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【174号】2013年10月1日発行 - 三重大学大学院医学系研究科・医学部
IN E 医学部 News IC No.174 2013.10.1 D L TY ・ TY FACU ・M IE 三重大学 IVERS UN I E OF M 目 次 三重大学での40年間を振り返って…………………………………………………………………………… 2 病院長就任のごあいさつ……………………………………………………………………………………… 3 教授就任のご挨拶……………………………………………………………………………………………… 5 医師国家試験結果と合格率向上の対策について…………………………………………………………… 6 平成24年度卒業生の看護師等国家試験結果と合格者の進路状況………………………………………… 6 平成25年4月、地域包括ケア・老年医学産学官連携講座開設…………………………………………… 7 三重大学医師会設立の意義…………………………………………………………………………………… 8 トピックス 翔べ 若者たちよ!:米国臨床研修の記録 −「Baylor Club in Mie」編集にあたって− ……………………………………………………… 10 ミャンマーのヤンゴン第一医科大学の学長らが三重大学を来訪……………………………………… 12 大学院FDワークショップを行なって…………………………………………………………………… 14 シャルマ先生講演会 「発展途上国での医療資源の不足した病院における32年間の経験から学んだこと」概要 …… 14 スウェーデン王国イェーテボリ大学の訪問とシャルジャ大学よりの学生来訪……………………… 15 医学・看護学教育センターにアルベルト先生就任……………………………………………………… 17 看護学科ホワイトセレモニー……………………………………………………………………………… 19 5月12日開催 市民公開講座 『あなたのハートは大丈夫? ∼心臓発作からあなたと家族を守る∼』………………………… 20 生命の駅伝ジョイント市民公開講座−がんの新しい治療法−………………………………………… 21 「1年生が大学生活を語る会」について ………………………………………………………………… 22 第11回整形外科痛みを語る会 優秀演題賞を受賞して………………………………………………… 24 『第2回三重先端がんフォーラム』を開催して ………………………………………………………… 25 第79回大腸癌研究会優秀発表賞を受賞して……………………………………………………………… 25 研究室研修・プログレス発表会…………………………………………………………………………… 27 平成25年度の高大連携事業の概要について……………………………………………………………… 29 看護学科オープンキャンパス開催によせて……………………………………………………………… 31 日本看護研究学会 学会賞受賞…………………………………………………………………………… 32 タイ・タマサート大学への早期海外体験実習−医学部看護学科の学生たちとともに−…………… 33 医学部長表彰を受賞して…………………………………………………………………………………… 35 学会だより 第135回 日本神経学会東海北陸地方会の開催から …………………………………………………… 36 第84回日本脳神経外科学会中部支部学術集会開催について…………………………………………… 37 第20回中部神経内視鏡研究会を開催して………………………………………………………………… 39 第153回日本耳鼻咽喉科学会東海地方部会連合講演会を開催して …………………………………… 39 第2回日本肺循環学会学術集会を開催して……………………………………………………………… 40 「第9回 消化器病における性差医学・医療研究会」を開催いたしました ………………………… 41 第49回中部日本小児科学会を開催して…………………………………………………………………… 42 学位記授与式…………………………………………………………………………………………………… 43 人事異動(H25. 4. 2∼H25. 9. 1)………………………………………………………………………… 44 編集後記………………………………………………………………………………………………………… 45 ─1─ 三重大学での40年間を振り返って 三重大学医学部附属病院長 竹 田 寛 残暑厳しい折、如何お過 病棟の点滴当番を続け、週に2度以上の当直を ごしでしょうか。 行っていました。その後CTやMRI、PETなどに さて私こと、この9月末 代表される画像診断の発展および血管内治療やラ で院長職を辞し10月より桑 ジオ波焼灼治療などのIVRの発達などによりまし 名市総合医療センターへ赴 て、若い先生方がどんどん入って来るようになり、 任することになりました。 今では学部内でも1、2を争うほど教室員の多い 三重大学の職員の皆様には、 賑やかな診療科となりました。まさに隔世の感が 長い間お世話になりまして ありますが、これも日々の忙しい診療の中、懸命 ほんとうに有難うございました。心より御礼申し に臨床研究を行いながら若い人達の指導を続けて 上げます。 来られた佐久間肇教授以下スタッフの先生方のご 私は昭和44年(1969年)に三重県立大学医学部 尽力によるものと感謝致しております。 へ入学しました。ちょうど東大入試のなかった年 内 田 淳 正 先 生 が 病 院 長 に な ら れ た 平 成17年 で、学生運動の盛んな頃でした。そのため私たち (2005年)より副院長を拝命し4年間務めさせて も入学してしばらくの間は、校舎の前にバリケー いただきました。この間内田先生には、病院全体 ドが張ってあって思うように授業が受けられな を大きく見ることと、必要な改革は速やかに断固 かったように記憶しております。昭和50年(1975 として行うことの大切さを教えていただきました。 年)に卒業し1年間の慶応義塾大学病院放射線診 平成21年より病院長に就任しましたが、最初の3 断部でのレジデントを経て、昭和51年(1976年) 年間は放射線科教授を併任しながら、残りの1年 に三重大学医学部放射線科へ入局しました。その 半は専任職として、計4年半務めさせていただき 後これまでの37年間、途中で米国Johns Hopkins ました。私なりに精一杯やって来た積りですが、 大学放射線核医学科へ留学した2年間を除き、 やり残したことはたくさんあり、十分な成果が得 ずっと三重大学医学部および附属病院で勤務して られたとは思われません。ただ印象に残っている 来ました。学生時代から通算しますと40数年間、 ことを幾つか挙げますと、臨床麻酔部と救命救急 三重大学でお世話になったことになります。一年 センターの開設および教授の招聘、ドクター・ヘ 半後に新外来棟が開院しましたら取り壊される予 リの導入、新病棟の開院、病院機能評価や特定共 定の旧病棟は、私たちの学生時代すなわち昭和48 同指導の受審、IT・広報センターや疫学センター 年(1973年)に完成したもので、当時は東洋一の など新しい部門の設置、7対1看護の実現、患者 病院ともてはやされました。私たちの世代は、そ 給食の改善などです。今年度最重点目標として取 の最新の設備を備えた病院で臨床トレーニングを り組んで参りました医員や看護師、非常勤職員な 受け、診療や臨床研究を行い、医学教育を遂行し どの待遇改善や中央診療部門における技術職員の て参りました。まさに旧病棟とともに生き、齢を 常勤化などに関しましては、一定の方向は見えて 重ねて来たことになります。 来ましたが、まだまだ解決しなければならない問 私が入局しました放射線科は、当時臨床系講座 題が山積しています。今後は次期院長にお願いす の中でも最も教室員の少ない寂しい診療科でした。 ることとします。 私の入った後も数年間は誰も入って来ず、何年も 桑名市総合医療センターでは、本学医学部及び ─2─ 附属病院と緊密な連携を保ちながら、今までの市 以降も週に1日は大学病院で勤務しPET-CT健診 中病院に無い新しいタイプの病院を創るために頑 などの診療を行う予定になっております。 張ります。長年、桑名市や桑名の医療関係者はも 1年半後には新外来診療棟も完成し、病院のす とより桑名市民の皆様が、心底から求めていた真 べてが新しくなります。東洋一とまではいかなく の市民病院−市民に愛され市民のための病院−を ても、日本でも有数の優れた総合病院となります。 創りたいと心より願っております。今後とも本学 その恵まれた環境で勤務されます職員の皆様方の 職員の皆様方には何かとご協力をお願いしなけれ ますますのご健勝と、三重大学医学部および附属 ばならないと存じますが、引き続きよろしくご指 病院のさらなる発展を心よりお祈り致しておりま 導・ご鞭撻のほどお願い申し上げます。なお10月 す。 病 院 長 就 任 の ご あ い さ つ 医学系研究科 循環器・腎臓内科学 伊 藤 正 明 2013年10月1日 せ、大学病院として十分評価される持続的成長経 より、竹田寛先生 路に乗せることが必要と思われます。 の後任として、医 今後の附属病院の発展に大切なポイントとして、 学部附属病院の病 ①新しい特定機能病院としての基盤整備、②高度 院長を拝命するこ 先進医療と臨床研究の推進、③職員満足度の向上、 とになりました。 ④患者サービスの向上、⑤医療人の育成、⑥地域 微力ではございま 医療への貢献、⑦医療の国際化、⑧健全な病院経 すが、附属病院お 営などがあげられると考えます。これらの点への よび医学部・医学 取り組みを中心に、病院運営・経営に努力いたす 系研究科における 所存です。 今後の医療、研究、 附属病院としての基盤整備では、再開発の総仕 教育の発展のため努力する所存ですので、どうぞ 上げと病院活動を推進するに必要なヒューマン・ よろしくお願い申し上げます。 リソースの確保が大切な事項です。この中でも特 附属病院では国立大学法人化後の約10年間で、 に、看護師やメディカルスタッフの増員確保は、 診療科や中央部門の新設、医師・看護師などの 病院機能を向上させる上で、最も重要かつ緊急の ヒューマン・リソースの確保などの様々な基盤整 課題です。本年6月より7:1看護体制に移行で 備が行われ、病院機能の量、質ともに飛躍的に向 きましたが、病棟の看護師さん方のお話を伺いま 上している状況と思われます。昨年には新病棟が すと、ずいぶん仕事の負担が増加し、病棟の業務 稼働し、さらに再来年には新外来・診療棟のオー が大変になっている様子です。看護師は継続して プン、各種設備の設置・更新が行われるなど、新 増加していくことが予想されてますが、一番厳し しい時代に対応できる特定機能病院としての大学 い今の状況に対して、できうる限りに手段を講じ、 病院が出来上がります。今後はこれら新しいハー 来年以降の持続的発展につなげたいと思います。 ドを機能的かつ効率よく動かして、「患者様本位 高度先進医療は特定機能病院である大学病院の の医療」、 「地域と世界への医療の貢」 、「臨床研究 重要な使命です。三重大学は、高度先進医療届け と人材育成の推進」をさらに高いレベルで実現さ 出数が全国病院中ベスト2位で、大変頑張ってい ─3─ ます。今後も、高度先進医療を行いやすい環境を 活躍できる看護師の育成支援、メディカルスタッ 整備して行きたいと思います。また、臨床研究に フの教育病院としての整備環境、専門性を持った つきましても、三重大学からの更なる情報発信が 事務職員の育成、資格取得支援なども大切と考え 望まれるところです。臨床論文が特定機能病院の ています。 認可や評価に重要となり、臨床研究が研究開発費 地域医療への貢献も、大学病院の大切なミッ などの資金獲得に極めて大切となってくることが ションです。医師派遣、救急医療の支援、医局機 予想されます。臨床研究開発センターや疫学セン 能の強化支援に加え、予防、介護、在宅医療、緩 ターの機能強化などの研究環境整備、研究費のサ 和など今後地域が必要とする医療、福祉活動への ポートなどを行うと共に、医学系研究科、看護学 サポート、医療安全、感染対策や災害医療などに 科との連携を進め、医師のみならず、看護師、メ おけるリーダーシップが大切です。またこれらの ディカルスタッフの皆様の研究が活発に展開され 活動に、地域医療ネットワークの更なる充実も必 るよう支援していきたいと考えています。 要と考えています。 職員満足度の向上は、病院の診療機能、患者 国際化も今後取り組むべき大切な分野です。国 サービスの点においてキーとなります。非常勤職 際医療センターの充実、国際共同研究・共同治験 員の常勤化、必要な手当の支給、職員アメニティ への参画、医学部と連携して国際化教育、海外体 レベルの向上や子育て期間にある職員に働きやす 験の機会提供などを行っていきます。 い環境の整備などを行い、職員の満足度アップに 以上のビジョンを進めるにあたり、価値創造の 確実に行っていかなくてはなりません。 原資である“利益”を考えた病院経営が必要とな 患者サービスの向上におきましても、接遇改善、 ります。今後の3年間は年ごとに借入金返済の償 待ち時間の短縮(新外来・診療棟) 、病院清掃の 還が増加し、平成28年度にはピークとなり、その 強化、病院食の更なる改善、アメニティ施設の改 後は年ごとに少しずつ減少していく予定です。言 善、各種イベント企画などを中心に、進めていく い換えますと、この3年間が附属病院の踏ん張り 予定です。 時でもあります。厳しい状況も予想されますが、 次世代を担う優秀な医療人の育成において、大 三重大学病院には、極めて有能な人材が集まって 学病院での研修、キャリアアップは欠くべからざ おられますので、各部門が相互理解を深め、活動 るものです。三重大学では、初期研修医が増加し ベクトルをより集約することにより、この厳しい つつも今だフルマッチには至っておらず、研修医 状況を乗り越え、質の高い医療と効率的医療のバ の更なる確保がまず取り組むべき課題と考えてい ランスの取れた新しい大学病院の姿へと発展でき ます。臨床研修・キャリア支援センターの機能強化、 るものと確信しています。将来を見据え、何事に 関連病院や県との連携を通じて、この点を改善し もくじけず、皆様とコミュニケーションを大切に たいと思っています。また、今後の新しい専門医 した全員参加型の病院運営・経営を心掛け、若い 制度を見据えたプログラム作成など、大学病院が 人が希望を持てる病院となれるよう全力で頑張る 三重県下の研修のマネージメントを行いリード役 所存ですので、どうぞよろしくお願い申し上げま となることが望まれます。診療スキルに加え、リ す。 サーチマインドを持つことも優れた医療人になる 上で大切です。研究マインドの教育は、大学病院 が極めて得意とする領域で、医学系研究科との連 携、レベルの高い臨床研究・疫学研究の推進など を通して、研究マインドを兼ね備えた医療人を育 成して行きたいと思っています。また、専門的に ─4─ 教 授 就 任 の ご 挨 拶 臨床医学系講座 口腔・顎顔面外科学分野 新 井 直 也 この度、平成25年10月1 にあり、歯周病や口腔腫瘍による骨吸収現象など、 日付けで口腔・顎顔面外科 口腔外科疾患の多くは顎骨と不可分です。学位取 学の教授を拝命いたしまし 得後は1997年から2年半、スウェーデンのカロリ た。初代・田島教授、二代 ンスカ研究所に留学の機会を得て、“エストロゲ 目・村田教授、三代目・田 ンと骨”の研究に従事しました。現在は、骨吸抑 川教授と続いた伝統ある本 制薬であるビスフォスフォネートの副作用として 学の口腔・顎顔面外科を担 知られる顎骨壊死に着目しています。これまでに 当させていただく重責に身 得られた研究結果を足がかりに、顎骨壊死の機序 の引き締まる思いでおります。この場をお借りし 解明、さらには予防戦略の開発に取り組みたいと て、医学部の皆様には謹んでご挨拶申し上げます。 考えております。ビスフォスフォネート顎骨壊死 私は札幌の出身で、平成元年に北海道大学歯学 は歯科のみならず医療界全体の関心事であり、三 部を卒業後、東京医科歯科大学歯学部の第一口腔 重大学から国内外に情報発信していく所存です。 外科に入局し、塩田重利教授(現名誉教授)およ 現在、全国に大学の歯学部もしくは歯科大学が び後任の天笠光雄教授(現名誉教授)にご指導賜 29校あります。しかし、約半分の県は歯学部をも りました。平成20年に富山大学に移り、野口誠教 ちません。前任地の富山県や、ここ三重県も、歯 授のもと医学部における歯科口腔外科の診療、教 学部が無い県の一つです。県民の歯科口腔保健の 育、研究に携わってまいりました。 維持向上のために、地域の歯科医師会と連携協力 口腔外科診療で扱う疾患は、埋伏智歯(親知ら して、地域医療に貢献することもわれわれ大学の ず)にはじまり、口腔領域の腫瘍、外傷、炎症の 大きな使命と考えています。また、将来の三重県 ほか、顎変形症、口腔粘膜疾患、顎関節疾患など 医療を担う医学生に対し、全身と口腔の相互関係 様々あります。その中でも、顎変形症治療を専門 (全身疾患の口腔内症状や歯科疾患の全身への悪 分野として取り組んでまいりました。顎変形症 影響など)を教育することが、地域住民の健康に は、顎の発育異常など顎骨の形態異常によりかみ 有形無形の恩恵をもたらすものと信じています。 