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経営革新計画の 作成支援 - 独立行政法人 中小企業基盤整備機構

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経営革新計画の 作成支援 - 独立行政法人 中小企業基盤整備機構
支援ナビ ①
経営革新計画の
作成支援
経営革新の戦略立案から
申請書の作成支援まで
中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画の作成は、企業経営者の想
いを具現化するための手法として最もポピュラーな支援制度です。全国で4万
件を超える承認実績があり、その多くが支援機関からの提言やアドバイスを受
けて計画を作成しています。
経営革新計画の作成支援に際し、実際の支援に入る時には企業経営者、会社
スタッフ及び支援機関指導員の事前のコンセンサスを大切にしています。有効
で効率的な手順・手続きを提示し、支援のポイントや活用する支援ツールを明
らかにして、企業経営者の十分な理解と体制の下で取り組むことが、完成度の
高い実践的な経営革新計画に結びつきます。
企業にとって、経営革新計画の作成は経営理念を経営者と社員が共有したり、
経営目標が明確になる等の効果が期待できます。対外的には、承認を受けると
「保証・融資の優遇措置」や「設備投資減税」等の支援措置も用意されていま
す。企業の信用を飛躍的に向上するための必須のステップと言えるでしょう。
発行:中小機構 支援機関サポート課 ※無断転載・複製を禁ず
経営革新計画の 作成支援の ポ イン ト
経営革新計画の作成は企業の主体的行為ですが、支援機関や支援機関指導員がそのプロセス
にどのように関与するかにより、経営革新計画の完成度や実現性が大きく異なります。支援
機関指導員は、ファシリテーター役を担いながら、企業経営者や社内スタッフに知的刺激を
与え、優れた経営戦略とそれを具体化する経営革新計画が立案されるように支援することが
求められます。
業務の定義:
業務の目的:
成果目標 :
企業の売上・付加価値向上のストーリーを描き、経営革新実現のための経営革新計画を
作成する一連の支援業務。
中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画書を作成すること。
作成した経営革新計画書が知事承認を受けること。
ポイント①
創発型ディスカッションによるアイデア創出
【経営者の想い】だけでは、経営革新計画は作成できません。事業に関係する多くのメン
バーが知的に刺激しあい、アイデアを出し、さらに他のアイデアと結び付けて次のアイデア
を生み出すことで、優れたビジネスプランに仕上がっていきます。このような創発型のディ
スカッションを促す役割が、ファシリテーターです。その際、以下の手法活用が有効です。
①
②
③
④
⑤
経営者及び経営幹部のヒアリングによる【想い】の聞き出し、図示化
BS法(ブレインストーミング法)によるアイデアラッシュ
親和図法(KJ法)等によるアイデアの整理、統合
相関図法による全体の関連付け
シナリオ法による事業化~展開計画の構想立案
など
優位性、差別性の具体化
ポイント②
経営革新計画では、【想い】や【アイデア】を文章にするだけではなく、それを実現するた
めの方策も示します。ライバルより優れ、差別化された商品・サービスを提供できるとする
根拠になるところで、当該計画の最も重要な部分です。その際、以下の分析を行い【自社の
優位性、差別性】を導き出します。
①
②
③
④
⑤
競合分析~想定ライバルの設定とその強み・弱みの見極め
市場分析~他にニーズの実現方法がない、または他の方法では不満足であることの検証
顧客分析~どんな顧客のニーズが高いか、現状不満足層はどのような顧客層かの明確化
強み分析~自社の何が、どんな技術・ノウハウがこれらを満足させることができるかの視点
追随障壁~他社が追随しない、できない根拠の設定
ポイント③
検討~実施移行を考えた体制整備
経営革新計画の作成は、実施し成
果をあげることを目的とする活動
です。これらは一貫した活動であ
り、計画の作成と実施・管理が全
く別のスキームになっては実行段
階で不具合が発生します。経営革
新計画の作成に着手する際、検討
~計画作成~実施~管理には右図
のような一貫した仕組みと体制の
整備が大切です。
発行:中小機構 支援機関サポート課 ※無断転載・複製を禁ず
小規模企業・家族経営の場合
中規模企業の場合
経営者
経営者
経営者の意向を受け
チーム検討を支援
支援機関
指導員
調整役としての
支援機関指導員
家族
従業員
社内検討・実施チーム
2
経営革新計画の 作成支援の 基本手順
経営革新計画の作成は、以下の支援プロセスに従い、企業経営者と検討チーム、支援機関指
導員が十分な意思疎通を図りながら取り組みます。公開されている支援ツールは多数ありま
