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こちら - 全国地質調査業協会連合会
平 成 22年 度 建 設 業 振 興 活 動 事 業 特 別 緊 急 支 援 助 成 事 業
『ジオパーク活動を通じた、地域づくりプロジェクトのモデル化事業』
委員会報告書
体験する
食べる
学ぶ
ジオのテーマ
安らぐ
観る
土産
泊る
平 成 23年 2月
(社)全国地質調査業協会連合会
ジ オ パ ー ク ( geopark)
ジ オ = 地 質 。 地 球 活 動 の 遺 産 を 主 な 見 所 と す る 自 然 の 中 の 公 園 。 ユ ネ ス コ の 支 援 で 2004年 に 設
立 さ れ た 世 界 ジ オ パ ー ク ネ ッ ト ワ ー ク に よ り 、 世 界 各 地 で 推 進 さ れ て い る 。 2010年 現 在 、 25カ 国 、
77地 域 か ら な る 。 日 本 で は 、 洞 爺 湖 有 珠 山 、 糸 魚 川 、 島 原 半 島 、 山 陰 海 岸 の 4 地 域 が 認 定 さ れ
ている。
本 報 告 書 は 、 全 地 連 の ホ ー ム ペ ー ジ ( http://www.zenchiren.or.jp) で 公 開 中 で す 。
表紙写真
引用ホームページ
http://www.nikkeibp.co.jp/style/secondstage/kaiteki/otoriyose_060117.html
発行にあたって
本事業の目的は,地質調査業者がその人材,ノウハウ,機材等を活用し,世界中から
ジ オ パ ー ク に 集 ま る 観 光 客( 以 下 ,「 ジ オ ツ ー リ ス ト 」と い う )に 対 応 す る た め ,地 質 調
査業と観光が連携したガイド産業の創出や情報インフラ・道路や遊歩道等の建設需要を
創出し,地質調査業と地域の元気回復を図るものであります。
ジオパークとは,世界的に貴重な地形や地質を持つ地質公園であり,ユネスコが推進
母体となって認定を実施しています。ジオパークの理念は,地質,地形,歴史,文化等
を保全し,観光や教育に活用して,持続可能な地域の発展を目指すもので,経済版世界
遺 産 と も 言 え ま す 。 こ れ ま で に 世 界 57 地 域 が 認 定 さ れ ま し た が , 日 本 で は 平 成 21 年 8
月 23 日 に 初 め て 3 地 域( 洞 爺 湖 有 珠 山( 北 海 道 ),糸 魚 川( 新 潟 県 ),島 原 半 島( 長 崎 県 ))
が 認 定 さ れ ま し た 。世 界 の ジ オ パ ー ク で は ,認 定 後 に 観 光 客 の 誘 致 に 成 功 し て い ま す( 中
国 の ジ オ パ ー ク で は 30% 増 )。 近 年 , 日 本 で も , ジ オ パ ー ク 認 定 に 向 け た 動 き が ま す ま
す活発化しています。
ジオパークの認定には,国内外からのジオツーリストたちの満足を得るために,地質
に関する専門知識に加え,地域の魅力を総合的かつ効果的に伝えることのできる「ジオ
パークガイド」の存在と,地質資源等を保護・活用する「持続可能な開発手法」が必須
(ユネスコの認定および更新基準に明記されている)となっています。すなわち,事業
を成功に導くには,専門的スキルが絶対的に不可欠であるということです。
地質調査業は,専門知識を持つ人材,ジオパークの開発や維持に必要な機材,ノウハ
ウを有しており,これら経営資源が活用可能で,当該分野への新規参入に非常に優位で
あります。例えば,保有する人材の例の1つとして,地質調査業界においては,地質調
査 技 士 資 格 保 有 者 を 12,000 人( 登 録 会 社 600 社 )有 し て い ま す 。そ の 反 面 ,昨 今 は 建 設
需要の低迷が著しく,有能な人材の雇用維持が困難な状況で,地域外への人口流出も問
題になっています。
現 在 ,NPO 法 人 地 質 情 報 整 備 ・ 活 用 機 構 は ,建 設 業 全 般 の 人 材 を 主 な 対 象 と し て「 ジ
オパークガイドの資格検定試験」の創設を進めています。この試みは非常に市場のニー
ズにマッチしたものであります。しかしながら,実際,建設業に従事しかつ,ジオパー
ク ガ イ ド の 資 格 検 定 試 験 に 合 格 し た 者 ( 以 下 ,「 ジ オ パ ー ク ガ イ ド 資 格 者 」 と い う ) が ,
地域でどのように活用されるかはまだ検証されておらず,その具体的な活用方法が求め
られていています。
以上のことから,本事業では,ジオパークガイド資格者の活用・評価,持続的な運営
を可能とする開発手法を検討し,地質調査業の観光分野進出と建設需要を喚起するモデ
ルづくりを目指しました。
本 委 員 会 の 成 果 は ,財 団 法 人 建 設 業 振 興 基 金 の「 平 成 2 2 年 度 建 設 業 振 興 活 動 事 業 特
別 緊 急 支 援 」の 助 成 を 受 け て 作 成 い た し ま し た 。全 地 連 会 員 企 業 の 皆 様 方 お よ び 関 係 機
i
関 等 に 報 告 書 と し て 配 布 す る こ と と し て お り ま す が ,地 質 調 査 業 者 に 限 ら ず ,様 々 な 分
野 の 方 々 に 参 画 い た だ け る 可 能 性 を 有 し た ジ オ パ ー ク の 活 動 に ご 理 解 を い た だ き ,新 し
い分野の開拓を検討する上で有効な資料としてご活用いただけるものと確信しており
ます。
最 後 に ,本 委 員 会 に 委 員 お よ び 幹 事 と し て ご 参 画 い た だ い た 以 下 の 皆 様 に 厚 く お 礼 申
し上げます。
ジオパーク・モデル化委員会 委員名簿
委員長
原口
強
公立大学法人大阪市立大学
委員
安島
博幸
立教大学
委員
天野
一男
国立大学法人茨城大学
観光学部
准教授
教授
教授,地域連携推進本部長
茨城県北ジオパーク推進協議会運営委員会委員長
委員
細見
暁彦
国土交通省
委員
神尾
重雄
NPO 法 人 地 質 情 報 整 備 ・ 活 用 機 構
委員
齊藤
清一
日本ジオパークネットワーク
委員
土井
祥子
財団法人日本ナショナルトラスト
委員
松原
典孝
兵庫県立大学
特任助教
総合政策局建設市場整備課
建設振興第二係長
理事
事務局:糸魚川市
事業課
自然・環境科学研究所
主任研究員
ジオ環境研究部門
山陰海岸ジオパーク推進協議会
研究員
委員
小野
忠嗣
株 式 会 社 JTB 首 都 圏
営業課
委員
古澤
明
株 式 会 社 JTB 首 都 圏
営業課
幹事
宮本
善和
( 社 )全 国 地 質 調 査 業 協 会 連 合 会
ジオパーク対応研究会委員
幹事
伊藤
太久
(社)全国地質調査業協会連合会
ジオパーク対応研究会委員
幹事
坂森
計則
(社)全国地質調査業協会連合会
情報化委員会
幹事
植田
純子
株式会社相愛
グループリーダー
委員
プロジェクトマネージャー
平成23年2月
(社)全国地質調査業協会連合会
会
ii
長
瀬
古
一
郎
「ジオパーク活動を通じた、地域づくりプロジェクトのモデル化事業」
報告書目次
1.事業の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.1 事業の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.2 事業の内容と成果について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.3 ジオパーク・モデル化委員会の開催と概要 ・・・・・・・・・・・・・
1
1
1
2
2.ジオパークガイド資格試験制度に関する調査・研究 ・・・・・・・・・・・・ 4
2.1 資格試験制度の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
2.2 ジオパーク資格試験制度の内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
2.3 実施と推進について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
3.ジオパークガイド資格者の試行的導入 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
3.1 モニターツアーの企画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
3.2 モニターツアーの評価・検証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
4.持続可能な開発手法の構築に向けて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4.1 茨城県ジオパーク構想の資源 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4.2 茨城県北ジオパーク構想のビジョン検討 ・・・・・・・・・・・・・・
4.3 外国人ジオツアーの活発化に向けたジオパークの整備 ・・・・・・・・
4.3.1 多言語によるジオツアー解説の充実 ・・・・・・・・・・・・・・
4.3.2 外国人ツアーの満足度の向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
4.3.3 外国人ジオツアーのプロモーション ・・・・・・・・・・・・・・
4.3.4 受入れ環境の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4.3.5 関係者の役割連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
54
55
64
69
71
74
78
82
85
5.世界のジオパークのホームページの現状について(日本におけるホーム
ページ構築に関する提案) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5.1 ジオパーク運営におけるホームページの位置づけ ・・・・・・・・・・
5.2 世界のジオパークのホームページの現状(概要) ・・・・・・・・・・
5.3 ホームページ製作要件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5.4 ホームページ製作技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5.5 先進事例調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5.6 日本のジオパークのホームページへの提案 ・・・・・・・・・・・・・
89
89
91
107
109
111
113
6.総括と今後の展望 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 117
参考資料
1)生物多様性に関する活動との連携について(㈱インターリスク総研) ・・・・ 119
2)
「GNO 携帯ジオ情報サイト」の機能と利用(㈱ジオネット・オンライン) ・・・・・・・ 122
添付資料(本資料は、全地連のホームページに掲載しております。
)
世界ジオパークのホームページ事例集
iii
<執筆担当者>
第1章 事務局
第2章 神尾 重雄(NPO 法人地質情報整備・活用機構 理事)
第3章 植田 純子(NPO 法人地質情報整備・活用機構 高知支部)
第4章 4.1~4.2
天野 一男(国立大学法人茨城大学 教授)
齊藤 清一(日本ジオパークネットワーク 事務局:糸魚川市)
松原 典孝(兵庫県立大学 自然・環境科学研究所 ジオ環境研究部門 特任助教
山陰海岸ジオパーク推進協議会 研究員)
伊藤 太久((社)全国地質調査業協会連合会 委員)
4.3
宮本 善和((社)全国地質調査業協会連合会 委員)
第5章 坂森 計則((社)全国地質調査業協会連合会 情報化委員会 委員)
第6章 原口
強(公立大学法人大阪市立大学 准教授)
iv
1.
事業の概要
1.1
事業の目的
( 社 )全 国 地 質 調 査 業 協 会 連 合 会( 以 下「 全 地 連 」と い う )で は ,平 成 14 年 4 月 に「 地
質 調 査 業 の 21 世 紀 ビ ジ ョ ン ~ 市 場 が 求 め る 産 業 シ ス テ ム の 構 築 を 目 指 し て ~ 」を 発 行 し ,
地質調査業の現状と今後の展開について分析するとともに,経営面や技術面からのさま
ざまな経営革新に資するシナリオを提示し,会員企業の参考に供してきた。
これ以降も,地質調査業を取り巻く市場環境はますます悪化の一途を辿っており,先
行き不透明な状態が続いている。全地連では,この数年,このビジョンで示唆されてい
る地質調査業としての展開可能な周辺分野や新規分野への参入について取り組んでいる。
具体的には,地質調査業が土壌・地下水汚染分野,防災・維持管理分野,情報分野等へ
展 開 す る 方 策 を 検 討 し ,一 部 の 分 野 に つ い て は 一 定 の 成 果 を 挙 げ る こ と が で き た 。ま た ,
従 来 業 務 に つ い て も ,地 質 調 査 業 の 果 た す べ き 領 域 は「 も っ と 拡 げ ら れ か つ 深 め ら れ る 」
と の 発 想 か ら , 平 成 16 年 7 月 に は ,「 地 質 調 査 業 を 効 率 的 に 実 施 す る た め の 10 の 提 案 」
を作成し,関係機関等に広く理解を求める活動を展開している。
そして,これらを検討する過程で議論されたのは,各企業のおかれている厳しい経営
環境を考えると,企業連携の方策や新分野開拓を図ることが有効な手段ではないかとい
う点であった。
こ の よ う な 状 況 を 踏 ま え ,平 成 17 年 度 に は ,報 告 書「 地 質 調 査 業 の 新 た な 展 開 と 企 業
間 連 携 」を と り ま と め ,会 員 企 業 へ 情 報 提 供 し ,周 知 を 図 っ て き た 。ま た ,平 成 18 年 度
には,全地連の技術委員会の下に設置した「地質リスクワーキング」の研究成果として
同年 6 月に発行した「地質に係わる事業リスク検討報告書」を有効に活用し,新分野進
出のためのより具体的なビジネスモデルの提言を行った。
こうした経緯を踏まえ,今年度は,全く新しい観点から「ジオパーク」に焦点を当て
た活動を行うこととした。
本事業は,ジオパークを通じた地質調査業および地域の活性化を目指し,ガイド資格
者の活用・評価,持続的な運営を可能とする開発手法を検討し,地質調査業の観光分野
進出と建設需要を喚起するモデルづくりを策定することを主な目的とした。
1.2
事業の内容と成果について
(1) 新 分 野 進 出 の た め の 具 体 的 な ビ ジ ネ ス モ デ ル の 提 言
a)
ジオパークガイド資格試験制度に関する調査・研究
NPO 地 質 情 報 整 備 ・ 活 用 機 構 が 進 め る 「 ジ オ パ ー ク ガ イ ド の 資 格 検 定 試 験 」 に 関 す
る勉強会を実施し,基本情報の習得と,知識の統一化,活用策について検討した。
b)
ジオパークガイド資格者の試行的導入とモニターツアーの実施と評価
① モ ニ タ ー ツ ア ー の 実 施:( 内 容 )モ デ ル 地 域( 茨 城 県 内 を 想 定 )を 選 定 し ,ジ オ パ ー
1
クガイド資格者が主体となって,ツアーメニューを作成して,モニターツアーを実
施した。モニターツアー後はモニターアンケート等を実施した。
②有効性評価
・ ジ オ パ ー ク ガ イ ド の 課 題 と 対 策 案 :( 内 容 ) モ ニ タ ー ア ン ケ ー ト の 結 果 か ら 課 題
を抽出して対策案を検討した。観光業界の専門家の視点を入れ,より客観性を持
たせた評価を行った。
・ ジ オ パ ー ク ガ イ ド 資 格 試 験 制 度 へ の 提 言 :( 内 容 ) ジ オ パ ー ク ガ イ ド 資 格 試 験 制
度 に 関 す る 改 善 点 等 を 取 り ま と め NPO 地 質 情 報 整 備 ・ 活 用 機 構 に 提 言 し た 。
・ ジ オ パ ー ク ガ イ ド の 格 付 , 報 酬 設 定 等 :( 内 容 ) 市 場 調 査 や モ ニ タ ー ア ン ケ ー ト
の結果から,ジオパークガイドの格付,報酬を設定,ビジネスとして成立するか
検討した。
・ 商 品 化 , プ ロ モ ー シ ョ ン の 検 討 等 :( 内 容 ) 企 画 ・ 商 品 化 , 販 路 開 拓 方 法 に つ い
て検討した。
(2)
前項を検討するための基礎資料収集と調査研究
(3)
持続可能な開発手法の構築に関する提言
モデル地域(茨城県を想定)において,ジオパークガイド資格者と,地元地質調査
業者,地域の観光関連事業者,地域住民,自治体の協働参画により,補助金等に頼ら
ない地元主体の運営方法を検証し,開発手法の構築に関する提言をまとめた。以下の
a)~ c)の 一 連 の プ ロ セ ス を 「 ジ オ パ ー ク マ ネ ジ メ ン ト 方 式 」 と し た 。
a)
地 域 資 源 の 洗 い 出 し :( 内 容 ) 地 元 地 質 調 査 業 者 , 地 域 の 観 光 関 連 業 者 , 地 域 住 民 ,
自 治 体 が 主 体 と な っ て , ユ ネ ス コ が 定 め る 評 価 基 準 ( 以 下 ,「 自 己 評 価 表 」 と い う ) に
基 づ き 自 己 評 価 を 行 い ,活 用 可 能 な 観 光 資 源 の 現 状( 質 と 量 )を 把 握 し た 。ジ オ パ ー ク
ガイド資格者には,自己評価の必要性や意味について解説した。
b)
ビ ジ ョ ン の 検 討 :( 内 容 ) 地 元 地 質 調 査 業 者 , 地 域 の 観 光 関 連 業 者 , 地 域 住 民 , 自 治
体 が 主 体 と な っ て , a)の 情 報 を 基 に 地 域 振 興 に つ い て 検 討 し た 。
c)
ジ オ パ ー ク 整 備 計 画 案 の 検 討 :( 内 容 ) 地 元 地 質 調 査 業 者 , 地 域 の 観 光 関 連 業 者 , 地
域 住 民 , 自 治 体 が 主 体 と な っ て b)に 基 づ く 短 期 ・ 中 期 ・ 長 期 の 基 本 計 画 を 検 討 し た 。
特 に 優 先 さ れ る 整 備 事 業 に つ い て は ,ジ オ パ ー ク ガ イ ド 資 格 者 と 地 元 地 質 調 査 業 者 が 主
体 と な っ て ,整 備 工 法 ,維 持 管 理 方 法 に つ い て 検 討 し た 。検 討 し た 案 は ,モ デ ル 地 域 の
ジオパーク推進協議会の意思決定機関や所轄する国や自治体に提案し,新たな建設需
要を喚起するために利用することとする。
(4)
以上の結果を取りまとめた報告書の作成とホームページにより公表した。
1.3
ジオパーク・モデル化委員会の開催と概要
本 事 業 を 実 施 す る た め に ,ジ オ パ ー ク・モ デ ル 化 委 員 会 を 設 置 し て 検 討 を 行 っ た 。本 委
2
員会の開催状況とその内容は,次のとおりである。
開催日
議
題
1.事 業 の 目 的 の 確 認 と 事 業 方 針 の 検 討
第 1回
平 成 22 年
9月 3日
2.作 業 日 程 及 び 作 業 分 担 の 検 討
3.事 業 内 容 の 検 討
4.そ の 他
1.ジ オ パ ー ク ガ イ ド 資 格 に つ い て
2.モ ニ タ ー ツ ア ー の 実 施 に つ い て
第 2回
平 成 22 年 11 月 18 日
3.全 体 報 告 書 の 概 略 目 次 ( 案 ) に つ い て
4.中 間 報 告 「 世 界 の ジ オ パ ー ク の ホ ー ム ペ ー ジ の 現 状 に
ついて
1.モ ニ タ ー ツ ア ー の 実 施 結 果 に つ い て
第 3回
平 成 23 年
2 月 28 日
2.全 体 報 告 書 の 取 り ま と め に つ い て
3.今 後 の 事 業 展 開 に つ い て
4.そ の 他
3
2.
ジオパークガイド資格試験制度に関する調査・研究
2.1
資格試験制度の概要
2.1.1
目的と方針
NPO 法 人 地 質 情 報 ・ 整 備 活 用 機 構 ( 以 下 「 GUPI」 と い う ) で は ,我 が 国 で の ジ オ パ
ー ク 構 想 が 立 ち 上 げ ら れ る 当 初 か ら ,地 質 調 査 業 に 係 わ る 人 材 活 用 の 観 点 か ら ジ オ パ
ー ク ガ イ ド の 重 要 性 を 認 識 し ,そ の 養 成 方 法 な ど に つ い て 調 査 ・ 研 究 を 進 め て き た 。
現 在 ,世 界 ジ オ パ ー ク へ の 認 定 が 国 内 で 4 箇 所 に な り ,同 時 に 日 本 ジ オ パ ー ク ネ ッ
ト ワ ー ク の 体 制 も 整 備 さ れ ,こ れ に 伴 い 各 ジ オ パ ー ク で の 個 別 ガ イ ド 養 成 も 実 施 さ れ
る よ う に な っ た 。 各 ジ オ パ ー ク で 進 め ら れ て い る ガ イ ド 養 成 の や り 方 を 見 る と ,ジ オ
パ ー ク 認 定 や そ の 準 備 に 伴 う 緊 急 的 な ニ ー ズ や 地 域 の 実 態 に 応 じ て ,そ の 養 成 機 関
や養成方法も様々である。
我 が 国 の ジ オ パ ー ク の 今 後 の 展 開 が 国 内 の ツ ー リ ズ ム の み な ら ず ,東 ア ジ ア な ど 海
外 か ら の ツ ー リ ズ ム へ の 対 応 が 課 題 に な る こ と は ,我 が 国 に 関 連 す る ツ ー リ ズ ム の 動
向 や 世 界 規 模 で 見 て も 変 動 帯 に 位 置 す る 我 が 国 の ジ オ パ ー ク の 特 性 か ら も ,読 み 取 る
ことが出来る。
こ こ で 紹 介 す る 資 格 試 験 制 度 は GUPI が 検 討 を 進 め て き た も の で ,個 別 の ジ オ パ ー
ク で 進 め ら れ て い る 当 該 ジ オ パ ー ク の 専 門 ガ イ ド 養 成 ( ご 当 地 ガ イ ド ) と は 別 に ,国
内外の複数のジオパークの総合的な案内が日本語と日本語以外の言語で行えるガイ
ドの養成を行うことを目的とするものである。
国内外の複数のジオパークの総合的な案内を外国語や日本語で行えるガイドを以
下 , 国 際 Geopark ガ イ ド ( 略 称 : 国 際 GP ガ イ ド ) と 言 う 。
こ の 資 格 試 験 制 度 の 対 象 者 は 外 国 人 ツ ー リ ス ト を ジ オ パ ー ク に 案 内 ,ガ イ ド 出 来 る
能 力 を 持 つ 者 で ,通 訳 案 内 士 の 通 訳 資 格 を 有 す る 者 や グ ッ ド ウ イ ル ガ イ ド あ る い は 海
外からの留学生などが対象と考えている。
ジ オ パ ー ク の 総 合 的 な 案 内 を お こ な う た め に は ,ガ イ ド が 以 下 の イ ) ,ロ ) ,ハ ) に
つ い て 単 に 解 説 を 行 う だ け で な く ,そ れ と 同 時 に 解 説 を “ 悠 久 の 時 間 の 中 で 育 ま れ た
大地の物語”として語れる語り手であることが要請される。
イ ) Geopark 地 域 の 地 形 や 地 質 と そ の 形 成 の 歴 史 の 解 説
ロ )Geopark 地 域 の 生 態 系 を 現 在 の 物 質 循 環 系 や 生 態 系 発 展 の 歴 史 の 観 点 か ら
解説
ハ ) Geopark 地 域 の 歴 史 や 伝 統 文 化 を 主 に 自 然 の 脅 威 と 恩 恵 ( 災 害 と 資 源 ) と
の関連から解説
ま た , 団 体 客 を 統 率 す る リ ー ダ ー シ ッ プ や 必 要 な 危 機 管 理 能 力 な ど も ,当 然 要 請 さ
れるものと考えられる。
次 に ,国 際 GP ガ イ ド と し て ど の よ う な ニ ー ズ が あ り う る の か を 検 討 し た 結 果 を 表
4
-2.1 に 示 す 。
表 -2.1
ツーリスト区分
海外ツーリスト等のガイドパターン
訪問地
案内者
海外
国内観光地+
国 際 GP ガ イ ド
一般
国 内 単 独 GP の 周
+GP ジ オ サ イ ト
ツーリスト
遊
ガイド
海外
共 通 テ ー マ( Ex.
国 際 GP ガ イ ド
ハイレベル
火山)を持った
* +GP ジ オ サ イ
ツーリスト
複 数 GP の 国 内 周
トガイド
想定されるニーズ
多数
比較的少数?
遊
海外
共 通 テ ー マ( Ex.
国 際 GP ガ イ ド
ハイレベル
付 加 体 )で ,ア ジ
*+国 内~ 海外
ツーリスト
ア の 複 数 GP 周 遊
GP ジ オ サ イ ト ガ
(海外~国内)
イド
ハイレベル海外
設定されたコー
学 会 担 当 者 +GP
専門家(国際学
ス 毎 に 単 独 GP
ジオサイトガイ
会等)
比較的少数?
少数?
ド
国内
共通テーマで海
国 際 GP ガ イ ド
ハイレベル
外 複 数 GP 周 遊
* +GP ジ オ サ イ
ツーリスト
比較的少数?
トガイド
国内
海 外 観 光 地 +海
国 際 GP ガ イ ド +
一般
外 GP
海 外 GP ジ オ サ
ツーリスト
多数?
イトガイド
(*印については上級コースをマスターすることが必要)
上 記 の よ う な 国 際 GP ガ イ ド 養 成 を 行 う た め に 以 下 の よ う な 方 針 を 取 り 入 れ て い る 。
ニ)ガイドとしての資質を判定するために資格試験を行う。
ホ)基礎的な知識を付与するために研修を実施する。
へ)関連分野に関する試験及び研修については他の関係機関が実施する制度も併せ
て利用する。
ト ) 国 際 GP ガ イ ド と し て の 更 に 高 い 知 識 や 知 見 を 付 与 す る 上 級 コ ー ス を 用 意 す る 。
チ )ジ オ パ ー ク 資 格 試 験 制 度 を 正 確 に 運 用 す る た め に 資 格 認 定 者 登 録 制 度 を 考 え る 。
2.1.2
(1)
資格試験制度の構成
研修と資格試験
5
研 修 と 資 格 試 験 は ツ ー リ ス ト に 対 す る 説 明 能 力 ,指 導 能 力 の 保 障 ,そ し て ジ オ パ ー
クガイドに必要な基本的知識付与を目的として行われる。
(2)
GUPI と 他 機 関 と の 役 割 分 担
GUPI は ,資 格 試 験 制 度 に つ い て 従 来 か ら 検 討 を 行 っ て き て お り ,そ の 内 容 に 詳 し い
こ と ,GUPI 会 員 に は 地 質 調 査 や 地 学 教 育 の 実 務 に 詳 し い 人 材 が 多 い こ と な ど か ら 制
度 設 計 の み な ら ず 試 験 や 研 修 の 実 施 に も 引 き 続 き か か わ る こ と が ,本 資 格 試 験 制 度
をスムーズに運営するためには望ましいと考えられる。
一 方 で は 国 際 GP ガ イ ド と し て 求 め ら れ る 分 野 は 広 く ,本 資 格 試 験 制 度 で は GUPI
が 直 接 実 施 す る 講 習 試 験 と 他 の 関 係 機 関 が 実 施 す る 講 習 や 試 験 か ら ,全 体 が 構 成 さ
れている。
GUPI の 担 当 分 野 と し て ,以 下 の イ ) お よ び ロ ) の a ),b )が 考 え ら れ る 。
イ ) ガ イ ド の 役 割 ( ツ ー リ ス ト に 対 す る 説 明 能 力 ,指 導 能 力 )
公 衆 の 面 前 で 説 明 す る な ど の ,ジ オ パ ー ク ガ イ ド に 必 要 な パ ー フ ォ ー マ ン ス 能
力 あ る い は ス キ ル 向 上 訓 練 に つ い て は OJT( 実 習 生 )で 実 施 す る か ,ガ イ ド 同 志 で
の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 訓 練 が 主 と な り ,資 格 試 験 制 度 で こ れ を 直 接 扱 う こ と は 困 難
と思われる。
し か し な が ら「 説 明 時 の 心 構 え 」な ど と し て 一 部 は ,講 習 や 試 験 で も 取 り 上 げ る
ことは可能と思われる。
内 容 : ジ オ パ ー ク ガ イ ド と し て 必 要 な 説 明 時 の 心 構 え な ど に つ い て ,出 題 す る 。
「心構え」に関する事例として以下のものがあると思われる。
○わかりやすい説明を心がける。しかしながらジオパークに関する基本的事項
の説明は必ず行う。
“ロック・グリーン・カフェの関連性について”その関係についての説明をど
の よ う に 行 う の か 課 題 。 自 分 が 感 動 出 来 な い よ う な 話 で は ,相 手 を 「 す ご い
ですねー」と感動させることはできない。
○ 説 明 版 に は ,最 低 限 の 専 門 用 語 を 書 か ざ る を 得 な い が ,( 質 問 を 受 け た 場 合 )
ガイドはさらにそれをかみ砕いて説明する能力が求められる。
○ そ の 現 象 の 規 模 な ど を 表 現 す る の に 身 振 り や 手 ぶ り も 交 え ,一 生 懸 命 説 明 す
ることも(相手に感動を与えるためには)有効である。
○ マ ニ ュ ア ル を 棒 読 み す る よ う な 説 明 は 勧 め ら れ な い 。常 に ,説 明 に 対 す る ツ ー
リストの反応を見ることも大事。
○ツーリストの反応を見て臨機応変に話題を変える。
(専門性の高いテーマある
い は ,ト リ ビ ア 的 な 話 題 に 切 り 替 え る な ど )
6
○団体行動を守れない者やジオパークでのルール(化石などの保全)に違反す
る者に対する注意についてマニュアルなどを整備しておく。
○異常気象時や崖地での行動についてのリーダーシップ
特 に 上 記 の 二 つ に つ い て は あ ら か じ め マ ニ ュ ア ル を 用 意 し ,事 前 説 明 を 行 う
と共に断固たる(自信ある)態度で指導する心構えを持つ。
○ 視 覚 障 害 ,聴 覚 障 害 ,車 い す 搭 乗 者 な ど 障 害 者 に 対 し ガ イ ド す る 時 ど の よ う
な 配 慮 が 必 要 か ,化 石 や 岩 石 資 料 を 手 に と っ て 触 っ て も ら う ,手 話 に よ る イ ン
ト ロ ダ ク シ ョ ン 部 分 の 説 明 ,車 い す で ア ク セ ス で き る 範 囲 で の 説 明 な ど 個 別
に対応を考えておく。
ロ)ジオパークガイドに必要な基本的知識
ジ オ パ ー ク ガ イ ド に 必 要 な 基 本 的 知 識 に つ い て は ,さ ら に 細 分 さ れ る 。
a )ジ オ パ ー ク の 紹 介
b )地 形 や 地 質 の 基 礎 知 識 に 関 す る 分 野
a)ジオパークの紹介
ⅰ )世 界 の ジ オ パ ー ク 紹 介
① ジ オ パ ー ク の 定 義 ,発 足 の 経 緯
以下の参考文献がある。
平野
勇( 平 成 20 年 ):ジ オ パ ー ク( 地 質 遺 産 の 活 用 ・オ ン サ イ ト ツ ー リ ズ ム に
よる地域づくり)オーム社
社 団 法 人 全 国 地 質 調 査 業 会 連 合 会 /特 定 非 営 利 活 動 法 人 地 質 情 報 整 備 ・ 活 用 機 構
共 編 ( 平 成 22 年 ): ジ オ パ ー ク ・ マ ネ ー ジ メ ン ト 入 門 オ ー ム 社
②世界のジオパークの特徴その1
世 界 ジ オ パ ー ク ネ ッ ト ワ ー ク ( 略 称 : GGN) へ の 日 本 国 内 の ジ オ パ ー ク の 加 入
状 況 な ど の 国 別 年 度 別 加 入 状 況 は GGN ホ ー ム ペ ー ジ な ど に 紹 介 さ れ て い る 。
以下の参考文献がある。
世 界 の ジ オ パ ー ク 編 集 委 員 会 /日 本 ジ オ パ ー ク ネ ッ ト ワ ー ク JGN 共 編 ( 平 成 22
年 ):
世 界 の ジ オ パ ー ク ( Global Geoparks) オ ー ム 社
③世界のジオパークの特徴その2(特徴的な地形・地質・化石)
こ れ に つ い て は 下 記 の 表 -2.2 に 参 考 と な る 文 献 等 を 掲 載 し た 。
7
表 -2.2
世界のジオパークの特徴と国内のジオパークの特徴の対比
GGN の HP 紹 介 例
Glacier Heritage
Petrified Woods
Karst
Dinosaur
同様な世界遺産で
世界ジオパーク
の事例
での事例
世界自然遺産の氷河
参 考 書「 世 界 の ジ
「 地 質 百 選 」幌 尻 岳 と
オ パ ー ク 」で 紹 介
七つ沼カールなど
世界自然遺産登録され
「世界のジオパ
「 地 質 百 選 」魚 津 埋 没
た国立公園の例
ーク」で紹介
林など
世界自然遺産登録
「世界のジオパ
「 地 質 百 選 」秋 吉 台 秋
ーク」で紹介
芳洞など
「世界のジオパ
「 地 質 百 選 」Ⅱ ふ く い
ーク」で紹介
恐竜渓谷等
「世界のジオパ
「 地 質 百 選 」等 洞 爺 湖
ーク」で紹介
有珠山など
「世界のジオパ
日本には存在しない。
ーク」で紹介
*
世界自然遺産登録
Volcano
世界自然遺産登録
Danxia Landform
世界自然遺産登録
日本での事例
* 日 本 に お け る 山 地 斜 面 の 地 形 は ,構 成 岩 盤 が 互 層 や 泥 岩 が 多 く ,そ れ ら の 岩 盤
クリープの発達と関連が深い。
参考文献)
社 団 法 人 全 国 地 質 調 査 業 協 会 連 合 会 /特 定 非 営 利 活 動 法 人 地 質 情 報 整 備 ・ 活 用 機 構
共 編 ( 平 成 19 年 ): 日 本 列 島 ジ オ サ イ ト
地質百選
オーム社
社 団 法 人 全 国 地 質 調 査 業 協 会 連 合 会 /特 定 非 営 利 活 動 法 人 地 質 情 報 整 備 ・ 活 用 機 構
共 編 ( 平 成 22 年 ): 日 本 列 島 ジ オ サ イ ト
地質百選Ⅱ
オーム社
ⅱ )日 本 の ジ オ パ ー ク ネ ッ ト ワ ー ク 紹 介 ( H23.02.14) 時 点
下 記 の 表 に 示 す 地 域 に つ い て は 世 界 の ジ オ パ ー ク ,地 質 百 選 ,地 質 百 選 Ⅱ ,日 本 の ジ
オパーク等の参考書に詳しく紹介されている。
表 -2.3
日 本 ジ オ パ ー ク ネ ッ ト ワ ー ク JGN 会 員 地 域 ( 14 地 域 )
地域名
JGN 認 定
GGN 認 定
ジオパークのテーマ
アポイ岳
H20.12.8
洞爺湖有珠山
H20.12.8
H21.8.22
火山災害
糸魚川
H20.12.8
H21.8.22
大 断 層 ,ヒ ス イ
南アルプス
H20.12.8
山陰海岸
H20.12.8
室戸
H20.12.8
超塩基性岩
大 断 層 ,付 加 体
H22.10.3
日本海形成の歴史
付 加 体 ,プ レ ー ト 境 界
8
島原半島
H20.12.8
恐竜渓谷ふくい勝山
H21.10.28
白 亜 紀 層 ,恐 竜 化 石
隠岐
H21.10.28
日本海形成の歴史
阿蘇
H21.10.28
カ ル デ ラ ,火 山
天草御所浦
H21.10.28
白亜紀層
白滝
H22.9.14
黒曜石遺跡
伊豆大島
H21.10.28
火山
霧島
H21.10.28
火山
表 -2.4
H21.8.22
火山災害
JGN 準 会 員 地 域 ( 10 地 域 )
地域名
地学的な特徴
男鹿半島・大潟
地 層 ,火 山 跡 ,潟 湖 ,油 田 跡
磐梯山
火山
茨城県北
変 成 岩 ,地 層
下仁田
ク リ ッ ぺ ,白 亜 紀 層
秩父
付 加 体 ,地 層 ,盆 地
銚子
白 亜 紀 層 ,岬 ,海 蝕 崖
箱根
火山
佐渡
地 層 ,金 山 跡 ,海 底 火 山 跡
白山手取川
山 体 崩 壊 ,白 亜 紀 層
仁 淀・四 国 カ ル ス ト
付 加 体 ,鍾 乳 洞 ,化 石
表 -2.5
オブザーバー参加地域(7 地域)
地域名
むつ市
八峰町
山梨市
静岡県
山陰・島根
四国
高知県
9
b)地形や地質の基礎知識に関する分野
下 記 に 関 す る 知 識 に つ い て は 高 校 地 学 の 教 科 書 ,地 質 百 選 ,地 質 百 選 Ⅱ
に紹介されている。
ⅰ)プレートテクトニックス
大 陸 と 海 洋 底 の 移 動 ( 大 陸 同 士 の 衝 突 ,海 溝 と サ ブ ダ ク シ ョ ン )
地 盤 や 地 殻 の 変 動 ( 地 震 ,活 断 層 ,山 脈 の 形 成 )
広域変成作用と変成岩の分類
ⅱ ) 火 山 の 分 布 ( 海 溝 - 島 弧 系 ,中 央 海 嶺 ,ホ ッ ト ス ポ ッ ト )
火 山 噴 火 の 形 式 ,噴 出 物 ,マ グ マ の 性 質 ,火 山 岩 の 分 類 ,深 成 岩 の 分 類
ⅲ ) 風 化 ,浸 食 ,堆 積
岩石の風化
物 理 的 風 化 ,化 学 的 風 化 の 起 き る 環 境 と 気 候 の 関 係
浸 食 運 搬 営 力 ( 降 水 ,河 川 ,風 )
浸食プロセスで形成される地形
( U 字 谷 ,V 字 谷 ,地 す べ り ,崩 壊 )
河 川 地 形 ( 扇 状 地 ,氾 濫 原 平 野 ,デ ル タ ,沿 岸 砂 州 ,ラ グ ー ン )
堆積と堆積岩の分類(埋没深度)
(3)
他の関係機関が実施する講習との連携
イ ) ガ イ ド の 役 割 ( ツ ー リ ス ト に 対 す る 説 明 能 力 ,指 導 能 力 )
ジオパークガイドに必要なパーフォーマンス能力をさらに向上するための
上級の研修コースとして
例 :( 独 ) 日 本 芸 術 文 化 振 興 会 国 立 能 楽 堂 部 の 実 施 す る
10 月 19 日 古 典 の 日 記 念
特別公開講座
国 立 能 楽 堂 11 月 特 別 講 演
1D
1D
ロ)ジオパークガイドに必要な基本的知識
a)歴 史 文 化 生 態 系 な ど 関 連 す る 分 野
例 :( 財 ) 自 然 保 護 協 会 の 実 施 す る 自 然 観 察 指 導 員 講 習 会 講 習
3D
b)ツ ア ー 一 行 の 安 全 確 保 に 関 す る 知 識 な ど
例:公 益 財 団 法 人 東 京 防 災 救 急 協 会 救 急 事 業 本 部 の 実 施 す る 応 急 手 当
講習会救命手当コース(普通救命)4H
(4)
GUPI に よ る 証 明 ・ 資 格 表 の 作 成 と 人 材 の 推 薦
イ ) GUPI が 直 接 実 施 す る 講 習 ・ 試 験 に つ い て の 受 講 終 了 ,試 験 合 格 は GUPI が
証 明 す る 。( 図 -2.1)
ま た 先 に 試 験 を 実 施 し ,適 任 者 を 選 抜 し た 上 で 資 格 認 定 を 行 う 方 式 ( 下 記 流
れ 図 -2.2 参 照 ) が あ り う る の で A 方 式 ,B 方 式 の ど ち ら か に つ い て は 更 に 検
10
討を行い適切な方式を決定するべきと考えられる。
ロ ) 他 の 関 係 機 関 が 実 施 す る 講 習 な ど を 受 講 す る 項 目 に つ い て は ,そ の 受 講 あ る
い は 合 格 証 明 書 類 ( あ る い は 写 し ) を GUPI に 提 出 す る こ と に よ り 資 格 を 当
人が証明する。
ハ ) GUPI は 全 体 の 資 格 群 の う ち ど の 資 格 を 当 人 が 保 有 し て い る か を 常 に 一 覧 表
等 と し て 整 理 し ,ジ オ ツ ア ー の 実 施 時 な ど 旅 行 会 社 等 の ガ イ ド 派 遣 要 請 に 対
し ,適 切 な 資 格 保 有 者 を ガ イ ド と し て 推 薦 し ,本 人 に も そ の こ と を 通 知 す る
( 図 -2.3 お よ び 表 -2.6 参 照 )。
ガイド資格者・留学生通訳資格者
GP ガ イ ド 研 修
検定
初級資格認定
試験
上級資格認定
図 -2.1
研修を先行実施する試験・研修の流れ(A 方式)
ガイド資格者・留学生通訳資格者
試験
合否判定
GP ガ イ ド 研 修
検定
資格認定
図 -2.2
試験を先行実施する試験・研修の流れ(B 方式)
11
旅行会社等から
資格認定者
登 録 制 度 に よ り GP ガ イ ド 登 録
ガイド派遣依頼
GP
履修研修項目、交通アクセスその他適性判定
本人通知と了解
旅行会社等への推薦
当 該 GP 等 で の ガ イ ド 業 務
図 -2.3
表 -2.6
資格認定からガイド業務実施までの流れ
資格認定者登録表(一例)
GUPI 実 施
他機関実施
上級研修
試験合格
研修終了
試験合格
研修終了
資格認定者 A
○
○
○
○
○
資格認定者 B
○
○
○
×
×
資格認定者 C
○
○
×
×
○
資格認定者 D
○
○
×
×
×
(5)
資格認定制度のフロー
図 -2.3 の 流 れ の 中 で 具 体 的 に 適 性 判 定 を 行 う 場 合 ,上 記 流 れ 図 -2.1 の A 方 式 で あ れ
ば ,研 修 を 実 施 し ,そ の 成 績 を 判 断 し た 上 で 検 定 を 行 い ,初 級 資 格 を ま ず 認 定 し ,そ の
後 試 験 を 行 い ,更 に 上 級 の 資 格 を 付 与 す る こ と が 出 来 る 。
た と え ば 海 外 ~ 国 内 を 通 じ た GP を 案 内 す る ケ ー ス な ど で は ,表 -2.6 に あ る A 氏 を 推
薦する。
12
2.2
ジオパーク資格試験制度の内容
2.2.1
試験科目と内容
試 験 準 備 や 採 点 な ど の 作 業 量 を 考 慮 し ,以 下 の よ う な 案 を 中 心 に 更 に 検 討 を 進 め る 。
(1) 出 題 の 様 式 と 試 験 時 間
問題は四つないし五つの回答案中から正解を選択する選択問題を基本とする。
(2) 試 験 科 目
イ ) ジ オ パ ー ク 理 念 ・ 組 織 ・ 目 標 に 関 す る も の ( 20 問 )
出題元文献
GGN 提 出 自 己 評 価 書 例 ( 英 文 )
ジオパーク(オンサイトツーリズムによる地域づくり)
ジオパーク・マネージメント入門
自 然 公 園 ( 法 ) や 国 立 公 園 ,世 界 遺 産 に 関 す る 文 献
ロ )“ ジ オ パ ー ク ガ イ ド の 心 構 え ” に 関 す る も の ( 20 問 )
出題元文献
テキストの新規作成?(代替可能なテキストは?)
