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Title 冬季フィンランドにおける市民とスポーツのかかわり Author(s) 小出

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Title 冬季フィンランドにおける市民とスポーツのかかわり Author(s) 小出
Title
冬季フィンランドにおける市民とスポーツのかかわり
Author(s)
小出, 高義; 越川, 茂樹
Citation
北海道教育大学紀要. 教育科学編, 65(2): 249-259
Issue Date
2015-02
URL
http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7686
Rights
Hokkaido University of Education
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7年 2 月
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紀 要 ( 教 育 科 学 編 ) 第6
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冬季フィンランドにおける市民とスポーツのかかわり
小出高義・越川戊樹*
北海道教育大学旭川校保健体育研究室
*北海 M J2文育大学却 11 路校保健体育Z研究 'ct~
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概要
冬季フィンランドにおいて市民のスポーツとのかかわりは多様である
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本稿では,特に冬季
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.
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;のかかわり,ならびにアイ
におけるインフォーマルな形態のスポーツ活動,歩くスキーと r
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i民とのかかわりについて実情を間作し,フィンランドにおけるスポーツ理解や
スホッケーと r
学校体育の考え方と関連づけながらその背呆に触れるとともに,フィンランドにおける /f~校体
育を民望することを試みた。市民とスポーツとのかかわりについては,各地域に公共の施設や
学校の施設,ならび、に民間の施設があり,スポーツや身体活動をするために下宇去された白然環
境もあるなかで,
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i民は気軒に身体活動やスポーツを楽しんだり,組織にi
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日会属し円らの r
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J能性
に挑戦したりしていること,ならびに,アイスホッケーが象徴的であるが,行うだけではなく
観ることもフィンランドにおいて日常的なスポーツとのかかわりとして,暮らしに恨付いてい
ることが認められたわまた,そうした状川の背呆には,フィンランドにおけるスポーツの捉え
方が拡大したことや市民の健康意識の増大があることが指摘されたわそして,今後さらにこの
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J(こついて分析する
点について究明していくとともに,学校体育のありん¥ならび、に実践の動 l
ことが課題として確認された 。
1. は じ め に
られている i
上1
)。そして,それは多くの r
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i民 が 行
う円発的な活動に委ねられている (
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.(
川
フィンランドにおいてはライフスタイルの多様
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1
)。 こ う し た フ ィ ン ラ ン ド
川正志訳), 2010,p
化とともに市民が,さまざまなレジャー活動を来
における市民のスポーツ活動においては,健康と
しんでいる。なかでもスポーツに興じる市民は多
運動やスポーツとの関係を非常に意識しているこ
民な生活の内容として位置づけ
く,スポーツは工E
とがうかがわれる c この点は,例えば,地域のス
249
小出高義・越川茂樹
ポーツクラブの整備を進めていく上で,健康, ι
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)c また,フィンランド凶???放送 (
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)
のスポーッ活動のためのガイドラインを作成し桔
のウェブサイト上の英語ニュースの記事 (
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傾的に推進している (Kokko,S
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11)こ
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) からも子どもの肥 満を
とから,示唆されているぺまた, tt:.iLfiにおけるス
めぐる問題を深刻にとらえていることが認められ
ポーツとのかかわりの基盤を形成する役割を担う
主2
)
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ド
学校における体育の授業についても,健康とのか
こうした問題に対処するために,同家レベルで
かわりを志義づけ,その前提としての円発的な運
運動や栄養に閲するさまざまなプログラムや子ど
動への取りキ1
みとその習慣を主たるけ標にかかげ
もや青少年を取り巻く生活環境を踏まえた戦略,
ていることからも認められる。すなわち,イ本育の
とりわけ家庭,学校,地域の連携を前提とした戦
目標は,アクテイブで健康的なライフスタイルを
略を収て民聞を試みている (Brettschneider,
:
.涯にわたり参
促進するために,スポーツ活動に t
W.-D.,u
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9,p
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8
)。その成呆の現れの一つが,
加 す る こ と へ と 教 育 す る こ と で あ る (Finnish
子どもや青少年の地域のスポーツクラブの参加率
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),とし
の微増にみられる c とりわけ北部フィンランドに
ている点からも理解できる c
おいては, 2
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6年には 29%であった参加率が 2
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1
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学校期の子どもや青少年の H常
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:
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を
み
る
と
,
年では 35%となっている (SLU,2
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3,p
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3
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)ぺ
フィンランドには H本のような部活動がないた
このようなフィンランドにおける子どもや青少
め,おおよそ小学中は 8時から 1
4時まで, j
II午t校
年の現状をふまえると,この同が北海道と気候が
は 8時から 1
5時までが就学時間で,その後帰宅す
頬似しており冬季スポーツがさかんである .H
るかあるいは学童保育に通うこととなる c ただし
で,冬場の活動も含めて子どもや青少年の生活習
学校は週の授業時間数が設定されているだけで,
慣の変化や運動不足による肥満の問題が深刻化し
それぞれの学校の裁量に任せられているから,あ
ている点からも注 I
[に佃するといえる。その際,
くまでもおおよその時間である。
子どもや青少年に限定したスポーツとのかかわり
フィンランドスポーツ連盟の調杢によると,
のみならず,この同における市民とスポーツとの
2
0
1
0年ではスポーツクラブに参加した子どもや青
かかわりにJi:目することは意義のあることと思わ
少年の割合は 3- 6歳で 29%, 7-11歳で 54%,
れる。なぜなら,+どもや青少年と述助とのかか
12-1!J歳で 56%,そして 1
5-18歳で 3!
