...

一 。

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一 。
m
品
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一
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Roa@ROBV、
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・
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01
吋
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ω
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-EE'-宮司岨耳SEZ
国
.
の
X線移相子の開発とその応用
平野馨一
X線移相子の開発とその応用
目次
1章
序 論・
・・
・ ・・
・
・
・
・
・
・
・
・
1.1 はじめに・・
1.2 歴史的背景・・・・ ・・
・
・
・
・
・ ・・
1
.3 本論文の内容および構成・
・・
・
・・
・
・ ・・
・
・・
・
・・
・・
・
・・
・
・
・・
・・
・
・
・
・
・
・3
2章
X線移相子の原理 ・・・
・
・
・
・
・ ・・
・
・ ・・・・・・・・
・
・・
・・
・
・
・・
・
・ ・・
・
・
・
・ ・・
・
・
・
・
・4
2.
1 緒 論・
・ ・・
・
・
・・
・
・
・
・
・
・
・ ・・
・
・・
・
・・
・
・
・
・
・
・
・
・ ・・
・
・
・
・
・
・
・
・・
・
・・
・
・
・
・
・
・4
2.2 動力学的回折理論・
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・-------_
.-4
2.2.1 基本方程式
2.2.2 ブラッグケース
2.2.3 ラウエケース
2.3 動力学的 X線回折の偏光特性・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・
9
2.4 ブラッグケースの X線移相子・・・・・・・・ ・
・・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・ ・・
・
・
・
・
・ 10
2.4.1 回折波
2.4.2 透過波
2.5 ラウエケースの X線移相子・・・・ ・・
・
・
・
・・
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
3
2.5.1 回折波
2.5.2 透過波
2.6 X線移相子の検討・・・・・・・・ ・
・
・ ・・
・
・・
・・
・
・
・
・
・
・
・ ・・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・1
7
3章
移相子の製作と評価・・・・・・ ・
・・
・
・
・
・ ・・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・・
・・
・
・
・
・
・ ・・
・
・1
9
3.1 緒論・・・・・
-'
1
9
・
・
・
・
・
・
・
・
・ ・・
・
・ ・・
・
・
・・
・ ・・・・・
・
・ 1
9
3.2 薄いシリコン結晶の作成・・・ ・・
3.3 計算・・
・
・
・
・
・
・
・2
1
3.4 実験・・・・ ・
・・
・・
・・
・
・ ・・・・
・
・
・
・
・
・
・ ・・
・
・
・
・
・
・
・
・ ・・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・・
・
・2
2
・ ・・・
・
・ ・・
・
・・
・
・
・
・・
・・
・
・・
・
・
・
・
・
・
・
・・
・・
_.-2
3
3.5 実験結果・・・・・・・・・・ ・
3.6 結論・・
.--2
3
4章
実験装置・ ・・
4 1 緒論・・・ ・
・
・
・
.2
5
5
・
・
・
・
・2
4.2 デイフラクトメーター ・・
・
・・
・
・・
・
・
・
・
・
・
・
・
・・
・
・
・・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・・
・
・2
5
42.1 概 観
4.2.2 2結品コリメーター調整機構
4.2.3 2結晶偏光子調整機構
4.2.
4 精密 4軸ゴニオメーター
4.3 測定システム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・
・
・・
・
・.
3
2
4.3.1 ハードウェア
4.
3.2 ソフトウェア
8.
2 放射光での円偏光 X線生成光学系 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
6
8.3 議論・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
0
9章
総括・・・・ ・・
・
・・
・・
・
・
・・
・
・
・
・ ・・
・
・・
・
・・
・
・
・・
・・
・・
・
・
・ ・・
・
・
・
・・
・ ・・・
・
・
・
・
・
・・
7
1
5章 波長可変左右円偏光 X線の生成・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・
3
4
5.1 緒論・・・・・・・ ・・
・
・
・・
・
・
・
・
・
・
・・
・
・・
・
・
・
・
・
・
・
・ ・・
・
・・
・・
・
・・
・・
・
・・
・
・
..
3
4
謝辞・・・・・・....................
.
.
..
.
.
..
.
.
.
..
....
.
.
.
.
.
..
.
.
....
・
・
・・
・・
73
・・
・
・
・
・
・
・
・・
・
・・
・
・ ・・・
・
・
・
・
・
・
・
・
・・
・
・・
・3
4
5.2 X線移相子の波長可変性・
5.
3 波長可変左右円偏光 X線生成実験・・・・・・ ・・・・・
・
・ ・・
・
・
・
・
・ ・・
・
・・
3
6
5.3.1 実験配置
5.3.
2 計測系
5.3.3 実験手順
5.
4 実験結果と解析・・ ・・
・
・
・
・・
・
・
・
・
・
・
・
・・
・
・
・・
・
・ ・・
・
・・
・・
・ ・・
・
・
・・
・ ・・
39
5.4.1 偏光解析測定の結果
5.4.2 実験データの解析
参考文献・・ ・・
・
・
.
.
.
.
..
.
.
...
.
..
.
.
.
...
.
..
...
.
....
..
...........
.
.
...
.・
・7
4
5.
5 結論・・ ・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・・
・・・・
・
・
・・
・・
・
・・
・
・・
・
・・
・
・
・
・
・
・
・・
・・
・・
・・
・・
4
4
補足
光学系の偏光特性・ ・
・
・・
・
・・
・
・
・
・
・
・
・
・ ・・
・
・・
・
・ ・・
・
・・
・・
・
・
・
・
・4
4
6主 左右円偏光 X線の高速スイッチング・・ ・
・
・
・
・・
・・
・・
・
・・
・
・・
・・
・・
・・
・
・
・・
47
6.1 緒論・・
.
.
.
..
4
7
6.2 移相子振動台・ ・
・
・
・
・
・
・
・・
・
・
・
・・
・
・ ・・・
・
・
・・
・
・
・
・
・
・
・
・・
・ ・・
・
・
・
・
・
・
・ 48
6.2.
1 移相子振動台の機構
6.2.2 移相子振動台の動作特性
6.
3 円偏光変調のためのタ イ ミング・チャ ート・・ ・・・・・・・・・.....'
5
2
6.4 実験 ・・
・
・・
3
・
・5
6.4.1 実験配置
6.4.2 実験手)1頂
6.5 実験結果・ ・
・
・・
・
5
・
・5
6.6 結論 .
.
.
.
6
・
・
・5
7主
偏光状態の完全決定 ・
・
・
・
・
・・
・
・・
7
.1 緒論 ・
・
・
・
7.2 原理 ・
・
・57
・
・
・57
・
・57
7.3 計算 ・
・
・
・
・
・
・
・ 60
7.
4 実験・ ・
・
・
1
・
・6
7.5 実験結果および解析 ・
・
・
7.6 議論・
・・
・・
8章
S Rで ? 輝 度 円 偏 光 X線生成光学系
8
.1 九
日
間
・
・・
6
2
6
5
・・・
一
一
・
・6
6
・
・
・ 66
研究業績・
・・
・・
・
..
..
.
.
..
...
...
.
..
.
...
.
...
.
...
.
..
.
.
.
.
..
.
.
..
..
.
.
.
.
.
.
・
・8
1
1章 序 論
1章 序 論
1.1 はじめに
偏光は、光の基本的な性質の一つである。また、偏光は普通の光(自然偏光)より
も物理的・数学的な取り扱いが簡単である。物理学・化学の領域では、偏光は偏っ
ていない光よりもはるかに有用である。また、生物学・天文学・工学の分野では、
偏光は他の方法では解けない問題を解くのに利用される。今日偏光は、物理学、化
学、生物学、金属学、鉱物学、機械工学、電子工学などの分野で広く用いられてい
る
。
X線の波長領域においても偏光は重要である。近年、顕著な偏光特性を有するシ
ンクロトロン放射の登場により 、偏光 X線の有用性は益々認識されるようになっ
た。放射光の偏光性を有効に利用するためには、偏光を制御する光学素子、すなわ
ち 、 移 相 子 が 必 要 不 可 欠 で あ る 。 そ こ で 本 研 究 で は 、 硬 X線 の 波 長 領 域 (
λ
<O.
3nm)で味J
I
用可能な移相子の検討・開発・評価・応用を行う 1 -6) 。
本研究は、 X線移相子の開発と応用を行うことにより、 X線偏光光学の歴史に新
たなページを開くと同時に、放射光の特性の一つである『偏光性』を制御可能にす
ることによって、放射光科学の発展に貢献 しようとするものである。
1.
2 歴史的背景
硬 X線の波長領域では、動力学的 X線回折に伴う複屈折効果を利用して移相子を
つくることが出来る。
n7、S}、 Ewald9
.IO} 、Laue
動力学的 X線回折理論 7- 21) は今世紀初頭、 Darwi
ll}
らによって定式化された。動力学的 X線回折に伴う彼屈折効果を理論的に初め
て指摘したのは Moi
l
巴r
e(
19
39年)12) であるが、その 当時は完全に近い結品が得ら
れなかったため、実験による検証は行われなかった。
1
9
6
0
年代になり、シリコンやゲルマニウム等の完全に近い単結品が得られるよう
になると、 X線複屈折効果に関する研究が行われた。まず最初に、くさび型ラウエ
配置結晶の回折波に関する複屈折が報告され 22-24) 、次いでラウエ配置の反射型
移相子が作製された 25-27)。また、 1
9
81
年に BaranovaとZ
e
l
'
d
o
v
i
c
hらはオフ・ブ
ラッグ条件下で透過波(前方回折滋)が示す複屈折について考察し、 X線移相子の可
能性を指摘した 2ト J l} 。
1
9
6
0年代以降、動力学的 X線回折に伴う偏光現象の研究と偏光子 )2-J4) ・検光
子 ・移相子等の偏光光学素子の開発が進められていく 一方で、 1
9
7
0年代には物性研
究の分野で円偏光 X線 'Y線に対する要求が高まり始めた。 その契機となったの
が
、 1
9
7
0年に出版された P
lat
zmanとTzoar
の論文"Magn巴t
i
cS
c
a
t
t
e
ri
ngofX Rays
nM山 山 andSol
i
d
s円である J5)。彼らはこの論文の中で、磁佐
fromE
I附 onsi
1章 序 鎗
1章 序 論
体中の電子による高エネルギー偏光 X線の散乱現象について論じ、 (a)楕円偏光 X
線のコンプトン散乱により強磁性体中の磁性電子の運動量分布を知ることができる
こと、また (b)X線ブラッグ散乱によりネール温度以下の反強磁性体の磁気構造を
1.
3 本論文の内容および構成
決定できること等を示した。 P
l
a
t
z
m
a
nとTzoarの指摘は、その後まも なく実験に
b
)については 1
9
7
2
年に B
e
r
g
e
v
i
nとBrunelが、封入
よって実証された。すなわち、 (
管球X線発生装置を用いて反強磁性NiOの磁気ブFラツグ散乱を検出し 36) 、また (a)
本研究の目的は、 a)各種 X線移相子の性能の検討・比較、 b)X線移相子の開発と
評価、 c)X線移相子の放射光への応用、の3つである。
については 1
9
7
6
年に S
a
k
a
iとOnoが、低温偏極核からの円偏光 Y線を用いて強磁性
鉄の3d磁性電子のコンブトンプロファイノレを測定した 37-40}。とれらの研究によ
2章)。次に、シリコン結品を化学エッチ
し、透過型 X線移相子の有効性を示した (
本論文ではまず、 X線の動力学的回折理論から各種の X線移相子の性能を評価
り
、 X線が磁性研究に有効であることが証明された。しかし、 X線磁気散乱の散乱
ングによって数十 μ mの厚さに均一に薄くする技術を石在立し、研究室線源を用いて
振幅はトムソン散乱に較べて、 ~h vI
m
c
'(
hvは X線のエネルギ一
、 mc
'
は電子の
プラツグ配置の透過型 X線移相子の機能を実証した (
3章)。また、 X線移相子を放
静止エネルギー)程度と非常に小さいため、従来の X線・ Y線源よりもはるかに強
力な線源が望まれた。
射光で利用して偏光の制御/解析を行うための実験装置を設計・製作した (4章
)
。
1
9
7
0
年代後半から 8
0
年代前半にかけて、世界各地で GeV
級の放射光専用の実験
施設が建設された。日本でも、筑波の高エネルギ一物理学研究所にフォトン・寸マ
クトリー(pめが建設され、 1
9
8
2年に稼働を開始した。放射光は、極紫外線かふ
5章)、光子ヘリシ
そして、その装置により、波長可変左右円偏光 X線 の 生 成 (
ティ ーの高速スイッチング(6章)、偏光状態の完全決定(7主主)等の実験を行った。最
後に、 X線移相子を用いた放射光での高輝度円偏光生成光学系について検討した (
8
章
)
。
X線、 X線までの波長領域で、強度が他の光源に較べて 1 ()3~106倍位、桁違いに大
きい上に、 GeV
級のリングでは電波から X線領域にまで及ぶ広大な述続スベクト
レを持つ。また、放射光には高度の偏光性があり、主成分は軌道面内に電場ベクト
J
i
r
レを持つ直線偏光である。このように様々な優れた性質を持つ、放射光の出現によ
軟 X線 、 極 紫 外 線 の 領 域 間 る 光 学 や 物 性 研 究 は
目ざましい発展を
? ヤ 磁 ヤ よ る 散 乱 ハ -66) 回折 67-10 1) 吸収 102- 128) 、 2色性 129- 1
1 ノアフテー効果 150-152) 、旋光性 153-155) 、円 2色性、ヵ ー効果等に関
する研究も、放射光の登場により長足の進歩を遂げた。放射光が登場した当初、楕
円偏光 X線を生成するのに、i)オフ・アクシス光を利用する方法、 i
i
)ラウエ配置の
)では得られる X
反射型移相子を利用する方法、の二つが用いられた。ところが、 1
線強度がオン・アクシス光の数%程度に弱くなるという問題点があり、また、 i
i
)で
は偏光度の低い X線東しか得られないという問題点があった。
附年に山本と北村空、高輝度楕円偏光 X内を生成する函期的な挿入型光源一楕
円マルチポー ル ウ イ グ フ 一 日
ーを提案した 156) 。
m
高エネルギー物理学研究所の蓄積リング(成)に設置され、
2
X
1
2
2
2
;
3
5
2
線領域で楕円偏光を生成する ことに成功した 157-159) 。しかし、 E-MPWの
且場俊、ミラ ーやモノクロメータ一等の後置光学系による偏光解消効果が指摘され
み
よ2
1
2
1
3
2
2
、
1
2
設 立 て ? ? っ ; 叩 案 さ れ た が 似 るX
2
4
1
1
Z
本研究では、 X線移相子を用いた光学んなアプロ二チによって放射光の偏光を制
むとを試みる。本研究山
-2
X線開子を用いた偏光光学系の有効
ー
3・
2章
X線移相子の原理
2章
2章
X線移相子の原理
X線移相子の原理
五
f
?+f+if
J=
J
J "J
(
2
5
)
により、
巴
M
v
a
)J
内ノ 釘
π
h
ny
X
(
C
E
--
J
+
つ
い
,
+
a
戸
。
+
uu
町
MZJ
F・
.
ー
+
一
一
"h
h
u
・
'戸
生
F
r
べる。次 に、ラウエ配置とプラッグ配置の反射波および透過波の偏光特性について
考察し、透過波を利用することにより優れた性能の X線移相子が得られることを示
す
。
一
一h
本研究で扱う硬 X線の波長領域の移相子は、動力学的 X線回折に伴う複屈折効果
を利用するものである。そこで、本章ではまず X線の動力学的回折理論について述
PJ
(
2.1 緒論
(
26
)
と表される。ただし、 Fh,と Fh" は
山
Fh=
u
t
c
e
l
lI
、
I l
庁+ち)exp(2π出町)巴 Mj
(
2
7
)
2.2 動力学的回折理論
urutce
日
Fh=
2.2.1
I f
jexp(2πih.η)e-Mj
(
2
8
)
基本方程式
n'
.
8
)、Ewald9、1
0
) らにより独立に提唱された後、
動力学的回折理論はDarwi
で定義される量である。 (
2
6
)ー(
2
8
)より X hは
Lau巴 1
1
)がほぼ現在広く用いられている形に体系化した。すでに、詳しい解説記事
が多数出ているが 7~ 2
1
)、こ こでは石川と高良の解説 20
)にしたがって説明する。
χh=χh+1χh
(
2
9
)
X線が完全結晶に入射して、一つの格子面で回折を生じる場合を考える。この
時、結晶内には強い波 として透過波と回折波の 2つが存在する。それぞれの場の強
。 Dhとすると、 Takagi-Taupin方程式 2
1
)から
さを D、
χL=-t主
F~
Hπv-
(
2
1
0
)
χ"一 入2re ・
h=-'~Ve Fh
(
2
1
1
)
e
J
[
¥
êJ~~' =-inKC
χhOo+(2πiKsh+πKχ~) 同
J
eOn
a
s
;
:
-πKχ000-iπKCχhDh
n
I
(
2
1
)
(
2・2)
が主早かれる。ただし、 s、
。 S hはそれぞれ入射波、回折波の波数ベクトルと同じ
向きの単位ベク トルである。 Cは偏光因子であり、 eをブラツグ角として
となる。 β
J は入射角のブラツグ角からのずれ de=eO-eHの関数であり、新
たに変数W を導入することにより、次のように表わされ
4
u
トイ亨州
(
2
1
2
)
B
f
o
r
σ
p
o
l
a
r
i
z
a
t
i
o
n
C=
c
o
s
(
2
8B
)
f
o
rn
p
o
l
a
r
i
z
a
t
i
o
n
(
2
3
)
で与えられる。 X hは逆格子ベクトル hに対応する電気感受率のフーリエ成分であ
、
り、結晶構造因子 Fhを用いて
一一
白π
v
"
χh= 入2
r
cF
h
(
2
4
)
と表される。ただし、 AはX線の波長、 r,
は古典電子半径、 Vは単位胞の体積であ
る。結晶構造因子Fhは原子散乱因子
-4・
W苅侍(布。
o
山
(x~ 1
討
)
28B+
(
21
3
)
ただし γ。、 Y hは、表面に丞一直で結品内部に向かう単位ベクトル
nと s 、
内積である。また、フ拘ラッグ、ケースでは E=ーlであり、ラウエケースでは 二
E
る
。 (
2
1
)
(
2
2
)の特解は、
+
1
4あ
Oo
(
z
)=d
oexp(2πiokzz)
(
2
1
4
)
z
)=dhe
臥(
x
p
(
2
π
i
o
k
z
z
)
(
2・1
5
)
の形で表される。ここで新たな変数としてとと Eを次のように導入する。
-5-
2章
X線移相子の原理
2lr
x線移相子の原理
2.2.2 ブラッグケース
dh=c
d
o
(
2
1
6
)
g苅 ( 1 : : イ 吾 作 )
(
2
1
7
)
c
Skω=
(
2
1
8
)
E
G
)
=
ブラッグケースでは、 Yo>O、 Yh<0よ
り
1
:
:
=
ー 1であり、 (
2
2
2
)
(
2
2
3
)式は、
互
生
止 r.
W+ip'士. /(W+,
liKX~
2侃阿 l
. ij,.. <i¥2ー迎K'J
2
y
o
'0-
~i
'0'
t
2
1
)及び (
2
2
)式に代入し、
(
2
1
2
)(
2
1
4)
(
2
1
5
)
(
2
1
6
)式を (
d
d
d
So - r
O(
h
削
d
_"
d
_
Y
'
L
_
d
S
h
,
(
2
1
9
)
nd
z
の関係式を用いると、
2
π
i
8
kz
Y
oーπKχo=-niKCχ~ç
出市[糾吋
(W+i
g
J2-
J
(
2・2
6
)
(
2
2
7
)
となる。
ここで、結晶が厚さ tの平行平板の場合について考える。入射 X線、回折波、透
、Eh、E。とすると、結晶の表面白 =0)での境界条
過波の電場の振幅をそれぞれ、 1
件は
~・20)
(
ト
勾
加
浴
i
5
制
川
州
D山 =
0
)=d~l) +d~2) =1
(
2
2
8
)
~(z=O) =ç(l)d~l) +ç(2)d~2) =Eh
(
2
2
9
)
である。また、 Z=tでの境界条件は、
が得られる。 (
2
2
0
)
(
2
2
1
)式を解くことにより、
=
ー
竺
生
止
w...;"+ /IU1,,
_XhXけ i
K
χ。 一
一
河
川r
.&
0
γ
1
" _'2.,"
~~F J
τ
S
ck
Y
)
l
'
<
:
L
L
)
"51
D
o
(
z
=
t
)=d~l)exp(2πicSIq川+ d~2)exp(2πicSkF)t) =E。
(
2
3
0
)
臥(
z
=
t
)=と(l )d~l)exp(2πicSk~川ぺ(2)d~2)exp(2πicSk~2) t) =0
(
2
引)
である。 (
2
2
8
)ー
(
2
3
1
)を解くと、 EhとE。は次のようになる。
E
♂
ザ
G
ω
)
=1
:
:
剥
凶
"
r
主
Y
O
叶l
χ
訂h V勾
E
'
Y
h
~
rμW+i
印什
p+.