ハ ) ジ オ サ イ ト 説 明 に 必 要 な 地 形 地 質 な ど の 基 礎 知 識 に 関 す る も の ( 40 問 )
出題元文献
日本列島ジオサイト地質百選
日本列島ジオサイト地質百選Ⅱ
世界のジオパーク
補 足 的 に ,高 校 地 学 テ キ ス ト お よ び 同 参 考 書 か ら 出 題
出題内容の細分類
a)日 本 お よ び 世 界 の 地 形 や 地 質 と そ の 形 成 の 歴 史
b)日 本 の 生 態 系 と 現 在 の 物 質 循 環 系 や 生 態 系 発 展 の 歴 史 と の 関 係
c)日 本 国 内 に お け る 自 然 の 脅 威 と 恩 恵 ( 災 害 と 資 源 ) と 地 域 の 歴 史 や 伝
統文化との関係
d)( 最 低 限 ) 必 要 な 専 門 用 語 の 日 本 語 - 外 国 語 対 比
ニ ) 個 別 ジ オ パ ー ク に 関 す る 知 識 ( 20 問 )
a)国 内 ジ オ パ ー ク ( JGN)
b)世 界 ジ オ パ ー ク ( GGN)
出題元文献
日本列島ジオサイト地質百選
日本列島ジオサイト地質百選Ⅱ
世界のジオパーク
13
(3)
出題者
GUPI お よ び そ の 関 係 者
一 部 に 関 し て は JGN お よ び JGC の 関 係 者 の 協 力 を 仰 ぐ
(4)
採点および合否判定
GUPI
2.2.2
(1)
研修項目と内容
カリキュラム
イ ) 研 修 時 間 : 12 時 間 3 日 間
これまでに実施されたご当地ガイドの研修時間を参考
ロ)テキストについて
ジオパーク(オンサイトツーリズムによる地域づくり)
ジオパーク・マネージメント入門
日本列島ジオサイト地質百選
日本列島ジオサイト地質百選Ⅱ
世界のジオパーク
ハ)選択科目と必修科目
a)試 験 科 目 に 係 わ る も の は す べ て 必 修 科 目
ⅰ)ジオパーク理念・組織・目標に関するもの
ⅱ)ジオパークガイド心構え
ⅲ)地形地質に関する基礎知識
ⅳ)個別ジオパーク
b )2.1.2( 3) ロ ) a),b )に 記 述 し た そ の 他 機 関 が 実 施 す る 研 修 科 目 は 必
修科目
ⅰ)応急手当講習会救命手当コース(普通救命)4H
ⅱ)自然観察指導員講習会講習
c) よ り 上 級 者 向 け の 研 修 選 択 科 目 と し て
ⅰ)能楽鑑賞(シテ方ワキ方の関係からガイドとは何かを学ぶ)
ⅱ)地球史
を候補とする。
(2)
講師
GUPI お よ び そ の 関 係 者
一 部 に 関 し て は JGN お よ び JGC の 関 係 者 の 協 力 を 仰 ぐ
14
2.3
実施と推進について
第 2 章 で は 国 際 GP ガ イ ド に 関 す る 試 験 資 格 制 度 の 骨 格 と な る 概 要 の み を 示 し た
が ,今 後 は ,全 国 地 質 調 査 業 協 会 連 合 会 ,地 質 学 会 ,JGN,JGC,観 光 学 会 な ど 関 連
学 会 等 の 協 力 を 求 め ,本 報 告 書 で 取 り 上 げ た 課 題 を さ ら に 詰 め る こ と が 望 ま れ る 。
ジ オ パ ー ク 事 業 の 進 展 に 合 わ せ ,今 後 の ス ケ ジ ュ ー ル と し て は H23 年 度 中 に 実 施
計 画 を 詰 め ,早 期 の 実 施 を 目 指 す べ き と 思 わ れ る 。
今 後 の 課 題 と し て は 資 格 制 度 の 確 立 と 共 に ,以 下 の 項 目 が 未 検 討 で あ り ,実 施 に 向
け ,更 な る 検 討 が 必 要 で あ る こ と が 挙 げ ら れ る 。
○ 国 際 GP ガ イ ド 資 格 の 受 講 希 望 に 関 す る ニ ー ズ 動 向 の 調 査
○研修や試験に要する費用の把握と研修費や受験料の決定
○ 講 師 ,試 験 監 督 員 ,事 務 手 続 き な ど に 必 要 な 人 員 の 確 保
○試験や研修での募集人員の決定および試験会場の決定
○ ガ イ ダ ン ス 用 の ポ ス タ ー や HP の 作 成
15
参 考 資 料( そ の 1 ) ジ オ パ ー ク ガ イ ド に 向 け ら れ る 可 能 性 の 高 い 基 本 的 な Q & A に つ い て
以下の質問に対しての回答を考えておく必要がある。また国内や国外のジオパークにつ
いてはその特徴を一言で表す表現をつかんでおく必要がある。
Q1:“ ジ オ ” と は 何 か ?
A1:
地 球 上 で 起 き る あ る い は 起 き た ,“ 大 地 が 主 人 公 の 三 つ の 物 語 ” を 学 ぶ
こ と 。 1)当 該 地 域 の 地 形 や 地 質 と そ の 形 成 史 ,2)該 地 域 の 生 態 系 と 現 在 の 地
域 の 物 質 循 環 系 や 生 態 系 発 展 の 歴 史 と の 関 連 ,3)自 然 の 脅 威 と 恩 恵 ( 災 害 と
資源)と地域の歴史や伝統文化の関連(ロック・グリーン・カフェ)
Q2:
ジオパークとは何か?
A2:
そ の 地 域 を 代 表 す る ,大 地 が 主 人 公 の 物 語 を 見 た り ( ジ オ サ イ ト ) ,聞
いたり(ツアーガイド)できる場所(公園)
Q3:
覚 え に く い 専 門 用 語 ,玄 武 岩 ,安 山 岩 ,花 崗 岩 を ど う 解 説 す る の か 。
A3:
岩石名などトリビア的な岩石名の由来など肩の凝らない説明から導入
( た と え ば ニ ュ ー ス テ ー ジ 新 訂 地 学 図 表 ,浜 島 書 店 ,p.13,2003 年 )
Q4:
大地の変動と人間や社会とのかかわり?
A4:
資 源 ( 開 発 ) ,災 害 ,観 光 ,生 活
資 源 供 給 : 金 属 ( 鉱 山 ) ,非 金 属 ( 鉱 山 ) ,水 ( 地 下 水 ,河 川 水 ,湖 沼 ) ,エ ネ
ル ギ ー ( 火 力 [炭 田 ,油 田 ],水 力 ,原 子 力 ,風 力 ,太 陽 光 )
土 地 利 用 と 地 形:森 林( 山 地 ~ 台 地 ~ 砂 州 ),農 地( 台 地 ~ 低 平 地 ),牧 場(( 火
山 山 麓 ,台 地 ),漁 場( 沿 岸:陸 水 に よ る 栄 養 塩 供 給 ,沖 合:深 層 海 洋 水 ,海 流 )
都 市 の 立 地 要 素 : 交 通 の 便 ,浸 水 リ ス ク ,環 境 ( 気 候 ,水 利 ,広 場 )
都 市 の 地 形 ( 扇 状 地 : 山 形 市 ,神 戸 市 ,札 幌 市
広 島 市 ,横 浜 市 ,川 崎 市 ,高 知 市 ,徳 島 市
河岸段丘:沼田市
デルタ:
台 地:さ い た ま 市 ,水 戸 市
砂 州( 陸
繋 島 ): 函 館 市 )
鉄 道 ,道 路 路 線 の 選 定
森 林 限 界 ,高 山 植 物 ,生 態 系 ,土 壌
災 害 の 発 生:地 震 ,火 山 ,洪 水 ,地 す べ り ,土 石 流 ,( そ の 後 の 疫 病 の 起 き や す い
環境)
Q5:
将来の地球の姿?
A5:
Q6:
温 暖 化 へ と 向 か う ? or 寒 冷 化 ?
人 口 の 増 大 ,エ ネ ル ギ ー の 確 保 ,ゴ ミ の 処 分
持続的発展
地 質 年 代 ( 代 era 紀 period 世 epoch 期 age) の 意 味
A6:
地 球 の 誕 生 以 降 ,マ ン ト ル 対 流 な ど 地 球 内 部 の 動 き ,大 陸 や 海 洋 底 の 移
動 ,気 候 や 大 気 組 成 の 変 動 ,進 化 や 大 量 絶 滅 な ど の 生 命 の 歴 史 を 理 解 す る た
めの時間スケール(天文や気象分野の時間スケールとの比較)
16
参 考 資 料 ( そ の 2 )「 地 球 史 」 に つ い て
選択科目として考えられる「地球史」に関する知識は特に海外のGPツアーをガイドす
る 場 合 は 必 要 ,国 内 に お い て も 上 級 の 資 格 と し て 考 え ら れ る 。
○
地球史
原 始 地 球 の 成 長 ( 半 径 750km→ 6500km)( 46 億 年 前 ) 冥 王 代 の 始 ま り
原 始 大 気 ( 水 蒸 気 ,二 酸 化 炭 素 ,窒 素 )
マグマの海と高圧水蒸気
ジ ャ イ ア ン ト イ ン パ ク ト と 月 の 分 離 ( 45.5 億 年 前 )
1)地球内部
原始地球の完成(地殻と海洋の形成)
マントルとコアの形成(固体コアの成長?)
マ ン ト ル 対 流 ( 2 層 ) → ( 地 磁 気 増 大 ) → 全 層 対 流 ( 25 億 年 前 ) 原 生 代 の 始
まり
プレートテクトニックス(地形あるいは大陸地殻)
ク レ ー タ ー 形 成 時 代 → 大 陸 地 殻 ( 40 億 年 前 ) 始 生 代 の 始 ま り
弧 状 列 島 ( 39 億 年 前 最 古 の 岩 石 ,片 麻 岩 ) → 小 大 陸 → 大 陸 の 形 成 ( 25 億 年
前 ) 原 生 代 の 始 ま り → 大 陸 の 分 裂 と 衝 突 ( 17 億 年 前 )
顕 生 代 ( 5.4 億 年 前 ) か ら の 大 陸 分 布 と 分 裂 ・ 移 動
5 億 年 前 オ ル ド ビ ス 紀 : 大 陸 ,海 洋 の 分 布
2.3 億 年 前 ト リ ア ス 紀 : パ ン ゲ ア 大 陸 と テ ー チ ス 海 ( 入 江 状 )
1.8 億 年 前 ジ ュ ラ 紀 : テ ー チ ス 海 沿 い に 海 溝 の 出 現 ,ロ ー ラ シ ア 大 陸 と ゴ ン
ドワナ大陸に分裂(南北アメリカの間に海嶺の出現)
ゴ ン ド ワ ナ 大 陸 → 南 ア メ リ カ ・ ア フ リ カ 接 合 大 陸 +イ ン ド 亜 大 陸 +オ ー ス ト
ラリア・南極接合大陸にさらに分裂
6500 万 年 前 白 亜 紀 末
ア フ リ カ と ユ ー ラ シ ア の 衝 突 ,ア フ リ カ と 南 ア メ リ
カ の 分 離 ,北 ア メ リ カ と ユ ー ラ シ ア の 分 離 の 進 行 ,イ ン ド 亜 大 陸 の 北 上
アフリカ大陸とマダガスカル島の分離
5000 万 年 前 古 第 三 紀:南 極 と オ ー ス ト ラ リ ア の 分 離 と オ ー ス ト ラ リ ア の 北
上 ,イ ン ド 亜 大 陸 の ユ ー ラ シ ア へ の 衝 突 ,南 北 ア メ リ カ の 西 進 ( 東 太 平 洋 海
嶺への乗り上げ)アフリカとユーラシアの衝突のうちアフリカ大地溝帯の
開 き ,ソ マ リ ア と ア ラ ビ ア 半 島 の 衝 突 ,紅 海 の 封 じ 込 め
2)海洋
原 始 海 洋 H 2 O,CO 2 → H 2 O,NaCl
BIF ( Fe 2 O 3 ) の 沈 殿 35 億 年 ~ 20 億 年 前
最 古 の 原 核 生 物 ( 化 学 合 成 細 菌 の 化 石 ) 35 億 年 前
炭酸塩の沈殿
17
塩分濃度急上昇 7 億年前
↑
岩 石 ( ケ イ 酸 塩 鉱 物 ) を 分 解 す る 化 学 的 風 化 ( 酸 素 濃 度 ,二 酸 化 炭 素 濃 度 )
3)大気
CO 2 ,N 2 → 酸 素 分 圧 上 昇 N 2 , O 2
酸 素 分 圧 の 急 上 昇 10 - 1 3 か ら 10 - 3 へ ( 25 億 年 前 )
光 合 成 生 物 ( ラ ン 藻 類 の 化 石 ス ト ロ マ ト ラ イ ト ) 出 現 ( 27 億 年 前 )
そ の 他 の 光 合 成 原 核 生 物 と し て ,緑 色 光 合 成 細 菌 ,紅 色 光 合 成 細 菌
赤 色 砂 岩 の 出 現 ( 21 億 年 前 ~ )
↑
大 陸 盆 地 ( 気 候 的 に 砂 漠 環 境 ) ,物 理 的 化 学 的 風 化 ,酸 素 濃 度
酸 素 分 圧 の 急 上 昇 10 - 2 か ら 10 - 1 へ ( 6 億 年 前 )
多 細 胞 生 物 の 出 現 ( エ デ ィ ア カ ラ 動 物 群 ,バ ー ジ ェ ス 頁 岩 中 化 石 )
オゾン層出現 4 億年前
生物の上陸(オゾンによる有害紫外線除去)
酸素分圧の変動と関連する生物の繁栄と衰亡
5)気候
氷 河 22 億 年 前 お よ び 7~ 5 億 年 前 ( 全 球 凍 結 )
第四紀の氷河の発達
6)生命
真 核 生 物 の 出 現 21 億 年 前 ( 真 核 生 物 の 化 石 )
真核生物と好気性細菌の共生→ミトコンドリア→動物
真核生物と好気性細菌の共生→ミトコンドリア出現→シアノバクテリア
の共生→葉緑体出現→植物
顕 生 代 ( 5.4 億 年 前 ) か ら の 生 命 の 歴 史
カンブリア紀の海生無脊椎動物の爆発的発展
大気中のオゾン層の形成と生物の上陸
植 物 の 上 陸 と 土 壌 の 形 成 ,森 林 限 界 の 前 進 と 植 物 の 進 化
大陸移動と環境や気候の変化そして生物の進化と興亡
古 生 代 末 ( 2.5 億 年 前 ) の 生 物 の 大 量 絶 滅 と 浅 海 酸 素 濃 度 低 下 イ ベ ン ト
隕石衝突と恐竜の絶滅
鳥類と恐竜の関係
哺乳類の発展
氷河時代と人類の進化
18
3.
ジオパークガイド資格者の試行的導入
3.1
モニターツアーの企画
3.1.1
モニターツアーの目的と方針
(1) 目 的
ジオパークにおける効果的なジオツアーの方法とツアーガイドの役割を明らかにす
る た め ,福 島 県 南 東 部 の い わ き 市 ア ン モ ナ イ ト セ ン タ ー お よ び 石 炭 化 石 館 ほ る る ,茨 城
県 北 部 の 北 茨 城 市 五 浦 海 岸 を 対 象 に モ ニ タ ー ツ ア ー を 実 施 し ,そ の 結 果 を 評 価 ・ 検 証 す
る 。特 に ,ジ オ ツ ア ー に 参 加 す る 観 光 客( 主 に 外 国 人 )が ,ど の よ う な ジ オ の 資 源 や 要 素 ,
組 み 合 わ せ ,体 験 に 感 応 す る の か を モ ニ タ ー ツ ア ー を 通 じ て 分 析 す る と と も に ,ツ ア ー
ガ イ ド に 必 要 な 知 識 ,ス キ ル ,役 割 等 に つ い て 分 析 す る 。 そ し て ,ジ オ ツ ア ー に 有 効 な 資
源 ,プ ロ グ ラ ム の ポ イ ン ト ,ジ オ ツ ア ー ガ イ ド の 資 格 制 度 の あ り 方 な ど を 検 討 す る 。
注 : 本 企 画 は ,福 島 県 の ジ オ サ イ ト を 含 む 常 磐 路 ジ オ ツ ア ー で あ り ,茨 城 県 北 ジ オ パ
ーク構想でのジオツアーの評価とは全く関係ないものである。
3.1.2
モニターツアーの企画
(1) 開 催 概 要
開 催 日 : 平 成 23 年 1 月 29 日 ( 土 ) ~ 平 成 23 年 1 月 30 日 ( 日 ) の 1 泊 2 日
場所:福島県南東部~茨城県北部
参 加 者 : モ ニ タ ー 9 人 ,そ の 他 関 係 者 19 人 ,合 計 28 人
企画名:琥珀とアンモナイトを求めてジオロジストと行く“ときわ路・ジオツアー”
移動手段:大型バス(バスガイド付き)
工程:下記旅程表(モデルコース)参照
地 図 : 下 記 と き わ 路 GUIDE MAP 参 照
(2) 作 業 仮 説
a) 観 光 客 は 地 域 の ジ オ ツ ア ー に 潜 在 ニ ー ズ を 持 つ
b) 観 光 客 は “ こ こ に し か な い ジ オ ” の 要 素 に 関 心 を 示 す
c) 観 光 客 の 関 心 は 多 様 で ,ジ オ に も 多 様 な 関 心 を 示 す
d) 観 光 客 は ジ オ と 自 然 ・ 風 土 の 組 み 合 わ せ に 関 心 を 示 す
e) ガ イ ド は ジ オ 資 源 に 対 す る 関 心 を 高 め ,理 解 を 促 す
3.1.3
評価・検証項目とその方法
① ア ン ケ ー ト ( 単 純 集 計 ,ク ロ ス 集 計 ,自 由 記 述 の 分 析 な ど )
② モ ニ タ ー の 行 動 ・ 反 応 観 察 ( 各 サ イ ト へ の 反 応 ,質 疑 応 答 の 状 況 ,メ モ や 撮 影 の 頻 度
など)
19
ご旅程表〔モデルコース〕
琥
珀
と
ア
ン
モ
ナ
イ
ト
を
求
JTB 首都圏池袋支店
め
て
支 店 長
取扱管理者
担 当 者
作 成 日
ジオロジストと行く“ときわ路・ジオツアー”
ご旅行先
五 浦 温 泉
旅行期間
日次
方面
史
彰
明
22 日
ご参加人数 20 名様
2011 年 1 月 29 日(土)~2011 年 1 月 30 日(日)
月日(曜)
門田見 岳
村 井 秀
古 澤
2010 年 10 月
1 泊 2 日 (旅館・ホテル 1 泊、船・車中〆泊)
行程
11:00 頃
水戸駅 ・・・・・・・・ 水戸 I.C ・・・・・ いわき四倉 I.C ・・
車中お弁当
1/29
1
(土)
15:00 頃
・・・・ いわき市アンモナイトセンター【ご見学】・・・・
13:00 頃
17:00 頃
・・・・・ いわき市石炭・化石館 ~ほるる~【ご見学】 ・・・・・ 旅 館
15:50 頃
17:40 頃
《宿泊地:五浦温泉・平潟温泉》
09:00 頃
旅 館 ・・・・ 天心記念館/六角堂【ご見学】 ・・・・ 五浦岬公園【ご散策】 ・・・
09:10 頃
1/30
2
(土)
11:00 頃
11:40 頃
・・・・ 天心記念五浦美術【ご見学】・・・・ 勿来の関【ご散策】 ・・・・
11:15 頃
〔常磐道〕
・・・ いわき勿来 I.C ・・・・・・・・ 日立南 I.C ・・・・・・ 水戸駅
車内にて軽食
13:00 頃
お疲れ様でした・・
≪宿泊のご案内≫
五浦温泉 『 五浦観光ホテル 別館 大観荘 』 1 泊 2 食/2 名 1 室利用
℡0293-46-1111
平潟温泉 『 篠はら 別館 』 1 泊 2 食/2 名 1 室利用
℡0293-46-1231
≪昼食のご案内≫
1 日目 : 車中お弁当
2 日目 : 車中軽食
<< ご確認事項>>
以下は、自己負担となります。
宿泊ホテル内の経費
・夕食時の飲物 ・部屋の冷蔵庫の飲み物等 ・電話代 等
20
21
3.2
モニターツアーの評価・検証
3.2.1
モニターの行動と反応
①いわき市アンモナイトセンター
・ 実 物 の ア ン モ ナ イ ト 化 石 の 存 在 ,大 き さ に 一 同 が 驚 嘆 し ,写 真 撮 影 を す る 姿 が み ら れ
た。
・白亜紀の含アンモナイト層をまるごと建物で覆った産出展示に関心が高かった。
・ 中 国 人 女 性 は ,中 国 の 自 貢 ジ オ パ ー ク の 博 物 館 と 似 て い る こ と を 聞 き さ ら に 関 心 を
高 め ,ま た ,今 度 は 子 供 を 連 れ て 来 た い と 言 っ て い た 。
・ 韓 国 人 の 子 供 は 「 石 」 に 興 味 が あ る ら し く ,ア ン モ ナ イ ト や 化 石 に 非 常 に 興 奮 し て
お り ,親 が そ の 子 供 の 行 動 を ア シ ス ト し て 見 学 し て い た 。
・ フ ラ ン ス 人 と イ ン ド 人 の 女 性 は 友 人 の よ う で あ り ,フ ラ ン ス 人 が 火 山 等 の 専 門 家 で
あ る た め ,主 婦 の イ ン ド 人 女 性 に 解 説 し な が ら 館 内 を じ っ く り と 観 察 し て い た 。
・ 館 内 に あ る ズ ー ム ア ッ プ カ メ ラ で 化 石 が あ る 斜 面 周 辺 を 観 察 す る 姿 や ,記 念 写 真 を
行う姿も見られた。
・ 化 石 発 掘 に 関 す る 解 説 は ,日 本 人 対 象 で 通 訳 ガ イ ド が 翻 訳 す る 時 間 も な か っ た た め ,
ほ と ん ど の 参 加 者 に 伝 え ら れ な い よ う で あ っ た 。 ま た ,座 学 の 解 説 は ,小 学 生 以 下 の
児 童 に は 厳 し い よ う で ,親 は 外 に 子 供 を 連 れ 出 し て い た 。
・ 化 石 発 掘 体 験 は か な り 寒 い 中 に も 関 わ ら ず ,ほ と ん ど の 参 加 者 が 熱 心 に 黙 々 と 発 掘
し て い た 。 化 石 発 掘 の よ う な 体 験 は 他 で は 経 験 で き な い こ と ,自 ら 体 を 動 か し て 化
石 を 採 集 で き る こ と ,化 石 が 持 ち 帰 り で き る こ と な ど が 作 用 し て い る よ う で あ る 。
・ た だ ,フ ラ ン ス 人 女 性 は ,使 用 す る ハ ン マ ー が 危 険 で 事 故 を 起 こ す 可 能 性 が あ る と 指
摘 し て い た 。 ま た ,韓 国 人 の 子 供 は 年 齢 制 限 で ハ ン マ ー を 使 用 す る こ と が 許 可 さ れ
ず ,親 子 で 離 れ た 場 所 で 遊 ぶ し か な か っ た 。 児 童 で も 何 ら か 体 験 で き る よ う な 工 夫
が欲しい。
・ ま た ,こ の 地 に な ぜ 化 石 が 多 産 す る の か ,周 辺 の ジ オ と ど の よ う な 関 係 が あ る の か な
ど の 解 説 が 十 分 に は 伝 わ っ て お ら ず ,単 な る 化 石 発 掘 体 験 に 終 わ っ て し ま っ た 感 が
ある。
白亜紀の巨大なアンモナイト
地層をまるごと建物で覆った産出展示
22
発掘体験前のルール説明
熱心に化石発掘をするアメリカ人男性
②いわき市石炭・化石館-ほるる-
・ 世 界 の 恐 竜 化 石 や 手 で 触 れ ら れ る 化 石 の 展 示 な ど ,館 内 の 展 示 内 容 は か な り 充 実 し ,
音 響 や 映 像 の 演 出 も 凝 っ て い る こ と か ら ,参 加 者 は ほ と ん ど 興 味 深 く 見 学 し て お り ,
写 真 撮 影 ,ビ デ オ 撮 影 を す る 姿 が 見 ら れ た 。
・ た だ ,館 の 日 本 人 学 芸 員 の 説 明 は 早 口 で 日 本 人 で も 聞 こ え づ ら い 上 ,通 訳 ガ イ ド に 翻
訳 の 時 間 が 与 え ら れ て お ら ず ,解 説 板 も 日 本 語 の み で あ っ た 。 英 語 版 の 簡 単 な ガ イ
ド ブ ッ ク は 配 布 さ れ た も の の あ ま り 役 立 っ て お ら ず ,参 加 者 に は 言 語 に 対 し て か な
りストレスがあったようである。
・ 世 界 の エ ネ ル ギ ー 事 情 を 紹 介 し た コ ー ナ ー に は ,多 く の 参 加 者 が 関 心 を 示 し た 。 自
分 の 出 身 国 と 日 本 ,各 国 の エ ネ ル ギ ー 事 情 が 比 較 で き る た め ,会 話 が 進 む よ う で あ
る 。 こ の よ う な 世 界 の 国 々 と の 対 比 や 比 較 な ど の コ ー ナ ー は ,外 国 人 ツ ア ー 客 の 関
心を高めるのに有効と考えられる。
・土 産 コ ー ナ ー は ,閉 館 時 間 が 迫 っ て い る 中 に も 関 わ ら ず ,か な り 人 気 で あ っ た 。た だ ,
各 々 が 関 心 を 示 す 対 象 は 多 様 で あ り ,例 え ば ,韓 国 人 の 親 子 は 恐 竜 の フ ィ ギ ュ ア や
関 連 グ ッ ズ に ,中 国 人 の 女 性 2 人 は 5,000 円 の 琥 珀 を 購 入 し ,フ ラ ン ス 人 や イ ン ド 人
女性は参考図書を品定めしていた。
・ま た ,店 員 に 人 気 の 土 産 を 聞 い た と こ ろ ,ア ン モ ナ イ ト の 化 石( 500 円 程 度 ~ ),琥 珀 ,
恐竜グッズなどであった。
充実した展示
手で触ることができる恐竜の糞の化石
23
ずらりと並ぶ日本語のみの解説版
臨場感ある模擬坑道
世界のエネルギー事情のパネルに興味を示すインド人女性
③五浦観光ホテル
・ 料 理 に つ い て は ,特 に ,北 茨 城 以 北 で 取 れ る 地 元 の 魚 メ ヒ カ リ の 唐 揚 げ に 感 激 し
ていた。
・ 若 女 将 の 英 語 の 解 説 に も 非 常 に 関 心 し て お り ,受 け 入 れ 側 の 言 語 対 応 も 重 要 な お
もてなしの一つと言える。
・ 露 天 風 呂 や 太 平 洋 か ら 昇 る 朝 日 に 感 銘 を 受 け て お り ,日 本 の 伝 統 様 式 や そ の 場 所
その瞬間にしか見られないものに対する関心が高いようである。
・食事の合間にもジオツアーに関する様々なアイデアが提案された。
・ 主 な ア イ デ ア は ,茨 城 空 港 を 利 用 す れ ば ,中 国 ・ 韓 国 か ら 人 を 呼 ぶ こ と が で き る 。
特に修学旅行をターゲットにすれば結構来るだろう。中国をターゲットにしたツ
ア ー は ,工 夫 が 必 要 だ が ,可 能 性 は か な り あ る 。 地 元 の 人 と の 交 流 も 考 え た 方 が
よ い 。 子 供 も 含 め た 家 族 連 れ で の 参 加 を し た の で ,子 供 向 け の プ ロ グ ラ ム も 工 夫
し て 欲 し い 。 東 京 在 住 の 外 国 人 は ,茨 城 県 の こ と は ほ と ん ど 知 ら ず 関 心 も な い の
で ,う ま く 宣 伝 す る こ と が 必 要 。
・食 事 に 参 加 し た 高 萩 ,北 茨 城 の 両 市 長 は ,茨 城 県 北 を ぜ ひ 国 際 的 に 宣 伝 し た い 。ジ オ
パ ー ク を 機 会 に ,国 際 的 な 交 流 が さ か ん に な れ ば ,県 北 地 域 も 元 気 に な る に 違 い な
い 。教 育 と い う 観 点 か ら も ジ オ パ ー ク に 期 待 し て い る 。と 意 気 込 み を 語 っ て い た 。
・ 旅 館 の 若 女 将 は ,ホ テ ル 周 辺 の 景 観 が ジ オ と 結 び つ い て い た な ん て 初 め て 知 っ た ,
と 驚 い て お り ,今 後 こ れ ら を う ま く 利 用 し て い き た い と 前 向 き で あ っ た 。
24
・ 食 事 と 温 泉 の 満 足 度 は か な り 高 い 様 子 で ,こ れ ら を う ま く ジ オ と 結 び 付 け る こ と
でジオツアーの魅力がますます高まると思われる。
五浦観光ホテルの外観
名物アンコウ鍋
若おかみと会話するアメリカ人男性
ジオパークを支援する地元市長らと一緒に夕食
④五浦海岸~岡倉天心記念館~六角堂
・ 断 崖 と 入 江 と 海 か ら 構 成 さ れ る 五 浦 海 岸 の 絶 景 や 六 角 堂 の 存 在 に は ,一 同 が 感 銘 し ,
写真やビデオを撮影する姿が見られた。このような自然がつくりだす造形への評価
は万国共通なのだろう。
・ 海 岸 に 漂 流 ゴ ミ が 多 く ,景 観 を 阻 害 し て い た 。
・ 茨 城 大 学 の 学 生 が ジ オ ガ イ ド と し て 地 質 の 成 り 立 ち に つ い て 解 説 し ,通 訳 ガ イ ド が
そ の 要 旨 を 翻 訳 し て 伝 え て お り ,参 加 者 も 一 定 の 理 解 が で き た よ う で あ る 。 た だ ,メ
タ ン ハ イ ド レ ー ド と 岩 と の 関 係 や ,ノ ジ ュ ー ル の 意 味 す る も の ,台 地 上 の 平 坦 な 地
形 と 断 崖 の 関 係 な ど の 詳 し い 解 説 に つ い て は ,部 分 的 で あ っ た こ と も あ り ,通 訳 ガ
イドが翻訳しきれていない部分があった。
・ 岡 倉 天 心 記 念 館 で は ,ボ ラ ン テ ィ ア ガ イ ド の 解 説 を 通 訳 ガ イ ド が 適 宜 翻 訳 し て 伝 え
て お り ,英 語 の 解 説 ガ イ ド ブ ッ ク も 配 布 さ れ た こ と も あ り ,一 同 流 れ に 沿 う よ う に
見学していた。
・ イ ン ド 人 の 女 性 は ,岡 倉 天 心 と 関 わ り が あ っ た 「 タ ゴ ー ル 」 と 「 プ リ ヤ ン 」 と い う
イ ン ド 人 と の つ な が り に 非 常 に 興 味 を 示 し て い た 。 特 に ,「 プ リ ヤ ン 」 と い う 名 は ,
自 ら の 名 前 の 一 部 で も あ る た め ,自 身 と の つ な が り を 発 見 し た こ と に 感 嘆 し て い た 。
25
観 察 対 象 の 中 に 自 ら の つ な が り を 発 見 す る 要 素 が あ る と ,そ の 関 心 は 飛 躍 的 に 高 ま
るのではないかと考えられる。
五浦海岸の絶景
海岸の漂流ゴミ
ジオガイドが図を使って地質を説明
韓国人女性の質問に通訳を介して回答するジオガイド
ジオガイドが六角堂周辺の岩と中国庭園、メタンハイドレートとの関係について説明
左:岡倉天心記念館前で英語のテキストを見るインド人女性と通訳
右:岡倉天心とインドとのつながりに興味を示すインド人女性
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⑤長浜海岸(鳴き砂海岸)~ケイソウ土~風船爆弾放流地跡
・ 海 岸 の 鳴 き 砂 の 解 説 に は 通 訳 ガ イ ド の 翻 訳 も あ り ,一 同 多 く の 関 心 を 示 し て い た 。
中 に は ,イ ン ド 人 女 性 の よ う に ,砂 を 手 に と っ て そ の 色 あ い ,石 英 の 存 在 な ど を 確 か
める姿も散見された。
・ ま た ,中 国 人 女 性 な ど は 鳴 き 砂 が 本 当 に 鳴 く の か を 足 で 確 か め て い た 。 流 れ の 流 入
部では流れがつくる砂鉄の黒い紋様を観察する姿も見られた。このような目の前の
砂 ,石 ,岩 な ど の ジ オ 的 な 解 説 と と も に ,実 物 を 手 に と っ て 確 か め る よ う な プ ロ グ ラ
ム は ,参 加 者 の 関 心 を 高 め ,理 解 を 深 め る た め に 有 効 で は な い か と 考 え ら れ る 。
・ ケ イ ソ ウ 土 の 解 説 に も ほ と ん ど が か な り 興 味 深 く 聞 き 入 る 姿 が 見 ら れ た 。 ま た ,珍
し い 石 の 色 ,形 ,軽 さ ,も ろ さ な ど を 手 に と っ て 興 味 深 く 観 察 し て い た 。 こ の よ う な
珍 し い 石 ,岩 な ど の 存 在 は ,楽 し く 学 ぶ 学 習 プ ロ グ ラ ム を 開 発 す る こ と で ,ツ ア ー 客
