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リポートの書き方

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リポートの書き方
リポートの書き方
-2013-
関西学院大学経済学部
はじめに
リポートで最も重要なのは「内容」です。内容は、どのようにテーマを設定したか、ど
のようにして資料やデータを集めたか、そして、どのように論述したかによって決まって
くるのです。
ここでは、リポートを書くための基本的なルールについて学習し、実際に自分で練習し
てみましょう。この冊子ではより一般的な知識と操作方法を紹介しています。ここで紹介
しているのはリポート作成のための1つの方法であり、1 つのモデルであることを忘れない
でください。では、リポートを書くための準備をしましょう。
1.リポートを書く準備
次のようなプロセスをモデルにして考えてみましょう。次の三つの手順は全体のプロ
セスの中ではどこに位置するでしょうか。
選択肢[ a.自分の関心に気付く
b.構成を考える
c.テーマを見つける
]
①
→②領域を絞る→③基本的知識(情報)を集める→
④
→⑤おおよその内容を考える(見通しを立てる)→
⑥必要な資料を集める→⑦情報を整理する→⑧
→
⑨下書きする→⑩論文を仕上げる
では、リポートを書く準備をしてみましょう
このモデルはあくまでも1つのモデルで
す。このモデルを参考にして、自分のモデルを作ってみましょう。
①
自分の関心に気付く
授業で決められたテーマ領域の中で、自分の関心をどのように具体化してリポートとして
まとめることができるかを考えておかなければなりません。そのために、自分で関心のあ
る領域に気付く必要があります。
②
領域を絞る
あなたの関心領域は、まだ漠然としているかもしれません。この段階で少し具体的なテー
マを考えておきましょう。
③
基本的知識(情報)を集める
自分が関心を持った領域を絞り込み、、その絞り込んだ領域に関する基礎的知識(情報)を
集めます。基礎的知識を準備しておくと、後のプロセスに大いに役立ちます。
1
④
テーマを見つける
領域を絞り込んだあと、一定のテーマが浮かび上がってきます。そのテーマをどのような
観点から論じようとしているのか、よく考えておきましょう。
⑤
おおよその内容を考える(見通しをたてる)
自分のテーマが見つかった段階で、おおよその内容を考えてみましょう。リポートの内容
に見通しをたてます。自分の取り上げたいテーマは関心をもった領域全体の中で、どこに
位置しているのかを知ることが大切です。
⑥
必要な資料を集める
見通しをたてておくと、関連資料が集めやすくなります。
1.図書館でいくつかのキーワードから文献を検索してみましょう。
2.インターネットのサーチエンジンでいくつかのキーワードから研究領域に関する情報
を集めてみましょう。
インターネットのサイトを利用する場合、サイトの作成者を確認し、信頼性があるものか
どうか注意を払う必要があります。不特定多数の人が無記名で書き込んでいる掲示板など
は極めて信頼性は低いと思われます。
3.上の方法で集めた情報から、実際に文献や資料にあたってみましょう。
⑦ 情報を整理する
入手した文献や情報を整理しましょう。具体的にリポートの構想を練るための準備です。
テーマの周辺にも注意を向けてみましょう。場合によっては、現地に行き実際に見聞する
ことが、文献の読み方を教えてくれることもあります。
⑧ 構成を考える
具体的な構想を立て、下書きを書いてみましょう。その際、自分の論点を明確にし、不足
している資料がないかチェックしましょう。担当教員や図書館司書に助言を求めたり、そ
の分野に精通している方の助言を請うことも大切です。
2.事実と意見
自分の研究テーマについて論じるためには、さまざまな資料を収集することが必要です。
そして、集めた資料を有効に用いることが重要です。そのために、収集したデータや資料
を整理してみましょう。リポートとして大切なことは、論じる上で具体的な資料やデータ
が研究の裏付けになっていることです。そのために、事実と意見を区別しましょう。
■事実:自然に起こった事象、過去の調査や研究の結果わかったこと
■意見:自分の考えや意見
2
3. リポートの構成
構成とは、リポートの骨格のことです。書き手の考え方や考えた手順を明確に示すもの
です。リポートの構成を考えてみましょう。
(1) リポートの構成について
リポートは次の3つの部分から構成されています。
1.前付け(表紙、目次、前文、凡例など)
2.本文(序論、本論、結論)
3.後付け(補足資料、後注、文献リスト)
(2)
本文の構成について
リポートの本文は、基本的に
序論 ・ 本論 ・ 結論
の3つの部分からできていま
