...

校長 教頭 情報教育係 1学年 2学年 学習指導部

by user

on
Category: Documents
2

views

Report

Comments

Transcript

校長 教頭 情報教育係 1学年 2学年 学習指導部
山前中学校
はじめに
急速に情報化する現代社会にあって、学校では山積する教育の課題を解決していかなくてはな
らない。教育改革の最中、新しい教育を進めていくためには、まず教員が本来の役割である「子
供と向き合う」時間を確保し、一人ひとりの生徒に対してきめ細かな指導、援助をすることが教
員本来の職務である。しかし、本校の教職員の校務状況をみると、教材研究や授業準備、校務分
掌や事務的な業務、部活動指導に従事したり、仕事を自宅に持ち帰り、土・日曜日にも部活動指
導、学校や自宅での教材研究、授業準備、採点や課題点検、学級事務などを行っている。まさに
教員の多忙化1は加速している。
国公立小中学校における校務用コンピュータ整備率は 98.3%2を超え、本市においては校務用コ
ンピュータがすでに教員一人に対し1台が整備されている。ワープロ、表計算ソフトなどを中心
に活用の幅が広がってきており、次のステップとして各種データの有効活用や共有を図り、その
具体策として統合的な校務支援システムよる教員の負担軽減や、学籍を初めとする生徒の幅広い
情報の電子化・共有化を積極的に推進していくことが課題である。本校においては平成 20 年度か
ら、校務の部分的な電子化を推進してきており、今後さらにデータの統合を進めていきたいと考
えている。
そこで、上記の課題解決のために、すでに導入事例のある実務的な校務支援データベースシス
テムである校務支援ソフト(以下校務ソフト)の試験運用を全職員協働で行い、校務効率化の実
践的検証を行う。
Ⅰ
1
検証計画
組織
校長
市教委
システム部
教頭
教務主任
情報教育係
学習指導部
生徒指導部
実践部
1学年
2学年
3学年
実践的な検証となるように、校務ソフトの基本的な設定・入力、リテラシー部門をシステム部
が実施し、教科担任、学級担任、学年主任を実践部として組織した。研究主任は情報教育主任が
担当する。
1
文部科学省(平成 17 年 11 月)『義務教育に関する意識調査』
文部科学省(平成 22 年 6 月)『学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果』
2
1
山前中学校
2 検証計画
(1)検証内容と計画
本校では、ファイルサーバの設置やグループウエアー使用によるお知らせ、連絡、予定等のデ
ータ共有を平成 20 年度から運用している。また、本校における IT 化の実情3から、現在課題とな
っているデータ共有をさらに進めるために、評価補助簿、評価・評定、試験集計、出欠席管理、
通知表、週案・授業時数管理、指導要録、調査書の使用方法や試験運用を行い、校務ソフトによ
る効率化の検証を行う。また、スケジュール管理については、校務日誌、月予定表や週報への応
用等を検証する。
各校務内容の検証にあたっては、教科担任、学級担任、管理職の作業と共有できるデータ等を
一覧表で示した。
検証する校務ソフト内容
イメージトレーニング
実験
試用運用
備考
基本名簿・名簿レイアウト
名簿印刷・写真台帳
冬季休業中
H24.1 月
*生徒手帳
H24.4 月~
写真台帳作成は
教務
評価補助簿・評価・評定
試験入力・試験集計
冬季休業中
冬季休業中
H24.1 月~
試験設定は学習
指導部
基本設定は
教務
週案簿・時数管理
~H24.3 月
H24.4 月~
出欠席状況管理
~H24.3 月
H24.4 月~
通知表
冬季休業中
校内アンケート
生徒履歴(閲覧)
H24.1 月
H24.4 月
冬季休業中
H24.1 月~
レイアウト作成は
学習指導部
H24.1 月~
日々の様子
~H24.3 月
H24 準備
~H24.3 月
指導要録/調査書
~H24.3 月
スケジュール管理
冬季休業中
