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ヒト(鳥研究者)における婚姻形態と子育て -忘れられがちなもう一つの人生- はじめに 研究者を目指す学生諸氏!将来のイメージ、できてますか? *研究者の卵たるもの、日常の中心は概ね研究。自分の繁殖成功度より、鳥の繁殖成功度が大事 *結婚・出産・子育て・・・いつかは(たぶん)自分にもやって来るライフイベント。でも、まずは学位・就職が大事 しかし、就職するまでの道のりは遠い *男女ともに、全体の半数が任期なしの職を得る年齢は35~40歳。残り半数はそれ以降(図1) *それまでは1~5年勤務の任期付き職を2~3回くり返す(図2) → 勤務地は日本全国 → 2年後はどこにいることやら・・・ *しかも、フィールド研究が必要な鳥学では、一年の多くの期間で自宅を空ける 男性・職は大学勤務 「第三回 女性・職は大学勤務 学生 任期付き職 任期なし職 科学技術系専門職の男女共同参画実態調査」男女共同参画学協会連絡会(2013) 学生 任期付き職 任期なし職 現職が任期付き職の人の任期年数 年齢 年齢 図1:年齢と雇用状況 Questions: 現職が任期付き職の人の所属変更回数 図2:任期付き職の任期と、任期付き職の繰り返し回数 *上記のような生活を送るポスドクがあなたの恋愛相手だった場合、結婚を躊躇する?しない? *自分が上記のポスドクで、一般企業に勤める彼or彼女がいる場合、相手は結婚を躊躇すると思う?思わない? ■つい考えることを後回しにしがちな私生活 ■でも、実は研究生活とも関連します ■現実に迫られる前に、情報をきちんと知ることが大事 研究者の結婚・子育て事情 みんないつ結婚・出産しているの?? *30歳未満で結婚する人は男女ともに稀(図3) *男性は年齢と共に既婚率が上がり続けるが、女性は35歳以降、頭打ちに(図3) *理想の子供の数は2人がほとんどだが、現実は男女ともに40歳代で平均1人。特に女性は子供の平均数が1人を下回る(図4、5) *子供の数が少ない理由は・・・男「経済的な理由」、女「育児とキャリア形成の両立」が多い。「職の安定性」が男女とも次点 *別居3~5年の夫婦は子供の数が少ない(図6) *男性研究者:半数は妻が無職、14%は同業者 *別居が3年以上になりそうだと、キャリアを諦める選択が増える 女性研究者:98%で夫は有職者、60%は同業者 男性 女性 既 婚 率 男性 子 供 の 数 女性 年齢 図3:年齢と既婚率 「第三回 年齢 図4:年齢と子供の数 図5:子供の数の内訳 図6:別居期間と子供の数(男性も同じ傾向) 科学技術系専門職の男女共同参画実態調査」男女共同参画学協会連絡会(2013) 男女の違いはどこから来る? 「女性研究者が少ない理由は?」アンケート結果 *「家庭と仕事の両立が困難」、「育児期間後の復帰が困難」 支援策いろいろ 家庭と仕事の両立に関わる支援 *産休・育休の充実 *別居支援(交通費の補助) *育児による研究中断後の復帰支援(学振RPD等) という回答が多い。 任期なし職を得るまで耐えられる期間の性差 *出産を担う女性には男性にない生物学的なリミットがある 研究者夫婦の同居支援(案を含む) *夫婦両方を積極的に採用 妊娠可能性は加齢とともに下がり、35歳を超えた高齢初産 *パートナーフェロー(採用者のパートナーを特任職に採用) は自身の健康・子の健康に関する様々なリスクを伴う *箱のない大学を作り、業績に応じた職階で研究者を採用、 ■研究は後から再開できるかもしれないが、出産は この数年でないと → 女性の研究中断 or 断念に 研究を中断し、子をもつことはどのくらい現実的か *子をもうける時点で夫婦どちらかに安定した職が必要 → 育てるにはある程度の安定的な収入がいる *非正規雇用では産休・育休が使えないことが多い *研究中断に伴う業績の少なさは採用に不利 → 中断のつもりが復帰できない状況になりかねない *復帰しても育児と研究の両立は保護者ひとりでは困難 ■研究と結婚・出産のどちらかを選ぶ状況になりやすい 女性だけの問題ではなく、夫婦両方が関わる問題 採用者は自由な受け入れ機関で研究(バーチャル大学構想) まとめ *研究と自分の繁殖成功度の両立にはいろいろと問題あり *男性研究者と無職or一般職の妻よりも、 女性研究者とその夫(多くが研究者)に、問題が集中 → 別居婚、子供をもうける時期、研究との両立・・・etc *夫婦どちらかに安定した職があり、かつ同居期間がないと 子供をもうけづらい → 産休・育休制度のみでは限界 *研究中断からのスムーズな復帰を後押しする必要あり ■性別を問わず、ポストが少ないことが最も根本的な問題 ポストを増やすことと復帰支援の2本柱が重要か ○堀江明香(バードリサーチ)・川上和人(森林総研)・早矢仕有子(札幌大・法)・東淳樹(岩手大・農)・藤原宏子(人間総合科学大・人間科学) ・三上修(北海道教育大学函館校)・水田拓(環境省奄美野生生物保護セ)・佐藤望(立教大・理)・嶋田哲朗(宮城県伊豆沼・内沼環境保全) ・植田睦之(バードリサーチ)・牛山克巳(宮島沼水鳥・湿地セ)・吉田保志子(中央農研)・企画委員会