/(
w
仇牛
小い'
σ
l
ρ
¥
2
i
j
0 -
,い口
c
叩
a剖
b . ~τ
瓦r
l
(
2
2
3
)
Eh=~(l )ç(2\expσπicSk~l) t)
ー exp(2nicSk~2) t))
1
と
(
1
)巴x
p
(
2
π
i
S
c
k
i
)
t
)-c
(
2
)
e
x
p
σ
π
ic
S
ザ)
t
)
(
2
3
2
)
がf
得尋られる。
i
政一日 z
π
門刊一
π 一品⑬
7-
向日一刷
ー
P一
つ
-6-
er
ht
qAEE
d0(2)は結晶表面での電場に対する境界条件から決定さ
ぽ
ゐ
一
,
勺&一
e
o
π 、l
M
一
叫
、
一
ω
宏 、 d。
P
(
2
2
5
)
e一π
~(z) =Ç(l )d~l) exp(2π浴k~I)Z) ぺ(2)d~九xp(2π浴k~2)Z)
内ヴ一円い
(
2
2
4
)
一巴
﹃
Fh
;
;
;
L
;
D
o
(
z
)=d~l) exp(2π品~1)Z) +d~2) exp(2π批~2)Z)
じ、一
ヂ上で、方程式山
,
f
υvr
一
、
A
合 ζ して表され、
(
2
3
3
)
2章
X線移相子の原理
at X線移栂子の原理
2,2.3 ラウエケース
2.3 動力学的 X線回折の偏光特性
ラウエケースでは、 Yo>O、 Yh<0より e=+lであり、 (
2
2
2
)
(
2
2
3
)式は、
A
/
1
恒
J2"(,
(
2
3
4
)
F
)
・
h
)va
k
同
バhM
E
o
パ出
liai-、
/
、
iJ π
ro
,tela--'ht‘
一
一
EO
﹂
ヨ
(
2
4
6
)
,
1Jπh
同
)'t、
r
(M O
という関係式が成り立ち、動力学的 X線回折の前後で=の偏光状態の変化の様子は偏
光遷移行列
(
2
4
0
)
(
日
)
(
2
4
7
)
によって記述される。ここで、新たに変数 Rh、 R。、
dh
o
eAU
P
同問問
u
ρi
d
、
vf
-9-
X
凡
凡
v
r
一
,
、
一
σ一
o
-πo
交U
)
ρu
h
(
p
x
D
U
H
vf -vf
(
2
4
1
)
、、
Eh
-8-
(
2
4
5
)
(
2
3
9
)
一
σ
h
一πh
=
ミ (1);
1
(2)(exp(2叫k~2>r) exp(2πiÕk~l)tJ)
と
(
1
)と
ーο)
)0E
(U 0
一
一
h
と
(
1
)と
ー(2)
今
と表される。偏光ミキシング、の効果が十分に小さいと見なせる通常の場合には、
(
2
3
8
)
が得られる。
したがって、回折波と透過波(前方回折波)の振幅は次のようにな
る
。
1:0=と(九xp(2πiÕk~川ーと(l)exp(2π品~2)t)
(
2
・4
4
)
E とEいそして、 E とE。の聞には、
E
♂一川
o
JU
)
。一一
と
(
2
)と
ー(1)
(
2
4
3
)
:)exI
{21ti(ωt-Ko川
ヒ(
1
)
v
(
2
4
2
)
叶
である。 (
2
・3
6
)と(
2
3
7
)を解くと、
d~2) =一之一-
ω
(
π
,JLH
(
2・3
7
)
ρν
し
臥(
Z=U)=1;(I)d~l) +1;(2)d~2) =0
O
し
曹
(
2
3
6
)
)x
D
o
(
z
=
O
)=d~l) +d~2) =1
σhπh
‘
の平行平板の場合について考える。入射 X線の電場の振幅
ここで、結晶が厚さ t
を1とすると、結晶の表面(Z=O)での境界条件は
la!h'st
である。
EE
h
E
,
,
﹄
,一
一
(
2
3
5
)
K
今
ω
πL
E
一
一
C04 仔[W+ 吋仰 +i~2+ r
r
:
]
)
{W+i
f
!
_
)
2+ XhXh
~
~~f
l -'
V
'
ー貝
x
p
、thEBEE-a,
,
,
2
'
/川
(可同﹃
r
叫 )=-Kc~~1 W +id
入射 X線、回折波および透過波の電場ベクトノレをそれぞれ、 E 、 Eh、E。とす
る。戸、 Eh、 E。は入射面に垂直な成分 (a偏光成分)と平行な成分(:n:偏光成
分)に分解して、位相を振幅の中に合めた形で
δ。を導入する。
(
2
4
8
)
(
2
4
9
)
2章
X線移相子の原理
2章
Rh' R。は回折波と透過波(前方回折波)の電場振幅の変化を表し、 dh
' d。は結
品内部で σ、 π偏光成分の聞に生じる位相差を表す。
σ偏光、 π偏光の両方とも、選択反射領域内で相対的な位相がOから πまで変化
する。従って、位相差 δhは近似的に
2.4 ブラッグケースの X線移相子
~=~/I-一 1'_.
.¥W"
f
o
r ー ICOS(28B)I
豆W
σ 豆 +I
c
o
s
(
2
8B
)I(2δ0)
2¥
- ~os(28B~ )" 0
X線がプラツグ配置の結晶で回折する時の、分散面 と部分波を図2.
11
と示す。結
晶中では回折汲三方向に4個、透過波方向に4個の部分波が励起される。各々の部分波
D
i
f
f
r
a
c
t
i
v
eB
i
r
e
f
r
i
n
g
e
n
c
e
)を
の波数ベクトノレは僅かに異っており、この複屈折効果(
利用することにより、ブラッグ、配置の結晶を X線移相子として機能させることがで
きる。
x
*
車移相子の原理
となる。ただし、この式は π偏光の積分反射強度がゼ ロになる
eR=45度では成立
1
しない。 π偏光の選択反射領域で位相差 δhは +π(1-kos(28J│)β からー π(
l
∞s(2e
B
)1
)
β まで変化する。したが って
、 1回のブラ ツグ反射てよは1/
4波長板を得
r
c
f
2の位相差を生成する方法のーっとして、チャンネノレカッ
ることはできない。 I :
ト結晶内での多重反射により、位相差 δhを累積する方法がある 163) 。位相差±
πf
2を生成するのに必要なプラッグ反射の回数は
n
N~;n =
一一一」一一一
1-~os(28B)1
(
2
5
1
)
山 山
正h
で与えられる。 N
minは、入射 X線のエネルギーが高くなるにつれて大きくなる。
図2.
2(b)に多重ブラッグ反射についての計算を示す。位相差 δhは選択反射領域内
で急激に変化するので、平行性の良い入射ビームが必要である。"エネルギーが高く
1
.0
Kσ
0
1
Ki
{
2 K~2
K8
2 K[
4
0
5
2
0 色
。
回
e
君
ロ
、
』
沼
田ー
2
0 ~
(
b
)
』
。
LF
vπ
0
1
且、
目
出
K~I K{
i
1
F
1
.0
ω
dA2
000
,r
、-
6
0
hzb=ωωEω
一
一
なるほど選択反射の角度幅は狭くなり、入射ビームの平行性に対する要請は厳しく
なる 。
。
に分
す
波表
分を
部面
る散
じ分
π
図2
.
2
2.4.
1
ω
6
0
よ
?
/
Z
』
02
ω
・1
2
0
1
8
0
Wa
。
a
・
6
0
.
0
.
2
E
司
コ
、
"
-
z
生の
ル﹂
中成
田同光
結偏
面は
散線
分占⋮
の
ス分
一成
ケ光
偏
グ c
ツは
ラ線
フ実
60
1
8
0
1
20 ~
一 πpo.
l
402
図2
.
1
f
>
l
K
苫
L
"
'
2
ブラッグ・ケースの回折波の偏光特性
10KeV の X *,~ì')!、 ゲルマニウムで 220 反射を生じる場合について.
(a) 1回反
射
‘ (b) 4回反射
回折波
フラッグケースの回折波で?、 U 偏光と π偏光で回折強度曲線の半値幅が異なる
ために、結晶内で位相差 dhか生じる 162)。図 2.
2(a)は
、 σ偏光と π 偏光の回折強
度幽ヂと位相差 dhをWoについて計算したものである。 W σスケール上で σ偏光の
∞s(2e
s)1
である。実際に回折波を利用し
半値幅は 2であり、 π偏光の半値幅は21
子を得る時には、 X 偏光の選択反射領域を用いるのが実用的である。重
てX線移中目二
い物質を利用すると 利用可能な角度幅を広げることができる。
-10-
2.4.2 透過;皮
フラッグケースの透過波では、選択反射の角度領域外で=位相差 δ が生じる 283 1)
。図2.
3(a)は
、 u、 π偏光の透過強度曲線と位相差 d をW ←について計算した
ものである。」く Wσ く+1の領域では、 u、 x偏光とも透担率正ほとんどゼロにな
-11-
2章
x
.
章移相子の原理
2章
X線 移 紹 子 の 原 理
方回折を生じる場合について行った。位相差 ±
πf
2はw =
:
t56の点で生成され、
その点での透過率は u、 X 偏光共に0.23である。入射ビームが30秒の角度発散を持
は 74度から 116度の範囲内に分布する。したがっ
つ持、 w0 =-56の近傍で位相差 d。
4波長板は、発散角が数十秒程度のビームに対しでも、充分利用可
て、この型の1/
能である。
0
ー1
W
σ
0
.
2
0
.
0
.
1
ω
凹
3
0
.
41
.
I6
0
切周囲内向
5
i,・jン~ . ~ 1
2
0~
\ん~
j
“ー』ー」ー'--'1
8
0
1
3
5
e
.
0
.
0
・
国
_
.
_
.
- 8。
mM
.
.
.
.
1
e
'
t
!
'
I
沼
6
11
!y' ・~ 6
0 ~
0
.
2
一
ー
ー π-pol
1
2
0
ロ} Z。-苫 mu'hzu出ω
苫
(
3⋮
~
.
E
噌
ヨ
,,
,
a
u
1
1
.
j0
r
o
己
、
b
zzEEtト
‘ 一
.
-do
10 l
16
1
8
0
一一σ
p
o
l
〆
..TC
PO
.
I
0
.
8
L
一
一
1
2
0!
i
,
一一叩1. ~
1
.
0
)
,
LU
(
l
•
1
8
0
,
、
=
,,,
ー
,
)y
8
hu-
(n a d
﹄
10
,-.寸
5
0
O
Wσ
2.5 ラウエケースの X線移相子
X線がラウエ配置の結晶で回折する時の分散面と部分波を図 2.4に示す。結晶中
ζ
4
個、透過波方向に4
個の部分波が励起される。各々の部分波の波
では回折波方向 l
数ベクトルは僅かに異なり、この複屈折効果 (
D
i
f
f
r
a
c
t
i
v
eB
i
r
e
f
r
i
n
g
e
n
c
e
)を利用する
ことにより、ラウエ配置の結晶を X線移相子として機能させることができる一
良く知られているように、ラウエ配置の結晶内で波数ベクトル Kh;Y とk
σ,n:
j
=1,
2
)の部分波は定在波昨を形成する。定在波 E/(γ=01)
ではふ王原子
図2
.
3 ブラッグ・ケースの透過波の偏光特性
v
;
y
=
(a) 10KeVの X線が厚さ 50μmのシリコン結品で前方回折を生じる場合 (220反射)
(b)10KeVの X線が厚さ lmmのダイヤモンド結晶で前方回折を生じる場合 (220反射)
る
。 Wo <ー
lとWo>+lで透過率が少し異なるのはボルマン効果のためである。選
択反射領域外で生ずる位相差 δ。を利用することにより X線移相子が得られる。プ
ラツグ条件から離れた角度で位相差 d。は緩やかに変化するので、この領域を利用
差d
することにより、偏光の精密な制御と解析を行うことができる。また、位相j
が入射角によって可変であるために、この型の X線移相子は波長可変である。さ
1
と、入射角を変えることによって、位相J
差 δ。
を+
πf
2と-nf
2の聞で高速に切り替
えることもできる。
6
面上に位置するため、通常よりも大きな吸収を受ける(異常吸収入これに対して、
定在波 E Y(Y =σ ス)では節が原子面上に位置するため、通常よりも小さい吸収、し
,
か受けない(異常透過〕。したがって、吸収が大きい場合には分散点2の影響をほと
戸無視することができる。以下では、回折波と透過波について、吸収の大きい場
合と小さい場合に分類して議論する。
結晶中で位相差 d。が生じる仕組は、図 2.1より定性的に理解することができる。
入射角が選択反射領域外の時(I W o l>+l) 、部分波Kg2 と K~2 とが透過波を形成す
る上で有力になる。 K32とKむとの差は、
~x~1 r
~:t誌面川オー何ー
co印刷 n
;
;
;
;
Z
L
;
5
3
2
5
2
2
:
r
時は正
い
π(skl).n
Wo>+lの時は負である。厚さ tの
~:t端[何引時 cos 2 州
となる。実用上は1/
4
波長板が重要である
角から離れたある角度で生成され、入射
(
2
5
2
)
(
2
5
3
)
K51
仕品が厚い持、位相:差土 nf
2はブ、ラツグ
ムの角度発散による偏光解消効果は小
L
J
さくなる。ーしたがって、 X線移相子には厚い結晶を用いることが望ましい。吸収の
、臼F等の軽い物質を利用することにより小さくする
彬響は、タイヤモント、 LIF
ことができる。 X線移相子の材質にダイヤモンドを使用した場合の計算例を図
2J(b)に示す。計算はlO
KeVのX線が厚さ lmmの結晶に入射して 220反射に伴う前
図 2.
4 ラウエ
ケースの分散面と結品中に生じる部分;皮
実線{ま c偏光成分、点線は π偏光成分の分散函を表す
-12ー1
3-
2隼
X線移相子の原理
2.5.1
X線移相子の原理
2章
回折j
皮
となる。ただし、この式は π偏光の積分反射強度がゼロになる e
R=45度では成立
しない。入射ビームの角度発散による偏光解消効果を小さくする正は、反射領域内
A. 吸収が小さい場合
で位相差 δhが緩やかに変化することが必要である。それには、
.
'
吸収が小さい時、回折強度幽線と位相差 O hのグラフ中には、 4個の部分波 K.
(y=σ ,
.
7
l
':
j
=
1,2
)の干渉 l
とより細かい綴動が現れる(図 2
.
5
)。この振動のために
移相子を得ることは困難である。
『吸収が大きい』
という仮定が成り立つ範囲内で、結品の厚さ tnを小さくすれば良く、重い物質が
xお
X線移相子の材質として適することになる。 X線移相子にゲルマニウム結晶を用い
た場合の計算例を図 2.6(b)に示す。計算は、 20K巴Vの X線が厚さ 180μmの結品に
入射して 220反対を生じる場合について行った。 σ偏光と π偏光の反射率曲線は、
1
.
0
0
度の範囲内に分布してい
ほぼ同じ形である。位相差 O hは反射領域内で 65度から 9
1
8
0
る。通常、位相差 O hのこの広がりはさほど大きくないと見なせるので、入射ビー
z
ムの平行化は必要でない。したがって、非常に単純な光学系により偏光の制御を行
うことができる。
0
.
2
トルを紬として回転することにより調整できる。この種類の X線移相子は波長可変
である。
争、
b
ω
c
ω
z
位相差 δhは結晶の厚さに比例する。結品の実効的な厚さは、結晶を逆裕子ベク
列
ω
出
B
. 吸収が大きい場合
吸収が大きい時、異常吸収効果で分散点 2の寄与は小さくなるので、回折強度曲
0
.
2
0
.
1
線と位相差 O hのグラフ中の細かい振動はほとんど見られなくなる(図 2.6(a))。こ
の場合、部分波 Kh1Uとkh
ixが回折放を形成する上で有力になる 25-2
7
) K.. と
Kh1nとの差は近似的に
0
,
ルr
百 合 同 寸 ー 向 +COS
π=
2(
却
?
:
f
ー
ー π-po!
h
・
u
d
匂
ω
H
1
2
0
_
._
.
-B
b
苦 0.
3
巴
(
0
.
2
ト
"
"'
/.'1¥ ・
'
.
0
.1即 日 い ) .
_
j
:
0
.
0
・
2
、
午
、品川~!,i 6
0
-~;.\!~~
' . ¥ 可 30
。
、
σ
v
4
~
色a
ω
.
e
Z
j9
0
一
一,.;、一一
!~~ftY~:'i ‘
U
1
5
0
2
伺
勺
』
司
ω
出
ω
悶
ょ
=
:
.
.
悶
0
2
図2
.
6 ラウエ・ケースの回折波の偏光特性(吸収が大きい結合)
B
)Jn
ド 諜 ![ 町 向 +COs2(28B)J
π(Ok
l)
一一 σpol
0
(
a
)10KeVのX線が厚さ 500μmのシリコン結晶で 220反射を生じる場合
(
b
)20KeVのX線が厚さ 180μmのゲルマニウム結品で 220反射を生じる場合
(
2
5
4
)
となり、また厚さ t
の平行平板結晶中で生じる位相差 O hは
い
、
c
a
u
u
EE
三 0
.
3
0
.
4
1
8
0
ノ
、
LU
〉、
,
,
‘
・
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5
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一 σ戸 l
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(
a
)
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z
z
a
Z 出E 虫色
0
.
4
VAUAυnυAυ
ラウエ・ケースの回折波の偏光特性(吸収が小さい場合)
10KeVのX線が厚さ 50μmのシリコン結晶で
220反射を生じる i
喜
合
品
川
0
.
5
図2
.
5
2.5.2 透過波
A
(
2
5
5
)
。 さ ら 町= 叩 蜘 1
/
2)π(nは整数)を生成するの凶要な品の厚さ
吸収が小さい場合
この時の X線移相子の性質は、ブラツグ配置結品の透過ビームを利用する X線移
42節参照)とほぼ同じである。計算例を図 2.7に示す。図 2.3と比絞すると、
相子 (2.
透過強度曲線と位相差 d。はほとんど同じ形をしていることがわかる。
位相差 δ。が生成される仕組は、図 2.4より定性的に理解することができる。ブ
ラツグ条件より低角の入射条件では分散点 1
の影響が強いのに対して、ブラッグ条
(
n-J-日京了
"
',-
いす~, ' "
[
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2
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1
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14-
(
2
5
6
)
件より高角では分散点 2の影響が大きくなる。このことを丑苦慮すると、波数ベクト
ルの差は
-15
X線移相子の原理
2章
2章
… K7t~ : t 議 [ 市 州 + 吋
丸いい1
2
=
π
叫
t叫
(
(
2
5
7
)
とな る
。 ただし複号は W.<ー lでは正であり W.>+lでは負である。厚さ tの平行
平板結晶中で生じる位相差 占。は
•'
m
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r
(
2
・6
0
)
となる。この式は (
2
5
5
)と同じであるため、 2
.
5
.
1
Bでの議論がここでも成り立つ。
X 線移相子にゲルマニウムを利用した時の計算例を図 2
.
8
(
a
)に示す。計算は
20K巴Vの X線が厚さ 180μmの結晶 (
1
/
4波長板)に入射して 220
反射に伴う前方回
q
X
h
/l 何~+
~1イWd+cos2
O ' M ,1
(
5
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t
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(
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8
B
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VYoYh -
- --,
w
.
VYoY
h-
X線移相子の原理
折を生じる場合について行った。透過波の方が回折波(図 2
.
6
(
b
)参照)よりも積分
(
2
5
8
)
~' .
強度は大きい。しかし透過強度曲線が低角側に尾を引くことにより、偏光解消効果
は大きくなる。図 2
.
8
(
b
)は結晶の厚さが 540μm (
3
/
4波長板)の場合である。積分
強度は減少するが、偏光解消効果は改善される。
となる 。2.4.2節での議論と同じ理由から、 X線移相子 l
とは経くて厚い結晶が適す
る。 X線移相子にダイヤモンドを用いた時の計算例を図 2.7(b)に示す。計算は
の
lOKeV X線埼玉厚さ 2mmの結晶に入射して却反射に伴う前方回折を生じる場合に
この型の X線移相子では結晶の実効的な厚さを変えることにより位相差 δ を制
r
.n/2はW.=r
.63の点で生成され、との点での透過率は u
ついて行った。位相差 -
I
用
御することができ、波長可変である。さらに、結晶学的に等価な面での反射台J
偏光、 π偏光共に 0
.
