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6月号(PDF/611KB)
JICA ARGENTINA
NO.69 (2008 年 6 月)
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■ NOTICIAS ■
国際協力機構アルゼンチン事務所
■ NOTICIAS ■
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今号の INDEX
├> プロジェクト便り「PCM 研修モデレーター育成プロジェクト」
├> ボランティア便り「環境教育プロジェクト(緑の学習教室」―濱崎丘 シニア海外ボランティア
├> 日系社会便り「日本語教師研修(基礎Ⅱ)」―呉屋パトリシアしおり
├> 安全対策コラム
├> 最近の動向
└> お知らせ
--------------------------------------------------□ プロジェクト便り
--------------------------------------------------「PCM研修モデレーター育成プロジェクト」
PCM とは
PCM は、Project Cycle Management(プロジェクト・サイクル・マネジメント)の略で、開発援助プロジ
ェクトの計画立案・実施・評価という一連のサイクルを、「プロジェクト・デザイン・マトリックス(PDM)」とよば
れるプロジェクト概要表を用いて運営管理する手法です。PDM はプロジェクト計画を構成する目標、
活動、投入等を含み、それらの論理的な相関関係を示すマトリックスです。PCM 手法の特色とし
ては、(1)様々な関係者が参加し、知恵を絞りあう「参加型」ワークショップ、(2)PDM 作成に至る
各分析過程での「論理性」、(3)PDM を用いて全サイクルを管理する「一貫性」があげられます。
本手法は、財団法人国際開発高等教育機構(FASID)により開発され、適正なプロジェクト・マネ
ジメントのために JICA で採用された手法です。
アルゼンチンにおける南南協力支援の一環としてのプロジェクト
中進国であるアルゼンチンは、1992 年より、水平協
力基金(FOAR)の設置を通じ、域内外の貧しい国
及び地理・人的つながりが強い国に対して南南協
力を実施してきています。JICA は、2001 年に両国
外相が署名した「日・ア パートナーシップ・プログラム」の枠
組みを通じて、ア国政府が実施している南南協力を
体系的に支援しています。
両国がパートナーとして、域内の貧困国等における
開発課題の解決に貢献すると同時に、ア国の新興援助国としての知識・経験の蓄積を支援し
ています。この支援の一環として、援助窓口機関、援助実施機関のプロジェクト・マネジメント能力
の向上を図るため、2005 年 9 月より、「PCM モデレーター育成プロジェクト」を開始しました。
実施期間が 3 年間の同プロジェクトは、現在、実施の最終段階に入っており、既に当初の目
標を上回っている成果を上げています。
2008 年 3 月末まで、参加型計画ワークショップで
571 名、モニタリング・評価ワークショップで 142 名を育成
し、また、6 名のモデレーター、5 名のコ・モデレーターが育
成され、当初の計画を大幅に上回る実績を上げ
ております。これは、このプロジェクトの実施に援助
窓口機関である外務省国際協力局に、教育省大
学政策庁、国立サンマルティン大学、国立ラプラタ大学
が加わるとともに、外務省の国内人材の育成プロ
グラムである「外務省連邦プログラム」との連携により、国内の自治体、国立大学関係者を対象に
モデレーター育成と PCM 手法の普及を兼ねた多くのワークショップが開催できた結果です。
また、海外からの要望に対し、FOAR のスキームを通じ、これまでドミニカ共和国、パラグアイ(2
回)、ボリビア、ペルーにてワークショップを開催しています。国内外からの要望が多く、これまで育成
されたモデレーター、コ・モデレーターの人数では、全ての要望に対応できない状況となっております。
上述 FOAR の枠組みを通じ、6 月にはアンゴラ、7 月にはペルーで PCM 研修の実施が予定され
ております。
プロジェクト終了後においても、ア国の南南協力の主要分野となることが期待されています。
本プロジェクトの特色の1つとして、当事務所の担当、新里クラウディア職員が積極的に係わり、
最初にモデレーター育成者として認定された 2 人のうちの 1 人となったことが挙げられます。その
結果、所内研修の開催も可能となり、所員のプロジェクト・マネジメント能力の向上にも貢献しており
ます。
--------------------------------------------------□ ボランティア便り
--------------------------------------------------『環境教育プロジェクト(緑の学習教室』
濱崎丘(はまざき・たかし) シニア海外ボランティア(環境プロジェクト運営、Fundación Espacios
Verdes)
連携プロジェクト開始の発表をしました
2008 年 4 月 29 日、アルゼンチン、ブエノスアイレスにおいて、日本大使館出席の元で、NGO 財団
(Fundación Espacios Verdes)、三井物産、JICA の 3 者は、「環境教育プロジェクト(緑の学
習教室)」開設の協働事業の発表を行いました。
プロジェクトの立ち上げを公表する 3 者の代表者
プロジェクトの編成は?