J
%となって
わりは,家庭や地域,社会におけるスポーッを取
いる (SLU,2
0
1
3,p
.
3
2
)。およそ 2
0年前からの推
り巻く状況の彩響を少なからず受けていることは
移をみると,1!J歳以下では 1
9
9
5年以降少しではあ
否定しがたい事実であるからである c
5-18歳では 2
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0
0年代はほ
るが年々伸びており, 1
また,体育とは,人間と運動の関係を取り扱う
.,
ぼ横ばいという傾向がみられる (Lehtonen,K
教科であり,社会における人間と運動の関係がど
Hakonen,H
.,2
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3,p
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.
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のような 4
犬況であるのか,あるいはどのような関
しかしながら,近年子どもたちは,スナック菓
係が望ましいかを,子どもや青少年の健やかで仲
子などをほおばりながらゲームをするといった t
:
.
びやかな成長と運動との関係をも合めて民望し,
活も珍しくないようである c 実際,冬場の活動も
子どもや青少年と運動とのより良い関係のあり々
含めて子どもたちの生活習慣の変化や運動不足に
を見傾め,その学習を仕組んでいくことが求めら
よる肥満の問題が取り沙汰されている。例えば,
れるからである c
青少年の過体重や肥満の問題は,近年ヨーロッパ
そこで本稿では, 2
0
1
4年 3月ト白Jに行ったフィ
諸問(フィンランドも合まれたデータから)にお
ンランドにおける現地調杢を干がかりに,特にイ
いて特に問題侃されていることがらである
ンフォーマルなスポーツの取り組み,歩くスキー
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i民のかかわり,ならびにアイスホッケーと r
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250
冬季フィンランドにおける市民とスポーツのかかわり
民とのかかわりについて取り上げ,その実情を報
していた。そうした時間でなければ,どこからと
告する。
もなく子どもたちがリンクにやってきて,アイス
そして,フィンランドにおけるスポーツ理解や
学校体育の考え方と関連づけながら調査によって
ホッケーをすることは日常の光景であり,視察時
にもそのような姿が見受けられた。
認められた実情の背景に触れるとともに,フィン
ヘルシンキ市には,中央駅のパスターミナルの
ランドにおける学校体育を展望することで北海道
脇に屋外スケートリンクが整備され,市民の憩い
の学校体育のあり方に資することとしたい。
のスケート場となっている。 滑走代金は,大人が
6ユーロ,子ども, 1
8歳以下の学生,シニア,失
2
. インフォーマルにスポーツとのかかわり
を楽しむ市民
業者,徴兵者等は 4ユーロである。スケート靴は
施設横のカフェ兼受付で、レンタルでき,料金は 5
ユーロである。
フィンランド北部の中心都市ロヴァニエミの市
また,指導を受けたい人は, 30分単位で個人レッ
0分ほど離れた場所にある公共の
街地から,車で ]
スンを受けることもできる。料金は 30分で 1
5ユー
屋外アイスホッケー場では,スキー休暇中の中学
ロである。月曜日から土曜日は 12 時 ~2] 時まで(土
生が 5人くらいでアイスホッケーに興じていた。
曜日は 10時オープン)の時間帯,日曜日は 1
0時
また,父親や母親が小学生の子どもや幼児ととも
1
8時までの時間帯で滑走できる。老若男女,親子
にアイスホッケーをしていた(写真 1。
)
や夫婦,そして友人同士とさまざまな市民が,リ
ンクを周囲したり,フィギュアスケートの志東習を
したり,個人レッスンを受けたりと思い思いの活
動をしていた(写真 2。
)
ふ
写真 1 アイスホッケーのある日常
そのホッケー場は,地域のスポーツクラブ等が
貸し切りで使用していなければ,市民が自由に
写真 2 スケートをする親子
使ってもよいものであった。施設はオープンで更
衣室に使用時間と使用予定が掲示されているのみ
ロヴァニエミ市には,世界的な観光地として有
であり,視察時は子どもたちが自由に滑ったり,
名なサンタクロース村のなかにもスポーツに触れ
アイスホッケーをしたりしているその横で,整氷
る場所が設けられている。スノーモービルパーク
車がリンク整備を行っていた。
であり,そこには一般用のスノーモービルの貸し
また,フィンランド南西部の工業都市タンベレ
