演プログラム作成費、出演団体旅費・
運搬費、児童・生徒移動経費(合同公演の場合)
(派遣事業)
対象事業: 小学校・中学校・高校等に芸術家(個人)や小規模な芸術文化グループ
を派遣し、講話・実技指導等を行う。
分
野: 音楽、演劇、伝統芸能、舞踊、美術、文学、メディア芸術等
国負担経費:謝金、旅費、講演等諸雑費(楽器運搬費等)
(3)芸術文化活動への寄附に対する税制優遇措置の充実【財務省、文化庁】
県民一人一人が芸術文化を支えていく気運を醸成し、個人や企業等が芸術文化
活動に対して行う支援をより一層促進するため、地方公共団体や公益法人等への
寄附に対して講じられている税制上の優遇措置について、(独)日本芸術文化振興
会が現在試行している「日本版アーツカウンシル」に新たに認定制度を設け、認
定された事業を対象とするなど、一定の要件を備えた事業に対する寄附へ拡充
【現行の国の制度】
① 税制上の優遇措置
ア 対象 国、地方公共団体、公共法人、学校法人、特定公益増進法人等への寄附
イ 優遇措置
【所得税】
(寄附金(所得金額の 40%を限度)−2,000 円)を課税所得から控除
* 特定公益増進法人等への寄附の場合は、税額控除の特例あり
【法人税】一般の寄附金とは別枠で「
(所得金額の 5.0%+資本金等の金額の 0.25%)
×1/2」の損金算入が可
② アーツカウンシル(イギリスの例)
政府から独立した芸術助成を専門的に審査する機関で、芸術分野ごとの専門職員を配
置し、審査・採択、事後評価等を実施。
③ 日本版アーツカウンシル
現在、(独)日本芸術文化振興会に専門家を配置し、試行的に助成事業の申請に対する審
査・採択、事後評価等を行っているが、寄附対象事業の審査・認定までは行っていない。
52
5 体育・スポーツの振興
県民だれもがいつでもどこでも気軽にスポーツを楽しむことができる体制や環境の
整備、長期的展望に立った競技力向上を図るため、以下の措置の実施を求める。
(1)体育・スポーツ施設整備への支援の充実【文部科学省】
県民の多様なスポーツへの関心を高めるとともに、アイススケート、自転車な
ど幅広い種目の競技力の向上を図るため、地域スポーツセンター、スイミングセ
ンターや武道センターなどに限られている社会体育施設の整備に対する助成制度
の拡充
(2)次代を担うジュニア層を中心とした競技力向上への支援【文部科学省】
平成 18 年に開催した「のじぎく兵庫国体」を機に高められた競技力の継続・発
展につなげるため、優れた素質を有する小学生を発掘するゴールデンエイジ・プ
ロジェクトをはじめとする、次世代を担うジュニア選手の発掘・育成や長期的展
望に立った競技力の向上を図るための支援の充実
【ゴールデンエイジ・プロジェクト】
・対象者
小学校4、5、6年生
・事業内容 ①スポーツ体験教室等の実施
②オリンピック選手等を講師とするスポーツ体験教室の実施
③能力開発・育成プログラムと競技体験プログラム等の実施
・実施団体 県体育協会、体育協会加盟の競技団体等
(3)小・中・高等学校を通じた子どもの体育・運動能力の向上【文部科学省】
小学校の体育の授業を効果的に実施するための指導者や、中学校の武道必修化
に伴う指導者の派遣、中・高等学校の運動部活動への外部指導者の派遣など、小・
中・高等学校を通じた子どもの体力・運動能力の向上を図るための支援の充実
Ⅳ 環境優先の社会づくり
1 新たなエネルギー政策の確立と再生可能エネルギーの導入促進【主要】
中長期的なエネルギー政策の確立、地域における節電対策や再生可能エネルギー導
入の一層の推進を図るため、以下の措置の実施を求める。
(1)中長期的なエネルギー政策の確立【内閣官房、経済産業省、環境省】
電力の安定供給や電気料金の高騰の防止など、国民生活や産業活動への影響を
十分に考慮した上で、広く国民の理解を得て、政府のエネルギー基本計画を早期
に策定し、中長期的なエネルギー政策を確立すること
53
(2)エネルギーの安定供給の確保【経済産業省、環境省】
経済・産業活動への影響を最小限に抑えるため、当面の緊急的な措置として、
LNG 発電、水力、揚水発電等の拡大を図るため、以下の取組の実施
・LNG 等の燃料の安定的確保
・発電効率を高めるための設備改良への技術的又は財政的支援
・揚水発電のピーク時の活用に向けた環境整備
・電力会社間の融通や自家発電設備、蓄電池の導入支援
(3)火力発電所に係る環境影響評価手続の合理化による期間短縮
【経済産業省、環境省】
ア 火力発電所の環境影響評価法手続と電気事業法手続の合理化
火力発電所については両法の規定により、手続期間が長期化しているため、こ
れを合理化し手続期間の短縮を図る
イ 火力発電所の環境影響評価法手続における各段階の審査等の期間を短縮
環境影響評価法に基づき各手続段階に規定されている縦覧期間、意見提出期間、
自治体意見提出期間を例えば半減し、手続期間の短縮を図る
ウ 方法書手続を免除する制度の創設
火力発電所の設置に関しては、これまで、十分な事例や知見が集積されている
ことから、調査・予測方法についてあらかじめ規定するなど方法書手続きが免除
できる新たな制度の創設
(4)節電、省エネルギー対策の推進
ア サマータイムの導入、勤務時間・勤務形態の弾力的運用等の実施
【内閣府、環境省、経済産業省】
・節電、省エネルギーに配慮した新たなライフスタイル実現のための全国一律
で時計の針を進めるサマータイム制度の導入
・行政や企業等の勤務時間・勤務形態の弾力的運用、操業時間のシフト化の推
進
イ 各家庭に効果的な節電を呼びかけるため、具体的な節電方法のメニューの提供
と発信、自治体の行う啓発活動への支援【経済産業省】
ウ 家庭における電源確保及び電力需給ひっ迫時の備えとして、
家庭用燃料電池
(エ
ネファーム)及び蓄電池の設備設置補助制度の拡充【経済産業省】
(5)再生可能エネルギーの一層の導入支援
ア 住宅用太陽光発電設備の設置支援【経済産業省】
・補助等の支援策の継続及び拡充(H24:3万円(システム価格 55 万円/kW 以下)
、3
万5千円/ kW (システム価格 47.5 万円/ kW 以下) → H25:1万5千円(システム価
格 50 万円/kW 以下)
、2万円/ kW (システム価格 41 万円/ kW 以下)に減額)
・マンション屋上等、架台等が必要なため設置費が割高になるシステムの対象
化(現行 50 万円/kW 以下が対象)など設置補助制度の拡充
・県民の利便性向上のため、平成 22 年 3 月に廃止された都道府県単位の国補
54
助の申請窓口の復活(現在は太陽光発電普及拡大センター(千葉市)1 箇所
に集約)
イ グリーンニューディール基金予算措置の継続、及び再生可能エネルギー等の導
入対象を防災拠点や災害時に機能を保持すべき公共・民間施設に限ることなく、
地域の創意工夫を生かした再生可能エネルギーの導入等が図られるような制度の
拡充【経済産業省、環境省】
ウ 平成 24 年7月に施行された再生可能エネルギー特別措置法(固定価格買取制
度)において、再生可能エネルギーの一層の導入促進に資する効果的な条件整備
【経済産業省】
(ア) 事業収益性や国民生活に配慮した買取価格・期間の適正な見直しの実施
・買取価格・買取期間を見直す際には、設置箇所や規模毎の事業収益性を踏ま
えたきめ細やかな検討を行うとともに、賦課金とのバランス等国民生活にも
配慮すること
・価格の設定については、同一価格を維持する期間をできるだけ長くするとと
もに、見直し時期は相当程度の期間的余裕を持ってアナウンスすること
(イ) 固定価格買取制度の効果的な対象範囲の設定
・事業用太陽光発電設備から自家消費のために設置施設の受電設備に系統連系
させた場合や蓄電池を導入した場合でも発電設備の全発電量を買取の対象
化
(ウ) 系統接続検討期間の短縮
・買取価格の見直しに伴う再生可能エネルギー事業者の事業実施上のリスクを
回避するとともに、迅速な送電を可能とするための系統連系接続に係る検討
期間(現行3か月以内)の短縮
エ 太陽光発電については、発電設備が静的な発電所である特性を踏まえ、電気主
任技術者確保の負担を軽減し、事業収益性を向上させるため、電気保安協会など
へ保安管理業務を承認なしに外部委託できるよう電気事業法上の規制を緩和
【経済産業省】
オ 風力発電施設の立地に適した風況のよい自然公園区域での風力発電に関する
工作物の建設規制の緩和【環境省】
カ 地熱・小型風力・小水力発電等再生可能エネルギー導入コストの低減や実用化
に向けた研究開発の加速化【経済産業省、環境省】
(6)山陰沖におけるメタンハイドレート実用化に向けた取組【経済産業省】
本県の調査により賦存可能性の高まった山陰沖における国による本格的調査
の早期実施及び表層型メタンハイドレートの採取技術開発の実施
【兵庫県による山陰沖での調査(H24∼H25)
】
平成 24 年度
・県が保有する漁業調査船を活用し、計量魚群探知機での音響調査等によるメタン
ハイドレート賦存の兆候確認調査を実施
・その結果、メタンハイドレート賦存の可能性が高まった
平成 25 年度
・24 年度の調査で賦存の可能性が高まった海域において、メタンハイドレートを海
底から採取し存在を確認する調査を実施
55
2 地球温暖化防止対策の推進
地域における地球温暖化防止対策の一層の推進を図るため、以下の措置の実施を求
める。
(1)国の方針の明確化と国による対策の拡充【経済産業省、環境省】
ア 地球温暖化対策を切れ目なく推進するため新たな数値目標及び対策の早期明確
化並びに地方との十分な協議の実施
イ 「地球温暖化対策のための税」を活用した新たな削減技術の開発・実用化や設
備導入等への支援拡充など温室効果ガス排出抑制対策の強化
ウ 事業者に対する削減指導等の国と県の役割の明確化
(2)地球温暖化対策のための地方財源の確保【総務省、財務省、環境省】
ア 地方公共団体が環境施策の推進に大きな役割を担っていることを踏まえ「地球
温暖化対策のための税」の一定割合を地方税源化するとともに、使途に森林吸収
源対策を追加すること
イ CO2 排出削減に資するとともに、地方税源を確保する観点から、現行の自動車重
量税と自動車税を一本化し、
「環境損傷負担金的性格」と「財産税的性格」を有す
る新しい地方税「環境自動車税」の創設
(3)地球温暖化対策技術開発・実証研究事業の推進【環境省】
民間企業や公的研究機関等が実施する先導的で効果的な実証研究を支援する
「地球温暖化対策技術開発・実証研究事業」の継続的支援
(4)CO2 削減に関する制度改善と取組の促進
ア 類似クレジット認証制度である「国内クレジット」と「オフセット・クレジッ
ト(J-VER)
」を統合して創設された新クレジット(J-クレジット)制度について、
認証費用に対する財政支援の拡充、クレジットの用途拡大、手続きの簡素化を含
め、より利用しやすい仕組みの構築等【経済産業省、環境省、農林水産省】
イ 中小企業者等のさらなる省エネルギー対策を促進するための省エネ化改修事業
への財政支援の充実【環境省】
ウ 家庭における CO2 排出源の把握・削減を行う「うちエコ診断推進事業」に対す
る財政支援、診断員の資格化、国の補助・融資制度との連動等支援の充実
【環境省】
エ 産業・民生業務部門の温暖化対策の基礎データとなる事業所ごとのエネルギー
使用状況について、省エネ法の改正案において引き続き報告を義務付けること
【経済産業省】
(5)電気自動車や水素自動車等の普及促進と技術開発の推進
ア 地域の実情を反映した充電インフラに加え水素供給インフラを整備するための
財政支援の充実【経済産業省、環境省】
56
イ バッテリー交換型電気自動車や水素自動車等に関する実証実験の実施や実用化
に向けた技術開発の推進【経済産業省】
ウ 電気自動車の航続距離を伸ばすための技術開発の推進【経済産業省】
(6)バイオマス資源の利活用への支援
ア 一般廃棄物のうち、再生利用が確実なバイオマス資源の収集・運搬について、
都道府県知事が関係市町と調整し主務大臣が認定すれば、各市町村による一般廃
棄物収集運搬業の許可は不要とする規制緩和措置の創設【環境省】
イ バイオ燃料利活用の推進のため、バイオエタノール等混合ガソリンの揮発油税
及び地方揮発油税の軽減額拡充【農林水産省、経済産業省、環境省】
ウ チップボイラー等を導入する民間事業者等の初期投資額軽減のため、設備に対
する固定資産税等の軽減措置の創設など普及支援
【農林水産省、経済産業省、環境省】
エ バイオ燃料の家庭への普及に向け、ペレットストーブ等利用設備導入に対する
各家庭個別助成制度の創設【農林水産省、経済産業省、環境省】
オ 全てのバイオマスの利活用を評価・検証するため、CO2削減効果など環境への
影響について全国共通の定量的な評価基準の策定【農林水産省】
(7)環境配慮型住宅の普及促進【国土交通省】
省エネ性能等優れた住宅の普及促進を図るため、新築の環境配慮型住宅の建設
に伴う工事費等への支援
3 循環型社会の構築と適正処理の推進
リサイクル率向上・廃棄物の発生抑制及び適正処理の確保を図るため、以下の措置
の実施を求める。
(1)循環型社会の構築に向けた制度改革
ア 廃家電の不法投棄を未然に防止し、リサイクル費用の公平な確保や資源の再利
用を進めるため、現行のリサイクル料金を廃棄時に支払う後払い制から購入時に
支払う前払い制への改正【経済産業省、環境省】
イ 一般廃棄物処理施設の計画的・効率的な整備を促進するため、施設整備を伴わ
ない焼却炉解体について、循環型社会形成推進交付金制度の対象化【環境省】
(2)PCB廃棄物等の適正処理の推進【環境省】
ア PCB廃棄物処理基金の早期造成に向けた国の確実な財政措置
イ 未だ処理体制が確立していないウエス、汚泥、感圧複写紙等のPCB汚染物に
ついて安全確実な処理体制の整備
ウ 産業廃棄物の不法投棄等に起因する支障除去に関する恒久的な支援制度の構築
57
(3)海岸漂着物等対策の推進【環境省】
ア 日本海沿岸諸国に対する廃棄物の適正処理、漂着物等の発生原因究明とその防
止及び監視体制の強化に係る国からの働きかけ
イ 海岸漂着物等回収・処理事業に対する支援措置の制度化
4 効果的な大気環境保全対策の推進【新規】
微小粒子状物質(PM2.5)について、国民の健康不安の解消を行い、効果的な大気環
境保全対策の推進を図るため、以下の措置の実施を求める。
(1)適切な情報発信【環境省】
ア 健康影響についての具体的で分かりやすい情報の発信
イ 高濃度が予想される場合の全国統一的な基準での国による前日予報等の実施
(2)微小粒子状物質(PM2.5)に係る常時監視の充実【環境省】
ア 効果的な測定を実施し実態を把握するための、測定局の設置に対する財政的支
援
イ 発生源の把握や生成機構の解明のための成分分析に対する財政措置
(3)国際的な技術協力の強化【環境省】
大陸からの越境大気汚染に対し、発生国において実効ある公害防除対策が講じ
られるよう技術協力を強化
5 瀬戸内海の豊かで美しい里海としての再生
瀬戸内海を豊かで美しい「里海」としての再生を図るため、以下の措置の実施を求
める。
(1)
「豊かで美しい瀬戸内海の再生に関する法律(仮称)
」の整備
