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樹木の水メカニズムと製品使用例のご紹介
Instrumentation for Total Tree Water Use and “Behavior” Michael Forster ICT International Pty Ltd 水が極めて重要な資源であるということは林業産業において広く認識され、樹木の成長に利用されるだけでなく、 水資源を管理する団体も地形による水の流れについて水文学的に研究しています。樹木は大量の水を蒸散してい ますが、多種の樹木で形成される森において、ある種が他の種より多くの蒸散をしていることもありますし、ま た単一栽培のプランテーションでさえ、一律ではなく正確な測定を必要とします。 この数十年、複雑に移動する水の流れについて研究発表され、現在、水は土から根、枝、葉そして大気へと単純 に移動してはいないと認識されています。水は植物が“ふるまい(Behavior)”を持っているかのような印象を あたえ、上向きや下向き、また横向きにも移動しています。 ここでは植物内の水移動のメカニズムの要約と植物の“ふるまい”を導く物理学の簡単な原理をご説明します。 Hydraulic Redistribution(植物内の液圧分配)として知られ、様々な研究事例は、この測定の重要性を強調する ために議論されています。いくつかの樹液流量測定法は植物全体の測定には有効ですが、ここでは数ある測定法 の中うち Hydraulic Redistribution の測定に有効な二つの測定法をご紹介します。 Water Movement in Plants 土壌、植物そして大気へと通じる水の経路は、純粋に物理原理に基づいています。 植物は、水分不足の際に蒸散作用を抑えるため気孔を閉じるように、この水の経路(Passage of water)に対し ていくらかの影響力を持っています。しかし環境によって影響する受動的なシステムです。 水ポテンシャルの勾配は、植物内の水経路の移動を促すための物理的なメカニズムです。 水ポテンシャルとは、標準状態(Reference Condition)と比較するときに利用できる仕事量あるいはエネルギー 量のことです。 もっともシンプルな例として、丘の頂上に置かれたボールを挙げます。 この位置でのボールは丘を下るための大きなポテンシャル(位置エネル ギー)を持っています。もしボールが丘のふもと(低い位置)に置かれ ていれば、ポテンシャルは弱く、ボールが丘を上がるためのエネルギー はほとんどありません同様に水は高いポテンシャルから低いポテンシ ャルに移動します。水は常に低い位置へ移動し、登ることはありません。 一般的に水は、丘の頂上に置かれたボールと同じように、仕事をするための大きなエネルギーを持っており、こ の位置においてゼロ値を与えるとします。水ポテンシャルを示す SI 単位はパスカル(Pa)であり、基準点での 水は 0 Pa(ゼロ)を持っていることになります。 (他にも多くの表現があり、B バール、J ジュール、RH 相対湿 度そして KPa や MPa。ここでは MPa メガパスカルを使います。)水ポテンシャルの勾配は基準点 0MPa から、 よりマイナス方向に向かいます。先程のボールの例でいうと、-0.001MPa という値は、ボールがわずかな下り 坂を転がる程度の小さな水ポテンシャル勾配です。-100MPa は、ボールが崖から落ちるほどの大きな水ポテン シャル勾配になります。 土壌において-0.033MPa(圃場容水量:Field Capacity)~-1.5MPa(萎凋点:Wilting Point)の範囲は植物に とって重要な値です。葉における水ポテンシャルは、干ばつによってストレスを受けた植物で-3.0MPa くらい。 乾燥した空気や大気は-100MPa(あるいは相対湿度で 47.76%)とされています。(乾燥した条件下における) 土壌-植物-大気の連続体を通る強力な水ポテンシャルは、-1.5MPa~-3.0MPa~-100MPa となります。こ れは物理的な原理であり、最終的には蒸散作用を引き起こし植物を通した水の移動を可能にします。 この数十年、水ポテンシャル勾配が土壌から大気へ水分を移動しているという解釈だけではなく、植物のある場 所から別のある場所に水を移動させている と広く認識されてきました。現在、下向きの流れ、横向きの流れ、 幹から根への移動、そして根の至る所へ移動する水移動に関する沢山の文書が発表されています。この関係は Hydraulic Redistribution(植物内の液圧分配)などの極めて重要なメカニズムとして、植物の水分欠損の対処に 考慮されています。 