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平成 23 - 経済産業省

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平成 23 - 経済産業省
平成23年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業
エネルギーの供給制約に対応した今後の総合的なエネルギー管理の
あり方に関する調査事業
報告書
2012年3月
株式会社野村総合研究所
目次
0. 本調査の背景と目的 【p.3 - p.4】
1. 省エネルギー対策の強化に関する調査 【p.5 - p.120】
1.1 諸外国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析 【p.6 - p.38】
1.1.1 米国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.7 - p.13】
1.1.2 英国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.14 - p.21】
1.1.3 ドイツにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.22】
1.1.4 フランスにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.23 - p.26】
1.1.5 イタリアにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.27 - p.31】
1.1.6 中国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.32 - p.38】
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析 【p.39 - p.74】
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析 【p.40 - p.74】
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析 【p.75 - p.88】
1.3.1 対象とする建材等 【p.77】
1.3.2 断熱材の普及状況と性能状況 【p.78 - p.79】
1.3.3 窓の普及状況と性能状況 【p.80 - p.81】
1.3.4 水回り設備の普及状況と性能状況 【p.82 - p.84】
1.3.5 住宅・建築物の省エネ性能を向上する方策の検討 【p.85 - p.88】
1.4 工場・事業所における省エネ法の遵守状況及び過去からの取組みを踏まえた省エネ効果の調査・分析 【p.89 - p.93】
1.4.1 省エネ法の判断基準遵守状況と原単位改善率の関係 【p.91 - p.92】
1.4.2 過去の省エネ実績を基にした省エネ効果の分析 【p.93】
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析 【p.94 - p.120】
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析 【p.96 - p.120】
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目次
2. 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析 【p.121 - p.308】
2.1 昨夏の電力需要抑制対策における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析 【p.122 - p.147】
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析 【p.124 - p.143】
2.1.2 業種ごと節電効果ならびに負荷平準効果に関する分析 【p.144 - p.147】
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析 【p.148 - p.166】
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析 【p.150 - p.166】
2.3 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析 【p.167 - p.180】
2.3.1 豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化の動向 【p.169 - p.172】
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向 【p.173 - p.178】
2.3.3 韓国におけるデマンド・レスポンス導入の動向 【p.179】
2.3.4 各国における需要抑制の市場取引メカニズム 【p.180】
2.4 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用抑制や再エネ導入、蓄エネ導入に向けた調査 【p.181 - p.185】
2.4.1 自家発電設備の導入・稼働向上による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.183】
2.4.2 蓄電池設備の導入による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.184】
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析 【p.186 - p.276】
2.5.1 基本的な考え方 【p.188】
2.5.2 需要家単位で見た増エネと国全体で見た省エネの関係 【p.189】
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割 【p.190 - p.276】
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力) 【p.192 - p.248】
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス) 【p.249 - p.276】
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析 【p.277 - p.304】
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(定性分析) 【p.279 - p.283】
2.6.2 工場・事業場で実施されるピーク対策の効果分析 【p.284 - p.287】
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し 【p.288 - p.292】
2.7 その他電力供給リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する政策を検討する上で必要となる調査・分析 【p.293 - p.295】
2.7.1 電気消費機器の現状分析 【p.296 - p.297】
3. 総括 【p.298 - p.299】
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目次
0. 本調査の背景と目的 【p.3 - p.4】
1. 省エネルギー対策の強化に関する調査 【p.5 - p.120】
1.1 諸外国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析 【p.6 - p.38】
1.1.1 米国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.7 - p.13】
1.1.2 英国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.14 - p.21】
1.1.3 ドイツにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.22】
1.1.4 フランスにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.23 - p.26】
1.1.5 イタリアにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.27 - p.31】
1.1.6 中国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.32 - p.38】
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析 【p.39 - p.74】
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析 【p.40 - p.74】
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析 【p.75 - p.88】
1.3.1 対象とする建材等 【p.77】
1.3.2 断熱材の普及状況と性能状況 【p.78 - p.79】
1.3.3 窓の普及状況と性能状況 【p.80 - p.81】
1.3.4 水回り設備の普及状況と性能状況 【p.82 - p.84】
1.3.5 住宅・建築物の省エネ性能を向上する方策の検討 【p.85 - p.88】
1.4 工場・事業所における省エネ法の遵守状況及び過去からの取組みを踏まえた省エネ効果の調査・分析 【p.89 - p.93】
1.4.1 省エネ法の判断基準遵守状況と原単位改善率の関係 【p.91 - p.92】
1.4.2 過去の省エネ実績を基にした省エネ効果の分析 【p.93】
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析 【p.94 - p.120】
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析 【p.96 - p.120】
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0. 事業の背景と目的
 事業の背景
 これまで、我が国の省エネルギー政策については、エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づく工場・事業場、住宅・建築物、輸送、
機械器具など各分野における規制的対策に加え、予算、税制等の支援措置を含む総合的な対策が講じられてきた。
 他方、我が国のエネルギー安定供給に係る内外の制約の一層の深刻化、地球温暖化問題の解決に向けた対応への要請が高まる中、省
エネルギー対策を一層推進する必要がある。
 また、東日本大震災に伴う電力の供給制約への対応の経験から、当面の緊急的な対策のみならず、将来的な電力の供給制約にも耐性
のあるエネルギー需給構造を構築することが、エネルギーセキュリティのみならず経済発展の観点からも必要である。
 こうした状況に対応するためには、近年、エネルギー使用量が増加傾向にある民生部門を中心とした省エネルギー対策の強化に加え、
需給両面から電力の使用を平準化する持続可能な対策が必要である。
 また、これまで広く取組みが進められていなかった需要家側での時間的概念を取込んだエネルギー管理や、それを実施するためのインフ
ラ整備のあり方について、諸外国の対策状況と併せて調査・検討する必要がある。
 事業の目的
 上記の背景を踏まえて、本事業では、省エネルギー対策の強化に関する調査・分析を行うとともに、電力供給制約リスクに対応したエネ
ルギー需要構造の構築に関する調査・分析を行う。
 なお、調査・検討にあたっては、海外各国における事情や特性、我が国における状況の変化(再生可能エネルギーの導入拡大、昨夏の
電力需要抑制対策として実施されている蓄電、蓄熱等の蓄エネルギーや、エネルギー使用の時間のシフトに関する取組みの拡大等)を
踏まえつつ、各対策効果の定量的評価を通じて対策の強化及び効率化を図ることを考慮する。
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目次
0. 本調査の背景と目的 【p.3 - p.4】
1. 省エネルギー対策の強化に関する調査 【p.5 - p.120】
1.1 諸外国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析 【p.6 - p.38】
1.1.1 米国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.7 - p.13】
1.1.2 英国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.14 - p.21】
1.1.3 ドイツにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.22】
1.1.4 フランスにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.23 - p.26】
1.1.5 イタリアにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.27 - p.31】
1.1.6 中国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.32 - p.38】
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析 【p.39 - p.74】
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析 【p.40 - p.74】
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析 【p.75 - p.88】
1.3.1 対象とする建材等 【p.77】
1.3.2 断熱材の普及状況と性能状況 【p.78 - p.79】
1.3.3 窓の普及状況と性能状況 【p.80 - p.81】
1.3.4 水回り設備の普及状況と性能状況 【p.82 - p.84】
1.3.5 住宅・建築物の省エネ性能を向上する方策の検討 【p.85 - p.88】
1.4 工場・事業所における省エネ法の遵守状況及び過去からの取組みを踏まえた省エネ効果の調査・分析 【p.89 - p.93】
1.4.1 省エネ法の判断基準遵守状況と原単位改善率の関係 【p.91 - p.92】
1.4.2 過去の省エネ実績を基にした省エネ効果の分析 【p.93】
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析 【p.94 - p.120】
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析 【p.96 - p.120】
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及び
その効果に関する調査・分析
【概要】
 諸外国(米・英・独・仏・伊の5カ国)における省エネ政策および省エネ制度の実施状況を俯瞰した上で、エネルギー供給者
への省エネ義務に関する実施状況および効果を調査・分析した。
 調査対象とした5カ国については、省エネ政策のレベルでは大きな差異は認められないが、省エネ制度のレベルでは一部
の施策について実施状況に差異が確認された。具体的には、管理士制度の実施状況、エネルギー供給事業者の役割規定
に関する実施状況について、各国間の取り組みに差異が確認された。
 欧米諸国においては、最終需要家の省エネルギーを促進するため、電力会社やガス会社などエネルギー供給者に対して
最終需要家の省エネルギーに関する具体的な役割を規定する傾向にあり、我が国においても省エネルギー政策の実現に
おけるエネルギー供給事業者の役割を再評価・再確認する必要がある。
【各国における省エネ政策・省エネ制度の省エネ義務】
省エネ政策
部門別対策
業務
家庭
省エネ計画
省エネ法
米国
◎
◎
◎
◎
◎
英国
◎
◎
◎
◎
ドイツ
◎
○
◎
フランス
◎
◎
イタリア
◎
○
省エネ制度
優遇促進制度
補助金 税制
融資
管理士制度
エネルギー供給者の
役割規定
◎
◎
◎
◎
◎
○
◎
◎
◎
◎
-
-
◎
◎
◎
◎
-
◎
◎
◎
◎
-
◎
◎
効率基準
ラベリング
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
-
◎
◎
◎
◎
産業
運輸
◎=あり、○=限定的、△=検討中/準備中、-=無し/不明
出所)省エネルギーセンターおよびNRI
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.1 米国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ政策および省エネ制度の実施状況】
 連邦政府は、2005年、政府使用建物の単位面積当たりエネルギー消費量を2005年までに1985年比30%削減する目標を
制定した。連邦政府によるESCO事業実施・推進、高効率・非化石燃料車両の率先調達を要求し、Federal Energy
Management Program (FEMP)を通じて、連邦政府のエネルギー管理、省エネ化をDOEが各種支援している。
 また、2009年には、連邦政府の温室効果ガス排出量を2020年までに28%削減する目標を設定し、エネルギー効率の向上、
自動車の燃料消費の削減等を要請している。
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割】
 2011年9月時点で、22の州が電力会社に対して最終需要家の省エネを実施義務を課すEERS(Energy Efficiency
Resources Standard)を定めている。
 米国の2007年~2010年の電力関連省エネプログラムの運営主体別予算規模は、電力会社によるものが8割以上を占め
ていた。また、現在、省エネ促進のために実施されている経済的インセンティブを付与するプログラムの8割弱は、Utilityが
運営主体となっている。
 例えば、カリフォルニア州では、カリフォルニア公益事業委員会が電力・ガス会社を統括し、全州の省エネプログラムの計
画・策定を実施している。省エネプログラム実施費用は、PGC(Public Goods Charge)として、電気・ガス料金と共に需要
家から直接徴収されている。
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.1 米国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割】
 米国では、エネルギー供給事業者に省エネ義務を課すEERS(Energy Efficiency Resources Standard)が複数の州にお
いて導入されている。
 EERSは、エネルギー供給事業者(電力・ガス会社)に対して最終需要家における省エネ施策の実施義務を法律により課す
制度である。
 EERSは、州法により制定され、 2011年9月時点で、22の州がEERSを定めている(連邦政府による全米全体のEERSは
設定されていない)。
2011年9月時点における米国各州のEERSの実施状況
• 22の州が規制もしくは法律によりEERSを定めており、9の州が省
エネ目標を設定している(このうち、RPS〔再生可能エネルギーの
導入義務と併せて省エネ実施義務を規定しているハイブリッド規
制を設けている州が2つ、再生可能エネルギーの導入目標と併
せて省エネ目標を定めている州が2つある)。
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.1 米国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【エネルギー供給事業者の省エネ義務化の背景】
 電力自由化を導入すると、電気事業者にスループットインセンティブ(収益確保のため、販売電力を拡大しようとするインセ
ンティブ)が働き、電力システムの非効率化、および電力需要逼迫に結びつく恐れがある。
 テキサス州を初めとする米国各州では、小売り自由化法成立時に、電気事業者に対して省エネ義務化(EERS:Energy
Efficiency Resource Standard)を制定した。
テキサス州におけるEERS導入の背景
電力小売り自
由化
×
電気事業者に
よる
販売電力拡大
の推進
非効率な電力
システム
電力需給逼迫
電気事業者に
よる
販売電力拡大
の抑制
効率的な電力
システム
電力供給の安
定化
● これと同時に、電気事業者(配電会社)に
対し、将来の最大需要(MW)の伸びに対
して10%分を省エネ施策で相殺すること、
配電会社に消費者に対してインセンティブ
プログラムを提供することを義務付けた。
省エネ義務化
(EERS導入)
○
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● 1999年、テキサス州では小売り自由化法
(SB7)が成立し、2002年より完全小売り
自由化が開始した。
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.1 米国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割】
 米国の2007年~2010年の電力関連省エネプログラムの運営主体別予算規模は、電力会社によるものが8割以上を占め
ていた。
 また、2011年10月時点で、省エネ促進のために実施されている経済的インセンティブを付与するプログラムの8割弱は、
Utilityが運営主体となっている。
運営主体別電力省エネ予算
米国における省エネ促進のための
経済的インセンティブプログラム件数(2011年10月現在)
Federal
Personal Tax
Corporate Tax
Sales Tax
Property Tax
Rebates
Grants
Loans
Bonds
合計
出所)「米国の省エネルギープログラムの運営普及方策に関する調査」電力
中央研究所報告,2011年5月
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State
2
3
3
4
0
11
7
9
6
84
18
104
3
242
Local
12
28
5
36
20
101
Utility
2
3
0
0
1027
33
124
0
1189
出所)DSIRE(http://www.dsireusa.org/summarytables/finee.cfm )よりNRI
作成
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.1 米国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【参考:米国の電力会社が提供する省エネプログラムのケース】
プログラム名
概要
エネルギー監査
Energy Audit
電気事業者もしくは専門家による設備診断、省エネ教育、省エネ機器の普及啓蒙を
行う。
リベート提供
Rebate Program
需要家に対し高効率機器への買い替え促進のため現金を提供する。製造業者や販
売業者に対し奨励金を提供し、高効率機器の販売価格低減を促す。
設備据え付け
Direct Install Program
電気事業者またはその請負業者が顧客先に出向き、高効率機器の据え付け作業を
行う。
省エネ教育および訓練
Education and Training Program
消費者、小売事業者、建築家、建築業者、建物管理士などに対して省エネ教育やメ
ンテナンス技術の訓練を行う。
財政支援
Loans and On-Bill Financing or Grant
初期投資コストに対する抵抗感をなくす目的で、補助金提供や融資などの財政支援
を行う。
請負契約利用
Bidding Performance Contract
請負者を核とした省エネ施策の展開を実施。
上中流行程へのインセンティブ付与
Upstream and Mid-stream incentive
製造業者、配給事業者あるいは販売業者にインセンティブを付与し高効率機器製品
の販売促進を行う。
買い替え需要対策
Failure Replacement Program
故障や老朽化など家電等の買い替え時期を迎えた消費者をターゲットに、Energy
Star製品など高効率機器の買い替えを促進する。
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.1 米国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【事例:カリフォルニア州】
 カリフォルニア州では、カリフォルニア公益事業委員会が電力・ガス会社を統括し、全州の省エネプログラムの計画・策定を
実施している。省エネプログラム実施費用は、PGC(Public Goods Charge)として、電気・ガス料金と共に需要家から直接
徴収される。
 同州では、デカップリング制度に加えて、省エネ成果報酬制度が導入されており、電気・ガス会社は、省エネを進めるほど
収益を上げられることが可能である。
CA州における省エネプログラム実施体制の概要
出所)「米国の省エネルギープログラムの運営普及方策に関する調査」電力中央研究所報告,2011年5月
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.1 米国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【事例:カリフォルニア州】
 カリフォルニア州の省エネプログラムは、州全体で共通に行われる州大共通プログラム、各電力・ガス会社が独自に行う個
別プログラムがある。
 州大共通プログラムは、民生部門へ力点が置かれているものの、産業部門、農業部門への対策や効果検証などのプログ
ラムも含まれている。
省エネプログラムのプログラム別予算
(2010-2012年)
● カリフォルニア州の省エネプログラムの予
算は、部門別に、産業(13%)、商業
(29%)、家庭(23%)、その他(36%)とい
う比率で配賦されている。
● その他の中には、農業(4%)、新築(4%)、
大学等(3%)、地方政府(7%)、空調
(4%)、効果検証(4%)、その他(9%)が含
まれている。
出所)カリフォルニア州公益事業委員会
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.2 英国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ政策および省エネ制度の実施状況】
 英国の省エネルギー対策は、二つの特徴を持つ。一つは、省エネルギーと温暖化ガス排出量削減を一体化した取組みを
推進している点であり、もう一つは、市場メカニズムを積極的に活用している点である。
 中期目標として、2020年までにCO2排出量を少なくとも26%削減することを掲げ、さらに長期目標として2050年までにすべ
ての温室効果ガスの排出量を少なくとも80%削減することを打ち出している。
 省エネルギー対策は、上記温室効果ガス排出削減目標を達成するための重要な主要政策として位置づけられている。
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割】
 英国では50,000軒以上の需要家を抱える電気・ガス供給事業者に対しCO2排出削減を義務化している(炭素削減目標制
度(CERT:Carbon Emissions Reduction Target)。CERTは、低所得者層対策としても位置付けられており、省エネ支援
の少なくとも4割を、低所得者層への支援に充てなければならないとされている。
 2012年末にCERTは終了し、エネルギー供給事業者の省エネ義務はECO(Energy Company Obligation)に引き継がれ、
ECOは、低所得者層に対する省エネ支援を主な目的とした制度となる予定である。
 一方、 2012年10月から、 “Green Deal”と呼ばれる新たな省エネプログラムを導入する予定である。これは、家庭や中小
事業所の“省エネバリア”を取り除くことを目的に、既存住宅・建築物を対象に設計された省エネプログラムであり、家庭や
中小事業所は初期投資なしで、省エネ対策を受け、エネルギー料金とともにその費用を支払うことが可能となる。
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.2 英国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割:炭素削減目標制度(CERT)】
 英国では50,000軒以上の需要家を抱える電気・ガス供給事業者に対しCO2排出削減を義務化する制度を導入している
(炭素削減目標制度(CERT:Carbon Emissions Reduction Target )。
 CERTは、低所得者層対策としても位置付けられており、省エネ支援の少なくとも4割を、低所得者層への支援に充てなけ
ればならないとされている。
CERT (Carbon Emission Reduction Target)の概要
時期
2008年4月-2012年12月※1
対象者
50,000軒以上の家庭用需要家を持つガス・電気の小売事業者 (英国六大事業者※2)
CO2総削減目標
合計:293Mt-CO2※1
• 需要家件数に応じた削減義務目標量が割り当てられる
削減義務量 = (SC / TC) x 293
SC: 各供給事業者の顧客数(特定日時の平均)、TC: 六大事業者の顧客合計数
対策コスト(試算値)
55億ポンド(事業者負担)
対策内容
• 電気・ガス小売事業者は、CO2削減の手段を各社で選択することが可能
• ただし、削減義務の40%以上を低所得者層への省エネ支援にしなければならない
• 削減手段として断熱、暖房、照明、自家発電に加え、リアルタイムディスプレイ導入等のデマンドサ
イドマネジメントの対策も取られている
※1:2010年7月に期間延長と割当量規模拡大なされた
※2:British Gas, EDF Energy, E. On, nPower, Scottish Power, Southern Electric
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15
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.2 英国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割:炭素削減目標制度(CERT)】
 CERTでは、建築物の躯体断熱、暖房・照明の高効率化、マイクロジェネレーション、行動様式に関する対策が実施されて
いる。2011年7月現在、 293Mt-CO2の削減目標に対して、207Mt-CO2の削減が達成されている(達成度71%)。実施され
た対策内容のうち、CO2削減効果が最も高い対策は、躯体の断熱性能向上で61.3%、次いで、照明機器:24.6%、暖房機
器:7.3%の削減実績であった。
CERTにより実施された省エネ推進策の概要(~2011年7月)
対策内容(大分類)
対策内容(中分類)
導入件数
躯体断熱
中空壁
1,674,655世帯
ロフト断熱
2,173,704世帯
一枚壁断熱
38,791世帯
暖房機器
電源切替
73,319世帯
照明機器
CFL(電球型蛍光ランプ)
マイクロジェネレーション
ヒートポンプ
6,562世帯
太陽温水器
3,129㎡
小規模熱電併給発電設備
行動様式
消費電力リアルタイム表示器
エネルギー消費動向調査
300,639,427世帯
1世帯
2,286,292世帯
28,571世帯
※出所)OFGEM、E-Serve
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.2 英国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割:炭素削減目標制度(CERT)】
 世界的な原油価格上昇の影響を受け、暖房等の燃料費が収入の10%以上を占める“燃料貧困世帯”が増加しており、
2009年には、英国全世帯の21%が燃料貧困世帯となる等、燃料貧困世帯が社会問題化している。
 英国政府は、2016年までに燃料貧困世帯をゼロにする目標を掲げており、「70歳以上の高齢者のいる世帯」および「低所
得者等を対処とした公的扶助を受ける世帯」を「優先グループ」とし、CERTにおける40%以上の省エネ対策を燃料貧困世
帯である「優先グループ」に対して実施することを義務化した。
燃料貧困世帯の推移
● 2004年に200万世帯だった燃料貧困世帯
数は、年々増加の一途をたどり、2009年
には550万世帯まで増大している。
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.2 英国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【参考:英国における家庭部門における気候変動ガス削減施策】
施策名
概要
炭素削減目標制度(CERT)
Carbon Emissions Reduction Target
エネルギー供給事業者(電力・ガス小売事業者)を対象に、家庭から排
出される気候変動ガスの削減努力(義務)を求める制度
地域省エネプログラム(CESP)
Community Energy Saving
Programme
CERTの補完を目的に、2008年11月から実施される。基本スキームは
CERTと同一で、エネルギー供給事業者にCO2削減義務を課す制度で
あるが、年間発電量が10TWh以上の発電事業者も対象としている。
新築住宅のゼロカーボン
建築基準を段階的に強化し、2016年から新築住宅の「ゼロカーボン化
(カーボンニュートラル化)」を義務付ける。
スマートメーターの導入
2020年までに80%以上の需要家にスマートメーターを導入する目標を
持つ。その他、当面の措置として200万~300万戸について、電力使用
量の判るリアルタイムディスプレイ装置を設置する計画を持つ。
省エネトラストの機能強化
主に家庭や中小企業に対して、省エネ、低炭素化に関するアドバイスや
情報提供を無料で実施する非営利組織である「省エネトラスト(Energy
Saving Trust)」の機能を強化
再生可能エネルギーのFITの導入
2010年4月より、5,000kW以下の小規模電源を対象に導入される。家
庭部門における再生可能エネルギー導入促進施策の中心となる。
GHG削減量(※)
330万
CO2換算トン
160万
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CO2換算トン
10万
CO2換算トン
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.2 英国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【英国のエネルギー利用効率化政策の変化】
 CERTとCESPは、2012年末に終了し、新たなエネルギー供給事業者の省エネ義務はECO(Energy Company
Obligation)に引き継がれる。ECOは、低所得者層に対する省エネ支援を主な目的とした制度となる予定であり、CERT/
CESPの低所得者層保護の側面を引き継ぐ。
 2012年10月から、 “Green Deal”と呼ばれる新たな省エネプログラムを導入する予定である。これは、家庭や中小事業所
の“省エネバリア”を取り除くことを目的に、既存住宅・建築物を対象に設計された省エネプログラムである。
エネルギー利用効率化政策の変化
● これまで低炭素・省エネ施策の中心となっ
ていたCERT/CESPは、2012年末に終了
し、ECOに引き継がれる。
● 一方、これまでCERTの対象外であった業
務部門も対象にした省エネ設備導入促進
施策としてGreen Dealが2012年10月か
ら導入される予定である。
省エネ促進対象
家庭部門における
低所得者層に対する
省エネ設備導入促進
~2012年末
2013年~ (予定)
【エネルギー供給者義務】
【エネルギー供給者義務】
ECO
CERT
(+ CESP)
家庭部門における
省エネ設備導入促進
Green Deal
業務部門における
省エネ設備導入促進
(CERT対象外)
※出所)英国エネルギー・気候変動省資料よりNRI作成
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.2 英国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割:Green Deal】
 英国では、既存住宅・建築物を対象とした新たな省エネプログラムとして、2012年10月より“Green Deal”と呼ばれる新制
度を導入予定である。需要家は初期投資なしで、省エネ対策を受け、エネルギー料金とともにその費用を支払う。対策実施
後のエネルギー料金(対策コストも加算された金額)が対策実施前のエネルギー料金を下回ることが求められている。
Green Dealにおける省エネ設備導入の流れ
1. アドバイザーが住宅(中小事業所)のエネルギー性能を
評価する。
2. 政府からライセンスを受けたGreen Deal提供事業者が
住宅所有者にGreen Dealプランを提案する。
3. Green Deal提供事業者と住宅所有者の間で契約を締
結する。
4. Green Deal提供事業者が省エネ設備を販売する事業
者にプランに沿った設備導入を支持する。
5. 省エネ設備の販売事業者は、プランに沿って設備を住
宅に導入する。
6. Green Deal提供事業者は、エネルギー供給事業者に
サービス開始を通知する。
7. 住宅所有者は、電気・ガス料金と一緒にGreen Dealの
サービス料金を支払う。この際、対策実施後の合計支
払い金額は、対策実施前のエネルギー料金を下回るこ
とが必要。
8. エネルギー供給事業者は、電気・ガス料金とともに徴収
したサービス料金をGreen Deal提供事業者に支払う。
※出所)英国エネルギー・気候変動省、みずほ総合研究所
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.2 英国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割:Green Deal】
 Green Deal導入の大目的は、カーボン・バジェット達成に向けた民生部門のGHG排出削減にある。これまで省エネ設備の
導入が進まなかった理由として、下記の“省エネバリア”の存在が挙げられ、これらを解消する制度してGreen Dealが設計
された。
1. 省エネ設備導入に先行投資費用がかかること
2. 投資回収期間が長いこと
3. 設備導入までの一連の手続きが煩雑であること
4. 省エネ効果の認識が需要家に不足していること
温暖化ガス排出量削減目標
● 温暖化ガス排出量削減目標を達成するた
めには、民生部門における排出量をさら
に削減する必要がある。
● ただし、この民生部門には、温暖化ガス排
出量を削減する際の障壁となる“省エネバ
リア”が存在する。
● 活動計画の第2期(2013-17年)は、この
省エネバリアを解消する仕組みとして
Green Dealを導入する。
※出所)英国エネルギー・気候変動省
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.3 ドイツにおける省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ政策および省エネ制度の実施状況】
 産業部門は、EU-ETSの対象となるため、ドイツ国内の省エネ政策の対象外となっている。一方、業務・家庭部門:住宅及
び建物を新築、改築する際に断熱性に関する規制が行われており、各種施策が実施されている。運輸部門は、EU指令に
従うとしている。
 主な省エネルギー計画として、(1)National Energy Efficiency Action Plan(2006):EU指令に基づく建物へのエネルギー
証明書の義務付け、老朽化した建物の改築を促進する税制措置、CO2排出量に基づいた自動車税の検討等、(2)
Integrated Energy and Climate Programme(2007):機器のエネルギー効率の改善、公共部門の近代化による省エネ、
自動車のラベリング制度等が挙げられる。
 省エネルギー関連法案としては、省エネ条例、住宅及び建築物の建材や機器の省エネ基準の規定、エネルギー証明書の
提出義務等を定めたEnEVが挙げられる。
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割】
 省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割は、英・仏・伊に比べて小さい。ただし、EUレベルで省エネ固定価格買
取制度といった施策が具体化された場合、ドイツにおいても省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割が他国並み
に大きくなる可能性がある。
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.4 フランスにおける省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ政策および省エネ制度の実施状況】
 2009年グルネル1法(環境グルネル会議の成果導入・実施に関する2009年8月3日付法律2009-967)において中期目標
の策定し、EUの気候変動・エネルギー包括政策における政策目標の合意と2050年までにGHG排出量を1990年比で25%
とする独自目標を策定する。この中で、重点領域として、住宅・建築物分野の省エネ促進、運輸のGHG削減を定めた。
 住宅分野は、フランス国内のエネルギー消費量の40%を占めており、省エネポテンシャルが大きい部門と位置付けられて
おり、①新築建築物の規制強化、②既存建築物の省エネ改築促進、③省エネ関連機器の購入支援、④省エネ証書制度の
強化による建物の効率向上、といった個別施策が展開されている。
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割】
 2006年からエネルギー供給事業者に対して最終需要家における省エネルギー促進を義務化する。再生可能エネルギーに
おけるグリーン電力証書と同じように、省エネ義務量を達成するために第三者が実施した省エネを証書として買い取ること
ができる。
 第1期間(2006年7月~2009年6月末)において目標達成量を11%上回ったため、第2期間(2009年7月~2012年6月末)に
おける目標が大幅に引き上げられた。
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.4 フランスにおける省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割:省エネルギー証書制度】
 2006年からエネルギー供給事業者に対して最終需要家における省エネルギー促進を義務化する。再生可能エネルギーに
おけるグリーン電力証書と同じように、省エネ義務量を達成するために第三者が実施した省エネを証書として買い取ること
ができる。第1期間(2006年7月~2009年6月末)において目標達成量を11%上回ったため、第2期間(2009年7月~2012
年6月末)における目標が大幅に引き上げられた。
フランスにおける省エネ証書制度の概要
時期
第1期:2006年7月1日~2009年6月30日/第2期:2011年1月1日~2013年12月31日
対象者
エネルギー小売業者
• すべての住宅用暖房油供給者
• 国内に居住する最終消費者へのエネルギー販売量が下記を 超える法人
– 電力 年間4億kWh
– 天然ガス 年間4億kWh(高位熱量)
– LPG 年間1億kWh
– 冷熱 年間4億kWh
• 自動車用燃料の販売事業者(第2期より追加)
省エネ目標
第1期:540億kWh
第2期:3,450億kWh(既存対象者:2,550億kWh、新規対象者:900億kWh) ⇒産業界の反発を招いている
実績
第1期:652億kWh
内容
• 事業者は、販売エネルギー量に応じて義務量が決まる
• ESCOは証書の証書取得資格者外である
• 省エネ活動計画の承認や証書発行の申請は県知事に対して行う。
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.4 フランスにおける省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割:省エネルギー証書制度】
 第2期(-2013年)においては、省エネ証書全国登録台帳の管理受託者が、各事業者の口座で管理されている省エネ証書
の残高明細書を2014年4月30日までにエネルギー担当相に送付する。省エネ証書が義務量に対して十分であった場合、
管理者により口座から証書が抹消される。省エネ証書の量が不十分であった場合は、2ヶ月以内に履行するよう督促される。
フランスにおける証書提出の流れ
エネルギー担当相
<十分>
②証書を口座から
抹消させる
①口座残高証明書
を送付
<不十分>
②2ヶ月以内に取得するよう督促
⇒不履行の場合、課徴金が発生する
義務対象者― 省エネ証書口座
<十分>
③抹消手続きの通知
全国登録台帳管理者
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.4 フランスにおける省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割:省エネルギー証書制度】
 2006年に、分野別に合計93の標準的な省エネ対策事例とそれによって認められる省エネ量を示した省令を公布している。
発行済み証書の約99%が事例に沿っており、特に上位10の事例で全体の4分の3に達する。この省令は、事業者にとって
の手引きになり、評価作業の簡略化も図られている。
標準的な省エネ対策事例の利用頻度上位10
標準事例番号
プロジェクトの名称
省エネ証書量に占める比率
BAR-TH-06
戸建凝縮ボイラー
14.6%
BAR-TH-08
戸建低温型ボイラー
11.1%
BAR-TH-07
集合住宅凝縮ボイラー
10.4%
BAR-TH-29
大気/大気型ヒートポンプ
9.3%
BAR-EN-01
屋根裏部屋/屋根の断熱
6.8%
BAR-EN-04
断熱ガラスつきの窓またはフランス窓
6.4%
BAT-TH-09
集合住宅低温型ボイラー
4.0%
INDUT-02
電動機電子可変速装置
3.6%
BAR-TH-04
空気/水型ヒートポンプ
3.5%
BAR-TH-24
戸建太陽熱温水器
3.5%
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.5 イタリアにおける省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割】
 イタリアでは、5万軒以上の需要家に供給する配電・配ガス事業者に対し、省エネ義務を負わせている。義務化対象事業者
は、義務相当量の省エネ証書(ホワイト証書)を取得して、電力・ガス規制機関(AEEG)に提出しなければならない。証書は
市場で取り引きすることができ、省エネを最小コストで実現することを目指している。
 省エネ義務の遂行はこれまで順調に行われており、2007年まで義務未達による罰金を課されたケースはなかった。政府経
済発展省とAEEGの試算によると、家庭部門において省エネプロジェクトによって回避できたエネルギーコストは掛かった費
用の最低でも6~15倍になる。
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.5 イタリアにおける省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割】
 イタリアでは、5万軒以上の需要家に供給する配電・配ガス事業者に対し、省エネ義務を負わせている。義務化対象事業者
は、義務相当量の省エネ証書(ホワイト証書)を取得して、電力・ガス規制機関(AEEG)に提出しなければならない。証書は
市場で取り引きすることができ、省エネを最小コストで実現することを目指している。
イタリアにおける省エネ証書制度の概要
時期
2005年~現在(2011年9月)※1
対象者
50,000軒以上の需要家をもつ配電・配ガス事業者
(2007年までは100,000軒以上)
省エネ義務量総量
2008~2012年で2,100万toe(石油換算トン)
(2005~2009年では580万toe)
経済的便益
投資費用の最低6~12倍(AEEG評価による)
内容


