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流動流体中における運動精子の挙動に関する実験的研究
講演番号43 流動流体中 流動流体中における運動精子 における運動精子の 運動精子の挙動に 挙動に関する実験的研究 する実験的研究 米子工業高等専門学校 機械工学科 遠藤弘樹 1.緒言 現在少子化の原因として不妊症が挙げられるが,その要因 として男性側の精子の異常や欠如が半数を占めている.そん な中で不妊治療への利用を目的に開発された,運動良好精子 分離装置の更なる高効率化を目的とする研究において,流動 流体中におけるせん断応力(粘性力)が精子運動に影響を与 えている可能性があることが報告されている[1].そこで本研 究では,流れにおける粘性力や遠心力が運動精子に影響を及 ぼすメカニズムを実験的に調べることを目的として,テイラ ー・クエット流れ内の運動精子の挙動に関して実験的研究を 行っている.新規研究の立ち上げに伴い,本年度は実験装置 の設計開発,テイラー・クエット流れ中における流速分布お よび運動精子の挙動に関して PIV / PTV 計測を行った. 流入させ充填する.流路はケーシングとロータによって形成 されており,移動壁面であるロータを回転させることにより 移動壁面と固定壁面の間に速度勾配が生じ,それによってせ ん断応力を発生させる(図 1 参照) . 可視化方法は図 2 のように,流路側面へ波長 532nm の CW レーザシート(LaVision 社:CW-532-3W)を照射し,流路底 面よりハイスピードカメラ(LaVision 社:HSS4G)で撮影し た.撮影に際して,レンズは対物レンズを使用した.またハ イパスフィルタ(透過波長 570nm 以上)を取り付けること で,PTV を行うときは精子の発光のみを,PIV を行うときは 牛の精子の代わりに蛍光粒子(粒子径 15µm,比重 1.1)を用 いてそれのみの像を取得し速度分布を算出した.ロータの回 転にはモータを用いた. 2.記号及び 記号及び関連する 関連する式 する式 本研究で使用した実験装置の寸法は,ロータとケーシング のすき間(流路幅)a = 1mm,流路高 h = 9.7mm,ロータの半 径 R = 20mm である(図 1,図 2 参照).本研究ではロータ の回転数 ω [rad/s]から,以下のテイラー数 Ta[2]を求めた. 4.実験結果 図 3 に Ta = 40 での実験装置内の流路部における,無次元 流速分布の実験値と理論値の比較を示す.縦軸 u / U は流速 u をロータ周速度 U で無次元化したものであり,横軸 x / a は ロータ壁面からの距離 x を流路幅 a で無次元化したものであ る.理論値に対する実験値の平均誤差率は約 11%であった. 従って,本実験においての計測値の信頼性は 89%程度である. a ν R ここで,νは作動流体の動粘度[mm2/s]である.Schlichting[2] は,テイラー数によって次のように流れを分類している. 本研究においても下記の条件を基準に実験を実施した. (1) Ta < 41.3:層流クエット流れ (2) 41.3 < Ta < 400:テイラー渦を伴う層流 本年度は,せん断応力(粘性力)が運動精子に及ぼす影響 を調べるために,Ta < 41.3 における層流クエット流れで実験 を実施した. Rωa 1.2 理論値 実験値 1.0 0.8 u/U Ta = 指導教員:早水庸隆 0.6 0.4 0.2 0.0 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 x/a 3.実験方法 図 3 テイラー・クエット流れの流速分布(Ta = 40) 各 Ta における精子の移動速度を図 4 に示す.縦軸 v / U は 精子の移動速度 v をロータ周速度 U で無次元化したものであ り,横軸は Ta である.テイラー・クエット流れ中における 運動精子の挙動に関して,テイラー数(せん断応力)が大き くなるにつれ精子の移動速度は増加していく傾向にあり,そ の方向は流れと逆向きであることが明らかとなった. v/U 図 1 流路詳細図 0 -0.05 -0.1 -0.15 -0.2 -0.25 -0.3 -0.35 -0.4 -0.45 10 20 30 40 50 Ta 図 4 テイラー・クエット流れ中における精子の速度 参考文献 [1] 橘 度羽,他 6 名,「流動流体中における運動精子の挙 動に関する実験的研究」,日本機械学会中国四国支部第 49 期総会・講演会講演論文集,No.115-1,(2011), pp.171-172. [2] Schlicting, H., Boundary Layer Theory, 7th ed., (1987), pp. 525-529, McGraw-Hill Pub. Co.. 図 2 実験装置概略図 実験手順としては,流路内に試料である作動流体(牛の精 液を蛍光染料で染色し緩衝液によって 6 倍希釈したもの)を - 19 -