アルゼンチンではこの 100 年間に森林伐採等の心無い行為の為、原生林の 74%を失ってい
ます。これは、環境教育が国レベルで浸透していない事に起因する、国民の無知・無関心の為
と思われます。このため財団は、国レベルでの環境教育普及を目指すため、首都以外に新た
な拠点を開設し、アルゼンチンの環境教育に一石を投じようとするものです。環境教育の推進は
財団、整備に必要な資金提供は三井物産、技術指導・人材育成は JICA と、それぞれ三者の
持ち分を生かした連携プロジェクトの編成です。
プロジェクトの編成メンバー。左端より順次、財団アナ理事長、JICA 古屋所長、三井アルゼンチン遠藤社長、渡辺日本大使館公使、財団ワ
ルテン会長の各氏
プロジェクトの展開地とプロジェクトの内容は?
財団は首都において年齢層に対応するプログラムを開発し、先駆的に年間数千人余りもの児
童、生徒に環境教育を実践してきた 16 年の実績を持っています。しかし環境破壊の現場は
都市部から遠く、現実味に欠け・イメージが湧かない等啓蒙普及に限界を感じていました。そこ
でアルゼンチンの中央部に位置するサンルイス州コメチンゴネス高山地帯(40,000ha)の一郭にあるメルロ
市に、財団が所有する 250ha の自然保護区を活かして、より一層実体験的な環境教育を展
開する事としました。この場所はメルロ市へ 60%以上の上水を供給している湧水地があり、ま
た絶滅の恐れのあるコンドルやタバキショ(澄んだ水のあるところにのみ育つ樹木)などの希少な動
植物、更に世界の三大ミクロ・クリマと呼ばれる特殊な土地柄でもあり、絶好の環境教育条件が
整っている場所です。ここを学習空間として整備し、原生動植物の生態系やオゾン層破壊の問
題等、自然の中で環境教育を実施する一方、現場のモニタリングや環境影響評価(EIA)の実施
等、運営の基盤整備も行い、持続可能な環境教育システムを構築、推進するものです。
「環境教室の舞台となるサンルイス州メルロ市のモゴテ・バショ」
プロジェクト開始のきっかけは?
私は、「環境プロジェクト運営」の指導で平成 19 年 3 月末から財団へ派遣されました。
財団の経営分析を通じて、環境教育への情熱と、16 年の実績を抱えている財団の強みが
判ったものの、プロジェクト立ち上げには資金の不足と、技術的な支援の必要性があることも判
りました。一方三井物産は CSR(企業の社会的責任)の一環として環境基金提供を既に国内
外で広く展開しておりました。そこで、現地の事情に精通している NGO の環境教育の新たな
展開を、企業の資金と経験、JICA の技術的な支援で後押しする新たなスキームでプロジェクトを立
ち上げるよう、私は財団へ働きかけました。その結果、三井物産の助成金へ応募することを
決定し、この年の 5 月から 10 月までの 5 ヶ月間で財団と共に申請書類を完成させる事になり
ました。
プロジェクト応募の作成は?
