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説明要旨(1MB/24ページ)
ミネベア 技術説明会 ~HDDスピンドルモーター及びベアリングについて~ 2000年3月24日 0 目 次 1.HDD用スピンドルモータービジネスの現状と今後 2.ROモーターの現状と技術的特長 3.流体軸受けに関して 4.流体軸受けがボールベアリングビジネスに与える影響 5.ROベアリングの新たな展開 6.ミネベアのHDDモーター開発・製造体制 7.まとめ 1 目次に従い技術面を中心にミネベアのHDD用スピンドルモータービジネス及び流体軸受を含めたベアリ ングビジネスの概要を説明します。 1 1.HDD用スピンドルモータービジネスの現状と今後 2003年 月産10,000千台 1,500千 1,000千 1,000千 1,958千 1,400千 1,600千 1,200千 2001年CQ3 月産5,000千台 2000 年CQ3 月産3,500千台 65千 1999 年CQ1 月産2,022千台 300千 500千 450千 3.5インチ ローエンド デスクトップPC/STB 3.5インチ ハイエンド デスクトップ゚PC/PCサーバー 3千 550千 2.5インチ ノートブック 1,147千 3.5インチ ハイエンド エンタープライズ/ホスト 2000 年4月 月産2,150千台 2 2000年4月現在のスピンドルモーターの月産台数は2,150千台ですが、本年第3四半期には月産3,500 千台、2001年第3四半期には月産5,000千台を見込んでいます。 図の3.5インチハイエンドデスクトップとは、現在世界一高容量と言われている3.5インチハードディスク用 のスピンドルモーターです。 2003年には月産10,000万台を見込んでいます。 2 1.HDD用スピンドルモータービジネスの現状と今後 H D D スピンドルモーター 生産推移 Shipping Quantity [pcs] 400,000K 330,000K 350,000K 他社 ミネベア 300,000K 272,000K 240,000K 250,000K 189,000K 200,000K 36% 140,400K 150,000K 114,600K 117,600K 25% 100,000K 50,000K 0K 30% 21% 20% 1997 13% 1998 14% 1999 2000 2001 2002 2003 年間生産台数 K=1,000台 他社はミネベア以外の合計、データ提供:ピクシーピナクルコーポレーション 3 当社製スピンドルモーターの市場シェアは2000年の21%から2003年の36%まで順次増加が見込まれ ています。 市場規模はピクシーピクナルコーポレーションの推計値に約10%を加えています。 3 2.ROモーターの現状と技術的特長 ROベアリングの構造 予圧 Pre-load 内輪 floating inner race ボール+ゲージ balls + cage モーターハブ hub with special press fit area 外輪ボール転送面 integrated outer races ボール転送面付シャフト shaft with integrated inner race 4 ROベアリングは、2つのボール転送面を持ち筒状に繋がっている外輪と1つの転送面を持つシャフトと1 つの転送面を持つ内輪から構成されています。 4 2.ROモーターの現状と技術的特長 グラフA Thermal ( 20°C ~ 60°C ) Resonance Shift Value 12.0 RO Bearing Motor Discrete Bearing Motor 図A Resonance Shift Value [Hz] 10.0 discrete RO 10.0Hz 8.0 6.0 6.1Hz 4.0 2.0 0.0 RO Bearing Motor グラフB Resonance Range ( Max. ~ Min. ) Among Rotational Speed 0.30 20.0 Resonance Range @20°C [Hz] 16.0 Thermal ( 20°C ~ 60°C ) Radial Run-Out Shift Mean 3σ @4,500rpm @5,400rpm @7,200rpm Run-Out Value [μm] 18.0 Discrete Bearing Motor グラフC 14.0 12.0 10.0 8.0 6.0 0.20 0.10 4.0 2.0 0.00 0.0 RO Bearing Motor RO Bearing Motor Discrete Bearing Discrete Bearing Discrete Bearing Motor Motor, 10μmMotor, 20μmMisaligned Misaligned Discrete Bearing Discrete Bearing Discrete Bearing Motor, 20μmMotor Motor, 10μmMisaligned Misaligned 5 ROベアリングモーターは温度変化に強く、ミスアライメントが発生しないという大きな特長を持っています。 ROベアリングのディスクリートベアリングに対する優位性は、グラフA・Bに示すレゾナンス変化量 、グラ フCに示すラジアルランアウトの変化量からも明らかです。 