Case Studies of Hydraulic Redistribution in Trees Stem-mediated Hydraulic Redistribution オレゴンパイン(Douglas-fir Pseudotsuga menziesii)は、降雨量の少ない環境に耐性を持つマツ科の針葉樹で す。Nadezhdiana 氏(2009)は、低降雨地域(560mm/年)の樹木がどう水分欠損(moisture deficit)に対処し ているのかと興味を持ち、実験のために、ある混合林(0.5ha)から代表的な樹木を選択し、その樹木は樹齢 53 年で胸の高さにおける幹経が 35.6cm あるものでした。 4 つの測定探針を持つ樹液流測定器(HFD:Heat Field Deformation )を複数個 樹木に設置しました。うち二つ のセンサーは樹木の南面と北面に、残りは少なくとも 16cm ある太い根に設置しました(北側と南側) 。乾季に 樹液流のモニタリングを開始し、それから樹木の南側だけ灌漑を実施。この検証実験において、樹木に配置され た様々な各測定点と、その測定点における異なる辺材深さの樹液流が観察されました。 Nadezhdiana 氏はこのオレゴンパインに Hydraulic Redistribution の強いパターンを見つけました。 水は灌漑された土壌から樹木の南側の根システムを通り、南側の幹に向かって移動し、それから北側に面した幹 へ移動した後、樹木の北側にある根システムへ逆向きに流れていました。彼らは、このプロセスの水ポテンシャ ル勾配を明らかにする測定機器を持っていませんでしたが、Stem Psychrometer(枝用サイクロメータ)や Soil Water Potential Sensor(土壌水ポテンシャルセンサー)があれば、それから得られた結果を見ることに興味を持 ったことでしょう。彼らは水ポテンシャル勾配によって、水は灌漑した部分から灌漑していない部分へと移動し ていたと結論づけました。 Foliage-mediated Hydraulic Redistribution 植物において、樹枝の水ポテンシャルよりも葉の水ポテンシャルの方が低いのは、とても一般的な状態です。こ れは根から大気へと流れる水分の経路を理解する上でとても重要な点ですが、しかし、葉から枝へ流れる水分経 路を考慮すると、ある特定の環境下では、葉の水ポテンシャルは樹枝の水ポテンシャルよりも高くなります。 Burgess 氏と Dawson 氏(2004)は、水分が大気から葉、幹そして根へ移動しているのではないかと仮定を立て ました。これは土壌―植物―大気の連続体という従来の理論に挑戦する逆向きの状態です。 カリフォルニア沿岸のレッドウッド(Sequoia Sempervirens:セコイア)は、世界一高い樹木であり、またとて もひどい気孔制御をもつ樹木です。この樹木はよく水分不足を継続しており、一般的にレッドウッドは霧のある 場所に育っていると知られています。 両氏は、霧と多孔性の気孔が、葉による水分の取り入 れを可能にしているのではと考えました。 この研究における樹液流測定器は、低流速や逆向きの 流れの測定が可能な HRM(Heat Ratio Method)法を 利用しました。 (Burgess 2000)彼らは多くの樹木を測 定し、1 本の木に対して 3 つのプローブを胸の高さの 位置に、2 つはおよそ高さ 50m(樹高は 60 あるいは 70m ありました。)の位置に設置、そして 6 つのプロー ブを樹木の高い位置にある 3 本の枝へ分けて設置しま した。 (それぞれ 1 つは枝の下側に、もう一方は枝の上 側に設置) Burgess 氏と Dawson 氏は多くの興味深い樹液流のパターンを発見しました。 そして夜間の樹液流は、相対湿度が低くなる夜の間(20~40%)、レッドウッドが多孔性の気孔を持っていると いう概念通りに観察されました。一日目、典型的な日中の樹液の動きのように、正午ごろに最大の蒸散率が観察 されましたが、二日目に強い霧になると全体的に蒸散は止められ、かわりに 50m の地点と胸の高さに設置した センサーにおいて逆向きの流れが観察されました。逆向きの流動率は、前日の蒸散の 7%と同じくらい高いもの でした。葉に水分が入るというメカニズムは、気孔から拡張された Hyphae(菌糸)や Hair(毛)を通して、水 を引き戻す吸水ひも(Wick)のように働きます。 彼らはクリアな逆向きの樹液流パターンと葉が水を引き込むということを観察したと結論づけました。 