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APPROACH 21号 - 一般財団法人海外産業人材育成協会

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APPROACH 21号 - 一般財団法人海外産業人材育成協会
APPROACH
21
vol.
2007.7.4
編集責任者:
(財)海外貿易開発協会
総務部長 大嶋 巖
Inside Topics
1
JODCからの
Newsletter Title
JAPAN OVERSEAS DEVELOPMENT
CORPORATION
追加募集締め切り:
マレーシア・タイへの専門家派遣事業
7月18日(水)
EPA型(経済連携促進専門家派遣事業)
お知らせ
<専門家の声>
2
山田専門家
(インドネシア)
◆対象企業:マレーシア及びタイに現地法人を持つ日本企業、又は
日系企業/ローカル企業と取引関係のある日本企業
ご検討中の皆様、
お早めにお申込下さい
1.派遣期間:2007年9月~2008年2月
2.申請方法につきましては、URLをご覧ください。http://www.jodc.or.jp/epa_haken/
【問合せ先】 派遣業務部EPA担当 TEL:03-3549-3051 e-mail:[email protected]
3
関田専門家
JODCセミナー
(タイ)
in
4
増田専門家
(タイ)
・
JODC理事長からの
エール
バックナンバー:
http://www.jodc.or
.jp/approach/
「APPROACH]は
メルマガでも配信
中です。配信希望
の方は下記サイト
よりお手続きをお
願いします。
JODC事業
開発途上国に対し、
日本産業界で培っ
た優秀な技術をも
つ専門家を日本企
業から派遣し、専
門家の技術指導を
通して、現地産業
の人材育成、現地
日系企業の事業活
動の支援をすると
ともに、開発途上
国の産業発展に寄
与することを目的
として活動してい
ます。
詳細はこちら:
http://www.jodc.or.jp/
JODCセミナー開催
バンコ ク
◆在タイ日系企業に対するJODC
JODC専門家派遣事業説明・活用実例紹介◆
専門家派遣事業説明・活用実例紹介◆
7月19日
(木) 受付開始 13:00
1.日 時: 2007年
セミナー 13:30~16:00
個別相談 16:00~17:00
2.場 所: デュシタニ ホテル バンコク (会場:デュシタニ ホール)
3.主 催: 財団法人海外貿易開発協会(JODC)
4.後 援: ジェトロバンコク・センター
5.参加費: 無料
詳細は後日ホームページに掲載します
【問合せ先】
問合せ先】 JODCバンコク事務所
JODCバンコク事務所 畑中、池田
TEL +66+66-2-255255-2370 FAX +66+66-2-255255-2372
申込締め切り:7月12日(木)
企業
海外進出日系
in
支援セミナー
◆JODC専門家派遣事業に関する支援制度
愛媛
の説明
◆進出日系企業の制度活用実例紹介
8月8日(水)13:30~15:30
1.日 時: 2007年
個別相談会:15:30~16:30
2.場 所: アイテムえひめ多目的ルーム(3F)
3.主 催: 財団法人海外貿易開発協会(JODC)
4.共 催: 四国経済産業局、ジェトロ愛媛、
社団法人愛媛県産業貿易振興協会
5.参加費: 無料(ただし駐車場使用は有料)
【問合せ先】
http://www.jodc.or.jp/より
申込書をダウンロードし、必要事項を記入の上、FAX又はメールにてお申し込み下さい。
〒104-0061 東京都中央区銀座5-12-5白鶴ビル4F
(財)海外貿易開発協会 総務部(担当:野上、東小野)
TEL:03-3549-3050 FAX:03-3549-3055
ご意見・ご感想等を「APPROACH」
担当者までお寄せください。
[email protected]
お待ちしています。
申込締め切り:8月3日(金)
本誌掲載記事を無断で、転載、掲
示板等へ掲載することを禁止いた
します。
Ⅱ
APPROACH 21号
専門家の声
山田 祐一 専門家
2007/7/4
言語を使い分けての指導
Mr. Yuichi YAMADA
インドネシア・ケディリ