す。本論は、その内容によってさまざまな構成が可能ですが、部・章・節・段落・文など
の小さな単位にわけることができます。注釈も本文の一部です。では、実際に出版されて
いる著書で、本文の構成を見てみましょう。
例1)
中根千枝(1972)『適応の条件』講談社
全体は、「まえがき」「本文(第一部、第二部)」「結びにかえて」の3つの構成要素か
ら成っています。
第一部では異文化との接触から生じる諸現象の分析をしています。第一部はさ
らに11節に分かれ、第二部ではその背景が6節で説明されています。
まえがき
第一部―カルチュア・ショック―異文化への対応
1―異なる文化の拒絶反応
2―日本文化(システム)への逃避
3―表現と実行のあいだ
4―特定ケースと一般化の問題
5―日本的システムの強制
6―日本的信頼関係の敗北
7―契約に信頼をおく欧米との違い
3
8―現地社会への逃避
9―国内用の異国
―外国語の修得と文化の関係
―個人差による適応度
の壁
第二部―日本の国際化をはばむもの―社会学的諸要因
1―厚い ウチ
2―日本人の社会学的認識
3―連続の思考・ウチからソトへ
4―二者関係における連続
5―義理人情の分析
6―もてる者ともたざる者の関係
適応の条件―結びにかえて
11 10
例2)
J.V. ネウストプニー(1982)『日本人とのコミュニケーション』岩波書店
この書は全体が5部で構成されています。
具体論2(1との対照)
具体論1
一般論
Ⅰ 外国人とは何か
Ⅱ 外国人としての日本人
Ⅲ 日本での外国人
Ⅳ 語学教育と外国人
Ⅴ 現代と外国人問題
おわりに
あとがき
総括
展開(応用)
第Ⅰ章では「外国人について」の一般論、第Ⅱ章は「外国人」の具体例1、第Ⅲ
章は「外国人」の具体例2(第3章は第2章との対照の構成)。第Ⅳ章では第Ⅱ章、
第Ⅲ章で著者が行った社会言語学からの考察を、外国語教育に応用して「外国人」
について論じています。第Ⅴ章は「外国人」問題の総括です。序論が第Ⅰ章、本
論が第Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ章、結論が第Ⅴ章だと考えられます。
以上の例で示したように、序論・本論・結論という構成が基本ですが、本論の構成はさ
まざまです。本文の構成に起承転結は向いているでしょうか。起承転結というのは漢詩で
五言絶句七言絶句などに用いられる絶句という詩の形式です。文学的な文章、エッセイ風
の文章によく転用されるのですが、リポートのような学問的な文章には向きません。それ
...
は、起承転結の「転」の部分には起承からの論理性よりも意外性の方が重要視されており、
「結」は結論というよりは「オチ」なのです。
4
<トピックツリー>の作成
コラムA
「1.リポートを書く準備」の「②領域を絞る」と「⑦情報を整理する」という作業に役立つ
と思われるのがトピックツリーの作成です。主題の絞り込みが不充分であると、多くの場合論文
作成が立往生します。この方法は多くの資料の論点整理に有効です。以下に一例を挙げます。
教育
大学教育の質的低下について
コラムB「困った時の××頼み」
もしあなたがリポートを書くのに本当に困ったらどうしますか。そ
ういうときは、お茶でも飲んで、ちょっと散歩でもして気分転換をし
ましょう。(あなたのコンピュータを再起動させるための休憩です。)
で、それから? もちろん、これからが大切です。リポートを提出す
る科目であなたが何を学んだのか考えてみましょう。記憶に残ってい
ることは何でしょうか。
(長期記憶に残っているものは、ワーキングメ
モリーに呼び出してやらないと使えないのです。)そして、最も印象に
強く残っているものは何でしょうか。その最小限の情報からでも長期
記憶というハードディスクでキーワード検索が出来ます。うーん、何
かヒットしましたね。そう、その情報をきっかけにして、どんどん情
報を検索していきます。あなたのハードディスクに残っている情報が
切れてしまったら、図書館やインターネット、データベースをチェッ
クします。そろそろあなたのワーキングメモリーが使える状態になっ
てきましたね。あなた自身の短期記憶であるワーキングメモリーも活
性化されてきたのにお気づきでしょうか。さあ、始めましょう。で、
あなたのワーキングメモリーにある「情報」って大きなものでしょう
か。小さなものでしょうか。大きなテーマやモチーフが見つかった場
合は、トップダウン(概念駆動型情報処理)でリポートの構成を考え
てゆきましょう。もし、小さなものが沢山あったら、ボトムアップ(デー
タ駆動型情報処理)でより大きなテーマや小さな情報の間を貫いてい
るモチーフを見出すように処理して行きましょう。ところで、気が付
いたらここだけ縦書きですね。縦書きも簡単に出来ます。縦書きの場
合は紙を横に使う方が見やすいですね。
5
論理的思
考の欠如
過度の
受験競争
レポート・論文
指導の不徹底