1
9である。入射ビームの発散角が30
秒のとき、 Wσ=-63の近傍
すれば、透過波の光子のへリシティーを高速に切り替えることができる。ただし偏
光の高速可変性と波長可変性を両立させることはできない。
で位相差 δ。
は7
5度から 1
1
5度の範囲内に分布する。したがって、この型の1/
4波長
板は、発散角が数十秒程度のビームに対しでも充分利用可能である。
ラウエ・ケースの透過;皮の偏光特性(吸収が小さい場合)
(
a
)10KeVのX線が厚さ 150μmのシリコン結晶で前方回折を生じる場合 (220反射)
(
b
)10KeV の X 線が厚さ
2mmのダイヤモンド結品で前方回折を生じる~合 (220 反射)
B 吸収が大きい場合
よ?
C
i
t
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2
3
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1
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a
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0
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0
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3 .
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o
、
1
0
4
V
σ
図2
.
8
ラウエ ・ケースの透過波の偏光特性(吸収が大きい場合)
20KeVのX線が、ゲルマニウム結晶で 220反射に伴う前方回析を生じる場合
(a) 180μm (
1
/
4波長極)、 (b) 540μm (
3
/
4波長板)
2
.6 X線 移相子 の検討
表 2.
1
は
、 X線移相子の性能評価結果である。入射ビームの角度発散による偏光
ま無視でき山小さいので分散点附を考慮すれば
π~ __!<j_x~1
0
.
1
四
1
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0
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旬
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図2
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7
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O4.
6
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5
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1
8
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(
a
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0
.
5
1
.0
ある。したがって、位相差 δが振動してしまう Laue-Reflection(
s
m
a
l
la
b
s
o
r
p
t
i
o
n
)
の場合と、位相差 δが急激に変化する Bragg-Reflectionの場合は X線移相子として
r
帯 同 寸 州 +cos2(28B)J
n
となり、厚さ tの平行平板結晶中で生じる位相差 d。は
-16-
解消効果を抑えるには、位相差 dが入射角に対して緩やかに変化することが必要で
(
2
5
9
)
不適当である。この要請を最も良く満足するのは Bragg-TransmissionとLaueTransmission(
s
m
a
l
la
b
s
o
r
p
t
i
o
n
)の場合で、ある。更にこの二つの場合は波長可変性
主偏光可変性についても優れた性能を示す。本研究では、 Bragg丁目 nsmlsslonの場
合に注目して、 X線移中目子の開発 ・評価 ・応用を行った。
-17-
2章
3~
X線移相子の原理
3章 移 相 子 の 製 作 と 評 価 1)
.
1 各種 X線移相子の性能について
表2
て¥
M
a
t
e
n
a
l
B同 g
g
R
e
n
e
c
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i
o
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3.1 緒論
S
w
i
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H
i
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F
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@
H
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w
。
。
一
移相子の製作と評価
2章では、薄い平行平板の完全結晶がオフ・ブラツグ条件下で入射角によって位
相差可変な X線移相子として機能することを理論的に示した。本章の目的は、この
予測を実験的に検証することである。
そこでまず最初に、シリコンウエフアを広領域にわたって均ーに薄膜化するため
のエッチング装置を製作し、それにより薄いシリコン結晶を準備した。次に、この
結晶に平面波に近い X線を入射させて、前方回折波(透過波)の偏光状態を測定し、
理論との比較を行った。
O
s
c
i
l
1
at
e
3.2 薄いシリコン結品の作成
実験に使用する結晶は、フラックスを大きくするために、広い領域にわたって均
てに薄いことが望ましい。本研究では、松下・青木・岸野らの報告はい 165) に基
ついてエッチング、装置の製作を行った。製作したエッチング‘装置は以下の点を考慮
している。
勺
(f
チング液の劣化を少なくし、均一組成を得るため、容器を大きくするこ
(
2
)エッチング液及び試料の自転・公転によって溶液を均一に撹持し、溶液内の局
所的なエッチング速度の変化を少なくすること。
(
3
)シリコンが薄膜化するにつれて可視光の透過能が増大することを利用して、
エッチング進行中に試料厚さを検知可能にすること。
(
4
)エッチング液中への試料の挿入及び取り出しを容易にするため、試料ホノレダー
をカセット化すること。
(
5
)エッチング は試料の片面のみ行われ、試料の端はエッチングされず厚い状態で
F
残るようにし、薄膜化した試料の取り扱いを容易にすること。
エッチング、装置の概略を図 3.1に示す。容器は弗硝酸系のエッチング液に腐食され
ない必要があるため、耐酸性の強い塩化ピ・ニルで作製した。また、容器の底は可視
光が透過するように透明な纏化ピニルを用いた。試料の回転機構に関しては、金属
以外の材質に限定され、精密加工が難しくなるため、事実上の述玖l
は試料の自転の
みとし、撹拘!
i
夜流との関係で実効的に公転の効果が現れるようにした。すなわち、
図3
.1に示すようにインダクダンスモ ーターで容器外の磁石歯車を回転させ、容器
内の磁石により動力伝動歯車を回転し、試料カセットを回転する。これによって、
エッチング7
夜を容器に対して同心円上に撹持させる。さらに、試料カセット台の上
に置かれた試料が自転を行うことによって、実効的に試料が自公転を行うことと同
ー
1
8-
-1
9-
3章 移 相 子 の 製 作 と 評 価
3章 移 相 子 の 製 作 と 評 価
等な効果が現れるようにした。また、インダクダンスモーターから動力伝動歯車へ
3.3 計算
の回転力の伝動に磁力を採用することによって、動力部を容器内部と完全に分離す
ることができ、エッチング液による動力部の腐食をなくすことができる。インダク
結晶に入射する X線が直線偏光で、電場ベクトルの σ、 π偏光成分が同じ振幅を
タンスモーターは、試料の回転をモニターしながら、 0~40rpmまで変速可能とし
持つ場合、すなわち、結晶に入射する X線が散乱面 l
と対して4
5度傾いた直線偏光の
た
。
このエッチング装置を用いて、シリコンウェファの広領域薄膜化を行った。用い
た試料は、チョクラノレスキー法で育成したシリコンの (
1
1
0
)菌、直径3インチ、 N
入射して220
反射に伴う前方回折を生じる場合について、 (a)σ 偏光の透過率(実線)
型
、 0
.
6
-1
.2Qcm、厚さ 600μm、片面鏡面のウェファである。薄脱化する前に、鏡
面でない方の面(裏面)を桜くエッチングして、切削歪みを除去した。ウェファの外
殻は試料ホルダーカセットのふたで押えてエッチングされないようにし、中央の直
場合について考察する(図 3.2)。図 3
.
3は、波長 O.
l54nmの X線が厚さ 62μmの結晶に
3
1
2
7
2
z
m
)
♂寝はお:
i
?
?
緊 ぷ2
7
偏光と π偏光の透過率はほぼ等しく、位相差 δ は Llf)に対して緩やかに変化す
る。また、 (',f)=ー1
2
秒では PC=ー1であり 、 AO=
。
+12秒では PC=+lである。
径 15mmφ の領域のみエッチングPを行った。エッチングは全てウェファの裏面側よ
り行った。
エッチング液は、強い酸化剤と酸化膜を溶解する酸とがその主成分をなし、それ
に反応促進剤、反応減速剤を混合して作られる。酸化剤としては主に、硝酸、過酸
化水素水が、酸化物溶解用に弗酸が、反応減速剤として酢酸が用いられる。本研究
LINEARLYコ
(
PLARIZ正D
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, B
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A
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D1FFRAClED BE
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.
"
I
ぴ
:
1E;
では、弗酸、硝酸、氷酢酸の混酸i
液を使用した。エッチングされた試料の膜厚 ・平
坦性の測定は、ダイヤルゲージと X線の吸収を利用して行った。膜厚の一様性は
エッチング液の組成、試料の回転速度、エッチング、
面積等のパラメ ーターに著しく
∞
影響される。試行錯誤の結果、エッチング、液の組成は弗酸600ml
、硝酸 1
8 ml、氷
酢酸 500mlが適当であり、またエッチング、面積が 15mmφ の場合、回転速度を
23rpmfとすると良いことが判明した。この条件下で、薄いシリコン結晶(厚さ約 6
0
μm)を数枚作製した。
9
.
+Cl自.-ド1
・
8 n9に
:
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,
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J
C!R
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A.RAU正正
PERFECT CRYSTAL PlA
TE
図3
.
2 X線移相子
﹄
。ZM
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tG
44
・
Z0
2
同ZE@色 ﹄22E-υ
u
g
お
図3
.
1 エッチング装置
-20-
司
21
3章 移 相 子 の 製 作 と 評 価
3章 移 相 子 の 製 作 と 評 価
3.
5 実験結果
3.4 実験
実験は、東京大学総合試験所の強力 X線実験室にある 1アンペアの回転対陰極型
実験結果を図3.
5に示す。黒丸は実腕、実線は計算値である。計算には結晶S
I
と
=O.
l543nm)を使用した。また実験中、 X線発生装置の出カは管電圧を 40KV
、管
;
1
2
;
;
:
;
2
1
3
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f
i
z
zt
z
r
2
2
2
み
ケ2
2
2
0
0mAとした。光学系の配置を図 3
.4に示す。鉛入り透明アクリノレ板で図っ
電流を 7
射強度が X軸に対してほとんど一定になっているが、これは円偏光が生成されたこ
た恒温槽の中に光学系を置き、実験中の室温変化を:tO.l度以内に保った。 X線発
生装置からのビームはまず、非対称220
反射(非対称度 b=0.
42
)を与えるシリコンの
Cを見積もると、絶対値の大きさは0
.
9
0以上であ
とを意味する。この時の円南光度P
る。実験結果から、電場ベクトルの回転方向は分からないが、理論的には6.8
山秒の時には右回り、6.8叫
X線発生装置を用いて行った。実験では、銅ターゲットからの Ka特性 X線 (
λ
コリメータ結晶 Cによって単色・平行化する。 Pはチャンネルカットのゲルマニウ
反射を2回生じる。結晶Pのプラッグ角は4
5.
02
度であり、散乱面
ム結晶であり、 333
を水平面から 45度傾けているので、 2回反射ピームは45度傾いた直線偏光になる。
結品Sは厚さ 6 μ mのシリコン(110)ウェファーの中心部分を窓状(直径 15mmφ)に
エッチングして 62μmの厚さにしたサンプノレ結品である。結晶 Sは結晶 Cと平行配
∞
反射を生じる角度近傍に調整されている。サンプル結晶からの透過波の
置で、 220
、 x軸と φ軸の回転機
偏光状態は、ゲルマニウム結晶 Aにより解析する。結晶Aは
構を有するゴニオメーター上に固定されており 333反射を与える。
。
Z
3.6 結 論
本意で・は、ブラッグ配置の薄いシリコン結品を透過するビームの偏光状態が入射
角によっ:変化すること、また、ある角度で直線偏光が円偏光に変換されることを
実験より示した。これより、薄い平行平板の完全結品が &θ によって位相差可変な
移相子として機能することが実証された。
、 N
a
Iシンチレーションカウンタ一 D1で測
結晶 Sのブラツグ角からのずれ6.8は
反射の回折強度曲線から決定した。また、このカウンタ一D1によって光
定した 220
4.
2
",:
t23.
3
"
, :
t6
0
.
0
"と
学系の安定性をモニターした。結晶 Sの角度を、6.8=:t1
したそれぞれの場合について、透過波の偏光状態を結晶Aにより解析した。偏光解
度まで 1
0
度おきに変えた各点で、結晶 Aの333反射
析は、 x軸の角度をO度から 180
の φ軸に関する積分反射強度を測定することにより行った。
A日
て
3
¥
図 3.
4 実験配置
コリメーター結晶(非対称 Si220反射)、 P チャンネルカット偏光子結晶 (Ge33
3反射)、 S サンプル結晶 (
Si220前方回折)‘ A 偏光アナライザー (Ge333反
射
)
、 D 1と D2 ・NaIシンチレーションカウンター
C
ー
22-
-23-
3章 移 相 子 の 製 作 と 評 価
昨凶
同凶一令
込
4.1 緒論
i 1500ト…
pie-
/・一
苫
1
0
0
0卜…
シンクロトロン放射は、高輝度・連続スベクトル等の優れた特性を持つ。移相子
k
:
をシンクロトロン放射で利用すると、放射光の偏光性を制御することが可能にな
り、様々な応用への道が拓かれる。
; 5
到0
刑
ω
0
0
5
0
0
。
。
放射光での X線移相子の利用法として最も重要なのは、直線偏光を左右円偏光に
3
0
6
0
o
8
0
5
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9
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X(
d
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)
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6
0.
0釘c
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e
c
直線偏光子と X線移相子が波長可変であること。
また、 X線移相子と直線検光子を組み合わせると、偏光状態の完全決定を行"5:::.
とができる。この手法はり、最近世界各地で開発地められている、楕円偏ムミ
線を生成する挿入型光源のキャラクタリゼーションを行うことができる。
疋をでうための実験装置を開発した。実験装置は、完全結晶光学素子を調整するた
めのアイフラクトメーターと、測定システムとから構成されている。
4.2 ディフラクトメーター
4.2.1 概観
-_...~ ...........~...?: .:~...:
日
¥
,
¥
げ ・
変えた時に、コリメーターで反射したビームの位置と方向が変化しない
-
ム ¥
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5
0
0「
一
一
一
変換することである。これは、 3
主主で述べた光学系を以下の点に留意して改良する
ことにより実現される。
そ三で本研究では、シンクロトロン放射で円偏光 X線の生成と偏光状態の完全決
6
0
o
e='
60
.
0a
r
c
s
e
c
3
~
-y
。
。
3
0
2
0
0
0
て
き
一一一一一人一一一一一
00
0O
0
0
E
10
15
( = 勾)hど鴎ロω恒
例箇回想。“完﹄司匂剖ZH
i
.
e
=i
3.
3釘c
s
e
c,
1
5
0 1
8
0
コ
実験装置 3)
e
=)4.2a
j
"
c
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e
ci
I
弓
立
早
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﹃
却
∞ r
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・
/・
v
中
:
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・
罵 /
ロ
予
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益
ω
1111 ん 11!
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3
ω
バ
怜
1 1 1a
3h A :
ω
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0
0
0
-h
d
一
・
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宮
n
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u
f
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、
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・
~
1
5
0
0
診、
2
2
tg
白v
a凸
ω
3je-=
・ r
却
4章 実 験 装 置
;
『ー
I
~
シンクロトロン放射で円偏光 X線生成と偏光解析を行うために開発したデ‘イフ弓
"
.
, .劃
"
;
・
.
,
クトメーターを、図4
.
1に示す。このデ‘イフラクトメーターは、コリメーター、一
a
:
線偏光子、 X線移相子用の3つの精密ゴ、ニオメーターと、偏光解析用の精 司軸ゴ、ニ
o
3
0
6
0
オメーターとから構成されている o 円偏光 X線を入射ビームとして利用する実験で:
9
0 1
2
0 1
5
0 1
8
0
X(
d
e
g
r
e
e
)
はこの装置を試料の上流に置き、また、散乱ビームの偏光解析を行う場合には試料
の下流に置く。そのためは盤の幅は出来るだけ短いことが望ましい。そこで4個
図3
.
5 実験結果
.は実験値、実線は計算値。
のコニオメーターを殺せる定盤を使用する代わりに3
f
閣のゴニオメーターを載せる
定盤を用い、最下流のゴニオメーターは実験目的に応じて交換可能とし弁ー
定盤は鋳造であり、精密 X線光学の実験を行うのに十分な安定性を有し
J
いる。
f
困の水平調整ネジ及び4
倒の平行調整ネジ
また、字盤はlOcmO)高さ調整機構と、 4
度回転することができる。
とを備えている。さらに、水平方向に 6
3
{
留の精密ゴニオメーターは、タンジエンシヤルパーの回転機構を用いており、
24"
ー
2
5"
4
.
実験装置
4章 実 駿 装 置
200mm
(
a
)
ト
ー
一
一
一
一
一
→
SR
∞
ステツピングモーターにより最小送り角 o
. 5秒で回転可能である。 3個のゴニオ
メーターの内、 2個は定盤上に固定されている。一番上流のゴ、ニオメーターは、円
偏光 X線を生成するときには2
結晶コリメーターを取り付け、偏光解析を行うとき
平行移動台の上に乗って
には移相子結晶を取り付ける。このゴニオメーターは x
おり、手動で結品の位置を入射ビームに合わせることができる。 2番目のゴニオ
メーターは、円偏光 X線を生成するときにだけ使用する。このゴニオメーターは、
直線偏光子を回転するためのものであり、 45度傾いた直線偏光を生成するために
回転軸を水平から 45度の方向に傾けている。このゴニオメーターには、 X方向の平
行移動台と 45度傾いた方向の平行移動台を取り付ける。
図4.1のテ、イフラクトメーターを、円偏光 X線の生成l
と用いるときは、精密ゴニ
オメーターを最下流に置しこのゴニオメーターは、一番目のゴニオメーターと同
じX 平行移動台の上に載っており、移相子の角度調整に使用する。偏光解析を行
うとき円は、手下流に精密4
軸ゴニオメーターを置く。精密4
紬ゴニオメーターは、
;
7
ツヒングモーター駆動の x
-平行移動台と
4.2.2
手動の z
-平行移動台の上に殺せ
2結晶コリメーター調整機構
〆
、ノ
b
,
、'
、
t
任意の波長で入射ビームを平行化するのに、平行配置2
結晶の対称反射と非対称
反射を用いる。 2結晶を固定・調整するために、図 4
.
2の調整機構を開発した。この
2結品コリメーター調整機構は、精密ゴ、ニオメーターに直接取り付け可能である。
また、入射 X線の波長が変化しでも出射 X線の高さがほとんど変化しないように設
計されている。図 4
.
3のように、 2結品コリメーター調整機械の回転中心Pと
、 2番目
の結晶の中心は、 1
番目の結品の表面に関して鏡面対称の関係にある。 1
番目の結晶
と
、 2番目の結晶の中心との間隔を dとおくと、入射ビームと出射ビームの高さの
差 hは
、 h=2dcose
Bで、与えられる。シリコン 2
20反射で d=1
.5
cmの場合では、波長
が0.
14nmから 0.16nmまで変化したときの、出射ビームの高さの変化は0.66mmとな
る
。 PFのBL-15Cで、入射X線の波長を変えて2結晶コリメーターを出射するビー
ムの高さ変化を調べたところ、図 4.4のような結果が得られた。波長 0.14nmから
0.
18nmの聞で、出射ビームの高さはほとんど変化していない。
図4.
1 偏光実験のためのディフラクトメーター
(a)円偏光 X線生成用‘
(
b
)偏光解析用
図 4.
2 2結品コリメータ ー調整後備
A:第 1対称結晶固定ホルダー、
-26-
B 第 2非対称結晶固定ホルダー‘
C:オフセット角調整用ウォームギヤ
-27-
4章 実 駿 装 置
4章 実 験 装 置
2結晶コリメーター調整機構では、ピッチ O.
5m mの押しネジを、ギヤ比 1
/
2
0のウ
オームギヤを介して、ステツピングモーターで回転して板パネを押すことにより、
2
結晶の格子面聞のオフセット角を微調整する。ただし、板パネの弾性変形限界の
度). 2
結晶コリメーター調整
ために、調節可能なオフセット角には限界がある(約 1
機構の材質は SUS303である。板パネの部分は、放電加工で加工し、電解研磨で仕
上げている。ステツピングモーターの送りパルス数と、オフセッ ト角の関係を、
.
5に示す。これよ
オートコリメーターを用いて数回繰り返して較正した結果を図 4
ると、オフセット角の最小送り角は、 0
.
0
2
9
5
秒である。
4.2.3 2結品偏光子調整機矯 166}
34
)
は、シリコン単結晶からモノリシック C
m
o
n
o
l
i
t
h
i
c
)に2
結晶
を切り出して、波長可変な 直線偏光子を作製した。それに対して本研究では、 2個
HartとRodrI
gu
e
s
の結品を別々に切り出して分離型の偏光子を作製した。モノリシック型では、反射
面が変わる毎に別の結晶を切り出してパネの部分等を加工しなくてはならないの
で、手聞が非常にかかるのに対して、分離型では、結品の準備・交換を容易に行う
ことができる。さらに現在大きな単結晶が得られる物質はシリコンとゲルマニウム
つに限られており、モノリシック型ではこの2
つの物質しか使用できない。それ
の2
に対して、分離型では様々な物質を利用することができる。例えばInSbのような
重い物質を使用することが可能であり、 50KeV
以上の高エネルギー X線領域でも
効率の高い偏光子が得られる。
入1
入1
.