H24.4 月~
H24.4 月~
H24.1 月
教務・学習指導・
生徒指導部
レイアウトは文科省
様式を使用
H24.1 月~
(2)システム概略図の作成と共通理解
システムの概念図4を情報教育部で作成、配布し共通理解を図った。
*運用、作成については、その都度必要に応じて簡易マニュアルを作成し配布する。また、
グループや個人に対してのレクチャー等を実施していく。
Ⅱ
1
試用実践と検証
サーバへのインストール
職員室 Lan 等メンテナンス委託業者(有)ヨコタ立会のもと、スズキ教育ソフト(株)でサー
バへのインストールを実施し、各教職員のログオン ID を設定した。(12/16)
2
クライアントへのインストール
クライアントへのインストールは、各 PC に管理者権限でログオンして、インストールプログ
ラムを立ち上げ、インストールする。(12/21)教職員でも簡単にインストールが可能であ
る。試験運用開始。
3
真岡市立山前中学校(平成 23 年 11 月)『校務の IT 化に係るアンケート(まとめ)』
真岡市立山前中学校(平成 23 年 12 月)『校務ソフトの概念図』
4
2
山前中学校
3
校務ソフトの基本設定(システム部で実施)
基本設定の各項目を教務が中心となって入力した。(12/22~)設定項目が多いことから、
年度末から年度初めにかけて計画的(役割分担を明確にして)に入力していくことが重要である。
4
基本名簿・名簿レイアウト・名簿印刷・写真台帳
本校で毎年使用している生徒一覧原本 Excel データをコピー&ペーストして各学年の名簿を整
備した。写真台帳は1、2年生を対象として、生徒指導部を中心に名簿作成や生徒手帳作成のトレ
ーニングを行った。名簿レイアウトの使い方 M-1 を生徒指部に配布。
(1)設定・入力
・基本名簿:システム部
・名簿レイアウト項目設定:システム部、各学年
・各種名簿レイアウト:各学年、各係(担当)
教科担任
学級担任
校長・教頭
入力前の共有データ
なし
入力・設定作業
なし
入力後の共有データ
名簿や住所、顔写真等の基礎データ、その他任意設定のデータ
(2)利用方法
・各種レイアウトに対応していることから、学級・学年・部活動・委員会別等の名簿作成が可能
である。
(3)効率化
・基本名簿から幅広く項目の設定や名簿作成ができる。
・レイアウトの自由度が広く、種々名簿作成が可能。生徒手帳は顔写真入りで作成可能。
・システム部で項目設定や基本名簿入力をすることにより、学年・学級で何時でも必要な情報
の名簿が作成できる。
*顔写真は「写真台帳」で、わかりやすいナビゲーションにより設定・貼り付け作業ができる。
分担としては生徒指導部入力であるが、今回は実験のために教務で実施した。
・Excel データを貼り付けることができる。
(4)デメリット(改善点)
特になし。
(5)試用アンケートの結果から
改善点の意見は出ていない。使い勝手は「ふつう」の回答が多く、「回答をパスする」は生
徒指導部を中心とした試用のため、全職員が検証するには至らなかったことを示している。非
効率的と感じる職員は0%である。
★効率化のポイント
生徒一覧は使い慣れた Excel で原本を作成し、校務ソフトに張り付ける方法がよい。また、で
きる作業は年度末に入力等を済ませると新年度での取り扱いが楽である。生徒手帳レイアウトが
標準で準備されており大変便利である。
3
山前中学校
5
評価補助簿/評価・評定
評定補助簿として各教科で試用していく。→ 学期の評定
(1)設定・入力
・評価対象項目設定:教科担任
・得点等入力:教科担任
・観点別評価の基準:教科担任
教科担任
学級担任
入力前の共有データ
入力・設定作業
→ 通知表への流し込み
校長・教頭
学年・学級名簿
項目の作成・修正
観点別評価の基準設定
得点等の入力・修正
*評価・評定の流
し込み
観点別評価・評定の閲覧
(生徒の履歴)
入力後の共有データ
(2)利用方法
・1 月2年冬休みの課題確認テストで実験。M-2配布。(1/11~)