を引き付ける要素となりうると考えられる。
・ 風 船 爆 弾 の 解 説 で は ,ア メ リ カ 人 男 性 が 「 こ の 地 と サ ン フ ラ ン シ ス コ は と て も 近 い ,
なぜならジェット気流が流れているから」とそのつながりに感慨深く話していた。
こ れ も ,訪 問 地 と 参 加 者 の 出 身 国 と の つ な が り を 発 見 し た こ と に あ た る 。
砂を手に取るインド人女性
砂鉄の黒い模様
ケイソウ土を手に取って興味深く観察
するフランス人女性とアメリカ人男性
もろいケイソウ土
風船爆弾放流地跡の
碑前で解説するガイド
⑥勿来の関
・ 勿 来 の 関 に つ い て は ,バ ス ガ イ ド に よ る 解 説 が あ り ,通 訳 ガ イ ド が 解 説 し て 伝 え て い
27
た が ,参 加 者 の 関 心 は 一 様 に 低 い よ う で あ っ た 。
・「 関 」 と は 何 な の か ? そ れ が な ぜ 観 光 ス ポ ッ ト な の か ? ジ オ と ど の よ う な つ な が り
があるのか? などの情報が不足していたことも関心の低さに影響したと考えられ
る。
関心が低くまとまりのない状態
勿来の関公園内の平安時代の寝殿造「吹風殿」
⑦その他
・モニターと通訳者は最初から積極的にコミュニケーションを取っていた。
・ 国 籍 の 異 な る モ ニ タ ー 同 士 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に つ い て は ,ア メ リ カ 人 男 性 と フ
ラ ン ス 人 女 性 は 英 語 で コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 取 っ て い た が ,そ の 他 の 人 は ,共 通 言
語 が 無 い た め か ,あ ま り 活 発 で は な か っ た 。
・ 質 疑 応 答 は 各 サ イ ト で 見 受 け ら れ た が ,バ ス の 車 内 で は 無 か っ た 。
・中国では冷たい食事やお弁当を食べる習慣がなく好まれないようである。
左:バスの車内でジオパークのパンフレットを見ながら説明を聞く様子
右:バスの車内で配られた冷たい弁当に少々がっかりする中国人女性
28
3.2.2
アンケート・ヒアリングの整理
(1) 属 性
『 年 齢 別 』 で は ,20 代 ~ 30 代 が 全 体 の 6 人 と 比 較 的 多 く ,『 性 別 』 で は ,「 女 性 」 が
男 性 よ り 5 人 多 い 。『 国 籍 別 』 で は ,「 中 国 」 が 3 人 ,「 韓 国 」 が 2 人 で ,そ の 他 は 1 人
で あ る 。『 所 在 地 別 』 で は ,「 茨 城 県 」 が 6 人 で 最 も 多 く ,そ の 他 は 「 東 京 都 」 と 「 千
葉 県 」 で あ る 。『 家 族 構 成 別 』 で は ,「 単 身 」 と 「 夫 婦 と 子 供 」 が そ れ ぞ れ 4 人 ,「 夫
婦 の み 」が 1 人 で ,そ の 他 の 区 分 に 該 当 す る 者 は い な い 。『 職 業 別 』で は ,「 学 生 」が 3
人 ,「 自 営 業 」 が 2 人 と 続 く 。
年齢別
性別
区分
10代
20代
30代
40代
50代
60代
70代以上
合計
回答数(人)
0
3
3
1
1
1
0
9
国籍別
区分
男性
女性
合計
回答数(人)
2
7
9
所在地別
区分
中国
韓国
インド
フランス
アメリカ
日本
合計
回答数(人)
3
2
1
1
1
1
9
職業別
区分
茨城県
東京都
千葉県
合計
回答数(人)
6
2
1
9
家族構成別
区分
学生
自営業 公務員・団体職員
専業主婦
その他
会社員
アルバイト
無職
無回答
合計
回答数(人)
3
2
1
1
1
0
0
0
1
9
区分
回答数(人)
単身
4
夫婦のみ
1
夫婦と子供
4
夫婦と親
0
夫婦と子供と親の三世代
0
その他
0
合計
9
29
(2) 興 味 ・ 関 心
a) 趣 味 ( 複 数 回 答 )
「 旅 行 」が 1 位 で ,9 人 全 員 が 回 答 し て い る 。次 い で ,「 自 然 散 策 」と「 散 歩 ・ウ ォ
ーキング」が 6 人で 2 位となっている。その他の項目はいずれも 4 人以下でほとん
ど 差 は な く ,「 ゲ ー ム 」 と 「 特 に な い 」 は 0 人 で あ る 。
0
2
4
6
8
旅行
10( 人 )
9
自然観察
6
散歩・ウォーキング
美術
写真・カメラ
4
自転車
テレビ
菜園・農作業
映画・ビデオ鑑賞
3
屋外レジャー
登山・ハイキング
園芸・ガーデニング
ボランティア
コンピュータ
収集・コレクション
音楽
2
スポーツ
ペット
読書
自動車・バイク
料理・飲食
習い事
ゲーム
0
特にない
その他
b) 専 門 分 野 ・ 関 心 の あ る 分 野 ( 複 数 回 答 )
「 人 文 科 学 系 」 が 6 人 で 最 も 多 く ,次 い で ,「 自 然 科 学 系 」 が 4 人 で あ る 。 ま た ,詳
細 項 目 に つ い て は ,「 人 文 科 学 系 」 で は ,文 学 ,言 語 ,歴 史 ,教 育 ,メ デ ィ ア ,哲 学 ,人 間
科 学 ,芸 術 ,「 自 然 科 学 系 」で は ,生 物 ,地 学 ,数 学 ,工 学 が 選 択 さ れ て い る が ,大 き な 差
は見られない。
0
2
4
6
人文科学系
6
自然科学系
4
2
社会科学系
医学・医療・家政・体育系
8( 人 )
1
無回答
30
c) 旅 の 目 的 ( 複 数 回 答 )
「 観 光 地・景 勝 地 巡 り 」が 1 位 で ,9 人 全 員 が 回 答 し て い る 。次 い で ,「 町 並 み 散 策 」
と「自然散策」が 7 人で 2 位となっている。その他の項目はいずれも 4 人以下でほ
と ん ど 差 は な く ,「 グ ル メ ・ 食 べ 歩 き 」 は 0 人 で あ る 。
0
2
4
6
8
10( 人 )
観光地・景勝地巡り
9
町並み散策
7
自然散策
温泉・スパ
4
休息・保養
3
海・海水浴
登山・トレッキング
親族・友人の訪問
2
テーマパーク・遊園地
ショッピング
イベント・行事
キャンプ
1
ドライブ・ツーリング
その他
0
グルメ・食べ歩き
d) 旅 の ス タ イ ル ( 複 数 回 答 )
「 友 人 と の 旅 行 」が 5 人 で 最 も 多 く ,次 い で ,「 家 族・夫 婦 旅 行 」が 4 人 と 続 い て い
る が ,大 き な 差 は 見 ら れ な い 。
0
友人との旅行
家族・夫婦旅行
一人旅
団体旅行
職場・研修旅行
イベント等への参加
教育旅行(修学旅行など)
その他
2
4
6( 人 )
5
4
3
2
1
e) 地 質 や 地 形 に 関 す る 学 問 を 学 ん だ 経 験
「 あ る 」 が 4 人 ,「 な い 」 が 5 人 で あ る 。
31
ない
5人
ある
4人
f) 地 質 や 地 形 に 対 す る 関 心 度
『 関 心 が あ る 』( = 「 非 常 に 関 心 が あ る 」 + 「 や や
関 心 が あ る 」) が 7 人 で ,「 普 通 」 が 2 人 で あ る 。
≪理由≫
① 今 ,子 供 が 石 ・ 砂 ・ 海 な ど の 自 然 に 関 心 が 高 い か ら 。
( 30 代 女 性 ・ 韓 国 )
普通
2人
② 私 は 地 質 学 者 だ が ,一 般 の 人 た ち に と っ て も 面 白 い
非 常に関 心
が ある
2人
事 だ と 思 う 。( 20 代 女 性 ・ フ ラ ン ス )
③地質や地形は人々の生活と文化に大いに
関係がある。知識があればそのような観点
や や関心
が ある
5人
で地域を見たり考えたりすることができ,
自然災害等についても関心を持つことがで
き る 。( 60 代 女 性 ・ 日 本 )
知 ってい た
2人
g) 茨 城 県 北 ジ オ パ ー ク を 知 っ て い た か
「 知 っ て い た 」 が 2 人 ,「 知 ら な か っ た 」 が 7 人 で ,
知 らな
か った
7人
「知らなかった」と回答した人が多い。
h) 今 回 の ツ ア ー を 何 で 知 っ た か
「 知 人 か ら 誘 わ れ て 」 が 7 人 ,「 そ の 他 」 が 2 人 で ,
「 チ ラ シ 」「 新 聞 」 は 0 人 で あ る 。
そ の他
2人
i) 今 回 の ツ ア ー の 動 機 ( 複 数 回 答 )
「ツアーの内容に興味をもったから」が 7 人で
知 人から 誘
わ れて
7人
最 も 多 く ,そ の 他 の 項 目 は い ず れ も 3 人 以 下 で あ る 。
0
2
4
ツアーの内容に興味をもったから
3
1
以前からここに行ってみたかったから
その他
8
7
依頼されたから
料金が無料だったから
6
0
32
(3)サ イ ト 別 評 価
注 : 各 項 目 の 5 段 階 評 価 は ,「 ど ち ら で も な い 」 を 除 き ,下 記 の 『 』 の 2 指 標 に ま と
める。
【 サ イ ト へ の 「 関 心 度 」】
『 関 心 あ り 』( = 「 非 常 に 関 心 あ り 」 + 「 や や 関 心 あ り 」)
『 関 心 な し 』( = 「 全 く 関 心 な し 」 + 「 あ ま り 関 心 な し 」)
【 解 説 に 対 す る 「 理 解 度 」】
『 理 解 で き た 』( = 「 非 常 に 理 解 で き た 」 + 「 や や 理 解 で き た 」)
『 理 解 で き な か っ た 』( =「 全 く 理 解 で き な か っ た 」+「 あ ま り 理 解 で き な か
っ た 」)
【 提 供 さ れ た 情 報 の 「 満 足 度 」】
『 満 足 』( = 「 非 常 に 満 足 」 + 「 や や 満 足 」)
『 不 満 』( = 「 非 常 に 不 満 」 + 「 や や 不 満 」)
【 通 訳 に 対 す る 「 満 足 度 」】
『 満 足 』( = 「 非 常 に 満 足 」 + 「 や や 満 足 」)
『 不 満 』( = 「 非 常 に 不 満 」 + 「 や や 不 満 」)
a) い わ き 市 ア ン モ ナ イ ト セ ン タ ー
【 サ イ ト へ の 「 関 心 度 」】 は ,『 関 心 あ り 』 が 6 人 ,『 関 心 な し 』 が 1 人 。
【 解 説 に 対 す る 「 理 解 度 」】 は 『 理 解 で き た 』 が 5 人 ,『 理 解 で き な か っ た 』 が 1
人。
【 提 供 さ れ た 情 報 の 「 満 足 度 」】 は ,『 満 足 』 が 5 人 ,『 不 満 』 が 1 人 。
【 通 訳 に 対 す る 「 満 足 度 」】 は ,『 満 足 』 が 4 人 ,『 不 満 』 が 1 人 。
(単位:人)
あまり関心なし 1人
サイトへの「関心度」
どちらでもない 2人
やや関心あり 3人
非常に関心あり 3人
全く理解できなかった 1人
解説に対する「理解度」
非常に理解できた 1人
どちらでもない 3人
やや理解できた 4人
非常に不満 1人
提供された情報の「満足度」
非常に満足 1人
どちらでもない 3人
やや満足 4人
非常に不満 1人
通訳に対する「満足度」
どちらでもない 2人
やや満足 1人
非常に満足 3人
( ※ 通 訳 に 対 す る 「 満 足 度 」 の み N=7( 中 国 人 通 訳 1 人 と 日 本 人 1 人 除 く ))
33
≪興味を持った事項≫
① 化 石 発 掘 。( 30 代 女 性 ・ 韓 国 ,20 代 女 性 ・ イ ン ド )
② ア ン モ ナ イ ト 発 掘 が と て も 楽 し か っ た 。( 50 代 男 性 ・ ア メ リ カ )
③発掘体験初めてだったので楽しめた。実際に埋まっている巨大なアンモナイト化
石 に 感 動 し た 。( 60 代 女 性 ・ 日 本 )
≪要望≫
① 子 供 用 の 発 掘 用 具 ( お も ち ゃ で も よ い ) を 用 意 し た 方 が よ い 。( 30 代 女 性 ・ 韓 国 )
②小さな子供にとって発掘道具は危険すぎる。子供用のおもちゃのハンマー等があ
れ ば 家 族 で よ り 楽 し め た と 思 う 。( 30 代 男 性 ・ 韓 国 )
③ 英 語 の パ ネ ル や 情 報 が な か っ た の で ,私 が 地 質 学 者 と し て 友 達 に 解 説 し な け れ ば
ならなかった。センターのハンマーは容易に壊れる危険な物なので安全なタイプ
の物に交換すべき。私の同僚はそれが原因で大けがを負ったことがある。私は自
前の安全なハンマーを持っていたが使用できなかった。今のルールはばかげてい
る 。( 20 代 女 性 ・ フ ラ ン ス )
b) い わ き 市 石 炭 ・ 化 石 館 - ほ る る -
【 サ イ ト へ の 「 関 心 度 」】 は ,『 関 心 あ り 』 が 7 人 ,『 関 心 な し 』 が 1 人 。
【 解 説 に 対 す る 「 理 解 度 」】 は 『 理 解 で き た 』 が 5 人 ,『 理 解 で き な か っ た 』 が 2
人。
【 提 供 さ れ た 情 報 の 「 満 足 度 」】 は ,『 満 足 』 が 7 人 ,『 不 満 』 が 1 人 。
【 通 訳 に 対 す る 「 満 足 度 」】 は ,『 満 足 』 が 5 人 ,『 不 満 』 が 1 人 。
(単位:人)
あまり関心なし 1人
サイトへの「関心度」
やや関心あり 5人
非常に関心あり 2人
どちらでもない 1人
全く理解できなかった 1人
解説に対する「理解度」
非常に理解できた 1人
やや理解できた 4人
どちらでもない 2人
あまり理解できなかった1人
非常に不満 1人
提供された情報の「満足度」
やや満足 5人
非常に満足 2人
どちらでもない 1人
通訳に対する「満足度」
やや不満 1人
やや満足 2人
非常に満足 3人
どちらでもない 1人
( ※ 通 訳 に 対 す る 「 満 足 度 」 の み N=7( 中 国 人 通 訳 1 人 と 日 本 人 1 人 除 く ))
≪興味を持った事項≫
① 化 石 と 石 炭 の 観 覧 。( 30 代 女 性 ・ 韓 国 )
② 化 石 ミ ュ ー ジ ア ム ( 20 代 女 性 ・ イ ン ド )
34
③素晴らしい化石があった。化石や岩石に見て触れることができるのは地質学者だ
けでなく一般の人々にとっても素晴らしい経験になると思う。
( 20 代 女 性・フ ラ ン
ス)
④ 素 晴 ら し い ミ ュ ー ジ ア ム だ っ た 。( 50 代 男 性 ・ ア メ リ カ )
⑤いわき市周辺の産出化石とともに世界の化石も見ることができてよかった。町の
歴 史 で あ る 石 炭 産 業 に つ い て も よ く 展 示 さ れ て お り ,現 在 へ と つ な が っ て い る 様
子 が 分 か っ た 。( 60 代 女 性 ・ 日 本 )
≪要望≫
① 英 語 の 記 載 が 必 要 。( 20 代 女 性 ・ フ ラ ン ス )
c) 五 浦 観 光 ホ テ ル 別 館 大 観 荘
【 サ イ ト へ の 「 関 心 度 」】 は ,『 関 心 あ り 』 が 8 人 ,『 関 心 な し 』 が 1 人 。
【 解 説 に 対 す る 「 理 解 度 」】 は ,『 理 解 で き た 』 が 9 人 ,全 員 が 回 答 し て い る 。
【 提 供 さ れ た 情 報 の 「 満 足 度 」】 は ,『 満 足 』 が 9 人 ,全 員 が 回 答 し て い る 。
【 通 訳 に 対 す る 「 満 足 度 」】 は ,『 満 足 』 が 7 人 ,全 員 が 回 答 し て い る 。
(単位:人)
あまり関心なし 1人
サイトへの「関心度」
やや関心あり 5人
やや理解できた 7人
解説に対する「理解度」
提供された情報の「満足度」
通訳に対する「満足度」
非常に関心あり 3人
やや満足 4人
やや満足 2人
非常に理解できた 2人
非常に満足 5人
非常に満足 5人
( ※ 通 訳 に 対 す る 「 満 足 度 」 の み N=7( 中 国 人 通 訳 1 人 と 日 本 人 1 人 除 く ))
≪興味を持った事項≫
① 温 泉 ・ 夕 ご 飯 。( 30 代 女 性 ・ 韓 国 )
②一度も露天風呂に入ったことがなかったので大変興味深かった。両親が来たらも
う一度ここに来ようと思う。このホテルは日本の伝統的な精神を感じるのにとて
も い い 場 所 だ と 思 う 。こ の ホ テ ル や 周 辺 は 韓 国 の 人 々 の 間 で は 有 名 で は な い が ,茨
城 に 住 む 韓 国 人 に こ の 評 判 が 広 ま れ ば ,他 の 遠 く の 観 光 地 ま で 行 く こ と な く こ こ
に 来 る で し ょ う 。( 30 代 男 性 ・ 韓 国 )
③ ホ テ ル の 10 階 に 泊 れ て 露 天 風 呂 や 日 の 出 を 楽 し め て と て も 嬉 し か っ た 。( 20 代 女
性・インド)
35
④ 美 し い ロ ケ ー シ ョ ン ,素 晴 ら し い 食 事 と 温 泉 。( 50 代 男 性 ・ ア メ リ カ )
⑤ 温 泉 ・ 食 事 よ か っ た 。( 60 代 女 性 ・ 日 本 )
≪要望≫
① 冬 の 夜 に 露 天 風 呂 に 入 る の は 大 変 。( 30 代 女 性 ・ 韓 国 )
② ス タ ッ フ は 英 語 を よ り 話 そ う と 努 め て い た が ,英 語 の サ イ ン は 無 く ,日 本 語 の サ イ
ン さ え わ ず か だ っ た 。( 20 代 女 性 ・ フ ラ ン ス )
③宿の方からの食事の説明(品書き)は全くなかった。せっかく地の物が沢山出て
い た の で 自 慢 し な が ら ジ オ と の つ な が り な ど の 解 説 が あ る と よ か っ た 。参 加 者( モ
ニ タ ー )と の 交 流( 意 見 交 換 )が で き る 場 の 設 定 が あ る と も っ と よ か っ た と 思 う 。
( 60 代 女 性 ・ 日 本 )
d) 五 浦 地 域 の 散 策
【 サ イ ト へ の 「 関 心 度 」】 は ,『 関 心 あ り 』 が 8 人 ,『 関 心 な し 』 が 1 人 。
【 解 説 に 対 す る 「 理 解 度 」】 は 『 理 解 で き た 』 が 8 人 ,『 理 解 で き な か っ た 』 が 1 人 。
【 提 供 さ れ た 情 報 の 「 満 足 度 」】 は ,『 満 足 』 が 6 人 ,『 不 満 』 が 2 人 。
【 通 訳 に 対 す る 「 満 足 度 」】 は ,『 満 足 』 が 5 人 で ,『 不 満 』 が 0 人 。
(単位:人)
あまり関心なし 1人
サイトへの「関心度」
やや関心あり 4人
非常に関心あり 4人
非常に理解できた 1人
あまり理解できなかった1人
やや理解できた 7人
解説に対する「理解度」
どちらでもない 1人
提供された情報の「満足度」
やや不満 2人
通訳に対する「満足度」
どちらでもない 2人
やや満足 3人
やや満足 1人
非常に満足 3人
非常に満足 4人
( ※ 通 訳 に 対 す る「 満 足 度 」の み N=7( 中 国 人 通 訳 1 人 と 日 本 人 1 人 除 く ))
≪興味を持った事項≫
① 美 し い 景 色 ,色 々 な 場 所 へ 行 っ て 説 明 を 聞 く の が よ か っ た 。( 30 代 女 性 ・ 韓 国 )
②天心と地質の景観の関係に興味をもった。その関係性の説明も十分であった。穏
やかな環境の中を散歩するのが大変好きなので最高でした。ソウルの人ゴミから
抜 け 出 し て 旅 行 に 行 き た い 人 々 は ,松 や 盆 栽 ,自 然 ,洗 練 さ れ た 日 本 庭 園 を 見 な が
ら 散 歩 す る こ と が で き る 。( 30 代 男 性 ・ 韓 国 )
③ 海 辺 の 瞑 想 場 所 。( 20 代 女 性 ・ イ ン ド )
④ 全 て 。 特 に ビ ー チ の ロ ケ ー シ ョ ン と 天 心 ミ ュ ー ジ ア ム 。( 50 代 男 性 ・ ア メ リ カ )
36
⑤ 景 勝 地 で あ り 歴 史 的 建 造 物 等 も あ り 大 変 よ か っ た 。( 60 代 女 性 ・ 日 本 )
≪要望≫
①学術的説明だけでなく天心に関する面白い逸話等を交ぜるとよい。歴史的なイベ
ン ト の ガ イ ド も 推 奨 さ れ る と よ い 。( 30 代 男 性 ・ 韓 国 )
② 時 間 的 に 厳 し く も っ た い な か っ た 。( 60 代 女 性 ・ 日 本 )
e) 勿 来 の 関
【 サ イ ト へ の 「 関 心 度 」】 は ,『 関 心 あ り 』 が 1 人 ,『 関 心 な し 』 が 3 人 。
【 解 説 に 対 す る「 理 解 度 」】は『 理 解 で き た 』が 6 人 ,『 理 解 で き な か っ た 』が 0 人 。
【 提 供 さ れ た 情 報 の 「 満 足 度 」】 は ,『 満 足 』 が 4 人 ,『 不 満 』 が 2 人 。
【 通 訳 に 対 す る 「 満 足 度 」】 は ,『 満 足 』 が 5 人 で ,『 不 満 』 が 0 人 。
(単位:人)
サイトへの「関心度」
あまり関心なし 3人
どちらでもない 5人
非常に関心あり 1人
解説に対する「理解度」
提供された情報の「満足度」
どちらでもない 3人
やや不満 2人
やや理解できた 6人
どちらでもない 3人
やや満足 3人
非常に満足 1人
通訳に対する「満足度」
どちらでもない 2人
やや満足 2人
非常に満足 3人
( ※ 通 訳 に 対 す る「 満 足 度 」の み N=7( 中 国 人 通 訳 1 人 と 日 本 人 1 人 除 く ))
≪興味を持った事項≫
① 日 本 の 伝 統 的 景 観 の 中 で の 散 歩 。( 30 代 男 性 ・ 韓 国 )
② 東 北 地 方 と 関 東 地 方 の 間 に あ る チ ェ ッ ク ポ イ ン ト 。( 20 代 女 性 ・ イ ン ド )
③ と て も 美 し い 場 所 だ っ た 。( 20 代 女 性 ・ イ ン ド )
④ す ご く 素 敵 な 公 園 と き れ い な ロ ケ ー シ ョ ン 。( 50 代 男 性 ・ ア メ リ カ )
≪要望≫
① ジ オ ツ ア ー に は 他 の サ イ ト が よ い と 思 う 。( 30 代 女 性 ・ 韓 国 )
② 地 質 と 歴 史 の 関 係 に つ い て 説 明 が あ れ ば よ い 。( 30 代 男 性 ・ 韓 国 )
③ 旧 跡 を 訪 ね る 場 合 ,解 説 等 に 工 夫 が 必 要 。外 国 の 方 は あ ま り 興 味 が 持 て な か っ た と
思 う 。( 60 代 女 性 ・ 日 本 )
37
(4)項 目 別 評 価
a) サ イ ト へ の 「 関 心 度 」
『 関 心 あ り 』( =「 非 常 に 関 心 あ り 」+ 「 や や 関 心 あ り 」)の 回 答 人 数 が 多 い 順 に ,
1 位 【 五 浦 観 光 ホ テ ル 別 館 大 観 荘 】【 五 浦 地 域 の 散 策 】 8 人
2 位【いわき市石炭・化石館-ほるる-】7 人
3 位【いわき市アンモナイトセンター】6 人
4 位【勿来の関】1 人
4 位 の【 勿 来 の 関 】に つ い て は ,「 あ ま り 関 心 な し 」,「 ど ち ら で も な い 」の 人 数 が
他のサイトに比べて若干多い。
(単位:人)
いわき市アンモナイトセンター
1人
い わ き 市 石 炭 ・化 石 館 - ほ る る -
1人
五浦観光ホテル別館大観荘
1人
五浦地域の散策
1人
勿来の関
2人
3人
1人
3人
5人
2人
5人
3人
4人
4人
3人
5人
全く関心無し
あまり関心なし
どちらでもない
1人
やや関心あり
非常に関心あり
b) 解 説 に 対 す る 「 理 解 度 」
『 理 解 で き た 』( = 「 非 常 に 理 解 で き た 」+ 「 や や 理 解 で き た )の 回 答 人 数 が 多 い
順に,
1 位【五浦観光ホテル別館大観荘】9 人
2 位【五浦地域の散策】8 人
3 位【勿来の関】6 人
4 位 【 い わ き 市 ア ン モ ナ イ ト セ ン タ ー 】【 い わ き 市 石 炭 ・ 化 石 館 - ほ る る - 】 5 人
(単位:人)
いわき市アンモナイトセンター
1人
い わ き 市 石 炭 ・化 石 館 - ほ る る -
1人
3人
1人
2人
4人
1人
4人
1人
7人
五浦観光ホテル別館大観荘
1人
2人
7人
1人
五浦地域の散策
3人
6人
勿来の関
全く理解できなかった
38
あまり理解できなかった
どちらでもない
やや理解できた
非常に理解できた
c) 提 供 さ れ た 情 報 の 「 満 足 度 」
『 満 足 』( = 「 非 常 に 満 足 」 + 「 や や 満 足 」) の 回 答 人 数 が 多 い 順 に ,
1 位【五浦観光ホテル別館大観荘】9 人
2 位【いわき市石炭・化石館-ほるる-】7 人
3 位【五浦地域の散策】6 人
4 位【いわき市アンモナイトセンター】5 人
5 位【勿来の関】4 人
(単位:人)
いわき市アンモナイトセンター
1人
い わ き 市 石 炭 ・化 石 館 - ほ る る -
1人
3人
4人
1人
5人
五浦観光ホテル別館大観荘
2人
4人
五浦地域の散策
2人
勿来の関
2人
1人
5人
3人
3人
3人
非常に不満
やや不満
3人
どちらでもない
1人
やや満足
非常に満足
d) 通 訳 に 対 す る 「 満 足 度 」
( ※ 通 訳 に 対 す る 「 満 足 度 」 の み N=7( 中 国 人 通 訳 1 人 と 日 本 人 1 人 除 く ))
『 満 足 』( = 「 非 常 に 満 足 」 + 「 や や 満 足 」) の 回 答 人 数 が 多 い 順 に ,
1 位【五浦観光ホテル別館大観荘】7 人
2 位 【 い わ き 市 石 炭 ・ 化 石 館 - ほ る る - 】【 五 浦 地 域 の 散 策 】【 勿 来 の 関 】 5 人
3 位【いわき市アンモナイトセンター】4 人
(単位:人)
いわき市アンモナイトセンター
1人
い わ き 市 石 炭 ・化 石 館 - ほ る る -
1人
2人
1人
1人
五浦観光ホテル別館大観荘
2人
五浦地域の散策
2人
勿来の関
2人
3人
2人
3人
5人
1人
4人
2人
非常に不満
39
やや不満
どちらでもない
3人
やや満足
非常に満足
(5) ツ ア ー 全 体 の 評 価
a) 全 体 的 な 「 満 足 度 」
『満足』
( =「 非 常 に 満 足 」+「 や や 満 足 」)
と回答した人が 9 人全員である。
やや満足
5人
非常に満足
4人
b) 感 想
① ジ オ ツ ア ー の 内 容 と て も よ か っ た 。 特 に ,ア ン モ ナ イ ト セ ン タ ー で の 発 掘 体 験 は
と て も 面 白 か っ た 。色 々 な 化 石 を 発 見 す る た め に は 化 石 に つ い て 知 ら な く て は な
ら な い の で ,子 供 に と っ て い い 体 験 ・ 勉 強 に な る 。( 30 代 女 性 ・ 韓 国 )
② 両 親 と も う 一 度 来 た い 。 両 親 は 松 の あ る 景 観 を 散 歩 す る の が 好 き な の で ,日 本 の
風 景 や 文 化 を 楽 し ん で も ら い た い 。 特 に 素 晴 ら し い の は ,地 質 学 博 士 や 学 生 達 か
ら 知 識 を 得 ら れ た こ と 。自 然 に 対 す る 知 識 を 得 る の に 良 い 機 会 だ っ た 。
( 30 代 男
性・韓国)
③ 大 変 楽 し ん だ 。ジ オ パ ー ク 内 の 探 索 は よ い 経 験 に な っ た 。異 な る 国 の 人 達 と 会 え
て 素 晴 ら し い 経 験 だ っ た 。( 20 代 女 性 ・ イ ン ド )
④ と て も 楽 し ん だ 。ス タ ッ フ も 親 切 で 組 織 も 良 い 。地 質 学 者 は 岩 を 見 る の が 楽 し み
なので大変良かった。一般の人達にとっても興味深く素晴らしい体験だと思う。
( 20 代 女 性 ・ フ ラ ン ス )
⑤ 美 し い ロ ケ ー シ ョ ン と 素 晴 ら し い ス タ ッ フ で と て も よ か っ た 。充 実 し た 時 間 だ っ
た 。( 50 代 男 性 ・ ア メ リ カ )
⑥ 心 が こ も っ た お も て な し に は と て も 満 足 だ が ,内 容 と し て は や や 充 実 感 が 足 り な
い 。( 30 代 女 性 ・ 中 国 )
⑦ 素 晴 ら し い 経 験 だ っ た 。 地 質 学 者 と の ツ ア ー は よ い 試 み だ 。( 20 代 女 性 ・ 中 国 )
⑧ 概 ね 楽 し い ツ ア ー で あ っ た 。( 60 代 女 性 ・ 日 本 )
⑨ 上 海 空 港 - 茨 城 空 港 間 は 低 料 金 な の で ,中 国 か ら 訪 日 教 育 旅 行 を 受 け 入 れ と よ い
の で は な い か 。( 40 代 女 性 ・ 中 国 )
c) 改 善 点
① ツ ア ー の 対 象 年 齢 を 決 め る こ と が 必 要 。3 歳 の 子 供 が 順 序 や 規 則 を 守 り な が ら 博
物 館 を 観 覧 す る の は 難 し い 。 午 後 の 12~ 15 時 は お 昼 寝 の 時 間 だ か ら 大 人 の ス ケ
ジ ュ ー ル に 従 う の は 大 変 。( 30 代 女 性 ・ 韓 国 )
② 小 さ な 子 供 達 の た め の 準 備 が あ れ ば よ い 。( 30 代 男 性 ・ 韓 国 )
③ ミ ュ ー ジ ア ム 内 に 英 語 の 情 報 が あ る べ き 。ミ ュ ー ジ ア ム の 見 学 に も う 少 し 時 間 を
取 る べ き 。( 20 代 女 性 ・ イ ン ド )
40
④ 今 回 は 親 切 な 通 訳 が い た が ,通 常 は 通 訳 は い な い の で ,英 語 ,中 国 語 ,韓 国 語 な ど
の 多 言 語 情 報 が 必 要 。外 国 に 向 け て 発 展 さ せ る な ら 外 国 語 整 備 は 一 番 重 要 。ア ン
モ ナ イ ト セ ン タ ー の ハ ン マ ー を 交 換 し な け れ ば ,誰 か が 重 大 な ケ ガ を す る 可 能 性