合わせが大きくずれ、咀嚼・構音や審美性に支障 院内に目を向けると、医科における歯科口腔外科 をきたす疾患です。顎矯正手術、すなわち顎の骨 には、全身疾患をもった方々の歯科治療を担う科 切り手術により顎骨を正しい位置に移動し、かみ としての役割があります。他診療科との緊密な連 合わせを直すことで障害を改善します。顎骨骨折 携が不可欠であり、先生方と相談しながらそうし の治療にも通ずるところがあります。国内では年 た方々の診療に取り組む所存です。 間4,000件以上の顎矯正手術が行われていますが、 三重大学口腔・顎顔面外科が歯科医療・歯科医 こうした治療法があることを知らずに悩む人も多 学における三重県の拠点であることを十分認識し、 く、治療はもとより地域への情報提供を積極的に 教室および大学の更なる発展に貢献できるよう極 行っていきたいと考えております。 力努力する所存でおります。なお一層のご支援な 研究面では、東京医科歯科大学の大学院時代よ らびにご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上 り骨代謝研究に従事してきました。全身の骨の中 げます。 でも、歯槽骨・顎骨は体表面から最も近いところ ─5─ 医師国家試験結果と合格率向上の対策について 教務委員長 竹 村 洋 典 平成25年3月末に第107回医師国家試験の合格 し、学習支援のための教員:メンターをつけてお 発表がありました。本年は新卒者103名受験、 97 ります。試験の問題作成にも注意を払い、良問作 名合格、既卒者は5名受験で3名合格となり、あ 成のための講習会を開催し、質の高い客観試験を わせて108名受験して100名が合格でした。合格率 実施できるようにしております。 では、新卒者94%は全国新卒者平均の93.1%を上 学習環境に関してですが、依然として学生から まり、既卒者を含めた全体では93%であり、これ は自習スペース確保の要望が出ております。校舎 も全国全体受験者平均の89.8%を超えております。 の改修や新病院移転が終わり、空きスペースを有 過去の5年間、おおよそ90%台の前半で推移し、 効利用しておりますが、充分ではないようです。 順位でも全大学中、10位台から20位台です。ただ 各棟のリフレッシュルームなどで自己学習をする 平成10年代の前半は、全大学での順位が一桁だっ 学生がいると予想されます。深夜時間にも使用す たことを考えると、まだまだ頑張れるとも思われ ると思われますが、教員各位のご協力・ご理解を ます。 是非ともお願い申し上げます。もしも不適切な使 近年は、卒業試験を改革し、従来の卒業試験に 用などがあれば教務委員会にご連絡をお願いしま 加え、総括試験を行っております。また、クリニ す。 カルクラークシップ終了後にクラークシップ総括 学務グループや医学・看護学教育センターの皆 試験、また医師国家試験の前にも、国家試験準備 様をはじめ、全学的なご支援のもと、国家試験合 試験をすべての第6学年の学生が受験することと 格率の95%を超えられるよう、さらに効果的な方 なっております。クラークシップ総括試験などの 略を尽くしていきたいと思います。どうか、皆様 結果が思わしくない学生には、学生の希望も加味 のご協力をお願い申し上げます。 平成24年度卒業生の看護師等国家試験結果と合格者の進路状況 看護学科学生委員長 成 田 有 吾 平成25年3月卒業の本学看護学科第12期生の看 で、決して試験が容易であったわけではありませ 護師等国家試験結果(第102回看護師、第99回保 ん。全国の新卒者と比較して、全国平均を(看護 健師、第96回助産師)と進路状況についてご報告 師で+5.9%、 助産師で+1.1%、 保健師では+2.5%) いたします。 上回っていました。看護師および保健師の受験資 国家試験の結果を下記(表)にお示しします。 格は看護学科卒業に必要な単位を取得すれば得ら 平成24年度の看護師等国家試験では当学科卒業生 れますので、ほとんどの学生はこの二つの国家試 の合格率は、新卒ばかりでなく過年度卒もあわ 験を受験します。とはいえ、複数の国家資格を受 せて、看護師・助産師・保健師すべての部門で 験する準備は容易ではありません。今回の、これ 100%でした。今回の合格率は、全国的には昨年 以上はない良好な合格率は、卒業生それぞれの努 度と同等、あるいは看護師ではやや低下の合格率 力と合格への強い意志の結果と考えます。なお、 ─6─ 助産師については看護学科の助産課程(定員6名 とのコンタクトを高め、学習、進路、その他の相 程度)で必要な単位を取得した学生だけが受験資 談に適宜応じる懇切な指導体制をとっています。 格を得ます。今年度、助産課程は6名で、全員が また、国家試験に向けて模擬試験が活用され、高 助産師合格・看護師合格を果たしています。 い効用も認められることより、引き続き今年度も 卒業生85名の進路は、就職79名(看護師68名、 予定されています。看護学科育成会からは、国家 保健師5名、助産師6名) 、進学5名(看護学修 試験対策への援助(模擬試験等)や、学習に必要 士1名、養護教諭別科3名、助産課程1名) 、そ な書籍等の購入についてもご支援いただき、学生 の他1名、就職希望なし1名でした。就職内定先は、 の自己学習に非常に役立っています。 県内48名、県外31名、三重大学医学部附属病院38 現在、看護師や助産師の需要は非常に高く、卒 名(看護師34名、助産師4名)でした。 業生が就職に困ることはないものの、各地の医療 今年度は卒業生全員が国家試験をもれなく合格 機関は看護職の確保に大変な努力を続けています。 したことから、不合格者のことを記す必要があり 三重大学附属病院でも病院長、看護部長をはじめ ません。学科教員一同、安堵しつつも、次年度以 多くの方々が進路説明会や育成会総会など、機会 降にも高い合格率を維持するよう気持ちを新たに あるごとに看護学科へ足を運んで下さり、本学附 取り組んでおります。本年も5月14日に第4学年 属病院の新築移転された後の活況や支援体制など、 の学生を対象に進路説明会を開催しました。この 熱意を込めて語っていただきました。学生委員会 機会に、学生には、国家試験、進学、就職に関す としても学生に適切な進路が開けるよう活動して る情報を提供し、個々の進路についてよく考え、 行きたいと考えております。引き続き、附属病院 国家試験のための学習に力を入れるよう指導して 各位、ゼミナール指導教員各位のご支援とご指導 います。看護学科ではゼミナール指導教員が学生 をよろしくお願いいたします。 医学部看護学科12期生 国家試験合格状況(第102回看護師、第99回保健師、第96回助産師) 受験者数 全 国 56,530 うち新卒者 51,458 全国大学(新卒) 14,213 本学(新卒) 77 看 護 師 合格者数 50,224 48,413 13,640 77 合格率 88.8% 94.1% 96.0% 100% 受験者数 16,420 15,136 14,194 85 保 健 師 合格者数 15,764 14,751 13,850 85 合格率 96.0% 97.5% 97.6% 100% 受験者数 2,113 2,010 1,023 6 助 産 師 合格者数 2,072 1,987 1,013 6 合格率 98.1% 98.9% 99.0% 100% 平成25年4月、地域包括ケア・老年医学産学官連携講座開設 地域包括ケア・老年医学産学官連携講座 准 教 授 大 西 丈 二 教授 (兼任) 竹 村 洋 典 教授 (兼任) 西 村 訓 弘 地域包括ケアとは、住まいと医療、介護、予防、 き始めている種々の試みを整理し、モデル化する 生活支援を一体的に提供するシステムです。急速 必要があります。地域包括ケア・老年医学産学 に高齢化が進む社会において、これらの有機的な 官連携講座は保健、医療、介護および周辺事業 協働は不可欠ですが、地域包括ケアはまだ新しい が、地域の人々の健康やQOL等に与える効果を随 概念で、学問的基盤を強化するとともに、既に動 時、検証・フィードバックするシステムを研究す ─7─ るために、度会郡南伊勢町からの受託研究費をも 健康介入がQOLなど真のアウトカムを含め、人々 ととして、平成25年4月に開設されました。地域 に与える効果を明らかにすることによって、地域 で共有すべき情報等の在り方を求め、同町を主た 包括ケア・ヘルスケアの先進的モデルを示すこと るフィールドとして、縦断的研究を通じ、種々の を本講座は目指しています。 三重大学医師会設立の意義 三重大学医師会長 登 勉 去る平成25年4月1日、三重大学医師会が15番 する国立大学法人になりました。しかしながら、 目の郡市医師会として新たにスタートしました。 三重大学の場合、総予算の約半分を文部科学省予 本会の設立に至るまでには、三重県医師会長青木 算から運営費交付金として配分されており、独立 重孝会長、津地区医師会荘司邦夫会長はじめ多く 法人とはいえ文部科学省管轄であることには変わ の皆様のご指導とご協力をいただきました。改め りがありません。一方、医療行政は厚生労働省主 て、深く感謝する次第です。 導であり、附属病院における保険診療や卒後臨床 大学医師会は附属病院の他に、基礎系および臨 研修制度などへの文部科学省の関与は微々たるも 床系講座に所属する医師を対象としており、平成 のです。例えば、特定機能病院の認定・取消や卒 25年7月末現在で会員数138名となっています。こ 後臨床研修医の受入数は、厚生労働省マターです。 れまで津地区医師会員として活動してきた70名の 私は津地区医師会からの推薦を受けて三重県医師 大学勤務医が大学医師会に移籍しましたので、新 会理事を3期務めさせていただきましたが、医療 規に68名が入会したことになります。活発な入会 行政に関する情報の流れは、文部科学省から附属 のお願いをしていませんでしたが、ほぼ倍増の会 病院へのルートより厚生労働省から県健康福祉部、 員数になったことを有難く思うとともに、今後の そして県医師会のルートが数倍速いと感じました。 大学医師会の運営に心して当たる決意を新たにし 文部科学省管轄でありながら、実務的には厚生労 た次第です。 働省管轄でもある附属病院を中心とした大学医師 平成16年4月、国立大学は独立した法人格を有 会を設立する意義の第一はここにあります。即ち、 ─8─ 医療行政の中枢との連携ルートの確保であり、迅 が進み、近い将来に日本の医学・医療全体がレベ 速に情報を得るためです。設立意義の第二は、県 ル低下を招くことが危惧されます。 医師会と日本医師会を通して勤務医の様々な課題 また、今後医療の枠組みが大きく変化しうる状 について国(厚生労働省と文部科学省)に問題提 況です。例えば、政府の規制改革会議は7月26日 起することが期待できる点です。 に第2期の初会合を開き、 「保険診療と保険外診療 大学医師に関しては、保険診療や療養担当規則 を組み合わせた混合診療の拡大」を最優先で取り に関する意識が低いことが、これまでにも指摘さ 組む方針の1つに挙げています。混合診療に関し れています。健康保険制度においては保険医登録 ては、6月に閣議決定した「規制改革実施計画」 が必要であり、 「保険医療機関及び保険医療養担当 で、治療行為の一部に保険外診療を認める「保険 規則」の「第2章保険医の診療方針等」に則った 外併用療養費制度」について、今秋を目途に抗癌 診療行為が医師である保険医に求められます。大 剤に適用を拡大することを打ち出し、第2期では 学医師会の設立は、個々の会員に保険診療に関す 「保険外併用療養費制度」の対象の更なる拡大が る意識改革の機会と、大学を離れて地域医療機関 検討されることになります。 で勤務する場合や開業の際には大いに役に立つ知 これら、医学・医療が直面する諸課題の解決に 識の修得の機会を提供する契機になります(意義 向けて、大学医師の結束を図るとともに附属病院 の第三)。さらに、他の地区医師会の先生方と交流 の持つ特性を生かした活動を行ない、更には大学 を深めることは、医療連携を進めるうえでプラス 医師を含む勤務医の勤務環境の改善に国レベルで になり、若い医師が多い大学医師会会員にとって 問題提起する自発的な組織として、三重大学医師 人間的成長につながる啓発の場になることは間違 会を設立した次第です。 いありません(意義の第四)。 このような設立意義と趣旨をご理解いただき、 近年、大学医学部および附属病院を取り巻く状 未入会の皆さんには三重大学医師会に入会いただ 況は、国立大学の法人化、医学教育の国際化、新医 きますよう、改めてお願い申し上げます。 師臨床研修制度の実施など大きく変化しています が、附属病院は、診療面では難治性疾患などに対 なお、三重大学医師会の役員は以下の通りです。 する専門的高度医療や若手医師の臨床研修などを 会 長 登 勉 担うほか、学部学生の卒前教育に欠くことのでき 副会長 竹 田 寛 ない存在です。更に疾病の原因同定、発症機序の 水 谷 仁 解明、診断法や治療法の開発など高度先進医療を 理 事 伊佐地 秀 司 目指した医学研究を担っており、附属病院には他 冨 本 秀 和 医療機関では代替できない大きな責務があり、国 内 田 恵 一 民の期待も着実に増大しています。また、OECD 監 事 緒 方 正 人 諸国の平均に比し極めて少ない教員数でありなが ∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼ ら、個々の献身的な努力により世界のトップレベ ルの診療や研究を行い、我が国の医療保健の向上 三重大学医師会設立趣意書 に寄与しています。 しかしながら、附属病院とい えども、国の医療政策の影響を回避することは不 近年、大学病院を取り巻く状況は、国立大学の 可能であり、医療・医学教育のレベルやサービス 法人化、新医師臨床研修制度の実施、臨床研究に の向上など業務負担が増加し、若手・中堅医師を 関する倫理指針の施行など大きく変化しています。 中心に医療従事者は疲弊しています。この状態が そのなかで、診療面では難治性疾患などに対する 続けば大学における医学教育・研究と医療の荒廃 専門的高度医療や若手医師の臨床研修などを担う ─9─ ほか、学部学生の卒前教育に欠くことのできない このたび、医学・医療が直面する諸課題の解決に 存在です。更に疾病の原因同定、発症機序の解明、 向けて、勤務医の結束を図るとともに大学病院の 診断法や治療法の開発など高度先進医療を目指し 持つ特性を生かした活動を行なってほしいと、大 た医学研究を担っており、大学病院には他医療機 学病院医師会連絡協議会ならびに三重県医師会か 関では代替できない大きな責務があり、それは着 ら要請を頂きました。これらの要請に応えるとと 実に増大しています。また、OECD諸国に比し極め もに、大学病院勤務医師の立場を改善するために、 て少ない教員数でありながら、個々の献身的な努 自発的な組織として、また、より自由かつ柔軟に 力により世界のトップレベルの診療や研究を行い、 医学・医療が直面する諸課題の解決に向けて活動 我が国の医療保健の向上に寄与しています。国の し、社会に貢献する組織として、三重大学医師会 医療費抑制政策の波は大学病院にも押し寄せてお を設立するものです。 り、医療・医学教育のレベルやサービスの向上な このような趣旨にご理解とご賛同を賜り、三重 ど業務負担が増加し、若手・中堅医師を中心に多 大学に勤務あるいは在籍される医師の皆さまには、 くの医師、医療従事者は疲弊しています。このま 是非とも三重大学医師会にご加入下さいますよう ま放置すれば大学における医学と医療の荒廃が進 お願い申し上げます。 み、近い将来に日本の医療全体が壊滅的なレベル 低下を招くと危惧されます。 平成25年3月吉日 大学医学部と大学病院の機能が低下することは、 医師・医療機関のみならず国民にとって、その影 三重大学医学系研究科長 登 勉 響は甚大であります。 三重大学医学部附属病院長 竹 田 寛 このような危機を目前にして、大学における医 三重大学医師会設立準備WG 学教育・研究・診療をあるべき姿に向わせること 医学系研究科教授、県医師会理事 を目的として、平成18年には大学病院医師会連絡 水 谷 仁 協議会が設立され、これまでに61の医科系大学に 医学系研究科教授、附属病院副病院長 おいて大学医師会が設立されています。しかし、 冨 本 秀 和 三重大学病院には大学医師会はなく、また、三重 附属病院准教授、津地区医師会理事 県・市医師会に理事・参与を送り出して医師会活 内 田 恵 一 動との連携を持ってはいますが、主体的な活動は 附属病院准教授、県・津地区医師会員 行っていないのが現状です。 兼 児 敏 浩 トピックス 翔べ 若者たちよ!:米国臨床研修の記録 ―「Baylor Club in Mie」編集にあたって ― 三重大学名誉教授 中 野 赳 現在、日本の国際交流は右肩下がりである。頭 ル化しなくてはならない時に若者も政府も国際交 脳の流出という考えもあるが社会全体が内向きで 流には消極的である。しかし、異文化と接するこ 萎縮し、閉塞感が漂っている。明らかにグローバ とで極めて大きなエネルギーを生み出す。歴史や ─ 10 ─ 文化の異なる人 らう。 間同士の触れ合 こうすることによって若い留学生の身分的 いはその後の人 保証と有る程度の経済的支援を得られる事に 間形成のうえで なり、更に、関連病院全体を刺激することに 大きな刺激とな なる。 る。