証書は、節約するエネルギーにより、第1種(電気)、第2種
(ガス)、第3種(自動車用燃料以外のその他エネルギー)、
第4種(自動車用燃料のその他エネルギー)に分類される※2
省エネプロジェクトに認定されると、5~8年間毎年発行される
※1 2007年12月に制度の見直しが行われている
※2 2009年2月の見直しまでは、第3種と第4種はまとめて第3種(その他のエネルギー)とされていた
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.5 イタリアにおける省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割】
 省エネ証書は、配電・配ガス事業者とその子会社、ESCO、エネルギー管理者設置企業などが発行を受けられる。AEEG
の承認を受けた省エネプロジェクトの実施成果に対し、GMEが証書を発行する。対象事業者は、当該年度の義務量相当分
の証書を翌年5月31日までにAEEGに提出しなければならない。
イタリアにおける証書提出までの流れ
GME
証書発行
証書発行
ESCO
配電・配ガス
事業者
証書提出
証書
対価
省エネ
プロジェクト承認
エネルギー
管理者設置企業
※ エネルギー管理者設置企業:2007年省令によりエネ
ルギー管理者の設置を義務付けられた企業。1991
年「エネルギーの合理的使用・省エネ・再エネ発展に
関する全国エネルギー計画実施法」では、年間エネ
ルギー消費量が工業部門で、1万toe以上、民生・運
輸部門では1,000toe以上の企業は、エネルギーの
節約・合理的な使用を担当する責任者を任命しなけ
ればならないと規定されている。
トレーダー
省エネプロジェクト承認
AEEG
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.5 イタリアにおける省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割】
 証書を取得するために事業者が負担した費用は、AEEGの基準に従い、規制料金である送配電・ガス輸送料金を通して回
収することができる。09年以降費用回収額は毎年算定されることになった。
 当初は1toe当たりの消費削減につき、100¢を費用として系統利用料金に上乗せしていたが、2009年以降費用回収額は
毎年算定されることになった。
イタリアにおける費用回収の仕組み
省エネ義務量
省エネ支援
配電・配ガス
事業者
政府
対価
証書
需要家
エネルギー料
プロジェクト費
罰金
ESCO等
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.5 イタリアにおける省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
【省エネ制度におけるエネルギー供給事業者の役割:評価】
 省エネ義務の遂行はこれまで順調に行われており、2007年まで義務未達による罰金を課されたケースはなかった。2007
年までも義務未達のケースはあったが、達成率60%(新規義務化対象者は25%)以上に達していれば、処罰を受けずに翌
年度に不足分を埋め合わせる制度があるため救済されていた。2008年には2ガス事業者が未達率100%に終わり、初めて
処罰を受けた。
 省エネプロジェクトの約3分の2は高効率電球の配布、2割弱が低水量バルブの設置であった。政府経済発展省とAEEGの
試算によると、家庭部門において省エネプロジェクトによって回避できたエネルギーコストは掛かった費用の最低でも6~15
倍になる。省エネ量の評価は、法定の最低基準の効率基準を上回った分に限られるが、実際に取り替えられる設備は最低
基準を下回っているものであることも多いため、より高い効果がでていることも考えうる導入された設備の耐用年数は制度
上5年もしくは8年であるが、実際にはより長く使うことが可能であるため、より高い効果がでていることも考えうる。
 2020年時点で、EUの再生エネルギ-利用促進指令においてイタリアに義務付けられている最終一次エネルギー消費量に
占める再エネシェアは17%である。2009年AEEGのオルティス委員長(当時)は、再エネ導入率17%は実現困難であり、目
標達成のためには13%の省エネを行ってエネルギー需要を減らす必要があるとの認識を示した。2010年7月に提出された
イタリアの国家再生エネルギー行動計画案ではエネルギーの効率的利用を強化し、2020年時点で自然トレンドに比べて
20%の省エネを行うと述べられている。その手段のひとつとして省エネ証書制度が挙げられており、今後強化する旨が明
言されている。ただし、 2010年10月時点において省エネ証書制度の2013年以降の具体的な目標は示されていない。
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.6 中国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
 98年に施行された省エネルギー法が2007年に改正され、 2008年4月より新省エネ法が施行されている。改正のポイントは
主に以下の4点である。

省エネを基本国策へ

民生、運輸部門が省エネ政策の対象へ:建築物の省エネ、機器の認証・ラベリングの整備等

規制中心から、インセンティブ導入へ:規制強化されると同時に、価格・税・財政支援が導入された

政府の省エネ業績考課への反映と率先行動の推進へ:地方政府の業績考課の一つに
省エネ推進の分野
省エネ管理とサービス
エネルギーの合理的な使用
概要
地方政府の省エネ監察機構の設置と重点部門の監督管理、エネルギー消費機器の原単位基準の確立、固定資産投資の省エネ設計基
準審査、エネルギー効率ラベリング制度の全面執行、省エネ製品認証制度の実行、エネルギー消費統計の強化、ESCOサービスに対す
る国や地方政府の支援。
重点事業所
 重点エネルギー消費部門(年間エネルギー消費3000トン標準炭以上の大型公共建築物を含む)に管理監督強化、
重点エネルギー消費部門でのエネルギー管理士制度の導入。
工業
 工業企業の省エネ活動責任制と国による技術政策・奨励政策の整備。
建築
 建築省エネに係る各種制度の整備と監督管理・奨励の強化。
交通
 交通省エネの各種制度整備、公共交通機関整備の優先実行、低燃費型交通機器に対する奨励、省エネ技術の普
及。
公共機関
 政府機関の率先行動、グリーン調達の徹底。
省エネ技術の推進
国による省エネ技術の支援と推進。
奨励政策
省エネを奨励・促進する財政、税収、価格、貸付と政府調達の政策を国が実行、重点プロジェクト向けの省エネ基金の設立、税制・価格
政策による省エネインセンティブの確立。
法的責任
事業所の停止、閉鎖、罰金、民事責任、行政処分等
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出所)各種資料よりNRI作成
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.6 中国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
 産業部門
 約1,000社の重点企業が指名され、エネルギーの使用状況・改善目標の報告などを求めている。
「能源発展11次五カ年計画」(07年4月公布)
上位方針
「国務院関于加強節能工作的決定」(06年8月6日)
•
工業部門は電力、鉄鋼、非鉄金属、石油化学、化学、建材等の企業の省エネ活動を重点的に進める。
「中華人民共和国省エネルギー法」(98年1月施行、07年10月28日改訂)
•
上位立法
「重点用能単位節能管理弁法」(99年3月10日施行、現在改訂作業中)
•
規制制度
改定草案では、エネルギー管理指定工場、エネルギー管理士制度等の仕組みが導入されている。
年間エネルギー消費量が1万トン標準炭以上の事業所、省・自治区・直轄市が指定する年間エネルギー消費量が5000~1万トン標準炭の法人企業を
対象として、省エネの管理を徹底する。
「重点用能単位節能管理弁法」:重点エネルギー使用企業はエネルギー使用管理制度を建て、省エネの技術改善・エネルギー使用の監視システムにおけ
る資金を払わなければならない。エネルギー使用状況を定刻に政府に報告する。(3章11条~15条)
「国務院関于加強節能工作的決定」:高エネルギー消費の製品、資源の輸出を禁止する。(7章31条)
「国務院関于加強節能工作的決定」を根拠としたインセンティブ制度:
インセンティブ制度
•
「節能産品目録」に書かれた製品を生産する企業或いは使用する企業は税を減免する(7章31条)
•
省エネに優れた企業又は個人を奨励する(7章34条)
「千家企業節能行動実施方案」(06年4月7日公布)
•
国有政策性銀行(国家開発銀行)または国際金融機構と協調して、「千家企業」省エネ技術改善をサポートする(5節3条)
「能源発展11次五カ年計画」
技術政策
•
重点省エネプロジェクト(工業部分):工業用石炭ボイラー改造、廃熱廃圧利用、省エネ設備導入、エネルギーシステム改善、政府機関省エネ、省エネ監
視と技術サービス
「中国節能技術政策大綱」:製鉄時の熱を利用する技術、IT技術を機械または電気設備と合わせるインテグレーション技術
部門
役割
主な関連部門と役割
国家発展改革委員会(能源局)
省エネの総括管理部門
(行政法規頒布主体)
科学技術部(高新技術発展産業化司)
技術開発の計画を作り、R&Dの資金を提供
財政部・国家税務総局
税金優遇と補助の政策を作り、実施する
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33
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.6 中国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
 民生部門(機器)
 民生機器については、特定機器の強制的なエネルギー基準と、ラベリングを主とする普及啓蒙策が導入されている。
「能源発展11次五カ年計画」(07年4月公布)
上位方針
• 冷蔵庫・給湯器・エアコンなどの民生製品における2010年の省エネ目標を決める
「国務院関于加強節能工作的決定」(06年8月6日公布)
•
省エネ製品のラベリングと認証制度を揃える
「中華人民共和国省エネルギー法」(98年1月施行・ 2007年10月28日改訂-)
上位立法
•
政府は優遇政策を作り、省エネルギーのモデルプロジェクトまたは普及プロジェクトをサポートする(4章33条)
•
エネルギーを使用する製品は製品の説明書にエネルギー消費のデータを標記する(3章26条)
「家用電氷箱電耗限定値及能源効率等級」(2005年3月1日施行)
「家用燃気快速熱水器和燃気采暖熱水炉能効限定値及能効等級」 (2008年 6月1日施行)
規制制度
「房間空気調節器能効限定値及能効等級」(2005年3月1日施行)
「単元式空気調節機能効限定値及能効等級」 (2007年3月1日施行)
•
冷蔵庫・給湯器・ガス暖房・エアコンにおけるエネルギー使用効率の限定値やラベリングのレベルや検査方法を定める
「国務院関于加強節能工作的決定」を根拠としたインセンティブ制度
インセンティブ制度
•
「節能産品目録」に書かれた製品を生産する企業或いは使用する企業は税の減免を取る(7章31条)
「節能産品政府采購実施意見」:政府は製品を購買する場合に、省エネ製品リストに登録した製品が優先に買う
「中国節能技術政策大綱」に書かれた優先発展の省エネ技術:
技術政策
•
家電製品におけるIT技術
•
暖房とエアコンの省エネ技術
•
町照明に応用する発光ダイオード( LED)技術
部門
主な関連部門と役割
(行政法規頒布主体)
役割
国家発展改革委員会(能源局)
省エネの総括管理部門
科学技術部(高新技術発展産業化司)
技術開発の計画を作る
国家税務総局
税金優遇の政策を作り、実施する
国家質量監督検験検疫総局
省エネ技術標準の整備
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34
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.6 中国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
 民生部門(建築)
 新築建物に対して省エネ基準を満たすことを求める建築省エネ管理条例が成立する見込みである。
上位方針
「国務院関于加強節能工作的決定」(06年8月6日)
• 建築省エネ、交通運輸省エネ、商業と民用省エネ、農村省エネと政府機構の省エネを進める。
「国家中長期科学及び技術発展計画綱用」(2006年~2020年)

グリーン建設設計技術の開発及び省エネ建材・グリーン建材利用を促進する。
上位立法
「中華人民共和国省エネルギー法」(98年1月施行・2007年10月28日改訂)
• 改定草案では、特別に建築物に関する章が設けられ、各種基準の導入とインセンティブ制度の整備が求められている。
「民用建築節能管理規定」(建設部公布、2006年1月1日実行)
• 工場以外の建築の新設と既存建築の改造における省エネの規制とインセンティプ制度を定める。
「民用建築節能条例(草案)」(国務院発表、07年7月3日草案公布)
• 国務院の発表する法律案であり、以前の建設部規定より強化された内容。
規制制度
「民用建築節能条例(草案:原則的に承認済み)」
• 省エネの管理部門(発改委)または建築の管理部門(建設部)は建築の省エネにおける推進・制限・禁止という三種類の材料目録或いは設備目録を作
る。建築事業者は禁止目録に入ったものを使ってはいけない(2章11条)
• 建築の設計と着工は、省エネ関連標準により品質検査を受けなくてはいけない(2章12条~18条)
• 建築の公共部分は省エネの照明設備と電気制御システムを備えるべきである(2章19条)
「民用建築節能管理規定」 ( 2006年1月1日実行)

省エネ改装における資金融資・ファンド設立の促進を奨励する(第9条)
インセンティブ制度
「民用建築節能条例(草案:原則的に承認済み)」
• 県以上の政府機関は建築省エネにおける専用資金を提供すべきである。政府は金融機構を導き、モデルプロジェクトまたは省エネ改造にサポートする。
政府は民間建築の省エネプロジェクトに税を減免する(1章7条)
• 政府は建築の省エネにおける推進目録に入ったものを普及すべきである(2章11条)
• 政府のオフィスと公共建築は省エネの設備を据え付けるべきである(2章21条)
• 地方政府が全国の標準より厳しい建築省エネ標準を制定ことを奨励する(2章10条)
技術政策
「中国節能技術政策大綱」に書かれた優先発展の省エネ技術
• 建築の外壁・天井・ドア・窓における省エネ技術、既存建築の地域特徴または構造に関する改造技術
部門
役割
主な関連部門と役割
国家発展改革委員会(能源局)
省エネの総括管理部門
(行政法規頒布主体)
建設部
技術基準の策定。地方の相当部門が建築の省エネを監督する
財政部
省エネの補助或いは税金減免を提供する
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35
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.6 中国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
 運輸部門
 運輸業界全体をターゲットとした企業の省エネ促進施策が進められようとしている。
「国務院関于加強節能工作的決定」(06年8月6日)
上位方針
•
•
上位立法
建築、交通運輸、商業民用、農村、政府機構の省エネを進める。
「交通部建設節約型交通指導意見」(06年4月5日)
交通部門の省エネ、資源の有効利用を進める。そのために交通建設用地、港湾、物流企業や港湾企業のエネルギー管理・評価を実施する。
「中華人民共和国省エネルギー法」(98年1月施行、2007年10月28日改定)
•
改定草案では、特別に建築物に関する章が設けられ、各種基準の導入とインセンティブ制度の整備が求められている。
「乗用車燃料消耗量限値」(GB19578-2004)(2004年10月29日公布)
規制制度
•
自動車燃費規制。排気量に応じた期限付きの強制基準
•
中国国内の生産メーカーが対象で、第一ステップは06年7月から、第二ステップは09年1月から適用
「2007全国交通行業節能工作要点」(07年4月2日)
•
交通業界に対して、燃費が悪く、環境汚染が著しい老朽車両、船舶の参入を禁止する措置を整える
•
交通部門の省エネ観測センター(サービス部門)を設立し、その能力建設を実施する
「交通部関于進一加強交通行業節能減排工作的意見」(07年5月18日)
インセンティブ制度
•
道路交通、水路、港湾交通や交通建設における各事業主体に対する省エネ支援を強化する
•
費用徴収メカニズムを利用して、省エネ型の輸送機器の導入を促進させる
•
交通業界の各種エネルギー統計を整備する
国家高技術研究発展計画(863計画)
技術政策
•
先進能源技術領域 エタノール混合ガソリン、高性能蓄電池、自動車新エネルギー技術、等
•
現代交通技術領域 燃料電池車、電気自動車、等
部門
役割
主な関連部門と役割
国家発展改革委員会(能源局)
省エネの総括管理部門
(行政法規頒布主体)
交通部
交通業界の省エネ管理監督
科技部
省エネ型自動車の研究開発助成
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36
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.6 中国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
 中国の省エネ政策は、第九次五カ年計画において、「節約と開発を堅持しつつ、節約を重視する」ことが位置づけられて以
降、発改委を中心に本格的な政策整備が進められてきた。
中国における主な省エネ関連政策
年月
省エネ関連政策
推進主体
概要
1996年3月
第9次5カ年計画
国家発改委
•
「節約と開発を堅持しつつ、節約を重視する」ことを明示
1998年1月
省エネルギー法
全人大
•
エネルギーの合理的な使用に関する義務・責任と省エネ技術の開発・普及に関する
支援について規定した基本的な政策
2004年11月
省エネルギー中長専項
期計画
国家発改委
•
•
省エネを「経済と社会発展の長期戦略であり、極めて喫緊の課題」と位置づけ、以下
の目標を設定
GDPあたりのエネルギー消費量を、2002年の2.68標準炭トンから2010年に2.25標準
炭トン、2020年には1.54標準炭トンに削減
省エネ十大プロジェクトを推進
•
2006年1月
再生可能エネルギー法
全人大
•
再生可能エネルギーで発電された電力の購入を、送配電会社に義務化
2006年3月
第11次5カ年計画
国家発改委
•
人口、資源、環境と経済成長が調和した省資源型、環境配慮型の成長への転換を目
指すことを宣言
2006年~2010年の5年間で、GDPあたりのエネルギー消費量を20%削減するという目
標を設定
•
2007年6月
気候変動に対する国家
プラン
国務院
•
2010年のGDPあたりのエネルギー消費量を2005年比で20%削減するという目標を設
定
2007年9月
再生可能エネルギー中
長期発展計画
国家発改委
•
1次エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの比率を2005年の7.5%から2020
年に15%に引き上げるという目標を設定
2007年10月
改正省エネルギー法
全人大
•
•
省エネに対する法的責任を強化するとともに、インセンティブ政策を重視
民生部門と運輸部門が省エネ法の対象として新たに追加
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出所)各種資料よりNRI作成
37
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.1 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における省エネ政策の実施状況及びその効果に関する調査・分析
1.1.6 中国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析
 「第十一次五カ年計画」では、産業部門は製造プロセスの改善と大型設備の置き換えを中心に展開、民生部門は省エネ建
材や照明設備の導入を中心に展開されている。
10大省エネプロジェクトの概要
分野
実施対象
産業用石炭ボイラの改造
概要
石炭燃焼効率が低い中小石炭燃焼ボイラを改造或いは代替する
地域のコージェネレーション(熱電
コージェネレーションの採用によって、分散式の小型ボイラの熱供給を集中型熱供給へと転換する
併給)
廃熱の利用
産業
石油の節約と代替
モーターシステムの省エネ
エネルギー設備の最適化
建築の省エネ
民生
「緑色照明」の促進
政府機関の省エネ
全般
省エネのモニタリングと診断
鉄鋼、建材などの業種で、余熱余圧利用を展開する
電力、交通輸送などの部門での燃料節約の措置、石炭液化、アルコール・アルデヒド類燃料など石油
の代替製品を使用する
石炭などの部門での、電動ブロア、ポンプ設備の改造
石油化学、鉄鋼などの部門での、設備のエネルギー消費を改善し、企業のエネルギー総合消費レベ
ルを、世界の先端水準まで改善させる
住宅、公共建築を対象に、建築省エネ設計基準を厳格に実施し、既存の建築物の省エネ改造を推進
し、新たな壁材料と省エネ商品などを推進する
公共施設、ホテル、商業ビル、オフィスビル及び住宅において、効率の高い節電照明設備などを推進
する
政府機関の建築は、建築省エネ基準に基づいて改造し、政府機関で省エネ製品などを広く使用する
新しいモニタリング設備の導入、人員のトレーニング
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目次
0. 本調査の背景と目的 【p.3 - p.4】
1. 省エネルギー対策の強化に関する調査 【p.5 - p.120】
1.1 諸外国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析 【p.6 - p.38】
1.1.1 米国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.7 - p.13】
1.1.2 英国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.14 - p.21】
1.1.3 ドイツにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.22】
1.1.4 フランスにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.23 - p.26】
1.1.5 イタリアにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.27 - p.31】
1.1.6 中国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.32 - p.38】
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析 【p.39 - p.74】
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析 【p.40 - p.74】
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析 【p.75 - p.88】
1.3.1 対象とする建材等 【p.77】
1.3.2 断熱材の普及状況と性能状況 【p.78 - p.79】
1.3.3 窓の普及状況と性能状況 【p.80 - p.81】
1.3.4 水回り設備の普及状況と性能状況 【p.82 - p.84】
1.3.5 住宅・建築物の省エネ性能を向上する方策の検討 【p.85 - p.88】
1.4 工場・事業所における省エネ法の遵守状況及び過去からの取組みを踏まえた省エネ効果の調査・分析 【p.89 - p.93】
1.4.1 省エネ法の判断基準遵守状況と原単位改善率の関係 【p.91 - p.92】
1.4.2 過去の省エネ実績を基にした省エネ効果の分析 【p.93】
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析 【p.94 - p.120】
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析 【p.96 - p.120】
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39
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
1.
省エネに関する情報収集方法

省エネに関する情報収集先は、「国などが開催した改正省エネ法に関する説明会・講習会」(67.3%)、「国または地方自治体のホーム
ページ」(53.1%)、「業界・関連団体・商工会議所等の会報誌・HP等資料」(37.7%)、「新聞・雑誌」(36.9%)、「テレビ・ラジオ」
(18.2%)の順であった。

管理指定別では、「特定事業者・特定連鎖化事業者」は詳細な内容を知ることができる「国などが開催した改正省エネ法に関する説明
会・講習会」(80.7%)、「国または地方自治体のホームページ」(59.6%)が多く、「非指定事業者」では概要を知るために便利な「新聞・
雑誌」(50.6%)、「業界・関連団体・商工会議所等の会報誌・HP等資料」(44.0%)が多い。
省エネに関する情報収集(複数回答)
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
管理指定別 省エネに関する情報収集方法(複数回答)
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
1.
省エネに関する情報収集方法

以下に、製造部門、業務部門それぞれの業種別 省エネに関する情報収集方法の調査結果を示す。

製造部門では、一般機械器具製造業を除き、国などが開催した改正省エネ法に関する説明会・講習会で情報収集を行ったとする回答
が多く、製造業全体で69.2%を占めている。

業務部門においても、電気・ガス・熱供給・水道業に牽引される形で、国などが開催した改正省エネ法に関する説明会・講習会で情報
収集を行ったとする回答が多くなっており、業務部門全体では66.0%を占めている。
製造部門 業種別 省エネに関する情報収集方法(複数回答)
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
業務部門 業種別 省エネに関する情報収集方法(複数回答)
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
41
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
2.
テナントビルにおけるエネルギー使用状況の把握
① オーナーによるテナントのエネルギー使用状況把握

テナントビルを所有している事業者に対し、テナントのエネルギー使用状況を把握しているかどうか尋ねた。
テナントビルのオーナーとしての回答者数は275事業者で、このうち「テナントのエネルギー使用状況を把握している」と回答したのは
85.5%であった。

管理指定別で見ると、「特定事業者・特定連鎖化事業者」では、「把握している」が87.9%、とりわけ「継続指定事業者」では93.7%が「把
握している」と回答している。

「把握している」と回答した事業者に「把握している情報」について尋ねたところ、「電気の使用状況」が99.1%、「ガスの使用状況」が
99.1%、「ガスの使用状況」が62.0%、「電気・ガス以外の燃料の使用状況」が99.1%、「ガスの使用状況」が62.0%、「電気・ガス以外の
燃料の使用状況」が20.9%であった。「その他」としては、「水道の使用量」などが挙げられている。
オーナーによるテナントのエネルギー使用状況把握
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
オーナーが把握している情報
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
42
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
2.
テナントビルにおけるエネルギー使用状況の把握
② オーナーによるテナントへのエネルギー使用状況の情報提供

テナントビルを所有している事業者に対し、テナントに対してエネルギー使用状況の情報を提供しているか尋ねた。
テナントビルのオーナーとしての回答者数は275事業者で、このうち「テナントへエネルギー使用状況の情報を提供している」との回答
は70.5%であった。

管理指定別で見ると、「特定事業者・特定連鎖化事業者」では、「提供している」が72.3%、そのうち「継続指定事業者」は78.4%が「提
供している」と回答しているが、「非指定事業者」では「提供している」との回答は62.9%にとどまっている。

「提供している」事業者に「提供している情報」について尋ねたところ、「電気の使用状況」が98.4%、「ガスの使用状況」が50.3%、「電
気・ガス以外の燃料の使用状況」が21.2%であった。「その他」としては、「空調エネルギー」、「熱量」などが挙げられている。
オーナーによるテナントへのエネルギー使用状況の情報提供
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
オーナーが提供している情報
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
43
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
2.
テナントビルにおけるエネルギー使用状況の把握
③ テナントによるオーナーへのエネルギー使用状況の情報提供

テナントとして入居している事業者に、オーナーに対してエネルギー使用状況の情報を提供しているかどうか尋ねた。
テナントとしての回答者数は512事業者で、このうち「オーナーに対してエネルギー使用状況の情報を提供している」との回答は44.9%
であった。

管理指定別で見ると、「特定事業者・特定連鎖化事業者」では、「提供している」が45.5%、「非指定事業者」でも45.4%で差はない。

「提供している」テナント事業者に、「提供している情報」についてたずねたところ、「電気の使用状況」が94.3%、「ガスの使用状況」が
43.9%、「電気・ガス以外の燃料の使用状況」が18.4%であった。「その他」としては、水道の使用量」が挙げられている。
テナントからオーナーに対するエネルギー使用状況の情報提供
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
テナントが提供している情報
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
44
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
3.
省エネ対策における「判断基準」の参照

省エネ対策の実施に際し、「判断基準」を参照しているか否かについて尋ねた。

全体では、「参照している」が70.1%、「『合理化基準』のみ参照」が7.6%、「『合理化の目標』のみ参照」が4.1%、「参照していない」が
18.2%であった。

管理指定別では、「特定事業者・特定連鎖化事業者」は「参照している」が79.6%、特に「継続指定事業者」は83.9%が「参照している」
と回答しているが、「新規指定事業者」は75.1%となっている。「非指定事業者」では、「指定から非指定となった事業者」において「参照
している」との回答した事業者は59.5%だが、「継続的に非指定の事業者」においては「参照している」事業者は40.5%、「参照していな
い」事業者は44.6%であった。

業種別では、製造部門と業務部門とに大きな差は見られない。
管理指定別 省エネ対策における「判断基準」の参照
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
業種別 省エネ対策における「判断基準」の参照
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
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1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
3.
省エネ対策における「判断基準」の参照

省エネ対策の実施に際し 、「判断基準」を参照しているか否か尋ねた。

全体では、「参照している」が70.1%、「『合理化の基準』のみ参照」が7.6%、「『合理化の目標』のみ参照」が4.1%、「参照していない」が
18.2%であった。

管理指定別では、「特定事業者・特定連鎖化事業者」は「参照している」が79.6%、特に「継続指定事業者」は83.9%が「参照している」
と回答しているが、「新規指定事業者」は75.1%となっている。

「非指定事業者」では、「指定から非指定となった事業者」については「参照している」が59.5%だが、「継続的に非指定の事業者」にお
いては「参照している」事業者は40.5%、「参照していない」が44.6%であった。
管理指定別 省エネ対策における「判断基準」の参照
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
業種別 省エネ対策における「判断基準」の参照
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
46
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
3.
省エネ対策における「判断基準」の参照

製造業では「パルプ・紙・紙加工品・印刷関連工業」、「電子部品・デバイス・電子回路製造業」が、業務部門では「電気・ガス・熱供給・水
道業」、「教育、学習支援業」、「不動産業、物品賃貸業」で、「参照している」との回答が多い。
製造部門 業種別 省エネ対策における「判断基準」の参照
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業務部門 部門別 省エネ対策における「判断基準」の参照
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
47
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
3.
省エネ対策における「判断基準」の参照

「『判断基準』を参照していない」と回答した事業者に対し、「特に充実化が望まれる項目」を尋ねた。

「特に充実化が望まれる項目」としては、「事務所等のエネルギー使用合理化に関する事項」(48.6%)が最も多く、以下「事務所等のエ
ネルギー使用合理化目標、計画的に取組む措置」(37.6%)、「工場等のエネルギー使用合理化に関する事項」(28.3%)、「工場等のエ
ネルギー使用合理化目標、計画的に取組む措置」(23.1%)、の順である。

「『判断基準』を参照していない」と回答した事業者は全体で341件であったが、「特に充実化が望まれる項目」を回答した事業者は290
件(85.0%)で、51件(15.0%)は無回答だった。
「特に充実化が望まれる項目」(複数回答)
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出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
48
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
4.
省エネ投資と支援措置について
①
省エネ投資と投資回収基準

省エネ投資に関し、「省エネ投資に対する投資回収基準」、「省エネ投資に対する支援措置の認知」、「支援措置としての『省エネ診断』
の実施状況」について尋ねた。

全体では、「省エネ投資に対する投資回収基準がある」が21.4%であった。

管理指定別では「特定事業者・特定連鎖化事業者」では25.7%が「投資回収基準がある」と回答しているが、これを継続・新規の別で見
ると「継続指定事業者」は35.8%が「基準がある」と回答しているが、「新規指定事業者」は15.3%にとどまっている。

「非指定事業者」では、「指定から非指定となった事業者」については「投資回収基準がある」が28.9%だが、「継続的に非指定の事業
者」では5.8%にすぎない。
管理指定別 省エネ投資に対する投資回収基準の有無
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出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
49
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
4.
省エネ投資と支援措置について
①
省エネ投資と投資回収基準

業種別では、「製造部門」では34.3%が「投資回収基準がある」と回答しているが、「業務部門」は12.7%にとどまっている。

製造部門では「パルプ・紙・紙加工品・印刷関連工業」、「電子部品・デバイス・電子回路製造業」が、業務部門では「小売業」、「生活関
連サービス業、娯楽業」、「飲食店・宿泊業」で、「投資回収基準がある」との回答が比較的多い。
製造部門 業種別 省エネ投資に対する投資回収基準の有無
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業務部門 業種別 省エネ投資に対する投資回収基準の有無
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
50
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
4.
省エネ投資と支援措置について
①
省エネ投資と投資回収基準

「投資回収基準がある」と回答した事業者に対し、投資回収基準の目標年数について尋ねた。

全体としては、「3年以下」(51.5%)が最も多く、次いで「5年以下」(32.8%)となっており、「投資回収基準の目標」は5年以内を目標とし
ている事業者が84.3%を占める。

管理指定別では、「非特定事業者」のうち「指定から非指定となった事業者」で「3年以下」(66.7%)が多く見られる。

業種別では、「製造部門」では「3年以下」が57.2%、「5年以下」が31.1%であるが、「業務部門」では「3年以下」が41.0%、「5年以下」が
36.1%で、両部門とも概ね5年以内を目標としつつも製造部門は比較的短期間を目標とする傾向が見られる。
投資回収基準の目標年数
(「投資回収基準がある」と回答した事業者のうち)
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業種別 投資回収基準の目標年数
(「投資回収基準がある」と回答した事業者のうち)
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
51
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
4.
省エネ投資と支援措置について
②
省エネ投資に対する支援措置の認知

全体では、「省エネ投資に対する支援措置」を「知っていた」事業者は53.0%であった。

管理指定別では、「特定事業者・特定連鎖化事業者」では61.7%が「省エネ投資に対する支援措置」を「知っていた」と回答しているが、
「継続指定事業者」では70.7%が「知っていた」と回答しているのに対し、「新規指定事業者」では52.6%にとどまっている。

「非指定事業者」では、「継続的に非指定の事業者」のうち「知っていた」と回答した事業者は25.0%にとどまる。
管理指定別 省エネ投資に対する支援措置の認知
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出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
52
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
4.
省エネ投資と支援措置について
②
省エネ投資に対する支援措置の認知

業種別では「製造部門」では61.6%が「省エネ投資に対する支援措置」を「知っていた」と回答しているが、「業務部門」は47.3%であった。

製造部門では「電子部品・デバイス・電子回路製造業」、「鉄鋼・非鉄金属製造業」、「パルプ・紙・紙加工品・印刷関連工業」、業務部門
では「教育、学習支援業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「不動産業、物品賃貸業」、「生活関連サービス業、娯楽業」で認知率が高い。
製造部門 業種別 省エネ投資に対する支援措置の認知
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業務部門 業種別 省エネ投資に対する支援措置の認知
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
53
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
4.
省エネ投資と支援措置について
②
省エネ投資に対する支援措置の認知

「省エネ投資に対する支援措置」を「知っていた」事業者に対し、どのような支援措置を知っているか、4つの選択肢を示して回答を得た。

支援措置の認知内容で最も多かったものは「省エネ診断」(70.5%)、以下、「各種補助金制度」(64.4%)、「金融上の助成措置」
(32.8%)、「エネルギー需給構造改革推進投資促進税制」(18.2%)であった。
支援措置の認知内容(複数回答)
(「省エネ投資に対する支援措置」を認知していた事業者のうち)
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出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
54
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
4.
省エネ投資と支援措置について
②
省エネ投資に対する支援措置の認知

管理指定別では、「特定事業者・特定連鎖化事業者」は「省エネ診断」(73.5%)と「各種補助金制度」(66.0%)の認知度が高く、「非指
定事業者」では「省エネ診断」(51.5%)、「各種補助金制度」(55.9%)の認知は低い。

業種別では、「金融上の助成措置」の認知が「業務部門」と比べて「製造部門」で高くなっている。
管理指定別/業種別 支援措置の認知内容(複数回答)
(「省エネ投資に対する支援措置」を認知していた事業者のうち)
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出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
55
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
4.
省エネ投資と支援措置について
③
支援措置としての「省エネ診断」について