【内閣官房、総務省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省】
「瀬戸内海環境保全知事・市長会議」で策定した瀬戸内海再生方策の実現のため
の「豊かで美しい瀬戸内海の再生に関する法律(仮称)
」の整備
58
【豊かで美しい瀬戸内海の再生に関する法律(仮称)に盛り込むべき事項】
◇豊かな里海としての再生
・藻場・干潟等の浅場整備、底質改善、環境に配慮した構造物への転換 等
◇美しい里海としての再生
・美しい海岸線創出、漂着物回収・処理ルール確立、土砂移動把握と不法投棄防止 等
◇里海として再生するためのコミュニティづくり
・住民の諸活動促進、環境学習推進、海浜へのパブリックアクセス確保 等
◇「国基本計画」
「府県計画」の策定
◇里海として再生するための体制等の整備
等
【瀬戸内海再生署名活動】
平成 19 年 1 月∼6 月に「瀬戸内海環境保全知事・市長会議」のもとで署名活動を実施し、
141 万 6 千人の署名を集め、衆参両院議長、各党幹事長、関係国会議員、関係省庁に提出済
(2)水質総量規制制度の見直し等の実施【環境省】
瀬戸内海の水質改善や漁業生産量の減少に鑑み、水質総量規制制度の見直しや
適切な栄養塩の供給に係る弾力的運用などの実施
6 野生鳥獣被害対策等の推進【主要】
中山間地域を中心にシカ、イノシシ、クマ、サル等の野生動物による農林業被害等
やナラ枯れによる森林被害が大きな問題となっている中、農林業者が安心して生産活
動を営めるよう、以下の措置の実施を求める。
(1)野生動物による農林業被害対策の推進
ア 防護柵の設置等への支援拡大【総務省、農林水産省】
・鳥獣被害防止総合対策交付金事業(H25:95 億円)のハード及びソフト予算の
拡大と制度の拡充
・被災防護柵復旧事業の補助対象化
・市町の非常勤職員に限り対象とされている捕獲実施隊について、市町の委託
等による有害捕獲班についても補助対象に追加
【野生動物による農林業被害額の推移】
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
被害額
969
849
798
817
898
842
974
885
1,026 992
(百万円)
※防護柵設置等の対策の効果により一時、減少した被害額が近年、再度増加し、9 億円前後
で高止まりしている
【鳥獣被害防止総合対策交付金事業の概要】
・H25 予算額
9,500 百万円 ※県域を越える広域協議会分を含む
・補 助 対 象 (ソフト)狩猟免許講習会、捕獲わな等の購入、被害防止防除
研修会、生息調査等
(ハード)被害防止柵、処理加工施設、焼却施設等の整備
・補 助 率
1/2 以内(ソフト)
、1/2 以内(ハード)
※自力施工の被害防止柵の資材費相当分については定額補助
・交 付 先
県を経由して地域協議会又は地域協議会構成員
・鳥獣害対策に関する上記交付金事業や単独事業における地方負担経費につい
て、市町の財政負担の軽減を図るための十分な特別交付税措置、及び新たに
59
県負担経費を特別交付税措置の対象に追加
・防護柵設置事業に対する辺地対策事業債の適用拡大
イ シカ肉等の加工施設整備への支援の充実【農林水産省】
捕獲個体の大部分が埋設・焼却処分されているシカ肉等について加工施設の整
備から運営・流通までの支援、有効活用に向けた調査研究の強化や普及啓発活動
支援
ウ 森林動物研究センターへの支援【環境省】
野生動物の保護管理を推進するため
「森林動物研究センター」
で行う調査研究、
効果的な事業実証への支援や独自で設置している森林動物専門員の活動支援
【森林動物研究センターの主な事業(丹波市青垣町)
】
・野生動物、生息地、社会環境などに関する調査研究
・調査研究成果をもとに行政施策の企画立案の支援
・行政担当者や県民の現場対応の技術支援
・野生動物の計画的な保護管理を担う人材育成、捕獲技術者の育成
・情報発信
エ 野生動物の捕獲対策人員の確保【環境省】
・狩猟者の高齢化や減少が進んでいることから、猟友会等が実施する狩猟免許
試験講習会や狩猟現地体験会の開催などの狩猟後継者育成、確保対策への支
援
・ 狩猟免許の取得推進のため、銃砲所持許可を有する者については、狩猟免
許試験の一部(鉄砲所持許可検定項目と重複する項目(鉄砲の分解、結合
等)
)を免除する簡便化
【狩猟免許所持者の推移】
(人)
H元
H15
H19
H20
H21
H22
H23
免許所持者数
7,549
5,796
7,397
7,207
5,724
5,846
6,617
60 歳代以上
1,353
2,672
4,214
4,316
3,528
4,483
3,834
5 0
歳 代
2,284
2,234
2,128
1,908
1,270
1,093
1,108
4 0
歳 代
2,754
566
615
631
554
623
552
20∼30 歳代
1,158
324
440
352
372
418
352
6,952
4,830
4,763
4,802
4,457
4,539
4,830
実
人
数
※H19 に「網・わな猟免許」が「網猟」と「わな猟」に分離
(2)外来生物対策の推進
ア 国が直轄で行う集中防除事業対象地区の拡大など防除対策の全国的展開
【環境省】
【特定外来生物防除直轄事業の概要】
・以下の重点地域において防除事業を実施
・奄美大島、沖縄本島やんばる地域におけるジャワマングースの駆除
・ラムサール条約湿地など環境省が管理する保護水面などにおけるオオク
チバス等を駆除
・国立公園等における外来生物を駆除
60
イ ため池固有の水生動植物保全や、アライグマ、ヌートリアなどの特定外来生物
等について地方自治体が行う防除等取組への支援制度の創設
【農林水産省、環境省】
【特定外来生物被害防止基本指針(H16.10.15 閣議決定)
】
・
「地域の生態系等に生ずる被害を防止する観点から地域の事情に精通している地
方公共団体や民間団体等が行う防除も重要」と記述されるも地方公共団体等が
行う防除対策への支援施策がない
ウ 在来種への影響調査や防除手法等に関する国での研究・開発推進、及び地方へ
の情報提供や技術支援【環境省】
(3)ナラ枯れ被害対策の推進【農林水産省】
ア 森林機能の低下や景観が阻害されるなどのナラ枯れ被害の拡大防止に向け、森
林病害虫等防除事業費の必要な予算確保
イ ナラ枯れ被害による森林への影響調査や効率的・効果的な防除技術の研究・開発
推進
【ナラ枯れ被害量の推移】
(m3)
H4
H9
H14
H19
H22
H23
H24
対前年度比
被害材積
451
997
71
700
2,688
1,947
977
50.2%
被害市町数
3
3
3
6
10
9
12
3 市町増
○ H24 は、対前年度比 50.2%となったものの、被害先端地の一部では被害が増加して
おり、引き続き今後の被害拡大が懸念される。
○ 被害は、県北部の但馬地域を中心に発生していたが、H19 丹波市、H21 宍粟市、H22
篠山市、川西市、神戸市へと被害が拡大した。H24 には新たに西宮市、多可町でも
被害が確認され、被害先端地等での適切な駆除対策・対応が必要である。
【森林病害虫等防除事業の概要】
・補助対象(駆除)カシノナガキクイムシの穿入により枯死、又は枯死にひんしている樹
木の伐倒及び薬剤によるくん蒸又は焼却
(予防)カシノナガキクイムシが樹幹へ穿入するのを予防するため、健全木へ
粘着材等の塗布、ビニールシート被覆及び殺菌剤の樹幹注入
・負担割合 県 実 施 国 1/2、県 1/2
市町実施 国 1/2、県 1/4、市町 1/4
61
Ⅴ 躍進する経済社会づくり
1 規制緩和による成長戦略の推進【主要】
【新規】
国全体の経済活性化のための国家戦略特区に対する新たな提案及び平成 23 年に国
の総合特区の区域指定を受けた「関西イノベーション国際戦略総合特区」等の一層の
推進を図るため、以下の措置の実施を求める。
【内閣官房、内閣府、文部科学省、厚生労働省】
(1)特区制度を活用した規制緩和の推進
「国家戦略特区」については、東京や大阪といった大都市圏のみでなく、地方
都市圏や農山村地域の発展の起爆剤ともなる制度設計とすること
また、現行特区制度が本来の機能を果たし、政策的効果を最大限発揮できるよ
う、総合特区推進調整費の配分や、特区区域・事業追加の手続きをより柔軟に行
える仕組みを講じること
(2)国家戦略特区「先端医療・計算科学・光科学産業クラスター特区(仮称)」の選定
国家技術基盤である大型放射光施設 SPring-8 及び SACLA、世界最高水準スーパ
ーコンピュータ「京」が集積する神戸−播磨地域において、先端医療・計算科学・
光科学各分野の技術開発成果を企業が素早く事業展開できる国家戦略特区の選定
【主な提案項目】
国の戦略的なプロジェクトとして、
・先端科学技術基盤を活用した創薬
・神戸発医療技術の海外展開、国際ビジネス環境の整備
・先端医療機器等の海外展開、国際医療交流の展開、先制医療の実現
・安全・高性能な次世代電池の実現、人工光合成技術を活用した新エネルギーシステムの実現
・先端科学技術基盤を活用した新エネルギー材料の開発、開発成果の迅速な企業化の促進
(規制改革等)
・SPring-8 及び SACLA とスパコン「京」を結ぶ専用高速回線の設置
・特区事業の企業研究に関し、成果非公開でもビームラインやスパコンの利用料金の減免
・粒子線治療装置等先端機器を「機器・治療技術・人材育成」のパッケージとして海外展開支援
・海外展開すべき医薬品・医療機器に係る薬事承認の特例的審査期間の設置と国際基準化
・次世代電池の性能・安全性の評価を行う「次世代電池評価センター」の SPring-8 近隣への設置
・人工光合成研究の国家プロジェクトとしての推進
・特区事業の企業化促進のため、事業化するベンチャー企業に対する出資の全額損金算入、関
連設備投資の特別償却等の特例措置
(3)関西イノベーション国際戦略総合特区(国際戦略総合特区)の推進
世界屈指の企業、大学・研究機関、科学技術基盤の集積と物流基盤を活かして、
関西が強みを持つ環境エネルギー材料やiPS細胞をはじめとした先端医療・医薬
品分野で国際競争力向上を目指した“イノベーションプラットフォーム” の構築
をめざす「関西イノベーション国際戦略総合特区」の計画の実現のために、新た
62
な規制・制度の特例措置、税制・財政・金融上の支援措置等を速やかに実施
【主な要望項目】
(提案項目)
・SPring-8 を活用した次世代環境エネルギー材料開発・評価
・放射光とシミュレーション技術を組み合わせた革新的な創薬開発の実施
・シミュレーション技術の人材育成
(規制改革)
・医療機器に係る薬事承認申請に対する審査の迅速化[薬事法等]
(4)あわじ環境未来島特区(地域活性化総合特区)の推進
“国生みの島”淡路島の可能性を引き出しつつ、日本が抱える社会的課題の解
決策を示し、アジアの発展にも貢献する、地域主導の新しい持続モデルの形成を
めざす「あわじ環境未来島特区」の推進に向けて、新たな規制・制度の特例措置、
税制・財政・金融上の支援措置等を実施
【主な要望項目】
(提案項目)
・大規模な土取り跡地等の未利用地を活用した太陽光発電所の整備
・日本有数の潮流を活用した潮流発電の検討
・太陽熱発電とその排熱利用型バイナリー発電の高効率ハイブリッド実証
・チャレンジファームによる人材養成
・高齢者に優しい持続交通システムの構築
(規制改革)
・リチウムイオン電池の輸送に関する規制緩和[消防法]
・国際戦略総合特区と同等の法人税の軽減措置の導入[総合特別区域法]
2 地域の持続的成長を牽引する基幹産業の強化
地震、津波、健康など国民の安全安心を支える科学技術基盤を一層充実し、国際的
な計算科学の研究拠点や量子ビーム科学の研究拠点を形成するとともに、地域におけ
る産学官連携の促進を通じて科学技術を活用した新たなイノベーションの創出、さら
には、わが国の産業の基幹となるものづくり産業の安定した基盤確保のための企業投
資や企業連携に対する支援など、わが国の持続的な経済成長の柱となる基幹産業を強
化するため、以下の措置の実施を求める。
(1)科学技術基盤整備と施策の産業利用の促進【文部科学省】
ア スーパーコンピュータ「京」の利用促進
平成 24 年 9 月に共用開始したスーパーコンピュータ「京」の産業利用の促進
(ア) スーパーコンピュータ「京」の産業利用のための効果的な制度や運営体制の
整備
・産業界の円滑な利用のための産業利用枠の拡充や専用の利用基準の設定
・産業界の基盤技術に関する先導的な研究開発プロジェクトの推進
63
・運用にあたっての情報関連企業へのアウトソーシングの積極的な推進
(イ) 計算科学振興財団が「高度計算科学研究支援センター」で行うスーパーコン
ピュータ「京」への研究支援、産業利用の促進や普及啓発の取組などへの支援
・産業利用を促進するため、産業界専用のエントリースパコン(FOCUS スパコ
ン)の維持及び同スパコンを活用した研究プロジェクトへの支援措置の充実
・高度計算科学研究支援センターに設置されたアクセスポイント神戸への支援
措置の充実
・スーパーコンピュータ「京」と連携した貸研究室の共用など利用環境の充実
・理化学研究所等と連携した企業の経営者・研究者を対象としたセミナーの開
催
(ウ) 計算科学人材育成に対する支援
・計算科学振興財団と高度なシミュレーション教育を行う神戸大学や県立大学
が共同で行う企業の高度技術者の養成事業に対する支援
・リーディング大学院等を活用した先端融合分野(計算科学、バイオインフォマ
ティクス、ゲノム・プロテオミクス等)のグローバル人材育成に対する支援
(エ) 防災・減災に資する研究をはじめとした「戦略5分野」における研究成果の
社会還元を推進
・理化学研究所等がスーパーコンピュータ「京」を用いて戦略的・重点的に研
究を推進していく戦略分野(防災・減災やものづくり、医療など5分野)に
ついて、研究成果を社会や生活に還元させる仕組みの構築
(オ) 我が国における計算科学技術システムの長期的・戦略的な視点に立った計画
の推進
・スーパーコンピュータ「京」で蓄積した技術・経験・人材を適切に維持・発
展させるため、エクサスケールコンピューティング(
「京」の 100 倍)を戦略
的に開発・整備
(カ) 大型計算機資源(スーパーコンピュータ)の東日本と西日本のデュアルシス
テムの構築
大規模自然災害などの不測の事態が生じた場合にもわが国の研究活動が安定
的、継続的に推進できるよう、東日本に偏在している大学・研究機関の大型計
算機資源のバックアップ機能を西日本が担うデュアルシステムの構築
・西日本における大学・研究機関の大型計算機資源の整備促進
・西日本におけるデータセンター設置などデータベース機能の強化
64
【スーパーコンピュータ「京」
(けい)の概要】
・共用開始:平成 24 年 9 月 28 日
・設置場所:ポートアイランド 2 期地区内
・計算能力:10 ペタフロップス(1 秒間に 1 兆の1万倍)超、世界最高水準の超高速
スーパーコンピュータ(地球シミュレータの約 250 倍)
・利活用例:新薬の開発、半導体材料の開発、自動車の衝突解析等