大学生の
活字離れ
基礎的知識
の軽視
過度の
専門化
考える能力の低下
言語能力の軽視
断片的知識
引用の方法をまとめましょう
※ ル ー ル を 守 ら ず 引 用 す る と 、「 剽 窃( ひ ょ う せ つ )」、つ ま り ア イ デ ア の 無 断 盗
用ということで、全く評価されないものになります。リポートや論文を書く
際 に 、「 剽窃 」と な ら な い よ う に す る に は 、他 の 人 が 書 い た 著 作 や 作 品 を 適 切
に「引用する」ことが必要です。
< 直接引用する方法>
他の人の著作に書かれている文章の一部を、直接そのまま、書きだす引用の仕方。
(1) 5 行 程 度 ま で は 「
(
」でくくり、本文に組み入れる。引用箇所の最後には
)内に著者名、年度を記す。
例1)梶田正巳(1997)『異文化に育つ日本の子供』中央公論社
から
…「フランス語、ドイツ語、ラテン語などの語学の他に、歴史、哲学、化学、数学、生
理学 、動物学な どを学び、 成績はトッ プクラスで あった」と 記している 。…
(2) 引用が5行を越える場合は通常1行あけて、文頭を全角 1 文字分下げて引
用する。その場合も引用箇所の最後には(
)内に著者名、年度を記してお
いた方がいい。ただし、下記の例では「…『サンフランシスコ・イグザミナ
ー』には…」という表現を用いて本文の中で引用であることを示している(同
一年に参照文献が複数ある場合は a,b,c と文献リストに明記の上、同様の表
記とする)。
例2)梶田正巳(1997)『異文化に育つ日本の子供』中央公論社
から
…『 サンフラン シスコ・イ グザミナー 』にはこん な記事が載 っている。
五 人 の 少 女 は か の 国 の プ リ ン ス の 娘 さ ん だ そ う で す 。 男 性 の 容 姿 と は 違 い 、 魅 力的
で 、 も の 静 か で す 。 着 て い る も の は 、 中 国 女 性 の コ ス チ ュ ー ム と あ ま り 違 わ な いよ
うですが、とびきり上等で、高いものです。
…中略…
四 年 間 、 ア メ リ カ 人 の生
活 や 習 慣 を 学 び 、 帰 国 し た ら 日 本 人 女 性 の 向 上 の た め に 努 力 す る で し ょ う 。 こ れは
第一 段階で、うまく行った ら多くの日 本女性が 、わが国へ留 学すること になります 。
日本では男女が等しく扱われている、と記者は誤解しているが、使節団の渉外担当
官は どんな日本 紹介をした のだろうか 。…
6
<間接引用する方法>
他の人の著作に書かれている文章をそのまま書きだすのではなく、翻訳や同じ
主旨を自分の言葉で書く場合でも、内容的に言及している場合は、必ずそのこと
を記しておかなければなりません。間接引用のケースも、
(1) 間接引用した直後に、(
)内に著者名、年度を記す。
(2) (1) ととともに、リポートや論文の文末に、参考文献リストを作成しておく。
例1)箕浦康子(1991)『子供の異文化体験』思索社
から
引用する文献からそのままの文章は引かないが、内容的に言及している場合の例。
「数える」については、八歳以前に渡英した場合は英語が強く、八歳以降に渡英
すると他の四つの分野より日本語の優位が揺がないという(野本
例2)山本・松木論文
1973)
から
著者名(刊行年)という形式を用いて直接本文中に書きこんでいます。
この点について、山本(1989)は、予算書の不備について、予算書があるサー
ビスの供給のあり方に無駄があるかどうかの判断を下すための資料となる費用
の大きさを
…以下略…。
山本・松木論文の最終頁にある参考文献リスト
引 用 し た 文 献 は 、 著 者 名 ( 刊 行 年 )『 著
書 名 』 ,出 版 社 名 を 記 し ま す 。
こ こ で は 「 山 本 栄 一 ( 1989)『 都 市 の 財
政 負 担 』 ,有 斐 閣 」 と な り ま す 。
同一年に参照文献が複数ある場合は出版
年 に 加 え て a,b,c と 文 献 リ ス ト に 明 記 の
上、同様の表記とする。
7
<参考文献リストの作成方法>
①和文〔日本語〕参考文献の書き方の例
引用した文献が、本であれば、左から
著者名、(発行年度)、『書名』、出版社
雑誌論文であれば、
著者名、(発行年度)、「論文のタイトル」、『論文の掲載雑誌名』、巻、号、最
初の頁-最後の頁
を書き、著者名の 50 音順で、同じ著者名の文献を複数引用した場合は、発行
年順に並べます。
②欧文〔外国語〕参考文献の書き方の例
基本的には、日本語と同様ですが、雑誌論文であれば、
著者名(名字、名前の頭文字ピリオド), (発行年西暦)
“論文タイトル”, 掲
載雑誌名(斜体) , Vol. , No. , pp. 最初の頁-最後の頁.
