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立ち止まったままでは、 何も変わらない
interview 01 立ち止まったままでは、 何も変わらない 富岡バイパス店(群馬県) ふかざわ り お クルー 深澤 莉緒さん 入部、 試験、 進学、 試合、 就職……、 さまざまな挑戦によって、 人は成長する。 深澤莉緒、 17歳。 彼女も働くという新たな挑戦によって、 自分を変えようとしていた。 profile 高校2年生。子供の頃から絵を描くのが好きで、中学校 では美術部の部長に。マクドナルドで働き始めて一番変 わったことは、 誰にでも自分から話しかけられるように なり、 友達が増えたこと。 目的と理由 「人見知りで引っ込み思案な自分を変えたかった」。深 澤さんには、マクドナルドで働き始める明確な理由があっ た。小さい頃からおとなしくて、外で遊ぶよりも家の中で 絵を描く方が好きだった。そんな自分は嫌いじゃない。で も、これから大人になっていく上で、変えていかなきゃい けないところがたくさんある——。そんな風に思っていた 時に、昔からよく通っていたマクドナルドが頭をよぎった。 「あそこで働けば、私も店員さんみたいに誰にでも笑顔 でお話ができるようになるかも」。そんな目標と希望を持っ て、彼女は今の店舗のトビラを叩いた。 「手が震えて、小さな声しか出ませんでした」。初めて の仕事、初めてのレジ、初めてのお客様……、アルバイ ト初日は緊張して失敗の連続だった。「一緒にがんばろ う」。先輩たちの温かい歓迎の言葉が、 少し折れそうになっ た彼女の気持ちを支えてくれた。 お客様と私をつなぐもの 深澤さんが入店して1カ月。仕事にも少しずつ慣れ始 めたある日、彼女は立ち止まることとなる。「普通のアル バイトの人だったら、このくらいの注文受けられますよね。 あなたは普通の仕事もできないんですか?」。お客様のお 叱りの声が店内に響いた。深澤さんのレジの打ち間違い が原因だった。彼女の頭は真っ白に。先輩は一緒に謝っ てくれたが、それ以外のことはあまり思い出せないほど ショックだった。 その日からレジに入るのが怖くなった。お客様と目を合 わせられない。目線は自然と下へ下へ。絶対に間違えた くないという思いから、注文を受けるスピードが急激に遅 くなった。そんな自分がどんどん嫌になっていく。「大丈 夫だよ」 「初めはミスすることもあるよ」。そんな風にやさ しく声をかけてくれる先輩たち。でも、心のどこかで「迷 惑だな」 「ちゃんとやってくれよ」と思われているんじゃな いか。考えれば考えるほど、申し訳なさで彼女は萎縮し ていった。 そんな状態のまま、彼女はゴールデンウィークを迎えた。 店舗がいつも以上ににぎわう中、うつむく彼女に先輩は 言った。「この風船、あそこのお子様に渡してきて」。「は、 はい」。返事をしたものの、本当は行きたくなかった。ま た、怒られるかもしれない——。震える手で風船を渡した。 「ありがとう、お姉ちゃん」。無邪気な笑顔が返ってきた。 レジに戻る彼女に「お客様、喜んでくれてよかったね」。 お客様の笑顔と先輩の思いやりが、彼女の心を解きほぐ した。 顔を上げてお客様を見ると、一人ひとりに気持ちがあ ることが分かってきた。少し急いでいるビジネスマンの 方、お子様連れで片手が塞がっているお母さん、部活帰 りの学生さん……。それぞれ、その時々で気持ちや状 況が違う。相手の気持ちを汲み取ろうとするところから コミュニケーションが始まる。そして、お客様の期待に 応えることで喜んでいただける。考え方と姿勢を変える だけで、自分の世界が広がっていくような感覚が、彼女 の中に生まれた。 前に歩み続ければ 人生には、さまざまな一歩がある。知らない世界に飛 び込む一歩、新たな仕事に挑戦する一歩、苦手を克服 する一歩……。大切なのは、大きくても、小さくても、 その一歩が前進するためのものであることだ。歩み方は、 人それぞれ。しかし、前に歩み続ければきっと、その先 には見たことのない景色が広がっている。 「気持ちを伝えられるようになりたいんです」。深澤さ んはしきりに口にする。「先輩はお客様に『スマイルく ださい』って言われたら『何個いりますか?』と笑顔で 聞いて、レシートにスマイルのマークを書いて渡してい ます。それって、マクドナルドで楽しんでもらいたいとい う気持ちを伝える行動だと思うんです。私もそういった 気持ちを伝えて、お客様に喜んでいただける人になりた いです」。働き初めて4カ月、彼女から見える景色もずい ぶんと変わった。目を輝かせて仕事について語る彼女に はもう、人見知りだった頃の面影はほとんどない。 © McDonald's