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ウコン属植物のDNA及び二次代謝物のプロファイリングによる鑑別・同定
48 浦 上 財団 研究 報 告書VoL13(2005) 〈 平成15年度〉 ウ コ ン属 植 物 のDNA及 び 二 次 代 謝 産 物 の プ ロ フ ァイ リ ン グ に よ る 鑑 別 ・同 定 法 の 開 発 細川 敬三 ・森田 ゆか り ・ 森 一雄 (兵庫大学健康科学部) の 開発を 目的に実 施す る。一方,二 次代 謝産物 に 1.は じ め に よる化学分 類につ いて は,こ れ まで ウコ ン属植 物 物 は熱帯 アジ アを中心 で の報告が ない。 そ こで,こ れ ら4種 のウ コン属 に約50種 が分 布す る といわれ てい る11。これ らの 植物 の利用 部位で ある根 茎に含 まれ二次 代謝 産物 うち 日本 国内 で食用や 薬用 と して利 用 され てい る で ある精油 成分 とクル ク ミノイ ドを用 いた鑑 別方 植 物種 は,ウ コ ン(C.longaL.)・ ハル ウコ ン(C. 法 につい て も検討 す る。 更に,こ れ ら3種 類 の鑑 aromaticsSalisb.)・クスリウ コン(C.xanthorrhiza 別方 法(DNA塩 ウ コン属(Curcuma)植 Roxb.)・ ガジュ ツ(C.zedoaYiaRosc.)の4種 であ 基 配列 ・精 油成分 ・クル クミノイ ド)に つ いてそ れぞれの鑑 別方法 の特徴 と整 合性 る21。そ して,こ の4種 の 植物種 の分 類は,主 に を調 べる こ とに よ り,よ り高精 度な方法 を確 立 し 外 部形態 や根茎 に含 まれる黄 色色素 の色調 の濃淡 た い。 を指標 として鑑 別 ・同定が行 われ ている。 しか し 2.実 験材 料 と方 法 なが ら,形 態面 か らの鑑別 ・同定で は豊富 な経験 が 必要で あ り,明 確 に鑑別 ・同定 できない もの も 2.1植 多 く,植 物 種 の同定 におい て間違 いや混乱 があ る 本 研究 で使用 した ウコ ン属植物 は,外 部形 態か 物材 料 こ とが知 られて いる2ト 。 また,黄 色色 素成 分 クル ら植 物種 を同定 した4種13系 統 を用い た。 これ ら ク ミノイ ドの 含有量 の面か らみる と,植 物 種の変 13系 統の外 部形態 の特徴 を表1に 示 した。 これ ら 異 や生産 地 ・栽培 条件 等に よ り含有量 に大 きな ば の 栽培 は,基 肥 と して堆 肥2,000kg/10aとIB化 成 らつ きが ある といわ れてお り,そ の結 果,簡 便 ・ 62.5kg/10a(N10-P10-KlO)を 迅 速 ・高 精度 に鑑別 ・同定 を行 うことが難 しいの 80cm,株 が現状で ある。 施 肥 した 圃場 に条問 間25cmの 栽植密 度 で5月 中旬 に植 え付 けを行い栽 培 を行 った。 この 間,追 肥 と してIB化 そ こで,植 物 の生育 環境や 生育 ステー ジ等に影 成 を7月 初旬 に30kg/10aと9月 初旬 に60kg/10a 響 されず に鑑 別 ・同 定 を行 うこ とが 可能 で あ る を施肥 した。収穫 は,11月 下旬 に行い,以 降 の実 DNA解 験 に使用 した。 析技 術 特 に,DNA塩 基配列 情報 をウ コン属植物 の鑑別 ・同定 方法 に用い るこ とが 2.2DNA塩 非 常に有 効で ある と考 え られ る。本研 究で は,日 上 記13系 統の乾 燥葉か らDneasyPlantMiniKit 本国内で 食用や 薬用 と して主 に利用 されて い る4 基 配列 の解析 ((株)キ アゲ ン)を 用い,全DNAを 抽 出 した。 こ 種 の ウコン属植 物種 ウコ ン ・ハル ウコ ン ・クス リ の全DNAを ウコ ン ・ガ ジュツの鑑 別 ・同定 に関 して,DNA塩 い,葉 緑 体DNAのtrnL(UAA)3'exson-tynF領 基 配列情報 を利 用 した4植 物 種の鑑 別 ・同 定方法 鋳 型 として,Taberletら3の (図1)をPCRに 方法 に従 よ り増 幅 し,Exo-Saplt(ア 域 マ ウ コ ン属植 物 のDNA及 び二 次代 謝産 物 のプ ロ フ ァイ リ ングに よる 鑑別 ・同定 法の 開 発 表1ウ 49 コン属植物a種13系 統のリス トと外部形態の特徴 と し た 。 こ れ を 以 下 の 条 件 のGCお 供 し た 。GCで よ びGC-MSに は検 出 された 各成 分の ピー ク面積 か ら組 成 を 算 出 し た 。