6
分離型波長可変直線偏光子に使用する 2つの結品を固定し調整するために、図 4
の調整機構を製作した。この2
結品偏光子調整機構は、ピッチ0.5mmの押しネジを
ギヤ比 1
/
20のウォームギヤを介してステツピングモーターで回転して2
重の板パネ
P
f
を押すことにより、 2結晶の格子面聞のオフセット角を微調整する。ただし、板ノ
図4
.
3 コリメータ -2結晶の配置図
回転中心 Pと2番目の非対称結品の中心は 1番目の対称
結晶の表面に対して銭面対称の位置関係にある.
ネの弾性変形限界のために、調節可能なオフセット角の大きさには限界がある(約
1
度). 2
結品偏光子調整機構の材質はSUS303であり、板パネの部分は放電加工で加
工し電解研磨で仕上げている。ステツピングモーターの送りパルス数と、オフセヴ
ト角の関係を、オートコリメ ーターを用いて数回繰り返して較正した結果を図ー
.
0
4
4
秒である。
に示す。これによると、オフセット角の最小送り角は、 0
A
uA
図4.4
I
.
5A
1
.6
A
1
.
7A
1
.
8
A
2結晶コリメーターで 2回反射されたビームのポラロイド写真(波長O.
14-0.1Bnm)
;座長が変化すると非対称度が変わり、像の縦方向の長さが変化する。
An
g
l
eC
a
l
i
b
r
a
包o
nofD
o
u
b
l
e
.
C
r
y
s
t
c
lA
1
igner(10
/
2
2
/
90
)
6
0
0
(
U
Eピ
00
0
0
54
=
9
9
9
9
7
/
・
.
_"
.
.
2
9
.
5
4
5a
r
c
s
e
c
/l
OOOp
u
l
s
叩
イ
aG)
A
ω
m
勺
4
∞
••
図4
.
6 2結晶偏光子調整機情
A 結晶固定ホルダー取り付け湾、
B オフセット角調整用ウオームギヤ
1
0
0
6
e
・
・
2025c出
,
・
a
-
"∞
.
'
;
i 3
6
・
6
8
1
2
O
u
t
p
U
tP
u
l
s口 (
x
I
O
O
O
)
1
6
20
図4
.
5 ステツピングモーター送りパルス数とオフセット角の関係
-28-
-29-
4~
実験装置
4章 実 験 設 置
この分離型直線偏光子のテストを、実験室 X線源を用いて行った。実験配置を図
4
.
8に示す.光学系に入射する X線の波長は、 0.154nm(Cu
Ka特性 X線)である。偏
ザー結晶には、ゲルマニウムの333反射を用いた。偏光子2結品の聞のオフセット角
を変えた各点で、 2回反射ビームの垂直偏光成分と水平偏光成分とをアナライザー
.
9に示す。白丸が実験値、点線が計算値であり、
結晶で測定した。その結果を図4
両者は良く一致している。実験的に得られた偏光 X線の直線偏光度は 0
.9
7以上で
あった。
o y=1
.
6
7
0
4+ 4
4
.
2
6
6
x R= 0
.
9
9
9
9
7
ロ y=1
.
0
9
7
4+ 4
3
.
8
3
9
x R= 0
.
9
9
9
9
7
0.10
0.
05
。
。
1
.0
υ
{
400
2.0
i
'
l9(
a
r
c
s
e
c
)
︽
UnU
nu
321
OA
検光子を水平・歪直に置いた時の積分反射強度の比を‘
2結晶オフセット角!:.()についてプロットした.
Oは実験f
直、点線は計算値。
ロB
u
内
nU
ハ
u
昔日間)凶 JOZ︿ Z O一ト︿トO E
図 4.
9 t
平価結果
。。
4.2.4 精密 4軸ゴニオメーター
2
4
6
OUTPUTPUlSES(
x
1
0
0
0
)
図4
.
7
三
一E
E
¥
ν
E
E
-
光子には、シリコン単結晶の対称440反射(()B=53.32' )を用い、偏光アナライ
10
ステッピングモーター送りパルス数とオフセット角の関係
偏光解析に使用する精密4軸ゴニオメーターを写真4.1に示す。この精密4軸ゴ、ニ
オメーターロ結晶検光子調整機構を載せることにより、任志一波長で X線偏光解析
を行うことができる。たたし写真 4.1には、検光子に 45度に近いブPラツグ反射を与
守 備 を1
個だ i
t
使用した場合について示している。こ制紬ゴニオメーターは、
、 φ軸
、 x
軸
、 2
(
)軸の4つの回転軸 の角
外吉のステツピングモーターにより、 ω軸
、 1
/
4
0
0
0
0
度
、 1β00
度調整を行うことができる。最小送り角はそれぞれ、 1β000度
度
、 1
1
2
5
0
0
度である。偏光解析では、 X輸の様々な角度で、 φ制l
に関する検光子結
図4
.
8 2結晶偏光子を評価するための実験配置
CuKα 特性 X線 (
λ=O.154nm) を使用。
A: 2結晶偏光子 (S i440反射)、 B:検光子 (Ge333反射)
-30-
ー3
1-
4章 実 験 装 置
4章 実 験 装 置
品の回折強度曲線を測定して積分反射強度を求めるので、 x軸と φ軸が多用され
る。通常イントリンシックな回折強度曲線の半値幅は数秒のオーダーであるから、
線領域でも十分に偏光解析を行うことができる。 ω
この回転精度で高エネルギ -X
輸は、 x軸と入射ビームの光軸を合わせる時に用いる。 28軸は偏光解析の実験で
はほとんど使用しない。
4.3 測定システム
シンクロトロン放射で精密 X線光学の実験を行うための汎用計測システム(以
計調J
Iシステムと称す)について述べる。
下
、 PXO
4.3.1 ハードウェア
PXO計測システムのブロック図を図 4
.
1
0に示す。 σ Uと周辺機器問の信号の送
受信にはインターフエースボードを用いる。 1
6台の5相ステッピングモータ ー制御
には CONTECのPC
モジュー/レ PO
・
4
8
T
(
9
8
)を使用し、また、スケーラー ・タイマー
IO-24
!
24
T
(
9
8
)を使用している。
制御には P
ステツピング ・モーターの駆動は、 PIOボードを介してソ フト的に駆動パルスを
作り、これを直接ステッピングモータードライパーの
端子、 CCW
端子に入力
することによって行う。ステッピングモ ータード ライパーとしては、大電力モー
cw
PRINTER
タ一周 (MELECD541)8台と小モーター用 (MELECD510)4台の合計 1
2台を使用す
る
。 8台の D541は
、 2個のツジ電子製の PM4D-054
c
hP
u
l
s
eMotorD
r
i
v
e
rボックス
の中に格納されており、 CPUからの制御信号はボックス背面の CONTROLSIG・
NAL
端子 (
5
0
p
i
nアンフエノール)を介して中のモータードライパーに送信する。同
様に4台の D510は、ツジ電子製の PM4D-034
c
hP
u
l
s巴 MotorD
r
i
v
e
rボックスの中に
格納されており、 CPU
からの制御信号はボックス背面の PULSEIN
.
L
IMITOUT
端
子(
3
6
p
i
nアンフェノーノレ)を介して中のドライパーに送信する。
光 子 計 測 系 は ORTEC製 の 計 測 機 器 で 統 一 し 、 ス ケ ー ラ ー ・ タ イ マ ー
(ORTE
C99
4
)の制御には ORTEC
宇土独自のプリントループを使用した。 ORTE
臼9
4
の制御はσ U
から 9
9
4背面の IN/OUTSYSTEMCONNECTORに信号を送信するこ
とにより行う。計測は CPU
から ORTE
C99
4のピンlO(
S
y
s
t
a
mR
e
s
e
t
)にシグナルを
送ることにより始まり、 P
r
e
s巴tTimeで設定した時間の問 X線の数をカウン卜す
る。カウントが終了するとピン 9
(
S
y
s
t
e
mP
r
e
s
e
t
)がHIGHLEVELになり、これに
回の測定が終了したことを判定し、スケーラー・タイマーのデーター
より CPUは1
を順番に読み込む。
4.3.
2 ソフトウェア
精密X線光学測定ソフトウェアの開発には C言語を用いた。まず最初に、ステツ
ピングモータ一、光子計測系等の周辺機器を制御するためのサフツレーチン (PXOラ
イブラリ)を開発し、次にゴニオメ ターを制御するソフト (GSET)、回折強度曲
線を測定するソフト (R
C)、測定データを表示・解析するソフト (GRAPH)などのソ
フトウエアの開発を行った。そして最後に、計測システムの仕様書および使用説明
書を作成した。
SCALAR
l
TIMER
S
i
g
n
a
l
s
INTERFACEBOARD
図4.
10 PX0計測システムのブロック図
-32-
-33-
5
1
1 波長可変左右円偏光 X線の生成
5章 波 長 可 変 左 右 円 偏 光 X線の生成
必要がある。この条件は、入射 X線が散乱面に対して語句4
5度傾いた直線偏光の場合
に満足される。また、結品内部で σ、 π偏光成分間に生じる位相差 δ。が
π
+
5.1 緒論
日引
。AU
一
一
。
(n
5章 波 長 可 変 左 右 円 偏 光 X線の生成 4)
(n:l
n
t
e
g
e
r)
のときに、透過波(前方回折波)は円偏光になる。連続波長域で円偏光を生成するに
円偏光 X線は、磁気散乱、磁気吸収等の測定手段によって磁性研究において中性
子と相術的な役割を果たすだけでなく、核共鳴散乱に用いると円偏光入射でのメス
パウア分光を可能にするなど、物性研究での幅広い応用が期待されている。シンク
ロトロン放射の出現以前は純粋状態の円偏光 X線を作ることはともかくとして、そ
れを入射線として回折・散乱・吸収測定を行うことは、ほとんど‘不可能であった。
ところが、楕円偏光ウィグラーの開発によって、ある程度の円偏光度を持つ大強度
X線の利用が可能になってきたし、また X線移相子の開発によって純粋状態に近い
円偏光 X線の取り出しが可能になってきた。
散乱振幅が入射線の偏光状態に依存する(すなわち、偏光ミキシングを生じる)共
鳴磁気散乱や磁気吸収等の実験では、入射線の偏光状態を保持したまま波長をス
キャンする必要がある。ところが、楕円ウィグラ一等のような白色の楕円偏光を生
は、各波長毎に/), 8を調整して、上式を満たすよう l
とすれば良い。
図5
.
1は、散乱面に対して 4
5度傾いた直線偏光 X線が、厚さ 62μmの平行平板シ
リコン(11
0
)結晶に 2
2
0
反射のプラッグ条件をほぼ満たすように入射した時の、透過
波の円偏光度PCを、波長 A及び入射角のプラツグ角からのずれ/), 8の関数として計
算したものである。波長 0 .1 3~0 .1 9 n mで Pc = +l(右回り円偏光)あるいは Pc= ー 1( 左
回り円偏光)となるような/), 8が、ブラッグ角から数秒
十数秒離れた点に存在す
る。したがって、/), 8をこれらの点に調整することにより、任意の波長で左右円偏
光が得られる。これと同様の計算を波長0 . 05~0. 1 3n m でも行うと、厚さが約 150μ
mのシリコン(11
0
)結晶が 1
/
4波長板として機能することが示される。従って、厚さ
が 約 60μmと約 150μmの2
枚のシリコン (
1
1
0
)結晶で、硬 X線の波長域全体をカ
ーすることが出来る。
ノf
成する挿入型光源では、ミラーやモノクロメータ 一等による偏光解消効果のため
1
に、偏光状態を保持しながら波長を変えることは困難である。また、ストレージリ
ング内を周囲している(楊)電子ビームの軌道変化によって出射ビームの偏光状態が
変化するという問題がある。 X線移相子を用いて偏光ビームを生成する光学系は、
ベンディング、マグネット等からの直線偏光を任意の偏光状態に変換するものである
から、(陽)電子ビームの軌道変化に影響を受けることなく、偏光状態の安定した
0
.
5
1
ビームを供給することが出来る。さらに、移相子が光学系の最後(つまり、試料の
直前)の素子であり、他の光学素子による偏光解消効果の影響を受けないので、偏
0
.
5
光状態を保持したまま i
波長をスキャンすることが可能である。
そこで本研究では、 X線移相子を利用した偏光 X線生成光学系をフォトン・ファ
PC 0
クトリー (
P
F
)のB
L
1
5
Cに組み立て、連続波長域で左右円偏光を生成する実験を
行った。その結果、波長0 .1 4~0 . 16nm で円偏光度 PC の絶対値が0.98 以上の左右円偏
0
.
5
光が生成された。
入(
λ
)
5.2 X線移相子の波長可変性
1
0
ブラツグ配置の薄い平行平板の完全結品は、入射角のブラッグ角からのずれ/), 8
1
5
~e (訂c se c)
により、位相差可変な X線移相子として機能する。とのことを利用すると、 /
)
.
θを
調節することにより、位相差を一定に保ったまま波長をスキャンすることが出来
る。すなわち、ビームの偏光状態を保ったまま波長をスキャンすることが出来る。
物性研究に応用する上では左右円偏光 X線が重要で、あるので、移相子 I
とより連続
図 5.
1 計算
散乱函に対して 45
度傾いた直線偏光 X線が、厚さ 6 2μmの平行平板シリコン
)結晶に
(1 10
220反射のブラッグ条件をほぼ満たすよう に入射した時の、透
波長城で左右円偏光を生成することを考える。硬 X線領域では、薄い平行平板結品
、 j
座長 λ及び入射角の プラッグ角からのずれ l
1e
の関数とし
過;皮の円偏光度 pcを
における uとπ偏光成分の透過率はほとんど等しいので、透過 i
iJi.(前方回折波)に円
て計算 した
偏光を得るためには、入射ビームの電場ベクトルの uとπ偏光成分の振幅が等しい
ー
3
4-
-3
5・
5章 波 長 可 変 左 右 円 偏 光 X線の生成
5章 波 長 可 変 左 右 円 偏 光 X線の生成
5.3 波長可変左右円偏光 X線生成実験
波長可変で左右円偏光 X線を生成することは、例えば遷移金属(鉄、コバルト、
ニッケル等)の共鳴磁気散乱・磁気吸収において必要とされる。そこで実験では、
ニッケルの K 吸収端の波長 0.1478nm に着目し、 0.14~0.16nm の波長領域で
0.0025nm刻みに左右の円偏光を生成することを目指した。
実験は筑波の高エネルギー物理学研究所 (KEK)にある放射光実験施設フォトン
ファクトリー (
P
F
)のBし 15Cを利用した。 PFは2.5GeVの陽電子蓄積リングであ
る。また、 BL-15Cはベンディング、マグ、ネットからの放射光を取り出すビームライ
5mの位置に、定位置出射型2結晶モノク ロメー
ンの一つであり、光源点から 2
2.
ターが設置されている。ここで単色化された X線は、光源点から30mの点を中心と
j
する放射線防御用ハッチ内に導かれ、その中で実験が行われる。
j
l
5.3.1 実験配置
.
2と写真
PFのBレ15Cの笑験ステーション内に設置した光学系の結品配置を図 5
5
.
1に示す。ペンディングマグネットからの白色光はまず、平行配置シリコン(11
1
)
のビームラインモノクロメーターで単色化され、実験ステーション内に入射する。
モノクロメーター結晶の角度はエンコ ーダーに表示され、ブラッグの式 2
d
s
i
n8B
写真 5
.
1 実験ハッテ内に設置した光学系の写真
=λ から波長を知ることができる。波長の較正にはニッケル ・フオイルのK吸収立捕
を利用した。単色化されたビームは第 1イオンチェンパー Aを通過し、 2結品コリ
メータ -Bに入射する。 2
結晶コリメーター Bは、シリコンの(11
0
)面が結晶表面に
対して平行な第 1
結品と、(110
)面が結晶表面より 1
4
.
6度傾いた第2結晶とからな
る。コリメーターの2結晶は平行配置で220
反射を与える。 2結晶コリメーターによ
り、ビームの垂直方向の発散角は数秒程度に小さくなり、同時にビームの大きさは
垂直方向に拡大する。コリメータで2回反射されたビームは、強度モニタ一周の第
2イオンチ ェンパーCを通過し、 4象限スリット Dでビーム 径を0.5mmx0.5mmに絞
られた後、 2結品偏光子Eに入射する。偏光子Eにはシリコン(
1
1
1
)結晶の333
反射等
を用いた。偏光子によってビームの偏光面は、上流から見て時計回りに4
5度回転す
る。このビームが移相子Fに入射する。移相子Fは、チ ョクラルスキー法で育成し
、 0.
6
-1
.2Qcm、厚さ 400μmの両面鏡面シリコン(11
0
)ウエ
た直径3inch、 N型
ファーの中心の直径15mmφ の領域を化学エッチング‘で62μmの薄さにしたもので
あり、 220反射を生じる角度の近くに置かれている。移相子Fの角度は精密ゴ、ニオ
メーター(最小送り角 0
.
0
1秒)により調整する。移相子 Fの透過波の偏光状態は、シ
Q
q
I
Jゴニオメーター上に固定されてい
リコン結晶 Gにより解析する。結晶 Gは精密4
図5
.
2
実験配置
A イオンチェンパ一、 B :2
結晶コリメーター(対称ー非対称 Si220反射)‘
C イオンチェンパ一、 D:スリット (O.5mmXO.5mm)、
Si220前方回折、厚さ 64μm)、
E:2結晶偏光子 (
Si422反射)、 F 移相子 (
G:アナライザー結晶 (
Si333又は Si422反射)‘
H:Nalシンチレー ションカウンター(移相子結品角度モニタ一周)、
J :Nalシンチレーションカウンター(
積分反射強度測定用)
ー3
6
る。結晶Gには、波長に応じてシリコン(11
1
)または(
2
1
1
)結晶の、 3
3
3あるいは422
反射を用いる。
移中目子Fのブラッグ角からのずれの角6.8は
、 220
反射の回折強度曲線を Na!シン
チレーションカウンタ - Hで測定して決定した。また、カウンタ - Hによって光学
系金体の安定性をモニターした。
-37-
5章 波 長 可 変 左 右 円 偏 光 X線の生成
5章 波 長 可 変 左 右 円 偏 光 X線の生成
【
手1
1
頂 1]光学系に入射する X線の波長の調盤
5.3.2 計測系
1
1反射のフ.ラツグ角 e
Bを求め、 X線が照
波長 Aの X線を得るには、シリコン 1
射角 e
Bで入射するようにモノクロメーターを回転する。次に、モノクロメーター
の2結晶が平行配置になるように、オフセット角の微調整を行う。
計測系を図 5 .3 1~ 示す。
イオンチエンパー(A, B
)で検出した微小電流信号は、イオンチェンパーAでは 1
0
'
9
倍に、電流精幅器 (KEITHLEY
倍に、イオンチエンパ -B
では 1
0
4
2
7
)により増幅
し、電圧信号として出力する。この電圧信号を、電庄一周波数変換器 (OKEN733-
【
手1
1
頃2】光学系の調整
、
入射ビームの波長を変える度に、 2結品コリメーター B、2結品ポラライザ - E
1
)で電圧に比例した周波数の信号に変換し、レートメーター (ORTE
CA49)とスケー
(PC
-9801RX)に読み込まれる。
NaIシンチレーションカウンター (H,
I
)で検出した電圧信号は、電圧増幅器
(ORTEC570)で摺幅する。地幅信号を、シングルチャンネノレアナライザー
(ORTE
C55
0
)に入力し、パルスの波高が LowerL
e
v
e
lとUpperLev
巴l
で設定した値
巴l
は信号の電気的
の聞にある場合に限り、ロジックパルスを出力する。 (LowerLev
巴v
e
lは高調波を除去するように設定する)こうし
な雑音を除去するように、 UpperL
て得た信号を、レートメーター (ORTE
C44
9
)とスケーラー (ORTEC99
4
)に同時に
出力する。最終的に、 X線強度がレートメーターに表示され、スケーラーに入力さ
l t
l
ラー (ORTE
C99
4
)に同時に出力する。スケーラーに入力された信号はパソコン
移相子Fおよび偏光アナライザー結品 Gの再調整が必要になる。光学系の上流から
各結品の調整を行う。
【
手順 3]移相子の角度(d.e)の調整
移相子結晶 Fの2
2
0
反射の回折強度曲線を測定し、プラツグ角 e
を見出す。次
B
に、移相子をプラツグ角 e
Bより d
.e
だけ回転する。実験の目的は、各波長で純粋
状態に近い左右円偏光を生成することであるので、この要請を満たすように d
.e
を
設定する。
【
手順 4]移相子を透過するビームの偏光解析
れた信号はパソコン (P白 801RX)に読み込まれる。
0
0
移相子を透過するビームの偏光状態を測定するために、 x軸の角度を0度から 1
度まで 1
0度おきに変えた各点で、アナライザー結晶の 3
3
3または 4
2
2反射の、 φ軸
に関する積分反射強度を測定する。
G
B
D
5.4 実験結果と解析
E
,
5
.4.
