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化学兵器禁止条約法令集
化学兵器禁止条約法令集
〔産業検証関連等抜粋〕
OPCW : The Legal Texts
(
仮
和
訳
)
化 学 兵 器 禁止条約法令集
目
3.
8.
次
条約条文の修正/変更
第 6 条関連事項(禁止されない活動)
8.1
一般
8.1.1 化学物質の表における「アルキル」の用語の範囲についての解釈
(C-I/DEC.35)
8.1.2 第 6 条の目的のための「生産」の意味についての解釈(C-II/DEC.6)
8.1.3 年次申告に対する変更についての解釈(C-I/DEC.38)
8.1.4 産業施設の査察の頻度、期間及び強度についての解釈(C-I/DEC.33)
8.1.5 混合工場についての解釈(C-I/DEC.40)
8.1.6 混合事業所における検証についての解釈(C-I/DEC.34 )
8.1.7 二次分配及び包装についての解釈(C-I/DEC.36 )
8.1.8 表剤申告に関する端数調整則(EC-XIX/DEC.5)
8.2 表 1 剤
8.2.1 表 1 剤:表 1 剤生産施設における「生産」の意味についての解釈
(C-I/DEC.43)
8.2.2 表 1 剤:表 1 剤の移譲についての解釈(C-I/DEC.41)
8.2.3 表 1 剤:医療/診断目的でのサキシトキシンの移譲(EC-XII/DEC.5 、
EC-XV/DEC.5)
8.2.4 表 1 剤:リシン生産の通報についての解釈(C-V/DEC.17 )
8.3 産業関連事項
8.3.1 表 2 剤:表 2 剤事業所によりもたらされる条約の趣旨及び目的に対
する危険度の評価についての解釈(C-I/DEC.32 )
8.3.2 表 2 剤:廃棄物処理における表 2 剤の消費についての解釈
(C-I/DEC.37)
8.3.3 表 2 剤:回収再利用された表 2 剤についての解釈(C-I/DEC.42)
8.3.4 表 2 剤及び表 3 剤:検証附属書第 7 部第 32 項及び第 8 部第 26 項中
の「最終用途」及び「最終使用者」の意味についての解釈(C-III/DEC.6)
8.3.5 表 2 剤及び表 3 剤:検証附属書第 7 部第 32 項及び第 8 部第 26 項中
の「証明書」の意味についての解釈(C-III/DEC.7)
8.3.6 表 2 剤及び表 3 剤:検証附属書第 7 部第 12 項及び第 8 部第 12 項の
実施( EC-XIV/DG.7/Rev.1)
8.3.7 表 2 剤及び表 3 剤:端数調整則の適用についての解釈(S/105/99)
8.3.8 表 2 剤、表 3 剤及び DOC/PSF:検証附属書第 7 部、第 8 部及び第 9
部における「工場又は事業所の主要な活動」の解釈(S/101/99)
8.3.9 表 2 剤:表 2 剤冒頭査察における記録査察についての解釈
(EC-XV/TS.2)
8.3.10 DOC/PSF:検証附属書第 9 部に関する解釈( C-I/DEC.39 )
8.3.11 表 2 剤及び表 3 剤:表 2 剤及び表 3 剤の低濃度混合物に関する指針
化学兵器禁止条約法令集
(C-IV/DEC.16)
8.3.12 表 2 剤及び表 3 剤:表 2 剤及び表 3 剤申告に係る低濃度敷居値に関
する指針(C-V/DEC.19 )
8.3.13 表 2 剤及び表 3 剤:第 6 条並びに検証附属書第 7 部及び第 8 部によ
る申告に関する解釈(EC-31/DEC.7)
8.3.14 表 2 剤及び表 3 剤:表 2 剤の生産、加工、消費、輸入及び輸出並び
に表 3 剤の輸入及び輸出の国内総計データの申告に関する指針
(C-7/DEC.14)
8.3.15 表 2 剤及び表 3 剤:条約非締約国向け表 2 剤及び表 3 剤移譲規制の
実施( C-V/DEC.16 )
8.3.16 表 3 剤:条約非締約国向け表 3 剤移譲についての規定(C-VI/DEC.10)
8.3.17 表 3 剤:査察のための表 3 剤事業所選定の方法論(EC-XVII/DEC.7)
9.
申立査察関連事項
9.1
申立査察通報書式についての共通解釈(C-I/DEC.44)
9.2
申立査察要請権利の濫用の然否に係る客観的指標についての解釈
(C-I/DEC.45 )
10.
化学兵器使用疑惑の調査
10.1 化学兵器使用疑惑の調査の脈絡における「有資格専門家」の地位について
の解釈(C-I/DEC.46 )
10.2 化学兵器使用疑惑の調査における試料採取及び分析についての解釈
(C-I/DEC.47)
11.
検証の一般規則
11.1 OPCW 査察員及び査察補の査証手続についての解釈(C-I/DEC.56 )
11.2 「通訳」の意味についての解釈(C-II/DEC.9)
11.3 健康安全規則に関する解釈(C-I/DEC.8)
11.4 承認装置の一覧の採択に関する解釈(C-I/DEC.71)
11.5 装置の検査についての手順(C-I/DEC.7)
11.6 現地査察における承認装置の使用についての決定(C-I/DEC.50)
11.7 査察活動終了後の承認装置に関する措置についての決定(C-I/DEC.51 )
11.8 連続査察
11.9 承認装置の一覧の更新についての手続(C-7/DEC.20)
11.10 承認装置の技術仕様の変更についての手続(EC-31/DEC.8)
12.
指定実験施設
12.1 分析能力試験実施のための基準(C-I/DEC.65)
12.2 分析能力試験に関する条件についての解釈(C-I/DEC.66)
12.3 指定実験施設の認定に向けた分析能力試験(C-I/DEC.60)
12.4 分析能力試験における実験施設の適格能力についての基準(C-I/DEC.62)
12.5 OPCW による実験施設の指定のための基準(C-I/DEC.61 )
12.6 指定実験施設の活動範囲並びに他の実験施設の役割及び地位についての解
化 学 兵 器 禁止条約法令集
釈(C-I/DEC.67 )
12.7 真正試料分析のための実験施設の指定:指定実験施設の地位の保持
(S/86/98、Corr.1 )
12.8 真正試料分析のための実験施設の指定についての指針(EC-XX/DEC.3)
13.
中央 OPCW 分析データベース
13.1 中央 OPCW 分析データベースの暫定認証についての手順(C-I/DEC.63)
13.2 中央 OPCW 分析データベースの内容(C-I/DEC.64)
13.3 中央 OPCW 分析データベース更新のための諮問機構(C-II/8 の第 11.2 項
(c)、EC-IV/DEC.2)
13.4 中央 OPCW 分析データベース及び現地データベースの認証手順
(C-IV/DEC.11)
13.5 中央 OPCW 分析データベース及び現地データベースの認定及び認証手順
(C-VI/DEC.4 )
14.
綱領
14.1 OPCW 秘密保護綱領(C-I/DEC.13 、その後修正)
14.2 OPCW メディア広報綱領(C-I/DEC.55 )
14.3 OPCW 健康安全綱領及び規則(C-I/DEC.8)
23.
技術事務局(条約第 8 条(D))
23.3 OPCW 財政通則及び財政規則案(C-I/DEC.3、OPCW-TS/DGB/1 )
24.
科学諮問委員会(第 8 条第 21 項(h)及び第 45 項)
24.1 科学諮問委員会の付託事項(C-II/DEC.10)
24.2 科学諮問委員会の手続規則(EC-XIII/DG.2)
化学兵器禁止条約法令集
3. 条約条文の修正/変更
サキシトキシンの移譲に関して提案された条約の変更
(変更は、1999 年 10 月 31 日に発効する)
1998 年 11 月 13 日に、条約第 15 条第 4 項及び第 5 項に従い、カナダが事務局
長に対し、表 1 剤のサキシトキシンの移譲に関する修正案を提出した。修正案は
次のとおりである:
条約検証附属書第 6 部 B 章
次のように、新たに第 5 項の 2 を追加する:
「表 1 の化学物質であるサキシトキシンの移譲が医療・診断目的のものである場合
は、5 ミリグラム以下の量については第 5 項に記載される通報期間の対象とはならな
い。この場合、通報は移譲の時期までに行われねばならない。」
これを記述している時点において、修正案は、従前どおり条約第 15 条第 5 項
に規定された手続に従っていた、すなわち:
a.
事務局長が修正案を、全締約国、執行理事会、及び寄託者に通報した(第 15
条第 5 項(a));
b. 修正案についての事務局長の評価が、全締約国及び執行理事会に通報された
(第 15 条第 5 項(b));
c.
執行理事会が修正案を検討し、全締約国に対しこれを採択するよう勧告した
(第 15 条第 5 項(c));
d. 通報の受領後 90 日以内に、これに反対した締約国はなかった;
e. 当該修正は承認され、1999 年 10 月 31 日に全締約国について発効すること
となった。
それまでの間は、医療・診断目的のサキシトキシンの移譲については、暫定的
な実施指針が適用される(執行理事会決定 EC-XII/DEC.5(1998 年 10 月 9 日付
け)及び EC-XV/DEC.5(1999 年 4 月 29 日付け))。この決定の条文については、
下記を参照せよ:第 6 条関連事項、表 1 剤、 8.2.3。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
8. 第 6 条関連事項(禁止されない活動)
8.1
8.1.1
一般
化学物質の表における「アルキル」の用語の
範囲についての解釈
C-I/DEC.35 「化学物質の表における「アルキル」の用語の範囲」と題する 1997
年 5 月 16 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-VII/8 の第 6.6 項において、化学物質の表における「アルキル」
の用語の範囲についての解釈を採択したことを想起し(PC-VII/B/WP.7 の第 3.1 項)、
委員会がその最終報告書の第 50.4 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
次の解釈を採択する:
化学物質の表に掲げられた化学物質の部類(「族」)に関連して、
「アルキル」
、
「 シク
ロアルキル」
、
「アルキル化された」又は「Me」
(メチル)
、
「Et」
(エチル)
、
「n-Pr」
(n
(ノルマル)-プロピル)又は「i-Pr」(i(イソ)-プロピル)の用語は文字どおりに
解釈されるべきで、置換されたアルキル、メチル、エチル、その他は含まれない。
8.1.2
第 6 条の目的のための「生産」の意味についての解釈
C-II/DEC.6 「第 2 条第 12 項 (a)に定義された「生産」の意味」と題する 1997
年 12 月 5 日採択の会議決定
会議は、
条約第 2 条第 12 項 (a)において用いられている「生産」の用語の意味の問題を考察
し;
この問題についての準備委員会の作業に注目して;
ここに:
第 2 条第 12 項 (a)において用いられている「生産」の用語は、生化学的又は生物的
媒介の反応で作られた表剤(すなわち表 1 剤、表 2 剤又は表 3 剤)を含むものと解
釈されるべきことを決定する。
8.1.3
年次申告に対する変更についての解釈
化学兵器禁止条約法令集
C-I/DEC.38
決定
「年次申告に対する変更」と題する 1997 年 5 月 16 日採択の会議
会議は、
委員会がその PC-VII/8 の第 6.6 項において、産業申告に関して年次申告に対する
変更についての解釈を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書第 50.4 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧告
したことに留意し、
ここに:
1.
年次申告に対する変更についての解釈を採択する。
附属書
年次申告に対する変更 22
22
1.
2.
3.
23
PC-VII/B/WP.7.の 第 3.4 項 に 含 ま れ る 。
通常では年々には変更がなされないような年次申告の部分、例えば名称、住所
及び位置、の変更は、次の申告をする機会に技術事務局に連絡するべきであると
いうことが了解された。
前回の申告と比較して申告事項に変更がない場合でも、後の申告においては必
要とされる情報は完璧に申告されなければならないことも了解された。
第 7 部及び第 8 部の第 4 項(c) に従って求められる追加的な活動の申告に関し
て、次の事項の変更については申告が必要とされることが了解された:
(a)
次の各項に関係する年間中の何らかの変更:
(i)
追加の表 2 剤工場又は表 3 剤工場;
(ii)
追加の表 2 剤又は表 3 剤;
(iii) 表 2 剤に関係する追加の類型の活動(生産、加工、消費、直接輸出、
販売又は移譲);
(iv) 予定申告に関係するその他の非数量的変更。ただし、PC-V/B/WP.15
の第 9 項(訳註;上記 1.に同じ)が適用されるものを除く;
(b)
工場の地位の変更となる数量的上昇変更
(申告又は検証敷居値を超える);
(c)
予定申告において申告された数量区分を超えて生産増となる表 3 剤工
場;
(d)
表 2 剤に係る申告対象活動の期間の延長;
(e)
表 2 剤の予定年間生産/加工/消費量の増加。23
予定申告については、何らかのぶれが含まれるかもしれない。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
4.
5.
上記 3(d) に関連して、申告された活動が実施されることとなる期間の申告は
できるだけ正確になされるべきであるが、いかなる場合でも 3 箇月以内の精度
を保つ必要があることが了解された。これらの期間に関する申告上の要求は、必
ずしも個々の計画された生産(加工、消費)行動が申告されなければならないこ
とを意味するものではない。このような解釈は産業申告に対して柔軟な枠組みを
用意し、表 2 剤の生産、加工又は消費の期間に関しての追加的活動の申告の頻
度を減らすことになるものと考えられる。
更に、表 2 剤又は表 3 剤に関係する活動を行なう旨申告された工場又は事業
所がその活動を中止する場合に、もし締約国がそれを技術事務局に自発的に通報
するならばそれも有用であるかもしれないということについて合意された。
8.1.4
産業施設の査察の頻度、期間及び強度についての解釈
C-I/DEC.33 「産業施設の査察の頻度、期間及び強度」と題する 1997 年 5 月 16
日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-VI/22 の第 6.2 項 (a) において、産業施設の査察の頻度、期間及び
強度についての解釈を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 50.4 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
1.
次に添付した、産業施設の査察の頻度、期間及び強度についての解釈を採択す
る。
附属書
産業施設の査察の頻度、期間及び強度24
24
PC/VI/B/WP.5 に 添 付 さ れ た 議 長 文 書 の 第19
項に含まれる。
執行理事会は、技術事務局が行う検証活動の実施を監督する。どの産業施設に査察
するか、いつ査察するか、については、技術事務局が危険度評価に基づいて決定する。
技術事務局により実施される特定の施設の査察の回数は、事業所当たり及び締約国当
たりの最大査察回数に関する検証附属書規定並びに表 2 剤事業所の冒頭査察を可能
な限り早く好ましくは条約発効後 3 年以内に実施することに関する検証附属書規定
の範囲内となるが、第 7 部第 18 項に従い実施される施設の危険度評価結果、査察対
象となる他の施設の数及び査察日程上投入可能な査察員の数等の広範な要因により決
定される。
化学兵器禁止条約法令集
8.1.5
C-I/DEC.40
混合工場についての解釈
「混合工場」と題する 1997 年 5 月 16 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-VII/8 の第 6.6 項において、混合工場についての解釈を採択した
ことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 50.4 項において、会議が上記解釈を採用するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
1.
混合工場についての解釈を採択する。
附属書
混合工場 25
25
1.
2.
3.
PC-VII/B/WP.7 の 第 3.6 項 に 含 ま れ る 。
「混合工場」とは、第 6 条に関係する検証附属書の 1 以上の部の規定を受ける
工場のことをいう。この用語は、例えば、表 2 剤及び表 3 剤(及び/又は DOC)
を、同一の工程ラインの異なる地点で、又は幾つかの工程で同時に若しくは並行
して生産する多目的工場を含む。しかしながらこの用語は、初段階において DOC
の生産が行われる多段階反応で表 3 剤を生産する工場の場合や、表 3 剤生産時
に低濃度の表 2 剤が同時に生産されるような場合(これは低濃度に適用される
規則に応じて表 2 剤工場又は表 3 剤工場のいずれかに分類されよう)には関係
しない。
「混合工場」は、第 6 条に関係する検証附属書のすべての関係する部に従っ
て申告されることになる。
「混合工場」は、査察命令が規定されている検証附属書の特定の部に従って査
察が行われることになる。また「混合工場」は、検証附属書の当該部の規定に制
約されることになる。特に:
(a)
混合工場が所在する事業所の査察の通告時期は、当該査察の実施を規定し
ている部の規定に従ってなされなければならない;
(b)
査察されている「混合工場」内でのアクセスは、当該査察の実施を規定し
ている部の規定に基づいて行われることになる(第 6 部 E 章、第 7 部第 23
項から第 29 項、第 8 部第 18 項から第 24 項又は第 9 部第 15 項から第 20
項);
(c)
1 つの「 混合工場」における査察は、検証附属書の異なる部に対応して別々
化 学 兵 器 禁止条約法令集
4.
に数えられる。したがって、1 つの「混合工場」におけるそれぞれの査察は、
当該査察の記述のある部に基づき数えられる。
1 つの工場の異なる部分が重複なく異なる手順で別々に査察され得るような形
状となることが可能であるならば、これらの部分は別々の工場と見なされ、その
ように申告されることになるであろう。したがって、このような場合においては、
「混合工場」の概念は適用されないであろう。
8.1.6
C-I/DEC.34
議決定
混合事業所における検証についての解釈
「混合事業所における検証」と題する 1997 年 5 月 16 日採択の会
会議は、
委員会がその PC-VI/22 の第 6.2 項 (a) において、混合事業所における検証について
の解釈を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 50.4 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
1.
次に添付した、混合事業所における検証についての解釈を採択する。
附属書
混合事業所における検証 26
26
1.
2.
3.
PC-VI/B/WP.2 に 添 付 さ れ た 議 長 文 書 の 第21
項から第
24
項に含まれる。
「混合事業所」とは、次のものを含む事業所をいう:
(a)
第 6 条に関係する検証附属書の 1 以上の部の規定を受ける 1 以上の工場
(「 混合工場」);又は
(b)
第 6 条に関係する検証附属書の異なる部の規定を受ける別々の工場。
混合事業所における査察のための一般原則として、1 つの査察は、当該査察を
規定している検証附属書の部に従い数えられ、当該部の規定に制約されることと
解釈された。ある査察派遣が検証附属書の 2 以上の部に基づいて行われる場合
には、当該派遣は 2 以上の順次の又は同時の査察として数えられ、その通告時
期を含め相当する部の規定が適用されることになる。
混合事業所における査察の期間中には、次の規則が適用される:
(a)
第 6 条に関係する検証附属書の他の部に基づいて査察を受けるべき工場
へのアクセスは、次に従ってなされる:
(i)
検証附属書第 6 部に従う査察の場合は、第 2 部第 51 項及び施設協定
化学兵器禁止条約法令集
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
に含まれる何らかの追加的規定;
(ii)
検証附属書第 7 部に従う査察の場合は、第 7 部第 25 項;
(iii) 検証附属書第 8 部に従う査察の場合は、第 8 部第 20 項;
(iv) 検証附属書第 9 部に従う査察の場合は、第 9 部第 17 項;
検証附属書の異なる部の規定を受ける工場の間で共有される事業所内の共
通施設の部分へのアクセスは、他の工場へのアクセスとは見なされない;
共有された記録類へのアクセスは、上記(b) に記載されたような査察員の
ための物理的なアクセスと同様の規則に従って行われなければならない;
1 つの混合事業所における最大査察回数は、第 6 条に関係する別々の部の
下で可能となる最大査察回数の和である;
検証附属書の 1 つの部に従って行われるある査察で、その査察の間に査察
団が任意で第 6 条に関係する別の部の規定を受ける工場へのアクセスを許
可されたときは、当該査察は、その実施を規定している部に基づいた 1 回の
査察として数えられる。査察対象工場に到達するまでの事業所内の通過は、
第 6 条に関係する別の部の規定を受ける別の工場へのアクセスとして数え
られない;
第 6 条に関係する検証附属書の異なる部に基づいて実施される査察に対
しては、個々に別々の施設協定が交渉されなければならない。
8.1.7
C-I/DEC.36
二次分配及び包装についての解釈
「二次分配及び包装」と題する 1997 年 5 月 16 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-VII/8 の第 6.6 項において、表剤の加工に関連して二次分配及び
包装についての解釈を採択したことを想起し(PC-VII/B/WP.7 の第 3.2 項)、
委員会がその最終報告書の第 50.4 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
次の解釈を採択する:
二次分配及び包装の活動は表剤の加工とはみなされず、したがって申告の義務を課
せられるものではないと解釈する。
8.1.8
表剤申告に関する端数調整則
EC-XIX/DEC.5 「表剤申告に関する端数調整則」と題する 2000 年 4 月 7 日
付け執行理事会決定
執行理事会は、
化 学 兵 器 禁止条約法令集
表剤申告の端数調整則の適用において整合性の欠如が見られることについて幾つか
の締約国が懸念を表明したことに注目し;
また、いかなる端数調整則の決定も、国別総計データの集計及び申告のための方法
論についての将来のいかなる決定も予断するべきでないことに注目し;
更に、表 3 剤事業所申告が条約に記述されたように数量範囲によりなされること
に注目し;
この端数調整則は表 1 剤移譲の通報及び詳細な年次申告には適用されないことに留
意し、
ここに:
表剤申告に関して、適用可能な場合は、次の端数調整則を採用することを決定する:
数量は、3 桁により申告される:
−
3 桁超の数量は、 3 桁となるよう端数調整する;
−
3 桁未満の数量は、ゼロを追加して 3 桁にする;及び
−
最初のゼロでない桁の前のゼロは、桁数として数えない。
単位等:
(a)
数量は、次の単位のみにより申告される:
ピコグラム
pg
10-12g
ナノグラム
ng
10-9 g
マイクログラム µg
10-6 g
ミリグラム
mg
10-3 g
グラム
g
g
3
キログラム
kg
10 g
トン
t
106 g
キロトン
kt
109 g
(b)
表 1 、2 及び 3 剤の事業所/ 施設のデータは、申告される当該表剤に関係する検
証附属書の条項の申告敷居値に係る単位で申告されなければならない。例えば:
表剤
単位
1
g/kg
2A*
kg/t
2A
kg/t
2B
t/kt
3
t(数量範囲により申告)
(c)
国別総計データ申告において申告敷居値を超える数量のみを含む締約国には、
これらと同じ単位が国別総計データに使用される。
(d)
国別総計データにおいて申告敷居値未満の数量も含む締約国には、更に小さい
単位が適切である。
(e)
国別総計データにおいて表 3 剤の実際の移譲を申告する締約国には、t/kt の単
位が使われねばならない。
(f)
この端数調整則の適用事例を次表に示す。
化学兵器禁止条約法令集
端数調整則の事例
国内当局に提出された数値
主な端数調整手法
0.004 mg
0.00400 mg / 4.00 µg
0.3 mg
0. 300 mg / 300 µg
0.8388 mg
0.839 mg / 839 µg
1.674 mg
1.67 mg
1.677 mg
1.68 mg
5 mg
5.00 mg
0.002 g
0.00200 g / 2.00 mg
100.5 g
101 g / 0.101 kg
0.068 kg
0.0 680 kg / 68.0 g
266.6 kg
267 kg / 0.267 t
1.66 t
1.66 t
104.4 t
104 t / 0.104 kt
1004.5 t
1.00 kt
10539 t
10.5 kt
8.2
表1 剤
8.2.1 表 1 剤:表 1 剤生産施設における
「生産」の意味についての解釈
C-I/DEC.43 「第 6 条の規定を受ける表 1 剤生産施設に関連した「生産」の意
味」と題する 1997 年 5 月 16 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-IX/11 の第 7.2 項において、第 6 条の規定を受ける表 1 剤生産施
設に関連した「生産」の意味についての解釈を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 50.4 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意して、
ここに:
1.
第 6 条の規定を受ける表 1 剤生産施設に関連した「生産」の意味についての解
釈を採択する。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
附属書
第 6 条の規定を受ける表 1 剤生産施設に関連した「生産」の意味 27
27
PC-VIII/B/WP.10 の 第 2.3 項 に 含 ま れ る 。
次の事項が了解された:
(a)
検証附属書第 6 部第 1 項及び第 2 項に関して、表 1 剤の「取得」は、天然産物
からの表 1 剤の抽出を含む;
(b)
通常は条約の文言上において生産されることはないが加工によって分離される
表 1 剤(例えば毒物類)については、申告敷居値超の表 1 剤の抽出及び分離は、
申告された表 1 剤施設においてのみ行われなければならない;及び
(c)
申告敷居値超の表 1 剤を化学合成又は抽出 /分離により生産する施設は、検証
附属書第 6 部の規定により申告され検証されなければならない。
8.2.2
表 1 剤:表 1 剤の移譲についての解釈
C-I/DEC.41 「表 1 剤の移譲」と題する 1997 年 5 月 16 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-VII/8 の第 6.6 項において、表 1 剤の移譲についての解釈を採択
したことを想起し( PC-VII/B/WP.7 の第 3.7 項)、
委員会がその最終報告書の第 50.4 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
次の解釈を採択する:
表 1 剤の移譲及び取得に係る検証附属書第 6 部 B 章の規定は、そのようなすべて
の移譲及び取得に適用される。
8.2.3
表 1 剤:医療/診断目的でのサキシトキシンの移譲
EC-XII/DEC.5 及び EC-XV/DEC.5 1998 年 10 月 9 日及び 1999 年 4 月 29
日にそれぞれ採択された「医療/診断目的でのサキシトキシンの移譲」及び「サ
キシトキシンの移譲についての実務指針の延長」と題する執行理事会決定[1999
年 10 月 31 日まで有効、その後は本法令集 3.「条約条文の修正/変更」による]
執行理事会は、
検証附属書第 6 部第 3 項∼第 6 項の、医療/ 診断目的での少量のサキシトキシンの
化学兵器禁止条約法令集
移譲への適用問題を考察し;
そのような目的のための少量のサキシトキシンの移譲から派生する、条約の趣旨及
び目的に対する無視できる程度の実際上の危険度を考慮に入れ;
特に医療/ 診断目的のためのサキシトキシンを時宜を得て入手することの公衆健康
面に注目し;
更に、検証附属書第 6 部第 2 項(b)の規定に従い、いかなる表 1 剤移譲も条約上禁
止されてない目的のために正当化し得る種類及び量に限られなければならないことに
注目し;
また、第 6 条(検証附属書第 6 部第 3 項∼第 6 項の移譲に関する規定は、この条
文に準拠する)の規定を締約国の経済的技術的発展を阻害することのない方法で実施
するという条約に明示された義務、並びに、科学技術の情報の交換並びに条約上禁止
されない目的での化学物質の生産、加工又は使用のための化学物質及び装置の交換等
の条約上禁止されない目的での化学的活動分野における国際協力(第 6 条第 11 項−
この条約において禁止されない活動、第 11 条第 1 項)に留意し;
ここに:
1.
検証附属書第 6 部第 3 項∼第 6 項の実施のために、医療/ 診断目的の少量のサ
キシトキシンの移譲に関し、30 日前の事前通報の厳格な遵守が特殊な公衆健康
上の要求を満たすことを阻害する場合は、次の暫定の実施指針が 270 日間適用
できることを決定する:
(a)
5 ミリグラムまでのサキシトキシンの移譲の場合は、移譲を行う締約国は、
かかる移譲を行なう意図がある旨を当該移譲の 270 日以上前に技術事務局
に対し事前通報を行う;
(b)
事前通報を行なった締約国は、個々の移譲について移譲された時点で技術
事務局に通知する義務を課せられることになる。
当該移譲を受ける締約国は、
それを受けた時点で技術事務局に通知する義務を課せられることになる;
(c)
量の如何を問わずすべてのサキシトキシンの締約国間の移譲についての情
報は、検証附属書第 6 部第 6 項に従って締約国による詳細な年次申告中に
記入されなければならない;
2.
条約の通報義務に従うようあらゆる努力を行い続ける一方、上記 1.に記載され
ているような緊急事態においては、関係する締約国は通報期間の短縮が致し方の
ない状況にあることを技術事務局に通知しなければならないことを決定する。次
いで技術事務局はこの移譲を執行理事会に報告する;
3.
この暫定的決定を採用するに当たっての執行理事会の活動は、特別な人道的見
地に由来し、他の目的の場合には前例とならないことを確認する;
4.
上記 1.にその概略を述べた措置は、270 日間に限り適用されることを決定する。
ただし、この期間の満了前に、条約第 15 条に従い、上記措置と整合性のとれた
形で条約の改正又は変更がなされる場合はこの限りでない。
8.2.4
表 1 剤:リシン生産の通報についての解釈
化 学 兵 器 禁止条約法令集
C-V/DEC.17
定
「リシン生産の通報」と題する 2000 年 5 月 18 日採択の会議決
締約国会議は、
リシン生産の通報の問題を検討し;
この問題についての準備委員会での検討を考慮に入れ;
リシン生産の通報の問題が科学諮問委員会で検討に付され(1997 年 12 月 5 日付け
会議決定 C-II/DEC.5)、この関係で科学諮問委員会からの助言を接受した(1999 年 4
月 23 日付け SAB-II/1)ことを想起し;
更に、事務局長が会議から、本問題を更に検討し、本問題についてあらゆる側面か
ら分析するため専門家会合を召集し、及び当該会議の検討結果を執行理事会に提出す
るよう求められたことを想起し(1999 年 7 月 2 日付け会議決定 C-IV/DEC.20);
また、第 5 回締約国会議において本問題が審議され採択されるべく、執行理事会
がこの問題を会議への勧告の準備を視野に入れて検討するよう要求されたことを想起
し(1999 年 7 月 2 日付け会議決定 C-IV/DEC.20);
この問題が専門家会合で検討されたこと、及び当該会合の結果が第 19 回執行理事
会において審議されるべく事務局長から執行理事会に提出されたことに注目し(2000
年 3 月 14 日付け EC-XIX/DG.4);
専門家会合議長報告書を含む、第 19 回執行理事会用の上記事務局長文書の附属書
が、第 5 回締約国会議のために必要となる報告書の内容を含んでいると思われる旨
執行理事会が言及したことを認識し(2000 年 5 月 3 日付け EC-XIX/6 の第 13.1 項)
;
ここに:
1.
ひまし油調製植物は条約上の表 1 剤通報手続の適用を受けないことを決定し;
及び
2.
ひまし油調製植物に関係するリシン生産の通報を未解決事項一覧から削除する
ことに合意する。
8.3
産業関連事項
8.3.1 表 2 剤:表 2 剤事業所によりもたらされる条約の
趣旨及び目的に対する危険度の評価についての解釈
C-I/DEC.32 「表 2 剤施設によりもたらされる条約の趣旨及び目的に対する危
険度の評価」と題する 1997 年 5 月 16 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-VI/22 の第 6.2 項 (a)において、表 2 剤事業所の危険度評価につい
ての解釈を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 50.4 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意し、
化学兵器禁止条約法令集
ここに:
1.
次に添付した、表 2 剤事業所によりもたらされる条約の趣旨及び目的に対す
る危険度の評価についての解釈を採択する。
附属書 28
28
PC-VI/B/WP.5 の 附 属 書 B に 関 連 し たPC-VI/B/WP.2 に 添 付 さ れ た 議 長 文 書 の18
第
項
に含まれる。
表 2 剤事業所によりもたらされる条約の
趣旨及び目的に対する危険度の評価
1.
2.
3.
4.
ある施設の条約の趣旨及び目的に対する危険度を評価する際には、幾つかの要
素(必ずしもそのすべてではないが)が考慮されねばならない。次回以降の査察
の頻度及び強度を決定するためには、型にはまった要素だけに依存するのは適切
ではない。技術事務局/査察員は、各被査察締約国が各自各様の技術基盤/ 資源、
様々な生産技術水準、及び極めて多様な安全基準/対応策を有していることを考
慮する必要がある。
検証附属書第 7 部第 18 項及び第 20 項において、技術事務局は関連化学物質、
事業所の性格、施設における活動の性質によってもたらされる危険度を考慮すべ
きことが述べられている。冒頭及び爾後査察の結果のみならず施設協定も考慮す
る必要がある。別々にこれらの事柄を見ることは有益であろう。
事業所における関連化学物質によってもたらされる危険度の評価においては、
次の事項を考慮することができる:
−
表の毒性化学物質の毒性、又は、表の前駆化学物質については、もしあれ
ば、それらを用いて作られる最終製品(検証附属書第 7 部第 18 項);
−
被査察事業所における表剤の通常の貯蔵量(検証附属書第 7 部第 18 項);
−
被査察事業所における表剤用の原料化学物質の通常の貯蔵量(検証附属書
第 7 部第 18 項);
−
表 1 剤毒性化学物質とどのくらい密接に関連しているか、及び表 1 剤毒性
化学物質と同等の特性を有し又は持ち得るか否か、を判定するための化学構
造(化学物質附属書、化学物質の表のための指針);
−
その他の、化学兵器として使用され得るような、致死性又は無能力化毒性
(化学物質附属書、化学物質の表のための指針)
;
−
表 1 剤毒性化学物質生産の最後の単一技術段階の前駆物質として使用され
そうか否か。これは、当該段階が施設内、軍需工場内又は他の場所にあるか
否かに関係ない(化学物質附属書、化学物質の表のための指針)
。
事業所の性格によりもたらされる危険度の評価に際しては、次の事項が考慮さ
れる:
−
工程区域の性格。例えば次が含まれる:
化 学 兵 器 禁止条約法令集
工場の生産能力(第 7 部第 18 項)
;
高度の毒性及び腐食性のある材料を扱い得る工程装置の存在。例えば
次が含まれる:
−
高級合金、耐腐食性装置;
−
溶接配管;
−
二重/三重配管;
−
缶ポンプ(canned pumps);
−
特殊な封印をしたポンプ又は弁;
−
密閉された又は上部に覆いのある工程装置の個別物品の存在;及び
−
次を含む物理的配置:
−
気密装置;
−
負圧を保つに充分な大容量通気装置;
−
負圧の損失を告げるよう設計された警報器;
−
空気処理装置(サイクロン(遠心分離方式の集塵装置)、活性炭濾
過装置、通気装置上の集塵器);
−
立入禁止の(密閉された)工程区域;
−
隔離された制御室;
−
空気監視装置;
−
毒性作業に適した実験施設;
−
装置の機器上部の覆い;
人事上の考慮。例えば次が含まれる:
−
専門分野;及び
−
経験;
申告活動と、実際の機密漏洩防止対策との整合性。例えば次が含まれる:
−
高度の機密漏洩防止対策又は二重の防護柵;
−
侵入感知装置;
−
査察中の原材料貯蔵区域又は廃棄物/処理区域への過度の立入制限;
−
査察中の記録類への過度のアクセス制限;
−
査察員と作業者との間の接触制限;
−
武装を伴う機密漏洩防止対策;
−
軍隊の存在
施設の設置場所に関する特殊性。例えば特殊な立地、隔離又は軍事施設の
近接;
安全装置 /作業:
−
不浸透性衣服を着用した、又は防護マスクを携行した作業員;
−
変色バッジ又は空気試料採取器を着用した作業員;
−
完全防護衣及び自給式呼吸装置の存在;
−
可動式又は携行型除染装置の存在;
−
解毒剤を含む特殊救急箱の存在;
−
毒性化学物質警告表示;
−
周辺作業区域の退避警報装置;
−
近接地域における緊急車両;
−
隔離された更衣区域;
−
−
−
−
−
化学兵器禁止条約法令集
患者を洗浄する区域及び化学的緊急処置を行う区域を有する診療所/
医務室。
−
上記指標に基づいた、毒性化学物質の生産及び貯蔵の能力及びこれらへの
転用可能性の評価(検証附属書第 7 部第 18 項);
−
毒性化学物質の充填の潜在能力(検証附属書第 7 部第 18 項)
;
−
当該施設が専用施設か多目的施設か。
当該施設で行われている活動の性質によりもたらされる危険度の評価に当たっ
て:
−
表剤が生産、加工又は消費されているか、又はそのような活動が組み合わ
されて行なわれているか;
−
当該事業所において、申告された表 2 剤と直接的に関与しないどのよう
な活動が行なわれているか。
これら要因のどれか一つ又は組合せが存在することは、条約の趣旨及び目的に
反する禁止活動がなされていることを必ずしも示すものではない。
しかしながら、
査察員によって観察されたこれらの要因は、当該施設の査察の頻度及び強度を決
定するに当たって技術事務局の入手し得る他の情報と統合されねばならない。
第 7 部第 18 項の基準及び上記要因を適用するに際し、技術事務局は、冒頭査
察の間に感得した特徴と査察された事業所が操業している枠組みとの整合性を検
討しなければならない。施設の特定の特徴が誤って解釈されないように、次の要
因が当然勘案されねばならない。−気候及び他の環境要因、国内法制又は容認さ
れた産業的慣行、安全及び環境保護の基準及び規則、事業所固有の法規及び習慣、
並びに住居区域と関係のある事業所の立地−これらは、事業所及びその内部に所
在する工場の設計に影響を及ぼすことがある。
冒頭査察の間に行われた危険度評価は、技術事務局にとって査察頻度の決定に
おける出発点となる。時間外労働並びに申告及び検証活動に関する事業所の実績
等の追加的要素もまた考慮されねばならない。
上に掲げた要因の全部が考慮されるべしというわけではない。上記のすべてが、
事業所が査察団に提供する義務を有する考慮されるべき情報というわけではな
い。査察は、効果的な時宜を得た検証の実施のため、事業所に対し極力迷惑のか
からない方法で行われねばならない。
−
5.
6.
7.
8.
9.
8.3.2
表 2 剤:廃棄物処理における表 2 剤の消費についての解釈
C-I/DEC.37
「廃棄物処理」と題した 1997 年 5 月 16 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-VII/8 の第 6.6 において、表剤に関して廃棄物処理についての解
釈を採択したことを想起し(PC-VII/B/WP.7 の第 3.3 項)、
委員会がその最終報告書の第 50.4 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意し、
化 学 兵 器 禁止条約法令集
ここに:
次の解釈を採択する:
表 2 剤が廃棄物管理又は処理過程において当該剤に関わる敷居値を超える量で消
費される工場を有する事業所は、第 7 部第 8 項に従ってこの消費を申告するもので
あることと解釈された。
8.3.3
表 2 剤:回収再利用された表 2 剤についての解釈
C-I/DEC.42 「回収再利用された表 2 剤」と題する 1997 年 5 月 16 日採択の
会議決定
会議は、
委員会がその PC-IX/11 の第 7.2 項において、回収再利用された表 2 剤についての
解釈を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 50.4 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
1.
回収再利用された表 2 剤についての解釈を採択する。
附属書
回収再利用された表 2 剤 29
29
1.
2.
PC-VIII/B/WP.10 の 第 2.1 項 及 び 第2.2 項 に 含 ま れ る 。
「回収再利用された表 2 剤」とは、ある工程で部分的に転換され又は消費さ
れ、その後回収され、続いて他の転換又は消費のサイクル用に工程の上流に再投
入される化学物質のことをいう。不完全な回収によって生ずる工程サイクルから
の表 2 剤のなんらかの損失は、推定量によって補正される(純損)。
表 2 剤が消費のサイクル及び再生に投入される工場を含む事業所は、
(X+Y)
の合計が申告敷居値を超える場合には、第 7 部第 8 項に従って申告を行うもの
と解釈される。ここで:
X は、申告敷居値と同じ単位で表示された、次の数量をいう:
(a)
バッチ工程では、投入された表 2 剤の全量(投入の後消費され、再生さ
れ、続いて別の工程段階で回収される);又は
(b)
連続工程では、反応器及び工程流中に存在するすべての数量;及び
Y は、申告敷居値と同じ単位で表示された、当該化学物質の純損の年間合計補
正量をいう。
化学兵器禁止条約法令集
更に、再生工程はサイクル中での表 2 剤の生産として申告する必要がないこ
とが了解された。
8.3.4
表 2 剤及び表 3 剤:検証附属書第 7 部第 32項及び
第 8 部第 26項中の「最終用途」及び
「最終使用者」の意味についての解釈
C-III/DEC.6 「条約検証附属書第 7 部第 32 項及び第 8 部第 26 項」と題する
1998 年 11 月 17 日採択の会議決定
会議は、
化学兵器条約の非加盟国内の貿易業者/貿易会社へ表 2 剤及び表 3 剤を移譲する場
合における最終用途証明書に含まれるべき情報事項を考察し;
条約非加盟国への表 2 剤及び表 3 剤の移譲のための検証附属書第 7 部第 32 項及び
第 8 部第 26 項に則った最終用途証明書についての執行理事会の決定に留意し(1998
年 1 月 30 日付け EC-VIII/DEC.3);
執行理事会がその 1998 年 4 月 24 日付け EC-IX/DEC.11 決定において、会議が上
記事項についての合意を採択するよう勧告したことに留意し;
ここに:
実際の最終使用者ではない、条約非加盟国内の輸入者(すなわち貿易業者)に移譲
する場合において、「(d)それらの最終用途、及び(e) 最終使用者の名称及び住所」の
用語は、この場合、移譲が認可される前に、条約検証附属書第 7 部第 32 項及び第 8
部第 26 項並びに国の法規及び慣行に合致する方法での、輸入者による表明が得られ
なければならない、この際この輸入者は最終使用者の名称(氏名)及び住所を特定す
ることを義務づけられる、ということを意味するものと解釈されることを決定する。
8.3.5
表 2 剤及び表 3 剤:検証附属書第 7 部第 32項及び第 8部
第 26 項中の「証明書」の意味についての解釈
C-III/DEC.7 「検証附属書第 7 部第 32 項及び第 8 部第 26 項に則る条約非加
盟国への表 2 剤及び表 3 剤の移譲のための最終用途証明書」と題する 1998 年 11
月 17 日採択の会議決定
会議は、
検証附属書第 7 部第 32 項及び第 8 部第 26 項において用いられる「受領国に対し
証明書を要請する」という用語の意味の問題を吟味し;
この問題に関して最終用途証明書についての法律顧問の見解(1997 年 11 月 14 日
付け EC-VII/TS.1)を念頭に置き;
執行理事会がその 1998 年 1 月 30 日付け EC-VIII/DEC.3 の決定において、会議が
化 学 兵 器 禁止条約法令集
上記解釈を採択するよう勧告したことに留意し;
ここに:
検証附属書第 7 部第 32 項及び第 8 部第 26 項において用いられる「受領国に対し
証明書を要請する」という用語は、
「当該条約非加盟国の正当な政府機関から発行され
た最終用途証明書」を意味すると解釈されるものであり、また上記に係る条項の(a)
から(e)各項に明記されたすべての要件を含むものであると決定する。
8.3.6
表 2 剤及び表 3 剤:検証附属書第 7 部第 12項及び
第 8 部第 12項の実施
EC-XIV/DG.7/Rev.1 第 3 回締約国会議で要請された 1999 年 2 月 2 日付け報
告 30
第 3 回締約国会議報告書からの抜粋(
C-III/4
30
11.2
会 議 は 、1997 年4 月29 日 ∼1998
年10
)
月
23
日の期間における技術事務局によ
る 秘 密 情 報 の 扱 い を 統 括 す る 規 制 の 実 施 に つ い て の 事 務 局 長 の 報 告 ( 1998 年 11 月 4
日 付 け C-III/DG.8、 及 び 1998 年 11 月13 日 付 けCorr.1 ) 及 び 締 約 国 か ら の 意 見 を
指摘した。
11.3
会議は、理事会に情報開示の問題を更に議論することを課すこと、並びに、秘密
保 護 附 属 書 、 OPCW 秘 密 保 護 綱 領 及 びOPCW メ デ ィ ア 広 報 綱 領 を 含 む 条 約 の 関 連 条
項に従って技術事務局により実施された査察結果を含む、検証活動についての情報
を理事会へ報告するための様式を準備すること、を決定した。
11.4
会議は技術事務局に対し、技術事務局がどのように検証附属書
7第
の 第 12 項 の 条 項 を 実 施 す る か に つ い て の 報 告 を 第
14
部及8
び第
部
回執行理事会に提示すること
を要求した。
事務局長による報告
検証附属書第 7 部第 12 項及び第 8部第 12項の条項の実施
1.
第 3 回締約国会議は、技術事務局(以下「事務局」)に対し、検証附属書第 7
部第 12 項及び第 8 部第 12 項の条項を事務局としてどのように実施するかにつ
いての報告を第 14 回執行理事会に提出するよう要請した(1998 年 11 月 20 日付
け C-III/4 の第 11.4 項)。この報告は、この案件を 1999 年 OPCW 計画及び予算
によって設定された範囲の枠内で取り扱う(1998 年 11 月 20 日付け
C-III/DEC.16)。
背景
2.
1997 年 5 月に化学兵器条約が発効して以来、事務局は条約第 6 条、検証附属
書第 7 部及び第 8 部に基づく冒頭申告を受理した。表 2 剤事業所の査察が 1997
化学兵器禁止条約法令集
年 11 月に開始された。1997 年に 4 件、1998 年に 68 件の査察が行われ、残余の
事業所の査察は今開始された。事務局は 1999 年に 88 件の表 2 剤施設の査察を
行う予定である。表 3 剤査察は 1998 年 9 月に始まったが、この年には合計 13
の事業所が査察された。事務局は 1999 年に 7 件の表 3 剤査察を実施することと
している。
検証附属書第 7 部第 12 項
3.
1997 年に申告された表 2 剤事業所のうち、129 事業所が検証敷居値超の生産、
加工又は消費活動に関わっていた。このうち 3 事業所における活動については、
1994 年には検証敷居値超の表 2 剤を扱っていたが、続く 1995 年、1996 年及び
1997 年にはそれがない。事務局はこのうち 2 事業所の査察を 1998 年に実施し
たが、これは、当該査察の年の 3 年以上前になされた冒頭申告を基に表 2 剤事
業所査察を行うことは可能であるとの仮定の上に立って行われたものである。こ
れは、「第 12 項の規定に従って査察が行われる事業所については、この条約が効
力を生じた後できる限り速やかに、望ましくは 3 年以内に冒頭査察を行う」と
述べた検証附属書第 7 部第 16 項の規定とともに、第 12 項の規定に従ったものと
見られる。
4.
この見解は、第 12 項の規定を根拠として関心を有する多数の加盟国による異
議申立てを受けるところとなった。この規定には、
「…検証については、…[表 2
剤のための特別な敷居値]の量を超える化学物質を、前 3 暦年のいずれかの年
において生産し、加工し若しくは消費した、又は翌暦年において生産し、加工し
若しくは消費することが予想される…それら事業所における現地査察を通じて行
う」と述べられている。
5.
この事情、並びに、上記 3 事業所の 3 番目が表 2 剤の消費者であり条約の趣
旨及び目的に対して危険度が低いと評価された(幾つかの代表団の見解ではこれ
は適切でないとされたが)という事実に鑑み、事務局は論議を慎重に検討し、そ
れ以降は後者(訳註;異議申立てを行った加盟国)の解釈を基礎として進めるこ
とに決定した。これを受けて、1998 年 9 月に、第 12 項(a)∼(c) に規定する敷居
値を超える表 2 剤を、前 3 暦年のいずれかの年において生産し、加工し若しく
は消費した、又は翌暦年において生産し、加工し若しくは消費することが予想さ
れる表 2 剤事業所のみについて冒頭査察を含めて査察を計画することが、検証
部に対し指示された。これが、1998 年 9 月以降の、検証附属書第 7 部第 12 項の
実施についての事務局の方針となったのである。
6.
1999 年計画及び予算に示された 88 件の表 2 剤査察については、1998 年 11 月
20 日までに既に申告した 38 箇所の表 2 剤事業所において、更にこの日以降に
締約国から申告されるであろう 50 事業所において、冒頭査察が実施される予定
である。事務局は 1999 年前半にそれまでに申告された事業所を、後半には新規
に申告される事業所を査察する計画である。
検証附属書第 8 部第 12 項
7.
表 3 剤査察については、検証附属書第 8 部第 12 項には、「検証については、
…申告された事業所であって、30 トンの申告敷居値を超える表 3 剤の生産の総
量が、前暦年において 200 トンを超え又は翌暦年において 200 トンを超えると
化 学 兵 器 禁止条約法令集
予想されるものにおいて、現地査察を通じて行う」と述べられている。1998 年
に検証附属書第 8 部第 14 項に従って査察のための表 3 剤事業所の無作為選定を
確実にするための電子計算機ソフトが開発された(1998 年 8 月 24 日付け
EC-XI/TS.3)。このソフトは、1998 年の査察について 13 箇所の事業所を選ぶの
に使用された。このソフトは最近、選定される被査察事業所についてより地理的
衡平配分が確実となるように改良され(1999 年 1 月 18 日付け EC-XIV/TS.1)、
1999 年計画及び予算に示された 7 箇所の表 3 剤事業所の選定に使用された。無
作為選定のために用いられる表 3 剤事業所のデータベースは、検証附属書第 8
部第 12 項に規定された敷居値を超える表 3 剤を前暦年に生産した事業所によっ
て構成される。これが、検証附属書第 8 部第 12 項の実施に関する現行の方針で
ある。
8.3.7
表 2 剤及び表 3 剤:端数調整則の適用についての解釈
S/105/99 「端数調整則の適用についての解釈」と題する 1999 年 4 月 15 日付
け事務局長覚書
背景
1.
2.
化学産業の表 2 剤及び表 3 剤事業所の査察の実施中に、技術事務局(以下「事
務局」)は、幾つかの場合において表剤の申告数量と現地記録及び/又は観察によっ
て算出される数量との間に相違があることを観察した。査察団に対するこれら相
違の説明において幾つかの締約国は、もし端数調整則−彼らの国内規則にせよ申
告手引書 B 章に与えられたものにせよ−を適用すれば、査察団によって観察さ
れた相違は、端数調整則で与えられたぶれの中に入るのではないかと指摘した。
更にこれら締約国は、申告手引書の内容は未だ締約国会議によって採択されてい
ないため、この端数調整則の使用は義務的なものではなく、したがって彼らの申
告にこれを適用しなかったと述べた。
査察期間中に、被査察締約国が端数調整則を特別に適用したことに関係する申
告数値データが変更されることは、検証附属書第 7 部第 15 項、適切な場合には
第 8 部第 17 項、に明記されている査察目的に則し、査察団の観察と申告データ
の整合性を査察団が評価することを困難ならしめた。
事務局の解釈
3.