GC-MSに よる成 分の 同 定 は マ ス ス ペ ク ト ル デ ー タ ベ ー スNIST/EPA/ NIHと の 比 較 に よ り行 っ た 。 カ ラ ム:Supelcowax10 (0.25mmi.d.X300r60m) 図lPCRで 増幅 したcpDNAの 領域。プ ライマ ーの矢 印の先端 が 3'末 端を示す. キ ャ リ ア ガ ス:He(30cm/sec) カ ラ ム温 度:50℃(2min)→2℃/min シャム バイ オサイエ ンス(株))に よ り過剰 なプ ラ イマー 及びdNTPを こ の 精 製PCR産 除去 し,精 製PCR産 物 とした。 物 を 鋳 型 と し,BigDye TerminatorCycleSequencingKit(ア イオ シテム ズジャパ ン(株))を 310GeneticAnalyzer(ア プ ライ ドバ 用い,ABIPrism プ ライ ドバ イオ シテ ム →270℃(5min) イ ン ジ ェ ク タ温 度:270℃ 検 出 器(GC):FID(300℃) 検 出 器(GC-MS):EI(70eV) 2.4ク ル ク ミ ノ イ ドの 分 析 根 茎 の 主 根 茎 部 分 を55℃ ズジ ャパ ン(株))に よ りダイ レク トシー ケンス法 型 粉 砕 機 で 約2分 で塩基配 列 を決定 した。 た 。 こ れ を 試 験 管 に 約25mgを 2.3精 油 成分の 分析 11月か ら12月にか けて収穫 した根 茎の主 根茎 を ー ル に 懸 濁,超 で1∼2晩 間 粉 砕 し,粉 乾 燥 後,小 末 サ ンプ ル とし 精 秤 し,3mlメ 音 波 発 生 装 置 を 用 い て55℃ 間 抽 出 を 行 い,そ の 上 清 をHPLC用 タノ ,50分 サ ンプル とし 一 定量 取 り,3倍 量 の ジク ロロメ タ ンで2回 抽出 た 。 分 析 条 件 は 以 下 に 示 し た 通 りで あ る 。 また, を行っ た。抽 出液 を濃 縮後n一 ヘ キサ ンに再溶解 ク ル ク ミ ノ イ ドの 定 量 は,標 し,n一 皿(図2,長 ヘキサ ン層 を精油成 分の分析 用サ ンプ ル 品curcuminI,II, 良 サ イ エ ン ス,岐 阜,日 本)に よる 浦上 財 団研究 報 告書Vol.13(2005) 50 3.結 果 3.lDNA塩 基配列 葉 緑 体DNAのtrnL(UAA)3'exson-trnF遺 伝子 の介在配 列 をPCRに よ り増幅 し,ア ガロー スゲ ル 電 気 泳動 によ り約1kbpのDNA断 図2ク ルクミノイドの構造式 片 を全 て の試 料 で確認 す ることがで きた。 この増 幅 したPCR産 物 を鋳型 とし,各 系統 のtrnL(UAA)5'exo-tynF遺 伝 子の 介在配列 の塩基 配列 を決定 した結果,ウ コ 検量線 を用 いて定量 を行 った。 ンの5系 統(系 統;Ll,L2,L3,L4,L5)は954bp, カ ラ ム:CadenzaCD-C18(250×4.6mm" ハル ウコ ンの2系 統(系 統;Al,A2)は955bp, (3,um),Imtakt) 溶 離 液:ア クス リウコ ンの2系 統(系 統;X1,X2)は956pb, セ トニ ト リル:水:TFAニ ガ ジュツの2系 統(系 統;Z1,Z2)は956bp,ガ 55:45:0.05(v/v) 流 速:0.8ml/min ジュ ツの2系 統(系 統;Z3,Z4)で カラム温 度:40℃ った(表2)。 検 出波長:423nm 637bpの3箇 2.5ク 所 で 塩基 の 違 い が見 出 され た(表 2)。 ハ ル ウコ ン,ク ス リ ウコ ンは各種 内 では い ラス ター分析 精 油成 分 のGC分 析 によ り得 られた 精油 成分 組 成及 びHPLC分 は955bpで あ これ らの塩 基配列 中に,144,145, 析 によ り得 られた クル ク ミノ イ ド の組 成を変 数 とし,R(version2.0.1)Pを ずれの 系統 も同 じ塩基 配列 であ ったが,ウ コ ンと ガ ジュツは2種 類の タイ プが 存在 した。 ウコ ンの 用 いて 2種 類 の タイプは,他 の3植 物種 と異な ってい た 解析 後,ウ ォー ド法に よ り系統樹 を作 成 し,ク ラ が,ガ ジュ ツの2種 類 の タイプの 内の一つ(タ イ ス ター分析 を行 った。 プ4)は 表2ク 零'5'末 ル クマ 属4種13系 端 か らの 塩 基 数 統 のtrnL(UAA)3'exson一 クス リウ コン と同じ配列 であっ た。 伽Fの 塩 基 配列 の 比 較 ウコ ン属 植物 のDNA及 表3ウ び二 次 代謝 産物 の プ ロフ ァ イリ ング に よる鑑 別 ・同 定法 の 開発 この結果,trnL(UAA)3'exson-trnF遺 伝子 の介 に示 した。 