偏光解析測定の結果
偏光アナライザー結晶の φ軸に関する積分反射強度は、光学系に入射する X線強
度に比例する。ストレージリング内を周回する陽電子の数は H
寺聞と共に減衰するの
で、測定値を入射ビーム強度で規格化する必要がある。入射ビーム強度としては、
1
1
イオンチェンパー Cの測定値を用いた。測定データを規格化した結果を図 5.4に示
す。四角や丸等が実験値であり、実線や点線などが計算値である。実験値と理論値
.1475nmで実数値にばらつきが見られるが、これは、
は良く一致している。波長 0
アナライザー結晶で同時反射が生じたためである。
図5
.
3 計測系のブロック図
5.
4.
2 実験データの解析
移相子を透過するビーム、すなわち、アナライザー結晶に入射するビームが平面
波であると仮定すると、電場ベクトルEは、散乱面に対して垂直な u偏光成分と、
平行な π偏光成分とに分解して、
5.3.3 実験手 1国
以下の手順に従い、入射 X線の波長をO.
l4nmから O.
l6nmまで 0
.0025nmおきに変
えた各点で、移相子を透過する X線の偏光状態を測定した。
-38-
-39-
5章 波 長 可 変 左 右 円 偏 光 X線の生成
5章 波 長 可 変 左 右 円 偏 光 X線の生成
1
3
0
'
l
'0・
80
100
*
"
2+ s
χ
2 +E
I
(
χ
)=E~ COSχ
i
n
aEπcosos
i
n
2
χ
+
α
(,
,
*coむ +~sin2χ ーEa E"cosos
i
n
2
χ
)
I
J.
O'
I
:
l 1.
1O'
E
Vcos2χ
20
'
0
60
80
X(deg)
1
00
5三 5
σ
-π
0
(
5
4
)
とした。ここで、新たにパラメータ - A
、B、Cを次のように導入する。
o .150・
o -1.10'
d
(
5
3
)
という量に比例する。ただし、
-150・
;
,
宅
亘
A
(
5
5
)
B三 E
σE
"c
os
o
(
5
6
)
1
d
-﹂叫
勺He
2'
10
60
100
20
80
1
00
X(
de只}
(
h
)
企・
x
図5
.
4 実験結果
戸
;
; 600
I
(
χ
)
=弓旦(時+同+(1司 α
)応 百 九 i
n(
2
χ+C
)
アナライザー結品の積分反射強度を
F
,"0
Z舶の角度に対してプロットした。
勺
∞
ー
】
:
E.
200
,
乙
(
心0.
14 nm,(
b
)
0.
1425nm,(
c
)
0
.
1
4
5Onm
∞
e
)
0
.
1
5 nm,
(f)0.1525nm
(d)0.1475nm,(
戸
20
'
0
60
X(deg)
(
5
7
)
パラメーター A、B、Cを用いて、 (
5
3
)式を書き換えると、
1
6.
0
・1
7
.
0・
r
" 。
。
ー
60
出
573
σV0
800
0口。
-
'
0
一
一
一
C
X(deg)
80
A一
B
20
0
ニ
d
h
0
ー 1
000
)
f
。
=汁皇(時+母)+元旦(時-
(
g
)
と
1 n句
60
X (deg)
(
d
)
(
f
i
65432
.
0
++
40
+
(
1
ー α)E
aE"cosos
i
n
2
χ
0000000
000000
43
(
コ ヨ}yuニ-r=u-=-
伺
3
。
1
]・
o1.
1.
0・ '
"
今1
"・
川
叩
100
。
ロ
0
)
6
0000080
000000
d
zA=ヨ}rudニ-JZU三ニヨhd=ζ 試h
o -110
0
8
vA
20
E
o
e
6d
o0
j
o
(e
4
副
引♂
20
00
2100
主
"
U
300
ヨ 200
654321
三
u
00000
000000
Z
L
H
4
h
d
=
てヨ}噌乙ニ-uι=hd=--3匂-
313
V00
0 口企
~ 5
00
引
100
(
'
"
0
=
"
-
t
光成分だけを反射するような場合には、 α=0である。
さて、偏光アナライザー結品に、 (5-1)式の平面波が入射する時、積分反射強
度は、
(
c
)
三 600
, 、d ‘
叫
,,, J州
I吋n
xx
、
。旬
80
}
60
X (deg)
02
i
40
vA
20
(
5
2
)
偏光アナライサ.ー結品が理想的な場合、すなわち、ブラッグ角が 45度で、 σ偏
0
0
たときの、積分反射強度の比を G と置く 。
α=π
[偏光に対する積分反身想主度]
σ
[偏加と対する積分闘す強度]
1
t
100
u
ー
=
。
l
M
6d
O ('hu
~ 200
¥00
-02
1
.
)
.
0・
JOO
80
roo
1
3.
0・
0Da
A
王 '"0
・
FMU=ニ
d
4L
ud戎ロ u-z - 3u
-
ロ
初
500
65432
o -12.0・
0000000
000000
・ ・
2
回目)
600
(
5
1
)
ここで、偏光アナライザー結品に σ偏光が入射したときと、 π偏光が入射し
4
20
100
X (deg)
~
khw
1
0
.
0
(
a
)
t
"
=
-
E
・
。
と表される。
0
'
h
u
h
w
-zmd
h
d
一
三
崎
町
Z
u
d
=ニ 古 ︼
ぜ
川
0
60
o .90'
o .110・ a ・11.5・
4
e
e
t
Z
E
B
E
E
E
E
t
包)拐
1
10
20
80
654321
0 .
1
25"
ふ・ 1
0
.
・
5
.
0000000
000000
65432
0000000
000000
こ
国 UMP-コ=}抗hzz'zhdMZ-3ud'
o -10.5"
o .IIY
80
1
00
∞
となる。
次に、 正弦曲線で実験他のフィッテイングを行う。
(g)0.1550nm,(h)0.1575nm,(
;
)
0.
16 nm
(
i
)
-40-
-41
(
5
8
)
5章 波 長 可 変 左 右 円 偏 光
x
*
患の生成
5 " 波長可変左右円偏光 X線の生成
I
は)=
m1sin(2χ+町 ) + 町
(
5
9
)
ここで、 m、
, m " m 3はフイ ツティングパラメーターである。 (5-8)式と (5-9)式
を比較することにより、
号旦{母+副 =m3
で表される。
以上の手順により得られた結果を表5
.
1
1
と示す。また、各波長で得られた最も良
い円偏光度を図 5.5に示す。波長0.
14nmから 0.16nmで、円偏光度の絶対値は 0.98以
上である。
(5-10)
L
l9
c
s
e
c
)
λ(
田n
)
(
1-α)..;A2+B2= m1
(5-11)
1
1
a
n.
(5-12)
会=m2
が成 り立つ。 (5-10)(5-11)(5-12)を解くことにより、
時 =It+内乎│
(
5
1
3
)
時=元詰-陪乎!
(
5
-1
4)
∞S-I
[
181=
1
K
1+α)m1cosm_
2
1
_ _
l
イ(1-α)2m1-(
1+α)2mrsin2m2j
町 n
)
λ(
PC
(町
1
4
.
0
ー
1
3
.
0
1
3
.
0
1
4
.
0
0
.
9
9
6
0
.
9
8
2
0
.
9
9
1
0
.
9
8
3
0
.
1
5
5
0
ー
1
4
.
0
ー
1
3
.
0
1
3
.
0
1
4.
5
0
.
9
8
4
0.
9
9
2
0
.
9
7
6
0
.
9
8
7
0
.
1
5
7
5
ー
1
5
.
0
1
4
.
0
1
5
.
0
0
.
9
9
6
0
.
9
8
5
0
.
9
8
5
2
2
.
5
ー
1
7
.
0
ー
1
5
.
0
1
5
.
0
1
6
.
0
1
7
.
0
2
2
.
5
0
.
8
4
7
0.
9
5
5
0
.
9
8
5
0
.
9
8
2
守
口
0
.
9
0
.
9
9
4
0
.
8
8
9
ー
1
2
.
5
ー
11
.5
1
0.
5
-9.
0
1
0
.
5
0
.
9
6
9
0
.
9
8
0
0
.
9
8
5
0
.
9
6
6
0.
9
9
9
0
.
1
4
2
5
1
3
.
0
ー
1
1
.0
-9
.
0
1
0
.
0
1
.5
1
0.
9
4
9
0
.
9
8
6
0
.
9
7
8
0
.
9
1
8
0
.
9
8
4
0
.
1
4
5
0
ー
1
3
.
0
1
2
.
0
1
3
.
0
0
.
9
7
6
0
.
9
9
0
0
.
9
9
0
0
.1
6
0
.
1
4
7
5
1
2
.
0
1
0
.
0
1
2
.
0
1
4
.
0
1
6
.
0
2
0
.
0
0
.
9
9
2
0
.
9
4
2
0
.
9
8
7
0
.
9
5
6
0
.
9
8
1
ー
0
.
8
3
4
ー
1
3
.
0
1
1
.0
0
.
9
9
5
.
0
.
9
8
6
∞
0
.
1
5
が得られる。直線偏光アナライザーによる偏光解析では、位相j
差 dの符号は判定で
Pc
0
.
1
5
2
5
0
.
1
4
0
0
(5-15)
L
I自
(
a
r
c
s田 )
∞
きない。そこで、 δの符号に関しては理論的な予測を行った。 (5-13)(5-14)(5-15)
式より、スト ークスパラメータ s。、s
、
, s
,
、 S3はそれぞれ
表 5.
1 実験{直から評価した円偏光度 Pc
S
o=1
0=E
d
+~
S =日担-1(
E
,
.
)=昼ニ豆
ー
1
0
S
2=
!
(
E
,
.
/
4
)-1
{
E
哨
L三忌E"
('n<t.
Eð+~
智 又
昆+~
(5-19)
また、 I
(E
R
)とI
(E
L
)は、電場ベクトルを右回り円偏光成分と回り円偏光成分とに分
解したときのそれぞれの成分の強度である。円偏光度 P
Cは
、
(5-20)
-42-
UG
となる。ただし、 1(
え μ)とI(E.
,
μ)は、電場ベクトルを +45度傾いた 直線偏光成分
と
、 -45度傾いた直線偏光成分とに分解したときのそれぞれの成分の強度であり、
P"、=~王
S
o
0.99
0
0
。。 。。
-0.95
10
.
9
6
0
0.98
-0.97
0.97
ロ
。
ー0
.98
口
0.96
0.95
0.14
ロ
"0
‘
ート
一
一
一
一
→
一
一
一
白
j --
﹄
一 ハ︼ ﹄ 岳 山 由 ﹄ 凶
, 一ー一一「一一一一一 =ー?2SA
ー
よ"
"
"
-smo
S=
1(
E
R
)・ I
(
Et
)
(
5
-18
)
1
.00
=u
1
0
(
5
1
7
)
時十時
EDZRN一﹄司一D L ﹄司一
,
(
5
-16
)
ロ
L一一一一一一L
0.145
0.
15
0.155
Wavelength(nm)
図5
.
5 各波長で得られた最も良い円偏光度
0は右回 り円偏光、口 は左回 り円偏光に対応する
-43・
5
:
<
< 託宣長可変左右円偏光 X線の生成
5章 波 長 可 変 左 右 円 偏 光 X線の生成
5.5 結 論
-SELF
一刀
-自ら
Eos
d
﹄
j
一∞
a-
&一九
S
一
O
-nu
nu
a
u
l
。
c
)
O
C
AU
&
(
薄い平行平板の完全結品をブラツグ配置に置く裂の X線移相子は、入射角のプ
ラツグ角からのずれによって、 σ、 x偏光成分間の位相差を調整することが可能で
ある。この位相差可変性は、移相子の波長可変性へと通じるもので、あり 、 X線の偏
-
は、逆格子ベクトノレ g C 0 Iにより、
(
A
3
)
光状態を保ったまま、波長をスキャンすることを可能ならしめるものである。物性
と表される。従って、 2
結晶コリメータで2
回反射されたビームの電場ベクトル
研究に応用するには、左右の円偏光を連続波長域で生成することが必要になるが、
X線移相子はこの要請に充分に応えるものである。
E,
o,
(
l
l
.
)
f
立
、
し
(d
叫
o
PFのBL-15C
で行った、移相子により左右の円偏光を生成する実験では、波長
)=
O.
l4nmから O.
l6nmで、円偏光度の絶対値が0
.
9
8以上の右回り ・左回り円偏光が生
成され、 X線移相子の波長可変性が実証された。ただし、波長を変える時に、光学
系の再調整に若干手聞がかかったが、この点は今後の改良を要するところである。
位相差可変性、波長可変性といった種々の利点を有する、 X線移相子を用いた備
光光学系は、将来的に、磁気散乱や磁気吸収等の、散乱娠幅が入射ビームの偏光状
態に依存する現象のスベクトロスコピ ーに、威力を発揮するものと期待される。
本節では、 X線移相子に入射するビームは平面波であると近似した。図5.
2の光
学系では、シンクロトロン放射光を、 2
結品モノクロメ ーターで分光し、 2結品コリ
メーターで垂直方向の平行性を良くした後(垂直方向の発散角が数秒程度)、さらに
45度傾いた 2結晶ポラライザーで水平方向の発散角を数秒程度にしている。従っ
て、この平面波近似は妥当である。
結晶は完全であり
VLll(8col)o)
0
ç~_ ∞ll(e∞1) JEj(t.)
(
A
4
)
となる。ただし、ここでし∞1
1
0とし∞1
1
2
Xはそれぞれ、コリメーター第1
結晶にお
ける、 σ偏光と π偏光に対する複素反射係数であり、1;h∞Jと1;h-co',"はそれぞ
結品における σ偏光と π偏光に対する復素反射係数である。
れ、第2
求める。ポラライザー結晶の逆格子ベクトル g D 0 Iは水平面に対して45度傾いてい
るために (
2結晶ポラライザー及び移相子では逆格子ベクトルは鉛直面内にある)、
,
)
の2結晶ポラライザーへの入射角
若干取り扱いが複雑になる。まず、 E ,o'(t
θ 0 0,
I
立
、
e
自由 1
(
1
'
.
)= Rno1 _ __gpol' 1
'
.
I
g
p
o
l
l~J
t^" ~ - ,
-U j.^J1
Se
B
p
o
l
しかし、 X線桝目子を透過するビームの偏光状態を厳密に計算するためには、各
結晶での反射のコンポルーシヨンを行う必要がある。ここでは、そのための計算式
;?出する。軸にあたり
H
次に、 2結品ポラライザーで2回反射されたビームの電場ベクトルに対する表式を
: 光学系の偏光特性
補足
o
ç~_ ∞品01')
歪みや欠陥等は全くないと仮定す
(
A
5
)
∞
となる。従って、 2
結晶ポラライザーで2
回反射されたビームの電場ベクトノレ
Eoo'(t
,
)
は
、
入射ビームの中心が、 2
結晶コリメータ一、 2
結晶ポラライザーでブラッグ条件を
丁度満たすと仮定する。ビームの中心の波数ベクトルを k ,とすると、それから僅
:!と異なる方向を向くビームの波数ベクトル k, は
kl=kl+t
.
¥
と表される。
O
EElt'''J
1hl
、
)
卜日
AU
J小
E
)
(AU
E
(=
PFのBし 15C
の入射X線は、水平方向に偏った直線偏光であるから、入射X線の
電場ベクトル E ;(t,)は、水平成分と鉛直成分とに分けて舎くと、
2
¥
0
.1C
(~
¥
IR(450)Ecol(1'.)
ç~_ 凹I(e 凹1) J
司
(
A
6
)
移相子を透過するビームの電場ベクトルを求める。移相子の逆格子ベクトノレを
。
g0
'とし、プラツグ角からのずれをt, 8とすると、 E0
0
'(企)の移相子への入射角
0
(
A
2
)
となる。また 2
結晶コリメーターに入射するビームが回折裕子面となす角
0
となる。ただし、 Rは回転行列を表し、 c
h
_
p
o
1
o、1;h
o
o
l~は、それぞれ、ポラライ
ザー結晶での u偏光と π偏光に対する復素反射係数である。ポラライザーが理想的
寺
)
、 l
;h
_
D
0
1:'lはゼロになる。
な場合(フゃラッグ角が何度の H
(
A
l
)
-44-
(ç~ 凹I(e戸d
E
p
ol
(
t
.
)=R(450
)¥ _.r-~, r-"
ずれを表すベクトルはよ
,
(
t
,
, 68)は
、
8町(ム t
.e)=e
:
.
eBo
r+t
e
r" .
~r'
--
gpr' 1
'
.
COSeBprlgp~
C0 I
-45-
k
l
(
A
7
)
5章波長可変左右円偏光 X線の生成
6. 左右円偏光 X線の高速スイッチング
となる。 この時、移相子の透過波の電場ベクトノレ Ep ,
(
L
l
,
L
le)は
、
(
ç~ _
,,(9,
)
0
I
^
π
I
E
p
o1(O)
¥
0
C
h_
p
r
(
9
p
r
)J
0
E
p
,
(
ム o9)=
6章
¥
高速スイ ッチング 6)
(
A
8
)
となる。ただし、?;h-pr0 と し Jはそれぞれ、移相子での σ偏光と π偏光に対する
複素透過係数である 。
以上で、移相子を透過するビームの電場ベクトノレ E p ,(企,Lle)に対する表式 (A
8
)が得られたわけであるが、これは企によって異なる値を持つ。言い替えると、光
学系に入射するビームの波数ベクトノレが僅かな拡がりを持つために、移相子を透過
するビームの偏光状態もある程度の拡がりを持つ。しかし、初めに述べたように、
この拡がりは、ほとんど無視できるほど小さいと見なすことができる。-
左右円偏光 X線の
6.1 緒論
可視・真空紫外の波長域では、円偏光の生成 ・検出に直線偏光子と 1
/
4波長板と
/
4波長板の速い(屈折率が小
を組み合せた円偏光子を用いる。円偏光子の左右は、 1
さい)軸と、遅い(屈折率が大きい)軸を交互に入れ換えることによって切り替えら
い左右の円偏光を生成する上で母も重要な条件は、 2結晶ポラライザーで完全に近
い直線偏光を生成することであることがわかる。この条件は、ブラッグ角が4
5度に
)雲母や水晶等の 1
/
4波長板を機械的に回転
れる。そのような円偏光変調素子には、 i
するもの、 i
i
)ポツケルス・セルに交流電圧を印加するもの、 i
i
i
)復屈折を利用した
歪み波長板等があり、 i) ではO~数百 Hz 、 ii) ではO~IMHz、 íii) では数KHz~数十
KHzの変調周波数が得られる 169) これらの円偏光変調素子は、円偏光変調分光
5度から少し離れる波長
近くなる波長では容易に実現できるし、またブラッグ角由主4
法に利用される。円偏光変調分光法とは、右回り円偏光 (RHC)と左回り円偏光
では、 2結晶を平行配置から僅かにずらすことで対応することができる(ただしこの
(
LHC)を交互に試料に入射させてスベクトルの微分形を観測することにより、小
さなスペクトル構造を著しく強調しパックグランドを除去するという測定方法であ
り、国体光物性の研究などに幅広く利用されている 170-176) 。
(A-8)式より、移相子を透過するビームの偏光状態を計算すると、純粋状態に近
待と比較して数分
場合、ポラライザーで2回反射されたビームの強度は平行配置の l
の1
以下にな ってしまう)。
最後に、偏光アナライザー結晶による回折波の電場ベクトル E を求める。偏光
アナライザー結晶が (x,
q
;
)の角度位置にあるとする。その時、 E
:(a,ao,xJ)
は
、
A
)
n
u
a
DA
(AU
)ん
ι
n
γ
(
R
d
hEEl'12EF'
π
n
、
v
r
円υ
、
,
、 )
AV
O A(
)
RVLU
A
ψ
(
A
d
)
、
v
'
f'11111t‘
t
(γん
R
=
γん
)
Aωr
ハ
U
A
A
(
A
E
となる。ただし、~ h-A
(
A
9
)
硬 X線領域で左右円偏光を入射ビームとして用いる実験では、 RHCとLHCを試
料に入射させた時に得られるそれぞれの反射 ・吸収スベクトルの僅かな差を問題に
.
