...

第3 景観形成の基本指針

by user

on
Category: Documents
14

views

Report

Comments

Transcript

第3 景観形成の基本指針
第3
景観形成の基本指針
景観形成の目標は、私たちの生活からまち全体のあり方まで広い範囲にまたが
っています。そこで、具体的にまちづくりにかかわるときに、どのような点に配
慮して景観づくりを進めていくのかを「基本指針」として定めます。
1
府中市における景観づくりの考え方
第 1 は、すぐれた景観を「守る」ことです。府中崖線を例にあげれば、緑地
を買い取って保全する、崖線付近で開発する時には斜面や既存の樹木を残して
いくことであり、神社や寺院の歴史的な景観を保全していくこともこれに含ま
れます。
第2は、すぐれた景観に「育てる」ことです。街道に面した住宅の石積みの
壁や農家の屋敷まわりの玉石積みの垣、石仏やほこらなどの歴史を感じさせる
景観の要素は、周辺の環境を整備して育てることが大切です。
第3は、好ましくない景観を「取り除く」事です。張り巡らされた各種の電
線や、色や形も様々な看板や広告、歩道をふさいでいる電柱や自動販売機、放
置自転車など景観を妨げているものを、形態や色彩を工夫する、置き方に配慮
するなどして目立たなくしたり、改善していくことです。
第4は、新しいものをつくるときには「きちんと考えて、つくる」ことです。
家やマンション、あるいは公共施設や道路などをつくる時には、将来を見すえ
る視点に立って、はじめによく考えたり、調査することが大切です。これらの
ものは一度つくるとなかなか直したり、変えたりすることが難しいものが一般
的です。そこで、周辺の街並みと調和したものか、残すべき歴史的資源が付近
にないか、公共施設が利用者にとって使いやすいか、等も事前に十分に調査・
研究することが大切です。
これらの目標と考え方を図に示すと次のようになります。
21
<<府中の景観形成の目標と考え方>>
住宅
にぎわい
住環境
生 活
暮らし
静けさ
楽しさ
交流
助け合い
【居心地のよい生活環境をつくる】
愛着が生まれるまち
景観づくり
潤いを生みだすまち
細やかな景観のあるまち
豊かな自然や歴史とふれあえる
まち
【府中らしい自然や緑を守る】
多摩川
崖線
湧水
眺望
自 然
【歴史や文化を感じさせる街並みを育てる】
農地
寺社
用水
ほこら
雑木林
石碑
浅間山
農村
22
街並み
歴 史
街道
地割り
道すじ
2
基本指針
府中らしい景観の形成を進めていくため、骨格的景観の特長を構成する要素
や、景観のまとまりを景観構造として位置付け、景観形成の基本的方向を示し
ます。
(1)
景観形成推進地区
けやき並木や崖線、多摩川など市街地景観の骨格、地形や自然のつながり
による自然景観の骨格として、景観形成推進地区を位置付け、景観形成の基
本指針を示します。
景観形成推進地区では、景観法に基づく届出制度の活用や、色彩・広告物
等独自の景観誘導、景観協定の締結などによる重点的な景観形成の取組を進
めます。
ア
大國魂神社・けやき並木周辺景観形成推進地区
イ
国分寺崖線景観形成推進地区
ウ
府中崖線景観形成推進地区
エ
浅間山周辺景観形成推進地区
オ
多摩川沿川景観形成推進地区
23
ア
大國魂神社・けやき並木周辺景観形成推進地区
【現状と課題】
・
市中央に位置し、国の天然記念物である馬場大門ケヤキ並木を中心とした一
帯で、商業、生活、文化の中心であり、シンボル的な空間です。
・
沿道建物のセットバック等により、ゆとりある歩行空間の形成が進められていま
すが、さらに、色彩、スカイライン、広告物等の景観形成の促進が望まれます。
【基本的な方向性】
・
歴史と文化の奥行きを持った風格のある景観づくりを行います。
