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ウコン属植物のDNA及び二次代謝物のプロファイリングによる鑑別・同定

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ウコン属植物のDNA及び二次代謝物のプロファイリングによる鑑別・同定
48
浦 上 財団 研究 報 告書VoL13(2005)
〈
平成15年度〉
ウ コ ン属 植 物 のDNA及
び 二 次 代 謝 産 物 の プ ロ フ ァイ
リ ン グ に よ る 鑑 別 ・同 定 法 の 開 発
細川
敬三
・森田
ゆか り ・ 森
一雄
(兵庫大学健康科学部)
の 開発を 目的に実 施す る。一方,二 次代 謝産物 に
1.は
じ め
に
よる化学分 類につ いて は,こ れ まで ウコ ン属植 物
物 は熱帯 アジ アを中心
で の報告が ない。 そ こで,こ れ ら4種 のウ コン属
に約50種 が分 布す る といわれ てい る11。これ らの
植物 の利用 部位で ある根 茎に含 まれ二次 代謝 産物
うち 日本 国内 で食用や 薬用 と して利 用 され てい る
で ある精油 成分 とクル ク ミノイ ドを用 いた鑑 別方
植 物種 は,ウ コ ン(C.longaL.)・ ハル ウコ ン(C.
法 につい て も検討 す る。 更に,こ れ ら3種 類 の鑑
aromaticsSalisb.)・クスリウ コン(C.xanthorrhiza
別方 法(DNA塩
ウ コン属(Curcuma)植
Roxb.)・ ガジュ ツ(C.zedoaYiaRosc.)の4種
であ
基 配列 ・精 油成分 ・クル クミノイ
ド)に つ いてそ れぞれの鑑 別方法 の特徴 と整 合性
る21。そ して,こ の4種 の 植物種 の分 類は,主 に
を調 べる こ とに よ り,よ り高精 度な方法 を確 立 し
外 部形態 や根茎 に含 まれる黄 色色素 の色調 の濃淡
た い。
を指標 として鑑 別 ・同定が行 われ ている。 しか し
2.実
験材 料 と方 法
なが ら,形 態面 か らの鑑別 ・同定で は豊富 な経験
が 必要で あ り,明 確 に鑑別 ・同定 できない もの も
2.1植
多 く,植 物 種 の同定 におい て間違 いや混乱 があ る
本 研究 で使用 した ウコ ン属植物 は,外 部形 態か
物材 料
こ とが知 られて いる2ト
。 また,黄 色色 素成 分 クル
ら植 物種 を同定 した4種13系 統 を用い た。 これ ら
ク ミノイ ドの 含有量 の面か らみる と,植 物 種の変
13系 統の外 部形態 の特徴 を表1に 示 した。 これ ら
異 や生産 地 ・栽培 条件 等に よ り含有量 に大 きな ば
の 栽培 は,基 肥 と して堆 肥2,000kg/10aとIB化 成
らつ きが ある といわ れてお り,そ の結 果,簡 便 ・
62.5kg/10a(N10-P10-KlO)を
迅 速 ・高 精度 に鑑別 ・同定 を行 うことが難 しいの
80cm,株
が現状で ある。
施 肥 した 圃場 に条問
間25cmの 栽植密 度 で5月 中旬 に植 え付
けを行い栽 培 を行 った。 この 間,追 肥 と してIB化
そ こで,植 物 の生育 環境や 生育 ステー ジ等に影
成 を7月 初旬 に30kg/10aと9月
初旬 に60kg/10a
響 されず に鑑 別 ・同 定 を行 うこ とが 可能 で あ る
を施肥 した。収穫 は,11月 下旬 に行い,以 降 の実
DNA解
験 に使用 した。
析技 術
特 に,DNA塩
基配列 情報
をウ コン属植物 の鑑別 ・同定 方法 に用い るこ とが
2.2DNA塩
非 常に有 効で ある と考 え られ る。本研 究で は,日
上 記13系 統の乾 燥葉か らDneasyPlantMiniKit
本国内で 食用や 薬用 と して主 に利用 されて い る4
基 配列 の解析
((株)キ アゲ ン)を 用い,全DNAを
抽 出 した。 こ
種 の ウコン属植 物種 ウコ ン ・ハル ウコ ン ・クス リ
の全DNAを
ウコ ン ・ガ ジュツの鑑 別 ・同定 に関 して,DNA塩
