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講義③労働:ニートと不安定雇用

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講義③労働:ニートと不安定雇用
2005 年度 立命館大学 法学部「専攻セミナーJE」
基礎演習01/02/03/04クラス
「講義③労働:ニートと不安定雇用」
2005.10.21.
佐藤
はじめに
1)前回のまとめ・自己点検
質問:改正案について(e.g.戸籍法改正)、嫡出子と非嫡出子区別の必要性
2)本日の予定:「労働法」
*関連講義:労働法(3回生以上配当)
1.事例から(日立メディコ事件:別紙)
2.講義テーマ:ニートと対策としての臨時雇用の是非
3.ニートの実態と多様な雇用形態
1.ニートの実態(数、原因、状況 等)
2.企業の雇用戦略
cf.日経連『新時代の「日本的経営」』(1995 年)
3.政府の施策:「若者自立・挑戦プラン」
→厚生労働省:日本型デュアル・システム → トライアル雇用
4.パートタイマー・アルバイト
1.「パートタイマー」とは何か
1)ILO175号条約
2)日本:疑似パート・期間の定め・比例原則が適用されない→「パート」という身分
2.労基法の適用
1)基本的にはすべて適用される
2)パート法(「短時間労働者雇用管理改善法」1993 年 6 月成立)
3.期間の定めある労働契約の反復更新
1)労基法 14 条
2)反復更新について諸説
A)雇い止め
B)期間の定めのある契約だが、解雇法理を類推適用
C)期間の定めのない契約に転化
D)正当な理由のない限り、期間の定めある契約を締結できない
3)最高裁判決
東芝柳町工場事件 最一小判 昭 49. 7.22
日立メディコ事件 最一小判 昭 61.12. 4
神戸弘陵学園事件 最三小判 平 2. 6. 5
[参考文献]
教科書
:西谷敏・萬井隆令『労働法2[第5版]』(法律文化社、2005 年)
雇用状況
:森岡孝二『働きすぎの時代』(岩波新書、2006 年)
ニート
:小杉礼子編『フリーターとニート』(勁草書房、2005 年)←実態
橘木俊詔『脱フリーター社会』(東洋経済新報社、2004 年)←政策提言
多様な正社員 :久本憲夫『正社員ルネッサンス』(中公新書、2003 年)
1
[コメント・ペーパー]
1)自己点検
a)講義の論点
b)論点にかかわる法状況
2)自由記述
a)講義に関する質問 b)その他
c)論点についての諸見解
[課題提出状況]
夏期 10/7 10/14 10/21 10/28 11/4 11/11 11/18 11/25 12/2 12/9 12/16 1/6
01 (34)
32
28
30
02 (34)
29
28
29
03 (34)
32
29
31
04 (34)
29
31
29
合計(136) 122 116 119
[班報告の論点]
1.ニート対策を考える
→調べ方 ①「若者自立・挑戦プラン」を調べる、②経済・労働界からの提言を調べる
*「若者自立・挑戦プラン」について
経済産業省の WebPage http://www.meti.go.jp/topic/data/e40423aj.html
「若者自立・挑戦のためのアクションプラン」について
経済産業省の WebPage http://www.meti.go.jp/topic/data/e41112aj.html
「若者の未来のキャリアを育むために」
厚生労働省の Page http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/09/h0919-5.html
2.パート・アルバイトの雇用期間の是非を考える
→調べ方 ①教科書を参照して調べる、②久本教授の著書を読む
[資料]
「社会実情データ図録」(http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/index.html)より
2
「社会実情データ図録」(http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/index.html)より
3
(フリーター)
フリーターの増加が社会問題化している。フリーター数については、厚生労働省が「労
働経済の分析(労働白書)」で公表していたが、内閣府の平成 15 年国民生活白書(2003 年
5 月末発表)がフリーター数 417 万人という数字を公表した点に大きな関心が集まった。
最近のフリーターの人数は、厚生労働省では 213 万人(2004 年)、内閣府では 417 万人(2001
年)としており、約 2 倍の違いがある。また、いずれの定義によってもフリーターの人数
は 10 年間で倍増している。
フリーターのとらえ方については、厚生労働省の定義は、フリーターという立場を選択
している人(正社員になりたくない人)、内閣府の定義は、フリーターにならざるを得ない
立場の人(正社員になれない人)を含むという違いがある。現在無職の人のうち前者はパ
ート・アルバイトを希望する人のみカウントし、後者では、正社員を希望する人を含めて
カウントしている点に違いがあらわれている。後者は、正社員になりたくない人となれな
い人を両方含んでいるので、当然、数は多くなるのである。なお、内閣府定義のフリータ
ーには就業者としてパート・アルバイトばかりでなく最近増えている派遣・契約等も含め
ているのでなおさら数が多くなっている。
厚生労働省ではフリーターを最初に平成 3 年版労働白書で集計しており(フリーアルバ
イターとして)、当時は、正社員になりたくない人という立場が着目され、そのまま定義が
継続したものと考えられる。その後、内閣府 2003 年の定義では、フリーターの負の側面が
より着目された結果、新定義となったものと考えられる。パート・アルバイトで就業して
いる若者の中には、主体的に選択しているものと消極的に選ばざるを得ないものとの両面
が当初からあったが、厚生労働省の最初の定義では前者に着目したということであろう。
内閣府定義の 2001 年フリーター数では、若年人口(15∼34 歳)の 9 人に 1 人(12.2%)、
学生・主婦を除いた若年人口の 5 人に 1 人(21.2%)がフリーターとなっている。年齢別
に見ると、1992 年には 20 代前半で最も多かったフリーターが、2001 年には 20 代後半にピ
ークがシフトし、30 代でもフリーターが急増するなど、フリーター生活の長期化が懸念さ
れる。
なお、フリーター的存在の問題点としては、以下のような点があげられることが多い。
1)自由を選択していても自由のマイナスの対価が大きいことに気づかず、本人が不利益を
こうむったり、不安を感じたりすることが多くなる。2)若年の職業能力が高まらないため、
日本産業の競争力や経済全体の成長の制約となるおそれがある。3)犯罪の増加など社会不
安に結びつく可能性がある。4)未婚化、晩婚化、少子化などを一層促進し、年金など社会
保障制度にも影響が生じる可能性がある。
(ニート)
近年になってフリーターよりさらに深刻な存在としてニートが注目されている。これは
英国における造語であり「Not in Education, Employment or Training (NEET)」をあらわ
している。これはフリーターと異なり就職する意思がなく職業訓練もしていない若者を指
し、フリーター対策とは別の支援策が必要とされる(毎日新聞 2004.9.10 夕刊)。
平成 16 年の労働白書から、はじめてニートにあたる存在を「若年層無業者」ととらえ、
2003 年に 52 万人と集計した。平成 17 年の労働白書では「若年無業者」として新たに家事・
通学をしていない既婚者・学生も加え、2003 年 64 万人、
2004 年も同じ 64 万人と発表した。
「若年無業者」は、4つの「非」で定義されている。すなわち、非就業、非求職、非通学、
非家事である(最初の2つで非労働力人口となる)。「若年無業者」は就職意思などの点で
厳密にフリーターと相互補完的な定義ではないと考えられるがほぼニートに該当するとと
らえられている。2005 年 3 月に内閣府が行った調査(若年無業者に関する調査)によると、
ニートは 2002 年に 85 万人という数字をはじき出している。
「社会実情データ図録」(http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/index.html)より
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