出しがあり,コースがつくられていた。しかし,
の屋外アイスホッケー場では,地域のスポーツク
それのみならず,子ども用のスノーモービルも完
ラブにおける子どもたちの活動後に,大人たちの
備し,専用の林間コースによって体験できるよう
地域クラブや企業のクラブチーム等が団体使用を
になっていた(写真 3)。ここはレストランに併
2
5
1
小出高義・越川茂樹
ウナは以前から故障しており使用できない状況に
あるという。入水後に暖を取ることもできないの
になぜ、泳ぐのか聞いたところ「それが気持ちいい
からだ。」と,答えが返ってきた。それでは納得
いかない顔をしていたところ「おまえも入ってみ
や
ればわかる。」と勧められたが,丁重に断った。
ここで、の遊泳時間は, 20分程度の人が多いよう
であった。このインタビューの後も野外水泳をす
る市民が途切れることなく着替えを済ませると,
写真 3 子ども用のスノーモービル
O度近い水に入っていった。
ノルデイツクウォーキングはフィンランドにお
設されていることもあり,家族連れが途切れるこ
ける最も盛んな市民スポーツの一つである。冬季
となく利用していた。
においても路面状況が許す限り行われている。
さらに,ロヴァニエミ市では,河川が凍り付い
フィンランドでは自動車道と歩道が完全に区別さ
た頃,その上をスノーモービルでツアーするプロ
れている環境が,こうしたスポーツを都市部でも
グラムもスポーツトレーニングセンターには用意
手軽に行うことを可能にしている面が多分にある
されており,市民には手軽に体験できる冬季の
と推察された(写真 5。
)
モータースポーツとなっていた。
タンベレ市内の川のほとりでは,早朝にもかか
わらずロープで因われた野外水泳の場で泳ぐ人々
が何人もいた(写真 4)0 J
I
I岸には更衣室が完備
され川に入る階段,救命用の浮き輸が設置されて
いた。
写真 5 早朝のノルデイツクウォーキング
当然のことながら,クロスカントリースキーも
盛んで、ある。近隣の森には専用のコースが整備さ
れており,冬季には市民が自由に利用できるよう
になっている。そこは士の小径であり,夏季には
写真 4 冬でも日常的に野外水泳を楽しむ市民
ノルデイックウォーキングのコースとしての利用
されるようだ。
この公共の野外水泳場に来ていた何人かにイン
クロスカントリースキーは,専用のコースのみ
タビューを行った。それによると,ある青年は週
ならず,凍った湖の kを滑ることも一般的に行わ
に何日か泳いで出勤するとのことであり,さらに
れている。フィンランドには湖や森が多く,そう
高齢の女性たちは,毎日泳ぎに来るとのことで
した環境を活かしスポーツに興じる機会を大切に
あった。聞くところによると,ここの更衣室のサ
しようとしている意図が理解で、きる。
2
5
2
冬季フィンランドにおける市民とスポーツのかかわり
以上のように,なんらかの組織に所属しスポー
ツや身体活動を行うスタイルではなく,気軽に各
自が無理なく自由意志で行う身体活動やスポーツ
があちこちにみられた。そうした環境のなかで
フィンランド市民の健康に対する高い意識と,ス
ポーツを生活の内容として豊かに生きるライフス
タイルが,市民には浸透していることがうかがわ
れた。
まさに生涯スポーツの考え方が根付き実践され
写真 6 競い合う子どもたち
ている国の一つであるということが認められた。
そして,そこにはそれを可能にする自然をうまく
利用した環境や身近で気軽に身体活動を行うこと
リースキーを行う絶好の機会となっていたようで
のできる環境が整備されていることが,この要因
ある。
の一つであると推察された。
ノルデイツクのワールドカップ (
Nordics
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WorldC
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)が,ラハテイ市で開催される場合は,
3凶歩くスキーに親しむ市民
本調査の少し前に,ノルデイツクのワールド
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at"という固有名詞によっ
必ず“ S
てそれが表現される。この言葉は,サルパウスの
丘(背中)の競技会という意味で,ラハティ市の
カップ(第 26戦 2月28日 第 28戦 3月 2日)が,
スキー競技施設の南側をちょうど囲うように走る
ラハテイ市において開催された。例年は積雪を心
丘に由来している。
配する必要のないこの競技会場も, 120年ぶりの
こうした固有表現をするのは,ラハティ市のス
暖冬で雪が不足し,スノーマシンで雪をつくりク
キー競技施設がいかにノルデイックスキーにおい
ロスカントリーコースに運ぶという厳しい状況の
て重要な拠点であるかということ注4),そして,
なかでようやく開催できたとのことである。