水は葉から枝、幹へ移動し、そして(これは計測されませんでしたが)おそらく根や土壌に移動しています。こ の観察は、海岸沿いのレッドウッドの歴史的な経緯から水分不足に対する順応ではないかと考えられます。さら に、水文モデルとして考慮する必要のあるこの森林の水収支コンポーネントとして重要なものです。 Root-mediated Hydraulic Redistribution 根による水の再分配(Redistribution)は、Hydraulic Redistribution の最も広く文書化されたパターンです。 はじめに、その根によるパターンは、土壌水分センサーを用いて発見されました。 (Richards and Caldwell 1987: Caldwell and Richards 1989)水分を持つ深い位置の土壌にある根が、乾燥し浅めの土壌にある根に水を移動す ることを Hydraulic Lift(液圧循環)と呼んでいます。 そのプロセスの背景にある物理学は、水分のある土壌から乾燥した土壌への水ポテンシャル勾配になります。 Hydraulic Lift は、全根の水収支(Water Balance)の要因になるだけではなく、土壌の浅い部分にある根がより 高い栄養レベルにアクセスするように維持させます。日中の水ポテンシャル勾配が土壌内で作られるどんな勾配 よりもはるかに強力なため、根の Hydraulic Lift は夜にだけ観察されます。 Hydraulic Lift が広く文書化されたため、より興味深い研究課題が提出されました。例えば、アマゾン流域のある 特定の地域には激しい雨季と乾季があります。しかし繁茂した熱帯雨林の樹木は、乾季の終わりに向かっても、 めったに水枯れによるストレスの影響を見せません。Oliveira 氏( 2005)は、乾季の間、樹木が好ましい水ス テータスを維持できるものかと疑問に思いました。さらに雨季のはじめに、根システムを利用し、浅い位置にあ る濡れた土壌から深い位置の乾燥した土壌に土壌水分を再分配しているのではないかと仮説を立てました。この 研究が、雨量の浸透を遅くする厚い粘土層で行われたので、Hydraulic Redistribution のこのパターンは、特に明 白なものになりました。 樹液流の測定器として逆向きの流れを測定できる HRM(Heat Ratio Method)が利用されました。 (Burgess 2000) この実験は、管理が可能なブラジルのタパジョス国有林(Floresta Nacional do Tapajo´s, Brazil)で実行され、こ の管理区画は降雨を避けるために土壌上にシェルターが設置され、また土壌は 1m 掘り起こされ、全ての主根(Tap Root)と 4 本の側根(Lateral Root)にセンサーが取り付けられました。 乾季中、Hydraulic Lift に適合するパターンである 根から土壌へ移動する水分が、夜間の根において逆向きの樹 液流で見られました。また雨季のはじめの降雨では、夜間の側根において正方向の樹液流がありましたが、まだ 主根において いくらかの逆向きの流れが見られました。これは濡れた表層付近の土壌から側根に入り、主根に 向かい、そしてより深い土壌へと水分が移動していると示しています。このパターンは、雨季の間、およそ 7 日 間連続して見られ、管理区画における Hydraulic Lift はいつも観察されていました。 気候の変化や降雨のパターンは、森林学にとって、植物がいかに水分勾配に対応するかを理解するのに重要なも ので、Hydraulic Redistribution の研究結果は、逆向きの流れを明らかにしなければならない水収支モデル(特に 集水域モデル)を明白に証明しています。 Case Studies of Total Tree Water Use Phytoremediation and Groundwater Monitoring at Kamarooka 特にオーストラリアにおいて、塩害は経済そして環境にかかわる主要な問題です。 ビクトリア州の中央北部にあるベンディゴ(Bendigo)の北、ここでは塩性が地形に大きな影響を与えています。 2003 年に NUFG(Northern United Forestry Group)が不毛の土地を再生しようとプロジェクトに着手し、その 過程の中には機能的な生態系プロセスの回復と農産の増加が含まれていました。 