事務局は、もし締約国がその申告の中で端数調整則を使用することになったな
らば、これら規則は事務局に提出される申告に適用されるべきであり、査察の実
施における申告内容の変更として使用されるべきではないとの解釈を主張するも
のである。もしある締約国がその申告に端数調整則を使用したなら、OPCW 査
察団は、同一規則を査察における彼等の観察にも適用することとなる。
4.
事務局としては、使用されるべき端数調整則は、会議による代替の指針が決定
されるまでは、申告手引書 B 章に記載されるものであるべきとの立場をとって
いる。これらの端数調整則の使用は、検証部の計画員及び査察団が申告数値デー
化学兵器禁止条約法令集
タの意義をよりよく評価することを可能ならしめるとともに、事務局に申告され
た表剤の数量と現地において OPCW 査察団によって検証されたそれとに関して
査察員と被査察締約国の間の誤解を避ける助けとなろう。
事務局はまた、申告にこれら端数調整則を適用した締約国は査察前説明時にそ
のことを査察団に告げることを勧告する。
5.
8.3.8 表 2 剤、表 3 剤及び DOC/PSF
:検証附属書第 部、第
7
8
部
及び第 9 部における「工場又は事業所の主要な活動」の解釈
S/101/99 「検証附属書第 7 部、第 8 部及び第 9 部による申告によって得られ
る「工場又は事業所の主要な活動」の解釈」と題する 1999 年 4 月 8 日付け事務
局長覚書
背景
1.
検証附属書第 7 部に基づく検証制度の実施過程において、技術事務局(以下「事
務局」)は幾つかの締約国から、申告様式における「工場又は事業所の主要な活動」
の詳細を記載する旨の要求につきその解釈を再検討するよう要請された。この記
載要求、これは申告手引書(産業申告)B 章の様式 2.3/3.3 及び 4.1 に反映され
ているが、は、各工場又は事業所の主要な活動を特定するために、製品分類コー
ド(申告手引書附属書 4)と併せて、主要な活動コード(申告手引書附属書 3)
を示すよう求めるものである。
事務局の解釈
2.
事務局は、検証附属書第 7 部、第 8 部及び第 9 部に基づいて要求される「工
場又は事業所の主要な活動」の申告に関してその解釈を再検討した。そしてこの
要求を次のように解釈するものである:
(a)
申告手引書 B 章の様式 2.3/3.3 及び 4.1 において、附属書 3 に掲げられた
主要活動コードへの言及がなされるべきでない。この変更は、この覚書の附
属書 1 に付された様式 2.3/3.3 及び 4.1 の訂正版に反映されている;及び
(b)
附属書 4 (この覚書の附属書 2 参照)に掲げられた製品分類コード(標準
国際貿易分類(SITC )コード)が、工場又は事業所で生産された最終製品
の種類を記載するのに使用されるべきである。例としては、ある表 2 剤を
生産、消費又は加工している工場の場合では、その主な活動は、附属書 4
に「プラスチックの板、シート、薄膜、箔及び小片」として区分されるコー
ド「582」の製品部類に入る化学物質又は製品の「生産」として特定できる。
[この冊子には附属書 1 及び 2 は掲載されていない]
8.3.9
表 2 剤:表 2 剤冒頭査察における記録査察についての解釈
化 学 兵 器 禁止条約法令集
EC-XV/TS.2 「 表 2 剤冒頭査察おける記録査察についての解釈」と題する 1999
年 4 月 22 日付け事務局長覚書[抄]
6.
7.
8.
9.
…この案件について執行理事会及び締約国会議から明確な指針が示されるま
で、事務局は、申告された表 2 剤事業所の冒頭査察における記録類の検証につ
いて、次の方針を引き続き採用する。
査察団は、冒頭査察が実施される年の 3 暦年前に申告された生産、加工又は
消費活動の記録類へのアクセスを行うよう当初において指示されていた。このよ
うな記録類が生産、加工又は消費の次元において不一致を示す場合にのみ、査察
団は当該冒頭査察の年の 3 年以上前の各年について申告された生産、加工又は
消費活動の記録類へのアクセスを試みる。
かかる状況下でのこれら記録類へのアクセス不能は、暫定査察報告書中の「未
解決事項」の節及び最終査察報告書中の「更に注意を要する事項」の節に記入さ
れることが考えられよう。
これに関連して締約国によってとられる何らかの決定は、この問題が発生した
いかなる特別な査察にも遡及して適用されることになろう。
8.3.10
DOC/PSF :検証附属書第 9 部に関する解釈
C-I/DEC.39 「検証附属書第 9 部に関する解釈」と題する 1997 年 5 月 16 日
採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-VII/8 の第 6.6 項において、検証附属書第 9 部に関する解釈を採
択したことを想起し、
委員会がその最終報告の第 50.4 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧告
したことに留意して、
ここに:
1.
検証附属書第 9 部に関する解釈を採択する。
附属書
検証附属書第 9 部に関する解釈 31
31
1.
PC-VII/B/WP.7 の 第 3.5 項 に 含 ま れ る 。
検証附属書第 9 部第 1 項(a)に規定される「表剤以外の識別可能な有機化学物
質」の用語及び同部第 1 項(b)に規定される「PSF 化学物質」の用語は、次を含
まない:
化学兵器禁止条約法令集
(a)
32
リン、硫黄又はフッ素を含むか否かに関係なく、低重合体(オリゴマー)
及び重合体(ポリマー)32;
し か し な が ら 単 量 体 の 生 産 は 、 も し 当 該 単 量 体 が DOC の 定 義 に 合 致 す る な ら ば 、 当 該
用 語 ( DOC ; 訳 註 ) に 包 含 さ れ る 。
2.
3.
4.
(b)
炭素及び金属のみを含む化学物質。
表剤以外の識別可能な有機化学物質(DOC)の定義における「 炭素の酸化物」
の用語は、一酸化炭素及び二酸化炭素に当てはまる。同じ定義中の「炭素の硫化
物」の用語は、二硫化炭素に当てはまる。これら両方の用語は、硫化カルボニル
に当てはまる。
検証附属書第 9 部第 1 項(a)に従った事業所の「表剤以外の識別可能な有機化
学物質のおよその総生産量」の計算に当たって、生産データは次を含む方法で積
算されなければならない:
(a)
同一工場において表剤以外の DOC を 2 物質以上生産する場合は、これら
すべての表剤以外の DOC の合計;
(b)
多段階工程の場合は、もし最終製品が表剤以外の DOC であれば当該最終
製品の数量のみ、又は、多段階合成における表剤以外の DOC の定義に合致
した最終中間体の数量;
(c)
表剤以外の DOC の定義に合致した中間体が事業所内の別工場で表剤以外
の DOC の生産に使われる場合は、当該中間体及び当該別工場で当該中間体
から生産された製品の合計数量。
第 9 部の規定から除外される生産に関して、「炭化水素」の用語は、化合物内
の炭素原子数に関係なくすべての炭化水素(つまり炭素及び水素のみを含む化学
物質)を含む。
8.3.11
表 2 剤及び表 3 剤:表 2剤及び表 3剤の
低濃度混合物に関する指針
C-IV/DEC.16 「検証附属書第 7 部及び第 8 部第 5 項を受けた、混合物を含む
低濃度表剤に係る規定のための指針(パリ決議第 12 項(t))」と題する 1999 年 7
月 1 日採択の会議決定
会議は、
条約が締約国会議に対し、低濃度混合物中の表 2 剤及び表 3 剤の申告についての
指針を採択するよう求めていることを想起し(それぞれ検証附属書第 7 部及び第 8
部第 5 項);
更に、低濃度指針問題が、OPCW 締約国会議の準備委員会の最終報告書に未解決
事項として掲げられ(PC-XVI/37 の第 79 項)、第 1 回締約国会議により全体委員会
に付託された(1997 年 5 月 12 日付け C-I/2 )ことを想起し;
また、未解決事項の解決に関する手続についての第 3 回間会期期間(会期と会期
化 学 兵 器 禁止条約法令集
の間の期間)中の締約国会議決定を想起し(1998 年 11 月 20 日付け C-III/DEC.11);
事務局長による報告書(1998 年 4 月 21 日付け EC-IX/DG.8)において記述された
とおり、かかる指針なしでは、各締約国内において異なる国内規制が適用され、ひい
ては施設の申告及び査察に関して条約が不公平に実施されるかもしれないことを認識
し;
低濃度指針について、条約の非差別的かつ効果的な実施を確保する、共通の方法が
適用されることに対する要望を強調し;
表 2 剤又は表 3 剤を含む混合物の問題は条約第 6 条に基づく事業所の申告問題を
超えて更に波及する、とりわけ条約上の表 2 剤又は表 3 剤移譲規制の適用問題にま
で波及するという事実を認識し、及び後者の問題は申告のための指針に関する低濃度
問題と切り離して孤立して議論され解決されるべきではないことを考慮に入れ;
この関係で、受領国からの最終用途証明が、移譲された化学物質が条約により禁止
されない目的でのみ使用されるということを保証しない限り、条約が、表 2 剤又は
表 3 剤の非締約国への移譲を禁止していることを想起し、並びに条約検証附属書第 7
部第 32 項及び第 8 部第 26 項に関する会議決定(C-III/DEC.6 及び C-III/DEC.7 、両
方とも 1998 年 11 月 17 日付け)に締約国の注意を惹きつけ;
更に、検証附属書第 7 部第 31 項に従い、条約発効後 3 年が経過した時以降は表 2
剤は非締約国との間で移譲されてはならないこと、及び表 3 剤の非締約国への移譲
に関して、検証附属書第 8 部第 27 項に従い条約発効後 5 年を経過した時に、会議が
他の措置をとる必要性について検討しなければならないことを想起し;
また、これら問題の決議が締約国内の対象事業者に対し重要な経済的及び行政的性
側面を有すること、並びにこれら問題が第 6 条第 11 項に従い解決されねばならない
ことを想起し;
この関係の全体委員会の報告書を受理したので;
ここに:
1.
全締約国に対し検証附属書第 7 部第 31 項及び第 32 項並びに第 8 部第 26 項の
規定の効果的な実施を確実にするよう促す;
2.
検証附属書第 7 部及び第 8 部第 5 項に基づく事業所申告が、混合物に含まれ
る表 2 剤又は表 3 剤の濃度のみならず数量によっても引き起こされることを確
認する。申告は、混合物に含まれる表 2 剤又は表 3 剤の数量がそれぞれ対応す
る申告敷居値を超え、その濃度が将来決定される濃度敷居値を超えるときに必要
とされる;
3.
執行理事会に対し、第 17 回会期中に次を検討し採択するべく準備を行うよう
要求する、
(a)
締約国がこれら指針を実施する必要が生じる日程についての勧告を含む、
検証附属書第 7 部及び第 8 部に基づく申告のための、適用可能な濃度敷居
値についての勧告;及び
(b)
表 2 剤又は表 3 剤を含む混合物に関する、検証附属書第 7 部第 31 項及び
第 32 項並びに第 8 部第 26 項の適用についての勧告。
化学兵器禁止条約法令集
8.3.12
表 2 剤及び表 3 剤:表 2剤及び表 3剤申告に係る
低濃度敷居値に関する指針
C-V/DEC.19 「表 2 剤及び表 3 剤申告に係る低濃度敷居値に関する指針」と
題する 2000 年 5 月 19 日採択の会議決定
締約国会議は、
検証附属書第 7 部及び第 8 部第 5 項を受けた、混合物を含む低濃度表剤に係る規
定のための指針についての第 4 回締約国会議決定を想起し(1999 年 7 月 1 日付け
C-IV/DEC.16);
条約の非差別的及び効果的な実施を確保するため、低濃度の表 2 剤と表 3 剤に係
る規定の調和を追求することを決意し;
締約国に対するかかる指針の実施の経済的及び行政的影響を認識し;
第 10 回執行理事会決定が、締約国会議がその第 5 回会期において当該決定を審議
し採択するよう勧告しているが、この第 10 回執行理事会決定に注目し;
ここに:
1.
検証附属書第 7 部及び第 8 部に基づく申告に係る濃度敷居値の適用に関して、
次を決定する:
(i)
30 パーセント以下の表 2B 剤又は表 3 剤を含む化学物質混合物について
は、申告は必要ない;及び
(ii)
締約国は、2002 年 1 月 1 日までにこれらの指針を実施するため、第 7 条
第 1 項に従った措置をとる必要がある;並びに
2.
事務局長に対し、表 2A 剤及び表 2A*剤を含む化学物質混合物のための適用可
能な濃度敷居値に関係するすべての側面について科学諮問委員会をしてこれを検
討せしめるよう要求し、並びに事務局長に対し、執行理事会が、当該結果を検討
し第 6 回締約国会議において締約国が審議するための決定を取りまとめ提出す
ることが可能となるべく、当該決定を執行理事会に報告するよう要求する。
8.3.13
表 2 剤及び表 3 剤:第 6条並びに検証附属書第 7部
及び第 8 部による申告に関する解釈
EC-31/DEC.7 「化学兵器禁止条約第 6 条並びに検証附属書第 7 部及び第 8 部
による申告に関する解釈」と題する 2002 年 12 月 11 日付け執行理事会決定
執行理事会は、
化学兵器禁止条約(以下「条約」)第 2 条第 12 項(a)、(b)及び(c)においてそれぞれ、
第 6 条の規定の適用上、化学物質の「生産」とは、化学反応により化学物質を生成
することをいう;化学物質の「加工」とは、化学物質が他の化学物質に転換すること
のない物理的な工程(例えば、調合、抽出、精製)をいう;及び化学物質の「消費」
とは、化学物質が化学反応により他の化学物質に転換することをいう、と規定されて
化 学 兵 器 禁止条約法令集
いることを想起し;
更に、条約検証附属書(以下「検証附属書」)第 1 部第 6 項(a)において、
「事業所」
(例えば、工業所、製作所)とは、中間的な管理組織を有する 1 又は 2 以上の工場が
地域的に統合されたものであって、単一の運営管理の下にあり、かつ、共通の基盤的
施設(例えば、第 6 項(a)の (i)から(viii)に掲げるもの)を有するものをいう、と規定
されていることを想起し;
更に、検証附属書第 1 部第 6 項(b) において、
「工場」
(例えば、生産施設、作業所)
とは、補助的な及び付随する基盤的施設(例えば、第 6 項(b)の(i)から(vi) までに掲げ
るもの)を有する 1 又は 2 以上の設備単位を含む敷地、工作物又は建物であって相対
的に独立したものをいう、と規定されていることを想起し;
更に、検証附属書第 1 部第 6 項(c)において、
「設備単位」
(例えば、生産の設備単
位、加工の設備単位)とは、化学物質の生産、加工又は消費に必要な設備の組合せ(槽
及び槽に付随する設備を含む。)をいう、と規定されていることを想起し;
更に、検証附属書第 7 部第 3 項において、申告については、次に掲げるいずれか
の量を超える化学物質を、前 3 暦年のいずれかの年において生産し、加工し若しく
は消費した 1 若しくは 2 以上の工場又は翌暦年において生産し、加工し、若しくは消
費することが予想される 1 若しくは 2 以上の工場を有するすべての事業所について必
要とする、と規定されていることを想起し:表 2A において(*)が付されている化
学物質については 1 キログラム;表 2A に掲げる化学物質((*)が付されているもの
を除く。)については 100 キログラム;表 2B に掲げる化学物質については 1 トン;
更に、検証附属書第 8 部第 3 項において、申告については、30 トンを超える表 3
の化学物質を前暦年において生産した 1 若しくは 2 以上の工場又は翌暦年において生
産することが予想される 1 若しくは 2 以上の工場を有するすべての事業所について必
要とする、と規定されていることを想起し;
更に、表 2 剤が廃棄物管理又は処理過程において当該剤に関わる敷居値を超える
量で消費される工場を有する事業所は、検証附属書第 7 部第 8 項に従ってこの消費
を申告するものである、との決定( 第 1 回会期における関連する締約国会議(以下「会
議」)決定に含まれる(1997 年 5 月 16 日付け C-I/DEC.37)
)を想起し;
更に、表 2B 剤及び表 3 剤申告に係る低濃度敷居値についての指針(第 5 回会期に
おける関連する会議決定に含まれる(2000 年 5 月 19 日付け C-V/DEC.19)
)を想起
し;
更に、表剤申告に関する端数調整則(関連する執行理事会決定に含まれる(2000
年 4 月 7 日付け EC-XIX/DEC.5))を想起し;
ある種の化学反応工程においては、表 2 剤及び表 3 剤が第 5 回会期において会議
により決定された敷居値(C-V/DEC.19 )よりも低い濃度で生産され、当該物質がそ
の後同一工場内で敷居値を超える濃度にまで加工され得るということ、並びにこの状
況は条約の不公平な適用につながり得、条約の趣旨及び目的に反し得るということを
認識し;
条約第 2 条における「生産」の定義の説明は、表 2 剤及び表 3 剤申告に適用され
ることに注目し;
締約国が統一された方法で申告義務を履行することを支援するために、及び化学兵
器禁止機関が使用することとなるよりよい情報を提供するために、生産、加工又は消
費に関する標準化された申告手法が適切な場合には必要であることを考慮し;
化学兵器禁止条約法令集
このような指針が締約国に与える経済的及び行政的影響を認識し;及び
特に自家消費及び低濃度を決定する方法の関係で、この問題を解決する作業を継続
する必要性を認識して;
ここに、会議がその第 8 回会期において次の事項を決定するよう勧告する:
1.
表 2 剤又は表 3 剤の生産は、申告目的のため、同一工場内の設備単位におけ
る化学物質の生産に係る化学反応工程中のすべての段階を含み、化学物質が他の
化学物質に転換することのない工程であって化学物質の生産に付随するものすべ
て(例えば、精錬、分離、抽出、蒸留、又は精製)を含むものと解釈されること。
付随する工程(例えば、精錬等)の正確な性質は、申告する必要はない;
2.
各物質に対応する申告の数量敷居値を超えて、かつ、各物質に対応する低濃度
敷居値を超える濃度で表 2 剤を生産、加工、又は消費する 1 又は 2 以上の工場
を有するすべての事業所について申告が必要となること。申告された「生産」の
一部である加工段階は、加工として別途申告されてはならない;
3.
申告の数量敷居値を超えて、かつ、低濃度敷居値を超える濃度で表 3 剤を生
産する 1 又は 2 以上の工場を有するすべての事業所について申告が必要となるこ
と;
4.
申告目的のため、申告対象の表 2 剤又は表 3 剤の濃度は、直接又は間接に測
定されてもよいこと(化学反応工程上の測定、物質収支、又はその他の入手可能
な工場の資料を含む)
;
5.
「遷移中間体」とは、化学反応工程において生産される化学物質であって、当
該化学物質が熱力学及び反応速度論の用語における「遷移状態」で存在するため
に極めて短い時間でのみ存在し、工場の改造若しくは解体、若しくは反応条件を
つかさどる工程の改変、又は反応工程の完全停止によってさえ単離することので
きないものを意味すると解釈されること、並びに、それゆえに申告の要求は「遷
移中間体」には適用されないこと;及び
6.
締約国に対し、できるだけ速やかに、かつ、いかなる場合も 2005 年 1 月 1 日
より遅くならないように上記を実施するため、第 7 条第 1 項に従い、必要な措置
を講じるよう要求すること。
8.3.14
表 2 剤及び表 3 剤:表 2剤の生産、加工、消費、
輸入及び輸出並びに表 3 剤の輸入及び輸出の
国内総計データの申告に関する指針
C-7/DEC.14 「表 2 剤の生産、加工、消費、輸入及び輸出並びに表 3 剤の輸入
及び輸出の国内総計データの申告に関する指針」と題する 2002 年 10 月 10 日採
択の会議決定
締約国会議は、
化学兵器禁止条約( 以下「条約」)が締約国に対し、化学兵器禁止条約検証附属書(以
下「検証附属書」)第 7 部第 1 項及び第 8 部第 1 項の規定に基づき表 2 剤及び表 3 剤
化 学 兵 器 禁止条約法令集
の国内総計データ( AND)の申告を行うよう要請していることを想起し;
また、締約国会議(以下「会議」)がその第 2 回会期において 1997 年 12 月 5 日付
け C-II/DEC.8 により、並びに、執行理事会(以下「理事会」)が 1998 年 1 月 30 日
付け EC-VIII/DEC.2 及び 1998 年 4 月 24 日付け EC-IX/DEC.10*により、締約国に対
し、表 2 剤及び表 3 剤が申告されることとなる根拠を提供するよう要請したことを
想起し;並びに、また、この関係で締約国から提供された情報についての技術事務局
(以下「事務局」)の報告を想起し;
更に、会議によりその第 5 回会期において採択された、表 2 剤及び表 3 剤申告に
係る低濃度敷居値についての指針を想起し(2000 年 5 月 19 日付け C-V/DEC.19);
国内当局が AND 並びに関連する事業所の輸入及び輸出のデータを統一され調和さ
れた方法で届け出るために、並びに、貿易の通常の形態を明らかにするに当たり並び
に条約の趣旨及び目的にとり重要ないかなる傾向をも把握するに当たり、国内当局が
より有意義で比較可能な情報を機関の使用のために提供するために、申告義務に関し
標準化された方式が必要であることを考慮し;
締約国による本指針実施の財政的及び行政的影響並びに単純かつ実践的な方式の望
ましさを認識し;
会議が第 7 回会期においてこの決定を検討し採択するよう勧告した第 30 回理事会
決定(2002 年 9 月 13 日付け EC-30/DEC.14)に注目し;
次の事項を決定する:
1.
検証附属書第 7 部第 1 項及び第 8 部第 1 項の申告義務を満たすために各締約国
により総計される輸出入データは、申告を行う締約国の領域と他の締約国の領域
との間で申告対象化学物質を移譲する自然人及び法人の活動を、次に明記される
ような形で含まねばならないこと;
2.
検証附属書第 7 部第 1 項による締約国の申告は、関連する低濃度敷居値を用い
て、当該年の当該活動の総量が当該化学物質について検証附属書第 7 部第 3 項
(a)、(b)又は(c)に規定された敷居値を超える場合に、当該表 2 剤化学物質の生産、
加工、消費、輸入及び輸出の量を含まねばならないこと;
3.
検証附属書第 8 部第 1 項による締約国の申告は、関連する低濃度敷居値を用
いて、当該年の当該活動の総量が検証附属書第 8 部第 3 項に規定された敷居値
を超える場合に、当該表 3 剤化学物質の輸入及び輸出の量を含まねばならない
こと;
4.
更に、検証附属書第 7 部第 1 項及び第 8 部第 1 項に基づく締約国の申告が上記
実施項第 2 項又は第 3 項に従い表 2 剤又は表 3 剤の輸入又は輸出を届け出る場
合は、個々の申告はまた、関連する低濃度敷居値を用いて、各送出国及び受領国
ごとの輸入又は輸出された各化学物質の総計された数量をも含まねばならず、こ
れらは明記されねばならないこと。この特別な申告において届け出られた数量が
検証附属書第 7 部第 3 項又は第 8 部第 3 項において当該化学物質について明記
された敷居値より少ない場合は、数量は「<(関連する敷居値数量)」のように表
示されるべきであること 1;
1
この正確な数量は、第 2 項及び第3 項により別々に届け出られる総量に加えられるこ
ととなる。
化学兵器禁止条約法令集
5.
6.
7.
締約国はこれらの指針を実施可能な限り速やかに、かつ 2004 年 1 月 1 日より
前に実施するため、条約第 7 条第 1 項に従い措置をとるよう要請されること;
この決定は、どのように及びいかなる基礎の上に締約国がデータを収集するべ
きかについてでなく、むしろ収集されたデータを締約国が事務局にどのように届
け出るべきかについて指示するものであるが、締約国は、調和された AND 提出
の最初 3 年間についての事務局による分析を基礎として、このこと及びこれら
の指針の実施一般について見直さねばならないこと;及び更に、
理事会は表 3 剤生産の AND 提出を調和させるため作業を継続することを課さ
れねばならないこと。
8.3.15
表 2 剤及び表 3 剤:条約非締約国向け表 2 剤及び
表 3 剤移譲規制の実施
C-V/DEC.16 「条約非締約国向け表 2 剤及び表 3 剤移譲規制の実施」と題す
る 2000 年 5 月 17 日採択の会議決定
会議は、
混合物を含めた低濃度の表剤に関する、検証附属書第 7 部及び第 8 部第 5 項の規
定を受けた指針についての第 4 回締約国会議決定を想起し(1999 年 7 月 1 日付け
C-IV/DEC.16);
表 2 剤又は表 3 剤の条約非締約国への移譲に係る締約国の特別な責任に留意し、
及びこの関係で 2000 年 4 月 29 日に発効した検証附属書第 7 部第 31 項の義務(表 2
剤は締約国間でのみ移譲すること)を想起し;
更に、表 3 剤移譲に関して条約発効後 5 年後(2002 年 4 月 29 日)に会議が他の
措置をとる必要性を検討しなければならないことを想起し;
表 2 剤又は表 3 剤の移譲に関する規定が不純物及び消費財にまで拡大適用されな
いことを確実にする必要性を認識し;
この決定を考慮に入れて製品の移譲は条約で禁止されない目的でのみ行われねばな
らないことに注目し、並びにこの決定に関して、以下の実施条文 1(a)及び(b) におい
て定義された製品移譲の技術面及び可能な限りの安全面を検討し続けたいとの締約国
の欲求を認識し;
更に、第 19 回執行理事会において採択された会議への勧告に注目し(2000 年 5
月 2 日付け EC-XIX/DEC.11)
;
ここに:
1.
条約非締約国への表 2 剤移譲の規定の適用に関して、検証附属書第 7 部第 31
項は、次には適用されないことを決定する:
(a)
1 パーセント以下の表 2A 剤又は表 2A* 剤を含む製品;
(b)
10 パーセント以下の表 2B 剤を含む製品;及び
(c)
個人消費向けの小売用に包装された、又は個人使用のために包装された、
化 学 兵 器 禁止条約法令集
2.
消費財として特定できる製品;並びに
更に、表 3 剤移譲の規定の適用に関して、第 6 回締約国会議において審議に
付されるべく執行理事会が勧告の準備を行うことを要求する。
8.3.16
表 3 剤:条約非締約国向け表 3 剤移譲についての規定
C-VI/DEC.10 「条約非締約国向け表 3 剤移譲についての規定」と題する 2001
年 5 月 17 日採択の会議決定
締約国会議は、
条約非締約国との間の表 2 剤及び表 3 剤移譲規制の実施についての第 5 回締約国
会議(以下「会議」)決定を想起し(2000 年 5 月 17 日付け C-V/DEC.16);
更に、国内実施措置についての第 5 回会議決定を想起し(2000 年 5 月 19 日付け
C-V/DEC.20);
特に、第 6 回会議につながる第 12 回執行理事会(以下「理事会」)決定−条約非
締約国向け表 3 剤移譲についての規定を承認することの勧告−を想起し(2001 年 4
月 4 日付け EC-M-XII/DEC.1);
表 3 剤の条約非締約国への移譲に係る締約国の特別な責任に留意し、及びこの関
係で、移譲する化学物質がこの条約によって禁止されていない目的のためにのみ使用
されることを確保するため必要な措置をとるとの検証附属書第 8 部第 26 項の義務を
想起し;
更に、検証附属書第 8 部第 27 項に従い、会議は、条約発効後 5 年が経過した時、
すなわち 2002 年 4 月 29 日までに、条約非締約国に対する表 3 剤移譲に関して他の
措置をとる必要性について検討しなければならないことを想起し;
かかる措置が、化学兵器拡散防止及び条約への万国加盟促進に対し有効な貢献を行
うことを考慮に入れ;
ここに:
1.
検証附属書第 8 部第 26 項並びに会議決定 C-III/DEC.6 及び C-III/DEC.7(両
方とも 1998 年 11 月 17 日付け)に従い、表 3 剤を条約非締約国に移譲するとき
は受領国から最終用途証明書を要求する、との締約国の義務について締約国の注
意を促す;
2.
条約非締約国への表 3 剤移譲の際に最終用途証明書を要求するとの義務の実
施に関し、及び締約国の更に厳しい措置をとる権利を侵害しないで、最終用途証
明書は次については必要とされないことを決定する:
(i)
30 %以下の表 3 剤を含む製品;
(ii)
個人消費向けの小売用に包装された、又は個人使用のために包装された、
消費財として特定できる製品;
3.
条約非締約国向け表 3 剤移譲についての規定を実施するために国内の立法措
置及び行政措置を適切にとる、並びに条約第 7 条第 5 項に従いとった措置につ
いて機関に通報することを締約国に対し促す;
化学兵器禁止条約法令集
4.
5.
6.
条約実施に関する技術事務局の定期報告書に、条約非締約国向け表 3 剤移譲
に係る検証附属書第 8 部第 26 項の実施について締約国から提供された情報を含
めるよう、技術事務局に対し要求する;
理事会に対し、検証附属書第 8 部第 27 項に基づき表 3 剤移譲に関して他の措
置をとる必要性について検討するよう、及び検討結果を第 7 回会議に報告するよ
う要求する;及び
この決定の実施後 5 年が経過した時に、上記実施条文第 2 項の濃度敷居値が
理事会勧告により再検討されることを勧告する。
8.3.17
表 3 剤:査察のための表 3 剤事業所選定の方法論
EC-XVII/DEC.7 「査察のための表 3 剤事業所選定の方法論」と題する 1999
年 12 月 1 日付け執行理事会決定
執行理事会は、
査察のための表 3 剤事業所の選定に関する検証附属書第 8 部第 14 項の規定を考慮
し;
執行理事会がその第 16 回会期において、査察のための表 3 剤事業所選定の方法論
の比較についての技術事務局覚書に注目したこと(1999 年 9 月 6 日付け
EC-XVI/TS.4 及び 1999 年 9 月 21 日付け正誤文書 1)
、及び、技術事務局に対しこの
分野において更なる解析を行うよう要請しつつ、間会期期間( 会議と会議の間の期間)
に本問題を慎重に審議し続けることを決定したことを想起し;
第 16 回執行理事会から要請された、事務局作成の背景文書に留意し;
ここに:
1.
査察のために表 3 剤事業所は各暦年において次の附属書に示された方法論を
用いて選定されることを決定し;及び
2.
更に、この手法の実施開始後 4 年後に、実際の選定結果を基にこの方法論を
見直すことを決定する。
附属書
査察のための表 3 剤事業所選定の方法論
1.
2.
註
査察のための表 3 剤事業所の選定は、検証附属書第 8 部第 14 項の規定により、
無作為になされる。これは、連続する 2 段階の無作為選定により実施される。
第 1 段階では、次の式を用いて計算される加重因子 f (x)に由来する被査察確
率に従い締約国が選定される。
f (x) = 0.5 x1/2 + 1
(脚註参照)
x1/2 は、√x 、 す な わ ちx の 平 方 根 と 同 一 で あ る 。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
3.
ここで x は、検証附属書第 8 部第 12 項の規定に従い検証対象となるある締約
国内の表 3 剤事業所数を示し、0.5 及び 1 は、検証附属書第 8 部の規定により要
求された地理的に均等な割振りを確実にするために導入された係数である。
第 2 段階は、既に選定された締約国における事業所の無作為選定である。こ
こで、検証附属書第 8 部第 14 項の規定に従い、化学物質、当該事業所の性質及
び当該事業所において行われる活動の性質に関しての、事務局が入手可能な情報
が考慮に入れられる。
化学兵器禁止条約法令集
9. 申立査察関連事項
9.1
申立査察通報書式についての共通解釈
C-I/DEC.44 「申立査察通報書式、書式 1 の脈絡における「(条約違反の可能
性の)懸念を引き起こした基となるすべての適当な情報」に含まれ得る情報の型
の図表例、これら通報書式についての共通解釈、及び申立査察指揮に係る査察命
令の書式」と題する 1997 年 5 月 16 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-XII/17 の第 8.2 項において、書式 1 の脈絡における「(条約違反
の可能性の)懸念を引き起こした基となるすべての適当な情報」に含まれ得る情報の
型の図表例、これら通報書式についての共通解釈、及び申立査察指揮に係る査察命令
の書式とともに申立査察通報書式 1 ∼ 7 を採択したこと想起し、
委員会がその最終報告書の第 51.3 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
1.
書式 1 の脈絡における「(条約違反の可能性の)懸念を引き起こした基となる
すべての適当な情報」に含まれ得る情報の型の図表例、これら通報書式について
の共通解釈、及び申立査察指揮に係る査察命令の書式とともに申立査察通報書式
1 ∼ 7 を採択する。
附属書[抄]
申立査察通報書式、書式 1 の脈絡における
「
(条約違反の可能性の)懸念を引き起こしたすべての適当な情報」
に含まれ得る情報の型の図表例、これら通報書式について
の共通解釈、及び申立査察指揮に係る査察命令の書式33
33
PC-IV/B/WP.10 の 附 属 書 の 附 表1 か ら7 、
PC-IV/B/WP.10
の附属書の第
5
( PC-XIII/18 の 第 7.4 項 に よ り 修 正 )、
PC-XII/B/WP.3 の 附 属 書
1
1.
及び
2
項
に含まれる。
共通解釈
(a)
機密扱い:
初期段階における申立査察要請の機密扱いは、要請締約国の裁量に任され
る。事務局長及び執行理事会がこれを受理するまでは、要請締約国の機密扱
い(もしあれば)が適用される。その後、OPCW から締約国へのすべての
伝達について、適当な OPCW 秘密分類が適用される;及び
(b)
伝達手段:
化 学 兵 器 禁止条約法令集
(c)
(d)
(e)
(f)
(g)
伝達手段は、秘密分類に則したものとなり、いかなる要請も確実に有効な
らしめるため、個別締約国と OPCW の間で確立されねばならない。伝達手
段は、画像(例えば、図形、地図)を含む被伝達内容の明瞭性を確保される
ものでなければならない。OPCW は、秘密保護附属書を遵守することが求
められる;
書式 1。次のことが解釈される:
(i)
申立査察要請の提出物の言語問題は、実際上、全書式の取扱い及び処
理について生じるかもしれない;
(ii)
様式 1 の 4(a)における「 性質」という用語は、条約規定違反(例えば、
化学兵器生産、貯蔵等)の可能性の型に関係する;及び
(iii) 要請締約国が申立査察要請書式においてオブザーバーの国籍又は書式
1 の第 6 項により示された追加的情報を示さないとしても、このことは、
当該要請を検討するに当たり、申立査察のための必要条件が満たされな
いと事務局長が示すだけの理由とはならない;
書式 3。次のことが解釈される:
(i)
書式記入の時間枠は、事務局長が申立査察要請を受理した時から開始
する;及び
(ii)
要請に関係する時間枠は、第 9 条第 16 項及び第 17 項の執行理事会の
活動に適用される時間枠とは関係しない;
書式 4。要請締約国の随意による「適当と思われる追加的情報」の項には、
例えば次の事項が含まれ得ると解釈される:
(i)
追加的な、縮尺附きの地図の提供;
(ii)
特徴のある地点の地理的位置が正確にわかるように明示した、要請さ
れた外縁の指定;及び
(iii) 現場の位置、名前及び所在地に関する詳細を含み得る、追加的情報(も
しわかれば);
書式 4A。次のことが解釈される:
(i)
もし要請締約国が附表 1 にその氏名を示しオブザーバーを派遣するこ
とを選択するならば、書式 4A の使用が必要となる;
(ii)
申立査察要請の伝達と同時に又は伝達後に、事務局長に対し、書式 4A
の情報が通知されるかもしれない。理想的には、要請締約国はこの情報
を可及的速やかに提供するが、いずれにせよ、申立査察を被査察締約国
に実施する意思ありとの事務局長の通知の前に提供する(検証附属書第
10 部第 11 項)。事務局長は、上記通知に書式 4A の情報を含める;及び
(iii) 書式 4A の第 7 項により提供されたデータのほか、要請締約国と事務
局長との間で更なる情報交換があり得る;
書式 6。次のことが解釈される:
(i)
第 2 項において、申立査察要請は、これを行うための必要条件を満
たすものとなる;
(ii)
第 4 項(f)において、この項により情報を提供する際には、事務局長
は判別可能なデータ(例えば、旅券番号等)を含めねばならない;及び
(iii) 第 5 項において、この項による査察装置の一覧についての事務局長
からの情報提供により、入国地点においてその迅速な確認作業が助長さ
化学兵器禁止条約法令集
れる。また、他の情報が提供され得るということも認識された。
申立査察通報書式
書式 1: 申立査察要請書式
(検証附属書第 10 部 B 章第 4 項)
書式 2 : 申立査察要請書式受領通知
(検証附属書第 10 部 B 章第 5 項)
書式 3: 第 9 条第 14 項実施のための書式
書式 4 : 査察施設所在地通知のための申立査察書式
(検証附属書第 10 部 B 章第 6 項及び第 7 項)
書式 4A: 申立査察:要請締約国のオブザーバーの通知
(第 9 条第 12 項、検証附属書第 10 部 B 章第 4 項並びに C 章第 53
項及び第 56 項)
書式 5: 査察施設所在地についての事務局長から執行理事会への情報伝達書式
(検証附属書第 10 部 B 章第 10 項)
書式 6 : 査察施設所在地及び検証附属書第 2 部第 32 項に規定された情報を含
む、被査察締約国への査察の要請の伝達書式
(検証附属書第 10 部 B 章第 11 項)
書式 7: 申立査察実施通報の受領通知書式
(検証附属書第 2 部 D 章第 33 項)
2.
9.2
申立査察要請権利の濫用の然否に係る客観的指標についての解釈
C-I/DEC.45 「執行理事会が第 9 条第 22 項に従い申立査察要請権利の濫用の
然否を検討するに当たり参考となる客観的指標の例証一覧」と題する 1997 年 5
月 16 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-XIII/18 の第 7.4 項において、「執行理事会が第 9 条第 22 項に従
い申立査察要請権利の濫用の然否を検討するに当たり参考となる客観的指標の例証一
覧」を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 51.3 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
1.
「執行理事会が第 9 条第 22 項に従い申立査察要請権利の濫用の然否を検討す
るに当たり参考となる客観的指標の例証一覧」を採択する。
附属書
執行理事会が第 9 条第 22 項に従い申立査察要請権利の濫用の
然否を検討するに当たり参考となる客観的指標34 の例証一覧35
化 学 兵 器 禁止条約法令集
34
こ れ ら の 指 標 は ま た 、 関 連 す る 場 合 は 、 第 9 条 第 17 項 に 基 づ く 執 行 理 事 会 に よ る 意 思
決定を容易にすることができると解釈される。
35
PC-XIII/B/WP.4 の 附 属 書 に 含 ま れ る 。
第 9 条第 22 項において、査察団の最終報告書の検討の一環として、執行理事会は
「申立査察要請権利が濫用されたか否か」についてのいかなる懸念をも検討するよう
規定されている。執行理事会が第 9 条第 23 項に従い、条約違反の可能性の懸念によ
り、状況を是正し条約遵守を確実ならしめるために更なる活動が必要である、と結論
付けた場合には、そのような懸念(申立査察要請権利が濫用されたか否かの懸念)は
生じない。かかる懸念を検討する際に執行理事会は、関連性に応じて次の客観的指標
の 1 つ以上を考慮に入れることができる。この一覧は、包括的又は規定的なものを意
図したものではない。
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
執行理事会が第 9 条第 22 項(b)に従い、要請が条約の範囲内のものであったか
否かについて検討した結果(もしあれば)。
査察要請前の査察施設に関する入手可能情報(すべての情報につきその正確性
及び信頼性が注意深く評価される必要がある)。
査察要請の一部として提出された情報が偽りであると証明されたか否か。
要請締約国が第 9 条第 1 項から第 7 項に従いその選択(申立査察を行うとの選
択)を遂行すると決めた場合の、条約遵守に係る疑念の解明又は解決に向けての
当該要請締約国の努力の結果(入手可能であれば)。
第 9 条第 12 項の規定に従い要請締約国が指名したオブザーバー(もしいれば)
の行為が、機密事項等(例えば、暫定又は最終査察報告書における意見において
参照又は評定されるような)についての懸念に起因するものであったか否か。
以前に、第 9 条第 23 項に従い条約遵守の懸念を払拭するために更なる措置が
必要であるとの執行理事会結論に到達しなかった申立査察の要請が、同一の被査
察事業所に対して同一の要請締約国により為されたか否か。また、もしそうであ
れば、その数及び頻度。
化学兵器禁止条約法令集
10. 化学兵器使用疑惑の調査
10.1 化学兵器使用疑惑の調査の脈絡における
「有資格専門家」の地位についての解釈
C-I/DEC.46 「化学兵器使用疑惑の調査の脈絡における「有資格専門家」の地
位についての解釈」と題する 1997 年 5 月 16 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-XII/17 の第 8.6 項(b)において、化学兵器使用疑惑の調査の脈絡
における「有資格専門家」の地位についての解釈を採択したこと想起し、
委員会がその最終報告書の第 52.3 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
1.
化学兵器使用疑惑の調査の脈絡における「有資格専門家」の地位についての解
釈を採択する。
附属書
化学兵器使用疑惑の調査の脈絡における
「有資格専門家」の地位についての解釈36
36
1.
2.
3.
PC-XII/B/WP.6 の 附 属 書 5 に 含 ま れ る 。
「有資格専門家」は、検証附属書第 11 部第 7 項の規定に従い指名され、必要
に応じ次の第 2 項の第 2 文及び検証附属書第 2 部第 3 項から第 9 項により補充
され、また、検証附属書第 11 部第 8 項に従い査察団員となる。
有資格専門家は、査察団員であるため、査察員としての義務を負う。これら義
務のうち最も顕著なものは、秘密保護及び安全規則遵守に関する義務である。し
かしながら、有資格専門家への要求事項としては、雇用期間に加え、協同作業の
実施及び秘密情報へのアクセスがある。有資格専門家は特定の目的で査察団に参
加するということ、及び、彼等の活動は当該目的及び査察団長の指示に従い限定
されるということに注目することが重要である。この関係でまた、各資格専門家
は雇用契約(おそらくは短期契約を基本として)及び OPCW との個別の守秘義
務契約を締結することが想定される。
有資格専門家の任務の枠内で、彼等は、技術事務局により当該調査のために指
定され検査され承認された承認査察装置のみを使用してよい。技術事務局と協同
で有資格専門家が入国地点に持ち込むかもしれないいかなる追加的装置も、その
領域内において調査が実施されるところの締約国の明示的な同意が得られた場合
のみ、また当該締約国の設定した条件に従う場合のみ、査察地点に持ち込まれる
化 学 兵 器 禁止条約法令集
ことができる。
10.2 化学兵器使用疑惑の調査における
試料採取及び分析についての解釈
C-I/DEC.47 「化学兵器使用疑惑の調査における試料採取及び分析」と題する
1997 年 5 月 16 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-XII/17 の第 8.6 項(b)において、「化学兵器使用疑惑の調査におけ
る試料採取及び分析」と題する文書を採択したことを想起し、
委員会が、上記文書を採択した時に PC-XII/B/WP.6 の第 6.1 項に記載された解釈
に注意したことを想起し、37
37
「 査 察 手 順 専 門 家 会 合 」と題する 、1995 年 11 月 2 日 付 け 準 備 委 員 会 文 書
PC-XII/B/WP.6
の 第 6.1 項 。 当 該 報 告 書 か ら の 関 係 部 分 抜 粋 は 次 の と お り 。
6.1
会合は、化学兵器使用疑惑の調査の脈絡における「有資格専門家」の地位につい
て の 解 釈 ( PC-XI/B/W.P.5 の 第 8.3 項 ) 及 び 「 化 学 兵 器 使 用 疑 惑 の 調 査 に お け る 試
料 採 取 及 び 分 析 」( 1994 年 10 月 25 日 に 暫 定 承 認 さ れ た 。
PC-IX/B/W.P.3
の第
7.3
項参照)の検討を行い、若干の修正を行った。会合は、両方の文書を作業部会 B を
通じ委員会により採択されることを推奨することに合意した(この報告書の附属書 5
及 び 6 )。 会 合 は 、 附 属 書6 中 の い か な る 事 項 も 、 条 約 の 規 定 の い か な る 解 釈 を も 形
成 す る も の と し て 見 な さ れ て は な ら な い こ と に 合 意 し た 。し た が っ て 、附属書 6 は 、
条約に規定されたもの以外の、また条約により許容されたもの以外の措置を正当化
す る た め に 使 用 さ れ る こ と は で き な い と い う こ と が 解 釈 さ れ る 。こ の 脈 絡 に お い て 、
条約の規定に基づく人体からの試料採取については、そのような試料採取に関わる
すべての事項及び当該試料採取の想定される結果についての網羅的な情報提供の後、
関係者個人の明示的な同意がある場合を除き、これを実施してはならない、と会合
は解釈した。この当該個人の同意は、試料採取要求に同意するためのいかなる外部
の圧力も当該個人にかけられないよう十分な注意を払い記録されねばならない。試
料は、専ら条約に規定された目的のために使用されねばならず、他のいかなる使用
も 認 め ら れ て は な ら な い 。意 識 不 明 の 又 は 死 亡 し た 人 の 場 合 に は 、明 示 的 な 同 意 は 、
もし可能であれば、上記手順に従い家族から得られるべきである。
委員会がその最終報告書の第 52.3 項において、会議が上記文書を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
1.
「化学兵器使用疑惑の調査における試料採取及び分析」と題する文書を採択す
る。
化学兵器禁止条約法令集
附属書
化学兵器使用疑惑の調査における試料採取及び分析38 39
38
PC-XII/B/WP.6 の 第 6.1 項 と と も に 、PC-XII/B/WP.6 の 附 属 書6
39
この文書のいかなる事項も、条約の規定のいかなる解釈をも形成するものとして見な
に含まれる。
されてはならない。したがって、この文書は、条約に規定されたもの以外の、また条約に
より許容されたもの以外の措置を正当化するために使用されることはできないということ
が解釈される。この脈絡において、条約の規定に基づく人体からの試料採取については、
そのような試料採取に関わるすべての事項及び当該試料採取の想定される結果についての
網羅的な情報提供の後、関係者個人の明示的な同意がある場合を除き、これを実施しては
ならないと解釈される。この当該個人の同意は、試料採取要求に同意するためのいかなる
外部の圧力も当該個人にかけられないよう十分な注意を払い記録されねばならない。試料
は、専ら条約に規定された目的のために使用されねばならず、他のいかなる使用も認めら
れてはならない。意識不明の又は死亡した人の場合には、明示的な同意は、もし可能であ
れば、上記手順に従い家族から得られるべきである。
I.
1.
時間的要因
調査団は、化学兵器使用疑惑後 3 日から 5 日よりも早く地点に到着すること
はまず期待できない。これは、分析のみならず試料採取にとり重要である:
−
原化学兵器の構成成分の証拠は重要である;
−
吸収剤は特に重要である;
−
蒸発及び分解により、低濃度となるかもしれない;
−
非揮発性の分解生成物のみが、環境試料中に残るかもしれない;
−
分解生成物は、基質の性質に依存するかもしれない;
−
代謝分解生成物のみが、生物試料中に残るかもしれない;
−
安定な副生物は、使用された化学兵器の起源の同定過程において重要な要
素かもしれない。
II.
2.
試料の選択
調査下の地域の初段階における化学剤検知は、試料採取操作に必要となる安全
警戒体制を確立するために必要である。かかる検知は、同時に、適切な試料採取
場所の選択を補助するために使用されることができる。それにもかかわらず、試
料中に存在する化学物質の期待される水準(追跡水準)のために、これは比較的
困難な仕事となるかもしれない。
化学物質使用疑惑の場合に特別に関係する多数の特性がまた、考慮に入れられ
ねばならない。例えば次のとおり:
(a)
現地外分析においては指定実験施設への移送中において剤が分解する可能
性があるため、安全で実行可能なかつ当を得たと思われる現地分析は、現地
外分析を補助することができる;
(b)
追跡化学物質の検出のための分析が必要となるかもしれない;
3.
化 学 兵 器 禁止条約法令集
(c)
(d)
4.
5.
III.
6.
7.
8.
表剤以外の化学物質の使用可能性が考慮に入れられねばならない;
標準的でない又は特別な分析手順が開発される必要があるかもしれない;
及び
(e)
いかなる陽性検出も、
それが真正であるとの高度な信頼性が必要とされる。
これは、もし化学物質が(c)に述べたように未知であるなら、及び/また、も
し分析を実施した指定実験施設間で異なる結果が得られたなら、困難である
かもしれない。
化学兵器に曝された可能性のある人体からの生物/医学試料の採取については、
特別な注意を要する:
−
当該個人に情報を提供した上での当該個人の同意が必要とされる;
−
調査団自身の医療人員のみによる試料採取;
−
当該個人の氏名及び医療履歴が記録され、当該情報の秘密保護が保証され
るべきである。
から
空試料は、測定の基準線を決定するためにも、また化学物質を投与した対照試
料を調製するためにも必要不可欠である。空試料は、次を満たさねばならない:
−
採取された実際の試料と限りなく近似している;
−
化学兵器使用疑惑の地点と近接した、しかし未だ汚染されていない幾つか
の地域で採取される(分析を実施する指定実験施設にとり、このことが遂行
されたことを確認することは必須である);
−
特に、もし調査団が汚染地域に足を踏み入れたなら、交叉汚染を回避する
ために細心の注意が払われる;
−
生物/ 医学試料(血液、尿等)の場合には、空試料は、当該状況下で可能
な限り均質性を有する適切な対照群となる、被曝していない当該地の個人か
ら得るようにしなければならない。
試料調製及び移送
管理系統の維持は、必要不可欠である。これには、取扱い期間中のいかなる交
叉汚染の危険性をも排除することが含まれる。このような交叉汚染は、例えば次
の場面に生じ得る:
−
試料の梱包中;
−
蒸気相として汚染された場合を含む汚染地域内の移送中;
−
不十分に除染された個人用防護装備との接触中;
−
実験施設における試料容器の開放の際。
試料及び空試料は、存在するいかなる化学物質の連続分解をも最小限にするよ
うな状況下で保管されねばならない。これには、例えば次が含まれる:
−
低温での保管;
−
不活性な空気(窒素のみ等)中の通常圧力下での保管;
−
暗所での保管。
試料は、通常商用航空便により、承認された移送体系を使用して送付されねば
ならない。これは、極めて厳正な規制が容器に適用され、したがって調査団が適
当な容器物質及び承認された移送体系を用意しなければならないことを意味す
る。
化学兵器禁止条約法令集
IV.