「省エネ投資に対する支援措置」の内容で、「省エネ診断を知っていた」と回答した事業者に対し、「省エネ診断」を受診したことがあるか
を尋ねた。

「省エネ投資に対する支援措置」として、「省エネ診断」を受診した事業者は、「支援措置としての省エネ診断」を認知していた事業者の
うち46.1%であった。

管理指定別では「非指定事業者」が「特定・特定連鎖化事業者」よりも受診率が高く、業種別では「製造部門」が「業務部門」よりもやや
高い。

「受診した」理由としては、「自社取組み以外の方法を知りたかったため」、「中長期計画書作成の参考にするため」などが挙げられてい
る。また、「受診していない」理由としては、「予算や時間的な制約」、「体制が整っていないため」などのほか、「自主的な判断」や「自社
内で対応」などが見られる。
管理指定別 「省エネ診断」の受診経験
(「支援措置としての省エネ診断」を認知していた事業者)
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業種別 「省エネ診断」の受診経験
(「支援措置としての省エネ診断」を認知していた事業者)
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
56
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
4.
省エネ投資と支援措置について
③
支援措置としての「省エネ診断」について

「省エネ投資に対する支援措置」として「省エネ診断」を受診した事業者に対し、省エネ診断で提案された改善事項に関する対応状況に
ついて尋ねた。

「省エネ投資に対する支援措置」として「省エネ診断」を受診した事業者のうち、「省エネ診断で提案された改善事項に対応した」事業者
は68.1%であった。

「対応した」理由としては、「省エネ効果があり、投資回収の短い提案について対応した」などが挙げられる。また、「対応しなかった」理
由としては、「設備投資をする資金がない」、「財政負担が大きい」、「予算化できていない」、「投資効果があわない」といった資金面での
負担を理由とする事業者が多くみられる。
管理指定別 「省エネ診断」結果への対応
(「支援措置としての省エネ診断」を受診した事業者)
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業種別 「省エネ診断」結果への対応
(「支援措置としての省エネ診断」を受診した事業者)
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
57
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
5.
「冷暖房設定温度」について
①
政府推奨「設定温度」の認知

「冷暖房設定温度」に関し、「政府推奨設定温度の認知」、「冷暖房設定温度の状況」、「(一定の温度に定めている事業者を対象に)具
体的な冷暖房設定温度」について尋ねた。

毎年、国が定めている「夏期および冬期の設定温度」の認知度について質問したところ、「知っている」と回答したのは85.0%であった。

ただし、質問において具体的な設定温度については言及していないので、正しい設定温度を認知しているかどうかは不明である。

地域別に認知率をみると、「北海道地区」と「沖縄地区」では他の地区と比べて認知率がやや低い傾向にある。
政府推奨「設定温度」の認知
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地域別 政府推奨「設定温度」の認知率
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
58
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
5.
「冷暖房設定温度」について
①
政府推奨「設定温度」の認知

管理指定別では、「特定事業者・特定連鎖化事業者」では87.7%が認知しており、「継続指定事業者」は92.6%、「新規指定事業者」で
は82.9%の認知率である。

「非指定事業者」では、「指定から非指定となった事業者」は90.5%の高い認知率であるが、「継続的に非指定の事業者」では77.1%で
あった。
管理指定別 政府推奨「設定温度」の認知率
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出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
59
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
5.
「冷暖房設定温度」について
①
政府推奨「設定温度」の認知

業種別では、「製造部門」では83.7%、「業務部門」では85.8%の認知度であった。

製造部門では「電子部品・デバイス・電子回路製造業」、「パルプ・紙・紙加工品・印刷関連工業」、業務部門では「金融業、保険業」、「電
気・ガス・熱供給・水道業」、「教育、学習支援業」、「公務・行政機関」で比較的認知度が高い。
製造部門 業種別 政府推奨「設定温度」の認知度
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業務部門 業種別 政府推奨「設定温度」の認知度
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
60
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
5.
「冷暖房設定温度」について
②
冷暖房設定温度の状況

冷暖房設定温度を「一定の温度に定めている」か否かについてその状況を尋ねた。

「一定の温度に定めている」事業者は48.3%、以下「気温によって変動させている」23.7%、「工場・事業場や部署ごとで基準がある」
16.2%、「設定温度の基準はない」10.5%、「わからない」1.2%であった。

地域別にその状況を見ると、「北海道地区」では「気温によって変動させている」が41.0%と高い。
地域別 冷暖房設定温度の状況
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管理指定別 冷暖房設定温度の状況
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
61
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
5.
「冷暖房設定温度」について
②
冷暖房設定温度の状況

業種別では、「製造部門」では「一定の温度に定めている」が42.2%、また「工場・事業場や部署ごとで基準がある」が24.6%、「業務部
門」では「一定の温度に定めている」が52.4%、「気温によって変動させている」が26.1%であった。

「一定の温度に定めている」事業者は、製造部門では「電気・情報通信機械器具製造業」、「輸送用機械器具製造業」、「電子部品・デバ
イス・電子回路製造業」、「ゴム・プラスチック製品製造業」、業務部門では「公務・行政機関」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「金融業、
保険業」で比較的多い。
製造部門 業種別 冷暖房設定温度の状況
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業務部門 業種別 冷暖房設定温度の状況
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
62
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
5.
「冷暖房設定温度」について
③
冷房設定温度

「冷暖房設定温度を、一定の温度に定めている」と回答した事業者に、平成22年度及び平成21年度の冷房設定温度を尋ねた。

平成22年度、平成21年度ともに最も多い設定温度は28℃(平成22年度74.9%、平成21年度73.6%)であったほか、27℃及び26℃が
約10%で、「冷暖房設定温度を一定の温度に定めている」事業者の約75%は国の推奨設定温度を遵守している。

平成21年度から平成22年度にかけての設定温度の変更は、「変化なし」が95.0%で、多くの事業者は国の推奨設定温度をもって「一定
の温度に定めている」模様がうかがえる。
平成22年度ならびに平成21年度の冷房設定温度
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平成21年度から平成22年度にかけての冷房設定温度の変更
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
63
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
5.
「冷暖房設定温度」について
③
冷房設定温度

地域別平均冷房設定温度をみると、沖縄県だけ27℃を下回っていることが分かる。

管理指定別や業種別には、冷房設定温度に大きな差はない。
地域別 平成22年度の平均冷房設定温度
管理指定別 平成22年度の平均冷房設定温度
業種別 平成22年度の平均冷房設定温度
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64
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
5.
「冷暖房設定温度」について
③
冷房設定温度

業種別 平成22年度の平均冷房設定温度を見ると、製造業では「食料品・飲料・たばこ・飼料製造業」と「一般機械器具製造業」の二業
種が27℃を下回っている(26.8℃)。業務部門では「飲食店・宿泊業」の設定温度が低い(26℃)ことが分かる。
製造部門 業種別 平成22年度の平均冷房設定温度
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業務部門 業種別 平成22年度の平均冷房設定温度
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
65
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
5.
「冷暖房設定温度」について
④
暖房設定温度

「冷暖房設定温度を一定の温度に定めている」と回答した事業者に対し、平成22年度ならびに平成21年度の暖房設定温度を尋ねた。

平成22年度、平成21年度ともに、最も多い設定温度は20℃(平成22年度51.8%、平成21年度50.9%)ほか、国の推奨設定温度以下
の19℃が約10%、18℃以下が約9%で、冷暖房設定温度を「一定の温度に定めている」事業者の約60%は国の推奨設定温度を遵守し
ている。一方、推奨温度以上に設定している事業者も約25%(内訳:22℃-約13%、23℃以上-約12%)いる。

平成21年度から平成22年度にかけての設定温度の変更は、「変化なし」が93.9%で、ほとんどの事業者は設定温度を変更していない。
平成22年度ならびに平成21年度の暖房設定温度
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平成21年度から平成22年度にかけての暖房設定温度の変更
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
66
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
5.
「冷暖房設定温度」について
④
暖房設定温度

平成22年度の暖房設定温度の平均は20.5℃で、これを地域別に見ると北海道地区の平均が21.8℃となっており、他の地区よりも高め
に設定されていることが分かる(沖縄地区は回答数1件のため参考値となっている)。

管理指定別では、「非指定事業者」の設定温度がやや高めだが、業種別には大きな差はない。
地域別 平成22年度の平均暖房設定温度
管理指定別 平成22年度の平均暖房設定温度
業種別 平成22年度の平均暖房設定温度
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67
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
5.
「冷暖房設定温度」について
④
暖房設定温度

業種別 平成22年度の平均暖房設定温度をみると、製造部門では「パルプ・紙・紙加工品・印刷関連工業」の設定温度がやや高い。
業務部門では「飲食店・宿泊業」、「医療・福祉」の設定温度がやや高い。
製造部門 業種別 平成22年度の平均暖房設定温度
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業務部門 業種別 平成22年度の平均暖房設定温度
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
68
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
6.
空調機器の省エネ対策

空調機器の省エネルギー対策で実施度(「継続して実施している」、「今年初めて実施した」)が高いものは、「空調設備のフィルター清
掃」で、「継続して実施している」(87.6%)と「今年初めて実施した」(1.3%)をあわせて実施度は88.9%で、ほとんどの事業者で励行さ
れていることが分かる。次いで「空調機器の運転時間の見直し」が多く、「継続して実施している」(53.9%)と「今年初めて実施した」
(2.8%)を合わせて実施度は56.7%であった。

「空調機器の修繕・改善等による省エネ対策」、「空調機器の高効率機器への買替え」、「事務所・建物等の断熱性能の改善」は一時的
な設備投資を伴い、かつ既に改修対策を実施した事業者は「検討していない」との回答に含まれるため実施度が低くなる傾向は避けら
れず、それぞれの実施度は「空調機器の修繕・改善等による省エネ対策」は32.0%、「空調機器の高効率機器への買替え」29.9%、「事
務所・建物等の断熱性能の改善」16.7%であった。
空調機器(設備)全般の省エネ対策実施状況
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出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
69
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
6.
空調機器の省エネ対策

管理指定別に実施度(「継続して実施」、「今年初めて実施」)をみると、「空調設備のフィルター清掃」は「特定事業者・特定連鎖化事業
者」、「非指定事業者」ともに高い実施度となっている。しかし、それ以外の対策に関しては、「特定事業者・特定連鎖化事業者」の実施
度が高い傾向にある。

業種別では、「空調設備のフィルター清掃」は「製造部門」、「業務部門」とも実施度は高いが、「空調機器の運転時間の見直し」は「業務
部門」における実施度が高い。
管理指定別 空調機器(設備)全般の省エネ対策/実施度
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業種別 空調機器(設備)全般の省エネ対策/実施度
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
70
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
7.
照明の省エネ対策

照明の省エネルギー対策で実施度(「継続して実施している」、「今年初めて実施した」)が最も高いのは、「不必要時のこまめな消灯」
(94.9%)で、ほとんどの事業者が励行している。次いで「昼休みの一時消灯」(63.8%)、「明るい場所(建物内)の間引き」(61.4%)、
「部屋の使い方に応じて点灯区分を変更」(60.1%)となっている。

費用負担が発生する「高効率照明機器システムの採用」(34.2%)は実施率が低いほか、「夜間屋外照明の上方光束の削減」(29.5%)
の実施率も低い。
照明の省エネ対策実施状況
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出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
71
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
7.
照明の省エネ対策

管理指定別に実施度(「継続して実施」、「今年初めて実施」)をみると、「不必要時のこまめな消灯」は「特定事業者・特定非連鎖化事業
者」、「非指定事業者」ともに高い実施度となっている。しかし、「昼休み等の一斉消灯」、「明るい場所(建物内)の間引き」及び改修費用
が発生する「省エネ型Hf蛍光灯等に取り替えた」、「センサーつきの照明器具を採用」、「高効率照明機器システムを採用した」は、「特
定事業者・特定連鎖化事業者」の実施度が高い。

業種別では、「不必要時のこまめな消灯」は製造部門、業務部門とも実施度は高いが、それ以外の対策は製造部門における実施度が
高い傾向が見られる。特に「昼休みの一斉消灯」、「明るい場所(建物内)の間引き」、「センサーつきの照明器具を採用」に関しては、い
ずれも製造部門における実施度が高くなっている。
管理指定別 照明の省エネ対策実施状況
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業種別 照明の省エネ対策実施状況
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
72
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
8.
空調・照明機器以外の省エネ対策

空調・照明機器以外の省エネ対策について記述式で尋ねたところ、以下のような実施例が挙げられた。
 機器(変圧器、ボイラー、モニター等)の高効率機器・省エネタイプへの更新
 機器(コンプレッサー、ポンプ、ファン等)のインバーター化
 太陽光・風力発電設備の導入
 機器(コンプレッサー、ボイラー等)の運転台数制御
 蒸気ドレン・廃熱回収
 エネルギー、燃料の変更・削減
 配管や設備等の保温・断熱
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出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
73
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析
9.
建物の新築改築等と省エネ対策

建物の新築、増築、改築、改装に際しての省エネルギーへの取組み状況について尋ねた。

「新増改築・改装工事」を行った事業者における具体的な省エネ対策としては、「効率の高い照明設備を導入した」(47.2%)、「効率の
高い空調設備を導入した」(41.5%)の二項目が多く、次いで「建物の断熱対策をした」が19.5%、「エネルギー中央監視システムを導入
した」が9.2%であった。

