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1月号に、連載記事"マルティネルの街角で" (葦原弁理士著)
Vol. 1 その称呼、ホント!? ちょっと昔、初のパリ出張を前にした同僚が、訪問先 いや、Xavier をフランス語読みする日本人なんて、 の住所を手にして、 真顔で聞いてきた。 そうそういません。 「グザヴィエ」はとりあえず無視しま 「葦原さん、パリに住んでましたよね。このチャンプ しょう。さすがに「エクスアヴィアー」と読む人はいない ス・エリシーズ通りってどのへんか分かりますか?」 でしょう。 「チャンプス……? これ、 シャンゼリゼですよ!」 きっと自然な称呼は「ザビエル」です。特許庁だって 「ええっっ!? これ (Champs-Elysees) 、 『シャンゼリ ちゃんと称呼を認定して……いるのかな??? ゼ』って読むんですかぁ?」 試しに IPDL で「Xavier」の文字商標を検索してみた 無理もない。 フランス語は英語的に考えれば、 絶対変だ。 ら、2件ヒットして、1件は「ザビアー、ザビエル」、もう Champs-Elysees の「 P 」 1件は「ザビアー、グザビ はどこ行っちゃったの? エ」。同じスペルでなぜ異な る!? 「シャ」じゃなくって「チャ」 でしょうが。 しかも「ゼ」なん ブ ツ が 違 う か ら? ま、 てどこにもないじゃない? ここに出ている称呼は単な でも、フランス語の発音規 る「参考情報」ですから、各 則からいえば、これは誰が読 人で悩んでください(って んでも立派な「シャンゼリ こと?)。 ゼ」なのである (で、その規則 商標の仕事をしている さえ身につけてしまえば、英 と、「商標の外観・観念・称 語より簡単に読めるハズ) 。 呼を比較して」なんて、サ ついでに、有名なシャンソ ラッと言ってしまう。でも、 ン「オー・シャンゼリゼ」の 海外から日本にヒョロッ 「オー」も「Oh !」という感嘆 と入ってきた商標が、必ず 詞ではない。 「Aux」という立 しも出願人の意図した読み 派なフランス語(前置詞+冠 方で読まれるとは限らない 詞の合体) で、 「シャンゼリゼ (ということを、多くの non- で」って意味合いになる。 Japanese は忘れているかも 「オークス」じゃないんだ しれない)。 な、コレが。 だから、海外のクライア 同じような話。 ントには「日本人が自然に 「 今 度、 ザ ビ エ ル さ ん が 読むであろう発音と違うよ 来るんですが、ご存じです うなら、カタカナでも権利 か?」 化を」と話してみたりもする。 「はい、スペインからですか? フランシスコ・ザビ でも、最高裁だって「L’air du temps」を正しく読んだ エルさんでしょうか? 面識、 ありませんねえ……」 のだ。そう神経をとがらせる必要はないかも〈平成 10 年 来日者はフランス人だった。故に本当の発音はおそ らく「グザヴィエ」さん。 ザビエルとグザヴィエは同 じスペルなんですねっ! と知って、フランス かぶれの私は驚いた。 では、 これが商標だったら? 56 The lnvention 2014 No.1 (行ヒ)第 85 号審決取消請求事件〉。 でも、ニナリッチ(Nina Ricci)が有名でなかった としたら? あなた、 「レール・デュ・タン」って読め ました?