森林プロジェクトと動物相の環境提供のために耐塩性樹木を立証することは重要な内容であり、シュガーガム (Eucalyptus Cladocalyx)、フラットトップイェーツ(Eoccidentalis)、ウィローワトル(Acasia Salicina)そし て Eumong(Acasia Stenopylla)などの植物をこの塩性の土地(カマルーカ Kamarooka、オーストラリア)に 植えました。木々の周りに 14 箇所の穴を掘り、樹木に覆われていないエリアの地下水を観察しました。 2007 年 一年を通じて、森林部の地下で 3m の地下水の水位低下がみられました。樹木全体で使う水を理解する ために欠く事のできない地下水、その低下に対して、樹木が原因となる影響をもっていたのかを確認しました。 シュガーガムとフラットトップイェーツに HRM(Heat Ratio Method)を使い樹液流を計測。 センサーは 2008 年の 1 月中旬に設置され、観察を開始しました。 2008 年 4 月から 9 月における樹木の平均利用水量は一日あたり 5 リットルでした。プランテーションにおいて 樹木が使う水量は 1 ヘクタールあたり 25,000 リットルです。測定を開始した頃の地下水はおよそ 4m の深さに ありましたが、何度かの激しい降雨があったにもかかわらず、2010 年 3 月時点でおよそ 6m まで下がっていま した。カマルーカにおける樹液流と全体的な樹木の利用水量の観察で、明らかに樹木が塩性の土地でファイトレ メディエーション(Phytoremediation:樹木の生態能力を利用した汚染物質の吸収・分解)として利用すること ができるとわかり、そして林業が経済的にも環境的にも良い効果をもたらすと確認されました。詳細はこちらへ http://nufg.org.au/index.html オーストラリア/ビクトリア州ベンディゴ北部にあるカマローカの地形変化 塩性地での洪水→プランテーション作り→数年経った樹木の成長 Establishing a Forest in a Desert: Antamina Mine, Peru ペルーのアンデス山脈にある Antamina には、世界的な規模の銅と亜鉛の鉱山があります。 海抜 4300m での数十億ドルの投資です。採取された銅や亜鉛は、重力を利用してスラリー(懸濁液)で 300km の長いパイプを通じて港へ運ばれ、港においてスラリーから銅と亜鉛に分別されますが、その際、鉱山関係者は 大きな問題を抱えます。残った水の処理に対して、かなりの環境コストをかけて海へ放水したり、またかなりの 経済コストをかけフィルタリング・プラントで水を農業に利用できるようにしたり、あるいは人の消費に利用し たり、プランテーションを作り残り水を使った灌漑など考慮されました。樹木は「バイオポンプ」として、残っ た水を大気へ蒸発させたり、周辺住民の飲料水の多くを供給する基礎となる帯水層に、排水設備を通し汚染され た水が侵入するのを防ぐ働きがあります。この最後のオプションは、周りを砂漠に囲まれた港にとって魅力的な ものであり、 (現存する森林や農地よりむしろ)植林のプロジェクトになります。 鉱山作業が続けられる中、8 種の樹木 190,000 本を植林した 174 エーカー(およそ 70ha)の森林ができ、一年 を通した樹木の蒸散や季節ごとの変化が早くも明白になりました。樹木が低蒸散になる時期に起こる洪水(また それによって起こる帯水層汚染の危険)を避けるため、どれだけ樹木が水を蒸散しているのかを知る必要があり ました。また鉱山関係者は、排水を与え蒸散で放出するこの平衡を維持する灌漑と森林エリアを増やしながら、 増産を希望していました。最も余分な残水を処理する効果的な方法は、多くの水を蒸散に利用する植物に与える ことでした。 樹液流センサーに HRM(Heat Ratio Method)を利用し、3 つ(Acasia Tamarix Algorrobo)の樹種で 9 本の 樹木に設置しました。18 ヶ月を超える結果、各 3 種の樹木で、それぞれおよそ 35,000 16,500 6,000 リット ルの水を蒸散していたとわかりました。 樹木の水利用を定量化することは、環境規則の厳守に関係する正確なマネージメントの決定や、現在と潜在的な 将来の環境規制の修正の適合を続けながら、鉱山の能力を拡大する正確なデータを可能にします。 鉱山の発掘から出た残水を利用して植林された砂漠の中の森林 Sap Flow Instrumentation Heat Ratio Method (HRM) HRM は Burgess 氏(2001)によって開発され、現在、ICT インターナショナル社から製品としてご利用いただ けます。HRM センサーは 3 本の探針からなっており、中央に温度探針、そして二つの測定探針が上向きの流れ と下向きの流れとして用意されています。