9.
試料調製及び試料分割
一般に、OPCW は初段階の試料調製及び試料分割を行うことが期待される。
これには、次が含まれる:
−
分割試料の調製;
−
空試料の調製;
−
既知の化学物質及び/又はその分解生成物を投与された対照試料の調製;
−
分析を実施する実験施設にとりどの貼紙がどれに対応するかにつき判別不
可能となるような、試料、空試料及び被投与対照試料への貼紙付し。
10.
試料の大きさの点から可能であれば、調査が終了し締約国による結果の検討が
終了するまで、参照試料が OPCW の管理下で保管されねばならない。
V.
11.
現地外での詳細な化学分析
指定実験施設のみが、現地外での詳細な化学分析のために使用される。最多で 3
つの実験施設が、試料の各組を同時に分析しなければならない。分析結果に不一
致がある場合は、更なる分析が実施されねばならない。
12.
試料を何のために分析するかについての決定は、重要事項である。調査団は、
もし化学物質団が確実であるなら、それを教示しなければならない。加えて、も
し入手可能であれば、対象地域に関する情報が含まれねばならない。OPCW 実
験施設は、試料調製中の観察等を基にこの一覧(化学物質団;訳註)を拡充する
ことができる。指定実験施設もまたこの化学物質団一覧を拡充することが可能と
なるように、指定実験施設には、現地分析結果(もしあれば)を含む、試料につ
いての十分な背景情報が与えられねばならない。分析される化学物質団の数は、
例えば次により制限されるかもしれない:
−
試料の大きさ;
−
最終報告書に係る時間的要求。
13.
指定実験施設は、分析結果を事務局長にのみ報告しなければならない。調査が
完了し締約国による結果の検討が終了するまで、指定実験施設には、どの貼紙が
どの試料、空試料又は投与された空試料に対応しているかについては知らされて
はならない。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
11. 検証の一般規則
11.1
OPCW 査察員及び査察補の査証手続についての解釈
C-I/DEC.56 「OPCW 査察員及び査察補の査証手続」と題する 1997 年 5 月 16
日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-XIV/29 の第 8.3 項において、OPCW 査察員及び査察補の査証手
続(PC-XIV/A/3 の第 5.2 項において変更された PC-XIV/A/WP.7 に添付された)を
承認したこと想起し、
委員会がその最終報告書の第 47.2 項において、会議が上記 OPCW 査察員及び査察
補の査証手続を採択するよう勧告したことに留意し、
ここに:
OPCW 査察員及び査察補の査証手続に関して、査証発行手続は締約国から査察員
及び査察補に対して与えられる入港許可を表すべきであること、及び当該許可の必然
的結果と捉えられるべきであることを決定する。査証申請様式とともに、検証附属書
第 2 部 A 章第 1 項に従い求められる情報を含む、想定される査察員及び査察補の暫
定名簿は、条約発効時に締約国に提供される。この活動は、査証発行手続を容易なら
しめることを約束し、検証附属書第 2 部 A 章第 1 項の義務である手続とは別のもの
であると解釈される。締約国に受け入れられた OPCW 査察員及び査察補の査証発効
が条約に謳われた義務であるため、各締約国は関係政府機関に対し、検証附属書第 2
部 B 章第 10 項に従い、査察員及び査察補名簿の受領が認知された後 30 日以内に査
証発行を行うよう指示するべきである。
11.2
「通訳」の意味についての解釈
C-II/DEC.9 「条約検証附属書第 2 部第 26 項」と題する 1997 年 12 月 5 日採
択の会議決定
会議は、条約検証附属書第 2 部第 26 項 40 における「通訳」という用語は、
「査察
団使用言語と被査察事業所において使用される言語の間の通訳」を意味すると解釈さ
れねばならないことを決定する。
40
第 26 項 の 条 文 は 次 の と お り 。
「管理上の措置。被査察締約国は、査察団が必要とする便宜(例えば、通信手段、面談そ
の他の任務の遂行のために必要な範囲内の通訳、輸送、作業場所、宿泊、食事、医療)を
提供し又はそのための措置をとる。この点に関し、被査察締約国が査察団のために負担し
た 費 用 に つ い て は 、 機 関 が 償 還 す る 。」
化学兵器禁止条約法令集
11.3
健康安全規則に関する解釈
C-I/DEC.8 「検証附属書第 2 部第 43 項に基づく、査察員及び査察補の活動の
ための安全要件の実施についての手続」と題する 1997 年 5 月 14 日採択の会議
決定
会議は、
委員会が、第 3.3.3 項(c)に次の文章を追加した、修正された健康安全綱領案
(PC-VI/B/WP.10 に対する議長文書の附属書 1)を承認したことを想起し:「これは、
条約に従い、査察活動を遂行する目的で被査察施設にアクセスを提供するとの締約国
の義務を侵害するものではない」(PC-VI/22 の第 6.7 項)、
委員会がその PC-XIII/18 の第 7.2 項において、PC-XIII/B/WP.2 に添付された
OPCW 健康安全規則案を検討し採択したことを想起し、
作業部会 B がその PC-XIII/B/6 の第 2.2 項において、PC-XIII/B/WP.2 に添付され
た OPCW 健康安全規則案を検討し、PC-XIII/B/WP.2 の第 3.2 項に記録された解釈
に注目し、これらの規則が委員会により採択されるよう勧告したことを想起し、
委員会がその最終報告書第 40.5 項において、会議が上記 OPCW 健康安全綱領案及
び OPCW 健康安全規則案を採択するよう勧告したことを念頭に置き、
ここに:
1.
OPCW 健康安全綱領及び OPCW 健康安全規則を採択し、次に添付した
PC-XIII/B/WP.2 の第 3.2 項に記録された解釈に注意する。
附属書[C-I/DEC.8 の 27 ページからの抜粋]
PC-XIII/B/WP.2 の第 3.2 項に含まれる解釈
「部会は、OPCW 健康安全規則案の第 4.2 項は、査察団の健康及び安全に関して
存在するかもしれない懸念を払拭するために必要となる合意された範囲内で検知及び
監視に基づいた入手可能な資料を提供するとの、被査察締約国の義務を侵害しないこ
とを認識した。OPCW 健康安全綱領案(PC-IX/B/WP.5)の第 5.2.2 項において言及
された検知及び監視が実施できない場合は、OPCW 健康安全綱領案の第 5.1.1 項に規
定されたように、これに代わる危険度評価の資料又は情報が被査察締約国により提供
される。」
11.4
承認装置の一覧の採択に関する解釈
C-I/DEC.71 「操作要件及び技術仕様を含む承認装置の一覧」と題する 1997
年 5 月 23 日採択の会議決定
化 学 兵 器 禁止条約法令集
会議は、
委員会がその PC-VIII/18 の第 6.15 項において、予算の目的から、PC-VIII/A/WP.7
の附属書の表 3.8 に明記された装置の一覧を承認したこと及び、次の物品を一覧に追
加することを決定し公認し又は認可したことを想起し:
−
長靴(再使用可能な)
(PC-IX/11 の第 6.4 項)
;
−
査察団除染装具(PC-XI/17 の第 7.4 項)
;
−
非破壊評価水素濃度測定装置(PC-XIV/29 の第 9.3 項);
−
個人用熱圧力測定器(PC-XV/25 の第 8.3 項);及び
−
携帯用アセチルコリンエステラーゼ活動測定器(PC-XV/25 の第 8.3 項)、
委員会及び適切と認められる場合は作業部会 B が数回の会議において、査察装置
の操作要件及び技術仕様を採択し又はこれに注目したことを想起し、
委員会が PC-XVI/37 の第 38.8 項において、一定の物品を承認装置の一覧に追加す
るとの上記勧告の幾つかを会議が採択するよう勧告したことに留意し、
ここに:
1.
この文書に添付した、操作要件、技術仕様及び共通評価基準を含む査察装置の
一覧を採択する。
附属書[C-I/DEC.71 の 3 ページからの抜粋]
承認装置の一覧
会議は、次の解釈の下、承認装置の一覧を採択した:
(a)
準備委員会の最終報告書の第 118 項及び第 119 項に含まれる事項は、現在未解
決である。検証附属書第 2 部第 29 項に従い、
「また、装置の検査に当たっては、
被査察締約国は、当該装置が特定の種類の査察のために承認された装置に適合す
ることを十分確認する。被査察締約国は、承認装置に適合しない装置又は認証の
ための書類及び標識が添付されていない装置を排除することができる」
;
(b)
秘密保護附属書の第 13 項は、
「締約国は、秘密を保護するために必要と認める
措置をとることができる。ただし、この条約の本文及び検証附属書に従いこの条
約を遵守していることを証明する義務を履行することを条件とする。締約国は、
査察を受ける時に、査察団に対し、機微に係るものでありかつ査察の目的に関係
しないと認める設備、文書又は場所を示すことができる。」と規定している。この
条項は更に、OPCW 秘密保護綱領に明記されている。これらの措置は、査察装
置の一定の物品の使用制限を含んでよく、適切な場合は、施設協定に規定されて
もよい;
(c)
検証附属書第 2 部第 43 項に従い、並びに OPCW 健康安全綱領及び規則に従
い、被査察締約国は、一定の装置の使用制限を含む手順を採用してよく、適切な
場合は、施設協定に規定されてもよい。そのような場合は、査察目的を達成する
化学兵器禁止条約法令集
ために被査察締約国との協議により代替の査察手順が採用されるべきである
(OPCW 健康安全綱領の第 4.3 項 (a))
;
(d)
被査察締約国を満足させ被査察締約国が関連するすべての操作上の特性に精通
することを可能ならしめるために、承認装置の一覧に含まれる装置の各物品が被
査察締約国領域内で使用される十分前に、各締約国国内当局は当該物品への精通
を確実にするようにこれにアクセスしこれを使用することが認められるべきであ
る。査察目的のために承認された装置の物品を検査することが拒絶されたと締約
国が認める場合は、当該締約国は自国領域内において当該装置の使用を拒絶する
権利を有する。事務局長は、国内当局が承認装置及びその使用に精通することを
容易ならしめるため、適切な手順を確立することが求められる。
11.5
装置の検査についての手順
C-I/DEC.7 「検証附属書第 2 部第 29 項(パリ決議第 12 項(f) )に従った、装
置の検査についての手順」と題する 1997 年 5 月 14 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-VIII/18 の第 7.2 項において、「入国地点/出国地点における被査
察締約国による査察団の携行する承認装置の検査についての手順」と題する
PC-VIII/B/WP.2 の附属書 2 を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 39.2 項において、会議が上記手順を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
次に添付した、入国地点/出国地点における被査察締約国による査察団の携行する
承認装置の検査についての手順を採択する。
附属書
入国地点/出国地点における被査察締約国による
査察団の携行する承認装置の検査についての手順
1.
1.1
一般規定
検証附属書第 2 部第 29 項に従い、被査察締約国は、入国地点/ 出国地点にお
いて査察団員立会いの下に、承認装置を検査する権利、すなわち、自国又は接受
国の領域内に持ち込まれ又はこれらの領域から撤去される承認装置を識別するた
めに点検する権利を有する。技術事務局は、その識別を容易にするため、当該装
置が指定され及び承認されたものであることを認証する書類及び標識を添付しな
ければならない。これら書類はとりわけ、装置の説明書、技術仕様及び操作要件
並びに承認装置の指定、検査及び承認のために技術事務局により採用された手順
の説明を含む。また、査察団の装置の検査に当たっては、被査察締約国は、当該
化 学 兵 器 禁止条約法令集
装置が特定の種類の査察のために承認された装置に適合することを十分確認せね
ばならない。承認装置は、第 8 条第 21 項(i)に従い締約国会議により承認された
装置の一覧に含まれる装置である。技術事務局は、可能な範囲内で、特定の種類
の査察に合わせて特別に設計された装置を選定しなければならない。
1.2
もし被査察締約国が承認装置を検査した結果、当該装置が特定の種類の査察の
ために承認された装置に適合するものであることを示せば、第 9 条及び検証附
属書第 10 部の規定が適用される場合を除き、検証附属書第 2 部第 28 項に従い
技術事務局が査察を行うために必要であると決定した承認装置を査察団が査察事
業所に持ち込むことにつき、被査察締約国はいかなる制限も課してはならない。
これは、査察団による装置使用に関する規定を侵害しない。
2.
2.1
被査察締約国の役割
被査察締約国は、査察団が携行する承認装置の個々の物品を検査する権利を有
する。これは、承認装置の不可侵性についての検証附属書第 2 部第 11 項(d) の規
定を侵害しない。この権利を執行するに当たり、被査察締約国は、下記第 4 項
に合致する適切な手順を使用してよい。被査察締約国は、特定の種類の査察のた
めに承認された装置に適合しない装置又は技術事務局により発行された認証のた
めの書類及び標識が添付されていない装置を排除する権利を有する。
2.2
被査察締約国代表者は、査察団長が下記第 3.2 項に従って行うかもしれない、
承認装置の検査についての特別な手順の適用に関するいかなる指摘も考慮しなけ
ればならない。
3.
3.1
査察団の役割
査察団員は、承認装置の検査の間中、これに立ち会い、当該検査のすべてを観
察し、この責任を遅滞なく果たさなければならない。
3.2
もし、被査察締約国が選択した特別な手順を伴う承認装置の検査により、当該
装置が不能又は何らかの機能障害になると査察団長が判断したならば、査察団長
はその旨被査察締約国代表者に知らせねばならない。
4.
承認装置の検査
下記第 4.2 項及び第 4.3 項に従うとの条件で上記第 1.1 項により行われるとこ
ろの、特定の種類の査察のために条約に規定された期間内に査察団及び被査察締
約国が国内活動を実行することが可能となる期間内に行われる、被査察締約国に
よる承認装置の検査は、下記に規定される原則に従わねばならない。
4.1
被査察締約国により選択されたいかなる検査手順も、承認装置を不能又は機能
障害にしてはならない。
4.2
被査察締約国による承認装置の検査は、とりわけ次を含んでよい:
(a)
技術事務局から発行される承認装置の各物品のための証書、認証書類及び
標識の検査;
(b)
承認装置の機能を落とさないような目視検査及びその他の非破壊点検並び
に当該装置が特定の種類の査察のために承認された装置に適合することを立
証するに適した点検(技術事務局により装置に添付された書類に明記された
ような、装置の指定、検査及び承認に当たり技術事務局が用いる手順の使用
化学兵器禁止条約法令集
等);
4.3
承認装置の機材及びソフトの両方とも、上記第 4.1 項及び第 4.2 項に従い検査
されてよい。かかる検査は、承認装置に蓄積されその性能を発揮するに必要ない
かなるデータも変えてはならない。
5.
5.1
装置の排除又は誤使用(もしあれば)後の解決
検証附属書第 2 部第 29 項に従い入国地点において被査察締約国から排除され
たいかなる装置も、共同管理又は共同封印の下入国地点において保管され、出国
地点から出発する時に査察団に変換されねばならない。
5.2
被査察締約国が査察後活動の間に、技術事務局が査察目的達成のため必要であ
ると決定した事項に基づかない目的のため装置が変更され又は使用されたこと及
び、この問題が被査察締約国代表者と査察団長の間の協議では解決されないこと
を示した場合は、この問題が技術事務局代表者の立会いの下で解決されるまで、
装置は共同管理又は共同封印の下出国地点において保管されなければならない。
6.
入国地点における承認装置の検査についての査察報告書中の記録
入国地点における査察団の携行する承認装置の検査中にとられた手順及び措置
は、査察報告書中に正確に記録されねばならない。この中には、とりわけ次のも
のを含む:
(a)
装置の排除(もしあれば)及び当該行為に係る被査察締約国が示す理由;
(b)
装置検査方法又は検査範囲についての、査察団員と被査察締約国の間の議
論の議事録;及び
(c)
被査察締約国による承認装置の検査に関するその他のできごとの記述。
11.6
現地査察における承認装置の使用についての決定
C-I/DEC.50 「現地査察における承認装置の使用」と題する 1997 年 5 月 16 日
採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-VIII/18 の第 7.3 項において、
「現地査察における承認装置の使用」
と題する PC-VIII/B/WP.2 の附属書 3 を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 56.3 項において、会議が上記文書を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
1.
次に添付した、
「現地査察における承認装置の使用」と題する文書を採択する。
附属書
現地査察における承認装置の使用41
化 学 兵 器 禁止条約法令集
41
1.
2.
3.
4.
PC-VIII/B/WP.2 の 附 属 書 3 に 含 ま れ る 。
次の規定に従い、査察団は査察期間中に査察事業所に持ち込まれた承認装置を
使用する権利を有する:
(a)
第 11 項 (d)、第 27 項から第 30 項及び検証附属書第 2 部 E 章;
(b)
検証附属書のその他の部における適切な文章;
(c)
秘密保護附属書、OPCW 秘密保護綱領及び適切な関係規則;
(d)
OPCW 健康安全綱領及び適切な関係規則;及び
(e)
施設協定(もしあれば)に明記された規定。
上記第 1 項に従い、承認装置は技術事務局により確立された規則に従い操作さ
れねばならない。
申立査察における査察団による承認装置の使用は、上記第 1 項中の要件(とり
わけ検証附属書第 10 部及び第 9 条の規定)のみにより、事業所の外縁内に限定
される。申立査察における管理されたアクセス下での査察団による承認装置の使
用は、被査察締約国と査察団の間の交渉及び合意に従う。第 9 条及び検証附属
書第 10 部の規定に従い、この交渉はとりわけ次の事項に関するものとなる:
(a)
査察団が使用する承認装置の型(もしあれば);
(b)
承認装置の使用方法;
(c)
特定の敷地、工作物又は建物に関する、承認装置の使用制限;
(d)
承認装置の使用に係るその他の制限、例えば使用時間制限。
被査察締約国は収集されたいかなる情報にも注意を払う権利、又は、そのよう
な情報の写しを受け取る権利を有する。もしソフト及び他の OPCW データが読
出専用記憶装置又は記録不可媒体中に含まれ、これらが技術事務局により封印さ
れ認証されるならば、上記権利はこれらソフト及び他の OPCW データには適用
されない。
11.7
査察活動終了後の承認装置に関する措置についての決定
C-I/DEC.51 「査察活動終了後の承認装置に関する措置」と題する 1997 年 5
月 16 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-X/23 の第 7.3 項において、作業部会 B(PC-X/B/5 の第 3.6 項)
により修正された「査察活動後の承認装置に関する措置」
(PC-X/B/WP.9 の附属書 1)
と題する文書を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 56.3 項において、会議が上記文書を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
化学兵器禁止条約法令集
1.
次に添付した、「査察活動終了後の承認装置に関する措置」と題する文書を採
択する。
附属書
査察活動終了後の承認装置に関する措置42 43
42
こ れ ら 措 置 は ま た 、技 術 事 務 局 と 被 査 察 締 約 国 の 間 の 合 意 に 基 づ き 、承 認 装 置 以 外 の 、
検 証 附 属 書 第 1 部 第 1 項 に 定 義 さ れ たOPCW
装置が査察事業所に持ち込まれた場合にも
適用される。
43
作 業 部 会 B( PC-X/B/5 の 第 3.6 項 ) に よ り 修 正 さ れ た
PC-X/B/WP.9
の附属書
1
に含
まれる。
1.
1.1
一般
査察事業所に持ち込まれた、又は、申立査察の場合は外縁内で使用された承認
装置は、前もってなされた操作中の除染措置に加えて、査察活動終了時に追加的
除染措置がとられねばならないかもしれない。この措置は、次を含み得る:
(a)
健康と安全の目的のための、装置の除染又は処分;及び
(b)
査察団による、査察目的に関係しない情報を含み得る物質の痕跡の除去。
これらの措置は、出国地点における被査察締約国による承認装置の検査手順を
害さないものであり、またこれら手順に取って代わるものではない。
1.2
上記第 1.1 項に従った措置が査察事業所において実施されることを被査察締約
国が選択する場合は、もしそれが必要であるなら、検証附属書第 2 部第 59 項に
従い、査察期間はこれら措置が完了するに十分となるように延長される。
1.3
上記第 1.1 項に従った措置は、必要であると思われるなら、査察団長又は被査
察施設代表者により実施されてよい。
1.4
上記第 1.1 項に従った措置は、時と場合に応じ、締約国又は当該地の安全規則、
OPCW 健康安全綱領、関係する OPCW 規則及び操作手順、並びに/又は OPCW
秘密保護綱領に従い、査察団長と被査察締約国代表者の間で合意された方法に
従って実施される。
2.
2.1
健康と安全の目的のための除染が実行不可能な場合の措置
もし査察活動後に、承認装置の物品が、健康と安全の目的で査察団又は被査察
締約国代表者の満足の行くように現地にて適切に除染することができないなら
ば、これらは、必要な更なる除染のために現地にて安置されてよい。そのような
追加的除染は、技術事務局と被査察締約国の間で合意された条件(これには当該
活動の時間制限及び費用分担についての合意が含まれる)の下で実施される。一
般規則として、追加的除染を実施する当事者は、この費用を援助する。そのよう
な除染を行うよう主張した側の満足の行くように装置が除染されたなら、当該側
は、当該装置を OPCW に返還すべく移送する。
2.2
もし、査察団長及び被査察締約国代表者が、除染が実行不可能又は費用対効果
化 学 兵 器 禁止条約法令集
が低いと認めるならば、査察事業所又は他の場所において装置物品を処分するこ
とが必要となるかもしれない:
(a)
適切な場合は、被査察締約国代表者との交渉に基づき及び、費用分担につ
いての明確な合意に基づき、この処分は査察事業所又は被査察締約国領域内
の他の廃棄物処理区域において安全な方法で実施される;又は
(b)
上記第 2.2 項(a)の規定が適切でないときは、被査察締約国代表者からの
要求により又は被査察締約国代表者の許可に基づき、費用分担についての明
確な合意に従い、装置は安全な処分のために機関により除去される。
2.3
上記第 2.1 項及び第 2.2 項に含まれる規定は、下記第 3 項に含まれる規定を侵
害しない。
3.
3.1
3.1.1
査察目的に関係しない情報の除去
暫定報告書に含めるために査察目的に関係する情報を査察団が選択した後、査
察目的に関係しない情報が査察団が事業所を去る前に排除されねばならない、と
いう状況下では、条約の規定及び OPCW 秘密保護綱領に従い、次の技術的措置
の第 6 章第 3.4.3 節第 3 項、第 4 項及び第 5 項が適用される。これら技術的措置
の適用のいかなる事実も、暫定報告書に記録される。装置が汚染された又は使用
されたときは、多くの場合査察団はその装置の却除可能部品又は消費可能部品を
処分するよう被査察締約国に要求するかもしれないということに留意されねばな
らない。
秘密保護の観点からの装置の処理
もし被査察締約国代表者が、承認装置の使用の結果査察目的に関係しない情報
が装置に含まれると信ずるに足る合理性を見出すならば、特別な懸念の対象を除
去するため、彼 /彼女は査察団長に査察目的に関係しない情報を装置から排除す
るよう要求する。
3.1.2 上記第 3.1.1 項に記載された査察目的に関係しない情報の装置からの排除が不
可能若しくは困難な場合は、又は十分な協議の結果適用される特別な除去技術に
ついて合意に至らないときは、査察団及び被査察締約国はその代わりとして、査
察目的に関係しない情報を除去するため、もし要求があれば被査察締約国代表者
の管理下で、共同封印の下汚染装置を技術事務局に移送することにつき合意して
よい。当該装置の OPCW 到着後、それは、被査察締約国代表者の立会い(もし
被査察締約国がそのような代表者を派遣することを決定したなら)の下で開封さ
れる。被査察締約国代表者は、査察目的に関係しない情報が装置から排除される
こと(生じた廃棄物の最終処分を含む)を自ら満足の行くように監視する。被査
察締約国がそのような代表者を派遣することを選択しない場合は、査察目的に関
係しない情報は、標準 OPCW 手順に従い排除される。当該汚染装置を収集した
査察の目的に関係しない情報が開示されることを避けるため、除去操作の間は、
周密な注意が払われる。
3.1.3 例外的な場合において、上記第 3.1.2 項の規定の代替として適切と認められる
ときは、被査察締約国は装置の却除可能部品を現地において保管することを選択
してよい。そのような場合は、被査察締約国はそれらを技術事務局が受入れ可能
な同一部品と取り替える。この場合、承認装置の運転能力及び技術能力を決して
化学兵器禁止条約法令集
変更しないものとする(このような再組立装置は、出国地点を通過する目的のた
めに、承認装置として認識されねばならない)。もしこれが実行不可能であれば、
被査察締約国は第 3.3 項に記載された条件に従い、当該装置を補償しなければな
らない。
3.1.4 もし上記第 3.1.2 項又は第 3.1.3 項に記載された措置の適用について合意に達
しないなら、被査察締約国は、極めて例外的な事例として、技術事務局が受入れ
可能な同一装置物品と取り替えることにより、装置を現地において保管してよい。
又は、もしそれが実行不可能なら、下記第 3.3 項に記載された条件に従い、補償
がなされる。
3.2 記録媒体からの情報
3.2.1 検証附属書第 2 部第 60 項に従い、査察団は被査察締約国代表者に、試料の一
覧表、収集した書面による情報の写し及び収集した資料の写し並びに現地外に持
ち出すその他の資料を付した暫定報告書を提供することとされているが、この条
約の要求は、記録媒体については、記録された情報と同一の写しを被査察締約国
代表者に対し提供することにより履行されねばならない。
査察手引書には、この節に基づく写しの用意のための個別具体の指示が含まれ
る。
3.2.2 これら要求は、次を満たすソフト又はその他の OPCW データには適用されな
い:
(a)
ROM 又は査察団による情報の書き込みを防止する性質を有する媒体中に
存在する;かつ
(b)
技術事務局により封印され認証された。
3.2.3 試料の採取、調製又は分析のための装置の場合は、査察団は査察目的に関係し
たデータのみ保持する。条約の規定に従い探索される化学物質の存在に関して分
析が否定的な結果となる場合は、個々の試料、電子計算機ファイル及びすべての
出力情報は査察命令とは関係がないと考えられると解釈される。これは、試料を
現地外分析のために移送するとの査察団の権利及び申立査察の場合の締約国の権
利の両方を侵害しない。
3.2.4 もし被査察締約国代表者が、査察目的に関係しない情報が記録されたと信ずる
に足る合理性を見出すのなら、当該情報は、被査察締約国代表者の立会いの下、
査察団により記録媒体から排除される。この目的のため、及びもし技術的に可能
であるなら、被査察締約国代表者は現地又は合意された他の場所で、査察目的に
関係した情報の抽出又は記録媒体若しくは保存媒体への移し替えを、査察団長及
び被査察締約国代表者双方が受入れ可能となるように監督する。その後、査察目
的に関係しない情報を含む原物品は、上記第 3.1.2 項、第 3.1.3 項及び第 3.1.4 項
に規定されたように処理される。
3.2.5 上記第 3.2.3 項から第 3.2.4 項までの手順に従うことが不可能な例外的な場合
には、記録媒体は現地に保管され、いかなる場合も承認装置の操作能力及び技術
能力を変更しないとの条件で同等の記録媒体に代替されるか、又は、もしそれが
実行不可能であるなら、下記第 3.3 項に規定された条件に従い補償される。
3.3
締約国による装置又は装置の一部の保管のための条件
化 学 兵 器 禁止条約法令集
条件は、次のとおりである:
(a)
査察団が出国地点を去る前に又はいかなる場合も査察団が出国地点から出
発した後 7 日よりも遅くならない時に、被査察締約国が速やかに代替するこ
と、又は被査察締約国が完全かつ早急な代替に要する費用で変換可能通貨で
償還すること;及び
(b)
査察団が査察事業所を去る前に、保管された装置又は装置の一部を、査察
団の満足の行くように処分すること。
11.8
連続査察
査察に必要な費用及び資源を低減するために、幾つかの締約国は、自国領域内
の又は自国領域と他締約国領域とにまたがる連続査察を行うことを要求又は指摘
した。
連続査察は条約において予見されず、幾つかの事業所を条約に規定された時間
枠内又は手順に従い連続して査察を行うことは、事務局と関係締約国間での調整
を必要とした。
かかる調整は、次を含む。:条約上の時間枠内での各施設のための各通報後の、
連続査察を実施する意図の通報;別々の命令の規定及び各施設での別々の装置検
査の実施;査察団により保持される秘密情報の保護;必要に応じ、事業所が同じ
入国地点により到達できるか否かによる、査察事業所間の移動のための時間枠の
調節;及び国内の全期間。一つの事業所内に位置する幾つかの施設を単一の査察
団が連続に査察する場合、暫定報告書を次の査察の開始前に移送するために追加
的調整が必要となった。また、他の地点での非連続の破壊操作の監視に、破壊活
動を連続的に監視している査察団を用いるとの合意に至った。
11.9
承認装置の一覧の更新についての手続
C-7/DEC.20 「承認装置の一覧の更新についての手続」と題する 2002 年 10
月 11 日採択の会議決定
締約国会議は、
執行理事会(以下「理事会」
)が 1999 年 4 月にその第 15 回会期において、査察装
置の調達についての手続を確立する必要性に関する提案を受理したことを想起し;
更に、締約国会議(以下「会議」)がその第 1 回会期において、操作要件、技術仕
様及び共通評価基準を含む承認装置の一覧を採択したことを想起し(1997 年 5 月 23
日付け C-I/DEC.71);
化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約(以下「条約」)
により、会議が条約の実施に影響を及ぼし得る科学的及び技術的発展を検討するよう
求められていることを認識し;
化学兵器禁止条約法令集
条約検証附属書(以下「検証附属書」
)第 2 部第 27 項により、会議での検討及び
承認のために、技術事務局(以下「事務局」)が承認装置の一覧を用意し、適切な場合
はこれを更新するよう求められていることを理解し;
また、機関が現地査察の実施中に得た経験から、査察員が承認装置の一覧を更新す
る必要があると認識していることが明らかになってきており、今後もこの要求が継続
するであろうことを理解し;
事務局が、適用され得る財政規則及び調達規程に従い、全締約国に対し透明な手続
により、装置を調達することを再確認し;及び
現存する承認された査察装置は、その寿命が尽きるまでは、若しくはそれが検証活
動の実施の要求を満たすことができなくなるまでは、又は技術的発展により費用対効
果のより高い査察の実施が可能とならない限り、廃棄されてはならないことを認識
し;
ここに:
承認装置の一覧の更新についての次の手続を採択する:
1.
事務局長は、明白に検証活動を改善し、査察団の効率を向上させ、健康を保護
し、安全性を向上させ、又は機関の経常的支出を直接軽減させるために、本質的
なかつ明文化された分析(この決定の附属書を参照)を基に、承認装置の一覧の
更新を勧告しなければならない。一覧に含めるべきものとして提案された物品に
は、この決定の附属書に記述された要件が伴わねばならず、一般の及び特殊な操
作要件に従わねばならない。これらの要件を満たす物品は、条約締約国が商業的
に入手可能なものでなければならない;
2.
このようないかなる勧告も、関連する分析とともに締約国に配布されねばなら
ず、論点となる改善点、向上される効率、及び/又は軽減される費用について協
議するため、締約国により指名された専門家と事務局代表者との間で協議の場が
設けられねばならない;
3.
また、科学的及び技術的発展を基に承認装置の一覧の更新には、科学諮問委員
会の見解が伴わねばならない;
4.
この手続は迅速な方法で完結されねばならない;及び
5.
事務局長は自身の勧告、随伴する分析、並びに締約国により指名された専門家
と事務局代表者の間での検討及び協議の結果を、
理事会に提出しなければならず、
理事会はこれを検討の上会議での採択に向けて適切な勧告を行うものとする。
附属書
承認装置の新しい物品のための要件の概略
装置の物品: 検討されることとなる物品の同定及び説明。
必要性の正当性: 達成されるべき特定の査察検証目的の提示、又は効率、健康及び
安全、並びに装置の物品が目指そうとしているところの費用節約及び実施上の利
益の提示。
要件: 物品に要求される能力の説明。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
技術仕様: 要求される能力を満たすために必要となる技術仕様。
寿命期間中の費用: 次を含む、物品の寿命期間中の費用見積もりの詳細:
(a)
調達されることとなる物品の数;
(b)
各物品の費用見積もり;
(c)
期待される稼働寿命の年数;
(d)
毎年の維持経費(消耗品、保守整備、交換部品等)。
代替品: 可能性のある代替品の分析(要求事項を満たすための、査察員訓練又は手
順の変更及び被査察締約国の装置の使用を含む)
。
追加される価値: 必要となる費用及び可能性のある代替品と比較しての、検証の有
効性の観点からの当該物品がもたらす利益の分析。
11.10
承認装置の技術仕様の変更についての手続
EC-31/DEC.8 「承認装置の技術仕様の変更についての手続」と題する 2002
年 12 月 12 日付け執行理事会決定
執行理事会は、
1999 年 4 月の第 15 回会期において執行理事会(以下「理事会」
)が、査察装置の
調達についての手続及び承認装置の技術仕様の変更についての手続を確立する必要性
についての提案を受理したことを想起し;
更に、締約国会議(以下「会議」)がその第 1 回会期において、操作要件、技術仕
様及び共通評価基準を含む承認装置の一覧を採択したことを想起し(1997 年 5 月 23
日付け C-I/DEC.71);
また、会議がその第 7 回会期において、理事会に対し、2002 年 2 月 15 日付け
EC-28/DEC/CRP.4 に含まれる決定案を、これを承認し暫定的に適用するようにとの
意見を付して回付したことを想起し;
承認装置の調達に関する技術仕様を策定し公表することが、透明性を確保し、取得
の運用についての指針を提供し、並びに締約国に対し操作上の特性及び当該装置の能
力を知る機会を確実に与えるということを認識し;
また、承認装置の技術仕様は更新される必要があるかもしれないということを認識
し;
締約国は、機関により調達され、かつ、承認装置の一覧に含められたすべての装置
に精通する権利を有することを想起し;
技術事務局(以下「事務局」)は、適用される財政通則及び調達規程に従い、すべて
の締約国に開かれた透明な手順を用いて装置を調達し取得することを再確認し;及び
現存する承認装置は、その寿命が終了する前に、若しくはそれが検証活動の実施に
係る要求事項を満たすことができなくなるのでなければ、又は技術的発展により比較
的費用対効果の高い査察の実施が可能となるのでなければ、廃棄されてはならないこ
とを認識して;
ここに:
化学兵器禁止条約法令集
1.
2.
暫定的適用のために、承認装置の技術仕様の変更についての次の手続を承認す
る:
(a)
事務局長は、機関のために事務局により調達され所得されることとなる承
認装置のすべての物品についての技術仕様を策定しなければならず、これら
の技術仕様は一般的な及び特殊な操作要件に則したものでなければならな
い。承認装置(調達されると取得されるとにかかわらず)についてのこれら
の技術仕様は、これらの仕様を満たす装置が化学兵器禁止条約の締約国にと
り商業的に入手可能なものとなるようなものでなければならない;
(b)
技術仕様は、要求される特性及び物品の能力、並びに必要な場合にはその
部品、構成部分及び附属品の特性の概略を示さねばならず、また、これらの
変更された仕様によりもたらされる利益の概略を技術的見地から示さねばな
らない。技術仕様は、当該物品の条約の検証制度及び資源に対する適応性を
最大限にすることを追求しなければならない;
(c)
事務局長は検討のため締約国に対し、技術仕様の変更についての提案され
た一覧を配布しなければならず、60 日以内に受理したいかなる意見をも考
慮に入れねばならない。事務局長は、理事会に対しその承認を得るために、
提案された技術仕様を検討結果とともに提出しなければならない;
(d)
変更された技術仕様の一覧中の各物品が理事会により承認された後におい
て、事務局長は、事務局が確実に承認された技術仕様に適合した承認装置の
みを調達し取得するようにしなければならない;
(e)
承認されなかった物品について協議するため、非公式な協議が行われねば
ならない。すべての手続は迅速な方法で遂行されねばならない;及び
会議がその第 8 回会期において、承認装置の技術仕様の変更に関する手続を
承認するよう勧告する。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
12. 指定実験施設
12.1
分析能力試験実施のための基準
C-I/DEC.65 「OPCW/暫定技術事務局による分析能力試験実施のための基準」
と題する 1997 年 5 月 22 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-XIII/18 の第 7.5 項において、「OPCW/暫定技術事務局による分
析能力試験実施のための基準」を採択したこと想起し、
委員会がその最終報告書の第 54.9 項において、会議が「OPCW/暫定技術事務局に
よる分析能力試験実施のための基準」を採択するよう勧告したことに留意し[次に添
付する]、
ここに:
1.
「OPCW/暫定技術事務局による分析能力試験実施のための基準」を採択する。
附属書
OPCW/ 暫定技術事務局による分析能力試験実施のための基準
1.
序文
真正試料分析のための指定を求める実験施設についての基準の 1 つとして、か
かる実験施設は定期的に実験施設相互の分析能力試験(以下「能力試験」)に参加
し、ここで及第しなければならないということが挙げられる(PC-VI/B/WP.4)。
単一の能力試験における実験施設の適格能力についての基準は、確立され
(PC-XI/B/WP.6 の附属書 1)委員会により採択された。
能力試験は事務局により実施される。この過程で事務局は、次の標準操作手順
に従い、試験試料を調製し又は結果を評価する実験施設の支援を受けることがで
きる:
(a)
「OPCW/暫定技術事務局による分析能力試験の試験試料調製のための標
準操作手順」;及び
(b)
「OPCW/暫定技術事務局による分析能力試験の結果評価のための標準操
作手順」。
これら支援実験施設は真正試料分析のための指定を受けることを求めるかもし
れないため、OPCW 指定実験施設になりたいとの意思に鑑み、彼等の立場は配
慮される必要がある。
この文書は、能力試験の実施に関して次の事項を扱う:
(a)
事務局の役割;
(b)
指定のための出願の前に実施される試験回数;
(c)
一連の試験における実験施設の評価;及び
(d)
試験試料調製又は結果評価を行う実験施設への配慮。
化学兵器禁止条約法令集
2.
事務局の役割
事務局は能力試験の前に、試験参加者に試験の目的及び課程を知らせねばなら
ない。参加実験施設による試験の終了後、事務局は試験結果の評価に対し責任を
負う。
個々の能力試験参加施設の能力についての結論を引き出す前に、事務局は次の
ことを行わねばならない:
(a)
試験の適切性を評定するための、試験試料の安定性、品質及び有効性の評
定;及び
(b)
試験結果の評価の評定。
その後事務局は、
「分析能力試験における実験施設の適格能力についての基準」
に基づき暫定評価を行わねばならない:
(a)
各参加施設がすべての能力基準を満たすか否かの評価;及び
(b)
評点規則に従った、すべての能力基準を満たすこれら施設の能力の評点。
事務局は、すべての上記データに基づき暫定試験報告を用意し、その後参加者
に彼等の能力を知らせ、意見を求めねばならない。参加者が事務局に能力評価を
受け入れるか否かを知らせるために、参加者には少なくとも 1 週間与えられねば
ならない。評価を行う実験施設が報告書を完了させるために調整的措置をとるこ
とが必要な場合は、これを可能ならしめるために、事務局は当該施設に対し、分
析データの評価に関して接受した意見を知らせねばならない。事務局はこれらの
結果を基礎として試験報告書を完了させる。
3.
指定に向けた出願の前に実施される能力試験の回数
真正試料分析のための指定を目指す実験施設による出願は、3 回以上の能力試
験に参加したものに限られ、次の事項が考慮に入れられねばならない:
(a)
実験施設は、直近 5 回の能力試験のうち少なくとも 3 回参加したもので
なければならない;及び
(b)
実験施設は、直近の連続 3 回の能力試験で及第したものでなければなら
ない。
4.
一連の能力試験における実験施設の評価
試験課程、投与化学物質数、試料及び標準物質は能力試験毎で変化するため、
異なる試験から得られた評点の単純加算は参加施設の公正又は有意な評定には結
びつかない。一連の能力試験における実験施設の評価は、次のように遂行されね
ばならない:
(a)
すべての能力基準が満たされたなら、個別の試験における能力測定のため
に、
「分析能力試験における実験施設の適格能力についての基準」に記載され
た評点規則が各能力試験に対し別々に適用されねばならない(下表参照);
(b)
多数の異なる能力試験における能力の単純明快なる比較を可能ならしめる
ために、個別の試験における実験施設の能力が下表に記載されたように格付
けされねばならない;
(c)
3 回の個別試験の能力格付けは統合され、他の基準(品質保証、功績)が
充足された場合において事務局長が真正試料分析のための指定を付与するに
化 学 兵 器 禁止条約法令集
当たっての技術面での根拠とならねばならない;及び
(d)
統合された格付けは、事務局長が実験施設をその能力に応じて等級化する
際の基礎として使用されねばならない。この等級化は、分析に係る条約上の
要求を支援することとなる。
表.実験施設能力評価法
化学物質の同定
能力評点 45
然(充足)
半分超の化学物質を同定
した実験施設
[ゼロ]と[最大評点
引く 2]の間の評点
C
然(充足)
同定した化学物質より多
くの化学物質を過誤した
実験施設
否定的評点
D
無評点
失格
能力基準充足
の然否 44
否(不充足)
能力
格付け
然(充足)
すべての化学物質を同定
した実験施設
最大評点
A
然(充足)
1 つを除きすべての化学
物質を同定した実験施設
最大評点 引く 2
B
44
PC-XI/B/WP.6 附 属 書 1 の 第2 項 を 参 照 。
45
評 点 規 則 の 実 際 の 適 用 の た め に 、「 実 験 施 設 間 比 較 試 験 第 3 回 委 員 会 の 結 果 」 に つ い て
の 事 務 局 長 覚 書 に 対 し て 参 照 文 書 が 作 成 さ れ る : 試 行 分 析 能 力 試 験 ( PC-XII/B/3)。
5.
試験試料調製又は結果評価を行う実験施設への配慮
試料の調製又は分析結果の評価において事務局を支援し、同時に真正試料分析
のための指定を目指す段階にある実験施設について、事務局は次のように配慮し
なければならない:
(a)
試料調製を行う実験施設は、もし当該試験試料が「OPCW/ 暫定技術事務
局による分析能力試験の試験試料調製のための標準操作手順」の要求に適合
するならば、1 つの能力試験において最大能力格付け A(表参照)を得たこ
ととされねばならない;
(b)
分析結果評価を行う実験施設は、もし当該評価が「OPCW/ 暫定技術事務
局による分析能力試験の結果評価のための標準操作手順」の要求に適合する
ならば、1 つの能力試験において最大能力格付け A(表参照)を得たことと
されねばならない;
(c)
実験施設は、直近 3 回の能力試験のうち 1 つを超えて試料調製又は分析結
果評価により得た能力格付けを使用することができない(すなわち、実験施
設は 3 回の試験のうち少なくとも 2 回には正規の参加者として参加しなけ
化学兵器禁止条約法令集
ればならない);及び
(d)
試料調製又は分析結果評価を行う実験施設は、当該試験に正規参加者とし
て参加することはできない。しかし、そのような実験施設は試験試料の分析
を行わなければならない。
12.2
分析能力試験に関する条件についての解釈
C-I/DEC.66 「将来の分析能力試験に関する条件」と題する 1997 年 5 月 22
日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-XV/25 の第 8.3 項(d)において、最初の分析能力試験に続く試験
に関して PC-XV/B/WP.9 の第 4.1 項(b)(i)から(viii)に記載される条件が適用されねば
ならないとの、査察手順専門家会合が到達した解釈を承認したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 54.9 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
1.
次に添付した、最初の分析能力試験に続く試験に関して PC-XV/B/WP.9 の第
4.1 項(b)(i)から(viii)に記載される条件が適用されねばならないとの、査察手順専
門家会合が到達した解釈を承認する。
附属書
最初の分析能力試験に続く試験に関する条件46
46
PC-XV/B/WP.9 の 第 4.1 項(b)(i) か ら(viii) に 含 ま れ る 。
2 回目以降の公式分析能力試験について:
(i)
試料配送における何らかの問題点を追跡するために、試料を接受した参加者は
事務局に対し、試料を接受した旨を知らせねばならない;
(ii)
各分析技術により実施された各測定は、適切な場合は、対照試料の分析結果に
より支持されねばならない;
(iii) 赤外線吸収( IR;Infrared Absorption Spectroscopy )スペクトルは、真正化
学物質又はライブラリーから得られる参照スペクトルと照合されねばならず、か
つ、分光学的に比較可能な条件下で記録されたスペクトルと照合されねばならな
い;
(iv) 参照スペクトルが入手不可能な化学物質の質量分析又は核磁気共鳴(NMR;
Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy )のスペクトルデータ解析は、密接
に関連する化学物質から得られるスペクトル情報により支持されねばならない。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
その際、使用された方法の特性が示される;
(v)
電子衝撃イオン化法(EI;Electron Impact Ionization)のために必要なデー
タは、次のとおり:
から
−
空全イオンクロマトグラム(TIC;Total Ion Chromatogram);
−
試料 TIC;
−
試料から得られた EI スペクトル;及び
−
参照試料(真正化学物質/ライブラリー)から得られた EI スペクトル又は
スペクトル解釈;
(vi) EI の支援技術として使用されたときの、化学イオン化法(CI;Chemical
Ionization)のために必要なデータは、次のとおり:
−
空 TIC;
−
試料 TIC;
−
試料から得られた、擬似分子イオン(M+1)の存在を示す CI スペクトル
又はスペクトル解釈;
(vii) 同様の条件下での NMR のために必要なデータは、次のとおり:
−
空スペクトル;
−
試料スペクトル;及び
−
化合物(真正化学物質/ライブラリー)のスペクトル又はスペクトル解釈;
並びに
(viii) クロマトグラフィ技術及び毛管電気泳動のために必要なデータは、次のとお
り:
−
空クロマトグラム/電気泳動図;
−
試料クロマトグラム/電気泳動図;及び
−
真正化合物のクロマトグラム/電気泳動図;並びに
−
保持時間又は保持目盛り。
12.3
指定実験施設の認定に向けた分析能力試験
C-I/DEC.60 「指定実験施設の認定に向けた分析能力試験」と題する 1997 年 5
月 22 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-IX/11 の第 7.3 項において、文書「指定実験施設の認定に向けた
分析能力試験」を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 54.9 項において、会議が上記文書「指定実験施設の
認定に向けた分析能力試験」を採択するよう勧告したことに留意し、
ここに:
1.
次に添付した、「指定実験施設の認定に向けた分析能力試験」を採択する。
附属書
化学兵器禁止条約法令集
「指定実験施設」の認定に向けた分析能力試験
1.
2.
3.
4.
5.
6.
試験は、指定実験施設になることを志す締約国内のすべての実験施設に開放さ
れる。OPCW により指定されるべき実験施設のための基準(これは第 6 回委員
会により採択された(PC-VI/22 の第 6.4 項))において、かかる実験施設は次を
満たさねばならない旨規定されている:
(a)
国際的に承認された品質保証体系を確立している;
(b)
国際的に承認された認可団体による、指定対象職務のための認可を取得し
ている;及び
(c)
実験施設間の分析能力試験(以下「能力試験」)に定期的に参加し、及第
している。
実験施設は、自己の能力を評定するために参加するか、積極的に指定を求める
ために参加するかのいずれを選択してもよい。各試験の前に、参加実験施設は、
いずれの目的により参加するのかについて尋ねられる。
委員会の 1995 年予算(PC-VIII/A/WP.7 の附属書)に従い、試料調製及び試
験結果評価の費用は勿論、試料分析をも含む参加費用は、参加実験施設又はその
締約国が負担する。事務局はこれに関して、1995 年において資金面での支援を
申し出ることができるが、それは極めて制限的となる。試験試料調製及び試験結
果評価は、事務局の責任であるが、請負契約されるか、締約国から無償で提供さ
れることができる。もし試料調製及び試験結果評価が請負契約されるか締約国か
ら提供されるならば、参加実験施設と試料調製又は結果評価を行う実験施設との
関係は、公開され透明性が確保されねばならない。
能力試験の評価は、査察手順専門家会合により開発され合意された基準に基づ
き遂行される。これらの基準は、初回の能力試験の結果を基に再検討される。委
員会の 1995 年予算に記述されたとおり(PC-VIII/A/WP.7 の附属書の第 3.4.7
項)、事務局の目標は、1995 年において四半期毎に能力試験を実施することであ
る。しかしながら、能力試験の回数は、上記基準により結果として減らしてよい。
初回の試験は次の事項を行う「試行能力試験」となる:
(a)
手順の評価;
(b)
新規参加者が委員会からの要求事項に馴れるようにするための手段の提
供;
(c)
「指定実験施設」のための最低能力基準の確立手順の開始;及び
(d)
参加者への自己評価のための機会の提供。
試行能力試験を含めた能力試験の一つのあり得る雛型は、次のとおり:
(a)
事務局が次四半期の試験日程を通知する;
(b)
事務局が試料を調製する;
(c)
登録された配達業者により、調合された試料が参加実験施設に配布され、
領収証が発行される;
(d)
分析期間について 2 つの選択肢がある:
(i)
指定を目指す実験施設に対しては、分析及び結果の最終報告のために、
試料受領日から数えて 2 週間与えられる;又は
化 学 兵 器 禁止条約法令集
(ii)
自己能力評定のために参加する実験施設に対しては、分析の開始につ
き合意された日から数えて、分析及び最初の報告のために 4 週間、結
果の最終報告のために更に 2 週間与えられる;
(e)
参加者が選択した技術又は「化学武装解除の検証において推奨された試料
採取分析のための操作手順」「
( フィンランド青本」1994 年版)からの技術
による試料分析は、参加者の自由裁量により使用されてよい;
(f)
結果は、事務局に報告される;及び
(g)
結果は、事務局により解析される。指定を目指す実験施設については、結
果が全締約国に配布される。自己能力評定のために参加する実験施設は、当
該実験施設の結果が部外秘で提供される。
12.4
分析能力試験における実験施設の適格能力についての基準
C-I/DEC.62 「分析能力試験における実験施設の適格能力についての基準」と
題する 1997 年 5 月 22 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-XI/17 の第 7.2 項において、文書「分析能力試験における実験施
設の適格能力についての基準」を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 54.9 項において、会議が上記「分析能力試験におけ
る実験施設の適格能力についての基準」を採択するよう勧告したことに留意し、
ここに:
1.