応募書類は職員 13 名全員が苦労して作り上げました。NGO の「環境教育」は国内外の至
る所で活動しており、何かの特徴を持たせない限り、多数の応募物件を勝ち抜くことができま
せん。財団の活動環境教育に対する理念と情熱は確固たるものがあり、この信念をより輝か
しく磨き上げる必要がありました。私は、この必要性の説得をし、考え方の視点と進め方のポ
イントを指摘することでこの作業に参加しました。深夜まで何度も何度も全員で議論を繰り返し
知恵の絞り出しを行ったこともありました。また記述言語はスペイン語なのか?とか、NGO の理
念と目的の違いは何なのか?とか、プロジェクトは環境教育と自然保全のどちらに重点を置くの
か?等の申請書の作成に加え、貸借対照表などの財務諸表、活動の実績を証明する刊行物
の提出など数多くの作業が発生しました。申請書は、まずスペイン語で書き上げ、それをベース
に日本語に翻訳し、最後は英語版の申請書、添付資料、パワーポイントの三ヶ国語・三種類の膨
大な資料を作り上げました。記述内容にしても、例えば「autosustentable」の表現は、西日辞
書にもなく、意味を理解するため直訳すると「自動的持続可能性?」となり???何が何だか
意味不明で数日後、やっと「運営の継続的な自立化」だと解ったこともありました。三井物産
のアルゼンチン、ニューヨーク、東京本社の厳しい審査を経て、今年 3 月に合格の通知を受けた時は、
皆、喜びで溢れました。
プロジェクトについて説明する筆者(左)とサンルイシス大学ペドロ教授(右)
プロジェクトはスタートしました
このプロジェクトは、財団の環境教育の推進を主役とし、これを三井物産、JICA が支援する形
の連携です。
助成金が存続する 3 年間を足掛かりとし、その後の財団の自立運営を目標に、運営の近
代化をしながら、希望を抱きつつ身を引きしめ直しています。
このプロジェクトに関連して、前任者の環境教育担当小林恒夫 SV と現地調査に同行していた
だいた守長十郎 SV のご協力がありました。
--------------------------------------------------□ 日系社会便り
--------------------------------------------------『日本語教師研修(基礎Ⅱ)』
呉屋パトリシアしおり
今回、平成 19 年 11 月 6 日から平成 20 年 2
月 27 日にかけて、横浜の JICA センターで日本語教
師研修(基礎Ⅱコース)を受けさせて頂きました。こ
の研修の目標は中堅教師に求められる継承日本
語教育に必要な言語教育理論、文化的活動を行
うための指導技術、日本語教授法(初級後半)を
習得する事と、子ども日本語教室での実習及び
見学などを通してクラス運営の方法を習得する事で
す。
この 4 ヶ月間とても貴重な研修を受ける事が出来ました。私にとり、「日本語教師になりた
い」という思いがより一層強くなりました。この研修プログラムは、日本語教授法と学習指導法を
学びながら、週に一度、日本語や日本の文化について教えるという実習もありました。研修生
の皆さんは私と同じ夢を持ち、南米で日本語教育に携わっている人達ですので、いろんな話
が出来て刺激的でした。また、授業の中で日本語教育の現場にいらっしゃる先生方から具体
的で参考になるお話をたくさん聞くことができ、授業も先生方の工夫で、多方面から日本語を
楽しみながら学ぶ事が出来ました。
内容の濃い 4 ヶ月の中でも一番印象に残った
のは、やはり実習です。他の研修員と二人一組に
なり、南米生まれの 5 歳から 12 歳の生徒達に日
本語を教えました。私たちの授業の目標は日常使
う言葉を中心に、遊びを織り交ぜながら楽しく学
ばせることでした。どのようにしたら自分達の教え
ようとすることを理解してもらえるか、いろいろと試
行錯誤を繰り返し、毎夜遅くまで教案や教材作り
をしました。このプロセスは、貴重な体験となりました。
また、この研修のお陰で移民史を知り、私のルーツを学ぶ事も出来ました。これから、学習指
導とともにそのアルゼンチン日系移民史を伝えていきたいと思います。
日系人は、習慣や考え方は親から引き継いでいますが、残念ながら現在アルゼンチンの日系
社会において、日本語を話せる人は年々少なくなっているのが現状です。この研修制度は継
承日本語教師養成のための唯一の機関です。私にとりこの研修は想像以上に意義深いもの
でした。これからも日本との架け橋となる日系人の為、より多くの継承日本語教師がこの研修
を受けられるようぜひ支援し続けていただければと強く思います。
研修センターでの日常生活は、最良でした。センター
にはセミナールーム、個室、食堂、図書室、体育館、保
健室、等々すべて揃っているという環境に恵まれ、