この結果か らそれ ぞれの植 物種の マー 在配列 か らウ コンとハ ルウ コン及び ガジュ ツの一 カ ー と な る 成 分 を 検 索 した 結 果,ウ 部(遺 伝子 型が タイプ5の 系統)は 識別 可能 であ 分(α ったが,ク ス リウコ ンとガジ ュツの一部(遺 伝子 ハ ル ウ コ ンで は2成 型が タイプ4の 系統)は 識別で きない ことが 明ら ク ス リ ウ コ ン で か となった 。 nuciferol,xanthorrhizol)が 3.2精 51 コン属植物4種の根茎に含まれ る[=_精 油成分の組成 油成分 GC分 析 に より検出 した 主要成 分の 組成 を表3 コ ンで は3成 一zingiberene,nerolidol,ar-turmerone), 分(curdione,unknown3), は3成 分(bergamotene, 種 識別 のための マー カ ー 成 分 と し て 利 用 可 能 と考 え られ た 。 また,ガ ジュ ツではマ ーカー となる種特 異的 な成分 を見い だ す こ と が で き な か っ た が,主 成 分 と して4成 分 (1.8-cineol,camphor,unknown2,elemene)を 同 時 に 含 ん で い る 場 合 に ガ ジ ュ ツ で あ る と判 別 可 能 と考 え られ る 。 これ ら の 種 特 異 的 成 分 は,ウ ン の 系 統L5を 除 い て,今 コ 回分析 を行 った全て の系 統 に お い て 共 通 した 結 果 で あ っ た 。 次 に,GC分 析 によ り検 出 した精油 成分 の 組成 を 基 に ク ラ ス タ ー 分 析 を し た 結 果 を 図3に た 。 こ の 結 果,ガ ン 属 の4植 3.3色 DW根 茎に含まれる精油成分の組成に基づ くウコン属植物4種13 系統の クラスター分析による系統樹 コ 素 成分 析 に よ り得 られ たcurcuminI,II,皿 分 の 含 量 と 組 成 を 表4に ノ イ ドの 含 有 量 は,ウ 図3根 示 し 除 い て,ウ 物種 を グループ化 する ことがで きた。 HPLC分 の3成 ジ ュ ツ の 系 統Z3を 茎)が 示 した。 クルク ミ コ ンの 系 統L5(24.48mg/g・ 最 も含 量 が 多 く,続 統L4(6.03mg/g・DW根 茎)で いて ウコ ンの系 あ っ た 。 一 方,ガ 52 浦 上財 団 研究 報告 書VoLl3(2005) 表4ウ 窟CurcuminI コン属植物4種13系 統 の根 茎に含 まれるクルクミノイドの含量と組成(n=3> ,II,IIIを 合 計 し た値 ジ ュ ツ に は ク ル ク ミ ン 類 は 全 く含 ま れ て い な か っ 次 に,3種 類 の ク ル ク ミ ノ イ ドの 組 成 は,ウ ン で は 系 統L5を 88.3%と 究 で試み た。 DNAの 塩 基 配列 に基 づ く鑑 別方 法で は,こ れ た。 コ 最 も そ の 組 成 が 高 く,続 伝 子の介 在配列 の塩基 配列 を調 べたが,い ず れの い てcurcumnin 最 も 領 域 にお いて も4植 物種 で差異 を見 いだす こ とが ス リ ウ コ ンで も 同 様 で き なか った(デ ー タ示 さず)。 また,こ れ までに が3.2∼3,8%と 少 な か っ た 。 こ の 組 成 は,ク ル ウ コ ン で は, curcumninlとcurcumninllが 同 程 度 の 組 成 で, Caoら5は,18SrRNAとtynK遺 な 組 成 を 示 し た 。 一 方,ハ curcumnin皿 伝子,rpll6遺 伝 子,yp116-Yp114遺 伝子 の介在 配列,atpF-atpA遺 除 い て,curcumninlが87.2∼ IIが8.3∼9。0%,curcumnin皿 ら4植 物 種 の葉緑 体DNAのrbcL遺 伝子 の塩基配 列 を が 微 量 含 ま れ て い る と い う特 徴 を 示 して い た 。 次 に,ク ル ク ミ ノ イ ドの 組 成 を基 に ク ラ ス タ ー 分 析 を 行 っ た 結 果 を 図4に ジ ュ ツ,ハ の3つ 示 した 。 こ の 結 果,ガ ル ウ コ ン お よ び ウ コ ン ・ク ス リ ウ コ ン の グ ル ー プ に 分 け る こ とが で きた が,ウ コ ン と ク ス リ ウ コ ンが 一 つ の グ ル ー プ と な っ た 。 4.