次に添付した、「分析能力試験における実験施設の適格能力についての基準」
を採択する。
附属書
分析能力試験における実験施設の適格能力についての基準47
47
1.
PC-XI/B/WP.6 及 び 正 誤 表 1 、 附 属 書1 に 含 ま れ る 。
序文
次の基準は、専ら分析能力試験(以下「能力試験」)における実験施設の能力を
決定する目的のために作成された。これら試験の結果は、実験施設の指定のため
事務局長により使用される。そのようないかなる基準も、条約の関係条項の解釈
又は条約の関係条項の判例の構成要素と見なされてはならない。
指定実験施設における試料の検証分析は、第一に定性分析である。したがって、
国際団体により開発された分析能力を試験するための能力基準は、それらが定量
分析結果に基づいているため、今次能力試験用として適用することができない。
化学兵器禁止条約法令集
事務局は実験施設に対し、試験試料到着時に、真正試料分析時に知らせるのと
同様の方法により試験目的及び試験課程を知らせねばならない。
参加実験施設は、試験に係る同定化学物質を報告しなければならない。定量結
果及び使用された分析手順の検出水準の表示は、高く評価されるが、必要事項で
はない。これらの分析手順は、試験の評価及び事後追跡活動を通じて、助けとな
るかもしれない。実験施設は、高度な能力を獲得すべく努力しなければならない。
もし実験施設が試験において落第したのなら、当該実験施設は改善措置をとらね
ばならない。
試験試料には試験目的に照らし適切な化学物質が 1 ∼ 10ppm 又はそれ以上の
水準で投与されることを基礎として、次の能力基準が提案された。
2.
*
能力基準
(a)
試験試料の分析及び試験結果の報告は、試験日程枠内(試料が実験施設に
到着した日から数えて 15 日)で遂行されねばならない。*
試 験 結 果 は15 日 以 内 に 事 務 局 に
FAX
送付され、完全な報告は同期間に適切な有効日
を加えたものの最終日までに事務局に発送されねばならない。
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
(g)
(h)
化学物質の同定は、可能であれば、少なくとも 2 つの異なる分析技術、
好ましくは 2 つの異なる分光分析技術(例:電子衝撃イオン化質量分析法
(EI-MS)、化学イオン化質量分析法(CI-MS)、液体クロマトグラフィ質量
分析法(LC-MS )、赤外線吸収法(IR)、核磁気共鳴法(NMR))に基づか
ねばならず、それらの間で辻褄の合う結果が出されねばならない。
同定を支持するすべての分析データ(クロマトグラフィ及び分光分析デー
タ)は、報告書に添付されねばならない。
実験施設は、化学物質が同定された根拠(標準物質データとの比較、分析
データベースのデータ又はスペクトル解析)を示さねばならない。
実験施設は、試料調製及び分析手法を詳細に記述しなければならず、又は
推奨操作手順若しくは標準操作手順若しくは実験施設の品質保証/品質管理
制度と調和した有効な手順に言及しなければならない。手順からの逸脱はす
べて詳細に記述されねばならない。
同定された化学物質は、少なくとも化学構造式、CAS(Chemical Abstracts
Service;化学抄録サービス)登録番号(もし可能であれば)及び化学物質
名並びに好ましくは化学兵器禁止条約上の表剤名、IUPAC(International
Union of Pure and Applied Chemistry;国際純正応用化学連合)名又は CA
(Chemical Abstracts;化学抄録)名を含む、十分な構造情報とともに報告
されねばならない。もし IUPAC 名又は CA 名が入手不可能であれば、構造
の元となる名称が含まれねばならない。
試験目的に関係する化学物質のみが、報告されねばならない。
虚偽の陽性結果は、生じてはならない。試料成分に含まれない又は試料成
分を構成し得ないいかなる化学物質も、虚偽の陽性結果の構成要素となる。
いかなる虚偽の陽性結果の報告も、能力試験の失格要素となる。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
3.
能力の評点
現行の評点規則は、各試験のために別々のものとして見なされ、個々の試験に
おける能力測定のための基礎として使用されねばならない。完全な評点が確立さ
れる前に、事務局は接受試料の完備性を、当該試料を提供した実験施設と協調し
て検査する。もしこの附属書第 2 項の基準が満たされれば、実験施設の結果は
次のように評点される:
(a)
それぞれの正確な同定は、加点される(1 点加点)。
(b)
もし元々の投与化学物質が分解されて最早存在しないならば、当該投与化
学物質の代わりとしての分解生成物の同定は、加点される(1 点加点)。
(c)
表 1A 剤に含まれる神経剤並びに表 1B 剤及び表 2B 剤に含まれる神経剤前
駆物質及び分解生成物の同定は、O(酸素)-アルキル又は O-シクロアルキ
ル側鎖中のアルキル基の位置が特定されずとも、正解と見なされねばならな
い(1 点加点)。しかしながら、P(燐)-C(炭素)結合の側鎖は、完璧に同
定されねばならない。
(d)
投与化学物質の少量成分の同定は、正解と見なされるが、加点されない。
(e)
投与化学物質又はその分解生成物の不発見から生じる虚偽の陰性結果は、
減点される(1 点減点)。
4.
事後確認活動
間違い(虚偽の陽性及び陰性)がある場合は、事務局はその旨当該実験施設に
通知する。当該実験施設は、速やかなる措置をとった後に、問題の原因及びとら
れた改善措置を記述した完全な報告書を、次回試験前に事務局に提出しなければ
ならない。もし実験施設がとられた改善措置の報告書を提出しないならば、当該
実験施設は新規の試験に参加することを許可されない。もし実験施設によりとら
れた改善措置が効果的でないと判明したならば、事務局長は、この種の分析の実
施に向けて当該実験施設の認証について再考してよい(検証附属書第 56 項(b)参
照)。
能力試験の結果を報告しないいかなる実験施設も、当該実験施設が事務局に対
し報告しない意図を試験最終日前までに知らせ、また満足の行く説明を行わない
限り、その試験は失格となる。
12.5
OPCW による実験施設の指定のための基準
C-I/DEC.61 「OPCW による実験施設の指定のための基準」と題する 1997 年 5
月 22 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-VI/22 の第 6.4 項において、OPCW による実験施設指定のための
次の基準を採択したことを想起し、
かかる実験施設は次を満たすべきである:
(a)
国際的に承認された品質保証体系を確立している;
化学兵器禁止条約法令集
(b)
国際的に承認された認可団体による、指定対象職務のための認可を取得し
ている;及び
(c)
実験施設間の分析能力試験に定期的に参加し、及第している。実験施設は、
OPCW から配送された対照試料を分析し満足の行く結果を得なければなら
ない。
委員会がその最終報告書の第 54.9 項において、会議が実験施設指定のための上記
基準を採択するよう勧告したことに留意し、
ここに:
1.
上記の実験施設指定のための基準を採択する。
12.6
指定実験施設の活動範囲並びに他の実験施設の
役割及び地位についての解釈
C-I/DEC.67 「指定実験施設の活動範囲並びに他の実験施設の役割及び地位」
と題する 1997 年 5 月 22 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-XVI/36 の第 10.3 項において、「指定実験施設の活動範囲並びに
他の実験施設の役割及び地位」を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 54.9 項において、会議が上記解釈を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
1.
次に添付した、
「指定実験施設の活動範囲並びに他の実験施設の役割及び地位」
を採択する。
附属書
指定実験施設の活動範囲並びに他の実験施設の役割及び地位48
48
1.
PC-XV/B/WP.6 の 附 属 書 1 。
唯一指定実験施設のみが、真正試料の分析を実施しなければならない。指定実
験施設はとりわけ、次の事項を実施してよい:
(a)
現地で使用される分析手法を含む、分析手法及び他の手法の開発及び認
定;
(b)
参照データの記録及び認定;
(c)
参照化合物の調製及び認定;
(d)
分析標準物質の調製、認定及び配布;
化 学 兵 器 禁止条約法令集
(e)
(f)
2.
3.
4.
5.
6.
内部の品質保証;
防護手段を含む査察装置の認証、維持管理及び保管の手順の開発及び認
定;及び
(g)
OPCW 査察員の技術訓練。
国際的に承認された標準と同等な適切な品質保証課程を有する他の実験施設は
とりわけ、次の事項を実施してよい:
(a)
現地で使用される分析手法を含む、分析手法及び他の手法の開発;
(b)
参照データの記録;
(c)
参照化合物の調製;
(d)
分析標準物質の調製及び配布;
(e)
内部の品質保証;
(f)
防護手段を含む査察装置の維持管理及び保管の手順の開発;及び
(g)
OPCW 査察員の技術訓練。
加えて、国際的に承認された標準と同等な適切な品質保証課程を有し、事務局
の標準操作手順に記載された要求を満たす、指定実験施設及び他の実験施設は、
次の事項を実施してよい:
(a)
OPCW/技術事務局による分析能力試験の試料の調製(PC-XI/B/WP.6 及
び正誤表 1、附属書 2);及び
(b)
OPCW/技術事務局による分析能力試験の結果評価に際しての事務局支援
(PC-XIII/B/WP.5、附属書 1)。
指定実験施設及び他の実験施設については、可能な限り広範な地理的多様性を
確保しつつ、締約国内のものだけに限られねばならない。
他の実験施設が行ういかなる職務も、事務局長により明確に承認されねばなら
ない。
真正試料分析を除き、他の実験施設のみならず指定実験施設により提供される
いかなる他の契約職務も、競争入札に関する OPCW 調達規則の規定のみならず、
すべての OPCW 財政規則及び規定に従わねばならない。
12.7
真正試料分析のための実験施設の指定:
指定実験施設の地位の保持
S/86/98(1998 年 11 月 17 日付け)及び Corr.1(1998 年 11 月 18 日付け)
「真正試料分析のための実験施設の指定:指定実験施設の地位の保持」と題す
る事務局長覚書
1.
2.
第 3 回締約国会議における声明において事務局長は、締約国に対し、真正試
料の分析を実行するために 7 つの実験施設を指定したことを通知した(1998 年 11
月 16 日付け C-III/DG.12 の第 34 項)。
将来において指定実験施設の資格を得るいかなる実験施設も、事務局長により
適切に指定される。上記の声明に従い、事務局長は、C-I/DEC.61 及び C-I/DEC.65
(両方とも 1997 年 5 月 22 日付け)により真正試料の分析のために実験施設を
化学兵器禁止条約法令集
指定する際には、次の事項を考慮に入れる:
(a)
品質保証体系及び(認可団体からの)認可の有効性(C-I/DEC.61)。この
際、次を考慮する:用いられている品質保証体系及び標準(ISO(国際標準
化機構、International Organization for Standardization)/IEC(国際電気
標準会議、International Electrotechnical Commission)規準 25、EN45001、
又はこれと同等のもの);並びに、認可団体、認可の有効期間、及び認可の範
囲。次のことが確認されるべきである:適切な品質保証体系が実施されてい
ること;並びに、認可の範囲が化学兵器の剤及びこの関連化合物の分析に対
応していること、すなわち、指定実験施設を目指す実験施設が、当該指定に
関する業務を行うための認可を受けていること 1;及び
1
C-I/DEC.61「 OPCW に よ る 実 験 施 設 の 指 定 の た め の 基 準 」、 及C-I/DEC.67
び
「指定実
験施設の活動範囲並びに他の実験施設の役割及び地位」を参照。
(b)
3.
4.
5.
OPCW 公式の実験施設間分析能力試験(以下「能力試験」)において及第
すること。次の場合は、真正試料の分析のための指定を志す実験施設に課せ
られる能力試験において及第したものと見なされる(C-I/DEC.65 の第 4 項
(d)を参照);連続して 3 回最高格付けを取得(A を 3 回取得);又は、A を 2
回、B を 1 回取得。
しかしながら、本件に関する事務局長の上記声明に従い、及第した実験施設は、
その指定実験施設としての地位を保持するためには、毎年少なくとも 1 回は能力
試験に参加し及第することにより、その継続的な分析能力を示す必要があること
を念頭に置くべきである(EC-IX/DG.7 * の第 26 項、及び EC-XII/DG.5 の第 21
項)。
指定実験施設は指定を保持するために、1998 年の期間中に次のいずれかの手
法によりその能力を維持していることを 1 度示さねばならない;正規の参加者と
して参加する;又は、技術事務局が実施する能力試験において試験試料の調製若
しくは試験結果の評価に関し技術事務局を支援する。
1999 年以降、真正試料分析のための指定を受けた又は受けようとする実験施
設に対し、次の事項が適用される:
(a)
指定を保持するための基準(品質保証体系、認可及び能力試験における及
第)は、指定を目指すための基準と同じ用語により定義されねばならない。
指定実験施設は、認可に係る資格についてのいかなる変更も技術事務局に通
報しなければならない;
(b)
指定実験施設は指定を保持するために、年に 1 度、技術事務局が実施する
能力試験においてその能力を維持していることを示さねばならない。能力試
験が 2 回実施される年には、指定実験施設はこれに 1 回参加すべきである。
もし試験が年に 1 回しか実施されないなら、指定を保持するために必要とな
る能力が、次のいずれかの手法により示されねばならない;正規の参加者と
して参加する;又は、試験試料の調製若しくは試験結果の評価に関し技術事
務局を支援する(C-I/DEC.65 の第 5 項(c) に記載された要求事項が満たされ
ることを条件として)
。将来において試験を年 2 回実施するか否かは技術事
務局の意向によるものであるが、第 5 回公式分析能力試験の時期を勘案し、
化 学 兵 器 禁止条約法令集
1999 年においては、技術事務局が実施する試験は 1 回のみでもよい。単に
試験試料の調製又は試験結果の評価について技術事務局を支援する実験施設
としてのみ参加することにより指定を保持する問題(訳註;試験試料調製又
は試験結果評価を行うことのできる指定実験施設の数が少ないことから、同
一の指定実験施設が何度もこれらの支援活動を行う必要が生じ、その結果当
該実験施設は C-I/DEC.65 第 5 項(c)の要件「直近 3 回の試験のうち少なく
とも 2 回には正規の参加者として参加しなければならない」を満たすこと
ができなくなる、という問題)があるが、これは、試験試料の調製及び試験
結果の評価を次の施設との契約により行うことで解決することができる:信
頼できる民間の実験施設;又は、C-I/DEC.65 に記載された要件並びに
OPCW 分析能力試験の試験試料調製 2 及び結果評価3 のための OPCW 標準
操作手順に記載された要件を満たす能力を有する実験施設。技術事務局は将
来において、この選択肢を追求することに努める;
2
PC-XI/B/WP.6 の 附 属 書 2 ( 準 備 委 員 会 の 作 業 部 会
B
により
PC-XI/B/12
の3.5
第
(i)
項
に お い て 示 さ れ 、 PC-XII/B/7 に お い て 修 正 さ れ た )。
3
事 務 局 長 覚 書「 OPCW 分 析 能 力 試 験 の 結 果 の 評 価 に つ い て の 修 正 さ れ た 標 準 操 作 手 順 」、
1998 年 4 月 21 日 付 けS/46/98 。
(c)
4
もし次のように認可に係る資格について重大な変更があった又は能力が低
下したなら、指定実験施設の指定は取り消される;
(i)
認可に係る資格についての重大な変更。認可の喪失、又は化学兵器の
剤及びこの関連化合物の分析についての不適切な分析能力を示唆する認
可範囲の変更は、重大な変更と見なされる;
(ii)
技術事務局が実施する能力試験への年 1 回の不参加(上記第 3 項及び
第 5 項(b)を参照);
(iii) 能力試験に正規の参加者として参加した場合の落第。C、D 又は失敗
の格付け;又は直近 3 回の試験で B を 2 回取得すること(すなわち、
ABB 又は BAB)は、落第と見なされる;
(iv) 試験試料調製又は結果評価をする場合 4 の、能力試験における落第;
及び
C-I/DEC.65 の 第 5 項 を 参 照 :「
(a) 試 料 調 製 を 行 う 実 験 施 設 は 、 も し 当 該 試 験 試 料 が
「 OPCW/暫 定 技 術 事 務 局 に よ る 分 析 能 力 試 験 の 試 験 試 料 調 製 の た め の 標 準 操 作 手 順 」 の
要求に適合するならば、1 つの能力試験において最大能力格付け
A
(表参照)を得たこと
と さ れ ね ば な ら な い ; (b) 分 析 結 果 評 価 を 行 う 実 験 施 設 は 、 も し 当 該 評 価 がOPCW/
「
暫定
技術事務局による分析能力試験の結果評価のための標準操作手順」の要求に適合するなら
ば、1 つの能力試験において最大能力格付け
A
(表参照)を得たこととされねばならな
い ; 。」
(v)
OPCW が配布した対照試料の分析における落第。真正試料(すなわ
ち、試料、対照試料、及び空試薬(入手可能な場合))の現地外分析の場
合は、虚偽の陽性を示すこと及び存在する化学物質の同定に失敗するこ
化学兵器禁止条約法令集
とは、落第と見なされねばならない;
(d)
指定を取り消されたいかなる指定実験施設も、C-I/DEC.61 及び
C-I/DEC.65 に記載された基準を再び満たすことについて適切な証拠を示す
ならば、再指定されてよい。指定取消し理由を踏まえ、かかる実験施設は次
の行動をとるべきである:
(i)
当該施設は、技術事務局が当該施設の品質保証体系の有効性及び認可
(この覚書の第 2 項(a) を参照)を確認するために適切な情報を、同事
務局に提供すべきである;及び/又は
(ii)
当該施設は、OPCW 公式の実験施設間分析能力試験において 3 回連
続して及第することによりその能力を示すべきである(この覚書の第 2
項(b) を参照)。
12.8
真正試料分析のための実験施設の指定についての指針
EC-XX/DEC.3 「真正試料分析のための実験施設の指定についての指針」と
題する 2000 年 6 月 28 日付け執行理事会決定
執行理事会は、
締約国会議が第 1 回会期において「OPCW による実験施設の指定のための基準」
(C-I/DEC.61)、「分析能力試験における実験施設の適格能力についての基準」
(C-I/DEC.62)、及び「OPCW/暫定技術事務局による分析能力試験実施のための基
準」(C-I/DEC.65、すべて 1997 年 5 月 22 日付け)を採択したことを想起し;
条約の関連規定に従い現地外に移送される真正試料の分析のために指定される実験
施設に必要な、高水準の能力を維持する必要性を再確認し;
検証附属書第 2 部第 56 項 (b) に基づき、事務局長が種々の分析を実施するために指
定される実験施設を認証する責任を負うことを認識し;
事務局長覚書に記された、真正試料分析のための実験施設の指定についての基準及
び指定実験施設の地位の保持を想起し(1998 年 11 月 17 日付け S/86/98 及び 1998
年 11 月 18 日付け Corr.1);
更に、締約国会議が第 5 回会期において、執行理事会に対し本件について決定を
行うよう命令したことを想起し;
ここに:
真正試料分析のための実験施設の指定に関し、事務局長は次に添付した指針を考慮
に入れることを決定する。
附属書
真正試料分析のための実験施設の指定についての指針
1.
指定実験施設の資格を得るいかなる実験施設も、事務局長により適切に指定さ
化 学 兵 器 禁止条約法令集
れる。C-I/DEC.61 及び C-I/DEC.65(両方とも 1997 年 5 月 22 日付け)に従い
真正試料分析のための実験施設を指定する際には、事務局長は次の事項を考慮に
入れる:
(a)
実験施設の品質保証体系及び(認可団体からの)認可の有効性
(C-I/DEC.61)。この際、次を考慮する:用いられている品質保証体系及び
標準(ISO(国際標準化機構、International Organization for Standardization )
/IEC(国際電気標準会議、International Electrotechnical Commission )規
準 25、EN45001、又はこれと同等のもの);並びに、認可団体、認可の有効
期間、及び認可の範囲。適切な品質保証体系が実施されていなければならず、
認可の範囲が化学兵器の剤及びこの関連化合物の分析に対応していなければ
ならない、すなわち、指定実験施設を目指す実験施設が、当該指定に関する
業務を行うための認可を受けている;1 及び
1
C-I/DEC.61「 OPCW に よ る 実 験 施 設 の 指 定 の た め の 基 準 」、 及C-I/DEC.67
び
「指定実
験施設の活動範囲並びに他の実験施設の役割及び地位」を参照。
(b)
2.
2
当該実験施設が、OPCW 分析能力試験(以下「能力試験」
)において及第
すること。実験施設は、少なくとも 1 暦年に 1 度これに参加しなければなら
ない。実験施設の直近 3 回の格付けが A が 3 回、又は A が 2 回、B が 1 回
である場合は、及第したものと見なされる(C-I/DEC.65 の第 4 項(d)を参照)。
2000 年 1 月 1 日以降、既に真正試料分析のための指定を受けた実験施設に対
して、技術事務局( 以下「事務局」)はこれらの実験施設が指定実験施設の地位を
保持しているか否かを評定するために、次の指針を適用する:
(a)
実験施設が指定実験施設としての地位を保持しているか否かを決定するた
めの基準は、指定実験施設を目指す実験施設に適用される基準と本質上同じ
である。指定実験施設は、認可に係る資格についてのいかなる変更も事務局
に通報しなければならない;及び
(b)
指定実験施設は指定を保持するために、1 暦年に 1 度、事務局が実施する
能力試験においてその能力を維持していることを示さねばならない。実験施
設は 1 暦年に 1 度、これらの試験に正規の参加者として参加するか、又は試
験試料の調製若しくは試験結果の評価に関し事務局を支援しなければならな
い。2 能力試験において実験施設の能力を評定するための基準は、1997 年 5
月 22 日付け C-I/DEC.62 に規定されている。事務局の意向により、試験試
料の調製又は試験結果の評価について 2 つの実験施設の支援を得て、能力
試験が年 2 回実施されることがある。この業務は、信頼できる民間の実験
施設との契約により、又は、C-I/DEC.65 に記載された要件を満たす実験施
設により実施され得る。
こ れ ら の 実 験 施 設 が C-I/DEC.65 第 5 項(c) の 次 の 要 件 を 満 た す と の 条 件 で :「 実 験 施 設
は 、 直 近 3 回 の 能 力 試 験 の う ち1 つ を 超 え て 試 料 調 製 又 は 分 析 結 果 評 価 に よ り 得 た 能 力 格
付 け を 使 用 す る こ と が で き な い ( す な わ ち 、 実 験 施 設 は 3 回 の 試 験 の う ち 少 な く と も2
回 に は 正 規 の 参 加 者 と し て 参 加 し な け れ ば な ら な い )」。
化学兵器禁止条約法令集
3.
4.
5.
もし指定実験施設が能力試験で落第したなら、当該実験施設は一時的に指定実
験施設としての活動を停止することとなる。この場合、当該実験施設は指定実験
施設の地位は保持し続けるものの、その後は OPCW からの真正試料を受領し分
析するために事務局長により選定されることはない。しかしながら当該実験施設
は、1997 年 5 月 22 日付け C-I/DEC.67 に規定される他の業務を実施することは
できる。一時的業務停止につながる落第には、次を含む:
(a)
C-I/DEC.65 を基礎として事務局長により決定された、試験試料調製又は
結果評価における落第;又は
(b)
1 つの試験における C、D 又は失敗の格付け(虚偽の陽性の同定を除く);
若しくは
(c)
直近 3 回の連続した試験での 2 つの B。
一時的業務停止となった指定実験施設は、再度第 1 項(b) に規定されるように
及第したなら、その完全な地位を再取得することができる。
もし次の場合のように認可に係る資格について重大な変更があった又は能力が
低下したなら、指定実験施設の指定は取り消される:
(a)
実験施設が、化学兵器の剤及びこの関連化合物の分析のための認可の喪失
した;
(b)
実験施設が、事務局が実施する能力試験に 1 暦年に 1 度も参加しなかった
(上記第 2 項を参照);
(c)
実験施設が、一時的な業務停止期間中に、指定実験施設としての完全な地
位を再取得することができなかった;
(d)
1 つの能力試験での虚偽の陽性の同定;及び/又は
(e)
実験施設が、OPCW により真正試料とともに配布された対照試料の分析
に落第した。対照試料の現地外分析において、いかなる虚偽の陽性の同定及
び/ 又は存在する化学物質の同定の失敗も、落第と見なされねばならない。
指定を取り消されたいかなる指定実験施設も、当該実験施設が上記第 1 項に記
載された基準を再び満たすことを示したなら、その指定実験施設としての地位を
再取得することができる。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
13. 中央 OPCW分析データベース
13.1
中央 OPCW分析データベースの暫定認証についての手順
C-I/DEC.63 「中央 OPCW 分析データベースの暫定認証についての手順」と
題する 1997 年 5 月 22 日採択の会議決定
会議は、
委員会がその PC-XII/17 の第 8.6 項(a)において、
「中央 OPCW 分析データベース
の暫定認証についての手順」と題する文書を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 54.9 項において、会議が上記文書を採択するよう勧
告したことに留意し、
ここに:
1.
次に添付した、「中央 OPCW 分析データベースの暫定認証についての手順」と
題する文書を採択する。
附属書
中央 OPCW分析データベースの暫定認証についての手順
49
1.
2.
49
PC-XII/B/WP.6 の 附 属 書 4 に 含 ま れ る 。
暫定認証は、査察手順専門家会合が取りまとめた手引きに従った、かつ、ISO
(国際標準化機構、International Organization for Standardization)9000 を規
準として使用した、完全に文書化された一連のデータ及び操作の検査の結果であ
る。条約発効前の特定の時期に、中央 OPCW 分析データベースの初版が完成さ
れねばならない。
中央 OPCW 分析データベース(初版)の暫定認証は、次のように実施されね
ばならない:
(a)
分析データベースに関しての専門家対策委員会は、PC-XI/B/WP.6 の附属
書 4 及び PC-VI/B/WP.17 に記載された評価基準に従い、上記データベース
を作成する手法を精査しなければならない;
(b)
評価報告書は、分析データベース対策委員会から査察手順専門家会合を通
じて事務局に伝達されねばならない;
(c)
化学物質及び分析データ(赤外線吸収法(IR;Infrared Absorption
Spectroscopy)、質量分析法(MS;Mass Spectrometry)、核磁気共鳴法
(NMR;Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy)、気相クロマトグラ
フィ(GC;Gas Chromatography))に関するデータベースの中身は、証明
書により示されねばならない;50
化学兵器禁止条約法令集
50
中 央 OPCW 分 析 デ ー タ ベ ー ス の 範 囲 の 問 題 は い つ か は 解 決 さ れ ね ば な ら な い と い う こ
とが注目された。
(d)
3.
分析データベース対策委員会の議長及び各分析技術(IR、NMR、MS、GC)
の調整者は、認証のため証明書に署名しなければならない;及び
(e)
査察手順専門家会合は、このようないかなる証明書も承認しなければなら
ない。
訓練目的分析の装置に含まれる分析データベースは、次のように認証されねば
ならない:
(a)
データは、確立された規則及び適切な事務局標準操作手順に従い、中央
OPCW 分析データベースから抽出されねばならない;
(b)
化学物質及び分析データに関するデータベースの中身(IR 、MS、GC)は、
証明書により示されねばならない;及び
(c)
事務局長は、認証のため証明書に署名しなければならない。
13.2
中央 OPCW分析データベースの内容
C-I/DEC.64 「OPCW 中央分析データベース」と題する 1997 年 5 月 22 日採
択の会議決定
会議は、
委員会が、その PC-XV/25 の第 8.3 項(b)において「気相クロマトグラフィ(GC;Gas
Chromatography)データの評価結果」を承認し、その PC-XVI/36 の第 10.3 項にお
いて表剤の分析派生物の GC データの評価結果を承認したことを想起し、
委員会が、その PC-XVI/36 の第 10.3 項において、4 つの化学物質の GC データを
GC データの評価結果から取り除いたことを想起し、
委員会が、その PC-XV/25 の第 8.3 項(c) において、分析データを試験化学物質の
ための OPCW 分析データベースに編入することを承認したこと(これは、「気相クロ
マトグラフィ/ 質量分析法(GC/MS;Gas Chromatography/Mass Spectrometry)に
よる現地分析のための推奨操作手順」
(PC-XIV/B/WP.5 の附属書 5)に記述された(試
験試料は表剤を含まず、ひいては上記データの使用は、現地分析期間中において
GC/MS 能力試験に限定され、試験化学物質の交叉汚染防止のための分析手順が適切
に適用されるとの解釈の上で))を想起し、
委員会が、その PC-XVI/36 の第 10.3 項において、試薬 BSTFA(N,O-ビス(トリ
メチルシリル)トリフルオロアセトアミド)及び 3,4- ジメルカプトトルエンを使用し
て表剤の分析派生物を編入することを承認したことを想起し、
委員会が、その最終報告書の第 54.9 項において、会議が上記の OPCW 中央分析デー
タベースへの編入を採択するよう勧告したことに留意し、
更に、作業部会 B が表剤のスペクトル(質量分析法(MS ;Mass Spectrometry)、
赤外線吸収法(IR;Infrared Absorption Spectroscopy)、核磁気共鳴法(NMR;
Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy))の評価結果(PC-X/B/WP.9 の附属書 5、
化 学 兵 器 禁止条約法令集
PC-X/B/5 の第 3.9 項参照)、IR スペクトルの評価結果(PC-XI/B/WP.6 の附属書 3、
PC-XI/B/12 の第 3.5 項(ii)参照)、MS 及び IR スペクトルの評価結果(PC-XII/B/WP.6
の附属書 3、PC-XII/B/7 の第 5.2 項(b)参照)並びに NMR 及び MS スペクトルの評
価結果(PC-XIII/B/WP.5 の附属書 3、PC-XIII/B/6 の第 5.3 項(b)参照)に注目した
ことに留意し、
ここに:
1.
次に添付した、OPCW 中央分析データベースの内容を採択し(附属書 1 から 8)、
2.
提案された編入が会議で採択されるよう執行理事会が勧告することを可能なら
しめるため、事務局長に対し、OPCW 中央分析データベース更新のための諮問
機構を確立することを要求する。
[この冊子には附属書 1 から 8 は掲載されていない]
13.3
中央 OPCW分析データベース更新のための諮問機構
C-II/8 の第 11.2 項(c) 第 2 回締約国会議報告書に含まれる会議決定(1997 年
12 月 5 日付け C-II/8)
(c)
OPCW 中央分析データベース更新のための、提案された機構
第 4 回執行理事会の勧告に従い、会議は「提案された OPCW 中央分析データベー
ス更新のための機構」についての決定を採択した(1997 年 9 月 5 日付け
EC-IV/DEC.2 )。提案されたスペクトルを OPCW 中央分析データベースに編入する
ことにつき精査する機会を締約国に与えるため、会議は意見提出期間を 60 日間延長
することを決定した。特定のスペクトルにつきこれを OPCW 中央分析データベース
に編入することに対し異議があった旨の報告が、
事務局から会議に対してなされた(赤
外線吸収スペクトル 2-1-92 及び 2-1-94 並びに質量分析スペクトル 5-2-107、5-2-108、
5-2-109、5-2-111 、5-2-117 、5-2-118、及び 5-2-119)。1998 年 2 月 2 日時点で事務局
が締約国から受理した異議がすべて解決されるとの条件で、会議は[EC-IV/DEC.2]
の第 4 項に述べられたスペクトルを採択し、その OPCW 中央分析データベースへの
編入及び当該日からの発効を承認することを決定した。しかしながら、もし当該日に
おいて特定のスペクトルについて未解決の異議があるならば、これらのスペクトルは
OPCW 中央分析データベースには編入されず、事務局長は提起された懸念を提示し
つつ更なる情報を執行理事会に提供するとの措置をとってよい。会議はまた、
[当該]
決定の第 1 項から第 3 項にその概要を述べたように、OPCW 中央分析データベース
更新のための諮問機構を承認した。
EC-IV/DEC.2 「 OPCW 中央分析データベース更新のための、提案された機構」
と題する 1997 年 9 月 5 日付け執行理事会決定
化学兵器禁止条約法令集
「提案された編入が会議で採択されるよう執行理事会が勧告することを可能ならし
めるため、第 1 回締約国会議は事務局長に対し、OPCW 中央分析データベース更新
のための諮問機構を確立することを要求した(1997 年 5 月 22 日付け C-I/DEC.64)。
承認され認定されたスペクトルが OPCW 中央分析データベースに位置付けられる
ことが可能となるよう、執行理事会は、第 2 回締約国会議により諮問機構が確立さ
れることを提案する。諮問機構は、次のように実施されねばならない:
1.
2.
3.
4.
事務局長は締約国に対し、双方合意の上で費用的観点から最も効率的な方法で、
追加スペクトルを作成又は提供するよう要求する。事務局は、幾つかの締約国か
らの提案を比較し、費用的観点から最も効率的な解決策を探る。もしこの方法に
より特定のスペクトルが得られないならば、事務局はこの目的で「他の実験施設」
と接触する;
このようにして得られたスペクトルは、これらがデータベースに編入されるこ
とが提案される前に、認定される。この目的で、分析化学の分野において認知さ
れた専門家から構成される、時間及び委員人数に制限を設けない分析データ認定
部会(以下「認定部会」)が設立される。これらの専門家は、締約国から OPCW
に無償で派遣される。特定のスペクトルが執行理事会に承認のため提示される前
に、認定部会はスペクトルの技術的有効性について合意する。執行理事会は、認
定部会をうまく機能させる目的で、科学諮問委員会とも密接に連携を取りつつ、
この部会の活動について随時再検討を行う;
一群のスペクトルが技術的に有効であると認定されたなら、これらスペクトル
が OPCW 中央分析データベースに編入されるように、次の手順に従い締約国の
承認を受ける必要がある:
−
事務局長は、新たに有効と認定されたスペクトルの一覧を執行理事会に定
期的に提示する;
−
そのようないかなる提案も、これらデータ編入を検討するよう要求された
執行理事会会期の開催日前 30 日以内に執行理事国に提出される;
−
また、他のすべての締約国に提案スペクトルの編入に関して有する懸念に
ついて執行理事会と意見交換する機会を与えるために、一覧は当該会期 30
日前に他のすべての締約国にも配布される;
−
事務局長は執行理事会にスペクトルの OPCW 中央分析データベースへの
編入を承認するよう要求する;
−
執行理事会は、その締約国会議への報告書に、OPCW 中央分析データベー
スへ編入されることを執行理事会が承認したスペクトルの一覧を含める;
−
もし提示された個別のスペクトルにつき執行理事会がこれを承認しないこ
とを決定したなら、事務局長は、提示された懸念に注意しつつ、更なる情報
を執行理事会に提供するとの措置をとってよい。
当座の間、OPCW 準備委員会期間中の分析データベースに係る専門家対策委
員会により既に有効と認定されたものの未だ承認に向けて第 1 回締約国会議に持
ち込まれていないスペクトルに関しては、次の措置が推奨される:
−
締約国が提案スペクトルの編入に関して有する懸念について執行理事会又
化 学 兵 器 禁止条約法令集
5.
6.
は事務局と事前に意見交換したいと要求することを想定し、第 2 回締約国
会議の少なくとも 60 日前にスペクトルの写しが全締約国に対し提示され
る。執行理事会は、もし要求があれば、この問題を議題に含めることにつき
検討しなければならない;
−
第 2 回締約国会議は、スペクトルの採択及びこれらを中央 OPCW 分析デー
タベースに編入することの承認について検討する。
執行理事会は第 2 回締約国会議に対し、上記第 4 項に述べられたスペクトル
を採択すること及びこれらの OPCW 中央分析データベースへの編入を承認する
ことを検討するよう勧告する。
執行理事会は第 2 回締約国会議に対し、上記第 1 項から第 3 項にその概要を
述べたところの、OPCW 中央分析データベース更新のための諮問機構が会議に
より承認されるよう勧告する。
13.4
中央 OPCW分析データベース及び
現地データベースの認証手順
C-IV/DEC.11 「中央 OPCW 分析データベース及び現地データベースの認証手
順」と題する 1999 年 7 月 29 日採択の会議決定
締約国会議は、
締約国会議が第 1 回会期において「中央 OPCW 分析データベースの暫定認証につ
いての手順」と題する文書を採択したこと(1997 年 5 月 22 日付け C-I/DEC.63)及
び当該決定が準備委員会の下で確立された幾多の条文を引用したことを想起し;
更に、現在既に事務局長が中央 OPCW 分析データベースに包含されるべく提案さ
れた新しいスペクトルの評価のための分析データ認定部会を確立していること、並び
に分析データ認定部会が事務局長に対し、「中央 OPCW 分析データベース及び現地
データベースの認証手順」と題する改訂版手順書を執行理事会での審議及び採択のた
めに提出するよう、1999 年 1 月 11 日∼ 12 日の第 3 回分析データ認定部会(1999 年 2
月 16 日付け S/97/99)において要求したことを想起し;
また、事務局長が、第 4 回締約国会議により審議され採択されるように勧告され
ることとなる、改訂文書「中央 OPCW 分析データベース及び現地データベースの認
証手順」を、第 15 回執行理事会での審議用に提出した(1999 年 4 月 28 日付け
EC-XV/DG.2/Rev.1)ことを想起し;
また、執行理事会が第 15 回会期(1999 年 4 月 29 日付け EC-XV/DEC.4 )におい
て当該文書が第 4 回締約国会議により審議され採択されるように勧告したことを想
起し;
ここに:
次に添付した、中央 OPCW 分析データベース及び現地データベースの認証手順を
採択する。
化学兵器禁止条約法令集
附属書
中央 OPCW分析データベース及び現地データベースの認証手順
1.
2.
1
中央 OPCW 分析データベースの各新版の認証は、執行理事会が採択した指導
に従い、ISO(国際標準化機構、International Organization for Standardization)
9000 を規準として使用した、データ及び手順に対し行われた一連の完全に文書
化された試験の結果である。中央 OPCW 分析データベースへの追加は、1997 年 9
月 5 日付け EC-IV/DEC.2 において提案され第 2 回締約国会議により採択された
枠組み(1997 年 12 月 5 日付け C-II/8 の第 11.2 項(c) )に従い、執行理事会によ
り承認されることとなる。
中央 OPCW 分析データベースの各新版の認証は、次のように実施されねばな
らない:
(a)
化学物質及び分析データに関するデータベースの 4 成分の内容は、各技
術(赤外線吸収法(IR;Infrared Absorption Spectroscopy)
、質量分析法
(MS;Mass Spectrometry)、核磁気共鳴法(NMR;Nuclear Magnetic
Resonance Spectroscopy)
、気相クロマトグラフィ(GC;Gas
Chromatography))の認証書により示される;1 及び
中 央 OPCW 分 析 デ ー タ ベ ー ス の 範 囲 の 問 題 は 将 来 解 決 さ れ ね ば な ら な い こ と が 示 さ れ
た。
(b)
3.
分析データ認定部会の議長及び各分析技術(IR、MS、NMR、GC)の調
整者は、中央 OPCW 分析データベース用の各技術の認証のために署名を行
う。
現地分析機器に装填されるべき現地分析データベースは、次のように認証され
ねばならない:
(a)
データは、事務局長により承認された適切な OPCW 標準操作手順(締約
国に対し開示可能)に従い、中央 OPCW 分析データベースから引き出され
る;
(b)
化学物質及び分析データに関する現地データベースの内容は、現地に送付
された、各技術(IR、MS、NMR、GC)毎の認証書により示される;及び
(c)
技術支援部長は、事務局長の代理として認証のために認証書に署名する。
13.5 中央 OPCW分析データベース及び
現地データベースの認定及び認証手順
C-VI/DEC.4 「中央 OPCW 分析データベース及び現地データベースの認定及
び認証手順」と題する 2001 年 5 月 17 日採択の会議決定
締約国会議は、
化 学 兵 器 禁止条約法令集
締約国会議が第 1 回会期において「中央 OPCW 分析データベースの暫定認証につ
いての手順」を採択したことを想起し(1997 年 5 月 22 日付け C-I/DEC.63);
また、執行理事会の第 15 回会期(1999 年 4 月 29 日付け EC-XV/DEC.4 )の勧告
の後、締約国会議が第 4 回会期において文書「中央 OPCW 分析データベース及び現
地データベースの認証手順」の修正版を採択したことを想起し(1999 年 6 月 29 日
付け C-IV/DEC.11);
オランダ認可評議会が ISO(国際標準化機構、International Organization for
Standardization)17025 に従い OPCW 実験施設及び中央 OPCW 分析データベースの
組成並びに現地分析データベースの抽出を認定したため、データベースの認定と認証
が同一の施設によって実施されることができないことを考慮し;
更に、同一施設により実施され得ないとの、データベース認定及び認証に係る上記
要求に鑑み、現在事務局内で適切に実施されている品質系統の要求を満たすことを確
実にするために、分析データ認定部会が第 6 回会合(2000 年 2 月 2 日付け
S/162/2000)において、中央 OPCW 分析データベース及び現地データベースの認証
手順が再度修正されることを勧告したことを考慮し;
第 20 回執行理事会が 2000 年 7 月 24 日付け決定 EC-XX/DEC.5 において、ここ
に添付された中央 OPCW 分析データベース及び現地データベースの改訂された認定
及び認証手順を、第 6 回締約国会議が採択するよう勧告したことを念頭に置き;
ここに:
この決定に添付した、中央 OPCW 分析データベース及び現地データベースの認定
及び認証手順を採択し;並びに
将来この手順の変更を行う必要が生じたときは、執行理事会にその変更を行う権限
を与える。
附属書
中央 OPCW分析データベース及び
現地データベースの認定及び認証手順
1.
2.
中央 OPCW 分析データベースの各新版の認証は、執行理事会が採択した指導
に従い、ISO9001 標準を規準として使用した、データ及び手順に対し行われた
一連の完全に文書化された試験の結果である。中央 OPCW 分析データベースへ
の追加は、1997 年 9 月 5 日付け EC-IV/DEC.2 において提案され第 2 回締約国
会議により採択された枠組み(1997 年 12 月 5 日付け C-II/8 の第 11.2 項(c))に
従い、執行理事会により承認されることとなる。
中央 OPCW 分析データベースの各新版の認定は、次のように実施されねばな
らない:
(a)
化学物質及び分析データに関するデータベースの 4 成分の内容は、各技
術(赤外線吸収法(IR;Infrared Absorption Spectroscopy)、質量分析法
(MS;Mass Spectrometry)、核磁気共鳴法(NMR;Nuclear Magnetic
Resonance Spectroscopy)、気相クロマトグラフィ(GC;Gas
化学兵器禁止条約法令集
Chromatography))の認証書により示される;1 及び
1
中 央 OPCW 分 析 デ ー タ ベ ー ス の 範 囲 の 問 題 は 将 来 解 決 さ れ ね ば な ら な い こ と が 示 さ れ
た。
(b)
3.
4.
分析データ認定部会の議長及び各分析技術(IR、MS、NMR、GC)の調
整者は、各技術毎に、中央 OPCW 分析データベースの内容を認定するため
に認定書に署名を行う。
中央 OPCW 分析データベースの各新版の認証は、次のように実施されねばな
らない:
(a)
化学物質及び分析データに関するデータベースの 4 成文の内容は、各技
術(IR、MS、NMR、GC)の認証書により示される;及び
(b)
品質保証管理者(内部監査室)は、各技術毎に、中央 OPCW 分析データ
ベースの各新版の認定手順を検討し、認証書に署名する。
現地分析機器に装填されるものを含めた現地分析データベースは、次のように
認証されねばならない:
(a)
データは、事務局長により承認された適切な OPCW 標準操作手順(締約
国からの要求に応じ開示可能)に従い、中央 OPCW 分析データベースから
引き出される;
(b)
OPCW 実験施設の長は、化学物質及び分析データに関する現地データベー
スの内容を認定するために、現地に送付された、各技術(IR、MS 、NMR、GC)
毎に 1 つの認定書に署名する;
(c)
化学物質及び分析データに関する現地データベースの内容は、現地に送付
された、各技術(IR、MS、NMR、GC)毎に 1 つの認証書により示される;
及び
(d)
品質保証管理者は、事務局長の代理として、認定手順を検討し認証書に署
名する。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
14. 綱領
14.1
OPCW 秘密保護綱領 1
会 議 決 定 C-II/DEC.14 の 第 3 項 に よ り 変 更 さ れ た ( 綱 領 第
9.2
1
部 の 規 則1.4
第
に対する
変 更 ( 秘 密 保 護 委 員 会 を 規 律 す る 規 則 ))。
C-I/DEC.13 次の標題の 1997 年 5 月 16 日採択の会議決定
「− 秘密保護附属書第 2 項(c)(iii)に従った、OPCW による秘密情報公表につ
いての手順のための指針;
− 秘密保護附属書第 2 項(d)に従い、条約の作成過程における関連する作業
を考慮した、秘密資料及び文書の秘密の程度のための分類制度;
− 秘密保護附属書第 18 項に従い、秘密の扱いに関する違反又は当該違反の
疑いがある場合にとられる手続のための勧告。
(パリ決議第 12 項 (u)、 (v)及び(w))」:
会議は、
委員会が、秘密保護附属書第 23 項において要求された「秘密の扱いに関係する紛
争の解決のための委員会」の構成及び運営手続を規律する規則並びに上記事項を連結
した形で含む OPCW 秘密保護綱領案を作成したことを想起し、
委員会が、OPCW 秘密保護綱領案(PC-XI/B/WP.8 に添付され、作業部会 B によ
り改訂された)を採択し、この OPCW 秘密保護綱領案の規定を必要な変更を加えた
上で準備委員会の作業に適用することを決定したことを想起し(PC-XI/17 の第 7.7
項)、
委員会が、OPCW 秘密保護綱領案(PC-D-1)第 6 部第 6.2 項の最終行中の誤記に
ついて「should」の「shall」への差し替えにより訂正することを決定したことを想
起し(PC-XII/17 の第 8.7 項)、
委員会がその最終報告書の第 45.4 項において、会議が上記の修正された OPCW 秘
密保護綱領を採択するよう勧告したことを念頭に置き、
ここに:
1.
次に添付した、上記の修正された OPCW 秘密保護綱領を採択する。
附属書
OPCW 秘密保護綱領
緒言
OPCW 秘密保護綱領案は、秘密情報についての専門家会合(PC-XI/B/WP.8 の附
属書)により作成され、第 11 回準備委員会により改訂された上で採択された( PC-XI/17
化学兵器禁止条約法令集
の第 7.7 項及び PC-XI/B/12 の第 7.2 項)。OPCW メディア広報綱領案は、OPCW メ
ディア広報綱領(PC-X/A/WP.5 の添付資料)についての公式協議により作成され、
第 10 回準備委員会(PC-X/23 の第 6.11 項及び PC-X/A/3 の第 6.4 項)により改訂さ
れた上で暫定的に承認された(OPCW 秘密保護綱領案を含む他の関連する文書の採
択については未決のままである)。
準備委員会はまた、OPCW 秘密保護綱領案及び OPCW メディア広報綱領案が必要
な変更を加えた上で準備委員会の作業に適用されることを決定した(それぞれ、
PC-XI/17 の第 7.7 項及び PC-X/23 の第 6.12 項)。
イアン R. ケニヨン
事務局長
目次
緒言
第 1 部: 序文
第 2 部: 一般的な方針
第 3 部: 情報及び秘密扱い
第 4 部: 秘密扱いについての基本的責任
第 5 部: 秘密情報のための OPCW 分類制度
第 6 部: 秘密情報の取扱い及び保護のための一般原則
第 7 部: OPCW による情報公表についての手続
第 8 部: 管理
第 9 部: 侵害の手続
第 9.1 部: 侵害調査手続
第 9.2 部: 秘密の扱いに関係する紛争の解決のための委員会を規律する規則
(「秘密保護委員会」)
第 9.3 部: 侵害の手続における締約国の役割
第 10 部: 事務局による秘密情報の取扱いを規律する制度の実施についての年次報告
書
第 11 部: 改訂手続
第 1 部 序文
1.
2.