が あ る 。( 20 代 女 性 ・ フ ラ ン ス )
⑤ ア ン モ ナ イ ト 発 掘 と 石 炭 ミ ュ ー ジ ア ム ,い わ き エ リ ア の 時 間 を も っ と 増 や し て 欲
し い 。 多 言 語 標 識 や 情 報 の 位 置 を 考 え る べ き 。( 50 代 男 性 ・ ア メ リ カ )
⑥ 中 国 客 に と っ て ,岡 倉 天 心 や 勿 来 の 関 は 魅 力 少 な い 。 海 は 綺 麗 だ が ゴ ミ が た く さ
ん あ り 殺 風 景 。地 質 を 切 り 口 と し た 解 説 は や や 分 か り に く い 。
( 30 代 女 性・中 国 )
⑦ タ イ ム メ ッ セ ー ジ ,英 語 の 翻 訳 が 必 要 。( 20 代 女 性 ・ 中 国 )
無 回答
1人
(6) 今 後 の 意 向
a) 類 似 の ジ オ ツ ア ー が あ れ ば 参 加 し た い
か『 参 加 し た い 』( =「 ぜ ひ 参 加 し た い 」+
ぜひ参加
し たい
3人
参 加した
く ない
1人
「 少 し 参 加 し た い 」) が 7 人 で ,『 参 加 し た
く な い 』( =「 参 加 し た く な い 」+「 あ ま り
参 加 し た く な い 」) が 1 人 で あ る 。
少 し参加
し たい
4人
b) 今 回 の ツ ア ー の 適 当 な 値 段( 交 通 費 含
む)回答人数が多い順に,
「 20,000 円 ~ 30,000 円 未 満 」 が 4 人 ,
無 回答
2人
「 10,000 円 ~ 20,000 円 未 満 」 が 2 人 ,
5,000円~
10,000円
未 満 1人
10,000円 ~
20,000円
未 満 2人
「 5,000 円 ~ 10,000 円 未 満 」 が 1 人 ,
で あ り ,「 2,000 円 未 満 」 ,「 2,000 円
~ 5,000 円 未 満 」,「 30,000 円 ~ 50,000
20,000円 ~
30,000円
未 満 4人
円 未 満 」 ,「 50,000 円 以 上 」 は 0 人 で
ある。
c) 今 回 の ツ ア ー ガ イ ド の 適 当 な 値 段
無 回答
2人
回答人数が多い順に,
「 5,000 円 ~ 10,000 円 未 満 」 が 4 人 ,
「 10,000 円 ~ 20,000 円 未 満 」 が 2 人 ,
「 20,000 円 ~ 30,000 円 未 満 」 が 1 人 ,
で あ り ,「 2,000 円 未 満 」 ,「 2,000 円 ~
5,000 円 未 満 」 ,「 30,000 円 ~ 50,000 円
未 満 」,「 50,000 円 以 上 」は 0 人 で あ る 。
41
20,000円 ~
30,000円
未 満 1人
10,000円 ~
20,000円
未 満 2人
5,000円~
10,000円
未 満 4人
d) ジ オ ツ ア ー の 案 内 の 入 手 方 法 と し て 適 切 と 思 わ れ る 情 報 媒 体 ( 複 数 回 答 )
「 旅 行 代 理 店 の チ ラ シ ,パ ン フ レ ッ ト 」 が 8 人 で 最 も 多 く ,次 い で ,「 イ ン タ ー ネ ッ
トサイト」が 5 人と続いている。
0
旅行代理店のチラシ、パンフレット
インターネットサイト
新聞広告
ポスター・広告
ツイッター
携帯メール
その他
無回答
2
4
6
5
8( 人 )
8
4
3
1
(7) 委 員 等 の 意 見
①細見委員
・ 外 国 人 観 光 客 が 日 本 の ジ オ パ ー ク に 求 め る も の は 何 か を 考 え ,コ ン セ プ ト ,ス ト ー リ
ー ,タ ー ゲ ッ ト を 決 め る こ と が 重 要 。
・ ジ オ ,歴 史 ,文 化 の つ な が り の 情 報 が 不 足 し て い る 。
・ 旅 行 は 「 流 れ 」 と 「 溜 ま り 」 を 作 る こ と 。 流 れ は 道 路 や 標 識 ,溜 ま り は 拠 点 と な る
場所や宿泊所。次も来たいと思う旅でなければいけない。
②神尾委員
・ジオのコンセプトの説明やストーリー性がほしい。テキストも必要ではないか。
・風船爆弾の重りに使用した五浦海岸の砂に特殊な鉱物が入っていたことからアメリ
カ 軍 が 攻 撃 地 を つ き と め た と い う 話 が あ り ,全 体 的 に も っ と ジ オ に こ だ わ っ た 説 明
をすることでより魅力が増すのではないか。
③齊藤委員
・全体的にジオの要素が不足している。
・ ケ イ ソ ウ 土 の 所 に つ い て は ,糸 魚 川 に は 無 い 資 源 で ,と て も 時 間 を 感 じ さ せ る よ い 場
所。地域のホスピタリティも感じられた。
・ ガ イ ド に つ い て は ,場 数 を 踏 む こ と が 重 要 。
・ケイソウ土の所は保護されていない。貴重な資源を破壊することは悪いことである
と認識させる必要がある。
・ 適 当 な 料 金 は ,3 万 円 程 度 。
④土井委員
・イ ン ト ロ ダ ク シ ョ ン に 日 本 列 島 の 成 り 立 ち 等 の 大 き な 物 語 や ,ガ イ ド さ ん の こ だ わ り
が も っ と 伝 わ る と よ い 。 バ ス で 移 動 す る 場 合 は ,車 内 で の 情 報 提 供 が 必 要 。
⑤松原委員
・ 通 訳 は 現 地 ガ イ ド の 横 に 立 っ て ,全 体 通 訳 を し た 方 が よ い 。 個 別 に 対 応 す る と な る
と参加者数だけ通訳数が必要になってしまう。
42
・ 今 回 は ,打 合 せ 不 足 も あ り ,タ イ ム テ ー ブ ル が 不 明 確 で あ っ た 。
・ コ ー ス に つ い て は ,場 所 あ り き の 設 定 で ,コ ン セ プ ト や ス ト ー リ ー 性 に 一 貫 性 が 欠 け
て い た 。 例 え ば ,ア ン コ ウ で ス ト ー リ ー も で き る 。
・ 宿 泊 先 の 篠 は ら で は ,食 事 を 食 べ な が ら ジ オ ロ ジ ス ト と 語 り 会 え ,旅 館 の 方 か ら は 料
理 自 慢 が 聞 け ,コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン も で き て 満 足 で あ っ た 。
⑥古澤委員
・ターゲットを明確にする必要がある。
・化石体験と地質が結び付かなかった。
・地元ガイドのレベルをどれくらい上げていけるのかがポイント。
⑦宮本幹事
・ツアー内容については総じて良かった。恐竜の化石やケイソウ土など手で触れて五
感で感じるプログラムが有効と思う。
・ ま た ,訪 問 ジ オ サ イ ト が 地 球 と 自 分 と ど う つ な が っ て い る の か ,外 国 人 観 光 客 に 対 し
て 母 国 と ど う つ な が っ て い る の か を 伝 え る こ と が 重 要 。 例 え ば ,ア メ リ カ 人 男 性 は ,
風船爆弾がジェット気流にのって五浦海岸からサンフランシスコまで到達した話
に感じいっていた。
・テレビで人気の池上彰氏のように解説次第でツアーの面白さはずいぶん変わるので,
そのようなガイドを養成することが大事。
・ ケ イ ソ ウ 土 の サ イ ト は ,専 門 家 に は そ れ ほ ど で は な い か も し れ な い が ,一 般 の 方 や 子
供 に は と て も 面 白 く 魅 力 的 な 場 所 で あ る の で ,地 形 的 観 点 か ら の 説 明 が あ れ ば よ り
魅力が増すと思われる。
・適 当 な 料 金 と し て は ,1 泊 2 日 で 2 万 円 を 切 る 程 度 で な い と 多 く の 客 は 呼 べ な い の で
は な い か 。 も し く は ,タ ー ゲ ッ ト を 絞 っ て 付 加 価 値 を つ け て 料 金 も 高 く す る な ど が
考えられる。
⑧伊藤幹事
・ タ イ ム ス ケ ジ ュ ー ル の 管 理 ,役 割 分 担 を 明 確 に し な い と い け な い 。
⑨植田幹事
・ ジ オ パ ー ク と は 何 か ,ゴ ン ド ワ ナ 大 陸 の 話 な ど ,全 体 解 説 が あ れ ば 各 サ イ ト の 位 置 づ
けが理解しやすい。
・ 各 ジ オ サ イ ト と 外 国 と の 接 点 に 着 目 す る と よ り 魅 力 が 増 す 。 例 え ば ,ほ る る で 掲 示
さ れ て い た 世 界 の エ ネ ル ギ ー 問 題 の パ ネ ル や ,六 角 堂 の 海 岸 に あ る 特 殊 な 岩 石 が 中
国の庭園にも多く利用されていることなど。
・ 整 備 に つ い て は ,多 言 語 整 備 ,バ ス な ど の 交 通 網 の 整 備 ,看 板 ,海 岸 域 の 清 掃 が 課 題 。
・ 体 制 に つ い て は ,外 国 人 留 学 生 と の 連 携 は 素 晴 ら し く ,今 後 も 強 化 す べ き 。
43
3.2.3
分析結果
(1) 興 味 ・ 関 心
「 景 勝 地 で あ る ジ オ サ イ ト を 巡 り な が ら ,ジ オ に つ い て 学 び ,植 物 ・ 歴 史 ・ 文
化 ・ 暮 ら し な ど と の つ な が り を 感 じ る 旅 行 」 と も 言 え る ジ オ ツ ア ー に は ,【 旅 の
目 的 】 の 上 位 で あ る 「 観 光 地 ・ 景 勝 地 巡 り 」 ,「 町 並 み 散 策 」 ,「 自 然 散 策 」 の 要
素 が 含 ま れ て お り ,旅 行 の 目 的 に な り 得 る と 考 え ら れ る 。一 方 ,そ れ 以 外 の 項 目 に
つ い て は 大 き な 差 が 見 ら れ ず ,参 加 者 の 関 心 は 多 様 で あ る こ と が 分 か る 。
【 旅 の ス タ イ ル 】 に つ い て は ,「 友 人 と の 旅 行 」 が 最 も 多 い が 他 の 項 目 と 大 き
な 差 は 見 ら れ ず ,家 族 構 成 な ど の 属 性 と 旅 の ス タ イ ル と の 関 係 性 は 見 出 せ な い 。
【地質や地形に対する関心度】と【地質や地形に関する学問を学んだ経験】と
の 関 係 性 に つ い て は ,地 質 や 地 形 に 対 す る 『 関 心 が あ る 』 と 回 答 し た 7 人 の 内 ,地
質 や 地 形 に 関 す る 学 問 を 学 ん だ 経 験 が 「 な い 人 」 が 3 人 い る こ と か ら ,必 ず し も ,
地 質 や 地 形 に 関 す る 学 問 を 学 ん だ 経 験 が な く て も ,地 質 や 地 形 に 対 す る 関 心 を 示
すことが分かる。
【地質や地形に対する関心度】と【専門分野・関心のある分野】との関係性に
つ い て は ,地 質 や 地 形 に 対 す る『 関 心 が あ る 』と 回 答 し た 7 人 の 内 ,「 自 然 科 学 系 」
以 外 を 回 答 し た 人 が 3 人 い る こ と か ら ,必 ず し も ,「 自 然 科 学 系 」 の 専 門 知 識 や 関
心 が な く て も ,地 質 や 地 形 に 対 す る 関 心 を 示 す こ と が 分 か る 。
【地質や地形に対する関心度】と【茨城県北ジオパークを知っていたか】との
関 係 性 に つ い て は ,地 質 や 地 形 に 対 す る 『 関 心 が あ る 』 と 回 答 し た 7 人 の 内 ,茨 城
県 北 ジ オ パ ー ク を 「 知 ら な か っ た 」 と 回 答 し た 人 が 5 人 い る こ と か ら ,必 ず し も ,
茨 城 県 北 ジ オ パ ー ク に つ い て 知 ら な く て も ,地 質 や 地 形 に 対 す る 関 心 を 示 す こ と
が分かる。
し か し ,ジ オ パ ー ク に つ い て 知 っ て い れ ば ,よ り 地 質 や 地 形 に 対 す る 関 心 が 高
ま る こ と が 期 待 で き る の で ,ジ オ パ ー ク の 認 知 度 向 上 が 課 題 と 言 え る 。
【 今 回 の ツ ア ー の 動 機 】 に つ い て は ,「 ツ ア ー の 内 容 に 興 味 を 持 っ た か ら 」 が
最 も 多 く ,本 企 画 内 容 が 参 加 者 の 興 味 を 引 く 魅 力 的 な も の で あ っ た と 思 わ れ る 。
(2) サ イ ト 別 評 価
「 い わ き 市 ア ン モ ナ イ ト セ ン タ ー 」 ,「 い わ き 市 石 炭 ・ 化 石 館 -ほ る る -」 ,「 五 浦 観 光
ホ テ ル 別 館 大 観 荘 」 ,「 五 浦 地 域 の 散 策 」 ,「 勿 来 の 関 」 の サ イ ト 別 と ,「 関 心 度 」 ,解
説 に 対 す る 「 理 解 度 」 ,提 供 さ れ た 情 報 の 「 満 足 度 」 ,通 訳 に 対 す る 「 満 足 度 」 の 評 価
項 目 別 で レ ー ダ ー チ ャ ー ト 化 し ,評 価 の 値 ,バ ラ ン ス ,参 加 者 の 感 想 ,行 動 ・ 反 応 記 録 な
ど と 考 え 併 せ て ,今 後 の ニ ー ズ や 課 題 を 抽 出 す る 。
44
サイト別の総合評価点が高い順に,
1 位「五浦観光ホテル別館大観荘」
2 位「五浦地域の散策」
3 位 「 い わ き 市 石 炭 ・ 化 石 館 -ほ る る -」
4 位「いわき市アンモナイトセンター」
5 位 「 勿 来 の 関 」 ,で あ る 。
「 五 浦 観 光 ホ テ ル 別 館 大 観 荘 」は ,か な り の 高 評 価 の 上 ,非 常 に バ ラ ン ス が と れ
た 評 価 結 果 と な っ て い る 。 そ の 要 因 と し て は ,当 該 ホ テ ル は ,太 平 洋 を眼 下 に望 む
露 天 風 呂 やアンコウ鍋 等 の海 の幸 を提 供 する日 本 情 緒 あふれる和 風 老 舗 旅 館 であり,外
国 人 のニーズに非 常 にマッチしたためと思 われる。
「 五 浦 地 域 の 散 策 」 は ,ま ず ま ず の 高 評 価 で バ ラ ン ス も 良 い 。 そ の 要 因 と し て
は ,5 つ の サ イ ト の 中 で 唯 一 ,ジ オ パ ー ク ガ イ ド 講 座 を 受 け た ジ オ ガ イ ド に よ る ,
詳 し い 説 明 が あ っ た こ と で ,参 加 者 の ジ オ 資 源 に 対 す る 関 心 を 高 め ,理 解 が 促 進
されたためと思われる。
「 い わ き 市 石 炭 ・ 化 石 館 -ほ る る -」 と 「 い わ き 市 ア ン モ ナ イ ト セ ン タ ー 」 は ,
中 評 価 で ,バ ラ ン ス に も 欠 け る 。 そ の 要 因 と し て は ,発 掘 体 験 や 希 少 性 の 高 い 展 示
物 な ど ,参 加 者 は ,こ こ に し か な い ジ オ の 要 素 に 関 心 を 示 し て い る も の の ,館 内 の
解 説 版 に 多 言 語 表 記 が ほ と ん ど な く ,通 訳 の 時 間 も あ ま り 取 れ な か っ た こ と か ら ,
内容を理解しづらかったためと思われる。
「 勿 来 の 関 」 は ,低 評 価 で ,他 の 4 つ の サ イ ト と 異 な り ,サ イ ト へ の 「 関 心 度 」
と提供された情報の「満足度」の評価が極端に低く歪なバランスとなっている。
そ の 要 因 と し て は ,こ の 場 所 の 歴 史 的 価 値 や ,歴 史 と 地 形 の 関 係 性 な ど の 情 報 が
不足していたためと思われる。
45
サイト別レーダーチャート
いわき市アンモナイトセンター
い わ き 市 石 炭 ・ 化 石 館 -ほ る る -
( 合 計 21 点 )
( 合 計 25 点 )
関心度
14
関心度
14
9
9
8
4
4
通訳の
満足度
5
8
4
‐1
理解度
通訳の
満足度
7
3
‐1
理解度
4
7
情報の満足度
情報の満足度
五浦観光ホテル別館大観荘
五浦地域の散策
( 合 計 47 点 )
( 合 計 35 点 )
関心度
14
関心度
14
10
9
4
通訳の
満足度
12
11
9
4
11 理解度
‐1
通訳の
満足度
9
8
‐1
理解度
7
14
情報の満足度
情報の満足度
勿来の関
( 合 計 16 点 )
関心度
14
【点数の算定方法】
9
4 つの指標の各点数は、各 5 段階評
価 で 集 計 さ れ た 回 答 数 に 対 し 、低 位 評
価 か ら 高 位 評 価 へ - 2 点 、- 1 点 、0 点 、
1 点 、2 点 を 乗 算 し 足 し 合 わ せ た も の 。
各 サ イ ト の 合 計 点 数 は 、サ イ ト へ の
「 関 心 度 」、 解 説 に 対 す る 「 理 解 度 」、
提 供 さ れ た 情 報 の 「 満 足 度 」、 通 訳 に
対 す る「 満 足 度 」の 各 点 数 を 足 し 合 わ
せたもの。
4
通訳の
満足度
8
-1
‐1
6
理解度
3
情報の満足度
46
項目別レーダーチャート
サイトへの「関心度」
解説に対する「理解度」
いわき市アンモ
ナイトセンター
いわき市アンモ
ナイトセンター
14
14
9
勿来の関
8
9
4
8
-1
いわき市石炭・
化石館-ほるる-
勿来の関
6
11
10五浦観光ホテル
五浦地域の散策
別館大観荘
11 五浦観光ホテル
五浦地域の散策
別館大観荘
通訳に対する「満足度」
いわき市アンモ
ナイトセンター
いわき市アンモ
ナイトセンター
14
14
9
3
3
8
提供された情報の「満足度」
4
いわき市石炭・
化石館-ほるる-
4
‐1
‐1
勿来の関
4
4
7
いわき市石炭・
化石館-ほるる-
9
勿来の関
‐1
4
8
5
7
いわき市石炭・
化石館-ほるる-
‐1
7
五浦地域の散策
五浦観光ホテル
14 別館大観荘
9
五浦地域の散策
47
12
五浦観光ホテル
別館大観荘
(3) ツ ア ー 全 体 の 評 価
参 加 者 全 員 が 『 満 足 』 と 回 答 し て お り ,外 国 人 ツ ア ー 客 は ,地 域 の ジ オ ツ ア ー に
潜在的ニーズを持つと考えられる。
参加者が各サイトで興味を持った事項から抽出される潜在ニーズ
サイト名
いわき市アンモ
≪興味を持った事項≫
化 石 発 掘 ,巨 大 な ア ン モ ナ イ ト
≪潜在ニーズ≫
・ここにしかないジオの要素
・その瞬間その場所でしか見
ナイトセンター
られないもの
いわき市石炭・化
世 界 の 化 石 や 岩 石 に 触 れ る ,石 炭 産
石館
業,
・ 体 感 す る ,触 れ る
-ほ る る -
町の歴史
・和のおもてなしの心
五浦観光ホテル別
温 泉 , 食 事 ,日 本 の 伝 統 的 精 神 , 日 の
・歴史や文化と地質のつなが
館
出
り
・ジオと他国とのつながり
大観荘
五浦地域の散策
岡倉天心・地質・中国庭園の関係,
・ 日 本 の 伝 統 文 化 ,様 式 ,景 観
美 し い 景 色 ,歴 史 的 建 造 物 ,日 本 庭
・美しい場所でゆったり過ご
す ,歩 く
園 ,散 歩
勿来の関
日 本 の 伝 統 的 景 観 ,東 北 地 方 と 関 東
地方の間にあるチェックポイント
参加者の要望・改善指摘から抽出される課題
サイト名
≪要望≫
≪課題≫
いわき市アンモ
英 語 表 記 ,子 供 用 用 具 の 準 備 ,発 掘
・多言語整備
ナイトセンター
用具の安全性と使用上のルールの
・ジオツアー通訳ガイドの養
成
改善
いわき市石炭・化
・ツアー中の事故等に対する
英語表記
石館
安 全 管 理 ,・規 定 や ル ー ル に
-ほ る る -
対する共通理解と周知
五浦観光ホテル別
館 内 に 英 語 の サ イ ン な い ,料 理 と ジ
・ジオを満喫できる宿泊サー
館
オのつながりの解説
ビス
・外国人の受け入れ環境の整
大観荘
五浦地域の散策
勿来の関
面 白 い 逸 話 ,余 裕 あ る タ イ ム ス ケ ジ
備
ュール
・通訳に必要な時間を組み込
ジ オ ツ ア ー の サ イ ト に は 不 適 ,外 国
48
んだツアープログラム
人 に 対 す る 解 説 の 工 夫 ,地 質 と 歴 史
のつながりに関する分かりやすい
全体
・ジオと各サイトや素材をつ
なぐテーマ性
解説
・対象者別のメニュー作り
ツ ア ー 対 象 年 齢 の 設 定 ,通 訳 な し で
・外国人が独りでも移動しジ
も 分 か る 英 語 ・ 中 国 語 ・韓 国 語 な ど
オを楽しむことができる多
の 多 言 語 情 報 が 必 要 ,海 岸 の ゴ ミ が
言語ガイドシステム
・ジオサイトの美化
殺風景
49
(4) ク ロ ス 分 析
【 地 質 や 地 形 に 関 す る 学 問 を 学 ん だ 経 験 】な ら び に【 地 質 や 地 形 に 対 す る 関 心
度 】 と 【 サ イ ト の 「 関 心 度 」】 ,【 地 質 や 地 形 に 関 す る 学 問 を 学 ん だ 経 験 】 な ら び
に【地質や地形に対する関心度】と【ツアー全体の評価】の関係性については,
経 験 が「 な い 人 」,関 心 が「 な い 人 」で も ジ オ サ イ ト( 勿 来 の 関 を 除 く )に 関 心 を
示 し ,ツ ア ー に 満 足 す る こ と が 分 か り ,ジ オ ツ ア ー に 対 し て 一 般 の タ ー ゲ ッ ト の 可
能性が示唆された。
【 地 質 や 地 形 に 関 す る 学 問 を 学 ん だ 経 験 】 ×【 各 サ イ ト の 「 関 心 度 」】
いわき市アンモナイトセンター 『関心なし』 どちらでもない 『関心あり』
合計(人)
経験「あり」
1
1
2
4
経験「なし」
0
1
4
5
いわき市石炭・化石館-ほるる- 『関心なし』 どちらでもない 『関心あり』
合計(人)
経験「あり」
1
1
2
4
経験「なし」
0
0
5
5
五浦観光ホテル別館大観荘
『関心なし』 どちらでもない 『関心あり』
合計(人)
経験「あり」
1
0
3
4
経験「なし」
0
0
5
5
五浦地域の散策
『関心なし』 どちらでもない 『関心あり』
合計(人)
経験「あり」
1
0
3
4
経験「なし」
0
0
5
5
勿来の関
『関心なし』 どちらでもない 『関心あり』
合計(人)
経験「あり」
2
1
1
4
経験「なし」
1
4
0
5
【 地 質 や 地 形 に 関 す る 学 問 を 学 ん だ 経 験 】 ×【 ツ ア ー 全 体 の 評 価 】
『不満』
どちらでもない
『満足』
合計(人)
経験「あり」
0
0
4
4
経験「なし」
0
0
5
5
50
【 地 質 や 地 形 に 対 す る 関 心 】 ×【 各 サ イ ト の 「 関 心 度 」】
いわき市アンモナイトセンター
『関心なし』 どちらでもない 『関心あり』 合計(人)
地質や地形に対する『関心あり』
1
2
4
7
地質や地形に対する『関心なし』
0
0
2
2
いわき市石炭・化石館ーほるるー
『関心なし』 どちらでもない 『関心あり』 合計(人)
地質や地形に対する『関心あり』
1
1
5
7
地質や地形に対する『関心なし』
0
0
2
2
五浦観光ホテル別館大観荘
『関心なし』 どちらでもない 『関心あり』 合計(人)
地質や地形に対する『関心あり』
1
0
6
7
地質や地形に対する『関心なし』
0
0
2
2
五浦地域の散策
『関心なし』 どちらでもない 『関心あり』 合計(人)
地質や地形に対する『関心あり』
1
0
6
7
地質や地形に対する『関心なし』
0
0
2
2
勿来の関
『関心なし』 どちらでもない 『関心あり』 合計(人)
地質や地形に対する『関心あり』
2
4
1
7
地質や地形に対する『関心なし』
1
1
0
2
【 地 質 や 地 形 に 対 す る 関 心 】 ×【 ツ ア ー 全 体 の 評 価 】
『不満』
どちらでもない
『満足』
合計(人)
地質や地形に対する『関心あり』
0
0
7
7
地質や地形に対する『関心なし』
0
0
2
2
51
(5) 今 後 の 意 向
【 類 似 の ジ オ ツ ア ー へ の 参 加 の 意 向 】に つ い て は ,7 人 が『 参 加 し た い 』と 答 え
て お り ,ジ オ ツ ア ー に 参 加 し 満 足 を 得 ら れ れ ば ,リ ピ ー タ ー に な る 可 能 性 が あ る 。
【 今 回 の ツ ア ー の 適 当 な 値 段 】 に つ い て は ,「 20,000 円 ~ 30,000 円 」 と 回 答 す
る 人 が 比 較 的 多 く ,1 泊 2 日 の 旅 行 料 金 と し て は 一 般 的 な 価 格 帯 と 言 え る 。
【 今 回 の ツ ア ー ガ イ ド の 適 当 な 値 段 】 に つ い て は ,「 5,000 円 ~ 10,000 円 」 と
回 答 す る 人 が 比 較 的 多 く ,国 内 の ボ ラ ン テ ィ ア ガ イ ド 料 金 に 比 べ て 高 額 評 価 で あ
る。
【ジオツアーの案内の入手方法として適切と思われる情報媒体】については,
最 も 回 答 の 多 い 「 旅 行 代 理 店 の チ ラ シ ,パ ン フ レ ッ ト 」 は ,旅 行 や 観 光 に 関 心 が 高
い 人 へ の 周 知 効 果 が 高 い メ リ ッ ト が あ る が ,旅 行 代 理 店 と 連 携 し た 商 品 化 が 必 要
と な る 。 一 方 ,イ ン タ ー ネ ッ ト や 携 帯 電 話 ,ツ イ ッ タ ー 等 は 比 較 的 手 軽 に ,か つ ,世
界中の多くの人に情報を発信できるメリットがある。
3.2.4
ジオパークガイドの効果と可能性
モ ニ タ ー ツ ア ー で は ,ジ オ パ ー ク ガ イ ド が 外 国 人 ツ ア ー 客 の ジ オ 資 源 に 対 す る
関 心 を 高 め ,理 解 を 促 す 効 果 が あ る こ と が 確 認 で き た 。
通 訳 に つ い て は ,外 国 人 が 内 容 を 理 解 し 満 足 す る た め に 非 常 に 重 要 な 役 割 を 果
たすことがあらためて確認できた。
ま た ,通 訳 ガ イ ド の 求 め ら れ る 能 力 と し て は ,ジ オ に 対 す る 基 礎 知 識 ,他 国 の ジ
オ パ ー ク に 関 す る 知 識 ,限 ら れ た 時 間 内 で 楽 し く 分 か り や す く 説 明 す る ス キ ル ,
などがあげられる。
今 後 ,国 内 の ジ オ パ ー ク に お い て ,外 国 人 ツ ア ー 客 が 増 加 す れ ば ,こ の よ う な 人
材 が ま す ま す 求 め ら れ る の で ,ジ オ ツ ア ー 通 訳 ガ イ ド の 養 成 が 必 要 で あ る 。
さ ら に ,お 客 様 が 安 心 し て ジ オ ツ ア ー 通 訳 ガ イ ド サ ー ビ ス を 利 用 で き ,地 域 の
ビ ジ ネ ス と し て 成 り 立 つ た め に は ,ジ オ パ ー ク 資 格 制 度 な ど に よ る サ ー ビ ス の 品
質保証が必要である。
3.2.5
効果的なジオツアーの方法
外 国 人 ツ ア ー 客 に と っ て ,大 地 の 成 り 立 ち・ 自 然 ・風 土 ・暮 ら し な ど を 見 る ・ 体
験 す る ・学 ぶ・ 食 べ る ・泊 る と い う ジ オ ツ ア ー は ,日 本 を 理 解・ 体 験 す る 行 為 そ の
も の で あ り ,そ の よ う な 観 点 に た っ た ツ ア ー の 組 み 立 て が 重 要 で あ る 。
外 国 人 ツ ア ー 客 の 関 心 を 高 め る 手 法 と し て は ,全 地 球 的 観 点 か ら 見 た 日 本 の ジ
オ パ ー ク の 成 り 立 ち や ,ジ オ 資 源 と 母 国 と の つ な が り な ど 体 感 で き る 内 容 が 有 効
である。
52
外 国 人 ツ ア ー 客 の ジ オ に 対 す る 理 解 を 高 め る 手 法 と し て は ,多 言 語 に よ る ジ オ
ツアー解説ツールを充実させることが有効である。
3.2.6
まとめと課題の整理
【まとめ】
① 外 国 人 ツ ア ー 客 の 関 心 は 多 様 で ,「 ジ オ サ イ ト を 巡 り な が ら ,大 地 の 成 り 立 ち と
歴史・文化・暮らしとのつながりを感じる旅行」とも言えるジオツアーにも関心
を 示 し ,旅 行 ニ ー ズ が あ る と 考 え ら れ る 。
② 地 質 や 地 形 に 関 す る 学 問 を 学 ん だ 経 験 が「 な い 人 」,地 質 や 地 形 に 対 す る 関 心 が
「 な い 人 」 で も ジ オ サ イ ト に 関 心 を 示 し ,ツ ア ー に 満 足 す る こ と が 分 か り ,ジ オ ツ
アーに対して一般のターゲットの可能性が示唆された。
③ 外 国 人 ツ ア ー 客 は ,地 域 の ジ オ ツ ア ー に 潜 在 ニ ー ズ を 持 ち ,ま た ,ジ オ ツ ア ー に
参 加 し 満 足 を 得 ら れ れ ば ,リ ピ ー タ ー に な る 可 能 性 が あ る 。
④ 外 国 人 ツ ア ー 客 は ,ジ オ と 自 然 ・ 風 土 の 組 み 合 わ せ に 関 心 を 示 し ,さ ら に ,外 国
人はジオと母国とのつながりにより関心を高めることが分かった。
⑤ ジ オ ガ イ ド は ,外 国 人 を 含 む 観 光 客 の ジ オ 資 源 に 対 す る 関 心 を 高 め ,理 解 を 促
す効果があることが分かった。
⑥ 外 国 人 ツ ア ー 客 は ,“ こ こ に し か な い ジ オ の 要 素 ” に 関 心 を 示 す が ,外 国 人 が 理
解 と 満 足 を 得 る に は ,多 言 語 で の 分 か り や す い 情 報 提 供 が 必 要 不 可 欠 で あ る 。
⑦ ジ オ に 関 す る 基 礎 知 識 が な い 通 訳 は ,ジ オ の 詳 し い 内 容 を 説 明 し き れ な い 部 分
が あ る た め ,今 後 ,通 訳 が で き ,か つ ,ジ オ の 知 識 を 有 す る 国 際 的 な ジ オ ガ イ ド の
養成が必要である。
【課
題】
①多言語によるジオツアー解説の充実
②外国人ツアーの満足度の向上
③外国人ツアー客の受け入れ環境の整備
④外国人ジオツアーのプロモーション
53
4.