すので、上手に活用しながら【経営者の想い】を具現化することが肝要です。支援機関指導
員は、経営者の水先案内人や併走するサポーター役を担っていただきます。
モデルとなる支援プロセス
活用する仕事道具(支援ツール)
事前準備 経営者、幹部社員に対する
経営革新のガイダンス
・冊子「今すぐやる経営革新」
・経営革新事例集
STEP1 事業の現状把握
・バランススコアカード(BSC)
・初期見極め診断テーブル
STEP2 経営目標、経営革新テーマ(案)、
経営革新内容の可能性初期診断
・事業診断、財務シミュレーション
・初期判定基準
・優位的差別性のための諸分析
STEP3 経営革新構想(戦略)の作成
・事業コンセプト ・4P・3C戦略
・コアコンピタンス ・成功要因
STEP4 経営革新構想実現の課題設定
・BSCの各視点
(財務、顧客、業務プロセス、人材
情報、マネジマント、組織等)
STEP5 経営革新の施策検討、精緻化
・制度活用 ・資金繰り対策
・商品開発 ・販路開拓 ・業務提携
STEP6 ビジネスモデル・事業可能性評価
・商品企画チェックリスト
・事業シミュレーション判定基準
STEP7 経営革新計画書の作成
・記載項目の凡例
・経営革新計画(全体サマリー)
・実施計画と実績
・経営計画及び資金計画
*中期経営計画書
*売上高算出根拠
*新事業の市場規模
・設備投資計画
など
STEP8 申請書の作成支援へ
発行:中小機構 支援機関サポート課 ※無断転載・複製を禁ず
3
経営革新計画の 作成支援の ノウハウ( Q&A )
Q1:経営革新は、製造業が対象ですか?
A1:小売業、サービス業でも多くの承認
事例があります。新しい売り方や新販路を
開拓する 場合は対 象とな りますし 、 イン
ショップの商品製造、オーダーメイドの商
品提供等も対象となります。
Q2:専門家の派遣を活用した方が良いです
か?
A2:前ページ「モデルとなる支援プロセ
ス」のSTEP3~STEP8は専門家に委
託することも可能です。計画書1件の作成支
援に3回程度の専門家派遣が一般的です。
1つの商店街で16店舗の経営革新計画の承
認を支援した福岡県の事例もあります。製
造業に限定されません。
なお、支援機関指導員が計画作成、申請支援
ができるように、専門家によるOJTを組み
込むことも重視してください。
Q3:経営革新計画の承認を受けると、
資金繰り面で有利になりますか?
Q4:企業経営者に対する意識付けには、
どのような切り口がありますか?
A3:制度融資の信用保証枠の拡大、日本
政策金融公庫の低金利融資等が受けられま
す。最も大きな効果は、地域金融機関にお
いて、格付向上等による取引方針の見直し
が期待できることです。融資枠拡大及び金
利低減により、日常の資金繰りは有利にな
ることが期待できます。
A4:経営革新計画が承認された場合多くの
特典がありますが、本質的には企業が継続・
発展するための必須ステップであることを理
解してください。計画を策定し計画に沿った
経営をきちんと実践することが、経営管理力
の向上につながり、信用向上になります。
経営者に対しては、経営革新計画の承認は
企業の信用向上に大きく貢献することを理
解してもらうことが大切です。
経営革新計画の作成は、【承認】が最終目的
ではありませんから、実行まで見据えた取り
組みを行い、企業のステージアップを実現し
ましょう。
経営革新計画の 実行フォローに ついて
支援機関による実行フォロー
アップは、3カ月毎に実施さ
れるのが望ましいでしょう。
多くの企業では、計画通りに
は実行できないケースが多い
ので、支援機関指導員は実行
阻害要因を正確に把握して、
継続的に対策を講じる必要が
あります。
この間、企業内の経営革新実
行チームが主体的に活動しま
す。支援機関指導員は、当該
チームと情報共有に努め、メ
ンバーの意識付けにも気を配
ります。
モデルとなるフォローアッププロセス
STEP0
経営革新の実行計画策定 (0ヶ月)
STEP1
計画実行確認のための面談ヒアリング(3ヵ月後)
NG
Good
STEP2
実行阻害要因の分析
STEP3
事業課題の再整理
STEP4
課題別対策検討
STEP5
担当者別目標設定、実行チーム編成
STEP6
STEP7
STEP8
3ヶ月実行計画の作成
実行課題に対する直接支援
計画実行確認のための面談ヒアリング (6ヵ月後)
制作著作 独立行政法人中小企業基盤整備機構 経営支援部 支援機関サポート課
作成担当 青木 弘一 (平成23~27年度 全国支援ネット統括マネージャー)
地域支援機関等サポート事業 ホームページ
http://www.smrj.go.jp/keiei/chiikiryoku/index.html
発行:中小機構 支援機関サポート課 ※無断転載・複製を禁ず
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