・各教科担任がこれまでの経験を生かしながら、補助簿として生徒の評価等の記録を積み上げ、
3学期の評定を試験運用した。
(3)効率化
・観点別評価では自分で基準を設定できる。
・Excel、電卓などで行っていた補助簿・評定作業が、全教職員同一方法で作業することにより、
互いに使い方や評価・評定の研究が深まる。
・紙面上の名簿感覚で使用でき、評定が計算される。(評定算出に使用するデータ選択が可能)
・観点別評価基準は各教科担任の意志で設定できる。
・評価・評定に対する教職員の意識が高まる。
・瞬時に評定が算出され、名簿も種々ソートが可能で視覚的にも見やすい。
・Excel からデータのコピー&ペーストが可能。
(4)デメリット(改善点)
・特になし。
(5)試用アンケートの結果から
評価補助簿を PC で行っていない職員もおり、苦手意識が「回答をパス」になった。
使い勝手は、すでに Excel などで行っている職員には特に優れているとは感じないと推測され
る。しかし、通知表とのリンクは効率化だと実感している職員も多い。非効率的と感じる職員
は0%である。
4
山前中学校
★効率化のポイント
ほとんどの教科担任は、評価等の素点入力や観点別評価・評定を Excel で行っている。このこ
とから、素点の入力(点数や A,B,C)については抵抗感がない。項目の設定方法が理解できれば使
いこなすことができる。
6
試験入力・試験集計
1 月に実施した冬休み課題確認テストから実験を開始。→3 年期末テスト→1、2 年期末テスト
(1)設定・入力
・テスト設定:学習指導部
・得点等入力:教科担任
・入力方法設定:教科担任
・成績一覧、配布用個表ラベル印刷:学習指導部
(2)利用方法
・職員会議等で入力等の仕方について共通理解をした。過去データから個人の成績推移を把握
するために、現在使用している太助2をベースに入力作業をする。これまでの太助2データ
を校務ソフトに移行すればよいが、今回は試用のため 1 年は校務ソフト入力、2・3.は太助2
(校務ソフトにコピー:教務・学習指導部)入力の方法をとることにした。
・現行ソフト「太助2」と同じ使用感覚であるが、入力時には観点別評価入力と得点入力 を
選択できる。評定に使用する場合は観点別評価入力が必要。(太助2は得点のみ入力。)
・素点交換日までに教科毎に観点別得点を入力する。
教科担任
入力前の共有データ
入力・設定作業
入力後の共有データ
学級担任
校長・教頭
学年・学級名簿
項目の作成・修正
入力方法の設定
得点等の入力
*学年で個表の印刷
テスト集計情報閲覧(生徒の履歴・日々の様子)
(3)効率化
・テスト処理は現行の太助2とほぼ同じ機能、使い方なので違和感はない。
・担当教科以外からはデータ入力ができないので、かってにデータ修正はできない。
*生徒履歴から生徒一人一人の入力済み成績を閲覧できる。
(4)デメリット(改善点)
・「試験結果のラベル印刷」で、男女別順位項目が用意されていない。改善を要す。
(5)試用アンケートの結果から
男子高校、女子高校が県内に存在することから、男女別順位が個表に印刷されないのは抵抗
感が強い。使い勝手は、現在使用している太助2と大きな差はないため「ふつう」回答が多か
った。導入の際は改善を望む。非効率的と感じる職員は0%である。「回答パスする」は、テ
スト集計は係が行うという意識が強く、検証には至らなかった職員がいたためである。
5
山前中学校
★効率化のポイント
これまでのデータ管理と有効活用を考えると、年度切り換え時に新 1 年生から使用していくこ
とが望ましい。男子高校、女子高校が県内に存在することから、男女別順位が個表に印刷されな
いのは抵抗感が強い。導入の際は改善を望む。
7
週案簿・時数管理
時数管理設定、年間指導計画の試験入力を行い、全職員でトレーニング開始。(1/13~)
(1)設定・入力
・時数詳細設定:教務 *行事等の時数を正確に設定
・学級別時間割(期別):学級担任
・年間指導計画(単元名・時数):教科担任