い,葉 緑 体DNAのtrnL(UAA)3'exson-tynF領
基 配列情報 を利 用 した4植 物 種の鑑 別 ・同 定方法
鋳 型 として,Taberletら3の
(図1)をPCRに
方法 に従
よ り増 幅 し,Exo-Saplt(ア
域
マ
ウ コ ン属植 物 のDNA及
び二 次代 謝産 物 のプ ロ フ ァイ リ ングに よる 鑑別 ・同定 法の 開 発
表1ウ
49
コン属植物a種13系 統のリス トと外部形態の特徴
と し た 。 こ れ を 以 下 の 条 件 のGCお
供 し た 。GCで
よ びGC-MSに
は検 出 された 各成 分の ピー ク面積
か ら組 成 を 算 出 し た 。GC-MSに
よる成 分の 同 定
は マ ス ス ペ ク ト ル デ ー タ ベ ー スNIST/EPA/
NIHと
の 比 較 に よ り行 っ た 。
カ ラ ム:Supelcowax10
(0.25mmi.d.X300r60m)
図lPCRで
増幅 したcpDNAの 領域。プ ライマ ーの矢 印の先端 が
3'末 端を示す.
キ ャ リ ア ガ ス:He(30cm/sec)
カ ラ ム温 度:50℃(2min)→2℃/min
シャム バイ オサイエ ンス(株))に よ り過剰 なプ ラ
イマー 及びdNTPを
こ の 精 製PCR産
除去 し,精 製PCR産 物 とした。
物 を 鋳 型 と し,BigDye
TerminatorCycleSequencingKit(ア
イオ シテム ズジャパ ン(株))を
310GeneticAnalyzer(ア
プ ライ ドバ
用い,ABIPrism
プ ライ ドバ イオ シテ ム
→270℃(5min)
イ ン ジ ェ ク タ温 度:270℃
検 出 器(GC):FID(300℃)
検 出 器(GC-MS):EI(70eV)
2.4ク
ル ク ミ ノ イ ドの 分 析
根 茎 の 主 根 茎 部 分 を55℃
ズジ ャパ ン(株))に よ りダイ レク トシー ケンス法
型 粉 砕 機 で 約2分
で塩基配 列 を決定 した。
た 。 こ れ を 試 験 管 に 約25mgを
2.3精
油 成分の 分析
11月か ら12月にか けて収穫 した根 茎の主 根茎 を
ー ル に 懸 濁,超
で1∼2晩
間 粉 砕 し,粉
乾 燥 後,小
末 サ ンプ ル とし
精 秤 し,3mlメ
音 波 発 生 装 置 を 用 い て55℃
間 抽 出 を 行 い,そ
の 上 清 をHPLC用
タノ
,50分
サ ンプル とし
一 定量 取 り,3倍 量 の ジク ロロメ タ ンで2回 抽出
た 。 分 析 条 件 は 以 下 に 示 し た 通 りで あ る 。 また,
を行っ た。抽 出液 を濃 縮後n一 ヘ キサ ンに再溶解
ク ル ク ミ ノ イ ドの 定 量 は,標
し,n一
皿(図2,長
ヘキサ ン層 を精油成 分の分析 用サ ンプ ル
品curcuminI,II,
良 サ イ エ ン ス,岐
阜,日
本)に
よる
浦上 財 団研究 報 告書Vol.13(2005)
50
3.結
果
3.lDNA塩
基配列
葉 緑 体DNAのtrnL(UAA)3'exson-trnF遺
伝子
の介在配 列 をPCRに よ り増幅 し,ア ガロー スゲ ル
電 気 泳動 によ り約1kbpのDNA断
図2ク
ルクミノイドの構造式
片 を全 て の試
料 で確認 す ることがで きた。 この増 幅 したPCR産
物 を鋳型 とし,各 系統 のtrnL(UAA)5'exo-tynF遺
伝 子の 介在配列 の塩基 配列 を決定 した結果,ウ コ
検量線 を用 いて定量 を行 った。
ンの5系 統(系 統;Ll,L2,L3,L4,L5)は954bp,
カ ラ ム:CadenzaCD-C18(250×4.6mm"
ハル ウコ ンの2系 統(系 統;Al,A2)は955bp,
(3,um),Imtakt)
溶 離 液:ア
クス リウコ ンの2系 統(系 統;X1,X2)は956pb,
セ トニ ト リル:水:TFAニ
ガ ジュツの2系 統(系 統;Z1,Z2)は956bp,ガ
55:45:0.05(v/v)
流 速:0.8ml/min
ジュ ツの2系 統(系 統;Z3,Z4)で