持続可能な開発手法の構築に向けて
世 界 ジ オ パ ー ク ネ ッ ト ワ ー ク( GGN)は ,ジ オ パ ー ク と な る た め の 条 件 と し て ,大 き く 6
つ の 基 準 を 示 し て い る が ,重 要 で か つ 持 続 可 能 な 地 域 振 興 に つ な が る も の が ,
「運営および
地域とのかかわり」である。
ジオパークとして承認されるには,しっかりとした運営組織と運営計画が必要となる。
運営には公的機関,地域社会,私的団体および研究機関などが組織体として参加し,地域
のネットワークを構築することが必要である。
地方自治体等の堅実な財政基盤を背景に,地域のあらゆる団体が一体となり,地域住民
の協力を得て,持続的な展開を図るものである。そして,具体的な戦略プランを関係者の
総意としてまとめ,将来の地域像までを見据えた運営計画とすることが重要である。
日本における 4 つの世界ジオパークの運営組織を見てみると,市町村,都道府県,国各
省庁などの公的機関,大学・研究所,商工会議所・青年会議所,観光協会・ガイド組織,
区 長 会 ,農 協・漁 協・森 林 組 合 ,J R や バ ス・タ ク シ ー 業 界 ,温 泉 や 旅 行 協 会 ,山 岳 連 盟 ,
地 元 NPO 各 種 団 体 , ボ ラ ン テ ィ ア グ ル ー プ の ほ か , ジ オ パ ー ク 市 民 の 会 な ど 多 く の 組 織 が
参加している。
これにより,それぞれが「ジオパーク」を自分のテーマととらえ,主体的に関わりを持
つことができることとなり,新たな取り組みが各分野各地域で生まれてきている。
世界ジオパークの一つである「糸魚川ジオパーク」は,古くからヒスイやフォッサマグ
ナ等の資源に恵まれながら,観光誘客に結び付けることができなかった地域であるが,ジ
オパークという視点で地域資源を見直した結果,そこに新たな地域振興への可能性を見出
したといえる。ジオパークによる地域振興を検証するには,各地域に存在する素材をいか
に磨き上げるかが重要である。
以上のような背景と可能性から,本章では,茨城県北地域で取り組みが進められている
茨城県北ジオパーク構想を例に,持続可能な開発の手法を述べることとする。
平 成 21 年 度 観 光 客 動 態 調 査 報 告 に よ れ ば ,茨 城 県 の 入 れ 込 み 観 光 客 数 は ,こ れ ま で に 行
わ れ て き た 様 々 な 観 光・交 通・商 業 関 連 施 策 の 結 果 ,デ ー タ が あ る 昭 和 45 年 度 か ら 増 加 傾
向 を 示 し ,平 成 21 年 度 に は 5,153 万 人 と 過 去 最 高 と な っ た 。そ の 多 く が 日 帰 り で ,地 域 の
振興に大きな経済効果をもたらす宿泊の割合は高くない。観光客の来県動機の上位は“文
化 施 設 ・史 跡 め ぐ り ” や ,“ 海 水 浴 ・ ス ポ ー ツ ・ レ ク リ エ ー シ ョ ン ” で あ り , 地 形 ・ 地 質 の
変化に富み,自然豊かな県北地域が役割を担う“自然鑑賞”は多くない。
一 方 で ,袋 田 の 滝( 大 子 町 )や 五 浦 海 岸( 北 茨 城 市 ),竜 神 渓 谷( 常 陸 大 宮 市 )な ど の よ
うに数十万人規模の観光客が訪れる観光地も少なくない。このような拠点がありながら,
入込み客の来県動機に占める自然鑑賞の割合は高くなく,来てもその多くが日帰りである
ことは,これまで拠点と拠点を結ぶつながりが強くなく,かつその魅力が十分に伝わって
54
いないことが理由のひとつとしてあげられる。このような状況の中で,現在進められてい
る茨城県北ジオパーク構想は,まさに拠点と拠点とを「ジオ」の視点で結びつけ,ある1
つ の 大 き な ス ト ー リ ー を 共 有 す る エ リ ア と し て 強 く PR で き る も の と 考 え ら れ る 。
インフラに目を向けると,北関東自動車道の開通や茨城空港の開港などにより,有効な
策 を 着 実 に 打 つ こ と で ,さ ら な る 観 光 客 の 増 加 が 見 込 ま れ る 。な か で も 茨 城 空 港 の 開 港 は ,
特に東アジア圏からの観光客誘致という新たな市場を開拓するものである。海外との交流
としては,県内の大学に留学生が多数在学しており,茨城と海外との懸け橋としての彼ら
の役割は重要であろう。
図 -4.1
4.1
(1)
平 成 21 年 度 観 光 客 動 態 調 査 報 告 よ り
茨城県ジオパーク構想の資源
茨城県北ジオパーク構想の範囲
茨城県北ジオパークは,茨城県
中央を東西に流れる那珂川流域よ
り 北 側 を 中 心 に , 東 西 約 50k m ,
南 北 約 68k m を エ リ ア と す る 。 そ
の範囲は,茨城県北茨城市,大子
町,高萩市,日立市,常陸太田市,
常陸大宮市,東海村,ひたちなか
市の 5 市1町 1 村にまたがり,総
図 -4.2
面 積 約 17.8 km 2 , 人 口 約 59 万 人
( 平 成 22 年 9 月 1 日 現 在 ) で あ る 。
55
茨城県北ジオパーク構想の範囲
エ リ ア 内 に は JR 常 磐 線 ,JR 水 郡 線 ,ひ た ち な か 海 浜 鉄 道 の 3 鉄 道 が 走 り ,東 京 か ら
の 動 脈 と な っ て い る 。ま た ,エ リ ア を 南 北 に 貫 く 常 磐 自 動 車 道 は ,東 京 都 市 圏 か ら の ア
ク セ ス を 容 易 に し て い る だ け で な く ,磐 越 自 動 車 道 や 北 関 東 道 に 連 絡 し ,広 く 北 関 東 ~
南 東 北 間 を 連 絡 し て い る 。昨 年 ,茨 城 空 港 が 開 設 し ,直 通 便 に よ り 韓 国 か ら も 容 易 に ア
ク セ ス で き る よ う に な っ て い る 。現 在 ,東 京 お よ び 周 囲 の 主 要 都 市 ,主 要 空 港 か ら 茨 城
県 北 地 域 の 主 要 な 観 光 地 へ の 所 要 時 間 は 東 京 ( 羽 田 空 港 ) か ら 約 120~ 180 分 , 栃 木 県
宇 都 宮 市 か ら 約 60~ 120 分 , 福 島 県 郡 山 市 か ら 90~ 120 分 , 成 田 空 港 か ら 90~ 240 分 ,
茨 城 空 港 か ら 60~ 180 分 , 福 島 空 港 か ら 120~ 180 分 と な っ て い る 。
地 域 内 の 幹 線 道 路 と し て 国 道 6 号 ,50 号 ,51 号 ,118 号 ,123 号 ,246 号 ,349 号 が あ る 。
主 要 港 と し て は 常 陸 那 珂 港 ,日 立 港 ,大 津 港 が あ り ,特 に 常 陸 那 珂 港 と 日 立 港 は 国 際 港
と し て 北 米 定 期 航 路 ,中 国・韓 国 定 期 航 路 ,北 米 定 期 航 路 ,欧 州 定 期 航 路 ,極 東 ロ シ ア
航 路 等 を も つ 。ま た 隣 接 す る 大 洗 港 は 北 海 道 へ の 定 期 フ ェ リ ー が 就 航 し て お り ,関 東 地
方における北の玄関口として機能している。
地 域 内 の 主 な 産 業 と し て は ,農 業 や 漁 業 等 の 第 一 次 産 業 の ほ か ,日 立 に 代 表 さ れ る よ
うな重工業等の第二次産業等がある。第三次産業としては観光業・旅行業のほか,首都
圏 に 近 い こ と を 活 か し た 情 報 通 信 業 等 も 盛 ん で あ る 。 そ の 内 訳 は , 第 一 次 産 業 8.9% ,
第 二 次 産 業 34.2% , 第 三 次 産 業 56.9% で あ る 。
地域内の学術的拠点としては,国立大学法人茨城大学工学部,茨城大学五浦美術文化
研究所,茨城大学宇宙科学教育研究センター,茨城大学大子合宿研修所のほか,茨城キ
リスト教大学,独立法人日本原子力研究開発機構等がある。地域内の観光地としては,
袋田温泉や平潟港温泉,袋田の滝,ひたちなか海浜公園,平磯海岸,五浦海岸,阿字ヶ
浦 , 花 園 渓 谷 , 花 貫 渓 谷 , 八 溝 山 , 男 体 山 等 が あ り , 地 域 全 体 で 年 間 約 900 万 人 の 観 光
客が訪れている。
56
図 -4.3
茨城県北ジオパーク構想の主なジオサイトとジオポイントマップ
(茨城大学地質情報活用プロジェクトのウェブサイトより。
主 要 な 道 路 ・ 鉄 道 さ ら に 地 形 が 段 彩 図 で 示 さ れ て い る 。)
57
(2)
茨城県北ジオパーク構想の運営母体
茨 城 県 北 ジ オ パ ー ク 構 想 は ,茨 城 県 北 ジ オ パ ー ク 推 進 協 議 会 に よ り 運 営 さ れ る 。本
推 進 協 議 会 は 2010 年 2 月 に 発 足 し た 。協 議 会 の 正 会 員 は 茨 城 大 学 ,財 団 法 人 グ リ ー
ン ふ る さ と 振 興 機 構 ,北 茨 城 市 ,大 子 町 ,高 萩 市 ,常 陸 太 田 市 ,常 陸 大 宮 市 ,東 海 村 ,
ひ た ち な か 市 で ,茨 城 県 ,水 戸 市 ,日 立 市 ,城 里 町 が オ ブ ザ ー バ ー 参 加 し て い る 。現
在 ,事 務 局 は 茨 城 大 学 に 設 置 さ れ て い る 。本 ジ オ パ ー ク 構 想 は ,茨 城 大 学 と 地 域 と の
強 い 連 携 に よ り 推 進 さ れ て い る の が 大 き な 特 徴 で あ る 。具 体 的 な 運 営 は 茨 城 県 北 ジ オ
パ ー ク 運 営 委 員 会 に よ り 推 進 さ れ て い る が ,大 学 内 に は 地 域 連 携 推 進 本 部 と 学 内 ジ オ
パーク委員会が設置され,学術的な側面から全面的な支援をしている。運営経費は,
グリーンふるさと振興機構,参加市町村,大学から支出されている。
図 -4.4
茨城県北ジオパーク構想の組織
(茨城県北ジオパーク構想ウェブサイトより)
(3)
茨城県北ジオパーク構想の地形・地質学的特徴およびテーマ
a) 地 質 概 説
茨城県北地域には,日本最古の5億年岩石から第四紀層まで広く分布しており,
日本列島の形成から現在にいたるまでの地史を実際に野外で体験できることが大
き な 特 徴 で あ る 。地 域 は ,地 質 的 特 徴 に よ り 南 北 方 向 に 延 び る 4 つ の 地 域 に 区 分 す
る こ と が で き る 。東 か ら「 太 平 洋 沿 岸 地 域 」,
「 阿 武 隈 山 地 」,
「 久 慈 山 地 」,
「八溝山
地」である。
太 平 洋 沿 岸 地 域 に は ,主 と し て 白 亜 紀 か ら 新 第 三 紀 の 堆 積 岩 が 露 出 し て い る 。白
亜 紀 の 地 層 は ア ン モ ナ イ ト ,翼 竜 な ど の 化 石 が 産 出 す る タ ー ビ ダ イ ト を 主 体 と し た
堆 積 物 か ら な り ,高 萩 - 北 茨 城 に は か つ て 日 本 の 産 業 を 支 え た 石 炭 を 含 む 陸 成 の 古
58
第 三 紀 層 が 分 布 し て い る 。海 成 の 新 第 三 紀 層 中 に は 過 去 の ガ ス ハ イ ド レ ー ト の 化 石
と も 言 え る 炭 酸 塩 ノ ジ ュ ー ル が 発 見 さ れ て い る 。大 陸 ,陸 地 の 縁 辺 部 に お け る 環 境
変動を示している。
阿 武 隈 山 地 に は ,日 本 最 古 の 5 億 年 岩 石 を 初 め と す る 変 成 岩 と 深 成 岩 類 が 分 布 す
る 。こ の 地 域 の 変 成 岩 の 宮 城 秋 穂 に よ る 研 究 は 世 界 的 に 有 名 で あ り ,プ レ ー ト テ ク
ト ニ ク ス 構 築 に あ た っ て も 大 き な 影 響 を 及 ぼ し た ,現 在 で も 世 界 の 教 科 書 に 引 用 さ
れている。茨城県北ジオパーク構想の中では最も古い時代の地層が分布している。
久慈山地は新第三紀中新世における日本海の拡大事件に伴う地質現象を如実に
示 し て い る 。一 つ が 日 本 海 拡 大 に 伴 っ て 活 動 し た 棚 倉 断 層 で あ る 。こ の 断 層 は ,日
本 列 島 が 現 在 の 形 に な る 上 で ,糸 魚 川 - 静 岡 構 造 線 に 匹 敵 す る 重 要 な 役 割 を お っ た
構 造 で あ る 。ま た ,こ の 地 域 に 分 布 す る 水 中 火 山 岩 類 は ,現 在 の 火 山 前 線 よ り も 数
10km 東 に あ る 。 新 生 代 の 島 弧 発 達 史 を 解 読 す る 上 で 重 要 な 岩 石 で あ る 。
八 溝 山 地 は 主 に 中 生 代 ジ ュ ラ 紀 に 形 成 さ れ た 付 加 体 か ら な る 。こ の 地 域 が 付 加 体
で あ る こ と が 明 ら か に な っ た の は ,西 南 日 本 の 四 万 十 帯 よ り も 最 近 で あ る が ,中 生
代 の 日 本 列 島 構 造 発 達 史 を 考 え る 上 で ,極 め て 重 要 で あ る 。特 に ,最 近 の 放 散 虫 化
石による研究の進展には大きなものがある。
久 慈 川 ,那 珂 川 の 沿 岸 や 海 岸 沿 い に 発 達 す る 段 丘 は 第 四 紀 の 気 候 変 動 が 地 形 に 表
れたもので,グローバルな変動を間近に見るための格好の材料である。
地 域 内 の 鉱 物 資 源 と し て は ,前 述 の 常 磐 炭 田 の 石 炭 の ほ か に キ ー ス ラ ガ ー 鉱 床 に
代表される日立鉱山,江戸期を中心に近年まで栄えた八溝山地周辺の熱水鉱床群
( 栃 原 金 山 な ど )の ほ か ,常 陸 太 田 タ ル ク 鉱 床 や 高 取 の タ ン グ ス テ ン 鉱 床 等 が あ る 。
日立市では阿武隈帯に産する石灰岩を現在も採掘している。
59
図 -4.5
茨城県北ジオパーク構想周辺の地質図
60
b)
ジオテーマ
茨 城 県 北 ジ オ パ ー ク 構 想 で は ,「 5 億 年 の 旅 に 出 よ う ~ ひ た ち の 国 風 土 記 ~ 」 を
テ ー マ に ,以 下 の よ う に 地 形・地 質 学 的 特 徴 か ら ジ オ ス ト ー リ ー を 5 つ に 分 け て い
る。
第 0 章「銀河系の中のひたちの国」
宇宙を見ると多くの星を見ること
が で き る 。地 球 を は じ め す べ て の も の
は ビ ッ ク バ ン か ら 始 ま っ て い る 。ひ た
ちの国は,宇宙から始まる。茨城大学
宇宙科学教育研究センターは,天の川観察の絶好のサイトである。
関連するサイト:茨城大学宇宙科学教育センター(高萩市)
第 1 章「5 億年前の世界」
約 5 億 年 前 ,ひ た ち の 国 は ゴ ン ド ワ
ナ大陸の東縁に位置する火山弧だっ
た 。そ の 後 ,大 陸 の 一 部 と な っ た 時 期
や,海面下に沈んだ時期があった。
関連するサイト:日立市の地層・日立鉱山(日立市)
第 2 章 「 2 億 4000 年 前 の 世 界 」
ひたちの国は新しい大陸パンゲア
の 一 部 と な っ た 。パ ン ゲ ア 大 陸 の 縁 に ,
海底の移動にともなって運ばれてき
た堆積物と陸から運ばれてきた岩石
や堆積物がかき寄せられて張り付いた。これらのうち,あるものは地下深くで
高い圧力と温度のもとに変形し,日本列島の土台となった。
関 連 す る サ イ ト:花 貫 渓 谷( 高 萩 市 )•花 園 渓 谷( 北 茨 城 市 )•八 溝 山( 大 子 町 )
•平 磯 海 岸 ( ひ た ち な か 市 ) •高 取 鉱 山 ( 城 里 町 )
第 3 章 「 2000 万 年 前 の 世 界 」
こ の 時 代 ,日 本 列 島 は 大 陸 か ら 切 り
離 さ れ ,現 在 の 形 に な っ た 。ひ た ち の
国ははじめ陸であったがその後大部
分は海面下に沈んだ。
関 連 す る サ イ ト : 五 浦 海 岸 ( 北 茨 城 市 ) •袋 田 の 滝 ( 大 子 町 ) •棚 倉 断 層 ( 常
陸 太 田 市 ) •常 磐 炭 田 ( 北 茨 城 市 )
61
第 4 章「現在の世界」
地球の気候変動にともなって海面
が上下し,その結果,現在の特徴的な
地形が形成された。人々は大地の恵み
を活用し,日立鉱山や常磐炭田などの
鉱山やそれを基盤にした工業,特有の風土に根差した漁業や農業等が発達した。
これら人々の営みの中で,文化や芸術が創造されていった。
関 連 す る サ イ ト :千 波 湖( 水 戸 市 )•段 丘 地 形( 日 立 大 宮 市 )・五 浦 海 岸 六 角 堂
( 北 茨 城 市 )・ 常 磐 炭 田 ( 北 茨 城 市 ・ 高 萩 市 )・ 日 立 鉱 山 ( 日 立 市 )
c) 茨 城 県 北 ジ オ パ ー ク 構 想 に お け る 自 然 環 境 と 人 々 の 暮 ら し の 関 わ り
茨 城 県 北 ジ オ パ ー ク 構 想 の エ リ ア 内 で は ,古 く か ら ,特 徴 的 な 地 質・地 形 分 布 や
資源を活用した人々の暮らしが営まれている。主なものを以下にあげる。
①地下資源を活用した地域産業(常磐炭田・日立鉱山)
北茨城市
中郷鉱
日立市
日立鉱山
②特色ある気候や土質を背景にした農業と加工品(奥久慈そば,奥久慈リンゴ,
サツマイモと干しイモ)
奥久慈蕎麦
干し芋
62
③ 地 質 分 布 を 背 景 に し た 特 色 あ る 地 形 に よ り 発 達 し た 生 活 圏 (八 溝 山 地 , 棚 倉 断 層 ,
阿武隈山地,海岸線の南北につながる文化圏)
④前面に広がる太平洋を背景にした豊富な海産物(アンコウ,ヒラメ,タラなど)
鮟鱇料理
ひらめ
⑤地質学的特徴から生まれた独特の地形に魅せられた岡倉天心から始まった芸術
の拠点(五浦海岸)
北茨城市
六角堂
⑥温泉資源の活用(袋田温泉・五浦温泉)
茨城県北ジオパーク構想では,これら人の営みに関するサイトについても,重要
なジオサイトと位置づけている。
(3)
茨城県北ジオパーク構想の主なサイト
a) 地 質 ・ 地 形 的 サ イ ト
袋 田 の 滝( 大 子 町 ),八 溝 山 系( 大 子 町 ,常 陸 大 宮 市 ),棚 倉 断 層( 大 子 町 ,常 陸
大 宮 市 , 常 陸 太 田 市 ), 白 亜 紀 層 ( ひ た ち な か 市 ), メ タ ン 冷 湧 水 起 源 の 炭 酸 塩 コ ン
ク リ ― シ ョ ン ( 北 茨 城 市 ), 久 慈 山 地 ( 大 子 町 , 常 陸 太 田 市 , 常 陸 大 宮 市 ), 多 賀 山
地( 高 萩 市 ,常 陸 太 田 市 ,日 立 市 ),袋 田 温 泉( 大 子 町 ),平 潟 港 温 泉( 北 茨 城 市 )
・・・
など
63
b)
歴史・文化的サイト
常 磐 炭 田 産 業 遺 産 群( 北 茨 城 市 ,高 萩 市 ),日 立 鉱 山( 日 立 市 ),五 浦 海 岸( 北 茨
城 市 ), 月 居 山 ( 大 子 町 ), 平 磯 海 岸 ( ひ た ち な か 市 )・ ・ ・ な ど 。
c)
地域産業等のサイト
硯( 大 子 町 ほ か ),奥 久 慈 そ ば( 大 子 町 ,常 陸 太 田 市 ほ か ),大 津 港( 北 茨 城 市 ),
原 子 力 研 究 所 ( 東 海 村 )・ ・ ・ な ど
4.2
茨城県北ジオパーク構想のビジョン検討
(1)
茨城県北ジオパーク構想の状況
現在,以下のような基盤整備を重点的に行っている。
①インタープリターの養成
茨 城 県 北 ジ オ パ ー ク 構 想 で は ,茨 城 大 学 を 中 心 に 講 義 10 回 ,実 習 2 回 の イ ン タ ー
プリター養成講座を実施,単位取得者には茨城大学学長より認定証を発行している。
平 成 22 年 10 月 か ら 11 月 に か け て 行 わ れ た 第 1 回 養 成 講 座 の 内 容 を 表 -4.1 に 示 す 。
本 講 座 に お い て 36 人 が イ ン タ ー プ リ タ ー の 資 格 を 取 得 し た 。 養 成 さ れ た イ ン タ
ープリターは,現在,グループを作って独立で活動を展開している。インタープリ
ター活動は民間に定着しはじめている。
表 -4.1 第 1 回 養 成 講 座 の 内 容 一 覧
No
1
2
講
義
題
目
担当者
所
属
天野一男
早川唯弘
茨城大学 理学部 教授(副理学部長)
茨城大学 名誉教授
安藤寿男
茨城大学 理学部 教授
4
ジオパークと地域振興
茨城県北の地形と人々の
生活
茨城県北の地質と土地の
成り立ち
茨城県北の文化
小泉晋弥
5
6
茨城県北の植物
茨城県北の動物
小野義隆
中里亮治
7
8
9
10
茨城県北の歴史
安全・健康的な野外活動
茨城県北の自然災害
効果的な説明方法
清水恵美子
櫻井健太
本田尚正
長谷川幸介
茨城大学
(茨城大学
茨城大学
茨城大学
センター
茨城大学
目白大学
茨城大学
茨城大学
准教授
3
64
教育学部 教授
五浦美術文化研究所 副所長)
教育学部 教授(副学長)
広域水圏環境科学教育研究
准教授
人文学部 非常勤講師
保健医療学部 助教
理学部 准教授
生涯学習教育研究センター
No
1
2
実
習
題
目
担
花貫渓谷ジオツアー体験(参加者として
の体験)
五浦海岸ジオツアー実施
(インタープリターとして参加)
野外実習(五浦海岸)
当
者
講義担当者,茨城大学学生
講義担当者,茨城大学学生
インタープリター資格授与式
②地質観光マップの作成・発行
茨城県北ジオパーク構想では茨城大学地質情報活用プロジェクトの協力のもと
地 質 観 光 マ ッ プ の 作 成 ・ 発 行 を 行 っ て い る 。 現 在 , エ リ ア 内 10 か 所 ( 袋 田 の 滝 ,
日立,平磯海岸,八溝山,常磐炭田,五浦海岸,花貫渓谷,竜神峡,東海村,瓜連
丘陵,御前山)で地質観光マップを作製した。これら地質観光マップは,特定の地
域にジオサイトについて,順に見てまわることでその地域の地史や風土がわかるよ
う に 作 ら れ て お り , QR コ ー ド を 付 け る こ と で 情 報 の 多 層 化 も 図 ら れ て い る 。 ま た ,
これらのマップは看板等を設置しづらい場所にも対応可能である。
65
図 -4.6
茨城地質観光まっぷの例
③ジオサイトでのサインの設置
主 要 な サ イ ト に お い て ,統 一 的 な 解 説 看 板 の 設 置 を 準 備 し て い る 。2011 年 4 月 ま
でに,エリア内7箇所で解説版を設置する予定である。現在,茨城大学五浦美術文
化研究所,茨城大学宇宙科学教育研究センター,高萩市花貫ふるさと自然公園セン
ターなどを茨城県北ジオパーク構想のビジターセンターとして充実し,解説パネル
等を設置する予定である。
④情報発信
専 用 の ホ ー ム ペ ー ジ を 設 け , 情 報 発 信 を 行 っ て い る ほ か , SNS を 活 用 し た ジ オ ツ
アーの実施等,情報発信を推進している。
66
図 -4.7 茨 城 県 北 ジ オ パ ー ク 構 想 ウ ェ ブ サ イ ト ト ッ プ ペ ー ジ
( http://www.ibaraki-geopark.com/)
上 記 以 外 に も ,組 織 や 事 務 局 体 制 の 強 化( 専 任 ス タ ッ フ の 設 置 等 ),予 算 の 継 続 的 確
保等,ジオパーク活動推進の基礎づくりに取り組んでいる。
(2)
ジオパーク振興策の検討
茨城県北ジオパーク構想では,地域の持続的発展のために以下のような事業を推進
している。
①ジオパークにおける地域のブランド化
日本最北で栽培された奥久慈茶を八溝山の中生代の付加体から湧出する地下水で
抽 出 し て ボ ト ル 詰 め し た「 ジ オ パ ー ク 茶 」,ひ た ち な か 市 の 段 丘 上 で 栽 培 さ れ た さ つ
まいもから作ったほしいものブランド化,北茨城特産のしらすを活かしたジオ弁当
などジオ関連商品の開発を検討しはじめている。ジオ関連商品の開発については,
コーディネーターを選出して,検討を開始した。特に,ジオ関連商品の認定システ
ムの構築を考えている。
ジ オ ツ ア ー に つ い て は ,JR の「 駅 か ら ハ イ キ ン グ 」と も 関 連 さ せ て ,普 通 の ハ イ
キングとはひと味違うツアーにより地域への首都圏からの集客が可能になる。首都
圏に近いという地の利を活かしたツアーは,本ジオパーク構想の目玉に成りうる。
67
②生涯学習や社会教育・学校教育
茨城県北生涯学習センターと協力してジオツアーを実施している。これは,地元
の生涯学習の一環として実施されているものである。エコツアーやグリーンツーリ
ズムに参加してきた市民が,活動領域を広げるために参加してきている。ジオを地
域の環境や歴史などと関連させて,一般市民のジオパークへの関心を高める役割を
果たしている。
茨城県北ジオパーク構想のジオツアー活動の一環として,大学教員と大学院生が
案内者となり,小学生から一般市民までを対象としたツアーが実施されている。こ
れは,地域の住民が地元の自然を理解し,それを誇りに思うための教育の一つとし
て役立っている。また,都会の小・中学生を対象とした体験型ジオツアーの計画も
ある。
茨城大学宇宙科学教育研究センターで,星の観察会等を茨城県北ジオパーク構想
の教育活動の一環として行っている。この観察会には,インタープリター養成講座
修 了 生 が 補 助 者 と し て 参 加 し て い る 。「 宇 宙 か ら 足 下 の 地 層 ま で 見 よ う 」 と い う ,
茨城県北ジオパークの特徴を活かした独自の教育活動が展開できている。
③交流人口の増加
ジオツアーに,コンサート,地産地消による料理,温泉などを組み合わせること
により,楽しいツアーを実施することにより,首都圏からの訪問者を増やし,地元
の人々との交流を深めることを目指している。
SNS を 利 用 し て 情 報 を 広 く 発 信 す る だ け で な く , 地 元 の ミ ニ コ ミ 誌 を 使 っ た 情 報
発信についても検討している。広い情報発信と地域に限定した情報の発信を組み合
わせることにより,外からの訪問者と地元住民との交流を促進できる。ユビキタス
技術を使った双方向性の情報交換等,様々なレベルでの人的交流を可能にするため
のシステムの構築を検討している。
68
4.3
外国人ジオツアーの活発化に向けたジオパークの整備
今 回 ,実 施 し た モ ニ タ ー ツ ア ー で は ,外 国 人 が 日 本 の ジ オ ツ ア ー に 多 様 な 関 心 を 示 し ,潜
在 的 な ニ ー ズ を 有 す る こ と が 確 認 で き た 。し か し な が ら ,外 国 人 に ジ オ ツ ア ー を 満 喫 し て も
らうためには解決すべき様々な課題があることも明らかとなった。
本 章 で は ,今 回 の モ ニ タ ー ツ ア ー で 得 ら れ た 課 題 を 受 け ,今 後 ,我 が 国 各 地 の ジ オ パ ー ク
に お い て ,外 国 人 ツ ア ー 客 を 受 入 れ ,拡 大 し て い く 場 合 に 必 要 な 整 備 に つ い て 提 案 す る 。 ま
た ,こ の よ う な 整 備 内 容 に つ い て ,学 識 者 ,地 質 調 査 業 者 ,観 光 関 連 業 者 ,自 治 体 ,地 域 住 民 の
役割連携のあり方を検討する。
■多言語によるジオツアー解説の充実
ジ オ ツ ア ー に 参 加 す る 外 国 人 に と っ て 基 本 的 に 重 要 な こ と は ,ジ オ に 関 す る 解 説 を 言
語 の 障 害 な く 理 解 す る こ と で あ る 。今 回 の ツ ア ー で も 日 本 語 の み の 解 説 し か な か っ た 場
合 は ,モ ニ タ ー の ス ト レ ス が 大 き か っ た 。こ の た め ,ジ オ ツ ア ー 通 訳 ガ イ ド の 適 切 な 通 訳
を 行 い ,ジ オ の 解 説 へ の 理 解 を サ ポ ー ト す る こ と が 重 要 で あ る 。ま た ,多 言 語 の 紙 媒 体 の
ツ ー ル ,音 声 ガ イ ド シ ス テ ム ,ICT 端 末 な ど を 活 用 し て ,そ の 理 解 を 支 援 す る こ と も 有 効
と 考 え ら れ る 。 こ の た め ,以 下 の 整 備 を 提 案 す る 。
◆ジオツアー通訳ガイドの養成と活用
◆ ジ オ パ ー ク ,ジ オ サ イ ト の 多 言 語 解 説 ツ ー ル の 充 実
◆ ICT 端 末 を 活 用 し た 多 言 語 ガ イ ド シ ス テ ム の 整 備
■外国人ツアーの満足度の向上
日 本 に お け る ジ オ ツ ア ー は 外 国 人 に と っ て ,“ 日 本 ”と い う 国 を ,ジ オ と そ の 自 然・風
土 を 通 し て 体 感 ・ 理 解 す る 行 為 で あ る と 考 え ら れ た 。 こ の た め ,外 国 人 対 象 の ジ オ ツ ア
ー は ,ジ オ パ ー ク で の 見 学・体 験 を 通 し て ,世 界 や 他 国 と の 関 係 の 中 で 日 本 の 地 形・地 質 ,
自 然 ,風 土 ,文 化 な ど に つ い て ,五 感 を 通 し て 体 感 ,理 解 で き る よ う に 組 み 立 て る こ と が
重 要 で あ る 。 そ の た め ,以 下 の よ う な 整 備 を 提 案 す る 。
◆「日本のジオ物語」の整備
◆ ジ オ の テ ー マ で“ 観 る ・ 学 ぶ ・ 体 験 す る ・ 食 べ る ・ 安 ら ぐ ・ 泊 る ・ 土 産 を 買 う ”を つ
なぐ
◆他国とのつながりや差異を体感できるプログラムの開発
◆ジオを満喫できる宿泊施設の充実
69
■外国人ジオツアーのプロモーション
“ 日 本 ” と い う ジ オ 資 源 の 宝 庫 に 多 く の 外 国 人 に 来 訪 し て も ら い ,各 地 の ジ オ パ ー ク
を 体 感 し て も ら い ,“ 日 本 ジ オ パ ー ク ” へ の フ ァ ン を 増 や し て い く こ と が 求 め ら れ る 。
そ の た め ,国 の 観 光 施 策 と 呼 応 し な が ら ,特 に ,ア ジ ア を タ ー ゲ ッ ト に“ 日 本 ジ オ パ ー ク ”
に 関 す る プ ロ モ ー シ ョ ン を 行 い な が ら ,各 地 の ジ オ パ ー ク で 外 国 人 対 象 の ジ オ ツ ア ー を
活 発 化 し て い く こ と が 必 要 で あ る 。 こ こ で は ,以 下 の 整 備 を 行 う こ と を 提 案 す る 。
◆アジアジオパークネットワークの整備
◆アジア等へのジオツアー誘致のプロモーション
◆ ジ オ ツ ア ー 誘 客 に 向 け た Web プ ラ ッ ト フ ォ ー ム の 整 備
■受入れ環境の整備
外 国 人 に “ 日 本 ジ オ パ ー ク ” に 来 訪 し て も ら い ,ジ オ ツ ア ー を 満 喫 し て も ら う た め に
は ,受 入 れ 側 の 環 境 整 備 を し て お く こ と が 必 要 で あ る 。こ こ で は ,多 言 語 の 解 説 や ツ ー ル
の 整 備 の 他 に ,空 港 等 か ら ジ オ パ ー ク ま で の 移 動 環 境 の 改 善 ,ジ オ サ イ ト 周 辺 の 整 備 の
充 実 ,外 国 人 の 受 入 れ の た め の マ ナ ー 等 の ガ イ ド ブ ッ ク の 整 備 に つ い て 提 案 す る 。
◆空港等からジオパークまでの移動環境の改善
◆ジオサイト周辺の整備の充実
◆外国人の受入れのためのマナー等のガイドブックの整備
70
4.3.1
多言語によるジオツアー解説の充実
(1)
ジオツアー通訳ガイドの養成と活用
① 外 国 人 ツ ア ー 客 に ジ オ ツ ア ー を 満 喫 し て も ら う た め に は ,ジ オ ツ ア ー 通 訳 ガ イ ド の 役
割 が 極 め て 重 要 で あ る 。こ の た め ,各 地 の ジ オ パ ー ク に お い て ,英 語 ,中 国 語( 簡 体 字・
繁 体 字 ) ,韓 国 語 な ど の 通 訳 が で き る ガ イ ド を 養 成 す る こ と が 必 要 で あ る 。
② こ の 通 訳 ガ イ ド は ,ジ オ に 関 す る 一 定 の 知 識 が 求 め ら れ る た め ,2 章 で 示 し た ジ オ パ
ー ク 資 格 を 取 得 す る こ と が 重 要 で あ る 。ま た ,通 訳 ガ イ ド 資 格 と し て は ,国 家 資 格 で あ
る「通訳案内士」もある。
③ ジ オ ツ ア ー に お け る 通 訳 ガ イ ド は ,外 国 人 ツ ア ー 客 と 一 緒 に ジ オ の 体 験 を 共 有 し ,ジ
オ サ イ ト に 関 す る 解 説 を 楽 し く ,分 か り や す く 通 訳 す る こ と が 重 要 で あ る 。
④ ま た ,ジ オ ツ ア ー の プ ロ グ ラ ム を 組 み 立 て る 際 に は ,通 訳 に 必 要 な 時 間 を 組 み 込 む こ
とが必要である。
図 -4.8
ジオツアーにおける通訳ガイドの例
71
(2)
ジ オ パ ー ク ,ジ オ サ イ ト の 多 言 語 解 説 ツ ー ル の 充 実
① 各 地 の ジ オ パ ー ク に お い て ,多 言 語 の パ ン フ レ ッ ト や Web サ イ ト の 整 備 を 充 実 す る こ
と が 必 要 で あ る 。こ の よ う な 多 言 語 の パ ン フ レ ッ ト や Web サ イ ト は 外 国 人 ツ ア ー 客 の