管理指定別では、「特定事業者・特定連鎖化事業者」において、また業種別では「業務部門」において「効率の高い照明設備を導入」、
「効率の高い空調設備を導入」の実施度が高くなっている。
建物の新築改築等と省エネ対策
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管理指定別/業種別 建物の新築改築等都省エネ対策
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
74
目次
0. 本調査の背景と目的 【p.3 - p.4】
1. 省エネルギー対策の強化に関する調査 【p.5 - p.120】
1.1 諸外国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析 【p.6 - p.38】
1.1.1 米国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.7 - p.13】
1.1.2 英国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.14 - p.21】
1.1.3 ドイツにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.22】
1.1.4 フランスにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.23 - p.26】
1.1.5 イタリアにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.27 - p.31】
1.1.6 中国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.32 - p.38】
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析 【p.39 - p.74】
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析 【p.40 - p.74】
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析 【p.75 - p.88】
1.3.1 対象とする建材等 【p.77】
1.3.2 断熱材の普及状況と性能状況 【p.78 - p.79】
1.3.3 窓の普及状況と性能状況 【p.80 - p.81】
1.3.4 水回り設備の普及状況と性能状況 【p.82 - p.84】
1.3.5 住宅・建築物の省エネ性能を向上する方策の検討 【p.85 - p.88】
1.4 工場・事業所における省エネ法の遵守状況及び過去からの取組みを踏まえた省エネ効果の調査・分析 【p.89 - p.93】
1.4.1 省エネ法の判断基準遵守状況と原単位改善率の関係 【p.91 - p.92】
1.4.2 過去の省エネ実績を基にした省エネ効果の分析 【p.93】
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析 【p.94 - p.120】
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析 【p.96 - p.120】
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75
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や
性能状況に関する調査・分析
【概要】
 家庭・業務分野における省エネを推進するためには、設備・機器の省エネ性能の向上とともに、建材等(断熱材・窓等)の省
エネ性能の向上が不可欠である。住宅・建築物の省エネ基準の適合義務化は主に新築に対して有効であるが、直接的に
建材等の省エネ性能の向上を図ることで、既存ストック対策を効果的に推進することが可能となる。
 ここでは、住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況、性能及び価格分布の現状、各建材等の性
能向上の可能性等に関する実態調査を行い、住宅・建築物の省エネ性能を向上する方策の検討を行った。
住宅
住宅・建築物の
省エネ性能の決定要因
建材等の省エネ性能
(断熱材・窓等)
動力他
36%
住宅・建築物の省エネ
基準で規定(新築中心)
→トップランナー基準での
規定により既存対策が可能
暖冷房用27%
給湯用29%
暖房用
25%
給湯用
29%
冷房用
2%
建材等の省エネ性能の
向上により、
住宅では約6割、建築物
では約4割を占める暖冷
房・給湯用エネルギー消
費量の削減に貢献
厨房用
8%
建築物 暖房用
16%
設備・機器の
省エネ性能
(暖冷房・換気・照明・給湯等)
トップランナー基準で規定
→すでに一定の成果あり
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動力他
49%
出所)EDMC推計
冷房用
11%
給湯用
15%
厨房用
9%
暖冷房用27%
給湯用15%
76
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析
1.3.1 対象とする建材等
 ここでは、住宅・建築物に係る省エネ性能に対して特に影響の大きい建材等として、以下の3つを選定した。
1. 断熱材
2. 窓(ガラス、サッシ)
3. 水回り設備
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77
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析
1.3.2 断熱材の普及状況と性能状況
1)普及状況
 年間の断熱材の出荷量(平成22年)は、施工面積ベースで住宅用365,373千㎡、非住宅用136,052千㎡である。
 主な断熱材の出荷割合(施工面積ベース)を下表に示す。ただし、羊毛等は統計がないため、数値等を把握することができ
ない。
主な断熱材の出荷割合(施工面積ベース、平成22年)とメーカーシェア
繊維系
発泡プラスチック系
その他
グラス
ウール
ロック
ウール
セルロース
ファイバー
押出法ポリ
スチレン
フォーム
住宅用
55%
11%
1%
14%
12%
1%
4%
2%
非住宅用
30%
3%
1%
33%
13%
11%
8%
1%
不明
メーカー
シェア
大手3社で
約95%
2社で
約100%
3社で
約100%
ボード品
は3社、
吹付品は
7社
不明
41社
2社で
100%
不明(主
に輸入)
4社で
約100%
硬質ウレ
ビーズ法
高発泡ポ
フェノール
タンフォー
ポリスチレ
リエチレン
フォーム
ム
ンフォーム
羊毛等
不明
合計
100%
100%
出所)財団法人建築環境・省エネルギー機構(平成23年6月)及び業界ヒアリングに基づき作成
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78
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析
1.3.2 断熱材の普及状況と性能状況
2)性能分布の状況
 断熱材のエネルギー性能(断熱性能)は、熱伝導率(単位厚みあたりの熱の伝えやすさ)と厚みを考慮した「熱抵抗値(㎡
K/W)」で表わされる(値が大きい程、断熱性能が優れていることを示す)。
 下図に熱抵抗値毎の断熱材の出荷量(施工面積ベース)を示す。熱抵抗値1~1.5または2~2.5㎡K/Wの断熱材の出荷量
が多い。また、年を経るに連れて、熱抵抗値の大きい、すなわち断熱性能の優れた断熱材の出荷量が増加傾向にある。こ
れは、主として住宅エコポイント制度による影響と考えられる。
熱抵抗値毎の断熱材の出荷量(施工面積ベース)の性能分布
200
出荷量(
施工面積ベース)
2006年度
2007年度
2008年度
2009年度
2010年度
150
100
50
0
0.5未満
0.5以上1未満
1以上1.5未満
1.5以上2未満
2以上2.5未満
2.5以上
熱抵抗値(㎡K/W)
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出所)断熱建材協議会提供データに基づき推計
79
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析
1.3.3 窓の普及状況と性能状況
1)普及状況
 年間の窓の出荷量は、戸建住宅で約1,000万窓、集合住宅及び業務用ビルで約280万窓である。
 戸建住宅の窓の出荷割合は、プレハブメーカーが約15%、サッシメーカーが約25%、代理店・販売店(流通店)が約60%と
なっている。
 集合住宅及び業務用ビルの窓の出荷割合は、流通店が約10%、建設会社が約90%(現場でガラスとサッシを組み立てる
ケース)となっている。
出所)業界ヒアリングに基づく
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80
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析
1.3.3 窓の普及状況と性能状況
2)性能及び価格分布の状況
 住宅用(主に戸建住宅向け)とビル用(主に集合住宅、業務用ビル向け)の窓の性能・価格別の出荷割合を下表に示す。
住宅用窓(主に戸建住宅向け)の性能・価格別の出荷割合
サッシ
ガラス
出荷量
単板
出荷割合
エネルギー消費指数
(※熱貫流率)
価格指数
約20%
100
100
約50%
約75
約170
アルミ
複層
約1,000万窓
アルミ樹脂
複層
約25%
約55
約250
樹脂
複層
約5%
約45
約350
出荷割合
エネルギー消費指数
(※熱貫流率)
価格指数
単板
約65%
100
100
複層
約35%
約75
約140
約55
約270
約60
約240
約45
約270
ビル用窓(主に集合住宅及び業務用ビル向け)の性能・価格別の出荷割合
サッシ
ガラス
出荷量
アルミ
アルミ断熱
複層
二重
単板+単板
樹脂
複層
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約280万窓
僅少
出所)社団法人日本サッシ協会提供データに基づき作成
81
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析
1.3.4 水回り設備の普及状況と性能状況
1)普及状況
①浴室ユニット
 2009年実績における戸建住宅用システムバスの販売台数は62.1万台、集合住宅用ユニットバスの販売台数は61万台と
なっている。いずれも、INAXとTOTOのシェアが大きい。
メーカー別販売台数の推移(集合住宅用ユニットバス)
メーカー別販売台数の推移(戸建住宅用システムバス)
(単位:台、%)
(単位:台、%)
メーカー
INAX
TOTO
パナソニック電工
タカラスタンダード
トステム
ハウステック
その他
合計
2009年
2010年
(シェア)
(シェア)
(実績)
(見通し)
120,000
19%
132,000
20%
119,000
19%
122,000
19%
62,000
10%
65,000
10%
52,000
8%
55,000
8%
46,000
7%
49,000
7%
41,000
7%
42,000
6%
181,000
29%
190,000
29%
621,000
100%
655,000
100%
メーカー
INAX
TOTO
パナソニック電工
ハウステック
積水ホームテクノ
その他
合計
2009年
2010年
(シェア)
(シェア)
(実績)
(見通し)
164,000
27%
137,000
28%
160,000
26%
131,000
26%
100,000
16%
81,000
16%
68,000
11%
56,000
11%
49,000
8%
40,000
8%
69,000
11%
53,000
11%
610,000
100%
498,000
100%
出所)2011年版住設建材マーケティング便覧(富士経済)
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82
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析
1.3.4 水回り設備の普及状況と性能状況
1)普及状況
②浴室用水栓金具
 2009年実績における浴室用水栓金具の販売数は約210万個となっている。
 TOTO、KVK、INAXの3社で市場の8割強を占める。
メーカー別販売個数の推移
(単位:千個、%)
メーカー
2009年
(実績)
TOTO
KVK
INAX
その他
合計
2010年
(見通し)
(シェア)
820
630
330
350
2,130
38%
30%
15%
16%
100%
760
590
310
320
1,980
(シェア)
38%
30%
16%
16%
100%
出所)2011年版住設建材マーケティング便覧(富士経済)
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83
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析
1.3.4 水回り設備の普及状況と性能状況
2)性能分布の状況
 2009年実績においては、高断熱浴槽の市場シェアは16%となっている。
高断熱浴槽の市場シェア
(単位:台、%)
タイプ
高断熱浴槽
その他
合計
2009年
2010年
(構成比)
(構成比)
(実績)
(見通し)
197,000
16%
208,000
18%
1,034,000
84%
945,000
82%
1,231,000
100% 1,153,000
100%
208,000台
(18%)
945,000台
(82%)
高断熱浴槽
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その他
出所)2011年版住設建材マーケティング便覧(富士経済)
84
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析
1.3.5 住宅・建築物の省エネ性能を向上する方策の検討
 住宅・建築物の省エネ性能の向上に向けては、住宅におけるエネルギー消費量の約6割、建築物におけるエネルギー消費
量の約4割を占める「暖冷房」及び「給湯」のエネルギー消費削減を図ることが不可欠である。
 ここでは、特に暖冷房エネルギー消費量の削減を図る上で重要な断熱材と窓のトップランナー基準の導入に際しての基本
的な考え方(案)を整理する。
断熱材及び窓のトップランナー基準の基本的な考え方(案)
対象製品
評価指標
対象事業者
想定される課題(論点等)
• 対象事業者の裾切り値の設定
断熱材
• 熱抵抗値(㎡K/W)
• 出荷段階の製造事業者
• 流通・施工段階において、基本的に厚み(つまり、熱抵抗
値)が変わらないことの確認(出荷段階で液状である等形
状が定まっていない吹付け・吹込み断熱材は、当面規制
の対象外) 等
• 対象事業者の裾切り値の設定
窓(ガラス、サッシ)
• 窓(完成品)としての熱
貫流率(W/㎡K)
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• 窓の製造事業者
• 規制対象となる代理店・販売店(流通店)の把握
• 規制対象範囲の特定(住宅用のみに限定するか、ビル用
も対象とするか) 等
85
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析
1.3.5 住宅・建築物の省エネ性能を向上する方策の検討
【トップランナー基準導入による省エネポテンシャルの推計】
1)基本的な考え方
 製品ストックのすべてが現状の製品出荷フローベースの性能値に入れ替わった場合と、トップランナー基準の導入により省
エネ性能の高い製品に入れ替わった場合の比較により、省エネポテンシャルを推計
 トップランナー基準の導入により省エネ性能の高い製品に入れ替わった場合の前提として、現状において市場に出荷され
ている最も省エネ性能の高い製品に入れ替わった場合を想定した最大の省エネポテンシャルを推計
 家庭部門のエネルギー消費量は2010年度から一定と仮定
2)推計結果
 家庭部門のエネルギー消費に対して、断熱材のトップランナー基準導入により約13.8%削減、窓のトップランナー基準導入
によりで約8.5%削減、合わせて22.3%削減(※ただし、それぞれの省エネ性能の向上により熱負荷が低減されることから、
両方を合わせた省エネ効果は単純な和にはならない)
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86
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析
1.3.5 住宅・建築物の省エネ性能を向上する方策の検討
3)推計方法
(1)断熱材
① 業界団体からの提供データに基づき、現状(2010年度)の製品出荷フローベース(施工面積)での熱抵抗値の加重平
均値(1.62㎡K/W)を算出(ベースケース)
② 対策ケースとして、現状(2010年度)において市場に出荷されている最も省エネ性能の高い製品の性能を鑑み、熱抵
抗値の加重平均値が4.10㎡K/Wのケースを設定
③ 熱抵抗値とエネルギー消費指数(=H11基準相当を100とした場合の相対値)との相関式を算出(y(エネルギー消費
指数)=-28.324x(熱抵抗値)+182.57)(※熱抵抗値は、S55基準、H4基準、H11基準の部位別熱抵抗値を面積比率
により按分して、平均熱抵抗値を算出(Ⅳ地域を対象)、エネルギー消費指数は、国土交通省試算(Ⅳ地域を対象、
「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」資料)に基づく)
④ ③で算出した相関式から、ベースケースと対策ケースのエネルギー消費指数を算出
⑤ ④で算出したエネルギー消費指数より、暖冷房エネルギー消費量に対する省エネ率を算出(=1-(対策ケース)/(現状
ケース))
⑥ 住宅における暖冷房エネルギー消費量の占める割合(26.9%)より、家庭部門のエネルギー消費量に対する省エネ率
を算出(=⑤×0.269)
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87
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析
1.3.5 住宅・建築物の省エネ性能を向上する方策の検討
3)推計方法
(2)窓
① 業界団体からの提供データに基づき、現状(2010年度)の製品出荷フローベース(出荷窓数)での熱貫流率の加重平
均値(戸建住宅:4.44 W/㎡K、集合住宅:5.75 W/㎡K)を算出(ベースケース)
② 対策ケースとして、現状(2010年度)において市場に出荷されている最も省エネ性能の高い製品の性能を鑑み、熱貫
流率の加重平均値が1.46W/㎡Kのケースを設定
③ 熱貫流率とエネルギー消費指数(=アルミ単板(躯体はH11基準相当)を100とした場合の相対値)との相関式を算出
(戸建:y(エネルギー消費指数)=6.7709x(熱貫流率)+57.445、集合:y(エネルギー消費指数)=10.467x(熱貫流率)
+33.014)(※熱貫流率とエネルギー消費指数は、Window25研究会報告書、サッシ協会データに基づく)
④ ③で算出した相関式から、ベースケースと対策ケースのエネルギー消費指数を戸建及び集合それぞれ算出
⑤ ④で算出したエネルギー消費指数より、暖冷房エネルギー消費量に対する省エネ率を戸建及び集合それぞれ算出
(=1-(対策ケース)/(現状ケース))
⑥ 住宅における暖冷房エネルギー消費量の占める割合(26.9%)より、家庭部門のエネルギー消費量に対する省エネ率
を戸建及び集合それぞれ算出(=⑤×0.269)
⑦ ⑥で算出した戸建及び集合の省エネ率より、それぞれの家庭部門のエネルギー消費量(戸建住宅分:3,681万kl、集
合住宅分:1,882万kl)に対する省エネポテンシャルを算出(=⑥×3,681、⑥×1,882)
⑧ ⑦で算出したそれぞれの省エネポテンシャルを足し上げ、家庭部門のエネルギー消費量に対する省エネ率を算出(=
⑦/5,562万kl)
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88
目次
0. 本調査の背景と目的 【p.3 - p.4】
1. 省エネルギー対策の強化に関する調査 【p.5 - p.120】
1.1 諸外国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析 【p.6 - p.38】
1.1.1 米国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.7 - p.13】
1.1.2 英国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.14 - p.21】
1.1.3 ドイツにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.22】
1.1.4 フランスにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.23 - p.26】
1.1.5 イタリアにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.27 - p.31】
1.1.6 中国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.32 - p.38】
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析 【p.39 - p.74】
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析 【p.40 - p.74】
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析 【p.75 - p.88】
1.3.1 対象とする建材等 【p.77】
1.3.2 断熱材の普及状況と性能状況 【p.78 - p.79】
1.3.3 窓の普及状況と性能状況 【p.80 - p.81】
1.3.4 水回り設備の普及状況と性能状況 【p.82 - p.84】
1.3.5 住宅・建築物の省エネ性能を向上する方策の検討 【p.85 - p.88】
1.4 工場・事業所における省エネ法の遵守状況及び過去からの取組みを踏まえた省エネ効果の調査・分析 【p.89 - p.93】
1.4.1 省エネ法の判断基準遵守状況と原単位改善率の関係 【p.91 - p.92】
1.4.2 過去の省エネ実績を基にした省エネ効果の分析 【p.93】
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析 【p.94 - p.120】
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析 【p.96 - p.120】
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89
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.4 工場・事業場における省エネ法の遵守状況及び過去からの取組みを踏まえた
省エネ効果の調査・分析
【概要】
 工場・事業場における省エネ法の遵守状況及び過去からの取組みを踏まえた定量的な省エネ効果を調査・分析した。
 まず、定期報告書におけるエネルギー使用の合理化に関する判断基準の遵守状況と、原単位改善率の関係を分析した。
その結果、判断基準遵守状況が良好な工場・事業場ほど原単位改善率が高く、省エネをより推進してきたことが判明した。
 また、過去の工場・事業場における原単位改善率を前提に、今後の省エネ効果のポテンシャルを推計した。その結果、
2019年度までの累積省エネ効果は、100,801,668原油換算klになるとの試算になった。
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90
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.4 工場・事業場における省エネ法の遵守状況及び過去からの取組みを踏まえた省エネ効果の調査・分析
1.4.1 省エネ法の判断基準遵守状況と原単位改善率の関係
 分析方法
 ①:原単位の変化を把握するために、平成20年度報告書において報告された各工場・事業場の原単位改善率(平成
20年度原単位/平成17年度原単位)から、業種平均(産業中分類毎)を算出した。
 ②:定期報告書におけるエネルギー使用の合理化に関する判断基準の遵守状況得点の変化を把握するために、各工
場・事業場の“平成20年度報告書の遵守状況の業種平均得点/平成17年度報告書の遵守状況の業種平均得点”を
産業中分類毎に算出した。
 ③:①と②の散布図にプロットし、判断基準遵守状況と原単位改善率の関係を分析した。この際、分析の信頼性を高
めるために、事業者数が10以下の産業中分類業種を除いた。
 分析結果
 製造/業務部門ともに、判断基準遵守得点の向上率が高い業種ほどエネルギー消費原単位の改善率が高いといえ、
エネルギー使用の合理化に関する判断基準の遵守を徹底することが、省エネにつながることが判明した(次頁グラフ
参照)。
 定期報告制度に基づきエネルギー使用の合理化に関する判断基準の遵守状況についての報告を行うことで、各工
場・事業場は、判断基準項目に関する自己チェックを行うことを促され、その結果として工場・事業場の省エネが推進
されたという側面があることが考えられる。
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91
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.4 工場・事業場における省エネ法の遵守状況及び過去からの取組みを踏まえた省エネ効果の調査・分析
1.4.1 省エネ法の判断基準遵守状況と原単位改善率の関係
 製造/業務部門ともに、判断基準遵守得点の向上率が高い業種ほどエネルギー消費原単位の改善率が高いといえ、エネル
ギー使用の合理化に関する判断基準の遵守を徹底することが、省エネにつながることが判明した(次頁グラフ参照)。
エネルギー消費原単位と判断基準遵守状況の変化
1.1
業務部門
原単位( H20/H17)
1.05
産業部門
1
0.95
0.9
0.85
※各点は、産業中分類の一業種を示す
(H17とH20 で比較不可能および事業者数が10
以下の業種を除く)
0.8
1
1.2
1.4
1.6
遵守状況の得点(H20/H17)
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出所)平成20年度・平成17年度 定期報告書よりNRI作成
92
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.4 工場・事業場における省エネ法の遵守状況及び過去からの取組みを踏まえた省エネ効果の調査・分析
1.4.2 過去の省エネ実績を基にした省エネ効果の分析
 分析概要
 2009年度実績を基準として、2019年度の省エネ効果を試算した。
▪ 省エネ効果とは、ベースラインと予測使用量の差分を指す。
▪ 2019年度のベースラインは、2009年度エネルギー使用量と予測GDP成長率をもとに算出した。
▪ 2019年度の予測使用量については、事業者は現在と同様の努力を続けるとの前提のもと、各業種の平成16~20年度間平均原単
位改善率が2019年度まで続くとして算出した。
 分析方法
1. 業種毎に、平成16~20年度間平均原単位改善率を算出する。
2. 業種毎に、エネルギー使用量、平成16~20年度間平均原単位改善率及び予測GDP成長率から、2019年度予測使用量を算出する。
3. 2019年度における全業種の予測使用量を合算して、2019年度全体の予測使用量を算出する。
4. ベースラインと予測使用量の差分を2019年度の省エネ効果とする。
 分析結果
 2019年度の省エネ効果は18,449,143原油換算klで、2010年度からの累積省エネ量は100,801,668原油換算klとの試算結果が出た。
省エネ効果試算結果
ベースライン
2009年度
240,118,230
2019年度
294,240,891
予測使用量
-
275,791,748
省エネ効果
-
1 8 ,4 4 9 ,1 4 3
累積省エネ効果
-
100,801,668
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(注)実質GDP成長率は、2030年のエネルギー需給の姿(総合資源エネルギー
調査会総合部会(第二回会合)・基本計画委員会(第4回会合)合同会合
(平成22年6月8日)配付資料の前提(2010年代に約2%)を用いた。
出所) 平成20年度定期報告書データ、平成21年度定期報告書データ
(事業所データ)
93
目次
0. 本調査の背景と目的 【p.3 - p.4】
1. 省エネルギー対策の強化に関する調査 【p.5 - p.120】
1.1 諸外国における省エネ政策の実施状況及び効果に関する調査・分析 【p.6 - p.38】
1.1.1 米国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.7 - p.13】
1.1.2 英国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.14 - p.21】
1.1.3 ドイツにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.22】
1.1.4 フランスにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.23 - p.26】
1.1.5 イタリアにおける省エネ施策の実施状況及び効果 【p.27 - p.31】
1.1.6 中国における省エネ施策の実施状況及び効果 【p.32 - p.38】
1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ政策の実施状況に関する調査・分析 【p.39 - p.74】
1.2.1 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査結果に関する定性分析 【p.40 - p.74】
1.3 住宅・建築物に係る省エネ性能に影響を及ぼす建材等の普及状況や性能状況に関する調査・分析 【p.75 - p.88】
1.3.1 対象とする建材等 【p.77】
1.3.2 断熱材の普及状況と性能状況 【p.78 - p.79】
1.3.3 窓の普及状況と性能状況 【p.80 - p.81】
1.3.4 水回り設備の普及状況と性能状況 【p.82 - p.84】
1.3.5 住宅・建築物の省エネ性能を向上する方策の検討 【p.85 - p.88】
1.4 工場・事業所における省エネ法の遵守状況及び過去からの取組みを踏まえた省エネ効果の調査・分析 【p.89 - p.93】
1.4.1 省エネ法の判断基準遵守状況と原単位改善率の関係 【p.91 - p.92】
1.4.2 過去の省エネ実績を基にした省エネ効果の分析 【p.93】
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析 【p.94 - p.120】
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析 【p.96 - p.120】
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94
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
【概要】
 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析を、省エネ課と協議の上実施した。
具体的には、エネルギーを直接消費する機器やエネルギーの消費に影響を与える機器について、省エネ性能の向上の状
況等について検討を行った。
 本検討で対象としたのは、以下8種類の機器である。
1.
換気扇
2.
全熱交換器
3.
パワーコンディショナー
4.
コージェネレーションシステム
5.
蓄電池
6.
蓄熱式空調システム
7.
HEMS
8.
BEMS
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95
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析
 各機器について、販売台数や基準の有無などの実態及び将来の販売台数の見込みについて調査した。
No.
機器
概要
対象
単位
販売台数(フロー)
将来値
2010年
規格・基準の有無
1 換気扇
換気扇(全般)
台
5,402,797
-
-
JIS規格
2 全熱交換機
交換器(全般)
台
313,705
-
-
JIS規格
3 パワコン
住宅・太陽光発電
用パワコン
台
191,000
台弱
家庭用コジェネ
台
22,500
定置用鉛電池
システム
件
1,900
件以下
4
コージェネレー
ションシステム
5 蓄電池
6 蓄熱槽
7
-
蓄熱式空調シス 氷蓄熱式空調シス
テム
テム(エコアイス)
-
360,000
N/A
(2020年)
台弱
(IEC:国際規格あり)
107,700 (2014年) JIS規格
(家庭用コジェ ネ対応規格か要確認)
-
台
2,850
-
-
JIS規格(用途による)
-
-
-
5,000 (2020年)
・ラベリング制度あり
(用語を規定するJIS規
8 HEMS
システム全体
件
3,400
105,000 (2020年) N/A
9 BEMS
システム全体
件
1,710
1,950 (2020年) N/A
特殊車両用を除く
タイヤ全般
本
87,897,000 N/A
-
10 タイヤ
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・JIS規格
・ラベリング制度あり
96
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(換気扇)
 機器の概要
一般換気扇の販売台数(住宅用のみ)
販売台数(フロー)
 住宅用/業務用/産業用
(単位)
※換気扇(全般)を対象として仮置き
 規格・基準の有無
一般換気扇(住宅用)
台
2010年
2014年(予測)
3,787,200
4,716,000
出所)「2011年版 住設建材マーケティング便覧」、富士経済
 JIS規格
参考値①)2010年度新築着工件数:(戸建)504,763、(集合)309,313
参考値②)全国世帯数:49,063,000
換気扇の販売台数 (住宅・業務・産業用の総計)
販売台数(フロー)
(単位)
換気扇
台
2010年
5,402,797
出所) 経済産業省生産動態統計(機械統計)
参考値①) 2010年度非居住建築物 着工件数:78,913棟
参考値②)特定建築物棟数:38,650棟
(※延べ床面積3000m2以上の事務所,店舗等(H22年度))
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出所)「2011年版 住設建材マーケティング便覧」、富士経済
97
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(換気扇)
 換気扇は、1988年にJIS規格(C9603)が制定され、2006年3月に改正された
換気扇 JIS規格(C9603)
 適用範囲:
家庭、事務所などで使う換気扇のうち、誘導電動機によって駆動される軸流形の羽をもったものについて規定
 性能:
 消費電力は、表1に適合し、かつ、表示に対する許容差は、表2に適合しなければならない
 風量は、表4に適合しなければならない
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出所)日本工業標準調査会
98
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(換気扇)
 一般換気扇(住宅用)のメーカーシェアは、パナソニックエコシステムズと三菱電機の二社で市場の7割強を占めている。
 一般換気扇(住宅用)の約7割は、新築住宅(戸建て・集合)に販売されている。
一般換気扇(住宅用)のメーカーシェア(販売台数)ベース
一般換気扇(住宅用)の販売先(販売台数ベース)
8%
13%
36%
15%
パナソニックエコシステム
ズ
三菱電機
22%
42%
東芝キヤリア
新築 戸建て
新築 集合
既築 戸建て
既築 集合
その他
36%
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28%
出所)「2011年版 住設建材マーケティング便覧」、富士経済
99
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(全熱交換器)
 機器の概要
全熱交換器の販売台数(住宅用)
 住宅用/業務用/産業用
※全熱交換器(全般)を対象とした
(単位)
販売台数(フロー)
2010年
 規格・基準の有無
 JIS規格
住宅用全熱交換器
台
2014年(予測)
209,400
243,000
出所)「2011年版 住設建材マーケティング便覧」、富士経済
参考値①)2010年度新築着工件数:(戸建)504,763、(集合)309,313
参考値②)全国世帯数:49,063,000
全熱交換器の販売台数(産業・業務用:2010年度)
(単位)
販売台数(フロー)
2010年
業務用全熱交換器
台
102,219
設備用全熱交換器
台
2,086
出所)日本冷凍空調工業会
参考値①) 2010年度非居住建築物 着工件数:78,913棟
参考値②)特定建築物棟数:38,650棟
(※延べ床面積3000m2以上の事務所,店舗等(H22年度))
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100
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(全熱交換器)
 全熱交換器は、2000年7月にJIS規格(B 8628)が制定され、2003年3月に改正された。
全熱交換器 JIS規格(B8628)
出所)日本冷凍空調工業会
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101
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(全熱交換器)
 住宅用全熱交換器のメーカーシェアは、三菱電機、パナソニックエコシステムズ、東芝キヤリアの三社で市場の約9割を占
める。
 住宅用全熱交換器の7割弱は、新築戸建て住宅に販売される。
住宅用全熱交換器のメーカーシェア(販売台数)ベース
住宅用全熱交換器の販売先(販売台数ベース)
3%
11%
三菱電機
23%
新築 戸建て
13%
45%
パナソニックエコシステム
ズ
新築 集合
東芝キヤリア
既築 戸建て
その他
7%
67%
既築 集合
31%
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出所)「2011年版 住設建材マーケティング便覧」、富士経済
102
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(パワコン)
 機器の概要
パワコンの販売台数(フロー)
 住宅用/業務用/産業用/発電設備用
(台数)
販売台数(フロー)
 太陽光発電用/風力発電用/燃料電池用/ガスエ
ンジン発電用/ガスタービン発電用
(台数)
※“住宅・太陽光発電用”を対象とした(パワコンの大半は住
宅・太陽光発電用)
 規格・基準の有無
 JIS規格、ISO規格
(単位)
2010年
パワコン(総計)
台
2020年
191,000
360,000
参考値①)2010年度新築着工件数:(戸建)504,763、(集合)309,313
参考値②)全国世帯数:49,063,000
パワコンの販売台数内訳と新築着工件数(2010年)
パワコン用途
販売台数 (台)
住宅用
185,000
業務用
3,000
産業用
2,000
発電設備用
1,000
参考値①) 2010年度非居住建築物 着工件数:78,913棟 (フロー)
参考値②)特定建築物棟数:38,650棟(ストック)
(※延べ床面積3000m2以上の事務所,店舗等(H22年度))
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103
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(パワコン)
 太陽光発電用は直流⇒交流の変換機能を持ち、住宅用は4kW程度が主力である。非住宅用は10kW以上である。
 風力発電用は交流⇒直流⇒交流の変換機能を持ち、非住宅の2MW以上が主力である。
 燃料電池用は、直流⇒昇圧⇒交流と変換する機能を持ち、住宅用は1kW、非住宅用は10~100kWが主力である。
 パワコンのメーカーシェアは、田淵電気、三洋電機、三菱電機、オムロンの四者でほぼ100%を占め、その約97%は住宅向
けに販売される。
パワコンのメーカーシェア(販売台数)ベース
パワコンの用途(販売台数ベース)
2%
1%
0%
11%
田淵電気
14%
住宅用
三洋電機
業務用
三菱電機
16%
59%
産業用
オムロン
発電設備用
97%
出所) 「2011 電力・エネルギーシステム新市場」、富士経済
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104
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(コジェネ)
 機器の概要
 家庭用
▪ ガスエンジン/燃料電池※
 業務・産業用
▪ ガスタービン/ガスエンジン/ディーゼルエン
ジン/燃料電池※
家庭用コジェネレーションシステムの販売台数
(家庭用ガスエンジン(エコウィル)・燃料電池(エネファーム))
 自動車、携帯機器、産業用機器用
▪ 燃料電池※
(単位)
※家庭用コジェネを対象とした
 規格・基準の有無
 JIS規格やISO規格が制定されている
販売台数(フロー)
2010年
2014年
ガスエンジンCGS
台
16,500
17,700
家庭用燃料電池
(PEFC)
台
6,000
90,000
台
22,500
107,700
合計
参考値①)2010年度新築着工件数:
(戸建)504,763、(集合)309,313
参考値②)全国世帯数:49,063,000
※燃料電池には、PEFC(固体高分子型)、SOFC(固体酸化物型)、DMFC(直
接メタノール型)、PAFC(リン酸型)等の種類があり、それぞれ用途が異なる
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出所) 「2011年度版 住宅建材マーケティング便覧」、富士経済
105
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(コジェネ)
 家庭用を除く業務・産業用のコージェネレーション(CHP)の導入数は、累積でも8,500サイト程度に留まる。
 熱・電気の利用形態は業種・サイト毎に様々であるため、CHPの総合熱効率は業種・サイトごとに大きく異なる。
業務・産業用コージェネレーションシステム※の導入サイト数と容量の推移
民生用 建物用途別 サイト数割合 (2011年3月末)
産業用 業種別 サイト数割合 (2011年3月末)
※)家庭用を除く大型のコジェネレーションシステム(CHP
)
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出所)一般財団法人 コージェネレーション・エネルギー高度利用センター
106
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(コジェネ)
 コジェネは、その規模に応じて規格が定められている。また、国際規格(ISO規格)も定められている。
コジェネ関連 JIS規格
コジェネ ISO規格(26382)
規格等番号
規格名称
JIS B 8121
コージェネレーションシステム用語
JIS B 8122
コージェネレーションユニットの性能試験方法
JIS B 8123
コージェネレーションシステムの導入検討評価項目
ガスエンジンを原動機とするコージェネレーションパッ
JIS B 8124
ケージ
200~500kW級コージェネレーションシステムの設計施工
TS B 0015
マニュアル
200kW~500kW級のガスエンジン,ディーゼルエンジ
TS B 0017
ンを原動機とするコージェネレーションユニットの関連設
備
300kW~500kW級のガスタービンを原動機とする
TS B 0018
コージェネレーションユニットの関連設備
300kW~500kW級のガスタービンを原動機とする
TS B 0019
コージェネレーションユニット
TR B 0020
コージェネレーションシステムの維持管理方法
小形ガスエンジンを原動機とするコージェネレーション
TS B 0022
パッケージ
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107
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(コジェネ)
ガスエンジンCGSのメーカーシェア(販売台数ベース)
家庭用燃料電池PEFCのメーカーシェア(販売台数ベース)
10%
15%
大阪ガス
5%
ガスエンジンCGSは、
販売ベースで大阪ガス
が約半数を占める。
東京ガス
8%
東邦ガス
52%
西部ガス
6%
家庭用燃料電池は、東
京ガス、大阪ガス、JX
日鉱日石エネルギーの
3社で84%を占める。
35%
東京ガス
大阪ガス
JX日鉱日石エネルギー
22%
東邦ガス
その他
その他
20%
27%
家庭用燃料電池PEFCの種類(販売台数ベース)
ガスエンジンCGSの種類(販売台数ベース)
17%
27%
ガスエンジンCGSの
83%は都市ガス仕様で
ある。
都市ガス仕様
LPガス仕様
家庭用燃料電池の73%
は都市ガス仕様である
。
都市ガス仕様
LPガス仕様
73%
83%
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出所)「2011年版 住設建材マーケティング便覧」、富士経済
108
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(コジェネ)
コージェネレーションシステムの流通形態
製造メーカー
販売事業者
(ガス販売事業者等)
販売工事店/
ガスショップ
等
ハウスメーカ/
工務店/
70% リフォーム事業者
施主
30%
燃料電池の製品供給関係
<製造メーカー>
<販売事業者>
東京ガス
パナソニック
東邦ガス
西部ガス
大阪ガス
東芝燃料電池
システム
アトモスエネルギー
ENEOSセルテック
JX日鉱日石エネルギー
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コジェネの流通経路は、概ね上図のように
なっている。製造メーカーがガス会社等販
売事業者に販売し、各販売事業者の提携す
る工事店やガスショップに卸す。
設置・据付は、ハウスメーカーや工務店が
仲介するケースが約7割、直接施主が請け
負うケースが約3割である。
109
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(蓄電池)
蓄電池搭載機器の販売台数
 機器の概要
 民生機器用/自動車用/定置用
 NAS電池/鉛電池/ニッケル水素電池/
リチウムイオン電池/電気二重層キャパシタ
/ハイブリッドキャパシタ
※“定置用鉛電池”(システム全体)を対象とした(定置用の大
半は鉛電池を採用)
製品
携帯電話
EV
UPS
実績販売台数 (台)
36,550,000(2008年)
1,000(2009年)
1,900(2010年)
予測販売台数(台)
33,130,000(2014年)
350,300(2020年)
3,500(2020年)
蓄電池の模式図
 規格・基準の有無
BMS
 JIS規格
PCS
セル
パック
セル
パック
セル
パック
出所)「2011 電力・エネルギーシステム新市場 上巻」、富士経済
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モジュール
モジュール
モジュール
バッテリーシステム
システム
110
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(蓄電池)
 蓄電池は、その様式によって規格が定められている。
据置蓄電池
据置用として、対応国際規格に、IEC60896-1、-2があるが、可搬、船用は対応
IEC規格は制定されていない。JISでは、IECと整合した範囲を種類Ⅰ、国内で流
通している電池を種類Ⅱに規定する形態としている。JIS改正時に整合化を進め
る予定がある。
小型鉛蓄電池
Portable lead-acid cells and batteries(Valve-regulated types)としてIEC61056
シリーズが規定されていて、JISは、日本で実績のある試験方法、種類などの項目
を追加している。
産業用アルカリ蓄電池
IEC規格には、IEC60623、IEC60622としてそれぞれベント形JISとシール形JIS
に対応している規格が制定されている。JISでは、IECに整合した範囲を種類Ⅰ、
国内で流通している電池を種類Ⅱとして規定するなどのかたちで整合を図ってい
る。IEC国際規格には、IEC62259として「partial gas recombination」タイプが制
定されているが、日本では具体的な需要がなくJIS規格は設けられていない。
ニッケル電池
対応する国際規格にIEC61436があり、この規格は実用化を行った日本主導で制
定した規格であり、対応JISと基本的に整合している。
リチウムイオン電池
対応する国際規格にIEC61960があり、この規格もリチウムイオン電池の実用化
を行った日本主導で制定した規格であり、基本的にJISに整合している。
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111
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(蓄電池)
 鉛電池は、ジーエス・ユアサ コーポレーションが一社で半分以上を占める(56%)。
 鉛電池の8割以上(82%)は自動車用に使われている。
鉛電池のメーカーシェア(全用途に対する販売セルベース)
鉛電池の用途(セルベース)
6%
12%
ジーエス・ユアサ コーポ
レーション
12%
9%
自動車
パナソニックストレージ
バッテリー
56%
20%
3%
産業用機械
新神戸電機
二輪車
その他
古河電池
82%
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出所) 「2011 電力・エネルギーシステム新市場」、富士経済
112
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(蓄熱式空調)
 機器の概要
蓄熱式空調システム(エコアイス)の設置台数
 氷蓄熱(エコ・アイスmini/エコ・アイス(個別分散型)
/エコアイス(セントラルタイプ))、水蓄熱
※エコアイス(全種対象)を対象とした
 規格・基準の有無
販売台数(フロー)
2010年
(単位)
エコ・アイス
台
販売台数(フロー)
2020年
2,850
5,000
参考値) 2009年度 販売台数累計 (ストック):81,597台
 N/A
(「氷蓄熱システム用語」規格( JISB8624)はあるが、製品
自体の規格はない)
蓄熱式空調システムの設置件数(2009年度:ストック・フロー)
(単位)
エコ・アイス
mini
エコ・アイス
(個別分散10馬力
以上)
エコ・アイス
(セントラルタイプ)
水蓄熱
合計
販売件数
(フロー)
販売件数
(ストック)
件
644
9,513
件
488
15,296
件
51
2,662
件
件
24
1,207
2,753
30,224
参考値①) 2010年度非居住建築物 着工件数:78,913棟 (フロー)
参考値②)特定建築物棟数:38,650棟(ストック)
(※延べ床面積3000m2以上の事務所,店舗等(H22年度))
出所)国土交通省「建築着工統計調査」、ヒートポンプ・蓄熱センターよりNRI作成
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113
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(蓄熱式空調)
蓄熱式空調システムの種類 (2009年度 設置件数ベース)
2%
4%
エコ・アイスmini
エコ・アイス(個別分散10
馬力以上)
41%
53%
エコ・アイス(セントラルタ
イプ)
水蓄熱
エコ・アイスのメーカーシェア(2010年度 売台数ベース)
7%
 蓄熱式空調システムの98%は、氷蓄熱式である
(2009年度設置件数ベース)
 氷蓄熱式空調(=エコ・アイス)は、出力によって、エ
コアイスmini(10馬力以下)と、10馬力以上の個別
分散型(ビルマルチタイプ)、セントラルタイプに分
けられる
 いずれのタイプも業務・産業用途
エコ・アイスの用途(2010年度 販売台数ベース)
9%
7%
三洋電機
9%
42%
ダイキン工業
業務用
三菱電機
産業用
日立アプライアンス
その他
35%
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91%
出所) 「2011 電力・エネルギーシステム新市場」、富士経済
114
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(蓄熱式空調)
 蓄熱槽は、「蓄熱槽効率」によって効率が決定される。
 蓄熱式空調システムによるピークシフト効果は、2009年には184万kWに達していると推計される。
蓄熱槽効率
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蓄熱式空調システムによるピークシフト効果(kW)
115
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(蓄熱式空調)
 ヒートポンプ・蓄熱センターでは、ピークシフト率の算出式を定めているが、ラベリングの為の評価項目としては、成績係数
(COP)を用いている。
グリーンラベル制度の概要
グリーンラベルの表示方法・計算方法
項目
内容
対象
エコ・アイス
(氷蓄熱ユニット、氷蓄熱式パッケージエアコンディショナ(氷蓄熱
式ビル用マルチエアコンディショナを含む))
基準
1.氷蓄熱槽を有していること
2.冷媒にオゾン層を破壊する物質が使用されていないこと
3.成績係数(COP)は、氷蓄熱式パッケージエアコンディショナの
標準ピークシフト型※1は3.3※2以上、その他は2.5以上であること
(成績係数=日量蓄熱利用冷房効率)※3
※1 標準ピークシフト型は、消費電力のピークシフト率が30%程度
の冷媒過冷却方式
※2 基準値は、年度単位に設定する
※3 氷蓄熱式パッケージエアコンディショナは室内機消費電力を
除く
公表
・ 認定されたエコ・アイスは財団ホームページにて公表。
・ エコ・アイスグリーンラベルは、認定機器や機器カタログに表示
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116
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(HEMS)
 機器の概要
 システム全体(創エネ・蓄エネ設備、負荷設備(空調・照
明等)を含む)
※HEMSの定義は困難※。ここでは、システム全体を対象とした
 規格・基準の有無
 N/A
HEMSの設置件数
(単位)
HEMS
件
販売件数(フロー)
2010年
2020年
3,400
105,000
参考値①)2010年度新築着工件数:
(戸建)504,763、(集合)309,313
参考値②)全国世帯数:49,063,000
※)右記統計では、HEMSは、「住宅における複数の家電機器をIT技術の活用によりネット
ワークで接続し、電気製品のエネルギー消費量を測定、更には自動制御などによって省エ
ネルギーを促進させるシステム」と定義されている
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出所) 「2011 電力・エネルギーシステム新市場」、富士経済
「建築着工統計調査」、国土交通省
117
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(HEMS)
 現在、「見える化」がHEMSのメイン機能であるが、現在、エネルギー消費量制御のシステム開発がすすめられてきている
 HEMSメーカを中心に、創エネ・蓄エネ機器、および空調・照明等の負荷機器を連動させたシステムの実証が行われている
 2009年までは、パナソニック電工と東芝ホームアプライアンスのみの参入であったが、2010年以降、新規参入の増加によ
り、市場が活性化している
 また、新築戸建てに加え、大規模マンションにおける採用が始まったことにより販売件数が拡大している
HEMSのメーカーシェア(件数)ベース
HEMSの販売台数の予測値
(件)
120,000
3%
9%
パナソニック電工
29%
100,000
東芝ホームアプライアン
ス
80,000
因幡電機産業
60,000
その他
40,000
59%
20,000
0
2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
2020年
出所) 「2011 電力・エネルギーシステム新市場」、富士経済
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118
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(BEMS)
 機器の概要
 創エネ・蓄エネ設備、負荷設備(空調・照明等)を含め
たシステム全体
※BEMSの定義は困難※。ここでは、システム全体を対象とし
た
 規格・基準の有無
BEMSの設置件数
 N/A
(単位)
HEMS
件
販売件数(フロー)
2010年
2020年
1,710
1,950
参考値①) 2010年度非居住建築物 着工件数:78,913棟 (フロー)
参考値②)特定建築物棟数:38,650棟(ストック)
(※延べ床面積3000m2以上の事務所,店舗等(H22年度))
注)右記統計では、BEMSは、「建物におけるエネルギー設備全体の省エネ監視・省エネ
制御を自動化・一元化するシステム」と定義されている
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出所) 「2011 電力・エネルギーシステム新市場」、富士経済
「建築着工統計調査」、国土交通省
「度衛生行政報告」、厚生労働省
119
1 省エネルギー対策の強化に関する調査・分析
1.5 その他省エネルギー対策の強化を検討する上で必要となる調査・分析
1.5.1 機器の省エネ性能に関する現状分析(BEMS)
 BEMSは、建物におけるエネルギー設備全体の省エネ監視・省エネ制御を自動化・一元化するシステムである。
 BEMS市場は、新築ビルの増加が限られることから、リニューアル需要を中心とした市場となっている。
BEMSのメーカーシェア(件数)ベース
BEMSの販売台数の予測値
(件)
2,000
1,950
22%
1,900
8%
55%
15%
山武
1,850
三菱電機
1,800
日立製作所
1,750
その他
1,700
1,650
1,600
1,550
2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
2020年
出所) 「2011 電力・エネルギーシステム新市場」、富士経済
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120
目次
2. 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析 【p.121 - p.308】
2.1 昨夏の電力需要抑制対策における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析 【p.122 - p.147】
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析 【p.124 - p.143】
2.1.2 業種ごと節電効果ならびに負荷平準効果に関する分析 【p.144 - p.147】
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析 【p.148 - p.166】
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析 【p.150 - p.166】
2.3 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析 【p.167 - p.180】
2.3.1 豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化の動向 【p.169 - p.172】
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向 【p.173 - p.178】
2.3.3 韓国におけるデマンド・レスポンス導入の動向 【p.179】
2.3.4 各国における需要抑制の市場取引メカニズム 【p.180】
2.4 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用抑制や再エネ導入、蓄エネ導入に向けた調査 【p.181 - p.185】
2.4.1 自家発電設備の導入・稼働向上による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.183】
2.4.2 蓄電池設備の導入による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.184】
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析 【p.186 - p.276】
2.5.1 基本的な考え方 【p.188】
2.5.2 需要家単位で見た増エネと国全体で見た省エネの関係 【p.189】
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割 【p.190 - p.276】
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力) 【p.192 - p.248】
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス) 【p.249 - p.276】
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析 【p.277 - p.304】
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(定性分析) 【p.279 - p.283】
2.6.2 工場・事業場で実施されるピーク対策の効果分析 【p.284 - p.287】
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し 【p.288 - p.292】
2.7 その他電力供給リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する政策を検討する上で必要となる調査・分析 【p.293 - p.295】
2.7.1 電気消費機器の現状分析 【p.296 - p.297】
3. 総括 【p.298 - p.299】
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121
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
【概要】
 昨夏の電力需要抑制対策における業種、規模(大口需要家、小口需要家及び家庭)ごとの実績の把握、及びその定量的・
定性的な電力抑制効果及び省エネ効果の分析を行った。
 試算の対象業種は、業種別節電行動計画(資源エネルギー庁)の対象業種と同様で、産業部門は製造業(工場)、
業務部門はオフィスビル、卸・小売、食品スーパー、医療機関、ホテル・旅館、飲食店、学校が対象となっている。
 大きな傾向として、製造部門と比較して業務部門の方が節電余地が大きいことが明らかになった。これは、製造業(工場)
の使用エネルギー源が電気以外のケースが多いこと、またエネルギー使用量が生産する製品構成や生産のプロセスに依
存するところが大きいためと推察される。
 なお、本項における試算結果は、「2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況」でも活用する。
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122
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析

なお、資源エネルギー庁は昨夏の電力需給対策実施状況について、フォローアップ調査(大口・小口・家庭における取組
の検証)を実施している。平成23年10月14日に開催された電力需給に関する検討会合幹事会において公表された調査
結果資料より、昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握を行う。当該資料を参考として、次頁以降に
抜粋して掲載する。
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123
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

大口需要家(電力多消費産業等)における取組の検証
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出所)電力需給に関する検討会合幹事会(平成23年10月14日)資料
124
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

大口需要家(電力多消費産業等)における取組の検証(化学)
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
出所)電力需給に関する検討会合幹事会(平成23年10月14日)資料
125
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

大口需要家(電力多消費産業等)における取組の検証(非鉄金属)
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出所)電力需給に関する検討会合幹事会(平成23年10月14日)資料
126
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

大口需要家(電力多消費産業等)における取組の検証(エレクトロニクス関連部素材)
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出所)電力需給に関する検討会合幹事会(平成23年10月14日)資料
127
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

大口需要家(電力多消費産業等)における取組の検証(鉄鋼)
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出所)電力需給に関する検討会合幹事会(平成23年10月14日)資料
128
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

大口需要家(電力多消費産業等)における取組の検証(自動車)
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出所)電力需給に関する検討会合幹事会(平成23年10月14日)資料
129
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

大口需要家(電力多消費産業等)における取組の検証(精密機器・家電)
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出所)電力需給に関する検討会合幹事会(平成23年10月14日)資料
130
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

大口需要家(電力多消費産業等)における取組の検証(流通・その他オフィス系)
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131
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

大口需要家(電力多消費産業等)における取組の検証(流通・その他オフィス系)
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出所)電力需給に関する検討会合幹事会(平成23年10月14日)資料
132
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

小口需要家(電力多消費産業等)における取組の検証
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出所)電力需給に関する検討会合幹事会(平成23年10月14日)資料
133
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

小口需要家(電力多消費産業等)における取組の検証
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出所)電力需給に関する検討会合幹事会(平成23年10月14日)資料
134
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

小口需要家(電力多消費産業等)における取組の検証
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出所)電力需給に関する検討会合幹事会(平成23年10月14日)資料
135
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

電力不足等の小口需要家への影響
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出所)電力需給に関する検討会合幹事会(平成23年10月14日)資料
136
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

家庭における取組の検証
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137
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

家庭における取組の検証
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138
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析