個人のキャ これをスムーズに実現するために、多少の リアの利益にな 障害もあったが、最終的には全ての関連病院 るだけでなくグ が理解をしてくれた。これで全病院からス ローバルな人間 ムーズに派遣できる態勢が整った。 形成はその国の 4.渡米する人には「毎日、日記だけは付けて 政治や経済、科 くれ」とだけ言い、送りだした。毎日自分自 学、社会の根源となり国の将来を左右することに 身で反省すれば、自ずと理解してくれるだろ なる。このように愚考しているこの頃である。 うと思っていた。 この書は、米国Texas 州HoustonにあるBaylor 私の本心は 医科大学、Texas Medical Centerへの臨床短期留 1)外国の異文化に接し、カルチャーショッ 学の記録集である。 クを受け、自分で考える。 この留学は、 1979年に同大学のAlexander教授 2)英語に慣れる。 のお世話により始まり、一時中断したが、1992年正 3)米国の医療・医学・教育などを体験する。 式なSister Relationship between Mie and Baylor 4)自分自身と日本を見つめ直す。 の締結にて再開、Alexander、能勢之彦教授によ 5)能勢教授夫妻等の考えを吸収し、世界の り2006年まで続けられた。これは一地方大学で 一流の人と接し、一流の所をみる。 100名以上の留学生を3ヶ月間という短期間では 6)帰国後、周囲の人、特に若い人に、何ら あるが、足掛け30年に亘り送り出し(出され)続 かの影響を与えてもらいたい。 けた記録である。前期10人は大学から第一内科の 7)最終的には三重県から日本の医学教育を 助手に相当する人を、後期70名は関連病院から卒 かえる。 8)妻滞者には出来るだけ家族と共に行く事 後3∼5年の後期研修医に相当する人を、又30名 を勧めた。 強の医学部6年生を夏季休暇を利用しそれぞれ 1ヶ月間送り出した。更に、看護師及び心臓移植 5.あまり社会的に評判の良くない医師と言う 患者まで送り出した。 人間に、米国で苦労することにより人間的に 少しでも幅を持たせようとも考えていた。 ここで後期留学を始めるにあたって私が考えた 6.これからの若い人は外国での学会参加は無 ことを本文から引用する。 論の事ではあるが、彼らの半数位は将来研究、 臨床のために外国で生活することになるであ 1.三重から日本の医学制度を変えてやろうと ろう、その為にも良いであろうと考えた。 云う目的がより明確になった。 2.前期と異なり「可愛い子には旅をさせろ」 「鉄は熱いうちに打て」と考え、感受性の高い、 本書を学外の友人・先輩などに送った所大きな 沢山の若い人に、同一場所で共通体験をして 反響があったのでその一部を紹介させて頂く。 もらおう。原則として、卒後3−5年目で多 少日本の医学・医療も経験した人を送り出す。 3.留学生は本質的には関連病院から出しても 酷暑の日々が続きますがいかがお過ごしでしょ うか。 ─ 11 ─ 先日は“Baylor Club in Mie”を贈って頂き有 Orleansのあの生活からうまれたのでしょうか。 難うございました。すっかり忘れかけていたワシ また、能勢先生には私もClevelandでお世話になっ ントンに留学時に受けたculture shockを想い出 たこともあり懐かしく読ませて頂きました。益々 しております。特に整理されたレジデント制度は の発展をお祈りします。奥様にもよろしく、私も 忘れられません。先生のご尽力で多くの後輩がこ 元気です。 れを共有できたことは素晴らしい財産で第一内科 元福岡赤十字病院腎センター長 藤見 惺 の遺伝子として受け継がれ、医療変革の土台とな るものと信じています。 拝啓 元尾鷲市民病院院長 須川正宏 こ の 度 は、 御 教 室 の 方 々 の 留 学 記 ”Baylor Club in Mie”をお送り下さいまして誠に有難う 中野先生ご夫妻におかれましてはお変わりなく ございました。一読させて頂いた上で、留学希望 ご活躍のこととぞんじます。 者の多い国立国際医療センターの総合内科の図書 このたびは立派な記念出版をお送りくださりあ 室に寄付させて頂きました。皆さん大変喜んで頂 りがとうございました。三重大学の先生の教室か きました。改めて御礼申し上げますとともに、先 ら連綿と留学生を送られてきたこと自体素晴らし 生のご一層の活躍を心よりお祈り申しあげます。 いことと感激いたしました。私が済生会中央病院 敬具 におりますときも優秀な内科医を1年間留学の制 前独立行政法人国立病院機構理事長 度をつくり、10名ほど送り続けました。留学先は 現国際医療福祉大学総長 矢崎義雄 私が米国へ出向き交渉いたしました。その後1時 期途絶え、また最近復活しました。能勢先生の手 尚、本書は医学部図書室、全学図書室に、又第 紙 に Your wife is charming and efficient. と 一内科の秘書室には常に備えてある。若い人には 書かれているのを拝見し、嬉しく思いました。 ぜひ少しでも読んでもらえれば幸いである。若者 どうぞご自愛の上研究・臨床にお励みください。 なら何処を拾い読みしても大きな刺激を受けると 元済生会中央病院 北原光夫 思うが、時間が無い人には第一内科からBaylorに 送り込んだ患者の心臓移植にただ一人で立ち会っ 暑い日が続いていますがお元気ですか。 た栗生明博君の記録(p153、154)と、学生の石 先日はBaylor Club in Mieをお送り頂き有難う 原由理さん(p188)田辺正樹君(p192) 、及び ございました。先生は本当にすごいことをせられ 白倉永理さん(p201)の記録がお勧めである。 てきたのですね、今更ながら先生の活動力には驚 最後に再度強調する、米国の医学教育、医師の 嘆させられました。若いひとたちを3ヶ月でもア レベルは非常に優れている(医療制度は別である) 、 メリカの空気を吸わせてやろうとの気概もNew 若い諸君には、ぜひ自分で体験してきてもらいたい。 ミャンマーのヤンゴン第一医科大学の学長らが三重大学を来訪 脊椎外科・医用工学 笠 井 裕 一 三重大学医学部は、2012年12月17日に日本の医 た。そして平成25年3月11日∼15日に、登勉前研 学部として初めて、ミャンマー連邦共和国のヤン 究科長の招聘に応じてヤンゴン第一医科大学の学 ゴン第一医科大学との間に学部間協定を結びまし 長ら4名の医師が三重大学を訪問されました。 ─ 12 ─ 来られた先生方は、ヤンゴン第一医科大学の 分野において医師交流を推進したいことを伝えま Than Cho学長、Nang Hla Hla Win薬理学教授、 した。 Zaw Wai Soe整形外科教授、学長夫人で医師の 彼ら4人は、三重大学以外に、伊勢赤十字病院、 Swe Swe Tun先生(写真1)でした。まず内田淳 伊勢神宮、名古屋城を見学され、さらに中井桂司 正学長を表敬訪問(写真2)した後に、竹田寛病院 紀南病院副院長の計らいで紀南病院、熊野の瀞峡 長が大学病院を案内(写真3)されました。そし にも立ち寄られました。そして、ミャンマーへ帰 て、登勉先生主催の夕食会(写真1)では、Than 国前夜には、医学部主催の歓迎会が行われ、鈴木 Cho学長が、ミャンマーでは16歳で医学部に入学 英敬三重県知事やNPO法人日本ミャンマー友情 できること、国内に医学部が4つしかなく医師不 の架け橋の会長らをお招きして、医療だけでなく 足であること、長期海外留学のチャンスがほとん 経済や教育などの面での交流の話も加わり、和や どないこと、などを話されました。それを受けて かな雰囲気の中で懇親が深められました(写真4)。 登先生は、三重大学でのミャンマー医師の医学博 今後ますます、三重大学医学部とヤンゴン第一 士取得に大歓迎であること、臨床・基礎の様々な 医科大学の交流が進むことを祈念しております。 写真1.登前研究科長主催の夕食会 写真2 内田学長を表敬訪問したThan Cho学長 前列がThan Cho学長夫妻、後列が左から中井桂司紀南病院副院長、 Nang Hla Hla Win薬理学教授、登先生、Zaw Wai Soe整形外科教授と私 写真3.竹田病院長が病院内を案内 写真4.医学部主催の歓迎会での全員写真 ─ 13 ─ 大学院FDワークショップを行なって 大学院委員会委員長 山 崎 英 俊 3月27日(水)に医学研究科臨床第二講堂で医 声・発音し,個別に指導いただきました。同じ言 学系研究科大学院の在り方に加えて、教官と学生 葉でも話し方により、聞く側の印象が大きくかわ 間の円滑なコミュニケーション向上とより良い人 ることを肌で感じ,新鮮な驚きとともに楽しんで 間関係の構築を目指して、三重テレビのキャス いただいたと思います。同じ言葉でも、声の大き ターとして活躍中の稲葉寿美様(とってもワクド さ、トーン、スピード、間の取り方等どのように キ!(三重テレビ) (月∼金)放送中)に−女性 話すと相手にどのような印象を与えるか、言葉は アナウンサー奮闘記−を交えて「伝える 伝わる 外見や目力や表情以上にインパクトがあり、話し 話し方」の講演をいただきました。講演の内容 方の重要さを再認識されたと思います。本講演が、 のみならず、テンポの良さ、ユニークなお人柄に 学生さんや教官、或は患者様との今後の関わりの 魅了された1時間で、さすがプロの話し手は違う 中で人間関係構築の上で多いに役立つことを期待 なと感心した方も多くおられると思います。 しております。本講演を行なうにあたり、竹田病 さて講演は,聴衆参加型の実践的な講演で、配 院長、登前研究科長に多大なご支援をいただきま 布された資料を基に,登前医学研究科長を始め、 した。この場をかりて御礼申し上げます。 教職員、病院職員等の多数の参加者が、実際に発 シャルマ先生講演会「発展途上国での医療資源の不足した病院における 32年間の経験から学んだこと」概要 臨床研修・キャリア支援センター、医学看護学教育センター、肝胆膵移植外科 櫻 井 洋 至 ・ 伊佐地 秀 司 本年(平成25年)5月にインドより来日中のシャ 立NSCB医科大学外科の教授をされていますが、 ルマ(Dhananjaya Sharma)先生が約1週間の ウィーン医科大学、久留米大学、スローンケタリ 間三重に滞在され、肝胆膵・移植外科でのカンファ ング癌センターなどでの留学の経験があるほか、 レンスや手術に立ち会われたほか、5月9日(木) コンケン大学(タイ)の客員教授、英・仏・タイ に三重大学国際交流センター、医学看護学教育セ ンターや三重県の後援を頂き、 医学臨床研修・キャ リア支援センター、肝胆膵・移植外科主催の若手 医療人キャリア支援セミナー「発展途上国での医 療資源の不足した病院における32年間の経験から 学んだこと」のタイトルでご講演をいただきまし たので、以下にその概要を報告させていただきま す。 シャルマ先生はインド・ジャバルプールの国 ─ 14 ─ 外科学会の名誉会員で、世界的に著名な教育者で あります。シャルマ先生とは、肝臓移植での協力 を通じて肝胆膵・移植外科と相互の交流関係の深 いコンケン大学外科(ウッタラビッチェン教授) での活動を通じて、筆者と5年ほどの交友関係が あり、本年2月にジャバルプールで主催されたイ ンド外科学会へも、タイやオーストラリアととも に日本から講演者として招待していただきました。 今回20年前に約1年の研究生活を行った久留米大 学の先生の退官記念祝賀会に出席するために来日 学外医師1名(外科)、学内医師15名(外科、内科、 され、タイトな日程の中から約1週間もの長い期 麻酔科、IVR科)と多様な職域の方々にご参加を 間を三重大学で過ごしていただき、そのお世話を いただいたほか、講演の終了後約30分間に渡り させていただいたことで筆者にとりましても大変 シャルマ先生と参加者がインドのお菓子をつまみ 貴重な経験となりました。 ながら、熱心に歓談を行いました。シャルマ先生 講演では約1時間にわたり、 114枚のスライド の周りには次から次へと学生が集まって話しかけ、 を用いて、インドにおけるマンパワー、医療資源・ 人だかりが途切れることはなく、先生も気さくに 経済・環境面のあらゆる困難な状況の中で、外科 慈愛を持って学生に応じていただきました。末筆 医療の改革に取り組んだほか、先端医療や十分 になりますが、講演会の運営、受付・案内業務に な研究環境のない中で200を超す英文発表を行い、 多くの学生がご協力いただきましたことを感謝申 英・仏・タイ外科学会の名誉会員となるなどの体 し上げます。 験から若い医療者、研究者をエンカレッジする貴 氏の発表原稿とスライドについては公開を許可 重なお話をしていただきました。 されておりますので、希望者には配布いたします。 講演は、主に若手医療人を対象としたものであ 三重大学肝胆膵・移植外科 櫻井洋至(hirodon@ りましたが、学内外より55名(三重大学医学部生 clin.medic.mie-u.ac.jp)までお申し付けください。 21名、看護学科学生2名、学外学生3名、海外留 Professor Dr.Dhananjaya SharmaMBBS, 学生1名(イタリア) 、外国人教員2名(アメリ MS,PhD,DSc,FRCS(Glasgow ),FRCST カ、インド) 、病院事務1名(医療福祉支援セン (Hon )Head,Department of Surgery NSCB ター)、大学事務1名(国際交流チーム)、教員2 Government Medical College,Jabalpur,INDIA. 名(医学看護学教育 センター、看護学科) 、病院 [email protected] 医療職員2名(薬剤師、検査技師) 、研修医5名、 スウェーデン王国イェーテボリ大学の訪問と シャルジャ大学よりの学生来訪 神経病態内科学 冨 本 秀 和 昨年度までスウェーデン王国イェーテボリ大学 岡要教授と小生が交流の窓口を仰せつかりまし との国際交流窓口教官を担当されていた山本哲朗 た。イェーテボリ大学の鮒恵子教授のお世話で4 教授のご退官を受け、本年度から分子病態学の島 月30日から5月6日まで、島岡教授と伴にいくつ ─ 15 ─ かの研究室を訪問させて頂きました。今回の訪問 がっている様子でした(写真2)。また、研究レ は担当者の交替によって交流が途切れることのな ベルで交流のある精神科のWallin教授のお世話で いよう、パイプをより太く強固にすることが主な 専門領域の脳小血管病についてセミナーをさせて 目的でした。特に海外研修の医学生の受け入れの 頂き、活発な質問を頂戴しました(写真3)。 窓口として、Östra病院で当大学の学生をお世話 帰国後、海外交流の相互性の意味で海外からの 下さっている循環器のMichael Fu教授にはぜひ 研修学生のお世話をすることも必要かなと思って お礼を申し上げねばと思っていました。今回の海 いましたところ、偶々医学教育センターからシャ 外研修では5名の学生が二組に分かれて研修させ ルジャ大学の医学生受け入れについて打診があり て頂きましたが、そのうち第一陣の諸君が研修期 ました。Fatimaさんという女性ですが、神経系 間中に研究室を訪問しました(写真1) 。その折、 の臨床や研究に興味があるそうで、将来は神経内 Fu先生は学生が毎年研修に訪れている私どもの 科医になりたいという夢を話してくれました。神 大学に興味をもたれ、今年の8月初旬に三重大学 経内科の研究室では脳循環や認知症の研究を行っ を訪問される運びになりました。8月1日に循環 ていますが、これらのテーマで全ての時間を埋め 器伊藤正明教授、島岡教授と伴に大学院セミナー ることは困難なため、薬理ゲノミクスの田中利男 を開催し、心不全のバイオマーカーについて三医 教授にお願いして午前は主にゼブラフィッシュの 会ホールでご講演をお願いしましたので、ご存じ 研究、午後は神経内科研究室で過ごすという生活 の方もおられるかと存じます。 をしてもらいました。イスラムの戒律でスカーフ 鮒教授にはご自宅にお招き頂き、鮒研究室の院 を常時していること以外は学生や研修医と全く同 生が当学の学生達と交流して、かなり話が盛り上 じ扱いで過ごし、カンファレンスや外来診察にも (写真1) (写真2) (写真3) (写真4) ─ 16 ─ 参加してもらいました。2週間だけの短い研修で 説したところ、自分達ももっと勉強しなければと したが、最後に当講座のカンファレンス室で、パ 啓発されていました。 ワーポイントを使い研修の成果を英語で発表して これからの若い医師はどんどん海外にでて切磋 くれました(写真4) 。今年は日本語がわからず 琢磨し、お互いの知識や技量を高めあっていくこ 神経内科カンファレンスではあまり勉強できな とが必要です。海外研修や海外からの医学生、教 かったため、来年までに日本語を勉強し、できれ 官の受け入れが、そのような土壌を作る基礎にな ば来年日本に戻ってリベンジしたいと言ってくれ ると思われ、海外交流をさらに進めていく必要性 ました。私の外来で彼女が発した質問のレベルの を痛感しています。 高さに感心したため、その内容をうちの学生に解 医学・看護学教育センターにアルベルト先生就任 医学・看護学教育センター 太 城 康 良 アルベルト ペリヤ ゲイル アルベルト先生が Originally from Miami(Florida, USA),a 医学看護学教育セン multicultural nexus located near the United ターに4月1日付で States’most southern point. Alberto grew up 着任されました。