派遣期間:2006/10~2007/3 (派遣終了)
指導内容:冷凍食品(カニ)加工における生産管理及び
衛生管理に関する技術指導
マングローブ蟹の脱皮
コミュニケーションは基本的に英語で行います。
ただし、工場の中ではできる限りインドネシア語
で話すよう心がけました。言葉につまった段階で
英語を織り交ぜて説明をします。こうすると不思
議なもので、これまで英語だけでは理解してもら
えなかった相手にもわかってもらえたり、相手も
インドネシア語をところどころ英語に置き換えて
話してくれたりします。工場では図を使用した、
目に見えるわかりやすい指導を心がけました。隠
れたコミュニケーションツールが携帯電話のSMS
(Short Message Service)です。予定変更の際
や、打ち合わせ内容等を短いインドネシア語で
メールをします。送信前に、近くにいるスタッフ
に、文章を校正してもらうなど大変勉強になりま
す。インドネシアはアジア圏内では電話料金が割
高な国ですが、携帯電話の人気がとても高いです。
ソフトシェルクラブは豊かな自然のマングローブ林
の中で自然脱皮した蟹です。漁師が取ってきた天然
のマングローブ蟹を海水と淡水が混じりあう池の中
で畜養。ファーマーが籠の中に1匹ずつ入れ、餌を
与え4時間ごとに脱皮をチェックし、脱皮した蟹は工
場で目、ガニ(カニのえら)、エプロン等を取り除
き解凍後即調理ができる様に加工をします。私がソ
フトシェルクラブの加工指導を行ったのは、インド
ネシア第2の都市スラバヤから3時間ほど山側に入っ
たケディリという町です。小さな町というと静かな
イメージがありますが、ここインドネシアではお国
柄でしょうか、なぜかいつもガヤガヤしています。
ソフトシェルクラブの池や工場で働いている人は純
粋なジャワ人がほとんどで彼らの日常会話はもっぱ
らジャワ語です。国語であるインドネシア語とは異
なる言葉を使っています。地域の子供達も学校の授
山田専門家
業ではインドネシア語を使用しますが、休み時間や、
もちろん家庭ではジャワ語ベースの生活です。赴任
米こめ食文化と季節の果物
中インドネシア語を勉強していましたが、ジャワ語
となると気が遠くなりそうです。
食費が安いのもケディリの魅力です。スラバヤの
ワルン(屋台)でナシゴレン(インドネシアの炒
飯)を買うと大体5,000ルピア(約60円)くらいです。
子供と一緒にカニの脱皮のチェック
ケディリでは3,000ルピア(約35円)から4,000ルピア
(約50円)と20%~40%お得です。
こちらの食事は日本同様米食が主食で、地元の
ジャワ料理で真っ黒いスープのラウォン、揚げ大
豆のテンペ、バリの豚料理でとても辛いバビグリ
脱皮した蟹
ンなど病みつきになるものがいろいろあります。
果物も10月のマンゴーに始まりドリアン、ラン
ブータン、マンゴスチンと気候は毎日同じなので
さて、ソフトシェルクラブの畜養池ですが、村から
すが果物で季節の移り変わりを感じることができ
竹林を抜けて、そこからさらに20分ほど。携帯電話
ます。
もメールもつながりません。脱皮のチェックは昼夜
プアサが生み出す独特の風景
行われ、昼間は子供も一緒にカニの脱皮のチェック
を手伝います。インドネシアの学校は早く、朝7時
に始まります。お昼には家に戻っていることも多く、 インドネシアでは年に1度1ヶ月プアサといって
断食する月があるのですが、私が赴任してしばら
家族の仕事をよく手伝っています。いろいろな人の
くするとプアサ開けの休みの期間にはいってしま
手によって無事ソフトシェルクラブは収穫され、工
いました。日本のお正月のような期間です。イン
場の衛生的な環境で加工が行われます。揚げものや
ドネシアの治安はあまり良いほうではありません
寿司に巻いて食べると「エナ
が、不思議なものでプアサ開け後はしばらくの間
スカリ」(大変おいしい)なの
は犯罪率が低くなります。プアサ開け休みの期間
でどこかで見かけたら是非食べ
には1台のオートバイに家族が3人乗り、4人乗
てみてください。
りで実家にお土産をたくさん持って帰ります。
ソフトシェルクラブ
の揚げもの
Ⅲ
APPROACH 21号
2007/7/4
専門家の声
休日の過ごし方
週末はスラバヤ日本人学校で毎週日曜日、サッ
カーの練習に参加します。日本人学校の先生や現
地の運転手さんも交えての練習です。年に1回バ