【高度計算科学研究支援センター(H23.4 開設)の概要】
・施設内容 貸研究室、実習室、セミナー室、コンピュータ室(FOCUS スパコン設置)等
・支援機能 ①研究支援機能 産業界と大学や研究機関等による研究支援と研究
交流の場の提供
②産業利用支援機能 産業界への技術相談、セミナー開催と企業の
研究開発スペースの提供
③普及啓発機能 青少年、一般向け普及啓発活動
・設置主体 (公財)計算科学振興財団(H20.1.22 設立)
イ 大型放射光施設(SPring-8)
・X線自由電子レーザー「SACLA」の利用促進
【文部科学省】
(ア) 大型放射光施設(SPring-8)の産業利用に向けた支援充実
・すべての利用研究課題の報告書について企業の機密保持に対する柔軟な対応
・未経験企業や中小企業に対するニーズに応じた分析・測定サービスなどの充
実
(イ) X線自由電子レーザー「SACLA」の利用促進
・産業利用枠の設定や研究開発プロジェクトの推進等、産業利用に効果的な制
度や支援策の創設
・スーパーコンピュータ「京」との相乗効果を発揮するための施策の実施及び
研究プロジェクトの推進
・X線自由電子レーザー「SACLA」及び大型放射光施設(SPring-8)の施設充実
(ウ) 大型放射光施設(SPring-8)の適切な整備
・理化学研究所が進めている SPring-8 の高度化に向けた技術的検討なども踏
まえた、SPring-8 の適切な整備
(2)地域産学官連携研究開発による産業技術の創出
ア 地域のイノベーションの創出に向けた産学共同研究・人材育成への支援
【文部科学省】
地域の特色あるイノベーションを創出するため、県内の大学・研究機関と企業
が共同して取り組む産学共同研究に対する支援
・神戸大学先端膜工学センター、公立大学法人兵庫県立大学と企業との共同に
よる水の浄化システムの研究開発
・神戸大学、理化学研究所等が連携して実施する SPring-8 や SACLA を活用した
人材育成プログラム
イ 産学連携事業の促進【文部科学省】
神戸と播磨の研究施設(SPring-8、SACLA、京、FOCUS スパコン)や公立大学法
人兵庫県立大学や神戸大学などの大学、企業との連携により、医学、工学、農学、
システム情報学など多様な分野で先進的な研究開発を行う産学連携拠点の整備
65
(3)戦略的企業誘致の推進【内閣官房、内閣府、経済産業省】
アジアの新興国等の成長を取り込み事業拡大する外資系企業の誘致促進のため
の支援の充実
・日本貿易振興機構(ジェトロ)の国内外事務所ネットワークを活用した誘致案
件の発掘強化と情報の共有
・個別企業招へいやビジネスマッチングプログラム等の実施
(4)経済情勢に対応した企業活動への支援
ア 企業投資、企業立地を促進【内閣官房、内閣府、経済産業省】
国内産業の空洞化が懸念される中、わが国ものづくり産業の安定した基盤を確
保するため、国内における企業投資、企業立地を促進するための補助金等の支援
制度の充実
・国内における企業投資に対する国の支援策の充実
・地方自治体における企業立地により生じた財政需要に対する支援措置及び地方
税減免による減収補てん措置の充実
イ 国内の設備投資の促進【財務省、経済産業省】
企業が国を選ぶ時代に、わが国は投資先としての魅力を急速に失いつつあり、
工場等の海外流出を加速するおそれがあることから、国内において設備投資を促
すための以下の支援策の実施
・設備投資の税額控除や即時償却など税制における優遇措置の強化(現行:中小
企業の機械設備等を対象に 7%の税額控除、少額(30 万円未満)減価償却資産
の即時償却等)
・政府系金融機関等による設備投資に関する積極的な資金支援
3 中小企業の経営基盤強化への支援
中小企業の成長による地域経済の活性化に向けて、中小企業の経営力強化・経営基
盤を強化するために、中小企業に対する融資制度、設備導入資金貸付、海外展開促進
支援、雇用対策に関する以下の措置の実施を求める。
(1)中小企業に対する支援充実
ア 平成 25 年 3 月で中小企業金融円滑化法が失効したが、同法失効後においても、
中小企業者の事業活動の円滑な遂行が図られるような金融機関への指導強化
【金融庁】
66
【中小企業金融円滑化法終了後の対応について】
・中小企業金融円滑化法とは、中小企業者等に対する金融の円滑化を図るため、金
融機関に対して、債務の弁済負担軽減の申込みがあった場合にこれに資する措置
をとるよう努める事を求める法律。平成 25 年 3 月末で失効した。
・国は、同法終了後の対応として以下の様な対策をとっている。
○金融機関に対して、円滑化法終了後も貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努
めることを要請(検査マニュアル・監督指針に明記)
○全都道府県に中小企業支援ネットワークを整備
○独力で経営改善計画の策定が困難な中小企業・小規模事業者に対して、金融機
関や税理士などの認定支援機関が経営計画の策定を支援
○中小企業再生協議会の機能強化
イ セーフティネット保証(5号)制度の幅広い対象業種の指定と状況に応じた見
直し及び認定要件の見直しの随時実施【経済産業省】
【セーフティネット保証制度に関する課題】
・セーフティネット保証(5号)制度においては、平成24年11月以降、例外業
種を除いた全業種指定の運用を見直し、業況が改善した業種については指定業種
から外れている。
(平成 25 年度上半期指定業種数 727 業種)
・依然として経営環境が厳しい中小企業の資金繰りを支援するため、幅広い対象業
種の指定と状況に応じた見直しの随時実施が必要
・加えて、経済の困難な状況に応じて、売上減少要件をさらに緩和するなどの見直
しの随時実施が必要(現行:前年同期比売上△5%→(例)△3%)
・また見直しにあたっては十分な周知期間が必要
ウ 政府系金融機関を通じた直接貸付の充実による中小企業等の資金繰り支援の強
化【経済産業省】
(2)小規模企業者等に対する設備導入支援の継続実施【経済産業省】
小規模企業者等設備導入資金制度の廃止後においても、小規模企業者等に対す
る設備導入支援の継続実施
【小規模企業者等設備導入資金制度〔平成 26 年度終了〕の概要】
・国、県が原資の一部を負担することにより、小規模企業者等が機械設備を導入す
る際に、資金貸付(無利子)及び設備貸与(割賦・リース)を受けることができ
る制度
【兵庫県での利用実績(過去5年間の年間実績平均)
】
小規模企業者等設備資金制度:21 件、 219,380 千円
小規模企業者等設備貸与制度:97 件、1,170,942 千円
(3)中小企業の国際的な事業展開の支援【経済産業省】
アジアの新興国等における企業の海外展開を促進するための支援の充実
ア 日本貿易振興機構(ジェトロ)神戸における相談業務や輸出有望案件発掘支援
事業の拡充など体制強化
イ 国や中小企業基盤整備機構等による海外展開情報セミナーなど情報提供事業の
強化・拡充
ウ 若手社員の国際コミュニケーション能力など国際交渉力育成事業によるグロー
バル人材育成の支援強化
エ 国家間の課題による、中国への輸出や中国現地売上の低迷等の長期化に伴い影
響を受ける企業への支援
67
(4)ものづくり産業集積の技術開発力・製品開発力強化【文部科学省、経済産業省】
ア ものづくり中小企業連携支援事業の予算枠の拡充
【ものづくり中小企業連携支援事業の概要】
・概要:特定ものづくり基盤技術(鋳造、鍛造、切削加工、めっき等)の高度化に資す
る研究開発、技術流出防止や模倣品対策を目指す試作開発・販路開拓、優れた
技術の事業化に向けて行う実証等、中小企業・小規模事業者、地域の大学等の
研究機関等が連携して行う取組を支援
・規模:全国 118.7 億円
・条件:
[研究開発]
・
「中小ものづくり高度化法」の計画認定を受けた共同体
・委託上限額:初年度4千5百万円
[模倣品対策、試作・販路開拓等]
・中小企業・小規模事業者等を含む共同体
・補助上限額:単年度2千万円(補助率 2/3)
[実証研究等]
・中小企業・小規模事業者と大学等との産学連携体
・補助上限額:単年度3千万円(補助率 2/3)
イ 研究成果最適展開支援プログラム(A−STEP)による産学連携の取り組み
に対する資金支援の充実
【研究成果最適展開支援プログラム(A−STEP)の概要】
・概要:大学・公的研究機関等で生まれた研究成果の実用化を目指すための研究開発フ
ェーズを対象とした技術移転支援プログラム。
大学・公的研究機関等における研究成果の実用化に向けて、フィージビリティ
スタディによる検証、および本格研究開発を支援するための委託事業。
・規模:全国 145.3 億円
・事業実施年度:最長7年間
・事業主体:企業、大学研究者、支援機関等のコンソーシアム
ウ 中小企業基盤整備機構による販路開拓コーディネート事業の実施体制の強化
(5)地域金融による域内資金循環の円滑化と域内再投資の促進【経済産業省】
平成 25 年3月末に中小企業金融円滑化法が失効した影響により、代位弁済の
増加が見込まれるほか、設備投資等に対する積極的な保証が期待される中小企業
信用保証協会において、
中長期的な観点から安定的な保証付与が可能となるよう、
協会への無利子貸付や補助などによる財政的基盤の充実・強化
(6)地場産業の産地振興に向けた産地組合・企業の製品開発等に対する支援施策の
充実【経済産業省】
・新事業活動促進支援事業による新製品の開発事業、生産効率化のための新技
術開発事業への補助制度の拡充
【新事業活動促進事業の概要】
・概要:地域の優れた資源を活用した新商品・新サービスの開発や販路開拓に取り組む
中小企業者に対し、市場調査、研究開発に係る調査分析、新商品・新役務の開
発(試作、研究開発、評価等を含む)
、展示会等の開催又は展示会等への出展、
知的財産に係る調査等の事業に係る経費の一部を補助
・規模:全国 30.5 億円
・対象者:中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律第6条
第1項に基づく「地域産業資源活用事業計画」の認定を受けた中小企業者
・補助率:補助対象経費の 2/3 以内(限度額 3,000 万円)
68
・JAPANブランド育成支援事業による国内外への販路開拓事業への補助制
度の拡充
【JAPAN ブランド育成支援事業】
・概要:複数の中小企業等が連携して、優れた素材や技術等を活かし、その魅力をさら
に高め、世界に通用するブランド力の確立を目指す取組に要する経費の一部を
補助
・規模:全国 3.5 億円
・補助率:補助対象経費の 2/3 以内(限度額 3,000 万円)
・後継者育成のための人材養成事業の創設
(7)皮革排水処理対策への支援【総務省、経済産業省、国土交通省、環境省】
皮革排水処理経費に対し、関係市町の財政負担軽減を図るための特別交付税措
置の継続や皮革排水補助金の創設など支援制度の創設
【皮革排水処理経費に関する関係市町の負担額(平成 23 年度実績)
】
・姫路市 1,895 百万円
・たつの市 936 百万円
・太子町 82 百万円
(8)雇用確保対策の実施【厚生労働省】
ア 緊急雇用創出事業(重点分野雇用創出事業)の継続実施
・平成 25 年度で終了する「重点分野雇用創出事業」について、基金の積み増し
及び事業期間の延長
イ 緊急雇用創出事業(起業支援型地域雇用創造事業)の対象要件の緩和
・平成 25 年度中からの継続事業に限り認められている平成 26 年度事業につい
て、平成 26 年度新規事業の対象化
ウ 新規学卒者等に対する就職支援対策及び未就職者対策の充実
・参加企業数の十分な確保など就職面接相談会の充実
・既卒者の一定期間(少なくとも卒業後 3 年間)の新卒扱いや、大学生の就職
活動の早期化見直しなど、新規採用に関する実効性のあるルールの策定推進
【平成 25 年3月卒業の学卒者の就職率】
・新規高卒者(兵庫県内) 97.9%(H25.4 月末時点)昨年同時期比+1.0
※ 過去 10 年間で最も就職率が低かった H16.4 月末時点 92.8%
〈兵庫労働局調べ〉
・新規大卒者(全国)
93.9%(H25.4.1 時点) 昨年同時期比+0.3
※ 過去 10 年間で最も就職率が低かった H23.4.1 時点 91.0%
〈厚生労働省及び文部科学省調べによる推計値〉
エ 高齢者の就業支援対策
・元気な高齢者が働き続けられる社会を目指した、高齢者の継続雇用施策及び
再就職支援施策の充実
・高齢者の生きがいにあふれた多様な就業機会の確保を図る観点から、シルバ
ー人材センターなどへの支援の拡充
・就職環境が厳しい 40、50 歳代の中高年齢求職者等に対する早期再就職に結び
つけるための就職支援策の充実
69
オ 女性の就業支援対策
・出産や育児等で一時的に職場を離れる女性の継続雇用を支援する施策の充実
・育児等で離職した女性の再就職を支援する施策の充実
・地域経済の活性化を図るため、新たな感性や就業経験を有する女性が起業に
取り組むことを支援する施策の充実
・女性の就業機会拡大のため、女性向けの企業説明会や就職面接会の開催を認
めるよう男女雇用機会均等法第5条の柔軟な運用
4 地域社会ニーズに対応した地域商業・商店街の再生
地域社会ニーズに対応した商業・サービス業の活性化や地産地消型の物産開発と地
域外への販売を通じて、地域に需要と雇用を創出し、地域における経済循環を促進す
るため、創業・開業の支援や空き店舗・空き区画対策や老朽商業施設撤去への補助、
基金組成の支援等など以下の措置の実施を求める。
(1)商店街の活性化とまちの再生
ア 小売商業・サービス業の創業・開業支援【経済産業省】
商店街の空き店舗を活用した個店の創業・開業等への補助制度の創設
イ 商業集積機能を喪失している商店街への支援【経済産業省、国土交通省】
商店街のコンパクト化やまちなか居住の促進を行うために実施する老朽化した
アーケード・小売市場等の撤去に対する補助制度の創設
(2)地方都市の空き店舗や空き区画が多発している商店街・再開発ビルへの支援
【経済産業省】
中心市街地活性化法に基づく認定中心市街地については、空洞化が進展しつつ
ある商店街や区分所有の再開発ビルの空き店舗等の利用権を定期借地や不動産信
託により集約化して再生整備を行う事業の支援制度があるが、地方都市にはない
ため、中小商業活力向上事業への補助対象化
【中小商業活力向上事業の概要】
・商店街等活性化のため、商店街振興組合等が行うハード整備事業、ソフト事業に補助
・補助対象例
ハード整備事業
ソーラーパネル付アーケード整備、カラー舗装整備、
教養文化施設整備 等
ソフト事業
空き店舗を活用したコミュニティ施設等の設置・
運営、商店街活性化イベント事業 等
○認定中心市街地:明石市、川西市、姫路市、丹波市
○地 方 都 市:認定中心市街地以外の県内市町
(3)地産地消型の物産開発と地域外への販売による「まちおこし」支援【経済産業省】
中山間地域を中心とした地域経済の活性化を図るため、産学連携や地域資源の活
用等による地産地消型の物産開発や地域での販売並びに拠点整備、さらに地域外へ
の販売支援など、地域の知恵や強みを活かした多様な取り組みを幅広く応援する支