本は、
著者名(名字、名前の頭文字ピリオド)(発行年西暦) , 本のタイトル (斜体) ,
出版社名,出版都市名
以下の参考文献リスト〔欧文〕の例は、
新 海哲哉、大 川隆夫、岡 村誠 (2009)、「 異 なる 企業金融タ イプをもつ 複占 市
場 分 析 ―株 主 価 値 最 大 化 企 業 vs. 借 入 価 値 額 最 大 化 企 業 ―」、『 経 済学 論 究 』、
第 63 巻 2 号、123-143.
からの転載です。
参考文献
Bradley M., G. A. Jarrell and E. H. Kim (1983), “On the Existence of a
Optimal Capital Structure: Theory and Evidence,” The Journal of Finance ,
vol.39, No.3 pp.857-878.
Brander J. A., and T. R. Lewis (1986), “Oligopoly and Financial Structure:
The Limited Liability Effect,” The American Economic Review , Vol.76,
No.5,pp. 956-970.
Etro, F. (2007), Competition, Innovation, and Antitrust, Springer Berlin
Heidelberg New York
Heinkel, R. (1982), “A Theory of Capital Structure Relevance Under
8
Imperfect Information,” The Journal of Finance , vol.37, No.5 pp.1141-1150.
Hughes J., J. L. Kao and A. Mukherji (1998), “Oligopoly, Financial Structure,
and Resolution of Uncertainty,” Journal of Economics & Management
Strategy, Vol.7, No.1, pp.67-88.
③インターネットの情報源から引用するケース
普通の出版物による参考文献の後に、
著者名(わかれば、新聞記事等は記されていない場合がある)、(発行年月日)、
「論文または記事タイトル」、雑誌タイトル、URL
例: World Bank. (2008). “Governance and Execution of ICP 2003-2006,”
ICP 2003-2006 Handbook, http://go.worldbank.org/MW520NNFK0 .
