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第5章 公営住宅供給目標量

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第5章 公営住宅供給目標量
第5章 公営住宅供給目標量
第5章
公営住宅供給目標量
公営住宅の供給目標量は、計画期間における公営住宅の需要量に対応した供給量を
算出するため、住宅に困窮するおそれのある世帯数の推計(需要量)と将来の空き家
募集による供給量の推計を行い、需給バランスをチェックした上で設定しました。
なお、供給目標量を算定年次は、マスタープランの目標年次である平成 32 年度と
ともに、長期的な需給バランスをチェックするため平成 42 年度についても算定しま
した。
(1)住宅に困窮するおそれのある世帯数の算定
平成 42 年度末までにおける、民営借家に居住し住宅に困窮するおそれのある世
帯数については、住生活基本計画(全国計画)で示されている公営住宅供給量算定
プログラムの推計方法を用いて推計します。なお、推計に際しては、市営住宅のほ
か岐阜市内の県営住宅も含めて検討しています。
この方法では、住宅に困窮するおそれのある世帯数は、「公営住宅入居資格世帯」
をもとに居住面積水準※及び年収の困窮状況により算定します。
① 公営住宅入居資格世帯の算定
図5-1
推計フロー
1)平成 20 年度末世帯数
151,439世帯
+
2)平成 21~42 年度末までの増加世帯数
△9,919世帯
住宅土地統計調査と岐阜市総合計画の将来
フレームより世帯数を詳細に推計
3)平成 42 年度末世帯数
141,520世帯
・世帯主年齢別・世帯人員別世帯
数の推計
・年収別・所有関係別世帯数の推
計
収入基準
・本来階層
・裁量階層
4)公営住宅入居資格世帯
17,706世帯
75
15.8 万円
21.4 万円
② 算定根拠
1)平成 20 年度末世帯数
平成 15 年の住宅・土地統計調査及び岐阜市総合計画による将来世帯数推計
値より、平成 20 年度末における世帯数を算出します。
平成 20 年度末世帯数
うち民営借家等
151,439 世帯
52,916 世帯
2)平成 21~42 年度末までの増加世帯数
岐阜市総合計画による将来世帯数推計値より、平成 21 年度から平成 42 年度
末における増加世帯数を算出します。
平成 21~42 年度までの
増加世帯数
△9,919 世帯
3)平成 42 年度末世帯数
1)平成 20 年度末世帯数に、2)平成 21~42 年度末までの増加世帯数を
加え平成 42 年度末世帯数を算出します。
平成 42 年度末世帯数
141,520 世帯
4)公営住宅入居資格世帯
3)の世帯数の値をベースに、世帯主率法により世帯主年齢別・世帯人員別
平成 42 年度末世帯数を推計し、さらに年収5分位別・所有関係別平成 42 年度
末世帯数を推計した上で、公営住宅の収入基準により、現在民営借家等に居住
する世帯のうち公営住宅入居資格世帯を算出します。入居資格世帯は本来階
層※、裁量階層※それぞれに算定します。
本来階層
14,353 世帯
裁量階層
3,353 世帯
合
計
17,706 世帯
本来階層:本来公営住宅が入居対象としている階層で、収入月額15万8千円以下の世帯
裁量階層:高齢者や障がい者など裁量として公営住宅の入居対象に加える階層で、収入
月額21万4千円以下
76
第5章 公営住宅供給目標量
③ 住宅に困窮するおそれのある世帯数の算定
②-4)で算出した公営住宅入居資格世帯(17,706 世帯)のうち、居住面積水準
及び年収の困窮状況により住宅に困窮するおそれのある世帯数を算出すると、平
成 32 年度で 3,028 世帯、平成 42 年度で 2,988 世帯となります。
(下記表の(1)
~(4)の合計)
表5-1
住宅に困窮するおそれのある世帯数の算定
平成 32 年
平成 42 年度
度
(1)最低居住面積水準未満かつ著しい困窮年収 未満
1,025 世帯
962 世帯
(2)最低居住面積水準以上かつ著しい困窮年収未満