・指導内容:教科担任
・補教:学級担任(指導内容の欄に)
・授業変更:学級担任(教科担任と連携して)
・週の反省等:教科担任
・通信欄 → 校長、教頭
教科担任
学級担任
入力前の共有データ
授業時数
時数過不足
単元名
授業時数
時数過不足
単元名
指導内容
入力・設定作業
指導計画
指導内容
週の反省
授業の変更・交換
特別日課
補教
入力後の共有データ
担当毎週案簿
学級時間割簿閲覧
校長・教頭
通信欄
閲覧(週案簿)
(2)利用方法
教科担任入力 → 学習指導主任による入力確認 → 教務主任による時数確認 →
教頭による閲覧 → 校長による閲覧(通信等)によるペーパーレス化が実現する。
(3)効率化
・教科担任の入力作業が大幅に軽減される。
・学級担任が教科毎の授業内容、進度を把握することができる。
・時数計算が自動化され、学級・校時、週計ミスがなくなる。
・校長、教頭がいつでも閲覧(通信等を記入)できる。
・ペーパーレスを達成。
・教員の時数管理の意識を高めることができる。
・週案簿上で授業変更を容易にできる。→ 教科担任用週案簿に反映される。
(4)デメリット
・教科担任は週案簿上で授業変更ができない。→ 学級で授業変更
・1日のすべてを欠課にできない。(中体連の大会等)→ 「行事」
・「空き時間」表示が目障りである。
(5)試用アンケートの結果から
すでに PC を使用して週案簿記入をしている職員にとっては、使い勝手は「ふつう」と感じた
と推測される。効率化については、指導計画とのリンクや週の持ち授業が自動的に表示される
ことが効率化と感じる職員が多かった。「空き時間」表記が選択表示できること。その他につ
いては運用の工夫で改善できる。非効率的と感じる職員は0%である。
6
山前中学校
★効率化のポイント
準備段階で、教務や教科担任が各種設定・入力を詳細にできるかどうかである。また、授業変
更など、学級担任が適切な変更入力ができるかどうか。この 2 点が上手く機能すれば効果的な運
用ができる。
8
出欠席状況管理
1 月は使用するイメージをつかむためのトレーニング期間とする。
(1)設定・入力
・欠席チェック、欠席理由:学級担任
・欠席理由の設定:出席簿係
教科担任
学級担任
入力前の共有データ
生徒名簿、日付
入力・設定作業
欠席チェック、欠席理由
(メニューから選択)
入力後の共有データ
校長・教頭
各学級の出欠状況集計、閲覧
(2)利用方法
・学級担任の入力作業により、各種集計ができる。
(3)効率化
・集計作業が楽になり、計算間違いがなくなる。
・教職員はいつでも、だれでも机上 PC から出欠状況を把握することができる。
(4)デメリット
・学級担任の入力作業が習慣化されないと効率化は進まない。
(5)試用アンケートの結果から
イメージトレーニングを目標に試用したが、ほぼ2/3の職員は試用したと考えられる。
集計や通知表とのリンクは効率化に感じる職員が多い。非効率的と感じる職員は0%である。
★効率化のポイント
毎日の入力作業の習慣化をいかに図るかが運用のポイントである。
9
通知表
H24 年度検証に向けてレイアウト作成を行い、試用しながら使い方のイメージをつかむ。3 学期
は学習指導部と中心としたトレーニング。
(1)設定・入力
7
山前中学校
・設定:学期別作成 → 1学期のレイアウトを2・1 月にコピー可
・レイアウト作成:学習指導部
学校独自のレイアウト作成(項目、様式)が可能。
・出席状況 → データの流し込み:学級担任
・評価の観点、評定 → データの流し込み:学級担任
・所見 → テキスト入力:学級担任
・行動の記録 → 選択入力 or テキスト入力:学級担任
入力前の共有データ
入力・設定作業
教科担任
学級担任
評価の観点と評定
学籍関係
評価の観点と評定
補助簿→評定
評定の流し込み
所見(テキスト)
行動の記録(○)
校長・教頭
確認と修正
*出欠席状況流し込み
入力後の共有データ
通知表:生徒履歴から閲覧
(2)利用方法(下書き・清書確認)
