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田 中 孝 夫 - 鹿屋体育大学
スポーツパフォーマンス系 た 氏 名 なか たか お 田 中 孝 夫(教授) 専門分野 主な研究テーマ 水泳の4泳法のテクニックとトレーニング法についての 研究 平成18年度の研究内容 ありテストの結果からトレーニング記録を 2000mの全力泳記録を測定し、その記録 算出します。選手のタイプにより若干違い から持久力の向上を目的としたトレーニン があるものの多くの選手がテストの結果か グレベル:無酸素的作業閾値(アネロビッ ら算出したトレーニング記録を参考にし、 クシュレッショルド:有酸素性と無酸素性 トレーニングすることにより持久力の向上 の臨界点)を推測し、アネロビックシュ が図られているように感じられます。ま レッショルド(以下AT)レベルでトレーニ た、このトレーニング記録はあくまで一つ ングすることにより持久力の向上を図るこ の目安であり、トレーニング内容(距離、 とを目的としました。 休息時間)、体調等によって記録が変動す 測定方法は以下の通りです。 る場合もありますが、基本的にはテスト記 )2000mを自由形で全力で泳ぐ 録の向上とトレーニング記録の向上を図り ・前半とばしすぎて後半へばらないこと ながら持久力を高めて行くことが記録向上 ・前半遅すぎて、後半に力を残さないこと の一つの要因であると考えられます。な ・ラストの1 00∼200mだけスピードを上げ お、表1のT選手は平成17年度の200m個人 ないこと(一定のスピード泳ぐこと) メドレーのベストタイムは2分02秒88でし *2000m泳終了直後に心拍数を測定 表2 テスト2000m泳の100mの平均記録から 推 測 さ れ る100mと200mのATレ ベ ル の ト レーニング記録 +2000m泳終了3分後に血中乳酸を測定 表1 T選手の2000m泳の測定結果 測 定 日 測定記録 100mの平均 心拍数 乳酸値 /分 (mM/ml) 記録 100m 200m 記録 100m 200m 10 . 80 . 10 . 70 . 21 . 80 . 11 . 05 . 10 . 95 . 22 . 30 . 17年1月18日 21分36秒3 1分04秒8 167 45 . 10 . 85 . 10 . 75 . 21 . 90 . 11 . 10 . 11 . 00 . 22 . 40 . 18年1月17日 21分22秒0 1分04秒1 184 77 . 10 . 90 . 10 . 80 . 22 . 00 . 11 . 15 . 11 . 05 . 22 . 50 . 10 . 95 . 10 . 85 . 22 . 10 . 11 . 20 . 11 . 10 . 22 . 60 . テストの結果から推測されるトレーニン 11 . 00 . 10 . 90 . 22 . 20 . 11 . 25 . 11 . 15 . 22 . 70 . 記録....テスト2000m泳の100mの平均記録 100m、200m...ATレベルでトレーニングを行う場 合のトレーニング記録 グ記録 表2の記録は、私達の研究によるもので −10− 表3 第82回日本選手権水泳競技大会(平成18年4月) 男子200m個人メドレー 20 . 04 . 3 1位 女子200m自由形 20 . 22 . 2 4位 女子400m自由形 41 . 23 . 7 2位 女子400m自由形 41 . 82 . 6 7位 女子400m自由形 41 . 84 . 5 8位 女子800m自由形 83 . 67 . 4 2位 女子800m自由形 84 . 94 . 5 5位 女子1500m自由形 162 . 61 . 6 3位 女子1500m自由形 163 . 31 . 1 4位 女子100m背泳ぎ 10 . 23 . 1 4位 女子200m背泳ぎ 21 . 12 . 7 3位 表4 第82回日本学生選手権水泳競技大会(平成18年9月) 男子200m個人メドレー 20 . 09 . 8 1位 女子100m自由形 575 . 9 8位 女子200m自由形 20 . 27 . 5 3位 女子200m自由形 20 . 39 . 3 5位 女子400m自由形 41 . 58 . 8 1位 女子400m自由形 41 . 85 . 0 5位 女子400m自由形 42 . 09 . 2 6位 女子800m自由形 84 . 18 . 1 1位 女子800m自由形 85 . 61 . 6 7位 女子100m背泳ぎ 10 . 25 . 8 4位 女子200m背泳ぎ 21 . 09 . 1 2位 女子100mバタフライ 10 . 12 . 5 5位 女子200mバタフライ 21 . 42 . 9 7位 女子200m個人メドレー 21 . 89 . 2 7位 女子400m個人メドレー 45 . 38 . 1 6位 女子200mリレー 14 . 48 . 0 1位 女子400mリレー 34 . 95 . 7 1位 女子400mMリレー 41 . 18 . 8 3位 表5 第15回アジア競技大会(平成18年12月) 男子200m個人メドレー 20 . 10 . 3 2位 女子100m背泳ぎ 10 . 30 . 6 6位 女子200m背泳ぎ 21 . 25 . 5 3位 表6 第12回世界選手権水泳競技大会(平成19年3月) 男子200m個人メドレー 20 . 08 . 1 11位 女子400m自由形 40 . 51 . 9 3位(NR) 女子800m自由形 83 . 17 . 3 6位 女子1500m自由形 155 . 85 . 5 3位(NR) *NR.....日本新記録 たが平成18年度は、1分59秒81の日本新記 これからの研究の展望 録を樹立いたしました。 競泳競技における記録は、限界にあるど ころか年々向上する傾向にあります。その 平成18年度の研究成果 理由として、体力の向上、泳法・トレーニ 年に3回のテスト2 000m泳を実施し持久 ング法の改善が考えられます。体力の向上 力の向上を確認しながら、トレーニングを は筋力の強さ(パワー)と持久力はトレー 進めて参りました。その結果、平成18年度 ニングによって鍛錬することができます。 は4月の日本選手権大会、9月の日本学生 また、泳法・トレーニング法は年々改善 選手権大会、12月のアジア大会、19年3月 されて行くと考えられますが、科学的ト の世界選手権大会において、表3、表4、 レーニング時代において体育大学という特 表5、表6のような成績を残すことができ 徴を生かし、競泳競技の記録向上に役立つ ました。このことから、表2の記録は持久 ような研究を続けていきたいと思っており 力の向上を知るための目安となり得るもの ます。 であり、持久力に必要なトレーニングレベ ルを示唆するものであると考えております。 −11−