カラム温 度:40℃
った(表2)。
検 出波長:423nm
637bpの3箇
2.5ク
所 で 塩基 の 違 い が見 出 され た(表
2)。 ハ ル ウコ ン,ク ス リ ウコ ンは各種 内 では い
ラス ター分析
精 油成 分 のGC分 析 によ り得 られた 精油 成分 組
成及 びHPLC分
は955bpで あ
これ らの塩 基配列 中に,144,145,
析 によ り得 られた クル ク ミノ イ ド
の組 成を変 数 とし,R(version2.0.1)Pを
ずれの 系統 も同 じ塩基 配列 であ ったが,ウ コ ンと
ガ ジュツは2種 類の タイ プが 存在 した。 ウコ ンの
用 いて
2種 類 の タイプは,他 の3植 物種 と異な ってい た
解析 後,ウ ォー ド法に よ り系統樹 を作 成 し,ク ラ
が,ガ ジュ ツの2種 類 の タイプの 内の一つ(タ イ
ス ター分析 を行 った。
プ4)は
表2ク
零'5'末
ル クマ 属4種13系
端 か らの 塩 基 数
統 のtrnL(UAA)3'exson一
クス リウ コン と同じ配列 であっ た。
伽Fの
塩 基 配列 の 比 較
ウコ ン属 植物 のDNA及
表3ウ
び二 次 代謝 産物 の プ ロフ ァ イリ ング に よる鑑 別 ・同 定法 の 開発
この結果,trnL(UAA)3'exson-trnF遺
伝子 の介
に示 した。 この結果か らそれ ぞれの植 物種の マー
在配列 か らウ コンとハ ルウ コン及び ガジュ ツの一
カ ー と な る 成 分 を 検 索 した 結 果,ウ
部(遺 伝子 型が タイプ5の 系統)は 識別 可能 であ
分(α
ったが,ク ス リウコ ンとガジ ュツの一部(遺 伝子
ハ ル ウ コ ンで は2成
型が タイプ4の 系統)は 識別で きない ことが 明ら
ク ス リ ウ コ ン で
か となった 。
nuciferol,xanthorrhizol)が
3.2精
51
コン属植物4種の根茎に含まれ る[=_精 油成分の組成
油成分
GC分 析 に より検出 した 主要成 分の 組成 を表3
コ ンで は3成
一zingiberene,nerolidol,ar-turmerone),
分(curdione,unknown3),
は3成
分(bergamotene,
種 識別 のための マー
カ ー 成 分 と し て 利 用 可 能 と考 え られ た 。 また,ガ
ジュ ツではマ ーカー となる種特 異的 な成分 を見い
だ す こ と が で き な か っ た が,主
成 分 と して4成
分
(1.8-cineol,camphor,unknown2,elemene)を
同 時 に 含 ん で い る 場 合 に ガ ジ ュ ツ で あ る と判 別 可
能 と考 え られ る 。 これ ら の 種 特 異 的 成 分 は,ウ
ン の 系 統L5を
除 い て,今
コ
回分析 を行 った全て の系
統 に お い て 共 通 した 結 果 で あ っ た 。
次 に,GC分
析 によ り検 出 した精油 成分 の 組成
を 基 に ク ラ ス タ ー 分 析 を し た 結 果 を 図3に
た 。 こ の 結 果,ガ
ン 属 の4植
3.3色
DW根
茎に含まれる精油成分の組成に基づ くウコン属植物4種13
系統の クラスター分析による系統樹
コ
素 成分
析 に よ り得 られ たcurcuminI,II,皿
分 の 含 量 と 組 成 を 表4に
ノ イ ドの 含 有 量 は,ウ
図3根
示 し
除 い て,ウ
物種 を グループ化 する ことがで きた。
HPLC分
の3成
ジ ュ ツ の 系 統Z3を
茎)が
示 した。 クルク ミ
コ ンの 系 統L5(24.48mg/g・
最 も含 量 が 多 く,続
統L4(6.03mg/g・DW根
茎)で
いて ウコ ンの系
あ っ た 。 一 方,ガ
52
浦 上財 団 研究 報告 書VoLl3(2005)
表4ウ
窟CurcuminI
コン属植物4種13系 統 の根 茎に含 まれるクルクミノイドの含量と組成(n=3>
,II,IIIを 合 計 し た値
ジ ュ ツ に は ク ル ク ミ ン 類 は 全 く含 ま れ て い な か っ
