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1.改革成功の第一の鍵:首長のリーダーシップ

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1.改革成功の第一の鍵:首長のリーダーシップ
淡路富男(行政経営総合研究所代表)
http://members.jcom.home.ne.jp/igover/
https://www.facebook.com/tomio.awaji?ref=tn_tnmn
※関連した情報は上記の URL を参照下さい。
※未定稿のため誤字などはご容赦下さい。
1.改革成功の第一の鍵:首長のリーダーシップ
地方創生の成功に向けた「行政経営改革」の実践には、前回(国家経営
の限界と地方創生の成功可能性)で明らかにした、3つの鍵、つまり、
(1)
首長のリーダーシップ、(2)職員の参画、(3)よく錬られた行政経営
改革が必要になります。
今回は最初の鍵である、(1)首長のリーダーシップを検討します。こ
れまでのコンサルティングの実践からすると、成功した行政経営改革には、
首長の「①改革の情熱と理解、②対話の重視、③仕組み構築」を柱にした、
真摯なリーダーシップがあります。
◆①改革の情熱と理解
最初は、改革への情熱と理解です。成功した行政経営改革では、どの場
面でも、リーダーの改革に対する情熱と理解の深さが、その言動から伝わ
ってきます。それは、疲弊と困窮する住民生活の現状と将来に関する、地
方経営を担うリーダーの責任感と危機意識の裏返しでもあります。
-1-
現 在 の地 方 の疲弊 と 低 迷
は 、 首 長に 大 き な責 任があ
り ま す 。地 方 経 営の 責任者
で あ る 首長 の 多 くが 、福祉
の 充 実 にお い て 、マ ネジメ
ン ト ( 経営 ) が 果た す役割
を理解することなく、予算規模の拡大に熱中してきたことが、税金の浪費
につながり、現在の地方の困窮を招くことになりました。
マネジメントなき行政組織が担当する政策の多くは、住民の自助を誘発
することができずに「浪費」に終わります。首長のマネジメントに対する
理解不足が、行政組織とそこで働く職員から成果を産出するパワーを奪っ
ています。
首長が地方創生の成功に向けて行うべきことは、行政組織の経営(マネ
ジメント)力不足を認め、そこから、自らと職員の自己改革を決意し、真
の行政経営改革に挑むことです。
来年度に向けた施政方針に、住民本位の行政経営の「仕組みづくり」の
必要性を明記し、行政組織の経営力を引き上げ、福祉と成長戦略を担える
組織への改革を宣言することです。現在の行政改革の継続や強化では、地
方創生を担うことはできません。そこには地域の未来もありません。
地方創生の成功には、住民生活の安定と発展のための、行政組織と自己
改革に挑む首長の毅然とした言動が必要です。トツプの行政経営改革への
情熱と理解、明確な改革方針、範となる取組み姿勢が、改革運動を成功に
導く前提になります。
◆②対話の重視
2番目は対話の重視です。リーダー一人では、社会で意義あることは何
もできません。社会で生起する問題の多くは、組織がその対処にあたって
います。組織は社会で重要な役割を果たしています。社会の機関の一つで
ある行政組織は、信頼をベースとした、人々が結束して社会貢献に向けて
行動する組織でなければなりません。その組織を創造するのが首長の役割
です。一人で何かをすることではありません。
行政経営改革に挑む首長は、組織で働く個々職員の能力を尊重し、コミ
ュニケーションを徹底して改革の意図を伝え、職員の自律的な変化に期待
-2-
します。改革に抵抗する職員が
いても、その職員を排除するこ
となく、見落としている視点を
気づかせてくれる人として、「対
話」を繰り返します。
こうしたリーダーの言動が、
改革に半信半疑であった職員を
徐々に氷解させ、改革に参画させ、マネジメントを修得することで自発的
に行動する人になり、行政経営改革を成功に導きます。
改革に成功するには、職員との対話を深めて、参画を促す首長の存在が
必要になります。職員全てがマネジメントを修得することが、組織の成果
を飛躍的に引きあげる原動力になります。
◆経営の仕組みの構築
最後が「仕組みの構築」です。行政経営改革の成功は、「経営の仕組み
化」の実現が、不可欠の要件になります。これには、リーダーが、組織に
対する自らの「理念」を語り、それを具現化する経営の仕組みを、参加し