9
実習しよう
『経済学論究』の山本・松木論文(共著)をモデルにしてリポートの作成を練習し
てみましょう。まず題目の書き方からよく観察しましょう。
題目
脚注(各ページの下
に記す方法)
題目の説明をするために次頁以下に示される本文脚注と区別して*(アスタリスク)
を用いています。
副題
題名を詳しく説明するために副題をつけることもできます。最初と最後に「-」を
付けています。
脚注(題目についての但し書き)
10
脚注はどのように使うのでしょうか
a) 題目の説明に*(アスタリスク)を用いることができます。
b) 本文中で引用箇所(文献)の詳細な指示やキーワードの付加的説明にも脚注を用
いることができます。その場合は注釈には順に番号を付けます。
脚注番号
脚注1):「事業別予算システム」というキーワードの説明。
参照すべき関連文献を指示している。
脚注2):「事業コストに人件費を含まないなどコストを正しく捉えていない」
ことを 1995 年の斎藤論文を引用して説明している。
11
では、実際に脚注を作成してみましょう。
①Word を立ち上げます。
②次の画面を確認しましょう。「表示」タブの「印刷レイアウト」を選びましょう。
12
③1行目に題目「自治体の予算改革への挑戦」を書きます。カーソルが題目の最後に来ていること
を確認します。
自治体の予算改革への挑戦
|
カーソルの位置
④「参考資料」タブを左クリックし、脚注の右横を左クリックします。
左クリック
①
②
次のように小さなウィンドウが表示され、
「任意の脚注記号」を選択し、*(半角)を右の欄に書き
込みます。
「記号(Y)…」を左クリックし、*(アスタリスク)を選んでもかまいません。
13
このような画面が表示され、*アスタリスクを選択し、OKボタンを押します。
なかなか見つからない場合は、次のようにフォントを変えて検索しましょう。
14
そして、本文の題目と脚注の所定の位置に*アスタリスクがあることを確認します。
自治体の予算改革への挑戦
*
アスタリスク
⑤欄外に、アスタリスクがあることを確認し、題目の解説を書き込んでいきます。
復習
山本・松木論文の構成を見てみましょう。
*
15
復習
山本・松木論文の構成を見てみましょう。
問題提起
問題背景
1. 自治体予算制度の課題
序論
2. 川西市における予算改革の背景
3. 予算制度改革の視点-民意の反映とフルコスト把握-
視点1
3.1.事業の計画体系とのリンク-民意の反映を求める予算制度-
3.2.予算書の改革-評価へのステップ-
本論
視点2
4. 事業評価-費用・効果分析の視点-
5. 予算改革への道-タックスペイヤーの視点から-
6.参考文献
論文の構成を見てみましょう。
5部構成になっていることがわかります。
結論
16
まとめ
⑥脚注を書いてみましょう。下のように脚注をつけます。
(次頁参照)
脚注 1: 「・ ・ ・ System) である」のところまで本文を書きます。ここで「参考資料」タブ
から「脚注」の右横の
を左クリックします。今度は「脚注と文末脚注」のウィンドウの
中で「脚注」(ページの最後)、「番号の付け方」(連続)を選択し、「挿入」を左クリックし
てください。
現在の自治体で最も多く採用されている手法が事業別予算システム(Performance
Budgeting System)である 1 。このシステムの本来のねらいは、事業のコストとパ
フォーマンスを捉えることにより、行政経営の機能をレベルアップさせることにあ
る。しかし、実際には、ほとんどの自治体でこのレベルまで到達しておらず、予算
書を単に事業ごとに分類するだけに終わっている。さらに、問題なのは事業コスト
に人件費を含まないなどコストを正しく捉えていないことである 2。この部分の改
革なしでは、事業評価は意味をなさない。
本稿では、自治体が財政支出の効率化を目指す場合に、予算制度を中心とする現
1
脚注 2
事業別予算システムは、アメリカにおける戦後の行政改革を手がけた第一次フーバー委員会によって1949 年に勧告され
てから現在に至るまでかなり長い生い立ちがある。我が国でも1962 年に設置された第一次臨時行政調査会第一専門部会
において事業別予算システムの導入が勧告されている。詳しくは斎藤達三(1990), 24-32 頁、山本栄一(1994), 182 頁参照。
2
脚注欄
斎藤達三(1995)によると、1995 年時点で事業別予算を実施している自治体は、人口 2 万人以上の市及び都道府県で
55.8%、人口10 万人以上の市に限定すれば、実に74.3%になる。しかしながら、人件費を何らかの方法でコスト算入し
ている自治体は、市レベルで6市のみとなっている。
では、本文に以下の三行を書いてみましょう。
現在の自治体で最も多く採用されている手法が事業別予算システム(Performance
Budgeting System)である 1 。このシステムの本来のねらいは、事業のコストとパ
フォーマンスを捉えることにより、行政経営の機能をレベルアップさせることにあ
脚注を次のように実際に付けてみましょう。
(脚注1)
1
事業別予算システムは、アメリカにおける戦後の行政改革を手がけた第一次フーバー委員会によって 1949 年に勧告さ
れてから現在に至るまでかなり長い生い立ちがある。我が国でも1962 年に設置された第一次臨時行政調査会第一専門部
会において事業別予算システムの導入が勧告されている。詳しくは斎藤達三(1990), 24-32 頁、山本栄一(1994), 182 頁参
照。
17
脚注を付けたい語句の直後にカーソルがきていることを確認します。
左クリック
①
②
次の画面が表示されます。
番号書式を選択し、挿入を押す。
18
すると、脚注1にカーソルが移動しています。
注釈を書いてみましょう。
脚注1
脚注欄内に事業別予算システム(Performance Budgeting System)の解説を書き込みます。
1
事業別予算システムは、アメリカにおける戦後の行政改革を手がけた第一次フーバー
委員会によって1949年に勧告されてから現在に至るまでかなり長い生い立ちが
ある我が国でも1962年に設置された第一次臨時行政調査会第一専門部会におい
て事業別予算システムの導入が勧告されている。詳しくは斎藤達三(1990),23-32 頁、
山本栄一(1994),182 頁参照。
19
<参考文献>
■本文に引用した文献
J.V.ネウストプニー(1995)『外国人とのコミュニケーション』、岩波書店.