考 察 ウコ ン属 植物の うち 日本 国内で 食用 と薬 用に 利 用 されてい る4植 物 種(ウ コ ン ・ハル ウコ ン ・ク ス リウコ ン ・ガジュ ツ)をDNAの 塩 基配列,二 次 代謝産 物(根 茎 に含まれ る精油成 分お よび クルク 図4根 ミノイ ド)を 用い た鑑別 ・同定方 法の確 立を本研 茎に含まれるクルクミノイドの組成に基づ くウコン属植物 4種13系 統のクラスター分析による系統樹 ウコ ン属 植物 のDNA及 用 い て6種 が,検 び 二次 代謝 産物 の プ ロフ ァ イリ ング に よる鑑 別 ・同定 法 の開 発 の ウ コ ン属植 物の 識別 を 試み てい る 討 し た こ の2つ の 遺 伝 子 領 域 だ け で は,十 zingibereneとxanthorrhizolの 報 告 さ れ て い る 分 な識 別 は で き て い な い 。 本 研 究 で 報 告 し たtYnL が81,本 研 究 で は,bergamotene,nuciferol, (UAA)3'exson-trnF遺 xanthorrhizolの3成 列 を用 い た4植 伝 子 の 介在 配 列 の塩 基 配 物 種 の 鑑 別 で は,ウ コンとハ ルウ コ ン は こ の 遺 伝 子 領 域 の塩 基 配 列 か ら識 別 可 能 で あ っ た が,ク ス リ ウ コ ン と ガ ジ ュ ツ の タ イ プ4の 塩 基 配 列 は 同 じで あ り,両 き な か っ た(表2)。 者 を識 別 す る こ とが で コン とガジュ ッで 2種 類 の 遺 伝 子 の タ イ プが 存 在 し て い る こ とが 示 さ れ,Caoら5rの 報 告 で も,trnK遺 に お い て,ガ 伝子の塩 基配列 ジ ュ ツ とC.kwangsiensisで2種 類 の リウ コンを識 別する ためのマ ーカー成 分 として利 用 で きる可能性 が高 いと考 えられる。 これ ら根茎 ところ ガジュ ツの一系統(Z3)を 除 いて植物 種毎 にグル ープ化で きる ことを見 いだ した(図3)。 し か しなが ら,根 茎の精油 成分 は,系 統 や栽培 地が 異 なる と差異 を示す と考 え られ るので,今 後,多 くの系統 や異 なる栽培条 件(環 境 条件)に つ いて 詳細 に検 討 し,種 特異的 な成分 やその生 成条 件な 一植物種 内 で 多 型 を 示 す 可 能 性 が 高 い と考 え られ る 。 従 っ つ の遺 伝子領 域か ら植物種 の鑑別 を行 うこ と は 難 し く,何 xanthorrhizolであ ると考 えられ,こ の成分が クス 様 な結 緑 体 遺 伝 子 の 領 域 の 種 類 に よ っ て は,同 て,一 分 が主 成 分 であ っ た。従 っ ス リ ウ コ ン で 共 通 す る主 成 分 は コン属植物 では葉 遺 伝 子 の タ イ プ の 存 在 が 示 さ れ て お り,同 果 を 示 し た 。 こ の こ とか ら,ウ て,ク の精油 の成分組 成か らクラス ター分析 を実施 した ま た,tynL(UAA)3'exson- trnF遺 伝 子 の 介 在 配 列 で は,ウ 53 ウ コンの根茎 に含 まれる精油 の主成 分 として は, 種類 かの遺伝 種領域 の塩基 配列 を どにつ いて検討 し,植 物 種の鑑 別に利 用で きる方 法 を確立 したい 。 も う一 つの二 次代謝産 物であ る クルク ミノイ ド で は,curcuminI,II,皿 の3成 分 を測定 し,こ 組 み 合 わ せ て鑑 別 を 実 施 す る 必 要 が あ る の で は な れ らを用 いた鑑 別方法 について検 討 した。ハ ルウ い か と考 え る。 コ ンでは,curcuminlとHが 同程 度 の組成 とい ウ コ ン 属 植 物 の 根 茎 に 含 ま れ る二 次 代 謝 産 物 の う特 徴 を,ガ ジュツで はクル クミノ イ ドを全 く含 ひ とつ で あ る精 油 成 分 を 用 い た 鑑 別 方 法 に つ い て まない という特徴 を示 したが,ウ コ ンとクス リウ 検 討 した と こ ろ,ウ コンで はcurcuminlを コ ンで は,種 コ ン,ハ ル ウ コ ン,ク ス リウ 特 異 的 成 分 と し て そ れ ぞ れ3,2,3 成 分 を 見 い だ す こ と が で き た が,ガ 主 成分 として含 有 して お り,両 植物 種 を識 別す るこ とが で きなかった(表 ジュ ツでは種 4)。 この結 果 は,ク ルク ミノ イ ドの 組成 を基 に 特 異 的 成 分 を 見 い だ す こ と が で き な か っ た(表 したク ラスター分析 の結 果 とも一 致 し(図4),ク 3)。 