この文書は、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する
条約(以下「条約」)実施に関する活動を通じた秘密保護のための、また秘密情報
の分類及び取扱いのための、
更に秘密侵害時の対処のための化学兵器禁止機関(以
下「OPCW」)の方針の基礎となるものである。
秘密情報についての方針は、OPCW の作業にとり必要不可欠である。それは、
機微な情報が漏洩するのではないかとの締約国の正当な懸念を尊重しつつ、その
化 学 兵 器 禁止条約法令集
3.
一方で条約遵守の信頼促進を目的とした干渉的な検証措置を行わねばならないこ
とによる。信頼できる検証は、必然的に締約国側の受容と検証活動におけるある
程度の干渉を伴う。条約遵守を立証するための適切な情報の開示の必要性は、条
約に関係のない情報の開示を防止するため適切な措置がとられておりいかなる秘
密情報も一旦開示されたら適切に保護されるとの信ずるに足るだけの保証が締約
国に与えられた上で初めて認められるものである。
その結果、憲法上の義務を考慮に入れ国の安全保障及び財産上の権利を保護す
るために、条約は締約国の権利及び義務を定義する際に、条約遵守における信頼
の高揚のために必要な情報開示と、条約に関係のない情報の開示の防止との間の
均衡を織り込んでいる。これら 2 つの目標は、必ずしも相入れないものではな
い。むしろ逆に、信頼でき効果的な検証過程は、積極的かつ完全な秘密を保護す
ることにより達成され得る。条約文は実質的に、すべての秘密情報は適切に保護
され、検証手続は条約遵守の検証に関係のない情報の開示を防止するよう努める
ということを保証している。
第 2 部 一般的な方針
1.
2.
3.
条約第 8 条第 5 項は、秘密性を尊重するという OPCW の義務の根拠を示して
いる。
「OPCW は、できる限り干渉の程度が低く、かつ、検証活動の目的の適時の及
び効果的な達成に合致する方法で、この条約に規定する検証活動を行う。OPCW
は、この条約に基づく自己の責任を果たすために必要な情報及び資料のみを要請
する。OPCW は、この条約の実施を通じて知るに至った非軍事上及び軍事上の
活動及び施設に関する情報の秘密を保護するためにすべての措置をとるものと
し、特に、秘密保護附属書に定める規定を遵守する。」
条約第 7 条第 6 項は、各締約国に対し次の義務を課している。
「この条約の実施に関連して OPCW から秘密のものとして受領する情報及び資
料を秘密情報として取り扱い、並びに当該情報及び資料に対し特別の取扱いを行
う。締約国は、当該情報及び資料を、この条約に基づく自国の権利及び義務との
関連においてのみ利用するものとし、秘密保護附属書に定める規定に従って取り
扱う。」
これらの基本的な要求は、条約の他の多くの条項において詳述されている。特
に、秘密保護附属書及び検証手順を列挙している規定において詳述がなされてい
る(例えば、第 6 条第 10 項、検証附属書第 2 部第 56 項及び第 62 項並びに検証
附属書第 10 部第 48 項)。これを基礎として、OPCW の秘密保護綱領の根本要素
は次のとおりとなる:
(a)
条約に基づく責務の適時の及び効果的な達成のために必要となる情報のみ
が、追求され要求される。締約国が OPCW にアクセスを認める情報の必要
性は、可能な限り詳細に明示される;
(b)
検証活動は、条約に基づく検証義務の効果的な及び適時の履行と矛盾する
ことなく、秘密情報の不必要な開示を回避するべく、かつ、条約遵守に関係
のない情報の開示を防止するべく努めるように立案され計画され実施され
化学兵器禁止条約法令集
(c)
(d)
(e)
(f)
る;
検証又はその他の活動中において、条約に関係のない秘密情報は追求、記
録又は保持されない。ただしこれは、被査察締約国が条約の規定に従いかか
る開示を要求する権利を侵害するものではない。条約に関係のない情報が一
旦開示され後には、それは保護され、更なる開示は行われず、適切に廃棄さ
れる;
情報が秘密扱いとして収集され分類された後の情報の開示及び情報へのア
クセスを制限する体系的な手続が確立され、調整され及び遵守される;
明示的な権限がある場合及びこの綱領の第 7 部に記述された公表手続に従
う場合以外は、条約実施の関係で得られた情報は、出版又は公表されない;
及び
職員の選定及び訓練並びに職員の配置方針及び配置規則は、全技術事務局
(以下「事務局」)職員が最高水準の能率、能力及び誠実性を確実に具備する
必要性を考慮しなければならない。
第 3 部 情報及び秘密扱い
1.
2.
3.
この部は、「情報」、「秘密情報」及び「秘密性」の用語の範囲について実際上
の解釈を与える方針を示す。条約は、これらの用語がどのように適用されるかに
ついて定義的説明を行っておらず、これらの用語は、条約に基づく OPCW 及び
締約国の様々な責務の履行と整合するように、実務上の文脈において決定される
べきであることが明らかである。
OPCW は、主に検証活動を通じて得られた情報及び締約国から提供された情
報を基にその責務を遂行する。このように情報は、入手、加工及び更に必要な情
報の生産という、継続的な入力・出力形式により OPCW 又は OPCW 職員のもの
となる。
OPCW の全活動における秘密扱いの重要な役割に鑑み、情報は一般に、その
性質、その取得及び保存の意義並びにその加工及び伝達の媒体を勘案しつつ、実
務面において検討されることができる。
「情報」の範囲
4.
「情報」という用語は、非常に広い意味に理解されねばならない。情報は、そ
の有形若しくは無形の性質又は組立と関係なく、情報が持つところの、直接又は
間接的に資料又は知識を提供する能力又は潜在能力により捉えられる。
5.
「情報」という用語は更に、個人又は OPCW(条約実施におけるその職員又
は装置を含む)が知覚し、取得し、推理し又は保持し得るところの知識又は資料
を取得し、伝達し又は保持する手段に対しても適用される。
6.
「資料」という用語は、条約上幾つかの文脈において使用されている。一般に
「資料」は、例えば国の申告において明記された情報のような、特定の構成又は
様式における情報をいう。しかしながら、秘密扱いの観点から文章を解釈する際
には、
「情報」と「資料」の間で実質的な区別はない。したがって、この綱領の目
的のためには、
「情報」という用語は「資料」に対するいかなる言及をも包含する
化 学 兵 器 禁止条約法令集
7.
ものと考えられる。
「情報」又は「資料」は、間違った、虚偽の又は不正確な情報
をも含み得る。
「情報」の適用範囲を列挙すれば次のとおりとなるが、これに限定されるもの
ではない:
−
図画、略図、数値、記号、描画、デジタル、アナログ、写真又は文章によ
る情報を含む文書;
−
写真、図画、視察、観察、資料加工、試料採取及び分析の産物;
−
電子的、磁気的又はその他の物理的媒体に保存され又は表示される資料;
−
相対的又は絶対的な用語で表現された情報;及び
じんあい
−
化学物質の試料及びその他の物(土壌、塵埃、フィルター及び試料採取に
より運ばれた化学物質を含む)並びに装置(試料採取、分析及び安全の装置
を含む)。試料は情報を含み、試料分析を通して二次情報を提供し得る。
情報は通信媒体又は人間感覚を通して入手又は伝達することができる。
情報は、
単なる現地における立会いにより又は与えられたアクセスを通して入手及び伝達
することができる。このように、装置、物品、衣服及びその他の個人所有物も情
報源となり得る。
情報の形態の実務上の定義
8.
次の実務上の定義(ある特定の形態の情報しか含まないが)は、この綱領の下
での情報の取扱い及び保護のための指針の目的で適用される。取扱い指針が効果
的かつ実際的に適用されることが確保されるよう、次の定義は柔軟に定められて
いることが理解されるべきである:
−
「文書」は、情報又は資料を表示する各種の物理的品目にまで拡大される;
−
「電算器材」は、ディスク、テープ及びディスケットのような、いかなる
電算記憶装置及び処理媒体をも含む。この用語はまた、現地査察において情
報を記録するために使用される携帯型電算機も含む;
−
「視聴覚器材」は、オーディオ及びビデオテープ、現像済み及び未現像の
写真フィルム(スチール写真のネガ及びポジを含む)を含む。
(スチール写真
の陽画は「文書」でもある)
;及び
−
「試料」は、試料収集媒体及び分析から得られる又は導き出される二次情
報を含む。
上記用語に属することとなる特定の形態の情報に対して一般的な実務指針を適
用する場合には、重複する項目があるかもしれない(例えば、OHP シートは文
書又は視聴覚器材として、電算印刷物は文書又は電算器材として取り扱われるこ
とができる)。
条約による情報の秘密保護
9.
秘密保護についての基本原則は、秘密保護附属書第 2 項(c) に記述されたとお
り、特別に規定された場合を除き、条約実施の関係で OPCW が得たいかなる情
報も出版され又は公表されてはならないということである。
10.
秘密保護附属書第 2 項(a) において規定された特別な手続の指針は、次の場合
には情報は秘密情報とされることを規定している:
(a)
当該情報を提供し当該情報に関係する締約国が秘密情報として指定する場
化学兵器禁止条約法令集
合;又は
(b)
認められていない情報開示が、当該情報に関係する締約国又は条約実施枠
組みに対し、損害を引き起こすことが合理的に予想されると事務局長が判断
する場合。
11.
秘密情報を決定する際には、次の要因が加重され、事務局長又はその代理は慎
重にこれと均衡をとらねばならない:
−
その開示が締約国、締約国のその他の団体(民間企業を含む)、締約国の国
民、又は条約若しくは OPCW に対し損害を引き起こす可能性;
−
その開示が個人、国家又はその他の団体(民間企業を含む)に対し特別な
又は選択的な利益をもたらす可能性;
−
条約遵守の効果的な検証のための基本的要件;及び
−
条約の受容性及び信頼性を促進するための、条約実施に関する一般的情報
の開示により生じる利益。
12.
締約国が OPCW に提供する情報が秘密情報を含むか否かを決定する際には、
締約国もまた上記要因を考慮することができる。秘密情報の指定は、条約履行の
立証という締約国の義務を損なうものであってはならず、締約国の条約不履行の
隠匿に利用されてはならない。更に、条約に従い特別な方法で締約国からの要求
に応じ又は定期的に締約国に対し伝達されることとされた情報の開示について
は、締約国はこれを阻害することはできない。
13.
一旦情報が秘密情報を含むと決定された場合は、これについて、秘密の程度及
び当該情報へのアクセスの範囲を特定する必要がある。これは通常は、この綱領
の第 5 部に規定される分類制度を通して行われる。
情報の条約との関係
14.
条約目的に対する情報の関わり方としては、当該情報に対する秘密保護措置の
適用の仕方が挙げられる。条約の実施に当たっては、3 つの重要な区分が識別さ
れる:
−
OPCW が条約上の責務を果たす上で直接的に関係する情報又は締約国が
条約上の義務を履行するために提供した情報;
−
締約国が条約を遵守していることを表明するためにアクセスを認めた、又
は検証活動中に締約国が意図せずして開示してしまった、条約目的に関係の
ない情報;及び
−
条約目的に関係がなく、締約国が条約上の権利及び義務に従いアクセスを
拒否した、機微な情報を含む情報。
15.
検証手続及び検証活動は、これらの区分を踏まえて実施される必要がある。し
かしながら、この方面における情報の性質は多分に個々の状況及び背景に依存す
るため、条約目的と情報の関連性の判断は実際において決定される。秘密保護の
義務は、上記の各区分により示された情報に応じて決定される。
第 4 部 秘密扱いについての基本的責任
1.
OPCW の包括的義務
化 学 兵 器 禁止条約法令集
1.1
OPCW は締約国から多量の秘密情報を受理し、検証活動中には、より多量の
秘密情報(しばしば、より機微な性質の)に触れ又はこれを入手し得る。OPCW
の内部手続においても更なる秘密情報が生まれる。したがって、この OPCW は
その全部局を通じて、秘密扱いを尊重する一定の義務(特に次のもの)を遵守し
なければならない:
(a)
この綱領の第 7 部に規定された情報公表手続に従う場合を除き、条約実施
との関係で得られた情報については、これの出版又は公表は行わない;
(b)
無関係の情報の開示を避け秘密情報の開示を最小限にするため、可能な限
り干渉の程度が低いものとなるように検証活動を立案、計画及び遂行する。
これは、効果的なかつ適時の検証となるようなものとしなければならない;
(c)
条約目的に資するために必要となる情報開示のみを追求し要求し、情報に
ついての要求事項を極力正確に特定する;
(d)
効果的なかつ適時の検証となるようにしつつ、検証活動中に意図せずして
開示された条約に無関係の秘密情報について、これへのアクセスの可能性を
最小限にし、これを保護し、これの二次開示を防止する;及び
(e)
秘密扱いとして分類された情報について、これの開示及びこれへのアクセ
スを制限するための体系的な手続を確立し、遵守し、及び調整する。
1.2
1.2.1
事務局長の責務
事務局長は明確に秘密情報保護の主たる責任を負う。事務局長は、秘密保護附
属書を含む条約及びこの綱領に記述された指針に従った、事務局内の秘密情報取
扱いのための制度を確立しなければならない。
1.2.2 事務局長は、事務局内において秘密取扱い制度が厳守されるよう管理する責任
があり、当該制度の実施状況を毎年報告しなければならない。
1.2.3 事務局長は秘密の侵害及び侵害の疑惑への対処において中心的役割を果たす。
これには、従うべき手順の確立及び侵害の手続 2 に従った調査の実施、並びに職
員規則に従った処罰及び懲戒処分が含まれる。従うべき手順は、本件についての
締約国会議決定に基づかねばならない。
2
第 9 部を参照。
1.2.4 事務局長は締約国に対し、「OPCW が締約国に提供する情報の取扱いの詳細」
(秘密保護附属書(A)第 4 項)を提供するよう要求し、締約国会議が決定する指
針に従いかかる要求の書式及び時期について締約国と協議することができる。事
務局長は例えば、全締約国に対し、OPCW の秘密情報の取扱いについて定期報
告をするよう要求することができる。
1.3
1.3.1
事務局の責務
秘密保護に関する事務局の基本的責務は、本質上、OPCW 及び事務局長の責
務に由来する。しかしながら、実際の条約実施においては、事務局職員の秘密保
護責務の明確化、実施及び監視は極めて重要である。検証活動における事務局職
員の関与、並びにその結果生じる同職員の民生及び軍事の秘密情報(締約国が化
学兵器禁止条約上の義務を履行するに当たり開示した情報、及び条約目的に関係
化学兵器禁止条約法令集
のない機微な情報が開示された場合の当該情報を含む)へのアクセスにおいて、
特別の義務が事務局職員に対し適用される。
1.3.2 既にその概略を示した広範な義務に加え、事務局は次の特別な責務を負う:
(a)
適切な部局を通して、事務局が保有するすべての資料及び文書を、秘密情
報の有無を確定するために評価する;
(b)
公式の部局説明書において、各職に必要とされる秘密情報へのアクセスの
範囲を具体的に定める;
(c)
各職員との間で守秘契約を締結し、必要に応じアクセス権を与えられた
OPCW 外の団体との間で守秘契約を締結する;
(d)
秘密保護問題についての全職員に対する継続的な訓練及び周知徹底課程を
行い、秘密情報の保護についての各従業員の記録を監視して明確な能力評価
要素とする;
(e)
ある締約国の領域内又は管轄及び管理下にある地域内における活動につい
ての秘密情報について、従業員にこの秘密情報へのアクセスの許可を与える
提案を行う場合は、当該アクセスを許可する少なくとも 30 日前までに当該
締約国に対しこれを知らせる;及び
(f)
効果的な検証と矛盾しない限り、秘密情報は、これに係る施設が直接的に
特定されないような方式で取り扱われ、保存される。
1.3.3 個々の職員の責務は、更に、各従業員が守るべき守秘契約により定義される。
1.4
1.4.1
3
査察団の責務
査察団員の特別な責務は、次に由来する:
(a)
現地査察員は秘密情報に接することができる;
(b)
査察団は、被査察締約国の合意を要する秘密に関する事項について当該被
査察締約国と交渉しなければならない 3;及び
例 え ば 、 検 証 附 属 書 第 10 部 第 46 項 及 び 秘 密 保 護 附 属 書 第
14
(c)
項に従う場合。
査察団は査察命令により管理され、査察計画を立案し、査察中において採
用されるべき具体的措置を決定しなければならない。
1.4.2 このため査察団は次のことを行わねばならない:
(a)
効果的なかつ適時の任務遂行と矛盾しないように、可能な限り干渉の程度
の低い方法で査察を実施する;
(b)
化学兵器に関係のない機微な装置や情報が保護されることを確保するよう
に、査察を計画し、査察のいかなる段階においても、被査察締約国の行う提
案を考慮する;
(c)
機微な装置を保護し許可されない秘密情報開示を防止するために策定され
た手続を十分に尊重する;
(d)
査察命令を遂行するに必要な情報及び資料のみを要求する;
(e)
条約遵守に関係する事実のみを含む査察報告書を作成する;
(f)
現地査察期間中に査察団が接した条約に関係のない秘密情報を保護し秘密
情報の二次開示を防ぐ;及び
(g)
締約国の権利及び義務に基づいて被査察締約国が行うところの、機微な情
化 学 兵 器 禁止条約法令集
報へのアクセスの拒否を尊重する。
2.1
2.1.1
締約国の責務
締約国は OPCW から受理した情報については、当該情報の秘密区分に明示さ
れた機微の程度に従いこれを取り扱わねばならない。この義務の実施方法は自ず
から各締約国により異なるが、当該情報に対しては、原則として各国の国内法制
において同等となる国内分類の情報又は同等の秘密扱いをされる情報に対して与
えられる保護と同等かそれ以上の保護が与えられねばならない。締約国は、この
綱領の第 6 部に規定された原則と整合するような、OPCW の秘密情報の取扱い
及び保護に関する適切な手法を確立しこれを適用しなければならない。
2.1.2 各締約国は、 OPCW が提供した情報の取扱いの詳細について、要求に応じこ
れを提供しなければならない。この手続は、秘密が実際上保護されているとの、
締約国間の一般的な相互保証を促進することを目的とする。かかる要求に対する
締約国の回答は、少なくとも情報取扱いの基準が上記第 2.1.1 項に適合している
ことを確認するものでなければならない。
2.1.3 情報の秘密性を保護するに当たり、締約国は、検証に関する条約の規定に従い
条約を遵守していることを立証するという必須の義務を果たさねばならない。
2.1.4 調査結果により侵害が生じていることが判明したときは、各締約国は可能な範
囲内で、秘密の侵害又は侵害の疑惑の調査に当たり、また、詳述した侵害の手続
に従い適切な行動をとるに当たり、事務局長に協力し事務局長を支援しなければ
ならない。この締約国の義務には、OPCW が締約国に提供した情報の取扱いに
ついて締約国が詳細な規定を行うことが含まれ得、もし必要であれば、違反が「秘
密の扱いに関係する紛争の解決のための委員会」での検討に付される場合には締
約国が紛争当事者としてこの委員会に出頭することが含まれ得る。
2.2 オブザーバーの責務
2.2.1 申立査察中に、被査察締約国が検証附属書第 10 部第 55 項に基づきオブザー
バーにアクセスを与えることに合意したときは、オブザーバーは秘密情報に接す
ることができるが、それ故に取扱い及び保護に関する特別な責任を負う。
したがっ
て、オブザーバーによる秘密情報の取扱い及び保護は、秘密保護附属書を含む条
約のすべての関連規定及びこの綱領(特にこの綱領の第 6 部の詳細な取扱い規
定)と完全に整合性のとれたものでなければならない。条約第 9 条第 12 項(a)に、
オブザーバーは要請締約国の「代表者」であることが示されているために、かか
る情報はまた、要請締約国及び特にその代表者としてのオブザーバー両者につい
て第 7 条第 6 項の規定の適用を受け、ひいては秘密として扱われ特別な取扱い
を受けねばならない。
2.2.2 したがって、オブザーバーがこの綱領のすべての関連規定に従い個々にこれに
拘束されることを確保し、同時に、オブザーバーが秘密を侵害した場合に当該締
約国の公務員が秘密を侵害した場合にとられる措置と同等の効果的な法制上の救
済及び罰則が適用されることを確保することについて、要請締約国は完全に責任
を有し、このためにすべての必要な措置をとらねばならない。一旦秘密情報がオ
ブザーバーに開示され又はオブザーバーが取得した場合は、オブザーバー自身の
個々の責任を減ずることなくまたこの責任に加え、要請締約国もまた、条約及び
化学兵器禁止条約法令集
この綱領に従い当該情報の取扱い及び保護について責任を有することとなる。オ
ブザーバー側としては、秘密情報保護に関するこの綱領の全規定を厳守しこれに
拘束されることとなり、この関係で認められないいかなる行動も行ってはならな
い。
第 5 部 秘密情報のための OPCW分類制度
1.
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
1.6
秘密情報の部類
秘密と認定された OPCW が入手又は提供した全情報及びその構成要素には、
秘密情報の秘密の程度に応じて確立された部類に基づいた分類が与えられねばな
らない。この適用に当たっては、分類制度は、条約遵守の効果的な検証のための
要件を阻害するものではなく、条約の受容性及び信頼性を高めるために、必要に
応じ、条約実施に関する一般的な情報を適切に鈍化した形で発表できるものでな
ければならない。
ある情報の秘密の程度を決定する際に考慮しなければならない必要不可欠な要
素は、次のとおりである:
(a)
その情報を開示することにより、締約国、締約国の他の団体(民間企業を
含む)若しくは締約国の国民又は条約若しくは OPCW に与えることとなる
かもしれない損害の程度;及び
(b)
その情報を開示することにより、個人、国家又はその他の団体(民間企業
を含む)に与えることとなるかもしれない特別な又は選択的な利益の程度。
これらの要素は、情報の秘密性を決定する際に使用される要素となる。
これらの指針的要素及び下に掲げる具体的な分類基準に基づき、秘密情報は秘
密の程度の高さに応じて次の部類に従い分類されねばならない:
−
OPCW 限定
−
OPCW 保護
−
OPCW 高度保護
上記部類の名称中の接頭辞「OPCW」は、OPCW が適用した分類を明確に確
認する際に、及び国による別個の分類制度との抵触又は解釈の差異を避ける際に、
分類された資料の取扱いを容易にするためにのみ使用される。この接頭辞の使用
は、いかなる特別な伝達範囲をも示唆するものではない。
分類区分(情報の秘密性に基づく)と情報伝達範囲(例えば、主題、「知る必
要」の原則及び情報が使用される特定の目的に基づく)との間には差異がある。
分類の水準は、条約(秘密保護附属書第 2 項(b) を含め)が特別に要求する情報
の伝達を妨げるものではない。
上記部類のいずれにも属さない情報は分類されなかったものと見なされ、適切
に表示がなされる。分類されない情報は、別途定める公表手続に従い特に発表が
認められる場合を除き、OPCW 及び締約国による公表から適切に保護される。
秘密情報に与えられる保護の程度は、その分類区分により示された秘密の程度
と連動しなければならない。各締約国及び OPCW は、OPCW 内の情報及び締約
国から得られた情報に起因する分類された OPCW 情報を、その分類区分により
示される秘密の程度に従い保護しなければならない。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
分類区分:OPCW 限定
基準:
1.7
この部類は、その無許可の開示が条約の有効性若しくは信頼性を損ね、又は締
約国、民間若しくは政府の機関若しくは締約国の国民の利益を侵害するところの
情報から成る。
例:
1.8
当該資料の秘密性の高低により別途特定される場合を除き、次の形態の情報は、
これが何らかの方法で OPCW により取得又は創出された場合は、
「OPCW 限定」
に分類される:
(a)
条約第 3 条、第 4 条、第 5 条及び第 6 条並びに検証附属書に基づき締約
国により提供された冒頭及び年次の報告及び申告であって、提出した締約国
がこれらの文書がこの程度の秘密性を有すると認める場合のもの;
(b)
検証活動の結果及び有効性についての一般的な報告;及び
(c)
条約のその他の規定に従い全締約国に対し提供される情報。
1.9
「OPCW 限定」として分類され取り扱われるその他の情報は、次のものを含
み得る:締約国と事務局の間の定期的な秘密の通信、及び特に秘密を有さない
OPCW 内部の作業文書。これは、事務局内部の検討及び意思決定に関する情報、
並びにその他の管理及び行政の情報であって、その情報開示が条約実施における
OPCW の有効性を損ねかねないようなものも含み得る。
伝達:
1.10 秘密保護附属書第 2 項(b)に従い締約国が定期的に提供する「OPCW 限定」情
報は、当該規定どおりに伝達されねばならない。
分類区分:OPCW 保護
基準:
1.11 この部類は、その無許可の開示が、条約の有効性若しくは信頼性、又は締約国、
民間若しくは政府の機関若しくは締約国の国民の利益に対し重大な損害を引き起
こすかもしれないところの情報から成る。
例:
1.12
より高い又はより低い秘密性に従い別途特定される場合を除き、次の形態の情
報は、これが何らかの方法で OPCW により取得又は創出された場合は、「OPCW
保護」に分類される:
(a)
条約第 3 条、第 4 条、第 5 条及び第 6 条並びに検証附属書に基づき締約
国により提供された冒頭及び年次の報告及び申告であって、提出した締約国
がこれらの文書がこの程度の秘密性を有すると認める場合のもの;
(b)
生産工程及び施設についての公表されない技術的情報並びに工業製品につ
化学兵器禁止条約法令集
いての専門的情報;
(c)
商業契約並びに工程及び生産の費用要因に関する、比較的秘密性の低い又
は比較的一般的な情報;
(d)
施設での異常又は出来事についての情報を含む、査察についての詳細な冒
頭報告及び査察報告書;
(e)
特定の施設についての事務局の査察計画及び査察目標に関する資料及び情
報;
(f)
施設協定及びこれに添付される資料;及び
(g)
申告、施設協定及び査察報告書に含まれる情報の確認及び評価に関する情
報。
このような情報が条約遵守の検証に関係ないと認められる場合は、この部の第
1.17 項に規定されるように、正式な分類が決定される前は、当該情報は通常まず
「OPCW 高度保護」として扱われる。
伝達:
1.13 秘密保護附属書第 2 項(b)に従い締約国が定期的に提供する「OPCW 保護」情
報は、当該規定どおりに伝達されねばならない。
分類区分:OPCW 高度保護
基準:
1.14 この部類は、その無許可の開示が、条約の有効性若しくは信頼性、若しくはそ
の趣旨及び目的に対し深刻な損害を引き起こし、又は国の安全保障若しくは企業
秘密の観点から締約国、民間若しくは政府の機関若しくは締約国の国民の利益に
対し深刻な損害を引き起こすところの機微な秘密情報から成る。
例:
1.15
より低い秘密性により別途特定される場合を除き、次の形態の情報は、これが
何らかの方法で OPCW により取得又は創出された場合は、「OPCW 高度保護」
に分類される:
(a)
条約第 3 条、第 4 条、第 5 条及び第 6 条並びに検証附属書に基づき締約
国により提供された冒頭及び年次の報告及び申告であって、提出した締約国
がこれらの文書がこの程度の秘密性を有すると認める場合のもの;
(b)
被査察事業所から採取された試料及び指定実験施設から返還された試料並
びに試料分析結果;
(c)
締約国から特別に提供された特に機微な秘密情報;及び
(d)
現地分析の実際の活動中に、通常アクセスが要求されるのみの秘密情報、
又は自発的に若しくは結果的に提供される秘密情報。例えば、次のようなも
の:
−
作業工程図;
−
事業所の写真、詳細図及び見取り図;
−
技術工程及びその要素に関係する特殊な資料;
化 学 兵 器 禁止条約法令集
−
−
現地で採取され現地で分析された試料の分析データ;
商業的に機微な市場情報、例えば、詳細な顧客名簿及び彼等に販売す
る個々の数量;及び
−
その他の精密な情報、極めて特殊で技術的な情報、商業的情報又は国
家安全保障の情報。
このような情報が条約遵守の検証に関係ないと認められる場合は、下の第 1.17
項に規定されるように、正式な分類が決定される前は、当該情報は通常まず
「OPCW 高度保護」として扱われる。
1.16 大半の査察の筋書では、上の第 1.15 項(d)に規定される高度に機微な情報は、
国家的秘密情報の有無に関係なく、被査察施設において保管され、査察期間中の
現地での使用のみのために入手が可能となる。かかる情報が現地外に移送されず
それへのアクセスが制限される場合は、自ずから事務局における OPCW 分類制
度は適用されない。そうであるにもかかわらず、査察活動中においては、査察団
はこの情報に対し少なくとも「OPCW 高度保護」程度の保護を与える。かかる
情報の分類区分は、施設協定において可能な範囲内で特定されねばならない。
1.17 意図せずして開示された、又は査察団員により収集された、条約遵守の検証に
関係のない機微な秘密情報は、いかなる形態でも記録されてはならず、いかなる
二次伝達も行われてはならない。査察活動中にそのような機微な情報に対しアク
セスが与えられたときは、被査察締約国が特定の取扱い又は機微の程度を明確に
するまで又は明確にしない限り、査察団員は当該情報に対し、少なくとも「OPCW
高度保護」として分類される情報に対して与えられるのと同程度の保護を与えね
ばならない。そのような場合は、被査察締約国は、査察活動中における又は施設
協定におけるかかる情報の当初段階の分類を指定することができる(この部の第
2.5 項に規定されるように)。かかる機微な情報が偶然により又は被査察締約国
との同意により事務局に持ち込まれる場合は、被査察締約国が別に特定しない限
り、それは「OPCW 高度保護」として分類され、それに対応して保護されねば
ならない。
伝達:
1.18 秘密保護附属書第 2 項(b)に従い締約国に定期的に提供される「OPCW 高度保
護」情報は、当該規定に従い伝達されねばならない。
2.
2.1
分類の権限
分類すべきであると決定され、事務局に対し伝達され又は事務局により創出さ
れた情報については、事務局長の直接権限の下で分類制度が上記部類及び指針に
従い適用されることが必須である。この制度には、事務局内において創出された
文書の分類を整合性のとれたものとするための内部手続、及びかかる分類につい
て協議し、もし必要であればこれを認定するための内部手続が含まれる。
2.2
このような情報の分類は、次の権限により決定されねばならない:
(a)
締約国により提供された秘密情報の場合は、当該締約国がその当初段階の
分類区分を指定する権限を有する;
−
もし締約国が秘密の程度を明示せずして、秘密であることが明らかな
化学兵器禁止条約法令集
情報を提供したなら、事務局長又はその代理は暫定的な分類区分を適用
し、それに応じて情報を取り扱う責任を有する。事務局長又はその代理
は、この暫定分類を確定し修正し又は取り除くため、直ちに提供した締
約国と協議する責任を有する;及び
(b)
事務局が創出した秘密情報の場合は、当該情報の創出者が暫定分類を指定
する責任を有する。事務局長又はその代理は、当該情報に対する最終的な分
類を適用する権限及び責任を有する。
2.3
OPCW 内において創出された秘密情報を含むいかなる文書も、当該創出者に
より暫定的に分類されねばならない。OPCW 内において創出される新しい文書
に対し分類区分を設定する際には、当該創出者は、OPCW が保有する文書及び/
又は情報であってこの新しい文書に直接関係のあるものに対し既に設定された秘
密の程度について十分な注意を払わねばならない。
2.4
締約国は、秘密情報に対し分類区分を指定する際には、その秘密の程度、並び
に、上記第 1.7 項、第 1.11 項及び 1.14 項に記述された各部類のために定められた
各基準を考慮に入れねばならない。各部類により分類される情報形態に関しての
上に示した例証的な指標は、締約国が提供する秘密情報の分類を当該締約国自身
が設定するという、締約国の主要な権限を侵害するものではない。
査察における分類の権限
2.5
査察において又は施設協定の策定過程において、被査察締約国は、秘密の程度
及びそれに対応した分類基準を考慮に入れつつ、秘密情報について当初段階の分
類を指定することができる。この当初段階の分類は、査察実施期間中及び査察完
了後に秘密情報が事務局へ移送される時に即時に効力を発する。被査察締約国が
査察団員に対し、正式な分類を設定しないで機微な秘密情報を開示し又は見せる
場合は、当該査察団員は、被査察締約国が別に特定する場合を除き、この情報を
「OPCW 高度保護」として取り扱う責任を負う。
3.
3.1
分類の有効期間
原則として、特定の情報に対し設定された分類は、それが再分類及び分類解除
のために確立された指針に従い明確に変更又は削除されるまで適用され続ける。
締約国は秘密情報を提供するときは、当該情報に適用されるべき分類の有効期間
を示すことができる。もし指示がないなら、有効期間は無期限と見なされる。
3.2
実行可能なかつ効果的な秘密情報保護を維持し、条約遵守の効果的な検証及び
全検証制度の理解を高め、並びに以前は機微であった資料の書庫保存を減らすた
めに、締約国、事務局長及び OPCW 内の他の文書作成者はとりわけ、分類解除、
分類格下げ又は公表も念頭に置き、秘密の指定及び分類区分の継続適用を見直し
続ける必要がある。
3.3
情報の分類及びその有効期間は、特に OPCW の記録の廃棄計画との関係で見
直され得る。かかる計画を遂行するに当たり、事務局長は時に応じ、合意された
手続に従い、提供した締約国に対して記録の分類解除について文書による同意を
求めることができる。事務局が創出した秘密情報については、事務局長は時に応
じ、秘密情報を保持するために指定された分類を見直さなければならない。もし
化 学 兵 器 禁止条約法令集
情報がある締約国に関係するのであれば、当該締約国は分類の有効期間が終了す
る前に文書による同意を提供する必要がある。この関係で、内部の見直し手順が
確立されることとなる。
4.
分類区分の変更
秘密情報の再分類
4.1
ある秘密情報の分類を変更する権限は、当該情報の原初の分類を決定するため
のそれ(この部の第 2.2 項(a)及び第 2.2 項(b)に規定されたもの)と同様である。
特に、締約国が提供した情報は、当該締約国の文書による同意なくしては、変更
されてはならない。この規則はまた、OPCW 内で作成された文書に含まれる情
報に対しても適用される。
4.2
OPCW の分類された情報を作成又は受領した締約国及びこれを使用する事務
局の上級職員(局長以上)は、これの分類区分の変更を要求することができる。
かかる要求は、明確な運用上の必要に基づくべきであり、次の規定に従い行われ
るべきである。
4.3
OPCW の分類された情報を作成した締約国が分類の変更を要求したときは、
当該要求どおりに変更が行われる。変更を確定する前に、事務局長は提案された
変更の意義について締約国と協議することができる。
4.4
上記第 4.2 項に従って事務局が創出した秘密情報の分類区分変更の要求があっ
たときは、事務局長又はその代理は決定を行うに際し、上記の運用上の必要を考
慮に入れつつ、分類区分の適用のために確立された基準を遵守しなければならな
い。
4.5
事務局が創出した情報の再分類は、当該情報が修正、補遺又は改正され秘密に
関して実質的な変更が加えられたときに要求され得る。例えば、条約遵守に関す
る報告書案は、最終版のそれよりもより多くの秘密を含み得、また、より広範な
配布を意図した査察報告書の修正版においては機微な資料は削除され得る。上記
原則は、条約が別に明記する場合を除き、再分類を行う際に適用される。
秘密情報の分類解除
4.6
秘密情報の再分類のための上記の規定はまた、その分類解除に対しても適用さ
れる。特に、締約国が提供した情報は、当該締約国の文書による同意がなければ、
分類解除されてはならない。秘密情報の分類解除の決定に際しては、次の指針が
追加的に守られねばならない:
(a)
もし、事務局において作成された秘密情報であって原初の分類に影響を及
ぼすような形である締約国に言及したものの分類解除が提案されたなら、事
務局長は当該締約国から分類解除についての文書による明確な同意を得なけ
ればならない;及び
(b)
事務局が創出した秘密情報については、事務局長(又はその代理)は、少
なくとも自身が当該情報を秘密指定した時に考慮した面と同じ面を考慮しな
ければならない。
4.7
秘密情報の分類解除は、それがそのこと自体で一般向けに公表可能とすること
化学兵器禁止条約法令集
を意味するものではない。OPCW を超えてのいかなる情報(以前は秘密情報と
して分類されてきたものも含む)の公表も、この綱領の第 7 部に従い別途の協議
及び承認の手順が必要とされる。これはまた、OPCW 分類に基づき OPCW が締
約国に対し提供した情報に対しても適用される。
第 6 部 秘密情報の取扱い及び保護のための一般原則
1.
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
序文
この部は、秘密であると決定された情報へのアクセス及びこれの通常の伝達に
関する OPCW の規定を支配する原則、並びに秘密情報の取扱い及び保護のため
の関連手順を支配する原則を示すものである。これは、OPCW(その構成要素を
含む)内の秘密情報の伝達、及び秘密情報の締約国国内当局代表者への伝達につ
いて規定する。 OPCW 及び締約国を超えた、一般向け又はその他の情報発表の
指針は、第 7 部に示されている。
これらの原則は、秘密情報の取扱いに関するすべての手順の詳細(OPCW 査
察手引書、申告手引書及び情報管理システム(IMS;information management
system)を含む)において適用されることとなる。更に実務的な手順は、これ
らの原則を基にして、
事務局長が策定した管理規程において示されねばならない。
この部に記述した原則は、事務局及び OPCW のその他の組織内、並びにこれら
組織と締約国との間のやりとりを含め、OPCW のすべての実務に適用される。
OPCW から秘密情報を受理した締約国は、第 7 条第 6 項及び秘密保護附属書第 4
項に基づく義務に従い、当該情報を保護することが求められる。したがって締約
国は、これら原則と整合した形で、OPCW 秘密情報の取扱い及び保護のための
適切な方策を確立し適用しなければならない。
秘密保護附属書は、OPCW 内の秘密情報へのアクセス及びこれの伝達につい
て 2 つの原則を示している:
−
秘密情報へのアクセスは、その分類に従い制限されねばならない;及び
−
OPCW 内の秘密情報の伝達は、厳正に「知る必要」に基づき実施されね
ばならない(秘密保護附属書第 2 項(h))。
これらの根本的な原則から次のことが導かれる。まず、秘密情報の機微の程度
により、当該情報を入手する手順及び秘密保護のためにとられる方策が決定され
るということ。次に、秘密情報を受領することが認められる人は、条約目的に関
して当該者が示すところの受領の必要性に従い決定されるということ。秘密情報
の伝達を管理する際に考慮すべき重要な点は、締約国に与えられるアクセスの範
囲である:この関係で、締約国が他の締約国による条約の継続的な遵守を確認す
るために必要であるとして行われる、資料の全締約国に対する提供の要請につい
て、まず無条件の「知る必要」が確立される(秘密保護附属書第 2 項(b))
。した
がって、この条項により定義された関連する秘密情報へのアクセスは、締約国間
の十分な透明性及び増進した相互の信頼という極めて重要な目的に資するよう提
供されねばならない。
ある秘密情報に関連した実際のアクセスの範囲は、暗黙のうちに決め込まれる
のでなく、具体的に決定されねばならず、不法な又は許可されないアクセスに対
化 学 兵 器 禁止条約法令集
し当該秘密情報を保護するために具体的な実際の手段が講じられねばならない。
許可されたアクセスの範囲の決定の厳格性及び許可されないアクセスに対して必
要となる保護の程度及び強度が、当該秘密情報の分類に従い規定されねばならな
い。しかしながら分類の程度は、分類された情報へのアクセス範囲を決定するも
のではなく、単に当該情報が取り扱われる方法及び許可されない開示に対して保
護される方法を決定するものである。
2.
アクセス、伝達及び保護
2.1
秘密情報へのアクセス範囲は、当該情報を入手し又は保有することが認められ
る考えられるすべての受領者である。伝達は、許可された受領者に当該情報を積
極的に渡す過程のことである。それに応じて、情報への「アクセス」の概念は、
必然的に、当該情報を入手し又は保持する許可をある個人に与えることを伴う。
秘密情報の伝達は、情報の秘密の程度に従い適用される保護措置を適用すること
により可能となり、その結果、不必要な又は無許可の開示が行われることなく、
条約実施に必要となる範囲内で秘密情報は伝達される。したがって、OPCW 内
の許可を受けたすべての受領者への秘密情報の伝達は、適切な保護措置が講じら
れつつ、分類の程度に関係なく行われねばならない。この関係で、締約国が条約
に基づき得た秘密情報に対し特別な取扱いを適用するために、第 7 条第 6 項に
基づく義務を負っているということは注目すべきである。
2.2
したがって、実務上の「知る必要」又は条約の特別な規定に従い個々の事務局
職員又は締約国が秘密情報へアクセスすることを許可するための、詳細な保護手
続及び措置が策定されねばならない。この手続は一方で、秘密分類によって規定
された情報の秘密性に連動した厳格さ及び努力の程度により他のすべてのアクセ
スを阻止するものでなければならない。締約国会議及び執行理事会への秘密情報
の提供は、秘密情報の伝達のための一般原則に基づかねばならない。
「知る必要」の原則
2.3
「知る必要」の原則は、情報のアクセスの範囲及び伝達の受領者の決定を管理
する原則である。OPCW 内部には秘密情報を受領する絶対的な権利はない:事
務局の個々の職員及び OPCW のいかなる組織の職員も、その身分又は等級のみ
によってはいかなる OPCW 秘密情報にもアクセスする資格はない。
2.4
秘密情報へのアクセスは通常、時と場合に応じて、かつ、実務上の「知る必要」
の決定に従い与えられねばならない。しかしながら、秘密保護附属書第 2 項(b)
に従い、締約国がある特定の情報へのアクセスを無条件に要求することがある。
この場合、このこと及び関連条項は、他の締約国による条約の継続的な遵守を確
認するための、議論の余地のない各締約国の「知る必要」を確立するものと見な
されねばならない。
2.5
事務局内における個々の職員の「知る必要」及びその結果許可される秘密情報
へのアクセスの範囲の判断基準としては、実務上の範囲では、職員に与えられた
特定の職務又は課題が主要な構成要素となる。
2.6
事務局長は、秘密情報保護を確保する主たる責任を負う(秘密保護附属書第 2
項)。したがって、条約の規定により、事務局長はいかなる特定の秘密情報に関し
化学兵器禁止条約法令集
ても「知る必要」の決定に際して最終決裁者となる。
伝達及び取扱い手続の管理
2.7
事務局の適切な部署 4 は、秘密保護規定の実施を全般的に管理する任務を負い、
事務局長はこの部署の長に、秘密保護に関する権限の一部を行使する権限を特別
に与えることができる。この部署の詳細な特質は、事務局の一般計画を通じて決
定されるが、この文書の目的からこれは「指定された秘密保護部署」5 と称する
こととする。
4
秘 密 保 護 附 属 書 第 2 項(b) 。
5
OPCW 技 術 事 務 局 構 成 の 計 画 段 階 に お い て こ の 部 署 の 特 質 に 関 し て 決 定 が な さ れ た 場
合は、この名称はこの箇所及びこの綱領を通して当該決定に従い差し替えられる。
2.8
「知る必要」の原則を基に許可された秘密情報へのアクセスの範囲が決定され
たなら、アクセス方法及び与えられる保護の程度と適用される分類とを OPCW
が確実に連動させるようにするために確立された詳細な取扱い手続により、アク
セスが与えられねばならない。事務局職員による秘密情報を含む物理的媒体に対
する各アクセスは、
「知る必要」に基づき統制され及び記録され、この記録は保存
されねばならない。かかるアクセスが電子データシステムを通じて行われる場合
は、いかなる個人も他の職員の名前でアクセスを得ることができないことを確実
にするため、ログ・オン及びログ・アウトの手続が確立され、権限を与えられた
職員により遵守されねばならない。
「指定された秘密保護部署」は、これらの取扱
い手続の通常操作を監督する。
アクセス範囲及び秘密情報の締約国への伝達の決定
2.9
事務局が許可すべきアクセス範囲を決定し、その結果秘密情報を締約国に伝達
する必要がある際には、様々な状況がある。すべての場合において、支配する原
則は、秘密保護附属書第 2 項(b) において確立されたことであり、この規定の要
求事項が満たされることを確保するための手順が確立されねばならない。した
がって、他の締約国が継続して条約を遵守していることを確認するために締約国
から要求された資料は、定期的に当該要求締約国に提供されねばならない。特に、
全締約国に対し提供されねばならない情報が、秘密保護附属書第 2 項(b) に従い、
更なる協議及び事務局内での承認を必要としないで正しく提供されることを確実
にするために、情報管理及び許可の手順が遵守されねばならない。
2.10 ある特別な目的によりある秘密情報がある締約国に提供される場合であって、
それが条約に基づく伝達のための特別の要求事項の適用でなくより具体的な「知
る必要」に関係するとき(例えば、条約第 9 条第 3 項∼第 7 項に基づく説明要
求の場合、又は第 14 条に基づく紛争の解決の場合)は、事務局長又は事務局長
の直接責任の下で明確にこの権限が委任された一人の上級職員が、当該情報に関
係する及び/ 又は当該情報を提供した締約国と合意の上「知る必要」を確認した
後で、相談を受け、提案されたアクセスについて特別な許可を与えなければなら
ないということが一般的な規則である。事務局長は、かかる許可のいかなる行使
も常に知らされねばならない。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
2.11
OPCW から締約国への秘密情報の提供方法は、継続的に当該情報の秘密性に
対応した程度で保護される必要性に基づかねばならない。これに対し受領締約国
は、このような秘密情報をその秘密の程度に適して特別に取り扱う義務があり、
要求がある場合は、OPCW から当該締約国に提供される情報の取扱いについて
の詳細を提供しなければならない。
OPCW に関係する許可を受けた他の受領者へのアクセスの授与
2.12 OPCW が条約に規定された特別な機能を実施するに当たり必要不可欠となる
ところの、許可を有する事務局外の団体又は個人に対して、OPCW 秘密情報を
伝達する必要が生じるかもしれない。事務局長は、このようなアクセスを管理す
る、より厳正な制度を確立しなければならず、秘密保護附属書第 2 項に従い、
この制度下で認められるいかなるアクセスについても主要な責任を有する。この
ようないかなる提案されたアクセスも、事務局長又は事務局長の直接責任の下で
かつ当該制度下でこの権限を明確に委任された一人の上級職員により、提案され
た受領について職務上の「知る必要」が明確に立証された後になって始めて明確
に許可されることとなる。事務局長は、かかる許可のいかなる行使も常に知らさ
れねばならない。
−
事務局は締約国に、これら許可された団体又は個人による当該締約国の領
域又は当該締約国の管轄若しくは管理下にあるその他の場所に関する秘密情
報へのいかなるアクセスをも通知しなければならない。このようなアクセス
の条件として、秘密保護を規定する特別な守秘契約が必要とされる。この契
約は、許可された受領者として指名された各個人を拘束する。予備的措置と
して、提案された受領者が秘密情報に対して行う保護の程度の評定が実施さ
れてよい。
−
上記原則は、検証附属書第 2 部第 56 項により確立された制度の下で、試
料の指定実験施設への移送に適用される。これはまた、とりわけ、許可を受
けた専門家(第 9 条第 4 項(e)又は検証附属書第 11 部第 8 項により指名され
たような)が公的職務を遂行するために要求する OPCW 秘密情報へのいか
なるアクセスにも適用されてよい。
−
事務局外の許可を受けた団体及び個人による秘密情報へのアクセスが行わ
れる場合は、かかるアクセスは、条約実施上の業務を遂行するに必要不可欠
となる最小限のものに厳格に制限されねばならない。
2.13 この規定に従い OPCW 秘密情報へのアクセスが認められた各人は、自身がか
かる情報を二次的に開示するその相手たる事務局外の個人が、職務上の「知る必
要」を有し、また事務局長又はその代理(上記第 2.12 項において記述されたよ
うに)からの必要なアクセスを認める旨の文書による許可を有することを確保す
る責任を負う。
事務局内の秘密情報へのアクセス範囲の決定
2.14 事務局内の OPCW 秘密情報へのアクセスは、指定された職務上の義務を満た
すためにそのようなアクセスが必要となる人に対してのみ認められねばならな
い。事務局内の「知る必要」を決定する際には、職員の公的職務分掌及び秘密情
報への具体的なアクセス範囲に対し入念な注意が払われねばならない。
「OPCW
化学兵器禁止条約法令集
保護」及び「OPCW 高度保護」情報へのアクセスを許可する際には、職員の特
定の職務機能に対する明確な照会が必要とされる。「OPCW 高度保護」に分類さ
れた秘密情報に対する許可されるアクセス範囲は、時と場合に応じて文書により
示されねばならない。
2.15 職務上各締約国に関する秘密情報へ定期的にアクセスする職員は、登録されね
ばならない。締約国の領域又は締約国の管轄若しくは管理の下にある他の場所に
関する秘密情報へのアクセスを個々の職員に与える提案については、事務局は当
該締約国に対しこれを通知しなければならない。関係する締約国には、遅くとも
アクセスが認められる 30 日前までに通報されねばならない。締約国に関する秘
密情報へのアクセスにつながるいかなる人事発令又は人事構成若しくは職能の変
更も、遅くとも 30 日前までに前もって関係締約国に通報されねばならない。
2.16 特定の上級職員のみが、その管理下で他の職員に秘密情報へのアクセスを認め
る権利を有する。厳正な「知る必要」に従い個々の基準を規定する管理規程が事
務局長により確立されねばならない。アクセスの許可は、個々の場合において、
提案された受領者の特定の職務と当該案件が直接関係すること、及び、かかるア
クセスが常に事務局長による再調査の対象になることが確定して始めて実施され
る。提案された受領者に係る職務上の又は職務に固有の「知る必要」性について
不明確な点がある場合は、当該受領者を管理する責任を有する上級職員が協議を
受けねばならない。
3.