この都市がいかにノルデイツクスキーのまちであ
このワールドカップの翌週に,クロスカント
るのか,ならびにいかに市民がノルデイツクス
リースキー(歩くスキー)のジュニア(小学校低
キーとともに暮らしているかの表れでもあると考
学年)の大会が,同会場で
えられる。
会の趣旨は,子どもたちがワールドカップへ参加
ちなみにラハティ市を紹介する際には,
3つの
したかのような雰圏気を楽しむことで,ますます
有名なものを市民はあげるという。それは,フィ
歩くスキーを積極的に行い競技会で自らの力を試
ンランドで最初にラジオ放送が行われた地である
し,高いレベルに挑戦するようにという願いが込
ことを誇る 2基のラジオ塔,フィンランドが生ん
められていた(写真 6。
)
だ世界的な音楽家シベリウスにちなんだ音楽堂の
ここでの参加者-は,およそ 350名であった。ユー
シベリウスホール,そして,フィンランドのノル
スの大きな大会が他の地域で開催されているた
デイックスキー競技の拠点であり,まちでひとき
め,この大会への参加者は日本の小学校 1年生か
わ目立つスキージャンプ台である(写真 7
。
)
ら 4年生であったが,フィンランド国内から多く
スキージャンプ台からジャンプする方向にはま
の子どもたちが出場していた注 3)。試合の前には,
ちの中心地があり,スキージャンプの選手たちは
親子でコースの│ご見をしながら,競技会に備える
まるでラハティのまちに飛び込んで、いくような形
子どもたちも多くみられた。それは,大人にとっ
でジャンプすることとなる。この施設は夏には一
ても環境の整った施設において,クロスカント
部の着地のエリアをプールとして使用するように
253
小出高義・越川茂樹
もちろんこの背景には,フィンランドのアイス
ホッケーの競技力の高さも関係しており,ナショ
ナルチームの活躍が市民のアイスホッケー熱をさ
らにヒートアップさせていると推察される。
014年 2月のソチオリンピックで男
最近では, 2
2
0
1
3年 の 世 界 ラ ン キ ン グ は 2位), 女
子 が 3位 (
子は 5位 (
2
0
1
3年の世界ランキングは 3位)とい
0
1
3年 の U-20のワール
う結果であった。また, 2
ドカップでは,男子チームが宿敵スウェーデンを
写真 7 ラハティ市のシンボルの一つであるスキー
ジャンプ台
延 長 戦 の 末 3-2で破り優勝した。こうしたトッ
プレベルにおける活躍がフィンランドにおける市
民とアイスホッケーの鮮を強くし,アイスホッ
つくられており市民のレジャー活動の人気スポッ
トともなっている。当然サマージャンプ大会もあ
り,市民はプールで遊びつつ,サマージャンプの
様子を観ることができるようである。
ケー文化を育てていく原動力の一つになっている
と思われる。
このようにアイスホッケーは,市民の楽しむ代
表的なスポーツの一つであり,学校における体育
このように冬季のみならず夏季においても市民
の授業では必ず取り上げられる内容の一つで、もあ
のレジャー活動の場として親しまれているスキー
る。学校にあるアイスホッケーリンクか,もしく
ジャンプ台施設が,市民の誇る 3つの有名物の一
は,都市部でみかけるように地域のアイスホッ
つに位置づけられていることからも市民とノル
ケーリンクを使用し,アイスホッケーを体育の授
デイックスキーが深く結びついていることが理解
っている。
業で千T
できる。
jうことはもちろんの
さらにアイスホッケーを f
こと,観るスポーツとしてのアイスホッケー文化
4
. アイスホッケー観戦を楽しむ市民
もフィンランドにおいては根付いており,ナショ
ナルチーム,ならびに地元のプロチームの応援に
フィンランドにおいてアイスホッケーは,最も
多くの市民が力を入れている。シーズン中は市民
人気のあるスポーツのーつである。おそらくほと
の多くが自分のひいきにするチームの勝敗に一喜
んどの市民は,アイスホッケーが国技だと理解し
ー憂すると言ってよい。
ているといってよい。 2
003年当時の教育大臣であ
フィンランドのアイスホッケープロチームは,
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)
るトゥーラ・ハータイネン (
2013/14シーズン現在日チームで構成されている。
PISAにおける好成績の理由について説明
チームのホームは,フィンランド南部がほとんど
する際に,アイスホッケーによる聡えを出したこ
であるが,北部地域を代表するチームとしてオウ
とからも,いかにアイスホッケーカ宝フィンランド
O
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)市のケルパト (
K
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t