た職員と共に、情熱をもって創らなければ、改革はただの努力や短期の運
動で終わることになります。
リーダーの役割は、改革の意義を理解し、情熱をもって改革の先頭に立
つだけではなく、社会に貢献できる成果を産出できる、経営の仕組みを創
ることです。
ドラッカーは、経営(マネジメント)を、組織に成果をもたらす基本的
な考え方、体系、そして若干の手段とします。これなしでは、組織はただ
の人の集合場所になります。事実、行政組織の多くが集合場所になってい
ます。リーダーが構築すべきは経
営の仕組みを備えた組織です。そ
こでマネジメントを理解した職員
が働くことで、組織は成果を手に
することが可能になります。
-3-
2.地方創生の成功か最後の地方振興策か
◆破綻しかけているマネジメントなしの国家経営
以上、行政経営改革は、リーダーの情熱と理解なしでは、前例踏襲の陳
腐なものになります。職員との対話が不足すると、改革内容は実に形式的
なものになります。経営の仕組みなしの個人的な働きでは、成果は税金に
見合わないものになります。こうした行政経営改革では、行政組織は、浪
費、肥大、借金の三大疾病を患う
ことになります。
国家経営は、1991年のバブ
ル崩壊からのマネジメントなしの
言動から三大疾病を患うことにな
りました。異次元の金融緩和、大
盤振る舞いの財政出動、年金を活
用した必死株価維持政策でも、日
本を再生することができていません。
多様、複雑化した国民生活に対する国家経営の限界から、地方政府の奮
起を促す「地方創生」が、最後の切り札になりました。しかし、現在の地
方政府の組織力では、「地方創生」の成功を予想することはできません。
疲弊を招いた現在の行政運営の強化の先には、成功はないことだけは確か
です。
◆残された地方経営
ここに、年間 100 兆円弱を歳出する地方政府をマネジメントする、全国
1700 強の首長のリーダーシップの重要性があります。①改革の情熱と理
解、②対話の重視、③経営の仕組みの構築を柱にした首長のリーダーシッ
プが、正しい行政経営改革を実現し、人口減少と都市消滅時代の地方と日
本を、地方創生の成功に向けて前進させることとになります。
これは、実現不可能な、
見果てぬ夢ではありませ
ん。公務員であるあなたが
なすべきこと、つまり使命
-4-
です。その使命遂行なしでは、今回の地方創生は、最後の地域振興策にな
ります。使命の遂行には、行政経営改革の成功が不可欠です。
「地方創生の成功か、最後の地域振興策か」、ここに行政経営改革にお
ける首長のリーダーシップの意義があります。
〈この章は終わり:続く〉
【参考資料】
本文は、市長と職員が地方創生に向けて行政経営改革を実践してことを
描いた『ドラッカーに学ぶ公務員のためのマネジメント教科書(同友館)』
を参考にして作成しています。また、フェイスブックや YouTube にも関
連した資料があります。学習の参考にして下さい。
https://www.facebook.com/tomio.awaji
https://www.youtube.com/channel/UCKmN1mLRCoPAuSx7tnNgoVA
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-著者紹介-
淡路富男(あわじとみお)
行政経営総合研究所代表
民間企業を勤務後、民間大手コンサルティング会社、
(財)日本生産性本部主席経営
コンサルタント、自治体マネジメントセンター主席コンサルタントを経て、現在は
行政経営総合研究所の代表。
◆兼職
各自治体 長期総合計画審議学識委員
各自治体 行政改革推進学識委員
各自治体職員研修所 自治体経営研修講師、管理職向けマネジメント研修講師
各シンクタンクのコンサルティングと研修講師
◆専門領域:総合計画、行政経営改革、マネジメント、公共マーケティング
◆主な著書:
『ドラッカーに学ぶ公務員のためのマネジメント教科書』
(同友館)
『突破する職員になる』
(公職研)共著
『三鷹がひらく自治体の未来』
(ぎょうせい)
『自治体マーケティング戦略』
(学陽書房)
『民間を超える行政経営』
(ぎょうせい)
◆コンサルティング、研修、講演のお問い合わせは下記に
MAIL
URL
[email protected]
http://members.jcom.home.ne.jp/igover/
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