家庭における取組の検証
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139
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析
 今後のエネルギー政策の方向として、中長期的に原子力依存度を低減させることとしており、東日本大震災直前の2010年
夏季ピーク時の電力需要を前提に原子力発電が停止した場合を想定すると、全国で約1600万kW(ピーク需要の約1割)
の電力が不足する見通し。
電力会社ごとの今夏の電力需給の見通し
出所:エネルギー需給安定行動計画(案)
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140
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析
 震災直後の2011年夏期の実績を見ると、東京電力及び東北電力管内では計画停電の経験を踏まえ、電気事業法第27条
の電力使用制限や節電要請がなされている状況下での対応であったため、全体で18~19%の節電結果になっているが、
節電要請のみの関西電力管内では8%程度に留まっている。
 エネルギー・環境会議の「エネルギー需給安定行動計画」においては、来夏に向けた需要側への対策として、「見える化の
徹底と市場メカニズムの活用(節電目標の共有・電力消費の見える化・節電を促す料金メニューの拡充)」により約710万
kW、「需要家による省エネ促進(需要構造の変革)」に位置付けられるHEMS/BEMS補助金や蓄電池補助金等の予算を最
大限活用した取組等によって約270万kWの節電を見込んでいる。(合計で最大980万kW)
昨夏における電力会社ごとの電力需要状況
今夏のピーク電力不足への対応
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141
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析
 これらの削減ポテンシャルを実現するには、料金制度の枠組みやスマートメーター等の普及による見える化の促進等と併
せて、事業者がピーク抑制対策をしっかり実施することが不可欠。現在、事業者に対して恒常的にエネルギー管理を求める
のは省エネ法のみであり、今後、時間を意識したピーク対策の実施も含めたエネルギー消費原単位の低減を求めていく。
 また、「エネルギー需給安定行動計画」における取組は、来夏の需給逼迫に備えて実施されるものであり、中には随時需給
調整契約の活用など活動量に影響を及ぼす継続実施が難しい可能性があるものも含まれている。
 一方で、昨年夏の節電対策を経験した事業者に対するアンケート調査やヒアリング結果から、持続可能な節電対策の比率
は2010年夏期ピークと比して約760万kW程度抑制の可能性が存在することが推計される。(内訳:産業78万kW(10%)、業
務677万kW(90%)詳細は次頁の<参考>を参照)
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出所:エネルギー需給安定行動計画(案)
142
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1 昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析
 省エネ法においては、経済合理性を超えた対策を事業者に強いるものではなく、技術的及び経済的に可能な範囲で中長期
的に需要構造を変革していく観点から対応を促すものである。
 そのため、省エネ法において時間を意識したピーク対策への取組を含めて求めていく場合でも、短期間での実現は難しい
が、事業者において時間を意識したピーク対策の実施を定着させていくことで、中長期的に約760~840万kWのピーク抑
制効果が期待できる。
【参考】
 関西電力の実績をベースとした削減ポテンシャル
 昨年夏の関西電力での実績程度の取組は、要請を受けて事業者が対応したものであり全国でも実施可能であると仮定した場合には、全
国のピーク電力1.8億kW(9電力会社(沖縄電力除く)の合計)のうち8%に当たる約1450万kWの低減が実施可能。
 ただし、対策の中には経済合理性に欠くものも一部存在している。
万kW
需要側対策による負荷抑制効果(万kW)
1,000
800
600
400
節電行動の継続実施
755
BEMSの導入
200
0
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87
143
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.2 業種ごと節電効果ならびに負荷平準効果に関する分析
【ピーク抑制ポテンシャルの試算】
 東京電力管内の2010年度の実績をベースに、昨年夏の対策を実施した直後の大口需要家向けヒアリング(電事法27条適
用事業者)、小口需要家向けアンケート(全国)で得た、今後も継続可能な節電対策の範囲を勘案して我が国全体でのポテ
ンシャルを試算。
【算出方法】
 以下、「1.産業部門」と「2.業務部門」において無理のない範囲でのピーク電力削減率を算出し、「3.ポテンシャル試算」
において、東京電力管内の夏期ピーク需要と部門別削減率の積で東京電力管内の削減ポテンシャルを算出。さらに、東京
電力管内のピーク電力比率33.4%を用いて我が国全体での削減ポテンシャル(家庭部門を除く)を算出している。
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144
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.2 業種ごと節電効果ならびに負荷平準効果に関する分析
 産業部門(ピーク電力の無理のない範囲での削減率)
 業部門においては、電力消費の内訳のうち、生産設備での電力使用の低減は活動抑制につながりかねないため、生産設備以外で実施
する対策が無理のないものだと仮定。上記にある小口需要家向けのアンケート(全国規模で日商が実施)結果から非製造業の削減率が
生産部門以外での削減率の平均だと見なすと、産業部門の電力需要の1.54%の削減が可能であると考えられる。
産業部門:ピーク電力の無理のない範囲での削減率
製造業
非製造業
合計
区間内中間値※(算
出用)
22.5%
17.5%
12.5%
5.0%
-2.5%
20%以上
9.4%
0.0% 15~20%未満
9.4%
23.1% 10~15%未満
21.9%
19.2% 0~10%未満
59.4%
53.8% 増加
0.0%
3.8% 平均値削減率
9.47%
9.04%
9.28%
※20%以上、増加のセグメントは、±0.025%を区間内中間値とした
※製造業/非製造業の比率は上表より算出
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一般設備(空
調・照明),
17%
生産設備,
83%
145
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.2 業種ごと節電効果ならびに負荷平準効果に関する分析
 業務部門(ピーク電力の無理のない範囲での削減率)
 下記のとおり、業務部門の削減率については、小口需要家向けアンケート(全国規模で日商が実施)より、業務部門の平均で9.04%のポ
テンシャルがある。
業務部門におけるピーク電力の無理のない範囲での削減率
製造業
非製造業
合計
区間内中間値※(算
出用)
22.5%
17.5%
12.5%
5.0%
-2.5%
20%以上
9.4%
0.0% 15~20%未満
9.4%
23.1% 10~15%未満
21.9%
19.2% 0~10%未満
59.4%
53.8% 増加
0.0%
3.8% 平均値削減率
9.47%
9.04%
9.28%
※20%以上、増加のセグメントは、±0.025%を区間内中間値とした
※製造業/非製造業の比率は上表より算出
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146
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.1昨夏の電力需給抑制における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析
2.1.2 業種ごと節電効果ならびに負荷平準効果に関する分析
【ポテンシャル推計】
 産業部門の無理のない削減率1.54%と業務部門の無理のない削減率9.04%(いずれも2010年の夏期ピーク比)で東京電
力管内の削減ポテンシャルは、約252万kWと算出される。
昨夏の部門別ピーク時需要
東京電力管内部門別負荷平準効果試算結果
東電管内夏期ピーク
万kW
部門
1,700
2,500
産業部門
業務部門
部門
業種
産業部門
製造業(工場)
オフィスビル
卸・小売
食品スーパー
医療機関
ホテル・旅館
飲食店
学校
業務部門
節電効果
最大ケース
部門内需要構成(割合)
最小ケース
5.10%
22.30%
16.00%
17.10%
9.60%
13.50%
14.20%
16.20%
1.54%
9.04%
9.04%
9.04%
9.04%
9.04%
9.04%
9.04%
-
40.30%
19.40%
1.70%
11.50%
10.90%
8.70%
7.60%
合計
負荷平準効果(万kW)
最大ケース 最小ケース
86.7
224.7
77.6
7.3
27.6
36.8
30.9
30.8
522.3
26.1
91.1
43.8
3.8
26.0
24.6
19.7
17.2
252.4
出所)資源エネルギー庁(平成23年5月)
出所)部門内需要構成(割合)は、エネルギー・経済統計要覧(EDMC)よりNRI作成
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147
目次
2. 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析 【p.121 - p.308】
2.1 昨夏の電力需要抑制対策における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析 【p.122 - p.147】
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析 【p.124 - p.143】
2.1.2 業種ごと節電効果ならびに負荷平準効果に関する分析 【p.144 - p.147】
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析 【p.148 - p.166】
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析 【p.150 - p.166】
2.3 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析 【p.167 - p.180】
2.3.1 豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化の動向 【p.169 - p.172】
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向 【p.173 - p.178】
2.3.3 韓国におけるデマンド・レスポンス導入の動向 【p.179】
2.3.4 各国における需要抑制の市場取引メカニズム 【p.180】
2.4 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用抑制や再エネ導入、蓄エネ導入に向けた調査 【p.181 - p.185】
2.4.1 自家発電設備の導入・稼働向上による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.183】
2.4.2 蓄電池設備の導入による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.184】
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析 【p.186 - p.276】
2.5.1 基本的な考え方 【p.188】
2.5.2 需要家単位で見た増エネと国全体で見た省エネの関係 【p.189】
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割 【p.190 - p.276】
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力) 【p.192 - p.248】
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス) 【p.249 - p.276】
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析 【p.277 - p.304】
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(定性分析) 【p.279 - p.283】
2.6.2 工場・事業場で実施されるピーク対策の効果分析 【p.284 - p.287】
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し 【p.288 - p.292】
2.7 その他電力供給リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する政策を検討する上で必要となる調査・分析 【p.293 - p.295】
2.7.1 電気消費機器の現状分析 【p.296 - p.297】
3. 総括 【p.298 - p.299】
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148
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
【概要】
 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要構造の詳細調査と、今冬、需給対策が必要となる場合における各業種、
規模(大口需要家、小口需要家及び家庭)の効果的な電力需要抑制対策の分析を行った。
 政府の節電ポータルサイト「節電.go.jp」をベースに、一般的な冬期電力消費に関して整理した。
 業種別に、以下を明らかにして冬期の電力消費の特徴を分析した。



電力需要カーブ

電力消費量の内訳
業種毎の冬期電力消費状況を踏まえ、 以下の項目に関して整理することで、冬期における効果的な電力需要抑制対策
を考察した。

節電対策メニュー

予測される節電効果

節電効果のある時間帯

実施容易度
業種は、産業部門と業務部門に分けて代表的な形態を用いて分析した。

産業部門では、製造業(工場)の分析を行った。

業務部門では、オフィスビル、卸・小売、食品スーパー、医療機関、ホテル・旅館、飲食店、学校の7業種の分析を行った。
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149
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析

一般的な冬期の電力需要カーブを全体、家庭、大口、小口で分けて考えた。それぞれの特徴は以下のように現れる。

全体の冬期の電力使用量は朝晩に高くなり、特に夕方にピークがくる。

家庭での消費は、朝7時頃と夜19時頃高くなり、特に19時頃最も消費する。昼間の消費量は低く、その増減差は大きい。

大口での消費は、比較的消費量の増減が小さく、10時頃と14時頃の2度消費量が高くなる。

小口での消費は、9時頃最も高くなり、15時頃までなだらかに低下する。夜間の消費量は低い。
一般的な冬期の電力需要カーブ
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150
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析


製造業(工場)における冬期の電力需要カーブを明らかにした。

製造業はそれぞれの業種特性から、昼間操業と昼夜連続操業の2つに分けられる。

昼間操業の工場では、昼休みを除き、操業時間中はほぼ一定の消費量が続くため、午前10時前後と午後14時前後の2回電力消費が
高くなる。また操業時間外である夜間の消費量は低い。

昼夜連続操業の工場では、設備を稼働させ続けるため、夜間含め一定の消費量が続く。特に10時~17時にかけて高い。
製造業(工場)の電力消費の内訳を明らかにした。

生産設備で8割以上を占める。

生産活動と直結するため、生産設備の節電には限界があり、照明、空調など一般設備の節電が特に重要となる。
製造業(工場)の電力需要カーブ
製造業(工場)の電力消費内訳
【昼間操業の需要家】
(一般的な稼働時間)
金属加工、自動車部品製造、
電気・一般機械製造(組立)など
【昼夜連続操業の需要家】
(高い稼働時間)
鉄鋼、化学、電気・半導体製造、
食品加工など
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151
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析

節電対策メニュー、予測される節電効果、節電効果のある時間帯、実施容易度に関して整理した。

製造業(工場)では、一日を通して同じようにエネルギーを使用する(ピークが立ちにくい)ため、終日効果のある対策が多い。

実施容易度は、生産活動に影響を与えないことや経済合理性を考慮すると厳しい評価が多くなった。
製造業(工場)の節電対策
対策(内容)
不要または待機状態にある電気設備の電源オフ及びモーター等の回転機の空転防止を
1
徹底する
2 電気炉、電気加熱装置の断熱を強化する
3 使用側の圧力を見直すことによりコンプレッサの供給圧力を低減する
4 コンプレッサの吸気温度を低減する[設置場所の室温と外気温を見合いする]
5 負荷に応じてコンプレッサ・ポンプ・ファンの台数制御を行う
6 冷凍機の冷水出口温度を高めに設定し、ターボ冷凍機・ヒートポンプ等の動力を削減する
7 使用していないエリアは消灯を徹底する
8 白熱灯を電球形蛍光ランプに交換する
9 白熱灯をLED照明に交換する
10 工場内の温度を19℃とする
11 外気取入量を調整することで換気用動力や熱負荷を低減する
12 デマンド監視装置を導入し、警報発生時には予め決めておいた節電対策を実施する
13 設備・機器のメンテナンスを適切かつ定期的に実施することでロスを低減する
節電担当者を決め、責任者(社長・工場長)と関係全部門が出席したフォローアップ会議や
14
節電パトロールを実施する
15 従業員に対して、家庭での節電の必要性・方法について情報提供を行う
16 生産用動力の起動を節電時間帯の前にシフトする
17 事務作業等の時間を調整し、電力ピークをシフトする
18 需給調整契約(料金インセンティブ)に基づく操業シフト
分類
節電効果
生産設備
節電効果のある時間帯
実施容易度
終日
○
終日
終日
終日
終日
終日
終日
終日
終日
終日
終日
ピーク時
終日
△
△
△
△
△
○
△
△
○
△
△
△
節電啓発
終日
△
節電啓発
稼働シフト
稼働シフト
稼働シフト
終日
ピーク時
ピーク時
ピーク時
○
×
×
×
生産設備
ユーティリティ
ユーティリティ
ユーティリティ
ユーティリティ
照明
照明
照明
空調
空調
その他
その他
7%
8%
2%
9%
8%
76%
85%
27%
34%
(注)工場は操業形態によりピークが異なる
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152
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析


オフィスビルにおける冬期の電力需要カーブを明らかにした。

冬期には、館内を温める必要があるため、始業時刻(9時頃)から消費量が高くなる。

オフィスビルの使用時間帯である9時~18時にかけては電力使用量の増減は比較的小さい。
オフィスビルの電力消費の内訳を明らかにした。

空調、照明、OA機器で8割以上を占める。

生産性も考慮すると、照明、空調を中心にした節電が特に重要となる。
オフィスビルの電力需要カーブ
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オフィスビルの電力消費内訳
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2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析

節電対策メニュー、予測される節電効果、節電効果のある時間帯、実施容易度に関して整理した。

使用エリア、不使用エリアに分け、不使用エリアにのみ対策を行ったとしても効果はある。

オフィスビルの電力消費量が高くなる昼間に効果のある対策が多い。

比較的容易な対策が多く、実行に移しやすい。
オフィスビルの節電対策
対策(内容)
1 執務エリアの照明を半分程度間引きする
2 使用していないエリア(会議室、廊下等)は消灯を徹底する
3 昼休みなどは完全消灯を心掛ける
4 従来型蛍光灯を、高効率蛍光灯やLED照明に交換する
室内のCO2濃度の基準範囲内で、換気ファンの一定時間の停止、または間欠運転によって
5
外気取入量を調整する(外気導入による負荷を減らすため)
6 夕方以降はブラインド、カーテンを閉め、暖気を逃さないようにする
熱源機(ガス熱源は除く)の温水出口の温度を低めに設定し、熱源機ヒートポンプ等の
7
動力を削減する
テナントは空調のスイッチを切り、オーナーはビル全体が適切な温度になるように調整を
8
行う等、適切な温度管理を行う
9 使用していないエリアは空調を停止する
10 空調機器の一斉の起動を避ける(運転時間の前倒し、フロア毎の時間調整等)
11 フィルターを定期的に清掃する(2週間に一度程度が目安)
電気室、サーバー室などで冷房を使っている場合には、可能な限り冷房を使わずに外気を
12
取り入れる。または、空調設定温度が低すぎないか確認し、見直す
13 電気以外の方式(ガス方式等)の空調熱源を保有している場合はそれらを優先運転する
14 暖房と冷房の同時使用による室内混合損失を避ける
15 長時間席を離れるときは、OA機器の電源を切るか、スタンバイモードにする
16 ハロゲンヒーター等の暖房機器を個人で使用しない
17 エアタオル等のプラグをコンセントから抜く
18 自動販売機の管理者の協力の下、適切な温度設定等を行う
19 デマンド監視装置を導入し、警報発生時には予め決めておいた節電対策を実施する
20 コージェネレーション設備を所有している場合は、発電優先で運転する
節電担当者を決め、責任者(ビルオーナー・部門長)と関係全部門・テナントが出席した
21
フォローアップ会議や節電パトロールを実施する
22 従業員やテナントに対して、家庭での節電の必要性・方法について情報提供を行う
ビル全体の節電目標と具体的アクションについて、関係全部門・テナントへ理解と協力を
23
求める
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分類
照明
照明
照明
照明
節電効果 節電効果のある時間帯
8%
昼間
3%
昼間
昼間
昼間
実施容易度
○
○
○
△
空調
4%
昼間
△
空調
1%
夜間
○
空調
1%
昼間
△
空調
4%
昼間
△
空調
空調
空調
1%未満
4%
昼間
午前中
昼間
○
○
○
空調
終日
○
空調
空調
OA機器
コンセント動力
コンセント動力
コンセント動力
その他
その他
昼間
昼間
昼間
昼間
終日
終日
昼間
昼間
○
○
○
○
△
△
△
△
節電啓発
昼間
△
節電啓発
終日
○
節電啓発
昼間
△
2%
出所)節電.go.jp
154
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析

卸・小売における冬期の電力需要カーブを明らかにした。


一般的な卸・小売の営業時間である9時~18時にかけて高い電力消費量が続く。
卸・小売の電力消費の内訳を明らかにした。

空調、照明、冷凍冷蔵で8割近くを占めるため、この用途での節電が効果的である。
卸・小売の電力需要カーブ
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卸・小売の電力消費内訳
出所)節電.go.jp
155
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析

節電対策メニュー、予測される節電効果、節電効果のある時間帯、実施容易度に関して整理した。

卸・小売の電力消費が高くなる昼間に効果のある対策が多い。

電力消費量の多い照明、空調、冷凍冷蔵の各分野に比較的容易な対策が多いため、高い効果が期待できる。
卸・小売の節電対策
対策(内容)
1 店舗の照明を半分程度間引きする
使用していないエリア(事務室、休憩室等)や不要な場所(看板、外部照明、駐車場)の消灯
2
を徹底する
3 従来型蛍光灯を、高効率蛍光灯やLED照明に交換する
4 暖房を使用する必要がある場合は、店舗の室内温度を19℃とする
室内のCO2濃度の基準範囲内で、換気ファンの一定時間の停止、または間欠運転によって
5
外気取入量を調整する(外気導入による負荷を減らすため)
6 使用していないエリア(事務室、休憩室等)は空調を停止する
分類
照明
節電効果 節電効果のある時間帯
10%
昼間
実施容易度
○
照明
3%
昼間
○
照明
空調
8%
昼間
昼間
△
○
空調
12%
昼間
△
空調
昼間
○
7 室内温度が高い場合は、冷房を使わず、可能な限り外気の導入で対応する
8 フィルターを定期的に清掃する(2週間に一度程度が目安)
空調
昼間
○
空調
昼間
○
9 暖気を逃さないよう、断熱フィルム、夕方以降は厚手のカーテン等を活用する
空調
終日
○
10 搬入口やバックヤードの扉を必ず閉め、売場への冷気流入を防止する
11 電気以外の方式(ガス方式等)の空調熱源を保有している場合はそれらを優先運転する
空調
昼間
△
空調
昼間
○
12 業務用冷蔵庫の台数を限定、冷凍・冷蔵ショーケースの消灯、凝縮器の洗浄を行う
冷凍冷蔵
終日
△
13 調理機器、冷蔵庫の設定温度の見直しを行う
冷凍・冷蔵ショーケースの吹込み口と吹出し口には商品を置かないようにするとともに、
14
定期的に清掃する
オープン型の冷凍・冷蔵ショーケースについては、冷気が漏れないようビニールカーテン
15
などを設置する
16 デモンストレーション用の家電製品などはできる限り電源をオフにする
冷凍冷蔵
終日
○
冷凍冷蔵
終日
○
冷凍冷蔵
終日
△
コンセント動力
昼間
△
17 温水洗浄便座は保温・温水の温度設定を下げ、不使用時はふたを閉める
コンセント動力
昼間
△
18 エアタオル等のプラグをコンセントから抜く
19 自動販売機の管理者の協力の下、適切な温度設定等を行う
コンセント動力
コンセント動力
昼間
終日
△
△
20 デマンド監視装置を導入し、警報発生時には予め決めておいた節電対策を実施する
21 コージェネレーション設備を所有している場合は、発電優先で運転する
節電担当者を決め、責任者(店長・部門長等)と関係全部門トが出席したフォローアップ
22
会議や節電パトロールを実施する
23 従業員に対して、家庭での節電の必要性・方法について情報提供を行う
店舗全体の節電目標と具体的アクションについて、関係全部門・テナントへ理解と協力を
24
求める
その他
その他
昼間
昼間
△
△
節電啓発
昼間
△
節電啓発
終日
○
節電啓発
昼間
△
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1%
出所)節電.go.jp
156
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析

食品スーパーにおける冬期の電力需要カーブを明らかにした。


食品スーパーの一般的な営業時間である10時~21時にかけて高い電力消費量が続く。
食品スーパーの電力消費の内訳を明らかにした。

冷凍冷蔵、照明で8割近くを占めるため、この用途での節電が効果的である。
食品スーパーの電力需要カーブ
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食品スーパーの電力消費内訳
出所)節電.go.jp
157
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析

節電対策メニュー、予測される節電効果、節電効果のある時間帯、実施容易度に関して整理した。

食品スーパーの電力消費が高くなる昼間に効果のある対策が多い。

電力消費量の多い冷凍冷蔵、照明の各分野に比較的容易な対策が多いため、高い効果が期待できる。
食品スーパーの節電対策
対策(内容)
1 店舗の照明を半分程度間引きする
使用していないエリア(事務室、休憩室等)や不要な場所(看板、外部照明、駐車場)の
2
消灯を徹底する
3 従来型蛍光灯を、高効率蛍光灯やLED照明に交換する
4 暖房を使用する必要がある場合は、店舗の室内温度を19℃とする
室内のCO2濃度の基準範囲内で、換気ファンの一定時間の停止、または間欠運転によって
5
外気取入量を調整する(外気導入による負荷を減らすため)
6 使用していないエリア(事務室、休憩室等)は空調を停止する
8 フィルターを定期的に清掃する(2週間に一度程度が目安)
9 暖気を逃さないよう、断熱フィルム厚手のカーテン等を活用する
10 搬入口やバックヤードの扉を必ず閉め、売場への冷気流入を防止する
11 電気以外の方式(ガス方式等)の空調熱源を保有している場合はそれらを優先運転する
12 室外機周辺の障害物を取り除く
13 業務用冷蔵庫の台数を限定、冷凍・冷蔵ショーケースの消灯、凝縮器の洗浄を行う
14 調理機器、冷蔵庫の設定温度の見直しを行う
冷凍・冷蔵ショーケースの吹込み口と吹出し口には商品を置かないようにするとともに、
15
定期的に清掃する
オープン型の冷凍・冷蔵ショーケースについては、冷気が漏れないようビニールカーテン
16
などを設置する
17 温水洗浄便座は保温・温水の温度設定を下げ、不使用時はふたを閉める
18 エアタオル等のプラグをコンセントから抜く
19 自動販売機の管理者の協力の下、適切な温度設定等を行う
20 デマンド監視装置を導入し、警報発生時には予め決めておいた節電対策を実施する
21 コージェネレーション設備を所有している場合は、発電優先で運転する
節電担当者を決め、責任者(店長・部門長)と関係全部門が出席したフォローアップ会議や
22
節電パトロールを実施する
23 従業員に対して、家庭での節電の必要性・方法について情報提供を行う
店舗全体の節電目標と具体的アクションについて、従業員へ理解と協力を
24
求める
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分類
照明
照明
節電効果 節電効果のある時間帯
10%
昼間
実施容易度
○
2%
昼間
○
1%未満
昼間
昼間
△
○
昼間
△
昼間
昼間
昼間
昼間
昼間
昼間
終日
終日
○
○
△
○
○
○
○
○
冷凍冷蔵
昼間
○
冷凍冷蔵
終日
△
コンセント動力
コンセント動力
コンセント動力
その他
その他
昼間
昼間
終日
昼間
昼間
△
△
△
△
△
節電啓発
昼間
△
照明
空調
空調
空調
空調
空調
空調
空調
冷凍冷蔵
冷凍冷蔵
1%未満
6%
節電啓発
終日
○
節電啓発
昼間
△
出所)節電.go.jp
158
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析


医療機関における冬期の電力需要カーブを明らかにした。

診療時間である9時~18時にかけて高い電力消費量が続く。

動かし続ける設備もあるため、夜間も一定の電力消費があり、昼夜間の電力消費量の差が比較的小さい。
医療機関の電力消費の内訳を明らかにした。

照明、空調で約65%を占めるので、医療に支障のない範囲内でこれらを調節すると効果が高い。
医療機関の電力需要カーブ
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医療機関の電力消費内訳
出所)節電.go.jp
159
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析

節電対策メニュー、予測される節電効果、節電効果のある時間帯、実施容易度に関して整理した。

医療機関は一日を通して電力使用量が多いため、節電効果のある時間帯に偏りが少ない。

比較的容易な対策が多く、実施しやすい。

電力消費量の多い照明、空調でも、エリアを分けるなどして、医療に影響のない範囲での対策が可能である。
医療機関の節電対策
対策(内容)
分類
節電効果
節電効果のある時間帯
実施容易度
1 事務室の照明を半分程度間引きする
照明
3%
昼間
○
2 使用していないエリア(外来部門、診療部門の診療時間外)は消灯を徹底する
3 従来型蛍光灯を、高効率蛍光灯やLED照明に交換する
4 病棟では可能な限り天井照明を消灯し、スポット照明を利用する
照明
照明
3%
昼間
昼間
○
△
昼間
○
照明
5 病棟、外来、診療部門(検査、手術室等)、厨房、管理部門毎に適切な温度設定を行う
6 使用していないエリア(外来部門、診療部門の診療時間外)は空調を停止する
7 夕方以降はブラインド、カーテンを閉め、暖気を逃さないようにする
空調
空調
1%
1%未満
終日
終日
○
○
空調
1%未満
夜間
○
8 フィルターを定期的に清掃する(2週間に一度程度が目安)
空調
終日
○
9 搬入口やバックヤードの扉を必ず閉め、冷気流入を防止する
10 電気以外の方式(ガス方式等)の空調熱源を保有している場合はそれらを優先運転する
空調
終日
○
空調
終日
○
11 調理機器、冷蔵庫の設定温度の見直しを行う
コンセント動力
終日
○
12 電気式オートクレーブの詰め込みすぎの防止、定期的な清掃点検を実施する
コンセント動力
終日
○
13 温水洗浄便座は保温・温水の温度設定を下げ、不使用時はふたを閉める
コンセント動力
昼間
○
14
15
16
17
コンセント動力
コンセント動力
その他
その他
昼間
終日
昼間
昼間
○
△
△
△
節電啓発
終日
△
節電啓発
終日
○
節電啓発
終日
○
エアタオル等のプラグをコンセントから抜く
自動販売機の管理者の協力の下、適切な温度設定等を行う
デマンド監視装置を導入し、警報発生時には予め決めておいた節電対策を実施する
コージェネレーション設備を所有している場合は、発電優先で運転する
節電担当者を決め、責任者(病院長・事務局長等)と関係全部門が出席したフォローアップ
18
会議や節電パトロールを実施する
19 医療機関関係者に対して、家庭での節電の必要性・方法について情報提供を行う
20 節電目標と具体的アクションについて、職員全体に周知徹底し、実行する
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160
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析


ホテル・旅館における冬期の電力需要カーブを明らかにした。

特に10時~18時にかけての電力使用量が高いが、一日を通しての増減が小さい。

事業者ではなく顧客が電力を消費するという事業特性により、節電対策を実施することが難しく、23時以降の深夜~翌朝9時頃にかけ
ても高い電力消費量が続く。
ホテル・旅館の電力消費の内訳を明らかにした。

電力消費は比較的分散しているが、照明、空調で6割近くを占めるため、この用途での節電が実施しやすい。
ホテル・旅館の電力需要カーブ
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ホテル・旅館の電力消費内訳
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161
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析

節電対策メニュー、予測される節電効果、節電効果のある時間帯、実施容易度に関して整理した。

終日効果のある対策が多い。

事業特性上、顧客に不便を強要することが難しいため、実施容易度の評価は厳しいものが多い。

客室での電力消費の主体は顧客になってしまうため、事業者が実施可能な客室以外のエリアでの節電が重要になる。
ホテル・旅館の節電対策
対策(内容)
1 客室以外のエリアの照明を半分程度間引きする
2 従来型蛍光灯を、高効率蛍光灯やLED照明に交換する
宴会場の準備、片付けの際には一般照明のみ点灯し、演出照明(シャンデリア等)は消灯
3
する
4 宿泊客への協力要請を通じて、客室の照明を抑制する(使用していない照明の消灯等)
5 使用していないエリア(会議室、宴会場等)は空調を停止する
6 ロビー、廊下、事務室等の室内温度を19℃とする
客室外気給気/浴室排気システムの場合は、10時~17時の送風量を50%風量、または
7
停止する
8 厨房排気を確認し、適正な風量に調節する(過大な場合は外気を誘引してしまうため)
9 車の動きが少ない時間帯の駐車場給排気ファンの間欠運転をする
10 電気以外の方式(ガス方式等)の空調熱源を保有している場合はそれらを優先運転する
11 暖気を逃さないよう、断熱フィルム、夕方以降は厚手のカーテン等を活用する
12 宿泊客への協力要請を通じて、客室の空調を抑制する(温度設定を下げる等)
13 客室冷蔵庫のスイッチは「切」で待機する
14 給湯循環ポンプの10時~17時(空室時)の流量削減または停止する(中央給湯方式)
15 温水洗浄便座は保温・温水の温度設定を下げ、不使用時はふたを閉める
16 エアタオル等のプラグをコンセントから抜く
17 自動販売機の管理者の協力の下、適切な温度設定等を行う
18 デマンド監視装置を導入し、警報発生時には予め決めておいた節電対策を実施する
19 コージェネレーション設備を所有している場合は、発電優先で運転する
節電担当者を決め、責任者(支配人・部門長等)と関係全部門が出席したフォローアップ
20
会議や節電パトロールを実施する
21 従業員に対して、家庭での節電の必要性・方法について情報提供を行う
22 館内での貼り紙等を通じて、宿泊客への節電を呼び掛ける
23 施設全体の節電目標と具体的アクションについて、従業員全体に周知徹底し、実行する
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分類
照明
照明
節電効果 節電効果のある時間帯
14%
終日
終日
実施容易度
○
△
照明
昼間
○
照明
空調
空調
1%
2%
終日
終日
終日
○
○
○
空調
3%
昼間
△
空調
空調
空調
空調
空調
コンセント動力
コンセント動力
コンセント動力
コンセント動力
コンセント動力
その他
その他
昼間
昼間
終日
終日
終日
終日
昼間
終日
終日
終日
昼間
昼間
△
△
○
○
○
△
△
△
△
△
△
△
節電啓発
終日
△
節電啓発
節電啓発
節電啓発
終日
終日
終日
○
○
△
出所)節電.go.jp
162
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析


飲食店における冬期の電力需要カーブを明らかにした。

飲食店は営業時間により、24時間型、夜~深夜型、朝~夜型、夜型の大きく4つに分けられる。

基本的にどの型でも、電力消費量が高くなるのは営業時間帯である。

24時間型や夜~深夜型では、営業時間内であっても深夜帯の電力消費量は下がる。
飲食店の電力消費の内訳を明らかにした。

照明、厨房、空調で9割近くを占めるため、この用途での節電が効果的である。
飲食店の電力需要カーブ
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飲食店の電力消費内訳
出所)節電.go.jp
163
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析

節電対策メニュー、予測される節電効果、節電効果のある時間帯、実施容易度に関して整理した。

営業時間中に効果のある対策が多い。

比較的容易な対策が多いので、実施しやすい。
飲食店の節電対策
対策(内容)
使用していないエリア(事務室等)や不要な場所(看板、外部照明等)の消灯を徹底し、
1
客席の照明を半分程度間引きする
2 従来型蛍光灯を、高効率蛍光灯やLED照明に交換する
3 店舗の室内温度を19℃とする
4 使用していないエリアは空調を停止する
5 フィルターを定期的に清掃する(2週間に一度程度が目安)
6 夕方以降はブラインド、カーテンを閉め、暖気を逃さないようにする
7 冷凍冷蔵庫の庫内は詰め込みすぎず、庫内の整理を行うとともに、温度調節等を実施する
8 使用していない機器(調理機器など)のプラグを抜く
9 調理機器の設定温度の見直しを行う
業務用冷蔵庫のドアの開閉回数や時間を低減し、冷気流出防止ビニールカーテンを設置
10
する
11 温水洗浄便座は保温・温水の温度設定を下げ、不使用時はふたを閉める
12 エアタオル等のプラグをコンセントから抜く
13 デマンド監視装置を導入し、警報発生時には予め決めておいた節電対策を実施する
節電担当者を決め、責任者(店長)と関係全部門が出席したフォローアップ会議や節電
14
パトロールを実施する
15 従業員に対して、家庭での節電の必要性・方法について情報提供を行う
16 店舗全体の節電目標と具体的アクションについて、従業員への理解と協力を求める
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分類
照明
節電効果 節電効果のある時間帯
10%
実施容易度
営業時間
○
営業時間
△
営業時間
営業時間
営業時間
夜間
終日
終日
営業時間
○
○
○
△
○
○
○
厨房
営業時間
△
コンセント動力
コンセント動力
その他
営業時間
終日
営業時間
○
○
○
節電啓発
営業時間
△
節電啓発
節電啓発
終日
営業時間
○
△
照明
空調
空調
空調
空調
厨房
厨房
厨房
2%
1%未満
出所)節電.go.jp
164
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析


学校における冬期の電力需要カーブを明らかにした。

授業のある日中に高い電力消費が続く。

特に登校時刻の朝9時前後に電力消費が高くなる。
学校の電力消費の内訳を明らかにした。

照明で7割以上を占めるため、この用途での節電が効果的である。

ただし、エアコン等電力を使う空調を設置している学校については、空調の比率が高くなるので注意が必要である。

勉強に支障をきたさないよう留意して、節電することが重要である。
学校の電力需要カーブ
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学校の電力消費内訳
出所)節電.go.jp
165
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析