・
親しみがあり、愛着と魅力を感じる景観づくりを行います。
・
観光や伝統行事などの拠点にふさわしい景観づくりを行います。
イ
国分寺崖線景観形成推進地区
【現状と課題】
・
市北部に分布し、武蔵野台地の地形構造を顕著に表し、崖線の上部、斜面、
下部で異なる土地利用がなされ、変化に富んだ景観を形成しています。
・ 台地部と低地部を結ぶ斜面部には、崖線のスカイラインを形成する緑地や変化
のある坂道とともに、武蔵野の緑が残っています。
・
東京都の景観構造の骨格である景観基本軸に位置付けられています。
【基本的な方向性】
・
緑や地形などの自然を保全します。
・
市民が日常的に親しめる景観形成を行います。
・
周辺の緑化を進め、崖線と調和した景観形成を行います。
24
ウ
府中崖線景観形成推進地区
【現状と課題】
・
市中央部に位置し、東西に帯状の景観を形成しています。
・
斜面緑地では貴重な武蔵野の緑や湧水地が残っており、保全が望まれます。
・ 低層の住宅地では、はけ上からの眺望が得られるなど、特徴的な景観を形成し
ています。
【基本的な方向性】
・
緑や湧水地、地形などを保全します。
・
市民が日常的に親しめる景観形成を行います。
・
敷地の緑化を進め、崖線と調和した景観形成を行います。
エ
浅間山周辺景観形成推進地区
【現状と課題】
・
四季を感じさせてくれる緑の拠点、地域のシンボルとして大切にされています。
・
周囲に高層建物が少なく、見晴らし場からの眺望が確保されています。
・
浅間山の景観保全、景観形成の取組が望まれます。
【基本的な方向性】
・
緑の拠点としての景観づくりを行います。
・
周辺の農地の保全や建物の高さなどを配慮した景観形成を行います。
・
緑や地形などの自然を保全します。
25
オ
多摩川沿川景観形成推進地区
【現状と課題】
・ 市南側を東西に流れており、対岸の丘陵まで視界が開けており、雄大な景観が
市民に親しまれています。
・ 広い河川敷は緑が多く、動植物の観察や、市民のレクリエーション空間として親
しまれています。
【基本的な方向性】
・
市民が日常的に自然と触れ合える空間づくりを行います。
・
水辺の貴重な自然環境を保全します。
・
沿道建物と調和した水と緑のベルトにふさわしい景観づくりを行います。
(2)
一般地域
市内の景観形成推進地区以外の区域を一般地域とし、景観を特徴づけている景
観要素を含む地域ごとに、景観形成の方針及び基準を定めます。
(3)
生活環境の地域区分
地域別まちづくり方針の地域区分は、生活環境の地域区分として位置付け、基
本的方向を示し、地域毎の景観特性を生かした景観まちづくりのため、地域住民の
視点による資源や特性など、地域の景観情報の充実を図ります。
また、まちづくり誘導地区などで、まちづくりの方針や建築物に関するルール等
が定められた場合は、これに合わせて景観形成を誘導していきます。
(4)
景観要素(8つの類型)
市の景観を構成する様々な要素を捉え、また、地域を特徴づける景観資源を掘り
起こすため、8つの景観要素の類型を位置付け、景観形成の基本的方向を示します。
景観づくりの基本理念である「居心地のよい生活環境があるまち」「府中らしい自
然や緑のあるまち」「歴史や文化の奥行きを感じさせるまち」の実現を図るために、
景観要素ごとに、具体的な進め方をまとめます。
26
1)
落着きのある住宅地の景観づくり
身近な生活環境を居心地の良いもの、住み良いものにしていくことが景観づくりの
第一歩です。“住む環境、住み続けたくなる環境、として、どのような住まいの周辺環
境を作っていくのか”をテーマとして、地域の中で話合いを重ね、身近な環境の問題
点や解決の方法について検討していくことが必要です。