5 2.ROモーターの現状と技術的特長 2.5インチスピンドルモーターの特性 データA Resonance Range ( @25°C ) 図A Resonance Range [Hz] 25.0 20.0 15.0 23.2Hz 10.0 11.8Hz 5.0 0.0 RO-Bearing Motor データB Discrete Bearing Motor NRRO, Axial, With Disk, OverAll 図B NRRO, Axial [μm] 0.6 ~ROベアリングの高剛性特性は、 0.5 0.4 0.3 0.2 0.40μm 0.55μm RO-Bearing Motor Discrete Bearing Motor 0.1 0.0 NRRO・共振点に優位性あり~ 6 高い精度が要求される2.5インチノートブック用のスピンドルモーターでは、NRROとレゾナンスに優れて いるROベアリングが高く評価されています。 6 2.ROモーターの現状と技術的特長 セラミックボールROベアリングの優位性 温度変化が予圧に与える影響 鋼球: 同一材質 線膨張係数同じ 温度変化(予圧抜け)に関する問題なし セラミック・ボール: 異なる材質 線膨張係数相違 温度変化(予圧抜け)に関する問題発生 7 一般に線膨張計数が異なるセラミックボールをボールベアリングに使用すると予圧抜けの問題が生じま す。 7 2.ROモーターの現状と技術的特長 セラミックボールROベアリングの予圧抜け対策 常温時 高温時 8 ROベアリングは、あらかじめ外輪を変形させることにより温度が変化しても予圧抜けが生じない構造に なっています(特許申請済み)ので、セラミックボールも問題無く使用することができます。 8 2.ROモーターの現状と技術的特長 温度変化による外輪と接触角の変化原理 9 ROベアリングでは、温度上昇により外輪が変形する場合にも、コンタクトアングルが若干変化するのみ で予圧抜けは生じません。 9 2.ROモーターの現状と技術的特長 セラミックボールディスクリートベアリングの場合 不 可 スペーサーへの加圧 外輪への加圧 10 ディスクリートベアリングでは、ROベアリングの様な予圧抜け対策を講ずることはできません。 10 2.ROモーターの現状と技術的特長 ROベアリングモーター生産割合の推移 ROBearing 61% ROBearing 45% Discrete Bearing Discrete Bearing 2000 CQ3 3,500Kpcs / Month 2000 April 2,150Kpcs / Month 11 当社製2.5インチ用および3.5インチハイエンドディスクトップ用スピンドルモーターは全てROベアリング を使用しています。 ROベアリングの比率は今後更に増加する傾向にあります。 11 3.流体軸受けに関して 当初 ・コストが安い 実際 矛 盾 ・品質が良い ・コストが高い ・信頼性に疑問 NRRO/ノイズ/ バリ/コンタミ/ スピード対応 油漏れ “コストが満足できなければこのビジネスはダメ” 12 当社は、流体軸受はボールベアリングが2個なくなる分コストが安くなくてはならないと考えています。 12 3.流体軸受けに関して シーゲートからのアプローチ 世の中には頭の良い 人がいる。 設備投資: ボールベアリング2個+シャフト1個 > 流体軸受1個 信頼性 : デザイン、ノウハウが優れている。 (バリ、コンタミ、油漏れ) 単位生産数量当たりの流体軸受の設備投資額がボール ベアリング+シャフトより少なく、信頼性も高いという理由で 提携決定。 13 シーゲート社の開発した流体軸受は、コスト・信頼性の両面で当社の考える必要条件を満たしています。 13 3.流体軸受けに関して スピンドルモーター設備投資 4百万個/月の既存ライン 10百万個/月 6百万個/月の新設工場 + 75億円 流体軸受の生産 年内に量産開始 14 流体軸受は年内に量産を開始します。 タイ国バンパイン地区に、投資額75億円にて生産能力6,000万個のスピンドルモーター専用工場を建設 する予定です。 新工場完成後は、既存の生産ラインと合わせて当社の生産能力は10,000万個になります。 14 3.流体軸受けに関して 軸受タイプ別スピンドルモーター性能比較 Discrete RO FDB △ △ ○ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ ○ ◎ ○ ○ ◎ ◎ △ ? ? ? ◎ 双方向 ○ ◎ 双方向 ◎ ? 一方向 ? NRRO 高速回転寿命 騒音 負荷特性 トルク 耐衝撃性 温度変化 コスト 回転方向 組み込み易さ (注)ROはセラミックボール使用 15 流体軸受に付けられている「?」マークは、コンセプト・設計・作り方次第で変わるという意味です。 比較表より、ROベアリングのディスクリートベアリングに対する優位性は明らかです。 15 3.流体軸受けに関して 軸受タイプ別スピンドルモーター性能比較 Discrete RO FDB △ △ ○ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ ○ ◎ ○ ○ ◎ ◎ △ ○ ○ ○ ◎ 双方向 ○ ◎ 双方向 ◎ ◎ 一方向 ○ NRRO 高速回転寿命 騒音 負荷特性 トルク 耐衝撃性 温度変化 コスト 回転方向 組み込み易さ (注)ROはセラミックボール使用 16 当社の生産する流体軸受では、「?」