節電対策メニュー、予測される節電効果、節電効果のある時間帯、実施容易度に関して整理した。

学校の電力消費量が高くなる昼間に効果のある対策が多い。

比較的容易な対策が多いため、実施しやすい。

教育にもつながる対策は実施が期待できる。
学校の節電対策
対策(内容)
1 教室、職員室、廊下の照明を半分程度間引きする
2 点灯方法や使用場所を工夫しながら体育館の照明を1/4程度間引きする
3 従来型蛍光灯を、高効率蛍光灯やLED照明に交換する
4 体育j間等で使われている水銀ランプを、セラミックメタルハライドランプに交換する
5 使用していないエリア(教室、音楽室等)は空調を停止する
6 特別教室(音楽室、コンピュータ室等)は連続利用する
7 電気以外の方式(ガス方式等)の空調熱源を保有している場合はそれらを優先運転する
8 暖気を逃さないよう、断熱フィルム、夕方以降は厚手のカーテン等を活用する
9 待機電力を削減する(冬休み中はパソコン、テレビ等のプラグをコンセントから抜く)
献立や調理の工夫により食器等を減らして食器洗浄機を使用したり、熱風保管庫の使用
10
時間帯をシフトするなど、ピーク電力を抑制する工夫をする
11 手洗い等、水の流し放し、水の出しすぎに注意する
12 節水こま、泡沫水洗を使用する
節電担当者を決め、責任者(校長先生等)と関係者が出席したフォローアップ会議や節電
13
パトロールを実施する
14 学校関係者に対して、家庭での節電の必要性・方法について情報提供を行う
15 児童・生徒等に対する節電教育を行い、児童・生徒等の自発的な活動を推進する
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分類
照明
照明
照明
照明
空調
空調
空調
空調
コンセント動力
節電効果 節電効果のある時間帯
15%
昼間
2%
昼間
昼間
昼間
昼間
昼間
昼間
終日
終日
実施容易度
○
○
△
△
○
△
○
○
○
コンセント動力
昼間
△
その他
その他
昼間
昼間
○
○
節電啓発
昼間
○
節電啓発
節電啓発
終日
昼間
○
○
出所)節電.go.jp
166
目次
2. 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析 【p.121 - p.308】
2.1 昨夏の電力需要抑制対策における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析 【p.122 - p.147】
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析 【p.124 - p.143】
2.1.2 業種ごと節電効果ならびに負荷平準効果に関する分析 【p.144 - p.147】
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析 【p.148 - p.166】
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析 【p.150 - p.166】
2.3 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析 【p.167 - p.180】
2.3.1 豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化の動向 【p.169 - p.172】
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向 【p.173 - p.178】
2.3.3 韓国におけるデマンド・レスポンス導入の動向 【p.179】
2.3.4 各国における需要抑制の市場取引メカニズム 【p.180】
2.4 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用抑制や再エネ導入、蓄エネ導入に向けた調査 【p.181 - p.185】
2.4.1 自家発電設備の導入・稼働向上による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.183】
2.4.2 蓄電池設備の導入による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.184】
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析 【p.186 - p.276】
2.5.1 基本的な考え方 【p.188】
2.5.2 需要家単位で見た増エネと国全体で見た省エネの関係 【p.189】
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割 【p.190 - p.276】
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力) 【p.192 - p.248】
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス) 【p.249 - p.276】
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析 【p.277 - p.304】
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(定性分析) 【p.279 - p.283】
2.6.2 工場・事業場で実施されるピーク対策の効果分析 【p.284 - p.287】
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し 【p.288 - p.292】
2.7 その他電力供給リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する政策を検討する上で必要となる調査・分析 【p.293 - p.295】
2.7.1 電気消費機器の現状分析 【p.296 - p.297】
3. 総括 【p.298 - p.299】
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167
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.3 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と
効果に関する調査・分析
【概要】
 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と、その効果についての調査・分析を行った。
 いわゆるデマンドレスポンスと呼ばれる電気事業制度の中で規定されている電力需要抑制政策は米国を中心に我が国を
含め先進国各国で整備されているが、省エネルギー政策・省エネルギー施策と一体的に企画された電力需要抑制政策・施
策は世界でも極めて限定的にしか展開されていない。具体的には、(1)豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化
と省エネラベリング制度との連携、(2)北米におけるグリーンビルディング認証におけるデマンドレスポンスの取り込み、の
二つが省エネルギー政策・省エネルギー施策と一体的に企画された電力需要抑制政策・施策の先進事例として抽出され
た。
 豪州では2007年にDR規格を策定、2012年より適合が義務化される見通しである。2004年に起きた大停電を背景に省エ
ネ政策へのピーク需要削減施策の盛り込みが検討されるようになり、建物単体や機器単体での省エネ性能向上はCO2排
出量削減やエネルギー消費量削減には効果が認められるものの、ピーク需要削減への効果は小さいことから、最も費用対
効果の高い施策としてDRの導入検討が進められるようになった。DRプログラムへの参加を促すことで高効率機器のニー
ズを的確に把握し、交換を促進する効果も見込まれている。
 米国では2012年よりLEEDの評価体系に試験的にDRが組み込まれる見通しである。建物単体でのエネルギー性能向上を
部分最適と捉え、電力系統や電力市場まで含めた包括的な省エネ・グリーン政策の展開を視野に入れた政策であると考え
られる。
 英国、カナダ、南アフリカでも電気事業制度の中で需要抑制を市場取引するための制度が導入されている。
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168
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.3諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析
2.3.1 豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化の動向
【豪州におけるデマンドレスポンス導入検討のタイムライン】
 豪州では2003年、2004年に発生した大停電を契機に、DRの導入検討が本格化した。検討開始から3年を経て、2007年に
DR規格の大枠を定めたAS4755が策定された。
 豪州政府は2011年現在、2012年以降のAS4755規格の義務化を視野に入れた検討を進めている。同年中旬までに検討
の詳細に関するコンサルテーションペーパーが公表される予定である。
2004年
2005年
2006年
制度設計・
法制化
2007年
2008年
▲(4月)
AS4755策定
DR規格のフレームワークを規定
2009年
▲
WG組成
(気候変動・省エネ省、
冷凍空調協会、
エネルギー産業協会)
▲
2011年
2012年
AS4755.3.1.義務化
▲(12月)
AS 4755.3.1.策定
(DR機能の定義と連携方式について規定)
DR導入に向
けた検討
2010年
空調機器への
DRインターフェース
導入義務化(10月~)
▲
(2011年中旬以降) ▲
豪州新基準委員会組成
AS 3823.2改訂
AS 4755.3.1.導入義務化に向けた スマートメーター導入
(本格的なDR規制導入のため) (AS4755.3.1.に基づき、DR機能に
促進(800万台)
コンサルテーションペーパー
関する報告義務をMEPSで規定)
公表予定
DR実証
(4州、3,000需要家)
その他
▲
豪州大停電
(DR検討の本格化)
出所)豪州気候変動・省エネルギー省
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169
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.3諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析
2.3.1 豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化の動向
【豪州におけるデマンドレスポンス規格法制化の取組】
 AS/NZS 4755 は規格標準化により、デマンドレスポンス(DR)対応の電化製品といかなる通信プロトコルやメーター機器と
の連携も可能とすることで、関連機器メーカーや電力会社によるDR関連サービス導入を促すものである。
 AS/NZS 4755規格の認証取得のためには、対象機器が最低でもDemand Response Mode 1を満たす必要がある。
Demand
Response
Enabling
Device
信号
対象
機器