1,692 世帯
1,699 世帯
(3)最低居住面積水準未満かつ著しい困窮年収以上
(4)最低居住面積水準以上かつ著しい困窮年収以上
住宅に困窮するおそれのある世帯数
157 世帯
154 世帯
3,028 世帯
163 世帯
164 世帯
2,988 世帯
※
最低居住面積水準:
世帯数に応じて、健康で文化的な住生活の基礎として必要不可欠な住
宅の面積に関する水準で住生活基本計画(全国計画)に位置づけられ
た面積。
(単身者は 25 ㎡、2人以上の世帯は 10 ㎡×世帯人員+10 ㎡)
著しい困窮年収:
世帯の総年収から家賃を支払える金額が、最低居住水準※を満たす面積
の借家の家賃を下回る年収(高家賃負担を強いられている)のこと。
④ 住宅に困窮するおそれのある世帯数の内訳
③について、ひとり暮らし高齢者、高齢夫婦世帯、子育て世帯、一般世帯の内
訳を推計すると次のようになります。
表5-2
住宅に困窮するおそれのある世帯数の内訳
平成 32 年度
平成 42 年度
1,061 世帯
1,176 世帯
高齢夫婦世帯
100 世帯
98 世帯
子 育 て 世 帯
44 世帯
38 世帯
帯
1,823 世帯
1,676 世帯
計
3,028 世帯
2,988 世帯
ひとり暮らし高齢者
一
合
般
世
77
⑤ 年度別住宅に困窮するおそれのある世帯の算定
5年ごとの公営住宅入居資格世帯及び住宅に困窮するおそれのある世帯を算定
すると以下の表となり、その世帯数は、平成 27 年度から平成 37 年度に約 3,000
世帯で推移し、その後は減少していきます。
表5-3
年度別住宅に困窮するおそれのある世帯の算定
(世帯)
平成 22 年 平成 27 年 平成 32 年 平成 37 年 平成 42 年
公営住 宅入居 資格世
帯数
17,198
17,771
17,812
17,955
17,706
住宅に 困窮す るおそ
れのある世帯数
2,956
3,036
3,028
3,039
2,988
78
第5章 公営住宅供給目標量
(2)空き家募集による公営住宅供給量の算出
① 将来の空き家発生率
過去6ヵ年の管理戸数に対する空き家募集戸数(いずれも建替えによる戸数を
除く)の推移から将来の空き家発生率を算出すると、近年募集戸数の減少してい
ることから、平成 18 年~20 年の3ヵ年での年間空き家発生率約 5.05%を将来的
な年間空き家発生率とします。
表5-4
空き家募集戸数
市営
H15
H16
H17
H18
H19
H20
379
458
381
232
193
160
うち、建替えによる募集
105
合計
1,803
105
県営
67
55
47
54
42
42
307
合計
446
513
428
286
235
202
2,110
合計(建替えによる募集除く)
446
408
428
286
235
202
2,005
資料:岐阜市まちづくり推進部住宅課
表5-5
空き家募集実績
H18-H20
3ヵ年
期間
4,776戸
募集対象戸数
募集戸数(県営含む)
3年間の合計
723戸
年平均
241戸
5.05%
年間空き家発生率
資料:岐阜市まちづくり推進部住宅課
79
② 将来の募集対象戸数
募集停止予定の住宅を管理戸数より除いた戸数を募集対象戸数とします。
表5-6
年度別募集対象戸数(募集停止予定の住宅を管理戸数より除いた値)
H21
市営住宅
県営住宅
計
3,574
1,202
4,776
H33
市営住宅
県営住宅
計
3,219
1,202
4,421
H22
3,478
1,202
4,680
H34
3,219
1,202
4,421
H23
3,478
1,202
4,680
H35
3,219
1,202
4,421
H24
3,478
1,202
4,680
H36
3,219
1,202
4,421
H25
3,354
1,202
4,556
H37
3,219
1,202
4,421
H26
3,354
1,202
4,556
H38
3,219
1,202
4,421
H27
3,354
1,202
4,556
H39
3,219
1,202