援制度の創設
70
5 観光・誘客型産業の振興
外客誘致をはじめ、訪日外国人の受け入れは、国際的な相互理解と友好の増進に寄
与するとともに、地域の対外イメージの向上、経済・産業の振興、雇用の拡大に大き
く貢献することから、受け入れ促進に向けた以下の措置の実施を求める。
(1)東アジアからの訪日観光客誘致対策【国土交通省(観光庁)
】
・観光客の回復に向けた、訪日観光客の多い韓国、台湾、中国等東アジアをは
じめとした海外における、積極的かつ先導的なプロモーションの実施
・各国著名人や TV 局、旅行誌記者など訪日旅行に影響力を持つマスメディアを
対象とするファムトリップ(招聘取材旅行)の実施
・海外における東日本大震災の風評被害を払拭し、訪日観光客の回復を図るた
めの日本の安全・安心な観光地等の観光情報発信
(2)訪日教育旅行(修学旅行)受け入れに対する支援【国土交通省(観光庁)
】
訪日教育旅行(修学旅行)受け入れに際し、本県の設置する学校交流コーディ
ネーターや、受け入れ学校が負担する諸経費に対する支援制度の創設
(3)
「オーセンティック旅館登録制度」の全国制度としての創設
【国土交通省(観光庁)
】
外国語対応ができる国際伝統旅館の登録制度として本県が先導的に取り組む
「オーセンティック旅館登録制度」の全国制度としての創設及びPRの実施
【オーセンティック旅館登録制度】
客室の 2 分の 1 以上が和室であること、水洗トイレであることなど、一定の要件を満たす
和風旅館の登録を募り、
ひょうごツーリズム協会がホームページ上に掲載するなど内外に広
く紹介するとともに、外国人観光客の受け入れに関する研修の機会や情報の提供、翻訳・通
訳サービスの提供等を行うことで、関係者の意識啓発と業界の活性化を図る制度。
(4)海外からの訪日観光旅行に関する査証発給要件のさらなる緩和の検討
【外務省、国土交通省(観光庁)
】
中国からより一層の誘客を促進するために、一昨年9月に緩和された沖縄数次
ビザ、昨年7月から緩和された東北3県数次ビザと同様に、中国人個人観光ビザ
の滞在期間を 90 日に延長するとともに、
数次ビザの最初の訪問地を沖縄県や東北
3県に限定することなく全国展開するなど、訪日観光旅行客の個人観光査証(ビ
ザ)発給要件のさらなる緩和に向けた検討
(5)地域の活性化に繋がるCIQ体制の充実・強化
【法務省、外務省、財務省、農林水産省、国土交通省】
ア 空港のCIQ体制の改善
神戸空港、大阪国際空港における、海外からのビジネスジェット・プライベー
トジェットの利用を促進するため、検疫官等の増員などCIQ体制の充実・強化
を図り、CIQ各機関への運航計画の連絡期限の短縮、出入国対応時間の改善
71
イ 神戸港のCIQ体制の充実
海外からの誘客を促進するため、神戸港における国際クルーズ船入港時等に、
入国審査官の増員や簡便な入国審査方法を導入するなど、迅速なCIQ手続きの
実施に向けたさらなる体制の充実
【参考】
○ 神戸空港のCIQの状況
・税
関:対応時間 8:30∼17:00、入国 14 日前、出国3日前までに申請
・出入国管理:対応時間 8:30∼17:00、入国 14 日前、出国3日前までに申請
・検
疫:対応時間 8:30∼17:00、14 日前までに申請
(ただし、植物防疫・動物検疫については携行品に限定)
○ 大阪国際空港のCIQの状況
・税
関:対応時間 8:30∼17:00、入国・出国 14 日前までに申請
・出入国管理:対応時間 8:30∼17:00、入国・出国 14 日前までに申請
・検
疫:対応時間 8:30∼17:00、14 日前までに申請
(ただし、植物防疫・動物検疫に係る空港には指定されていない。
)
6 持続可能な力強い農業を育てる取組の推進【主要】
TPP加盟などによる影響も予想される中、世界的な日本食ブームを背景に国産農
林水産物の需要拡大が見込まれることや、国内のライフスタイルが大きく変化するこ
とを国内農林水産業の成長の好機ととらえ、安全・安心、高品質な農林水産物の生産
拡大をはじめ、多様な地域資源を活用した持続可能で力強い農林水産業を実現するた
め、以下の措置の実施を求める。
(1)TPP協定交渉への適切な対応と積極的な農林水産業振興施策の実施
【内閣官房、農林水産省】
ア TPP協定交渉への適切な対応
農林水産分野や国民生活のあらゆる分野に影響を与えることが想定されるため、
「守るべきは守る」
とのスタンスで、
国益にかなう協定締結に向けた交渉の実施、
並びに国の責任においてその影響を明らかにした上での、必要な分野への適切な
支援策の実施
イ 農林水産業の持続的発展に向けた支援施策の強化
国が標榜している「平成 32 年度に食料自給率 50%」の実現に向けた、農林水
産業の持続的発展のための、地域特性に即したきめ細かな支援策の強化
ウ 攻めの農林水産業実現への施策の推進
世界の食市場の急速な拡大や国内のライフスタイルの大きな変化を我が国農林
水産業の好機ととらえ、農林水産業を成長分野として位置付けて産業として伸ば
していく、積極的な施策の実施
(2)農林水産物の輸出促進【農林水産省】
本県では、平成 17 年度から県産農林水産物の輸出促進対策に取り組み、これま
で台湾、香港へ淡路島たまねぎ、日本酒等の輸出を行っている。
72
また、神戸ビーフが平成24年2月にマカオ、7月に香港、11月にアメリカ、平
成25年5月にタイ、6月にシンガポールへ、兵庫県産米が平成24年11月に香港を
皮切りにオーストラリア、ドイツへ輸出が開始され、今後、県産農林水産物の更
なる輸出拡大に向け、以下の措置の実施を求める。
ア 中国をはじめとする輸出相手国の「植物検疫規則」「動物検疫規則」等により、
わが国からの輸出品目が制限されていることからこれら品目の輸出障壁の撤廃な
ど輸出環境の改善
イ 世界ブランドの育成のため、都道府県等が中心に行う輸出促進のための事業予
算の確保
ウ 福島第一原子力発電所の事故以降行われている諸外国の輸入規制(産地証明書の
要求等)の緩和・撤廃の継続的な要請
エ 各都道府県が行う農畜水産物の輸出プロモーションを支援するため、国が今後
の輸出拡大が期待できる関係国に現地商談機能も備えたアンテナショップを設置
し、各都道府県が利用できる仕組みの創設
オ 海外輸出を促進するため、
食肉処理加工施設の整備・改修等に対する支援制度の
拡充
(3)経営安定対策の見直し【農林水産省】
力強い農業を実現するため、経営所得安定制度を中心とした新たな「担い手総
合支援」の制度設計においては、本県農業の担い手となる主業農家、集落営農等
の中心的な経営体の育成につながる制度設計を求める。
なお、当面現行制度が維持される場合においても、以下の見直しを求める。
ア 対象作物全般に係る見直し
(ア) 担い手の育成や農地の有効利用をより一層推進するため、以下の措置の実施
・担い手加算項目の創設
・耕作放棄地を再生後の水田利用に対する再生利用加算の適用
・農地利用集積円滑化団体を通じない面的集積に対する規模拡大加算の創設
(イ) 市町・JAや農業者への過度の負担を伴わないよう手続き、事務等の一層の
簡素化
イ 米に関する制度の見直し
(ア) 条件不利地域が多い等の地域営農実態を反映した米生産費等の算定と、それ
に基づく全国一律でない地域別の交付単価の導入
【販売収入と生産費の差(平成 21 年度)※】
兵庫県:▲24,111 円/10a 全国:▲ 11,119 円/10a
※平成 21 年度以降データなし
(イ) 都道府県別の生産数量目標の算定について、生産数量目標に即した生産を推
進したところが不利になるような、25 年産米の算定方法で行った「配慮事項」
の廃止
【配慮事項】
①生産調整の超過達成、②県間調整による生産数量目標の減少、③過去に政府に売り渡
された備蓄米となっている数量
(ウ) 生産数量目標が助成枠という性格を持つこと等から、各都道府県の水田面積
73
に対し全国一律の比率を乗じた公平な生産数量目標の配分
【平成 25 年産米の生産数量目標の水田面積に対する割合】
兵庫県:58.7%(40 位)
全国平均:64.2%
ウ 日本酒の輸出増に対応した酒造好適米の生産調整における特例化
日本酒の輸出増に対応した酒造好適米「山田錦」の生産拡大等については、主
食用米と同じ生産目標数量の内数ではなく、外数として取り扱う特例化
エ 米以外に関する制度の見直し
(ア) 品質と数量だけでなく、自然条件等の差に帰因する地域別の単収や生産費の
格差等を反映した単価設定、加算措置等の実施
【畑作物の所得補償交付金】
・品質に応じた全国統一単価表で数量払
小麦 6,360 円、大豆 11,310 円〔60kg あたり全国平均単価〕
(イ) 水田の有効活用による自給力向上を加速させるため、麦、大豆等を中心に多
毛作を行っている地域への二毛作加算(助成)の増額
オ 畜産農家に対する支援制度の充実
畜産農家に対しても耕種農家と同様の経営所得安定対策の創設及び畜産物や配
合飼料の価格安定制度の充実
(4)米の消費拡大に向けた継続的な取組への支援【農林水産省】
米の消費量が減少傾向の中、都道府県が取り組む主食用米の消費拡大対策への
助成制度の創設等、さらなる対策の実施
【1 人当たり年間米消費量の推移(kg)
】
年度
H7
H12
消費
67.8
64.6
H17
H21
H22
H23
61.4
58.5
59.5
57.8
(5)米粉・飼料用米の生産支援【農林水産省】
米粉・飼料用米の生産者販売価格は低落傾向にあり、新規需要米に取り組む農
家の収入安定を図るため助成単価の定期的な検証と必要な見直し
【米粉用米の価格の推移】※兵庫県穀類工業協同組合からの聞き取りによる
(単位:円/kg)
年度
H20
H21
H22
H23
価格
79
79
60
50
(6)主要農作物及び園芸作物の生産振興に対する支援【農林水産省】
ア 自給力向上に資する戦略作物である麦・大豆における需要に適した普及性の高
い品種や革新的な栽培技術の開発
イ 主要農作物(採種対策含む)及び園芸作物について、需要の多様化が進み大量
少品目産地から、中小量多品目産地の形成が求められていることから、強い農業
づくり交付金等における、中小ロット供給を可能とする機械・施設整備の採択要
件の緩和(現行対象施設:5千万円以上の大規模施設)や補助率の引き上げ
74
【強い農業づくり交付金の概要】
・予算額 H24:21 億円→H25:244 億円(鳥獣被害防止対策は別枠で 105 億円)
・支援メニュー〔25 年度事業内容〕
・産地競争力の強化に向けた総合的推進(事業実施主体への補助率 1/2 以内等)
ウ 本県の三毛作地域では労力の軽減・作業の効率化が図れる畦畔のコンクリート
化は生産コストの低減や経営体の育成に非常に効果が高く、これまで経営体育成
交付金等を活用し実施してきたが、平成 23 年度より経営体育成支援事業へ移行し
たことに伴い、従来通りの整備が困難な状況になっていることから、従前の事業
と同様の事業の創設、又は既存事業におけるメニューの創設
(7)果樹の災害に対する支援【農林水産省】
自然災害等により農業用施設が損傷する等の大きな被害を受けた果樹は、原状
復旧に向け被災直後の速やかな支援が不可欠なことから、生産者の経営意欲を高
め、産地を存続するためにも、災害が起きた場合に備え、復旧・復興に係る恒久
的な制度の創設
ア 損壊した施設の復旧に係る初期経費に対する支援
イ 果樹棚の補強など災害に対する予防的な措置に対する支援
【既存の国の果樹支援対策の概要】
1 果樹経営支援対策事業
産地計画に基づく、担い手や産地が行う取組に対しての支援
2 果樹未収益期間支援事業
改植に伴う未収益期間に対しての支援
(8)ウメ輪紋病対策の推進【農林水産省】
ア 本県で感染が確認された植物防疫法で緊急防除が必要な「ウメ輪紋病」のまん
延防止と早期根絶を図るために必要な予算の確保
イ ウメ輪紋病の緊急防除区域ではウメ、モモ等に焼却等の処分と移動制限措置が
かけられ、当該地区の苗木生産農家、植木・造園業者等の経営へ大きな影響を与
えることから、産地復興に向けた生産農家等への経営再建に必要な施設・機械等
の導入支援事業の創設
(9)畜産物の生産振興に対する支援【農林水産省】
ア 但馬牛や酪農などの生産基盤を強化するため、生産性向上や生産コスト低減を
図る規模拡大や施設整備等を支援する強い農業づくり交付金や独立行政法人農畜
産業振興機構事業等の採択要件の緩和等による事業・制度の拡充
イ 但馬牛の種雄牛や凍結精液など遺伝資源の確保及び災害リスク低減のための施
設整備等への助成制度の創設
(10)新規就農者や企業の農業参入に関する支援の充実【農林水産省】
ア 平成 24 年度からの新規就農者確保事業(青年就農給付金)を効果的に実施する
ため、経営基盤を持たない就農希望者に多様な農業実践機会を提供し、新規就農
者の確保・育成を図るため、就農希望者が希望地で生産から販売までを行うこと
75
ができる小規模な実践農場を、技術、経営共に優れた農業者が自らの施設を利用
して設置する地域単位での農業実践機会創出活動に対する支援メニューの創設
イ 新規参入者が少ない土地利用型農業において、機械・施設等の融資を受けた場
合の 5 年間の償還猶予と、5 年後の目標を達成した場合の償還免除措置を講じる
制度の創設
ウ 新たに農業参入した個人及び企業等の定着を促進するため、効率的かつ安定的
な農業経営の実現に向け必要な農業生産技術・経営ノウハウの修得や農産物を活
用した新商品開発等に要する経費への支援制度の創設
(11)集落営農の組織化推進を加速化するための支援の創設【農林水産省】
高齢化や後継者不足等により地域農業の維持がますます困難となる中で、残存
する未組織集落の組織化を図るには、集落におけるリーダー等の育成を一層強化
する必要がある。このため、集落営農の組織化を進めるリーダーの育成研修、リ
ーダーや組織運営スタッフの育成をサポートする指導員や相談窓口の設置など集
落営農の組織化を加速するための支援措置の創設
(12)耕作放棄地解消のための公的管理に関する支援の充実【農林水産省】
利用すべき優先度の高い耕作放棄地について、公的組織が再生利用活動を実施
し利用者が確保されるまでの間の公的管理支援制度の創設
(13)都市農地の保全と振興
ア 農林水産省や国土交通省をはじめとする省庁横断的な対応のもとで、都市農業
の振興及び都市農地の保全について、基本理念及び施策の展開方向の明示と必要
な支援施策の充実【財務省、農林水産省、国土交通省】
イ 新鮮で安全な農産物の供給のみならず、防災・景観形成など農地の多面的機能
を評価し、地域の実情に応じた生産緑地地区指定の面積要件を緩和するとともに、
既指定地区が面積要件を欠いた場合であっても、自己都合によらなければ指定の
継続が可能である生産緑地地区の解除要件の改善【国土交通省】
ウ 所有者の生涯にわたる営農継続が条件である生産緑地の農地に関する相続税納
税猶予制度について、市町・JA等の市民農園開設等に際し、生産緑地を賃貸す
る場合の納税猶予継続や、農業用施設用地への納税猶予適用、生産緑地が公共事
業用地として収用された場合の相続税の納税猶予税額及び利子税等免除など租税