AS/NZS 4755.2
空調
プールポンプ
電気温水器
蓄電機器/EV
AS/NZS 4755.3
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DRM 1
• 信号受信の際、最小負荷運転
• コンプレッサーの遮断(ファンの運転は可)
DRM 2
• 信号受信の際、負荷低減運転
• 50%以下での運転
DRM 3
• 信号受信の際、負荷低減運転
• 75%以下での運転
DRM 4
• 信号に拘わらず、料金の高低等に合わせ
て負荷を調節
• 空調は対象外
170
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.3諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析
2.3.1 豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化の動向
【豪州におけるデマンドレスポンス規格法制化の取組】
 空調によるデマンドレスポンス規格を定めるAS/NZS 4755.3.1が2007年に先行的に発表されたものの、電力会社がDR導
入のメリットを消費者にもたらすような契約やインフラ整備に対して及び腰であるため、機器の市場普及が進んでいない。そ
こで、豪州政府気候変動・省エネルギー省の省エネ機器委員会では、2012年10月以降発売の対象機器について
AS/NZS4755規格取得を法制化することの検討を開始した。政府は、規格取得の義務化により、DR対応機器を市場に流
通させ、電気事業者にとってのDRの実行可能性を上げることで、DR導入の加速化を図ろうとしている。
AS/NZS4755規格の検討状況
規格名
規格概要
対象機器
検討状況
AS/NZS 4755-2007
電気製品のDR機能及び関連技術標準化に関わる基本枠組
• 空調機器
・ プールポンプ
• 電気温水器 ・ 蓄電機器/EV
2007年策定
法制化検討中
AS/NZS 4755.1
電気製品のDR機能及び関連技術規格、及びDemand Response Enabling
Device (DRED)の要件規格に関わる基本枠組
• 上記4機器
• DRED
起草中
AS/NZS 4755.2.1
DRシステムに関わる規格
• DRED
• リモートエージェント
起草中
AS/NZS 4755.2.2
DRED の要件に関わる規格
• DRED
起草中
AS/NZS 4755.3.1
空調機器の運転制御方法及びDREDとのインターフェースに関わる規格
• 空調機器
2008年策定
改定予定
AS/NZS 4755.3.2
プールポンプの運転制御方法及びDREDとのインターフェースに関わる規格
• プールポンプ
起草中
AS/NZS 4755.3.3
電気温水器の運転制御方法及びDREDとのインターフェースに関わる規格
• 電気温水器
起草中
AS/NZS 4755.3.4
蓄電機器/EVの充放電制御機能の運転制御方法及びDREDとのインター
フェースに関わる規格
• 蓄電機器/EV
検討開始
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171
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.3諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析
2.3.1 豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化の動向
【エネルギー性能ラベリング表示への適用】
 2008年にDEWHA(Department of Environment, Water, Heritage, and the Arts)は、機器の省エネ性能表示(ラベリン
グ)を推奨するペーパーを公表した。同ペーパーでは、省エネ性能と併せてDR機能もラベル表示することが提案された。こ
れを受け、2009年にはDR機能の有無を報告することがメーカー側に義務付けられ、さらにラベル表示することが推奨され
た。
エネルギー性能表示ラベル
 このグリーンの部分に「DRM(AS 4755)」のレベルが表示されている。この場
合、DRM3と表示されているため、「信号受信の際には75%以下の負荷低減
運転ができる」ことを意味する。
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DRM 1
• 信号受信の際、最小負荷運転
• コンプレッサーの遮断(ファンの運転は可)
DRM 2
• 信号受信の際、負荷低減運転
• 50%以下での運転
DRM 3
• 信号受信の際、負荷低減運転
• 75%以下での運転
DRM 4
• 信号に拘わらず、料金の高低等に合わせて負荷を調節
• 空調は対象外
172
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.3諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向
 LBNLのDR研究センター、シュナイダー電機、スキッピングストーン社(エネルギー市場コンサルティング事業者)、USGBC
の四者により、LEEDの評価項目へのDR導入が検討されている。
 2012年より試験的にDRを評価項目に加え、特定のユーティリティ圏で実証を行うことが計画されている。ユーティリティ、建
築関連事業者、電力卸売市場の連携を通じ、発電・配電の高効率化、電力系統の安定化、環境負荷軽減、GHG排出量削
減の実現を目指す。
検討主体と役割分担
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173
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.3諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向
 LEEDへの適用が検討されているDRプログラムは大きく手動と自動に大別され、其々異なった適用条件が検討されてい
る。
LEED評価項目に適用されるDRプログラム
DRプログラムの種類
適用条件(用途別)
ケース1:
電力会社等による公式※なDR
プログラム
(※公式:電力会社、ISO、その他認定
事業者によるDRプログラムのこと)
オプション1:
手動DR
LEED x DR
(2012年-)
ケース2:
非公式なDRプログラム
(非公式:「公式」なDRプログラム運用
事業者以外の事業者によって運用され
るDRプログラムのこと。現在は適用不
可だが将来的に適用される予定)
オプション2:
半/全自動DR
※オプション1-ケース1でDRプログラムに参加した場合
のみ適用される。
全建築物:電力会社、ISO、その他認定事業者に
よるDRプログラムに最低1年間参加すること。契約
は、ピーク電力需要(予測)の10%もしくは20kW
(どちらか大きい方を採用)とする。
LEED-NC、CS、学校、ヘルスケア施設:ピーク需
要はEA(Energy Atomosphere)クレジット※に基
づいて推算する。
LEED-EBOM(既存改修):ピーク需要は電気料金
の請求書に基づいて推算する。既にDRプログラム
に参加している場合でも適用対象とする。
全建築物:どのように規定分(ピーク電力需要の
10%もしくは20kW、どちらか大きい方)をDRプログ
ラムで削減するか、プランを作成する。ピーク需要
はEAクレジットに基づいて推算する。地域の電力
会社と協議の上、実行可能性について検証する。
LEED-NC、CS、学校、ヘルスケア施設:BAS
(Building Automation Service)と連携し、データ
を収集・蓄積することのできる設備を導入する。
LEED-EBOM(既存改修):既にDRプログラムに参
加している場合でも適用対象とする。
リアルタイムかつ全自動対応可能な設備を導入す
る。ピーク電力需要(予測)の5%もしくは10kW(ど
ちらか大きい方)分を追加契約する。
出所)USGBCプレスリリース
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174
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.3諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向
 LEED評価項目への取込みに際して、DRプログラムを12に分類し、それぞれについてDRプログラムを通してピーク需要
削減もしくはシフトを行う。ピーク需要の10%(もしくは20kW)削減が、LEED評価への加点の最低ラインとなる。DRプログラ
ムは①手動、②半自動、③全自動の別で分類され、③の方がポイントは大きくなる。
LEED評価におけるDRの取込み(案)
出所)Skipping Stone
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175
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.3諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向
参考:DR導入に向けたアクションプランと行動計画
出所)Skipping Stone
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176
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.3諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向
参考:米国連邦政府のデマンドレスポンス政策の全体像
2007年エネルギー自給・安全保障法(the Energy Independence and Security Act of 2007)
 連邦エネルギー規制委員会(FERC)に対して、米国が保有するデマンドレスポンスのポテンシャルを引き出すためのプロセ
スを具体化するように定める。具体的には、1)デマンドレスポンスの評価、2)デマンドレスポンスの行動計画、3)行動計画の
実行プラン、の三つの報告を行うように指示している。
デマンドレスポンス評価レポート
(2006年から毎年発行)
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デマンドレスポンス行動計画
(2010年6月)
行動計画の実施プラン
(2011年7月)
177
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.3諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向
参考:北米におけるデマンドレスポンスによる負荷抑制可能容量(2009年)
大分類
実施主体
プログラム類型
2009年実績
プログラム概要
インセンティブ型
電力会社
負荷遮断・抑制
13.8GW
23%
主に大口の産業用・商業用需要家
に提供される需給調整契約
直接負荷制御
10.7GW
18%
遠隔で負荷制御する機器を取り付
けた需要家に報奨金を付与する
緊急時調整
12.8GW
21%
系統運用上で必要となる緊急時の
調整能力として取引される
容量市場
8.4GW
14%
小売事業者の予備力確保義務に
対応して負荷抑制容量を取引する
アンシラリー
1.9GW
3%
予備力や周波数制御調整能力と
して需要調整能力を取引する
需要買い戻し
3.4GW
6%
需要抑制量を供給量と見立てて、
市場取引する
時間帯別料金
2.5GW
4%
需要ピーク時とオフピーク時に応じ
て2つ以上の時間帯を設定
クリティカルピーク料金
0.8GW
1%
系統混雑時、卸価格高騰時に大
幅な割り増し単価を適用する
リアルタイム料金
1.1GW
2%
供給コストをリアルタイムに反映し
た小売料金単価を適用する
その他料金
0.1GW
0%
その他
4.1GW
7%
50.9GW
85%
24.5GW
41%
系統運用機関
26.4GW
系統信頼性確保目的
44%
経済性向上目的
料金シグナル型
4.6GW
電力会社
8%
その他
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178
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.3諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析
2.3.3 韓国におけるデマンド・レスポンス導入の動向
 韓国では1970年代からデマンド・サイド・マネジメント(以下需要側マネジメント)の可能性について検討が行われている。
 電気事業体制や電力料金制度は現在までに幾度か改正されており、一概に経年的に比較はできないが、以下に1993年
から2007年までの複数年間における需要側マネジメントの効果を提示する。
 2008年8月には約1ヵ月間、夏期のピーク時における需要側マネジメントの実証が行われ、平均で一日あたり約190MWの
需要抑制効果が認められた。
韓国における需要側マネジメントのスキーム
韓国における需要側マネジメントの効果
1993年
1995年
1997年
2000年
2002年
2007年
需要側マネジメント前負荷(MW)
22,640
31,085
38,057
43,866
49,233
62,285
需要側マネジメントの効果(MW)
528
1,207
2,206
2,900
3,460
5,460
22,112
29,878
35,851
41,007
45,773
62,285
2.3%
3.9%
5.8%
6.5%
7.0%
8.7
需要側マネジメント負荷(MW)
需要側マネジメント率
出所)ソウル大学Park教授プレゼンテーション資料、キョン園大学校資料よりNRI作成
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179
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.3諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析
2.3.4 各国における需要抑制の市場取引メカニズム
【各国における需要抑制の市場取引メカニズム】
 米国、豪州、英国、カナダ、南アフリカでは、複数の電力ユーザの需要抑制(デマンドレスポンス)を集約して市場取引する
デマンドレスポンスアグリゲーターが制度化されている。
 一定の条件を満たしたデマンドレスポンスは、電力卸市場において発電所と同様の地位を与えられ、卸市場で取引されて
いる。
国名
米国
系統運用機関であるPJMやISO-NE、NYISOが運営している電力卸市場において需要抑制(デマンドレスポンス)が発電
所と同様の地位を与えられて市場取引されている。容量市場(Capacity)や電力市場(Energy)、アンシラリーサービス市
場(Ancillary)のそれぞれでデマンドレスポンスが取引されている。
豪州
市場運営者であるAEMO(Australian Energy Market Operator )は、電力卸市場において小規模の分散発電を集約した
アグリゲーターが一社の発電事業者として電力卸市場に参加できるように豪州エネルギー市場委員(AEMC :Australian
Energy Market Commission )に提案を行っている。
英国
系統運用機関であるNational Gridが系統安定化のために必要となる予備力(Response/Reserve)を相対で市場から調
達しており、負荷抑制(デマンドレスポンス)を発電所と類似のものとして扱い、デマンドレスポンスアグリゲーターを介して
複数の電力ユーザーから負荷抑制を調達している。
カナダ
系統運用機関であるIESO(Independent Electricity System Operator)とオンタリオ州電力局(Ontario Power Authority)
は、DEMAND RESPONSE CONTRACTUAL DR3 (DR3)プログラムを展開している。ここでは、デマンドレスポンスアグ
リゲーターを介して電力ユーザーが需要抑制を販売し、対価を得ることができる。
南アフリカ
垂直統合の電力会社であるESKOMが国内の電力危機に対応するため、需要抑制(デマンドレスポンス)を供給力とみな
し、市場から調達する仕組みを整備しつつある。
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180
目次
2. 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析 【p.121 - p.308】
2.1 昨夏の電力需要抑制対策における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析 【p.122 - p.147】
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析 【p.124 - p.143】
2.1.2 業種ごと節電効果ならびに負荷平準効果に関する分析 【p.144 - p.147】
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析 【p.148 - p.166】
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析 【p.150 - p.166】
2.3 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析 【p.167 - p.180】
2.3.1 豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化の動向 【p.169 - p.172】
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向 【p.173 - p.178】
2.3.3 韓国におけるデマンド・レスポンス導入の動向 【p.179】
2.3.4 各国における需要抑制の市場取引メカニズム 【p.180】
2.4 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用抑制や再エネ導入、蓄エネ導入に向けた調査 【p.181 - p.185】
2.4.1 自家発電設備の導入・稼働向上による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.183】
2.4.2 蓄電池設備の導入による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.184】
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析 【p.186 - p.276】
2.5.1 基本的な考え方 【p.188】
2.5.2 需要家単位で見た増エネと国全体で見た省エネの関係 【p.189】
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割 【p.190 - p.276】
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力) 【p.192 - p.248】
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス) 【p.249 - p.276】
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析 【p.277 - p.304】
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(定性分析) 【p.279 - p.283】
2.6.2 工場・事業場で実施されるピーク対策の効果分析 【p.284 - p.287】
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し 【p.288 - p.292】
2.7 その他電力供給リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する政策を検討する上で必要となる調査・分析 【p.293 - p.295】
2.7.1 電気消費機器の現状分析 【p.296 - p.297】
3. 総括 【p.298 - p.299】
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181
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.4 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用抑制や再エネ導入、
蓄エネ導入に向けた調査
【概要】
 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用の抑制や再生可能エネルギーの導入、蓄エネルギーの
活用等を含めた総合的なエネルギー管理を実施するため、必要となるエネルギー需給状況に関する情報の整理と、需要
側と供給側が一体となった取組みを推進するために必要となるインフラ整備の調査・分析を実施した。
 まず、自家発電設備の導入・稼働による社会全体としての省エネ可能性を検討した。この結果、送電ロス等を含めた自家
発電設備の総合熱効率は、電力需要ピーク時に稼働する熱効率の低い老朽火力発電所や揚水発電所の総合熱効率より
も高い可能性がある。これより、自家発電設備を電力需要ピーク時に活用することで、日本全体としての省エネになること
が考えられる。
 蓄電池設備については、高効率な発電による電気を蓄電でき、ピーク時の効率が低い電気の代替として使用できることが
できれば、充放電に伴うロスを勘案しても、日本全体としての省エネにつながると考えられる。
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182
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.4 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用抑制や再エネ導入、蓄エネ導入に向けた調査
2.4.1 自家発電設備の導入・稼働工場による社会全体としての省エネ可能性の検討
 電力需要がピークに近づく際には、一般的に、稼働の優先順位が低い(1)熱効率の低い老朽火力や(2)揚水発電所などを
稼働させて電力供給がなされる。これに対して、自家発電の活用することで、ピーク時の電力需要を減らし、これらの発電
量を下げることが可能になる。
 自家発電は、近年導入されているものは(1)老朽火力や(2)揚水発電所よりも、総合熱効率が高くなるものが存在する。
 したがって、ピーク時に自家発電を活用し、ピーク電源の稼働を減らすことが、日本全体としての省エネルギー化につなが
ると考えられる。
需要家
発電事業者
総合熱効率
自家発の導入・稼働により代替する発電方式の総合熱効率
化
石
燃
料
94.9%
(送電)
火力発電所
(1) 33.2%
35%(老朽化石油火力)
火力発電所
42.89%(LNG)or
40.26%(石炭)
揚水式
発電所
72.1%
(2)27.5
~29.3%
94.9%※
(送電)
※送電ロスは、火力発電所から直接需要家に向かう場合に比べて大
きいため、正確には更に悪化する(送電効率が94.9%より小さくなる)
自家発の総合熱効率
化
石
燃
料
自家発電
35.6%
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35.6%
【算出の前提】
• ピーク時限界発電所として、石油火力を想定。
また、揚水式発電の汲み上げは、非ピーク時に
行われるため、LNGもしくは石炭火力を想定
• 各火力発電の熱効率は、H20の一般電気事業
者平均値。揚水式発電所の効率は、H17~H
20の平均値(いずれも「電力需給の概要」より)
• 蓄電池の効率は、次世代エネルギー・社会シス
テム協議会資料(H22/5)等より試算
• 自家発電の熱効率は、2011年度夏導入の自家
発電のうち把握可能なものの平均値
• 枠外の数値は、エネルギー利用効率を示す。
燃料輸送時のエネルギーロスは考慮していな
い
183
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.4 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用抑制や再エネ導入、蓄エネ導入に向けた調査
2.4.2 蓄電池設備の導入・稼働による社会全体としての省エネ可能性の検討
 電力需要がピークに近づく際には、一般的に、稼働の優先順位が低い(1)熱効率の低い老朽火力や(2)揚水発電所などが
稼働させて電力供給がなされる。これに対して、蓄電池を活用(非ピーク時に充電し、ピーク時に放電)することで、ピーク時
の電力需要を減らし、これらの発電量を下げることが可能となる。
 蓄電池の活用(非ピーク時に充電し、ピーク時に放電)によって、非ピーク時の高効率な発電による電気を蓄電できる場合
には、充放電ロスを勘案しても(1)老朽火力や(2)揚水発電所より総合熱効率が高くなる場合がある。
 したがって、ピーク時に蓄電池を活用し、ピーク電源の稼働を減らすことが、日本全体としての省エネルギー化につながると
考えられる。
需要家
発電事業者
総合熱効率
蓄電池導入・稼働により代替する発電方式の総合熱効率
化
石
燃
料
94.9%
(送電)
火力発電所
(1) 33.2%
35%(老朽化石油火力)
火力発電所
42.89%(LNG)or
40.26%(石炭)
揚水式
発電所
72.1%
(2)27.5
~29.3%
94.9%※
(送電)
※送電ロスは、火力発電所から直接需要家に向かう場合に比べて大
きいため、正確には更に悪化する(送電効率が94.9%より小さくなる)
蓄電池利用時の総合熱効率
化
石
燃
料
火力発電所
42.89%(LNG)
or40.26%(石炭)
94.9%※
(送電)
蓄電池
87%(NAS),92%(LiB)
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35.0%
~39.5%
【算出の前提】
• ピーク時限界発電所として、石油火力を想定。
また、揚水式発電の汲み上げおよび蓄電池の
充電は、非ピーク時に行われることより、LNG
もしくは石炭火力を想定。
• 各火力発電の熱効率は、H20の一般電気事業
者平均値。揚水式発電所の効率は、H17~H
20の平均値(いずれも「電力需給の概要」より)
• 蓄電池の効率は、次世代エネルギー・社会シス
テム協議会資料(H22/5)等よりモデルケースを
用いて試算
• 枠外の数値は、エネルギー利用効率を示す。
燃料輸送時のエネルギーロスは考慮していな
い
184
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.4 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用抑制や再エネ導入、蓄エネ導入に向けた調査
2.4. 参考資料
 揚水発電は、ピーク電力以外の目的でも稼働するため、十分にピークを低減させても一定規模の揚水発電の稼働は続けら
れることが想定される。
 しかし、ピーク時の電源が増えることで、一定程度の揚水発電の稼働を減らすことができる可能性がある。
揚水式水力発電所発電電力量の実績 (9電力計)
平成21年度揚水式水力発電所発電計画 発電端供給電力(9電力計)
(GWh)
(kW)
25,000
8,000
7,000
20,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
揚水式発電
電力量
15,000
揚水式発電
所の揚水動
力量
10,000
1,000
0
H17 H17 H18 H18 H19 H19 H20 H20
上期 下期 上期 下期 上期 下期 上期 下期
5,000
0
4月
5月
6月
7月
8月
9月 10月 11月 12月 1月
2月
3月
⇒ 揚水式発電電力量:7,487GWh/年(H17~H20平均)
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出所)「「電力需給の概要」資源エネルギー庁よりNRI作成
185
目次
2. 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析 【p.121 - p.308】
2.1 昨夏の電力需要抑制対策における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析 【p.122 - p.147】
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析 【p.124 - p.143】
2.1.2 業種ごと節電効果ならびに負荷平準効果に関する分析 【p.144 - p.147】
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析 【p.148 - p.166】
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析 【p.150 - p.166】
2.3 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析 【p.167 - p.180】
2.3.1 豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化の動向 【p.169 - p.172】
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向 【p.173 - p.178】
2.3.3 韓国におけるデマンド・レスポンス導入の動向 【p.179】
2.3.4 各国における需要抑制の市場取引メカニズム 【p.180】
2.4 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用抑制や再エネ導入、蓄エネ導入に向けた調査 【p.181 - p.185】
2.4.1 自家発電設備の導入・稼働向上による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.183】
2.4.2 蓄電池設備の導入による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.184】
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析 【p.186 - p.276】
2.5.1 基本的な考え方 【p.188】
2.5.2 需要家単位で見た増エネと国全体で見た省エネの関係 【p.189】
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割 【p.190 - p.276】
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力) 【p.192 - p.248】
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス) 【p.249 - p.276】
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析 【p.277 - p.304】
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(定性分析) 【p.279 - p.283】
2.6.2 工場・事業場で実施されるピーク対策の効果分析 【p.284 - p.287】
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し 【p.288 - p.292】
2.7 その他電力供給リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する政策を検討する上で必要となる調査・分析 【p.293 - p.295】
2.7.1 電気消費機器の現状分析 【p.296 - p.297】
3. 総括 【p.298 - p.299】
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186
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための
政策の検討及び分析
【概要】
 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)の制度や我が国における特性を勘案した上で、長期的な電力需給安定化に資する総合
的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析を行った。
 「2.1 昨夏の電力需給抑制対策における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析」や「2.2 冬期における電力
需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析」で見てきたように、長期的な電力需給安定化に向けて、供給力の増強だ
けではなく、電力需要抑制対策も有効な手段となることが確認できた。一方、2011年夏および2012年冬の電力需要抑制
は、電力ユーザーの自発性に大きく依存しており、電力需給という観点から見て「供給力」と同様にみなすには、安定性・信
頼性が必ずしも十分ではない。従って、電力ユーザーが電力需要抑制を行うインセンティブを付与する制度設計が必要とな
る。
 「2.3 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析」で見てきたよう
に、電力需要抑制を、電気事業制度だけではなく、省エネルギー制度と一体となって推し進めている国もある。我が国にお
いても、電力ユーザー個々の省エネルギーという観点に加えて、国全体の省エネルギーを図るという観点から、省エネル
ギーという視点で電力ユーザーが電力需要抑制を行うインセンティブを付与する制度設計を検討することが有用である。
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187
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.1 基本的な考え方
 需要家によるエネルギー利用の効率化(狭義の省エネルギー)だけではなく、エネルギー転換効率、エネルギー流通効率も
含めたエネルギーシステム全体の効率化という観点から、我が国の省エネルギー制度を考える。
インプット
アウトプット
エネルギーシステム
一次エネルギー
の輸入
エネルギー
転換
エネルギー
流通
エネルギー
利用
生活環境
や
財・サービス
1
需要家による
エネルギー利用の効率化
実施主体/効率化
(1)省エネルギー対策の強化
に関する調査・分析
2
エネルギー供給事業者による
エネルギー利用の効率化
実施主体
効率化
3
需要家によるエネルギー転換・
エネルギー流通の効率化
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効率化
実施主体
(2)電力供給制約リスクに対
応したエネルギー需要構
造の構築に関する調査・
分析
188
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.2 需要家単位で見た増エネと国全体で見た省エネの関係
 例えば、自家発電設備や蓄電設備を需要家が導入し、ピーク抑制を行った場合、国全体では発電効率の低い発電設備の
稼働を回避するという点で省エネになるが、一方で需要家自身では増エネとなる。現在の省エネ法は、こうした「国全体で見
ると省エネになるが、需要家単位でみると増エネになるケース」を十分に想定しておらず、改善の余地がある。
 具体的には、老朽火力の焚き減らしや揚水発電の抑制につながるような負荷抑制を行った場合、老朽火力や揚水発電より
も高い発電効率(充放電効率)でピーク抑制を実現できるのであれば、国全体で見て省エネになると判断することが考えら
れる。
発電効率
20% 21% 22% 23% 24% 25% 26% 27% 28% 29% 30% 31% 32% 33% 34% 35% 36% 37%
昼間帯
の買電
把握可能な自家発発電設備
の最低効率
25.00%
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揚水発電の抑制
老朽火力の焚き減らし
29.35%
35.01%
• 夜間にLNG火力(H21年度
の全電力平均発電効率:
42.89%)
• 揚水発電の発電効率は
72.1%(揚水式発電所の効
率は、H17-H20の平均値
• 送電ロス率5.1%
• 1970年に設置された南横
浜火力1号(35MW)の発
電効率が36.9%
• 送電ロス率5.1%
189
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
 「2.3 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析」で見てきたよう
に、需要家の省エネルギーを推進するため、エネルギー供給事業者の具体的な役割を規定している国がある。
 我が国の省エネ法も86条において「その事業を通じて一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化につき協力を行うこと
ができる事業者は、・・・一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報を提供するよう努めなければならな
い」との努力規定を設けている。
 エネルギー供給事業者が保有する資産(一般消費者のエネルギー利用情報)を活用して、最終需要家のエネルギー使用
の合理化を進め、国全体としての省エネを推進することが必要である。
エネルギー
供給事業者
エネルギー供給事業者
自身の省エネ
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需要家
需要家の省エネ促進の
支援
190
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
 省エネ法における平成18年7月25日通商産業省告示第235号では、以下のように定められている。
1.
一般消費者に対するエネルギーの供給の事業を行う者(以下「エネルギー供給事業者」という。)は可能な範囲内で、
次に掲げる一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報を提供するよう努めなければならない。
① 一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の前年同月値に関する情報の提供
② 一般消費者の過去一年間の月別のエネルギーの使用量及び使用料金に関する情報の提供
③ エネルギーを消費する機械器具の使用方法の工夫によるエネルギーの使用量の削減量及び使用料金の削減
額の目安の提供
④ エネルギーの使用の合理化に資する機械器具につき、エネルギーの消費量との対比における当該機械器具
の性能、当該機械器具の普及促進のための助成制度等に関する情報の提供
⑤ 前各号に掲げるもののほか、契約又は住居形態別のエネルギー使用量の目安等、エネルギー供給事業者の
創意により実施する一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報の提供
2.
エネルギー供給事業者のうち、電気事業法(昭和39年法律第170号)第2条第1項第二号に規定する一般電機事業
者であってその供給区域内における電力量計の取付数が100万個を超えるもの及びガス事業法(昭和29年法律第
51号)第2条第2項に規定する一般ガス事業者であってその供給区域内におけるガスメーターの取付数が100万個
を超えるものは、一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報の提供の実施状況について、毎年、
公表するように努めなければならない。
 次頁以降に、上記に該当するエネルギー供給事業者(電力会社、都市ガス会社)の情報公開状況をまとめる。
尚、取りまとめた各社の状況は、2011年10月時点のものである。
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
191
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力)
各電力会社における主な取組み
省エネ法第86条に基づく情報提供の項目
(平成18年7月25日経済産業省告示第235号) (具体例)
東北電力
東京電力
北陸電力
中部電力
関西電力
中国電力
四国電力
九州電力
沖縄電力
「電気料金ご使用
量のお知らせ」の
見方
1.一般消費者の毎月のエネルギー使用量の前 ・検針表での毎月の電気使用量の前年同月値
http://www.hepco.
年同月値に関する情報提供
に関する情報提供
co.jp/userate/pric
e/viewpoint/viewp
oint.html
電気料金とお支払
いに関するQ&A
http://www.tohok
u-epco.co.jp/cgibin/00006000/faq
/index.cgi?18
「電気ご使用量の
お知らせ」の読み
方
http://www.tepco.
co.jp/erates/individual/b
asic/charge/char
ge01-j.html
北陸電力からのお
知らせ(検針票)に
は何が書いてある
の?
http://www.rikude
n.co.jp/qa/kensin.
html
検針票の見方
http://www.chude
n.co.jp/electrify/li
velihood/meter_c
hecklist.html
検針票の読み方
http://www.denka
life.com/guide/vie
w.html
「電気使用量のお
知らせ」
http://www.energi
a.co.jp/personal/h
ouse/house5.html
#shiyouryou
「電気ご使用量の
お知らせ」
http://www.yonde
n.co.jp/ryoukin/ca
lcul_pay/oshirase.
html
「電気ご使用量の
お知らせ」
http://www.kyude
n.co.jp/rate_recep
tion_oshirase
「電気ご使用量の
お知らせの見方」
http://www.okiden
.co.jp/service/vie
wpoint/index.html
「電気ご使用量・料
金実績照会サービ
ス」
http://www.hepco.
co.jp/userate/pric
e/service/smp_02
.html
「電気ご使用実績
照会サービス」
https://www.zf1.t
ohokuepco.co.jp/F4HA/f
4hd/ce/F4HCEW0
12Page.zd1
「電気のご使用量
自動反映サービ
ス」(テポーレ)
http://www.tepore
.com/co2diet/tep
ore/info.html
「過去15ヶ月の電
気のご使用量」(郵
送)
http://www.rikude
n.co.jp/syoeneteik
yo/index.html
「電気料金照会
サービス」
http://www.chude
n.co.jp/ryokin/sho
kai/reference/ind
ex.html?cid=ul_me
「電気ご使用量お
知らせ照会サービ
ス」
http://www.kepco.
co.jp/service/mir
uden/index.html
「照会できます!
お客様の電気料
金」
http://www5.ener
gia.co.jp/EIGYO/J
SP/LW1W4009.jsp
「電気料金・使用
量照会サービス」
https://www.yond
en.co.jp/cgibin/jisseki/index.c
gi
「電気料金・使用
量等の確認」
http://www.kyude
n.co.jp/rate_confir
mation_index.html
「電気ご使用実績
照会サービス」
http://www.okiden
.co.jp/service/res
ult/
「電気の上手な使
「電気の豆知識」
「電気の効率的な
「みんなで省エネ」 い方」
http://www.chude 「省エネライフ」
ご使用について」
http://www.energi http://www.yonde
n.jp/koryu/denkin http://www.kepco.
http://www.setsud
a.co.jp/shoene/in n.co.jp/life/energ
avi/mamechishiki/ co.jp/
en-rikuden.jp/
dex.html
y_saving/skillful/in
index.html
dex.html
「省エネ快適ライ
フ」
http://www.kireilif
e.net/pages/index
.html
「環境行動レポー
ト」
http://www.okiden
.co.jp/environmen
t/report2011/sec
7/sec78.html
「北陸電力リビング
サービス」
http://www.hliving.co.jp/index.h
tml
「よんでん電化ナ
ビ」
http://www.elnavi.jp/p/index.ht
ml
「省エネ快適ライ
フ」
http://www.kireilif
e.net/pages/index
.html
「環境行動レポー
ト」
http://www.okiden
.co.jp/environmen
t/report2011/sec
7/sec78.html
「環境家計簿」
http://www.yonde
n.co.jp/energy/en
viron/account/ind
ex.html
「省エネ快適ライ
フ」
http://www.kireilif
e.net/pages/index
.html
「環境家計簿」
http://www.okiden
.co.jp/corporate/
eco/eco_calc.html
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネル
ギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
・ホームページ等での過去一年間程度の月別
の電気使用量の情報提供
北海道電力
「かしこく省エネ生 「素敵快適生活」
活」
http://www.tohok
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法
・ホームページやパンフレット等での各種省エ http://www.hepco. u公開中止
の工夫によるエネルギーの使用量の削減量及び
ネ情報の提供(例:電気製品の上手な使い方) co.jp/userate/live epco.co.jp/dprivat
使用料金の削減額の目安等の提供
_hint/pdf/energy_s e/special/index.ht
aving.pdf
ml
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器
具につき、エネルギーの消費量との対比におけ
る当該機械器具の性能、当該機械器具の普及
促進のための助成制度等に関する情報の提供
「素敵快適生活」
「快適電化生活」 http://www.tohok
・ホームページやパンフレット等での各種省エ
公開中止
http://www.hepco. uネ情報の提供(例:電気製品の上手な選び方)
co.jp/alldenka/ind epco.co.jp/dprivat
・エコキュート等の電化省エネ住宅のPR
ex.html
e/special/index.ht
ml
5.前各号に掲げるもののほか、契約又は住居
形態別のエネルギーの使用量の目安等、エネル ・ホームページ等での省エネ・省CO2のシミュ
ギー供給事業者の創意により実施する一般消費 レーションに関する情報提供
者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情 ・環境家計簿等のCO2見える化ツールの提供
報の提供
「地球のための環
境レシピ」
「環境家計簿」
「環境家計簿」(て
http://www.tohok
http://www.hepco.
ぽーれ)
uco.jp/ehttp://www.tepore
epco.co.jp/enviro
style/kakeibo.html
.com/
/kakeibo/index.ht
ml
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「Discover Eco!」
http://www.chude 「電化ライフ」
n.jp/koryu/life/dis http://www.denka
cover_eco/index.h -life.com/
tml
「電化住宅のスス
メ」
http://www.energi
a.co.jp/denka/inde
x.html
「チャレンジ!環境
「エコeライフ」
「環境@エネル
家計簿」
「環境家計簿」
http://www.chude http://www.kepco. ギー」
https://www2.riku
n.co.jp/energy/ka co.jp/kankyou/co http://www.energi
den.co.jp/kankyou
nkyo/chiiki/challe 2kakeibo/index.ht a.co.jp/energy/ind
kakeibo/A01.html
ex.html
nge/index.html?ci ml
d=ct_bn
192
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力)
省エネ法第86条に基づく情報提供の項目 ①北海道電力 ②東北電力 ③東京電力
1.一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の
前年同月値に関する情報提供
→検針票に記載
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネル
ギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
→一部の電力会社においてウェブを通じた情報提
供サービスを実施
④北陸電力 ⑤中部電力 ⑥関西電力 ⑦中国電力 ⑧四国電力 ⑨九州電力 ⑩沖縄電力
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
検針票に
記載
検針票に
記載
検針票に
記載
検針票に
記載
検針票に
記載
検針票に
記載
検針票に
記載
検針票に
記載
検針票に
記載
検針票に
記載
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブ※で
情報提供
郵送で
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
(※テポーレ)
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法の
工夫によるエネルギー使用量の削減量及び使用
料金の削減額の目安等の提供
→簡易省エネアドバイスは検針票に記載している
ほか、具体策をホームページでも公開している
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器
具につき、エネルギーの使用量との対比における
当該機械器具の性能、当該機械器具の普及促進
のための助成制度等に関する情報の提供
→ホームページ等で情報提供を実施している
5.全各号に掲げるもののほか、契約又は住居形
態別のエネルギーの使用量の目安等、エネル
ギー供給事業者の創意により実施する一般消費
者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情
報の提供→ホームページ等で情報提供している
○
○
×
○
○
○
○
○
○
○
検針票、
ウェブで
情報提供
検針票、
ウェブで
情報提供
公開中止
検針票、
ウェブで
情報提供
検針票、
ウェブで
情報提供
検針票、
ウェブで
情報提供
検針票、
ウェブで
情報提供
検針票、
ウェブで
情報提供
検針票、
ウェブで
情報提供
検針票、
ウェブで
情報提供
○
○
×
○
○
○
○
○
○
○
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
公開中止
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
ウェブで
情報提供
ウェブ※で
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
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情報提供
(※テポーレ)
出所)各種公開情報よりNRI作成
193
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力)
1.一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の前年同月値に関する情報提供
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネルギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法の工夫によるエネルギー使用量の削減量及び使用料金の削減額の目安等の提供
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器具につき、エネルギーの使用量との対比における当該機械器具の性能、
当該機械器具の普及促進のための助成制度等に関する情報の提供
5.全各号に掲げるもののほか、契約又は住居形態別のエネルギーの使用量の目安等、エネルギー供給事業者の創意により
実施する一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報の提供
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194
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:北海道電力)
 検針票にて前年同月の使用量を表示している。
北海道電力の検針票
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出所)北海道電力ホームページ
195
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:東北電力)
 検針票にて前年同月の使用量を表示している。
東北電力の検針票
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出所)東北電力ホームページ
196
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:東京電力)
 検針票にて前年同月の使用量を表示している。
東京電力の検針票
1. お客様のお名前
2. ご契約種別とご契約
3. 今月のご使用量
4. 今月の請求予定金額
5. 請求予定金額の内訳
6. 太陽光発電促進付加金
7. 口座振替割引額
8. 燃料費調整単価
9. 口座振替予定日や次回の検針日
10.お問い合せ先/カスタマーセンター
11.お客様番号
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出所)東京電力ホームページ
197
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:北陸電力)
 検針票にて前年同月の使用量を表示している。
北陸電力の検針票
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出所)北陸電力ホームページ
198
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:中部電力)
 前年同月の電気使用量は、前年同月と当月の料金プラン(契約種別)が同じ場合にのみ表示される。
(オール電化)工事などにより料金プラン(契約種別)を変更した場合は、料金プランの変更より1年間、前年同月の電気使
用量は表示されない。
中部電力の検針票
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出所)中部電力ホームページ
199
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:関西電力)
 検針票にて前年同月の使用量を表示している。
関西電力の検針票
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出所)関西電力ホームページ
200
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:中国電力)
 検針票にて前年同月の使用量を表示している。
中国電力の検針票
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出所)中国電力ホームページ
201
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:四国電力)
 検針票にて前年同月の使用量を表示している。
四国電力の検針票
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出所)四国電力ホームページ
202
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:九州電力)
 検針票にて前年同月の使用量を表示している。
九州電力の検針票
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出所)九州電力ホームページ
203
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:沖縄電力)
 検針票にて前年同月の使用量を表示している。
沖縄電力の検針票
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出所)沖縄電力ホームページ
204
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力)
1.一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の前年同月値に関する情報提供
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネルギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法の工夫によるエネルギー使用量の削減量及び使用料金の削減額の目安等の提供
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器具につき、エネルギーの使用量との対比における当該機械器具の性能、
当該機械器具の普及促進のための助成制度等に関する情報の提供
5.全各号に掲げるもののほか、契約又は住居形態別のエネルギーの使用量の目安等、エネルギー供給事業者の創意により
実施する一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報の提供
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
205
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:北海道電力)
 北海道電力は、需要家に対し登録制の「電気ご使用量・料金実績照会サービス」を提供している。
北海道電力「電気ご使用量・料金実績照会サービス」のページ
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
出所)北海道電力ホームページ
206
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:東北電力)
 東北電力は、需要家に対し登録制の「電気ご使用実績照会サービス」を提供している。
東北電力「電気ご使用実績照会サービス」のページ
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
出所)東北電力ホームページ
207
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:東京電力)
 東京電力は、自社が運営するウェブサイト「テポーレ」上で登録制の「電気のご使用量自動反映サービス」を
提供している。
東京電力テポーレ「電気のご使用量自動反映サービス」のページ
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出所)テポーレホームページ
208
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:北陸電力)
 北陸電力は、需要家の過去15カ月分のご使用量を表やグラフにした「電気のご使用状況について」を郵送
で送付するサービスを実施している。グラフには、北陸地域で同じご契約をされている需要家の平均的な
使用量も併せて表示されている。
出所)北陸電力ホームページ
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209
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:中部電力)
 中部電力は、需要家に対し登録制の「電気料金照会サービス」をウェブ上で提供している。
中部電力「電気料金照会サービス」のページ
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出所)中部電力ホームページ
210
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:関西電力)
 関西電力は、需要家に対し登録制の「電気ご使用量お知らせ照会サービス」をウェブ上で提供している。
 需要家は、月々の検針票をウェブで見られるほか、CO2排出量のシミュレーションなども行うことができる。
関西電力「電気ご使用量お知らせ照会サービス」(サンプル)
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出所)関西電力ホームページ
211
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:中国電力)
 中国電力は、需要家に対し登録制の「お客様の電気料金照会サービス」をウェブ上で提供している。
中国電力「お客様の電気料金照会サービス」のページ
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出所)中国電力ホームページ
212
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:四国電力)
 四国電力は、需要家に対し登録制の「電気料金・使用量照会サービス」をウェブ上で提供している。
四国電力「電気料金・使用量照会サービス」のページ
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出所)四国電力ホームページ
213
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:九州電力)
 九州電力は、需要家に対し登録制の「電気料金・使用量等の確認」サービスをウェブ上で提供している。
九州電力「電気料金・使用量等の確認」のページ
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出所)九州電力ホームページ
214
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:沖縄電力)
 沖縄電力は、需要家に対し登録制の「電気ご使用実績照会サービス」をウェブ上で提供している。
沖縄電力「電気ご使用実績照会サービス」のページ
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
出所)沖縄電力ホームページ
215
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力)
1.一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の前年同月値に関する情報提供
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネルギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法の工夫によるエネルギー使用量の削減量及び使用料金の削減額の目安等の提供
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器具につき、エネルギーの使用量との対比における当該機械器具の性能、
当該機械器具の普及促進のための助成制度等に関する情報の提供
5.全各号に掲げるもののほか、契約又は住居形態別のエネルギーの使用量の目安等、エネルギー供給事業者の創意により
実施する一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報の提供
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
216
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:北海道電力)
 北海道電力はホームページ上で家庭での省エネ対策を紹介するパンフレットを公開している。
北海道電力「かしこく省エネ生活」:家庭での省エネ対策を紹介
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出所)北海道電力ホームページ
217
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:東北電力)
 東北電力はウェブ上で省エネ性能の高い機器について紹介、選び方についてアドバイスもしている。
東北電力「素敵快適生活」:省エネ性能の高い機器を紹介
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出所)東北電力ホームページ
218
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:東京電力)
 福島第一原子力発電所事故以降、関連ページは閉鎖されている。
東京電力「くらしとソリューション」:公開中止
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出所)東京電力ホームページ
219
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:北陸電力)
 北陸電力は、ウェブ上で家庭ならびに事業所での節電対策とポイントを紹介している。
北陸電力「節電のポイント」:家庭や事業所での節電対策を紹介
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出所)北陸電力ホームページ
220
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:中部電力)
 中部電力は、ウェブ上で省エネ対策を紹介している。
中部電力「電気の豆知識」:省エネ対策を紹介
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出所)中部電力ホームページ
221
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:関西電力)
 関西電力は、家庭部門の需要家向けに、家庭での省エネ対策を紹介する専用ページを開設している。
関西電力「省エネライフ」:省エネ対策(機器の効率的な使い方)を紹介
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出所)関西電力ホームページ
222
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:中国電力)
 中国電力は、省エネ専用ページを開設、機器の効率的な使い方について紹介している。
中国電力「みんなで省エネ」:省エネ対策(機器の効率的な使い方)を紹介
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出所)中国電力ホームページ
223
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:四国電力)
 四国電力は、家庭部門の需要家向けに機器の効率的な使い方を紹介している。
四国電力「電気の上手な使い方」:節電対策(機器の効率的な使い方)を紹介
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出所)四国電力ホームページ
224
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:九州電力)
 九州電力は、家庭部門の需要家向けに機器の効率的な使い方を紹介している。
九州電力「省エネ快適ライフ」:機器の効率的な使い方とその結果を紹介
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出所)九州電力ホームページ
225
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:沖縄電力)
 沖縄電力は、家庭部門の需要家向けに省エネ・省CO2対策を紹介している。
沖縄電力「家庭でできる地球温暖化対策」
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
出所)沖縄電力ホームページ
226
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力)
1.一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の前年同月値に関する情報提供
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネルギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法の工夫によるエネルギー使用量の削減量及び使用料金の削減額の目安等の提供
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器具につき、エネルギーの使用量との対比における当該機械器具の性能、
当該機械器具の普及促進のための助成制度等に関する情報の提供
5.全各号に掲げるもののほか、契約又は住居形態別のエネルギーの使用量の目安等、エネルギー供給事業者の創意により
実施する一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報の提供
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
227
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:北海道電力)
 北海道電力は、オール電化推進策の一環としてウェブ上で高性能な省エネ機器を紹介、実際に導入した
需要家の声も併せて掲載している。
北海道電力「快適電化生活」
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出所)北海道電力ホームページよりNRI作成
228
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:東北電力)
 東北電力は、ウェブ上で高性能な省エネ機器を紹介している。
東北電力「素敵快適生活」
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出所)東北電力ホームページよりNRI作成
229
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:東京電力)
 福島第一原子力発電所事故以降、関連ページは閉鎖されている。
東京電力「くらしとソリューション」:公開中止
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出所)各種公開情報よりNRI作成
230
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:北陸電力)
 北陸電力は、同社の住宅部門でオール電化を専門に扱う「北陸電力リビングサービス」のホームページ内で、省エネラベリ
ング制度や省エネ家電について紹介している。
北陸電力リビングサービス
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出所)北陸電力リビングサービスホームページよりNRI作成
231
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:中部電力)
 中部電力は、ウェブ上で高性能な省エネ機器や機器の効率的な使い方を紹介している。
中部電力「Discover Eco!」
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出所)中部電力ホームページよりNRI作成
232
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電気:関西電力)
 関西電力は、オール電化推進策の一環として機器の効率的な使い方をウェブ上で紹介している。
関西電力「電化ライフ」
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出所)関西電力ホームページよりNRI作成
233
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電気:中部電力)
 中部電力は、オール電化推進策の一環として高性能な省エネ機器や機器の効率的な使い方をウェブ上で紹介している。
中部電力「電化住宅のススメ」
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出所)中国電力ホームページよりNRI作成
234
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電気:四国電力)
 四国電力は、オール電化推進策の一環として高性能な省エネ機器や機器の効率的な使い方をウェブ上で紹介している。
四国電力「よんでん電化ナビ」
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出所)四国電力ホームページよりNRI作成
235