ル ク ミノイ ドを指標 とした植物種 の識別 は難 しい こ れ ま で に 報 告 さ れ て い る 色hな 系統 の ウ コ ンの 根 茎 に 含 ま れ る 精 油 の 主 成 分 と し て は β一 caryophyllene,1,8-cineole,a-curcumene,Qcurcumene,p-cymene,1inalool,β 今 回 の研究 で,4種 のウ コ ン属 植物 の識 別 に利 一pinene, 用可 能 な指 標 として葉 緑 体遺 伝子trnL(UAA)3' terpinolene,a-turmerone,ar-turmerone,Qturmerone,zingibereneが 成 分 はa-turmeroneで zingiberene,nerolidol,ay-turmeroneが α一turmeroneは exson-trn.F遺伝 子の 介在 配列 と精油 成分 を提案す あ り6㌔1°,共 通 す る 主 あ る が,本 と思 われ る。 研 究 で は α一 主成 分で 検 出 さ れ な か っ た 。 ま た,ク ス リ る ことがで きた。 しか し,明 確 な識別方 法の 開発 には,他 の遺 伝子領 域や精 油成分 の変動 に係 わる 環境 要因の解 析が必 要で ある と考 え られ る。今後 は,こ の研究 結果 を踏 まえ,さ らに識別 方法の 開 54 浦上 財 団研究 報 告書VoL13(2005) 発 を進 めて行 きたい。 玉401ecularanalysisofmedicinally-usedChineseand JapaneseCurcuntabasedon18SrRNageneandtrnKgene sequences.Biol.Pharm.Bull.,24:1389-1394. 謝 辞 6)Sharma.R.K..Misra,B.P.M.,Sarma,T.C.,Bordoloi.A. 本研 究を遂 行す るにあた り,研 究助成 金を賜 り ま した 財団法 人浦上 食品 ・食文化振 興財 団に深 く 感謝い た します。 また,ウ コ ン属 植物 をご提供 く K.,Pathak,M.G..Leclercq.P.A.(1997)Essentialoilsof CurcumaTongaL.fromBhutan.J.Essent.OilRes..9:589-592, 7)Garg.S.N,BansalR.P..Gupta.M.M..Kumar。S.(1999) Variationintherhizomeessentialoilandcurcumin だ さいま した国立 医薬品食 品衛生 研究所 筑波薬 用 植物栽 培試験 場の飯 田修室 長,菱 田敦之博 士,種 子島薬 用植物 栽培 試験場 の香月茂 樹場長 に謝意 を contentsandoilqualityinthelandracesofturmeric CurcumalongaofnorthIndianplains.FravourFragr.J.,14: 315-318. 8)JantanI.B.Ahmad.A.S..Ali,N.A.VL.Ahmad,A.R.. 表 します。 Ibrahim,H.(1999)Chemicalcompositionoftherhizomeoils offourCurcumaspeciesfrom¥Malaysia.J.Essent.OilRes., 11:719-723. 参考 文献 1)立 161,小 2)香 花 吉 茂,塚 学 館,東 月 茂 樹,薬 と そ の 仲 間,宮 本 洋 太 郎 監 修,園 芸 植 物 大 事 典2,pp160- 京(1988). 用植 物の栽培 と利用 (2002)Chemicalcompositionofessentialoilsfrom 今,話 崎 県 薬 会 誌,No230,6-13(2003). 3)Taberlet,P..Gielly.L.,Pautou.G..Bouvet.J.(1991) 9)Chane-Vling,J.,Vera.R..Chalchat.J.C..Cabassu.P. 題の うこん rhizomes.leavesandflowersofCurcumaTongaL.from ReunionIsland.J.Essent.OilRes.14:249-251. 10)RainesV'.K..Srivastava.S.K..Jain,N.,Ahmad,.A., universalprimersforamplificationofthreenon-coding Syamasundar.K.V.,Aggarwal,K.K,(2002)Essentialoil regionsofchloroplastDNA.PlantMoLBiol.,17:1105-1109. compositionofCurcumaTongaL.cv.Romafromtheplains 4)http:iiwwwr-project.orgiindex.html 5)Cao.H..Sasaki,Y..Fushimi,H.,Komatsu.K.