特別措置法の改善【財務省、国土交通省】
エ 農業後継者が農業経営を確実に継承できるよう農地や農業用施設等に対して、
相続による権利の細分化防止手続き等を盛り込んだ農家版事業継承制度の創設
【財務省、農林水産省】
(14)都道府県を介さない補助金等の一括交付金化【総務省、農林水産省】
都道府県が産地特性に応じて実施する農林水産施策と整合を図れるよう、国か
ら都道府県を介さず民間団体、企業等へ直接交付される補助金等(いわゆる「空
飛ぶ補助金」
)を廃止し、都道府県を通じた一括交付金としての措置
76
7 農山漁村の活性化に向けた基盤づくり
効率的・安定的な農業生産を支える基盤の整備、原木の安定供給のための林道等の
整備、農山漁村地域における防災減災のための治山ダムやため池等の整備等を計画的
に推進するため、以下の措置の実施を求める。
(1)農地・農業用水の保全及び整備の推進【農林水産省】
農業生産に不可欠な農業用水を安定的に供給するため、基幹から末端までの農
業水利施設の計画的な更新整備と適切な維持管理に向けた支援の拡充
ア 農業水利施設の維持保全
(ア) 国営土地改良事業「東播用水二期地区」
(平成 25 年着工)の早期完成と、
「東
条川二期地区」をはじめとする、国営造成施設の国による更新整備事業の計画
的な実施
(イ) 国営造成施設の更新整備については、末端受益面積の大小にかかわらず、原
則として国が対応するよう事業制度を改正(現行要件:末端受益面積 500ha 以
上)
(ウ) 国営造成施設の維持管理を担う土地改良区を財政的に支援する基幹水利施設
管理事業の制度を拡充(現行要件:受益面積 1000ha 以上等)
【国営事業地区概要】
(県全体)
地区名
主要施設
東条川
鴨川ダム、船木池、安政池、水路 23km 他
加古川西部 糀屋ダム、頭首工 4 基、水路 81km 他
北淡路
農地造成 400ha、常盤ダム、谷山ダム、水路 48km 他
東播用水
呑吐ダム、大川瀬ダム、川代ダム、水路 110km 他
建設時期
S22∼S39
S42∼H2
S43∼H 元
S45∼H4
(エ) 小規模な農業水利施設の機能保全を計画的に進めるため、診断調査及び機能
保全計画策定の補助対象の拡大(現行要件:末端受益面積 10ha 以上)
イ 農業の競争力強化を図るためのほ場整備などの推進
競争力の一層の強化を目指し、農作業効率の向上や担い手への農地集積の加速
化、田畑輪換による農地の有効利用の促進等を実現する生産基盤の整備を着実に
進めるため、農業競争力強化基盤整備事業の所要予算の確保及び地元負担の軽減
措置の充実・強化
【ほ場整備計画地区】
区分
地区名
新田(南あわじ市)
継続
ほか 11 地区
新規
(H27 年度
着工まで)
受益農地
予定工期
総事業費(百万)
662ha
H19∼H34
11,202
雁戸井(加古川市)
76ha
H26∼H30
880
高田西部(上郡町)
26ha
H26∼H30
510
生田大坪(淡路市)
25ha
H27∼H31
750
ウ ため池整備の推進
(ア) 頻発するゲリラ豪雨や東南海・南海地震などの大規模地震に備え、防災減災
77
対策を計画的に実施するため、定期点検や耐震調査制度の継続
(イ) 調査に基づく計画的なため池整備を推進するためのため池整備事業の所要予
算の確保と県・市町の地方負担を軽減する財政措置の充実・強化
エ 農地・水保全管理支払交付金の予算確保
農業者のみならず、集落共同で行う農地・農業用水等の資源の保全管理の取組
の更なる推進を図るため、地域の要請に応え得る所要予算の確保
オ 県営土地改良事業開始手続の改正
県営ため池整備事業の採択要件が緩和(受益面積 10ha→2ha)されたが、土地
改良法第 85 条に規定された県営事業の開始申請要件(法第3条で定める資格者
15 名以上)を満たせず事業に取り組めない地区が生じることが懸念されるため、
制度改正に合わせた土地改良法の改正
カ 農地・農業用施設等災害復旧事業における予算執行の効率化
災害復旧事業の迅速な執行と事務の簡素化のため、事業主体が被災箇所間の予
算調整を行えるよう、予算内示を被災箇所毎から事業主体毎に変更
(2)農山漁村地域整備交付金の予算確保【農林水産省】
地域の自主性と創意工夫による農山漁村地域の整備を推進するための所要予算
の確保
【H26 年度 農山漁村地域整備交付金 主な事業計画】
(単位:百万円)
事 業 名
地 区
所要額(国費)
農地整備事業(ほ場整備) 湊里(南あわじ市)ほか4 地区
200
水利整備事業(基幹水利
赤穂2期(赤穂市)ほか7 地区
194
施設整備型)
水利整備事業(地域農業
東播(小野市)ほか 2 地区
13
水利施設整備型)
基幹農道整備事業
蔦沢菅野地区(宍粟市)
135
農業農村 農業基盤整備促進事業
落方小山(西脇市)ほか 5 地区
60
基盤整備 集落基盤整備事業(総合
相野(三田市)ほか 4 地区
200
整備)
中山間地域総合整備事業 丹波西(丹波市)ほか 3 地区
250
農業集落排水事業
神出南(神戸市)ほか 14 地区
400
地域用水環境整備事業
鮎屋川(洲本市・南あわじ市)
50
(小水力発電整備)
計
48 地区
1,502
治山事業
灘白崎(南あわじ市)ほか 30 地区
2,000
前地・カンカケ線ほか 1 地区
200
森林基盤 森林環境保全整備事業
整備
森林空間総合整備事業
六甲山地区(神戸市)
22
計
34 地区
2,222
漁村再生交付金事業
香住(香美町)ほか 7 地区
163
水産基盤
集落環境整備事業
坊勢(姫路市)
98
整備
計
9 地区
261
海岸保全施設整備事業
沼島(南あわじ市)ほか 6 地区
248
(漁港)
海岸保全
海岸保全施設整備事業
施設整備
慶野(南あわじ市)
70
(農地)
計
8 地区
318
合計
99 地区
4,303
78
(3)広域農道・林道整備事業を推進する道整備交付金の予算確保【農林水産省】
農村地域の活性化に不可欠な広域農道及び「ひょうご林内路網 1,000km 整備プ
ラン」に基づく林道の整備を推進するために必要な道整備交付金予算の確保
【H26 年度 道整備交付金 事業計画】
整備内容
地 区 数
広域農道
南淡路 2 期(洲本市、南あわじ市)
林道
計
(単位:百万円)
所要額(国費)
250
須留ヶ峰線(養父市、朝来市)
千ヶ峰・三国岳線(多可町・神河町)
粟鹿山線(朝来市)
500
4 地区
750
(4)県単独林道整備事業への財政支援措置の充実【総務省、農林水産省】
平成 25 年度から地域活性化事業債の「国土保全対策事業」の対象となった県単
独林道事業への財政支援措置の充実
【ふるさと林道緊急整備事業による財政支援措置】
○当初:平成 5∼7 年度(第 1 期)
《臨時地方道整備事業債》
事業費 100
県 100
起 債 75
一般 25
通常分 75
交付税
交付税
一般 10
県負担
15
41.25
33.75
【算入率 55%】
実質県負担率=33.75+10.0=43.75%
○昨年度まで:平成 15∼24 年度(第 3∼4 期)
《地方道路等整備事業債》
事業費 100
県 100
起債 90
一般 10
通常分 75
財源対策債分 15
交付税
交付税
県
一般 10
7.5
県負担
22.5
負担
52.5
【算入率
7.5
【算入率 30%】
50%】
実質県負担率=52.5+7.5+10.0=70.0%
○今年度から:平成 25 年度∼《地域活性化事業債》
事業費 100
県 100
起債 90
通常分 90
交付税
県負担
27.0
63.0
【算入率 30%】
実質県負担率=63.0+10.0=73.0
79
一般 10
一般 10
8 資源循環型林業の展開への支援強化
森林のもつ多面的機能を維持・増進し、資源循環型林業を確立するため、以下の措
置の実施を求める。
(1)兵庫木材センターなど県産材加工を担う製材工場等の安定経営に向けた支援
【農林水産省】
ア 製材工場等の経営の安定化を図るため、原木購入代金等の運転資金(農林漁業
信用基金が債務保証する木材産業等高度化推進資金)借入利率について、現行の
1.6%から短期プライムレートの 1/2 である 0.74%程度への引き下げ
イ 現在林業就業者のみが対象となっている緑の雇用担い手対策事業について、製
材工場等の雇用者の支援対象化
【緑の雇用担い手対策事業の概要】
・対象:多様な経歴を有した林業就業に意欲のある若者等(都会からのIターン、
Uターン、他産業従事者、フリーター等含む)
・内容:3 年間の安定的・集中的な研修の実施により早期に育成
・事業期間:5 年間(平成 23∼27 年度)
(2)原木安定供給のための林内路網整備への支援強化【農林水産省】
原木安定供給の基盤となる「ひょうご林内路網 1,000km 整備プラン」に沿った路
網整備を推進するため、
「森林整備加速化・林業再生基金事業」の定額方式による路
網整備補助において、林業専用道と森林作業道の中間的な規格のトラック搬出用作
業道の補助対象化と当該事業の恒久制度化
【ひょうご林内路網 1,000km 整備プラン】
・高性能林業機械による低コスト原木生産のために団地内路網密度を 100m/ha にす
る作業道及び効率的な原木運搬を可能とするアクセス道(森林基幹道等)につい
て、平成 18∼27 年度の間に 1,000km の整備を促進
【定額助成方式の利点】
・原木供給のための搬出間伐の実施に際し、定額助成方式であれば、路網整備に伴
う助成額が事前に把握でき、全体のコスト計算が可能となることから、計画的な
原木生産・供給が推進できる。
【森林整備加速化・林業再生基金事業】
・国の経済対策として、平成 21∼23 年度の 3 カ年、地域における間伐等の森林整備
の加速化と間伐材等の森林資源を活用した地域産業の再生を図るための事業が創
設された。その後事業期間が平成 26 年度まで延長され、本県でも引き続き間伐や
路網整備のほか、木材の安定供給や森林・林業の再生に必要な人材の育成等に取
り組んでいる(定額助成方式の事業)
。
・路網整備については、林業専用道(@25,000 円/m)及び森林作業道(@2,000 円
/m)のみが補助対象とされている。
※林業専用道 10t積トラックの走行を想定した林道並みの道路
※森林作業道 主としてフォワーダなど原木の林内運搬車の通行を目的とした
簡易な作業道
(3)地域材利用拡大への支援強化【農林水産省】
ア 公共建築物等への地域材利用に対する補助制度の創設(平成 24 年度補正予算で
措置された「森林整備加速化・林業再生基金事業」の木造公共施設等整備への補
助事業の恒久制度化及び補助対象施設に農産物等物販施設などを追加する等内容
80
の拡充)
イ 住宅等での地域材利用を促進する「木材利用ポイント事業」の恒久制度化及び
住宅や民間施設での地域材利用に対する低利融資制度の創設
【木材利用ポイント事業の概要】
・対象:国産材を一定以上利用する木造住宅の新築・増築又は住宅の木質化をした者
机や椅子などの木材製品の購入者
・内容:農林水産品や地域商品券などと交換できるポイントの付与
・事業期間:平成 25 年度(平成 26 年 3 月末までに着手したものが対象)
ウ 東日本大震災の復興用木材の安定供給を図るための輸送費等に対する支援制度
の創設
(4)山の管理の徹底[再掲 P7]
【農林水産省】
ア 健全な森林を育成するための森林整備の推進
・間伐及び作業道開設について、森林所有者の負担なしで行えるよう国の支援
制度の拡充
・災害で発生した倒木等の緊急処理や被災した作業道の復旧に対する支援制度
の創設
・森林環境保全直接支援事業における間伐の補助対象要件の拡充
山地災害危険地等で作業道開設ができず間伐木の搬出が困難な場合で、森
林の防災機能を高めるために間伐木を土留構造物として林内で利用する場
合は、利用間伐と位置づけ、5ha 以上の面積があり、林内利用材積が1ha
当たり平均 10m3 以上あれば補助対象化(補助単価は伐捨間伐の単価を使用)
イ 「災害に強い森づくり」への支援制度の創設
・防災の観点からの間伐伐採木を利用した土留工の設置ができる事業の創設
・流木災害を軽減するための災害緩衝林の整備ができる事業の創設
9 林業公社の経営改善に対する支援
資金及び労務調達の面で自力造林が困難な地元に代わり造林事業を実施してきた
(公社)兵庫みどり公社が、分収造林事業の経営が厳しい中、災害の防止、地球温暖化防
止、水資源のかん養等多面的機能の発揮に向け、今後とも森林経営を安定的に継続で
きるよう、以下の措置の実施を求める。
(1)林業公社向け資金のさらなる拡充
ア 日本政策金融公庫の林業公社向け資金の低利子化及び対象の拡大
【財務省、農林水産省】
(ア) 利用間伐推進資金の償還期間(現行20年)の延長と利息・管理経費等の貸付対
象化及び一層の低利子化、又は新たな利子助成制度の創設
(イ) 有利子の利用間伐推進資金と併せて無利子の貸付を行う森林整備活性化資金
について、利用間伐推進資金と同様に元利償還及び管理経費の対象化
81
【日本政策金融公庫貸付(利用間伐推進資金)の対象経費(一部)と利息(平成 25 年4月現在)
】
対 象
経 費
公庫利息の支払
市中利息の支払
措 置
[貸付対象外]
利 率
−
市中元金の償還
公庫元金の償還
管理経費
毎年度の元金償還額 毎年度の元金償還額 利用間伐に関す
の 9 割まで
の 9 割まで
る事務費等
[H22 から対象化]
[H20 から対象化]
[一部対象]
全額有利子(借入時の公庫基準金利 平成 25 年4月現在 0.9%)
イ 民間金融機関からの資金調達の円滑化【財務省、農林水産省、金融庁】
全国的な木材需要の増大への対応のために国が推進した拡大造林政策に沿って
分収造林を進めてきた経緯、また、超長期にわたる事業という特殊性に鑑み、政府
保証制度の創設など林業公社の民間金融機関からの円滑な資金調達への配慮
(2)県から林業公社への貸付等に対する国の支援措置強化
ア 分収造林事業の長期性に配慮した転貸債取扱方針の整備【総務省、農林水産省】
(ア) 県無利子貸付等の金利低減効果の反映や生育途上で市場価値評価が困難な森
林の算定からの除外など事業長期性に配慮した転貸債取扱方針の整備
(イ) 当該起債に関する県元利償還への十分な交付税措置
イ 特別交付税措置の継続【総務省】
県から林業公社への貸付や利子補給に関する特別交付税措置について、引き続
き公益的機能の高度発揮を目指した森林整備を進めるための措置の継続
10 資源培養型水産業の振興
資源培養型水産業を確立するため、以下の措置の実施を求める。
(1)ノリ養殖色落ち被害対策の推進【農林水産省】
ア 栄養塩の管理システムを構築するため、瀬戸内海東部海域における栄養塩の分
布動態に関する国や大学、関係県の連携による広域調査の充実
イ 豊かな海の再生に向けた高度な栄養塩管理を推進するため、広域調査結果を活
用した栄養塩の管理システムの構築
ウ ノリ大型乾燥機やノリ高性能刈り取り船等を導入する漁業者への支援の継続
(2)日本海の国営増殖場造成の推進【農林水産省】
日本海における水産資源の回復を図るため、国営によるズワイガニ等増殖場造