次 に,3種
類 の ク ル ク ミ ノ イ ドの 組 成 は,ウ
ン で は 系 統L5を
88.3%と
究 で試み た。
DNAの 塩 基 配列 に基 づ く鑑 別方 法で は,こ れ
た。
コ
最 も そ の 組 成 が 高 く,続
伝 子の介 在配列 の塩基 配列 を調 べたが,い ず れの
い てcurcumnin
最 も
領 域 にお いて も4植 物種 で差異 を見 いだす こ とが
ス リ ウ コ ンで も 同 様
で き なか った(デ ー タ示 さず)。 また,こ れ までに
が3.2∼3,8%と
少 な か っ た 。 こ の 組 成 は,ク
ル ウ コ ン で は,
curcumninlとcurcumninllが
同 程 度 の 組 成 で,
Caoら5は,18SrRNAとtynK遺
な 組 成 を 示 し た 。 一 方,ハ
curcumnin皿
伝子,rpll6遺
伝 子,yp116-Yp114遺 伝子 の介在 配列,atpF-atpA遺
除 い て,curcumninlが87.2∼
IIが8.3∼9。0%,curcumnin皿
ら4植 物 種 の葉緑 体DNAのrbcL遺
伝子 の塩基配 列 を
が 微 量 含 ま れ て い る と い う特 徴 を 示
して い た 。
次 に,ク
ル ク ミ ノ イ ドの 組 成 を基 に ク ラ ス タ ー
分 析 を 行 っ た 結 果 を 図4に
ジ ュ ツ,ハ
の3つ
示 した 。 こ の 結 果,ガ
ル ウ コ ン お よ び ウ コ ン ・ク ス リ ウ コ ン
の グ ル ー プ に 分 け る こ とが で きた が,ウ
コ
ン と ク ス リ ウ コ ンが 一 つ の グ ル ー プ と な っ た 。
4.考
察
ウコ ン属 植物の うち 日本 国内で 食用 と薬 用に 利
用 されてい る4植 物 種(ウ コ ン ・ハル ウコ ン ・ク
ス リウコ ン ・ガジュ ツ)をDNAの
塩 基配列,二 次
代謝産 物(根 茎 に含まれ る精油成 分お よび クルク
図4根
ミノイ ド)を 用い た鑑別 ・同定方 法の確 立を本研
茎に含まれるクルクミノイドの組成に基づ くウコン属植物
4種13系 統のクラスター分析による系統樹
ウコ ン属 植物 のDNA及
用 い て6種
が,検
び 二次 代謝 産物 の プ ロフ ァ イリ ング に よる鑑 別 ・同定 法 の開 発
の ウ コ ン属植 物の 識別 を 試み てい る
討 し た こ の2つ
の 遺 伝 子 領 域 だ け で は,十
zingibereneとxanthorrhizolの 報 告 さ れ て い る
分 な識 別 は で き て い な い 。 本 研 究 で 報 告 し たtYnL
が81,本 研 究 で は,bergamotene,nuciferol,
(UAA)3'exson-trnF遺
xanthorrhizolの3成
列 を用 い た4植
伝 子 の 介在 配 列 の塩 基 配
物 種 の 鑑 別 で は,ウ
コンとハ ルウ
コ ン は こ の 遺 伝 子 領 域 の塩 基 配 列 か ら識 別 可 能 で
あ っ た が,ク
ス リ ウ コ ン と ガ ジ ュ ツ の タ イ プ4の
塩 基 配 列 は 同 じで あ り,両
き な か っ た(表2)。
者 を識 別 す る こ とが で
コン とガジュ ッで
2種 類 の 遺 伝 子 の タ イ プが 存 在 し て い る こ とが 示
さ れ,Caoら5rの
報 告 で も,trnK遺
に お い て,ガ
伝子の塩 基配列
ジ ュ ツ とC.kwangsiensisで2種
類 の
リウ コンを識 別する ためのマ ーカー成 分 として利
用 で きる可能性 が高 いと考 えられる。 これ ら根茎
ところ ガジュ ツの一系統(Z3)を
除 いて植物 種毎
にグル ープ化で きる ことを見 いだ した(図3)。 し
か しなが ら,根 茎の精油 成分 は,系 統 や栽培 地が
異 なる と差異 を示す と考 え られ るので,今 後,多
くの系統 や異 なる栽培条 件(環 境 条件)に つ いて
詳細 に検 討 し,種 特異的 な成分 やその生 成条 件な
一植物種