マークは全て○又は◎に変わります。 流体軸受はNRROと騒音の 面でボールベアリングに対して優位性を持ちますが、HDDが高速で回転する時にはディスクに起因する 負荷変動、風切音により流体軸受は優位 性を失います。 当社の生産する流体軸受には、高速回転対応デザイン・2.5インチ用デザインもありますが、現時点で直 ぐに流体軸受の特長を最も生かせる分野はAVHDDを含むローエンドであると考えます。 当社の生産する流体軸受の最大の利点はコストの低さですが、この面でも用途的にはローエンドが最 適であると考えています。 16 4. 流体軸受けがボールベアリングビジネスに与える影響 ボールベアリング販売実績・見込 140,000K 見込 実績 November 1999 126,417Kpcs 130,000K Quantity / M onth [ pcs ] P/O received 影響 なし 120,000K 110,000K February 2000 121,264 100,000K Sep-00 Jun-00 Mar-00 Dec-99 Sep-99 Jun-99 Mar-99 Dec-98 Sep-98 Jun-98 Mar-98 90,000K 17 流体軸受はNRRO・騒音で優位 性を持つ反面、負荷変動への対応力・回転方向等の弱点がありますの で用途は限られると考えます。 仮にスピンドルモーター用ベアリングが全て流体軸受に置き換わる場合にも当社のボールベアリングビ ジネスは殆ど影響を受けません。 17 5. ROベアリングの新たな展開 例1:高精密ピボットアッシー NRRO, Radial, OverAll 0.20 0.15 0.21μm, Average 0.10 0.05 0.00 0.07μm, Average 6.0 RRO, Radial [μm] NRRO, Radial [μm] 0.25 ROベアリングは現在好 調であり不安はないが、 今後新たな展開を図る。 RRO, Radial, OverAll 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.09μm, Average 4.52μm, Average 0.0 RO-Bearing Discrete Bearing RO-Bearing Discrete Bearing ROベアリングとディスクリートベアリング仕様ピボットの回転精度比較 18 ROベアリングの新たな展開としては高精密ピボットが考えられます。 HDDではディスクを回転させるスピンドルモーターのみでなく、ヘッドを制御するピボットアッシーでも更 なる高精度が要求されます。 18 5. ROベアリングの新たな展開 ピボットアッシー販売実績・見込 12,000K 見込 実績 Quantity / Month [ pcs ] P/O received October 1999 9,480Kpcs 10,000K 8,000K February 2000 8,335Kpcs 6,000K Sep-00 Jun-00 Mar-00 Dec-99 Sep-99 Jun-99 Mar-99 Dec-98 Sep-98 Jun-98 Mar-98 4,000K 19 当社製ピボットアッシーに対する需要は今後更なる増加が見込まれています。 19 5. ROベアリングの新たな展開 例2:超高性能・高信頼性ファンモーター Casing (ケース) Yoke (ヨーク) RO-Bearing (ROベアリング) Impeller (羽根) 20 ROベアリングの次なる展開としては、超高性能・高信頼性ファンモーターが考えられます。 ROベアリングを使用することにより安定した回転が得られます。 更にセラミックボールを使用することにより従来の3倍以上の寿命が得られます。 高性能・高信頼性ファンモーターは、航空宇宙、情報通信ほか様々な分野での利用が期待されています。 20 6.ミネベアのHDDモーター開発・製造体制 モーター技術者:92名 タイ •量産 R&D •清浄度解析 •材研 •トライポロジー •信頼性試験 53 R&D技術者 15 日本 ドイツ •設計 57 •開発 •治工具・測定機器開発 •電気設計・ソフト開発 •生産技術 •品質管理 •試作 21 :53名 •計画立案 20 •設計 •開発 •治工具・測定機器開発 •電気設計・ソフト開発 •生産技術 •品質管理 •試作 現在ミネベアは、92名のスピンドルモーター技術者と53名のR&D技術者を擁しています。 設計・開発の陣容では、ドイツが日本より大きくなっています。 21 6.ミネベアのHDDモーター開発・製造体制 R&D センター 日本 ドイツ 量産 サポ ート タイ サンプル対応 タイ タイ シンガポール デザイン 計画立案 ドイツ ドイツ 日本 日本 日本 22 スピンドルモーターの開発及び設計は日本とドイツで行っています。量 産は全てタイで行います。 各地のR&Dセンターがこれをサポートしています。 22 7.まとめ 1.当社のHDDスピンドルモーターは今後急速に伸びて行く。 2.HDDスピンドルモーターはここ暫くROが主流となる。 3.当社の流体軸受は価格/信頼性の両面で優れている。 4.流体軸受はボールベアリングビジネスに影響を与えない。 5.ROベアリングは他の高付加価値製品にも使用される。 6.ミネベアはグローバルな開発・生産体制を持っている。 23 本日のプレゼンテーションをまとめると以上の通りとなります。 23