・確認作業を学級担任 → 学年主任 → 教務 → 教頭 → 校長で、ペーパーレス確
認の可能性有り。
(3)効率化
・学籍、成績のデータの流し込みにより、入力作業が大幅に軽減される。
・現行システムは評価の観点を教科毎に教科担任が入力作業をしているが、統合されたシステ
ムはワンクリックでデータの流し込みができる。現行システム以上にデータ利用と効率化が
進む。
・現行システムは、学級毎のランタイムアプリのために、閲覧、確認、入力作業、データ容量
では無駄があったが、ネットワークシステムとして統合されることによりその無駄が省け、
システムの合理化、効率化が図れる。
・全教職員がいつでも閲覧(生徒履歴)できる。
・下書き、清書確認作業のペーパーレスが可能。
・観点別評価の徹底と評価に対する教師の工夫、改善が図れる。
(4)デメリットと改善策
・下書き、清書の「検印」欄をアプデート → ペーパーレス化が実現
・学校独自のレイアウト作成ができ、操作自体も容易である。
・表彰の記録は「名簿レイアウト」で個別入力しデータの流し込みは可能であるが、作業効率
が悪い。表彰はその都度、表彰分野別入力が効率的である。学籍番号と表彰、賞、表彰年月
日入力方法に改善が必要。
(5)試用アンケートの結果から
学習指導部と中心とした検証を実施したが、他の職員も検証に挑戦している。手書きと比較
しての効率化と注釈を加えたが、試用した全員が効率化と回答した。また、使い勝手は現在使
用しているオリジナル通知表との大差はないが、統合されていることでさらなる効率化ができ
ると感じた職員も多い。表彰の記録は、他ファイルからの読み込みがコピー&ペースト機能し
か無く、リンクができないとこところは改善を要する。非効率的と感じる職員は0%である。
8
山前中学校
★効率化のポイント
現行システム稼働が2年目となり、データが流し込まれるシステムについては理解が進んでい
ることから、校務ソフトの「補助簿」の利用をいかに積極的、効率的に進めるかが通知表の効率
的な運用に関わってくる。
10
校内アンケート
2月3日の立志式 PDS カードから試験運用開始。M- 2 配布。
(1)設定・入力
・アンケート項目:アンケート担当
教科担任
入力前の共有データ
入力・設定作業
入力後の共有データ
学級担任
校長・教頭
アンケート回答画面(項目)
アンケート項目作成
アンケート回答
集計結果閲覧(グラフ、テキスト)
CSV 出力
(2)利用方法
・朝の打合せでアンケート実施を周知し共通理解を図り、締切日時を明確に伝える。
・多彩なグラフ表示の場合は CSV 出力から Excel で作成する。
(3)効率化
・全教職員がいつでも集計をモニタで閲覧、確認できる。(パーパーレス)
・集計、グラフ化が自動のため、集計時の作業が大幅に改善される。
・記入の機密が守られている。
・パーパーレス化が図れる
(4)デメリットと改善点
・一度回答をすると訂正や自由表記の欄の誤字脱字等を修正できない。
・選択項目が同じ場合でも、選択肢を項目毎に入力するのは手間がかかる。改善を要する。
(CSV 出力後 Excel で修正)
・印刷時に行間隔やグラフの大小などレイアウト設計ができない。→ CSV 出力後加工は可能。
(5)試用アンケートの結果から
アンケート項目や答え方など作成時に工夫は必要であるが、項目の設定がしやすく、集計、
グラフ化が大変便利である。また、大変使いやすく、特に研修はいらない。改善点は、誤字脱
字等を回答依頼後に修正できるようにすることである。
★効率化のポイント
PDS カードや職員間の意識調査等に利用を広げていきたい。
11
スケジュール管理
検証前は校務ソフトのサブ機能として捉えていたが、付属している機能であることから教務部
で検証を試みた。M-3 配布。(1/12)
・印刷や出力レイアウトが自由設定できないために、学校日誌や月予定、週報への発展ができな
い。
9
山前中学校
・「その他」「年休出張」をコピーする機能はあるものの、Excel に張り付けすると 7~8 文字で