内 で 多 型 を 示 す 可 能 性 が 高 い と考 え られ る 。 従 っ
つ の遺 伝子領 域か ら植物種 の鑑別 を行 うこ
と は 難 し く,何
xanthorrhizolであ ると考 えられ,こ の成分が クス
様 な結
緑 体 遺 伝 子 の 領 域 の 種 類 に よ っ て は,同
て,一
分 が主 成 分 であ っ た。従 っ
ス リ ウ コ ン で 共 通 す る主 成 分 は
コン属植物 では葉
遺 伝 子 の タ イ プ の 存 在 が 示 さ れ て お り,同
果 を 示 し た 。 こ の こ とか ら,ウ
て,ク
の精油 の成分組 成か らクラス ター分析 を実施 した
ま た,tynL(UAA)3'exson-
trnF遺 伝 子 の 介 在 配 列 で は,ウ
53
ウ コンの根茎 に含 まれる精油 の主成 分 として は,
種類 かの遺伝 種領域 の塩基 配列 を
どにつ いて検討 し,植 物 種の鑑 別に利 用で きる方
法 を確立 したい 。
も う一 つの二 次代謝産 物であ る クルク ミノイ ド
で は,curcuminI,II,皿
の3成 分 を測定 し,こ
組 み 合 わ せ て鑑 別 を 実 施 す る 必 要 が あ る の で は な
れ らを用 いた鑑 別方法 について検 討 した。ハ ルウ
い か と考 え る。
コ ンでは,curcuminlとHが
同程 度 の組成 とい
ウ コ ン 属 植 物 の 根 茎 に 含 ま れ る二 次 代 謝 産 物 の
う特 徴 を,ガ ジュツで はクル クミノ イ ドを全 く含
ひ とつ で あ る精 油 成 分 を 用 い た 鑑 別 方 法 に つ い て
まない という特徴 を示 したが,ウ コ ンとクス リウ
検 討 した と こ ろ,ウ
コンで はcurcuminlを
コ ンで は,種
コ ン,ハ
ル ウ コ ン,ク
ス リウ
特 異 的 成 分 と し て そ れ ぞ れ3,2,3
成 分 を 見 い だ す こ と が で き た が,ガ
主 成分 として含 有 して お
り,両 植物 種 を識 別す るこ とが で きなかった(表
ジュ ツでは種
4)。 この結 果 は,ク ルク ミノ イ ドの 組成 を基 に
特 異 的 成 分 を 見 い だ す こ と が で き な か っ た(表
したク ラスター分析 の結 果 とも一 致 し(図4),ク
3)。
ル ク ミノイ ドを指標 とした植物種 の識別 は難 しい
こ れ ま で に 報 告 さ れ て い る 色hな
系統 の ウ
コ ンの 根 茎 に 含 ま れ る 精 油 の 主 成 分 と し て は β一
caryophyllene,1,8-cineole,a-curcumene,Qcurcumene,p-cymene,1inalool,β
今 回 の研究 で,4種 のウ コ ン属 植物 の識 別 に利
一pinene,
用可 能 な指 標 として葉 緑 体遺 伝子trnL(UAA)3'
terpinolene,a-turmerone,ar-turmerone,Qturmerone,zingibereneが
成 分 はa-turmeroneで
zingiberene,nerolidol,ay-turmeroneが
α一turmeroneは
exson-trn.F遺伝 子の 介在 配列 と精油 成分 を提案す
あ り6㌔1°,共 通 す る 主
あ る が,本
と思 われ る。
研 究 で は α一
主成 分で
検 出 さ れ な か っ た 。 ま た,ク
ス リ
る ことがで きた。 しか し,明 確 な識別方 法の 開発
には,他 の遺 伝子領 域や精 油成分 の変動 に係 わる
環境 要因の解 析が必 要で ある と考 え られ る。今後
は,こ の研究 結果 を踏 まえ,さ らに識別 方法の 開
54
浦上 財 団研究 報 告書VoL13(2005)
発 を進 めて行 きたい。
玉401ecularanalysisofmedicinally-usedChineseand
JapaneseCurcuntabasedon18SrRNageneandtrnKgene
sequences.Biol.Pharm.Bull.,24:1389-1394.
