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ネットビジネス大手の新たな成長戦略 - Nomura Research Institute

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ネットビジネス大手の新たな成長戦略 - Nomura Research Institute
11-NRI/p70-71 02.10.16 19:05 ページ 70
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ネットビジネス大手の新たな成長戦略
和田充弘
収益基盤の多角化で成長を
含めた世界的な市場に発展するた
できないため、それ以外の収益の
図るネットビジネス大手
めに、種々の努力を続けてきた。
柱が必要とされていた。
1990年代後半、インターネット
それらの努力が実を結び始めた結
アマゾンが選んだ新たな収益源
ブームに乗り、新しいビジネスモ
果、この3社に明るい話題が出て
は、小売業のネット上での営業機
デルを掲げたドットコム企業が数
きており、一時は暗い話題しか聞
能アウトソーシングであった。リ
多く誕生した。しかし、その多く
かれなかったネットビジネスに、
テール業界の各分野の大手企業を
は一度も利益を上げることなく、
ほのかな明るさが見えてきた。
アマゾンのサイト上に出店させ、
ネットバブルの崩壊とともに表舞
台から消え去っていった。
その時代、ひときわ輝いていた
営業機能を担う代わりにサービス
初の年間黒字を目指す
料を徴収している。現在は、ター
アマゾン
ゲット(ディスカウントショッ
いくつかの企業があった。書籍販
ネット小売り最大手のアマゾン
売のアマゾン・ドット・コム、ポ
は、1995年の創設以来、いつ黒字
ットシティー・グループ(家電)
ータルサイトのヤフー、インター
を達成するか、四半期決算のたび
などが出店しており、9月には事
ネットオークションのイーベイで
にウォール街をはじめ世間の注目
務用品販売大手のオフィス・デポ
ある。しかし、彼らのビジネスも、
を集めてきた。昨年10∼12月期に
が加わるなど、提携企業を増やし
ネットバブル崩壊以降の厳しい環
は初めて黒字を達成したが、その
ている。
境のなかを、生き残りそして成長
後の四半期では再度赤字に転落し
していくためには、既存のビジネ
た。だが、売上高は順調に伸びて
広告依存からの脱却を図る
スだけを行っているだけでは不十
おり、今年最後の決算では、悲願
ヤフー
分であり、新しい領域に挑戦し、
の年間黒字を達成するのではない
収益基盤を多角化することが不可
かと注目が集まっている。
プ)、トイザラス(玩具)、サーキ
かつては高い広告収入に支えら
れて成長したヤフーであるが、広
アマゾンの書籍販売は以前から
告収入に大きく依存していたた
アマゾンは万年赤字から脱却す
好調であり、ライバルのバーンズ
め、ネットバブル崩壊以降、厳し
るために、ヤフーは激減する広告
&ノーブル・ドット・コムがナス
い状況に追い込まれていた。広告
収入に依存した収益構造を改善す
ダックへの上場廃止の危機に陥っ
依存体質を脱却し、収入源の多角
るために、業績好調のイーベイも
ているのとは対照的である。しか
化を進めた結果、今年4∼6月の
米国内の個人間の取引から企業も
し、書籍販売だけでは黒字を達成
四半期決算では黒字を達成した
欠であった。
70
知的資産創造/2002年 11月号
当レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法及び国際条約により保護されています。
Copyright © 2002 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
11-NRI/p70-71 02.10.16 19:05 ページ 71
が、これは実に7四半期ぶりのこ
続け、ドットコムのサクセススト
主要な決済手段となっているペイ
とである。
ーリーとして頻繁に取り上げられ
パルの買収が決まっており、1取
最も効果があったのは、今年2
てきた。今年4∼6月の四半期で
引当たりに得られる手数料をさら
月に行った求職情報会社のホット
は、売上高は前年比で47%増、純
に向上させる意向である。
ジョブス・ドット・コムの買収で
利益も2倍以上に増えた。景気後
あり、この結果、広告収入が同社
退は、在庫を処分したい企業や安
事業多角化と世界展開は
全体の収入に占める割合が、80%
く物を買いたい消費者の両方を引
飛躍のチャンス
から60%に低下したという。
きつけ、イーベイにとっては追い
また、同社のポータルサイトか
ネットビジネスを代表する3社
の成長戦略は、中核ビジネスの強
風だったことも幸いした。
ら提携サイトへのリンクを張るこ
オンラインオークションではひ
みを活かした収益基盤の強化にあ
とによって提携企業から料金を徴
とり勝ちのイーベイだが、新たな
ることが共通していたが、その方
収するサービスや、出会い系等の
収益源を求めて、いくつかの手を
法論は3社とも異なっている。
個人広告やビデオゲームなど個人
打ってきた。1つ目は、高い手数
アマゾンは小売業に対してネッ
から料金を徴収するサービスを提
料収入が見込める高額商品取引の
ト上での営業機能を提供するアウ
供して、ビジネスの多角化を図っ
開拓であり、自動車と不動産分野
トソーシングビジネスを強化し、
ている。加えて、地域通信大手の
のサービスの充実に加え、今年初
ヤフーはコンテンツビジネスや高
SBCコミュニケーションズと共
めにはプライスライン・ドット・
速インターネット接続サービスな
同で、小規模事業や住宅向けに高
コムと提携し、航空券、ホテル、
ど自主事業の多角化を行い、イー
速インターネット接続サービスを
レンタカーなどさまざまな旅行サ
ベイはビジネスをオークションに
開始する計画であり、ポータルビ
ービスの提供を拡充した。
限定しつつも、高額商品、海外展
ジネスの枠を超えて事業を拡大し
ようとしている。
2つ目は、海外での事業展開の
強化である。米国での売り上げも
開、決済ビジネスなどで収益基盤
を強化している。
ただし、一方で、積極的な事業
48%増と引き続き好調だが、いつ
まだネットビジネス全体が回復
の多角化は、同社にとって必要な
かは成長の限界が来ることは避け
してきたわけではないが、これら
ことであるものの、収益の柱が何
られないため、将来を見越して積
の企業に明るい材料が出てきたこ
であるか不透明であるという懸念
極的に世界展開を行っている。日
とは注目できる。また、今後、米
も聞かれる。
本市場こそ今年3月に撤退したも
国以外でのインターネット利用も
のの、米国のほか20ヵ国でオーク
増加すると予測され、ネットビジ
新分野と海外へ進出する
ションサイトを運営しており、米
ネスがもう一段飛躍するための新
イーベイ
国以外での売り上げは4∼6月期
たなチャンスだと考えられる。
ネットバブル崩壊後、ネットビ
ジネス各社が苦しんでいるなか、
イーベイは、順調に業績を伸ばし
には前年度比153%増を達成し、
和田充弘(わだみつひろ)
非常に好調である。
さらには、インターネット上で
NRI アメリカ上級コンサルタント
ネットビジネス大手の新たな成長戦略
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