)がある。昨シー
ル (
における国民的なスポーツであるかを示してい
ズン 1位を確定にしたチームである。
氏が,
る注 5)
ここでは,タンベレ市において行われたリーグ
また,スポーツニュースにおいては,フィンラ
戦について紹介し,フィンランド市民とアイス
ンドにおけるアイスホッケーのプロリーグ,スオ
ホッケーの結びつきについて報告する。本稿で紹
S
u
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m
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i
i
g
a
)の試合が行われた際には,
ミリーガ (
介するスオミリーグの公式戦は,観戦時にリーグ
トップニュースで伝えている。世界のなかでアイ
2位確定で,プレーオフ進出をすでに決めている
スホッケーをこよなく愛する国のーっといえる。
タッパラ (
T
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) が,ホームに 7位のヨケリ
2
5
4
冬季フィンランドにおける市民とスポーツのかかわり
ト O
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r
i
t
) を迎えでの試合である注 6)。
観客は,試合の 1時間あまり前から途切れるこ
しかしながら,その熱狂は相手に罵声を浴びせ
ることや警備員が逐一監視しなければならないほ
となく席を埋めていく一方で,施設内のパーや観
どの行為が生じるといったことは一切なかった。
客スタンド裏等でのどを潤したり,歓談したり,
試合直前には,応援歌を歌いチーム名を連呼する
試合前の練習を眺めていたりとそれぞれで,試合
応援によってチームの攻撃にリズムを与えると
開始を待ち構えていた(写真 8)。
いった形でチームと観客が一体となった感があっ
た。試合終了後も淡々と帰途に就く姿が印象的で
あった。リーグ戦や地域のチーム同士の対戦など
をアイスアリーナに足を運び,老若男女問わず温
もりのあるチーム愛に根ざした応援を行うのが,
フィンランド市民という印象を受けた(写真 1
0
)。
写真 8 試合前の観客たちの談笑
そして,試合開始直前には,熱烈な D]の先導
により選手紹介や映像による最近の活躍などが流
れ,チアリーデングを伴った応援や音と光による
0 観客席の様子
写真 1
演出によって場内が彩られるとともに,観客によ
る熱狂の渦に包まれた独特の空間が創り出され
た。女性も男性もそして,子どもから大人まで l
幅
T
a
p
p
a
r
a
) の他に
タンペレ市には,タッパラ (
広い年齢の人々が家族や仲間とともに会場に訪れ
もう一つイルヴェス(Ilv
e
s
) というプロチーム
ていたが,特定の応援団等による集団的な応援は
があり,市を二分しているといっても過言ではな
みられなかった。試合はー進ー退の攻防であった
い。なかには親子で応援しているチームが異なる
(写真 9)。 こ の 日 の 白 熱 し た 試 合 展 開 が 観 客 の
という場合もあるなかで,お互いのひいきにする
熱涯をさらに高め,会場はパックの行方に釘付け
チームへの愛は,相当なものであることが認めら
であった。
2月 に 屋 外
れる注 7)。ちなみにタンペレ市では, 1
の ア イ ス ホ ッ ケ ー リ ン ク で こ の 2チ ー ム が 交 流
c
eWinterC
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s
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cTampere" を繰り
戦,“ OpenI
広げる。市民のアイスホッケーに対する情熱を考
えると,この対戦時におけるタンペレ市民の熱狂
は想像に難くない。
5
. まとめ
以上が,今回の調査において認められた,イン
写真 9 一進一退の攻防
フォーマルなスポーツの取り組み,歩くスキーと
255
小出高義・越川茂樹
d
i民
フィンランド詰において,ウルヘイル (
u
r
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i
l
u
)
とのかかわりそれぞれについての実情である。以
という斤葉は主として競技スポーッを示すが,そ
下でその背誌について整理することにより,フィ
れより広義な斤主としてリークンタ (
l
i
i
k
u
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a
)
ンランドにおける学校体育を受け,北海道の体育
が使用されるようになっている (Koski,P
. (川川
について提言しまとめとしたい川
正志訳), 2010,p
.