成への予算措置の継続
(3)淡路、家島海域における海洋牧場構想の推進【農林水産省】
家島、淡路島周辺両海域の整備適地において増殖場等の整備を計画的に進める
ことにより、水産物の増産を図る海洋牧場構想の推進に向けた以下の措置の実施
82
ア 天然の好漁場である鹿ノ瀬等に匹敵する大規模な漁場整備を図る家島周辺海域
における第2の鹿ノ瀬構想の推進に関する事業実施のための予算措置の継続
【第2の鹿ノ瀬構想の概要】
、院下島(いんげじま)
、三頭島(みつがしらじま)
、太島(ふ
◇ 加島(かしま)
とんじま)の周辺 4 海域の水深 30∼40mに、各 10 基程度の石材礁を造成(概
ね 20 年間実施、全体事業費約 100 億円)
◇ 現在、第 1 期事業として、加島周辺海域で事業を実施し 25 年度に完成予定
・先導事業(H19∼21) 石材礁 5 基造成(事業費約 9 億円)
・本事業(H22∼25)
石材礁 5 基造成(事業費約 9 億円)
◇ これまでのモニタリング結果に基づき、第 2 期事業は三ツ頭島で実施
第 3 期事業以降の実施順は未定
・三ツ頭地区(前期事業 H24∼27)石材礁 4 基造成(事業費約 10 億円)
イ 淡路島を巨大な天然礁と捉え、天然漁場や沿岸の既設増殖場、魚礁を補完する
増殖場等整備のための確実な予算措置
(4)栽培漁業の推進【農林水産省】
国民に水産物を安定的に供給するため、資源の積極的な増大を図る栽培漁業推
進のための以下の措置の実施
ア 瀬戸内海における水産資源の回復を図るため、広域回遊種であるサワラの放流
用種苗生産の継続実施に対する国の積極的な取組の実施
イ 県等が行う栽培漁業の取組を強化するため、マダイ、ヒラメ等の種苗生産やキ
ジハタ、アサリ等の種苗生産技術開発に対する支援制度の創設
(5)漁業用燃油価格高騰等への対策強化【農林水産省】
ア 漁業経営セーフティーネット構築事業について、補填金支給の発動基準を燃油
高騰前(平成 15 年)の単価とするほか、漁業者が負担する積立金負担割合の軽減
等の燃油価格高騰への対策強化
イ 漁業経営において、燃料費は経費の3割を占め、また、商品価格に転嫁するこ
とが困難な状況であることから、漁業用軽油に関する軽油引取税の課税免除制度
の恒久化【総務省、財務省、農林水産省】
ウ 農林漁業用の輸入A重油に関する関税無税・石油石炭税免税制度及び国産A重
油の石油石炭税還付制度の恒久化【財務省、農林水産省】
(6)日韓新漁業協定体制下における漁業秩序、資源管理体制の早期確立
ア 日韓の排他的経済水域の早急な境界画定による、暫定水域の撤廃
【外務省、農林水産省】
イ 暫定水域が撤廃されるまでの間の暫定水域内の操業秩序及び資源管理体制の確立
【外務省、農林水産省】
ウ 韓国漁船によるわが国の排他的経済水域への違法越境操業に対する取締強化と
韓国政府に対する自国船への監視取締強化の要請
【外務省、農林水産省、国土交通省】
エ 暫定水域の影響を受けている漁業者の経営支援対策である韓国・中国等外国漁
船操業対策事業の再基金化による安定した実施【農林水産省】
83
(7)新造船取得等の円滑な推進への支援【農林水産省】
ア 漁業近代化資金融通制度等における貸付条件の緩和
漁業近代化資金融通法施行令等の改正により漁業近代化資金の漁船建造(15
年)、機関換装(7 年)に係る償還期限の延長
イ もうかる漁業創設支援事業採択期間(平成 25 年度まで)の延長
安定した収益確保につながる新たな操業形態の実証試験を行う漁業創設支援事
業の事業採択期間を5年間延長
(8)漁業の生産活動を支える拠点漁港等の機能強化【農林水産省】
ア 水産物の生産・流通拠点となる漁港の整備に必要な予算の確保
イ 老朽化している漁港施設の計画的な施設更新と、施設更新と合わせた岸壁の耐
震化や防波堤の耐津波性能強化等のための所要予算の確保
Ⅵ 地域活力の創出
1 基幹道路ネットワークの早期整備【主要】
県民の経済・社会活動を支える、最も基礎的な社会資本である道路を着実に整備す
るため、以下の措置の実施を求める。
(1)関西都市圏のミッシングリンクの解消【国土交通省】
ア 名神湾岸連絡線の計画段階評価の早期完了
イ 新名神高速道路の事業促進
ウ 播磨臨海地域道路の早期計画段階評価着手
エ 大阪湾岸道路西伸部(9期(ポートアイランド以西)
)の早期事業化
オ 中国横断自動車道姫路鳥取線の事業促進
【各道路の状況】
・名神湾岸連絡線:平成 24 年度より計画段階評価を進めるための調査着手
・新名神高速道路(神戸 JCT∼高槻 JCT)
:平成 28 年度までの供用をめざし、事業中
・播磨臨海地域道路:平成 25 年度より優先区間を絞り込むための調査着手
・大阪湾岸道路西伸部:平成 21 年 3 月都市計画決定済
・中国横断自動車道姫路鳥取線(播磨新宮 IC∼山崎 JCT)
:平成 24 年度用地買収着手
(平成 32 年度供用予定)
(2)日本海国土軸のミッシングリンクの解消【国土交通省】
ア 北近畿豊岡自動車道
・八鹿日高道路、日高豊岡南道路:平成 28 年度供用
・豊岡道路:早期都市計画決定に向けて、環境アセスメント等の推進、豊岡南
IC以南と同時に豊岡IC(豊岡病院)までの供用
84
イ 山陰近畿自動車道(鳥取豊岡宮津自動車道)
・浜坂道路:事業推進
・豊岡市竹野町∼同市下鶴井、新温泉町居組∼同町栃谷:早期事業化
※北近畿豊岡自動車道との JCT∼豊岡市下鶴井間は、国により早期事業化
・香美町香住区下岡∼豊岡市竹野町、豊岡市下鶴井∼京都府境:早期調査区間
指定
【各区間の進捗状況】
・北近畿豊岡自動車道 ※全長約 70km。以下、南から順
・春日和田山道路(31.7km)
:供用済
・和田山八鹿道路(13.7km)
:平成 24 年 11 月 24 日供用済
・八鹿日高道路、日高豊岡南道路(15.8km)
:用地買収、工事促進
・豊岡道路(約 7km)
:平成 25 年度より都市計画決定に向けた環境アセスメントの手続に着手
・山陰近畿自動車道
高規格幹線道路計画のうち日本海側の空白地帯は、山陰近畿自動車道の約 120km のみ。
(うち兵庫県内約 46km 以下、西から順)
・東浜居組道路(東浜 IC∼居組 IC)
(3.5km、うち県内 1.9km)
:供用済
・新温泉町居組(居組 IC)∼同町栃谷(浜坂 IC)
(約 6km)
:調査区間
・浜坂道路(浜坂 IC∼余部 IC)
(9.8km)
:調査・設計・用地買収・工事中
(※事業費の確保が課題)
・余部道路(余部 IC∼香住 IC)
(5.3km)
:平成 22 年 12 月 12 日供用済
・香住道路(香住 IC∼佐津 IC)
(6.2km)
:供用済
・香美町香住区下岡(佐津 IC)∼豊岡市竹野町(約 5km)
:未指定区間
・豊岡市竹野町∼同市下鶴井(約 9km)
:調査区間
・豊岡市下鶴井∼京都府境(約 4km)
:未指定区間
【推進体制の強化】
H24.5.30 に、山陰近畿自動車道整備推進協議会を設立し、京都府、兵庫県、鳥取県が
一体となって事業を推進
H25.1.25 に、3 府県、国、沿線市町の関係者が一同に会し東京促進大会『山陰近畿自
動車道 サミット in 東京』を開催
H25.4.24 に、山陰近畿自動車道整備推進議員連盟を設立
(3)府県間にまたがる広域防災道路の早期接続【国土交通省】
・都市計画道路山手幹線・三国塚口線:事業促進
2 公平で利用しやすい高速道路料金の実現
関西都市圏の高速道路に関しては、複数の運営主体と料金体系が混在し、利用者に
とって非常に分かりにくく、割高な料金となっている。
このため、公平で利用しやすい高速道路料金体系に向け、以下の措置の実施を求め
る。
(1)本州四国連絡道路料金の全国共通料金化【国土交通省】
平成 26 年度から割引も含めた全国共通料金を確実に導入すること
85
全国共通料金に向けた料金推移(普通車)
定価
陸上部単価(円/km)
海峡部単価(円/km)
主要区間
料金(円)
垂水∼淡路
神戸西∼鳴門
H23 料金
H24・25 料金
土日祝日
土日祝日
50%割引※1
50%割引※2
28.08
明石海峡:404.35
その他:252.72
2,300
5,450
※1 平日は、定価の 30%∼50%割引(通勤割引等)
1,150
2,725
27.56
明石海峡:358.9
その他:229.9
1,050
2,550
全国共通料金
(案)
(H26∼)
24.6
100
850
3,100
※2 平日は、H23 料金と同様
(2)阪神高速道路の利用しやすい料金設定【国土交通省】
ア 平成 26 年度以降の料金制度については、高速道路の有効活用、渋滞緩和、交通
需要の調整などの観点から、路線特性、財政状況、本来道路管理者等の意見も勘
案し、利用しやすいものとするべく、国と地方の検討会において、平成 25 年度早
期に取りまとめること
イ 見直し案の作成にあたっては、現在の料金割引を継続するなど現行料金と比べ
大幅な利用者の負担増とならない料金設定を検討すること
(3)料金体系一元化、地域主体の経営による「都市圏高速道路等の一体的運営構想」
の実現【国土交通省】
【都市圏高速道路等の一体的運営構想】
「地方分権」の観点から、地域による「ガバナンス」と「マネジメント」のも
と、阪神都市圏の高速道路等(阪神高速道路、西日本高速道路、地方道路公社の
有料道路等)を一体的に運営し、料金を一元化して利用しやすい体系にするとと
もに、料金収入により地域自らが戦略的に整備・維持管理を実施
(4)料金徴収期間の延長を含めた地方道路公社への支援【国土交通省】
【地方道路公社への影響】
高速道路とネットワークを形成している地方有料道路は、国の料金施策により、
料金引き下げなど公社経営に影響する可能性がある。
(5)競合する内航航路の維持に向けた支援【総務省、国土交通省】
内航航路は、物流の大動脈として国民の生活を下支えすることはもちろん、国
がめざす
「観光立国」
実現のための観光客輸送を担う重要な公共交通機関であり、
さらに、東日本大震災等の支援に際し重要な役割を果たした。内航航路の維持確
保について、危機管理等の観点から安定的経営に向けた国の責任による支援
【内航航路の状況】
・明石海峡航路(明石∼淡路島)は、明石淡路フェリー株式会社の航路廃止(平成 24
年 6 月 29 日)に伴い、一航路のみ
・神戸港発着のフェリー会社の極めて厳しい経営状況
(輸送台数:平成 19 年度比 64.3%)
86
(6)競合する地方鉄道の維持に向けた支援【総務省、国土交通省】
地域の生活交通を確保するため、競合する地方鉄道への国の責任による支援
3 関西の航空需要等への的確な対応
関西の浮揚のみならず、東京一極集中を是正し、双眼構造の国土形成を目指すため
には、関西3空港がその機能を強化し、首都圏空港と並ぶ日本の2大ハブ空港群とし
ての役割を果たさなければならない。また地域の航空需要にも的確に対応する必要が
ある。
このため、以下の措置の実施を求める。
(1)経営統合法に基づく関空・伊丹空港の一体的かつ効率的な運営の実現
【国土交通省】
ア 関空は、高すぎる着陸料の大幅な引き下げにより、国際競争力を高めハブ機能
強化
イ 伊丹空港は、空港機能の最大活用
・プロペラ機枠の着実な低騒音機化の実施
・新千歳・那覇など国内長距離便の着実な拡充の実施
・オウンユースのみに限定されている国際チャーター便の運航制限の緩和
ウ 伊丹空港の安全・環境対策が引き続き適切に行われるよう、国と地元との確認
書を踏まえ、新会社による安全・環境対策事業の適正な実施に対して国が責任を
果たすこと
エ 2空港の一体的・効率的な運営の効果を高めるため、名神湾岸連絡線の早期整
備、海上アクセスの利便性向上など空港間のアクセス強化
(2)神戸空港を含む3空港一体運用の実現及びそれに至るまでの神戸空港の運用制限
緩和【国土交通省】
関西全体の航空需要の拡大に向け、神戸空港も含めた3空港一体運用の実現、
それに至るまでの間の神戸空港に課せられた運用制限の緩和
(発着枠(1日 30 便)
の拡大、鉄道との接続など都市近接の優位性を活かした運用時間(7∼22 時)
の延長、国際ビジネスジェット・国際チャーター便運航制限の緩和)
(3)空港機能継続計画の策定【国土交通省】
首都圏機能麻痺時など非常時に備え、首都圏空港の機能を関西3空港が代替、
継続するための空港機能継続計画(BCP)の策定
(4)但馬−羽田直行便の実現【国土交通省】
全国の生活圏の中で首都東京へ最も遠い地域の一つである但馬と羽田空港を結
ぶ直行便の実現に向けた、羽田空港の「政策コンテスト枠」を小型機による地域
航空ネットワークの拡充に資するよう活用すること及び運航事業者への働きかけ
87
4 活力を支える社会基盤整備の着実な推進
国土強靱化を推進し、活力を支える社会基盤整備事業について、以下の措置の実施
を求める。
(1)社会基盤整備について、地域の実情を踏まえた必要な予算総額の確保
【内閣府、国土交通省】
ア 道路整備事業(北近畿豊岡自動車道、山陰近畿自動車道、東播磨南北道路、国
道 176 号名塩道路 等)
イ 街路整備事業(尼崎宝塚線、尾上小野線 等)
ウ 連続立体交差事業(阪神鳴尾駅付近、山陽西新町駅付近)
エ 河川改修事業(加古川、円山川、武庫川、船場川 等)
オ 砂防関係事業(六甲山系 等)
カ 港湾整備事業(姫路港、尼崎西宮芦屋港 等)
キ 海岸整備事業(福良港海岸、内田海岸 等)
ク 下水道整備事業(武庫川流域下水道 等)
ケ 市街地整備事業(英賀保駅周辺土地区画整理事業、明石駅前南地区市街地再開
発事業 等)
コ 公園整備事業(国営明石海峡公園、尼崎の森中央緑地 等)
サ 老朽化対策(山南多可線船町橋、阿万港海岸 等)
シ 公営住宅等整備事業(公営住宅耐震化のための建替及び改修事業 等)
等
(2)ひょうごインフラ・メンテナンス 10 箇年計画等による社会資本の老朽化対策の
推進【総務省、国土交通省】
高度経済成長期(1960 年代)に整備された大量の社会資本は、今後、急速に老
朽化が進むことから、平常時はもとより災害時にも施設の機能を確実に発揮させ
る老朽化対策を着実に推進する必要がある。このため、以下の措置を求める。
ア 今後、急増する老朽化対策に対応できるよう国庫補助事業費の確保
イ 現在、地方単独費で実施している施設の定期点検や修繕・更新計画策定、修繕・
更新等にも補助事業が適用できるよう制度の充実
ウ 老朽化対策を促進するため、施設の撤去等についても防災対策事業債等の起債
対象化
【地方単独事業で実施している修繕・更新】
・排水機場、水門、堰、樋門、ダム等の河川管理施設で総事業費が 4 億円未満
・排水機場、水門、樋門、防潮堤等の海岸保全施設で総事業費が 50 百万円未満
・河川矢板護岸
等
(3)社会資本整備総合交付金等の制度改善【国土交通省】
地域の課題に対応して必要な事業が実施できるよう、交付対象範囲の拡大など
地方の自由裁量を確保
88
(4)道路整備事業等における埋蔵文化財発掘調査費用の原因者負担の明確化
【国土交通省、文化庁】
国の道路整備事業等における埋蔵文化財発掘調査費用に関して、原因者負担の
原則から、都道府県の埋蔵文化財発掘調査員の人件費は、引き続き原因者である