取扱い及び伝達についての原則
秘密情報の伝達
3.1
秘密情報の伝達は、OPCW による情報の公表手順と区別されねばならない。
一般的な用語として、秘密情報の伝達とは、許可を受けて秘密情報を OPCW(そ
の下部組織すべてを含む)内で開示すること、及び、秘密情報の開示が特定の職
務にとり必要不可欠であり、当該開示が締約国への情報提供に関する条約規定に
従ったものである場合において、締約国政府(条約実施に関するところの、政府
機関及び締約国内で権限を有する団体又は個人を含む)に対し開示することをい
う。OPCW による情報の「公表」6、この手順、及びこの詳細な適用範囲につい
ては、この綱領の第 7 部に規定されている。
6
情 報 の 「 公 表 」 と は 、 OPCW そ れ 自 体 ( そ の 構 成 要 素 す べ て を 含 む ) 以 外 へ の 及 び 締
約国政府以外(具体的には、条約実施に関するところの、政府機関及び締約国内で権限を
有 す る 団 体 又 は 個 人 ( こ の 綱 領 の 第 7 部 第 1.1 項 ) 以 外 ) へ の 、 承 認 さ れ た 情 報 開 示 を い
う。
秘密情報の取得、収集及び創出
3.2
OPCW による秘密情報の最初の取得、収集又は創出から、その伝達中の爾後
のすべての活動に至るまで、特別な取扱い及び保護の手順が継続して適用されね
ばならない。秘密であるかもしれない情報 7 は、幾つかの方法で OPCW により
化 学 兵 器 禁止条約法令集
取得、収集及び創出される:
7
この綱領の第 3 部に定義されている。
(a)
3.3
3.4
3.5
3.6
情報は、次のように締約国から OPCW に提供される:
−
条約により規定された申告義務及び報告要求に従って;
−
第 9 条に規定されたような、条約により確立された正式な手順の過
程において;及び
−
条約実施に直接関係のある他の情報の伝達の際に;
(b)
締約国における条約実施に直接関係のある他の情報は、当該締約国から事
務局に伝達され得る;
(c)
情報は、第 9 条に規定されたような、条約により確立された正式な手続
の過程において、締約国の代表者から事務局又は OPCW の他の機関に伝達
され得る;
(d)
情報は、現地査察の過程において査察団により取得又は収集され得る;
(e)
情報は、他の情報の合成又はその他の加工を通して、例えば試料分析又は
査察報告書作成過程において、事務局職員により創出される。創出された情
報は、最初に締約国が提供した情報に加筆したもの若しくはこれを複製した
ものかもしれず、又は事務局内の情報を使用しただけのものかもしれない。
情報の合成又は分析の実施が、元の源泉よりも高度の機微性を有する秘密情
報を生み出すかもしれない。
情報がこれら源泉から OPCW により受理された時に、これを適切に保護し取
り扱う特別な義務が発生する。特に、情報の最初の受領者又は作成者は、秘密内
容が明確に決定されること、及び、必要に応じ指定された秘密保護関係部局と協
議の上正確な分類が適用されることを確保する義務を負う。事務局職員により作
成又は合成された秘密情報及び締約国に起源を発する秘密情報に加筆した秘密情
報は、原則として、最低限締約国が指定した分類を保持せねばならない。ただし、
情報発生源たる締約国の合意を得て情報の秘密の程度が減じられた場合、又は、
秘密の程度がより高いものとして決定された場合を除く。この原則からのいかな
る逸脱も、指定された秘密保護部局において事務局長の代理者の確認を受けねば
ならない。
秘密情報を含む事務局内で創出された情報(分析又はその他の報告、政策に関
する文書、概要図、書簡、備忘録等)は、その秘密性に従い、少なくとも当該情
報の出所たる又は当該情報を合成する際に使用される原始資料中最も秘密性の高
い分類と同程度に、情報発生源たる者によりまず分類され、そのように貼紙が付
されねばならない。秘密の程度がその後原始資料のそれより高くなった場合は、
より高い水準の分類が適用されねばならない。
秘密として指定された情報を含む情報であって、締約国から OPCW に手交さ
れたものは、当該締約国の公式の代表者により提供されねばならない。事務局は、
受理及び当該情報の公式の起源を記録するための登録手続を確立しこれに従うも
のとする。
締約国が事務局に提供した情報の分類は、大半の場合、当該締約国が分類の権
限を有する主たる者であることに鑑み、既に当該締約国により明示されている。
化学兵器禁止条約法令集
分類する際に締約国は、秘密の程度、及び、この綱領の第 5 部の各分類区分に
対して定められた対応する基準を考慮に入れねばならない。もし締約国が事務局
に対し、秘密の程度を示さないで秘密と思われる情報を提供したなら、この綱領
の第 5 部の第 2.2 項に規定されるように、暫定的な分類区分が適用されねばなら
ない。
3.7
査察地点特有の観察結果の収集又は試料採取のように、現地査察期間中に情報
が収集される際には、OPCW に対する最初の開示の際に情報を保護し適切に取
り扱うという包括的義務は特に重要である。査察期間中の秘密情報の取扱い及び
保護のための特別な原則は、この部の第 6 項にしかるべく記述されている。
秘密情報保護のための取扱い手順
取扱い及び保護に関する一般指針
3.8
個人は、情報の安全及びその環境を管理する立場にない場合は、いかなる状況
においても秘密事項を議論し又は開示してはならない。事務局長は管理規程の中
で、会話中の又は通信媒体を通しての無許可のアクセス及び開示を防ぐための特
別な手続を確立しなければならない。これは、情報の秘密の程度に連動した、当
該情報の分類に示された物理的又は他の保護的措置と同程度のものとなるように
する。秘密情報伝達のため、許可を受けて通信媒体を実際に使用するのは、明確
な実務上の必要がある場合に限定されねばならない。
3.9
無許可のアクセスを排除する義務を条件として、事務局職員は秘密情報を次の
者に開示し、又は次の者と秘密情報について議論することができる:
(a)
確立された「知る必要」を有する、許可を受けた事務局職員;
(b)
この部の第 2.12 項及び第 2.13 項の規定によりアクセスが与えられた、常
勤職員でない人。例えば、個々の守秘契約に拘束された、許可を受けた専門
家又は許可を受けた指定実験施設の職員;このような場合、開示された情報
の量は、最小限に抑えられねばならないが、同時に当該アクセス供与に係る
業務を容易ならしめるに十分なものとすべきである;及び
(c)
許可を受けた締約国代表者であって、情報が当該締約国に関係するもの、
条約規定により明示的に確立されたようにかかる開示に対し明確な資格を有
するもの、又は他の何らかの許可を受けかつ「知る必要」を確実に有するも
の。
3.10 次に示す各物理的媒体に含まれる秘密情報が、その取扱い及び保存操作の全期
間中に保護されることを確保するため、事務局長は次の各類型のための詳細な実
務上の取扱い手順を記述した管理規程を定め、指定された秘密保護部局がこの実
施を監督しなければならない:
−
文書(紙及び紙ファイルを含む);
−
電算器材;
−
視聴覚器材;及び
−
試料。
これらの管理規程は、この文書において確立されたすべての原則が満たされる
ことを確保するための実践的な手順を確立することを目的とする。
3.11 査察を受けた又は申告された施設に明確に関係する秘密情報については、それ
化 学 兵 器 禁止条約法令集
に関係する施設が直接的に同定されることを排除するために、効果的な検証と両
立する限りにおいて最大限に、暗号システム及びこれに付随する保管の適用を受
けねばならない。
4.
秘密情報の特別な取扱い手順
秘密情報のマーキング
4.1
OPCW 秘密情報の適切な取扱いを確保するため、すべての文書及び情報保存
媒体は、事務局長が定めた管理規程に記載されたマーキング指示に従い明瞭に
マークが付され、指定された秘密保護部局により監督されねばならない。マーキ
ングの基礎は 3 つの分類区分であり、秘密情報であると認定された情報を含む
いかなる媒体にもこれらのうちのいずれかが明瞭に付されねばならない:
−
OPCW 限定
−
OPCW 保護
−
OPCW 高度保護
4.2
各個の文書は、それに含まれる資料のうち最も機微の程度が高いものを基にし
て明瞭にマークが付されねばならない。ある文書の中の比較的機微の程度の低い
部分について、これの爾後の公表又は伝達を容易ならしめるため、部分マーキン
グの法則を適用して、文書全体は機微の程度が最も高いように明瞭にマークし、
ある部分だけ特別の機微の程度に分類を示すことができる。
4.3
秘密保護附属書では、事務局が取得したすべての資料及び文書は、まず秘密情
報の有無について評価され(第 2 項(b))、もし秘密情報であるなら当該資料及び
文書は分類される(第 2 項(d))と規定している;この過程は、締約国が提供す
る情報を締約国自らが秘密であると指定する権利と調和しなければならない。指
定された秘密保護部局は、この業務に適した部局であり、したがって、事務局外
から入手した秘密保護を含み得るすべての情報が評価され必要な分類が明瞭に
マークされることを確保するための手順を実施する。適用される分類の決定及び
分類する権限は、OPCW 分類制度に従わねばならない。情報が秘密であると思
われるが創出者により最初に明瞭にマークされていない場合は、必要に応じ暫定
分類区分を指定して、
適切なマーキングが当該部局により実施されねばならない。
そのように適用されたいかなる暫定分類も、情報の創出者との協議に従い、速や
かに確定、修正、又は解除されねばならない。
4.4
事務局内で創出されたすべての秘密情報は、その秘密の程度に応じた暫定分類
区分に従い、その創出者により明瞭にマークされることが要求される。この分類
の程度は、OPCW 分類制度に従い決定されなければならない。部局の長は、指
定された秘密保護部局の全面的な調整及び権限の下で、内部で創出された秘密資
料の適切なマーキングを監督しなければならない。
4.5
被査察締約国により提供された情報を基にして査察員により創出された情報、
例えば査察報告書又はその一部、は、当該締約国が示した秘密の程度に従った分
類でマークされねばならない。当該情報の秘密の程度が明らかでない場合は、当
該情報は、被査察締約国との協議を通じて秘密の程度が明確化されない限り、
「OPCW 高度保護」として取り扱われねばならない。
化学兵器禁止条約法令集
文書整理及び記録保存
4.6
秘密情報の内部経路及び書類整理が登録されることを確保するため、文書整理
及び記録保存の手順が、事務局長が定めた管理規程に従い事務局により確立され、
指定された秘密保護部局により監督されねばならない。これらの手順は、かかる
秘密情報の、締約国代表者を含めた事務局内外の個人、機関又は団体への伝達を
すべて記録しなければならない。
4.7
すべての秘密情報は、それにアクセスした各職員及びアクセスの日時を記録す
る方法で、保存され内部において配布されねばならない。事務局はまた、
「OPCW
高度保護」情報の継続的監視を確保し、そのような情報を保有したことのある又
は現在保有している者を特定するため、追加的な記録保存手順を確立しなければ
ならない。
秘密情報の複写
4.8
情報を複写することは、当該情報に対する別のアクセスの潜在性又は可能性を
生み出す方法での複写を含む。秘密情報を複写する際は、作成される写しの数は
最小限とし、許可されたアクセス範囲及び爾後伝達に対応したものでなければな
らない。情報の複写に責任を有する職員は、複写された文書のすべての写しに適
切なマークが明瞭に付されることを確保しなければならない。
4.9
「OPCW 高度保護」情報は、その情報を複写する職員以外の、権限を有する
上級職員の登録された承諾を得た後にのみ、又は特定の服務規定に関連してのみ
複写されることができる。かかる承諾には、複写は他の職員の監督の下で実施さ
れねばならないと明記することができる。作成された写しの数は記録され、各写
しには番号が付されねばならない。写しは許可された受理者に配布され、この送
達は記録されねばならない。いかなる余剰の写し又は最早使用されない写しも文
書整理係に返却されねばならず、文書整理係はこれらを整理保管するか破棄し、
この活動を記録しなければならない。
4.10 秘密保護附属書第 2 項(b)に従い締約国に提供される情報であって秘密である
ものは、締約国の要請に従い及び事務局長が定めた管理規程に従い、定期的に複
写され提供されねばならない。「OPCW 保護」及び「OPCW 高度保護」情報の場
合は、作成された写しの数及び各写しの受領者についての記録が保持されねばな
らない。
秘密情報の処分及び破棄
4.11 事務局が確実に秘密情報を含む資料を安全に処分し及び破棄するための取扱い
手順が、事務局長が定める管理規程において確立されねばならない。これらの手
順は次の事項を含まねばならない:
−
すべての媒体類型の破棄又は処分の技術的方法;
−
破棄又は処分された資料の登録;
−
破棄及び処分中の立会い手順;及び
−
締約国により提供された高度に分類された資料についての報告要件
秘密情報の伝達
化 学 兵 器 禁止条約法令集
4.12
事務局への及び事務局からの文書写し及び電子書式による秘密情報の伝達は、
情報の秘密の程度に従って行われねばならず、事務局長が定めた管理規程に記載
された厳格な手順に拘束されねばならない。これらの手順は、次の事項を含まね
ばならない:
−
秘密情報の、安全な郵送又は人手による伝達、及び人手による安全な運搬
のための指針;及び
−
安全な電話、ファクシミリ及び他の通信体系による伝達についての手続。
4.13 これらの規則は、伝達される各秘密情報のために次のことを確保しなければな
らない:
−
当該情報が、その意図された目的地において受領されること;
−
許可を受けた使用者のみが伝達された情報にアクセスすること;及び
−
伝達内容の受理者が、送信者が許可を受けた者であることを確認すること
ができること。
4.14 事務局長が定めた管理規程は、情報管理システムのために確立された安全な通
信体系の基準を記述し、これは、査察手引書の中で適用される。
秘密情報の保護
4.15 秘密情報を使用する職員又はその保護に責任を有する職員及びその他の許可を
受けた職員は、無許可の者による当該情報への故意又は偶然のアクセスを防ぐた
め、あらゆる予防措置を講じなければならない。これは最低限、秘密情報の取扱
い及び保護並びに伝達中の継続した保護の確保のために OPCW 内で定められた
すべての手続に従うこと及び基準を満たすことを含む。
4.16 秘密情報は、これが、かかる情報に対しアクセスする許可を得ていない者に暴
露され又はアクセスが可能となるような仕方で、使用され又は放置されてはなら
ない。指定された秘密保護部局は、秘密情報が事務局職員により適切に取り扱わ
れることを確保するための手続を定め、事務局長は、これらの手続が完全に履行
されること、いかなる違反も発見され及び報告されること、並びにこの綱領の第 9
部に従い適切な懲戒的な制裁が課されることを確保しなければならない。
物理的保護及び保管
4.17 事務局長は管理規程において、執務室、実験施設、情報保管区域、電算媒体及
び秘密と分類された視聴覚器材のための物理的な安全措置を定め、事務局内の物
理的保管施設(安全区域の鍵及び保護、文書整理棚並びに封印容器を含む)のた
めの基準を定めなければならない。これらの措置は、OPCW の建物及びその他
の場所へのアクセスを制限するための手続、並びに勤務時間中及び勤務時間後の
訪問者及び職員の存在を登録するための手順を含まねばならない。この手順は、
OPCW の建物及びその他の場所における特に秘密性を有する区域(例えば、秘
密情報保管区域、申告及び査察報告書の処理及び確認作業を行う執務空間、操作
室並びに OPCW 実験施設)のための特別なアクセス措置を含まねばならない。
4.18 秘密情報は、 OPCW の構内で確実に保管されねばならない。資料又は文書の
一部は、締約国の国内当局に保管することもできる。特定の施設の査察のために
のみ必要となる機微に係る情報(特に、写真、図面その他の文書)については、
当該施設において施錠の上、保管することができる(秘密保護附属書第 2 項(e))。
化学兵器禁止条約法令集
4.19
実施可能な範囲内で、締約国国内当局又は被査察施設における OPCW 秘密情
報の保管は、事務局が適用する最低限の基準に従わねばならない。
秘密情報の OPCW 構内からの移動
4.20 秘密情報の、OPCW 構内からの移送、被査察事業所と OPCW との間での移送 、
及び OPCW と締約国代表者との間での移送について規定する取扱い手順が、事
務局長が定める管理規程において確立されねばならない。そのようないかなる移
動も、条約実施に関係する目的でのみ、及び、許可された職務の遂行に必要とな
る最低限度でのみ行われねばならない。
秘密情報の紛失
4.21 OPCW 秘密情報の紛失(査察員、事務局職員、又は締約国代表者による紛失、
及び移送中の紛失を含む)の発生又は疑惑について規定する手順が、事務局長が
定める管理規程において定められねばならない。かかる手順は、報告、調査、及
び関係する締約国との協議を含まねばならない。紛失又は紛失疑惑は、秘密の侵
害の可能性を有するため、秘密の侵害又は侵害疑惑を処理する手順が実施されね
ばならない。
5.
5.1
特別な情報媒体の取扱い手順
秘密情報が保管されている媒体に関係なく、上記第 4 項に規定されている秘
密情報の取扱い手順は、すべての秘密情報に適用される;次の追加的手順は、特
別な形態の媒体に保存された情報に関するものである。
視聴覚器材
5.2
管理規程は、秘密情報を含む視聴覚器材の取扱い手順について規定しなければ
ならない。この手順は、分類区分に従った保護の程度を明記するとともに、秘密
情報を含む文書の取扱いのために規定された手順に厳格に従うものとする。
電算機及び電算器材中の秘密情報
5.3
OPCW のすべての場所及び情報管理システムの主要要素(サーバ、大量保管
装置等)に対するアクセスは、管理されなければならない。情報管理システムの
すべての機器、特にワークステーション、サーバ及び個人端末は、盗取又は犯罪
による損害からのみならず無許可の物理的アクセス及び改竄の企てからも保護さ
れねばならない。加えて、情報管理システムの機器に係る維持及び修理活動は、
管理され記録されねばならない。サーバ、プリンタ及び予備保存装置並びにその
他の出力装置のような機器へのアクセスは、適切な許可を受けた職員に制限され
ねばならない。
5.4
情報管理システム及び他の電子処理システム又は保管装置に保管された秘密資
料の保護についての手順は、次の要素を組み込まなければならない:
−
無許可の使用者に対するアクセス又は無許可の外部からのアクセスの管理
措置;
−
異なった使用者のファイル及び資料の分離;及び
化 学 兵 器 禁止条約法令集
−
データベースへのアクセス並びに操作システムの助変数及びシステムの
ファイルに加えられた変更を含む、使用者の活動についての監査。特に、秘
密情報を含む電算ファイルへの個々の職員によるいかなるアクセスも、記録
され、これらの記録の定期的な監査が実施されねばならない。
5.5
全書式の電算ファイル、電算文書並びにシステム管理並びに電算機の保護管理
及び操作のような業務に関するその他の文書の、創出、取扱い、マーキング、予
備保存及び破壊の際の秘密保護についての詳細な指針が、資料、文書及び電算機
の保護手順に規定されねばならない。
5.6
電算器材(ディスケット等の携帯型保管媒体を含む)及び OPCW 情報管理シ
ステムに保管された秘密情報は、事務局長が定める管理規程に記載された詳細な
技術仕様を踏まえた取扱い及び保管手順に従い取り扱われ保護されなければなら
ない。
現地査察由来の試料
5.7
検証附属書第 2 部第 55 項には、査察期間中に採取された試料を指定実験施設
における分析のため現地外へ移送することについての規定がある。試料採取手順
は、本来条約遵守の検証に関するものであるが、かかる試料は副次的にそれ自体
は検証とは直接関係のない他の情報も含むことがあり得、かかる情報が露呈され
る可能性がある。このため、査察手引書は、指定実験施設での現地外分析のため
に移送される試料の秘密の保護を確保するための手順を含まねばならない。
5.8
検証附属書第 2 部第 56 項により定められるところの、試料の収集、取扱い、
移送及び分析のための制度の策定及び履行は、指定実験施設への移送中及び指定
実験施設による保管中の秘密保護の要求に基づかねばならない。この制度は、条
約履行に関する分析の過程中に、条約履行に関係のない更なる秘密情報が露呈さ
れるかもしれないという特別な懸念について取り組まねばならない。検証附属書
第 2 部第 57 項により策定される試料管理手順、及び、指定実験施設が試料を廃
棄したこと又は指定実験施設が分析終了後に適切な最終取扱いのために試料を事
務局に返還したことを被査察締約国に通知するという関連手順において、更なる
秘密保護の懸念について取り組まれねばならない。指定実験施設は、試料採取及
び分析の手順を規定する制度により定められる義務を確認する特別の守秘契約を
締結しなければならない。
6.
現地検証活動中の秘密情報の取扱い及び保護
査察手順
6.1
秘密保護附属書及びこの綱領の以上の各項は、査察期間中の秘密情報(条約遵
守の検証中に取得され又は収集された情報、及び、査察活動中に開示されるかも
しれない条約目的に関係のないその他の情報の両方)の取扱い及び保護の根本原
則を確立するものである。OPCW 査察手引書は、これらの原則に基づき詳細な
手順を定めるものであり、これらの原則には、秘密保護附属書の要件及び現地に
おける査察の実務上の要件に合致した、査察実施期間中の資料、文書及びファイ
ルの使用、保護及びアクセス範囲に必要な手順が含まれる。これらは、携帯用装
化学兵器禁止条約法令集
置に保管される資料の保護のための実務上の要件、並びに秘密情報の運搬及び保
管のために定められる概括手順を考慮に入れねばならない。
6.2
査察期間中の秘密情報保護のための主要な実務的要素は、査察手順 、装置使用、
並びに査察団内の及び被査察締約国代表者との協議過程である。査察手順は、秘
密保護に関して発生する問題及び秘密情報の使用についての協議を可能ならしめ
るための、査察団内の連絡の明確な序列系統について規定しなければならない。
各査察団員に与えられるアクセスの程度及び開示又は収集された秘密情報に対し
て行われる処理について明確に定めるため、施設協定の交渉、査察前説明、並び
に冒頭及び爾後査察の実施期間中に、被査察締約国代表者、被査察施設及び査察
団の間の協議が、この枠組みに従い実施されねばならない。申立査察の場合は、
オブザーバーは、条約の申立査察の規定に従いアクセスが行われるいかなる情報
の秘密保護をも十全に尊重する義務を負い、かかる情報をこれらの規定に従い取
り扱わねばならない。
秘密情報の評価及び分類
6.3
この綱領の第 5 部第 2.5 項に規定された分類手順は、査察期間中に収集された
情報に適用されねばならない。この手順に従いかかる情報は、秘密保護のために
速やかに評価され、その上でその秘密性を踏まえ、施設協定を厳密に参照し被査
察締約国代表者の同意の下に冒頭分類及び正当な保護が与えられねばならない。
査察前において関連する協定がない場合は、被査察締約国は査察団から、査察期
間中に開示された秘密情報の分類区分を可能な時はいつでも指定するよう勧めら
れるべきである。分類区分を指定しないで機微な秘密情報が査察団員に開示され
又は露呈された場合は、分類制度は、被査察締約国が別に指定しない限り、それ
は「OPCW 高度保護」として取り扱われ保護されるよう求めている。一般に、
疑念又は不明点がある場合は、秘密情報に与えられる取扱い及び保護は、最も厳
しい水準で適用されるべきであり、査察団内での更なる開示及び伝達についての
協議でさえ、アクセス範囲を決定するための「知る必要」の原則に十分留意しな
ければならない。もし収集された情報が条約に関係のない秘密情報を含むなら、
それには以下の関連項において規定する特別な取扱いが必要となる。
現地検証:関係のない秘密情報の保護
6.4
この綱領は、条約履行に関係のない秘密情報の保護、及びこれに関する特別な
責任を規定する明確な原則を規定している。8 このため検証活動は、効果的なか
つ適時の検証業務の遂行と調和しつつ、秘密情報の不必要な開示を避けるように、
及び査察命令期間中の条約履行に関係のない情報の開示の防止に努力するよう
に、企画、計画及び遂行されねばならない。これらの原則はまた、条約履行に無
関係の秘密情報が要求、記録又は保持されてはならないことも求めている:いか
なる査察の期間中においても、このことが起こらないことを確保することは、各
査察団員、とりわけ査察団長の基本的な責務である。しかしながら、査察活動中
に、それ自体は査察目的に関係のない他の秘密情報が、承認された査察機器、査
察員の衣服及び個人物品のような物により、様々な形態(この綱領の第 3 部の
「情報」の定義において規定されている)9 で収集され又は記録されることが生
じるかもしれないということが考えられる。査察活動中にこのような情報が開示
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された場合は、これは査察団の中においてさえ、いかなる形態でも更に伝達され
てはならず、被査察締約国に返還されるか又は被査察締約国の管理下で破壊され
ねばならない。
8
こ の 綱 領 の 第 4 部 第 1.4 項 に 規 定 さ れ て い る 。
9
こ の 綱 領 の 第 3 部 に 、「 情 報 の 範 囲 」 の 標 題 の 下 に 規 定 さ れ て い る 。
6.5
秘密保護附属書では、査察活動中に締約国は、「秘密を保護するために必要と
認める措置をとることができる。ただし、この条約の本文及び検証附属書に従い
この条約を遵守していることを証明する義務を履行することを条件とする」10、
と規定している。査察団はとりわけ、
「化学兵器に関係しない機微に係る設備又は
情報の保護を確保するため、査察を受ける締約国が行う提案(査察のいかなる段
階で行われるかを問わない)を考慮する」11 義務を負っている。
「査察団は、査
察の実施を規律するこの条約の本文及び附属書の規定を厳格に遵守する。査察団
は、機微に係る設備を保護し及び秘密の資料の開示を防止するための手続を十分
に尊重する。」12
10
秘 密 保 護 附 属 書 第 13 項 。
11
秘 密 保 護 附 属 書 第 14 項 。
12
秘 密 保 護 附 属 書 第 15 項 。
6.6
査察の間及び査察後の被査察締約国との十分な協議過程を通して(例えば、申
立査察については検証附属書第 10 部第 61 項に規定されている)、OPCW は被査
察締約国に、査察活動中に条約の規定に従い収集された情報が査察命令期間中の
条約履行に関係するものであることを確認する責任を負う。査察団は、査察にお
いて収集したいかなる情報をも、それについて被査察締約国が示す分類の程度に
従い保護しなければならない。ある情報について、査察団が十分な協議を踏まえ
これが査察命令期間中の条約履行に関係すると主張するなら、条約履行の証明に
関する現存する義務の枠組みの中で、被査察締約国は、当該情報を暫定報告書に
含めることに反対することはできない。
6.7
査察中に収集された情報であって、被査察締約国に提供された一覧化されかつ
複写された資料に含まれないものは、査察命令に関係ないものと見なされ、上記
第 6.4 項に規定されたように取り扱われねばならない。査察団員は、申立査察の
場合における管理されたアクセスの一部として同意されたようなアクセス及び伝
達の制限に従わねばならず、締約国が秘密と認めながらもその写しを受け取って
いないいかなる情報も、当該締約国の同意なくしては査察事業所から持ち出され
ない、という原則が認識される。条約履行を証明するとの締約国の義務を侵害し
ないで、上記原則を実施するための手順はとりわけ次の事項を含む:
−
査察装置を追加的に洗浄すること;
−
特別な査察活動の前後に衣服を交換すること;
−
特別な区域に入る際に個人物品を持ち込まないこと;
−
影響を受けた装置を、
被査察締約国代表者の監督下で(もし要求があれば)、
洗浄のため接合封印をして事務局へ移送すること;
化学兵器禁止条約法令集
−
条約に関係のない秘密情報を含む分離可能部品を現地に留置すること;又
は
−
上記を含む他のすべての可能性を検討した後に、装置を現地に留置するこ
と。
これらの手順は濫用されてはならず、適切な場合に、検証附属書第 2 部第 11
項(d) により定められた不可侵性に関する法的枠組みに従い実施されねばならな
い。
6.8
これらの原則に従い実施される手順のいずれも、査察命令により及び条約規定
に従い実施される検証活動を妨げ又は遅らせてはならない。
第7部
1.
OPCWによる情報公表についての手続
総論
1.1
この綱領のこの部では、条約実施に関連して OPCW が保有する情報の公表に
関して OPCW が従うべき手順を規律する原則について規定する。OPCW による
情報の「公表」は、OPCW 自体(その全構成要素を含む)の外及び締約国政府
の外(すなわち、条約実施に関係する、政府機関及び締約国内の権限を有する団
体又は個人の外)への承認された情報開示を意味する。したがって、これらの原
則は、OPCW 情報の次の者への公表を規律する:他の国際機関;条約非締約国
の政府;条約実施に関係のない民間若しくは政府機関;又は OPCW により雇用
されてもおらず OPCW と契約してもおらず、条約実施に関し締約国から権限を
与えられてもいない個人。
1.2
条約実施中に、OPCW がその義務を果たすために情報を公表しなければなら
ない場合がある。公表は、完全に公開される場合と、特別な状況により範囲が制
限される場合とがある。情報を公表する必要は、分類されない情報と分類された
情報の両方について生じ得る。条約実施の関係で OPCW により得られた又は創
出されたいかなる情報も、次の指針に従う場合を除き、出版され又は公表されて
はならない。
2.
2.1
情報の公表
事務局長は、秘密と指定されていない情報(以前の秘密情報であって、この綱
領の第 5 部第 4.6 項及び第 4.7 項に従い分類解除されたものを含む)及び次の類
型のいずれかに該当する情報を公表することができる:
(a)
具体的にある締約国に関係する資料を含まない、条約実施に関する一般情
報。これには、ある締約国国内で実施される又はある締約国に対して計画さ
れている査察活動についての具体的な情報は含まれない。この規定により公
表されるかもしれない情報の種類は、締約国会議により承認された一覧にお
いて記述される;この一覧には、申告の要件及び様式の詳細、一般的な又は
雛型的な文書、包括的な検証計画の概要、並びに検証技術及び現地査察に適
用される手法を含めることができる;
(b)
OPCW の実際の組織に関する情報、ただし、OPCW の安全保障に関する
情報、又は事務局の人事及び職員のプライバシーに関する情報を除く;又は
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(c)
ある締約国に関する非分類の情報であって、当該締約国が明示的に公表さ
れることを要求し又は公表されることに同意したもの。
2.2
事務局長は、前項の規定の範囲内で、個々の情報公開要求について検討し決定
しなければならない。これらの制限を超える要求は、執行理事会又は締約国会議
において検討され決定されねばならない。
2.3
事務局職員と報道機関の間のすべての接触は、この綱領の規定、特にこの綱領
の第 7 部(情報公表のために定められたこれらの手順を含む)、及び OPCW メディ
ア広報綱領に従わねばならない。事務局長はこれらの公表についての政策指針に
従い、メディア政策を規律する管理規程を定めねばならない。
3.
3.1
13
3.2
制限された又は非公開の情報発表
必要な場合は 13、完全な公表でない形で、情報を OPCW の外へ発表する場合
があり得る。これには、ある条件下での公的使用のためのみの国際機関又は政府
機関への発表が含まれ得る。かかる非公開発表は、OPCW 分類を有する秘密情
報、又は分類解除情報及び非分類情報に適用されてよい。OPCW 分類を有する
秘密情報が発表されるのは、適切な保護及び管理が受領機関において維持される
ことを事務局長が確認した場合に限られねばならない。事務局長は、受領が予想
される機関との間で、分類された情報の取扱い及び保護についての協定又は同意
された取決めを締結しなければならない。
秘 密 保 護 附 属 書 第 2 項(c) に 従 う 。
制限された又は非公開の情報発表は、次の場合に行われ得る:
(a)
執行理事会が第 8 条第 36 項に従い、問題又は事項につき、直接に、国際
連合総会及び国際連合安全保障理事会の注意を喚起することを決定した場
合;
(b)
締約国会議が第 12 条第 4 項に従い、問題につき、国際連合総会及び国際
連合安全保障理事会の注意を喚起することを決定した場合;又は
(c)
締約国会議又は執行理事会が第 14 条第 5 項に従い、国際連合総会が許可
することを条件として、勧告的意見を与えるよう国際司法裁判所に要請する
ことを決定した場合。
3.3
OPCW 分類を有さない情報の、制限された又は非公開の発表については、当
該情報がこの部の第 2.1 項に記載された類型に該当するのであれば、事務局長が
許可することができる。OPCW 分類を有さないがこれらの範囲を超える情報の
公開要求は、執行理事会又は締約国会議において検討に付され決定されねばなら
ない。
3.4
秘密情報に対して制限された又は非公開の発表が提案された場合は、当該発表
の範囲及び条件は、条約実施の必要性と厳格に整合性がとれなければならない。
情報の伝達を規律する「知る必要」の原則は、ここでも適用されねばならない。
3.5
秘密情報が特定の締約国に言及し、かつ、当該締約国が明確にその発表を要求
し又は発表に同意する場合は、発表は更なる協議を行わずに行うことができる。
他のすべての場合においては、秘密情報の OPCW 外への発表には締約国会議又
化学兵器禁止条約法令集
3.6
3.7
3.8
3.9
は執行理事会決定が必要とされる。そのような発表についての決定の要求はどち
らの機関に対しても行うことができるが、かかる要求は通常は、関連事項を条約
に従い外部機関に付託するための締約国会議又は執行理事会による一般政策決定
の一部であり、したがって発表についての決定は、当該一般政策問題を検討する
同一機関により行われる。
上記のような発表を承認する決定は、次に基づいてなされるべきである:
(a)
予定される受領者が、条約実施における受領者としての役割に従い明白な
「知る必要」を有していることが明確に確定していること;及び
(b)
予定される発表が、条約上の必要性に従うものであることが確定している
こと。
秘密情報の公表に対する明らかな必要性が生じた場合は、事務局長は、関係者
による協議及び検討のために、公表のための提案の草稿を準備しなければならな
い。提案された公表を検討する際には、情報の秘密性及び分類を決定する要素が
十分に勘案される必要がある。可能な場合は、公表目的に無関係の秘密情報の開
示が回避されるように、公表が提案された情報はより秘密の程度の低い形に加工
されねばならない。この場合、分類解除又は再分類の手続を経なければならない。
もし秘密情報が締約国から得られた又は締約国に言及するなら、事務局長又はこ
の件で権限を有する代理者は、提案された公表について当該締約国の文書による
同意を得る必要がある。このような同意の不授与は、締約国の条約上の義務を回
避するために使用されてはならない。
事務局長は公表の提案を準備する時に、当該公表が条約実施に関する特別な目
的に確実に焦点が合ったものとするために、公表範囲に対する一定の条件又は制
限を提案することができる。適用され得る範囲の制限又は条件の例としては、次
が挙げられる:
(a)
秘密情報への一時的のみのアクセス。例えば、会議の間又は協議の間;
(b)
情報が公的使用にのみ供されることの明示;
(c)
特別な取扱いの要求。例えば、一定期間後の情報の破壊又は返還の要求;
(d)
秘密情報中の機微な部分の特別な管理;及び
(e)
秘密情報の視覚的表示。例えば、会議の間の映写。
関係者との協議後に、公表の提案は執行理事会又は締約国会議に付され決定さ
れる。
第 8 部 管理
事務局長
1.
事務局長は、秘密保護附属書及びこの綱領に規定された原則に従い、OPCW
内の秘密情報の保護及び取扱い手順を確立しその実施及び監査を監督しなければ
ならない。この目的で事務局長は、この綱領により要求される管理規程を定めそ
の実施を監督しなければならない。
2.
事務局長はこの制度の実施について第一の責任を負い、事務局内の適切な部署
に対し、この綱領による制度の実施について特別な任務を課す。例外的な場合は、
事務局長は、限られた数の上級事務局職員に、秘密保護制度の実施について特定
化 学 兵 器 禁止条約法令集
の権限を委任することができる。ただしこの場合、この綱領 14 に規定された特
別な制限に従う。事務局長はまた、これらの部署の行動を個人的に監督し、自身
の権限を行使する代理者がとる行動について個人的に責任を負わねばならない。
14
特 に 、 こ の 綱 領 の 第 6 部 第 2.10 項 及 び 第2.12 項 を 参 照 。
事務局内の秘密保護制度の管理
3.
秘密保護制度は、事務局の全部署の業務に適用されねばならない。事務局が得
たすべての資料及び文書を評価するという任務のために、適切な事務局の部署が
指定されねばならない。この部署は、秘密保護附属書第 2 項(a) 及びこの綱領の
第 3 部第 11 項に規定された指針を適用しつつ、これらの資料及び文書が秘密情
報を含むか否かを決定する。秘密保護制度の実施の監査は事務局により内部的に
実施されねばならず、この監査は、秘密保護制度を業務として行ういかなる部署
とも機能的に別個のものでなければならない。
4.
事務局長の監督下で事務局は、その職員に対し次の事項について適切に助言し
注意喚起することを確保しなければならない:秘密情報を保護し秘密保護制度を
遵守するとの自らの義務;この綱領の原則及びそれを実施するに必要となる手
順;機密漏洩防止についての原則及び手順;並びに無許可の秘密情報開示の場合
に職員に課されることとなる罰則。
第 9 部 侵害の手続
第 9.1 部 侵害調査手続
1.
秘密の侵害及び侵害疑惑並びに秘密保護義務の違反の調査
秘密保護附属書(第 19 項)の規定を基礎として、この綱領のこの部では、秘
密の侵害及び侵害疑惑並びにこれに関しての秘密情報を保護する義務の違反に関
する事務局長による調査の手続を概説する。
第 1 段階:
事務局長による調査
第 2 段階:
暫定措置
第 3 段階:
調査報告
第 4 段階:
調査報告を踏まえた措置
4a:
在職中の事務局職員に対する懲戒的制裁
4b:
元事務局職員に対する制裁
4c:
裁判権免除の放棄に関してとられる措置
4d:
国の管轄権内での他の法的措置
4e:
締約国に責任があると思われる場合にとられる措置
4f:
秘密保護制度を改革し又は強化するための措置
2.
定義
化学兵器禁止条約法令集
秘密情報保護の義務違反(「秘密の侵害」
)には、開示の意図又は開示がもたら
す影響の重大性に関係なく、個人、政府又は民間団体への無許可の OPCW 情報
の開示が含まれる。秘密の侵害はまた、個人的利益を得るための又は第三者の利
益に資する若しくは利益を損なうための情報の誤使用とも関連し得る。もし、無
許可の開示の危険性が明らかに生じるような、秘密情報の取扱い、保護、公表及
び伝達についての特定の手続の違反が生じたなら、そのような開示が実際に発生
したか否かに関係なく、秘密情報保護の義務の違反が発生したと思われる。実際
には、秘密の侵害と、秘密情報を保護する義務の違反との間では、多くの重複が
ある。
3.
3.1
3.2
3.3
3.4
3.5
3.6
第 1 段階:事務局長による調査
秘密保護附属書の規定で要求されるように、事務局長は次の場合は、速やかに
調査を開始しなければならない:
(a)
事務局職員、許可を有するその他の事務局外の個人又は団体、又は締約国
の代理者若しくは政府職員による秘密情報保護の義務違反があったことを示
す「十分な徴候」がある場合;又は
(b)
締約国が秘密の侵害について申立てを行った場合。
事務局長は特に、とりわけ次のような秘密情報の無許可の開示が生じたとの、
合理的な可能性又は明白な危険性があることを知った場合は、調査を開始しなけ
ればならない:
(a)
秘密情報の取扱い、保護、公表及び伝達について規定した OPCW の方針
又は指針を侵害すること;又は
(b)
条約の趣旨及び目的若しくは OPCW、締約国若しくは締約国の民間若し
くは政府の機関の利益に悪影響を与えること、又は、個人、国家若しくは民
間企業を含む他の機関に対し特別な若しくは選択的な利益を与えること。
事務局長は、秘密の侵害が発生したとの締約国からの申立てについて調査を行
う義務を負う。かかる申立ては、文書により事務局長に提出されねばならず、可
能な範囲内で侵害を支持する情報を提供するものでなければならない。
申立ては、
可能であれば、含まれる情報の性質、侵害が発生したと思われる時間及び場所、
並びに、関連する利益に影響を与えると思われる実際の又は想定される将来の損
害について述べるべきである。
調査を実施するとの決定がなされた場合は、侵害又は違反の疑惑に関係する締
約国及び事務局職員に対し当該決定が速やかに通知されねばならない。
調査の目的は、秘密の侵害又は秘密情報の取扱い、保護、伝達若しくは公表の
手続の違反があったか否か、及び侵害の重大性(もたらされる損害の程度及び性
質を含む)を確定することである。調査はまた、手続の侵害又は違反の再発防止
のため、秘密保護制度を強化する方法について検討しなければならない。
事務局長は、調査に直接責任を負わねばならず、それを個人的に指揮するが、
調査業務を行う上級職員を任命することができる。調査はまず、申立て又は侵害
の徴候を取り巻く状況の検討、及び証拠又は侵害を支持する情報の検討から始め
るべきである。この段階で事務局長は、申立てに一応有利な事件が存在しないこ
とを見出すかもしれない:もしそうであれば、彼は自身の裁量で、申立てを行っ
た締約国と協議するか、調査を終了し申立てに一応有利な事件が立証できなかっ
化 学 兵 器 禁止条約法令集
たという結論を報告することができる。締約国の利益に影響を与える侵害につい
ての、申立てに一応有利な事件の立証の後に、事務局長は、侵害に関する調査に
進展があることを執行理事会に通知しなければならず、当該締約国の同意を得た
上で、もし要求があれば、調査についての具体的な情報を提示することができる。
3.7
申立てに一応有利な事件の立証後の調査手続には、次の活動を含めることがで
きる:
(a)
OPCW 又はその構成機関内における証拠の収集及び検査;
(b)
締約国から証拠として更に提供された資料の検査;
(c)
事務局職員との秘密の面談;
(d)
関係締約国との協議(締約国が指名した関係する産業又は民間の機関の代
表者を含む);及び/又は
(e)
ある締約国に、OPCW から当該締約国に提供した情報の取扱いについて
の詳細を提供することの要請。
3.8
調査の進行は秘密とされ、「知る必要」の原則を厳格に適用する対象となる。
かかる調査に関する開示が事務局職員及び締約国の利益に与える悪影響の可能性
に対して、特別な注意が払われねばならない。調査は客観性及び適法手続を基礎
として実施されるべきであり、関係する個人から情報を導き出すために強制が行
われてはならない。できるだけ速やかにかつ適切な手続により、調査を完結させ
その結果を踏まえ適切な行動をとるために、
最大限の努力がなされねばならない。
3.9
すべての関係締約国及び事務局のすべての関係職員は、可能な限り調査に協力
しそれを援助しなければならない。締約国にとってこのことは、実施された内部
調査の詳細を提供し、証拠を提供し、同一案件に関する国内訴訟手続について助
言し、及び、侵害により生じる損害の程度及び性質について助言することであろ
う。職員は、調査の目的及び彼等の職務上の責任に関する事実の情報を提供する
ことが求められる。
4.
4.1
第 2 段階:暫定措置
もし申立てに一応有利な事件が立証され、それが明らかに事務局の在職職員を
巻き込むなら:
(a)
手続はまず、職員規則に従い、調査期間中において暫定的な制限措置を課
すことから始められる(例えば、ある職務の停止若しくはある情報に対する
アクセスの拒否、又は、もし案件が重大であると思われるなら、OPCW 職
員規則に従った一時的な停職処分);
(b)
執行理事会との協議の末必要であるとされた場合は、事務局長は、秘密の
侵害又は侵害疑惑により損害を受けるかもしれないすべての正当な利益(締
約国又は OPCW の利益等)を保護するための即刻の措置について考慮しな
ければならず、また、これを提案することができる;及び
(c)
もし調査が締約国の要求によるものであるなら、事務局長は当該締約国に
対し、実施されたかかる暫定措置について通知しなければならない。
4.2
侵害に関わった疑いのある従業員は、公的書簡により、かかる暫定措置をとる
との決定について知らされるべきであり、当該書簡は、この措置の根拠について
述べるとともに利用可能な遡及権について助言するべきである。
4.3
もし調査の予備段階において、一見したところある締約国が侵害に対し責任を
化学兵器禁止条約法令集
有するかもしれない、
又は侵害に関わっているかもしれないとの徴候を示すなら、
事務局長は、秘密の侵害により損害を受けるかもしれないすべての正当な利益(他
の締約国又は OPCW の利益等)を保護するための即刻の措置について考慮しな
ければならず、また、執行理事会決定のためこれを提案することができる。事務
局長は当該締約国に対し、OPCW から当該締約国に提供した情報の取扱いにつ
いての詳細を提供するよう要請することができる。
4.4
もし調査の予備段階において、一見したところある締約国の管轄内の自然人又
は法人が侵害に対し責任を有するかもしれない、又は侵害に関わっているかもし
れないとの徴候を示すなら、執行理事会の承認に従い必要と認められる場合は、
事務局長は秘密の侵害により損害を受けるかもしれないすべての正当な利益を保
護するためのとり得る措置について、当該締約国と協議を行い、当該締約国から
の支援を要請することができる。
5.
5.1
第 3 段階:調査報告
事務局長は、秘密の侵害又は秘密情報の取扱い、保護、伝達又は公表の手続の
違反があったか否かについて述べた調査報告を準備しなければならない。この報
告書は 2 つの様式で準備され、一方は確認された事実を詳細に記した完全な様
式とし、もう一方は特定の秘密資料を削除した修正された様式とする。後者は、
侵害に関係する秘密情報がアクセス権限の範囲を超えて更に開示されないことを
確保するとともに、案件に関係のない個々の職員のプライバシーを尊重するため
のものである。
5.2
完全な報告書は秘密として処理され、その秘密に対応して分類され取り扱われ
ねばならない。これにアクセスできる者は、調査に直接関係するすべての者(侵
害又は侵害疑惑に関係する個々の職員、及び侵害の申立てを行った締約国等)の
みとすべきである。修正した様式については、この報告書は、締約国の要請によ
り入手可能とし、秘密保護附属書第 3 項により求められる秘密保護についての
事務局長の締約国会議に対する年次報告において要約されねばならない。可能な
場合は、報告書は両者とも、秘密保護制度の強化のための具体的な提案について
記述すべきである。もし事務局長が執行理事会に対し、この部の第 4.1 項、第 4.3
項及び第 4.4 項に従い暫定措置を承認するよう要請したなら、事務局長は執行理
事会に暫定措置の実施について直接報告すべきである。
5.3
報告により秘密の侵害があったことが示される場合は、次の要素に関して侵害
の重大さの程度についての説明が必要である:
(a)
侵害が、故意若しくは偶然により生じたものか、又は不注意により生じた
ものか;
(b)
侵害が、この綱領及び関連する管理規程の義務の違反に関係するものか、
又は職員守秘契約若しくは施設協定等の特別な協定・契約の義務の違反に関
係するものか;
(c)
関係者の利益に対する(もしあれば)、実際の又は潜在的な損害の程度;
及び
(d)
情報の無許可の開示又はその結果生じる誤用を通じて得られた個人的利益
(特に、私的利益、競争上の有利性、第三者の利益、又は第三者の利益に損
害を与える意図の増進)の程度。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
5.4
調査が終了し、協議を通じて当該案件を解決するべくあらゆる試みがなされた
後において、もし調査の要請を行った締約国が事務局長の提出した報告書に満足
しないなら、当該締約国は、当該案件を検討するために秘密保護委員会が召集さ
れることを要請する権利を有する。
5.5
もし調査が最初の決定から 3 箇月以内に完了しなかったなら、事務局長は、
最終報告を受理する者に対し中間報告を行うべきである。この報告は、当該期日
までにとられた措置及び調査完了の遅延の原因となる障害又は理由について記述
すべきである。もし協議後に、これらの障害又は遅延が適切に克服することがで
きないと思われるなら、事務局長は調査を終了し、その報告書において、秘密保
護附属書第 23 項に従い当該案件を検討すべく秘密保護委員会が招集されるよう
要請することができる。
5.6
もし調査の結論において、侵害又は違反が生じていないことが確認されたなら、
事務局長の報告は、被疑の事務局職員又は締約国の無実の罪を晴らす旨の声明を
含めるべきである。
6.
第 4 段階:調査報告を踏まえた措置
侵害又は違反があったことを示す調査及び報告の結果、概ね次の 4 つの対応
策が考えられる:
(a)
OPCW 内部の、及び現職の事務局職員に対する懲戒的措置、並びに事務
局の元職員に対する制裁;
(b)
裁判権からの免除の放棄に続き(適切な場合は)
、締約国の裁判権に基づ
く法的措置;
(c)
OPCW 秘密保護制度の改革又は強化;及び
(d)
締約国に責任があると認められる場合のその他の措置。
7.
7.1
第 4A 段階:在職中の事務局職員に対する懲戒的制裁
もし調査の結論において、侵害又は違反が在職中の事務局職員により行われた
ことが確定されたなら、事務局長は OPCW 職員規則に従い、適切な懲戒的措置
を適用しなければならない。
7.2
侵害の重大性及び個人の責任の程度は、職員に対し適用される措置を決定する
際に比較考量されるべきである。
7.3
懲戒的措置に関する事務局長の決定に伴い、OPCW 職員規則に定められる手
続に従い、再審理又は上訴が行われることがあり得る。
8.
第 4B 段階:元事務局職員に対する制裁
もし報告書において、侵害又は違反が事務局の元職員により行われたことが確
定したなら、事務局長は、OPCW 職員規則の条件の範囲内で適用できるいかな
る措置の適用をも決定することができる。これには、OPCW 在職中に取得した
年金受給の権利の喪失又は残存する金融上若しくは他の権利の取消しを含めるこ
とができる。
9.