次のセルにテキストが入ってしまう。これは、行毎に一つのデータとして認識し、日ごとのセ
ル内の文章データとしての機能を失ってしまう。
・使い方としては、予定管理ファイル等から日付別にコピー&ペーストを行えば、共有データと
して利用できるが、フォントを変更できないために、視覚的には良好とは言えないスケジュー
ル表となる。
*現行の教育課程管理ファイルとデータ共有
校務情報化を行っても,個別の管理システムごとに名簿情報などの同じような情報を
重複入力するのでは、決して業務の軽減化効率化にはつながらない。このような重複入
力をしなくてすむように共通利用できるデータを有効活用するため,個別システム間で
連係動作ができるようにするか、共通利用できるデータをエクスポート・インポート
(異なるシステムとの間における情報の出力と入力)できるようにして、データ連係を図
ることができるようにする。
12 生徒履歴(閲覧)
(1)設定・入力
・特になし。
(2)利用方法
・ペーパーレスを実現。情報交換時の資料として日々の様子とともに利用できる。
(3)効率化
・学級経営録の一部として利用できる。
(4)デメリット
・学校独自のレイアウト、項目選択ができるとよい。
(5)試用アンケートの結果から
閲覧できるデータ量がまだ少ないことから十分な検証とはいえない。しかし、閲覧している
職員はほとんどが「役立つ」と回答している。使い勝手も問題はない。
★効率化のポイント
生徒理解、生徒情報の共通理解のために積極的に活用していく。
13 日々の様子
(1)設定・入力
・入力:全教職員 → コメント
教科担任
学級担任
入力前の共有データ
生徒基本情報
入力・設定作業
コメント記入・登録
入力後の共有データ
カテゴリー(項目)を選択し閲覧
10
校長・教頭
山前中学校
(2)利用方法
・全教職員で入力、閲覧できる。
・通知表等の所見を記述するときに大変役立つ。
・ペーパーレスを実現。情報交換時の資料として利用できる。
(3)効率化
・カテゴリー(項目)の設定ができることから、一覧作成が便利である。
・教職員はいつでも、だれでも机上 PC から情報を得ることができる。
(4)デメリット
特になし。
(5)試用アンケートの結果から
「回答をパス」以外は「役立つ」と回答している。使い勝手も問題はない。
★効率化のポイント
だれでも授業の様子や生活の様子を簡単にメモ書きできることから、学級担任が経営録や要録、
通知表の所見などをまとめる時に活用していくと便利である。教科担任や他の教職員がこまめに
入力できるかが共有のポイントである。
14 その他
・12 月から、時々メニュー画面から選択(クリック)すると「準備中・・・」で PC がフリーズし
てしまう現状が見られた。2 月 6 日(月)からは、ほとんどの PC でフリーズが起こり試用中断。
原因追及と対策を(有)ヨコタに依頼し検証し、スズキ教育ソフト(株)、市情報センターと
連携して対応していただき、翌日(2/7)午後より試用可能となった。試用中にも関わらず、迅
速な対応であった。
*原因・・・ウイスルバスターによるブロック
対応策・・・ウイスルバスターにパッチ当て(市情報センター)
・スズキ教育ソフト(株)サポートセンターの電話対応は迅速かつ的確であるのに対し、メール
での問い合わせについては回答が緩慢である。
Ⅲ
1
検証結果(中間)
校務ソフトの試用感
・校務ソフトを全く試用しなかった教職員
はいなかった。使用感では、「使いづら
い」は0%である。全体としての使用に
は問題はない。PC に慣れた教職員にとっ
ては使いやすく不慣れな教職員に「ふつ
う」回答と推測される。
・校務ソフト」導入による校務の効率化は
3/5、1/2、3/4、「とても図れる。」
「今までの労力が50%ぐらい軽減され
ることを期待する。」などの大きな期待感とともに、現実的に 1/2~3/4 の効率化が図れると
の回答を得た。
11
山前中学校
2 職員の生の声(アンケート調査や日常会話から)
《効率化》
・モニタで多くの情報を閲覧できてすごい!