n
空紫外と同様に円偏光変調分光法
する場合が多い。そのような測定では、可視
が有効である。円偏光変調分光法を硬 X総領域にまで=拡張するためには、円偏光の
左右を高速に切り替えられるテ、パイス(円偏光変調デ‘パイス)を開発する必要があ
)持入型光源を用いる方法、 i
i)X線移相子を用いる方法の2つが提案さ
り、現在、 1
れている。
と し Jはそれぞれ、偏光アナライザー結晶における、 σ
挿入型光源は、(陽)電子ストレ ージリング、の直線部分に多数の磁石を極性を交互
偏光と π偏光に対する被素反射係数である。アナライザー結品が理想的な場合(フー
5度の I
時)には、 Sh.pr はゼロになる。
ーッグ角が 4
に変えて配列して(陽)電子を蛇行させ、そこからの放射光を利用する。挿入型光源
0
l
f
1に関する回折強度曲線
実際の偏光解析測定では、偏光アナライザー結晶の φ取
R(φ)を測定し、積分反射強度I
を求めている。 これらは、それぞれ、
品
JVH
什
4
勾
・AV
Vん
A
aハり
a
(
R
'kト
r E
t
'
,
tJ
一
)
A
V
(A-IO)
は、放射光の光源分野において大きな潮流を形成しており、 SPring8(日本)、
APS(アメリカ)、 ESRF(ヨーロッパ)等の挿入型光源を主力とする第3
世代リングが
目下建設中である。 X線領域で円偏光を生成する挿入型光源には、格円ウィグラー
(E
I
li
p
t
i
c
a
l Wiggler)156-1 59) 、非対称ウイグラー(AsymmetricWiggl巴r
)17 7- 18
2)、交差型アンジユレーター (
Crossed Undulator)18)- 186)等の種類がある。
1988年、筑波の高エネルギ一物理学研究所にある TRISTAN-AR(8GeV蓄積リン
グ〕の BL-NElの楕円マルチポールウィグラー (EMPW)が世界で最初に楕円偏光 X
u
A
中
パ
・
今,ゐ
品
,
Vん
e
e
d
JURH7
AV
AU
A
A
A
'ト山'
,ea--aa--z-EE'
rillJ
線の発生に成功したのに引続き、 1989年にはドイツの DORISでも非対称ウィグ
(
A
l
l
)
ラーによって同様の放射光が得られているが、現時点(1992年)で稼働しているのは
この2機のみであり、他の方式の挿入型光源は未だ検討中もしくは建設中の段階で
ある。これらの押入型光源を円偏光変調の観点から!挑めると、まず橋円ウィグラー
で与えられる 。
では、磁石列の空間的な配置を変える必要があるため、期待できる変調周波数は
1Hz
程度である。永久磁石に代えて電磁石を利用するという案も提出されている
-4
7
6章左右円偏光
x
*
患の高速スイッチング
6章左右円偏光X線の高速スイッチ ング
が、実用化されていない。次に非対称ウィグラーでは、観測角を変える必要がある
程度である。偏光変調に最適 とされてい
ため、やはり期待できる変調周波数は 1Hz
程度の変調周波数が見込まれて いる
るのが交差型アンジュレーターであり、 1KHz
が、まだ実用化されていない。総じてこれらの挿入型光源には、高輝度の楕円偏光
が得られるという長所はあるが、円偏光度が良くないこと、後置光学系 による偏光
解消効果を受けること、偏光変調を行うときにス トレージリング内を周囲している
荷電粒子の軌道を乱す危険性があること等、今後解決すべきいくつかの間題点を抱
えている。
一方
、 X線移相子を用いた偏光光学系では円偏光変調を容易に行 うことができる
だけでなく、安定した偏光ビームを供給することができる。ブラッグ配置の平行平
板結晶における動力学的回折では、結品内での透過波方向の部分波の波数ベクトル
は σ偏光と π偏光で異なり 、その大小関係はブラ ツグ角の高角側と低角側で逆転す
る。すなわち、結晶内で σとπ偏光成分聞に生じる位相差 δ内の符号は、ブラ ッグ
角の高角側と低角側で反転する。通常、プラツグ角 をはさん引まぽ対称な角度位置
に、位ヰ目差 d。
が πf
2、
ー πf
2となる 2点が存在する。図 3
.
3を見ると 、この2点の角度
図6
.
1 移相子振動台
A 移相子結晶ホルダー、
B:ピヱゾ素子
間隔は数秒から数十秒程度である。 したがって、移相子をこの2点聞で振動させる
ことにより、円偏光変調を行うこ とができる。
i
.
.
.
¥
(
y
c
i
d
)
本研究では、 X線移中目二子 により円偏光変調を行うことを試みた。ま ず初めにピエ
ゾ素子を用いた移相子振動台を作製し、 その動作チェックを行った。次 に
、 左右円
#
i
r
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'
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3
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i
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I
偏光を交番的に生成する実験を、 PFのBL-15Cで行い、変調周波数1O~100Hzを達
i
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6
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i田
成した。
i
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出包牛、,)
~,ロ必G_l.co&:._tに
6.2 移相子振動台
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立
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甘 O"
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ロ
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x
:
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I
)
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寸"
'
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l
J
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"
'1
d加 申 h
.
'
)
0
6.2.
1 移相子振動台の機構
l
or
(i
C
(
);
iぐw2旧 )
と
(
k
!
lh
i
:
(
)!
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.
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(血 中 川 )
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b問 え よ l
l
l
or
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j
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(
}
J刷 l
:
i
+
+
)
:
'
:
:
:
血 中h
J
)
:
)
句
.
1
1
乙示す。移相子振動台は、 2
個のステンレススチール製のフボ
移中日子振動台を図 6
ロックと、それらを結合するリン青銅の板ノ fネ、およびサンプルホルダーとから構
1
で手前のブロックはネジで底板に固定されており、もう一方
成されている。図 6.
Phy
si
k1
ns
trumente社製 P
8
4
0.
30
)で抑すことによ って移
のブロックをピエゾ素子 (
相子の角度を翻整する。ピエゾ素子は 1
2ビ、ツト D/
Aコンパー ター (CONTEC
製
DA12-4D(98))の出力 i
l
i圧をピエゾドライパー (PhysikInstrument
巴製 P
8
6
3
)で 1
0
倍
に増幅した信号で駆動する。
i
d白 出 申 。i
d
)
do\!~ch .;'l}
l
o
r
(
同 ;
i
<
'
<
'
2旧 )
i
I
(
'
:
o
b
n
i:
Q!cO)凶 c
:
(
c
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.
c
)
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i
n
¥ c
h
0'判
r
?
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:
F
・
/
DA
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(
)RT+
O1
,
O
xO
)
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マφ A.t>O?T.
,
.
.
o
.
.
.
J
.
O
xO
)
:
(or(c lÞc{},clK~:::.à-+-+)
Î D~{λp。ミ.T R王S IT" I
do叫止0>&∞):
山中φ A..ÞQRT~...1.Ox 3):
rT:<
甘w_工ZAllON・
/
r?~旦 AYQN・/
l
図6
.
2
ピ工、ノ素子への信号出力用プログラムのソースリスト
E
gh
周期的台形電圧信号をピエゾ素子に出力すると、移相子を台形信号の"戸山
L巴引
v
四
悦叫 巴
A(B) 台形の駆動波形における "LowL
e
v
e
l
"
(
"
H
i
g
hL
e
v
e
l
"
)の電圧に対応する数値
時間
W1 :A、Bに対応する電圧 を出力する i
角度を、それぞれ RHCとLHCの生成条件を満たすように設定すれば、円偏光変調
が可能になる。
ND :Aから B(Bから A)に昇る (降りる)時のステップ数
2
W2 :AB聞を昇り降りする l
侍の待ち時間
1
1圧信号をつくるためのプログラムのソース・リストを図
ヒ。エソ。素子に出力する 1
問。
ω
素子山する駆動波形は以下の蜘パラメータによって決ま
I
J綿し、移相子振動台を駆
ピエゾ素子はA、Bに対応する電圧によって周期的にイE
比は、駆動パルスの一周期に占める "Hi
ghLev
el
"
と"
LowLevel"の合計
動する 。 Duty
-48-
-49-
6章 左 右 円 偏 光
x
uの高速スイッチング
6章 左 右 円 偏 光 X線の高速スイッチング
出カ時間の割合で定義され、Duty比が高いほど円偏光変調の効率は良くなる。
図6
.
2のプログラムを実行したときの、電圧信号の周波数f
は 、 白Uの処理スピー
ドに依存する。 CPUにPC-9801RXを使用したときには周波数 f
は次式で与えられ
る
。
I
/
f=0
.
0
1
1
4xNDxWI+0
.
0
1
1
3xW2+0
.
0
9
2xND
化するため、 r
i
p
p
l
eの振幅は数秒以内に抑える必要がある。なお、 100Hz
以下の周
波数では、ピエゾに出力する電圧波形と、振動台の振動波形との聞に位相差はほと
んど見られなかった。
(
6
1
)
6.2.2 移相子娠動台の動作特性
【
準静的動作特性]
ピエゾ素子に与える電圧と移相子の回転角の関係をオートコリメーターで測定し
.3に示す。図 6
.3には、ピエゾ出力電圧を徐々に上げていった場合と、
た結果を図 6
下げていった場合の両方についての測定結果が示されており、ピエゾ特有のヒステ
リシスが見られる。 20~80Vの線形な部分では、移相子の回転角は、電庄上昇時で
1
6
.
7
秒/
lOV、電圧下降時で 1
5
.
7
秒/
10Vである。
up
•
ペ
f
¥
;
図6
.
4 移相子振動台の短動特性を評価するための測定系
down
0
250
阻
0
0
・
0
0
0
・
/
7
・
0
・
/
0
・,
・・,
0
・
・
・
0
0
a
,
/i0
/0
/0
0
・
・
・
・
0
・
・
0
0
よ
n
v
unuu
︽川
│
﹁lILI--L 川 .
nHU
HOZぐ
n u mコ
つMY41
(UU同uhZ)
同
、
n
・
250
Oscilloscope
200
,
j 150
1 01
1 1
>1
1ミ
'/} Il~1
・ 11111" .1.,
。
、
1
,
,
11
1
1
1
1 0
1
1'
1
1
1
)
0 r
'
i
"
官
、
:
.
11
1I
,1> 11、
I'
1l
!I
、
、1) ;0 I IIh .
1
1
¥1
100
50
02040608010JO
PIEZO VOLT(V)
1
、
!
If,11 Of、、
,
、1)叫 I r
l(
Jm :
¥
I
I
¥
l
,
,.引 )
11 [
)-=UJ
'Dcl(N) ISllh/1
1
¥I
,
、
f州 1
1
1, 1 ) υ
、J) ~O I 1
1
1,
;
.
11
¥
1
、
図 6.
3 ピエゾ素子への出力信号と移相子の回転角との関係
【
振動特性]
ピエゾに出力する台形電圧信号の形は、 5個のパラメーター A、B、 W1、 W2
NDによって決定される。高変調周波数、高Duty
比を実現するためには、これらの
パラメーターを適切に設定することが必要である。
1 -'(1、~llll
D=Ol
.
.
:
D
=
x
(
) I号川、1t1
1
¥
1
図6
.
5 伝動波形の観察結果
次に図 6
.
6の光学系により、 r
i
p
pl
eを小さくする駆動パラメーターの探索を行っ
.4の測定系 l
とより振動パラメーターの探索を行った。この測定系
まず初めに図 6
では、 PC-9801RXからピエゾ素子に台形の周期的電圧信号を出力し、振動の様子
α 特性 X線(波長 0.
154nm)を
、 平行配置(
1
10
)
た。封入管球 X線発生装置からのCuK
A)で検出する。センサからの出力電流は
をリニア近接センサ (Omron製 E2CA-X5
アンプ (Omron製 E2CA-AN4E)で増幅し、さらに 2KQの抵抗により電圧信号とし
シリコンの 2
2
0
反射により単色 ・平行化した後、シリコン (
1
1
0
)ウェファに入射させ
る。シリコンウエファは振動台のホルダー上に固定されており、移相子振動台は精
てオシロスコープ上で観察する。結果を図 6
.5日す。これを見ると、振動波形の
p
p
l巴が現れている。偏光状態は移相子の角度によって変
山'と“谷"の部分に n
密ゴニオメーターの上に取り付けられている。ウェファを静止させた状態で220
反
.
8秒であった。次に、振動
射の回折強度曲線を測定したところ、その半値幅は約5
台でウェファを振動させながら回折強度曲線を測定した。このi
待、ピエゾ素子に出
-50-
-5
1-
6章左右円偏光 X線の高速スイッチング
6:
0
: 左右円偏光 X線の高速スイッチング
カする電圧と同期したゲート信号をスケーラーに送り、移相子が "HighL
e
v
e
l
"に対
応した位置にあるときのシグナノレと、"LowL
e
v
e
l
"f
と対応した位置にあるときのシ
RHC
グPナルとを同時に分縦して計測した。その結果、 0~100Hzでウエファを振動させ
た時の回折強度曲線の半値幅の広がりは、最大でも約1.5
秒程度であった。振動周
LHC
波数f
が低い時には、 D
uty
比が振動波形の形状の主な決定要因であり、 NDは比較
y
的大きな選択の自由度を有しているが、振動周波数が高くなるにつれて、 Dut
GATEl
比
、 NDともに波形の良否を決定する主要因となり、パラメーター選択の自由度は
1
央くなる。
GAT
主2
N・凶ト︿0
7凶↑︿O
O.154nm
NaIs
i
g
n
a
l
叫
I
Cs
i
g
n
S
i
(
2
2
0
)
図6
.
6
接動パラメータ ー探索のための光学系
6.3 円偏光変調のためのタイミング・チャー卜
円偏光変調を行う時に、ピエゾ素子に出力する電圧信号と、 2台のスケーラーに
加えるゲート信号のタイミング・チャートを図 6
.
7に示す。図 6.
7では、ピエゾ素子
図6
.
7
円偏光変調のためのタイミングチャー 卜
RHC、 LHCと周期したゲート信号をスケーラー/タイマーに出力する.
6.4 実験
に出力する台形の周期的電圧信号の "HighL
e
v
e
l
'では右回り円偏光、 "LowLevel"で
は左回り円偏光が生成される。また、 l台目のスケーラーにはピエゾ出力電圧が
6.
4.1 実験配置
'LowLev
巴1
"の時だけゲート信号が加えられ、 2台目のスケーラーにはピエゾ出力電
圧が官 ighLevel
"
の時だけゲート信号が加えられる。こうして、 1台自のスケ ーラー
X線移相子により左右円偏光を交互に生成する実験を PFのBし 15C
で行った。実
台自のスケーラーは右回り円偏光
は左回り円偏光入射のときだけ X線を計測し、 2
入射のときだけ X線を計測する。
験配置を図 6
.
8に示す。光学系は基本的には、 5主主の図 5
.
2に示したものと同じであ
(注)図 6.
7
では、ヒ・
エゾ出力電圧が"LowLevel"の時に GATEl の信号を、
"Hi~h Level"
の時に GATE2の信号を出力しているが、これは、移相子振動台がピエヅ出力電圧
に対して返れることなく綴動している場合についてだけ正しい・ 6.
2
.
2
節の『移相子
る。相違点は、今の場合移相子が振動台の上に固定されていることである。
ベンディングマグ、ネットからの白色光は、平行配置シリコン(11
1
)の2結晶どーム
l463nmに単色化され、実験ステーション内に入
ラインモノクロメーターで波長O.
射する。入射ビームは第 1
イオンチエンパ - Aを通過し、 2結晶コリメーター Bに入
振動台の動作特性』 で述べたように、伝動周波数がO~l∞Hzの時は、この場合に当
射する。 2結晶コリメータ - Bは、シリコンの(11
0
)面が結晶表面に対して平行な第
たる.しかし、振動周波数がさらに高くなると娠動の位相返れが無視できなくなる
ため、ゲート信号をかけるタイミングを補正する必要性が生じる.
1
結晶と、(11
0
)面が結晶表面より 1
4
.
6度傾いている第2
結晶とからなる。コリメー
ターの2
結晶は平行配位で 2
2
0反射を与える。コリメーターにより、ビームの垂直方
秒程度になり、同時にビームの大きさは垂直方向に拡大する。コリ
向の発散角は 1
メータで2回反射されたビームは、強度モニタ一周の第2イオンチェンパー Cを通過
し
、 4象限スリット Dでビーム径を O.
5m m工0.5mmに絞られた後、 2
結晶偏光子Eに入
射する。 2
結品偏光子にはシリコン(111)結晶の 333反射を用いている。偏光子に
ー
52-
-53-
6章 左 右 円 偏 光 X線の高速スイッチング
6章 左 右 円 偏 光 X線の高速スイッチング
よってピームの偏光面は、上涜から見て時計回りに4
5度回転する。このビームが移
i
n
c
h、N型
、
相子Fに入射する。移相子Fは、チョクラルスキー法で育成した直径3
0
.
6
-1
.2Qcm
、厚さ 400μmの両面鏡面シリコン (
1
1
0
)ウェファーの中心の直径 15mm
φの領域を化学エッチングで 62μmの薄さにしたものであり、 2
2
0
反射を生じる角
度の近くに調整されている。移相子結晶 Fは振動台の上に少量のビーズワックスで
取り付けられており、さらに振動台は精密ゴニオメーター上に固定されている。移
相子Fの透過波の偏光状態は、シリコン (
11)結品 Gの3
3
3反射を用いて解析した。
そこで、移相子を振動させながら 2
2
0
反射の回折強度曲線を測定した。この時、
図6
.
7の測定系を用いると
ι、"
凹
H唱
l
g
凶h
Lev
巴1
"と"
LowLev
巴
e
l
線が得られる。この2
つの回折強度曲線のピークの角度位置の差から、移相子の振
動の振幅を知ることができるので、この差が2
6
秒になるまで "Hi
g
hL
e
v
e
l
"と"Low
つの回折強度曲線の形を、移相子を静止させて
L
e
v
e
l
"の調整を行う。また、この2
測定した回折強度曲線の形と比較することにより、リップルの大きさを判断するこ
とができる。実験では、半値幅の拡がりが1.5
秒以下であることを基準として、駆
動パラメーターの選択を行った。
【
手順 2】移相子の透過波の偏光解析
移相子を振動させながら、透過 X線の偏光状態を測定する。偏光測定は、 x軸の
角度を0
度から 1
0
0度まで 1
0
度おきに変えた各点で、アナライザー結晶の3
3
3反射の
φ紬に関する積分反射強度を測定することにより行う。この時、図 6
.
7の測定系に
1
3秒にある時と 68=+13
秒にあるときのシグ、ナルを同時に
より、移相子が 68=
分離して計測した
6.
5 実験結果
測定結果の一例を図 6
.
9
1こ示す。 ・は移相子が 68=ー1
3秒にある時の実験値であ
秒の I
時の実験値である。実線は、実験値を
り、口は 68=+13
I
(
χ
)=
f
f
i
ls
i
n
(
2
χ
+
m
2
)
+口ち
図6
.
8 実験配置
A:イオンチェンパー‘ B:2
結晶コリメーター(対称ー非対称 Si220反射) .
J :Nalシンチレーシヨンカウンタ ー (
積分反射強度測定用)
以下の手I
J
頂に従って、左右円偏光生成条件を満足する入射条件の聞で移相子を振
動させながら、偏光解析を行った。偏光解析は、変調周波数 1
0、2
0、3
0、4
0、
6
0、旬、 1
0
0
H
zの場合について行った。
Eu-ロ 阿 古u
-司﹄国uE
H
6.4.2 実験手l
煩
-= ・国)閉山
一
一回
0:スリッ卜 (
0
. 5mmXO.5mm)、
E:2結晶偏光子 (
Si333反射)、 F:移相子 (
Si220前方回折、厚さ 64μm)、
G アナライザー結晶 (
Si333反射)、
H :N a1シンチレーシヨンカウンター (移相子結品角度モニター用)、
C イオンチエンバ一、
という正弦曲線でフイツテイングしたものである。ここで、 m 1、 m2' m3は
.
9で
、 6θ=ー1
3秒の時の方が 68
フイツティング ・パラメーターである。図 6
=+13秒の時よりも積分反射強度が大きいのは、ボルマン効果による。
[
手順 l】 ピエゾ出力電圧の司自主主
2
0
今の実験条件では、左右円偏光 X線を交番的に生成するために、移相子を 68
=-13
秒と 68=+13
秒の問で振動させることが必要である。そのためにはピエゾ
素子に出力する周期的台形電圧信号の "
H
i
g
hL
e
v
el
"
と"
LowL巴v
el
"
を適切に設定し
て、振動波形中にリップノレが現れないようにする必要がある。
-5
4-
4
0
6
0
χ(d
e
g)
8
0
図 6.
9 実験結果の例
変調周波数 100H z
。・は移相子力f.
t
.(}=ー 13秒の時の実験値、口は
.
t
.(}=+13秒の時の実験値。実線は正弦曲線によるフィツティングカーブ。
ー
5
5・
71
宜偏光状態の完全決定
6章左右円偏光X線の高速スイッチング
S
l
0
.990
0
.