理 解 を 助 け る こ と が 期 待 で き る と と も に ,通 訳 ガ イ ド の 有 益 な ツ ー ル と な り う る 。
② 各 ジ オ サ イ ト の 解 説 板 に お い て は ,サ イ ト の 名 称 や 主 要 な 解 説 に つ い て 多 言 語 化 が 必
要 で あ る 。特 に ,イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン セ ン タ ー ,ビ ジ タ ー セ ン タ ー ,博 物 館 ,資 料 館 等 の
施 設 の 解 説 板 に つ い て は ,そ れ 自 体 が ツ ア ー 客 の 理 解 を 深 め る た め に 重 要 な 要 素 で あ
る た め ,多 言 語 化 す る こ と が 必 要 で あ る 。
③ た だ し ,解 説 板 に 多 く の 言 語 を 使 用 す る に は ,表 現 的 に も コ ス ト 的 に も 限 度 が あ る の
で ,多 言 語 で 解 説 で き る 学 芸 員 に よ る 解 説 ,通 訳 ガ イ ド の 同 行 ,他 で の ツ ー ル と の 組 合
せ ( 多 言 語 版 の 解 説 パ ン フ レ ッ ト ,多 言 語 版 の 音 声 ガ イ ド シ ス テ ム な ど ) な ど を 図 る
ことが望ましい。
④ こ こ で ,日 本 語 で 行 わ れ た 解 説 を 通 訳 ガ イ ド が 外 国 人 に 翻 訳 し て 伝 え る に は 一 定 の 時
間 を 要 す る た め ,ツ ア ー の プ ロ グ ラ ミ ン グ に お い て ,あ ら か じ め そ の よ う な 時 間 を 確
保しておくことが必要である。
石見銀山遺跡の音声ガイド
糸 魚 川 ジ オ パ ー ク 24 ジ オ サ イ ト の す べ て
図 -4.9
津和野の音声ガイド
多言語パンフレットと音声ガイドシステムの例
72
(3)
ICT 端 末 を 活 用 し た 多 言 語 ガ イ ド シ ス テ ム の 整 備
① 今 後 ,世 界 的 に 普 及 が 予 想 さ れ る 多 機 能 携 帯 電 話( ス マ ー ト フ ォ ン )を 活 用 し ,ジ オ パ
ー ク や ジ オ サ イ ト の セ ル フ ナ ビ ゲ ー シ ョ ン ,セ ル フ ガ イ ド ,音 声 ガ イ ド な ど の シ ス テ
ムを導入していくことも有効と考えられる。
② こ の よ う な シ ス テ ム は ,ツ ア ー 客 の 所 有 ス マ ー ト フ ォ ン を 対 象 と す る 他 ,専 用 の 端 末
を イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン セ ン タ ー 等 に 常 備 し ,ツ ア ー 客 に 貸 し 出 す 方 法 も あ る 。
③ ま た ,ス マ ー ト フ ォ ン や タ ブ レ ッ ト 型 端 末 な ど で 利 用 で き る AR( 拡 張 現 実 )ア プ リ ケ
ー シ ョ ン を 活 用 す れ ば ,現 地 で 内 臓 カ メ ラ に 風 景 を 投 影 す る と ,そ の 画 面 の 風 景 と 一
緒 に ジ オ サ イ ト の 名 称 や 解 説 を 表 示 す る こ と が で き る 。 ま た ,音 声 で の ガ イ ド も で き
る 。 こ の よ う な 多 言 語 版 の AR ガ イ ド シ ス テ ム を 開 発 す る こ と も 有 効 と 考 え ら れ る 。
株式会社ビートンソリューションホームページ
http://www.bton.jp/iphone-guide.html
LM3LABS 株 式 会 社 ホ ー ム ペ ー ジ
http://www.lm3labs.com/museum/ja/archives/71
図 -4.10
スマートフォン等を活用した多言語ガイドシステムの例
73
4.3.2
(1)
外国人ツアーの満足度の向上
「日本のジオ物語」の整備
① 外 国 人 ツ ア ー 客 の 満 足 度 を 高 め る 基 礎 と し て ,日 本 を ジ オ の 観 点 か ら 解 説 し た 「 日 本
の ジ オ 物 語 ( 仮 称 )」 の よ う な 多 言 語 の 副 読 本 ,パ ン フ レ ッ ト ,動 画 コ ン テ ン ツ を 作 成
することが有効と考えられる。
② こ の 中 で は ,地 球 誕 生 か ら の 地 史 の 中 で ,世 界 と 日 本 が ど の よ う な つ な が り が あ っ た
の か ,ど の よ う に し て 日 本 列 島 は で き た の か ,日 本 の 地 形・地 質 の 特 異 性 や 特 徴 は ど の
ようなことなのかを物語として分かりやすく解説する。
③ そ の 際 ,特 に ,世 界 の 主 要 地 域 や 主 要 国 と の つ な が り ,類 似 性 ,差 異 な ど を 対 比 的 に 解
説 す る こ と で ,外 国 人 ツ ア ー 客 が 日 本 を 相 対 化 し て 理 解 す る こ と が で き る 。
④ さ ら に は ,日 本 各 地 の ジ オ パ ー ク の 紹 介 ,解 説 も 組 み 込 み ,各 地 の ジ オ パ ー ク で の 外 国
人対象のジオツアーの有効なツールとする。
⑤ 使 用 言 語 と し て は ,英 語 に 加 え て ,中 国 語 ( 簡 体 字 ・ 繁 体 字 ) ,韓 国 語 な ど が 必 要 で あ
る 。ま た ,世 界 各 地 の ジ オ パ ー ク と の ツ ア ー 交 流 な ど を 視 野 と し な が ら ,そ の 他 の 言 語
( フ ラ ン ス 語 ,ス ペ イ ン 語 ,ロ シ ア 語 ,ア ラ ビ ア 語 等 ) へ の 翻 訳 を 行 っ て い く こ と が 望
ましい。
⑥このようなコンテンツはジオパークのプロモーションにも活用できる。
Earth Story [DVD]
http://www.amazon.co.uk/Earth-Story
-DVD/dp/B000FS9SGE
テレビ朝日:奇跡の地球物語
http://www.tv-asahi.co.jp/miracle-earth/
図 -4.11
ジオをテーマとした動画コンテンツの例
74
(2)
ジ オ の テ ー マ で“ 観 る ・ 学 ぶ ・ 体 験 す る ・ 食 べ る ・ 安 ら ぐ ・ 泊 る ・ 土 産 ”を つ な ぐ
① 外 国 人 で も 日 本 人 で も 同 様 で あ る が ,ジ オ ツ ア ー の 参 加 者 の 満 足 度 を 高 め る に は ,ジ
オ ツ ア ー の テ ー マ を 十 分 に 吟 味 し て 設 定 し ,ツ ア ー の 中 の “ 観 る ・ 学 ぶ ・ 体 験 す る ・
食 べ る・安 ら ぐ・泊 る ”な ど の 全 て の 行 動 を ジ オ の 観 点 か ら つ な ぐ こ と が 重 要 で あ る 。
② こ の 際 ,ジ オ サ イ ト の 見 学 ,観 察 を ジ オ の 観 点 か ら 解 説 す る こ と は も ち ろ ん ,化 石 や 琥
珀 な ど を 採 集 す る ,岩 石 や 砂 に 触 れ る ,山 岳 や 崖 を 登 る な ど の 体 験 プ ロ グ ラ ム を 組 合
せることが効果的である。
③ ま た ,ツ ア ー で の 食 事 の 食 材 ,調 理 の 方 法 ,伝 統 食 な ど に つ い て も ,ジ オ の 観 点 か ら 解
説 で き れ ば ,ジ オ と 地 域 の 自 然 ・ 文 化 ・ 風 土 に 対 す る 理 解 を 深 め る こ と が で き る 。 例
え ば ,ア ン コ ウ と い う 魚 が な ぜ こ の 地 で 採 れ る の か ,い つ 頃 か ら 漁 が 盛 ん に な っ た の
かなどについてはジオの観点から解説することができるはずである。
④ さ ら に ,“ 安 ら ぐ ・ 泊 る ” に つ い て も ,先 述 し た よ う に ,ジ オ の 絶 景 や 景 勝 を 満 喫 で き
る 宿 泊 施 設 を 活 用 し ,ツ ア ー 客 に そ の 地 の ジ オ を 実 感 し て も ら う こ と が で き れ ば ,ジ
オに抱かれて安らぐ・眠るという体感につながる。
体験する
食べる
学ぶ
ジオのテーマ
安らぐ
観る
泊る
土産
右 下 写 真 : http://www.nikkeibp.co.jp/style/secondstage/kaiteki/otoriyose_060117.html
図 -4.12
ジオのテーマでツアーの要素をつなぐ
75
(3)
他国とのつながりや差異を体感できるプログラムの開発
① 外 国 人 ツ ア ー 客 の ジ オ の 体 感 ・ 理 解 を 深 め る た め に は ,ツ ア ー 客 の 出 身 国 と 日 本 の ジ
オ の つ な が り ,類 似 性 ,差 異 な ど を 解 説 す る こ と で ,外 国 人 ツ ア ー 客 が 日 本 を 相 対 化 し
て理解することができる。
② 外 国 人 ツ ア ー 客 は ,日 本 と い う 異 国 の 地 で ,出 身 国 や 出 身 地 と の つ な が り ,違 い な ど を
発 見 し た と き に ,ジ オ ツ ア ー で の 体 験 に 感 動 し ,よ り 深 い 理 解 に つ な が る と 考 え ら れ
る。
③ こ の よ う な こ と か ら ,例 え ば ,a)ツ ア ー 対 象 地 と 他 国 の 地 史 の つ な が り を 解 説 す る ,b)
ツ ア ー 地 の ジ オ に 因 ん だ 文 化 ・ 風 土 と 他 国 と の つ な が り ,交 流 ・ 交 易 な ど の 要 素 を プ
ロ グ ラ ム に 組 み 込 む ,c)石 炭 や 鉱 物 な ど の ジ オ 資 源 の 国 際 的 な 比 較 を 解 説 す る ,d)世
界各地のジオとの関連の中で古代~現代の生物の進化など体験するなどのプログラ
ムを開発することが効果的である。
図 -4.13
他国とのつながりや差異を体感できる素材の例
76
(4)
ジオを満喫できる宿泊施設の充実
① 日 本 の 地 形 ・ 地 質 の 素 晴 ら し さ の 大 き な 魅 力 の 一 つ に ,岩 や 山 岳 な ど の 絶 景 や 景 勝 が
多 い こ と が あ る が ,こ の よ う な 絶 景 や 景 勝 に は そ れ を 借 景 と し た 宿 泊 施 設 が 立 地 し て
いることが多い。
② 外 国 人 対 象 の ジ オ ツ ア ー に は ,こ の よ う な ジ オ の 絶 景 や 景 勝 を 満 喫 で き る ホ テ ル や 旅
館 な ど を 選 定 す る こ と が 効 果 的 で あ る 。 そ し て ,そ の 絶 景 や 景 勝 地 を ジ オ の 観 点 か ら
解 説 す る 等 し て ツ ア ー 客 に そ の 地 の ジ オ を 実 感 し て も ら う こ と が で き れ ば ,ジ オ に 抱
か れ て 食 べ る ・ 寛 ぐ ・ 眠 る と い う 体 感 に つ な が り ,ツ ア ー の 満 足 度 の 向 上 が で き る 。
③ ま た ,全 国 各 地 の ジ オ パ ー ク に 存 在 す る こ の よ う な 宿 泊 施 設 を リ ス ト ア ッ プ し て ,ジ
オ ツ ア ー 認 定 ホ テ ル と し て 紹 介 す る ,宿 泊 施 設 の ホ ー ム ペ ー ジ な ど に 周 辺 の ジ オ に 関
す る 解 説 情 報 を リ ン ク さ せ る ,ジ オ を 解 説 し た 多 言 語 パ ン フ レ ッ ト な ど を 置 く な ど も
効果的と考えられる。
④ ま た ,今 後 ,こ の よ う な ジ オ の 資 源 性 が 高 い 絶 景 や 景 勝 地 に お い て ,宿 泊 施 設 を 整 備 す
る 際 に は ,ジ オ の 資 源 や 環 境 の 保 護・保 全 の 観 点 か ら 十 分 な 調 査 を 行 う と と も に ,ジ オ
の 素 晴 ら し さ を 演 出 す る レ イ ア ウ ト ,デ ザ イ ン ,整 備 を 行 う こ と が 望 ま れ る 。
図 -4.14
ジ オ を 満 喫 で き る 宿 泊 施 設 の 例 下:浄 土 ヶ 浜 パ ー ク ホ テ ル
http://www.jodo-ph.jp/
77
4.3.3
(1)
外国人ジオツアーのプロモーション
アジアジオパークネットワークの整備
① 観 光 庁 で は ,訪 日 外 国 人 3,000 万 人 を 目 指 し ,中 国 を は じ め と す る 東 ア ジ ア 市 場 に 重
点 を 置 い た 訪 日 旅 行 促 進 事 業 の 展 開 ,地 域 が 主 体 的 に 取 り 組 む 観 光 地 づ く り に 対 す る
支援などに重点を置いた観光施策が展開されている。
② こ の よ う な 国 の 施 策 展 開 に 沿 っ て ,ジ オ ツ ア ー に 外 国 人 ツ ア ー 客 を 誘 致 す る に は ,東
アジアに重点を置いたジオパークネットワークを構築することが一計である。
③ 特 に ,中 国 で は ジ オ パ ー ク に よ る 観 光 が 盛 ん で あ り ,22 の 世 界 ジ オ パ ー ク と 180 を 超
え る 国 家 地 質 公 園 が あ り ,多 く の 観 光 客 で 賑 わ っ て い る 。 ま た ,韓 国 で も 最 近 ,漢 拏 山
や 万 丈 窟 ,城 山 日 出 峰 な ど の 済 州 道 の 名 所 9 カ 所 が 世 界 ジ オ パ ー ク に 認 定 さ れ て い る 。
④ こ の よ う な 中 ,ア ジ ア 圏 で ジ オ パ ー ク ネ ッ ト ワ ー ク を 構 築 し て ,相 互 の 交 流 ツ ア ー を
活 発 化 し な が ら ,ジ オ 観 光 マ ー ケ ッ ト の 拡 大 ,観 光 ツ ア ー の 充 実 な ど を 図 る こ と に よ
り ,ジ オ 観 光 を 相 乗 的 に 促 進 す る 。
平 成 22 年 版 観 光 白 書
図 -4.15
ア ジ ア 3 カ 国 に お け る 観 光 客 受 入 れ 数 の 推 移 ( H12 年 度 → H19 年 度 )
図 -4.16
アジアの世界ジオパーク
78
(2)
アジア等へのジオツアー誘致のプロモーション
① ア ジ ア に 重 点 を 置 い た 訪 日 旅 行 促 進 の 中 で ,自 国 で ジ オ パ ー ク を 有 す る 中 国 や 韓 国 等
へのジオツアーをプロモーションしていくことが有効と考えられる。
② 特 に ,ジ オ ツ ア ー の よ う な 体 験 学 習 的 な 要 素 が 強 い 観 光 商 品 に つ い て は ,教 育 旅 行 が
有 望 な マ ー ケ ッ ト と 考 え ら れ る 。ま た ,教 育 旅 行 は 一 定 の 団 体 の 集 客 が 見 込 め る こ と ,
天 候 に 左 右 さ れ に く い こ と ,平 日 の 稼 動 が 見 込 め る こ と な ど か ら ,旅 行 代 理 店 と し て
も 魅 力 的 な 商 品 で あ る 。 さ ら に は ,中 国 や 韓 国 等 は ,訪 日 旅 行 に 対 す る ニ ー ズ ,他 国 で
の教育に対するニーズも高い。
③ こ の よ う な こ と を 踏 ま え ,例 え ば ,中 国 や 韓 国 等 の 小 中 高 等 学 校 を タ ー ゲ ッ ト と し て ,
日 本 ジ オ パ ー ク を 巡 る 教 育 旅 行 の 誘 致 プ ロ モ ー シ ョ ン を ,旅 行 代 理 店 と タ イ ア ッ プ し
ながら展開することが考えられる。
④ こ の 際 に は ,日 本 各 地 の ジ オ パ ー ク に お い て 受 入 れ 環 境 を 整 備 す る と と も に ,外 国 人
の 学 童 を 対 象 に ,“ 日 本 ” を ジ オ と 自 然 ・ 風 土 を 通 し て 体 感 ・ 理 解 で き る 魅 力 的 な ツ
アープログラムを組み立てることが必要である。
図 -4.17
日本のジオパーク(日本ジオパークネットワーク資料)
79
(3)
ジ オ ツ ア ー 誘 客 に 向 け た Web プ ラ ッ ト フ ォ ー ム の 整 備
① 海 外 に 対 し て ジ オ ツ ア ー の よ う な 着 地 型 旅 行 商 品 の マ ー ケ テ ィ ン グ を 行 う に は ,ネ ッ
ト 社 会 に お け る 消 費 行 動 の プ ロ セ ス 仮 説 で あ る 「 AISAS 理 論 」 に 基 づ き ,必 要 な 体 制
やシステムを構築していくことが考えられる。
【 AISAS 理 論 】
AISAS 理 論 と は 、 マ ー ケ テ ィ ン グ に お け る 消 費 行 動 の プ ロ セ ス に 関 す る
仮 説 の ひ と つ で 、 消 費 者 の 購 買 に ま つ わ る プ ロ セ ス を 「 Attention: 注 意 」
「 Interest: 興 味 」「 Search: 検 索 」「 Action: 購 買 」「 Share: 情 報 共 有 」の プ
ロセスから成り立つとする理論のこと。電通が提唱している。
② こ こ で は ,こ の AISAS 理 論 に 基 づ い て 外 国 人 ツ ア ー 客 を 誘 客 す る た め ,日 本 各 地 の ジ
オ パ ー ク と の ネ ッ ト ワ ー ク の も と に“ 日 本 ジ オ パ ー ク ”の Web プ ラ ッ ト フ ォ ー ム を 構
築することを提案する。
③ す な わ ち ,従 来 の ジ オ パ ー ク の 紹 介 や 仕 組 み の 解 説 を 前 面 に す る の で は な く ,“ 日 本 ジ
オ パ ー ク ”の 全 体 の 魅 力 を 紹 介 し つ つ( Attention,Interest),国 内 外 の 潜 在 ツ ア ー
客 を タ ー ゲ ッ ト と し て ,選 り す ぐ り の ツ ア ー 商 品 を 前 面 に 打 ち 出 し た ホ ー ム ペ ー ジ を
構 築 す る ( Interest)。
④ こ の 際 ,ジ オ ツ ア ー 商 品 と し て は 各 地 の ジ オ サ イ ト や ツ ア ー を デ ー タ ベ ー ス 化 し ,閲
覧 者 が ネ ッ ト 上 で 好 み の ツ ア ー を 物 色 で き る よ う に す る( Search)。ま た ,中 国 人 向 け
韓 国 人 向 け ,夫 婦 向け ,親 子 向 け な ど のセ グ メ ン ト 別 の メ ニュ ー も 有 効 で あ る
( Interest, Search)。
⑤ そ し て ,旅 行 代 理 店 等 の 観 光 予 約 サ イ ト な ど と リ ン ク し て お き ,閲 覧 者 が 気 に 入 っ た
ツ ア ー 商 品 を Web 上 で 予 約 が で き ,購 入 で き る よ う に す る ( Action)。
⑥ ま た ,YouTube を 活 用 し て ツ ア ー を 動 画 で 閲 覧 で き る よ う に す る ,メ ー ル マ ガ ジ ン の
参 加 登 録 機 能 を 組 み 込 む ,Twitter,facebook 等 の ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア を 設 け る な ど ,
ネ ッ ト に よ る 口 コ ミ ,コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 活 発 化 し フ ァ ン や サ ポ ー タ ー の 輪 を 広 げ
て い く ( Share)。
80
外国人客
選りすぐりツアー
Web プ ラ ッ ト
フォーム
体験メニュー
ジオサイトデータベース
ソーシャルメディア
図 -4.18
Web プ ラ ッ ト フ ォ ー ム の イ メ ー ジ
81
4.3.4
(1)
受入れ環境の整備
空港等からジオパークまでの移動環境の改善
①外国人ツアー客が主要空港や主要駅から各地のジオパークまで無理なく移動できる
環 境 を 整 備 し て お く こ と が 必 要 で あ る 。そ の た め ,交 通 拠 点 ,二 次 交 通 な ど の 経 路 に 沿
っ て 言 語 の 障 害 な く ,乗 換 ・ 移 動 が 無 理 な く で き る よ う に す る 。
② 具 体 的 に は ,案 内 標 識 ,時 刻 表 ,ガ イ ド ブ ッ ク や マ ッ プ な ど の 多 言 語 化 を 図 る こ と が 必
要 で あ る 。 ま た ,ピ ク ト グ ラ ム 表 示 や 音 声 ガ イ ド に よ る 案 内 ,バ ス の ナ ン バ リ ン グ ,タ
ク シ ー 等 へ の 指 差 し マ ッ プ の 配 備 な ど も 効 果 的 で あ る 。さ ら に は ,電 子 看 板 ,イ ン タ ー
ネ ッ ト ,ス マ ー ト フ ォ ン 端 末 な ど の ICT 機 器 を 組 合 せ て 案 内 が で き る よ う に 工 夫 す る
ことも有効である。
③ 駅 の 観 光 案 内 所 や レ ン タ カ ー の 店 舗 な ど に つ い て は ,外 国 人 へ の ジ オ ツ ア ー の 案 内 が
で き る よ う に ,通 訳 ガ イ ド を 配 置 す る ,多 言 語 の ガ イ ド ブ ッ ク を 常 備 す る な ど の 配 慮
をしておくことが必要である。
図 -4.19
多言語案内表示の例(国土交通省中国運輸局資料)
82
(2)
ジオサイト周辺の整備の充実
① ジ オ パ ー ク に お い て は ,ジ オ サ イ ト ま で の ア ク セ ス 道 路 ,駐 車 場 ,休 憩・便 益 施 設 ,解 説
板 ,探 索 路 な ど が 確 保 さ れ て い る が ,外 国 人 受 入 れ の た め に そ の よ う な 施 設 や 整 備 の
点 検 を 行 い ,そ の 内 容 を さ ら に 充 実 し て い く こ と が 望 ま し い 。
② ま た ,ジ オ サ イ ト 周 辺 の 土 木 工 事 や 建 築 工 事 を 行 う 場 合 に は ,ジ オ パ ー ク 関 係 者 と の
協 議 を し な が ら ,ジ オ サ イ ト 周 辺 の 地 質 ・ 地 形 資 源 ,自 然 環 境 ,景 観 を 損 な う こ と が な
いように最大限の配慮・工夫を行うことが求められる。
③ こ の 際 ,工 事 に よ っ て 生 じ た 法 面 を 露 頭 と し て 保 全 で き れ ば ,ジ オ サ イ ト の 資 源 と な
る た め ,安 全 性 を 確 保 し た 上 で ,な る べ く 法 覆 工 を 用 い な い 工 法 の 検 討 が 望 ま し い 。
④ コ ン ク リ ー ト な ど を 用 い る 場 合 に は ,例 え ば ,周 辺 の 地 層 や 岩 を 参 考 と し た 擬 岩 な ど
を 活 用 し て 周 辺 景 観 と 調 和 さ せ る こ と も 一 計 で あ る 。た だ し ,こ の 場 合 に は ,ツ ア ー 客
に擬岩を活用していることを解説しておくことが望ましい。
⑤ ジ オ サ イ ト 周 辺 で の ゴ ミ の 散 乱 が み ら れ る 場 合 に は ,そ の ジ オ パ ー ク だ け で な く ,日
本 ジ オ パ ー ク 自 体 の 魅 力 を 損 な っ て し ま う た め ,注 意 が 必 要 で あ る 。特 に ,海 岸 部 に お
い て は 漂 着 ゴ ミ も 多 い た め ,ク リ ー ン な 状 態 に キ ー プ し て お く こ と が 重 要 で あ る 。 ま
た ,そ の 一 方 で ,海 岸 漂 着 ゴ ミ を 他 国 と の 海 流 の つ な が り を 学 ぶ 環 境 学 習 の 素 材 と し
て活用することも一計である。
図 -4.20
岩の露頭を保全している例
宮 地 組 HP http://www.kigyou-noto.jp/miyaji.htm NETIS ホ ー ム ペ ー ジ http://www.netis.mlit.go.jp/
図 -4.21
土木工事における擬岩の使用例
83
(3)
外国人の受入れのためのマナー等のガイドブックの整備
① 外 国 人 ツ ア ー 客 を 受 入 れ す る た め に は ,ツ ア ー 客 に 快 適 に 過 ご し て も ら う た め ,対 象
国 の 習 慣 や マ ナ ー の 違 い な ど を 知 っ て お き ,も て な し の 配 慮 ・ 工 夫 な ど を 充 実 し て お
くことが必要である。
② そ の た め に は ,各 地 の ジ オ パ ー ク に お い て ,地 域 の 特 性 も 加 味 し な が ら ,外 国 人 接 遇 の
ためのマナーや配慮事項などを解説したガイドブックを作成しておくことが有効で
あ る 。そ し て ,そ れ を 関 係 者 に 配 布 す る と と も に ,講 習 会 な ど を 行 っ て お く こ と が 望 ま
しい。
③ガイドブックに記載する事項としては以下のような項目が考えられる。
【外国人受入れのためのマナー等のガイドブックの項目例】
・心構え
・基本的なマナー
・対象国の特徴や習慣
・フィールドでの接遇
・移動交通での待遇
・飲食の接遇
・宿泊施設での接遇
・病気や事故への対応
・クレームへの対応
・会話事例
図 -4.22
等
外国人観光客接遇マニュアルの例(糸魚川ジオパークの例)
84
4.3.5
関係者の役割連携
以 上 に 示 し た 外 国 人 ジ オ ツ ア ー の 活 発 化 に 向 け た 整 備 に お い て ,こ こ で は ,学 識 者 ,地 質
調 査 業 者 ,地 域 コ ン サ ル タ ン ト ,観 光 事 業 者 ,自 治 体 ,地 域 住 民 が そ れ ぞ れ 有 し て い る ス キ ル
や ノ ウ ハ ウ ,リ ソ ー ス な ど を 想 定 し て 上 で ,相 互 の 役 割 連 携 の あ り 方 を 検 討 す る 。
ま ず ,関 係 者 の ス キ ル や ノ ウ ハ ウ ,リ ソ ー ス を 以 下 の よ う に 設 定 す る 。
表 -4.2
関 係 者 が 有 す る ス キ ル ,ノ ウ ハ ウ ,リ ソ ー ス の 仮 定
関係者
学識者
地質調査業者
コンサルタント
観光事業者
自治体
地域住民
所 有 す る ス キ ル ,ノ ウ ハ ウ ,リ ソ ー ス な ど
地 質 や 地 形 の 高 度 な 専 門 的 知 識 を 有 す る 。 ま た ,自 然 や
文化・風土についても高度な専門知識を有する学識者も
存在する。
全国や当該地域の地質や地形に関する豊富な情報を有
す る と と も に ,地 質 調 査 ・ 解 析 に つ い て 高 度 な 専 門 知 識
とコンサルティングの経験を有する。
全 国 や 当 該 地 域 の 地 域 づ く り や 観 光 振 興 に つ い て ,高 度
な専門的知識とコンサルティングの経験を有する。
全国や当該地域の観光について様々なノウハウと経験
を 有 す る と と も に ,募 集 型 企 画 旅 行 が 実 施 で き る 。
当 該 地 域 の 自 治 体 と し て ,地 域 に 関 す る 様 々 な 情 報 を 有
す る と と も に ,関 連 事 業 の 予 算 確 保 ,実 行 ,管 理 な ど を 行
うことができる。
当該地域の居住者で地域の資源や歴史・文化などに詳し
い 住 民 も 存 在 し ,ボ ラ ン テ ィ ア 参 加 に も 関 心 が あ る 。
こ の よ う な 位 置 づ け の も と ,先 に 示 し た 整 備 の 項 目 に お い て ,各 々 が 担 い う る 役 割 の 可 能
性を以下のように整理した。
85
表-4.3 関係者が担いうる役割の可能性
整備の内容
■多言語によ
るジオツア
ー解説の充
実
◆ジオツアー通訳ガイドの養
成と活用
◆ジオパーク,ジオサイトの多
言語解説ツールの充実
◆ICT 端末を活用した多言語ガ
イドシステムの整備
■外国人ツア
ーの満足度
の向上
◆「日本のジオ物語」の整備
◆ジオのテーマで“観る・学
ぶ・体験する・食べる・安ら
ぐ・泊る・土産を買う”をつ
なぐ
◆他国とのつながりや差異を
体感できるプログラムの開
発
◆ジオを満喫できる宿泊施設
の充実
■外国人ジオ
ツアーのプ
ロモーショ
ン
◆アジアジオパークネットワ
ークの整備
◆アジア等へのジオツアー誘
致のプロモーション
◆ジオツアー誘客に向けた Web
プラットフォームの整備
■受入れ環境
の整備
◆空港等からジオパークまで
の移動環境の改善
◆ジオサイト周辺の整備の充
実
◆外国人の受入れのためのマ
ナー等のガイドブックの整
備
学識者
地質調査業者
観光事業者
自治体
NPO・地域住民
*ジオツアーの解説
に関する情報の提
供・指導・監修を
担う
*ジオツアーの解説に関する素材の収集・
整理・編集を担う
*通訳ガイドの養成プログラムの開発を担
う
*多言語解説ツールの開発などを担う
*通訳ガイドの養成プログラムの開発を担
う
*多言語解説ツールの開発などを担う
*通訳ガイドの養成
や多言語解説ツー
ルなどに必要な観
光面のノウハウの
提供を担う
*通訳ガイドの養成
事業の予算確保・
実行を担う
*多言語解説ツール
の開発に関する事
業の予算確保・実
行を担う
*通訳ガイドとして
参加
*ジオに関する情報
の提供・指導・監
修を担う
*世界や他国とのつ
ながりや差異につ
いて情報の提供・
指導・監修を担う
*ジオに関する素材の収集・整理・提供を
担う
*ジオツアー認定の宿泊施設の選定を担う
*「日本のジオ物語」の作成を担う
*ジオツアーや体感プログラムの開発を担
う
*「日本のジオ物語」の作成を担う
*ジオツアーや体感プログラムの開発を担
う
*ジオツアーや体感
プログラムの企
画・募集・実行を
担う
*ジオツアー認定の
宿泊施設の選定を
担う
*ジオツアーや体感
プログラムの開発
の予算確保・実行
を担う
*ジオツアーや体感
プログラムの開発
に参加する
*アジアネットワー
クへの助言・協力
を担う
*ジオサイトのデータベース作成を担う
*Web プラットフォームの構築を担う
*ジオツアーや体感プログラムの開発を担
う
*Web プラットフォームの構築を担う
*ジオツアーや体感プログラムの開発を担
う
*アジア等へのジオ
ツアー誘致のプロ
モーションを担う
*アジアネットワー
クへ加盟する
*アジア等へのジオ
ツアー誘致のプロ
モーションを担う
*Web 整備のための
予算確保・実行を
担う
*ジオツアーや体感
プログラムの開発
に参加する
*ジオサイトの周辺
整備の指導・監修
を担う
* ジ オ サ イ トの 周 辺
整備に必要な地質
調査を担う*周辺
整備の充実の検討
を担う
* 受 入 れ ガ イド ブ ッ
クの作成を担う
*受入れガイドブッ
クによりスタッフ
のもてなし対応を
充実する
*移動環境の改善の
ための予算確保・
実行を担う
*周辺整備の予算確
保・実行を担う
*ガイドブック作成
の予算確保・実行
を担う
*周辺整備について
意見・提案を行う
*受入れガイドブッ
クによりもてなし
対応を向上する
86
コンサルタント
*移動環境の改善
の検討を担う
*周辺整備の充実
の検討を担う
*受入れガイドブ
ックの作成を担
う
以上の検討結果を,関係者間の連関図で示すと以下の通りである。
■多言語によるジオツアー解説の充実
学識者
指導・監修
指導・監修
指導・監修
通訳ガイド
として参加
指導・監修
地質
事業者
収集・整
理・編集
プログラム・ツ
ールの開発
コンサル
タント
NPO
住民
ジオパーク
運営協議会
等
収集・整
理・編集
プログラム・ツ
ールの開発
ノウハウ
提供
自治体
予算確
保・実行
ノウハウ
提供
観光
事業者
■外国人ツアーの満足度の向上
学識者
指導・監修
指導・監修
指導・監修
ツアーやプログ
ラム開発に参加
指導・監修
地質
事業者
収集・整
理・編集
物語の作成
ジオパーク
運営協議会
等
プログラム・
ツールの開
発
収集・整
理・編集
物語の作成
コンサル
タント
NPO
住民
プログラム・ツ
ールの開発
87
自治体
予算確
保・実行
企画・募
集・実行
観光
事業者
■外国人ジオツアーのプロモーション
NPO
住民
学識者
助言・協力
助言・協力
ツアー・プログラ
ム開発への参加
助言・協力
地質
事業者
データベ
ース作成
Web プラッ
トフォーム
の構築
ツアー・プロ
グラム開発
コンサル
タント
体
ジオパーク
運営協議会
等
データベ
ース作成
Web プラットフ
ォームの構築
ツアー・プログ
ラム開発
自治体
予算確
保・実行
プロモー
ション
観光
事業者
験
す
る
■受入れ環境の整備
学識者
指導・監修
指導・監修
意見・提案
指導・監修
もてなし向上
指導・監修
地質
事業者
地質調査
NPO
住民
ジオパーク
運営協議会
等
環 境改 善・充
実の検討
ガイドブック作成
自治体
予算確
保・実行
もてなし
向上
観光
事業者
コンサル
タント
以上の検討から,主に,学識者はその専門ノウハウに基づき,情報提供・指導・監修・助言を担い,
地質事業者やコンサルタントはその専門ノウハウをもとに, 素材の収集・整理・編集や,整備に伴
う地質調査,サイトのデータベース,ツールの開発,ツアーやプログラムの開発,Web プラットフォ
ームの構築などの多様な役割を担うことができると考えられる。また,観光事業者は観光でのノウ
ハウと経験をもとに,ツアーやプログラムの企画・募集・実行,誘致のプロモーションを担い,自治
体はこれらの事業に必要な予算確保・実行を担うことができる。さらに,NPO・地域住民は通訳ガ
イドとして参加する他,ツアーやプログラムの開発への参加が期待できる。
88
5.