(2001) ofnorthernIndia.FravourFragr.J.17:99-102. DiscriminationamongfourspeciesofCurcumabasedontheprofilesofD¥A sequencesandsecondarymetabolites 55 DiscriminationamongfourspeciesofCuycumabasedontheprofilesofDNA sequencesandsecondarymetabolites KeizoHosokawa,YukariMoritaandKazuoMori (DepartmentofNutritionalManagement,FacultyofHealthSciences,HyogoUniversity) FourspeciesofCurcumaplants(C.longaL.,C.aromaticSalisb.,C.xanthorrhizaRoxb.and C.zedoariaRosc.),whichareusedasspicesandmedicinesinJapan,areverysimilarin morphology.Weattemptedtodiscriminateamongthesefourspeciesbycomparingthe nucleotidesequencesofthetrnL(UAA)31exson-tynFspacerregionandsecondarymetabolites (essentialoilsandcurcuminoids)ofrhizomes. ComparisonofDNAsequencesofthespacerregionallowedustodistinguishthree species,C.longs.C.aromaticsandC.xanthorrhizaplusC.zedoariafromoneanother,butthe sequencesfromC.xanthorrhizaandtwoinfourstrainsofC.zedoariawereidentical. Inananalysisofessentialoils,themarkercompoundsforidentificationofspecieswere foundinthreespecies(C.longa,C.aromaticaandC.xanthoryhiza).Theywerea-zingiberene, nerolidolandar-turmeroneforC.longa;curdioneandanunknowncompoundforC.ayomatica; andbergamotene,nuciferolandxanthorrhizolforC.xanthorrhiza.But,inthecaseofC. zedoayia,species-specificcomponentswerenotfound.However,therewasthecharacteristic featureinC.zedoayiathatfourcompounds(1,8-cineol,camphor,unknowncompoundand elemene)coexistedintheessentialoilsextractedfromrhizomes.Fromtheclusteranalysisof thecompositionofessentialoils,thirteenstrainsoffourspeciesofCuycumaweredividedinto fourgroupsthatcorrespondedtoeachspecies.Inananalysisofothersecondarymetabolite curcuminoids,twospecies,C.aromaticsandC.zedoaria,werediscriminated.However,C. longaandC.xanthorrhizahadasimilarcompositiontocurcuminoids. Thedatapresentedinthisreportsuggestthatitmaybepossibletodiscriminatefour speciesofCurcumaplantsbycombinationofthethreefactorsmentionedabove.Inthefinal analysis,itwasdifficulttodiscriminatethefourspeciesbyonlyonefactor.