謝
辞
6)Sharma.R.K..Misra,B.P.M.,Sarma,T.C.,Bordoloi.A.
本研 究を遂 行す るにあた り,研 究助成 金を賜 り
ま した 財団法 人浦上 食品 ・食文化振 興財 団に深 く
感謝い た します。 また,ウ コ ン属 植物 をご提供 く
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CurcumaTongaL.fromBhutan.J.Essent.OilRes..9:589-592,
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Variationintherhizomeessentialoilandcurcumin
だ さいま した国立 医薬品食 品衛生 研究所 筑波薬 用
植物栽 培試験 場の飯 田修室 長,菱 田敦之博 士,種
子島薬 用植物 栽培 試験場 の香月茂 樹場長 に謝意 を
contentsandoilqualityinthelandracesofturmeric
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DiscriminationamongfourspeciesofCurcumabasedontheprofilesofD¥A
sequencesandsecondarymetabolites
55
DiscriminationamongfourspeciesofCuycumabasedontheprofilesofDNA
sequencesandsecondarymetabolites
KeizoHosokawa,YukariMoritaandKazuoMori
(DepartmentofNutritionalManagement,FacultyofHealthSciences,HyogoUniversity)
FourspeciesofCurcumaplants(C.longaL.,C.aromaticSalisb.,C.xanthorrhizaRoxb.and
C.zedoariaRosc.),whichareusedasspicesandmedicinesinJapan,areverysimilarin
morphology.Weattemptedtodiscriminateamongthesefourspeciesbycomparingthe
nucleotidesequencesofthetrnL(UAA)31exson-tynFspacerregionandsecondarymetabolites
(essentialoilsandcurcuminoids)ofrhizomes.
ComparisonofDNAsequencesofthespacerregionallowedustodistinguishthree
species,C.longs.C.aromaticsandC.xanthorrhizaplusC.zedoariafromoneanother,butthe
sequencesfromC.xanthorrhizaandtwoinfourstrainsofC.zedoariawereidentical.
Inananalysisofessentialoils,themarkercompoundsforidentificationofspecieswere
foundinthreespecies(C.longa,C.aromaticaandC.xanthoryhiza).Theywerea-zingiberene,
nerolidolandar-turmeroneforC.longa;curdioneandanunknowncompoundforC.ayomatica;
andbergamotene,nuciferolandxanthorrhizolforC.xanthorrhiza.But,inthecaseofC.
zedoayia,species-specificcomponentswerenotfound.However,therewasthecharacteristic
featureinC.zedoayiathatfourcompounds(1,8-cineol,camphor,unknowncompoundand
elemene)coexistedintheessentialoilsextractedfromrhizomes.Fromtheclusteranalysisof
thecompositionofessentialoils,thirteenstrainsoffourspeciesofCuycumaweredividedinto
fourgroupsthatcorrespondedtoeachspecies.Inananalysisofothersecondarymetabolite
curcuminoids,twospecies,C.aromaticsandC.zedoaria,werediscriminated.However,C.
longaandC.xanthorrhizahadasimilarcompositiontocurcuminoids.
Thedatapresentedinthisreportsuggestthatitmaybepossibletodiscriminatefour
speciesofCurcumaplantsbycombinationofthethreefactorsmentionedabove.Inthefinal
analysis,itwasdifficulttodiscriminatethefourspeciesbyonlyonefactor.
Fly UP