2
1
5
)(、リークンタは他閃では「運
山宇民のかかわり,ならびにアイスホッケーと
ヘイキナロ
2
0
0
5
)は
,
ヨハンソンとテルマ (
安全ですばらしい学校の体育施設の整備や円治体
動 J, i助き」や「身体活動」と翻訳されるものの
(Koski,P
. (川西 I
ι
ι訳
)
, 2010,p
.
2
1
5
;Richter,
のスポーツ施設の位置に対する学校の志思決定が
C
.,2006,p
.
3
8
),現在フィンランドでは教科名と
あることを珂由に,フィンランド社会が,もしく
して使用され,意味もさまざまな人々の多粧多様
は,フィンランドのあらゆる人々が身体活動やス
な形態のスポーツを指す言葉として市民権を得て
ポ ー ツ を 高 く 言H而 し て い る と 指 摘 し て い る
いる。こうした点がフィンランドにおける市民の
(Heikinaro-Johansson,p
" Telma,R
" 2005,
pp2
6
1
2
6
2
)c
,
実際,フィンランドの各地域には公共の施設や
スポーツ活動の環境を整える上の前提となってお
り
, I
l
i
.
[
¥
;とスポーツとのかかわりの多様化を索引
していると考えられるのである。
学校の施設,ならび、に民間の施設があり,スポー
また,体育の授業の目標は,アクティブで健康
ツや身体活動をするために下宇たされた白然環境も
的なライフスタイルを促進するために,スポーツ
あるなかで,市民はインフォーマルな形で気軽に
活動にJt涯にわたり参加することへと教育するこ
身体活動やスポーツを楽しんだり,組織に所属し
とである c 教科体育における健康の概念の核心に
円らのJ1Ji 性に挑戦したりしていることが,今凶
は,アクテイブなライフスタイルが位置づけられ,
の調査により確認された。
生涯にわたるスポーツ活動がそれを支えるという
m
また,アイスホッケーのように,行うだけでは
なく観ることも日常的なスポーツとのかかわりと
R
i
c
h
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e
r,c
.
, 2006,p
.
2
6
2
)c
考えん宇が認められる (
つまり,生涯にわたるスポーツ活動へと学校期
して,フィンランドでは暮らしに根付いているわ
において動機づけることが,持続的な態度として
加えて,フィンランドでは子どもたちのスキー休
の高齢期に至るまでのアクテイブなライフスタイ
暇に合わせ,親が休暇を取ることが一般的に認め
ルの基盤となり,健康 1
.の効呆の意味を強化する
られており,同凶に気兼ねなく有給休暇を取得で
上で革:民であると理解されている (Richter,C
.,
きる。このことが,親子での運動参加の機会を保
2006,p
p
.
2
6
2
2
6
1
1
)c そして,その際,生涯にわた
障することにつながっているとともに,スポーツ
るスポーッ活動の実践を I
I
J能にする凶子として,
職業'、?校が市民のスポーツ t
:
.活を文え,子どもや
活動白体の再びと身体活動の必要性に閲する珂解
青少年の学校外におけるスポーツ活動の充実に寄
があると,フィンランドの実証的な研究が示して
うしているといえる(小出・越川, 2
0
1
1
)。
R
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r,c
.
, 2006,p
p
.
2
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1
)c
いる (
こうした ;
I
J
¥i}t:は,フィンランドにおけるスポー
こうした考え方が追求されて以米,フィンラン
ツの I
雫解が,特定の領域に限定されたていたこと
ドでは,週 1同何らかの身体活動を行う人の割合
から解肱され,より広いスポーツ理解になってき
は,見性では 60%以上 ,
1
;
.
:性では 50%と高い値を
たことに関係していると考えられる c フィンラン
ボしている cそれどころか週に 2-6凶の割什は,
ドにおいては 1970イド代から,競技スポーツやエ
k性で 110%以上,見性で 35%以上であるという
リートスポーツ重視から,あらゆる人々に対する
R
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c
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r,c
.
, 2006,p
.
2
6
4
)。
データも示されている (
健康志向の身体活動を推進する傾向が,同の l
i
者政
さらに,品近の動向として,フィンランド岡家
策に明確に認められる (Vouri,1
.,Lankenau,B
.,
教育委員会 ìì引が,|「身体活動と /f~ 押 1 (Syvaoja,
PraU,M.,2
0
0
1
1
)。
H.,Kantomaa,M.,Laine,K.,Jaakkola,T.,
2
5
6
冬季フィンランドにおける市民とスポーツのかかわり
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.
, Tammelin,T
.