国において負担すること
5 国際コンテナ戦略港湾・阪神港の国際競争力の強化
「国際コンテナ戦略港湾」に選定された阪神港は、関西圏の社会経済活動にとって
重要な港であり、西日本の物流を支える総合コンテナ港湾である。阪神港が国際競争
力をさらに高めていく上で、中長期的には姫路港まで含めた大阪湾諸港の一元管理が
望ましいと考えているところであり、まずは、阪神港が西日本の産業と国際物流を支
えるゲートポートとしてハブ機能を強化していくため、以下の措置の実施を求める。
(1)ハブ機能を強化するためのインフラ整備と集荷機能の強化【国土交通省】
ア 基幹施設整備に対する国費の集中投資(神戸港、姫路港、尼崎西宮芦屋港)
イ 集荷機能の強化を図るため、荷役機械の整備、補修に対する補助制度の拡充
(神戸港、姫路港 等)
(2)規制の特例措置や税制上の支援措置等の実現【内閣官房、内閣府、国土交通省】
国際競争力向上のためのイノベーションプラットフォームの構築を下支えする物流
基盤である国際コンテナ戦略港湾・阪神港の集荷機能の強化や港湾コストの低減など
を図るため、
「関西イノベーション国際戦略総合特区」における規制の特例措置や税制
上の支援措置等の実現
【
「関西イノベーション国際戦略総合特区」の阪神港に関する主な提案内容】
○国内コンテナ貨物の集荷機能の強化
① 内航フィーダー船の船舶燃料の課税免除
② 民間事業者による内航フィーダー船の新造・買取に対する暫定措置事業の廃止
○港湾コストの低減
埠頭㈱所有の既設コンテナターミナルの公設民営化によるターミナルリース料の低減
○民の視点からの港湾経営
埠頭株式会社の財産を処分する上での法人税免除
○先端産業、関連企業等の立地促進による創荷
ロジスティック用地・産業用地の低廉化のための埋立事業の起債償還年限(最大 30 年)の延長
(3)大阪湾諸港の一元管理の実現【内閣官房、内閣府、国土交通省】
姫路港など県管理港湾を含む大阪湾及び播磨沿岸に位置する大阪湾諸港の一元
管理に向けた取組推進への支援
ア インフラ整備と集荷機能の強化
イ 規制の特例措置や税制上の支援措置等の確実な実施
※ 大阪湾諸港:阪神港(神戸港・大阪港)
、姫路港、尼崎西宮芦屋港、東播磨港、
堺泉北港、阪南港
89
6 鉄道の利便性の向上及び地方鉄道路線の経営の安定化
高齢者等交通弱者の生活交通を確保するとともに、環境改善に寄与し、災害時の安
全性・代替性を確保する観点から、鉄道の利便性の向上及び地方鉄道路線の経営の安
定化等を目指し、確実な予算確保とともに、以下の措置の実施を求める。
(1)JR鉄軌道の整備促進【総務省、国土交通省】
ア 在来線の高速化など鉄軌道整備に対する支援制度の創設
・播但線(寺前∼和田山間)高速化 等
イ 国庫補助を活用できないJR鉄軌道整備に関する地方自治体負担への起債措
置、地方交付税措置の拡大など支援制度充実
(2)地方鉄道等に対する支援の充実【国土交通省】
ア 駅舎改良やIC対応型自動改札機整備、パーク&ライド駐車場・駐輪場等整備
の補助対象化など鉄道軌道安全輸送設備等整備事業の拡充
イ 地域の生活交通を確保するため地方鉄道事業者の運営経費への支援制度の創設
ウ 地方自治体が鉄道事業者へ運営支援等をした場合の当該地方自治体に対する支
援制度の創設
(3)列車運行の利便性の確保【国土交通省】
利用者ニーズに応じた列車本数の増便、運行改善に対するJR西日本への指導
・列車運行本数の増便 姫新線、山陰本線、播但線、福知山線、加古川線
・運行区間の延伸
① 山陰本線
豊岡駅∼鳥取駅間の直通運行化、特急「はまかぜ」の
全便鳥取駅までの延伸
② 山陽本線
新快速列車の岡山駅への延伸、和気(わけ)駅止まり
を姫路駅まで延伸
③ 赤穂線
長船(おさふね)駅止まりを姫路駅まで延伸
④ 福知山線
大阪駅∼福知山駅間の全便直通運行化
・大阪∼鹿児島間直通新幹線の姫路駅停車
① 「みずほ」の今後の増便にあたっては姫路駅に停車すること
② 「さくら」については、すべて姫路駅に停車すること
(4)ダイヤ改正時の関係地方公共団体との事前調整【国土交通省】
ダイヤ改正を行う際、県及び沿線市町と情報共有を図り、十分な時間的ゆとり
をもって事前の調整を図る旨のJRへの指導
・山陰本線、播但線における全駅停車の普通列車の便数復活
90
7 山陰海岸ジオパーク等の推進に関する支援
平成 22 年に世界ジオパークネットワーク(GGN)に加盟認定された山陰海岸ジオ
パークや平成 24 年にラムサール条約湿地に登録認定された円山川下流域・周辺水田に
おける取組について、今後一層の推進に向けて以下の措置の実施を求める。
(1)地質遺産及びラムサール条約湿地の保護とジオパーク等を活用した地域振興策へ
の支援
【外務省、経済産業省、国土交通省、環境省】
ア 国内の地質遺産及びラムサール条約湿地の保護・保全、それらを活用した地学・
環境学習やジオツーリズム等の推進など地域振興につなげるための各種施策への
支援
イ 知名度の向上やジオパーク等への誘客を図るため、ジオパーク及びラムサール
条約湿地における取組について、国内外に向けての積極的な情報発信
(2)地質等に関する教育・研究の充実支援【文部科学省】
ア ジオパークのエリア内の地質や、それらと生物多様性や環境との関係に関する
研究等に関して、県立コウノトリの郷公園に設置したジオ環境研究部をはじめ、
関連研究施設や大学など学術研究機関の研究充実への支援
イ ジオパークとコウノトリの野生復帰を主たる研究領域とし、地域資源の保全・
活用を担う人材を育成するため、公立大学法人兵庫県立大学が平成 26 年4月に設
置を予定する「地域資源マネジメント研究科」
(仮称)の円滑な開設に向けた支援
ウ 学校教育等において、児童・生徒の環境学習や体験学習へのジオパーク及びラ
ムサール条約湿地の積極的な活用促進
(3)ジオパークの活動継続支援
【文部科学省、外務省、経済産業省、国土交通省、環境省】
ジオガイド養成やジオパーク資料館等の整備充実への支援や、世界ジオパーク
ネットワーク(GGN)に加盟認定後 4 年ごとに実施されるGGNによる再審査
への対応に対するジオパーク活動への支援制度の創設
(4)ジオパークの推進に資する社会基盤の整備促進【国土交通省】
ア ジオパークへのアクセス性向上のための基幹道路の整備(北近畿豊岡自動車
道、山陰近畿自動車道〔鳥取豊岡宮津自動車道〕
)
イ ジオパークエリア内の周遊性向上のための道路網整備(戸島玄武洞豊岡線等)
ウ コウノトリをシンボルとした多様な生物の生活環境の保全・再生・創出
に向けた湿地帯等の整備(円山川、出石川等)
91
8 地域の活力再生に対する支援強化
過疎化、高齢化等の進展により、活力が失われつつある中山間地域等において、地
域の自主的・主体的な取組による賑わい創造や活性化、農業振興、定住・移住等を促
進するための取組をはじめ、地域の活力再生への幅広い取組に向けた以下の措置の実
施を求める。
(1)地域住民自らの自立計画づくりや活性化への取組に対する支援の創設
【内閣官房、総務省】
地域の活力が失われつつある中山間地域等において、先導的なアイデアを具体
的な地域活動につなげるため、取り組むテーマ等について自由度の高い支援措置
の創設
(2)市町合併後に活力が低下した旧役場地域における賑わいづくりへの支援
【内閣官房、総務省】
市町合併後のフォローアップに取り組む県や市町の自主的な取組に対応するた
め、過疎債と同様にソフト事業への合併特例債の発行を認めるとともに、合併市
町村の数に応じた交付金の創設などの財政的支援
(3)地域活力の低下、脆弱な財政基盤など厳しい状況にある過疎地域の集落対策への
支援【内閣官房、総務省】
ア 集落の課題を点検・調査し、活性化策などを助言するため、現在、設置等経費
に関して特別交付税措置されている「集落支援員」等について、必要経費の交付
金化、及び都市農村交流や移住・定住促進、特産品開発など具体的取組等の補助
対象化
イ 大都市圏における農村部に関する多様なニーズの把握と情報提供に向け、地域
おこし協力隊員等、現在各自治体等が行っている都市部の人材確保等への支援
(4)空き家の利活用及び適正管理【国土交通省、総務省】
防犯、防災、住環境等さまざまな問題を生じつつある空き家について、空き家
の利活用に向けた支援制度の拡充や所有者に空き家の除却を促すための税制度
の拡充
(5)地方都市の空き店舗や空き区画が多発している商店街・再開発ビルへの支援
[再掲 P70]
【経済産業省】
中心市街地活性化法に基づく認定中心市街地については、空洞化が進展しつつ
ある商店街や区分所有の再開発ビルの空き店舗等の利用権を定期借地や不動産信
託により集約化して再生整備を行う事業の支援制度があるが、地方都市にはない
ため、中小商業活力向上事業への補助対象化
92
(6)合併市町における地方交付税算定の見直し【総務省】
平成の大合併による地方交付税の特例措置が平成27年度頃以降段階的に縮小
される。現在、合併市町では行政コストの縮減に鋭意取り組んでいるが、非合併
市町に比べ市街地が分散していることから、救急車両や消防拠点、高齢者福祉セ
ンターなどは、今後とも維持する必要がある。
このため、合併後も集約が困難な行政需要については、合併市町の特殊性とし
て地方交付税を算定するよう見直すこと
(7)地域再生基盤強化交付金の予算確保と制度拡充【内閣府】
ア 地域再生法に基づく特別の支援として、平成 17 年度に創設された地域における
経済基盤の強化又は生活環境の整備を総合的かつ効果的に行うため、道、汚水処
理施設、港の3つの分野において、地域の裁量により、事業進捗等に応じた事業
間の予算の融通や年度間の事業量調節が可能となる地域再生基盤強化交付金制度
の堅持と十分な予算確保
イ 現行制度では、農道整備事業において、
「道整備交付金」を活用できる対象は、
地域の道路ネットワークを構築する「広域農道」のみであるが、農産物輸送の効
率化等に資する「一般農道」や「基幹農道」についても、
「広域農道」と同様に地
域の道路ネットワークを構築するものでもあるため、これらの各農道を区分する
ことなく、全体を「農道」として交付対象化
【参考】地域再生基盤強化交付金を活用している地域再生計画(平成 25 年4月時点)
(単位:千円)
地域再生計画の名
称
計画作成
主体
計画期間
兵庫県、神
水と緑が生きる心う
河町、多可 H22∼26
るおう郷づくり計画
町
交付金
総交付金額
の種類
うち26年度
要望額
2,314,500
道
市町村道
215,000 道
市町村道
道
「観光立島・美しい淡
淡路市
路市」再生計画
H22∼26
西播磨の食とのふれ
兵庫県、た
H22∼26
あい・安全を支える
つの市
港まちづくり計画
人と緑 心ふれあう
兵庫県、朝
H23∼27
交流のまち 朝来市
来市
(第2期)
新しい交通ネット
ワークを中心とした
南淡路地域活性化
計画
674,953
448,400
1,160,500
兵庫県、洲
本市、南あ H23∼27
わじ市
2,205,000
まるごと自然∼但馬
兵庫県、養
中央の郷計画(第2
H24∼28
父市
期)
736,000
施設の
種類
114,558
汚水処
理施設
汚水処
理施設
林道
公共下水
浄化槽
地区等の名称
事業主体
町道水走り中河原線 ほ
神河町
か2地区
町道山野部坂本線 ほ
多可町
か4地区
千ヶ峰・三国岳線
兵庫県
津名、北淡、郡家、淡路・
淡路市
東浦処理区
下水道・その他集合処理
淡路市
区域外
港
港湾
相生港、赤穂港、坂越港 兵庫県
港
漁港
岩見漁港
道
市町村道
市道白井山東線 ほか6
朝来市
地区
道
林道
須留ヶ峰線 ほか1地区 兵庫県
道
市町村道
茶屋池線
南あわじ市
140,000 道
市町村道
宇原千草線
洲本市
道
広域農道
南淡路2期地区
兵庫県
道
林道
須留ヶ峰線 ほか1地区 兵庫県
市町村道
葛畑大久保線 ほか1地区 養父市
29,000
66,000
166,650
道
※地区等の名称は、事業期間が26年度以降継続する地区のうち総事業費の最も大きい地区を記載した。
93
たつの市
Ⅶ 兵庫の自立
1 地方分権改革の推進
21 世紀の成熟社会において、地方の自己決定、自己責任の原則を確立し、地方が自
らの権限と責任、財源を持つ独立・自立型の統治システムの構築を図るとともに、国
と地方公共団体の関係を対等の立場で対話できる新たなパートナーシップの関係へと
転換するため、以下の措置の実施を求める。
(1)自立分権型の行政システムの確立【内閣府】
地方分権改革の原点に立ち返り、国と地方の役割分担を見直し、さらなる義務
づけ・枠付けの見直し、国から地方への権限移譲などの取組を進め、地域のこと
は地域で決定し、実行できる自立分権型の行政システムの確立
(2)義務付け・枠付けの廃止、縮小
ア 義務付け・枠付けの廃止・縮小【内閣官房、内閣府、文部科学省、厚生労働省、
農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、警察庁】
・医療制度における医療法上の基準病床数など、従来から地方が委任を求めて
いたにもかかわらず先送りされた、各制度の根幹に関する基準の見直し
・これまで見直し対象となっていない事項の更なる見直し
イ 施設・公物の設置・管理基準の条例委任に当たっての地方裁量の拡大
【内閣府、厚生労働省】
・地域主権一括法による基準の条例委任において、国が政省令で定める基準を
「従うべき基準」としてほぼそのまま条例化すべきと求めることは、地方の
立法権の制約につながることから、①「従うべき基準」から「参酌すべき基
準」への移行、②基準の委任形式を条例に限定しないこと等による地方裁量
の拡大
(3)国と地方の協議の場の運用【内閣府、総務省】
・制度設計に地方の意見が反映できる十分な期間をおくなど、国と地方の協議
の場の適時適切な開催
・社会保障・税一体改革については分科会が設置されているが、国と地方の協
議の場を実効性のあるものとするため、地方財政対策、国・地方を通じた税
制改革、社会保障制度など新たな分科会の設置及び活用
(4)定住自立圏構想の推進に向けた支援の充実強化【総務省】
ア 市町の自主的な圏域形成を促すための支援の充実強化
イ 平成 21 年度限りで実施された定住自立圏等民間投資促進交付金と同様の制度
の創設、及び医療関連施設等に限定されていた助成対象の公共交通、教育など公
共性の高い施設整備への拡大
ウ 複数の中心市と定住自立圏形成協定を締結している場合は、周辺市町村におい
ても新たな行政需要が生じることから、1,000 万円を上限とされている周辺市町
94
村の包括的財政措置の引き上げ
(特別交付税措置 1,000 万円/1市町村→1,000 万円/1市町村×圏域数)
【平成 21 年度限りで実施された定住自立圏等民間投資促進交付金】
国の経済危機対策として、平成 21 年度補正予算により 550 億円が計上された交付金で、
定住自立圏の形成が見込まれる地域等において、圏域における生活に必要な機能の確保等に
資すると都道府県が認める民間事業者等の施設又は設備の整備に対して、都道府県が交付
(対象事業及び充当率)