世界のジオパークのホームページの現状について(日本におけるホームページ構築に
関する提案)
5.1
ジオパーク運営におけるホームページの位置づけ
ジ オ パ ー ク の 運 営 に お い て ホ ー ム ペ ー ジ は ,ジ オ パ ー ク に 関 す る 広 報 ・ 情 報 発 信 ,来 訪 者
へ の 案 内 ,問 合 せ 窓 口 ,コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 場 の 提 供 ,グ ッ ズ 販 売 な ど 多 様 な 役 割 を 担 う 。
ホ ー ム ペ ー ジ を 通 じ て ,ジ オ パ ー ク の 地 質 的 特 徴 ・ 自 然 遺 産 ・ 文 化 遺 産 ,交 通 ア ク セ ス ・ イ
ベ ン ト・シ ョ ッ ピ ン グ・宿 泊 案 内 ,ジ オ ツ ア ー・ガ イ ド の 料 金 体 系・申 し 込 み 方 法 な ど 様 々
な 情 報 が 発 信 さ れ ,ジ オ パ ー ク の こ と を 良 く 知 ら な い 人 ,少 し 興 味 が あ る 人 ,実 際 に 訪 問 し
たいと思っている人など多様な人間がアクセスする。
ホ ー ム ペ ー ジ は ,世 界 の 人 々 が 情 報 に ア ク セ ス す る 手 段 と し て ,極 め て 重 要 な 位 置 づ け と
なる。
「 世 界 ジ オ パ ー ク ネ ッ ト ワ ー ク ガ イ ド ラ イ ン 」に お い て も ホ ー ム ペ ー ジ の 活 用 に つ い
て 言 及 さ れ て お り ,ジ オ パ ー ク の 運 営 に お い て ホ ー ム ペ ー ジ の 位 置 づ け を 明 確 化 し て ,戦 略
的にその製作・活用方策を展開していくべきである。
具 体 的 に は ,ホ ー ム ペ ー ジ の 達 成 目 標 を 定 め て 展 開 し て い く こ と が 想 定 さ れ ,目 標 値 の 設
定 例 を 表 -5.1 に 示 す 。 ま た ,表 -5.1 に 示 し た 目 標 の 達 成 に 向 け て 必 要 と な る 検 討 項 目 の 例
を 表 -5.2 に 示 す 。
表 -5.1
ジオパークのホームページの目標値の設定例
目標
目標値の設定例
目 標 0: 必 要 最 低 限 の 要 件 を
ジ オ パ ー ク 認 定 申 請 書 記 載 の 要 件 等 ( 多 言 語 対 応 ,位 置
備えたホームページ製作
図 ・ 交 通 案 内 の 掲 載 な ど ) ,必 要 最 低 限 の 要 件 を 満 足 す る 。
目 標 1: ホ ー ム ペ ー ジ 訪 問 者
ホ ー ム ペ ー ジ の ア ク セ ス 数 ,ア ク セ ス 増 加 率 な ど の 目 標 値
数の増加
を設定する。
例:アクセス数
20,000 件 /月 以 上
アクセス増加率
5% 増 ( 前 月 比 )
目 標 2: ホ ー ム ペ ー ジ 訪 問 者
ホ ー ム ペ ー ジ の 再 ア ク セ ス 率 ,訪 問 頻 度 な ど の 目 標 値 を 設
のリピータ数の増加
定する。
例:再アクセス率
訪問頻度
目 標 3: 現 地 訪 問 者 数 の 増 加
20%以 上
月 2 回以上
ホームページがきっかけとなってジオパークに来た訪問
者数の目標値を設定する。
例:ホームページを見て訪問した人
20,000 人 /年 以 上
目 標 4: ホ ー ム ペ ー ジ を 通 じ
ホ ー ム ペ ー ジ を 通 じ た 出 版 物 ,グ ッ ズ 等 の 通 信 販 売 の 売 上
たグッズ販売量の増加
高 の 目 標 値 を 設 定 す る 。例:売 上 高
89
5,000,000 円 /年 以 上
表 -5.2
目標達成に向けて必要となる検討項目の例
目標
検討項目の例
目 標 0: 必 要 最 低 限 の 要 件 を
・ 世界ジオパークネットワーク自己評価表からホームペ
備えたホームページ製作
ー ジ に 求 め ら れ る 要 件 ( 掲 載 す べ き 情 報 ,多 言 語 対 応 な
ど)の抽出
目 標 1: ホ ー ム ペ ー ジ 訪 問 者
数の増加
・ ホ ー ム ペ ー ジ 以 外 の 媒 体 ( 広 報 誌 ,ダ イ レ ク ト メ ー ル ,
チラシなど)からホームページへの誘導
・ 他 の ホ ー ム ペ ー ジ か ら の 誘 導 ( イ ン タ ー ネ ッ ト 広 告 ,関
連ホームページとの相互リンクなど)
・ 検 索 エ ン ジ ン に よ る ヒ ッ ト 率 向 上 策 ( SEO,キ ー ワ ー ド
広告など)
・ 外国人をターゲットとしたホームページ誘導策
目 標 2: ホ ー ム ペ ー ジ 訪 問 者
・ 見 や す い ,わ か り や す い ホ ー ム ペ ー ジ デ ザ イ ン
のリピータ数の増加
・ コ ン テ ン ツ の 種 類 ,内 容 ,更 新 頻 度 な ど
・ ニュースレターなどを通じた定期的な情報配信
・ ブ ロ グ ,SNS,Twitter な ど の ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア へ の 対
応
目 標 3: 現 地 訪 問 者 数 の 増 加
・ 訪 問 者 に 必 要 と な る 情 報 ( ア ク セ ス 手 段 ,イ ベ ン ト 案
内 ,ガ イ ド ・ ツ ア ー 案 内 ,シ ョ ッ ピ ン グ ・ 宿 泊 施 設 な ど )
の 充 実 度 ,網 羅 性
・ 他の観光地における成功事例調査
目 標 4: ホ ー ム ペ ー ジ を 通 じ
・ キャラクターグッズの検討
たグッズ販売量の増加
・ 大規模通販サイトとの提携
な お ,表 -5.2 の 検 討 項 目 は ,一 般 的 な 項 目 の 例 示 で あ り ,実 際 の ジ オ パ ー ク の ホ ー ム ペ ー
ジ 製 作 に 当 た っ て は ,各 運 営 主 体 が ,対 象 地 域 の 特 徴 ,タ ー ゲ ッ ト 層 の ユ ー ザ ニ ー ズ ,ア ン ケ
ー ト・モ ニ タ リ ン グ 等 に よ る 評 価 な ど を 踏 ま え て ,具 体 性 を 持 っ た 検 討 を 進 め て い く こ と が
肝要である。
本 報 告 書 で は ,今 後 ,ジ オ パ ー ク の 各 運 営 主 体 が 戦 略 的 な ホ ー ム ペ ー ジ 製 作 を 展 開 す る 際
の 参 考 と な る よ う に ,以 下 の 事 項 を 取 り ま と め て 報 告 す る 。
z
世界のジオパークのホームページの現状
z
ホームページ製作要件
z
ホームページ製作技術
z
先進事例調査
z
日本のジオパークのホームページへの提案
90
5.2
世界ジオパークのホームページの現状(概要)
2011 年 3 月 時 点 で ,25 カ 国 /地 域 の 77 箇 所 が 世 界 ジ オ パ ー ク に 認 定 さ れ て い る ( 表 -5.3
参 照 )。 こ れ ら の 世 界 ジ オ パ ー ク の ホ ー ム ペ ー ジ の 現 状 把 握 を 目 的 に ,ホ ー ム ペ ー ジ の 掲 載
コンテンツ等を調査した。調査項目を次に示す。
z
世 界 ジ オ パ ー ク の ホ ー ム ペ ー ジ の ト ッ プ ペ ー ジ ,2 階 層 目 の ペ ー ジ 等 を 対 象 に 以 下 の
項目を調査
¾
多言語対応状況:ホームページが母国語以外の言語に対応しているか
¾
位 置 図 の 有 無:ジ オ パ ー ク の 位 置 が 把 握 で き る 地 図 を 掲 載 し て い る か( 当 該 地 域
の 地 理 を 知 ら な い 外 国 人 で も 位 置 把 握 が で き る こ と を 条 件 と し ,詳 細 図 等 は 条 件
を満たさないものとした)
¾
ニュースレター配信の有無:ニュースレター配信があるか
¾
ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア へ の 対 応 状 況 : ブ ロ グ ,SNS,Twitter な ど の ソ ー シ ャ ル メ デ
ィアに対応しているか
世 界 ジ オ パ ー ク の ホ ー ム ペ ー ジ の 現 状 に 関 す る 調 査 結 果 を ,表 -5.4 に 示 す 。
な お ,一 部 の ジ オ パ ー ク で は ホ ー ム ペ ー ジ が 存 在 し な い ,不 明 で あ る な ど の 理 由 に よ
り ,77 箇 所 全 て の ジ オ パ ー ク を 網 羅 的 に 調 査 で き て い な い 。
91
表 -5.3
世界ジオパークの数
国 /地 域
ヨーロッパ
数量
アイルランド
1
ア イ ル ラ ン ド・北 ア イ ル ラ ン
ド
1
イギリス
7
イタリア
7
オーストリア
1
ギリシア
4
クロアチア
1
スペイン
5
チェコ
1
ドイツ
5
ノルウェー
2
フランス
2
ポルトガル
2
ルーマニア
1
ハンガリー
1
フィンランド
1
中東
イラン
1
北米
カナダ
1
中南米
ブラジル
1
オセアニア
オーストラリア
1
アジア
マレーシア
1
ベトナム
1
韓国
1
中華人民共和国
24
日本
4
合計
25 カ 国 /地 域
92
77 箇 所
表-5.4 世界ジオパークの現状
No
1
国名
ジオパーク名
3
ア イ ル ラン
ド
ア イ ル ラン
ド ・ 北 アイ
ルランド
イギリス
NorthPenninesAONB
4
イギリス
NorthWesternHighlands
5
イギリス
FforestFawr
6
イギリス
Lochaber
7
イギリス
EnglishRiviera
8
イギリス
GeoMon
9
イギリス
ShetlandGeopark
10
イタリア
MadonieGeopark
11
イタリア
BeiguaGeopark
2
URL
多言語対応
CopperCoastGeopark
http://www.coppercoast 英語
geopark.com/
MarbleArchCavesEuropea http://www.marblearchc 英語
nGeopark
aves.net/
http://www.northpennin
es.org.uk/
http://www.northwest-h
ighlands-geopark.org.u
k/
http://www.fforestfawr
geopark.org.uk/
http://www.lochabergeo
park.org.uk/
http://www.englishrivi
erageopark.org.uk/
http://www.geomon.org.
uk/
http://www.geoparkshet
land.org.uk/index.html
http://www.parcodellem
adonie.it/
http://www.parcobeigua
.it/
93
位置図の有
無
あり(2 階層
目)
英語
多言語対応(50 あり
ヶ国語以上)
英語
あり
英語
あり
英語
あり
英語
あり
英語
イタリア語,英
語
イタリア語,英 あり
語,ドイツ語
NewsLetter
配信の有無
ソーシャル
メディア対
応
備考
No
国名
12
イタリア
GeologicalandMiningPar http://www.museodelcar イタリア語,英
kofSardinia
bone.it/
語,ドイツ語,
フランス語,ス
ペイン語
13
14
イタリア
イタリア
AdamelloBrenta
RoccadiCerereGeopark
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
ジオパーク名
URL
多言語対応
http://www.pnab.it/
イタリア語
http://www.roccadicere イタリア語
re.eu/
イタリア
CilentoandVallodiDiano http://www.parks.it/pa イタリア語
rco.nazionale.cilento/
Eindex.php
イタリア
TuscanMiningPark
オ ー ス トリ Eisenwurzen
http://www.geoline.at/ ドイツ語,英語
ア
(オーストリ
ア,イギリス,
チェコ,ハンガ
リーに対応)
ギリシア
Chelmos-VouraikosGeopa
rk
ギリシア
PetrifiedForestofLesvo http://www.petrifiedfo ギリシア語,英
s
rest.gr/
語
ギリシア
Psiloritis
http://www.psiloritis- ギリシア語,英
natural-park.gr/
語
ギリシア
Vikos-Aoos
クロアチア PapukGeopark
http://www.pp-papuk.hr クロアチア語
/dogadjanja/geopark.ht
m
スペイン
Maestrazgo
http://www.maestrazgo. スペイン語
org/
スペイン
Sobrarbe
http://www.geoparquepi スペイン語,フ
rineos.com/
ランス語,英語
94
位置図の有
無
NewsLetter
配信の有無
ソーシャル
メディア対
応
備考
英語,ドイツ
語,フランス
語,スペイン
語はパンフ
レットのみ
あり
あり
あり(2 階層
目)
あり(2 階層
目)
No
国名
ジオパーク名
25
スペイン
SierrasSubbeticas
26
スペイン
CabodeGata
27
28
スペイン
チェコ
BasqueCoastGeopark
BohemianParadise
ドイツ
TerraVita
30
ドイツ
Bergstrasse-Odenwald
31
ドイツ
Vulkaneifel
32
ドイツ
33
ドイツ
34
ノルウェー
http://www.geopark-vul
kaneifel.de/ngpve/inde
x.php
SchwabischeAlbs
http://www.geopark-alb
.de/
Harz-BraunschweigerLan http://www.geopark-har
dOstfalen
z.de/
GeaNorvegica
http://www.geanor.no/
35
ノルウェー
MagmaGeopark
29
URL
多言語対応
位置図の有
無
http://www.planetware. スペイン語
com/cordoba/parque-nat
ural-de-las-sierras-su
bbeticas-e-and-siesub.
htm
http://www.parquenatur スペイン語,英
al.com/
語
http://www.czech-mount チ ェ コ 語 , 英
ains.eu/bohemian-parad 語,ドイツ語
ise/
http://www.naturpark-t ドイツ語,英語 あ
り
erravita.de/
( GoogleMap
で日本語の
地図表示)
http://www.geo-naturpa ド イ ツ 語 , 英
rk.net/
語,中国語
95
ドイツ語
ドイツ語
ドイツ語
ノルウェー語, あり
ドイツ語,英語
NewsLetter
配信の有無
ソーシャル
メディア対
応
備考
公式ホーム
ページなの
か不明
ホテル,レス
トラン情報
へのリンク
あり
中国語につ
いてはビデ
オのみ
No
国名
36
フランス
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
ジオパーク名
URL
多言語対応
位置図の有
無
ReserveGeologiquedeHau http://www.resgeol04.o フランス語
teProvence
rg/
フランス
Luberon
http://www.parcduluber フランス語
on.fr/geopark
ポルトガル NaturtejoGeopark
http://www.naturtejo.c ポルトガル語, あり
om/conteudos/pt/home.p スペイン語,英
hp
語
ポルトガル AroucaGeopark
http://www.geoparquear ポルトガル語,
ouca.com/
英語,スペイン
語,フランス語
ルーマニア HategCountryDinosaurGe http://www.geopark.go. 英語
opark
ro/
ハンガリー Novohrad-Nogradgeopark http://www.nogradgeopa ハンガリー語, あり
rk.eu/
英語,スロバキ
ア語
フ ィ ン ラン Rokua
ド
イラン
QeshmIsland
http://www.hums.ac.ir/
english/province/hormo
zgan%20english/qeshm_i
sland.htm
カナダ
Stonehammer
ブラジル
Araripe
http://geoparkararipe. ポルトガル語,
org.br/geopark-website 英語,スペイン
/changeLocaleCommand.d 語
o?METHOD_KEY=change&la
nguage=pt_BR
オ ー ス トラ Kanawinka
http://www.kanawinkage 多言語対応(35
リア
opark.org.au/
ヶ 国 語 対
応 ,Google 翻
訳)
96
NewsLetter
配信の有無
ソーシャル
メディア対
応
あり
facebook
あり
twitter,fac
ebook
あり
備考
ホテル等へ
のリンクあ
り
ホテル等へ
のリンクあ
り
タグクラウ
ド,RSS 配信
No
国名
47
マレーシア
48
49
50
ジオパーク名
多言語対応
位置図の有
無
NewsLetter
配信の有無
ソーシャル
メディア対
応
備考
http://www.langkawigeo 中 国 , ド イ ツ ,
park.com.my/
フランス,オラ
ンダ,ポルトガ
ル,イタリア,
スペイン,日
本,ロシア,韓
国
翻訳ボタン
は機能しな
い
ベトナム
DongVanKarstPlateau
韓国
JejuIsland
中 華 人 民共 黄山(Huangshan)
和国
http://www.huangshan.g 中 国 語 , 英 語 ,
ov.cn/
日本語,韓国語
51
中 華 人 民共 廬山(Lushan)
和国
http://www.china-lusha 中 国 語 , 英 語 ,
n.com/
日本語,韓国語
52
中 華 人 民共 雲台山(Yuntaishan)
http://www.yuntaishan.