また、農地などの緑が多くゆとりある住宅地がある一方で、道路が狭く交通安全上
や防災上の危険を持つ住宅地もあります。さらに、府中駅を中心とする幹線道路沿
いには中高層のマンションの立地も進んでおり、新しい景観が形成されつつあります。
こうした住宅地の特性や動きを踏まえ、身近な景観をテーマにまちづくりを進めます。
ア
住宅地の緑を守り、育てる
・
大木や既存樹木、樹林の保全、さらに生け垣化やベランダの緑化を進め、緑
の多い住宅地の景観づくりを進めます。
・
街路樹や公園・広場などの公共の緑についても、樹種の選定や管理に対す
る住民参加を進め、住む人のまちへの愛着を育む緑化を進めます。
イ
まちの美観づくりを進める
・ 各種の電柱の整理・統合、さらに各家庭に伸びる電線やケーブルの一元化な
どによりすっきりとした住宅地の景観をつくり出します。
・
クーラーなどの室外機、ごみ置場、屋上の機械類など目ざわりなものを隠した
り、目立たない置き方を工夫します。
・
公共のごみボックスのデザインや置き場所を工夫し、街並みになじむものとし
ます。
・
自動販売機、広告、看板などの色彩や形、建物の高さや形態、色彩など街並
みのルールを地域で考え、落ち着きのある美しい街並みをつくり出します。
ウ
住宅地の個性と魅力を育てる
・
用水やはけの緑、多摩川や浅間山の眺望など地域の景観資源を発見し、景
観づくりに活用します。
・
ほこら、石碑、玉石垣など地域の歴史や文化を伝えるものを残し、新しい景観
づくりの中に取り入れていきます。
・
農地と住宅地の間を緑化する等、農地と調和した住宅地の景観をつくります。
・
古道や農道の形状を生かして、特色のある生活道路の整備を進めます。
エ
ふれあいの空間をつくる
・
住宅団地の建替えや集合住宅の建設に当たっては、接道部分にオープンス
ペースを確保し、緑地や地域とのふれあいの空間として整備します。
・
塀や柵はできる限り低くして開放的な空間づくりを進めます。
・
スポットパークを地域のふれあいの場として活用・整備します。
27
2)
交流とにぎわいのある駅前の景観づくり
駅やその周辺の商店街は、私たちが通勤や通学、買い物など日常生活を送る上
で大切な場所です。また、ショッピングを楽しんだり、文化や情報とふれあう場所でも
あります。そこで、交通システムや商業の発展などによって、駅周辺が変わっていくの
をきっかけに、利用者や生活する人の意見が盛り込まれた“地域の生活・交流拠点”
として整備することが必要です。
特に、京王線府中駅・JR府中本町駅周辺は、府中への玄関口であり、大國魂神社
やけやき並木など市民の心のよりどころとなる場所でもあることから、市民の思いを取
り入れた景観づくりを進めていくことが必要です。
ア
市民の思いを大切にした中心部の景観をつくる
・ 市民の心のよりどころである大國魂神社やけやき並木と調和する、歴史と文化
の奥行きのある府中駅周辺の景観づくりを進めます。
・
特に、けやき並木や旧甲州街道沿いでは、商業ビル、マンションの高さや形
態、色彩などのルールを定め、積極的に街並みづくりを図ります。
・
駅舎や駅周辺の商業施設、道路については、高齢者や障害者も含む利用者
にとって、わかりやすく利用しやすい施設として整備します。
・
自動販売機、広告、看板などの色彩や形、建物の高さや形態、色彩など街並
みのルールを検討し、風格のある美しい街並みをつくり出します。
・
イ
高架下や駐車場など殺風景になりやすい空間の修景を進めます。
生活拠点として駅周辺をつくる
・
駅舎や駅前広場などの整備に当たっては、駅利用者の声が反映できるように
工夫します。
・
鉄道の歴史や地域の歴史、文化を景観づくりの中に取り入れていきます。
・
駅周辺では、自動販売機、広告、看板などの色彩や形、建物の高さや形態、