山本栄一・松木茂弘(1999)「自治体の予算改革への挑戦―川西市における事業別予算システ
ム導入の背景と取り組み―」
『経済学論究』
(関西学院大学), 第
52 巻第 4 号.
中根千枝(1972)『適応の条件』、講談社
梶田正巳(1997)『異文化に育つ日本の子供』、中央公論社
■リポートを書くためには
木下是雄(1990)『レポートの組み立て方』、筑摩書房
木下是雄(1997)『理科系の作文技術』
、中央公論社
宅間紘一(2000)『はじめての論文作成術』、日中出版
■リポートの書き方、プレゼンテーションの仕方、原稿の添削、構成のチェックなどをす
るために
栗山次郎編(1999)『理科系の日本語表現技法』、朝倉書店
■研究方法を考えるために、また論文作成のために
高橋順一・渡辺文夫・大渕憲一編著(1998)『人間科学 研究法ハンドブック』、ナカニシヤ書店
20
<巻末キーワード集>
「
」
(一重括弧)
本文で引用するとき。強調するとき。「いわゆる××」の意味で書くとき。キーワード
を強調するとき。キーワードの原語を添えるときは丸括弧に入れます。著書名を書くと
き例外的に使います。
例1)マルクスの「労働」(Arbeit)は…; 例2)…「ケイタイ」(携帯電話)もドイ
ツ語では「ハンディ」(Handy)と言い…
『
』
著書名を書くとき。1重括弧の中にさらに括弧が必要なとき。
(二重括弧)
例3)『資本論』
; 例4)「…『…
、(読点)
読点は文中の切れ目です。句点は文の区切りに使います。簡単には「一息で読める」位
…』
…」
のところに句読点を置くのがいいとされます。しかし、意味や文章機能(列挙、言い換
。(句点)
え、挿入など)のために句読点をうまく使うと読みやすいリポートになります。
短文主義
長い複雑な文章は避けましょう。名文と迷文は紙一重です。20、30字から50、6
0字が目安です。
中略
長く不要な引用は
キーワード
分野によっては、論文の最初に本文中のキーワードを列挙します。あなたも抜き出して
… 中略 …
として省略しましょう。
みましょう。どんな内容なのかおおよそ推測できるのです。
一次文献
二次文献
原典とか作品と呼ばれるもの。マルクスの『資本論』、夏目漱石の『こころ』など。
...
一次文献について論じたもの。「夏目漱石『坊ちゃん』についての一考察」などの論文
のこと。
脚注
「足」の位置、つまり各ページの下につける注釈のこと。文末に付けると「文末脚注」
ともいわれます。
ページ番号
メニューバーの「挿入」から「ページ番号(U)」を選び、ページ番号をつけましょう。
リポート全体は表紙をつけ、ホッチキスなどで綴じておきます。
図表
図や表を入れて文字以外でデータを提示することを心がけましょう。図表には「エクセ
ル」などの表計算用ソフトが利用できます。
「である」調
リポートのような学術的な文章表現には基本的に「…である。」という表現で結ぶのが
ふつうです。
「ですます」調
エッセイや解説書などは丁寧に語りかけるように書くことが多いので「…です。
」
「…ま
す。
」と結ぶのがふつうです。
推敲
字句を考え練り直すこと。文章を修正・訂正するのは、時間を置いてからしましょう。
描写方法
文の特徴として、その記述方法には4つの種類があります。
トピック文
◆説明文:説明し理解させる
◆描写文:描写により実感を与える
◆物語文:筋や展開のあるもの
◆議論文:説得させるもの
パラグラフの中に置かれた主題文のこと。トピック文を展開してパラグラフをまとめて
いきます。新聞記事が参考になります。
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