9.1
第 4C 段階:裁判権免除の放棄に関してとられる措置
これらの懲戒的措置とは別に、事務局長は訴追免除の特権の放棄を決定するこ
化学兵器禁止条約法令集
とができる。これは、現職の事務局職員と、事務局在職期間中にとった行動に関
して裁判権免除を有している元職員の両方に対し適用される。裁判権免除の放棄
は、重大な侵害があり、個人の責任が確定しその結果として損害が発生した場合
にのみ考慮され、適用される関連の国の裁判権の可能性に関する秘密協議と連携
して実施されるべきである。職員が署名した個々の守秘契約もまた、法的活動に
おける利用の可能性について再検討されるべきである。
9.2
裁判権免除の放棄の決定に伴い、OPCW 職員規則に定められる手続に従い、
再審理又は上訴が行われることがあり得る。
9.3
締約国は可能な範囲内で、裁判権免除の放棄に適切に対応するため、適切な法
的措置をとらねばならない。とられる措置は、この綱領の下記第 9.3 部に従い、
裁判権免除が放棄された現職職員又は元職員に対する適用可能な法的手続を含
む。もし侵害に責任を有する現職職員又は元職員が条約非締約国の管轄権内に居
住又はその他の形で存在しているなら、事務局長は執行理事会又は締約国会議の
承認を求め、当該国が侵害に起因する法的手続を支持する適切な措置をとり又は
支援することを助長する目的で、協議を行うことができる。
10.
10.1
第 4D 段階:国の管轄権内での他の法的措置
もし事務局長による調査が、ある締約国の管轄権内の自然人又は法人(民間企
業を含む)が秘密の侵害に責任を有すると思われ、秘密の侵害により特別な利益
を引き出し、又は他の形で秘密の侵害に関わっていたことを確認したなら、当該
締約国はこの綱領の第 9.3 部(下記)に従い、適切な法的措置をとることが求め
られるかもしれない。
10.2 もし侵害に責任を有すると認められる法人又は自然人が条約非締約国の管轄権
内に居住又はその他の形で存在しているなら、事務局長は執行理事会又は締約国
会議の承認を求め、当該国が侵害に起因する法的手続を支持する適切な措置をと
り又は支援することを助長する目的で、協議を行うことができる。
11.
11.1
第 4E 段階:締約国に責任があると思われる場合にとられる措置
もし事務局長による調査がある締約国(締約国の公務員を含む)が秘密の侵害
に責任を有すると思われることを確定したなら、次の措置がとられる:
(a)
当該締約国は可能な限り、事務局長が案件を解決することを支援しなけれ
ばならない。これには、OPCW から当該締約国に提供した秘密情報の取扱
い及び保護についての詳細を提供することが含まれる;
(b)
当該締約国は、この綱領の第 9.3 部(下記)に従い、適切な法的措置をと
らねばならない;及び
(c)
事務局長は案件を執行理事会に提起し、調査報告を踏まえ更なる措置を要
請することができる。
11.2 ある締約国の責任の可能性は、条約(特に、第 7 条第 6 項及び秘密保護附属
書第 4 項)上当該締約国が負う義務に照らして評定される。
11.3 もし調査によりある締約国が侵害に責任を有すると思われることが判明し、紛
争が生じているなら、秘密保護附属書第 23 項及び秘密保護委員会のために確立
された詳細な手続に従い、案件について検討するために秘密保護委員会を召集す
ることができる。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
11.4
調査の結果、秘密の侵害が締約国の利益及び活動のみに関係することが明らか
となった場合は、事務局長は当該関係締約国に対し調査結果を知らせねばならな
い。
12.
12.1
第 4F 段階:秘密保護制度を改革し又は強化するための措置
調査報告は、 OPCW 内の秘密情報保護の改革又は強化のための具体的な提案
を含めるべきである。これは、特に調査により明らかとなった侵害又は違反の再
発を防止するためのものであるとともに、調査から派生し得る包括的な秘密保護
についてのその他の所見を基礎としたものである。
12.2 事務局長は締約国会議に対し、次の会期において、この綱領の改革又は強化に
ついての提案及び調査から派生した他の基礎的な方針を記した文書を採択するよ
う勧告すべきである。
12.3 もし調査により、取扱い及び保護の手順の改善又は事務局の作業手順について
のその他の修正の必要性が示されたなら、事務局長は遅滞なく、これらの変更を
実施するための適切な管理規程を定めねばならない。
第 9.2 部 秘密の扱いに関係する紛争の解決のための委員会を規律す
る規則(
「秘密保護委員会
」)
1.
1.1
秘密保護委員会の構成を規律する規則
秘密保護委員会は全体として、条約締約国が推薦した候補者の名簿から、個人
の能力を基に任命された人達により構成される。各締約国はその国民から、秘密
保護委員会に出席することが可能でありこの委員会の委員を務める能力を有する
者を 1 名指名することができる。この候補者名簿は締約国会議に提出され、この
中から、最初の 2 年間秘密保護委員会で勤務する 20 名が任命されねばならない。
1.2
任命される 20 名は、締約国会議議長の指示の下で地域集団との協議の過程を
経て決定される:これらの協議は、輪番制の原則、及び、関連専門分野の包括的
範囲の必要性を考慮しなければならない。その結果、条約第 8 条第 23 項に規定
される各 5 地域に属する締約国により、これら各地域からそれぞれ 4 名の候補
者が任命されるようにしなければならない。これらの秘密保護委員会への候補者
の正式な任命は、条約第 8 条第 18 項に従い、実質事項の決定として締約国会議
により行われねばならない。
1.3
候補者は、個人の能力、誠実性、及び秘密保護委員会の業務に関連した 1 つか
それ以上の専門分野(様々な紛争の解決、条約の秘密保護及び検証の規定、化学
産業、軍事的安全保障、資料の安全確保、国際法、並びに国の法律制度等)を基
に、締約国から推薦されるべきである。
15
秘密保護委員会は全体として、最初の締約国会議の際に就任式のために参集し、
1.4
この場においてその委員の中から、全会一致により最初の 1 年間務めることとな
る議長を選出しなければならない。その後秘密保護委員会は、定期的な年次締約
国会議の前において適切な時期に、定期的な年次会合を開催しなければならず、
この会合で秘密保護委員会は、締約国会議が承認する作業手順に従い、次年度の
議長を選出する。
化学兵器禁止条約法令集
15
締 約 国 会 議 決 定 C-II/DEC.14 の 第 3 項 に よ り 変 更 さ れ た 。
2.
秘密保護委員会が処理すると思われる紛争
秘密保護委員会は、次の状況における紛争を処理することが要求されるであろ
う:
(a)
締約国及び OPCW 双方を巻き込んでの、秘密の侵害により生じた紛争に
ついて検討するよう求められた場合;
(b)
条約第 14 条第 4 項に従い、締約国会議が秘密保護委員会に、上記第 2 項(a)
に規定するような紛争以外の秘密保護についての紛争に係る任務を委託した
場合;又は
(c)
秘密保護に関する紛争当事者たる 2 つの締約国により、条約第 14 条第 2
項に従い、彼等の紛争の解決手段として選ばれた場合。
3.
秘密保護委員会の作業手順を規律する規則
これらの規則は、秘密保護委員会の詳細な作業手順を規律し、締約国会議によ
り承認される。
紛争解決手順の開始
3.1
秘密保護委員会が上記第 2 項に記述した状況の紛争を処理するよう要求され
た場合は、当該案件は即座に議長に提出され、議長はこれを受け即座に秘密保護
委員会の全委員に対し当該案件について通知しなければならない。議長はその後
秘密保護委員会の全委員と、必要な場合は会議を開催し、紛争を解決するための
時期及び手順について協議しなければならない。このとき、訴えている側につい
ての重大性又は緊急性の指摘、関係する実質的問題の複雑性、申し立てられた損
失又は損害の規模、及び秘密情報への更なるアクセスの範囲を極小化する必要性、
のような要素を考慮に入れた作業手順指針に従う。これらの予備的段階の最後に
おいて議長は、紛争処理のための提案された日程及び手順について秘密保護委員
会の同意を得なければならない。
相互に合意可能な解決の探求
3.2
秘密保護委員会はまず、紛争の根拠を明らかにするよう努力し、紛争当事者に
とり受入れ可能でありかつ条約による締約国及び OPCW の権利義務と整合性の
とれるような仕方で紛争を解決することを目指さねばならない。紛争当事者に相
互に満足の行く結論を促すためのあらゆる努力を行う際に、秘密保護委員会は当
該案件に相応しい紛争解決法を採用すべきである。この解決法は、紛争当事者の
共通の選択肢を考慮し、例えば、最初にとられる手法は、実際に交渉により合意
に到達することを目指す仲介的措置であることが望ましい。
3.3
この目的で秘密保護委員会は、非公式の仲介を担当する諮問委員会を設置する
ことができる。通常この諮問委員会は 5 人の秘密保護委員会委員から構成され、
そのうちの 1 人は各地域から選出されるべきである。ただし、両紛争当事者が、
類似の修正された構成の方がより仲介による合意に到達することに資するであろ
化 学 兵 器 禁止条約法令集
うと信じ、この構成を要請することに合意した場合はこの限りではない。当該諮
問委員会は秘密保護委員会に協議の進捗及び結果について報告し、この手順によ
り得られる想定されるいかなる仲介的解決も、秘密保護委員会に提出され同委員
会の承認を受けねばならない。
3.4
もし適切な手法により、秘密保護委員会が紛争当事者に受入れ可能な和解的解
決に到達したなら、この成果は秘密保護委員会の承認を受けねばならず、成果に
ついての事実的な陳述書が、合意を記録するために紛争当事者に提供されねばな
らない。
相互に受入れ可能な解決の不存在
3.5
もしこのような成果が得られないなら、秘密保護委員会は、紛争の基礎的な事
実の概要を記した報告書を用意しなければならない。この報告書は紛争について
客観的に記述するとともに、締約国会議からの特別な指示に従い、紛争当事者自
身、秘密保護委員会、締約国会議、又は OPCW 内の他の機関による紛争解決の
ための更なる措置について勧告しなければならない。この報告書は秘密保護委員
会から紛争当事者に手交されねばならない。秘密保護委員会の報告及び勧告は紛
争当事者を拘束するものであってはならないが、紛争当事者又は OPCW 内の適
切な機関の側における更なる行動のための基礎又は道理を提供することができ
る。特に秘密保護委員会は、締約国会議からの特別な指示に従い、かつ、もし紛
争当事者が案件の緊急性に鑑み必要であると同意するなら、当該案件を締約国会
議又は OPCW 内の他の機関に付託することができる。
3.6
もし紛争当事者たる 2 つの締約国が紛争を秘密保護委員会に付託する条件と
して同意したなら、秘密保護委員会は紛争当事者の明確な同意を得て、紛争当事
者を拘束する仲裁による紛争解決について決定することができる。
3.7
秘密保護委員会は報告及び勧告を用意する際に、秘密情報へのアクセスを支配
する「知る必要」の原則及び秘密保護委員会がその職務遂行中に秘密が保護され
ることを確保するために採択した特別な手順を考慮に入れねばならない。秘密保
護委員会の委員はそれ自身、秘密情報の取扱い及び保護に関して、条約及びこの
綱領によるすべての義務に拘束されねばならない。
締約国会議への報告
3.8
秘密保護委員会は締約国会議に対し責任を負い続け、締約国会議の各定例会議
において前年のその活動について報告しなければならない。この報告は、和解及
び仲裁による解決の件数、検討した紛争の類型、得られた成果、及び継続した秘
密保護と整合性のとれた成果の詳細を含めねばならない。秘密保護委員会は、そ
の全般的な活動並びにその効果及び効率についても報告しなければならず、その
改善のために提案又は勧告することができる。
秘密保護委員会委員の責務
3.9
秘密保護委員会及びその個々の委員は、事務局又は OPCW 内の他の機関から
の干渉又は指示を受けることなく行動しなければならないが、締約国会議からの
いかなる指示にも従わねばならない。しかしながら議長は、自らの業務を遂行す
るに当たり、事務局からの相談及び後方的支援を求め及び受けることができる。
化学兵器禁止条約法令集
ある特定の紛争に関し利害が対立する秘密保護委員会の委員は、当該紛争を扱う
ことを差し控えねばならない。ある紛争の通知を受けた際に可及的速やかに利害
対立を申告することは、秘密保護委員会の個々の委員の責務である。秘密保護委
員会の委員は、 OPCW 又はその機関内の他のいかなる職務をも兼任してはなら
ず、OPCW に関係したいかなる法的又は資金的な関係又は利害をも有してはな
らない。
秘密保護委員会の会合
3.10 秘密保護委員会はこの綱領の第 1.4 項に従い、冒頭において及び定例の締約国
会議に連動して会合を開催し、また持ち込まれた紛争を検討する必要が生じた際
にも会合を開催しなければならない。
3.11 冒頭及び爾後の年次会合において、秘密保護委員会は次のことを行わねばなら
ない:
(a)
条約第 8 条第 23 項に規定された地域間の輪番制の原則を考慮に入れ、全
会一致により次の 1 年間務めることとなる議長を選出する;
(b)
前年に秘密保護委員会が処理した紛争の結果についての締約国会議への報
告書を検討し採択する;
(c)
秘密保護委員会の作業、効果及び効率についての締約国会議への報告書を
検討し採択し、この関係で議長が行う勧告又は提案について検討する;
(d)
必要に応じ、その作業手順への修正について再検討し勧告する;
(e)
秘密保護委員会が適当と考える指針及び要求を議長に提出する;及び
(f)
秘密保護委員会が適当と考える更なる勧告又は提案を締約国会議に行う。
作業手順の準備
3.12 締約国会議は、秘密保護委員会の詳細な作業手順を承認しなければならない。
これには特に次の事項を記さねばならない:
(a)
秘密保護委員会の会合を開催するための正式な手順;
(b)
紛争が速やかに議長に提出される方法及び議長が速やかにすべての秘密保
護委員会委員に通知する方法;
(c)
この部の第 3.1 項に従い、秘密保護委員会が紛争解決の時期及び手順につ
いて決定する方法;
(d)
秘密保護委員会が相互に同意した紛争解決を承認する方法、及び紛争当事
者のかかる紛争解決への同意が登録される方法;
(e)
締約国会議の指示に従い、秘密保護委員会が報告及び勧告を準備し、紛争
当事者及び締約国会議又は OPCW 内の他の機関に提出するための手順;
(f)
秘密保護委員会が職務を遂行する際に、秘密保護附属書、OPCW 秘密保
護綱領及び秘密情報へのアクセスを支配する「知る必要」の原則と調和して、
秘密が保護され続けることを確保するための手順;
(g)
秘密保護委員会の職務が遂行されねばならない時間制限の設定の手順;
(h)
この部の第 1.1 項、第 1.2 項及び第 1.3 項において確立された原則を考慮
しての、後任議長選出、秘密保護委員会の後任委員選出、及び空席が生じた
場合の補充の手順;
(i)
特定の紛争の検討を行っている秘密保護委員会委員に関し、この部の第 1
化 学 兵 器 禁止条約法令集
項に記載された構成を規律する規則の原則と整合しこれに従うように、紛争
解決過程を通じて彼等の勤務が継続することを促進する方法;
(j)
秘密保護委員会の効率を監視する手順;及び
(k)
これらの作業手順を変更する手順。
決定を行う手順
3.13 議長は決定又は勧告について、秘密保護委員会全体としての全会一致の合意を
得るよう努めねばならない。しかしながら、特定の決定について全会一致の合意
が得られない場合は、秘密保護委員会は全委員の 3 分の 2 をもって当該案件を
解決することができる。
第 9.3 部 侵害の手続における締約国の役割
1.
1.1
序文:関連する条約上の義務
締約国の秘密保護への関与に具体的に関連する条約の規定には、個々の締約国
についての次の義務が含まれる:
(a)
事務局長が秘密の侵害又は侵害疑惑を調査し及び侵害が確かめられた場合
に適当な措置をとるに当たり、可能な範囲内で協力し及び支援する(秘密保
護附属書第 21 項);
(b)
この条約の実施に関連して OPCW から秘密のものとして受領する情報及
び資料を秘密情報として取り扱い、並びに当該情報及び資料に対し特別の取
扱いを行う。当該情報及び資料を、この条約に基づく自国の権利及び義務と
の関連においてのみ利用するものとし、秘密保護附属書に定める規定に従っ
て取り扱う(第 7 条第 6 項);
(c)
OPCW から受領する情報をその情報に関して定められた秘密の水準に
従って取り扱う(秘密保護附属書第 4 項);及び
(d)
要請に応じ、OPCW が締約国に提供する秘密情報の取扱いの詳細を提供
する(秘密保護附属書第 4 項)。
1.2
更に、秘密保護附属書第 20 項に規定された裁判権からの免除の放棄について
の規定の実施は、事務局職員が重大な秘密の侵害を行った場合に関係する国の裁
判権が適用される必要があることを意味する。
1.3
この綱領は OPCW 自身の作業及び OPCW と締約国との関係を取り扱うもので
あるため、この部では、秘密保護に関し条約の目的を履行する上でとられる締約
国内部の具体的措置、又はこの関係で締約国の特定の責務(国の裁判権の適用又
は侵害発生時の補償等)を実施するための締約国内部の具体的措置については確
立又は規定しない。特別な案件においてもし必要が生じ又は望ましいと思われる
なら、かかる締約国内部の特定の措置又は締約国の特定の責務が提起され、二国
間協定又は OPCW と締約国の間の他の実施取極により策定されることもできる。
2.
想定される場面
秘密保護に関する締約国の義務は、特に次の事項との関連で、実際上の多くの
場面において生じ得る:
化学兵器禁止条約法令集
(a)
(b)
秘密の侵害又は侵害疑惑についての OPCW の調査;
重大な秘密の侵害が発生した場合の、OPCW 事務局長による裁判権免除
の放棄;
(c)
締約国が直接責任を有する秘密の侵害;又は
(d)
締約国の管轄権内での、法人又は自然人による秘密の侵害。
3.
秘密の侵害の調査
条約第 7 条第 7 項による事務局への協力という一般的な要求事項に加え、各締
約国は、事務局長による秘密の侵害又は侵害疑惑の調査に関し特別な義務を負う
(この部の第 1.1 項(a)に記される)。これらの義務の枠組みの中で、特定の調査
との関連での締約国の支援及び協力の性質が、時と場合に応じて決定されること
となる。
4.
4.1
重大な秘密侵害の場合の、裁判権免除の放棄
条約(秘密保護附属書第 20 項及び第 21 項)は、重大な秘密侵害を犯した技
術事務局職員について裁判権からの免除が放棄された場合は裁判権が適用される
べきであることを想定している。このような場合に、もし事務局長が裁判権免除
を放棄することを決定したなら、事務局長又は重大な侵害により被害を被った締
約国からの要請に基づき、当該職員に対し締約国の適切な裁判権の下で法的訴訟
手続が開始されるべきである。締約国はこの手順が有効に実施されることを確保
するため、適切な行政的及び法的措置を講じるべきである。
4.2
時と場合に応じ国の裁判権の適用を決定することは、締約国の主たる責務であ
る。締約国会議はまた、事務局職員による重大な秘密保護義務違反に対する、一
貫したかつ包括的な対応を確保する取極の提案を検討することができる。
5.
締約国に帰する侵害
もし OPCW から秘密に締約国に提供された情報が無許可の受領者に開示され
たなら、又はもしその他の形で秘密が締約国により誤用されたなら、これは条約
第 7 条第 6 項及び秘密保護附属書第 4 項に規定された締約国の義務に違反する
ものである。更に、秘密のものとして受領した情報を秘密のものとして取り扱う
ことは、条約全体の効果的な実行の根幹をなす部分である。締約国がこれらの義
務に違反した場合は、秘密の侵害は当該締約国に帰せられ得る。これは侵害又は
侵害疑惑についての事務局長による調査 16 結果として現れ得、この場合当該案
件は、締約国会議の紛争解決手順の対象となり、特に締約国会議の指示の下での
秘密保護委員会 17 の対象となる。
16
第 9.1 部 の 侵 害 調 査 手 続 の 第4e
17
第 9.2 部 を 参 照 。
6.
段階に従う。
国の裁判権のその他の適用
上記第 5 項に記述したように、締約国が OPCW から秘密のものとして提供さ
れた情報をその秘密を侵害するような形で開示することは、条約第 7 条第 6 項
化 学 兵 器 禁止条約法令集
及び秘密保護附属書第 4 項に規定された締約国の義務に違反するものである。
したがって締約国は、これらの義務が有効に果たされること(締約国からの権限
付与又は締約国からの支援の下に活動する代行者によるものを含む)を確保する
ために必要と判断するところの、適切な行政的及び法的措置を講じることが求め
られる。
第 10 部 事務局による秘密情報の取扱いを規律する
制度の実施についての年次報告書
1.
2.
3.
18
事務局長は毎年、事務局による秘密情報の取扱いを規律する制度の実施につい
て締約国会議に報告することが求められる(秘密保護附属書第 3 項)
。この報告
には下の事項が含まれるべきであるが、事務局に開示され、事務局により取り扱
われ又は保持される、及びこの綱領の原則により支配されるところの秘密情報の
機密性を減じることを防止するような方法で行われるべきである。
事務局長はその報告書において、前年における事務局職員による秘密情報の取
扱いの実際の詳細に焦点を当てねばならない(秘密保護附属書第 3 項)
。これに
は、次を含める:
2.1
秘密保護制度を実施するための資源の必要量(事務局が取り扱う秘密情報
の量の見積もりを含む);
2.2
秘密保護制度を実施するためにとられる重要な活動(手順又は人員の重要
な変更、並びに事務局職員によるこの制度の遵守を確保するための、職員の
訓練及び周知徹底課程を含む);
2.3
侵害又は侵害疑惑、及びこれらを調査しこれらの原因を除去するためにと
られた措置;及び
2.4
秘密保護制度に関して生じた問題又は方針の論点。
報告書の範囲を制限しない一方、報告書は特に次の詳細な要素を含むべきであ
る:
3.1
事務局が受領し、創出し、保管し及び伝達する秘密情報の数の予想;
3.2
前年において実施された秘密情報の公表 18 の件数、受領者及び記述、並
びに OPCW に関係する許可された受領者に供与されたアクセス 19;
情 報 の 「 公 表 」 と は 、 OPCW 自 身 ( そ の 全 構 成 要 素 を 含 む ) の 外 、 及 び 締 約 国 政 府 の
外(すなわち、条約実施に関係する、政府機関及び締約国内の権限を有する団体又は個人
の 外 ( こ の 綱 領 の 第 7 部 第 1.1 項 )) へ の 、 承 認 さ れ た 情 報 開 示 を 指 す 。
19
こ の 綱 領 の 第 6 部 第 2.12 項 に 記 述 さ れ た 原 則 に 従 う 。
3.3
秘密保護附属書第 11 項に従い秘密情報へのアクセスについて供与された
許可の件数、及び秘密保護制度の実施に関する上級職員の配置の変更;
3.4
検証活動中の及び情報管理システムにおける秘密保護手順において生じ
る、資源及び作業の必要量並びに一般的方針事項;
3.5
この綱領を実施するために定められた管理規程に対して行われた変更(こ
の綱領の変更についての締約国会議の承認により必要となった管理規程の変
化学兵器禁止条約法令集
更を含む);
3.6
報告された秘密情報の紛失;
3.7
事務局職員が関わる侵害又は侵害疑惑、事務局長が実施する侵害の調査、
及びその結果とられた措置;
3.8
情報管理システムにおける変更であって、当該システムに含まれる秘密情
報の漏洩防止について実質的な関係を有するもの;
3.9
秘密情報を保護し秘密保護制度を遵守する義務についての職員の訓練及び
周知徹底課程の実施、並びに、次の事項についての全事務局職員に対する指
示、助言及び定期的な注意喚起の実施:この綱領の原則及びそれを実施する
に必要となる手順;機密漏洩防止についての原則及び手順;並びに不適切な
秘密情報開示の場合に職員に課されることとなる罰則;及び
3.10 この綱領の第 6 部第 2.12 項に記載された原則に従い、OPCW に関係する
許可された受領者に対してそれへのアクセスが供与されるところの、秘密情
報の件数。
第 11 部 改訂手続
1.
2.
締約国又は事務局長は、この綱領の改訂を提案することができる。提案された
改訂は、締約国会議の手続規則に従い、事務局長により執行理事会を通じて締約
国会議に提出され、ここで検討に付され承認されねばならない。
事務局長は遅滞なく、この綱領の変更についての締約国会議の承認により必要
となった管理規程の変更を通達し、執行理事会及び締約国会議に対し、秘密保護
制度に関する年次報告書において当該変更について報告しなければならない。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
14.2
C-I/DEC.55
会議決定
OPCW メディア広報綱領
「OPCW メディア広報綱領」と題する 1997 年 5 月 16 日採択の
会議は、
OPCW 秘密保護綱領案を含む他の関連文書の採択が未決の中、委員会が PC-X/23
の第 6.11 項において、PC-X/A/WP.5 の添付資料に添付された「OPCW から報道機関
及び一般公衆に対し定期的に提供される情報分野の明示的な一覧」を含む、OPCW
メディア広報綱領案(PC-X/A/WP.5 に添付され、PC-X/A/3 の第 6.2 項において作
業部会 A により改訂された)を暫定的に承認したことを想起し、
更に、委員会が PC-XI/17 の第 7.7 項において、OPCW 秘密保護綱領案
(PC-XI/B/WP.8 に添付され、PC-XI/B/12 の第 7.2 項において作業部会 B により改
訂された)を採択したことを想起し、
委員会がその最終報告書の第 46.4 項において、会議が上記の、「OPCW から報道
機関及び一般公衆に対し定期的に提供される情報分野の明示的な一覧」
を含む、OPCW
メディア広報綱領案を採択するよう勧告したことを念頭に置き、
ここに:
次に添付した、「OPCW から報道機関及び一般公衆に対し定期的に提供される情報
分野の明示的な一覧」を含む、OPCW メディア広報綱領を採択する。
附属書
OPCW メディア広報綱領
1.
序文
この文書は、OPCW の全機関、OPCW 職員及びその活動のための OPCW メディ
ア広報綱領(以下「メディア綱領」という)を述べたものであるが、これは、報
道機関と接する場合、又は条約実施の関係で OPCW により雇われ若しくは
OPCW と契約を結んだ人以外の、若しくは締約国により権限を付与された人以
外の、すべての人と接する場合に適用される。これは、口頭、文書、電子媒体又
は他のいかなる伝達手段をも包含する。
メディア綱領の実施は、OPCW 秘密保護綱領と整合性のとれたものでなけれ
ばならない。
2.
原則及び目標
条約の趣旨及び目的の達成を容易にするために必要な範囲内で、メディア綱領
の実施により、報道機関及び一般公衆が OPCW の業務及び活動を理解すること
につき支援されねばならない。これは、OPCW の印象が、公平で時宜を得た客
観的な情報を提供する身近な国際機関となることを促進するものでなければなら
化学兵器禁止条約法令集
ない。これは、過度に宣伝的かつ活動的なものではないが、しかし単に受動的・
反作用的になることは避けることとする。
3.
責任
事務局長は、メディア綱領が OPCW のすべての職務階級において実施される
ことを確保する責任を負う。
事務局長は適切な管理規程を定めるとともに、OPCW
職員がこの綱領を適切に実施するために必要となる他の措置をとらねばならな
い。
4.
OPCW と外部との接点
4.1
開放性
OPCW は、その活動についての事実関係情報を提供する際には、自らを可能
な限り開放的で身近なものとするために努力し、報道機関及び一般公衆との関係
で効果的な広報計画を実施しなければならない。この目的で OPCW から定期的
に提供される情報分野の明示的な一覧は、このメディア綱領の附属書に示されて
いる。かかる情報は、特定の国又は事業所に関するものであってはならない。
4.2
本部の活動
(a)
20
事務局長及びその責任下で OPCW 技術事務局の関連部署と連携しつつ活
動する[OPCW メディア広報綱領の管理に責任を持つ適切な部署]20 は、
通常的に OPCW 技術事務局と報道機関及び一般公衆とのすべての関係を管
理する権限を有する。
括 弧 [ ] は 、 OPCW 技 術 事 務 局 の 最 終 的 な 構 成 に つ い て 決 定 が な さ れ た 後 に 、 括 弧 内
文言が、対応する技術事務局の部署の名称に差し替えられることを示す。
(b)
4.3
事務局長が報道機関又は一般公衆に対しある締約国に特に関係する情報を
公表することができるのは、この情報が関係する締約国から要請があった場
合又は当該締約国が同意を表明した場合に限られる。
査察活動
4.3.1 査察団
(a)
査察団長は、検証附属書第 11 部第 7 項に基づき事務局長により指名され
た資格ある専門家(もしいれば)を含む全査察団員によるメディア綱領の厳
守を確保する責任を負う。査察団員はメディア綱領及び関係する事務局長の
定める管理規程に精通していなければならない。
(b)
査察団員は、報道機関又は一般公衆を利する目的で、締約国の特定の査察
活動のいかなる面についてもこれへの接触の開始もこれについての発言も行
うことはできない。もし要請されたなら、秘密保護附属書第 2 項(c)(ii)の規
定を侵害しないで、事務局長の事前の承認を得た上で、査察団長は報道機関
化 学 兵 器 禁止条約法令集
又は一般公衆に対し声明を発表することができる。かかる声明は、OPCW
が定める一般検証及び査察計画についての標準的な報道指針に従わねばなら
ない。報道機関との接触の前に、被査察締約国は、かかる接触及びかかる声
明を行うことの妥当性について協議を受けねばならない。
4.3.2 オブザーバー
要請する締約国は、オブザーバーをしてメディア綱領の関係する全規定に従わ
しめる全責任を負うとともに、このために必要となるすべての措置をとらねばな
らない。したがってオブザーバー側も、査察団員に適用されるメディア綱領の同
一規定を厳守しこれの拘束を受けるものとし、この関係でいかなる独自の行動も
とるべきでない。
4.3.3 被査察締約国
(a)
被査察締約国は、査察団が、国内滞在中の査察団の活動を阻害することに
なるような報道機関からの注目の対象にならないことを確保しなければなら
ない。
(b)
被査察締約国が、公衆をして検証活動の背景をより理解せしめるために、
また査察団長の参加の下報道機関との接触を調整するために望ましいと考え
る場合には、被査察締約国代表者及び査察団長は、上記第 4.3.1 項(b) の規定
に従い報道機関との接触の前に協議を行う。
附属書
[綱領に対する]
OPCW から報道機関及び一般公衆に対し定期的に
提供される情報分野の明示的な一覧
1.
次に関する一般情報:
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
(g)
(h)
2.
OPCW の構成、事務所、予算、技術支援並びに職員配置方針及び配置図
案;
締約国との協力を含めた OPCW の活動;
OPCW と国際連合及び他の政府間機関との協力;
科学・研究機関との連携及び条約目的のための他機関からの支援;
化学産業、化学物質及び関連装置の貿易促進並びに化学分野における科学
及び技術開発;
国内当局、化学産業協会等を含む、条約実施に関わる国内機関;
化学兵器、老朽化学兵器及び遺棄化学兵器の廃棄の進捗状況;及び
現地査察において使用される技術及び手法を含めた、検証活動。
次に基づくその他の資料:
(a)
(b)
条約の内容及びその実施手順、例えば、申告様式、模範協定及び査察手順;
第 8 条(第 38 項(b))に記述された公開報告書又は条約実施についての
化学兵器禁止条約法令集
OPCW の報告書の一部(かかる報告書又はその一部を公開しないとの会議、
執行理事会又は事務局長の決定があればそれを考慮する)
;及び
(c)
条約実施に関係のある各締約国の方針についての、締約国により提供され
た一般に入手可能な資料。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
14.3
OPCW 健康安全綱領及び規則
C-I/DEC.8 「検証附属書第 2 部第 43 項に基づく、査察員及び査察補の活動の
ための安全要件の実施についての手続」と題する 1997 年 5 月 14 日採択の会議
決定
会議は、
委員会が、第 3.3.3 項(c)に次の文章を追加した、修正された健康安全綱領案
(PC-VI/B/WP.10 に対する議長文書の附属書 1)を承認したことを想起し:「これは、
条約に従い、査察活動を遂行する目的で被査察施設にアクセスを提供するとの締約国
の義務を侵害するものではない」(PC-VI/22 の第 6.7 項)、
委員会がその PC-XIII/18 の第 7.2 項において、PC-XIII/B/WP.2 に添付された
OPCW 健康安全規則案を検討し採択したことを想起し、
作業部会 B がその PC-XIII/B/6 の第 2.2 項において、PC-XIII/B/WP.2 に添付され
た OPCW 健康安全規則案を検討し、PC-XIII/B/WP.2 の第 3.2 項に記録された解釈
に注目し、これらの規則が委員会により採択されるよう勧告したことを想起し、
委員会がその最終報告書第 40.5 項において、会議が上記 OPCW 健康安全綱領案及
び OPCW 健康安全規則案を採択するよう勧告したことを念頭に置き、
ここに:
1.
OPCW 健康安全綱領及び OPCW 健康安全規則を採択し、次に添付した
PC-XIII/B/WP.2 の第 3.2 項に記録された解釈に注意する。
附属書
OPCW 健康安全綱領 21
21
PC-VI/B/WP.10 の 附 属 書 1 (PC-VI/22 の 第6.7 項 に お い て 修 正 さ れ た ) に 含 ま れ る 。
目次
1.
2.
3.
4.
5.
健康安全綱領声明
序文
責任
3.1
OPCW
3.2
OPCW 査察団
3.3
被査察締約国
組織及び管理
一般原則
5.1
危険度評価
5.1.1 危険度評価についての一般的配慮
化学兵器禁止条約法令集
6.
7.
8.
1.
5.1.2 化学物質危険データ
5.1.3 非化学物質の危険
5.2
危険度管理
5.2.1 危険度管理についての一般的配慮
5.2.2 検知及び監視
5.2.3 防護
5.2.4 汚染管理
5.2.5 装置
5.3
健康及び安全の要件
5.3.1 OPCW の規準
5.3.2 国の健康及び安全の規準
5.3.3 地方の健康及び安全についての配慮
5.3.4 危険化学物質の梱包及び輸送
5.4
OPCW 内部の健康及び安全
5.4.1 医療支援
5.4.2 包括的な OPCW の建物及び事務室の安全
5.4.3 試験室の安全
5.5
査察中の健康及び安全の原則
5.5.1 査察団員
5.5.2 オブザーバーのための健康及び安全の配慮
訓練
不適用
改訂
健康安全綱領声明
OPCW は、健康及び安全を非常に重視している。職務に携わり又は職務によ
り影響を受ける全職員の健康及び安全は、極めて重要である。OPCW 職員が携
わるすべての職務は、可能な限り暴露を最小化し、適切に職員の安全を確保し、
操作の危険度を最小化し、及び、健康を促進するような仕方で遂行される。OPCW
事務局長は、健康及び安全に関する綱領が機関のすべての層において実施される
ことを確保する。事務局長は、この綱領及び補完的な健康及び安全についての文
書を定期的に再検討し、必要に応じこれらを変更するために適切な行動をとる。
[氏名]
OPCW 事務局長
[日付]
2.
序文
この文書は、 OPCW 全職員、職務(査察を含む)及び OPCW 構内に係る健康
化 学 兵 器 禁止条約法令集
及び安全についての OPCW の方針を記述するものである。この綱領を実施する
手法は、OPCW 健康安全規則に記述される。実施のための手引きは、OPCW 健
康安全指針に記述される。この文書に記述される健康及び安全についての一般原
則は、必須のものである。
3.
責任
3.1
OPCW
3.1.1
事務局長は、 OPCW 職員の健康及び安全について責任を負う。事務局長は、
締約国会議により承認された健康安全綱領及び規則が厳守されることを確保する
ため、機関内に、適切な資格を有する職員を長とし適切な資格を有する職員から
なる健康安全室を設置しなければならない。事務局長は、OPCW 健康安全指針
を定め維持しなければならない。
3.1.2 OPCW の全職員は機関の健康安全綱領及びその関連規則を遵守することが求
められる。彼等はまた、自身の健康及び安全並びに自身の活動により影響を被る
かもしれない他の人の健康及び安全を守るために十分注意を払わねばならない。
3.1.3 健康安全室の長は、次の事項を行わねばならない:
(a)
OPCW 職員の健康及び安全を確保するため、承認された OPCW 健康安全
綱領と調和した指針を策定し、手順を確立する;
(b)
健康及び安全の分野において必要とされる、OPCW 職員の選定、雇用、
訓練、認定及び再評価についての手順を実施する;
(c)
特別な状況において必要となる場合は、健康及び安全の職務を、適切な資
格を有する査察団員又は他の団体に委任する権限を有する;
(d)
適切な場合は、異常に危険な状態にある場所において、追加的に適切な資
格を有する職員を要請する;
(e)
OPCW 全体を通しての健康安全綱領及び規則の実施について並びに出来
事又は失陥について監視し、定期的にこれについて事務局長に報告するとと
もに、矯正的な措置が必要な場合はこれを勧告する;
(f)
健康及び安全の問題について、締約国から協力、支援及び技術的情報を求
める;及び
(g)
OPCW の健康及び安全に係る装置の調達について助言する。
3.2
OPCW 査察団
3.2.1 査察団長は査察期間中において、査察団員の健康及び安全について責任を負う。
健康及び安全の危険度を最小化すべくすべての OPCW 健康安全綱領及び規則が
その場の状況に照らし適切に実施されることを確保するため、必要に応じ査察団
長は、適切な資格を有する健康及び安全に関する職員から支援され助言されねば
ならない。全査察団員は、すべての OPCW 健康安全要件に精通していなければ
ならない。査察団には、必要に応じ、安全及び医療関係の職員が含まれる。
3.2.2 査察員及び査察補はその活動を遂行する際に、被査察地点において適用される
化学兵器禁止条約法令集
安全規則(施設内の管理された環境の保護のための規則及び従業員の安全のため
の規則を含む)を、OPCW 健康安全規則をも遵守する必要と両立させて、遵守
しなければならない。
3.2.3 査察団が OPCW 規則に従うことができないときは、査察活動は下記第 7 章に
従い不適用が認められる時まで中断される。困難な場合は、下記第 3.3.3 項の規
定が適用されねばならない。
3.2.4 査察団員は自身の安全についても責任を負い、いかなる時も OPCW の健康及
び安全に関する代表者からの助言に従わねばならない。危険な地点においては、
査察団員は常に自身の周辺を意識し、近接した場所における他の査察団員の活動
に注意しなければならない。全査察団員は、OPCW 健康安全綱領及び規則のみ
ならず被査察締約国の国の及び地点特有の健康及び安全に関する方針及び規則を
も遵守し、必要に応じ関連する接受国のこれらのものをも遵守することが求めら
れる。
3.3
被査察締約国
3.3.1 被査察締約国(又は、適切な場合は、接受国)は、人の健康及び安全を確保し
及び環境を保護することを最も優先させねばならない。この目的で、合理的に実
施可能な場合は、次に関する情報が査察の前に技術事務局に提供されねばならな
い:国の安全及び健康規準;地方の健康及び安全要件;関連する既知の危険の開
示;並びに、現地において可能な支援。これが実際上不可能であれば、冒頭の査
察前説明において、適切な健康及び安全に関する情報が提供されねばならない。
3.3.2 被査察締約国は、健康及び安全の危険度を最小化することを確保する責任を負
わねばならず、査察が安全に実施されるよう努めねばならない。高度な安全措置
がとられているにもかかわらず危険性が残存する場合は、被査察締約国は査察団
長に危険性の程度について知らせねばならない。
3.3.3 被査察締約国は、全査察団員をして、国又は地点の秘密を保護する必要に配慮
しつつ、当該国の健康及び安全についての方針及び規則並びに地方又は地点特有
の要件及び規則に従わしめることを確保する権利を有する。この関係で、:
(a)
国又は地点特有の要件が OPCW の規定よりも厳しい場合又はこれらに適
合している場合は、被査察締約国はその規準を満たすために必要となる資源
を提供するか、その施行を放棄しなければならない;
(b)
OPCW の要件が国又は地点特有の(接受国の)規定よりも厳しい場合は、
査察団長は全 OPCW 査察団員に対し、OPCW の要件が地点特有の健康、安
全及び秘密保護の要件を侵害しない限り、OPCW 綱領及び規則に従うよう
要求する権利を有する。査察団長はまた、他のすべての職員に対し、合理的
に実施可能な範囲内でこれらに従うよう奨励することができる;及び
(c)
適用される健康及び安全の方針及び規則に関する解釈の差異であって現地
において解決できないものは、秘密保護の要求に十分注意しつつ、査察団長
から事務局長に回付され解決に向けて検討に付される。事務局長が査察団長
に処理権限を与え、被査察締約国がこれに同意した場合は、生じ得る出来事
及び事故に関して、責任の分担について合意されねばならない。しかしなが
化 学 兵 器 禁止条約法令集
ら、査察団員に対する及び被査察地点に対する危険度の程度の管理を確保す
るため、査察は当該締約国が同意するまで実施されない。これは、条約に従
い査察活動を遂行する目的で、被査察施設へのアクセスを提供するとの締約
国の義務を侵害するものではない。
4.
組織及び管理
4.1
OPCW 健康安全綱領の効率的な実施には、機関内部の安全及び医療の能力が
求められる。これは、OPCW 職員の健康及び安全に関する事項について、事務
局長に直接アクセスする権利を伴った(必要かつ適切な場合は)、機関内の健康安
全室という形をとらねばならない。
4.2
健康安全室の規模及び構成は、OPCW 構内及び現場の両方において OPCW 健
康安全綱領及び規則が完全に実施されることを確保するに十分なものでなければ
ならない。必要な資源に関係するものは、規模、施設の位置及び技術事務局の構
成(特に査察員)である。
4.3
健康及び安全の問題について機関内部で紛争が生じ、他の方法で解決できない
場合は、健康安全室の長は当該案件を、秘密保護の要求に十分注意しつつ、解決
のため事務局長に回付しなければならない。
5.
一般原則
健康安全室は、危険度の評価及び管理に基づいて作業の方法を採用する。
5.1
危険度評価
5.1.1 危険度評価についての一般的配慮
危険度評価は、健康及び安全の危険度を最小化するため、査察及び活動計画の
一部として実施される。この評価はとりわけ、環境的、構造的、物理的及び化学
的な危険、並びに放射性、風土病及びこれらを管理する適切な方法の評価を含ま
ねばならない。この評価が、秘密保護規制により保護される事項を不当に暗示す
る場合は、採用されることとなる程度及び措置の観点からの危険度評価の関連要
素は、被査察締約国により提供されねばならない。危険度評価は、査察の間に適
切に更新される。危険度評価の手順は、OPCW 全体を通して標準化される。
5.1.2 化学物質危険データ
健康安全室は、表剤及び他の危険化学物質についての包括的な化学物質危険
データを保持する。
5.1.3 非化学物質の危険
OPCW 健康安全室は、化学物質の危険のみならず作業環境により OPCW 職員
が曝されるかもしれない危険についても注意喚起する。作業区域内での爆発物
(未
発兵器を含む)は、特に OPCW 職員にとり危険となり得、これは、あらゆる活
化学兵器禁止条約法令集
動に係る健康安全計画において注意されねばならない。放射、騒音、粉塵、機械
的、電気的及び環境的危険、圧力槽及びレーザーの使用等の面に対しても注意が
必要である。
5.2
危険度管理
5.2.1 危険度管理についての一般的配慮
危険環境(危険化学物質又は爆発物等)を伴う場所又は作業において遵守され
るべき根本原則は、安全かつ効率的な作業と調和しつつ、暴露の可能性を最小人
数かつ最小時間に制限するとともに、危険物質を最小量に制限することである。
5.2.2 検知及び監視
危険の存在についての環境の監視は、作業前及び作業中において可能な限り常
に実施される。監視は、国の規則、地点特有の規則、及び関係する場合は OPCW
の規則、並びに秘密保護に従わねばならない。許可を受けた表 1 剤のための監視
装置(警報機附き又は、適切な場合は、承認され同意された適当な産業機器附き
が望ましい)が、危険な化学物質の存在を監視するために査察地点において使用
される。監視装置を選定する際には、国の規準、及び関係する場合は OPCW の
規準が考慮されねばならない。
5.2.3 防護
(a)
防護服及び防護器材の使用は、職員への危険化学物質の暴露を防止する方
法としては最も望ましくないものである。換気、隔離、及び危険区域への不
要な全入口の除去等の技術的及び管理的措置を合理的に用いることにより、
危険環境において防護服及び防護器材への依存を低減するよう努力しなけれ
ばならない。適切な危険度評価は、このような代替措置が探求されたことを
示さねばならない。
(b)
危険の可能性についての入手可能な情報に基づく最初の危険度評価に加
え、防護服及び防護器材の選定及び使用もまた、ある種の環境によりもたら
される生理的な限界を念頭に置きつつ、監視結果及び作業要件に基づくもの
である。
(c)
査察団は広範な場所及び環境において任務を遂行しなければならないこと
に鑑み、適切な仕様の安全防護器材を調達する必要がある。いかなる OPCW
職員も、適切な安全器材及び視覚/皮膚/呼吸保護器材を身に付けずに、毒性
のある産業区域又は表 1 剤を扱う区域内に置かれてはならない。必要に応じ、
他の防護器材(例えば、ヘルメット又は安全靴)が考慮されねばならない。
(d)
OPCW 職員が使用する防護服及び防護器材はすべて、OPCW 健康安全室
の助言を受けた上で、事務局長又はその指名を受けた代理人の承認を受けね
ばならない。この承認は、認証のための適当な試験及び手順並びに承認の認
証についての規定に基づかねばならない。査察中は、OPCW 職員が使用す
るいかなる特定の防護服及び防護器材も、OPCW 健康安全室の助言を受け
た上で、事務局長又はその指名を受けた代理人の承認を受けねばならない。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
5.2.4 汚染管理
すべての作業は、汚染を防止するように、又は汚染が既にある場合はその範囲
を極限するように実施されねばならない。もし汚染が不可避なら、事務局長が承
認した規準に準拠した、作業のための健康安全計画において確認されたとおり、
適切な除染器材及び手順が用いられる。
5.2.5 装置
(a)
OPCW の装置調達過程において、この綱領の規定及び補完的な OPCW の
健康及び安全関連文書が十分考慮されねばならない。作業員に対する危険を
最小限にし特別な査察要件に合致した装置が選定されねばならない。
(b)
危険環境下で使用に供される OPCW 装置(第 5.2.3 項(d) に含まれないも
の)はすべて、健康安全室の承認を受けねばならない。OPCW の要件に従っ
た、OPCW 職員の健康及び安全を十分確保する装置のみが選定される。
5.3
健康及び安全の要件
5.3.1 OPCW の規準
この綱領を実施するための手法は、OPCW 健康安全規則に記述されている。
これらの規則の適用のための手引きは、OPCW 健康安全指針の文書に記述され
ている。
5.3.2 国の健康及び安全の規準
(a)
健康及び安全の基準は国により様々である。健康安全室の長は、活動の計
画及び実施時に OPCW がこれらの規準を満たすために十分注意が払われる
ことを確保しなければならない。健康安全室は、締約国の関連する主要な健
康及び安全規制のデータベースを確立し維持しなければならない。関係する
国又は地方政府の承認を条件として、被査察地点の安全及び秘密保護に基づ
き、OPCW の規準と適合するように追加的な健康及び安全措置が適切に提
供され又は準備される必要があるかもしれない。
(b)
締約国は、医療、健康又は安全関連問題について OPCW 職員により合意
された可能なあらゆる支援を行う義務がある。国の健康及び安全の規準が
OPCW が採用したそれと異なる場合は、第 3.3 項及び第 5.5.1 項の規定が適
用される。
(c)
査察に先立ち、求められる OPCW の規準並びに、適切な場合は、国の健
康及び安全の規準に従うとの規定を含む、文書化された健康安全計画が準備
され採用される。査察において健康及び安全の職員及び装置を含む必要性に
ついての決定は、査察の種類及び場所に基づく。すべての種類の査察におい
て国の規準及び地点の規制を遵守するには、特に事前の関連協定がない場合
は(例えば、申立査察又は化学兵器使用疑惑)、入国地点又は査察地点におい
て、被査察締約国代表者と協議を行い、場合によっては健康安全計画を修正
する必要がある。
化学兵器禁止条約法令集
5.3.3 地方の健康及び安全についての配慮
(a)
世界の様々な地域での査察活動に従事する OPCW 職員は、様々な程度の
健康及び安全の危険性に遭遇する。健康安全室の長は、活動の計画及び実施
時にこのような多様性に十分注意が払われることを確保しなければならず、
また、文書化された健康安全計画において適切な措置が含まれることを確保
しなければならない。
(b)
健康安全計画は、特別な種類の OPCW 査察又は他の活動において示され
る特別な要件を考慮しなければならない。
5.3.4 危険化学物質の梱包及び輸送
梱包及び標識附けの包括的な目的は、物質が、取扱いの危険性及び輸送の衝撃
に耐え、正確に同定されることを確保することである。適切な梱包及び標識附け
が、危険物質又は環境試料の移送前に実施されねばならず、関連する国の又は国
際の規則又は規制に従わねばならない。
5.4
OPCW 内部の健康及び安全
5.4.1 医療支援
(a)
包括的な医療及び健康の計画が OPCW のために健康安全室により策定さ
れねばならず、これは OPCW 全体としての健康の要件を考慮しなければな
らない。その基本的要素は、予防的医療措置、防護計画、及び最新の医療的
配慮/ 治療/リハビリテーション関連規定を含む。査察団が展開している場所
からの緊急医療避難のための有効な手順が策定されねばならない。
(b)
個人の業務明細についての医療監視計画(雇用前の、定期的な、随時的な
及び満期時の検査を含む)が適切に実施されねばならない。計画はまた、被
査察締約国( 又は接受国)の医療職員と査察団の医療代表者との間の、活動、
権利及び義務の調整についての手順を含まねばならない。
(c)
個人医療記録を適切に保持することを規定する医療文書化体系が採用され
る。査察団が展開している間の累積暴露及び監視/精査結果についての記録
が保持されるとともに、査察団の展開に伴う医療概要記録が全査察団員のた
めに収集される。事故、病気等についての秘密でない統計データが収集され、
定期的に技術事務局の幹部に提出される。査察員の健康(健康の変化の調子
を含む)に関する全データ並びに急性及び蓄積的効果についての情報が、特
別に設計されたデータベースに保存されるべきである。
(d)
OPCW の作業に対する医療支援には、地方の状況を踏まえた健康維持、
毒物暴露に対する医療対応、並びに事故、外傷及び重大な疾病後の治療及び
避難が含まれる。防護服を使用しての全作業中の熱病を防止するための課程
が採用され実施される。
5.4.2 包括的な OPCW の建物及び事務室の安全
OPCW 健康安全室は、全作業環境中の OPCW 全職員の健康及び安全を考慮す
化 学 兵 器 禁止条約法令集
る。これには、危険な査察地点から管理事務室までが含まれる。健康安全室は、
包括的な OPCW 建造物安全計画を実施する。
5.4.3 試験室の安全
OPCW 実験施設内で実施される危険化学物質の取扱い作業及び保管は、OPCW
健康安全規則に従う。他の国の試験室で作業するときは、上記第 3.3 項の規定が
適用される。OPCW 実験施設については、安全設計の特徴、アクセスの管理、
及び良好な試験室の運営に十分注意が払われねばならない。
5.5
査察中の健康及び安全の原則
5.5.1 査察団員
すべての査察(特に申立査察)において秘密を侵害しないで査察団員及び被査
察地点の健康及び安全を確保するため、並びに条約の規定に従い、被査察締約国
が適切であると思う時はいつも、次の手順が適用されねばならない:
(a)
安全器材の使用は、査察開始前の合意を条件とする。合意(例えば、施設
協定、管理されたアクセスの規則)は、地点の安全規則及び規制に従い地点
特有の安全及び秘密保護関連事項を満たさねばならない(特に被査察地点内
の機微な区域に関係する場合は);
(b)
健康安全器材の使用について合意に達した後、被査察締約国は、適用され
るべき OPCW の規準及び規則に合致した健康安全器材(とりわけ、個人用
監視装置、防護服及びマスクを含む)があるなら、これを提供する;及び
(c)
査察終了時にもし被査察締約国が要請するなら、健康安全規則に従うため
に、及び/ 又は秘密情報の開示を防止するために、査察活動に関係した健康
安全器材のいかなる部品も被査察締約国内の場所に残置される。この規定が
行使される場合は、被査察締約国は OPCW の器材を速やかに交換するため
の準備をしなければならない。申立査察の特別な場合には、健康安全器材の
いかなる交換も第 9 条第 23 項の規定の適用を受けることができる。
5.5.2 オブザーバーのための健康及び安全の配慮
(a)
申立査察にオブザーバーが参加するという独特な状況下では、健康及び安
全の背景及び訓練に関する管理が欠如しているため、OPCW も被査察締約
国もオブザーバーの健康及び安全について完全に責任を負うことはできな
い。しかしながら、合理的かつ実施可能な場合は、査察のための OPCW 健
康安全計画の遵守及び関連する国又は地点特有の規則の遵守(被査察締約国
が適切と思うなら)を確保するため、OPCW 及び被査察締約国はオブザー
バーに対し、医療的配慮、支援及び情報を提供する。これにより生じた費用
は、要請締約国が負担しなければならない。
(b)
要請締約国は出発前に、申立査察中に遭遇することとなる確認された又は
予想される危険度の程度に応じて、オブザーバーに健康及び安全の分野につ
いて準備させるために必要なすべての措置をとらねばならない。OPCW 健
康安全規則で規定された書式でこのような準備(例えば、医療及び訓練の記
化学兵器禁止条約法令集
録等)を記した文書が、査察活動開始前にオブザーバーから被査察締約国に
提出されねばならない。被査察締約国は必要に応じ、査察団に提供した健康
及び安全情報と同じものをオブザーバーに提供しなければならない。
(c)
オブザーバーは常に、査察団長の指導下で、OPCW 健康安全計画の関連
規定及び国又は地点特有の規則に従わねばならない。オブザーバーは査察中
はいかなる独自の行動もとることはできない。
6.