100%勉強に集中することが出来きました。
このようにすべて整った研修センターで、プロフェッシ
ョナルの先生方にご指導頂き、教師としての考え方、
生き方を広げる事が出来ました。アルゼンチンにおい
て、日本語教師として習得したすべての資料のも
とに、私なりに出来る限りの適切な指導方法、指
導計画を立てたいと思っています。同じアイデンティティーをもつ生徒の思いや悩みを聞き、受け止
め、生徒に安心感を与えられるような教師になれるよう努力していきたいです。このようなす
ばらしい研修に参加させていただけたことを心から感謝しております。
--------------------------------------------------□ 安全対策コラム
--------------------------------------------------2008 年 5 月分の安全管理情報月間報告
1.主な社会情報
1)ストライキ:
(1)ゼネスト:なし
(2)アルゼンチン各地で農民グループが大豆輸出税の引き上げに反対し、幹線道路で穀物を載せ
たトラックの通行止めを行った。
2. 犯罪状況:
5 月 31 日(土)13 時ごろ、5 月広場 Plaza de Mayo 近くにあるマクドナルド店内で、椅子に置
いてあった JICA 関係者のパソコンが盗られる事件が発生しました。
この事件の背景には次の事柄が推察されます;
① 本人の行動(ホテルをチェックアウトしたため手荷物が 3 個と多く、しかも外国人である)に犯人グ
ループが目をつけていた可能性が高い。
② 余計な荷物は持ち歩かない:必要なもの以外(貴重品等)はホテルに預けて外出すること。
③ 荷物は一つにまとめる:今回のケースでは、荷物が 3 つに分散されていた。身軽にするため、
注意を逸らさないためにも、貴重品以外は極力一つにまとめること。
④ マクドナルドのようなファーストフード店は、人の出入りが自由であり、店側の監視も行き届かな
い。通常のレストランより犯罪に遭遇するリスクが高いと考えること。
⑤ 明らかに客でなさそうな不審者がいたら、こちらからも見返すなど、警戒していることをさ
りげなく相手に知らせる工夫をすること。
--------------------------------------------------□ 最近の動向
--------------------------------------------------6 月 1 日: カイゼン調査団コンサルタント到着
6 月 2 日: 日亜学院実習生受け入れ(~30 日)
6 月 3 日: 技プロ「草の根フェーズⅡ小規模金融運営能力強化」合同委員会
6 月 3 日: 固形廃棄物減量化計画・楠 専門家および運営指導調査団来訪
6 月 5 日: PROVETSUR 宇田川 長期専門家着
6 月 5 日: 固形廃棄物減量化計画・合同調整委員会
6 月 8 日: カイゼン調査団・官 団員着
6 月 9 日: 固形廃棄物減量化計画ミニッツ署名
6 月 10 日: ODA タスクフォース
6 月 11 日: メルコスール第 74 回 CCT 会合
6 月 12 日: メルコスール SGT11(保健)
6 月 15 日: CDM 植林推進のための技術強化プロジェクト・専門家到着
6 月 17 日: カイゼン事前調査団来訪
6 月 18 日: CDM 植林推進のための技術強化プロジェクト・合同調整委員会開催
6 月 18 日: 日系ボランティア 8 名帰国
6 月 20 日: 第 6 回 JICA メルコスール・タスクフォース
6 月 26 日: 新ボランテイア着任(SV1 名、日系 SV2 名、青年 4 名)
着任日系社会ボランティア一覧
① 橘内滋子(キツナイ・シゲコ)シニア:日本語教育、在亜日本語教育連合会、ブエノスアイレス市
② 高山尚之(タカヤマ・ナオユキ)シニア:日本語教育、ミシオネス日本語学校連合会、オベラ市
③ 及川さおり(オイカワ・サオリ)青年:青少年活動、在亜日本語教育連合会、ブエノスアイレス市
④ 大川久美子(オオカワ・クミコ)青年:日本語教師、コルドバ日本人会、コルドバ市
⑤ 畠中高峰(ハタナカ・タカネ)青年:ソーシャルワーカー、FANA、ブエノスアイレス市
⑥ 福田真美子(フクダ・マミコ)青年:青少年活動、ブルサコ日本人会、ブルサコ市
着任シニア海外ボランティア一覧
① 清水悟(シミズ・サトル):家畜衛生(畜産・受精卵移植)、ブエノスアイレス大学、ブエノスアイレス市
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JICA アルゼンチン事務所では、皆様のご意見、ご要望、記事の投稿をお待ちしております。
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