, 2
0
1
2
) といったタイト
ルの部作書をまとめた c この間行書において,子
と取り扱いは促進されるであろう i
i刻
。
その際,体育のけ標として,アクテイブで健康
どもの学習における身体活動の効果に閲する 2008
的なライフスタイルを f
足進するために,スポーツ
年から 2011年における品新の研究成呆によって,
活動にJt涯にわたり参加することへと教育するこ
子ども期における身体活動の意義を認め,同委員
とが目指されるなかで,スポーツを来しみ肯定的
会は現在その積極的な文援に動いているわ
核におかれる方向性は,現
''
な態度を育むことが1
J~.体的には,
f~j'í'書のなかで,身体活動の充実
在から引き続き変わらないことが,フィンランド
は身体全体における影響を超えて脳の発達に効果
社会における山宇民とスポーツとのかかわりや教
的であることが強調され,身体的にアクテイブな
育・スポーツ政策の動向からもうかがわれるぺ
ライフスタイルの構築が,ライフサイクルの全て
今後,フィンランドにおける新しいカリキュラ
の段附における全般的な健康に良い影響をもたら
ムの分析 ,/f~校における身体活動の 1\i: 世づけや実
し得るとし,学校における体育のほ業を含む身体
際の実践状況,ならびに地域のスポーツクラブの
活動や学校外における身体活動の充実を, J
L体的
活動状況等について,調査をさらに進めていくこ
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.,K
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な例を提示して勧めている (
とを課題としたい c
maa,M.,Laine,K
.,Jaakkola,T
.,Pyhalto,K
.,
最後に,北海道の学校体育のあり方について若
Tammelin,T
.,2012)(、さらに,活動的な子どもは,
干触れることとしたい。 t
l本においては,児章-
ストレスをうまくコントロールできるという研究
Jt徒の体 )
J向上を主要な課題と受け I
r
.め,現行の
報(
I
Jも提示されている (
Y
l
e,2013,6560239)c
学習指導民領において,体育の J
受業│時間数を 9
0時
J~. 体的な取り組みとして,
2010年 か ら
聞から 105時間に増加させた。
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F
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eMoveJ を開始し,+ど
こうした状i}~ "
1で,北海道における体 )
Jテスト
もたちの身体的にアクテイブで健康的なライフス
の半均は,全凶的にみるとかなり低く,この点が
タイルの推進を図り,その評価を行っている。そ
道内において問題視されている。それゆえに,時
れは, iMove!J という名称の体)
J・運動能力の
間数増加が,単に児主主 .t
:
.従の運動景を増やし,
J・運
測定・評価システムによる子どもたちの体)
Jテストの結呆を向 1
'
.させることに向けた取り
体)
動能力をめぐる管 I
唱である。
組みと結びつき,体育授業がトレーニング化され
このシステムにより,子どもたちの体力・運動
能力の測定を行い,その結果をフィードパックし
ていくことが危恨される c
この点についてフィンランドでは,さまざまな
てライフスタイルの改善につなげている(長兄,
実証研究の哀付げにより,生涯にわたるスポーツ
2014, p.7
5
)
ρ そこから, Jt ~lî 改苔を|ヌ|るといっ
活動へと /f~校期において動機づけることが,持続
た成巣がみられるようであるが,肥満改苔の傾向
的な態度としての高齢期に宅るまでのアクテイブ
等を示すデータまでは明らかにされていない。
なライフスタイルの基盤となり,健康上の効果の
こうした動向のなかで, 2016年に施行される新
意味を強化する 1
'
.で、重要で、あると珂解されてい
しいナショナルカリキュラムでは,イ本育の時間数
る。こうした I
雫解のドで,、?校体育全体が動いて
が増加することがすでに提示されている c フィン
いる c
ランドにおいては,基本的にすべての教育政策は
実証的な研究の結果に基づいて策定されてし、く
c
これらを参考にするならば,日本においても,
j
i
i.に児童・生徒の運動量を増やし,体力テストの
それだけに先述の岡家教育委員会における報告 l
i
;
:
結呆を向 1
'
.させることに躍起になることは避けた
の提示は,フィンランドの体育に対して少なから
い 、体育の授業では,彼らが H常の t
:
.活リズムを
ず影響を与える。今後ますます子どもや青少年期
整えるとともに,運動・スポーツの意味や価値,
におけるスポーツや身体活動の桔械的な志味づけ
ならびにそれらを日常生活に取り入れていく五法
r
2
5
7
小出
高義・越川
生徒が生涯にわたり運動・スポーツに却しみ,
生
を学ぶことが求められる。そのためには, 児童・
i
百を豊かにしていくことを主眼とした指導こそが
必要となる。
茂樹
決まっておりこの試合はフィンランドリーグにおいて
タッパラ (
Tappara) と戦う最後の試合であった、潤
沢な資金を有しているロシアリーク、への移籍はフィン