リでジャカルタチーム、バリチームと試合を行い
ます。これはバリで爆弾テロ事件があったときに
「元気を取り戻そう」という趣旨で始められたも
のです。
また週末を利用して池に泊まり、ファーマー達と
一緒に蟹をチェックした事も心に残っています。
ソフトシェルクラブは脱皮をするとすぐに硬く
なってしまいます。そのため朝夜通して4時間に
1回チェックをし、やわらかい脱皮したての蟹を
工場に送り加工をするのです。夜間は真っ暗な闇
の中で懐中電灯を頼りに一籠ずつ丁寧に見ていき
ます。両手を使うのでヘッドランプ(頭につける
タイプの懐中電灯)を使い,光に集まってくる蚊
と戦いながらチェックをします。雨の日は裸足で
池に行きます。土がものすごい粘土質のため、池
まで歩く間に靴の底に泥がどんどんくっついて靴
が脱げてしまい履いていられないからです。池で
見る夕日はとてもきれいです。遥かに広がるマン
グローブ林に囲まれた池がだんだんと薄紅色に染
まっていき、やが
て辺りは真っ暗に
なっていきます。
おわりに
今回、JODC専
門家派遣制度のお
マニャール地区の薄紅色に染まる池
かげで普段ではな
かなか見ることの
できない様々な池の表情、そして工場での技術指
導を通じて、日本のことをよく知ってもらうと共
に彼らの庭先を借り、多くの事を学ぶことができ
ました。この場をお借りしましてJODC本部並
びにお世話になりました現地で活躍されているJ
ODCの諸先輩方、受入企業、協力企業の関係者
の方々に感謝申し上げます。
村から畜
養地まで、
竹林を抜
けてさら
に20分
歩く
関田 勝人 専門家
Mr. Katsuhito SEKITA
タイ・チョンブリ
派遣期間:2006/9~2007/9 (派遣中)
指導内容:自動車部品、機械部品、工具等の
熱処理加工技術に関する指導
指導には忍耐が必要
私がタイ国に赴任してから6ヶ月が経過しました。
その中で一番の考えどころは、「日本人が持つ一
般的なタイ人の印象」と「実際指導しているタイ
の人達の印象」について大きな差が感じられるこ
とです。タイ人の労働への姿勢、技術習得能力や
コミュニケーションスキルに対する日本人の一般
的な評価は決して良いものではないと思います。
関田専門家
しかし、私が指導しているタイの人たちは180度違
います。指導したことを驚くほど素直に受け止め
真剣に覚えようとしています。この差は何が原因
なのでしょうか。
指導先の日本人スタッフで、タイ在住歴28年にな
る方はこう言います。日本人は「経験の少ないタ
イの人の立場に立った指導をやっていないから、
結果が悪いと直ぐタイ人のせいにする。教える側
が未熟なだけでしかない。自分が未熟な事を棚に
上げてタイ人を悪者にしているだけだ」と。更に
は、「指導とは忍耐が必要で、何度も何度も同じ
事を繰り返して覚える喜びを経験させれば、素晴
らしく伸びる素直な人たちだ」とも言及されてい
ます。「ものづくりの歴史」という点からみれば、
「タイのものづくりは50年」、「日本のものづく
りは100年」と言われています。100年かけて築き
上げてきた技術を伝達するには、それ相応の時間
と労力が必要なのです。タイ人に一つの事を理解
してもらうためには、とにかく時間をかけて指導
していくことが重要です。
私の見たタイ人の印象は、日本の様に縦型社会で
なく、横型社会と思われます。ですから日本の様
に肩書き・上司などで動く社会でなく、人のつな
がりが大切な社会だと思われます。タイの人は何
時も笑顔で真剣に技術を学ぼうとしています。結
果を早急に求めることなく、何回も何回もトレー
ニングを重ねてゆくことが信頼関係を築く事につ
ながると確信を持って取り組んでいます。
Ⅳ
APPROACH 21号
専門家の声
増田 正美 専門家
2007/7/4
「ソンクラン」の楽しみ方
Mr. Masami MASUDA
タイ・サムトプラカーン
派遣期間:2006/8~2007/8 (派遣中)
指導内容:カーオーディオ用プラスチック部品の成形か
ら組立までの一貫生産体制構築に関する技術指導
実践すべき異文化コミュニケーション
職場でのコミュニケ-ションをいかに上手にこな
すかが、指導での明暗を分けるひとつの要素にな
ると思われます。コミュニケ-ションを上手にす
るには、まずその国の文化、生活、習慣に対して
興味を持ち、つまり異文化に対する理解の向上に