6.1
6.2
6.3
6.4
6.5
6.6
7.
7.1
訓練
訓練は、個々人が自身の健康及び安全に責任を持ち、OPCW が提供する装置
及び手順を最適に使用することを可能ならしめるための、OPCW にとり実施可
能な唯一の最も重要な手法である。
OPCW の事務局長は、健康及び安全防護問題が適切に訓練課程に含められる
ことを確保し、再訓練/更新課程が定期的又は随時的に実施されることを確保す
る責任を負う。安全に関する科目における訓練の規準は、このような訓練がどこ
で実施されようとも、OPCW 健康安全室の監督を受けねばならない。事務局長
は OPCW が用いる訓練手法の安全について責任を負い、この手法は、健康安全
室の長の助言を受けて事務局長又は事務局長が指名した代理者の承認を受けねば
ならない。
すべての安全関係手順における訓練は、適切な理論的背景に基づき、実用的な
ものとなるようにしなければならない。防護服及び器材の使用の認証を必要とす
る職員については、訓練は試験剤(2-クロロベンザルマラノニトリル[ CS ]又
は他の適切な訓練剤を使用)への試行暴露を含まねばならない。器材に対する習
熟及び信頼を高めることが強調されねばならない。
OPCW は、その健康及び安全関係職員の訓練及び資格付与のため、専門家訓
練単位を用意しなければならない。
安全関連訓練に続いて、職員の評価及び資格付与が行われねばならない。
主要な安全関連活動のための最低限の能力基準が明示され、完成され、及び維
持されることは必要不可欠である。個人の能力を維持することが期待される活動
の範囲は、割り当てられた任務に依存し、関連の職務明細において明示される。
健康安全室の長は、能力基準が満たされ維持されることを確保する責任を負う。
不適用
OPCW 健康安全綱領及び規則並びに健康安全指針を厳守し、並びにすべての
不適用を回避することが、OPCW の根本原則である。
7.2
条約の趣旨及び目的を完全に満たすために OPCW 健康安全規則の厳格な遵守
から逸脱する必要がある状況においては、査察団長は規則を一時的に規則から免
除することを考察することができる。このようないかなる免除も、健康安全室の
長の助言に基づく事務局長による不適用の許可を求める正式な要請により、十分
に評価され、正当化されねばならない。
7.3
不適用は、OPCW 事務局長によってのみ許可されることができ、事務局長は、:
化 学 兵 器 禁止条約法令集
(a)
(b)
不適用を許可せざるを得ないような作業上の理由の存在を確保する;
必要に応じ、適切な代償的な又は補完的な措置が実施されることを確保す
る;及び
(c)
機微な施設を保護し、条約に関係のない秘密情報及び資料の開示を防止す
るとの、被査察締約国の権利に注意を払う。
7.4
事務局長は、もし作業上の理由から又は条約の特定の規定を満たすために必要
であると思うなら、不適用を許可する権限を指名した代理者に与えることができ
る。
8.
改訂
8.1
OPCW 健康安全綱領に対する提案された改訂は、事務局長から締約国会議に
提出され正式に承認を受けねばならない。
8.2
OPCW 健康安全規則に対する提案された改訂は、執行理事会に提出され承認
を受け、その後次期締約国会議により確認されねばならない。
8.3
OPCW 健康安全指針の改訂は、承認された綱領及び規則に従って、事務局長
により承認され実施されねばならない。
8.4
承認された後は、改訂は事務局長により、実施可能な限り速やかに、又はいか
なる場合も 30 日以内に実施されねばならない。
OPCW 健康安全規則 22
22
PC-XIII/B/WP.2 の 附 属 書 に 含 ま れ る 。
目次
1.
2.
3.
4.
序文
危険度評価及び危険度管理
2.1
序文
2.2
危険度評価
2.3
危険度管理
OPCW 構内での健康及び安全
3.1
健康安全計画
3.2
緊急時の規定
3.3
OPCW 構内
3.4
健康安全監査
査察中の健康及び安全の原則
4.1
基本原則
4.2
検知及び監視
4.3
健康及び /又は安全上の理由からの査察活動の修正
化学兵器禁止条約法令集
5.
6.
7.
1.
医療要件
5.1
作業に対する適応性
5.2
医療
5.3
職務移動中の医療
5.4
医療記録及び事故/傷害報告
5.5
空気清浄方針
5.6
職員規則の医療関連事項
健康安全訓練
6.1
序文
6.2
責任
6.3
新入従業員
6.4
健康安全訓練の内容
不適用及び免除
7.1
不適用の要請
7.2
不適用の許可
7.3
免除
序文
(a)
OPCW 健康安全規則は、OPCW 健康安全綱領を実施する手法を規定する
ものである。OPCW 健康安全規則は、OPCW 健康安全技術指針の策定に当
たり一貫した基礎となるものである。
(b)
危険度評価及び危険度管理の原則は、OPCW 職員の職務中の健康及び安
全を確保するために貢献するものである。
2.
危険度評価及び危険度管理
危険度は、事故の発生確率及びこの事故が発生した場合に予想される損害の程
度により特徴付けられる。
2.1
序文
(a)
この章では、危険度評価及び危険度管理の過程における純技術的事項につ
いて記述する。これらの過程は、被査察締約国が条約規定により求められる
以上の情報を提供する必要があるものと解釈されてはならない。
(b)
危険度評価及び危険度管理の一般原則は、次の方法論的な手順に基づく:
(i)
健康及び安全に関する危険の可能性の考慮;
(ii)
このような重大な危険に関係する危険度の評価(損害の程度、発生確
率)及びこのような危険度の許容性についての決定;
(iii) 予防及び防護について技術的及び組織的な措置を講じることによる危
険度の管理;
(iv) 評価の記録及び再検討の頻度についての決定。
(c)
職員の適切な訓練は、危険度を最小化することに大きく貢献する。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
2.2
危険度評価
(a)
危険度評価は、最初の危険度、及びこれらの危険度を最小化することを目
的とした既存の又は提案された措置を考慮した後の危険度を見積もる手段と
なる。何らかの行動をとる前に、入手可能なデータを基礎として、危険の可
能性及び結果が注意深く検討されねばならない。
(b)
作業の性質から危険が発生すると見込まれる場合は(例えば、緊急破壊、
訓練、又はある種の予防的整備作業)、その結果は判定され、これに基づき、
職員、事物及び環境が保護されるか暴露されないことを確保するための措置
が決定されることとなる。
(c)
危険度評価は、危険について入手可能なデータを基礎として行われる。も
しの危険の発生確率又はこれに関連した損害の程度が適切に評価され得ない
なら、危険度評価は最も確かな最悪場面を考えねばならないかもしれない。
2.3
危険度管理
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
危険度管理は、健康及び安全を保護するための技術的、医療的、組織的及
び管理的手順を適用することから成る。これは、危険度を許容可能な程度に
まで低減することを目標とする。危険性に暴露される個人の数及び暴露の期
間は、最小化されねばならない。
もし特別な活動と関係する危険度が許容できないと思われるなら、当該活
動は危険度が許容可能な限度に低減されるまで修正されねばならず、又は、
もしそれが不可能なら、当該活動は実施されてはならない。
危険度評価の結果とられることとなる危険度管理措置は、2 つの類型に分
類することができる:
(i)
予防措置;
(ii)
防護措置。
技術的、医療的、組織的及び管理的措置は、組み合わせて適用することも
単独で適用することも可能である。かかる措置間の相互作用の可能性、及び
状況に応じたこれらの効果の組合せが検討されねばならない。
残存している危険度が許容範囲内にあることを確保するための措置が継続
してとられるべきである。もし何らかの理由で危険度が許容範囲を超えたな
ら、危険度を許容範囲内に戻すための調整的措置がとられねばならない。
予防的及び/又は防護的措置は、危険度の展開に伴い補正されねばならな
い。
3.
OPCW 構内での健康及び安全
3.1
健康安全計画
(a)
健康安全室は、各建物のための健康安全計画を整備する。この計画を整備
し実施する時には、危険度評価及び危険度管理の過程の原則が適用される。
この計画は、次の事項を包含する:
(i)
この計画の実施及び監視に責任を有する職員の指名。これは、区域/
部門の代表者の指名を含む;
化学兵器禁止条約法令集
(ii)
接受国、国及び/又は地方の規制、規則及び指針を遵守する必要性。
この目的で、作業場の基準は重要であり、少なくとも次を含まねばなら
ない:
(aa) ブラウン管表示装置を用いた作業;
(bb) 手作業による荷物の取扱い(輸送業務);
(cc) 環境の快適さ;
(dd) 照明の基準;
(ee) 電気の供給、設備及びケーブル;及び
(ff)
建物及び設備の維持管理。
(iii) 事務室での作業の健康及び安全面についての OPCW 職員の訓練の導
入及び維持;
(iv) 防火、応急処置及び緊急時の手順についての規定;
(v)
訪問者及び請負者の安全;及び
(vi) 特別な危険の配慮。
(b)
健康安全計画は、全従業者及び請負者に配布され、認知される。
(c)
健康安全室は、少なくとも年 1 回全面的な健康及び安全の検査を実施し、
事務局長に報告書を送付する。
(d)
健康安全計画は、検査の結果及び変化する要件を踏まえ、定期的に更新さ
れねばならない。
3.2
緊急時の規定
(a)
(b)
3.3
緊急事態を処理するための計画が策定されねばならない。
地方及び国の火災関係規制の要件は満たされねばならない。
OPCW 構内
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
OPCW の建物内においては、専門の衛生士が必要な環境監視を実施する
責任を負う。上級医務員が生物学的監視を実施する責任を負う(もしあれば)。
専門の衛生士は、事務室の検知及び監視のために使用される機器の洗浄、
毎日の維持及び定期的な整備を監督する責任を負う。
もし査察地点から OPCW 構内に持ち帰られた査察装置が汚染されていた
なら、汚染管理手順は必要不可欠である。装置の除染、並びに毒性化学物質、
汚染された衣服及び装置の安全な廃棄に関する詳細な手順は、OPCW 健康
安全技術指針に記述されている。
試験室での活動は、ISO(国際標準化機構、International Organization for
Standardization)規準 25 に従い、「良好な試験室の運営(Good Laboratory
Practices)」にも基づく(適用可能であれば)。
OPCW 構内の健康及び安全に対するオランダの法律及び OPCW 健康安全
規則の適用は、OPCW 本部協定の規定に従わねばならない。
ISO 規準 25、「良好な試験室の運営」又は適用可能なオランダの法律の規
定の範囲外となる試験室での活動に関する安全については、OPCW 健康安
全技術指針に詳述されている。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
3.4
健康安全監査
(a)
健康安全計画は、定期的に監査されねばならない。監査手順は、OPCW
健康安全技術指針に詳述されている。
(b)
監査は、健康安全計画及び OPCW 職員によるその適用の、組織的及び技
術的要素について評価しなければならない。
4.
査察中の健康及び安全の原則
4.1
基本原則
査察員は、被査察締約国の国の及び地点特有の健康及び安全の方針及び規則、
並びに OPCW 健康安全綱領及び規則に従わねばならない。
(a)
査察中の活動は、検証附属書第 2 部第 43 項に従い実施されねばならない。
(b)
OPCW 健康安全規則の厳格な実施からの若干の変動は、検証附属書第 2
部第 43 項又は秘密保護附属書の規定による特別な要件に従う必要があるか
もしれない。
(c)
かかる変動は、OPCW 健康安全綱領に合致しているため、不適用の状況
とはならない。このようないかなる変動も、文書により報告されねばならな
い。
(d)
OPCW 健康安全綱領に従い査察団は、この健康及び安全手順が、OPCW
健康安全技術指針に詳述された手順とできるだけ近いように適用され続ける
ことを目標とすべきである。
(e)
いかなる活動も、査察団又は被査察締約国にとり受入れ不可能な健康及び
安全の危険性を含むべきでない。
(f)
査察地点において第 2 章に記述された危険度評価及び危険度管理原則を
実施するに当たって、被査察締約国の合意により及び被査察締約国と密接に
連携してとられる特別な措置は、条約の関連規定を侵害してはならない。し
かしながら、危険度管理は、関連するすべての要件を調整するための柔軟性
を規定している。
4.2
検知及び監視
査察団が、健康及び安全要件のために検知及び監視が必要と考える場合は、こ
の必要性について被査察締約国と協議を行う。もし被査察締約国がこのような検
知及び監視に同意したなら、被査察締約国は一般的にこれらの活動を行うであろ
う。被査察締約国はまた、査察団がこれらの活動を行うよう提案することもでき
る。もし合意に達したなら、査察団の懸念を払拭するために、次の事項を単独で
又は組み合わせて実施することができる。
(a)
締約国から資料を提供すること。
(b)
締約国が自身の機器を用いて検知及び監視すること。
(c)
査察団が最も干渉の程度の低い方法で(例えば、警報装置を用いて)検知
及び監視すること。
4.3 健康及び/ 又は安全上の理由からの査察活動の修正
化学兵器禁止条約法令集
(a)
査察団長は被査察締約国との協議の後、健康及び安全上の理由から、又は
検証附属書第 2 部第 43 項の実施に関する理由から、特別な活動が当初計画
どおりには実施又は遂行できないと考えるかもしれない。
このような場合は、
査察目的を達成するため、被査察締約国と協議の上で代替査察手法が採用さ
れるべきである。この目的で、より高い水準の防護、又は代替の予防的及び
調整的措置が用いられてよい。被査察締約国と合意に達した後は、代替査察
手法を検討した上で査察手順を変更するか否かを決めるのは査察団長の責任
である。
(b)
事故の原因が特定されねばならず、必要であれば、影響を受けた査察活動
が再開される前に、危険度評価、健康及び安全手順並びに査察活動が再検討
されねばならない。この再検討、及び想定される査察手順の変更については、
被査察締約国の同意が得られるべきである。
5.
医療要件
5.1
作業に対する適応性
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
5.2
すべての OPCW の業務明細は、その職の身体的及び精神的要件について
記述する章を設けねばならない。
すべての職員は、OPCW への雇用開始前に健康診断を受けねばならない。
全査察員の適正を確定する基準並びに冒頭及び定期的健康診断のための
OPCW の要件については、OPCW 健康安全技術指針に記述されている。健
康診断は通常、OPCW が承認した医師により志願者の採用国において実施
される。志願者の OPCW 業務への適正を決定するため、診断結果は OPCW
の上級医務員又は代理の医務員により再検討される。
雇用前の健康診断のために必要とされる健康情報の不提出は、その後の従
業員の OPCW からの解雇を招くかもしれない。
職員は、業務への適正が維持されることを確保するため、及び予防的健康
手段として、定期的に健康診断を受ける。この健康診断の頻度は、職員の業
務及び年齢に依存する。査察員、特に危険な化学物質に曝されるかもしれな
い査察員は、追加的な特別の定期診断を受ける。詳細は、OPCW 健康安全
技術指針に記述されている。
傷害又は疾病の結果、職員が永久的に自らの職務を実施する適正を欠くに
至った場合は、当該職員を別の職において引き続き雇用することが試みられ
る。もしこれが不可能なら、健康安全室の長は事務局長に対し、健康上の理
由から当該職員との契約を終了させることを勧告することができる。
もし検証附属書第 2 部第 43 項に従い、査察員の適正に関して、被査察締
約国が健康及び安全規則についての特定の健康情報を現地で要求したなら、
査察団長はそのような情報を入手する方法について、被査察締約国代表者と
協議を行う。被査察締約国と査察団の間で意見の相違がある場合は、これは
OPCW 健康安全綱領第 3.3.3 項(c) に従い解決されねばならない。
医療
化 学 兵 器 禁止条約法令集
(a)
OPCW は、業務上の疾病及び傷害に関する医療を提供又は監督する責任
を負う。業務とは無関係の疾病又は傷害については、職員は家庭医又は他の
地域の医療機関から医療を受けねばならない。移動中を含めた医療の提供に
ついては、 OPCW 健康安全技術指針に詳述されている。
(b)
可能な場合は常に、医療の提供に当たり、宗教的及び文化的配慮が考慮さ
れる。
5.3
職務移動中の医療
(a)
査察又は訓練活動と関係のない職務移動中の医療は、当該 OPCW 職員の
責任において受ける。国外で傷害又は疾病が生じた場合は、健康安全室の助
言を求めることができる。健康安全室は職員に対し、移動中の健康に係る必
要事項に関する情報を提供する。
(b)
査察員の訓練中における医療の提供は、協議の上、OPCW と関係者の間
で締結される協定に記録される。
(c)
査察団の移動中は、
:
(i)
基本的な応急処置は、査察団の医療補助者若しくは医務員により提供
され、又は、そのどちらもいない場合は、健康及び安全任務を補助的に
受け持つ査察員により提供される。
(ii)
査察団に医療関係者が含まれる場合は、医療は資格を有する者によっ
てのみ提供されるべきである。その他の場合は、医療は地域の医務員に
求めることとする。
(iii) 入院が必要な場合は、OPCW 上級医務員又はその代理に即座に通知
されねばならない。
(iv) 被査察締約国に支援を求めることができる。適切な場合は、このよう
な支援は施設協定に従い提供される。
(v)
患者の医療的退去が必要な場合は、被査察締約国は可能な範囲内で、
すべての段階(患者の出国地点への移送を含む)で支援を行う。患者を
できるだけ早く適切な医療機関へ移送するために最大限の努力がなされ
ねばならない。
(vi) OPCW の健康及び安全関係職員が非 OPCW 職員に医療処置を施すこ
とは通常は OPCW の方針ではないが、現地において健康関係者がいな
い場合、又は非 OPCW 職員が査察関連活動により負傷した場合のよう
な緊急の状況下では、緊急の応急処置が施される。
(d)
化学災害と疑われるものの医療についての条約第 10 条による要請は、通
常は援助締約国の医療担当者により施される。査察団の健康及び安全関係職
員は、OPCW 事務局長からの別による指示がない限り、通常はこのような
医療は行わない。
5.4
医療記録及び事故/ 傷害報告
(a)
健康安全室は、関連する臨床結果、試験結果、又は監視結果を表示した上
での全従業員の危険物質に対する既知の暴露についての記録、及び雇用前の
又は定期的な健康診断についての記録を維持する。このような記録は、無期
化学兵器禁止条約法令集
限に保管される。これらの記録に関係する事項が、標準化された書式におい
て要約され、各査察員のために被査察地点に持ち込まれねばならない。任務
移動中に生じる一般的な医療状況、又は職務上の疾病若しくは傷害の記録は、
従業者が処置を施された施設において保持されるとともに、要約した形式に
より OPCW に送達されねばならない。すべての医療記録は秘密である。
(b)
すべての場所における、任務中に傷害又は死を引き起こした又は引き起こ
しそうであった事故はすべて、上級安全職員に報告される。上級安全職員及
び関係職員の監督者により調査が実施される。報告及び調査の詳細について
は、OPCW 健康安全技術指針に記述されている。
5.5
空気清浄方針
全従業員は、禁煙の職場で働く権利を有する。OPCW は、能動及び受動喫煙
の健康への害を認識し、職員に喫煙を止めさせようとしている。OPCW は、職
員と協力して空気清浄方針を策定する。
5.6
職員規則の医療関連事項
(a)
職員の健康に対する損害が OPCW のために及び OPCW に代わって実施さ
れた活動が原因となっている場合に限り、医療障害者手当が OPCW により
設定されねばならない。障害の範囲は、適切な OPCW 承認の医療機関にお
ける検査により決定されねばならない。OPCW の任務遂行中に被った傷害
は、OPCW により補償されねばならない。
(b)
OPCW は査察員に対し、訓練期間の間、医療保険を提供しなければなら
ず、訓練を提供する締約国及びその国の保険会社又は国際的な保険会社と、
重大な疾病又は傷害が生じた場合の医療支援手順について合意しなければな
らない。
(c)
OPCW 健康安全綱領及び規則の規定を実施している際の健康安全室職員
の怠慢又は過失は、職務不適格と見なされねばならず、雇用終了に至ること
があり得る。
6.
健康安全訓練
6.1
序文
個々人の業務に関係する危険度評価/管理についての訓練及び教育に適切に注
意を払うことにより、各人が自分の安全に責任を持つことが可能となる。
6.2
責任
OPCW 健康安全綱領第 6.2 項に記述された健康及び安全訓練の責任に加え、
次の事項が適用される。
(a)
上級安全職員は従業員の直属の監督者と協議して、経験を基に、一般職及
び専門職の訓練に必要なものを確定し更新しなければならない。当該直属監
督者は健康安全室の長に対し、このような要件について助言を行う。
(b)
適当な訓練機関は、
すべての必要な安全訓練を調整し記録する責任を負う。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
6.3
新入従業員
すべての新入職員は、健康安全室から基本的な安全指導を受ける。
6.4 健康安全訓練の内容
健康安全訓練課程の時間割は、健康安全室と連携して適切な訓練機関により、
策定され、評価され、及び更新され、その詳細については OPCW 健康安全技術
指針に記述される。
7.
不適用及び免除
(a)
OPCW 健康安全綱領及び規則の不適用及び免除をすべて回避すること、
並びに OPCW 健康安全綱領及び規則を厳守することが OPCW の目標であ
る。
(b)
検証附属書第 2 部第 43 項を遵守するためにとられる標準的な OPCW 健
康安全規則及び健康安全技術指針からの変動は、OPCW 健康安全綱領に合
致しているため、不適用の状況とはならない。
(c)
不適用が要請されるという希な場合については、その手順は OPCW 健康
安全技術指針に記述されている。
7.1
不適用の要請
OPCW 健康安全綱領及び規則を遵守することが達成できない場合は、不適用
の要請が、健康安全室の長を通じて事務局長又は権限を有する職員に提出される
べきである。
7.2
不適用の許可
(a)
(b)
7.3
不適用は、事務局長又は権限を有する職員により許可され得る。
当初の不適用に対する変更が必要となる要素又は状況が確認された場合
は、修正の要請がなされ、この場合もまた事務局長又は権限を有する職員に
より許可されねばならない。
免除
免除の要請は、事務局長に提出される。
PC-XIII/B/WP.2 の第 3.2 項に含まれる解釈
「部会は、OPCW 健康安全規則案の第 4.2 項は、査察団の健康及び安全に関して
存在するかもしれない懸念を払拭するために必要となる合意された範囲内で検知及び
監視に基づいた入手可能な資料を提供するとの、被査察締約国の義務を侵害しないこ
とを認識した。OPCW 健康安全綱領案(PC-IX/B/WP.5)の第 5.2.2 項において言及
された検知及び監視が実施できない場合は、OPCW 健康安全綱領案の第 5.1.1 項に規
定されたように、これに代わる危険度評価の資料又は情報が被査察締約国により提供
化学兵器禁止条約法令集
される。」
化 学 兵 器 禁止条約法令集
23. 技術事務局
(条約第 8 条(D))
23.3
OPCW 財政通則及び財政規則案
C-I/DEC.3 及び OPCW-TS/DGB/1 OPCW 財政通則は、1997 年 5 月 14 日に
会議により、「 OPCW 財政通則」と題する会議決定 C-I/DEC.3 において採択され
た。財政通則第 16.2 項に従い、事務局長は財政規則案を用意した。この財政規
則案は、現在執行理事会により検討されている(1998 年 4 月 24 日付け
EC-IX/CRP.2)。執行理事会により未承認ではあるが、この規則案は、1997 年 11
月 27 日付け事務局長告示 OPCW TS/DGB/1 により、事務局により遵守されて
いるところである。この告示にある OPCW 財政通則と財政規則案を統合した一
式を以下に転載する:
化学兵器禁止機関の財政通則及び規則案[抄]
第 4 条 支出を行う権限
通則 4.12
条約の実施及び検証に関する附属書第 2 部第 26 項に従い、OPCW から授権さ
れて行われるところの、締約国が負担した費用の当該締約国への償還について、
事務局長はこれらの通則に従い、かつ、この通則の下で布告された財政規則にお
いて規定されるように、かかる償還を実施しなければならない。
規則 4.12.01. 締約国に対する償還
条約の実施及び検証に関する附属書第 2 部第 25 項及び第 26 項に従い、締約国は
必要となる便宜の提供に関して自らが負担した費用を償還されねばならない。締約国
への償還について、次の手続が適用されねばならない:
(a)
締約国が直接便宜又は便益を提供する場合は、事務局は当該締約国に対し当該
便益又は便宜の実費を償還しなければならない。しかしながら、確立された国際
連合の基準料金が存在する場合は(例えば、交通、宿泊、食事及びその他の便宜)、
償還金額は対応する国際連合の基準料金を超えてはならない。ただし、例外的な
場合であって事務局長の事前又は事後の許可を得た場合においてそのような便益
又は便宜が査察の実施に当たり必要不可欠なものであるときはこの限りでない。
締約国が単に便益又は便宜の手配を行うのみの場合は、査察団は事前の許可を得
ないで、確立された国際連合の基準料金を超える便益又は便宜を受けてはならな
い。
(b)
締約国に対する償還は、被査察締約国から査察団長に提出された便益の明細一
覧のみに基づいて実施されねばならない。査察団長は受理した便益一覧に署名を
行い日付を記入しなければならず、技術事務局のために写しを保持しなければな
らない。
化学兵器禁止条約法令集
(c)
便益費用の償還についての請求書は、査察団長が受理した際に署名した便益一
覧の原本に基づいて用意されねばならない。
[被査察締約国の施設又は区域が接受国の領域内に位置する場合は、接受国が
負担した費用の償還の要求は被査察締約国を通じて提出され支払われねばならな
い。ただし、接受国と被査察締約国が合意した場合はこの限りでない。
]
(d)
請求書は、支出の類型ごとに遺漏なく列挙されねばならず、現地通貨により用
意されねばならない。
もし現地通貨が交換不可能なら、請求書はオランダギルダー
立てで用意されねばならない。
(e)
査察団長が受理し署名した便益一覧の原本を付した請求書は、査察終了日から
60 日以内に償還のために締約国から技術事務局に提出されねばならない。
(f)
請求書は、正確性について検査され認証された後に、締約国からの受理後遅く
とも 30 日以内に技術事務局により支払われねばならない。
化 学 兵 器 禁止条約法令集
24. 科学諮問委員会
(第 8 条第 21項 (h)及び第 45項)
24.1
C-II/DEC.10
科学諮問委員会の付託事項
「科学諮問委員会」と題する 1997 年 12 月 5 日採択の会議決定
会議は、
会議が採択する付託事項に従って任命される独立した専門家で構成される科学諮問
委員会の設置に関する条約第 8 条第 21 項 (h)及び第 45 項を参照し、
第 1 回会議に向けた OPCW 準備委員会の最終報告書に、科学諮問委員会の付託事
項が未解決事項として挙げられたことを想起し(PC-XVI/37 の第 81 項)、
会議が採択した未解決事項の取扱い手順に従って、最初の間会期期間(会期と会期
の間の期間)において座長により実施された非公式協議の結果に留意し(1997 年 5
月 22 日付け C-I/DEC.70)
、
ここに:
1.
事務局長がその任務の遂行に当たり会議、執行理事会又は締約国に対してこの
条約に関連する科学及び技術の分野における専門的な助言を行うことができるよ
うにするために、科学諮問委員会を設置することを事務局長に指示する;
2.
次に添付した、科学諮問委員会の付託事項を採択する;及び
3.
1998 年から開始される OPCW の予算に、科学諮問委員会年次会合に関する旅
費及び日当に相当する適切な額が含まれるべきこと、並びに、それ以外の科学諮
問委員会会合については OPCW が費用を負担しないで開催されるべきことを決
定する。
附属書
科学諮問委員会の付託事項
序文
1.
締約国会議により指示されたとおり、並びに条約第 8 条第 21 項 (h)及び第 45
項に従い、事務局長は以下の科学諮問委員会付託事項により科学諮問委員会(以
下「委員会」)を設置しなければならない。
役割及び任務
2.
委員会の任務は、事務局長がその任務の遂行に当たり会議、執行理事会又は締
約国に対してこの条約に関連する科学及び技術の分野における専門的な助言を行
うことができるようにすることである。条約の規定に照らし、委員会の任務は次
の事項を含む:
(a)
条約に関連する科学及び技術の分野の進展について評定し事務局長に報告
化学兵器禁止条約法令集
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
(g)
する;
必要に応じ、条約第 15 条に基づき締約国により提案された化学物質に関
する附属書の変更について助言を行う;
次の第 9 項に従い暫定的に設置される作業部会の成果を調整する;
必要に応じ、技術事務局からの要請に応え、協力及び支援に係る技術的事
項の助言を含め、条約に関する科学的及び技術的助言を行う;
事務局長からの要請に応え、条約に基づく検証措置について技術事務局が
現在用いている手法又は提案された手法の科学的及び技術的利点を評定す
る;
第 8 条第 22 項に従い締約国会議が指示したときは、締約国会議が条約の
運用に係る検討を行う際にこれを支援するために、関連する科学及び技術の
進展を考慮して助言及び勧告を行う;
検証活動において使用され得る新技術及び新装置について評定し報告す
る。
構成
3.
4.
5.
6.
7.
委員会は、締約国により提出された候補者名簿のうち、締約国との協議を経て
事務局長により任命された 20 人の委員から構成される。委員は、個々人の独立
した専門能力に応じて務めることとする。
委員は、研究機関、大学、化学産業、国防・軍事機関等の機関において活躍す
る卓越した候補者群から、条約実施に関する特別な科学的分野における専門能力
を基礎として任命されねばならない。委員は、本専門分野に関するその出版物、
科学的、学術的又は職務上の活動、卓越性及び国際的経験を考慮に入れ、資質及
び経験を基礎として選定されねばならない。関連する科学的及び技術的発展につ
いての知識を豊富に有し、条約の実施に通じている人物に優先順位が与えられる
べきである。研究、開発及び実用の各面の間で均衡が維持されるべく努力が払わ
れねばならない。
各締約国は、委員会活動を行うことができ、かつ、委員会活動に相応しい資質
を有する 1 人以上の専門家を事務局長の元に派遣することができる。20 人の委
員は、締約国との協議を経た上で事務局長により任命される。この協議は、広範
な分野の科学的技術的専門知識の必要性を考慮に入れねばならず、指名に当たっ
ては地理的衡平性が期されねばならない。締約国国民のみが、委員を務める資格
を有する。
委員の任期は 3 年とする。委員は、二期連続で務めることができる。
事務局長は、締約国と協議の上、任期途中で何らかの理由で委員会の業務に参
加できなくなった委員の後任者を任命しなければならない。事務局長は、締約国
会議への年次報告書において、当該交替及び交替理由について報告しなければな
らない。
手続規則
8.
事務局長は執行理事会の通知後に、次を含む、委員会の組織及び職務について
の手続規則を定めねばならない:
化 学 兵 器 禁止条約法令集
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
下記第 13 項及び第 14 項に従った、会合の召集及び実施のための規則、並
びに会合の報告書、評定又は勧告の採択のための規則;
会合議長を委員から毎年選出するための規則;
秘密情報保護に関する規則;
委員が、個人の公平性又は公平性の発現に影響を与えるかもしれないいか
なる活動も事務局長に開示しなければならないことを確実にするための規
則;
技術事務局を通じての締約国との意思疎通に関する規則;
委員の解雇についての手続、及び当該解雇を適切に締約国会議に報告する
ための手続。
作業部会
9.
事務局長は委員と協議の上、条約第 8 条第 45 項に従い特別期間内に特別事項
について勧告を行うために、科学的専門家からなる暫定作業部会を設置すること
ができる。
10.
各作業部会は、事務局長の了解を得て委員会議長により当該目的のために指名
された委員が議長を務めなければならない。事務局長は、締約国から提供された
名簿から、又は委員会若しくは委員からの指名により、専門家を作業部会委員と
して任命することができる。締約国国民のみが、作業部会委員を務める資格を有
する。
11.
事務局長は議長と協議の上、執行理事会の通知後に、次を含む作業部会の組織
及び任務についての手続規則を定めなければならない:
(a)
会合の召集及び実施のための規則;
(b)
秘密情報保護に関する規則;
(c)
作業部会委員が、個人の公平性又は公平性の発現に影響を与えるかもしれ
ないいかなる活動も事務局長に開示しなければならないことを確実にするた
めの規則;
(d)
締約国、他の関連する国際機関及び科学団体とのすべての意思疎通、情報
共有及び協力が事務局長の了解の下になされることを確実にするための規
則。
技術事務局との関係
12.
事務局長は、技術事務局を通じて、委員会及び第 9 項に記載された暫定作業
部会の活動の準備、組織及び実施のための適切な支援を行わねばならない。
会合
13.
委員会は、前年における事務局長に対する貢献を含めたその活動を報告するた
めに、年次の締約国会議の直前の執行理事会会期の前に又は同執行理事会会期と
同時期に、事務局長の指定した時期及び場所(ハーグ)により毎年開催されねば
ならない。
14.
事務局長自身のために、又は執行理事会若しくは締約国会議の要請により、事
務局長は委員会議長と協議の上、委員会の特別会合をハーグで召集することがで
化学兵器禁止条約法令集
きる。
24.2
科学諮問委員会の手続規則
EC-XIII/2 の第 12.6 項及び EC-XIII/DG.2 条約第 8 条第 21 項 (h)及び第 45
項並びに会議決定 C-II/DEC.10 により、事務局長は 1998 年 7 月 22 日に科学諮
問委員会を設置した(S/62/98)。C-II/DEC.10 において会議により採択された
「科学諮問委員会付託事項」の第 8 項に従い、事務局長は、執行理事会の通知
後に科学諮問委員会及び科学者による暫定作業部会の組織及び任務についての手
続規則を策定することとされた。執行理事会は、1998 年 12 月 11 日に(EC-XIII/2
の第 12.6 項)、科学諮問委員会及び科学者による暫定作業部会の手続についての
以下の規則を付した事務局長覚書を受理した(1998 年 10 月 20 日付け
EC-XIII/DG.2)。
附属書[EC-XIII/DG.2 に対する]
科学諮問委員会及び科学者による暫定作業部会についての手続規則
前文
「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」
(以下「条
約」)第 8 条第 21 項 (h)及び第 45 項において科学諮問委員会の任務とされた事項を遂
行するために、科学諮問委員会が OPCW 事務局長により設置された。委員会の付託
事項は、締約国会議により採択された(1997 年 12 月 5 日付け C-II/DEC.10)。
特別期間内に特別事項について勧告するために、条約第 8 条第 45 項に従い、事務
局長は科学諮問委員会委員との協議の上、科学者による暫定作業部会を設置すること
ができる。
規則 1. 実施方法
科学諮問委員会
1.1
科学諮問委員会は、毎年その委員からの選出により全会一致で議長及び副議長
を任命しなければならない。
1.2
事務局長は、科学諮問委員会議長と協議の上、委員会の各委員に対し、可能な
限り前もって、しかし少なくとも会合開催日の 30 日前までに、その目的を述べ
つつ計画された会合、開催地、開催日及び会合期間(見込み)を通知しなければ
ならない。緊急会合が必要とされる場合には、事前通知の期間は短縮することが
できる。暫定議題(下記規則 1.4 参照)は、会合通知とともに伝達されねばなら
ない。当該通知は、文書により提示され適切な伝達手段で発送されねばならない。
1.3
科学諮問委員会会合はハーグの OPCW 本部において開催されねばならない。
1.4
科学諮問委員会の各会合の暫定議題は、OPCW 事務局長と協議の上委員会議
長により準備されねばならない。委員会は、議長により提出された暫定議題を基
化 学 兵 器 禁止条約法令集
に各会合の議題を採択しなければならない。暫定議題は、議題中の事項の延期、
削除又は修正により必要に応じ変更されてよい。
1.5
事務局長は、科学諮問委員会において議論されることを望む、委員会付託事項
に係るいかなる事項も議題に含めることができる。
暫定作業部会
1.6
暫定作業部会は、科学諮問委員会議長により当該目的のために任命され事務局
長により承認された委員がその議長を務めなければならない。
1.7
事務局長は、各暫定作業部会の議長に対し、次の事項を示した任務を伝達しな
ければならない。(a) 取り組むべき特別事項、及び (b) 作業部会が当該事項につ
いての報告を行うべき期限
1.8
暫定作業部会議長は、作業部会会合を召集することができる。この目的で議長
は、各委員に対し、少なくとも会合開催日の 15 日前までに、その目的を述べつ
つ計画された会合、開催地、開催日及び会合期間(見込み)を通知しなければな
らない。当該通知は、文書により提示され適切な伝達手段で発送されねばならな
い。
1.9
暫定作業部会会合は、通常はハーグの OPCW 本部において開催されねばなら
ない。
規則 2. 参観者
前もって事務局長からの文書による承認を得た場合を除き、参観者は、科学諮
問委員会会合にも暫定作業部会会合にも参加することはできない。参加するいか
なる参観者も、 OPCW が費用を負担しないで参加することとする。
規則 3. 事務局の支援
事務局長は技術事務局を通じ、科学諮問委員会の活動の準備、組織及び実施の
ための管理上の支援及び技術的支援を提供しなければならない。同様の支援は、
暫定作業部会に対しても提供されねばならない。
規則 4. 言語
4.1
科学諮問委員会の公用語は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア
語及びスペイン語とする。作業用言語は、英語とする。通訳は、要望に応じ技術
事務局の通訳者により提供される。
4.2
科学諮問委員会又は暫定作業部会のいかなる会合においても、同時に英語の文
書資料を配付するとの条件で、委員は公用語以外の言語で発表をすることができ
る。その場合、技術事務局の通訳者による公用語への通訳は、委員会又は暫定作
業部会の委員により提示された英語の資料に基づいて行われる。
規則 5. 意思疎通
5.1
科学諮問委員会委員による当該委員としての立場からの、又は暫定作業部会委
員による当該委員としての立場からの、締約国とのいかなる公式の意思疎通も、
OPCW 技術事務局を通じて行われねばならない。
化学兵器禁止条約法令集
5.2
いかなる公式の意思疎通も、上記規則に記載されたものを除き、事務局長の事
前承認を得なければならない。
規則 6. 報告
科学諮問委員会
6.1
科学諮問委員会は事務局長に対し、前年における貢献内容を含む年次活動報告
書を提出しなければならない。報告書は、同期間内の暫定作業部会の報告を含ま
ねばならない。科学諮問委員会報告書は、全会一致により採択されねばならない。
科学諮問委員会報告書の結論及び勧告は、全会一致過程により策定されねばなら
ない。もし結論及び勧告について全会一致が得られないならば、科学諮問委員会
報告書は適切に、いかなる少数意見にも触れねばならない。
暫定作業部会
6.2
事務局長からの委任による期限内に、上記規則 1.7 に従い、各暫定作業部会は
問題となっている事項についての検討結果及び分析についての報告書を科学諮問
委員会議長に提出し、その写しを事務局長に提出する。各暫定作業部会の報告書
は、科学諮問委員会において検討に付される。暫定作業部会報告書及び同報告書
に対する科学諮問委員会からの意見に基づき事務局長が行動をとることを可能な
らしめるために、当該検討から得られるいかなる意見も可能な限り速やかに事務
局長に提出される。いかなる暫定作業部会報告書も、無修正で科学諮問委員会の
年次報告書に添付されねばならない。
規則 7. 利害の対立
7.1
科学諮問委員会又は暫定作業部会の各委員は、個人の公平性又は公平性の発現
に影響を与え得る、自身に関係するいかなる活動も即座に事務局長に申告しなけ
ればならない。事務局長はその後、科学諮問委員会の他のすべての委員に当該申
告について知らせねばならない。その場合は、もし事務局長が適切と思うのであ
れば、当該委員は問題となる特別な活動を止めるか、科学諮問委員会又は暫定作
業部会に関する全活動への参加を中止するか、のいずれかが要求される。
7.2
もし科学諮問委員会又は暫定作業部会のある委員が、個人の公平性又は公平性
の発現に影響を与え得る、委員会又は作業部会の他の委員のいかなる活動をも認
知したならば、彼又は彼女は当該活動を事務局長に通報しなければならない。
規則 8 . 行動規範
8.1
この行動規範の目的は、科学諮問委員会及び暫定作業部会の委員の、個々人の
能力に応じて務める独立した専門家としての誠実性についての信頼を高めること
である。
8.2
すべての科学諮問委員会及び暫定作業部会の委員は、自身の義務を遂行する上
で、次の事項を守らねばならない:
(a)
公的義務を果たすとともに、私的事項については委員の誠実性、客観性及
び公平性についての公衆からの信頼及び信用が維持され向上されるような方
化 学 兵 器 禁止条約法令集
法で調整する;
(b)
科学的な諮問過程という最上の目的に対し誠実に行動する;
(c)
科学諮問委員会の特別会合又は暫定作業部会の会合への出席に係るすべて
の資金源について、毎年事務局長に開示する;
(d)
いかなる人物にも、またいかなる特定団体・企業にも、科学諮問委員会又
は暫定作業部会に関係するような公的方法で特恵的待遇を与えない。
規則 9. 秘密保護
9.1
9.2
9.3
9.4
9.5
上記規則 2 を侵害しないで、科学諮問委員会及び暫定作業部会の審議は、非
公開会合としなければならない。
科学諮問委員会及び暫定作業部会の委員は、条約秘密保護附属書及び OPCW
秘密保護綱領の規定により拘束されねばならず、
秘密文書を取り扱う時は、OPCW
秘密保護手続手順書を必要な変更を加えて適用しなければならない。
秘密情報が含まれると思われる科学諮問委員会及び暫定作業部会の会合につい
ては、事務局長は、自身が明確に承認した技術事務局職員からのみ支援を受ける
ことを確実にしなければならない。
科学諮問委員会及び暫定作業部会の委員は、ここに添付する書式を用いて事務
局長と個々に守秘契約を締結しなければならない。
これら規則は、OPCW 秘密保護綱領を侵害するような形で実施し解釈しては
ならない。
規則 10. 委員の解雇
事務局長は、秘密保護に違反した場合や、上記規則 8 に詳述された行動規範
を著しく侵害した場合は、当該科学諮問委員会委員を解雇することができる。解
雇する場合は、事務局長は、当該委員を含め委員会の全委員に対し文書により解
雇理由を伝達しなければならない。その後事務局長は、当該解雇を適切に締約国
会議に報告する。
規則 11. 規則の改正
科学諮問委員会は、本手続規則を改正するよう事務局長に勧告することができ
る。
添付資料
署名者 ........................................ と
化学兵器禁止機関事務局長 の間の
守秘契約
1.
私、署名者は、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関す
る条約(「条約」)の秘密保護附属書及び OPCW 秘密保護綱領を読み、理解した
ことを確認する。
化学兵器禁止条約法令集
2.
3.
4.
5.
OPCW 科学諮問委員会又は暫定作業部会への私の任命の条件として、私はこ
こに、OPCW 秘密保護綱領の規定及び精神に従うことを約束する。
任期中に科学諮問委員会委員又は暫定作業部会委員としての私に委任された業
務を誠実かつ良心的に遂行するとの義務に鑑み、私は更に、当該任期中において
次の事項を守ることを約束する:
−
私の業務を適切に遂行するため、OPCW 内外において OPCW 秘密情報の
いかなる利用も行わない;
−
OPCW 秘密保護綱領の下で、並びに同綱領を補佐する、秘密情報の保護、
取扱い、頒布及び公開に関する管理規程の下で確立された手続を尊重し遵守
する;
−
科学諮問委員会における私の委員としての地位又は暫定作業部会における
私の委員として地位によって得た情報を開示しない;及び
−
科学諮問委員会委員として又は暫定作業部会委員として得た情報につい
て、私自身若しくは第三者の利益に資する目的での無許可使用又はある者の
利益を害することになるかもしれない無許可使用を含め、いかなる無許可使
用も行わない。
前述を制限することなしに、私は、科学諮問委員会委員又は暫定作業部会委員
の任期終了後において、科学諮問委員会委員として又は暫定作業部会委員として
私の任期中に得た秘密情報のいかなる使用、開示又は頒布を行わないことを約束
するとともに、当該情報が開示又は利用され、その結果 OPCW、条約締約国又
は締約国の個人若しくは民間企業を害することにつながるかもしれないようない
かなる行動も行わないことを約束する。
私は、締約国会議において決定されたように、私の科学諮問委員会委員として
の又は暫定作業部会委員としての任期中又は任期後のこれらの規定及び約束の違
反により、条約締約国の司法権の下で、厳刑に処せられることになるかもしれな
い刑事訴追を受け又は損害賠償責任を負うことになるかもしれない民事訴訟を起
こされるかもしれないことを認知していることを確認する。
署名者
署名
日付
氏名
(条約公用語)でオランダ王国ハーグにて三通作成した。
............................................................................ .
OPCW を代表しての事務局長による保証及び受理
私は、以下のことを確認する。この署名入りの契約を受理したこと。OPCW 秘密
保護綱領及び OPCW 秘密保護手続手順書の署名者となること。科学諮問委員会委員
への又は暫定作業部会委員への任命を受諾することにより署名者が責任を負うことと
なる秘密保護に関する義務について署名者に説明したこと。署名者の科学諮問委員会
又は暫定作業部会の委員としての任期期間を通じて、OPCW 事務局が積極的に、秘
密保護綱領及び同綱領を補佐する管理規程の更新及び改正を含めた、秘密保護に関す
化 学 兵 器 禁止条約法令集
るすべての義務、綱領及び手続について、署名者の理解を増進し続けること。
署名
日付
氏名
証人:本契約の締結については、下記署名者が証人となる
署名
日付
氏名
確認:私の OPCW 科学諮問委員会委員又は暫定作業部会委員の任期又は連続任期
の満了時において、私は、秘密保護に係る義務が継続して未来永劫無期限に私に適用
されることを認識していることを確認する。
署名
日付
氏名
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