(
Y
l
c,2013,6908587;
ランド国内でも,;&題になっており
l
c,2011,7115605),スポー
6
7
2
2
3
5
5
;6710570;6709853,Y
ツにおける経済的要因の強さを改めて感じさせる i
l
I来
謝
事である。
E
宇
注 7)この点について,例えば,タンペレ市在住であり,
調杏イりI
先に伴い現地で協力していただし、たカイ・アン
本調査に閲しては, メリカント・ベッカ氏(ス
デルセン (
K
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j
ci
¥ndclscn) 氏親子へのインタヒ、ユー
ポーツコーディネーター・元全 H本ノルデイク
のなかにおいてもうかがい知ることができたハインタ
'
(I
専氏(JFデザイ
チームジュニアコーチ) 高橋 p
ン社) カイ・アンドレ
セン氏(元青年会議所役
員)にご協力をいただいた c ここに記し感謝の志
く語っていた様子がその点を物語っていた
注 8) フィンランドには
あるハ
を表したい。
なお,本側究は
ビュ一時に応援しているチームのことに話が及ぶと,
1
1j'の良い親子でさえお互い距離をおき,それぞれが熱
HATOプロジ、エクト(へき地・
小規模校教育に関するプロジェクト) により実施
したぺ
J
2つ の 主 た る 教 育 行 政 機 関 が
ゐつは教育立;化省であり,ここでは学校の設置
等のハード│自 i
の業務が行われる。もう
ーつは,その下
部組織である国家教育委只会である、ここではソフト
l
削の業務,すなわち,ナショナルコアカリキュラムの
策定や教育評価,国内外の教育情報の提供等が行われ
るハこうした国家教育委片会の業務は,教育文化省の
、王
脚
注 1) 例 え ば , フ ィ ン ラ ン ド 在 住 の 藤 井 (
2
0
0
5
) や痢│付
(
2
0
0
8
) は市民の斗j古の操子として,スポーツとの豊
ハード l
白i
の業務に対して重要な影響 )
Jを持っているこ
とは, iうまでもない
n
:9) そ の 今 方 で , 子 ど も た ち の 学 校 外 に お け る ス ポ ー
ツ出動については,フィンランド凶???欣送の調査によ
ると
5分の lの 家 庭 で そ の コ ス ト 肖 を 理 由 に , 子 ど
1
'田 (2008) もf
f
f
J
y
t時 の 体 験 等
かなふれあいを,また '
も に 行 わ せ ら れ な い と いl
答している
をもとにフィンランドにおける市民とスポーツとのか
6607009)ハ 特 に ア イ ス ホ ッ ケ ー を 筆 頭 に そ の こ と が 大
かわりについて紹介している内これらの紹介からも,
きな阻害要因となっている
(
Y
l
e,2013,
(
Y
l
c,2011,7009838;
フィンランドでは市民生活のなかで,スポーツが重要
7180816)ハ 平 等 性 が 1
1::1保されることがフィンランド社
な佼置を, I
iめていることが珂解できる。
会全体の前提とされていることからするならば,こう
"
1営 放 送 の 英 語 ニ ュ ー ス の ウ ェ ブ サ
注 2)フィンランド 1
イトを参考にしたことのぷ L)iについては,当該箇所
した家庭の経済的な背呆にかかわってスポーツができ
ない状況を解消するために,学校における体育の授業,
にY
l
e (フィンランド 1
"
1営放送), {f号及び記事の昏号
ならびに学校生活における積械的な身体活動の機会の
を明記することとした。
提供が促進されていくと考えられる
注:))この大会の役員の一人は, f.ょたちが H本から米た
とわかると,何度も「葛州,おめでとう」と言いながら,
握予をしてくれた。葛州選予は,このワールドカップ28
引用・参考文献
立と活躍したが,この祝悩の言葉はソチオリ
戦にも 9{
ンピックでのメダル獲得を祝つてのものであった。
注 4) H本 の ナ シ ョ ナ ル チ ー ム も ヨ ー ロ ッ パ に お け る 練
習 の 拠J
江
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注:i) ア イ ス ホ ッ ケ ー で は , す べ て の 児 女 を 分 け 隔 て な
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,
' Schmidt,W ,(Hrsg,
) Kulturcn dcs
くプレーさせることで,誰にも白分の技能を尖践する
]ugcndsportsBildung,ErzichungundGcsundhcit,
同ーの機会をうえることができるという例えから,習
熟度別クラス編成ではなく,機会均等こそが最も能力
を仲ばす道であると述べている(福田, 2007,pp,
1
5
)、
n
:6)ヨケリト(JokeriL) は,ロシアリーク、への移籍が
258
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Bunemann,A,(2005) J
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尖践者が語る.
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