色彩など街並みのルールを検討し、美しい街並みをつくり出していきます。
・ 高齢者、障害者の利用に配慮するとともに、一般者も利用しやすいような駅前
広場の整備、駐車場の整備を進めます。
ウ
魅力ある商店街をつくる
・
看板、電柱の整理・統合、建物のセットバックなどにより、歩きやすく買物しや
すい歩行空間を確保します。
・
広告や看板、建物デザイン、街灯、道路の舗装などを工夫し、統一感と賑わ
いのある商店街の街並みづくりを図ります。
・
駐車場、駐輪場を確保するとともに、積極的にオープンスペースを確保し、商
店街のイベントや地域の人々の交流の空間として整備します。
28
3)
安全で快適な道路の景観づくり
かつて道は、人や物、文化・交流の場所であり、生活の舞台でしたが、モータリゼ
ーションの発達により、現在は人や車の通行を処理する機能のみが前面に出てしま
っています。そこで、文化の交流空間、人々の生活空間としての道の姿を取り戻すこ
とが必要です。生活道路や幹線道路などの整備においては、人々の道への思い、要
望を反映しながら、沿道に住む人々の参加と協力を得て、高齢者や子供たちが安心
して歩ける道づくり、地域の自然や歴史とふれあい、沿道の人々の生活や文化とふ
れあえるような楽しい道づくりを進めます。
ア
安全で快適な道路空間を確保する
・
地域での事情をふまえながら、高齢者や障害者が気軽に、安全に外出できる
ように、車いすの通行に十分な幅員の歩道の確保、車道との段差の解消を図り
ます。
・
自転車と歩行者の通行の分離を進めます。
・
置き看板、放置自転車、標識、電柱など歩行を妨害するものを整理して、取り
除いていきます。
・
イ
防災上、課題のある細街路等の対策を進めます。
好ましくない景観を取り除く
・ 商業地や住宅地などの地域特性に即した電柱・電線の地中化を推進します。
ウ
・
タバコやごみのポイ捨てなどのマナーの向上を促進させます。
・
高速道路や鉄道の高架下の修景を推進します。
自然や四季、文化が感じられる道を育てる
・
生活道路の整備に当たっては、道路の幅員や構造、道路整備のイメージ(並
木や草花の種類、どのように地域の歴史や文化を取り入れるかなど)について
周辺の住民の意見を求めていきます。
・
道路に植える樹木や草花の管理については沿道住民の参加と理解を求めて
いきます。
エ
楽しく歩ける道をつくる
・
公共サイン、ストリートファニチャーなどの路上設置物のデザインや設置場所
を検討し、わかりやすく、統一のとれた道の景観をつくります。
・
都市計画道路の整備に合わせて、沿道建物の高さ、形態、デザイン、緑化の
あり方、広告・看板のあり方などについて検討し、統一のとれた街並みをつくりま
す。
・
道路沿いの敷地の緑化、生け垣化など道に向けた表情を大切にした住宅、
建物づくりを進めます。
29
4)
地域と調和した大規模施設の景観づくり
多磨霊園や競馬場、競艇場、刑務所など大規模な公共施設、大規模工場が多い
ことがまちの特徴となっています。これらの大規模施設が地域から孤立することなく、
地域の景観づくりに貢献するようなあり方を検討する必要があります。
また、大規模工場がオフィスビルやマンションに転換する場合は、景観に大きな変
化をもたらすことから、景観づくりの観点から積極的に働きかけていくことが必要で
す。
ア
周囲との境界部分に配慮する
・
塀や柵をセットバックして、周囲にゆとりある空間を作り出し、緑化を図ります。
・
特に、交差点部分ではオープンスペースを確保し、スポットパークとして整備
します。
イ
・
調和やつながりを大切にする
建物は道路から十分セットバックさせ、周囲に圧迫感を与えない形態とし、色
彩についても周囲との調和に配慮したものとします。
・
塀や柵は、施設の利用に支障がない限り、透過性のものとします。