経 influenced by many different cultures, styles, 歴を生かし、熱意を and ideologies. Among these are included: もって、主に1、2 Evangelical Christianity, Judaism, Caribbean 年生に開講される医 Creole culture, Latin American Independence, 学英語や3、4年生 Chinese“Kung Fu”, 1990s“Hip Hop”& の研究室研修の英語 “Alternative” music, Japanese “Anime”& 指導を担当されます。 “Manga”,and a Star Trek-inspired love for 院生や教員の英会話 scientific & intellectual discovery. During this の学習や英語論文に period, the teachings and worldview of Lao Tzu ついての相談も歓迎とのことです。以下は、ご本 (老子)and Plato(プラトン)were also very 人からの自己紹介とメッセージです。よろしくお influential. 願いします。 Understanding the dynamics of our world has always been a key passion. In high school, SUMMARY: Alberto attended an“accelerated”program Alberto Alexander Gayle is married, with and, in addition to the curriculum,completed a baby daughter(born in Sapporo, October 2years of advanced studies in Biology,Physics, 2012) .He comes to Mie University with about nd Applied Mathematics. Alberto graduated in 10 years’experience as a consultant,helping 1999. organizations quantify,understand,and Alberto begins his university career at the communicate about complex topics. University of Florida, but eventually decided BACKGROUND: to continue and complete his education outside ─ 17 ─ of the US,in Germany(Uni. Mannheim). and the Medical Education Center for all their Alberto earned qualifications in Applied support, and their dedication to the community, Research Methods & Statistics, International both here in Japan and abroad. Management,and Strategic Marketing. Alberto Our goals for Medical English education are completed his Masters of Science in 2005. simple:help Japanese doctors,both current In 2006, Alberto began a 7-year stretch as a and future, embrace all opportunities to become research manager, strategy analyst, and client- the best doctors possible,for themselves,their service executive. During this time,Alberto’ s communities,and for everyone depending work took him to various places including on them.To that end,we focus on English Hamburg, London, Barcelona, New York primarily as a tool for gathering,sharing, and City, Los Angeles, and finally back to Miami. “managing the flow”of information. Regardless of the location or client-specific Regardless of the circumstances,the English- goals,Alberto’s work always remained the speaking population is growing rapidly.Due same:understanding the dynamics involving a to the growth of the Internet,smartphones clients’business, and using advanced research and social communication tools,more and tools & strategies, to create & deliver elegant more information is being made available to solutions to their needs, both short and long- and by more and more people.This presents term. both opportunities and risks.As professionals Alberto met his wife during his time in serving the public good, it is our duty to stay New York City. Once they decided to have a on top of the latest information and trends.At family, however, Alberto suspended his career the same time, however,it is also our duty and moved with his wife back to her family in to remain critically aware of the sources and Japan. It was at this point that Alberto decided implications of this information,and to manage to switch career aims to more socially beneficial the impact it has on the ideas shaping our goals: specifically, helping Japanese institutions world. And this cannot be done without a sharp, create a better future for his family. competent command of English. We cannot do ASSISTANT PROFESSOR,MEDICAL ENGLISH: our best without English. First of all, I would like to thank Dr. H. Hori, Over the past decades, Japan has managed to and the Mie University School of Medicine, do remarkably well on the international stage, 1)Japanese students are increasingly less likely to study abroad. 2)And more alarmingly still,Japanese publications are increasingly less likely to be cited by their peers. ϭϰϬ͕ϬϬϬ ϵϲᐕ͖ ϭϮϬ͕ϬϬϬ ϭϲ͘ϭϵ ϭϬϬ͕ϬϬϬ ϴϬ͕ϬϬϬ ϲϬ͕ϬϬϬ ϰϬ͕ϬϬϬ ϮϬ͕ϬϬϬ Ϭ Ϭϱᐕ͖ ϴϬ͕ϬϮϯ ϵϬ͕ϬϬϬ ϳϬ͕ϬϬϬ ϱϬ͕ϬϬϬ ϴϰᐕ͖ ϯϬ͕ϬϬϬ ϭϱ͕Ϯϰϲ ϭϬᐕ͖ ϱϴ͕ϬϲϬ ϮϬ ϭϱ ϭϬ ϱ ϭϭᐕ͖Ϭ͘ϴϮ ϴϰᐕ ϴϱᐕ ϴϲᐕ ϴϳᐕ ϴϴᐕ ϴϵᐕ ϵϬᐕ ϵϭᐕ ϵϮᐕ ϵϯᐕ ϵϰᐕ ϵϱᐕ ϵϲᐕ ϵϳᐕ ϵϴᐕ ϵϵᐕ Ϭϭᐕ ϬϬᐕ ϬϮᐕ Ϭϯᐕ Ϭϰᐕ Ϭϱᐕ Ϭϲᐕ Ϭϳᐕ Ϭϴᐕ Ϭϵᐕ ϭϬᐕ ϵϲᐕ ϵϳᐕ ϵϴᐕ ϵϵᐕ ϬϬᐕ Ϭϭᐕ ϬϮᐕ Ϭϯᐕ Ϭϰᐕ Ϭϱᐕ Ϭϲᐕ Ϭϳᐕ Ϭϴᐕ Ϭϵᐕ ϭϬᐕ ϭϭᐕ ϭϬ͕ϬϬϬ ϬϬᐕ͖ ϭϳ͘ϲϳ ηŽĨWƵďůŝĐĂƚŝŽŶƐ :ĂƉĂŶĞƐĞ^ƚƵĚĞŶƚƐ^ƚƵĚLJŝŶŐďƌŽĂĚ Source:OECD“Education at a Glance” ŝƚĂƚŝŽŶƐƉĞƌWƵďůŝĐĂƚŝŽŶ Source:SCImago Journal & Country Ranking ─ 18 ─ Ϭ However,there are some indications that this have both the confidence and competence,to trend has recently begun to reverse itself−and navigate uncertain times and to make the most alarmingly so in the academic arena. choices necessary for a strong and healthy Japan. Taken together,the implications of these I know that English is just a small part of a two trends remains clear:something needs much broader solution set.But I will do my to be done,to ensure that Japanese medical best,to help others develop and advance their professionals are able handle the demands of the solutions.So please,join me in helping you future,both here in Japan and internationally. move forward into the future.よろしくおねが As society’s needs continue to change rapidly, いします! it is vital that Japanese medical professionals 「看護学科ホワイトセレモニー」 看護学科教務委員会 坂 口 美 和 平成25年5月10日金曜日、昨年に続いて今年も その後、学部長他8名から3年生の代表学生に ホワイトセレモニーが行われました。ホワイトセ 新しい白衣が手渡され、代表学生たちは出席者の レモニーは看護学科3年生が領域別臨地実習を行 皆様に白衣のお披露目をしました。この白衣は うに当たり、看護学生としてのアイデンティティ 臨地実習に向けて附属病院の皆様からの贈り物 の確立や将来へのキャリア形成に向けて、学生自 (エール)です。学生たちは、沢山の人に支えら 身のあり方を考える機会とするために行うもので れて今日あることに感謝し、これから始まる実習 す。教員、来賓、保護者の見守る中、式は行われ においても支えられている安心感を得るとともに、 ました。 自分のもてる資質を更に発展させていく責任を感 内田学長、緒方医学部長、竹田病院長、門脇看 じたのではないかと思います。 護部長、辻川学科長より励ましの挨拶をいただき、 そして、矢田育成会会長よりご祝辞をいただき、 続いて学長表彰、医学部長表彰が行われました。 続いて学生たちで内容も唱和の仕方も考えた誓い 今年は、3名の学長表彰者、9名の学部長表彰者 の言葉を3年生全員で唱和しました。今年の誓い がおり、一人ずつ賞状と記念品を受け取りました。 の言葉を最後に記します。誓いの言葉は、学生た ちのありたい姿であり、文字にし、学生一人一人 が読み上げることで、それは単なる言葉の羅列で はなく言霊となるのでしょう。学生たちは、こう ありたいと思う看護専門職者を目指して大きく成 長していくと思います。ホワイトセレモニーを支 えてくださいました全ての方々に感謝申し上げま す。ありがとうございました。今後とも末永く学 生たちの成長を見守って下さいますようお願い申 し上げます。 ─ 19 ─ 同じ志を持つ仲間と共に看護の道に歩んでいきま 誓いの言葉 す。 私たち医学部看護学科14期生は、ここにお集ま 平成25年5月10日 りいただいた皆様の前で誓います。 私たちはどんな困難にも負けず、強い意志を持 ち、尊い命に向き合います。 私たちはここにいる仲間とともに、知識、技術 の習得に励み、自己の課題に真摯に取り組みます。 私たちはチーム医療の一員として、冷静な判断 力と実践力を身に付け、専門職業人としての誇り と使命感を持った看護職者を目指します。 私たちは支えてくださる全ての人々に感謝し、 5月12日開催 市民公開講座 『あなたのハートは大丈夫? ∼心臓発作からあなたと家族を守る∼』 循環器・腎臓内科学 谷 川 高 士 2012年より地域医療再生計画(急性心筋梗塞分 一般市民向けの「心臓マッサージ講習会」にも多 野)における事業の1つとして「三重県CCUネッ 数の参加者があり、プレイベントとして開催した トワーク」の構築を進めています。このネットワー 健康相談、血圧測定会、血管年齢測定会も盛況で クは、CCUを有する専門施設と三重県消防、三 した。 重県医師会ならびに三重県が共同で取り組む事業 講演1では、 「心筋梗塞・狭心症ってどんな病 で、救急隊との協力体制、開業医との連携、そし 気?」というタイトルで、永井病院の星野康三先 て救急輪番病院の受け入れ態勢の充実を図り、発 生に診断・治療に関する内容を解りやすくご講演 症から治療までの時間を短縮させるための地域の いただきました。そして、遠山病院の石倉紀男先 システムづくりです。この事業を推進するため、 生による「ゆび体操」でリフレッシュした後、講 2012年4月に「CCUネットワーク支援センター」 演2においては「胸が痛い、その時どうすればい が三重大学病院内に設置されました。本センター いの?」というタイトルで緊急時の具体的な対応 の業務内容の1つとして患者や一般市民に対する 啓蒙・教育があり、今年度は県内3ヶ所(津、四 日市、伊勢)において市民公開講座の開催を予定 しています。 5月12日(日)三重大学の三翠ホールにおいて 第1回の市民公開講座を開催しました。津市全域 への折り込みチラシの配布と新聞広告の効果もあ り、当初の予想を上回る400名以上の市民に参加 していただきました。朝9時から3回行いました ─ 20 ─ について講演を行いました。プレゼント抽選会を 日(土)伊勢市観光文化会館において第3回を予 含めて約2時間の講演会でしたが、多くの参加者 定しています。動脈硬化の進行を予防し、心筋梗 が最後まで熱心に聴講しており、心疾患に対する 塞による死亡率を低減させるためには、市民に対 市民の関心の高さを実感しました。 する啓蒙や教育活動を継続していくことが重要で 第1回および第2回(四日市 じばさん三重) す。 の市民公開講座は盛会裏に終了し、今後、12月7 生命の駅伝ジョイント市民公開講座 −がんの新しい治療法− がんセンター長 中 瀬 一 則 5月26日(日)がんセンター主催 生命の駅伝 があり、和やかな雰囲気を楽しんでいただけま ジョイント市民公開講座−がんの新しい治療法− した。午後からは、生命の駅伝最終RUNがあり、 を三重大学三翠ホール大ホールで開催しました。 盛会の中に終えることができました。 内容は「がんと放射線治療」放射線腫瘍学講座教 授 野本由人先生、 「身体に優しいがん治療−が ん免疫療法−」がんワクチン/遺伝子・免疫細胞 治療学教授 珠玖洋先生の2講演でした。