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:九州電力)
 九州電力は、オール電化推進策の一環として高性能な機器や効果的な使い方をウェブ上で紹介している。
九州電力「省エネ快適ライフ」
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出所)九州電力ホームページよりNRI作成
236
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:沖縄電力)
 沖縄電力は、高性能な機器や効果的な使い方をウェブ上で紹介している。
沖縄電力「家庭でできる地球温暖化対策」
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出所)沖縄電力ホームページよりNRI作成
237
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力)
1.一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の前年同月値に関する情報提供
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネルギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法の工夫によるエネルギー使用量の削減量及び使用料金の削減額の目安等の提供
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器具につき、エネルギーの使用量との対比における当該機械器具の性能、
当該機械器具の普及促進のための助成制度等に関する情報の提供
5.全各号に掲げるもののほか、契約又は住居形態別のエネルギーの使用量の目安等、エネルギー供給事業者の創意により
実施する一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報の提供
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238
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:北海道電力)
 北海道電力は、家庭部門の需要家向けに、環境家計簿サービスをウェブ上で提供している。
 需要家は、同サービスを通じ、家庭から排出されるCO2量(2年分)を計算し、グラフ化することができる。
北海道電力「環境家計簿」
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出所)北海道電力ホームページよりNRI作成
239
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:東北電力)
 東北電力は、家庭部門の需要家向けに、環境家計簿サービス等をウェブ上で提供している。
 需要家はCO2排出量を計算したり、機器の仕様パターンに係るアドバイスを受けることができる。
東北電力「環境レシピ」
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出所)東北電力ホームページよりNRI作成
240
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:東京電力)
 東京電力は、自社の運営するウェブサイト「テポーレ」上でCO2家計簿サービスを提供している。
 需要家は、同サービスを通じ、家庭から排出されるCO2量(2年分)を計算し、グラフ化することができる。
東京電力「テポーレ」
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出所)テポーレホームページよりNRI作成
241
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:北陸電力)
 北陸電力は、家庭部門の需要家向けに、環境家計簿サービスをウェブ上で提供している。
 需要家は、同サービスを通じ、家庭から排出されるCO2量を計算し、グラフ化することができる。
北陸電力「環境家計簿」
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
出所)北陸電力ホームページよりNRI作成
242
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:中部電力)
 中部電力は、家庭部門の需要家向けに、環境家計簿サービスをウェブ上で提供している。
 需要家は、同サービスを通じ、家庭から排出されるCO2量を計算し、グラフ化することができる。
中部電力「チャレンジ!環境家計簿」
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出所)中部電力ホームページよりNRI作成
243
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:関西電力)
 関西電力は家庭部門の需要家向けに、省エネ・省CO2シミュレーションサービスをウェブ上で提供している。
 需要家は、同サービスを通じ、家庭から排出されるCO2量を計算し、グラフ化することができる。
関西電力「環境家計簿」
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
出所)関西電力ホームページよりNRI作成
244
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:中国電力)
 中国電力は、家庭部門の需要家向けに、環境家計簿サービスをウェブ上で提供している。
 需要家は、同サービスを通じ、家庭から排出されるCO2量を計算し、グラフ化することができる。
中国電力「環境家計簿」
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
出所)中国電力ホームページよりNRI作成
245
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:四国電力)
 四国電力は、家庭部門の需要家向けに、環境家計簿サービスをウェブ上で提供している。
 需要家は、同サービスを通じ、家庭から排出されるCO2量を計算し、グラフ化することができる。
四国電力「環境家計簿」
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
出所)四国電力ホームページよりNRI作成
246
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:九州電力)
 九州電力は家庭部門の需要家向けに、CO2排出量シミュレーションサービスをウェブ上で提供している。
 需要家は、同サービスを通じ、家庭から排出されるCO2量を計算し、グラフ化することができる。
九州電力「エコマスター」
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出所)九州電力ホームページよりNRI作成
247
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力:沖縄電力)
 沖縄電力は、家庭部門の需要家向けに、環境家計簿サービスをウェブ上で提供している。
 需要家は、同サービスを通じ、家庭から排出されるCO2量を計算し、グラフ化することができる。
沖縄電力「環境家計簿」
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
出所)沖縄電力ホームページよりNRI作成
248
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス)
 日本の都市ガス事業者は2010年7月時点で全国211事業者(私営181者、公営30者)がある。
 ガス販売量で見ると、大手3 者(東京、大阪、東邦)で全体の約72%を占めており、大手4者を含めた上位6者では約8割を
占め、残りの2割強を205者で分け合っている状況である。
 本調査では取付メーター数が100万個を超えている4事業者(東京、大阪、東邦、西部)ならびに日本ガス協会を対象とする。
主要都市ガス会社概要
事業者名
ガス販売量
(1,000MJ)
取付メーター
数(個)
販売量シェア
(%)
1
東京
498,464,551
10,340,078
36.1
2
大阪
344,882,317
6,979,678
25.0
3
東邦
153,728,489
2,270,295
11.1
4
西部
33,509,085
1,119,616
2.4
5
京葉
29,626,881
852,304
2.1
6
静岡
35,362,711
316,816
2.6
7
北海道
19,512,083
561,945
1.4
8
広島
20,776,159
422,866
1.5
9
北陸
14,330,275
358,949
1.0
大多喜
25,584,141
161,014
1.9
10
取付メーター数:平成22年3月末
ガス販売量:平成21年4月~22年3月(他ガス事業者への供給分を除く)
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出所)ガス事業便覧(平成22年版)
249
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス)
省エネ法第86条に基づく情報提供の項目
1.一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の
前年同月値に関する情報提供
→検針票に記載
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネル
ギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
→一部の電力会社においてウェブを通じた情報提
供サービスを実施
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法の
工夫によるエネルギー使用量の削減量及び使用
料金の削減額の目安等の提供
→簡易省エネアドバイスは検針票に記載している
ほか、具体策をホームページでも公開している
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器
具につき、エネルギーの使用量との対比における
当該機械器具の性能、当該機械器具の普及促進
のための助成制度等に関する情報の提供
→ホームページ等で情報提供を実施している
5.全各号に掲げるもののほか、契約又は住居形
態別のエネルギーの使用量の目安等、エネル
ギー供給事業者の創意により実施する一般消費
者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情
報の提供→ホームページ等で情報提供している
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①東京ガス
②大阪ガス
③東邦ガス
④西部ガス
○
○
○
○
検針票に記載
検針票に記載
検針票に記載
検針票に記載
日本ガス協会
-
○
○
○
○
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで案内、
電話で情報提供
ウェブで
情報提供
○
○
○
○
○
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
-
○
○
○
○
○
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
ウェブで
情報提供
○
(△)
(△)
(△)
○
独自ツールあり
(ウェブ)
日本ガス協会と
リンク
日本ガス協会と
リンク
日本ガス協会と
リンク
ウェブで
情報提供
出所)各種公開情報よりNRI作成
250
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス)
各電力会社における主な取組み
省エネ法第86条に基づく情報提供の項目
(平成18年7月25日経済産業省告示第235号) (具体例)
東京ガス
http://home.toky
1.一般消費者の毎月のエネルギー使用量の前 ・検針表での毎月の電気使用量の前年同月値 o年同月値に関する情報提供
に関する情報提供
gas.co.jp/ryokin/k
enshinhyo.html
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネル
ギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
・ホームページ等での過去一年間程度の月別
の電気使用量の情報提供
「今月のガス料金
お知らせサービス」
http://home.toky
ogas.co.jp/mytokyo
gas/ryokin.html#
大阪ガス
東邦ガス
「マイ大阪ガス」
http://www.osakag
as.co.jp/mypage/gas/index.ht
ml
「ウルトラ省エネ
「環境への取組
Book」
み」
・ホームページやパンフレット等での各種省エ
http://www.tokyo http://www.osakag
ネ情報の提供(例:電気製品の上手な選び方)
as.co.jp/company/
・エコキュート等の電化省エネ住宅のPR
gas.co.jp/ultraene efforts/eco/index
/index.html
.html
5.前各号に掲げるもののほか、契約又は住居
形態別のエネルギーの使用量の目安等、エネル ・ホームページ等での省エネ・省CO2のシミュ
ギー供給事業者の創意により実施する一般消費 レーションに関する情報提供
者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情 ・環境家計簿等のCO2見える化ツールの提供
報の提供
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「マイ東京ガス」
http://home.toky
ogas.co.jp/mytokyo
gas/index.html
西部ガス
京葉ガス
http://home.osak
https://service.to 記載あり
http://www.sghttp://www.keiyog
agas.co.jp/price/p
hogas.co.jp/Index5 (ウェブ等にサンプ energy.co.jp/comp as.co.jp/cont/info
ayment/index.htm
.htm
ルなし)
any/business.html /kensinhyo.html
l
「ガスのご使用量・
料金照会のご案
内」
https://www2.toh
ogas.co.jp/Siyoryo
/b05_root/OD_B0
001.jsp
「ウルトラ省エネ
「ガスだからできる
Book」
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法
こと」
・ホームページやパンフレット等での各種省エ http://www.tokyo
(日本ガス協会の
の工夫によるエネルギーの使用量の削減量及び
http://www.osakag
ネ情報の提供(例:電気製品の上手な使い方) ページとリンク)
使用料金の削減額の目安等の提供
as.co.jp/dekirukot
gas.co.jp/ultraene
o/index.html
/index.html
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器
具につき、エネルギーの消費量との対比におけ
る当該機械器具の性能、当該機械器具の普及
促進のための助成制度等に関する情報の提供
静岡ガス
日本ガス協会
-
問合せがあった場
合に対応(口頭、
書面等)
※ウェブページ等
に案内なし
「ガスご使用量照
会サービス」
https://www.saibu
gas.co.jp/scripts/f
ee/index.cgi
問合せがあった場
合に対応(口頭、
書面等)
※ウェブページ等
に案内なし
-
「お客様先での
CO2排出抑制」
http://www.shizuo
kagas.co.jp/compa
ny/envi/co2/repo
rt001.html
「エネルギーを考え
よう」
http://www.saibug
as.co.jp/home/set
suden/index.htm
「ちょっと得する!
省エネ術」
http://www.keiyog
as.co.jp/cont/mad
oguchi/qa/syoene
/index.html
「家庭でできるCO2
削減対策と効果」
http://www.gas.or.
jp/default.html
「ガススタイル
「MOTTO ガス」
「ガス機器のご紹
「ガス機器情報」
「環境にやさしい都
2011」
http://www.shizuo
介」
http://www.tohog
市ガス技術」
http://www.saibug
kagas.co.jp/home/
http://www.keiyog
as.co.jp/living/ind
http://www.gas.or.
as.co.jp/gasstyle/i
mottogas/index.ht
as.co.jp/cont/fami
ex2.html#topCont
jp/default.html
ndex.htm
ml
ly/gas/index.html
(イベントページ)
「環境性シミュレー
ション」
http://www.shizuo
kagas.co.jp/home/
use/citygas/earth
.html
「環境家計簿」
(日本ガス協会とリ
http://www.gasンク)
kakeibo.jp/
251
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス)
1.一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の前年同月値に関する情報提供
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネルギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法の工夫によるエネルギー使用量の削減量及び使用料金の削減額の目安等の提供
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器具につき、エネルギーの使用量との対比における当該機械器具の性能、
当該機械器具の普及促進のための助成制度等に関する情報の提供
5.全各号に掲げるもののほか、契約又は住居形態別のエネルギーの使用量の目安等、エネルギー供給事業者の創意により
実施する一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報の提供
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
252
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:東京ガス)
 検針票にて前年同月の使用量を表示している。
東京ガスの検針票
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
出所)東京ガスホームページ
253
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:大阪ガス)
 検針票にて前年同月の使用量を表示している。
大阪ガスの検針票
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
出所)大阪ガスホームページ
254
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:東邦ガス)
 検針票にて前年同月の使用量を表示している。
東邦ガスの検針票
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出所)東邦ガスホームページ
255
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:西部ガス)
 検針票にて前年同月の使用量を表示している。
西部ガスの検針票
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出所)西部ガスホームページ
256
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス)
1.一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の前年同月値に関する情報提供
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネルギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法の工夫によるエネルギー使用量の削減量及び使用料金の削減額の目安等の提供
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器具につき、エネルギーの使用量との対比における当該機械器具の性能、
当該機械器具の普及促進のための助成制度等に関する情報の提供
5.全各号に掲げるもののほか、契約又は住居形態別のエネルギーの使用量の目安等、エネルギー供給事業者の創意により
実施する一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報の提供
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
257
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:東京ガス)
 東京ガスは、需要家に対し登録制の「ガス使用量・料金実績照会サービス」を提供している。
東京ガス「マイ東京ガス」
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出所)東京ガスホームページ
258
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:大阪ガス)
 大阪ガスは、需要家に対し登録制の「ガス使用量・料金実績照会サービス」を提供している。
大阪ガス「マイ大阪ガス」
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出所)大阪ガスホームページ
259
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:東邦ガス)
 東邦ガスは、需要家からの問合せに応じて「ガス使用量・料金実績照会サービス」を提供している。
東邦ガス「ガスのご使用量・料金照会のご案内」
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出所)東邦ガスホームページ
260
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:西部ガス)
 西部ガスは、需要家に対し登録制の「ガス使用量・料金実績照会サービス」を提供している。
西部ガス「ガス使用量照会サービス」
Copyright(C) 2012 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
出所)西部ガスホームページ
261
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス)
1.一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の前年同月値に関する情報提供
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネルギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法の工夫によるエネルギー使用量の削減量及び使用料金の削減額の目安等の提供
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器具につき、エネルギーの使用量との対比における当該機械器具の性能、
当該機械器具の普及促進のための助成制度等に関する情報の提供
5.全各号に掲げるもののほか、契約又は住居形態別のエネルギーの使用量の目安等、エネルギー供給事業者の創意により
実施する一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報の提供
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262
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:東京ガス)
 東京ガスはホームページ上で家庭での省エネ対策を紹介している。
東京ガス「ウルトラ省エネBook」
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出所)東京ガスホームページ
263
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:大阪ガス)
 大阪ガスはホームページ上で家庭での省エネ対策を紹介している。
大阪ガス「ガスだからできること」
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出所)大阪ガスホームページ
264
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:東邦ガス)
 東邦ガスはホームページ上で家庭での省エネ対策を紹介している。
東邦ガス「エネルギーを上手に使って快適ライフ」
出所)東邦ガスホームページ
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265
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:西部ガス)
 西部ガスはホームページ上で家庭での省エネ対策を紹介している。
西部ガス「エネルギーを考えよう」
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出所)西部ガスホームページ
266
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:日本ガス協会)
 日本ガス協会はホームページ上で家庭での省エネ対策を紹介している。
日本ガス協会「家庭でできるCO2削減対策と効果」
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出所)日本ガス協会ホームページ
267
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス)
1.一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の前年同月値に関する情報提供
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネルギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法の工夫によるエネルギー使用量の削減量及び使用料金の削減額の目安等の提供
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器具につき、エネルギーの使用量との対比における当該機械器具の性能、
当該機械器具の普及促進のための助成制度等に関する情報の提供
5.全各号に掲げるもののほか、契約又は住居形態別のエネルギーの使用量の目安等、エネルギー供給事業者の創意により
実施する一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報の提供
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268
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:東京ガス)
 東京ガスはホームページ上で高効率ガス機器を紹介している。電力会社によるオール電化に対応した動きと見られ、環境
性能よりも費用対効果を重視した案内内容となっている。
東京ガス「ウルトラ省エネBook」
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出所)東京ガスホームページよりNRI作成
269
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:大阪ガス)
 大阪ガスはホームページ上で高効率ガス機器を紹介している。電力会社によるオール電化に対応した動きと見られ、環境
性能よりも費用対効果を重視した案内内容となっている。
大阪ガス「省エネ活動アイディア」
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出所)大阪ガスホームページよりNRI作成
270
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:東邦ガス)
 東邦ガスはホームページ上で高効率ガス機器を紹介している。電力会社によるオール電化に対応した動きと見られ、環境
性能よりも費用対効果を重視した案内内容となっている。
東邦ガス「ガス機器情報」
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出所)東邦ガスホームページ
271
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:西部ガス)
 西部ガスはホームページ上で高効率ガス機器を紹介している。電力会社によるオール電化に対応した動きと見られ、環境
性能よりも費用対効果を重視した案内内容となっている。
西部ガス「ガス・スタイル2011」
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出所)西部ガスホームページ
272
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:日本ガス協会)
 日本ガス協会はホームページ上で高効率ガス機器を紹介している。電力会社によるオール電化に対応した動きと見られ、
環境性能よりも費用対効果を重視した案内内容となっている。
 支援制度、国の法規制まで含めた包括的な情報提供が行われている。
日本ガス協会「環境に優しい都市ガス技術」
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出所)日本ガス協会ホームページ
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2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス)
1.一般消費者の毎月のエネルギーの使用量の前年同月値に関する情報提供
2.一般消費者の過去一年間の月別のエネルギー使用量及び使用料金に関する情報の提供
3.エネルギーを消費する機械器具の使用方法の工夫によるエネルギー使用量の削減量及び使用料金の削減額の目安等の提供
4.エネルギーの使用の合理化に資する機械器具につき、エネルギーの使用量との対比における当該機械器具の性能、
当該機械器具の普及促進のための助成制度等に関する情報の提供
5.全各号に掲げるもののほか、契約又は住居形態別のエネルギーの使用量の目安等、エネルギー供給事業者の創意により
実施する一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報の提供
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2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:東京ガス)
 東京ガスはホームページ上で独自の省エネサポートツールを公開、提供している。
東京ガス「省エネサポート」
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出所)東京ガスホームページよりNRI作成
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2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス:日本ガス協会)
 需要家がCO2排出量等を試算できる「環境家計簿」ツールを提供している。
日本ガス協会「環境家計簿」
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出所)日本ガス協会ホームページ
276
目次
2. 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析 【p.121 - p.308】
2.1 昨夏の電力需要抑制対策における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析 【p.122 - p.147】
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析 【p.124 - p.143】
2.1.2 業種ごと節電効果ならびに負荷平準効果に関する分析 【p.144 - p.147】
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析 【p.148 - p.166】
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析 【p.150 - p.166】
2.3 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析 【p.167 - p.180】
2.3.1 豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化の動向 【p.169 - p.172】
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向 【p.173 - p.178】
2.3.3 韓国におけるデマンド・レスポンス導入の動向 【p.179】
2.3.4 各国における需要抑制の市場取引メカニズム 【p.180】
2.4 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用抑制や再エネ導入、蓄エネ導入に向けた調査 【p.181 - p.185】
2.4.1 自家発電設備の導入・稼働向上による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.183】
2.4.2 蓄電池設備の導入による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.184】
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析 【p.186 - p.276】
2.5.1 基本的な考え方 【p.188】
2.5.2 需要家単位で見た増エネと国全体で見た省エネの関係 【p.189】
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割 【p.190 - p.276】
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力) 【p.192 - p.248】
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス) 【p.249 - p.276】
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析 【p.277 - p.304】
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(定性分析) 【p.279 - p.283】
2.6.2 工場・事業場で実施されるピーク対策の効果分析 【p.284 - p.287】
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し 【p.288 - p.292】
2.7 その他電力供給リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する政策を検討する上で必要となる調査・分析 【p.293 - p.295】
2.7.1 電気消費機器の現状分析 【p.296 - p.297】
3. 総括 【p.298 - p.299】
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277
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
【概要】
 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・定性分析(業界団体や大規模事業者へ
のヒアリングを含む)を行った。
 来夏(2012年度夏)以降に工場・事業場で実施されるピーク対策の効果を分析するために、「(A)自家発電設備の導入」、
「 (B)自家発電設備の稼働率向上 」、「 (C)蓄電池設備の導入」、「 (D) BEMSの導入」、「 (E) 節電行動の継続実施 」そ
れぞれについてのピーク削減量を推計した。
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278
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(アンケート調査分析)
 「平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査」の結果を基に、工場・事業場におけるピーク対策の実施状況につい
て分析を実施した。ただし、事業者においては一般的な省エネ対策とピーク対策が明確に区分されていないこともあること
に留意されたい。
【平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査について】
 平成22年度省エネルギー対策の実施状況等の調査では、全サンプルに対し以下の6項目について尋ね、集計を実施した。
1. 省エネに関する情報収集方法
2. テナントビルにおけるエネルギー使用状況の把握
3. 省エネ対策における「判断基準」の参照
4. 省エネ投資と支援措置
5. 冷暖房・空調機器、建物の新築増改築、自動車に関わる省エネ対策
6. 省エネ活動推進に向けての必要事項
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出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
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2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(アンケート調査分析)
 省エネルギー対策に関する各項目の実施状況をまとめると、以下の通りであった。
尚、詳細内容については「1.2 省エネ法における工場・事業場に係る省エネ対策の実施状況等に関する調査・分析」を参照されたい。
 省エネに関する情報収集先は、「国などが開催した改正省エネ法に関する説明会・講習会」(67%)、「国または地方自治体のホームページ」(53%)、
「業界・関連団体・商工会議所等の会報誌・HP等資料」(38%)、「新聞・雑誌」(37%)、「テレビ・ラジオ」(18%)の順で、専門的な知識や手続きを必要
とする「省エネ情報」に関しては、一方通行のメディアより、詳細な説明や質疑応答が可能な「説明会・講習会」が選択されていると推察される。
 テナントビルを所有している事業者で「テナントのエネルギー使用状況を把握している」事業者は86%、「テナントへエネルギー使用状況の情報を提供
している」事業者は71%。また、テナントとして入居している事業者で「オーナーへエネルギー使用状況の情報を提供している」事業者は45%であっ
た。
 省エネ対策における「判断基準」を参照している事業者は70%、「『合理化の基準』のみ参照」が8%、「『合理化の目標』のみ参照」が4%、「参照してい
ない」が18%であった。
 「省エネ投資に対する投資回収基準がある」事業者は21%、これらの事業者が目標とする回収基準は「3 年以下」が52%、「5 年以下」が33%で、5 年
以内を目標としている事業者が84%を占める。
 「省エネ投資に対する支援措置」の認知率は53%。これらの事業者が認知している支援措置の内容は、「省エネ診断」71%、「各種補助金制度」
64%、「金融上の助成措置」33%、「エネルギー需給構造改革推進投資促進税制」18%であった。
 政府が冷暖房の推奨設定温度を定めていることの認知率は85%。また、冷暖房設定温度を、「一定の温度に定めている」事業者は48%、「気温に
よって変動させている」24%、「事業所、工場や部署ごとで規準がある」16%、「設定温度の規準はない」11%であった。冷暖房設定温度を「一定の温
度に定めている」事業者の約75%は、冷房推奨設定温度を遵守しており、冷房設定温度の平均は27.5℃であった。また、暖房設定温度を推奨設定温
度以内に設定している事業者は約60%で、平均は20.5℃であった。
 空調機器の省エネルギー対策で実施度(「継続して実施している」+「今年初めて実施した」)が高いものは、「空調設備のフィルター清掃」88%、以
下、「空調機器の運転時間の見直し」54%。実施度が低い項目は、「空調機器の修繕・改善等による省エネ対策」32%、「空調機器の高効率機器への
買い替え」30%、「事務所・建物等の断熱性の改善」17%で、これらは一時的な設備投資を伴い、且つ既に改修対策を実施した事業者は「検討してい
ない」との回答に含まれるため実施度が低い傾向にある。
 照明の省エネルギー対策で実施度(「継続して実施している」+「今年初めて実施した」)が高いものは、「不必要時のこまめな消灯」95%で、ほとんど
の事業者で励行されている。次いで「昼休み等の一旦消灯」64%、「明るい場所(建物内)の間引き」61%、「部屋の使い方に応じ点灯区分を変更」
60%となっている。
 新増改築・改装工事を行った事業者における具体的な省エネ対策としては「効率の高い照明設備を導入した」(47%)、「効率の高い空調設備を導入し
た」(42%)の2項目が多く、次いで「建物の断熱対策をした」が20%、「エネルギー中央監視システムを導入した」が9%であった。
出所)「平成22年度省エネルギー対策実態調査」報告書 資源エネルギー庁
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2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(事業者ヒアリング調査)
【概要】
 総合資源エネルギー調査会省エネルギー部会に参加している業種に属する事業者を中心に、今後の省エネ政策の検討に
関するヒアリング調査を行った。
 ヒアリング対象業種:
▪ 製造部門(7業種):鉄鋼業、化学工業、石油製品・石炭製品製造業、パルプ・紙・紙加工品製造業、
輸送用機械器具製造業、電子部品・デバイス・電子回路製造業、窯業・土石製品製造業等
▪ 業務部門(3業種):卸売・小売業、不動産業、宿泊業等
 ヒアリング時期:
▪ 2011年11月
 ヒアリング項目:
•
エネルギーの使用状況と省エネ、ピーク対策の取組内容
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2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(事業者ヒアリング調査:製造部門)
 製造部門事業者に対し、エネルギーの使用状況と省エネ、ピーク対策の取組内容についてヒアリングを実施した。
以下にヒアリング内容の一部を掲載する。
 電炉を使用する事業者や、製紙業、窯業等では、経済合理性の観点から、系統電力料金の高い平日昼間は自家発電を利用している。
そのため、購入電力の需要カーブは「バンザイカーブ」となる。
 自家発電の稼働率を向上させるのは、経済合理性の観点から難しい。
 一部製造事業者においては、高温を保ったまま生産する必要のある生産工程があるため、一度設備を停止してしまうと再稼働に莫大なコ
ストが掛かったり、原料の形状が変化してしまうこと等から、夜間操業への切替え等ピークシフトは不可能である。
 エネルギーコストが企業の収益に直接的な影響を与える製造部門では、石油危機以降、積極的な省エネ対策が進められてきたことから、
これ以上の余地はあまり大きくない。
 生産効率改善等の観点から、3年~5年程度ごとに生産設備の更新を行い、その都度結果的に省エネが進むことになる。他方で、設備更
新時以外の期間における省エネやピーク対策としては、空調の使用制限等、効果が小さい対策しか実施できない。
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2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(事業者ヒアリング調査:業務部門)
 業務部門事業者に対し、エネルギーの使用状況と省エネ、ピーク対策の取組内容についてヒアリングを実施した。
以下にヒアリング内容の一部を掲載する。
 複数店舗を抱える業種では、電力のピークが店舗ごとに異なる(地域性や営業状況による)ため、一括的な管理は困難である。
また、複数店舗を抱える事業者の多くは、店舗ごとの時間帯別使用量を把握していないケースがほとんどだが、スマートメーターの導入
等設備投資は、経済合理性の観点から現実的ではない。
 概ね昼間の稼働時間が長い業務部門事業者においては、省エネ対策はすなわちピーク対策と同等である。
 業務部門で行われる省エネ・ピーク対策は、主に空調や照明の制御であり、蓄電池や自家発が利用されることはほとんどない。
 昼間に特にピークが大きくなるリゾート施設を持つ事業者は、同施設の稼働率を低く抑えることで省エネ・ピーク対策を実施した。
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2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.2 工場・事業場で実施されるピーク対策の効果分析
【概要】
 来夏(2012年度夏)以降に工場・事業場で実施されるピーク対策の効果を分析するために、BEMSの導入、 節電行動の継
続実施 のそれぞれについてピーク削減量を推計した。
 その結果、今後数年間の間に800万kW以上のピーク削減効果(節電行動の継続実施で760万kW、BEMSの導入で90万
kW程度)が見込めると考えられる。(注)
工場・事業場で実施されるピーク対策効果の推計 (万kW)
万kW
需要側対策による負荷抑制効果(万kW)
1,000
800
600
400
節電行動の継続実施
755
BEMSの導入
200
0
87
注)本分析は、2011年末時点で公開され
ている情報を基に、工場・事業場で実
施されるピーク対策効果の規模感を把
握することを目的にしており、より正確
にピーク対策効果を特定するために
は、需要家動向に対する調査を行い、
今後の需要家の行動を明らかにするこ
とが必要であることは論を待たない。
※「ピーク対策効果」とは、2010年夏のピーク電力需要を基準とした削減効果を指す
出所) 「エネルギー需給安定行動計画」エネルギー・環境会議等よりNRI作成
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284
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.2 工場・事業場で実施されるピーク対策の効果分析
 自家発電設備の導入、蓄電池設備の導入」、BEMSの導入に関するピーク対策効果の分析
 エネルギー・環境会議の「エネルギー需給安定行動計画」(平成23年11月1日)において示された電力需給対策の効
果を引用し、来夏(2012年度夏)以降の各機器の導入により削減可能なピーク需要量とした。
▪ なお、 「エネルギー需給安定行動計画」における“HEMS/BEMSの導入”、“蓄電池の導入”は、産業部門、業務部
門のみでなく、家庭部門における対策として電力需給容量が示されている。
▪ したがって、工場・事業場で実施されるピーク対策効果としての 蓄電池設備の導入量、BEMSの導入量だけでは
ない点に留意する必要がある。
電力需給対策とその効果
H23年度
予算額
H24年夏
H25年夏
H26年夏
HEMS/BEMSの導入
(ITを利用した空調等の制御)
300 億円
26 万kW
87 万kW
87 万kW
蓄電池の導入
(リチウムイオン蓄電池)
210 億円
3 万kW
6 万kW
6 万kW
自家発・CGSの導入
438 億円
42 万kW
46 万kW
46 万kW
出所) 「エネルギー需給安定行動計画」エネルギー・環境会議(平成23年11月1日)
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285
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.2 工場・事業場で実施されるピーク対策の効果分析
 自家発電設備の稼働率向上 に関するピーク対策効果の分析
 エネルギー・環境会議の「エネルギー需給安定行動計画」(平成23年11月1日)で示された「電力各社の追加対策後
の供給力(来夏)」における「自家発の活用」による供給力を、自家発電設備の稼働率向上により削減可能なピーク需
要量とみなした。追加対策後の供給力とは、原則として平成23年3月11日に発生した東日本大震災以降の積み増し
後の供給力を指す。
 これより、 自家発電設備の稼働率向上 によって285万kWのピーク対策効果が見込まれるとした。
各社の追加対策後の供給力 (来夏)
合計 北海道 東北
自家発の活用
285
対応中
14
東京 中部 関西 北陸 中国 四国 九州 沖縄
146
n/a
100
n/a
n/a
13
12
n/a
単位:万kW
出所) 「エネルギー需給安定行動計画」エネルギー・環境会議(平成23年11月1日)
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286
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.2 工場・事業場で実施されるピーク対策の効果分析
【ポテンシャル推計】
 産業部門の無理のない削減率1.54%と業務部門の無理のない削減率9.04%(いずれも2010年の夏期ピーク比)で東京電
力管内の削減ポテンシャルは、約252万kWと算出される。
昨夏の部門別ピーク時需要
東京電力管内部門別負荷平準効果試算結果
東電管内夏期ピーク
万kW
部門
1,700
2,500
産業部門
業務部門
部門
業種
産業部門
製造業(工場)
オフィスビル
卸・小売
食品スーパー
医療機関
ホテル・旅館
飲食店
学校
業務部門
節電効果
最大ケース
部門内需要構成(割合)
最小ケース
5.10%
22.30%
16.00%
17.10%
9.60%
13.50%
14.20%
16.20%
1.54%
9.04%
9.04%
9.04%
9.04%
9.04%
9.04%
9.04%
-
40.30%
19.40%
1.70%
11.50%
10.90%
8.70%
7.60%
合計
負荷平準効果(万kW)
最大ケース 最小ケース
86.7
224.7
77.6
7.3
27.6
36.8
30.9
30.8
522.3
26.1
91.1
43.8
3.8
26.0
24.6
19.7
17.2
252.4
出所)資源エネルギー庁(平成23年5月)
出所)部門内需要構成(割合)は、エネルギー・経済統計要覧(EDMC)よりNRI作成
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287
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し
【概要】
 工場・事業所のピーク対策に資する設備機器として、自家発電(コジェネレーション)、蓄電池(定置用蓄電池設備)、
BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通しについての調査・整理を行った。
【調査方法】
 各種公開情報、文献を基にした整理
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288
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し
【自家発電(コージェネレーションシステム)】
 家庭用を除く業務・産業用のコージェネレーションシステムの導入数は、累積で8,500サイト程度である。
 民生用では、病院・介護施設、産業用では、化学・石化、機械産業等における導入件数が多い。
 燃料価格の高騰などを受け、2004年以降導入数は低下傾向にある。
 今後の普及拡大には、導入補助や運転補助等の支援が必要になると考えられる。
業務・産業用CGS※の導入サイトの内訳
業務・産業用CGS※の導入サイト数と容量の推移
民生用 建物用途別 サイト数割合 (2011年3月末)
産業用 業種別 サイト数割合 (2011年3月末)
※)家庭用を除く大型のコジェネレーションシステム(CHP
)
出所)一般財団法人 コージェネレーション・エネルギー高度利用センター
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289
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し
【BEMS】
 BEMSは、今後、リニューアル需要を中心に緩やかに拡大していく見込みである。
 BEMS市場は、新築ビルの増加が限られることから、リニューアル需要を中心とした市場となっている。
BEMSのメーカーシェア(件数)ベース
BEMSの販売台数の予測値
(件)
2,000
1,950
22%
1,900
8%
55%
15%
山武
1,850
三菱電機
1,800
日立製作所
1,750
その他
1,700
1,650
1,600
1,550
2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
2020年
出所) 「2011 電力・エネルギーシステム新市場」、富士経済
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290
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し
【HEMS】
 HEMSは、製品機能・市場のいずれも発展段階にあり、今後の拡大が見込まれる。
 現在、「見える化」がHEMSのメイン機能であるが、エネルギー消費量制御機能等の開発・導入が進められてきてい
る。
▪ HEMSメーカを中心に、創エネ・蓄エネ機器、および空調・照明等の負荷機器を連動させたシステムの実証が行
われている。
 2009年までは、パナソニック電工と東芝ホームアプライアンスのみの参入であったが、2010年以降、新規参入の増加
により、市場が活性化している。
 また、新築戸建てに加え、大規模マンションにおける採用が始まったことにより販売件数が拡大している。
HEMSのメーカーシェア(件数)ベース
HEMSの販売台数の予測値
3%
(件) 120,000
9%
パナソニック電工
29%
100,000
東芝ホームアプライアン
ス
80,000
因幡電機産業
60,000
その他
40,000
59%
20,000
0
2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
2020年
出所) 「2011 電力・エネルギーシステム新市場」、富士経済
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291
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し
【蓄電池(定置用蓄電池設備) 】
 現在、工場・事業所においてピーク対策に資する定置用蓄電池設備として利用される蓄電池は、NAS電池が主流である。
 リチウムイオン電池の定置用利用も着目されているが、現状の導入は少数に限られており、今後の導入見通しは未だ明ら
かではない。
蓄電池の種類と用途
種類
用途
NAS電池
産業(82.6%)、その他(17.4%)
産業用途では、昼間の系統電力のピークカット、ランニングコストの低減を目的として、また瞬低対策、バックアップ電源として導入される
イニシャルコストを相殺できる程のランニングコスト低減が期待できる一定規模以上の施設が導入対象
その他、発電施設を中心に導入されている
鉛電池
自動車(82.1%)、産業用機械(9.3%)、二輪車(5.5%)、その他(3.1%)
産業用機械は無停電電源装置(UPS)、無人搬送車(AGV)、ゴルフカート、バッテリーフォークリフト、再生可能エネルギーの電力貯蔵等に用いられる
ニッケル水素電池
自動車(29.3%)、コードレス電話(8.1%)、家電・DIY機器(2.7%)、その他(59.9%)
大型用途はHEVアシスト動力用途が大半。搭載機器の市場拡大により現在は拡大傾向だが、LIBへの置き換えが進んでいる
リチウムイオン電
池
携帯電話(39.6%)、ノートPC(37.3%)、家電・DIY機器(14.7%)、その他(8.4%)
これまで小型用途が90%以上を占めていたが、EV、HEV・PHEV等への搭載による市場拡大が予想される(2020年には2兆6,500億円程度になり金
額ベースで小型用途を上回る予測)
電気二重層キャパ
シタ
携帯電話(53.4%)、自動車(20.8%)、建設機械(15.8%)、その他(10.9%)
現状では小容量型が市場の大半を占めるが、今後は環境規制の強化に伴い、車載のアイドリングストップ機構用途のシェア増大が見込まれる
ハイブリッドキャパ
シタ
産業用機械(100.0%)
2010年はUPSへの採用と、NEDO実証実験への電力貯蔵用途で市場形成。
展開先としては建設機械向けエネルギー回生用途、HEV等のアシスト動力用途が有望
※パーセンテージは、2010年国内における用途別シェアを表す
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出所)産業タイムズ社「2次電池・電気二重層キャパシタ産業総覧2011」
292
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し
【蓄電池(定置用蓄電池設備) 】
 NAS電池は、工場・事業所において定置用蓄電池設備として導入されているが、その導入数量は大きくない。
 標準システムの定格出力:2MWとして、2010年のNAS電池の導入数量が23MWであるため、システム出荷数は10
前後であることが想定される。
蓄電池の種類と販売数量
数量
種類
2010年実績
NAS電池
(百万円、MW)
鉛電池
(百万円、千セル)
2011年見込
2020年予測
23
24
53
283,600
249,600
203,400
ニッケル水素電池
(百万円、千セル)
小型用途
290,000
305,000
280,000
大型用途
132,200
95,600
23,200
リチウムイオン電池
(百万円、千セル)
小型用途
90,200
91,800
109,000
大型用途
1,200
6,400
738,100
15,250
15,070
12,500
580
760
1,770
16
20
49
電気二重層キャパシタ
(百万円、千セル)
小容量
中・大容量
ハイブリッドキャパシタ
(百万円、千セル)
出所)富士経済「2010電力・エネルギーシステム新市場上巻」「2011電力・エネルギーシステム新市場上巻」
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293
目次
2. 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析 【p.121 - p.308】
2.1 昨夏の電力需要抑制対策における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析 【p.122 - p.147】
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析 【p.124 - p.143】
2.1.2 業種ごと節電効果ならびに負荷平準効果に関する分析 【p.144 - p.147】
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析 【p.148 - p.166】
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析 【p.150 - p.166】
2.3 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析 【p.167 - p.180】
2.3.1 豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化の動向 【p.169 - p.172】
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向 【p.173 - p.178】
2.3.3 韓国におけるデマンド・レスポンス導入の動向 【p.179】
2.3.4 各国における需要抑制の市場取引メカニズム 【p.180】
2.4 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用抑制や再エネ導入、蓄エネ導入に向けた調査 【p.181 - p.185】
2.4.1 自家発電設備の導入・稼働向上による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.183】
2.4.2 蓄電池設備の導入による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.184】
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析 【p.186 - p.276】
2.5.1 基本的な考え方 【p.188】
2.5.2 需要家単位で見た増エネと国全体で見た省エネの関係 【p.189】
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割 【p.190 - p.276】
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力) 【p.192 - p.248】
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス) 【p.249 - p.276】
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析 【p.277 - p.304】
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(定性分析) 【p.279 - p.283】
2.6.2 工場・事業場で実施されるピーク対策の効果分析 【p.284 - p.287】
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し 【p.288 - p.292】
2.7 その他電力供給リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する政策を検討する上で必要となる調査・分析 【p.293 - p.295】
2.7.1 電気消費機器の現状分析 【p.296 - p.297】
3. 総括 【p.298 - p.299】
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294
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.7 その他電力供給リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する政策を
検討する上で必要となる調査・分析
【概要】
 その他電力供給リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する政策を検討する上で必要となる調査・分析を、省エ
ネ課と協議の上、実施した。
 具体的には、デマンドの自動制御機能を保有する電気消費機器の現状分析を行った。
 東芝ライテック(株)のホームITシステムフェミニティ、およびダイキン工業(株)のDAIKIN D-irectについて、公開情報をベース
に情報を整理し、日本国内においても既に家庭部門/業務部門において電気消費機器を遠隔でのOn-Off制御/運転制
御する取り組みが行われている状況を示した。
 HEMS(フェミニティ/ライフィニティ等)および制御機器を導入すれば、エアコン、給湯器、床暖房、照明などの電気消費
機器の遠隔制御が可能である。
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295
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.7 その他電力供給リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する政策を検討する上で必要となる調査・分析
2.7.1 電気消費機器の現状分析
 家庭部門における遠隔制御システムの事例
 東芝ライテック(株)のホームITシステム フェミニティを用いることで、対応機種を遠隔制御することが可能である。
▪
Echonet (Feminity)対応機器:インターホン(住宅情報盤)、インターホン(カラーテレビドアホン)、ICカードリーダ 、エアコン、照明、
照明(壁スイッチ)、給湯機(ガス)、床暖房(電気)、床暖房(ガス)、電気錠、宅配ロッカー、テレビ
 家庭部門の主要電力消費機器である給湯器、床暖房、照明については、On-Offの遠隔制御が可能である。一方、エ
アコンについては、フェミニティ対応機であれば遠隔運転制御も可能である。
▪
▪
▪
エアコンについては、「エアコン用Bluetooth接続アダプタ」と「フェミニティ対応エアコン」の導入により、運転制御が可能である。
給湯器、床暖房については、「IT拡張アダプタ」と「HA端子延長ユニット」の導入により、On-Offを制御が可能である。
照明:「IT照明スイッチ/ITアダプタ」と「IT照明コントローラ」の導入により、On-Offを制御が可能である。
ホームITシステムフェミニティ エアコン操作画面
ホームITシステム フェミニティ対応機種(一部抜粋)
メーカー名
東芝ホーム
アプライアンス
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接続実績
【2011年度機種】
●RAS-JDRシリーズ
●RAS-DRNシリーズ
●RAS-JDTシリーズ
●RAS-JDXシリーズ
●RAS-JRシリーズ
【2010年度機種】
●RAS-UDRシリーズ
●RAS-UDXシリーズ
●RAS-URシリーズ
●RAS-PDRNシリーズ
●HAS-C(FR3)シリーズ
接続方式
Bluetooth®接続
出所)東芝ライテック(株) HP(http://feminity.toshiba.co.jp/feminity/index_j.html)
296
2 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析
2.7 その他電力供給リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する政策を検討する上で必要となる調査・分析
2.7.1 電気消費機器の現状分析
 業務部門における遠隔制御システムの事例
 ダイキン工業(株)のDAIKIN D-irectサービスにより、店舗・オフィス用エアコンの遠隔運転制御が可能である。
▪
▪
「D-irect対応エアコン」と「専用アダプター」により、利用可能(要インターネット回線)である。
対応エアコン:店舗・オフィス用エアコン スカイエアシリーズ
 遠隔でのOn-Offのみでなく運転制御が可能。また、チェーンストア向けには、設定温度の一括変更、プログラム機能による一括間欠運
転、強制停止などの省エネ支援も提供可能である。
DAIKIN D-irectサービス提供イメージ
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出所)ダイキン工業(株) HP(http://www.daikin.co.jp/press/2008/080131/index.html)
297
目次
2. 電力供給制約リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する調査・分析 【p.121 - p.308】
2.1 昨夏の電力需要抑制対策における業種、規模ごとの実績の把握及び省エネ効果の分析 【p.122 - p.147】
2.1.1 昨夏における業種別節電効果実績と分析 【p.124 - p.143】
2.1.2 業種ごと節電効果ならびに負荷平準効果に関する分析 【p.144 - p.147】
2.2 冬期における電力需給データを踏まえた電力需要抑制対策の分析 【p.148 - p.166】
2.2.1 冬期における電力需給の特徴を踏まえた効果的な対策の分析 【p.150 - p.166】
2.3 諸外国(欧米、アジア5カ国程度)における電力需要抑制政策の整備状況と効果に関する調査・分析 【p.167 - p.180】
2.3.1 豪州におけるデマンド・レスポンス規格適合義務化の動向 【p.169 - p.172】
2.3.2 米国における建築物環境性能評価制度LEEDへのデマンド・レスポンス導入の動向 【p.173 - p.178】
2.3.3 韓国におけるデマンド・レスポンス導入の動向 【p.179】
2.3.4 各国における需要抑制の市場取引メカニズム 【p.180】
2.4 需要家において電力需要を抑制すべき時間に実施する電力使用抑制や再エネ導入、蓄エネ導入に向けた調査 【p.181 - p.185】
2.4.1 自家発電設備の導入・稼働向上による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.183】
2.4.2 蓄電池設備の導入による社会全体としての省エネ可能性の検討 【p.184】
2.5 長期的な電力需給安定化に資する総合的なエネルギー管理を実施・継続するための政策の検討及び分析 【p.186 - p.276】
2.5.1 基本的な考え方 【p.188】
2.5.2 需要家単位で見た増エネと国全体で見た省エネの関係 【p.189】
2.5.3 需要家の省エネルギーを促進するエネルギー供給事業者の役割 【p.190 - p.276】
2.5.3.1 エネルギー供給事業者の情報公開状況(電力) 【p.192 - p.248】
2.5.3.2 エネルギー供給事業者の情報公開状況(都市ガス) 【p.249 - p.276】
2.6 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況及び定量的な効果についての調査・分析 【p.277 - p.304】
2.6.1 工場・事業場におけるピーク対策の実施状況(定性分析) 【p.279 - p.283】
2.6.2 工場・事業場で実施されるピーク対策の効果分析 【p.284 - p.287】
2.6.3 自家発電、蓄電池、BEMS/HEMSの導入実態と今後の見通し 【p.288 - p.292】
2.7 その他電力供給リスクに対応したエネルギー需要構造の構築に関する政策を検討する上で必要となる調査・分析 【p.293 - p.295】
2.7.1 電気消費機器の現状分析 【p.296 - p.297】
3. 総括 【p.298 - p.299】
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3. 総括
 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、我が国に甚大な被害をもたらす未曾有の大災害となった。この震災の影響を大きく受けた福島第
一原子力発電所における一連の事故は、国民の生活空間を広く奪ったのと同時に、我が国のエネルギー需給構造の課題を浮き彫りにした。
震災発生以降、法人・個人を問わず、我々は電力の供給制約への対応を迫られ、これまで、エネルギーの安定供給を使命としてきた「供給側
(電力会社等)」だけでは対応することが不可能な緊急事態に、エネルギーを使う側である「需要側」における対策を講じることが急務となったの
である。これは大震災後の一時的な当座凌ぎではないことを付言したい。
需給両面からの省エネ及び負荷平準化の対策は、我が国において、電力需給のバランスが崩壊した場合のリスクを低減し、さらなる経済発展
を支えるものであり、持続的に講じられるべきものと言える。
 本事業では主に次の三点に焦点を当てて検討を行った。
一点目は、電力ピーク対策である。具体的には、需要家が、従来の省エネ対策に加え、蓄電池やエネルギー管理システム(BEMS・HEMS)、自
家発電、蓄熱式の空調、ガス空調等の活用により、電力需要ピーク時の系統電力の使用を低減する取組を行った場合のケーススタディや効果
の試算を行った。
二点目は、民生部門における省エネ対策の強化である。最終エネルギー消費量の増加幅が大きい民生(業務・家庭)部門を中心に一層の省エ
ネを図る必要がある一方、大震災の影響を受けた昨夏の節電対策の状況を踏まえると、需要家に我慢を強いる省エネ対策には限界があること
は明らかである。具体的には、従来のトップランナー基準で対象となっていたエネルギーを消費する機械器具に加え、建築材料等に係るトップ
ランナー基準の導入の可能性や導入による省エネポテンシャルの試算を行った。
三点目は、供給側の視点から、需要家の省エネを促進するためのエネルギー供給事業者の役割に関する検討である。今後は、需要側の省エ
ネ対策、電力ピーク対策のさらなる推進とともに、諸外国の状況等も参考にしつつ、供給側と一体となった対策の検討が求められる。
また、定期報告書や中長期計画書の分析を行う中で、これらの報告内容が事業者の自発的な取組の促進や今後の施策立案に有益に活用で
きる可能性が明らかとなった。省エネや負荷平準化対策の実効性の向上という観点から、報告内容や確認体制を含め、継続的に規制や制度
のあり方について検討していくことが重要である。
 我が国では、経済成長と省エネ政策を両立させてきた結果として、エネルギー効率は過去30年間で約4割改善しており、世界最高水準にある。
2012年3月には「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)の一部を改正する法律案」が閣議決定された。省エネ・負荷平準化対策
を推進していく上での一つの通過点であるが、本法改正が、これまで講じられてきた我が国の事業者ならびに国民による省エネに対する努力を
助長・支援し、震災からの復興を支え、今後さらなる経済発展に資することを期待する。
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