・
敷地境界部や駐車場の緑化を進めます。
ウ
地域との交流を促進する
・
文化やスポーツ面での地域との交流を促進します。
・
地域の文化や歴史を施設づくりの中に取り入れていきます。
エ
・
基地跡地周辺の景観づくりを進める
基地跡地については、既存の樹木などにも配慮し、周辺環境と調和した景観
づくりを進めていきます。
・
周辺の浅間山などとの繋がりを重視します。
30
5)
地域の公共施設を核とした親しみのある景観づくり
小中学校や文化センター、公園などの地域の中の公共施設は、生涯教育の高まり
などに対応して地域に開かれた、地域での交流の拠点となる施設づくりを目指します。
そのために、これらの施設の改築や再整備の機会をとらえて、計画づくりの段階から
周囲の住民の意見やアイデアを十分に取り入れていきます。
ア
開かれた、親しみの感じられる工夫をする
・
塀や門を設けずに、フェンスなど透過性のあるものとします。
・
入ってみたくなるような入口、施設の中が外から見える工夫をします。
・
敷地内に人が憩い、休息できる施設がある空間を確保していきます。
イ
地域のシンボルとなる施設をつくる
・
地域の歴史や文化を、施設づくりの中に取り入れます。
・
既存樹木の保存を図るなど、地域の自然を取り入れます。
・
周辺の街並みに圧迫感や違和感を与えないような建物の形態、配置、デザイ
ンとします。
ウ
・
周辺のまちづくりにつなげていく
緑の多い地域の景観づくりに貢献する効果的な接道部の緑化のあり方を検
討します。
・
前面道路と一体的整備を図り、道路の景観づくりに貢献します。
・
公共施設と公園が隣接する場合などは、相互から利用できるように一体的に
整備します。
エ
様々な参加の方法を検討する
・
公共施設の規模や用途に応じた参加の仕組みを検討します。
・
公共施設のあり方をテーマに市民のアイデアを蓄積します。
31
6)
多摩川や用水などの水を生かした景観づくり
市内には多摩川や農業用水、湧き水など様々な表情を持つ水辺の景観がありま
す。特に、府中崖線から多摩川の間に広がる多摩川低地部では、農業用水が残り、
水田と一体となった潤いのある景観が広がっています。そこで、多摩川低地部では、
多摩川や農業用水、府中崖線沿いの湧水など豊かな水を生かして、身近に水とふ
れあえる景観づくりを進めます。
多摩川の水質の向上、湧水の水量の確保、せせらぎの整備などを進めるに当たっ
ては、人々の自然環境と水のかかわり、生活排水や透水性の確保に対する認識の
高まりが必要です。そこで、イベントや見学会、パンフレットの発行など様々な手法を
通して水や自然環境に対する認識づくりを進めていくことが大切です。
ア
多摩川と親しみ、ふれあえる環境をつくる
・
多摩川の水質の回復に対する広域的な取組を進めます。
・ 多摩川流域の土地利用のあり方、建物の建て方などを検討し、対岸や隣接自
治体と協力しながら、広大な多摩川の眺望を確保していきます。
・
多摩川通りの緑化、沿道の建物の緑化を進めます。
・
河川敷の自然の保全・回復と自然とのふれあいのあり方を検討します。
・
多摩川に気軽に訪れることのできる歩行者ルートを整備します。
イ
せせらぎを守り、育てる
・
農地と用水を一体のものとして保全します。
・
必要な水量を確保し、用水を活用したせせらぎづくりを進めます。
・
地域の人々の参加を得て、せせらぎの整備や管理を進めます。
ウ
湧水を守り、育てる
・
湧水の水量を確保するために、雨水浸透ますの設置や透水性舗装の推進に
より、崖上の透水性を確保します。
・
エ
湧水地を整備して、水とふれあえる空間をつくります。
水に対する認識を高めていく
・
多摩川や水に対する認識を高めるイベントを開催します。
・
湧水などをテーマに都市の自然環境と水についての認識を高めていきます。