当日は 朝早くからにも関わらず、約250名の方の参加が あり、とても熱心に聞き入ってみえました。講演 会終了後には、野本先生のギターによるリサイタ ルや学生によるボランティア・部活動のブース等 ─ 21 ─ 「1年生が大学生活を語る会」について 医学部学生委員長 那谷 雅之 6月14∼15日に四日市市少年自然の家において 以下に2日間のスケジュールを挙げておきます。 「1年生が大学生活を語る会」が開催されました。 この会は今年初めて行われるもので、学生が自 1日目 発的に発案、企画したものです。以下に実行委員 13時 14時 大学出発 少年自然の家到着 14時30分∼17時30分 ワールドカフェ 17時30分∼18時30分 夕食 19時∼20時 1年生余興 20時∼ 21時40分 入浴 キャンプファイヤー 肝試し 21時45分 22時 就寝準備 就寝 長の医学科4年河田信彦君が寄稿してくれた文章 を紹介します。 ―――――――――――――――――――――― 今年から始まった『1年生が大学生活を語る会』 (以下「語る会」)の実行委員長を務めさせて頂 いた三重大学医学部医学科4年の河田信彦と申し ます。今回は、 「語る会」を開催する事を承認し て下さって本当にありがとうございます。最初に 今回の「語る会」が開催された背景を、その次に 当日の様子を書いていきます。 2日目 私は、三重大学医学部(特に部活)全体の新歓 6時 7時 9時∼10時45分 11時 12時 の高田新歓も委員長を務めさせて頂きました。高 田新歓では、数年前までは新入生だけで1泊2日 の合宿が開催されていました。しかし、私が入学 した時には既に、合宿はありませんでした。私が 早朝ハイキング 朝食 王様ドッジボール 少年自然の家出発 学校着→解散 1年生の時、他大学では新入生全員で行く合宿が あると聞いて、かなり羨ましく思った事を覚えて 今回の語る会の目的は大きく、①1年生同士、 います。高田新歓についての打ち合わせ時に、今 上級生との交流を生み出す②学生と教員が知り合 年は新入生を1泊2日の合宿に連れて行きたい、 う(特に、担任・副担任制度の見直し)③学習、 学年全員で泊まれる機会を作りたいと当時、学生 生活上の注意など入学の早い時期から高い意識を 委員長をされていた堀教授に相談したところ、予 持たせる、の3つでした。 算を組んで下さり開催する事が出来ました。 結局、4年生9名、3年生5名、1年生12名の ①今回の企画の随所に交流を生み出せるような工 計26名で委員会を結成し、“どのような企画をし 夫を施しました。ワールドカフェのグループ たら交流が生まれるのか”、 “将来の夢を叶えられ ワーク中に友達が出来たり、1年生の余興で同 るような充実した学生生活を送る事が出来るの 級生の違う顔を見たり、キャンプファイヤーや か”を約2ヶ月間に渡り考え、教員、職員の方々 肝試し、ドッジボールでは同級生と共に体を動 から承認を頂いて、実行しました。 かしたり、一緒に驚いたりと講義だけでは中々 利用したのは四日市市少年自然の家という自然 得られない経験をして、友達の仲は深まり、交 に囲まれた施設です。 流も生まれたと思います。 ─ 22 ─ 私自身、入学当初から、教授、教員の方から何 度もグループで学習しなさい、一緒に勉強してく れる友達を作りなさいと言われて来ました。お互 いを教えて助け合う仲間意識を育成し、人間関係 を構築する事は学生生活において、とても重要だ と感じています。入学して2ヶ月半で、1泊2日、 寝食を共にするというのは貴重な経験であり、交 流を生み出し、新入生が少しでも充実した学生生 活を送れる一助になれば、と思っています。 また、初めてという事もあり、何か大きなトラ ②29名もの教員の方が参加して下さり、学生と共 ブルが生じた場合は来年以降、1年生の「語る会」 にワールドカフェに参加して下さったり、積極 自体が無くなってしまいます。その上、この企画 的に新入生の事を知ろうという姿勢のおかげで、 を応援して下さった教員、職員の方々にも多大な 新入生の「大学の教授、教員の方は怖くて接す る迷惑がかかり、三重大学医学部の評価を下げる るのが難しい」というイメージはかなり払拭さ 事に繋がりかねません。 れたと思います。また、今回は担任、副担任の 今回の「語る会」では、施設の方や保護者の方、 方にもご参加して頂きました。本来、三重大学 参加者の方から大きな苦情も聞いておりませんし、 医学部では各学年に担任、副担任が割り振られ 施設の方からは来年もやって下さいと言われまし ているのですが、実際のところ学生は誰が自分 た。1年生の「語る会」自体が来年度以降も行わ の担任なのか知らないのが実情です。学生が自 れ、新入生の充実した大学生活の一助となり、さ 分の学生生活について悩んだり、相談したい時 らに素晴らしい学生が卒業して行く大学になる助 に大部分の生徒は気軽に相談出来る教員の知り けになればと思います。 合いの方はいません。今回の語る会では副担任 今回企画に携わった新入生は、入学当初から、 の方を学生の前で紹介したので、少なくとも学 上級生や年輩の教員の方とミーティングをしたり、 生は自分の担当の先生が誰なのか分かったと思 自分達のやりたい企画について考えたり、上級生 います。これがきっかけとなって、大学生活で は、教授会の承認が必要だったり、予算の事で 困った事を相談出来るようになり充実した大学 あったりと通常の学生生活を送るだけでは考えも 生活を新入生が送ってくれることを願っていま せず、知りもしない事を経験する事が出来たのは す。 とても幸せで、貴重な経験が出来たように思いま す。 ③僕個人の意見としては、模範や倫理観は、医学 部生として有るべき姿という講義という枠組み の中で学ぶものではなく、人の行動や経験、人 からのアドバイス等から学ぶものだと思ってい ます。なので、教授、教員の方との交流の中で、 どのような学生生活を送ると有意義なのか、よ り良い将来を見据える事が出来るのかについて、 新入生が感じて学ぶ事が出来たのではないかと 思います。 ─ 23 ─ 最後となりましたが、今回の『1年生が大学生 「語る会」に出席、宿泊し、若者のエネルギー 活を語る会』にご参加して下さった教員の方、ま に圧倒されながら、大変楽しく過ごすことができ た企画段階から様々なアドバイスを頂いた堀理事、 ました。学生委員長がお詫び係となることもあり 那谷教授、山下先生、太城先生、玉利先生、学務 ませんでした。今回の「語る会」の素晴らしかっ の田中さん、出口さんにはこの場を借りて深く御 た点は、学生が自発的に発案、企画したことです。 礼申し上げます。 学生実行委員の諸君に脱帽するとともに、堀理事、 三重大学医学部医学科4年 河田信彦 医学・看護学教育センターの教員の方々、学務グ ループの方々に感謝する次第です。 ―――――――――――――――――――――― 第11回整形外科痛みを語る会 優秀演題賞を受賞して 脊椎外科・医用工学 榊 原 紀 彦 この度、平成25年7月6日∼7日に福島県郡山 市で開催された、第11回整形外科痛みを語る会に おいて「慢性疼痛保有者の3カ国比較−日本、タ イ、ミャンマー−」という演題を発表し、優秀演 題賞を受賞しましたので、ここに報告させていた だきます。 慢性疼痛に関する研究の多くは欧米での調査に よるものであり、発展途上国を対象とした調査は 多くありません。さらに先進国、発展途上国およ び後発発展途上国における慢性疼痛の実態を比較 した研究は過去にありません。そこで本研究の目 また、慢性疼痛に対する最も頻度の高い対処法(医 的は、日本(先進国)、タイ(発展途上国)、ミャ 療機関受診以外)は各国で異なり、日本は市販薬、 ンマー(後発発展途上国)の看護職員を対象に慢 タイはマッサージ、ミャンマーは瞑想でした。さ 性疼痛に関するアンケート調査を行い、3カ国間 らに、ミャンマーの慢性疼痛保有者で瞑想をして における慢性疼痛の実態を比較検討することです。 いる人の全員が、疼痛は十分にコントロールされ 対象者は、日本は三重大学附属病院および伊勢赤 ていると回答しており、とても興味深い結果でし 十字病院の看護職員、タイはコンケン大学附属病 た。瞑想が慢性疼痛の治療として有効である可能 院の看護職員、ミャンマーはネピドー総合病院の 性が示唆されました。 看護職員です。無記名式アンケート調査で、慢性 最後に、御指導いただいた笠井裕一教授、アン 疼痛に関する同一内容の質問に回答していただ ケート調査に協力していただいた先生方、看護職 き、慢性疼痛保有率などを調査しました。その結 員の皆様、そしてアンケートの集計に協力してい 果、 慢性疼痛保有率は日本17.5%(175人/1,000人)、 ただいた秘書の田中さんに感謝いたします。 タイ19.9%(89人/448人) 、ミャンマー5.9%(24 人/405人)で、ミャンマーの慢性疼痛保有率は 日本、タイと比較し有意に低いという結果でした。 ─ 24 ─ 『第2回三重先端がんフォーラム』を開催して 三重大学医学部附属病院 乳腺センター 小 川 朋 子 平成25年7月19日(土)、 20日(日)に三重大 あり、乳癌に関わりのない人にも興味を持っても 学医学部臨床第2講義室において、第2回三重先 らえるタイムリーな内容でありました。1日目終 端がんフォーラムを開催いたしました。この会は 了後は、参加者と講師の先生との情報交換会を臨 がん研究に関わる最先端の情報提供を基盤とし、 床第1講義室で行い、和気あいあいとした中で自 三重地区のがん研究の活性化・推進に貢献するこ 由な討論のできる場が持てました。 とを目的としており、昨年より三重大学医学部と 20日は、東北大学の笹野公伸先生に『乳腺脂肪 鈴鹿医療科学大学薬学部が共同で主催しておりま 細胞と乳癌』、近畿大学の工藤正俊先生に『肝発 す。今年は『固形がんの基礎と臨床 −インフォ 癌の予測と分子標的治療』、慶応大学の佐谷秀行 メーションからコミュニケーションへ−』をテー 先生に『がん幹細胞の性状解析に基づく治療戦略 マに国際的にも著名な5人の先生を演者にお迎え の考案』についてお話いただき、鈴鹿医療科学大 し、講演していただきました。 学薬学部長の川西先生に閉会の挨拶をいただきま 19日は、三重大学医学部の緒方研究科長のご挨 した。三重大、鈴鹿医療大以外からの参加もあり、 拶から始まり、昭和薬科大学の山本美智子先生に 参加者は両日で約150名となりました。素晴らし 『医薬品情報基盤の構築』、聖マリアンナ医科大 い講演に加え、会場から時間を超過するほどの活 学の太田智彦先生に『BRCA 1によるDNA修復 発な質問もあり、盛会のうちに終了することがで 機構と化学療法感受性』についてお話いただきま きました。 した。特にBRCA 1遺伝子変位による乳癌は女優 最後になりましたが、このフォーラムの開催に のアンジェリーナ・ジョリーが今年5月に乳癌予 あたり準備から当日までご尽力いただいた関係各 防のために乳房切除を受けたと公表したところで 位の先生方に心から御礼申し上げます。 第79回大腸癌研究会優秀発表賞を受賞して 三重大学大学院病態修復医学講座 消化管・小児外科 学内講師 問 山 裕 二 大腸癌研究会は「大腸癌に関する研究を行い、 など、標準治療や治療方針の普及に寄与してきて その診断ならびに治療の進歩を測ることを目的」 おり、当科もこの作成に関わってきております。 として、1973年に設立されました。その後、大腸 また三重県における大腸癌研究会の参加施設であ 癌取扱い規約が作成され、共通の診断基準で手術 る当科は、複数の大腸癌に関わる全国規模のプロ や病理所見を記載することにより大腸癌の病態が ジェクト研究に参加しており、さらに年に2回の 明らかにされ、治療法の改善と成績の向上に寄与 大腸癌研究会には、その都度与えられた解決すべ してきています。また日本の大腸癌の治療均てん きテーマ(主題)に対して、当科の実績を発表し 化のため、2005年から大腸癌治療ガイドライン医 てきました。 師版、また大腸癌治療ガイドラインの解説の作成 この度、2013年7月5日に大阪で開かれた第79 ─ 25 ─ 回大腸癌研究会の主題は「大腸癌のバイオマー この分泌型miRNAの特徴は、血液中では周囲に カー」であり、当科を代表して「血清microRNA エキソソームという脂肪が覆っているために、容 を用いた大腸癌のバイオマーカー」というタイト 易に分解されることがなく、極めて安定した状態 ルで発表をいたしました。この研究は、私が2011 にあることもわかってきており、この性質を用い 年4月よりアメリカのテキサス州にあるベーラー たバイオマーカーとして活用が期待されてきてい メディカルセンターでPost-doctoral fellowとして ます。 主に消化器癌におけるmicroRNAの発現とそのエ そこで本研究の目的は、大腸癌組織かつ大腸 ピジェニック制御に関するプロジェクトで研究を 腺腫で正常大腸粘膜に比べ極めて発現が高い してきたものの一つです。それに関する発表に対 miRNAsを検索し、miR-21、-31を候補遺伝子と して、大腸癌研究会の優秀発表賞という名誉ある して同定後、血清を用いて定量することで、大 賞を受賞することができましたので、発表の内容 腸癌ならびに前癌病変である大腸腺腫の診断 を含めご報告いたします。 マーカー、予後マーカーとしての意義を検証す 罹患患者の増加と死亡者数が極めて高い癌種の ることでした。In Vitroでの解析でmiR-21は分 一つである大腸癌において、早期診断は極めて重 泌型miRNAであることが示され、健常の方、大 要な課題であると考えられております。大腸癌検 腸 腺 腫 患 者 様、 大 腸 癌 患 者 様 の 血 清 を 用 い た 診事業においては、便潜血検査が全世界的に推奨 Validation解析では、大腸癌患者は92%の正診率、 された方法であり、実際に大規模試験ではこの検 大腸腺腫患者は82%の正診率で患者を判別できる 診により大腸癌死亡数の減少も確認されています。 ことが分かり、極めて有用な診断的マーカーであ しかしながら、偽陽性率がきわめて高く、実際の ることが示されました。さらに大腸癌患者の血清 ところ不必要な患者様にも医療費の高い注腸、大 と組織のmiR-21量は正の相関を示し、腫瘍を切 腸内視鏡検査が施行されており、診断的マーカー 除した後は血液中のmiR-21も減少することが確 の開発が急務となっています。 認され、腫瘍が分泌する物質と定義される腫瘍 これまでのRNA研究の中で、約22前後の塩基 マーカーの範疇にmiR-21は入ることが示されま 配列を持つsmall RNAでタンパク質に翻訳されな した。また、血清miR-21は大腸癌、大腸腺腫患 いnon-coding RNA(ncRNA)が数多く存在する 者を判別するだけではなく、手術を受けた患者で ことがわかってきていましたが、機能的な意義は 術後早期に再発し、余病期間の短い患者の判別に 無視されていました。しかし最近このncRNAが も有用であることも示され、この血清miR-21を 生理的環境の中で発現し、RNA干渉のメカニズ 用いることで、手術後に治療効果の高い抗癌剤治 ムで生理的に転写後の制御を関わっていることが 療への導入が必要な患者の選別マーカーにもなり わかりmicroRNA(miRNA)として注目されて うる可能性も示されました。今後、血清miRNAs きています。さらにこのmiRNAは小胞内miRNA を用いた大腸癌早期診断マーカー、予後マーカー と分泌型miRNAに分類され、小胞内miRNAには の実用化にはいくつか乗り越えなければいけない 細胞内の遺伝子発現を制御する働きがあり、癌遺 壁がありますが、我々の研究が多くの大腸癌患者 伝子、癌抑制遺伝子の両面に作用することで、癌 のためになるのであれば、医者、研究者冥利に尽 細胞自身の進展、増悪、更には制御に関わってい き、大変うれしく思います。 ることが証明されてきております。他方、分泌型 時が経つのは早いもので、アメリカの地での研 miRNAは細胞から分泌されることにより周囲細 究留学を終え、三重大学で働き始めて半年がたち 胞や、血流を移動することでサイトカインのよう ましたが、患者様に目を向けた最先端の外科治療 な遠隔組織への関与が推測はされているのですが、 の導入、トランスレーショナルリサーチ、大学職 その意義は現在も不明な状況であります。さらに、 員としての医学生に対する教育など、我々消化 ─ 26 ─ 管小児外科スタッフのコンセプトは一貫してお 謝しております。またアメリカ留学を許可して ります。この賞を励みに、外科医らしい臨床に いただいた三重大学殿、研究の機会を与え、指 feedbackできるようなさらに質の高い研究を遂 導していただいたベーラーメディカルセンター 行するために、今後もますます精進していきたい のProfessor Richard Clement Bolandそ し てDr. と考えております。 Ajay Goelにこの場をお借りし、深謝いたします。 最後に、このような栄誉ある賞をいただけたの 今後も三重大学消化管小児外科、そして三重大学 は、ひとえに三重大学消化管小児外科、楠 正人 病院の発展に少しでも貢献できるよう頑張ってい 教授、毛利靖彦准教授、内田恵一准教授をはじめ く所存ですのでご指導、ご鞭撻のほど何卒よろし 教室員皆様のお力添えがあってこそだと深く感 くお願い申し上げます。 