4,421
H28
3,316
1,202
4,518
H40
3,219
1,202
4,421
H29
3,250
1,202
4,452
H41
3,219
1,202
4,421
H30
3,250
1,202
4,452
H31
3,250
1,202
4,452
H32
3,250
1,202
4,452
H42
3,219
1,202
4,421
③ 公営住宅供給量
②で算出した年度別募集対象戸数に空き家発生率を乗じて、平成 23 年度から
平成 42 年度末までの 20 年間における空き家募集による公営住宅供給量を算出す
ると、累計で 4,519 戸となります。
80
第5章 公営住宅供給目標量
(3)公営住宅の将来需給バランス
最後に、民営借家に居住しながらも居住面積水準と年収の困窮状況から将来的に
住宅に困窮するおそれのある世帯数と、将来の空き家募集による公営住宅供給量か
ら、公営住宅の需給バランスを検証します。
現在、市内の公営住宅には 4,267 世帯(市営 3,332 世帯、県営 935 世帯、平成 21
年 12 月1日現在)が居住していますが、これらの世帯は現に住宅困窮世帯と捉え
ることができます。
また、平成 42 年度までに住宅に困窮するおそれのある世帯は、民営借家に居住
している人のうち約 3,000 世帯と見込まれます。
この約 3,000 世帯のうち、何らかの事情で民営借家からの退去を余儀なくされ住
宅困窮世帯に転じるものについて、これまでは毎年度発生する公営住宅空き家(管
理戸数の約5%)への入居を進めることで対応してきました。また、将来的に住宅
困窮世帯に転じるものについては、住宅に困窮するおそれのある世帯が約 3,000 世
帯でほぼ一定で推移することを考慮すると、特段の外的要因がなければ、これまで
の実績から将来発生する約 220 戸/年の公営住宅空き家への入居を進めることで対
応可能と考えられます。
一方、何らかの外的要因で住宅困窮世帯へ転じるものが著しく増加したとしても、
市営住宅の無抽選住宅※は現在常時 200 戸以上の空き家が存在していることから、
これらを供給することで対応可能と考えられます。
以上のことから、岐阜市においては、現有の公営住宅の適切な維持管理を進めれ
ば、当面発生する住宅困窮世帯には対応できると考えられます。したがって、特段
の外的要因がなければ、公営住宅を新たに建設する必要性は低いものと考えられま
す。
表5-7
民営借家に居住し、住宅に困窮するおそれのある世帯数
(世帯)(戸/年)
H22 年
①世帯数
H27 年
H32 年
H37 年
H42 年
152,256 152,256 149,328 146,400 141,520
②公営住宅入居資格世帯数
17,198
17,771
17,812
17,955
17,706
③民営借家に居住し
住宅に困窮するおそれの
ある世帯数
2,956
3,036
3,028
3,039
2,988
④既入居者の退去による
空き家発生数(戸/年)
236
230
225
223
223
81
(4)公営住宅供給の基本的考え方
市営住宅の入居対象となる高齢者、母子世帯、被生活保護世帯※等の住宅確保要
配慮者は、総世帯数の減少ほどは減少しないものと見込まれます。しかし、将来に
おいて何らかの事情で住宅困窮世帯に転じ公営住宅で対応すべきものについては、
今後発生する公営住宅空き家への入居を進めることで対応可能であると推計されま
した。
したがって、今後の供給方針としては、現在すでに供給している住宅について、
耐用年数を迎えるまで住宅の長寿命化、適切かつ計画的な管理を行うことでその維
持を図るものとし、既存住宅ストックを活用することで量的確保をし、当面新たな
住宅建設はしないものとします。
なお、これら住宅の地域別活用方策については、原則として以下の考え方に基づ
くこととします。
中心部
周辺部
郊外部
入居希望者が多いことから、引き続き公営住宅の本来の入居対象者向けの住
宅として活用
入居希望者が少なく常時空き家が発生している団地では、本来の入居対象者