探針は 3.5cm 長あり、1.25cm と 2.75cm の位置に温度測定部があり ます。(私たちはそれぞれ外側 Outer と内側 Inner の温度測定部と呼んでいます。)研究により異なる深さに設置 された温度測定部が、樹液流について更に明らかにしました。(Ford 2004 Fiora and Cescatti 2006)下図はセ ンサーの図解です。 HRM は、ヒーターと同距離にある上下の温度センサーにおいて、ヒートパルス放熱後の熱増加率を測定します。 下図において温度センサーa と b、c と d がそれぞれ関係し、測定点 a と b における温度増加率が樹液の方向と 同様に樹液流速を示します。低い比率は樹液の流れが無流速に近かったことを示し(つまり樹木に蒸散がなかっ た)、大きな比率は急速な樹液の流れを示します(つまり晴れた日)。ヒーターから同距離に設置された点により、 熱の動きの二極性がわかり、方向を決定できます。もし値が正値ならば樹液は上向きに流れたことを示し、負値 ならばその逆の方向に流れたことがわかります。 HRM は 3 つの探針とスタンドアローン式のデータロガー(A)で構成され、中央をヒーター、上下二つが温度測 定センサーとなっています。二つの深さの測定点を持ち辺材のラジアル方向に置かれます。 Heat Field Deformation (HFD) HFD の技術は樹液流を測定する画期的な方法です。拡張したラジアル方向の樹液流プロフィールを測定するので、 樹木の正確な水学構造のマッピングを必要とする樹液流研究に適しています。HRM 式樹液流測定器と同様に、 HFD は速い流速や低流速、無流速そして逆流も測定が可能です。kろえらのセンサーが同じ測定範囲で利用でき るように HFD は HRM 式樹液流量測定器を拡張したものとして提供しており、どちらのセンサーも高い互換性を もっています。HFD は 1998 年に Nadezda Nadezhdina, Mendel University, Czech Republic に開発され、ICT イ ンターナショナルで商品化されました。 HFD は、ヒーター付近に対称的に設置されたプローブと脇に設置されたプローブで、辺材部の温度差を測定する 熱力学に基づいた測定法を適用しています。ヒーターは継続的に温度を与え、無流速の条件下で楕円状の温度分 布を形成します。樹液流があればこの楕円状の熱分布は伸びた形にゆがめられます。対称的に設置された測定プ ローブは温度差(⊿Tsym)を測定し、樹 r 機の向きと低流速を測定します。それに対して脇に設置された測定プ ローブは温度差(⊿Tas)を測定し、主に中から高の樹液流速を測定します。 測定した温度差の比率を使い、部分的な状態を把握する各測定点の補正を実施、,K 値を調整し、共通な特徴(可 変水の状態、自然温度勾配、傷の影響など)から、樹液流が計算が実施されます。 パラメータ K 値は、無流速状態での⊿Tsym もしくは⊿Tas と等しく、流速のある状態で K 値は、正確な線形回 帰により推定できます。 HFD は 4 つのプローブで構成されています。3 本が測定用、1 本がヒーターです。ヒーターは一定の熱量を与え、 樹枝中の樹液の移動をデフォルメ化し、温度センサーで検出します。 Sap Flow Tool Software 正確に補正された樹液流量を計算するには、真ヒートパルス速度値、樹木の熱拡散率などの温度プロパティ、ド リルはによる影響、辺材密度などが必要です。Sap Flow Tool ソフトは、HRM や HFD で実測したデータを補助 するために作られ、パラメータを入力することで樹液流を計算します。 下図は HFD で得られたデータから得られた水学構造の情報です。A)はある一日の 5 箇所の測定点における樹液 流密度です。 (各測定点はプローブの 0.3, 0.9,1.5, 2.1, 2.7cm です。)赤い垂直線は朝の 9 時頃にあり、下部のグ ラフはその時間におけるラジアル方向の状態を表していますが、ここでは流量は見られません。B)は同日の測 定結果であり赤い垂直線は午後 3 時頃です。その時点で樹液流は最大となっており、下部のグラフでは 0.9cm の 深さで僅かな増加が見られ、この日の最大樹液流は測定点 2 と 3 で見られ、測定点 4 にいくらかの増加が見られ ました。この樹木が深さ 0.75-2.25cm のあたりで樹液流が集中していることが示されています。 上手は HFD によって取得した 4 日間のデータを SFT ソフトを使ってグラフ化したものです。3 次元化されたデ ータは辺材部の水の動きを容易に描画します。