研究室研修・プログレス発表会 研究室研修専門委員長 島 岡 要 三重大学医学部の第3学年10月から第4学年9 学生による運営 月まで1年間にわたり行われる研究室研修は量・ 研究者に必要な資質の一つが「リーダーシップ 質ともに国内でもトップクラスの医学部・学部生 と自主性」です。研究者は与えられたルーティン を対象にしたリサーチ・インターンシップです。 ワークを受動的にこなすのではなく、プロジェク 今回よりこの伝統あるプログラムの責任者に任命 トをリーダーシップと自主性をもって積極的に推 されましたことを大変誇りに感じ、さらなる内容 し進めていくことが要求されます。 「リーダーシッ の充実に向けまして各研究室の指導教官の先生と プと自主性」は自然に発現するものではなく、適 ともに努力を重ねてきました。各研究室で指導教 切なトレーニングにより学ぶことができるスキル 官のもと個々のプロジェクトに取り組むリサー であるという考え方のもとに、プログレス発表会 チ・インターンシップで平行して行われる(1) の学生よる運営を、「リーダーシップと自主性」 リサーチプロポーサル作成(2)プログレス発表 を育むトレーニングの場としてとらえました。研 会での発表(3)プログレスレポート提出(4) 究室研修の配属先マッチングは歴史的に学生委員 研究に必要な英語力向上のための全体授業出席 主導で、自主性の上に行われてきた経緯がありま (5)各研究室での指導教官の評価、という5つ す。今回は3人の研究室研修学生委員を中心に、 の主要な教育ユニットにより、学生を客観的に評 合計12人の学生ボランティアからなるプログレス 価します。また、個々のプロジェクト〔各論〕を 発表会学生委員を組織し、教官が一部手助けしな より深くまた俯瞰する視点を持つための“総論” がら、発表順の調整とプログラムの作成、当日の である「研究者としての基本的な考え方を育む」 運営と座長役とタイムキーパー役の遂行、学生の ことを目的としています。 投票による優秀プレゼンテーション(Amazing Awards:後述)の企画・運営を行いました。 本稿では2013年7月8日9日の両日に行いまし た研究室研修プログレス発表会についてご報告さ 形式発表:ショート・プレゼンテーション せていただきます。 3つの臨床講義室を2日間にわたり会場として 使用し、学生全員が口頭で発表を行いました。パ ワーポイントを用いた発表は、スライド7枚で発 ─ 27 ─ 表時間5分以内という制限を設けたショート・プ 後者が主たる目的です。なぜなら、日本語は主語 レゼンテーションを義務づけました。ショート・ や時制を曖昧にできるという文法上の特性があり、 プレゼンテーションを採用した理由は、研究成果 また母国語であるが故に細かな差違に必ずしもこ を短くまとめ、わかりやすく伝える技術をトレー だわらずに使うことができるので、文章の論理的 ニングするためだけでなく、学生が、自分が直接 な整合性がおざなりになりがちです。それに比べ 関係した仕事だけを発表すればよい環境を作るこ て、英語は構造上、科学的・論理的な文章を書く とにあります。研究者が常に意識しなければなら にはより適していると考えられ、また母国語でな ないことのひとつにデータのオーナーシップ(ク いがゆえの稚拙な表現をカバーするには、少なく レジット)があります。学生といえども他人のデー とも論理的な整合性を強く意識せざるをえません。 タを借りてきて、適切なクレジットを示すことな したがって英語で科学を論じることは、論理的思 く発表することは許されません。発表時間が長く 考法を鍛える非常に有効なトレーニングとしても なれば“間をもたせる”ために、他人のデータを 機能するのです。 拝借しなければならないという暗黙の圧力を学生 は感じるかもしれません。そのような事態を避け 発表本番では学生間の英語力のばらつきも考 る目的で、7枚のスライドの内でデータを示すス 慮し、まず最初の30秒間でサマリーを日本語で ライドは2枚だけと制限をつけました(参考まで 説明し、その後4分30秒間で英語または日本語 に7枚のスライドの内訳はスライド1:タイトル、 で本編を発表するという形式をとりました。実 スライド2:背景、スライド3:方法、スライド 際には全体の約30%にあたる34人の学生が教官 4:結果1、スライド5:結果2、スライド6: の指導のもと、自主的に英語で発表を行いまし まとめ、スライド7:謝辞、です)。 た。Outstanding Awards(後述)の審査員とし て参加いただいた先生からも日本語での発表のみ 発表時間の短縮化は、私の知る限りでは北米の ならず、英語での発表についても全体的に非常に 最近のトレンドです。学生だけでなく若いPIは 良かったというご評価をいただきました。 “エレベーターピッチ”のように数分で自分の仕 事の肝を売り込むことを要求され、それができる 学生ディスカッションリーダーによる質疑応答 ように日々練習を重ねています。よく練習すれば 授業中も挙手をして発言する学生が少ない現状 10年間の研究成果の肝を3分で話すことも可能で では、発表会会場で自発的に学生が質問をするこ す。今回の発表でも多くの学生が5分で上手く要 とを期待するのは現実的ではありません。そこで、 点を伝えていました。聴衆のほうも精神的負荷が 会場から質問するという“研究者に不可欠なスキ 少なく、退屈することなくすべての発表を聞くこ ル”を学生全員が磨けるように、質問しなければ とができたという声もありました。 ならない学生(ディスカッション・リーダー:発 表毎に2人)をあらかじめ決めておき、タイトル 英語による論理的思考法のトレーニング やアブストラクトの事前情報をもとに数日間質問 研究室研修の全体講義では英語によるプロポー を前もって準備する時間と義務を与えました。質 サルの作成と、英語による発表を教育してきまし 疑応答に際して、学生座長はまず学生ディスカッ た(発表の言語は選択制)。グローバルなコンテ ション・リーダーを指名し、時間があれば会場の キストでの発信と情報収集に英語が不可欠である 教官を指名するようにしました。やや予定調和的 という理由だけでなく、研究者に必要な論理的思 な部分もありましたが、会場から質問し、発表者 考法のトレーニングに英語でのコミュニケーショ が答えるという“作法”を少なくとも経験するこ ンがこの上なく役立つと考えるからです。むしろ とはできたと思われます。すぐれた質問も多くあ ─ 28 ─ り、Outstanding Awardsグッド質問賞が学生数 ン・リーダーとの質疑応答は、大きく破綻するこ 人に与えられました。 となく遂行することができました。ほとんどの学 生にとって今回が、人生初めての学会形式での発 Outstanding & Amazing Awards 表であったことを考えれば、とても優秀な出来で 成田先生のご発案で、学生のモチベーションを あったと思います。しかしプロフェッショナル 高め、健康な競争を促すために教官審査員が選 研究者である教官の方々からみれば、“おままご ぶ優秀プレゼンテーション賞であるOutstanding と”と見えた場面もあったかもしれません。ただ Awardsを行いました。ボランティアとしてご参 私が強調したいのは、今は学会会場で堂々と発表 加いただいた審査員役の教官(各会場2名)のバ し、座長も務めているプロフェッショナル研究者 イアスを排した投票により、1会場あたり5名(う の方々も、人生初めての学会発表はそれほどたい ち2名を英語優先)の優れた発表をノミネートし、 した出来ではなかったのではないでしょうか。プ 最終的に25名のエクセレント・プレゼンテーショ ロフェッショナルといえども経験と場数を踏むこ ン受賞者を決定しました。また1会場あたり2名 とによってスキルを磨いてこられたはずです。 “何 の優れた質問をした学生ディスカッション・リー 事も経験・場数が大切ならば、一回目の経験は早 ダーをノミネートし、11名のグッド質問賞を決定 いにこしたことはない”これが研究室研修プログ しました。受賞者には教務委員長経費で購入した レス発表会の隠れたモットーです。 賞品が贈られました。 最後にご協力・ご尽力いただきました研究室研 また、Outstanding Awardsでの教官の評価軸 修専門員会の成田先生、太城先生、池村先生、栗 とは違った尺度での評価を取り入れ、かつ学生が 山先生;Outstanding Awards審査員を務めてい ピア評価の経験を積むという目的で、池村先生が ただいた村田先生、野坂先生、岡本先生、西村先 学生とともに企画・運営をしていただいたのが 生、玉利先生、山根先生、大隈先生、島田先生、 Amazing Awardsです。Amazing Awardsでは学 王先生、川本先生;企画・運営にサポートいただ 生による投票で優秀プレゼンテーションを競い合 いた教務委員長の竹村先生、英語教育をともにし いました。得票数のトップ3には教務委員長経費 ていただいたドライジャ先生、アルベルト先生、 で購入した別の賞品が贈られました。 堀先生、アドミニストレーションのサポートをし ていただいた事務の出口さん、また研究室研修で 学生委員は真摯に企画・運営を行い、学生座長 学生を親身に指導していただいた指導教官の先生 による進行、学生による発表、学生ディスカッショ 方にみなさまに感謝いたします。 平成25年度の高大連携事業の概要について 高大連携推進専門委員会 医学部委員 太 城 康 良 医学・看護学教育センター 高大連携担当 玉 利 健 悟 高校生に本学医学部への理解を深めてもらい、 平成19年度に三重大学と三重県教育委員会との 優秀な生徒が本学進学へ学習の励みとなることを 間で締結された協定では、「高校生が大学におけ 期待して実施される高大連携事業について概要を る高度な教育・研究に触れる機会の充実に関する 報告いたします。 こと」や「大学が求める学生像や大学の教育内容 ─ 29 ─ 等の情報提供に関すること」などについて連携協 きた。」「大学の先生や医学部生を身近に感じるこ 力を進めることを掲げています。こうした観点か とが出来た。」「医療に関して今まで以上に興味を ら、三重大学では、学習意欲あふれる高校生が自 持ち、医学部を志望したいと思った。」「患者さん 発的に大学で勉強できる機会を積極的に提供する とのコミュニケーションや思いやりの大切さがわ ことを目的として、サマーセミナー、東紀州講座、 かった。」など、実際の技術習得のみならず、進学 高校生向け公開授業などを開設しています。また、 志望の増進や、医療人としての考え方を得られる 三重県内の高校が実施しているスーパーサイエン 機会になっていると思われます。また、大学側と ス ・ ハイスクール(SSH)やサイエンス ・ パー 意見交換することで、高校の学習・進路指導の充 トナーシップ・プログラム(SPP)にも積極的 実を図ることも可能です。さらに、大学も、高校 に協力しています。これらの全学的な取組は各学 の現状を理解し教育カリキュラムの充実を再考す 部から選出された委員からなる高大連携推進専門 る契機、市民向けに研究成果を紹介発表の場、医 委員会によって運営されています。 療以外に方法で地域社会に貢献すること、大学院 医学部における高大連携の事業は、上記の全学 生や学生アシスタントの協力による運営で彼らの 的な協定にもとづく取組以外に、医学部と三重県 指導能力の増補や意識向上など、貴重な機会を得 教育委員会との間で行われる医学部進学セミナー、 ていることになります。 本学の入試広報課が主催するオープンキャンパス このように、高校と大学の双方に良い影響があ や出前講義、説明会、医学科教務委員会が主催す る高大連携事業ですが、課題もあります。近年の少 る一日体験入学など、様々な高校生を対象とする 子化や不況を反映して、医学部への進学希望者の 事業が展開されています。 増加を反映して、高校から大学、学部に寄せられ 高大連携事業の主催や運営母体は一見複雑です る要望件数は増加しています。各種のアンケート が、実施形式としては高校生対象に学内または学 でみる限り、高校生のモチベーションの向上に影 外で講義を行うものと学内で体験実習を行うもの 響した様子が伺えますが、実際に三重大学医学部 の2つに大別されます。平成25年度の事業計画で への進学実績に繋がったことを適切に評価する追 は、少なくとも15校、のべ960名の高校生を対象 跡調査は十分なされておりません。また、多忙な に、26の講義と14の体験実習が実施されています。 日常の職務の中、本学の学生のみならず、高校生 講義では、津高校、伊勢高校、高田高校、鈴鹿中 にまで熱意をもって講義、実習を行うのは大変な 学・高校、尾鷲高校を対象に、大学で行われてい ことです。25年度は、22の部局や講座から33名の る先端医学研究、臨床医学、基礎医学、地域医療、 先生方に担当して頂いておりますが、これは医学 医療現場の現状、学習方法論などをテーマとして 部医学科の教員の数%にすぎません。母校や教員 扱っております。実習では、津高校、伊勢高校、高 個人間のつながり、教員のボランティア精神だけ 田高校、鈴鹿中学・高校、松阪高校対象に、PCR で事業を展開するには限界があります。組織・機 法やフローサイトメトリー、医療現場の一部の紹 関間の協定として継続するために、数年前より機 介や、医療面接体験、BLS、縫合、エコー、血圧 会均等、負荷分散を図り、学部内で担当者を公募 計測、筋電図、模型を用いた骨学実習体験などを する形式に致しました。高大連携推進専門委員会 実施しています。 や医学・看護学教育センターは事業の整理や統合、 講義、実習のいずれの形式でも、高校生が直接、 経費の確保などにも力を注いでおりますが、学部 大学教員から指導を受けることで、学習姿勢の改 内の皆様のなお一層のご理解、ご協力が不可欠で 善や進路に対するモチベーションを高める効果が す。 あります。実際のアンケートの一部を紹介します 今後も高大連携事業の存在や意義の周知に努め、 と「心臓マッサージ、AEDの使い方を再認識で 運営・実施の体制を改善していきたいと思ってお ─ 30 ─ りますので、今後共、皆様のご支援、ご協力をよ さる職員の方々に、この場を借りて厚く御礼申し ろしくお願い致します。最後に、大変お忙しい中、 上げます。 本事業にご参加下さった教員、運営に協力して下 看護学科オープンキャンパス開催によせて 看護学科広報副委員長 福 録 恵 子 試説明と続き、最後は共通教育科目「広報実践」 を履修した学生達による大学生活紹介が行われま した。大学内の施設説明がスライドによるクイズ 形式で楽しく進められ、大学生が肌で感じる大学 生活の紹介が新鮮だったようで、多くの高校生が 熱心に耳を傾けていました。 学科紹介終了後、参加者に各看護学領域の実習 室を自由に行き来していただきました。人間のか らだについて、「見る」「ふれる」「感じる」「体験 する」ことで看護の世界を垣間見る体験学習を行 い、 “なんでも相談コーナー”ではカリキュラムや 入試に関する個別相談に応じました。午後からは、 毎年好評を博している学生企画“看護学生と話し てみよう”で、参加した高校生が学生生活や入試 今年も看護学科オープンキャンパスの季節を迎 の勉強など様々な内容について、気軽に在学生に え、開催日の8月8日には、遠方からも参加者が 質問できる双方向のグループ座談会を行いました。 お越しになり、高校生392名と保護者の方々も含め ここでは4年生が中心となり、看護学科ならでは 432名と多数の方々の参加となりました。今年は、 の臨地実習での経験やエピソードが語られ、1時 7月にはいり千年に一度といわれる記録的な猛暑 間半があっという間に過ぎ去り、どのグループも となり、開催当日も各地で熱中症への警戒が呼び 盛り上がりがみられました。高校生と在学生との かけられ大変気がかりでしたが、無事終了するこ 交流を意識した企画に、1年生から4年生まで30 とができました。 看護学科紹介において、まず緒方研究科長、辻 川看護学科長のご挨拶では、医学部内で医学科と 看護学科が共に学ぶ講義や実習を通して仲間意識 が育まれ、将来、チーム医療の効果的な連携につな がっていくこと、また看護学科は三重県内におい て歴史があり、サークル活動等を通して、他学部 との交流がさかんであること等、充実した学生生 活を送るための設備、環境が整っていることが紹 介されました。その後、カリキュラムの説明、入 ─ 31 ─ 名あまりの在学生達が参加し、すがすがしいユニ フォーム姿に身を包み、高校生との楽しいひとと きを過ごすことができました。 最後に、今回のオープンキャンパスに参加され た方々が、三重大学医学部看護学科に興味を持ち、 志望され、本学で充実した大学生活を送られるこ と、また卒業後は優れた看護職者としてご活躍さ れることを期待します。 日本看護研究学会 学会賞を受賞して 看護学科 基礎看護学講座 林 智 子 2013年8月22日∼23日に秋田県民会館で開催さ していましたが、自分はつくらなくてもすむと思 れました日本看護研究学会第39回学術集会におい います」という患者の発言は、看護師に「患者は て、平成24年度学会賞を授与されました。 病状を軽く考えている」と楽観的な誤った患者心 理推測を導く傾向があることを示しました。さら に、その推測は衝撃を受けて防御的退行をしてい る患者を執拗に追いこむような看護師の対応にな る危険性が示唆されました。一方、患者の発言だ けでなく、事例のなかで示した複数の情報を統合 し、それを心理推測の根拠として使用する場合は、 妥当性の高い心理を推測できることが示されまし た。 