0
7
0
0
.
9
9
5
0.
132
0
.
0
4
8
0.
9
90
0
.
0
5
7
0
.
0
6
2
ー
0
.
9
9
6
0
.
1
4
8
0
.
01
8
0.
989
0
.
0
8
0
0
.
1
0
7
ー
0
.
9
9
1
0.
12
1
0
.
0
2
9
0
.992
ー
0
.
0
7
8
0
.
0
9
2
ー
0
.
9
9
2
0.
12
1
0
.
0
4
8
0.
99
1
0
.
0
4
8
ー0
.
0
6
3
0
.
0
7
1
0
.
0
5
1
0.
996
ー0
.
9
9
7
0.
156
0.
126
0
.
0
4
3
0
.
0
9
3
0.
987
0.
9
8
8
0
.
0
6
8
0
.
0
9
6
0.
993
105
0.
0
.
1
3
9
0.
98
5
0
.
0
7
0
ー
3
0
0
.
6
ー
40
0.
5
ー
1
0
0
0
.
2
ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
表6
.
1 透過ビームのストークスパラメーター
表6
.
1は、ストークスパラメーターの評価結果である。評価に当たっては、理論
的推察 l
とより、移中目子がブラツグ角の低角{則(/
'
,
.8ー
=1
3秒)にある時は d。キπ(
2
で
あり、高角側(/',.8=+13秒)にある時は δ。
=
干 π(2あると仮定した。表6.
1
では、 X
線の全強度を 1に規格化してストークスパラメ ーターを表示しているので、 S3は円
偏光度である。全ての場合について、円偏光度の絶対値は0.
9
8以上である。
6.
6 結論
3章と 5
章では、薄い平行平板の完全結品をフ ラッグ配置に鐙く X線移相子が、位
e
相差可変・波長可変であることが示されたが、本章ではさらに、 X線移相子により
円偏光変調が可能になることが示された。
PFのBL-15Cで行った実験では、変調周波数100Hzまで達成された。また、得ら
れたビームの円偏光度の絶対値は全て0
.
9
8以上であった。 Duty
比を見ると、 10Hz
のi
時は0
.
8と効率が良いが、 30Hzの時は0
.
6、60Hzの時は0.
4、さらに 1
0
0Hz
のi
時は
0
.
2というように、変調周波数が高くなるにつれて効率が悪くなっている。これ
は、変調周波数が高くなるにつれて、振動波形の立ち上がる(または、下がる)時間
が短くなり過振動を起こすためである。ピエゾ素子を用いた振動台では、これ以
上、変調周波数と Duty比を高くするのは困難であろう。しかし、さしあたって、
円偏光変調を利用する実験では変調周波数は30Hz
程度あれば十分である。
可視 ・真空紫外の円偏光変調分光法では、入射光の強度が左右円偏光を切り替え
ても 一定に保たれるために、パックグランドの除去およびスベクトルの微分形の観
測が可能になる。これに対して、 X線移相子を用いる方法には、左右円偏光で強度
が異なるという問題点がある。この点は、移相子からの X線強度をイオンチェン
パ一等によりモニターし、試料からの散乱 X線・電子 ・蛍光 X線等のシグ、ナルを規
格化することにより、避けることができる。
-56-
偏光状態の完全決定 5)
S
3
0.
013
0
.
6
5
0.
4
S2
142
0.
20
0.
4
0
.
2
S
l
0
.
9
8
6
15
8
0.
0
.
8
60
80
S
3
S2
0
.
0
5
4
1
0
50
7章
L
'
.9=+13"
L
'
.9=-13"
F
r
e
q
u
巴n
c
y Duty
R
a
t
i
o
(
H
z
)
7.
1 緒論
今日まで、硬 X線領域での偏光解析は、直線検光子により行われてきた。直線検
光子としては、 4
5度のブラッグ反射を利用するものが一般的に利用されるが、利用
できる物質と反射面に限りがあるために、プラツグP条件2
d
s
i
n
4
50 =λ(dは反射面
の間稿、 Aは波長)が成り立つ波長でしか使用することができない。それに対して
最近、波長可変な直線検光子が提案され、連続波長域で精密な偏光解析測定が行え
るようになった。可視領域では、移相子と直線検光子を組み合せることにより、偏
光状態の完全決定が行われるが、その原理を応用すれば、 X線領域で・も偏光状態の
完全決定を行えるはずである。
最近、楕円偏光 X線を生成する新しいタイプの挿入型光源が種々提案され、世界
各地で建設されている。筑波の高エネルギ一物理学研究所にある TRI
STAN-ARの
BL-NElの楕円マルチポールウィグラ ー(
EMPW)
は
、 1
9
8
8年世界に先駆けて高知i
度
楕円偏光 X線の発生に成功した。現在、この挿入型光源からの精円偏光 X線を用い
て、磁気散乱や磁気吸収等の研究が精力的に進められている。これらの研究では、
入射ビームの円偏光度が最重要なパラメ ーターである。しかしこれまで・のところ、
楕円マルチポールウィグラ ーからの放射光の円偏光度は、磁気コンプトン散乱の実
験データから間接的に見積もられているだけである。磁気フ・ラッグ散乱のように、
微分散乱断面積が入射ビームの偏光状態に依存する(偏光選移行列の非対角成分が
ゼロで:
ない)場合には、入射ビ ームの偏光状態についてさらに詳しく知ることが必
要である。
そこで、本研究では、 X線移相子と直線検光子を組み合せて用いることにより、桁
円マルチポールウイグ、ラ ーからのビームの偏光状態を測定する実験を行った。その
結果、波長0
.
148
3nm(ニッケルの K吸収端近傍)
、0
.
1
6
0
8
nm(
コバルトの K吸収端近
傍)
、0
.1
76
2nm(鉄のK吸収端近傍)の3点で、挿入型光源からのビーム及びモノクロ
メーターで単色化されたビ ームの偏光状態を完全に決定することができた。
7.2 原 理
放射光で偏光状態の完全決定を行うための光学系を図7
.
1に示す。この光学系は
2
結晶モノクロメータ一、 X線移相子、直線検光子から構成されている。移相子に
よって直交偏光成分間の位相差を制御しながら直線検光子で偏光解析を行うと、述
立方程式の組が得られ、それを解くことにより全ての未知数を決定することができ
る。図 7
.
1の光学系に、 2結晶モノクロメーターを合めているのは、モノクロメー
ターでの偏光解消効果を考慮する必要があるためである。
まず初めに、平面波 X線の偏光状態が、図7.1の光学系 l
とよりどのように変化し
ていくかを考察する。光源からの光の電場ベクトルは、水平成分ES/と鉛直成分 Esよ
-57-
7f
t 偏光状態の完全決定
7章 偏 光 状 態 の 完 全 決 定
となる。ただし R
n
n
.
L
J
fと
'
f
'n
n~Jfは、 2 結品モノクロメーターと移相子から成る光学系
の複素透過率の娠幅と位相である。
Enn" と Enn~の聞の位相差 を llrm とする。完全な直線検光子を用いて、この平面波
の偏光解析を行うと、反射強度は検光子の x軸の角度に依存していて、次のように
なる。
χ
2 +Re(時, 砧E品品
F
p
o
l(
χ
)
=国
,
fs
i内 +民!
c
o
s
Uω1:
オ山山.づむ~)
s
i
μ
討
s
州
i
=
同
,
fs
i
内+民!cos 2χ+ 同J~COSt.rm 州2χ)
図7
.
1 偏光状態完全決定のための光学系
A:2結晶コリメータ一、 B:X線移相子 (2結晶コリメーターと平行配置)、
C:直線検光子 (45度のブラッグ反射を利用)、
D: NaIディテクター(移相子結品の角度モニター用)、
E: NaIディテクター(直線検光子からの積分反射強度測定用)
とに分解することができる。ただし、 E
s
f
/とE
s
iは位相も合んでおり、複素数であ
る。次に、水平回転軸の2結晶モノクロメーターを考える。モノクロメーターは完
全結晶で、対称フーラッグ反射を生じること、また、 2結晶は平行配置からオフセット
角 G だけずれていると仮定する。平面波 X線が、モノクロメ ーターにブラツグ角か
次に、光源からの光のスベクトルの広がりと角度発散の効果を考える。スペクト
ルの広がりの効果、すなわち分散は、モノクロメータ ー と移相子を平行配置 l
とする
ことによって無視することができる。以下では、この場合について考察する。角度
発散については、異なる波数ベクトルを持つ平面波は可干渉ではないので、平均操
作は電場の振幅ではなく強度について行うべきである。従って角度発散を持つビー
5
)式は、
ムに対して、(7-
叶
F
p
o
l
"と
らβずれた角度で入射する時、 2図反射された X線の電場ベクトルの水平成分Em
鉛直成分 Em
よ
は
、
(
7
6
)
に変更される。
E弘=çJ~)çJß +ωr)E~
(
7
1
)
砧=
c
π
(
s
)c
必+αr
)Et
(
7
2
)
で与えられる。ここで、 E。と!;,とは複素反射係数であり、動力学的回折理論か
ら導かれる。 σとπの添え字は偏光成分を表す。
ブラッグ配置の X線移相子の複素透過係数 Dσ(t,
y)
と D,(
t,
γ)は、入射角のブ
ラツグ角からのずれ Y と結晶の厚さ tの関数である。 Dσ(t
,
γ)とD
_(t,y)は動力学
的回折理論から導かれる。モノクロメーターと移相子のブラッグ、角からのずれは独
立に調整することができるので、 y=β +oとおくことにする。ここで、 δは移相
子の回折強度曲線から決定されるフーラッグ角からのずれである。移相子を透過した
X 線の電場ベクトルの成分Enn吃 Enn~は
臥 =DJt,s+8
)çJ~) cJs+αr)E~
=Rιex~i\jfι)E~
(
7
3
)
民 =Dπ(t,s+8
)Ç7r(~) c
π
(日+
αr
)Et
=R
点1吋帆)Et
(
7・4
)
-58-
(
7
5
)
と。と!;.,とが有意な値を持つ領域(すなわち、モノクロメーターの回折領域)
で
、 Em
/
fとE Jが β に関してゆっくりと変化する関数である場合、(76
)式は
叶
F
p
o
l
IE~F sinχ2 +
f
(
山
)
ト
ド
凶r∞
)
Ri
(
Jds
叶
(
7・7
)
となる。通常、光源からの光は無偏光成分を合んでいる。この無偏光成分は位相変
化の影響を受けないが、光学系によって強度が変化する。光源からの光の無偏光成
E
U
J
2に比例する場合に、 F(X)の最終的な表式は、
分の強度が J
-59-
7章偏光状態の完全決定
7章偏光状態の完全決定
7.4 実験
九
F
p
o
l
巾
(
X
μ
(
χ
伐
叶
高エネルギ一物理学研究所 (KEK)にある、 TRISTAN-ARのBL-NElの楕円マル
チポールウィグラー (EMPW)からの放射光の偏光状態を、波長0.1483nm(ニ ッケル
叶山叫山吋時吋叫.nοω
i
加 が
χ)
]
十
卜
卜
s
叫
ド
l608nm(コバルトのK吸収端近傍)、 O.
l762nm(鉄のK吸収端近
のK吸収端近傍)、 O.
.
3
1
と示す。楕円マノレチポールウィグラーから
傍)の3点で測定した。実験配置を図 7
1
1反射を利用した2結品モノクロメーターで単色化さ
の白色楕円偏光は、シリコン 1
=
u仰
RIQd
結晶モノクロメーターは、高調波を除去するために平行配置から5
秒ずらし
れる。 2
叶
ている。実験ステーシヨン内に入射した単色 X線は、 4象限スリットで 0.
5mm工
+附
附
叫
)
ドs
i
n
ρ2
0.5mmの大きさに絞られる。移相子には厚さ 64μmのシリコン (
1
1
1
)ウェファを用
い た 。 直 線 検 光 子 に は 、 波 長 0.1483nmの 時 に は シ リ コ ン の 333反 射 (e
B
=45.12 )、波長 0.
1608nmの時には 422反射(e
B=46
.
49 )、波長 0.1762nmの時に
は331反射(e
B=45.
00 )を利用した。実験中ウィグラーのパラメーターは垂直方
寸山巴以吋
x~i叫怜叫州山
同
)μ
d岬Pい)
0
0
0
(
7
8
)
となる 。 これが実験値と比較すべき式である。ここで /
'
;
.
sはEJとEsよとの間の位相
差である 。
向の Gapを30mm、水平方向の Gapを 130mmとし、また磁石列が空間的な位相差
π!2を生じるように両者のずれを Z=40mmlこ固定した。なお波長 0.1608nmでは、
Z=-40mm(この時、磁石列は空間的な位相差 +n!
2を生じる)の場合についても偏
光測定を行った。
まず初めに、垂直方向のスリットを、最も高い円偏光度が得られるビームの中心
に調整した。実験ステーション内に入射する X線の強度は、イオンチェンパーでモ
7.3 計 算
波長 0.1608nm、 I
Es
"l
=IE
s
'
-1、企 s=±π !2の場合(左右円偏光に対応する)につい
21
と示す。光源からの光は完全偏光であり (IEuI2=0)、2結品モ
て行った計算を図7.
1
1反射を用いると仮定した。また、 2結品モ
ノクロメーターと移相子ではシリコン 1
.
0
秒、移相子結晶の厚さは 64μmとした。 (a)
ノクロメー ターのオフセ ッ ト角 G は5
は移相子を入れない場合で
、 (b)ー(巴)は移相子を入れてオフセット角を変えた場合
ニターした。移相子のフeラッグ角からのずれは、 NaIシンチレーションカウンター
1
0
度から 1
0
0
で測定した回折強度曲線の形から求めた。偏光解析は、 x紬の角度を度まで 1
0
度おきに変えた各点で、直線検光子結晶の φ勅に関する回折強度曲線を測
定して積分反射強度を求めることによって行った。また、偏光解析は、それぞれの
波長で、移相子のブラッグ角からのずれを変えた数点について行った、
'
;
.
s
=
+
π!
2
と ths=ー π!2に対応する。 As=±π f
2に
である。実線と点線はそれぞれ、 /
対応する曲線は、 x=90
度に関して左右対称であるので、移相子を用いれば電場ベ
クトノレの回転方向を容易に判見J
I
することができる。
nununυ
54E
(
コ・
ロ
)
的U
同
=
一
吋J
引日
J
、
U︼国﹂凶U-EH
一
司
EU-c
図7
.
3 実験配置
,
、
、
。
.1
ξ ~ ::ー;;.
:}I
'
。
‘ごご.O.L:
4
5
90
1
3
5
χ(
d巴g
r
e
e
)
図7
.
2 F
(
χ
)の計算例
ー
60・
1
8
0
A:ビームライン 2結晶モノクロメーター (
S i111反射)、
B:移相子結晶(厚さ 64μm‘S i111前方回折)、
C:直線検光子(波長 O.1483nmの時 Si333反射、波長 O.1608nmの時
S i422反射、波長 O.1762nmの時 S i620反射)‘
D:Nalディテクター(移相子結晶の角度モニター用)、
E:Nalディテクター(直線検光子からの積分反射強度測定用)
-6
1・
7章 偏 光 状 態 の 完 全 決 定
7章偏光状態の完全決定
算した(7-10)式中に現れる積分の債を表 7.1に示す。
7.5 実験結果および解析
'by--
一
nunU
恥恥恥恥
4J61
O口。+
A
B
9
5
.
3
3
8
3
.
2
8
8
2
.
0
8
7
3
.
5
9
4
8
.
8
5
4
3
.
1
0
-41,5
4
3
7
.
1
8
J
R
:
Z
d
β
C
-49,9
9
5
4
.
5
0
-5
0
.
4
4
3
-39,9
1
.
3
2
1
1
'
2
0
4
1
.
12
4
1
.
0
6
8
JR
ふ.
'
d
β
0
.
7
8
5
0
.
7
3
3
0
.
6
9
7
0
.
6
7
1
JR
,
.
:
'Rムe
x
p(
i
i
f
l
.
:
"-ψ
iム)
d
β
0
'
9
8
3
e
x
p
(ー 1
'
3
8
41
)
0
'
9
2
2
e
x
p
(ー 1
'
0
8
7,
)
0
'
8
7
3
e
x
p
(ー 0
'
8
9
81
)
0
'
8
3
6
e
x
p
(-0
.
7
6
3乃
c
.
表 7.
1 実験値から求めたフィッティング・パラメーター A、
目、
及び、動力学的
回折理E
古から計算した (7-10)式中に現れる積分の値。 (波長O.1608nm)
IEs"Es~1 は (7・ 10) 式より、次のような2通りの方法で表すことができる 。
J
ハU
、
,
o
z
d
o
ω↑Z GUN-﹂︿ヲD
(コ戸川)﹀ト同町Z凶
HZHQ凶'H︿
ζJnHv
11
F4567
図7
.
41
1:.実験結果の一例を示す。点は実験値、線はフイツテイング曲線である。
(
7
1
1
a
)
(
/
E
g
/~~b =([(A-B),んー吋][(A+B)ん 1
則2])1(2
(
7
1
1
b
)
﹃
(
/
E
/
g同.
=
c
尽口o
s
sCOS(L
'
:
.r
m+L
'
:
.S
)
ただしここで、
。
。
R
c
r
o
s
sexp(
込r
m
)=
(
7
11
c
)
R
p
a
s
a
.
.
,
,
一
一σ
I
f
10 20 30 40 50 60 70 80
(
7
1
1
d
)
χ(degrees)
実験結集
-5,
-6,
-7で測定した F
(
χ
)幽線(波長0.1608nm)
移相子結晶の角度 w(J=-4,
実線は‘正弦曲線によるフィッティング・カーブ。
図7
.
4
J
u
n
p
OHr
AU
ヲ&1
R
im
︿一一
+
A
却
c
,
,
L
P
o
s
s
MMF3
官﹄
=小川州
(
7
I
O
a
)
︿
一
t
f
(
叫(附+附
)+
t
f
(
R
Mds
阿川)
)
B=
(
7
-1
1巴
)
とおいた。未知変数であ る I
E
u
l'
と6sは、束縛条件
Rc
=
t
f
(
R~ 仰+ 凶)す(f州側2+ 吋)
A
,
I
という式で表すことができる。ここで、 A、B、Cはフイツティングパラメーター
であり、
r
a
a
a
a fJ
(
7
9
)
一
一π
=A+Bcos(2χ)+Csin(2χ)
F(χ)
m
m
E
d
(
78
)式より、測定された積分反射強度は、
の下で、次の関数を最小にするように決定した。
(
7
-lOb
)
(
7
-lOc
)
E
r
r
{
同F
,
a
s
)
=
5
(
(
ド
g
/
同.(
j
E
g
/
同J
(7-12b)
このような解析手順を総て得 られた結果を表 7.2及び表 7.3に示す。またこの結果
5に示す。
を利用して描いた偏光桁円を図 7.
で与えられる。
実験データから求めたパラメータ - A、B、Cの値と、動力学的回折理論から計
-62-
(
7
1
2
a
)
-63-
7章 偏 光 状 態 の 完 全 決 定
7
f
t 偏光状態の完全決定
7.6 議論
w
│
ι
l
'
,
1
.
I
E
'
:
I
'
IE,~I'
-4
-5
-6
-7
1
9
.
8
8
1
9
.
8
8
1
9
.
8
8
1
9
.
8
8
-2.18
-2.18
-2.18
-2.18
8
9
.
2
1
8
5.
08
9
0
.
0
5
8
3
.
8
4
3
9
.
3
0
3
4
.
9
1
3
8
.
2
8
3
4
.
3
9
表7
.
2 (
7
1
0
)式から求めた、 I
E,
"
I
'とI
E
;
'
I
'の値。(波長0
.
1
6
0
8
nm)
以上の結果より、移相子と直線検光子を組み合せることによって、硬 X線領域で
偏光状態の完全決定を行えるということが示された。実験に使用した移相子は、 X
線の動力学的回折効果を利用するものであるから、入射ビームは単色・平行である
必要がある。しかしながらこの問題は、移相子と 2
結晶モノクロメーターを平行配
置にすることで解決され、任意の波長での偏光解析が可能である。
このような偏光解析法は、以下の研究に応用できるであろう。
(
a
)種々の挿入型光源の偏光特性のキャラクタリゼーシヨン
(
b
)磁気散乱や核共鳴散乱等の、散乱どームの偏光解析が必要な研究。
(c)X線天文学
5
0
5
1
5
2
5J
1
.4
8
3A
1
.608A
(z= -40)
1
.608λ
(z=40)
1
.0
0
0
.
5
2
0
.
0
3
0
.