和国
net/
中 華 人 民共 石
林 http://www.chinastonef
和国
(ShilinStoneForest)
orest.com/
RSS 配 信 英
語,日本語,
韓国語ボタ
ンは機能し
ない
旅行会社,シ
ョッピング
情報あり
ガジェット
あり
英語,日本
語,フランス
語ボタンは
機能しない
53
54
55
56
LangkawiGeopark
URL
中 華 人 民共 丹霞山(Danxiashan)
和国
中 華 人 民共 張
家
界
和国
(ZhangjiajieSandstoneP
eakForest)
中 華 人 民共 五大連池(Wudalianchi)
和国
中国語,英語,
日本語,韓国語
中国語,英語,
日本語,フラン
ス語
http://www.danxia.com/ 中国語
http://www.cn-zjj.com/ 中国語
http://www.wdlc.com.cn 中 国 語 , 英 語 ,
/
韓国語,日本
語,ロシア語
97
ホテル等の
情報あり
No
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
国名
ジオパーク名
中 華 人 民共 嵩山(Songshan)
和国
中 華 人 民共 雁蕩山(Yandangshan)
和国
中 華 人 民共 泰寧(Taining)
和国
中 華 人 民共
和国
中 華 人 民共
和国
中 華 人 民共
和国
中 華 人 民共
和国
URL
多言語対応
中 国 語 , 英 語 , あり
韓国語,日本語
http://www.fjtn.com/fj 中 国 語 , 日 本
tn0/index.asp
語,韓国語,英
語
興文(Xingwen)
王 屋 山 - 黛 眉 山
(Wangwushan-Daimeishan
)
中 華 人 民共 雷涼(王+京)(Leiqiong)
和国
中 華 人 民共 房山(Fangshan)
和国
中 華 人 民共 鏡泊湖(Jingpohu)
和国
中 華 人 民共 伏牛山(Funiushan)
和国
中 華 人 民共 竜虎山(Longhushan)
和国
中 華 人 民共 自貢(Zigong)
和国
中 華 人 民共 阿拉善(Alxa)
和国
NewsLetter
配信の有無
ソーシャル
メディア対
応
備考
http://www.wzyds.com/
克什克騰(Hexigten)
泰山(Taishan)
位置図の有
無
http://www.mount-tai.c 中 国 語 , 英 語 ,
om.cn/
韓国語,日本語
http://www.bjfsh.gov.c 中国語
n/
http://www.nyfuniushan 中国語,英語
.com/index.asp
http://www.longhushan. 中 国 語 , 英 語 ,
com.cn/
韓国語,日本語
98
旅行会社へ
のリンクあ
り
No
71
72
73
74
75
76
77
国名
ジオパーク名
URL
多言語対応
中 華 人 民共 秦嶺終南山
和国
(Mt.Zhongnan,QinlingMo
untains)
中 華 人 民共 Leye-Fengshan
和国
中 華 人 民共 Ningde
和国
日本
糸魚川(itoigawa)
http://geo-itoigawa.co
m/index.php
日本
洞爺湖・有珠山
http://www.toya-usu-ge
(ToyaandMt.Usu)
opark.org/ja
日本
島原半島
http://www.unzen-geopa
(ShimabaraPeninsula)
rk.jp/
日本
山陰海岸(San'inKaigan) http://sanin-geo.jp/
99
日本語,中国語
日本語,英語,
中国語
日本語
日本語,英語
位置図の有
無
NewsLetter
配信の有無
ソーシャル
メディア対
応
備考
5.2.1 世界ジオパークのホームページの代表例
世界ジオパークのうち,特徴的なホームページの例を表-5.5 に示す。これらのホームペ
ージは,多言語に対応している,わかりやすい位置図が掲載されている,Newsletter を配信
している,Facebook,Twitter などのソーシャルメディアに対応している,ホテル,旅行会社
の情報に容易にアクセスできる,RSS 配信等を実施しているなどの特徴を有する。ユーザに
とってわかりやすい,使いやすい配慮がなされているが,これら以外の大部分のジオパーク
のホームページは,特段の配慮がなされていないのが現状である。
表-5.5 世界ジオパークの現状
国名
イギリス
ジオパーク名
North
Western
Highlands
ホームページの特徴
・ Google 翻訳により 50 カ国以上の言語に対応し
ている。
・ ヨーロッパ全域を俯瞰できる位置図を掲載し,
場所が容易に把握できる。
ドイツ
Terra Vita
・ GoogleMap を利用しており,クライアントの使
用言語に合わせて日本語の地図が表示される。
ポルトガル
Arouca Geopark
・ ホテル情報へのリンクがあり,容易に必要な情
報へアクセスできる。
オーストラリア
Kanawinka
・ Newsletter を定期的に配信している。
・ Facebook とのリンクがあり,ソーシャルメディ
アに対応している。
・ RSS,タグクラウドなどの機能を活用して,ユー
ザの利便性向上を図っている。
ブラジル
Araripe
・ Newsletter を定期的に配信している。
・ Twitter,Facebook とのリンクがあり,ソーシャ
ルメディアに対応している。
中華人民共和国
泰寧(Taining)
・ ホテル,旅行会社へのリンクがあり,容易に必要
な情報へアクセスできる。
100
(1) イギリス North Western Highlands
多言語対応
位置図
101
(2) ドイツ Terra Vita
GoogleMap を利用してお
り、日本語の地図が表示
102
(3) ポルトガル Arouca Geopark
ホテル情報へのリンク
103
(4) オーストラリア Kanawinka
Newsletter 登録
タグクラウド
Google 翻訳によ
る多言語対応
RSS、facebook
104
(5) ブラジル Araripe
Newsletter
Twitter
Facebook
105
(6) 中華人民共和国 泰寧(Taining)
ホテル、旅行会
社へのリンク
106
5.3 ホームページ製作要件
世界ジオパークネットワークガイドラインから,ホームページに関連する要件を抽出・分
析した。
世界ジオパークネットワークガイドライン自体にはホームページに関する要求事項は特
に明記されていないが,世界ジオパークネットワーク自己評価表にはホームページに関連
する事項が記載されており,これらの記載事項の抽出を行った(表-5.6 参照)。
表-5.6 の抽出結果をもとに,ジオパークのホームページに求められる要件をまとめると,
次のとおりとなる。
z
ホームページの目的・用途:次の目的・用途を満たすこと
¾
z
z
宣伝,教育,コミュニケーション,マーケティング,製品販売
コンテンツ:次のコンテンツを整備すること
¾
ジオサイトを示した地図
¾
ジオパークの案内・解説・教育コンテンツ等(動画等を含む)
¾
公共交通の案内,リンク
¾
地域情報
¾
観光協会,地域住民,地方自治体へのリンク
¾
ジオパーク管理者の連絡先
¾
カレンダー(イベント情報)
¾
ジオツアー案内
言語:多言語に対応すること
¾
英語,フランス語,スペイン語,ロシア語,中国語,アラビア語など
z
ニュースレター配信:ニュースレターを定期的に配信すること
z
双方向コミュニケーション:双方向コミュニケーションを確立すること
z
オンライン販売:出版物などをオンラインで注文できること
107
表-5.6 世界ジオパークネットワーク自己評価表にあるホームページ関連要件
カテゴリー
I 地質と景観
Ⅱ 運営組織
Ⅲ 情報や環境教育
Ⅳ ジオツーリズム
Ⅴ 地域経済の将来性
関連事項の記載内容の抜粋
1.2.2 申請地域には,どのようなタイプのジオサイトがありますか
ジオサイトのデータベースはありますか
ジオサイトを示した地図はありますか
1.3.3 自然遺産,文化遺産の利用促進
解説と教育
コミュニケーション
一般社会への宣伝
2.5 マーケティング戦略がありますか
2.5.1. あると答えた場合,どのような項目が含まれていますか
市場調査
製品の販売組織
観光事業の市場戦略
コミュニケーション戦略
3.3. どのような教材がありますか
映画,ビデオ,スライドなど
双方向性教材/ インターネット
3.5 知的関心を集めるための活動として,どのようなことを行って
いますか
印刷物 (パンフレット,雑誌など)
一般向けの読み物 (書籍,ガイドブック)
CDやビデオ
その他の宣伝用素材,製品
3.6 宣伝用製品は何ヶ国語で製作されていますか
英語 フランス語 スペイン語 ロシア語 中国語 アラビア語
複数言語での出版
4.4 公共交通をつかって来園するよう,利用者に呼びかけています
か
申請地域の宣伝用チラシ,パンフレットやホームページなどに,公
共交通の情報を載せている
交通機関の時刻表などの情報が掲載されたホームページに対して,
申請地域や観光団体のホームページからリンクをはってある
4.8 案内用の資料などは他に何がありますか
パンフレット
季節ごとに変わるチラシ
申請地域について書かれた書籍など
映画,ビデオ,CD,DVDなど
宣伝用の冊子
インターネットメディア
その他
4.9 インターネットを利用していますか,またその場合,どのよう
なサービスを提供していますか
地域についての情報を載せたホームページがある
観光協会,地域住民,地方自治体などのホームページにリンクをは
り,申請地域のさまざまな情報が得られる
ジオパーク管理者に E メールで連絡が取れる
ニュースレターを定期的にメールで配信
出版物の注文をオンラインで受ける
最新の活動カレンダー
来訪者が参加できるツアーなどの案内
-
108
5.4 ホームページ製作技術
ホームページの訪問者,リピータを増やすために,ホームページ自体の工夫も必要である。
ホームページ製作に当たって,ホームページのデザインの洗練,検索エンジンによるヒット
率の向上,ソーシャルメディアとのリンクなどの様々な要素技術が存在する。
これらのホームページ製作技術は,ホームページ関係の著書等に多数記述されているた
め,本報告書では詳細はふれずに,概要のみ示すこととする。
5.4.1 ホームページに関する技術
本報告書で取り扱うホームページに関する主な技術を,以下に概説する。
z
SEO:Search Engine Optimization の略。検索エンジンで上位にヒットするように
ウェブページを書き換えること,またはその技術のこと。適切なキーワードをタイト
ルやページ先頭に持ってくる,関連サイトとのリンクをはるなどの手法が用いられ
る。
z
キーワード広告:特定のキーワードに対する検索エンジンの検索結果として,企業の
短い広告メッセージとホームページへのリンクなどを表示すること。1 クリックあ
たりの料金による課金制度が導入されている。
z
ブログ:
「ウェブログ(weblog)
」を略した言葉で,WEB に残される記録(ログ)を意
味する。
日記形式で記録されるものなど,時系列で比較的頻繁に記録される情報が扱
われる。また,個人が気軽に情報発信・更新できる。
z
SNS:Social Network Service の略。人と人とのつながりを促進・サポートするコ
ミュニティ型の会員制のサービス。世界最大の会員数を持つサービスとし
て,Facebook,MySpace が挙げられる。
z
Twitter:個々のユーザが「ツイート」と呼称される短文を投稿し,閲覧できるコミ
ュニケーション・サービスである。
5.4.2 ジオパークサイトのリンク状況
ホームページの来訪者を増やすために,ジオパークと関連サイトとのリンク,ジオパーク
間の相互リンクなど,ホームページ間のリンクが重要となる。
主なジオパークのホームページ間のリンクの現状(リンクイメージ)を図-5.1 に示す。
ジオパークのポータルサイトとして,「UNESCO Global Geoparks Network(GGN)」,「EUROPEAN
GEOPARKS NETWORK」,「日本ジオパークネットワーク」などがある。これらのポータルサイ
トと個々のジオパークは相互リンクで結ばれているが,個々のジオパークサイト間はあま
りリンクしていないのが実情である。
109
ヨーロッパの
ジオパーク
EUROPEAN
GEOPARKS
NETWORK
中国の
ジオパーク
UNESCO
Global Geoparks
Network(GGN)
糸魚川
日本ジオパーク
ネットワーク
洞爺湖・
有珠山
山陰海岸
島原半島
図-5.1 世界ジオパークのホームページ間のリンクイメージ
110
5.5 先進事例調査
国内の観光地等において,口コミやホームページ広報によって,海外から多数の観光客の
誘致に成功した事例がある。これらの事例では,海外の有名なガイドブック,旅行サイトな
どに紹介されたなどの効果も大きいと考えられるが,ホームページをうまく活用して外国
人にとってわかりやすくかつ,興味を持つような情報(コンテンツ)を提供していることも
事実である。
成功事例の1つとして,「CANYONS」
(http://www.canyons.jp/index_E.html)のホームペ
ージを分析した結果を以下に示す。
CANYONS(キャニオンズ)は,群馬県みなかみ町,草津温泉,四国の大歩危を中心にキャニ
オニングツアーをはじめラフティング,ケイビング,バックカントリーほか各種アウトドア
ツアーを提供している。ホームページの特徴として,次が挙げられる。
z
英語による情報提供を実施しており,外国人とって言葉の壁がない。
z
日本地図をベースとしたマップが掲載されており,外国人でも対象地域が日本のど
こに位置するのかがすぐにわかる。
z
カヌー,ラフティング,スキー,スノーシュー,ケイビングなどのツアーメニューが明
示されており,かつメニューごとに内容が掲載されている。自身が興味のあるツアー
内容を選択的に見ることができる。
z
夏はラフティング,冬はスノーシューと,季節ごとにトップ画面の掲載内容を変えて
おり,季節感に配慮したデザイン・構成となっている。
z
地域の自然を盛り込んだ写真等を多数配置しており,視覚効果,アピール度が高く,
引き込まれやすい。
z
お客様の声,体験写真,体験動画などを多数掲載し,ツアー参加者の体験を臨場感あ
ふれる形で追体験,共感できるような工夫がなされている。
z
オンライン予約が可能であり,ツアーに興味を持った時点ですぐに申し込みができ
る。予約のための操作が最低限で済む。
上記の先進事例から,ホームページ製作に当たって留意すべき事項として,必要情報への
容易なアクセス,ターゲット層を意識したコンテンツの配信,現地の自然,イベント等を追
体験できるような工夫が重要と考えられる。
実際のジオパークのホームページ製作に当たっては,アンケート,モニタリング等により
ターゲット層のユーザニーズを把握して,具体的なデザイン,コンテンツ等を組み立ててい
く必要がある。
111
図-5.2
CANYONS(キャニオンズ)のホームページトップ画面
112
5.6 日本のジオパークのホームページへの提案
観光庁では,訪日外国人観光客数の増加を目指して,ビジット・ジャパン事業を展開して
いる。ビジット・ジャパンでは,中国をはじめとする東アジア諸国(中国,韓国,台湾,香港)
を当面の最重点市場と位置づけて,各種プロモーションを展開している。
ビジット・ジャパン開始以降,訪日外国人観光客は増加傾向にある。日本のジオパークで
も,マーケットは世界に求めるべきであり,ビジット・ジャパンと同様に,中国,韓国,台湾,
香港をターゲット層として,外国人誘致戦略を展開するのが得策と考えられる。
これらの背景をもとに,本章では,訪日外国人観光客をターゲットとした日本ジオパーク
のホームページに対する提案を示す。
※ビジット・ジャパン事業
(参照:観光庁ホームページ http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/vjc.html)
訪日外国人旅行者数の多い 12 の国・地域(韓国,台湾,中国,香港,タイ,シンガポール,
米国,カナダ,英国,ドイツ,フランス,オーストラリア)を重点市場として定め,プロモーシ
ョン展開。この他,今後大きな伸びが期待できる 3 市場(インド,ロシア,マレーシア)を追
加し,全 15 市場でプロモーションを展開。
図-5.3 ビジット・ジャパン事業による訪日客の増加
113
5.6.1 訪日外国人観光の現状
平成 21 年の訪日観光客の国別の割合を図-5.4 に示す。訪日観光客は,韓国,台湾,中国,
香港,アメリカが上位を占める。
図-5.4 平成 21 年の訪日外国人旅行者の割合
(出典:平成 22 年度版観光白書)
114
図-5.5 は,訪日中国人の体験意向を示したものである。訪日中国人旅行客のうち,今回
「ショッピング」をしたという人は 66.3%だが,次回したいこととして「ショッピング」を
挙げた人は,31.8%と半分以下になっている。
一方,今回「自然体験ツアー・農漁村体験」をした人は 6.4%,「四季の体感(花見・紅葉・
雪など)
」は 5.7%,「日本の歴史・伝統文化体験」は 12.4%,「日本の生活文化体験」は 9.6%
と少数派となっているが,次回したいこととしては「自然体験ツアー・農漁村体験」21.8%,
「四季の体感(花見・紅葉・雪など)
」34.1%,「日本の歴史・伝統文化体験」22.4%,「日本
の生活文化体験」26.5%とそれぞれ 2~6 倍の体験意向を示している。
図-5.5 訪日中国人旅行客の体験意向
(出典:観光庁ホームページ 観光統計コラム「第 3 回中国人の「爆買い」はいつまで続くのか?」
http://www.mlit.go.jp/kankocho/column03_101018.html)
115
5.6.2 ジオパークホームページの展開方策
近年の訪日観光客の傾向から,ジオパークのターゲット層として,中国,韓国,台湾,香港
が有望である。また,中国人観光客(リピータ)の興味は,ショッピングから,自然体験ツア
ー,四季の体感,日本の歴史・伝統文化体験,日本の生活文化体験に移ってきており,ジオパ
ークでの地質,自然,文化にふれあえる体験ツアーは,中国人観光客のニーズにマッチング
するものと考えられる。
ジオパークの運営だけでなく,ホームページ製作においても,これらの訪日観光客の動向,
意向を念頭に,各種活動を展開していくべきである。
これまでの検討結果を踏まえて,訪日観光客をターゲットとしたジオパークホームペー
ジの展開方策を以下に示す。
z
ホームページは,多言語に対応したものとする。特に,韓国語,中国語,英語は必須と
する。また,地域によっては観光客の傾向が異なることも想定され,アンケート・モ
ニタリング等で傾向を分析した上で,訪問数の増加が期待される国の言語に対応す
る。
z
ホームページのデザインやコンテンツの傾向は,国ごとに異なる。外国語のホームペ
ージを製作する場合,日本語ホームページの単なる対訳でなく,その国の人の趣味や
嗜好を反映したホームページを別途,製作すべきである。外国人に対するアンケー
ト・モニタリング等は不可欠であり,ニーズや意見を反映しながらホームページを改
善していく必要がある。
z
ジオパークの自然,歴史,文化などの知的体験をアピールするとともに,体験談や写
真,動画などを掲載して,わかりやすい情報配信に努める。
116
6. 総 括 と 今 後 の 展 望
6.1
総括
世界ジオパークネットワークは,ジオパークとなるための条件で持続可能な地域振興に
つながるものに「運営および地域とのかかわり」を掲げている。本事業では,地質調査業
の観光分野進出と建設需要を喚起するモデルづくりの策定を目指し「
,運営および地域との
かかわり」の視点からガイド資格者の活用・評価,持続的な運営を可能とする開発手法を
検討し,その結果を取りまとめた。
事業では,期間内に計 3 回の委員会を開催し,机上だけでなく実際のツアーを実施する
ことで,これをもとに議論・整理した点に特徴がある。
事業の内容と成果は以下の通りである。
・ジオパークガイド資格試験制度に関する調査・研究 (2 章)
・ジオパークガイド資格者の試行的導入とモニターツアーの実施と評価(3 章)
・持続可能な開発手法の構築に関する調査・研究と提言(4 章)
・ジオパーク運営におけるホームページ作成指針の提案(5 章)
2 章 で は ,NPO 法 人 地 質 情 報・整 備 活 用 機 構 が 検 討 を 進 め て き た ガ イ ド 養 成 資 格 試 験 制 度
を取り上げた。国内外の複数のジオパークの総合的な案内が日本語と日本語以外の言語で
行えるガイド養成を目指すもので,資格試験制度の目的と方針,資格試験制度の構成,資
格 試 験 制 度 の 内 容( 試 験 科 目 ,研 修 項 目 な ど ),資 格 試 験 実 施 と 推 進 方 法 等 々 に つ い て 紹 介
した。
3 章は,茨城大学が中心となってジオパーク構想を推進している「北茨城地域」を主な
モデル地域とし,外国人を対象としたモニターツアーを実施し,その評価を行った。ここ
は,五浦海岸の絶景や日本美術院創設者の岡倉天心の六角堂などの観光資源に加え,新た
に「ジオパーク」の視点からの地域づくりの取り組みが始まっている地域である。ツアー
の結果,その内容や方法,特にガイドがツアー成否のカギを握ることなど,ビジネスモデ
ルとして成立させるための様々な課題が明らかとなり,
「 ジ オ パ ー ク 活 動 を 通 じ た ,地 域 づ
くりプロジェクトのモデル化」の問題点を絞り出した点で,極めて有意義であった。問題
点を委員がそれぞれの専門的な立場から整理・分析し,その過程で解決策を探る検討を進
めた。
4 章では,モニターツアーを実施した茨城県北ジオパーク構想を例に,持続可能な開発
の手法について記述した。その中で資源として,範囲,運営母体,地形・地質学的特徴お
よ び テ ー マ ,主 な サ イ ト を 示 し た 。次 に イ ン タ ー プ リ タ ー の 養 成 ,地 質 観 光 マ ッ プ の 作 成 ・
発行,サインの設置,専用のホームページ等での情報発信,等々の状況を説明した。振興
策として,ブランド化,生涯学習や社会教育・学校教育,交流人口の増加への取り組みに
ついて述べた。最後に,外国人ジオツアーを想定し,①多言語によるジオツアー解説の充
実,②外国人ツアーの満足度の向上,③受入れ環境の整備,④外国人ジオツアーのプロモ
117
ーション,等々についてより具体的な提案を示した。学識者,地質調査業者,観光関連業
者,自治体,地域住民の役割と連携のあり方について,事業展開していく上での方向性を
示 し , ジ オ ツ ア ー 誘 客 に 向 け た Web プ ラ ッ ト フ ォ ー ム 整 備 の 必 要 性 を 指 摘 し た 。
5 章では,では,ジオパーク運営におけるホームページの位置づけ,世界のジオパーク
の ホ ー ム ペ ー ジ の 現 状 ,ホ ー ム ペ ー ジ 製 作 要 件 ,ホ ー ム ペ ー ジ 製 作 技 術 ,先 進 事 例 調 査 等 々
を分析し,訪日外国人観光の現状を踏まえジオパークホームページの展開方策を示した。
6.2
今後の展望
本報告書の内容,委員会での議論や安島博幸氏,藤森祥弘氏との鼎談内容を参考に,今
後の展望について整理する。
ジオパークとしての資源
日本列島の中にいくつも残る列島形成の地学的証拠,あるいは火山と温泉とのかかわり
等々,日本は列島そのものがジオサイトといえるぐらい面白い場所で,ジオパークとして
の 資 源 は 豊 富 で あ る 。こ れ を う ま く 説 明 す る 仕 組 み を 作 る こ と で ,
「 ジ オ パ ー ク は ,ふ る さ
とや風土を見直すきっかけにつながる貴重な教材」となりうる。
ジオパークを事業展開する上での視点
事業展開のステップでは,観光資源に仕立て上げ,観光価値化したものを不特定多数の
人に提供して関心を持たせ,最後は来場いただく,この3段階が肝心である。
ジオパークの展開にあたっては,インフラづくり,まちづくり,都市計画を徹底し,イ
ン フ ラ と 絡 め る 視 点 が 重 要 で あ る 。例 え ば 20 年 以 上 前 に 誕 生 し た「 道 の 駅 」は ,ジ オ パ ー
ク 事 業 の 参 考 例 と な り う る 。こ こ で は 24 時 間 使 え る 駐 車 場・ト イ レ・情 報 施 設 の 3 つ を 条
件に地元自治体が積極的に取り組むことで,物品販売などが自主的に行われ,持続可能な
事業が展開している。
観光は,
「 他 に は な い ,他 の 人 が 見 た こ と が な い と い う こ と 」に 価 値 が あ る 。同 じ よ う な
もの同士なら一番大きいとか,一番広い範囲にわたっているとか,時間が長いとかの最優
価値が保たれていることが大事である。
ジオパークも,そこが面白くて人が集まるのであって,地域振興のために来てくれてい
るわけではない。価値の核心的な部分をいかにクリアにしていくかが最初にあって,次は
い か に 伝 え る か が 重 要 で あ る 。地 質 の こ と は 学 者 や 専 門 家 の 説 明 が 分 り や す い し ,面 白 い 。
ジオサイトでいま何が注目され,どんな最新理論が脚光を浴びているか,一番よく知って
いるのはそのジオサイト専門家。影響力の大きいテレビなどの媒体を利用し,現地に足を
運んでいただいた方々に分かりやすく解説できる専門家を配置する。このことがジオパー
クの真の価値である。
118
参考資料1
生物多様性に関する活動との連携について
株式会社インターリスク総研
環境グループ
コンサルタント
寺崎
1.
康介
生物多様性と生態系サービス
生物多様性とは,地球上に様々な生物が棲息しており,それらが相互につながり合うこと
で安定的に存在していることを表した概念である。人間の経済活動は,生物多様性から生態
系サービスと呼ばれる自然のめぐみを受けて成り立っている一方,生物多様性に多大な影
響を与えている。もし生物多様性の喪失が進めば,様々な生態系サービスも劣化し,経済に
とっても大きな損失となる。
このように生物多様性保全は,生物種やその生息環境の保護だけでなく人間の経済基盤
を守ることを目的としている。
表-1 生態系サービスの種類(出典:
「平成 19 年版環境白書」
)
供給サービス
調整サービス
文化的サービス
基盤サービス
2.
食料(穀物,家畜,漁獲,水産養殖,野生下の食物),繊維(木材,綿,麻,
絹),木質燃料,淡水,遺伝子資源,生化学物質・自然薬品・医薬品
大気質の調節,気候の調節(地球全体/地域及び地方),水の制御,
土壌浸食の抑制,水の浄化と廃棄物の処理,疾病の予防,病虫害の抑
制,花粉媒介,自然災害の防護
精神的及び宗教的価値,審美的価値,レクリエーション及びエコツ
ーリズム
光合成による酸素の生成,土壌形成,栄養循環,水循環など,他の全て
の生態系サービスの供給を支えるもの
地形地質と生態系の関係
景観生態学や地生態学で研究されているように,生態系は地形,地質,土壌,気候,水文条件
などの地因子と密接に関係している。そのため,生態系を保全するには,それを支える地質
学的基盤も含めて保全することを考えなければならない。
このような理由から食糧供給やエコツーリズムなどの生態系サービスの大部分につい
て,見方によっては「大地(地因子)のめぐみ」ということもできる。そのため,これらを
総体的な「自然のめぐみ」として捉えて,その保全と持続可能な利用を考えるべきであろう。
3.
経済的インセンティブの活用
生物多様性保全の手法については,保護地域の設定や慈善活動を基礎とした手法だけ
では限界があり,ビジネスとして経済活動の中に組み込んでいかなければ,期待するほどの
119
効果が得られないという点が指摘されている。
2010 年に生物多様性条約第 10 回締約国会議(COP10)に合わせて公表された「生態系と
生物多様性の経済学(TEEB)」の最終報告書は,市場価格などの経済的インセンティブによ
って生物多様性保全を促進することを勧告している。同報告書はその例として,豊岡市が無
農薬農法によって生産された米を「コウノトリ育むお米」としてブランド化に成功した例
などを紹介している。
このような取り組みを体系的に行っていくためには,TEEB でも指摘されているように
その地域の生物多様性や生態系サービスの状況および価値を把握する必要がある。その上
で,これらと地域産業との関連を把握し,ビジネスチャンスに活かす可能性を探ることが求
められる。
4.
保全活動を地域振興
わが国では,中小企業地域資源活用促進法に基づき,各都道府県が地域振興の一環として
地域の農林水産物,鉱工業品及びその生産技術,観光資源を地域産業資源として特定し,その
活用や価値向上への施策を講じてきた。
この地域産業資源は地域の生物多様性と生態系サービス,いわば”地域自然資源”の上に
成り立っている。これらの依存と影響の関係性(図-1)を評価・分析することは,地域産業
資源と地域自然資源を結びつけ,生物多様性の保全や持続可能な利用を経済的なインセン
ティブに昇華することを可能にすると考えられる。
地域資源
地域自然資源
地域産業資源
依存
水
水の貯留
水質の浄化 など
土壌、土質
大気
天然資源
生き物
・・・
図-1
影響
排水
農薬散布
化学物質
乱獲
土地利用
・・・
漁業
林業
農業
加工品・工業
観光
・・・
地域産業資源と地域自然資源の関係(インターリスク総研作成)
生物多様性基本法(2008 年 6 月施行)では,各都道府県および市町村が生物多様性地域戦
略を定めることが努力義務とされている。また 2009 年 9 月に「生物多様性地域戦略策定
の手引き」(環境省)が発行されたこともあり,現在では多くの自治体が策定に取り組んでい
る。地域戦略の多くは,希少種保護や個々の主体の環境配慮行動の促進というレベルに留ま
っているが,地域振興と関連させた構想を立てることが期待される。
120
5.
ジオパーク活動との連携
「大地のめぐみ」と生態系サービスの大部分が共通していることは前述した。さらにジ
オパークの概念は,地質遺産を取り巻く自然,文化,産業を俯瞰的に見て,地域経済と自然資
源の双方にとって価値のある取り組みとしていくことに主眼に置かれている。これは生物
多様性保全に求められる経済的手法と共通している。
従ってジオパークを上手に活用することで,生物多様性の保全も図ることが可能だと考
えられるし,その逆も然りである。そのためには地域の生物多様性保全やジオパーク活動の
取り組みを検討するにあたり,上記 4 で述べたように,実際に地域のあらゆる自然資源,産業
を俯瞰することが求められる。
121
参考資料2
「GNO 携帯ジオ情報サイト」の機能と利用
--ジオパークガイドに最適の地域情報提供システム-株式会社ジオネット・オンライン(GNO)
1.はじめに
携帯専用 WEB サイト「GNO携帯ジオ情報サイト」は, 指定位置に関連する地理地質などの基本ジオ情報や地すべ
り地形分布図, 液状化履歴などのジオリスク情報, ジオパークなどのジオスポット情報などを入手閲覧することが
できるシステムで, 観光ガイドや地域案内, 防災情報提供など, さまざまな分野における利用可能性がある。以下
に本システムの特徴と, ジオパークガイド基本システムとしての適応性について紹介する。
2.携帯電話によるジオ情報提供の有用性
日本国内での携帯電話は, 国民の約 9 割(約 1 億 1200万台, 2010 年 3 月)にまで普及が進んでおり, これを情報
媒体に使用すれば, 地理地質情報を一般の人々が身近に利活用する環境が構築できる。当社では「ジオ情報」を
「基盤情報(地形, 地理, 地質)や風土情報(歴史, 文化, 考古, 伝承), そして地域産業情報(農水産, レストラ
ン, 販売, 地産地消情報など)の集合体である」と広く意味付けして関連公開情報を収集・再構築し, これを「GNO
携帯ジオ情報サイト」から一般提供している。
これらの「公開ジオ情報」は, 例えば旅行先に関して事前に情報検索すれば, 行き先の地理地質情報や地域のジ
オサイトなどの基本ジオ情報を事前に把握しておくことが可能になる。また, 現地の看板表示やガイドマップに QR
コードを貼付け, ここからアクセスして必要な地域ガイド情報を提供するなど, 柔軟な情報提供システムに発展さ
せることが可能である。
うぉ地図・国土地理院
出版物
数値地図情報
統合地質図DB・産総研
地質図・活断層マップ
地震HS・防災科研
地すべり分布・防災科研
確率論的地震動予測
検索・DL
Kunijiban・国交省
気象統計
ボーリング柱状図・土質試験
ハザードマップ・自治体
Geo☆net Online
火山・津波・洪水・・
GNO
統合データベース
オンライン地理地質情報 サービス
管轄組織毎に独立して運用
情報検索・加工
「GNO携帯ジオ情報サイト」
自治体・民間情報
ボーリング柱状図・土質試験
さまざまな公開ジオ情報リソースが存在
→ユーザーフレンドリではない!
本質データは加工しない
欲しい情報を24時間いつでもどこでも閲覧
位置情報送信
・携帯位置送信
・住所入力
・QRコード読取
顧客ニーズ
顧客指示 地理地質情報
環境・生活情報
GNO
ジオ情報
ジオスポット情報
防災に役立つ情報
図-1 GNO携帯ジオ情報サイトの仕組み
122
3.「GNO携帯ジオ情報サイト」の特徴
3.1 システムの特徴
① 携帯電話から位置情報を送信(携帯局測地機能の誤差修正機能あり)するだけで, その地点・周辺の地形
情報や関連するジオ情報を 24 時間検索閲覧できる。緯度経度や住所入力でも検索地点指定が可能(郵便
番号による補助入力あり)。
② 日本全国の公開ジオ情報を対象としている(一部離島を除く)。
③ 特定のサイトに関する付加的ジオ情報には QR コード読取によって直接アクセスすることがでる。
④ さまざまな「ジオ情報」を次々と付加できる拡張性がある。例えば, 各地のジオパークのジオサイト案内
や地域案内, 不動産物件情報など, その土地の情報に関連するものならどんな情報でも取り込んで検索可
能になるし, 後から情報を拡張するのも容易である。
3.2 検索可能なジオ情報
平成 23 年 2月現在で, 以下の情報が整備され閲覧可能になっている。内容は定期的に更新し, 逐次追加される予
定である(図-2)。
●地理・地質情報
(その地点の基本的な地理地質情報)
●ジオスポット情報
(近傍の地質百選などお奨めジオサイト)
●ジオリスク情報
(地すべり地形などジオハザード情報)
●環境と生活お役立ち情報
(大気汚染から鉄道駅まで生活関連情報)
●学ぶ遊ぶ地域スポット
(近傍の博物館など学術文化情報)
●GNOお値打ち情報
(不動産物件など登録商業情報)
図-2 GNO携帯ジオ情報・情報コンテンツ
4. 携帯ジオ情報サイト利用の実例
「GNO 携帯ジオ情報サイト」の利用は, 会員登録制としている(無料)。登録は, 初回アクセス時に行い, 以後
は自動認証・アクセスが可能になる。会員登録は, 図-3 に示すアドレス(または QR コード)からアクセスし, 指
示にしたがって空メールを送信・再送信するだけの簡単な手続きである。
サイトにアクセス後, ①携帯位置を送信すると図-4 の位置指定確認画
面が現れ, さらに細かい位置修正が可能になっている。また, 前述のよ
うに②住所入力, ③緯度経度入力でも検索位置を指定することができる。
位置の確認を行ったのち, 「この地点のジオ情報表示」を選択すると,
図-3 アクセスQRコード
(http://geonetonline.com/p/ )
ジオ情報リストが表示され, ここからさらに詳細な情報項目を選択して, 目的の情報を表示させる。
123
図-4 位置指定確認フォーム
図-5 情報の表示例
5. 「GNO 携帯ジオ情報サイト」を利用したジオパーク情報提供システム(提案)
「携帯ジオ情報サイト」の機能をプラットフォームとして利用し, 特定地点の情報(ジオサイト情報)を付加し
て, 全国で利用可能なジオパーク情報提供システムとして利用可能なシステムとして訪問客等に情報提供すること
ができる。以下は「GNO 携帯ジオ情報サイト」を利用したジオパーク情報提供システムの提案である。また, 提案
内容を具体化したジオパークガイドマップの試作例を図-6に示す。
5.1 システムの概要および特徴
① あるジオサイトの情報(説明テキスト, 図, 写真, 場合によっては動画)を GNO サーバーにアップして一
括一元管理する。当該情報への直接アクセスは, QR コードを携帯バーコードリーダーで読み取って行う。
また, 当該地域でのジオ情報検索(「ジオスポット」→「ジオパーク」)において, 検索ヒットさせて一
般検索者に情報提供する。
② 上記 QR コードを, 各ジオパークガイド(書籍, パンフレット)やガイドマップ, 案内看板等に貼り付ける
など, さまざまな媒体に掲示し利用する。
③ ビジターは一般検索や上記 QR コード読み取りによって, 当該ジオサイト情報とあわせて当該地点のさま
ざまな関連ジオ情報が閲覧可能となり, 統合的・重層的なジオ情報が取得できる。
④ テキスト部分の翻訳によってジオサイト情報の多国語化が容易に実現できる。
5-2. システム構築上の優位点
① ジオサイト1件ごとに分散的に情報サイトが構築されるために, 段階的, 追加的に情報サイトの構築が可
能になる。つまり小さい初期コストでサイトガイドシステムが構築できる。
124
② ジオサイト情報はすべて GNO サーバーに置かれ一括管理されるので, 各情報表示のフォーマットや表記の
深さなどの統一性が生まれる。
③ GNO サーバーにコンテンツ集積することで多元語化も一元的に, 低コストで行うことが可能になり, これ
を一定の管理機関が監修することで質的水準が担保される。
④ 各ジオサイトの QRコードは, 一度作成すれば印刷物, 看板などさまざまな媒体に利用可能で, 一度の投資
を有効活用できる。
⑤ 一般の i モード携帯機種(H23.2 現在)に対応するので, 特別なハードを準備する必要がない。
図-6 ジオパークガイドマップ試作の例
(稼動します。 QRコードを読んでください。)
6. まとめ
「携帯ジオ情報サイト」は, 指定した地点の公開地理地質情報はもとより関連する地域情報を重層的に閲覧する
ことができるシステムである。本サイトの利用により, 一般の人々が, 地質・地盤情報を身近に触れることが容易
になり, 一般への基本的な地理地質情報の提供はもとより, これを生活の利便や防災意識の向上のツールとして役
立てることが可能になる。また, 宿泊施設や不動産物件情報, 地産地消情報など商用情報と有機的に結びつけるこ
とで, 新たなビジネスモデルへの進展も期待できる。以上のような特徴を生かしたジオパークガイドシステムは,
構築が容易でさまざまな優位点があり, 実現性が高い。
125
添付資料:
1
世界ジオパークのホームページ事例集
アイルランド Copper Coast Geopark http://www.coppercoastgeopark.com/
1
2
アイルランド・北アイルランド
Marble Arch CavesEuropean Geopark http://www.marblearchcaves.net/
2
3
イギリス North Pennines AONB http://www.northpennines.org.uk/
3
4
イギリス North Western Highlands http://www.northwest-highlands-geopark.org.uk/
4
5
イギリス Fforest Fawr http://www.fforestfawrgeopark.org.uk/
5
6
イギリス Lochaber http://www.lochabergeopark.org.uk/
6
7
イギリス English Riviera http://www.englishrivierageopark.org.uk/
7
8
イギリス
Geo Mon http://www.geomon.org.uk/
8
9
イギリス
Shetland http://www.geoparkshetland.org.uk/index.html
9
10 イタリア Madonie Geopark http://www.parcodellemadonie.it/
10
11
イタリア Beigua Geopark http://www.parcobeigua.it/
11
12 イタリア Geological and Mining Park of Sardinia http://www.museodelcarbone.it/
12
13 イタリア Adamello Brenta http://www.pnab.it/
13
14 イタリア Rocca di Cerere Geopark http://www.roccadicerere.eu/
14
15 イタリア Cilento and Vallo di Diano
http://www.parks.it/parco.nazionale.cilento/Eindex.php
15
17 オーストリア Eisenwurzen http://www.geoline.at/
16
19 ギリシア Petrified Forest of Lesvos http://www.petrifiedforest.gr/
17
20 ギリシア Psiloritis http://www.psiloritis-natural-park.gr/
18
22 クロアチア Papuk Geopark http://www.pp-papuk.hr/dogadjanja/geopark.htm
19
23 スペイン Maestrazgo
http://www.maestrazgo.org/
20
24 スペイン Sobrarbe http://www.sobrarbe.com/index.php
21
25 スペイン Sierras Subbeticas
http://www.planetware.com/cordoba/parque-natural-de-las-sierras-subbeticas-e-and-siesub.htm
22
26 スペイン Cabo de Gata http://www.parquenatural.com/
23
28 チェコ Bohemian Paradise http://www.czech-mountains.eu/bohemian-paradise/
24
29 ドイツ Terra Vita http://www.naturpark-terravita.de/
25
30 ドイツ Bergstrasse-Odenwald http://www.geo-naturpark.net/
26
31 ドイツ
Vulkaneifel http://www.geopark-vulkaneifel.de/ngpve/index.php
27
32 ドイツ
Schwabische Albs http://www.geopark-alb.de/
28
33 ドイツ
Harz-Braunschweiger Land Ostfalen http://www.geopark-harz.de/
29
34 ノルウェー
Gea Norvegica http://www.geanor.no/
30
36 フランス Reserve Geologique de Haute Provence http://www.resgeol04.org/
31
37 フランス Luberon http://www.parcduluberon.fr/geopark
32
38 ポルトガル Naturtejo Geopark http://www.naturtejo.com/conteudos/pt/home.php
33
39 ポルトガル Arouca Geopark http://www.geoparquearouca.com/
34
40 ルーマニア
Hateg Country Dinosaur Geopark http://www.geopark.go.ro/
35
41 ハンガリー Novohrad-Nograd geopark http://www.nogradgeopark.eu/
36
43 イラン Qeshm Island
http://www.hums.ac.ir/english/province/hormozgan%20english/qeshm_island.htm
37
45 ブラジル Araripe
http://geoparkararipe.org.br/geopark-website/changeLocaleCommand.do?METHOD_KEY=ch
ange&language=pt_BR
38
46 オーストラリア
Kanawinka http://www.kanawinkageopark.org.au/
39
47 マレーシア Langkawi Geopark http://www.langkawigeopark.com.my/
40
50 中華人民共和国 黄山(Huangshan) http://www.huangshan.gov.cn/
41
51 中華人民共和国 廬山(Lushan) http://www.china-lushan.com/
42
52 中華人民共和国 雲台山(Yuntaishan) http://www.yuntaishan.net/
43
53 中華人民共和国 石林(Shilin Stone Forest) http://www.chinastoneforest.com/
44
54 中華人民共和国 丹霞山(Danxiashan) http://www.danxia.com/
45
55 中華人民共和国 張家界(Zhangjiajie Sandstone Peak Forest) http://www.cn-zjj.com/
46
56 中華人民共和国 五大連池(Wudalianchi) http://www.wdlc.com.cn/
47
58 中華人民共和国 雁蕩山(Yandangshan) http://www.wzyds.com/
48
59 中華人民共和国 泰寧(Taining) http://www.fjtn.com/fjtn0/index.asp
49
62 中華人民共和国 泰山(Taishan)
http://www.mount-tai.com.cn/
50
65 中華人民共和国 房山(Fangshan) http://www.bjfsh.gov.cn/
51
67 中華人民共和国 伏牛山(Funiushan) http://www.nyfuniushan.com/index.asp
52
68 中華人民共和国 竜虎山(Longhushan) http://www.longhushan.com.cn/
53
74 日本 糸魚川(itoigawa) http://geo-itoigawa.com/index.php
54
75 日本 洞爺湖・有珠山(Toya and Mt. Usu) http://www.toya-usu-geopark.org/ja
55
76 日本 島原半島(Shimabara Peninsula) http://www.unzen-geopark.jp/
56
77 日本 山陰海岸(San'in Kaigan) http://sanin-geo.jp/
57
( 平 成 22 年 度 建 設 業 振 興 活 動 事 業 特 別 緊 急 支 援 助 成 事 業 )
『ジオパーク活動を通じた、地域づくり
プロジェクトのモデル化事業』委員会報告書
発行日
平 成 23 年 2 月
発行所
社団法人
全国地質調査業協会連合会
〒 101-0047 東 京 都 千 代 田 区 内 神 田 1-5-13
TEL(03)3518-8873
URL
FAX(03)3518-8876
http://www.zenchiren.or.jp
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