看護では患者の立場に立って考えることが重要 であるといわれていますが、どのように考えるこ 今回の受賞論文は、「 “否認”という無意識の患 とで真に患者の立場に立てるのかは未だ明らかに 者心理理解における看護師の思考過程の分析−患 されていません。今回の研究成果は、 「患者の立場 者心理推測から看護援助へ−」です。これは、認 に立つこと」を看護師の専門的な思考方法として 知的共感の一つである視点取得(相手の立場に立 つこと)に焦点を当て、看護師の患者心理推測方 法の特徴を明らかにしたものです。 研究に際しては、発達心理学領域の「子どもの 気持ち理解過程」研究や「こころの理論」研究を 参考に研究方法を構築しました。特に課題事例の 作成が重要だと考え、危機モデルの防御的退行の 段階をヒントにコミュニケーションの授業などで 使用していた人工肛門の事例を研究用に改編して 使用しました。その結果、 「先生は人工肛門の話を ─ 32 ─ 確立させていく第一歩になると考えています。 もご協力をお願いし、引き続き研究を進めていき 本論文は博士論文の一部をまとめたもので、前 たいと考えています。さらには、それらの成果を の職場である群馬大学医学部保健学科在職中に 看護継続教育に活用できる内容に精錬し、地域の 行った研究です。そのため、群馬県内の複数の病 看護師教育にも貢献できるように努力する所存で 院に勤務する看護師のみなさまにご協力をいただ す。三重大学医学部のみなさまには、ご指導を賜 きました。今後は三重県内の看護師のみなさまに りたくよろしくお願い申し上げます。 タイ・タマサート大学への早期海外体験実習 −医学部看護学科の学生たちとともに− 医学・看護学教育センター 出 原 弥 和 タマサート大学と三重大学とは、昨年6月に医 2.タイの医療制度について 学部間での学部間協定が、また今年9月には看護 タイの医療制度は、東南アジアの中では高水準 学部と看護学科間での協定が締結され、交流を深 にあります。ただ、受けられる医療は個人の経済状 めています。そして、昨年から医学部看護学科の 況により大きな格差が見られます。公務員や企業 学生たちが、夏休みの期間を利用し、早期海外体 に勤めているものには医療保険制度が充実してい 験実習に参加しています。そこで学生とともに体 ますが、農民や日雇い労働者、自営業者など、タイ 験することについて紹介をさせていただきます。 の一般的な国民はそれには加入ができません。政 府はその国民を対象に30バーツ制度を策定し、最 1.タマサート大学について 低限度の医療保証をしています。この制度は、1 バンコクにある本校をはじめ、4つのキャンパ 日当たり30バーツ(約100円)を支払うことで、医 スがあり、タイでは2番目に歴史のある大学です。 療機関の選択や治療内容に制限はあるものの、診 14学部と大学院、研究所を持ち、卒業生には政財 察や治療を受けることができ、事実上の無保険者 界の著名人が多くいます。日本の多くの大学とも はいなくなりました。 協定を結んでいる大学です。 医療施設は、公的病院の大学病院、県立病院、群 立病院や民間病院があり、地域にはプライマリー ケアセンター(PCU)があります。このPCUは、日 本でいう小学校区に1つの割合で設置されていま す。PCUでは、村の人々の初期治療や病院への紹 介はもちろん、看護師や公衆衛生師が常駐し、病 気の予防活動や家庭訪問を積極的に行っています。 3.実習での訪問施設 1)福祉施設 〈幼稚園〉 大学の敷地内にあるこの幼稚園は看護学部の附 属施設で、主に大学教職員が利用しています。幼稚 写真1.タマサート大学敷地内(後ろの三角屋根は大学 のシンボルの時計台) 園内の設備は、日本と変わらずとても充実し、看 ─ 33 ─ 護師も1名常駐しています。園内の保健室で取り する部屋が異なります。集合居室は20ほどのベッ 扱った事例はすべて看護学部長へ報告の義務があ ドが整列して配置され、個人のスペースはベッド るということでした。 周りに限られます。入居者は日中、手芸や空き缶 細工などの作業をしたり、タイの伝統楽器の演奏 をしたりし過ごされていました。 〈エイズ患者収容施設〉 バンコクから北に位置するロッブリー県にある 寺院で終末期のエイズ患者を収容している施設で す。寺の敷地を囲うように個別の小さな住居と集 合部屋がたてられています。その中央には火葬場、 遺骨の安置場、ミイラ博物館があります。エイズ で亡くなられた方を博物館で展示することは、た 写真2.園のプレールームで園児たちと一緒に とえエイズにかかっても最後まで手厚くケアされ るという命の尊さと、エイズの怖さの啓蒙的な意 〈老人ホーム〉 味があるそうです。 敷地内に集合部屋と個別のマンションタイプ、 一戸建ての3タイプがあり、経済状況により利用 写真5.エイズ患者収容施設(右上が個別住居) 2)医療施設 写真3.老人ホームの集合部屋 〈精神病院〉 バンコク市内にあるこの病院は、ベッド数1,400 床ととても規模が大きい。敷地内に外来棟、男性棟 と女性棟があり、男女分かれて入院生活を送られ ていました。また敷地内に水を浄化しペットボト ル飲料水へ加工する施設があり、患者は自立する ための作業療法として退院後通院してきます。身 体拘束や電撃療法が日常的なケアや治療として行 われていることに驚きました。 写真4.午後のひととき ─ 34 ─ 写真7.家庭訪問での新生児健康診査 写真6.スリタヤ病院(精神専門病院)外来棟の前で 〈PCU〉 アユタヤに生活する1家族を看護訪問しました。 1週間前に退院した褥婦と新生児のケアを中心に、 家族構成員の全員の健康診査を実施しました。こ れは、看護学部4年生5人グループの実習に同行 させていただきました。タイの看護学生は2人ペ アになり、母子の審査を行い、同行した他の看護 学生は家族のケアをしていました。教員も同行し ていましたが、助言することはほとんどなく、学 写真8.家族の健康診査 生たちが主体的に実習している様子が印象的でし た。 観の発見や視野の広がりへとつながります。学生 さんは、将来の中で数少ない海外実習のチャンス 早期海外体験実習では、いろいろな施設の見学 を大いに活かして頂きたいものです。また、両大 実習はもとより、異国の文化の中に身を置き、現 学の教員にとっても有意義な交流が続けられるこ 地の人々と交流することにより新たな自分の価値 とを祈願しています。 医 学 部 長 表 彰 を 受 賞 し て 6年 髙 藤 雅 史 私は、昨年8月に行われました第64回西日本医 スですが、部員は70人近くいて、試合前だと一台に 科学生総合体育大会(西医体)において卓球部門 8人ほど入って練習することもあります。卓球部 シングルスで優勝したことを受け、医学部長表彰 の部員のほとんどが大学からの初心者で、規定練 をいただきました。 習外で、自主的に練習して、メキメキと実力をつ 私たち医学部卓球部は、OB、OG様方の御支援、 けている人もいます。部員数は西日本医学部で最 御指導の下、第二体育館二階で活動しています。卓 も多く、他大学の選手に比べ、台に入っている時 球場は卓球台がなんとか6台置けるほどのスペー 間は決して長くはありませんが、そのわずかな練 ─ 35 ─ 習時間を集中して練習しています。練習環境とし んですが、精神面での強さを身につけることがで てはあまりいい環境とはいえませんでしたが、た きたように思います。 くさんの人と、わいわい卓球するのは僕の大学生 今回、光栄にも医学部長賞を賜り、日々の練習の 活でとても貴重な時間だったと思います。 成果が報われたことを本当に嬉しく思います。ま 私は小学校から卓球を始め、中学、高校と卓球 た顧問の田畑先生、OB、OGをはじめとする先生、 を続けてきました。卓球はマイナースポーツ、軽 先輩方、友人達、後輩の皆さん、多くの方々に支 スポーツのイメージがありますが、日本の卓球人 えられ、このような賞を得ることができたことを、 口はなんと1,000万人、競技人口でも25万人と言わ 心から感謝いたします。これからは、卓球で鍛え れているスポーツです。卓球は、誰でも楽しめる られた粘り強さを活かして、勉学に励み、少しで ところが特徴です。医療機関では認知症や脳血管 も医療に貢献できたらと思います。本当にありが 障害の患者のリハビリに用いられ効果を上げるな とうございました。 ど、健康スポーツとしても注目を集めています。 私が小学校から、ずっと卓球を続けて来られた のは、卓球というスポーツの奥深さからでした。 卓球はスポーツの中でもプレイ領域は狭いですが、 相手との距離がとても近く、緻密なボールコント ロールが求められる競技です。そのため、体力、 技術はもちろんのこと、メンタル面、戦術面の強 さがより大事になってきます。私は卓球を通して、 心技体の技術、体力を鍛錬してきたことはもちろ 学会だより 第135回 日本神経学会東海北陸地方会の開催から 附属病院神経内科 成 田 有 吾 (看護学科 基礎看護学講座) 平成25年3月16日(土曜日)、名古屋国際会議 岡)・北陸(福井、石川、富山)7県から寄せられ 場2号館にて、第135回日本神経学会東海北陸地 た。参加者は283名+スタッフ12名で、遠方から 方会の開催を担当した。年度末ながら、多数(合 の日帰り参加者が多く、また、会場の時間設定か 計73)の演題が、東海(三重、岐阜、愛知、静 ら非常にタイトなスケジュールとなった。しかし、 ─ 36 ─ 学医学研究科高次脳機能総合研究センターと名称 が変更後、同センター助教授を経て、 2008年4月 生理学第二講座より名称変更となった札幌医科大 学医学部神経科学講座の教授に着任された。ALS (筋萎縮性側索硬化症)のコミュニケーション支 援を念頭に臨床神経生理学の視点から「非侵襲的 脳機能検査法」の現状と将来展望を伝えていただ いた。 当日は、08:00過ぎに、同会議場玄関に集合、写 各セッションに経験豊かな座長をお願いしたこと 真撮影のあと、2号館2階ホールに移動し、セント により、活発な議論と貴重なコメントが引き出さ ラルコンベンションサービスの担当者から説明を れつつ、2会場ともほぼ時間通りに進行した。 受け、08:35より準備を進めた。09:00頃には要 12:00∼12:50には、大塚製薬の協賛により、ラ 員配置が整い、予定通り09:40に開会した。会場 ンチョンセミナー「非侵襲的脳機能検査法」を開 は2会場で、A会場;224会議室、B会場;222・ 催した。講師は、札幌医科大学 神経科学講座 教 223会議室、このほかにスタッフ控え室;3F、231 授 長峯 隆(ながみねたかし)先生(日本臨床神経 会議室の南半分、ランチョンセミナー控え室;同 生理学会の理事、広報委員長)にお願いした。長 3F、231会議室の北半分をあてた。13:00からの 峯先生は、1982年、京都大学のご出身で、京都大 地方会幹事会は2号館221室で行われた。議題が 学大学院医学研究科内科系神経内科学(木村淳教 多く、重要な内容(COI関連)もあり、幹事会閉 授)時代に、三重県厚生連松阪中央総合病院神経 会は13:30を過ぎたが、午後のセッションも無事 内科での非常勤医師を1988年から数年間勤められ に進行し、撤収後、16:55頃に、現地にて解散し ている。その後、京都大学大学院脳病態生理学講 た。 座(柴崎浩教授)設立に伴い、同講座助手、NIH 医局関連各位の多大なご協力に深甚の謝意を表 およびヘルシンキ工科大学留学、2000年に京都大 します。 第84回日本脳神経外科学会中部支部学術集会開催について 三重大学脳神経外科 毛 利 元 信 ・ 鈴 木 秀 謙 平成25年年4月20日にホテルグリンパーク津に て第84回日本脳神経外科学会中部支部学術集会を 開催させていただきました。この学術集会は、中 部地区12大学が持ち回りで毎年春と秋の2回行っ ておりますが、今回7年ぶりに三重大学の主催と なり津で開催しました。171名もの先生方に参加 していただき、演題数も45演題と多数応募してい ただきました。脳血管障害、脳腫瘍、脊椎・脊髄、 外傷、感染性疾患や炎症性疾患など多岐にわたり、 活発な意見交換がなされました。 ─ 37 ─ 午前中は脳血管障害が中心に発表されましたが、 おりましたが、初めて聞かせていただく内容もあ 開頭手術や血管内手術で治療を行ったもの、治療 り、取り組み方や考え方など非常に勉強になりま に難渋する疾患に対して工夫を施した症例などが した。 発表されました。午後は脳腫瘍から始まり、脊椎・ 開催期間は1日でしたが、明日から試してみた 脊髄疾患、外傷・機能などの疾患に対して内視鏡 いと思われるものや啓発的な発表もあり、また再 を用いたり、手術手技に工夫を凝らしたり、ある 認識されることも多く非常に勉強になり、あっと いは非常に稀な疾患・病態解明、画像診断の最先 いう間に一日が過ぎました。学会に参加すると新 端などが報告され、どれも非常にレベルの高い演 鮮な気持ちになり、日々精進しなければと思いま 題発表ばかりでした。 す。今回は開催させていただく立場でいつもとは ランチョンセミナーでは、長崎大学大学院神経 違う視点からの参加でしたが、非常に勉強になり 病態制御外科学教授永田 泉先生に「脳卒中治療に ました。 おける直達手術の役割」について御講演していた また、翌21日には市民公開講座を開催致しまし だきました。永田先生は非常に御高名でこれまで た。今回は当教室から脊椎・脊髄疾患、脳梗塞、脳 も様々な全国学会等で御講演されておられますが、 動脈瘤を専門とする3名の脳神経外科専門医が講 何度聞いても勉強になる内容でした。 演しました。参加者は約130名したが、会場の都合 また今回は特別講演として、三重大学前理事滝 でその倍以上の方の来場希望をお断りすることに 和郎先生に「血管内治療との関わり」と題して講 なり、申し訳なく思っております。参加された方 演をしていただきました。血管内治療に携わるこ は熱心にメモをとったり、疑問点など積極的に質 とになった契機や影響を受けた先生方の紹介、脳 問されたりと市民公開講座も大盛況で、脳神経外 動脈瘤や脳動静 科疾患への市民の関心の高さを伺い知ることがで 脈奇形・硬膜動 きました。 静脈瘻など治療 今回の学術集会開催に当たり、本学脳神経外科 困難な病気に対 学教室員だけでなく同門の先生方、関連施設、製 して、ご自身で 薬会社等から様々な形でご支援・ご協力していた 開発したり工夫 だき、無事終了できましたことにこの場を借りて を重ねたりされ 深く感謝申し上げます。 た変遷などを講 演していただき ました。医局で お世話になって ─ 38 ─ 第20回中部神経内視鏡研究会を開催して 三重大学大学院医学系研究科 脳神経外科 畑 崎 聖 二 会となりました。また飲食を交えながらの気さく な雰囲気も本会の特徴です。三重大学主催という ことで研究会会場には新病院12階の三医会ホール を使用し、セントレア空港まで見通せるその見晴 らしの良さに感激して頂いた後、懇親会では松阪 牛の焼肉をご堪能頂き、概ね好評であったと思い ます。この場をお借りしてご協力頂きました鈴木 平成25年4月19日に第20回中部神経内視鏡研究 秀謙教授ならびに三重大学脳神経外科のスタッフ 会を開催いたしました。神経内視鏡は、繊細な脳 皆様に感謝いたします。 神経組織を扱う脳神経外科領域で、より低侵襲な 治療として下垂体疾患や水頭症をはじめとする脳 室内病変、そして脳出血などすでに多岐の分野で 活用されており、さらに今後も適応は拡がってゆ くものと思われます。中部神経内視鏡研究会も会 を重ねるごとに活発な議論が繰り広げられてきて おり、今回で第20回となりましたが多くの演題と 中部地区以外からも参加希望があるほどの盛況な 第153回 日本耳鼻咽喉科学会東海地方部会連合講演会を開催して 大学院医学系研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科 竹 内 万 彦 4回、愛知、岐阜、三重の東海三県の耳鼻科医が 集まり、各大学が交代で開催している学会です。 今回は耳鼻咽喉頭・頭頸部外科領域の多岐に渡 る演題が計25題寄せられ、156名の参加がありまし た。三重大学からは、甲状腺癌術後再発が疑われ たサルコイドーシスの一例、喉頭腺様嚢胞癌の一 例、甲状腺転移をきたした腎癌の2症例の3題の 発表をしました。三重県からはこのほかに、三重 病院から1題、伊勢赤十字病院から2題、津市の 平成25年6月9日(日)に臨床第二講義室にお 開業医から1題の発表がありました。このうち津 いて、第153回 日本耳鼻咽喉科学会東海地方部会 市の開業医からの発表は三重耳鼻咽喉科の坂井田 連合講演会を開催いたしました。この学会は毎年 麻祐子先生による「豆の気管支異物に対する幼稚 ─ 39 ─ 園保護者の意識調査」であり、注目を集めました。 がうまく動くかどうかでした。座長が演者を紹介 そのほか興味ある演題としては、 「毛笛を利用した、 して演者が演台に立ってもスクリーンになかなか 口蓋裂患児における耳管機能検査の試み」 、 「小児 画像が出てこない時間は20秒が3分くらいに長く 頭頸部・耳科手術における術後環軸椎回旋性亜脱 感じられました。マイクもときどき機嫌をそこね 臼の検討」 、 「喉頭全摘後の遅発性舌動脈瘤破裂の てか、音量が変化したりしました。しかし午後か 2例」などがありました。 らの群では午前中のこのような課題はみごとに修 運営面は教室員、大学院生、秘書、言語聴覚士 正され、大きな問題もなく、無事時間通りに終え らの計17名で力を合わせて行いました。