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旧長崎税関三池税関支署庁舎修理工事 見学会資料
旧長崎税関三池税関支署庁舎修理工事 見学会資料 (平成 23 年 12 月 23 日) 1.建物概要 2.工事概要 市指定文化財の 旧長崎税関三 池 税関支署庁舎は 明治 41 年に開庁 した 建造物であり 、国内で も数少 な 1)工事名称 長崎税関三池税関 支署庁舎修理 工 事 い明治期の税関庁 舎遺構である 。 本遺構は大牟田 市 の発展の歴史 を 語るものとして、 三池炭鉱という 2)発注者 大牟田市 日本の近代化を支 えた近代化産 業 遺産 として価値が 高く、世界遺 産 国内暫定一覧表に 記載され る貴重 3)工事場所 福岡県大牟田市新 港町 1 番地 25 な文化財 である。 4)地域指定 都市計画区域、工 業専用地域、 建 基法 22 条地域、臨港地域 一商港 区 本遺構は、 埋立地 という脆弱な 地 盤に 位置するため 、 不同沈下に よ る礎石や軸部が 損 傷していた。 5)敷地面積 未定 また 度重なって増 改築 がされた た めに屋根の 雨仕舞 いが悪く、雨 漏 りにより小屋梁 ・ 床などが 腐朽 し 6)主要用途 未定 ていた 。さらに 10 年以上使用さ れ ずに放置された ために、傷みが 進行して いた。調査の結 果、簡易 な 7)工事種別 修理 修理では健全な状 態に復すこと は 不可能であること が判明し 、早 急 に 保存する必要に せまれた。 8)建物構造 木造平屋建て 9)床面積 124.40 ㎡(竣工) 10)最高高さ 8.03m(26.52 尺) ① 修理前の建物は 、明治 41 年当初の部材が多く残 っていた 11)軒高 5.06m(16.70 尺) ② 当初の部材には 手斧や、手引 き 、丸鋸の痕跡があ った 12)工事期間 平成 23 年 8 月 18 日~平成 24 年 1 月 31 日 ③柱の痕跡により 、失われてい た 窓と扉の復原が可 能 となった 13)現状変更 修理工事 は、大牟 田市文化財保 護 条例により 、文化 財的価値を損 な わないように 、旧 部材は可能な 限り再使用し 、後 世に 改築が行 わ れ た部分を創建時 の姿に戻す こ と を基本方針とする 。解体の結果、 ④ 塗装調査により 、当初の色と 塗 装の層数(外部欄 間 板は 11 層)を明らかにした ①平 ⑤ 壁の中に当初の 上げ下げ窓の 枠 と戸車 、ロープ、 錘が残ってい た ②窓・扉: 戸の復原、 上 げ 下げ窓の 復原 ⑥ 礎石に漆喰で巻 いた 鉄製カス ガ イ が残っていた。 カスガイ の腐 蝕 による膨張 が礎石 の割れを ③屋 助長した ④色 ⑦ 床下に隠れてい た 建物南側の 石 階段を発見した 面: 増築部分 (昭和 14 年増築)を撤去し、当初時 に 復 原(附属屋を除く) 根:増築部 分の屋根を撤 去 、葺材を セメント 平瓦から粘土 瓦 桟瓦葺に変更 :当初の 色に復原 ⑤構造補強:布基 礎 (無筋)から羽 根付鋼管杭 216.3φ杭長 15m19 本、地中梁、 ⑧ 礎石下に無筋コ ンクリート 製 布 基礎を発見した ベタ基礎への変更 また、旧図面(昭和 14 年)や古写真の発見により、当 初平面(一 部を除く)や 屋根瓦、窓、照明台 座 :既存の筋交に新 たに 筋交追加 などの 復原が可能 となった。 :トラ ス組の補強 現在大牟田 市は、 三池炭鉱関連 資 産(宮原坑跡、三 池炭鉱専用鉄 道 敷 、三池港)の世 界遺産本登録 を目指している。 本遺構の保存 は 、 文化財の価値を 保全するとい う 意義にくわえ、市 民の 近代化遺産 の再認識 と郷土の 愛着と誇り を 強 め 、子どもたちに 貴重な文化財 を 伝え、今後の新た なまちづくりに つな がる。 古写真 修理前外観(北東 ) 修理前外観(南) -1- 修理前内観