・よくできているソフト。是非使ってみたい。
・一つのデータを有効活用でき、事務が効率的だ。
・通知表、指導要録とのリンクが大変便利である。
・今後使っていく(慣れていく)中で有用性が実感できると思う。
・自分で計算するより、正確だと思います。
・用紙をなくすことがないのでいいです。また、同時に回答できることがよい点だと思います。
・今後使っていく(慣れていく)中で、使い勝手がよくなると思う。
・今後使っていく中で、さらに有用性が実感できると思う。
・机上の自分のパソコンで入力できるのは良い。
・集計ミスがなくなる。
・紙が無駄にならないし、集計しやすいのではないでしょうか。
《非効率化》
・使用してみていないので、わかりません。
・チェックしませんでしたすみません。
・メニューから選択する場面で頻繁にフリーズする。連続フリーズすると使う気になれない。
(2/7 解決)
・特にありませんが、パソコンが苦手な人への講習会のようなものがあればうれしいです。
・使用してみていないので、わかりません。
《研修等》
・使用については、教えていただきながら前向きに考えていきたいと思います。
特にありませんが、パソコンが苦手な人への講習会のようなものがあればうれしいです。
・改善点は特にありませんが、来年度最初に全体での説明会・講習会があると新しく来られた
方にもいいと思います。
・慣れれば事務の効率化が進んでいいと思いますが、まだまだこれから使って慣れていかない
と、という感想です。
・校務ソフトの活用は、実際に使用していくうちに慣れれば、今までよりずっと効率化が図れ
ると思います。自分が慣れないということが、難点です。
《導入》
・市内(郡内)で早期の導入をお願いしたい。
・全て、このソフトで統一できれば、効率は上がると思う。
3 まとめと結論
・必要なデータは CSV 出力ができ、Excel 等で加工ができる。
・ネットワークシステムのため、設定、入力、閲覧が各自机上の PC で作業ができる。また、教職
員はいつでも、だれでも机上 PC から生徒個人の種々データ(情報)を得ることができる。
・校務に関するデータや生徒情報の一元管理ができるソフトであり、使用することにより全教職
員の「共有」意識が高まる。また、データ保存など各自の PC またはサーバと意識をしないで作
業ができる。(ファイルを探さなくても済む。)
・年度切替時に学級担任、教科担任が替わっても、情報の引き継ぎ(校務引き継ぎ)がシンプル
かつスムーズになる。
・全教職員の生徒理解に大いに役立つシステムである。
・大幅なペーパーレス化が実現する。
・個人が特定できるデータの書き出しが出来ないことや、Web 上で設定、入力作業ができないので、
セキュリ上生徒情報が安全に守られる。
・時間割変更(特別日課)等の設定、入力方法で、一覧から変更しても週案簿のデータが消えな
い。授業確定はそのままで、今後の授業だけが更新されるシステムが効率的である。
・データの貼り付け機能を活用することにより、家での作業とのリンクが簡単である。
12
山前中学校
・実効性のある運用体制として、市内(郡内)あるいは学校種別の統一性のあるシステムとして
運用していくとさらに校務ソフトの有効性が高まる。また、研修等の合理化にもなる。
・リテラシーの向上については、校務システムを使わざるを得ない仕組みを導入することが体験
的に活用能力を上げるという報告がある。実際に 3 学期の校内アンケートや PDS カードを校務
ソフトで実施したが、すべての教職員が PC で回答することができた。IT アレルギーの教職員も
使わなければならない環境になることにより、情報化意識とリテラシーが高まる。
(自分にはできない→自分でもやってみよう!)
・ヘルプ機能が充実しており、使いやすい。
・校務の効率化により、生徒と向き合うことができる時間が増加する。
・研究論文等から、実際に校務を情報化しているかどうかによって、効果のとらえ方には差があ
り、校務情報化の副次的な効果「本質的な仕事への時間が増加する」「児童・生徒に直接関わ
る時間がふえる」などは,校務情報化を実施しているところでは,肯定的評価がの割合が圧倒的
に高い結果が得られている。これは、「校務情報化を実際に実施」することによって、校務情
報化による直接的な効果だけではなく、間接的な効果を実感できることを示している。
・校務情報化の推進に当たっては,まずその目的が単なる負担軽減や業務効率化だけではなく、
「児童生徒に対する教育活動の質的改善」をもたらす非常に有効な方策であると強く感じた。
上記のことから、校務ソフトはスケジュール管理以外の分野では、校務効率化に大きな効果を
期待できるソフトである。(指導要録・調査書ソフトを除く)さらに、学校の実態に応じた改
善・改良がなされれば、一つの統合ソフトとしてさらに多くの校務を統合することができる。校