民間事業者等が行う下記4分野の施設又は設備の整備
(1) 医療・福祉機能の充実(民間投資額の 50%以内)
:病院、診療所、保育所等
(2) 購買環境等の整備(民間投資額の 10∼30%以内)
:駐車場・駐輪場、商業施設等
(3) 地域公共交通の充実(民間投資額の 50%以内)
:車両、デマンドシステム等
(4) 人材育成や研究機能の強化(民間投資額の 50%以内)
:私立大学の校舎等
2 地方税財政の充実強化【主要】
少子・高齢化や多様化する住民サービスへの対応など地方行政を安定的に運営する
ため、地方交付税の機能強化や地方税体系の充実強化など、地方税財政の充実強化等
に向けた以下の措置の実施を求める。
(1)地方交付税の機能強化【内閣官房、内閣府、総務省、財務省】
ア 社会保障関係費の確保、デフレギャップの解消に向けた投資事業の充実、少子
高齢化や地域間の人口偏在の進展への対応等の地方が直面する喫緊の課題へ機動
的に対応するため、地方財政計画に地域の需要を的確に反映し、地方財政規模、
地方一般財源を復元・増額すること
イ 地域間格差是正機能の復元、基準財政需要額の是正、交付税原資の充実などに
よる地方交付税の充実
ウ 地方財政は、大幅な財源不足の状態が続いており、地方税体系の抜本的な見直
しと併せ、地方交付税の法定率の引き上げを図るなど適切な措置が必要。地方税
体系が抜本的に見直され、財源不足が解消されるまでの間は、別枠加算を維持す
ること
(2)地方単独事業と地方負担への財源措置【内閣府、総務省、財務省】
経済雇用対策に加え、少子化、高齢化、地域間の人口の偏在の進展など地域が
直面する喫緊の課題に地域独自でも対応できるよう、補正予算を含め、地方単独
事業及び国庫補助事業の地方負担に対し、必要な財源を措置すること
(3)人事委員会勧告等を踏まえた人件費の所要額の確保【総務省、財務省、文部科学省】
ア 地方公務員給与についての国の関与の遮断
平成 25 年度地方財政計画において、臨時特例として、同7月から国家公務員と
同様の給与削減を実施することを前提に地方交付税が削減され、しかもこれを財
源とする「地域の元気づくり事業」の算定に、給与や定員削減の努力を反映する
という異例の手法が導入されている。
これは、地方公務員の給与の決定原則に反するとともに、地方交付税が地方の
95
固有財源であることを無視し、国の政策誘導手段として活用するものである。
したがって、地方公務員の人件費については、従前どおり、各地方公共団体の
人事委員会勧告等を踏まえた給与水準を基本として所要額を確保し、地方が主体
的に給与を決定できる地方財政計画上の措置を求める。
イ 地方公務員給与費の臨時特例と緊急課題への対応
平成 25 年度地方財政計画で示された臨時特例どおり給与関係経費を削減する
場合であっても、以下の措置を実施すること
(ア) 「地域の元気づくり事業費」の算定において加算される、人件費削減努力分
のうち職員数削減については、法令により定数が定められている警察官及び教
職員を除外すること
(イ) 「緊急防災・減災事業」の対象範囲については、全国的に緊急に実施する必
要が高く、即効性のある防災、減災のための地方単独事業とされていることか
ら、東日本大震災においても発生した土砂崩れやため池の決壊被害等に対応で
きるよう、治山・河川等の整備事業についても、各団体が弾力的に実施できる
よう対象事業の範囲を拡大すること
ウ 地方職員共済組合負担金率・掛金率決定方法の見直し
負担金率・掛金率の変更にあたっては、事前に運営審議会等で地方公共団体の
意見を反映させる機会を設けるとともに、算定根拠の情報開示を求める。
(4)地方税体系の充実強化【内閣官房、内閣府、総務省、財務省】
ア 地方は福祉や教育などの内政全般を担当するという国と地方の役割分担のもと、
国・地方間の税源配分の在り方を見直すこと
イ 地方消費税の充実など、税源の偏在性が少なく税収が安定的に確保できる地方
税体系を構築すること。この間、地方法人特別税及び地方法人特別譲与税は維持
すること
ウ 地方法人課税は、法人の事業活動に応じた負担であるため堅持すること
(ア) 資本金要件見直しや付加価値割拡大など外形標準課税の拡充を検討すること
(イ) 電気・ガス供給業などに対する収入金額課税については、外形課税として定
着し、地方税収の安定化に貢献しているため堅持すること
(ウ) 分割基準について、償却資産額基準の導入、本社の従業者数や事務所数の見
直しなど、事業活動の実態を反映できる基準となるよう検討すること
エ 「地球温暖化対策のための税」については、地方公共団体が環境施策の推進に
大きな役割を担っていることを踏まえ、その一定割合を地方財源として確保する
仕組みを制度化するとともに、使途に森林吸収源対策を追加すること。また、自
動車税と自動車重量税を地方税として一本化した「環境自動車税」を創設し、こ
れに併せて車検時徴収制度の導入を検討すること
オ 自動車取得税の段階的廃止に伴う地方の減収については、減収分の全額が補て
んできる確実な財源措置を行うこと
また、自動車重量税は、その約4割が譲与税として市町村に配分されるなど市
町にとって重要な財源であることから、見直しを行う際には地方財源の確保のた
96
めの措置を講じること
カ 地方税財源の堅持
(ア) 年少扶養控除の復活等の扶養控除の拡大に当たっては、地方財源に影響が出
ないよう、その減収に応じた地方税財源を確保すること
(イ) ゴルフ場利用税は、ゴルフ場所在地における財政需要を賄う重要な財源であ
ることから堅持すること
(ウ) たばこ税の税率を引き上げる際には、国と地方のたばこ税の割合を従来どお
り1:1として地方分の財源を堅持すること
(エ) 償却資産に係る固定資産税は、償却資産の保有と市町村の行政サービスとの
受益関係に着目して課するものとして定着している市町村の基幹税であり、市
町にとって重要な財源であることから、現行制度を堅持すること
キ 地方税の充実に向けた諸制度を改善
(ア) 税制の公平性の確保
・事業税の社会保険診療報酬の所得計算特例及び医療法人軽減税率の見直し
・日本銀行の国庫納付金の事業税対象化
・個人事業税の対象業種限定の廃止及び対象事業の認定基準を外形基準(不
動産貸付業の場合、戸建て住宅 10 棟以上など)から収入基準にするなど簡
素で公平な仕組みへ抜本的見直し
・不動産取得税の宅地評価土地の特例及び土地・住宅の軽減税率の見直し
・軽油引取税の一般財源化に伴う課税免除対象のさらなる限定
(イ) 賦課徴収事務の効率化
・個人住民税の特別徴収の確実な実施に向けた地方税法の改正(給与所得者
を定義する規定の明確化、特別徴収の例外規定の削除)
・個人県民税徴収取扱費市町村交付金の市町村の徴税費用・徴収努力を反映
する算定方法への見直し
・自動車税の抹消・転出時の納税確認制度等の早期導入
・地方税法で一律に規定する督促状発付期限は各地方団体がその置かれた状
況に応じて適切な発付日の判断を行えるよう条例委任化
・税務手続のオンライン化等への支援及び税務署・登記所等からの電子デー
タによる情報提供促進
(5)地方の役割を踏まえた社会保障・税一体改革の推進[再掲P22]
【内閣官房、総務省、財務省、厚生労働省】
地方は、福祉や教育などの内政全般を担当するという国との役割分担のもと、
国民健康保険、保育所の設置・運営、妊産婦検診など国の制度や国庫補助事業を
実施するほか、乳幼児医療助成など地方単独事業を実施し、社会保障を幅広く担
っている。
この社会保障関係費は、今後も増加することが見込まれ、消費税及び地方消費
税の税率5%相当分の引き上げでは、その財源を十分に確保できない。
社会保障制度を持続可能とするため、サービス内容の見直しと併せ、負担のあ
り方について抜本的に見直すこと。また、地方が社会保障において担う役割に応
97
じた財源が確保できるよう税制改革を実現すること
これらの改革に当たっては、国と地方の協議の場を活用し、地方の意見を適切
に反映すること
(6)消費税・地方消費税の税率引き上げに伴う課題への対応[再掲P22]
【内閣官房、総務省、財務省、厚生労働省】
平成 26 年度から段階的に税率が引き上げられることに伴う次の諸課題につい
て、今後、国・地方が相互に協力しながら、対応すること
ア 消費税収等の使途
消費税収及び引き上げ分の地方消費税収については使途が制限されることとな
ったが、現行分の地方消費税収にあっては、引き続き使途を制限しないこと
また、消費税率引き上げ分(地方分)を社会保障財源化する際には、国制度に
伴う地方負担分とせず、地方単独分の財源として確保すること
イ 低所得者層への配慮
消費税等の税率引き上げにより、低所得者層ほど税負担が重くなるという「逆
進性」が高まるとの指摘について、十分な実態的、理論的な分析を行うこと
その結果、配慮が必要と考えられる場合には、そのメリット・デメリットを国
民に明らかにした上で、緩和措置を検討すること
ウ 中小事業者への配慮
取引上不利な地位にある中小事業者において、消費税等を円滑かつ適正に転嫁
できるよう、転嫁や価格表示に関するガイドラインの策定、下請事業者に対する
不公正な取引の取締りや監視の強化などの対策を実施すること
また、軽減税率の導入の際には、インボイス制度の導入が必要であると考えら
れるが、中小事業者の事務負担が増えることが予想される点も考慮すること
エ 価格表示の外税方式への変更
価格表示については、今回の消費税の引き上げに際して、一定の場合について外
税方式が認められたところであるが、納税者にとって消費税額が明確となるよう、
総額表示義務の弾力的運用にとどまらず、外税方式を基本とすること
オ 「人口」を重視した地方消費税の清算基準の検討
地方消費税の都道府県間の清算基準については、このたびの税率引き上げが社
会保障費の財源確保を目的としていることや消費が多様化しているという社会の
実情も踏まえ、実際の消費者である「人口」の比率を高める方向で見直すこと
(7)地方分権の推進に向けた交付金の充実【内閣府、総務省、財務省、国土交通省】
ア 平成 24 年度に廃止された地域自主戦略交付金に代わる社会資本整備総合交付
金等については、地方分権の観点から、国の関与をなくし、地方が自主的に活用
できる制度とすること
イ 地方経済の活性化につながるよう、交付金の総額を確保すること
98
3 関西広域連合の充実・強化
関西広域連合は、平成 22 年 12 月の設立以来、防災などの広域事務やエネルギー対
策など新たな課題に取り組むとともに、国の出先機関の地方移管の早期実現に取り組
んできた。今後、関西における広域行政の責任主体として、また、国の事務、権限の
受け皿として、さらなる充実強化が求められており、以下の措置の実施を求める。
(1)関西広域連合の充実・強化【内閣府、総務省、法務省、財務省、厚生労働省、
農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省】
ア 広域連合制度の充実
・広域連合が処理する広域行政課題の変化に的確かつ迅速に対応できるよう、
規約変更に関する総務大臣許可の際に必要となる国の関係行政機関の長との
協議を廃止するなどの規約変更手続きの弾力化
・広域連合が国に移譲を要請することができる事務については、広域連合に密
接に関連する事務に限定されているが、ブロック単位で設置された国の行政
機関を概ねその区域に含める広域連合には、当該広域連合が求める当該行政
機関の事務も対象に追加
イ 広域連合の事務、権限の拡大【総務省】
・関西広域連合では、広域防災等7分野において、分野別広域計画に基づき、
府県域を越える広域課題に取り組むとともに、関西共通の課題に対応するた
め、エネルギー対策など、新たな課題についても積極的に取り組んでおり、
今年度、新たな3年間を対象とした広域計画を見直し、事務・分野の拡充も
予定していることから、こうした取組に対する関係府省の協力・支援
・広域連合の区域と関連する地域ブロックを対象とする国の計画の策定や施策
の企画、事業実施に際し、その検討段階からの広域連合の意見の的確な反映、
さらには、広域連合が策定、実施の主体となることも含め、法令上の改正な
ど新たな仕組みの構築
(2)関西広域連合への国からの権限移譲の推進【内閣府、総務省、法務省、財務省、
厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省】
ア 国出先機関の先行的な移管の推進
・政府与党が主張する道州制においても、国出先機関の地方移管は当然に前提
になるものであることから、国と地方の二重行政を解消し、地域における課
題を地域自らの意思と責任で解決するため、関西広域連合への先行的な国出
先機関の地方移管の力強い推進
イ 中央府省を含む国からの権限移譲
・地方分権改革有識者会議では、国の事務・権限について「更なる地方に対す
る移譲」が分権改革のミッションに掲げられているが、既に広域自治体とし
ての実体を備え、広域的行政課題への対応に実績を重ねている関西広域連合
への中央府省を含む国からの権限移譲
99
4 道州制に関する懸念への対応【新規】
現在、政府与党において検討が進められている「道州制」については、具体的な制
度内容が明らかになっていないことから、検討を進めるにあたっては、
「国と地方の協
議の場」を活用し、地方の意見を十分に反映のうえ、道州制に関する懸念を解消する
ため、以下の措置の実施を求める。
(1)道州制の制度設計にあたり検討すべき項目【内閣府、総務省】
ア 国のかたちについての議論
・道州制は、中央府省の解体再編を前提とした国のかたちの再編であるべき
・国の事務をいかに「極力限定」し、道州へ広く権限を移譲するかを明確化
イ 道州の立法権の範囲の明確化・国会機能の見直し
・道州の自治立法権をどこまで認めるのか、国と道州の立法権の憲法上の位置
づけを明確化
・立法権の地方への委譲に伴う、国会機能の縮小を検討
ウ 権限移譲に伴う地方の独自財源の確保
・国・地方を通じた大幅な歳入不足の中、現行の国の税源を単に道州に移譲す
るだけでは権限に応じた財源を確保することは困難
・財源確保策の十分な検討
エ 基礎自治体のあり方の十分な検討
・道州制導入に伴い、現行の全市町村において、都道府県からの事務移譲を一
律に受けることができるのか、市町村の意見を踏まえた十分な議論
オ 住民自治の確保
・住民自治の観点から、道州が地方自治の本旨に即した地方公共団体といえる
のかの検証
・広大な区域とされる道州では、政策決定の主体が住民から見えにくく、住民
意思が地方行政に十分に反映されない懸念があるため、住民自治の確保
(2)現行の取組を踏まえた検討【内閣府、総務省】
ア 現行の広域連携の取組の検証
・道州制を議論する前提として、全国で唯一の府県域を越える広域自治体とし
て確実に取組を進めている関西広域連合の実情や仕組みについての十分な検
証
イ 4層制の行政体制についての検討
・小規模市町村の垂直補完を担うには、広大な道州は不適、都道府県を存置し
た4層制の道州制の検討
・市町村の垂直補完を担う広域自治体として、本当に道州がふさわしいのか、
市町村の意見も踏まえた十分な議論
100
Fly UP