32
7)
崖線や武蔵野の自然や緑を生かした景観づくり
大規模公園や緑地が多く、緑が多いのがまちの特徴です。しかし一方で、はけの
緑、雑木林、大木など武蔵野の原風景を形成してきた緑は年々減ってきています。
また、近年では緑の量的な確保だけではなく、昆虫や鳥などとのふれあえる緑、木の
実や花を楽しめる緑など、われわれの生活に潤いをもたらし、都市環境の質の向上
につながる緑のあり方が注目されています。
そこで、崖線付近の緑、屋敷林の緑、鎮守の森などに残る府中固有の豊かな植生、
水系、歴史的風土を反映した緑や、四季が感じられる緑、野鳥や昆虫など生き物の
よりどころとなる自然性が高い緑を生かした景観づくりを進めます。
ア
府中崖線の緑を守り、育てる
・
既存の緑や地形を保全するとともに、斜面地での宅地化の抑制を検討しま
す。
・
崖線付近の住宅やマンション、擁壁の緑化・修景を進めます。
・
崖線付近の建物の高さの規制を図り、崖線の眺望や崖線からの眺望を確保
していきます。
・
イ
崖線沿いの散歩道の整備、坂道の修景を図ります。
浅間山の眺望を守り、育てる
・
浅間山の雑木林を保全します。
・
浅間山の眺望を確保するために、周辺の農地の保全や周辺の建物の高さの
制限を検討します。
ウ
雑木林や農地の緑を守り、育てる
・
崖線や屋敷林、鎮守の森に残る自然林、雑木林の保全を図るために、地権
者への奨励制度の拡充や基金による公有地化を進めます。
・
エ
農家の自立援助を含めた総合的な農地保全の方策を検討します。
自然や四季が感じられる空間を育てる
・
せせらぎや雑木林のある公園づくりを進めます。
・
四季が感じられる樹種の植樹を進めます。
・
住宅地や公共施設でのビオトープ(生態学的にまとまりをもった生物の生息
空間)づくりを推進します。
・
農道や緑道を利用して土や生き物とふれあえる空間をつくります。
33
8)
歴史や文化を生かした景観づくり
武蔵国以来の歴史を持ち、大國魂神社やけやき並木の景観、ゆるやかにカーブ
を描く古道の道筋の景観、屋敷林・ほこらと農地が一体となった農村集落地の景観な
ど歴史的な趣のある景観が形成されてきました。また、大國魂神社や農村集落の行
事や祭りが現代にも継承され、府中や地域の文化をつくりあげてきました。これらの
地域の文化や歴史を伝える景観や伝統行事を残し、新しい景観づくりの中で継承し
ていくことが大切です。
まちの景観は市民の文化的価値観の表れでもあります。そこで、まちや公共空間
についての思いや働きかけを促し、お互いに刺激し合うような環境づくりが重要で
す。
地域の中で景観やまちづくりについて考える機会を持ち、そこで考えたことを景観
づくりに結びつく活動として展開していくことが、これから新しい府中の景観づくりを左
右するものと考えられます。
ア
地域の歴史や文化を残し、育てる
・
大國魂神社やけやき並木が映える駅周辺の景観づくりを進めます。
・
寺社林や鎮守の森を保全します。
・
玉石垣、用水、ほこら、屋敷林など農村風景を残していきます。
・
古道や農道の曲線を生かした生活道路を整備します。
・
旧甲州街道、人見街道、国分寺街道の歴史を活用します。
・
遺跡や史跡を守り、景観づくりに活用します。
・
古い民家や町家を残していきます。
イ
祭りやイベントの空間を演出する
・
農村の伝統行事を残していきます。
・ 大國魂神社の祭典(くらやみ祭り、駒くらべなど)の空間利用を反映したけやき
並木の整備を検討します。
ウ
景観づくりの身近な工夫やまちへの思いを育む
・
歴史や文化、街並みを広く知らせていきます。
・
自ら住むまちについて知り、考える機会を様々な形でつくっていきます。
・
景観づくりの身近な工夫を喚起、奨励していきます。
34
Fly UP