の入居を阻害しない範囲で、グループホーム・ケアホームとしての活用、地
域の福祉活動拠点としての提供など、新たな活用方策を検討
一方、耐用年数を経過し、長寿命化が困難な老朽住宅は、新たな入居募集を停止
し、既存の入居者がすべて退去した後は、随時、用途廃止(解体)することとしま
す。
表5-8
3地域別建設年代別戸数
(平成22年4月1日現在)
中心部
戸数
周辺部
割合
戸数
郊外部
割合
戸数
合計
割合
戸数
割合
昭和35年以前
0
0.0%
154
4.2%
73
2.0%
227
6.1%
昭和35年~昭和45年
0
0.0%
40
1.1%
823
22.3%
863
23.3%
昭和46年~昭和56年
170
4.6%
410
11.1%
1,208
32.7%
1,788
48.4%
昭和57年以降
236
6.4%
479
13.0%
103
2.8%
818
22.1%
合 計
406
11.0%
1,083
29.3%
2,207
59.7%
3,696
100.0%
資料:岐阜市まちづくり推進部住宅課
82
第5章 公営住宅供給目標量
(5)公営住宅の供給目標量
本計画では、当面は新たな住宅建設は行わないことから、公営住宅の供給量は既
存住宅ストックにおける空き家募集による供給となります。
表9から、平成 23 年度から平成 32 年度末までの 10 年間における空き家募集に
よる公営住宅供給量を 2,300 戸と設定します。
また、平成 23 年度から 42 年度までの 20 年間における空き家募集による公営住
宅供給量を 4,500 戸と設定します。
表5-9
年度別空き家募集戸数
合計
管理戸数(市営)
管理戸数(県営)
空家募集戸数(年)
空き家募集戸数(累計)
H22
4,680
3,478
1,202
-
合計
管理戸数(市営)
管理戸数(県営)
空家募集戸数(年)
空き家募集戸数(累計)
H23
4,680
3,478
1,202
236
236
H24
4,680
3,478
1,202
236
472
H25
4,556
3,354
1,202
230
702
H26
4,556
3,354
1,202
230
932
H27
4,556
3,354
1,202
230
1,162
H28
4,518
3,316
1,202
228
1,390
H29
4,452
3,250
1,202
225
1,615
H30
4,452
3,250
1,202
225
1,839
H31
4,452
3,250
1,202
225
2,064
H32
4,452
3,250
1,202
225
2,289
H33
4,421
3,219
1,202
223
2,512
H34
4,421
3,219
1,202
223
2,735
H35
4,421
3,219
1,202
223
2,958
H36
4,421
3,219
1,202
223
3,181
H37
4,421
3,219
1,202
223
3,404
H38
4,421
3,219
1,202
223
3,627
H39
4,421
3,219
1,202
223
3,850
H40
4,421
3,219
1,202
223
4,073
H41
4,421
3,219
1,202
223
4,296
H42
4,421
3,219
1,202
223
4,519
(注)市営住宅の管理戸数は、募集停止予定住宅を管理戸数から除いた値
表5-10
公営住宅の供給目標量
平成 23~32 年度
平成 23~42 年度
2,300戸
4,500戸
公営住宅供給目標量
表5-11
将来の市営住宅の管理戸数
管理戸数
増減要因
平成 22 年度(現況)
3,478 戸
平成 32 年度
3,250 戸
H21~H32 に耐用年数を経過する住宅 494 戸を控除
平成 42 年度
3,219 戸
H32~H42 に耐用年数を経過する住宅 31 戸を控除
(注)平成 22 年度は、募集停止予定の住宅を管理戸数から除いている
83
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