5
6
1
.0
0
0
.
5
3
-0.11
0.
48
0.
46
0
.
0
8
-0.
43
∞
l
1
.762λ
1
.00
0
.
6
2
-0
.
0
5
0
.
5
4
e
t
c
今回の実験では、吸収の大きなシリコンを移相子として利用したので収量はさほ
ど多くないが、この点はLiF
等のような軽い物質を用いることで大幅に改善できる
であろう。
ここで示した偏光解析法は、移相子として多相肢を用いることによって、軟 X線
領域にまで拡張することができる。
実験結果から、 EMPWの偏光特性として以下のような興味深い結果が導かれ
た
。
表7
.
3 楕円マルチポールウィグラー (EMPW) からの放射光のストークス・パラメーター
(a)モノクロメーターで単色化された X線の偏光度は 0
.
5以下
。
(
b
)偏光楕円の軸は水平から少し傾いている。
(so=1に規格化した値)
(
c
)磁石列の位相を逆転しでも、
X線光子のへリシティーは完全には反転しない。
、
l曲 8A
1
.
76
2
λ
¥//
/fT¥¥
万三;;.:,;:::p~ヌミ;ざ。問
:
.
W
1
.
4
8
3
λ
/
'
'
¥
¥ 、 /
図7
.
5 精円マルチポールウィグラー
からの放射光の偏光情円
-64-
-65-
B章
8章
SRでの高錫度円偏光 xl
章生成光学系
8章
S Rでの高輝度円偏光 X線
生成光学系
SRでの高態度円偏光 X級生成光学系
回転して実効的な厚さを変えることにより、偏光状態の制御を行うことができる。
光子へリシティーのスイッチングは、移相子結品の厚さを変える、あるいは、反射
面の方位を切り替えることにより行える。ただし、前者ではビーム強度、後者では
と入射する X線が角度拡が
ビーム位置/方位が変化するという問題がある。光学系 l
りを持つ時、出射ビームは部分偏光になる。そこで平均の円偏光度を次のように定
義する。
8.1
緒論
磁気 B
r
a
g
g
/
白 mpton
散乱、磁気吸収、核共鳴散乱等の、光子スピン(角運動
量)が関与する X線の回折・散乱・吸収では、散乱断面積がトムソン散乱に比ベて
桁違いに小さいため、高輝度の X線源を必要とする。現在、最も強力な X線源は放
射光であり、実験室線源よりも 3桁以上強い高輝度 X線が得られる。また、光子ス
ピンの固有状態は RHCとLHC
であり、 RHCとLHCを入射プロープとすることによ
り、物質中の角運動量 S(スピン角連動量)、 L(軌道角運動髭)、 I(核の角運動量)に
ここで d
.e
はずれの角度であり、 R(d
.e
)とPc(企
関する知見を得ることが出来る。そこで、
f
uを図 8.
l(
b
)に示す。計算は、 20KeVのX線が
円偏光度PCの角度分布を表す。計算f
『放射光を用いて、如何にして高輝度円
偏光 X記長を生成するか?~ということが問題になる。
放射光で円偏光 X線を生成する方法には、 a)オフアクシス放射光、 b
)特殊な挿入
e
)はそれぞれ偏光の変換効率と
ブラツグーラウエで Ge(220)の対称反射を生じる場合について行った。なお、移相
./
4板)とした。この時、百 =0.98である。
子結晶(第2結品)の厚さは 180μm(J
型光源、 c)X線移相子を用いる方法等がある。これまで b)の方法が最も有望視さ
れ、世界各地で楕円マルチポールウイグラー (EMPW)や非対称ウィグラ一等の挿
P
h
3
S
Cn
C
I
:
l
r
d
c
r
(
a
)
入型光源の建設が行われてきた。ところが近年、 X線移相子研究の進展により、 c
)
0
.
5
CPX
の光学的方法が有効であることが明らかにされた。 X線移相子は結晶の配置・種
偏光 X総生成光学系の検討を行う。
d
CPX
には色々なバリエーションが考えられる。本主主では、 X線移相子を用いた高輝度円
孟急コE5
類・厚さ等により様々な特性を示すため、移相子を利用した円偏光 X線生成光学系
0
.1
8.
2 放射光での円偏光 X線生成光学系
0
.
6
0
.
5
乙偏った直線偏光であり、また、有限の角度発散を持
通常、放射光は水平面内 l
)移相子結晶の散乱面を
つ。移相子により水平偏光を円偏光に変換するためには、 i
水平面から G 度傾けて出射ビームの σ成分と π成分を等しくすること、 i
i
)移相子結
晶で d=(n=l!
2)π(nは整数)の位相差を生じさせること、の2つの条件を満たすこ
とが必要である。さらに、入射ビームの角度拡がりによる偏光解消効果を小さくす
るために、移相子結晶と平行配置のコリメーター結晶が必要になる場合もある。
図8
.l
(a)は、ブラツグーラウエ配置の円偏光 X総生成光学系で‘ある。この光学系に
より白色・水平偏光の放射光を単色化すると同時に円偏光に変換する。 2番目のラ
ウエ配置結晶内で、位相差 (
n
1!
2)π(n整数)が生成される (
2
.
5
.1B参!冊。 1
悉自のブ
ラッグ配毘結晶は、 2
回反射ビームを入射ビームと平行 l
とするためのものである。
また、 1
番目の結晶 l
と冷却機構を取り付けることにより熱負荷の問題にも対応する
結晶と第2結晶問のオフセット角調整が必
ことができる。屈折率補正のために、第1
要である。この偏光光学系は、最初 Goloychenkoらによって提案され、その後
M
i
l
l
sらが光学系最適化の検討を行った。移相子給品を逆格子ベクトルのまわりで
-66-
3
I
lC
.
:
lm D
cn
c
c
l
o
r
図8
.
1(
a
)フラッグーラウエ配置の同信光 X線生成光学系
2番目のラウエ配置結晶内で、
位相差 (
n
-1
/2)π(n 整数)が生成される (
2
.
5
.
1
8参照). 1番目のブラツグ
配置結晶により、 2回反射 ビームを入射ビームと平行にする。
(b) 計算例。 20KeVのX線が、フラッグーラウエで G e220の対称反射を
生じる場合について.移相子結晶(第 2結晶)の厚さは 180μm (λ/4
;1&)とした。
図8
.
2
(
a
)は、(+山+)配置の2結晶モノクロメーターと移相子からなる円偏光 X総
生成光学系である。最初の2結晶モノクロメーターはコリメーターとしての役割も
果たす。この光学系では X線移相子にブラッグ透過型 (
2.
42参照)または吸収が小さ
いときのラウエ透過型 (
2
.
5
.
2
A
参照)を使用する。 X記長移相子 I
とより、直線編光 X線
をRHC
または LHCに変換する。位相差は移相子結晶のブラッグ角からのずれ d
.e
によって制御することができ、広い波長領域で)./
4板として機能する。また d
.e
を
-67-
8章
S Rでの高鰻度門偏光 X線生成光学系
8章
左右円偏光生成条件を満たす2点の間で往復させることにより、光子へリシティ ー
(
3
)
(
b
)
の高速スイッチングを行える。計算例を図 8
.
2
(
b
)に示す。計算は、 20KeVの X線が
ダイヤモンドの2結晶モノクロメーターで220
反射をした後、厚さ 1
.8mmのラウエ配
0.
5
0.
4
E
苫色£国
置ダイヤモンド結晶で 220反射に伴う前方回折を生じる場合について行った。な
4
"とした。この時、百 =0,9
6である。 2結晶コリ
お、移相子結晶の角度はt:;.(
)=
﹄戸戸
メーターに非対称反射を用いて、移相子結品に入射するビームの発散角を小さ くす
れば、円偏光度を改善することが出来る。ただし、光子密度は減少する。
11
¥
・
0
.
8
u
.
¥
/
.
づ
¥!
/
。
'
>
i
・
3
.
2
.
1
0
1
"
0.
9
ー
.
1
.
0
3
図8.3 (a) 円偏光 X線生成光学系:単色・水平偏光の入射 X線は、ラウヱ配置の X線移相
2
.
5.
28参照)により左右円偏光に変換される.移相子結晶の厚さは、前方
子 (
回折のピークで位相差 (n-l/2)π(n 整数)を生じるように設計する。
(b)計算例 20KeVのX線が、厚さ 540μmのGe結品 (3λ/4板)に
入射して、対称、 220反射に伴う前方回折を生じる場合について
剖
C山
.
0
.
7
0
.
2
M(
町 田c
)
=as国2。
﹄ S'H
P
0.
5
1 ・0.6
0.
3
0
.
0
P
h
3
s
eRCI
a
.
r
d
c
r
.
#"
ーー【斗ぺ 一 一
レ乙斗一一…一一・
守
1
.......,.\コτ三 11脚~~.~P型'ム
:
'.
f
---p。
.
1
(
b
)
(
3
)
SRでの高鐸度円偏光 X線生成光学系
LIIIC司
<
ly
Ph!l句 R
t
l
J
n
l
c
r
rUL!
lf
l
l
n
l~R
。
。
1
1
0川 .
l
cCI')' ~I~1
.
3
Cfllli ",~!Ur
.
2
0.
5
3
(+、一、+)配置の 2結品 コリメーターと移相子からなる円偏光X線生成
.
4.
2あるいは 2
.
5
.
2
A
で鎗じたものを使用する。
光学系 :X線移相子には2
(b)計算例 20KeVのX線が 2結晶コリメーターで 220反射をした後、
図8
.
2(a)
厚さ 1.8mm のラウエ配置結晶で 220 反射に伴う前方自折を生じる~
合について.なお、移紹子結晶の角度は、 t
.e=
-4"とした。
入射して、対称 220反射に伴う前方回折を生じる場合について行った。この時、
P
C=0.89である。 540μmのGe結品 (3)
,/
4板)の代わりに、 180μmのGe結品 (λ/4
板)を用いると、円偏光度を犠牲にする代わりに、偏光の変換効率を向上させるこ
とができる。
水平軸 2結晶モノクロメ ーターを備えた X線ビームラインで使用可能な円偏光 X
線生成光学系を図 8.
4(a)に示す。この光学系により、単色の水平偏光 X線が円偏光
に変換される。移中目子にはブrラッグ透過型 (
2
.
4
.
2参照)または吸収が小さいときのラ
ウエ透過型 (
2
.
5
.
2
A
参照)を使用する。この光学系は、モノクロメーターからのビー
図8.
2
(
a
)の光学系の移相子には、吸収が大きい場合のラウエ透過型移相子 (
2
.
5.
2
B
ムの発散角が充分に小さく移相子結晶での偏光解消効果が抑制される場合に有効で
参照)を用いることもできる。この光学系は、図 8
.l
(a)のブラッグーラウエ配置光
あり、特にアンジユレーターのビームラインで有効である。移中目子結晶に軽くて厚
学系においてプラッグ結晶を 2結晶モノクロメーターで置き換えたものに相当す
い物質を用いると、
る。したがってプラッグーラウエ光学系と同様に波長可変ではあるが、光子へリシ
±
π /2の位相差がブナラッグ条件から数分離れたある角度で生成
(
3
)
(
b
)
ティーのスイッチングは困難である。この型の X線移相子(吸収が大きい場合のラ
ウエ透過型移相子)は、通常の水平軸2
結晶モノクロメーターを備えた X線ビームラ
インにおいても使用することができる(図 8
.
3
(
a
)
)。図 8
.
3
(
a
)の光学系により、単
コ 。﹄FF
s
a
z国
色 ・7l<平偏光の入射 X線は円偏光に変換される。移中日子結晶の厚さは、前方回折の
ピークで位相差 (n-1/
2
)
.
n(n整数)を生じるように設計する。ボルマン効果により入
射 X線の狭い発散角領域だけを切り取るので、偏光解消効果は抑制される。しかし
1
.0
.
:
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0.
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.
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c
r
れる。また、反射面の方位を切り替えることにより 、光子ヘリシティーのスイッチ
ングを行うことができる。特に結晶学的に等佃i
な面を利用すると、高速のへリシ
ティー ・スイッチングPが可能になる。さらに、移相子結晶を逆格子ベクトノレのまわ
りで回転して実効的な厚さを変えることにより、偏光制御を行うこともできる。計
f
t
lを図 8.
3(
b
)に示す。計算は、 20KeVの X線が厚さ 540μmのG巴結晶 (
3l/4板)に
算f
-68-
図8
.
4(a) 円偏光 X線生成光学系、
(b)計算例 :20KeVのX線が、厚さ 8mmのブラツグ配置のダイヤモンド結晶
に入射して、 220反射に伴う前方回折を生じる場合について。なお、結晶の
角度は、 t
.e=
ー 70"とした。
-69
.
_
i ω
0
.
1
2次元的な発散角のコリメーシヨンにより、得られる円偏光 X線の強度は弱くな
る。この光学系では透過ビームを利用するため、入射ビーム の位置と方向は保存さ
:
:
L
T
三
8章
9章 総 括
S Rでの高鐸度円偏光 X線生成光学系
されるため、入射ビームの角度発散による偏光解消効果は小さくなる。この光学系
では、入射角のプラッグ条件からのずれ/), 8により偏光の制御を行うことが出来る
ので、波長可変であり、さらに光子へリシティーの高速スイッチングも容易に行う
.
4
(
b
)に示す。計算は、 20K巴Vの X線が厚さ 8m mのブF
ことが出来る。計算例を図 8
ラッグ配置のダイヤモンド結品に入射して、 220反射に伴う前方自折を生 じる場合
について行った。なお、結晶の角度は、/), 8=ー7
0
"とした。この場合、入射ビーム
の発散角が40秒程度の時でも、円偏光度は0.
9以上で偏光変換効率は 14%になる。
入射ビームの発散角が更に小さい場合には、結晶の厚さを薄くすることにより、円
偏光度を損なうことなく、偏光変換効率を向上することが出来る。 例えば、この光
学系をアンジュレーターラインで使用すると、偏光の変換効率を90%以上にすると
.
9以上にすることができる。このように、高い円偏光
同時に円偏光度の絶対値を 0
度と偏光変換効率を誇る 、図 8.
4(a)の光学系は、放射光で円偏光 X線を生成する方
法として、最も有望である。
9章 総 括
本研究では、硬 X線の波長領域(A<O.
3nm)で利用可能な移相子の検討・開発・評
価・応用を行った。
まず初めに、動力学的回折に伴う複屈折効果を利用することにより X線移相子が得
られることを理論的に示した。そして、ラウエ配置とブラッグ配置の結晶の反射肋
透過波(前方回折波)の偏光特性について詳細に検討し、透過波の有効性を明らかにし
た
。
次に、遺邑波を利用する型の X線移相子を作成し、その性能を評価する実験を行っ
た。移相子には、ラウエとブラッグの両方の結晶配置が考えられたが、本研究では特
にブラッグ配置の移相子に注目した。厚さが数十 μ mの薄いシリコン結晶を用意し、
透過波の偏光状態を解析する実験を研究室線源を使用して行ったところ、 i
)
透過波の
偏光状態が動力学的回折理論の予測通り入射角のフ ラッグ角からのずれ/), 8に依存す
ること、また、 i
i
)あ
る
/
)
, 8で直線偏光が円偏光に変換されること、宅事が隠忍された。
こうして、薄い完全結品が動力学的回折条件下で位相差可変な X線移中目子として機能
することが実証された。
e
8.3 a
我白岡
毛話三:.6.
完全結晶における、動力学的複屈折効果を利用した X線移相子は、結晶の種類・
反射面 ・厚さ等のパラメーターによって、多様な特性を示す。したがって、放射光
で円偏光 X線を生成する光学系にも、様々なバリエーションが考えられる。本章で
考察した円偏光 X線生成光学系は、その中でも特に典型的なものである。 X線移中目
子を用いれば、実験目的に最も適合する光学系を容易に構成することができる。
図8
.
1
4に示した円偏光 X線生成光学系の中で、最も優れた特性を示すのは、図
8.
4の光学系である。この光学系は結晶配置が単純であるだけでなく、輝度・円偏
光度・偏光の制御しやすさ、といった点においても最高の性能を示す。この光学系
をアンジュレーターラインで使用すれば、挿入型光源よりも輝度が大きく、しか
も、円偏光度の良い X線ビームを得ることができる。ただし、移相子結晶に対する
制約上、有効エネルギー領域は、およそ数 KeVから 30K巴V位までである。 30K巴V
以上のエネルギー領域では、図 8
.1の光学系が最も有効である。
一般的に、結晶光学素子を利用した光学系の効率は、低エミッタンスのストレー
ジリングほど高くなる。本主主で述ベた円偏光 X線生成光学系は、現在建設中の、
ESRF(ヨーロッパ)、 APS(アメリカ)、 S
P
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g
8
(日本)といった第3世代のストレー
ジリングにおいて、ヰ寺に有効である。
X線移相子を、高輝度の直線偏光 X線が得られるシンクロトロン放射で利用する
と、偏光制御と偏光の完全決定が可能になり、磁性研究等への応用の道が拓かれる。
そこで、シンクロトロン放射で偏光制御と偏光解析を行うための、ディフラクトメー
ターの設計と測定システムの開発を行った。また、 2結品コリメーターと分離型結晶
偏光子/検光子等の開発を行い、これらの波長可変性を示した。
フ
コr トン・ファクトリー (P
めのBL-15Cfと、放射光の偏光制御を行うための光学系
.
1
4"
"
U
.
16nmで左右円偏光を生成する 実験
を組み立てた。この光学系を用いて、波長0
を行い、各波長で円偏光度の絶対値カ三0.
9
8以上の純粋状態に近い左右円偏光を得た。
これは、 X 線移相子が波長可変であることを示すものである。さらに 、 2~3枚の厚さ
の異なる移相子 I
とより、夜 X線の波長領域全体をカバーできるということを計算より
示した。
また、これと同じ光学系で左右円偏光を交番的に生成することを試みた。ピエゾ素
子を用いた移相子振動台により、変調周波数10~1∞Hzを達成した。生成された左右
円偏光の円偏光度の絶対値は、 0
.
9
8
以上である。 Duty比は、 1
0Hzの時は0.
18、30Hz
の時は0
.
6、6
0Hzの時は0
、
4
. 1
∞Hzの時は0.2であった。これより、 X線移相子の偏光
変調性能が実証された。
X線移相子と直線検光子とを組み合せて偏光計を構成し、硬 X線の波長領域で偏光
状態の完全決定を行うための測定法を政立した。そして、この偏光計により、桁円マ
ルチポールウィグラー(E
MPW)からの放射光の偏光状態を測定し、波長 O
.
l483nm
(
N
iのK-吸収端)、 0.
1ω8nm (
C
o
の K-吸収端)、 0.
1762nm (
F
eのK-吸収端)の3点
で、ストークスパラメーターを決定した。
最後に、シンクロトロン放射光で、高間度円偏光 X線を生成する光学系の検討を
行った。 X線移相子は、結晶の種類・反射面 ・厚さ等によって、多様な特性を示すた
ー
70-
ー
71-
9章 総f
舌
謝辞
め、放射光での円偏光生成光学系には多くのバリエーションが考えられる。本研究で
述べた各種の円偏光生成光学系をアンジュレーターラインで使用すれば、挿入型光源
よりも輝度が大きく、しかも、円偏光度の良い X線ビームを得ることができる。 X線
移相子を用いた円偏光生成光学系は、現在世界各地で建設が進められている、第 3世
代ストレージリングのアンジュレーターラインにおいて最大の威力を発揮する。
シンクロトロンT
却す光の偏光特性が注目を集めつつある今、 X線移相子を用いた偏
光 X線光学は、将来磁性などの物性研究に重要な役割を果たすであろう。
謝辞
本研究を進めるにあたって格別の御指導を賜った菊田怪志教授に深く感謝申し上
げます。また、本研究の遂行にあたり、あらゆる面で御指導と御助言を頂いた石川
哲也助教授に厚くお礼申し上げます。
東京商船大の安中正一教授には、実験装置を提供して頂いただけでなく、質量な
御教示をも受けました。心より感謝致します。
高エネルギ一物理学研究所放射光実験施設のBL-NElにおいて実験の御世話をし
て下さった、河田洋助教授、岩住俊明博士に感謝いたします。
本研究の一部 (
4
.
2
.
3節、及び、 5章と 6主主)は、卒論研究の一環として、馬淵圭司
君、三浦道雄君、玉作賢治君、三上昌義君、神崎清志君、是枝智君、淵上勝弘君ら
の協力を得ています。ここに感謝の意を表します。
最後に、菊田研究室、石川研究室の皆様の暖かい励ましと様々な議論に、また、
工学部強力 X線実験室の小野勝男氏の御協力に感謝いたします。
ー
72-
-73-
参考文献
参考文献
参考文献
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研究業績
本研究以外の発表論文
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