務効率化が実現すれば、教員が子どもと向き合う時間が増える。
4
留意事項
画面上に表示された生徒情報が、生徒や職員以外が閲覧できないよう十分に注意する。
Ⅳ 今後の課題
・指導要録、調査書の実践的検証は H24 年度の入学生から取り組む。しかし、校務ソフトは試用
のため本校オリジナルソフトとの併用をしながら取り組みを進めることになる。(別紙4)
・指導要録に関しては、データの修正・改ざん防止機能があるかどうかを厳重に検証する。
・学校として校務ソフトを効率よく使用するためには、基本設定等の分担作業が機能するかどう
かが大きな鍵となる。年度末・始めの基本設定等の入力作業をスムーズに行うための組織的運
用が重要である。
・他社ソフトとの比較検証を同一校で実施することにより、さらにシステム上の違いや、作業効
率の違いが明確になるが、現実的には無理がある。市教委指導主事等を中心とした作業チーム
等が必要である。各社のプレゼンだけでは具体的な比較作業効率はわからないことから、実践
的な試用をしないとよいシステムを選定することはできない。しかし、一社の試用実践を通し
て、試用した校務ソフトの改善を十分に実施することができれば、システム比較の必要性は高
くないと思える。
・校務を情報化するにあたって、学校の校務の実態に合わなければ、かえって教職員の負担を増
加させることになる。そのためには教育委員会(中長期のビジョン)と学校現場とが十分に協
議しながら進めることが重要である。校務ソフトの導入に際しては、現場の声と市教委のリー
ダーシップがリンクする組織が必要である。
(H22真岡市行政評価システムによるパソコン研究会の目的は、「情報教育の推進のため、パソ
コン等の機器の整備、カリキュラム作成等についての研究を行う」とあることから、校務の
電子化は目的にはない。)
・すでに導入された学校(他市)では、「家で入力作業ができないので土日に学校で行わなけれ
ばならないから大変だ。」という意見も聞かれた。このことから、導入後の校内研修の重要性
が理解できる。(データの移行は簡単に行える。→家でも仕事ができる。)
13
山前中学校
おわりに
約3ヶ月の試用検証で、まだ途中ではあるが、全教職員で検証作業が進んできたことや、校長、
教頭の校務電子化への積極的な理解と支援など、学校全体が試用環境に恵まれていたと言うこと
ができる。アンケートの結果から、すべての機能を短期間に試用することの難しさを感じたが、
特に多忙な3学期に、これまでのシステムや自分で使用しているソフトとの併用のなかで、全職員
が意欲的に検証作業に取り組んだことは事実である。平成24年度は、指導要録の完全電子化のた
めの検証と研究を中心に取り組んでいきたい。
今回試用させていただいている校務ソフトの大まかな機能については、運用方法を理解し、ほ
とんどの機能を試用することができ、校務効率化に大きな効果を発揮することを検証することが
できた。メーカーによる使い勝手の差はあると思われるが、今後校務支援ソフトが早い時期に、
市内(郡内)小中学校に導入されることを切に願っている。
謝辞
鈴木楽器販売株式会社東京支店ソフト事業部、有限会社ヨコタ様には、校務支援ソフト借り受
けやインストール等に際し、多大なるご尽力を賜り誠にありがとうございました。また、真岡市
教育委員会学校教育課 藤沢誠司様には、試用検証に関し貴重なアドバイスをいただき厚く感謝申
し上げます。
参考資料
・文部科学省(平成 17 年 11 月)『義務教育に関する意識調査』
・文部科学省(平成22年6月)『学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果』
・真岡市立山前中学校(平成 23 年 11 月)『校務の IT 化に係るアンケート(まとめ)』(別紙 1)
・真岡市立山前中学校(平成 23 年 12 月)『校務ソフトの概念図』(別紙 2)
・真岡市立山前中学校(平成 24 年 3 月)『校務ソフトに関するアンケート調査』(別紙 3)
・真岡市立山前中学校(平成 24 年 3 月)『平成 24 年度 校務の電子化一覧』(別紙 4)
参考文献等
・社団法人日本教育工学振興会(平成 19 年3月)『校務情報化の現状と今後の在り方に関する研究』
・柿下耕一・熊本県教育庁教育政策課指導主事(平成22年)『校務の情報化による業務改善~校務支援シス
テムの活用を通して~』
・藤村裕一・鳴門教育大学大学院准教授・(平成23年6月)『校務情報化の最新動向(国の政策と関連団体
の最新情報)~教育クラウドによる校務情報化と全国標準化~』
・文部科学省初等中等教育局教育課程課(平成22年9月)『指導要録等の電子化に関する参考資料』
・栃木県教育委員会事務局学校教育課(平成 22 年 12 月)『小学校児童指導要録・ 中学校生徒指導要録の
手引』
14
Fly UP