一番心配 ることが出来ました。 だったのは動画を含むファイルやMacのファイル 第2回日本肺循環学会学術集会を開催して 三重大学大学院 循環器・腎臓内科学 山 田 典 一 ・ 伊 藤 正 明 三重大学大学院循環器・腎臓内科学伊藤正明 看護学など、多くの領域に及び、日本中の研究者、 教授が会長を務め、「日本における肺循環研究の 医療従事者が学術集会で一堂に会し、互いに知識 ファーストステップ」というテーマのもと、第2 を共有しさらに診療レベル、研究レベルを高める 回日本肺循環学会学術集会を平成25年6月22日 ことは非常に意義深いことです。日本肺循環学会 (土)、 23日 (日)の2日間にわたり東京ステーショ は、平成24年に肺循環疾患に関する最先端研究を ンコンファレンスにて開催いたしました。 統合し発展させ、更にその研究成果を社会に還元 本学会の対象となる肺循環疾患は、最近の新規 すること、次世代を担う若手研究者を育成するこ 肺高血圧症治療薬の開発・承認、臨床使用によっ とを目的に結成され、第1回学術集会が東北大学 て著しい進歩を遂げ、大幅に予後が改善しました。 循環器内科下川宏明教授により東京にて開催され しかしながら未だ治癒には至っておらず、肺高血 ました。今回が第2回目の開催となりますが、2 圧症の病因解明ならびに更なる新しい治療へ向け 日間で400名を超える多くの方々にご参加いただ た研究へと世界的にもたいへん注目を集めている き、活発な情報交換、意見交換が行われました。 分野です。しかし、診療や研究に携わっているの 今回、海外からはこの分野の第一線でご活躍中 は、循環器内科、呼吸器内科、膠原病内科、小児 の4名の先生(フランスSouth Paris University 科、心臓血管外科、放射線科、病理学、薬理学、 よりMarc Humbert教 授、 ア メ リ カUniversityof 伊藤正明学術集会会長 開会の辞 会場風景 ─ 40 ─ 有意義なディスカッションが繰り広げられました。 また、今回の学術集会の会期中に「肺高血圧症 をもっと知ろう」というテーマで市民公開講座 (後援:東京都・東京都医師会)を開催いたしま した。肺高血圧症の患者さんやご家族、一般市民 の方など65名にご参加いただき、東北大学循環器 内科講師 杉村宏一郎先生より「肺高血圧症って どんな病気?」 、岡山医療センター循環器科医長 松原広己先生より「肺高血圧症の治療と日常生 市民公開講座『肺高血圧症をもっと知ろう』 活で注意するべき点」という内容でたいへんわか California,San DiegoよりLewis Rubin教授、 りやすくご講演いただきました。また、講演の後 Stanford UniversityよりMarlene Rabinovitch教授、 にはQ&Aコーナーの時間を設け、患者さんや市 カ ナ ダMcMaster UniversityよりSam Schulman教 民の方々の疑問に専門家からご回答、ご解説いた 授)を招聘し、肺高血圧症や静脈血栓塞栓症に関 だき、肺高血圧症という病気の理解を深めていた する最新の知見について基調講演をしていただき だくことができました。 ました。また、シンポジウムを6企画『膠原病関 今回の学術集会開催に当たっては、教室関係者 連肺高血圧症の治療戦略』、 『慢性血栓塞栓性肺高 のみならず、三重大学や他大学の多くの先生方、 血圧症に対する血管内治療の現状と展望』、『Out また製薬企業や医療機器企業に様々な形でご支 of proportionも含めた呼吸器疾患関連肺高血圧 援・ご協力を頂きました。この場をお借りして厚 症』 、 『肺高血圧症発症の分子生物学的アプロー く御礼申し上げます。 チ』 、 『左心疾患に関連した肺高血圧症』 、 『肺動脈 性肺高血圧症治療の最前線』、パネルディスカッ ション『アイゼンメンジャー症候群の肺高血圧 の内科的治療と管理』 、2つの教育講演『Future prospects for antithrombotic therapy for venous thromboembolism』 、 『肺循環と気管支循環との関 わり』 、さらに興味深い症例についての「症例徹 底討論」や「コメディカルセッション」も含めた 数多くの肺循環に関わる最先端の研究結果に関す る一般演題のご発表をいただき、各会場にて大変 懇親会風景 「第9回 消化器病における性差医学・医療研究会」を開催いたしました 消化器内科学 竹 井 謙 之 日本消化器病学会関連研究会 第9回「消化器病 本消化器病学会 女性医師・ 研究者の会を母体と における性差医学・医療研究会」を平成25年8月 して学会附置研究会として発足しました(代表世 3日(土) 、 大阪大学中之島センターにて開催させ 話人 東京女子医科大学 白鳥敬子教授)。 附置研 ていただきました。本研究会は平成17年4月に日 究会として3年が経過した後、活動実績が認めら ─ 41 ─ 器病態内科)には特別セミナー「肝硬変患者の治 療戦略−性差も含めて−」のご講演を賜りました。 坂井田先生が推進されている自己骨髄細胞による 肝臓再生療法、まさに治療学の最先端を学びまし た。順天堂大学名誉教授 酒井シヅ先生による特 別講演は「江戸の医療にみる男女差」という、ド ラマ「JIN−仁−」の医事監修をされた酒井先生 ならではのテーマであり興味深く拝聴しました。 盛夏の一日、 「消化器病における性差医学・医 れ年1回の単独開催となるとともに、男性医師の 療」について、活発で熱い討論が交わされ、盛会の 参加も年を追うごとに増えてきました。 内に会を終えました。本研究会の企画、準備、運 本研究会では16題の演題応募をいただきました。 営にあたってご尽力いただきました当科スタッフ 消化管、肝臓、胆膵系の全領域、そして基礎から の先生方、秘書さんに感謝いたします。 臨床に亘る多彩で充実した内容の演題に接し、消 化器病における性差医学の研究が今大きな展開期 を迎えていることを実感いたしました。 一般演題セッションに加えて、いくつかの企画 を設けました。大阪大学消化器内科 小瀬嗣子先 生のランチョンセミナーでは、大規模な臨床研究 から得られたC型肝炎のインターフェロン治療に 関するエビデンスを性差の面からご講演いただき ました。また渡辺純夫教授(順天堂大学消化器内 科)ご司会のもと、坂井田 功教授(山口大学消化 第49回中部日本小児科学会を開催して 小児科学 平 山 雅 浩 去る2013年8月25日(日)津市の三重県医師会館 チームを形成して、A(4チーム)、B(4チー において第49回中部日本小児科学会(会長:三重 ム)、C(2チーム)の3つのリーグに分かれて、 大学大学院医学系研究科小児科学教授駒田美弘) 3野球場で行われます。今年も学会前日の8月24 を開催致しました。本学会は中部地区7県11大学 が毎年集い、小児科学における研究および知識の 交流を図り、中部地区の小児医療の発展に寄与す るとともに併せて会員の親睦を図ることを目的と しています。 そのため、毎年真夏の暑い季節であるにもかか わらず、学会前日は親睦野球大会も開催されます。 10大学(1大学を除く)およびその関連病院が1 ─ 42 ─ 日(土)に北部運動野球グランド、芸濃野球グラ ンド、および河芸第一グランドにて熱戦が繰り広 げられました。三重大学小児科は昨年Bリーグで 優勝しておりましたので、Aリーグ昇格し、2試 合を行い、1勝1敗でAリーグ残留が決定しまし た。 「1勝1敗A残留」 と聞くと大したことではな いように思われますが、過去約30年間で、Bで優 勝してAに昇格したのは4度あり、1大会あたり 2試合しますので、これで8試合したことになり ナーでは、川崎医科大学小児科教授の中野貴司先 ます。昨年までで6戦全敗でしたので、実にこの 生に「予防接種で子どもを守る∼世界の動向とわ 30年で初の1勝となる三重大学小児科野球部にお が国の展望」の演題を頂きました。本会は11年に いて画期的な大会となりました。 1度三重県で開催されますが、雨天にも関わらず 本大会である学術大会では、中部地区にしては 382名という多数の小児科医師の参加があり、活発 遠方である津市の開催にもかかわらず、北陸、長 で充実した学会となりました。 野、岐阜、愛知からも多数の参加をして頂きまし 親睦野球大会では怪我や事故等なく天候に左右 た。感染症、神経、循環器、内分泌、呼吸器、腎 されることもなく終えられたこと、学術大会では 臓、新生児、アレルギー、免疫不全、自己免疫、血 一般演題をはじめ特別講演など有意義なご発表と 液腫瘍などの幅広い分野で59題の一般演題の発表 スタッフの働きにより滞りなく終えることが出来 がありました。特別講演には、三重大学放射線医 たことより、盛況裏の2日間であったことは何よ 学教授の佐久間 肇先生に、「最近のCT・MRIの進 りでした。中部地区の小児科医療の向上および会 歩-診断能向上と被ばく低減を目指して」のご講演 員間の親睦の目的に少なからずも貢献できたもの をいただきました。目覚ましい画像診断技術の進 と考えます。 歩をわかりやすく解説していただくとともに、最 ご協力頂きました方々、ならびに日頃からご指 近注目されています子どもへの被ばくの低減につ 導いただいております三重大学医学部の関係各所 いてのお話を頂きました。また、ランチョンセミ の方々にこの場を借りて深謝を申し上げます。 学 位 記 授 与 式 平成25年7月17日(水)午前10時から総合研究棟Ⅱ第2・第3会議室で学位記授与式が挙行されました。 内田学長から下記の方々に、三重大学博士(医学)の称号が授与されました。 医博甲 第1107号 森 田 寛 医博甲 第1108号 塩 崎 隆 也 医博甲 第1109号 深 澤 恵 児 医博甲 第1110号 梅 本 紀 子 医博乙 第 8 5 1 号 波 部 幸 司 平成25年9月18日(水)午前10時から総合研究棟Ⅱ第2・第3会議室で学位記授与式が挙行されました。 内田学長から下記の方々に、三重大学博士(医学)の称号が授与されました。 医 修 第 1 8 8 号 臼 杵 恵 梨 医 修 第 1 8 9 号 谷 誠 二 医博甲 第1114号 津 田 憲志郎 医博甲 第1115号 菅 原 由美子 医博甲 第1111号 明 田 智 子 医博甲 第1112号 王 卓 医博甲 第1113号 郭 霏 医博乙 第 8 5 2 号 新 美 塁 医博乙 第 8 5 3 号 斉 磊 ─ 43 ─ 人 事 異 動 H25. 4. 30 退 職 今 井 奈緒子 遺伝子・免疫細胞治療学講座 産学官連携助教から H25. 4. 30 退 職 谷 伊賀地域医療学講座 寄附講座助教から 医学部附属病院 医員へ H25. 5. 1 昇 進 佐々木 良 元 臨床医学系講座 助教から 同講座 講師へ H25. 5. 1 採 用 渡 医学部附属病院 医員から 伊賀地域医療学講座 寄附講座助教へ H25. 5. 1 採 用 GAYLE ALBERTO AREXANDER 医学・看護学教育センター 助教へ H25. 5. 31 退 職 DRYJA THADDEUS PETER 医学・看護学教育センター 助教から H25. 5. 31 退 職 熊 谷 直 人 医学・看護学教育センター 助教から 医学部附属病院CCUネットワーク支援センター 助教へ H25.5. 31 退 職 髙 木 治 行 医学・看護学教育センター 助教から H25.5. 31 退 職 塩 﨑 隆 也 医学・看護学教育センター 助教から H25.5. 31 退 職 玉 利 謙 吾 医学・看護学教育センター 助教から 同講座 助教へ H25.5. 31 退 職 古 田 基 靖 臨床医学系講座 助教から 伊勢赤十字病院へ H25.6. 1 採 用 中 森 史 朗 医学部附属病院CCUネットワーク支援センター 助教から 医学・看護学教育センター 助教へ H25. 6. 1 採 用 關 義 長 伊勢赤十字病院から 医学・看護学教育センター 助教へ H25. 6. 1 採 用 須 澤 尚 久 医学部附属病院 医員から 医学・看護学教育センター 助教へ H25. 6. 1 採 用 福 井 享 子 医学・看護学教育センター 助教へ H25. 6. 1 採 用 玉 利 謙 吾 医学・看護学教育センター 助教から 同講座 助教へ H25. 6. 1 採 用 加 藤 久美子 医学部附属病院 助教から 臨床医学系講座 助教へ H25.6. 1 採 用 藤 本 直 紀 医学部附属病院 医員から 臨床医学系講座 助教へ H25.6. 1 配置換 岡 本 隆 二 臨床医学系講座 助教から 医学部附属病院臨床研修キャリア支援センター 助教へ H25.6. 1 配置換 土 肥 薫 臨床医学系講座 助教から 同講座 助教へ 村 邉 宗 清 義 孝 ─ 44 ─ H25. 6. 30 任期満了 梅 田 靖 之 臨床医学系講座 助教から 医学部附属病院 助教へ H25. 6. 30 退 職 大 橋 啓 之 医学・看護学教育センター 助教から 医学部附属病院 助教へ H25. 7. 1 採 用 松 井 俊 樹 尾鷲総合病院から 医学・看護学教育センター 助教へ H25. 7. 1 採 用 森 如 伊勢赤十字病院から 臨床医学系講座 助教へ H25. 7. 31 退 職 久 田 雅紀子 基礎看護学講座 講師から H25. 8. 31 退 職 浦 川 加代子 成人・精神看護学講座 教授から 順天堂大学保健看護学部へ H25. 8. 31 退 職 中 西 唯 公 地域・老年看護学講座 助教から 順天堂大学医療看護学部へ H25. 8. 31 退 職 大 澤 一 郎 臨床医学系講座 助教から 松阪中央総合病院へ H25. 8. 31 退 職 下 野 高 嗣 臨床医学系講座 准教授から 普照会森栄病院へ H25. 8. 31 任期満了 阪井田 博 司 先進的脳血管内細胞治療学講座 産学官連携教授から 同講座 産学官連携教授へ H25. 9. 1 採 用 村 田 泰 洋 米国The scripps Research Institue Research associateから 臨床医学系講座 助教へ H25. 9. 1 採 用 黒 田 垂 穂 ハーバード大学ダナ・ファーバー癌研究所 ポスト・ドクトラル・フェローから 基礎医学系講座 テニュア・トラック助教 H25. 9. 1 採 用 阪井田 博 司 先進的脳血管内細胞治療学講座 産学官連携教授から 同講座 産学官連携教授へ 金 医学部附属病院 講師から 臨床医学系講座 講師へ H25. 9. 1 配置換 光 真 治 ─ 45 ─ 三重大学医学部の理念 Mission and Core Principles of Mie University Faculty of Medicine 確固たる使命感と倫理観をもつ医療人を育成し、豊かな創造力と研究力を養い、人類の健康と福祉の向 上につとめ、地域および国際社会に貢献する。 Mie University, School of Medicine aims to raise medical personnel with a steadfast sense of mission and ethical view, and to cultivate in it students and faculties both rich creativity and research capacity. The school will strive for development of human health and welfare and contribute to regional and international society. 編 集 後 記 長かった猛暑もようやく一段落し、秋風が肌に心地よい季節となってまいりました。 さて、平成25年度第2号の医学部ニュースをお届けさせて頂きます。 今号におきましては、4月以降新たに着任、また退職されました先生方からのご挨拶を頂戴 しております。 また、 「三重大学医師会設立」 「地域包括ケア・老年医学産学官連携講座開設」につきまして、 その経緯と意義についてご報告頂きました。 医師および看護師等国家試験結果報告では、看護学科においては合格率100%という、喜ばし い知らせとなりました。その他教育に関連しましては、「研究室研修・プログレス発表会」、「高 大連携事業の概要」 、今年度初めての取り組みとして「1年生が大学生活を語る会」の開催、等々 多くの話題を頂戴致しました。 国外の大学との交流の様子につきましても、多くの先生方より詳細なご寄稿を賜りました。 また、学会等賞報告では、多数の受賞につきまして喜ばしくご報告させて頂いております。さ らに本研究科主催の学会・研究会報告等につきましても、多数紹介させて頂きました。 今回お寄せ頂いた貴重な原稿を拝読致しまして、様々な人・場・物事が多様な形で“繋がること” “繋がろうとすること”の大切さを改めて感じ入ったところでございます。 最後になりますが、本号作成にあたり、お忙しい中ご寄稿頂きました諸先生方に心より感謝 申し上げます。 編集委員 平 松 万由子 編集発行 編 集 委 員 三重大学 医学部ニュース編集委員会 吉田 利通 那谷 雅之 田中 利男 〒514−8507 津市江戸橋2−174 楠 正人 丸山 一男 内田 恵一 国立大学法人 三重大学医学部・医学系研究科チーム 太城 康良 坂口 美和 平松万由子 TEL. 059(232) 1111(代表) FAX. 059(232)7498 福永 泰治 E-mail:[email protected] ─ 46 ─