心掛けることです。コミュニケ-ションを深め信
頼関係を築くために次の3項目を実践しています。
1. 声を掛ける (日頃から相手に積極的に声を掛
けて、信頼関係を築く)ソンクランの様子
2. 対話を行なう (相手の話をよく聞き、相手を
尊重する)
3. 語学力をみがく(現地の人々とコミュニケ-
ションを持つために、日常挨拶程度でも現地語で
会話をする)
忍耐強く、且つ具体的に
指導のポイントは、まずやってみせる、そしてや
らせて見せる、相手が納得するまで同じことを根
気よく繰り返すことです。時間はかかりますが、
この方法が、結局一番早いと思います。また、資
料に基づく説明を効果的にするため、必要なデー
タは親会社より入手し、手書きのイラストやマン
ガを出来るだけ書き添えるよう心掛けています。
日本では比較的抽象的な表現で説明しても、ある
程度理解してもらえますが、タイではきちんとし
たマニュアル・標準化が肝要であることを痛感し
ています。また、「以心伝心」「和を尊重する」
などは、日本人に特有なものであり、このような
考え方は海外ではまず通用しません。明確な指示
を出し、YES・NOをはっきりさせることが肝心です。
ただ、海外とはいえ、最終的には人と人との関係
です。やはり「熱意」が人を動かす最大の武器で
す。
お正月の帰省ラッシュ
タイにはお正月が3回あります。西暦の1月1日、
旧暦の1月1日 そして4月の「ソンクラン」です。
「ソンクラン」はタイ暦のお正月(4/13~15)で、
宗教的儀式であると同時に公式行事でもあるよう
です。たいていの企業は4~5日間の休暇があり、
地方出身者は、ほとんど皆故郷に帰省します。帰
省者の大移動が起こり、普段は人と車で混雑する
バンコク市内もこの時だけはガランとなります。
地方出身者は多くの土産物を買い、満員バスで故
郷に帰っていきます。(中にはお金がない、南部
情勢で帰省出来ないという従業員もいました。)
ソンクランは水掛け祭りともいわれ、この時期は各
地で大変なお祭り騒ぎになります。街では水を掛け
合い暑い季節を楽しんでいます。この祭りは本来、
耕作期に十分な雨が降るようにとの願いがこめられ
た優雅な年中行事でありますが、今では相手構わず
水を掛けることで日頃のストレスを解消するかのよ
うな娯楽色の強いものとなっています。「伝統行
事」というよりは、「娯楽イベント」という方が
あっているかも知れません。水鉄砲・バケツなど、
ありとあらゆる道具を使って、誰かれともなく水を
掛け合います。私が住んでいるバンコク市内でも、
いたる所で水鉄砲やバケツを持って水を掛け合って
おり、外国人であっても、
水を掛けられて怒っては
いけません。お互いに水
を掛け合うことは、無礼
講として一種の娯楽とな
っているからです。
住めば都
ソンクランの様子
タイでの生活に慣れるに従い、悠久の歴史を持つこ
の国の良さが理解できるようになりました。食生活
は、一言でいえば日本での生活と大きく変わること
はありません。日本風食生活に必要な材料はほとん
ど入手可能です。またバンコクでは中華料理をはじ
め西洋料理、ベトナム料理やインド料理店も多く、
世界の味が楽しめます。問題点を指摘するなら、交
通事情の悪さ、衛生面環境の悪さでしょうか。しか
し、住めば都です。
タイ国も大きく変貌を遂げようとしていますが、近
代化だけが全てではなく、タイ国のアイデンティ
ティ-、タイらしさを大切にしながら発展して欲し
いと思います。
JODC理事長からのエール
~専門家の皆様へ
小林 惇
赴任先では、健康管理とともに、自分の身を守るこ
とが一番大切なポイントです。外国では、日本人は
皆「お金持ち」との先入観があり、狙われやすいた
め、十分注意していただきたいと思います。
また、赴任中もご家族との絆を大切にしていただき
たいと思います。65歳までプロのゴルフ選手として
活躍されたジャック・ニクラウス氏は、20代で結婚
した時、奥様に、「2週間自宅を空けることはしま
せん。」と約束しました。それから現在に至るまで、
彼が約束を守れなかったのは1度きりだそうです。
専門家の皆様は長期間の赴任となり、ニクラウス氏
と同様の事はできませんが、電話やメールでご家族
との連絡を大切になさり、益々現地で活躍していた
だきたいと思います。
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